Eyeglass-type image display device

申请号 JP2009200921 申请日 2009-08-31 公开(公告)号 JP5290092B2 公开(公告)日 2013-09-18
申请人 オリンパス株式会社; 发明人 良平 杉原; 陽一 井場; 成示 龍田; 浩一 高橋;
摘要 A spectacles-type image display device having an image output unit that includes a display element that displays images and is disposed on a spectacle frame and a reflection unit that is disposed adjacent to at least one of spectacle lenses and reflects the image light that is output from the image output unit toward the eyeball so that the viewer can see a virtual image of the image is provided. The reflection unit is a reflection member having a positive refractive power and an effective luminous flux that is output from the image output unit and reaches the eyeball of the viewer is configured so that the width of the luminous flux perpendicular to an optical axis is minimum at the reflection unit with respect to the optical axis cross-section parallel to an incident surface of the optical axis relative to the reflection unit.
权利要求
  • 2次元画像を表示する表示素子を含み眼鏡のフレーム部に配置される画像射出部と、
    少なくとも一方の眼鏡レンズ近傍に配置され、前記眼鏡を観察者の頭部に装着した状態で、前記画像射出部から射出した画像光を、該観察者の眼球へ向けて反射させ、前記2次元画像の虚像を該観察者が観察できるように構成した反射部とを備え、
    前記反射部は正の屈折力を持つ反射部材であり、
    前記画像射出部から射出して前記観察者の眼球へ至る有効光束は、 前記反射部に入射する前記画像光の入射面と平行な面であって、前記有効光束の光軸を含む断面 において、
    前記反射部における 前記有効光束の 前記光軸 垂直方向の幅が 前記反射部以外における 前記有効光束の 前記光軸 垂直方向の幅と比較して、最小になるように構成したことを特徴とする眼鏡型画像表示装置。
  • 前記最小の光軸の垂直方向断面の幅は、人間の平均的な瞳孔径である4mmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部材の反射面は、 前記画像光の入射面と平行な方向の幅が 前記画像光の入射面と垂直な方向の幅よりも小さい形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部材の反射面は、前記画像光の入射面と垂直な方向の幅が前記画像光の入射面と平行な方向の幅よりも小さい形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部材の反射面は、前記画像光の入射面と垂直な方向の幅と前記画像光の入射面と平行な方向の幅とが等しい円形形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記表示素子は、縦横の長さが異なる矩形形状であり、該矩形形状の長手方向が前記反射部材の反射面の最小幅方向に対応するよう配置されていることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部材の反射面は、入射面と垂直な方向の曲率半径をRy、入射面と平行な方向の曲率半径をRxとすると、Rx>Ryとなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部材の反射面は、自由曲面であることを特徴とする請求項1から請求項 の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記画像射出部から射出して前記観察者の眼球へ至る有効光束は、
    前記反射部材 に入射する前記画像光の入射面と平行な 面であって、前記有効光束の光軸を含む断面における射出瞳位置である横方向瞳位置が 該反射部材近傍であ ことを特徴とする請求項1から請求項 の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部材は、前記眼鏡レンズに埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請項 の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記画像射出部は、前記反射部の反射面を中心として回動可能に保持されていることを特徴とする請求項1から請求項 10の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部は、前記反射部材の反射面を通る回転軸で回動可能に保持されていることを特徴とする請求項1から請求項 の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記表示素子と前記反射部との間に偏角プリズムを有していることを特徴とする請求項1から請求項 12の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記表示素子は、前記観察者からみて前方に向けて配置され、
    前記表示素子から射出された光線は、前記偏角プリズムに入射され、50°〜70°偏角されて前記反射部方向に射出されることを特徴とする請求項 13に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記偏角プリズムは、前記眼鏡のヨロイ部に保持され、
    前記表示素子は、前記眼鏡のテンプル部に保持され、
    前記表示素子を表示面に垂直な方向に移動調節可能としたことを特徴とする請求項 13または請求項 14に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記偏角プリズムは、前記眼鏡のヨロイ部に保持され、
    前記表示素子は、前記眼鏡のテンプル部に保持され、
    前記表示素子を表示面に平行な方向に移動調節可能としたことを特徴とする請求項 13または請求項 14に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記表示素子と前記反射部との間に、前記反射部の偏心により発生する縦収差を補正する縦収差補正レンズを配置することを特徴とする請求項 13から請求項 16の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記縦収差補正レンズの面形状は、自由曲面形状であることを特徴とする請求項 17に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記縦収差補正レンズは、前記偏角プリズムと一体形成されていることを特徴とする請求項 17または請求項 18に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記表示素子は有機ELであることを特徴とする請求項1から請求項 19の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 前記反射部は、前記観察者の正面に関する投影断面が、該観察者の瞳孔を覆わない位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項 20の何れか1項に記載の眼鏡型画像表示装置。
  • 说明书全文

    本発明は、眼鏡型画像表示装置に関するものである。

    従来、眼鏡型画像表示装置として、例えば、眼鏡のテンプル側に保持された画像射出部と、眼鏡のレンズ近傍に保持された接眼光学部とを含む装置が提案されている。 このような眼鏡型画像表示装置では、画像射出部から射出された表示すべき電子映像の画像光を、接眼光学部を介して観察者の眼球に入射させて観察できるように構成している。 このような、眼鏡型画像表示装置は、通常、電子映像と眼鏡レンズを透過する背景画像とを重ね合わせて眼球内に表示(いわゆるシースルー表示)する。

    このような技術として、視界前方を遮るような凹面鏡と複数枚の投影レンズとによるもの(例えば、特許文献1参照)、ホログラム素子を眼鏡レンズ部に配置したもの(例えば、特許文献2参照)などが知られている。 また、このような眼鏡型画像表示装置として、画像射出部を眼鏡のフレーム等に保持して眼鏡レンズの外側から画像光を入射する構成(例えば、特許文献3参照)、眼鏡レンズ内に画像光を入射するための光路を構成するもの(例えば、特許文献4参照)などが知られている。

