眼鏡レンズ、眼鏡レンズの製造方法、眼鏡、眼鏡の製造方法

申请号 JP2013100045 申请日 2013-05-10 公开(公告)号 JP2014219618A 公开(公告)日 2014-11-20
申请人 株式会社ニコン・エシロール; Nikon-Essilor Co Ltd; 发明人 ABE OSAMU; YASHIRO TORU;
摘要 【課題】眼鏡枠形状を容易に確認することができ、これにより検査に要する時間を短縮することが可能な眼鏡レンズを提供する。【解決手段】加工予定の眼鏡枠形状に対応する枠パターン4が眼鏡レンズ100の第1屈折面100aに形成される。従って、外観検査を行う際、検査者は、眼鏡レンズ100のどの部分が眼鏡枠形状に対応しているかを容易かつ正確に把握可能となる。【選択図】図1
权利要求
  • 表面に、加工予定の眼鏡枠形状に対応する枠パターンが形成された眼鏡レンズ。
  • 前記枠パターンは、前記眼鏡枠形状と同一である請求項1記載の眼鏡レンズ。
  • 前記枠パターンは、前記眼鏡枠形状を所定間隔で囲むように形成される請求項1記載の眼鏡レンズ。
  • 前記枠パターンは、前記表面から除去可能に形成される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  • 前記表面に、除去可能な保護膜を有し、
    前記枠パターンは、前記保護膜に形成される請求項4記載の眼鏡レンズ。
  • 前記保護膜は、前記眼鏡レンズを前記眼鏡枠形状に加工するための玉摺り加工の際のすべり防止膜である請求項5記載の眼鏡レンズ。
  • 前記眼鏡レンズは、累進焦点レンズであり、
    前記表面に、前記累進焦点レンズに関するレイアウトマークが形成された請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  • 前記レイアウトマークは、遠用度数測定位置、近用度数測定位置、水平基準線、フィッティングポイント、左右識別記号、レンズの光学中心、製造者記号、及び加入度記号のうち、少なくとも1つを含む請求項7記載の眼鏡レンズ。
  • 前記レイアウトマークは、前記枠パターンと重ならないように形成される請求項7または請求項8記載の眼鏡レンズ。
  • 前記枠パターンは、前記レイアウトマークに対して、線の種類、線の太さ、及び線の色のうち少なくとも1つを変えて形成される請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  • 前記枠パターンの少なくとも一部は、前記レイアウトマークが用いられる請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  • 前記枠パターンは、インクジェット法により印刷されて形成される請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  • 眼鏡枠形状に加工するための眼鏡レンズの製造方法であって、
    前記眼鏡レンズの表面に、前記眼鏡枠形状に対応する枠パターンを形成させる枠パターン形成工程を含む眼鏡レンズの製造方法。
  • 前記眼鏡レンズの表面に保護膜を形成される保護膜形成工程を含み、
    前記枠パターン形成工程は、前記保護膜に前記枠パターンを形成させる請求項13記載の眼鏡レンズの製造方法。
  • 前記眼鏡レンズとして累進焦点レンズが用いられ、前記眼鏡レンズの表面に、前記累進焦点レンズに関するレイアウトマークを形成させるレイアウトマーク形成工程を含む請求項13または請求項14記載の眼鏡レンズの製造方法。
  • 前記枠パターン形成工程は、前記レイアウトマーク形成工程と同時に行われる請求項15記載の眼鏡レンズの製造方法。
  • 前記枠パターン形成工程及び前記レイアウトマーク形成工程は、インクジェット法による印刷により行う請求項16記載の眼鏡レンズの製造方法。
  • 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の眼鏡レンズが前記眼鏡枠形状に加工されて枠入れされた眼鏡。
  • 請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載の眼鏡レンズの製造方法により作成された眼鏡レンズを前記眼鏡枠形状に加工するレンズ加工工程と、
    前記眼鏡枠形状に加工された前記眼鏡レンズを眼鏡枠に嵌め込む枠入れ工程と、を含む眼鏡の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、眼鏡レンズ、眼鏡レンズの製造方法、眼鏡、眼鏡の製造方法に関する。

