新規エピスルフィド化合物およびそれを含む光学材料組成物

申请号 JP2017509420 申请日 2016-03-01 公开(公告)号 JPWO2016158156A1 公开(公告)日 2017-08-31
申请人 三菱瓦斯化学株式会社; 发明人 和貴 仮屋薗; 和貴 仮屋薗; 青木 崇; 崇 青木;
摘要 本発明の好ましい実施態様によれば式(1)で表されるエピスルフィド化合物と前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物以外の重合性化合物とを含む光学材料用組成物を提供することができる。該光学材料組成物により、重合性化合物を安定して安価で保管し、かつ色相、耐光性、透明性が良い光学材料を得ることが可能となった。【化9】(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)
权利要求

下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物。 (式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)請求項1に記載のエピスルフィド化合物と前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物以外の重合性化合物とを含む光学材料用組成物。前記エピスルフィド化合物および前記重合性化合物の総量に対する前記エピスルフィド化合物の割合が0.0001〜5.0質量%である請求項2に記載の光学材料用組成物。前記重合性化合物を95.0〜99.9999質量%含む、請求項2または3に記載の光学材料用組成物。前記重合性組成物として下記式(2)で表わされる化合物を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の光学材料用組成物。 (式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)前記式(2)で表わされる化合物を40〜99.999質量%含む、請求項5に記載の光学材料用組成物。前記エピスルフィド化合物および前記式(2)で表される化合物の総量に対する前記エピスルフィド化合物の割合が0.0001〜5.0質量%である、請求項5または6に記載の光学材料用組成物。請求項2〜7のいずれかに記載の光学材料用組成物と、前記光学材料用組成物の総量に対して0.0001質量%〜10質量%の重合触媒とを含む、重合硬化性組成物。請求項8に記載の重合硬化性組成物を硬化した光学材料。請求項9に記載の光学材料を含む光学レンズ。請求項2〜7のいずれかに記載の光学材料用組成物に、重合触媒を前記光学材料用組成物総量に対して0.0001質量%〜10質量%添加し、重合硬化する工程を含む、光学材料の製造方法。

说明书全文

本発明は新規なエピスルフィド化合物およびそれを含む光学材料組成物に関する。より詳細にはプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記憶基盤、フィルター等の光学材料、中でもプラスチックレンズに好適に使用される新規なエピスルフィド化合物およびそれを含む光学材料組成物に関する。

プラスチックレンズは軽量かつ靭性に富み、染色も容易である。プラスチックレンズに特に要求される性能は、物理的化学的性質としては低比重、高透明性および低黄色度、高耐熱性、高強度、光学性能として高屈折率と高アッベ数である。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減する。 近年、高屈折率および高アッベ数を目的として、硫黄原子を有する有機化合物を用いた例が数多く報告されている。中でも硫黄原子を有するポリエピスルフィド化合物は屈折率とアッベ数とのバランスが良いことが知られている(特許文献1)。また、ポリエピスルフィド化合物は様々な化合物と反応可能であることから、物性向上のため各種化合物との組成物が提案されている(特許文献2〜5)。 しかしながら、ポリエピスルフィド化合物は反応性の高さから長期保存が難しいため、冷蔵して保管する手法(特許文献6)や、ハロゲン基を有するエポキシ化合物を添加する手法(特許文献7)が提案されている。 また、光学材料用樹脂を製造する際に、重合して得られた樹脂に着色や脈理、濁りを生じることがある。歩留まり向上のために、ポリチオール化合物中の窒素成分量を特定の範囲内にすることで、着色や脈理のない光学樹脂が製造可能であることが報告されている(特許文献8)。