    特開平5−303056号公報

    特開2006−209144号公報

    特表2001−522064号公報

    特表2000−511306号公報

    しかしながら、特許文献1に記載の技術では、大きな凹面鏡を用いることによる収差補正をするために投影光学系が複雑であり、また凹面鏡の大きさによる干渉、シースルー機能を付加することの困難さがある。 また、特許文献2に記載の技術では、ホログラム素子の波長選択性が高いことにより、レーザー光線のような光源を用いる、あるいは高性能なフィルターによって一部の波長のみを用いるなど高コストの方法を必要とし、更に、ホログラム素子は装着者個別の視度(曲率)に応じて調節する機能を付加することが困難である。

    上記問題に鑑みて、本発明の課題は、外界視界を遮ることなく外界と電子画像を同時に観察することを可能とすると共に、小型軽量・低コスト化が可能な眼鏡型画像表示装置を提供することにある。

    上記の課題を解決するために、本発明は、2次元画像を表示する表示素子を含み眼鏡のフレーム部に配置される画像射出部と、少なくとも一方の眼鏡レンズ近傍に配置され、前記眼鏡を観察者の頭部に装着した状態で、前記画像射出部から射出した画像光を、該観察者の眼球へ向けて反射させ、前記2次元画像の虚像を該観察者が観察できるように構成した反射部とを備え、前記反射部は正の屈折を持つ反射部材であり、前記画像射出部から射出して前記観察者の眼球へ至る有効光束は、前記反射部に対する光軸の入射面と平行な光軸断面で、該有効光束の光軸垂直方向の幅が前記反射部にて最小になるように構成する。 すなわち、本構成の眼鏡型画像表示装置の光学系では、入射面と平行な光軸断面に関して、反射部材が実質的に開口絞りとして機能している。 あるいは、このことを、入射面と平行な光軸断面に関する射出瞳位置が反射部材となるとも言い換えることができる。

    このとき、前記最小の光軸垂直方向断面の幅は、人間の平均的な瞳孔径である4mmよりも小さいことが好ましい。

    さらに、前記反射部材の反射面は、入射面と平行な方向の幅が入射面と垂直な方向の幅よりも小さい形状であることが好ましい。

    また、前記表示素子は、矩形形状であり、該矩形形状の長手方向が前記反射部材の反射面の最小幅方向に対応するよう配置されていることが好ましい。 すなわち、反射部材は縦長なのにも拘らず、表示素子は横長である構成とする。

    さらに、前記反射部材の反射面は、入射面と垂直な方向の曲率半径をRy、入射面と平行な方向の曲率半径をRxとすると、Rx>Ryとなることが好ましい。 すなわち、反射部材は、いわゆるトロイダルミラーである。

    また、前記反射部材の反射面は、自由曲面であることも好ましい。 すなわち、反射部材の反射面は、いわゆる自由曲面ミラーである。

    さらに、前記画像射出部から射出して前記観察者の眼球へ至る有効光束は、前記反射部材の入射面と平行な光軸断面における射出瞳位置である横方向瞳位置が該反射部材近傍であり、前記反射部材の入射面と垂直な光軸断面における射出瞳位置である縦方向瞳位置が前記横方向瞳位置よりも前記観察者の眼球の瞳孔よりに位置することがこのましい。 すなわち、入射面と平行な光軸断面に関しては反射部材が開口絞りとして機能するが、入射面と垂直な光軸断面に関しては反射部材が開口絞りとして機能してはいない。

    また、前記反射部材は、前記眼鏡レンズに埋め込まれていることが好ましい。

    また、前記画像射出部は、前記反射部の反射面を中心として回動可能に保持されていることが好ましい。

    また、前記反射部は、前記反射部材の反射面を通り入射面に垂直な軸で回動可能に保持されていることが好ましい。

    また、前記表示素子と前記反射部との間に偏プリズムを有していることが好ましい。

    また、前記表示素子は、前記観察者からみて前方に向けて配置され、前記表示素子から射出された光線は、前記偏角プリズムに入射され、50°〜70°偏角されて前記反射部方向に射出されることが好ましい。

    また、前記偏角プリズムは、前記眼鏡のヨロイ部に保持され、前記表示素子は、前記眼鏡のテンプル部に保持され、前記表示素子を表示面に垂直な方向に移動調節可能とすることが好ましい。

    また、前記偏角プリズムは、前記眼鏡のヨロイ部に保持され、前記表示素子は、前記眼鏡のテンプル部に保持され、前記表示素子を表示面に平行な方向に移動調節可能とすることが好ましい。

    また、前記表示素子と前記反射部との間に、前記反射部の偏心により発生する縦収差を補正する縦収差補正レンズを配置することが好ましい。

    さらに、前記縦収差補正レンズの面形状は、自由曲面形状であることが好ましい。

    さらに、前記縦収差補正レンズは、前記偏角プリズムと一体形成されていることが好ましい。

    さらに、前記表示素子は有機ELであることが好ましい。

    また、前記反射部は、前記観察者の正面に関する投影断面が、該観察者の瞳孔を覆わない位置に配置することが好ましい。

    本発明によれば、外界視界を遮ることなく外界と電子画像を同時に観察することを可能とすると共に、小型軽量・低コスト化が可能な眼鏡型画像表示装置を提供することができる。