    眼鏡枠に嵌め込まれるレンズは、一般的には平面視で円形に形成された丸玉形状の眼鏡レンズを眼鏡枠形状に玉摺り加工することで形成される(例えば、特許文献1参照)。 この眼鏡レンズの外観及び品質に関しては、日本工業規格により、「測定基準点を中心とする直径30mmの領域では、レンズ内部または表面に、視野を害する可能性のある欠陥があってはならない。この領域の外側では、微細な孤立した欠陥及び/又は表面の欠陥は許容される。」と規定されている。

    眼鏡レンズ内部または表面の視野を害する可能性のある欠陥とは、キズや点状の凹凸を示すブツ、繊維状の異物の混入を示すケバ、気泡等のアワ、屈折率の不均一による光学的歪を示す脈理、汚れ、曇りなどである。 従ってレンズメーカは、日本工業規格の規定に準じ、より具体的な検査基準を設定している。 例えば丸玉形状のレンズにおいては、測定基準点を中心とする直径30mmの中心領域1(図1の符号1)、中心領域1の外側に円環状に形成される中間領域2(図1の符号2)、および中間領域2の外側で、レンズの外周に沿って形成される外周領域3(図1の符号3)に分け、それぞれの領域において許容される欠陥の大きさ、数などを個別に定めている。 そして、その検査基準に基づき、成形、研磨染色、表面処理等工程ごとに外観検査を実施している。

    外観検査は、次のような手順により、検査者の目視によって実施される。 なお、この外観検査は、明視界・暗視界のそれぞれにおいて拡大用光学器具が用いられることなく実施される。 外観検査には、約200lxで環境照明を行っている室内で、検査灯として少なくとも400lmの光源が用いられる。 光源の例としては、例えば15Wの蛍光管または覆いの無い40Wの白熱透明電球などが挙げられる。 光源の背景には、つや消しの黒色背景(150mm×360mm)が用いられる。 光源から眼鏡レンズまでの距離は、約300mm程度に設定される。 外観検査において、検査者は、目視によって外観的欠陥の有無を検査する。 明視界における外観検査では、検査者は、眼鏡レンズを光源の光で照らすように調整し、遮光板で光源から目を保護しつつ行う。

    特開平1−102517号公報

    眼鏡レンズは最終的には装用者の眼鏡枠形状に加工される。 この眼鏡枠形状の大きさや、形はさまざまであり、また丸玉形状の眼鏡レンズのどの部分に位置するかは装用者の処方によって変わってくる。 本来、外観検査で重要視されるべき部分は眼鏡枠形状として加工される部分であり、その他の部分は重要でない。 従って、丸玉形状の眼鏡レンズにおいて、何らかの欠陥が認められた場合、その欠陥が規格内であるか、規格を超えるものであるかの判断も重要であるが、それ以上にその欠陥が眼鏡枠形状の内部に位置するものか、外部なのかは極めて重要である。 特に、工場において、研磨、染色、表面処理の全行程を終了した後の外観検査で発見された欠陥の位置関係の判定が重要である。

    しかしながら、眼鏡レンズのうち、どの部分が眼鏡枠形状に対応しているかは外観検査の検査者には判別できない。 実際に欠陥の位置判定を行うには、眼鏡枠形状が実寸大で印刷された作業票に照らし合わせながら検査を行うという煩雑な作業が必要であるという問題があった。 さらに、欠陥はあるが眼鏡枠形状外のものであるとして出荷された眼鏡レンズでも、客先ではその欠陥の位置判定は容易にはできないため、クレーム扱いとなるという問題もあった。

    以上のような事情に鑑み、本発明は、眼鏡レンズの外観及び品質の検査において、検査者が加工予定の眼鏡枠形状を容易に確認することができ、これにより検査に要する時間を短縮することが可能な眼鏡レンズ、眼鏡レンズの製造方法、眼鏡、眼鏡の製造方法を提供することを目的とする。