特開平09−110979号公報

特開平10−298287号公報

特開2001−002783号公報

特開2001−131257号公報

特開2002−122701号公報

特開2000−327677号公報

特開2005−272418号公報

特許第5613847号公報

しかしながら、冷蔵保存には専用の保冷庫が必要でありコストがかかること、ハロゲン基を有するエポキシ化合物は、ハロゲン由来の耐光性の悪化を招くことから、改善が求められていた。また、窒素含有量が特定の範囲にあるポリチオール化合物を用いた場合でも、耐光性の改善は不十分であった。すなわち、上記文献記載の方法では、光学樹脂を製造した場合、保存安定性や耐光性に改善の余地があり、色相および透明性に加えて、保存安定性および透明性にも優れる光学材料を得ることは困難であった。 上記従来における問題に鑑み、本発明は、ポリエピスルフィド化合物を安定して安価で保管でき、色相、耐光性、透明性が良い光学材料が得られる光学材料用組成物を提供することを課題とする。

本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明により上記課題を解決することができることを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。 <1> 下記式(1)で表されるエピスルフィド化合物。

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。) <2> <1>に記載のエピスルフィド化合物と前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物以外の重合性化合物とを含む光学材料用組成物。 <3> 前記エピスルフィド化合物および前記重合性化合物の総量に対する前記エピスルフィド化合物の割合が0.0001〜5.0質量%である<2>に記載の光学材料用組成物。 <4> 前記重合性化合物を95.0〜99.9999質量%含む、<2>または<3>に記載の光学材料用組成物。 <5> 前記重合性組成物として下記式(2)で表わされる化合物を含む、<2>〜<4>のいずれかに記載の光学材料用組成物。

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。) <6> 前記式(2)で表わされる化合物を40〜99.999質量%含む、<5>に記載の光学材料用組成物。 <7> 前記エピスルフィド化合物および前記式(2)で表される化合物の総量に対する前記エピスルフィド化合物の割合が0.0001〜5.0質量%である、<5>または<6>に記載の光学材料用組成物。 <8> <2>〜<7>のいずれかに記載の光学材料用組成物と、前記光学材料用組成物の総量に対して0.0001質量%〜10質量%の重合触媒とを含む、重合硬化性組成物。 <9> <8>に記載の重合硬化性組成物を硬化した光学材料。 <10> <9>に記載の光学材料を含む光学レンズ。 <11> <2>〜<7>のいずれかに記載の光学材料用組成物に、重合触媒を前記光学材料用組成物総量に対して0.0001質量%〜10質量%添加し、重合硬化する工程を含む、光学材料の製造方法。

本発明により、高屈折率を有する光学材料を製造する際、エピスルフィド化合物を安定して安価で保管し、かつ耐光性、色相、透明性が良い光学材料が得られる光学材料用組成物を提供することができる。

以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、本願の優先権主張の基礎となる日本国特許出願である特願2015-072692号(2015年3月31日出願)の特許請求の範囲、明細書の開示内容を包含する。 本発明は、下記式(1)で表わされる化合物、及び前記式(1)で表される化合物と前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物以外の重合性化合物とを含む光学材料用組成物である。

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。)

本発明は、前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物を提供する。また、式(1)で表されるエピスルフィド化合物は本発明の光学材料用組成物に使用される。式(1)中、好ましくは、mは0〜2の整数、nは0または1の整数であり、より好ましくはmが0でnが1、またはnが0の化合物であり、最も好ましくはnが0の化合物である。式(1)の化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。

以下、本発明の式(1)で表されるエピスルフィド化合物の製造方法について説明するが、製造方法は特に限定されない。 本発明の式(1)で表されるエピスルフィド化合物の製造方法としては、式(2)で表される化合物と、チオ尿素、チオシアン酸塩等のチア化剤、及び酸と反応させて式(1)で表されるエピスルフィド化合物を得る方法が挙げられる。

式(2)で表わされる化合物から式(1)で表される化合物の製造方法について記載する。 式(2)の化合物とチオ尿素、チオシアン酸塩等のチア化剤、及び酸とを反応させて式(1)で表される化合物を得る。好ましいチア化剤は、チオ尿素、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、およびチオシアン酸アンモニウムであり、特に好ましい化合物はチオシアン酸ナトリウムおよびチオシアン酸カリウムである。チア化剤は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。チア化剤は、式(2)で表される化合物のエピスルフィド基のモル数に対して0.5モル〜2モル、好ましくは理論量の0.7モル〜1.5モルであり、より好ましくは0.9モル〜1.2モルである。0.5モル未満もしくは2モルを超えた場合では未反応の原材料の余剰が多くなり、好ましくない。