    本発明の第1実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の主要部分の概略を示す部分構成図である。

    本発明の実施に用いる反射部の例を示す図である。

    図1の眼鏡型画像表示装置を観察者が装着した状態における右眼側を示す正面図である。

    本発明の第1実施形態における反射部の矩形形状の短手方向の幅について説明する図である。

    本発明の第1実施形態の光学要素を抜き出した基本構成図である。

    本発明の第1実施形態の光学系の横方向光軸断面および縦方向光軸断面の光線図である。

    本発明の第2実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の構成および使用状態を示す図である。

    本発明の第2実施形態の光学要素を抜き出した基本構成図である。

    本発明の第2実施形態における眼幅調整の例を示す図である。

    本発明の第2実施形態における眼幅調整の例を示す図である。

    本発明の第3実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す図である。

    本発明の第4実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す図である。

    本発明の第4実施形態の光学系の光線図である。

    本発明の第4実施形態の効果を説明するための比較用の光線図である。

    本発明の反射部材が縦長であることによる偏心収差の低減の効果を説明するための光線図である。

    自由曲面ミラーの反射面形状を円形にしたときの収差図である。

    自由曲面ミラーの反射面形状を縦長の矩形にしたときの収差図である。

    自由曲面ミラーの反射面形状を横長の矩形にしたときの収差図である。

    本発明の第5実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す図である。

    本発明の第6実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す図である。

    本発明の第7実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す図である。

    本発明の第8実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す図である。

    以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。

    (第1実施形態)
    図1は、本発明の第1実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の主要部分の概略を示す部分構成図である。 この図では、眼鏡型画像表示装置1を頭部に装着した際の、観察者の右眼の眼球2を併せて表示している。 同図に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のフレーム部3に配置される画像射出部4と、画像射出部4から射出した画像光を、観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを備える。

    画像射出部4は、2次元画像を表示する表示素子(図1には不図示)を内部に有し、画像光を射出する。 表示素子としては、例えば液晶表示素子や有機EL素子等、一般的な表示素子を用いることができる。 特に、表示素子として有機EL素子を用いた場合はバックライトが不要であるため、より小型軽量が達成され、かつ消費電力も少ない。

    反射部5は、眼鏡レンズ近傍に配置された正の屈折力を持つ反射部材であり、眼鏡を観察者の頭部に装着した状態で、画像射出部4から射出した画像光を、観察者の眼球2へ向けて反射させ、2次元画像の虚像を観察者が観察できるように配置されている。 反射部5としては、図2に示されるように、(a)表面反射ミラー、(b)裏面反射ミラー、(c)眼鏡レンズへ埋め込まれたミラー、(d)全反射プリズム、などを用いることができる。 表面反射ミラーおよび裏面反射ミラーは、それぞれ表面または裏面を金属蒸着や誘電体多層膜等の一般的なミラーコートを施したものを利用することができる。 眼鏡レンズへ埋め込まれたミラーを用いた場合は、眼鏡レンズと空気との屈折により、傾斜角を軽減することができる。 全反射プリズムを用いた場合は、ミラーコートなしに屈曲させることができる。

    図1に戻り、眼鏡フレーム3は、眼鏡レンズ6(または眼鏡レンズ6の枠)に固定され、眼鏡前面の両端に位置するヨロイ部7と、ヨロイ部7およびヒンジ8を介して折り曲げ可能に結合されたテンプル部9とを含んで構成されている。 本実施形態の画像射出部4は、ヒンジ8を介して、テンプル部9によって保持され、眼鏡フレーム3の折りたたみ時に、テンプル部9と共に折り畳まれる。

    上記の配置では、画像射出部4から射出し、反射部5によって反射され、観察者の眼球2へ至る画像光は、眼鏡レンズ6および眼鏡フレーム3(および観察者の顔面)によって囲まれた空間を伝播する構成となっている。 この構成により、観察者の視界を遮る障害物が可能な限り少なく、眼鏡フレーム3の折り畳み時に、(例えば画像射出部4が)干渉してしまう部品もない。

    図3は、観察者が装着した状態における図1の眼鏡型画像表示装置の右眼側を示す正面図である。 図3に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置では、観察者の方面方向に関する投影断面において、反射部5が観察者の瞳孔10を覆わない位置に配置されている。 本実施形態では、反射部5をこの位置に配置することによって、通常時(観察者が眼鏡型画像表示装置からの情報よりも周囲からの情報に意識を向けている状態)に観察者の視界を十分確保し、本実施形態の眼鏡型画像表示装置を使用しているときでも観察者が安全に活動することができる。

    また、図3に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置では、反射部5が縦長の矩形形状をしている。 一方で、画像射出部4およびその内部の表示素子は横長の矩形形状をしている。 すなわち、表示素子13の長手方向が、反射部5の最小幅方向に対応するように構成されている。 このように構成することにより、横長表示の画像であっても、眼鏡と顔と間の狭いスペースに画像光線を導くことができる。 また、本実施形態の眼鏡型画像表示装置では、反射部5が縦長の矩形形状をしていることから、眼鏡装着時の上下方向のズレに対しても許容度が高い。 なお、縦長の反射部による上下方向のズレ許容度を、画像表示領域として利用すれば、縦長の表示画面(すなわち縦長の表示素子)に対しても、本実施形態の構成を利用することができる。

    さらに、本実施形態における反射部5が縦長の矩形形状であることは、光学性能の観点でもメリットを有する。 反射部5の反射部材は正の屈折力を有し、図1に示されるように、画像射出部4から射出された画像光は、反射部5に対して偏心して入射され、瞳孔10方向に反射される。 すなわち、本実施形態における反射部5では、入射面と平行方向の偏心収差が発生する。 しかしながら、本実施形態における反射部5が縦長の(入射面と平行方向の幅が小さい)矩形形状であることにより、反射部5にて発生する偏心収差を低減することができる。 なお、この収差補正に関しては、後の第4実施形態において収差図を用いて詳説する。