    本発明の第1態様によれば、表面に、加工予定の眼鏡枠形状に対応する枠パターンが形成された眼鏡レンズが提供される。

    本発明の第2態様によれば、眼鏡枠形状に加工するための眼鏡レンズの製造方法であって、眼鏡レンズの表面に、眼鏡枠形状に対応する枠パターンを形成させる枠パターン形成工程を含む眼鏡レンズの製造方法が提供される。

    本発明の第3態様によれば、上記した第1態様に眼鏡レンズが眼鏡枠形状に加工されて枠入れされた眼鏡が提供される。

    本発明の第4態様によれば、上記した第2態様の眼鏡レンズの製造方法により作成された眼鏡レンズを眼鏡枠形状に加工する加工工程と、眼鏡枠形状に加工された眼鏡レンズを眼鏡枠に嵌め込む枠入れ工程と、を含む眼鏡の製造方法が提供される。

    本発明の態様によれば、眼鏡レンズの外観及び品質の検査において、検査者が加工予定の眼鏡枠形状を容易に確認することができ、これにより検査に要する時間を短縮することが眼鏡枠形状に対応した検査を正確に行うことができる。 さらに、検査する領域が容易に認識されるため、その領域での検査に集中することにより、検査の精度を向上させることができる。

    第1実施形態に係る眼鏡レンズの構成を示す平面図である。

    第2実施形態に係る眼鏡レンズの構成を示し、(a)は平面図、(b)はA−A線に沿った断面図である。

    第3実施形態に係る眼鏡レンズの構成を示し、(a)は平面図、(b)はB−B線に沿った断面図である。

    眼鏡レンズの製造方法の実施形態を示し、(a)は成型工程、(b)は保護膜形成工程、(c)は枠パターン形成工程を示す図である。

    眼鏡レンズの製造方法のうち、印刷による枠パターン形成工程を示す図である。

    (a)(b)は、眼鏡レンズの製造方法のうち、印刷による枠パターン形成工程を示す図である。

    眼鏡の製造方法のうち加工工程を示す図である。

    眼鏡の製造方法のうち枠入れ工程を示す図である。

    枠パターンの変形例を示す平面図である。

    枠パターンの他の変形例を示す平面図である。

    枠パターンの他の変形例を示す平面図である。

    枠パターンの他の変形例を示す平面図である。

    以下、実施形態について図面を参照しながら説明するが、この実施形態に限定されるものではない。 また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表している。 また、本明細書において、眼鏡レンズは、眼鏡枠形状に加工する前の眼鏡レンズ、及び眼鏡枠形状に加工された眼鏡レンズの双方の意味で用いられる。

    <第1実施形態>
    第1実施形態について説明する。 図1は、第1実施形態に係る眼鏡レンズ100の構成を示す平面図である。 図1に示すように、眼鏡レンズ100は、眼鏡枠(フレーム)形状に加工される前の状態(玉摺り加工前の状態)であり、平面視で円形の丸玉形状に形成されている。 眼鏡レンズ100は、例えばプラスチック素材の眼鏡レンズが用いられるが、ガラス素材の眼鏡レンズが用いられてもよい。

    図1は、物体側から眼鏡レンズ100を見たときの図を示している。 図1における眼鏡レンズ100の上下方向は、装用時の上下方向と一致している。 従って、眼鏡レンズ100の図中上側は、眼鏡の装用時において上方に配置され、図中下側は装用時において下方に配置される。 また、眼鏡レンズ100の左右方向は、装用時の左右方向とは逆向きになっている。

    眼鏡レンズ100には、右目に対応するもの(以下、右用と呼ぶ)と左目に対応するもの(以下、左用と呼ぶ)とがある。 以下では、眼鏡レンズ100として右用の眼鏡レンズを例に挙げて説明する。 従って、図1の右側は鼻側であり、図1の左側は側である。 なお、右用の眼鏡レンズと左用の眼鏡レンズとでは、左右対称の構成となる点を除けば同一構成である。 従って、左用の眼鏡レンズの場合、左右を反対にすることで、右用レンズと同様に説明される。