使用する酸の具体例としては、硝酸、塩酸、過塩素酸、次亜塩素酸、二酸化塩素、フッ酸、硫酸、発煙硫酸、塩化スルフリル、ホウ酸、ヒ酸、亜ヒ酸、ピロヒ酸、燐酸、亜リン酸、次亜リン酸、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、硫化リン、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、青酸、クロム酸、無硝酸、無水硫酸、酸化ホウ素、五酸化ヒ酸、五酸化燐、無水クロム酸、シリカゲル、シリカアルミナ、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等の無機の酸性化合物、蟻酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ナフテン酸、メチルメルカプトプロピオネート、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸酢酸、マレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、サリチル酸、2−メトキシ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、ベンゾイル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ベンジル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水トリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸類、モノ、ジおよびトリメチルホスフェート、モノ、ジおよびトリエチルホスフェート、モノ、ジおよびトリイソブチルホスフェート、モノ、ジおよびトリブチルホスフェート、モノ、ジおよびトリラウリルホスフェート等のリン酸類およびこれらのホスフェート部分がホスファイトとなった亜リン酸類、ジメチルジチオリン酸に代表されるジアルキルジチオリン酸類等の有機リン化合物、フェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、2,6−ジ−t−ブチルエチルフェノール、レゾルシン、ハイドロキノン、フロログルシン、ピロガロール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシフェニル酢酸アミド、ヒドロキシフェニル酢酸メチル、ヒドロキシフェニル酢酸エチル、ヒドロキシフェネチルアルコール、ヒドロキシフェネチルアミン、ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルフェノール、ビスフェノール−A、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビスフェノール−F、ビスフェノール−S、α−ナフトール、β−ナフトール、アミノフェノール、クロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール等のフェノール類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、o−クレゾールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、4B−酸、ジアミノスチルベンスルホン酸、ビフェニルスルホン酸、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、ペリ酸、ローレント酸、フェニルJ酸等のスルホン酸類、等があげられ、これらのいくつかを併用することも可能である。好ましくは、蟻酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ナフテン酸、メチルメルカプトプロピオネート、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸酢酸、マレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、サリチル酸、2−メトキシ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、ベンゾイル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ベンジル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水トリフルオロ酢酸の有機カルボン酸類であり、より好ましくは蟻酸、酢酸、過酢酸、蓚酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水トリフルオロ酢酸であり、最も好ましくは酢酸である。酸は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。 酸の添加量は式(2)で表される化合物のエピスルフィド基に対して0.5モル〜2モル、より好ましくは理論量の0.7モル〜理論量の1.5モルであり、さらに好ましくは0.9モル〜1.2モルである。0.5モル未満もしくは2モルを超えた場合では未反応の原材料の余剰が多くなり、好ましくない。

溶媒を使用することが好ましい。その場合、溶媒は、チア化剤、酸、式(2)の化合物、及び式(1)の化合物を溶解するのであれば特に制限はないが、具体例としてメタノール、エタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のヒドロキシエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、水が挙げられる。好ましくはアルコール類、芳香族炭化水素、および水であり、より好ましくはメタノール、トルエン、および水である、これらは単独でも混合して用いてもかまわない。 反応温度は、反応が進行するのであれば特に制限はないが、通常は0℃〜40℃で実施する。0℃未満の場合、反応速度の低下に加え、チア化剤が溶解不十分となり反応が十分に進行せず、40℃を超える場合、ポリマーの生成が顕著となる。