    図4は、本実施形態における反射部の矩形形状の短手方向の幅について説明する図である。 すでに説明してあるように、本実施形態では、画像射出部4から射出された画像光は反射部5によって反射され、眼球2の瞳孔10に導かれる。 したがって、反射部5は眼球2の視線(あるいは画像射出部4から射出された画像光の光軸)に対して傾斜して配置(偏心配置)される。 すなわち、観察者の視界にとっての大きさは、実際の反射部5の大きさとは異なる。 本実施形態では、反射部5の光軸垂直断面(視線方向の投影断面)における幅が4mm以下となるように構成されている。 この4mmという数値は、人間の平均的な瞳孔径に基づき、反射部5の光軸垂直断面が4mmよりも小さい場合、反射部5に遮られない背景光が瞳孔10を通り網膜に像を作る、いわゆる瞳分割シースルーが実現され、背景光と画像射出部4から射出された画像光とが重ね合わされる。

    図5は、本実施形態の光学系をより詳説するために、本実施形態の光学要素を抜き出した基本構成図である。 本実施形態の光学系は、図5に示されるように、光源11から放射された照明光を照明レンズ12によって略平行光に変換して(例えば液晶表示素子などの)表示素子13に照射する。 その後、表示素子13からは画像情報を含んだ画像光が射出され、正の屈折力を有する反射部5によって眼球方向に屈曲させ、観察者が表示素子13の虚像を観察する。

    図5に示されるように、本実施形態の光学系における紙面方向の光軸断面では、反射部5の口径が最も細くなっている。 言い換えれば、反射部5の反射面の入射面と平行な方向の光軸断面に関して、反射部5が本実施形態の光学系の実質的開口絞りとして機能している。 あるいは、反射部5に射出瞳位置が存在していると表現してもよい。 このように、本実施形態の光学系は、反射部5が射出瞳位置になっていることから、画像の形状(すなわち表示素子の形状)によらずに反射部5の形状を決定することができる。 よって、本実施形態では、先述したように表示素子13が横長の矩形形状であるにも拘らず、反射部5が縦長の矩形形状とすることができる。

    また、光源11像が反射部5の近傍に位置する構成が好ましい。 この構成によれば、光源11像から放射された光線が集光した状態で反射部5によって反射されるので、照明効率がよい。

    図6は、本実施形態の光学系の(a)横方向光軸断面(すなわち反射部での入射面と平行方向の光軸断面)と(b)縦方向光軸断面(すなわち反射部での入射面と垂直方向の光軸断面)との違いを説明する図である。 なお、図6では紙面上に記載するために、反射部5での屈曲を直線と仮定して記載してある。

    図6(a)および(b)において、光軸上の主光線(すなわち光軸)は2点鎖線、光軸上のマージナル光線は実線、軸外の主光線は1点鎖線、軸外のマージナル光線は破線で表されている。 図6(a)に示されるように、本実施形態の光学系では、横方向の光束が反射部5によって規定されている(つまり反射部5が開口絞りとして機能している)ので、軸外のマージナル光線が光軸に交わっている。 一方で、図6(b)に示されるように、反射部5は縦方向に関しては十分に大きな口径を有しているので、実質的な絞りとしての機能を持たず、瞳孔10が開口絞りとして機能している。

    なお、本実施形態で図示した眼鏡型画像表示装置1は、右眼に対して電子映像を表示する構成としたが、左眼に対して電子映像を表示するようにしても良い。

    (第2実施形態)
    図7は、本発明の第2実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す構成図である。 この図では、眼鏡型画像表示装置1を頭部に装着した際の、観察者の眼球2を併せて表示している。 同図に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置される画像射出部4と、画像射出部4から射出した画像光を偏角する偏角プリズム15と、眼鏡レンズ6近傍に配置され、偏角プリズム15から射出した画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを備える。

    画像射出部4は、2次元画像を表示する表示素子13を内部に有し、画像光を射出する。 表示素子13としては、第1実施形態と同様に、例えば液晶表示素子や有機EL素子等、一般的な表示素子を用いることができる。 次に、表示素子13(すなわち画像射出部4)から射出された画像光は、偏角プリズム15に入射され、50°〜70°偏角されて、反射部方向に射出される。 反射部5は正の屈折力を持つ反射部材であり、表示素子13の画像を拡大し、観察者は表示素子13の虚像を観察する。 図7に示された実施形態では、偏角プリズム15と一体で成型された縦収差補正レンズ14を有し、反射部5の偏心による収差を補正する。

    また、偏角プリズム15の例としては、頂角が30°,60°,90°のプリズム(いわゆる30°プリズム)を用いることができる。 30°プリズムを用いた場合、頂角90°の角の対向面に画像光を垂直入射し、頂角60°の角の対向面で反射し、頂角90°の角の対向面で全反射し、頂角30°の角の対向面から射出することによって、60°の偏角が実現できる。

    反射部5は、正の屈折力を持つ反射部材であり、眼鏡を観察者の頭部に装着した状態で、画像射出部4から射出した画像光を、観察者の眼球2へ向けて反射させ、2次元画像の虚像を観察者が観察できるように配置されている。 第1実施形態と同様に、反射部5としては、(a)表面反射ミラー、(b)裏面反射ミラー、(c)眼鏡レンズへ埋め込まれたミラー、(d)全反射プリズム、などを用いることができる(図2を参照)。 なお、反射部5は、第1実施形態と同様に、観察者の方面方向に関する投影断面において、反射部5が観察者の瞳孔10を覆わない位置に配置されている(図3を参照)。 本実施形態でも、反射部5をこの位置に配置することによって、通常時に観察者の視界を十分確保し、本実施形態の眼鏡型画像表示装置を使用しているときでも観察者が安全に活動することができる。 特に、本実施形態では、偏角プリズム15によって、第1実施形態よりも、反射部5により鋭角に光線を入射することができるので、反射部5をより視界を遮らない位置に配置することができる。

    図7に示される本実施形態において、偏角プリズム15は眼鏡のヨロイ部7に保持されている。 さらに、画像射出部4は、眼鏡のテンプル部9に保持され、表示素子13の表示面に垂直な方向に移動調節可能な構成となっている。 この構成により、表示素子13と偏角プリズム15との間の距離を変更することにより、視度調整を行うことができる。 また、表示素子13を表示面に平行な方向に移動調節可能な構成とすれば、眼幅調節が可能な構成とすることができる。