    眼鏡レンズ100は、物体側の第1屈折面(R1面または凸面)100aと、眼球側の第2屈折面(R2面または凹面)100bとを有している。 第1屈折面100a及び第2屈折面100bは、眼鏡レンズ100のレンズ特性の一部を決定する面である。 この眼鏡レンズ100の表面には、機能膜が形成されてもよい。 機能膜としては、例えば、下地膜(プライマーコート膜)、ハードコート膜、反射防止膜、撥膜、撥油膜、または親水膜(防曇膜)、などがある。 なお、図1には示していないが、第1実施形態は、眼鏡レンズ100の物体側の第1屈折面100a上に枠パターン4が形成された後、その表面に後述の第3実施形態と同様の保護膜306が形成されてもよい。

    下地膜は、例えば、積層する他の機能膜との密着性を確保して耐衝撃性を付与するために用いられる。 ハードコート膜は、眼鏡レンズ100の表面硬度を向上させて、耐擦傷性を確保するために用いられる。 反射防止膜は、例えば、第1屈折面100aから入射される光の反射を防止するように複数の積層構造体(多層膜)として形成される。 撥油膜または撥水膜は、例えばフッ素系材料を用いて形成される。

    眼鏡レンズ100は、光学中心点Oを有している。 光学中心点Oは、眼鏡レンズ100の幾何中心点に設けられてもよいし、幾何中心点とは異なる位置に設けられてもよい。 眼鏡レンズ100には、図1に示すように、中心領域1と、中間領域2と、外周領域3とが設定されている。 これら中心領域1等は、眼鏡レンズ100の外観検査を行う際の基準となる仮想領域である。 なお、図1では中心領域1等を破線で表しているが、実際には眼鏡レンズ100の表面に破線は形成されていない。

    中心領域1は、光学中心点Oを中心とする直径30mmの円形の領域である。 この中心領域1は、日本工業規格の外観検査に対応させた領域である。 中間領域2は、中心領域1の外側に円環状に形成される領域である。 この中間領域2は、中心領域1ほど外観や品質を注意すべきではないが、使用者にとって使用される可能性が高い領域であり、中心領域1に次いで厳しい検査基準が設定されている。 外周領域3は、この中間領域2の外側であって眼鏡レンズ100の外縁に沿って形成される領域である。 この外周領域3は、中心領域1や中間領域2ほど品質が求められておらず、最も緩い検査基準となっている。 図1に示すように、中間領域2は、中心領域1と外周領域3とで挟まれている。 なお、中間領域2及び外周領域3の径については、任意に設定することが可能である。 また、中間領域2と外周領域3との径の比についても任意に設定することが可能である。

    図1に示すように、眼鏡レンズ100のうち第1屈折面100a(すなわち眼鏡レンズ100の表面)には、枠パターン4が形成されている。 第1屈折面100aに各種機能膜が形成されている場合は、この機能膜上に枠パターン4が形成される。 なお、枠パターン4は、第2屈折面100bに形成されてもよい。 ただし、第1屈折面100aは、凸形状のため、枠パターン4の形成に印刷手法を用いやすいといった利点がある。 また、第1屈折面100a及び第2屈折面100bの双方に枠パターン4が形成されてもよい。

    枠パターン4は、加工予定の眼鏡枠形状に対応して設けられている。 眼鏡枠形状は、例えば、装用者が選択した眼鏡枠の形状である。 枠パターン4は、例えば、加工予定の眼鏡枠形状に対応した平面形状及び寸法を有している。 この枠パターン4は、眼鏡枠の製造元からデータとして入手される他に、対象となる眼鏡枠を測定装置等で計測することにより入手される。 なお、眼鏡が縁無し形状や縁の一部が無い形状では、計測すべき眼鏡枠形状の全部または一部がない。 この場合は、利用可能なレンズ形状が枠パターン4として用いられる。 この場合、利用可能なレンズ形状が複数存在する場合は、その中から選択されて枠パターン4として用いられる。

    第1実施形態において、枠パターン4は、加工予定の眼鏡枠形状の輪郭に沿って形成される。 枠パターン4は、一点鎖線により形成されている。 ただし、枠パターン4として一点鎖線が用いられることに限定されず、例えば、実線、点線、波線、二重線、二点鎖線等が用いられてもよい。 また、枠パターン4を示す線の太さや色は任意に設定可能である。 なお、第1実施形態に限らず、枠パターン4を線によって表現する形態においては、他の実施形態においても同様である。