上述のように、本発明の光学材料用組成物は前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物と前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物以外の重合可能な化合物(重合性化合物)とを含む。式(1)で表されるエピスルフィド化合物を含むことにより、安定して安価で保管し、かつ耐光性、色相、透明性が向上した光学材料が得られる。 重合性化合物としては、エピスルフィド化合物、ビニル化合物、メタクリル化合物、アクリル化合物、およびアリル化合物が挙げられる。重合性化合物は好ましくは前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物以外のエピスルフィド化合物を含み、より好ましくは下記式(2)で表わされる化合物を含む。

(式中、mは0〜4の整数、nは0〜2の整数を示す。) 本発明の光学材料用組成物中の前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物とそれ以外の重合性化合物の総量に対する前記式(1)で表される化合物の割合は、0.0001〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜3.0質量%である。式(1)化合物が、0.0001質量%を下回ると十分な効果(安定性、耐光性、色相、透明性の向上効果、特に保存安定性の向上効果)が得られない場合があり、これに加えて、成形時の離形性が低下する場合がある。5.0質量%を超えると光学材料の耐熱性や成形時の離形性が低下する場合がある。また、本発明の光学材料用組成物中の重合性化合物の割合は、95.0〜99.9999質量%であることが好ましく、より好ましくは97.0〜99.999質量%である。 重合性化合物として前記式(2)で表わされる化合物を用いる場合、光学材料用組成物中の前記式(2)で表わされる化合物の割合は、40〜99.999質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜99.995質量%であり、特に好ましくは60〜99.99質量%である。また、前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物と前記式(2)で表わされる化合物の総量に対する前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物の割合は、0.0001〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜3.0質量%である。式(1)化合物が、0.0001質量%を下回ると十分な効果(安定性、耐光性、色相、透明性の向上効果、特に保存安定性の向上効果)が得られない場合があり、これに加えて、成形時の離形性が低下する場合がある。5.0質量%を超えると光学材料の耐熱性や成形時の離形性が低下する場合がある。 本発明の光学材料用組成物では重合性化合物として前記式(2)で表される化合物を用いることができる。式(2)の化合物の具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタンなどのエピスルフィド類が挙げられる。式(2)の化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。 中でも好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(式(2)式でn=0)、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(式(2)式でm=0、n=1)であり、特に好ましい化合物は、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(式(2)式でn=0)である。

本発明の光学材料用組成物は、得られる樹脂の加熱時の色調を改善するためポリチオール化合物を重合性化合物として含んでも良い。ポリチオール化合物は、分子中に2個以上のチオール基を含む化合物である。ポリチオール化合物の含有量は、光学材料用組成物の合計を100質量%とした場合、通常は1〜25質量%であり、好ましくは2〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。ポリチオール化合物の含有量が1質量%以上であればレンズ成型時の黄変が抑制され、25質量%以下であれば耐熱性の低下が防止されうる。本発明で使用するポリチオール化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。 その具体例としては、メタンジチオール、メタントリチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ジメルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1−チアン、2,5−ジメルカプトエチル−1−チアン、2,5−ジメルカプトメチルチオフェン、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4、4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルホン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,4−チオフェンジチオール、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを挙げることができる。 これらのなかで好ましい具体例は、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4、8−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、4、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、5、7−ジメルカプトメチル−1、11−ジメルカプト−3、6、9−トリチアウンデカン、1、1、3、3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート)、およびトリメチロールプロパントリスメルカプトプロピオネートであり、より好ましくは、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(2−メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、およびペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートであり、特に好ましい化合物は、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、および4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタンである。