    図8は、本実施形態の光学系をより詳説するために、本実施形態の光学要素を抜き出した基本構成図である。 本実施形態の光学系は、図8に示されるように、表示素子13から画像情報を含んだ画像光が射出され、偏角プリズム15によって偏角され、画像光を反射部5に導く。 反射部5では入射された画像光を反射し、観察者の瞳孔10の方向に画像光を屈曲させる。 この場合の反射部5における入射面は紙面方向と一致し、観察者からみると略平方向となっている。 また、偏角プリズム15と一体で成型された縦収差補正レンズ14は、反射部5の偏心による収差を補正する。 本実施形態においても、第1実施形態と同様に、紙面方向の光軸断面の光束径は、反射部5にて最も細くなっていることが見てとれる。 すなわち、本実施形態においても、入射面方向の光軸断面に関して、反射部5は実質的に開口絞りとしての機能を有していることが解る。 よって、本実施形態でも、反射部5が瞳位置になっていることから、表示素子13が横長の矩形形状であるにも拘らず、反射部5が縦長の矩形形状とすることができる。

    図8に示される基本構成図から読み取れるように、本実施形態では、表示素子13と偏角プリズム15との間の距離を変更することにより、表示素子13と反射部5との間の距離が変わり、その結果、視度調整を行うことができる。 また、表示素子13を表示面に平行な方向に移動調節可能な構成とすれば、表示素子13の瞳孔10への投影位置が平行移動し、その結果、眼幅調節が可能な構成とすることができる。

    図9は、本実施形態における眼幅調整の更なる例を示す図である。 図9(a)は光学要素のみを抜き出して図示したものであり、図9(b)は眼幅調整の機構を例示したものである。

    図9(a)は、図8に示される光学要素と同様に、表示素子13から画像情報を含んだ画像光が射出され、偏角プリズム15によって偏角され反射部5に導く。 その後、反射部5では入射された画像光を反射し、観察者の瞳孔10の方向に画像光を屈曲させる。 このとき、画像射出部(同図においては表示素子13、偏角プリズム15、および縦収差補正レンズ14)を、反射部5を中心として回転させる。 この結果、観察者の瞳孔10における観察可能な位置が移動するので、眼幅調整が達成される。

    図9(b)は眼幅調整の機構例によれば、画像射出部4が反射部5を中心とした円弧状のガイド21を有し、このガイド21を介して画像射出部4を眼鏡フレーム3に保持される。 これにより、画像射出部4は、反射部5を中心として回動可能に保持される構成が達成され、眼幅調整が行える眼鏡型画像表示装置が実現できる。

    図10は、本実施形態における眼幅調整の異なる例を示す図である。 図10(a)は光学要素のみを抜き出して図示したものであり、図10(b)は眼幅調整の機構を例示したものである。

    図10(a)は、図8に示される光学要素と同様に、表示素子13から画像情報を含んだ画像光が射出され、偏角プリズム15によって偏角され反射部5に導く。 その後、反射部5では入射された画像光を反射し、観察者の瞳孔10の方向に画像光を屈曲させる。 このとき、反射部5を、その反射面を通る軸を中心として回転させる。 この結果、観察者の瞳孔10における観察可能な位置が移動するので、眼幅調整が達成される。

    図10(b)に示される眼幅調整の機構例によれば、眼鏡レンズに凹面16の溝を形成し、さらに溝の一部に眼鏡レンズを貫く貫通穴17を開ける。 反射部5は反射面18の裏面を凸面19とし、貫通穴17に通すためのツマミ部20を形成する。 凹面16と凸面19とを摺動可能に嵌め合わせ、貫通穴17を通したツマミ部20によって、反射面18を偏角する。 このように構成することにより、凹面16および凸面19の曲率の中心が反射面18の回転の中心となり、反射面を通る軸を中心とした回転が達成される。 すなわち、眼幅調整が行える眼鏡型画像表示装置が実現できる。

    なお、図9および図10を用いて説明した眼幅調整の例は、第2実施形態を用いて説明したが、第1実施形態においても適切に実施することが可能である。

    (第3実施形態)
    図11は、反射部5の反射部材としてトロイダルミラーを用いた、第3実施形態の光学系を説明するために、本実施形態の光学要素を抜き出した基本構成図である。 本実施形態の光学系を用いる眼鏡型画像表示装置の構成は、例えば第2実施形態と同様の構成をとることができる。 すなわち、第3実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置されて内部に表示素子13を有する画像射出部4と、画像射出部4から射出した画像光を偏角する偏角プリズム15と、眼鏡レンズ6近傍に配置され、偏角プリズム15から射出した画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを備えるものとすることができる。

    本実施形態の光学系は、図11(a)に示されるように、表示素子13から画像情報を含んだ画像光が射出され、偏角プリズム15によって偏角され、画像光を反射部5に導く。 反射部5では入射された画像光を反射し、観察者の瞳孔10の方向に画像光を屈曲させる。 本実施形態においても、第1実施形態と同様に、紙面方向の光軸断面の光束径は、反射部5にて最も細くなっていることが見てとれる。 すなわち、本実施形態においても、入射面方向の光軸断面に関して、反射部5は実質的に開口絞りとしての機能を有していることが解る。 よって、本実施形態でも、反射部5が瞳位置になっていることから、表示素子13が横長の矩形形状であるにも拘らず、反射部5が縦長の矩形形状とすることができる。 なお、図11(a)には、画像射出部4の内部の表示素子13を保護するカバーガラス22も記載されている。