    枠パターン4は、ここでは加工予定の眼鏡枠形状と同一形状、同一寸法となっているが、それに限定されるものではない。 この枠パターン4は、眼鏡レンズ100のうち実際に加工される線であり、枠パターン4の内側の領域は、後に眼鏡枠に装着される眼鏡レンズと同一の形状となっている。 すなわち、この枠パターン4に沿って玉摺り加工されることにより、予め選択されている眼鏡枠に装着可能な眼鏡レンズが形成される。

    枠パターン4は、中心領域1の一部又は全部を含むように形成されている。 また、枠パターン4は、図1に示すように、眼鏡枠形状に応じて中間領域2にわたって形成されている他、外周領域3にわたって形成される場合もある。 眼鏡レンズ100の表面領域のうち、枠パターン4が形成される位置は、眼鏡レンズ100のレンズ特性データ(例えば、材質、屈折率、レンズの径、曲率など)や、装用者の処方データ(例えば、球面度数、乱視度数、軸度、プリズムなど)に基づいて設定される。 従って、同じ枠パターン4であっても、眼鏡レンズ100のレンズ特性や、装用者の処方情報が異なると、図1とは異なる位置に枠パターン4が形成される。 なお、第1実施形態では、眼鏡レンズ100の表面に枠パターン4が形成されるだけであり、他のパターン等は形成されていない。

    枠パターン4は、例えばインクジェット法などの印刷法によって第1屈折面100aに形成されている。 枠パターン4は、例えば、紫外線硬化型インクやホットメルトインクなどが用いられ、枠パターン4を目視可能とするように、例えば黒色や赤色、青色、緑色、黄色などの色素成分を含んでいる。 従って、検査者等が眼鏡レンズ100を見た場合、透明またはほぼ透明の眼鏡レンズ100の表面に枠パターン4が描かれた状態が一目で認識される。 なお、第1屈折面100aに、フッ素系材料からなる撥水膜または撥油膜が形成されている場合は、ホットメルトインクあるいは紫外線硬化型インクが用いられることにより、インクの定着性を高めることができる。

    図1に示す中心点Pは、枠パターン4の中心となる位置であり、眼鏡枠の原点位置に相当する。 すなわち、眼鏡枠の中心点Pは、眼鏡枠のうち左右方向の中心位置であって、かつ上下方向の中心位置である。 ただし、図1に示すように、中心点Pは、眼鏡レンズ100の光学中心点Oとは異なる位置(例えば、光学中心点Oから図中左上にずれた位置)になる場合がある。

    図1に示す枠パターン4は、眼鏡の右用に対応した眼鏡枠形状となっている。 眼鏡には左右一対の眼鏡レンズが装着されるので、左用の眼鏡レンズについても枠パターン4が形成されている。 図示しないが、左用の枠パターンは、図1に示す右用の枠パターン4と左右を逆にした形状となっている。 ただし、左右で同一形状の眼鏡枠を持つ眼鏡については、左用の眼鏡レンズ及び右用の眼鏡レンズにおいて、同一形状の枠パターンが形成される。

    眼鏡レンズ100は、アンカットレンズ(例えば丸玉形状など眼鏡枠形状に加工される前のレンズ)としての製造工程終了後に外観及び品質に関して検査される。 この検査に際して、枠パターン4が参酌される。 眼鏡レンズ100の外観および品質に関しては、「測定基準点を中心とする直径30mmの領域では、レンズ内部または表面に、視野を害する可能性のある欠陥があってはならない。この領域の外側では、微細な孤立した欠陥及び/又は表面の欠陥は許容される。」といった日本工業規格による規定が存在することは先に説明した。 ここでいう「視野を害する可能性のある欠陥」としては、例えばキズや点状の凹凸を示すブツ、繊維状の異物の混入を示すケバ、気泡等のアワ、屈折率の不均一による光学的歪を示す脈理、汚れ、曇りなどである。