本発明の光学材料用組成物は、得られる樹脂の強度を改善するためポリイソシアネート化合物を重合性化合物として含んでも良い。ポリイソシアネート化合物は分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。特に、光学材料用組成物はポリチオール化合物とともにポリイソシアネート化合物を含むことが好ましい。ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリチオール化合物のチオール基とは容易に熱硬化反応して高分子量化し、光学材料の機械的強度が向上しうる。ポリイソシアネート化合物の含有量は、光学材料用組成物の合計を100質量%とした場合、通常は1〜25質量%であり、好ましくは2〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。ポリイソシアネート化合物の含有量が1質量%以上であれば強度が向上し、25質量%以下であれば色調の低下を抑制できる。本発明で使用するポリイソシアネート化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。 その具体例としては、ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアネートメチル)デカヒドロナフタレン、リジントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、3−(2’−イソシアネートシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,2’−ビス(4−イソシアネートフェニル)プロパン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアネートトリル)フェニルメタン、4,4’,4’’−トリイソシアネート−2,5−ジメトキシフェニルアミン、3,3’−ジメトキシベンジジン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアネートベンゼン)、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアネートベンゼン)、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアネート−2−プロピル)ベンゼン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)ナフタレン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(イソシアネートメチル)ジシクロペンタジエン、ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(イソシアネートメチル)ノルボルネン、ビス(イソシアネートメチル)アダマンタン、チオジエチルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ビス〔(4−イソシアネートメチル)フェニル〕スルフィド、2,5−ジイソシアネート−1,4−ジチアン、2,5−ジイソシアネートメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジイソシアネートメチルチオフェン、およびジチオジエチルジイソシアネート、ジチオジプロピルジイソシアネートを挙げることができる。

しかしながら、本発明の対象となるポリイソシアネート化合物に関してはこれらに限定されるわけではなく、また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもかまわない。 これらのなかで好ましい具体例は、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)ノルボルネン、および2,5−ジイソシアネートメチル−1,4−ジチアンの中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であり、中でも好ましい化合物は、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、およびm−キシリレンジイソシアネートであり、特に好ましい化合物は、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、および1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンである。

さらに、光学材料用組成物中に含まれるポリイソシアネート化合物のNCO基に対するポリチオール化合物中のSH基の割合、即ち[組成物中のSH基数/組成物中のNCO基数](SH基/NCO基)は、好ましくは1.0〜2.5であり、より好ましくは1.25〜2.25であり、さらに好ましくは1.5〜2.0である。上記割合が1.0を下回るとレンズ成型時に黄色く着色する場合があり、2.5を上回ると耐熱性が低下する場合がある。

本発明の光学材料用組成物は、得られる樹脂の屈折率を向上するため硫黄を重合性化合物として含んでも良い。硫黄の含有量は、光学材料用組成物の合計を100質量%とした場合、通常は0.1〜15質量%であり、好ましくは、0.2〜10質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%である。0.1質量%以上であれば屈折率向上に寄与し、15質量%以下であれば重合成組成物の粘度を制御できる。 本発明で用いる硫黄の形状はいかなる形状でもかまわない。具体的には、硫黄は、微分硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、結晶硫黄、昇華硫黄等であるが、好ましくは、粒子の細かい微粉硫黄である。 本発明に用いる硫黄の製法はいかなる製法でもかまわない。硫黄の製法は、天然硫黄鉱からの昇華精製法、地下に埋蔵する硫黄の溶融法による採掘、石油や天然ガスの脱硫工程などから得られる硫化水素等を原料とする回収法等があるが、いずれの製法でもかまわない。 本発明に用いる硫黄の粒径は10メッシュより小さいこと、即ち硫黄が10メッシュより細かい微粉であることが好ましい。硫黄の粒径が10メッシュより大きい場合、硫黄が完全に溶解しにくいため、不具合が生じる場合がある。硫黄の粒径は、30メッシュより小さいことがより好ましく、60メッシュより小さいことが最も好ましい。 本発明に用いる硫黄の純度は好ましくは、98%以上であり、より好ましくは、99.0%以上であり、さらに好ましくは99.5%以上であり、最も好ましくは99.9%以上である。硫黄の純度が98%以上であると、98%未満である場合に比べて、得られる光学材料の色調がより改善する。