    図11(b)は、反射部5の反射面18の形状を説明するための図である。 本実施例の反射面18は、上述のように、縦長の矩形形状である。 ここで、縦長の矩形形状とは、画像光の入射面に平行方向の幅が、画像光の入射面の垂直方向の幅よりも狭いことをう。 本実施形態における反射面18はトロイダル面であり、入射面と垂直な方向の曲率半径をRy、入射面と平行な方向の曲率半径をRxとしたとき、Rx>Ryとなる関係を有する。 すなわち、本実施形態の反射面18は、幅の狭い方向の曲率半径が、幅が広い方向の曲率半径よりも大きい。 このように、反射面18にトロイダルミラーを用いることにより、偏心により生じる非点隔差を補正する。 図11(b)に示される例では、入射面に平行方向の幅が2.5mmであり、入射面に垂直方向の幅が6.0mmである。 また、入射面と平行な方向の曲率半径が86.7mmであり、入射面と垂直な方向の曲率半径が59.1mmである。

    (第4実施形態)
    図12は、本発明の第4実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す構成図である。 この図では、眼鏡型画像表示装置1を頭部に装着した際の、観察者の眼球2を併せて表示している。 同図に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置される表示素子13と、眼鏡レンズ6近傍に配置され、表示素子13から射出した画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを備える。

    本実施形態では、反射部5の反射部材として自由曲面ミラーを用いている。 さらに、表示素子13を光軸に対して傾けて配置することにより、反射部5の偏心による偏心収差を軽減する。 また、本実施形態の構成では、表示素子13を傾けて配置することにより、表示素子13が眼鏡フレーム3と略平行に配置することができ、よりコンパクトな構成が実現できる。 なお、図12に示される本実施形態の構成では、表示素子13をバックライトを必要としない有機ELパネルとすることが好ましい。

    以下、図13および図14を用いて、表示素子13の傾斜配置による偏心収差の補正の効果を説明する。

    図13は、本実施形態の光学系の光線図であり、以下のレンズデータに基づく。 図13は、不図示の虚像面S0からの逆追跡の光線図であり、瞳孔S1から表示素子の表示面S6までを順次描き表したものである。

    (第4実施形態のレンズデータ:図13に対応)

    面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
    S0(物体面) ∞ -1000.00
    S1 ∞ 12.00
    S2 FFS[1] -34.23 偏心[1]
    S3 ∞ -1.00 偏心[2] 1.4917 55.3
    S4 ∞ -2.30
    S5 ∞ -0.70 1.5168 64.1
    S6(像面) ∞ 0.00
    ・FFS[1]:
    C4 -7.7508e-003 C6 -5.2233e-003 C8 -4.0470e-005
    C10 -3.8198e-005 C11 -4.6443e-007 C13 2.4738e-006
    C15 2.0797e-006 C17 -1.4429e-006 C19 -1.5141e-006
    C21 -1.5459e-007
    ・偏心[1]:
    X 0.00 Y 0.00 Z 0.00
    α -35.00 β 0.00 γ 0.00
    ・偏心[2]:
    X 0.00 Y -1.70 Z -1.30
    α -35.00 β 0.00 γ 0.00

    図14は、第4実施形態の効果を説明するために、表示素子およびカバーガラスを傾けずに配置した場合の光線図であり、以下のレンズデータに基づく。 図14は、不図示の虚像面S1からの逆追跡の光線図であり、瞳孔S1から表示素子の表示面S6までを順次描き表したものである。 図13と図14との違いは、第3面S3(カバーガラス上面)から第6面S6(表示素子の表示面)が傾斜配置されていないことである。

    (表示素子を垂直配置したレンズデータ:図14に対応)
    面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
    S0(物体面) ∞ -1000.00
    S1 ∞ 12.00
    S2 FFS[1] -34.23 偏心[1]
    S3 ∞ -1.00 1.4917 55.3
    S4 ∞ -2.30
    S5 ∞ -0.70 1.5168 64.1
    S6(像面) ∞ 0.00
    ・FFS[1]:
    C4 -7.7508e-003 C6 -5.2233e-003 C8 -4.0470e-005
    C10 -3.8198e-005 C11 -4.6443e-007 C13 2.4738e-006
    C15 2.0797e-006 C17 -1.4429e-006 C19 -1.5141e-006
    C21 -1.5459e-007
    ・偏心[1]:
    X 0.00 Y 0.00 Z 0.00
    α -35.00 β 0.00 γ 0.00

    図13と図14とを比較すると解るように、特に第6面S6の近傍において、図14に示された光線図よりも図13に示された光線図の方が光線の乱れが少ない。 すなわち、本発明の第4実施形態によれば、表示素子13が傾斜配置されていることにより、反射部の偏心による偏心収差を低減することができていることが解る。

    ここで、本実施形態による自由曲面の光学系を用いて、本発明の反射部材が縦長であることによる偏心収差の低減の効果を説明する。 ただし、本発明の反射部材が縦長であることによる偏心収差の低減の効果は、自由曲面ミラーの光学系に限らず、本発明の他の実施形態においても同様に効果を奏する。

    図15は、本実施形態の自由曲面ミラーによる光学系の光線図であり、以下のレンズデータに基づく。 図15は、不図示の虚像面S1からの逆追跡の光線図であり、瞳孔S1から表示素子の表示面S4までを順次描き表したものである。 図13に記載光線図との違いは、カバーガラス(図13におけるS3,S4)が図15ではないことである。

    面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
    S0(物体面) ∞ -1000.00
    S1 ∞ 12.00
    S2 FFS[1] -31.02 偏心[1]
    S3 ∞ -0.70 偏心[2] 1.5168 64.1
    S4(像面) ∞ 0.00
    ・FFS[1]
    C4 -1.1279e-002 C6 -7.6893e-003 C8 -1.2511e-004
    C10 -8.5881e-005 C11 -3.1333e-005 C13 -6.5199e-006
    C15 -3.7601e-006 C17 -2.1593e-006 C19 -1.6531e-006
    C21 -9.6704e-007
    ・偏心[1]
    X 0.00 Y 0.00 Z 0.00
    α -35.00 β 0.00 γ 0.00
    ・偏心[2]
    X 0.00 Y -1.56 Z 5.21
    α -24.30 β 0.00 γ 0.00