    第1実施形態で示す眼鏡レンズ100を外観検査する場合、眼鏡レンズ100の光学中心点Oを「測定基準点」として外観検査が行われる。 従って、眼鏡レンズ100の中心領域1が、「測定基準点を中心とする直径30mmの領域」に相当し、少なくともこの中心領域1内に対しては上記した要領で外観検査が行われる。 なお、中心領域1の外観検査は、枠パターン4内の一部の領域の検査に相当する。

    眼鏡レンズは最終的には装用者の眼鏡枠形状に加工されるため、「測定基準点を中心とする直径30mmの領域」だけではなく、この領域の外側であっても、実際に眼鏡枠形状に加工される領域に対しては中間領域2に準ずる基準で外観検査が行われることが望ましい。 この場合、本実施形態のように枠パターン4が形成されているので、検査者は眼鏡レンズのどの部分が用いられるかを容易に認識することができる。 これにより、後に玉摺り加工によって削除される部分については厳格な検査は不要となり、検査時間の短縮化が図れることになる。

    また、検査者にとって、注目すべき範囲が眼鏡レンズ100の全体(もしくは中間領域2内)から、それより小さい枠パターン4内に移行したので、検査に集中することが可能となり、検査の精度を向上させることができる。 また、装着する眼鏡が変われば眼鏡レンズ100に形成される枠パターン4も変更されるため、個々の眼鏡枠に適応した検査を正確に行うことが可能となる。

    <第2実施形態>
    第2実施形態について説明する。 図2(a)は、第2実施形態に係る眼鏡レンズ200の構成を示す平面図である。 図2(b)は、(a)におけるA−A線に沿った断面図である。 なお、図2(a)では、図1のような中心領域1や中間領域2、外周領域3について表記していないが、眼鏡レンズ200には、図1と同様に中心領域1等が設定されている。

    図2(a)及び(b)に示すように、眼鏡レンズ200は、第一実施形態と同様、玉摺り加工が施される前の状態であり、平面視で円形に形成された丸玉形状の眼鏡レンズである。 眼鏡レンズ200は、レンズ基体201と、機能膜202a、202bと、を有している。

    レンズ基体201は、眼鏡レンズ100と同様にプラスチック素材やガラス素材などの材料を用いて形成されている。 機能膜202a、202bは、レンズ基体201の凸面及び凹面(眼鏡レンズ200の第1屈折面200a及び第2屈折面200b)にそれぞれ形成される。 これら機能膜202a、202bは、第1実施形態と同様に、例えば、下地膜(プライマーコート膜)、ハードコート膜、反射防止膜、撥水膜、撥油膜、または親水膜(防曇膜)などがある。 機能膜202aと機能膜202bとは、同一の構成を採用してもよく、また、異なる構成を採用してもよい。 例えば、反射防止膜は、眼鏡レンズ200の第1屈折面200a側のみに設けられてもよい。 なお、図2には示していないが、第2実施形態は、眼鏡レンズ200の物体側の第1屈折面200a上に枠パターン29が形成された後、その表面に後述の第3実施形態と同様の保護膜306が形成されてもよい。

    これら機能膜のうち、反射防止膜は、眼鏡レンズ200の表面での光反射を抑制する。 反射防止膜が設けられた眼鏡レンズ200は、ゴースト(虚像)の発生やチラツキが抑制される。 反射防止膜としては、酸化シリコン(SiO )などの低屈折率物質と、酸化ジルコニウム(ZrO )や酸化チタン(TiO )などの高屈折率物質とを交互に積層した多層膜(マルチコート膜)が用いられている。 この反射防止膜の最表面側には、例えば酸化シリコンが用いられている。 撥油膜は、例えばフッ素系の撥油膜が用いられている。 フッ素系の撥油膜は、例えば分子量4000〜5000の、フッ素で置換されたアルキル基を含む有機ケイ素化合物が、上記した反射防止膜の酸化シリコンに結合することにより形成されている。