本発明の光学材料用組成物を重合硬化して光学材料を得るに際して、重合触媒を添加することが好ましい。すなわち、本発明の組成物は前記光学材料用組成物と重合触媒とを含む重合硬化性組成物でありうる。重合触媒としてはアミン、ホスフィン、またはオニウム塩が用いられるが、特にオニウム塩、中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、および第2級ヨードニウム塩が好ましく、中でも光学材料用組成物との相溶性の良好な第4級アンモニウム塩および第4級ホスホニウム塩がより好ましく、第4級ホスホニウム塩がさらに好ましい。より好ましい重合触媒としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1−n−ドデシルピリジニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい重合触媒は、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、およびテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。 重合触媒の添加量は、組成物の成分、混合比および重合硬化方法によって変化するため一概には決められないが、通常は光学材料用組成物の合計100質量%に対して、0.0001質量%〜10質量%、好ましくは、0.001質量%〜5質量%、より好ましくは、0.01質量%〜1質量%、最も好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%である。重合触媒の添加量が10質量%より多いと急速に重合する場合がある。また、重合触媒の添加量が0.0001質量%より少ないと光学材料用組成物が十分に硬化せず耐熱性が不良となる場合がある。したがって、本発明の好ましい一形態において、光学材料の製造方法は重合触媒を前記光学材料用組成物総量に対して0.0001〜10質量%添加し、重合硬化させる工程を含む。

また、本発明の光学材料を製造する際、光学材料用組成物に紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合調整剤、ブルーイング剤、顔料等の添加剤を加え、得られる光学材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。すなわち、本発明の光学材料用組成物は紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合調整剤、ブルーイング剤、顔料等の添加剤を含み得る。 紫外線吸収剤の好ましい例としてはベンゾトリアゾール系化合物であり、特に好ましい化合物は、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3、5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、および2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。 これら紫外線吸収剤の添加量は、通常、光学材料用組成物の合計100質量%に対してそれぞれ0.01〜5質量%である。

光学材料用組成物を重合硬化させる際に、ポットライフの延長や重合発熱の分散化などを目的として、必要に応じて重合調整剤を添加することができる。重合調整剤は、長期周期律表における第13〜16族のハロゲン化物を挙げることができる。これらのうち好ましいものは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物であり、より好ましいものはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。さらに好ましい化合物は、ジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、およびトリフェニルアンチモンジクロライドであり、最も好ましい化合物は、ジブチルスズジクロライドである。重合調整剤は単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。 重合調整剤の添加量は、光学材料用組成物の総計100質量%に対して、0.0001〜5.0質量%であり、好ましくは0.0005〜3.0質量%であり、より好ましくは0.001〜2.0質量%である。重合調整剤の添加量が0.0001質量%以上であれば、得られる光学材料において充分なポットライフを確保でき、重合調整剤の添加量が5.0質量%以下であれば、光学材料用組成物が充分に硬化し、得られる光学材料の耐熱性の低下が抑制できる。

このようにして得られた光学材料用組成物または重合硬化性組成物はモールド等の型に注型し、重合させて光学材料とする。これにより、本発明の光学材料用組成物または重合硬化性組成物を硬化した光学材料が得られる。 本発明の組成物の注型に際し、0.1〜5μm程度の孔径のフィルター等で不純物を濾過し除去することは、本発明の光学材料の品質を高める上からも好ましい。 本発明の組成物の重合は通常、以下のようにして行われる。即ち、硬化時間は通常1〜100時間であり、硬化温度は通常−10℃〜140℃である。重合は所定の重合温度で所定時間保持する工程、0.1℃〜100℃/hの昇温を行う工程、0.1℃〜100℃/hの降温を行う工程によって、又はこれらの工程を組み合わせて行う。なお、硬化時間とは昇温過程等を含めた重合硬化時間をいい、所定の重合(硬化)温度で保持する工程に加えて、所定の重合(硬化)温度へと昇温・冷却工程を含む。 また、硬化終了後、得られた光学材料を50〜150℃の温度で10分〜5時間程度アニール処理を行うことは、本発明の光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに得られた光学材料に対して、必要に応じて染色、ハードコート、耐衝撃性コート、反射防止、防曇性付与等の表面処理を行ってもよい。 本発明の光学材料は光学レンズとして好適に用いることができる。本発明の組成物を用いて製造される光学レンズは、安定性、色相、耐光性、透明性に優れるため、望遠鏡、双眼鏡、テレビプロジェクター等、従来、高価な高屈折率ガラスレンズが用いられていた分野に用いることができ、極めて有用である。必要に応じて、非球面レンズの形で用いることが好ましい。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせによって球面収差を取り除く必要がなく、軽量化および生産コストの低減化が可能になる。従って、非球面レンズは、光学レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。