    上記のレンズデータにおいて、第2面S2(自由曲面ミラー)の形状を円形、縦長、横長としたときの、最大像高の各点での横収差図を、それぞれ図16、図17、図18に記載している。 図16は、自由曲面ミラーの反射面形状を半径1.74mmの円形にしたときの収差図であり、図17は、自由曲面ミラーの反射面形状をX:0.86×2mm、Y:1.74×2mmの矩形にしたときの収差図であり、図18は、自由曲面ミラーの反射面形状をX:1.74×2mm、Y:0.86×2mmの矩形にしたときの収差図である。 ただし、X方向とは横方向(入射面に平行な方向)であり、Y方向とは縦方向(入射面に垂直な方向)である。

    図16から読み取れるように、本光学系の収差は、X方向の収差の方がY方向の収差よりも大きい。 したがって、自由曲面ミラーの反射面形状をX方向に制限すれば、X方向の収差が低減される。 実際、自由曲面ミラーの反射面形状をX方向に制限した図17の収差図と、自由曲面ミラーの反射面形状をY方向に制限した図18の収差図とを比較すると、図17の収差図の方がより良く収差が補正されていることがわかる。

    (第5実施形態)
    図19は、本発明の第5実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す構成図である。 この図では、眼鏡型画像表示装置1を頭部に装着した際の、観察者の眼球2を併せて表示している。 同図に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置される表示素子13と、眼鏡レンズ6近傍に配置され、表示素子13から射出した画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを備える。

    本実施形態でも、反射部5の反射部材として自由曲面ミラーを用いている。 さらに、表示素子13を光軸に対して傾けて配置することにより、反射部5の偏心による偏心収差を軽減する。 また、反射部5の反射面は、入射面と平行な方向の幅が入射面と垂直な方向の幅よりも小さい形状(縦長形状)とすることで、偏心収差をより一層低減する。

    本実施形態の表示素子13は、透過型液晶表示素子である。 よって、表示素子13の裏面から照明光を照射する必要がある。 本実施形態では、表示素子13の裏面に偏角プリズム15を配置し、偏角プリズム15によって光源11からの照明光を折りたたんで、表示素子13の裏面に照明光を照射する。 また、光源11からの照明光を入射する偏角プリズム15の入射面に、照明レンズ12を一体形成することが、構成上にも製造上にも好ましい。

    (第6実施形態)
    図20は、本発明の第6実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す構成図である。 この図では、眼鏡型画像表示装置1を頭部に装着した際の、観察者の眼球2を併せて表示している。 同図に示されるように、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置される表示素子13と、眼鏡レンズ6近傍に配置され、表示素子13から射出した画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを備える。

    本実施形態でも、反射部5の反射部材として自由曲面ミラーを用いている。 さらに、表示素子13を光軸に対して傾けて配置することにより、反射部5の偏心による偏心収差を軽減する。 また、反射部5の反射面は、入射面と平行な方向の幅が入射面と垂直な方向の幅よりも小さい形状(縦長形状)とすることで、偏心収差をより一層低減する。

    本実施形態の表示素子13は、例えばLCOSやDMDなどの反射型表示素子である。 よって、表示素子13の表面から照明光を照射する必要がある。 本実施形態では、表示素子13の表面に偏角プリズム15を配置し、偏角プリズム15によって光源11からの照明光を折りたたんで、表示素子13の表面に照明光を照射する。 また、光源11からの照明光を入射する偏角プリズム15の入射面に、照明レンズ12を一体形成することが、構成上にも製造上にも好ましい。

    (第7実施形態)
    図21は、本発明の第7実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す構成図である。 本実施形態は、図7を用いて説明した第2実施形態の眼鏡型画像表示装置を両眼用に拡張したものである。 すなわち、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置される画像射出部4と、画像射出部4から射出した画像光を偏角する偏角プリズム15と、画像光の縦収差を補正するための縦収差補正レンズ14と、縦収差補正レンズ14からの画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを右目用と左目用とにそれぞれ備える。 ここでは、本実施形態の各部の機能は、第2実施形態の眼鏡型画像表示装置と同様であるので、図中に同一符号を割り当てることにより省略する。 すなわち、本実施形態の眼鏡型画像表示装置は、第2実施形態の眼鏡型画像表示装置が有する作用および効果を有する。

    図21に示されるように、本実施形態では、右目および左目において、画像光の入射角度が同一となっている。 すなわち、本実施形態の眼鏡型画像表示装置を装着した観察者は、正面方向に1つの画像を観察する。 このとき、右目用画像と左目用画像とに視差を付けた画像を表示することによって、立体映像を表示することが可能である。 さらに、反射部5の短手方向の幅を人間の平均的な瞳孔径である4mmよりも小さくすることでシースルー表示が可能であるので、観察者の周囲の背景に立体像を重ね合わせて表示することができ、非常にリアルな立体表示が可能となる。 また、画像光の入射角度は眼球の輻輳の分だけ内向きに角度を付けてもよい。

    なお、ここでは本実施形態の説明を第2実施形態の拡張として説明を行ったが、本実施形態の思想は、第2実施形態に限らず、他の実施形態を両眼用に拡張すること利用することができる。

    (第8実施形態)
    図22は、本発明の第8実施形態に係る眼鏡型画像表示装置の概略を示す構成図である。 本実施形態は、図7を用いて説明した第2実施形態の眼鏡型画像表示装置を両眼用に拡張したものである。 すなわち、本実施形態の眼鏡型画像表示装置1は、眼鏡のテンプル部9に配置される画像射出部4と、画像射出部4から射出した画像光を偏角する偏角プリズム15と、画像光の縦収差を補正する縦収差補正レンズ14と、縦収差補正レンズ14からの画像光を観察者の眼球2へ向けて反射する反射部5とを右目用と左目用とにそれぞれ備える。 ここでは、本実施形態の各部の機能は、第2実施形態の眼鏡型画像表示装置と同様であるので、図中に同一符号を割り当てることにより省略する。 すなわち、本実施形態の眼鏡型画像表示装置は、第2実施形態の眼鏡型画像表示装置が有する作用および効果を有する。

    図12に示されるように、本実施形態では、右目および左目において、画像光の入射角度が観察者から見て外向きとなっている。 すなわち、本実施形態の眼鏡型画像表示装置を装着した観察者は、どちらか一方の画像のみを観察する。 このとき、右目用画像と左目用画像とに異なる画像を表示することによって、観察者は選択的に必要な表示を見ることができる。 つまり、左右を併せると2画面分の情報表示が可能であり、本発明の眼鏡型画像表示装置を情報提供機器として用いる場合に好適である。

    なお、ここでも本実施形態の説明を第2実施形態の拡張として説明を行ったが、本実施形態の思想は、第2実施形態に限らず、他の実施形態を両眼用に拡張すること利用することができる。

    (レンズデータの記載に関する注釈)
    本発明の説明に用いた実施例は、このY−Z平面内で各面の偏心を行っており、また、各回転非対称自由曲面の唯一の対称面をY−Z面としている。

    偏心面については、光学系の原点の中心からその面の面頂位置の偏心量(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX,Y,Z)と、その面の中心軸(自由曲面については、後記(a)式のZ軸、非球面については、後記(b)式のZ軸)のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする傾き角(それぞれα,β,γ(°))とが与えられている。 その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味する。 なお、面の中心軸のα,β,γの回転のさせ方は、面の中心軸とそのXYZ直交座標系を、まずX軸の回りで反時計回りにα回転させ、次に、その回転した面の中心軸を新たな座標系のY軸の回りで反時計回りにβ回転させると共に1度回転した座標系もY軸の回りで反時計回りにβ回転させ、次いで、その2度回転した面の中心軸を新たな座標系の新たな座標系のZ軸の回りで時計回りにγ回転させるものである。

    また、各実施例の光学系を構成する光学作用面の中、特定の面とそれに続く面が共軸光学系(平面反射プリズムを含む)を構成する場合には、面間隔が与えられており、その他、媒質の屈折率、アッベ数が慣用法に従って与えられている。

    また、本発明で用いる自由曲面とは、以下の式(a)で定義されるものである。 なお、その定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。

    Z=(r 2 /R)/[1+√{1−(1+k)(r/R) 2 }]
    66
    +Σ C jmn
    j=1
    ・・・(a)
    ここで、(a)式の第1項は球面項、第2項は自由曲面項である。

    球面項中、
    R:頂点の曲率半径k:コーニック定数(円錐定数)
    r=√(X 2 +Y 2
    である。

    自由曲面項は、
    66
    Σ C jmn
    j=1
    =C 1
    +C 2 X+C 3
    +C 42 +C 5 XY+C 62
    +C 73 +C 82 Y+C 9 XY 2 +C 103
    +C 114 +C 123 Y+C 1322 +C 14 XY 3 +C 154
    +C 165 +C 174 Y+C 1832 +C 1923 +C 20 XY 4
    +C 215
    +C 226 +C 235 Y+C 2442 +C 2533 +C 2624
    +C 27 XY 5 +C 286
    +C 297 +C 306 Y+C 3152 +C 3243 +C 3334
    +C 3425 +C 35 XY 6 +C 367
    ・・・・・・
    ただし、C j (jは1以上の整数)は係数である。

    上記自由曲面は、一般的には、X−Z面、Y−Z面共に対称面を持つことはないが、本発明ではXの奇数次項を全て0にすることによって、Y−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。 例えば、上記定義式(a)においては、C 2 、C 5 、C 7 、C 9 、C 12 、C 14 、C 16 、C 18 、C 20 、C 23 、C 25 、C 27 、C 29 、C 31 、C 33 、C 35・・・
    の各項の係数を0にすることによって可能である。

    また、Yの奇数次項を全て0にすることによって、X−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。 例えば、上記定義式においては、C 3 、C 5 、C 8 、C 10 、C
    12 、C 14 、C 17 、C 19 、C 21 、C 23 、C 25 、C 27 、C 30 、C 32 、C 34 、C 36・・・の各項の係数を0にすることによって可能である。

    また上記対称面の方向の何れか一方を対称面とし、それに対応する方向の偏心、例えば、Y−Z面と平行な対称面に対して光学系の偏心方向はY軸方向に、X−Z面と平行な対称面に対しては光学系の偏心方向はX軸方向にすることで、偏心により発生する回転非対称な収差を効果的に補正しながら同時に製作性をも向上させることが可能となる。

    また、上記定義式(a)は、前述のように1つの例として示したものであり、本発明は、対称面を1面のみ有する面対称自由曲面を用いることで偏心により発生する回転非対称な収差を補正し、同時に製作性も向上させるということが特徴であり、他のいかなる定義式に対しても同じ効果が得られることは言うまでもない。

    なお、データの記載されていない自由曲面に関する項は0である。 屈折率については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。 長さの単位はmmである。

    1 眼鏡型画像表示装置 2 眼球 3 眼鏡フレーム 4 画像射出部 5 反射部 6 眼鏡レンズ 7 ヨロイ部 8 ヒンジ 9 テンプル部 10 瞳孔 11 光源 12 照明レンズ 13 表示素子 14 縦収差補正レンズ 15 偏角プリズム 16 凹面 17 貫通穴 18 反射面 19 凸面 20 ツマミ部 21 ガイド 22 カバーガラス

    QQ群二维码
    意见反馈