以下、本発明の内容を、実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 1.安定性の評価 窒素雰囲気化60℃で1週間、光学材料組成物中の主成分のエピスルフィド化合物の純度変化をGPC分析(島津製作所製HPLCユニットProminence)で追跡し、純度低下が5%未満をA、5%以上10%未満をB,10%以上をCとした。A、Bが合格レベルである。 2.光学材料の色相評価(色調測定) 以下の実施例および比較例に記載の方法で3.0mm厚の平板を作製し、カラーテクノシステム社製色彩計JS−555を用い、YI値を測定した。この値が1.0未満をA、1.0以上1.5未満をB、1.5以上をCとした。A、Bが合格レベルである。 3.光学材料の耐光性評価(色調測定) (1)初期値の設定 以下の実施例および比較例に記載の方法で3.0mm厚の平板を作製し、カラーテクノシステム社製色彩計JS−555を用い、YI値を測定した。この値をpとする。 (2)光による色調変化の測定 初期値を測定後、カーボンアーク燃焼光に60時間照射し、その後YI値を測定した。この値をqとする。 (q−p)/pの値を算出し、この値が1.0未満をA、1.0以上2.0未満をB,2.0以上をCとした。A、Bが合格レベルである。 4.光学材料の透明性評価 以下の実施例および比較例に記載の方法で、−4Dのレンズを10枚作製し、暗室内で蛍光灯下、観察した。すべて白濁が観測されないものをA、7から9枚白濁が観測されないものをB、白濁が観測されないものが6枚以下をCとした。A、B、が合格レベルである。 5.光学材料の離型性評価 以下の実施例および比較例に記載の方法で−15Dのレンズを作製し、重合硬化後のモールドからの離型性を評価した。離型が容易であるものをA、離型するもやや困難なものをB、離型が困難であるものをCとした。A、Bが合格レベルである。

実施例1 前記式(2)で表されるエピスルフィド化合物であるビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(以下「化合物a」)128g(0.72mol)、トルエン700ml、メタノール700ml、水100ml、チオシアン酸カリウム35g(0.36mol)、酢酸22g(0.36mol)を投入し、30℃で10時間反応させトルエンで抽出、得られた有機層を水洗し、溶媒を留去、その後カラムで精製し、前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物である4−(((β−エピチオプロピル)チオ)メチル)−1,3−ジチオラン−2−イミン(以下「化合物b」)を51g(0.22mol)得た。ここで、得られた化合物の同定データを表1、化5に示す。

実施例2 前記式(2)で表されるエピスルフィド化合物であるビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド(以下「化合物c」)を107g(0.51mol)、トルエン700ml、メタノール700ml、水100ml、チオシアン酸カリウム25g(0.26mol)、酢酸15g(0.26mol)を投入し、30℃で10時間反応させトルエンで抽出、得られた有機層を水洗し、溶媒を留去、その後カラムで精製し、前記式(1)で表されるエピスルフィド化合物である4−(((β−エピチオプロピル)ジスルファニル)メチル)−1,3−ジチオラン−2−イミン(以下「化合物d」)を34g(0.13mol)得た。ここで、得られた化合物の同定データを表2、化6に示す。

実施例3〜8 化合物aに化合物bを添加し、化合物bの割合が表3の割合となる光学材料用組成物を調製し、安定性を評価した。結果を表3に示す。

実施例9〜14 化合物cに化合物dを添加し、化合物dの割合が表3の割合となる光学材料用組成物を調製し、安定性を評価した。結果を表1に示す。

比較例1 化合物aのみの安定性を評価した。結果を表2に示す。

比較例2 化合物cのみの安定性を評価した。結果を表2に示す。

表3から、化合物bまたはdを含む場合に安定性が向上することが確認される。一方、化合物bまたはdを含まない組成物を用いた比較例1や比較例2では安定性が不十分であった。

実施例15〜20 化合物aに化合物bを添加し、化合物bの割合が表4の割合となる組成物を調製した。得られた組成物100質量部に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10質量部、紫外線吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール1.0質量部、重合触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.05質量部を添加後、20℃でよく混合し均一の溶液とした。ついで1.3kPaの真空度で脱気し、ガラス板とテープからなるレンズ用モールド(3.0mm厚の平板用および−4D、−15Dのレンズ用)に注型した。注入後、このモールドを30℃で10時間保持し、100℃まで10時間かけて一定速度で昇温させ、最後に100℃で1時間保持し、重合硬化させた。放冷後、レンズをモールドから離型し、110℃で60分アニール処理して成型板(3.0mm厚の平板及び−4D、−15Dのレンズ)を得た。平板について色相、耐光性評価を行い、−4Dレンズについて透明性評価を行い、−15Dレンズについて離型性の評価を行った。評価結果を表4に示す。

比較例3 化合物a100質量部にビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10質量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール1.0質量部、重合触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.05質量部を添加後、20℃でよく混合し均一の溶液とした。ついで1.3kPaの真空度で脱気し、ガラス板とテープからなるレンズ用モールド(3.0mm厚の平板用および−4D、−15Dのレンズ用)に注型した。注入後、このモールドを30℃で10時間保持し、100℃まで10時間かけて一定速度で昇温させ、最後に100℃で1時間保持し、重合硬化させた。放冷後、レンズをモールドから離型し、110℃で60分アニール処理して成型板(3.0mm厚の平板及び−4D、−15Dのレンズ)を得た。平板について色相、耐光性評価を行い、−4Dレンズについて透明性評価を行い、−15Dレンズについて離型性の評価を行った。評価結果を表4に示す。

実施例21〜26 化合物cに化合物dを添加し、化合物dの割合が表4の割合となる組成物を調製した。得られた組成物100質量部に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10質量部、紫外線吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール1.0質量部、重合触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.05質量部を添加後、20℃でよく混合し均一の溶液とした。ついで1.3kPaの真空度で脱気し、ガラス板とテープからなるレンズ用モールド(3.0mm厚の平板用および−4D、−15Dのレンズ用)に注型した。注入後、このモールドを30℃で10時間保持し、100℃まで10時間かけて一定速度で昇温させ、最後に100℃で1時間保持し、重合硬化させた。放冷後、レンズをモールドから離型し、110℃で60分アニール処理して成型板(3.0mm厚の平板及び−4D、−15Dのレンズ)を得た。平板について色相、耐光性評価を行い、−4Dレンズについて透明性評価を行い、−15Dレンズについて離型性の評価を行った。評価結果を表4に示す。

比較例4 化合物c100質量部にビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10質量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール1.0質量部、重合触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.05質量部を添加後、20℃でよく混合し均一の溶液とした。ついで1.3kPaの真空度で脱気し、ガラス板とテープからなるレンズ用モールド(3.0mm厚の平板用および−4D、−15Dのレンズ用)に注型した。注入後、このモールドを30℃で保持時間加熱し、100℃まで10時間かけて一定速度で昇温させ、最後に100℃で1時間保持し、重合硬化させた。放冷後、レンズをモールドから離型し、110℃で60分アニール処理して成型板(3.0mm厚の平板及び−4D、−15Dのレンズ)を得た。平板について色相、耐光性評価を行い、−4Dレンズについて透明性評価を行い、−15Dレンズについて離型性の評価を行った。評価結果を表4に示す。

表4から、化合物bまたはdを含む場合に色相、耐光性、および透明性に優れることが確認される。さらに、化合物bまたはdの含有量が特定範囲にある場合には、色相、耐光性、透明性、および離形性に特に優れることが確認される。

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