    眼鏡レンズ200は、物体側のレンズ面である第1屈折面(R1面、凸面)200aと、眼球側のレンズ面である第2屈折面(R2面、凹面)200bとを有している。 第1屈折面200a及び第2屈折面200bは、眼鏡レンズ200のレンズ特性を決定する屈折面である。 第2実施形態に係る眼鏡レンズ200は、累進焦点レンズを構成するものである。 累進焦点レンズは、遠用度数の入った遠用部と、近用度数の入った近用部と、遠用部と近用部との間で加入度に応じて屈折が累進的に変化する中間部とを有している。 なお、眼鏡レンズ200として、加入度に応じて屈折力が累進的に変化する累進焦点レンズに限定されず、遠用度数の入った遠用部と、近用度数の入った近用部とを有する二焦点レンズが用いられてもよい。

    第1屈折面200a及び第2屈折面200bは、眼鏡レンズ200のレンズ特性データや、装用者の処方データ(例えば、球面度数、乱視度数、軸度、加入度、プリズムなど)に基づいて設定される。

    眼鏡レンズ200の第1屈折面200aには、図2(a)に示すように、累進焦点レンズに関する情報としてレイアウトマーク20が形成されている。 レイアウトマーク20としては、例えば、遠用度数測定位置21、近用度数測定位置22、水平基準線23、フィッティングポイント24、左右識別記号25、レンズの光学中心点26、製造者ブランドロゴ(製造者記号)27、及び累進帯長28が形成されている。

    遠用度数測定位置21は、装用者の遠用度数が測定される位置であり、装用時に遠用部として用いられる領域を示している。 近用度数測定位置22は、装用者の近用度数が測定される位置であり、装用時に近用部として用いられる領域を示している。 水平基準線23は、眼鏡レンズ200の光学中心点26を通り、遠用度数測定位置21と近用度数測定位置22との間に形成される。 フィッティングポイント24は、装用時に装用者の目の位置を示すものであり、アイポイントとも呼ばれる。 左右識別記号25は、この眼鏡レンズ200が、眼鏡の左用のレンズか、右用のレンズかを示すものであり、図2(a)では右用のレンズであることを示す「R」が表記されている。 製造者ブランドロゴ27は、この眼鏡レンズ200の製造者または販売者を示すものであり、その表記方法としては社名等の独自の記号が用いられる。 累進帯長28は、累進帯の長さをミリメートル単位で示した数字として表記される。 ただし、レイアウトマーク20としては上記したものに限定すれず、他のマークが形成されてもよい。

    また、眼鏡レンズ200の第1屈折200aには、図2(a)に示すように、上記のレイアウトマーク20に加えて、枠パターン29が形成されている。 第1屈折面200aには機能膜202aが形成されているので、枠パターン29は、機能膜202a上に形成される。 枠パターン29は、加工予定の眼鏡枠形状に対応して設けられている。 なお、枠パターン29は、第2屈折面200bに形成されてもよく、第1屈折面200a及び第2屈折面200bの双方に形成されてもよい。

    枠パターン29は、例えば、加工予定の眼鏡枠形状に対応した平面形状及び寸法を有している。 この枠パターン29は、第1実施形態の枠パターン4と同様に、眼鏡枠の製造元からデータとして入手される他に、対象となる眼鏡枠を測定装置等で適宜計測することにより入手される。 また、眼鏡枠が縁無し形状や縁の一部が無い形状の場合、利用可能なレンズ形状を枠パターン29として用いる点は、第1実施形態と同様である。

    第2実施形態において、枠パターン29は、加工予定の眼鏡枠形状の輪郭に沿って形成される。 枠パターン29は、一点鎖線により形成されている。 ただし、枠パターン29として一点鎖線が用いられることに限定されない点は、第1実施形態と同様である。 枠パターン29は、加工予定の眼鏡枠形状と同一形状、同一寸法であり、この枠パターン29に沿って加工されることにより、予め選択されている眼鏡枠に装着可能な眼鏡レンズが形成される。 なお、枠パターン29は、加工予定の眼鏡枠形状と同一形状、同一寸法に限定されるものではない点は、第1実施形態と同様である。

    なお、図示しないが、枠パターン29は、中心領域1(図1参照)の一部又は全部を含むように形成されている。 また、枠パターン29は、眼鏡枠形状に応じて中間領域2(図1参照)にわたって形成されている他、外周領域3(図1参照)にわたって形成される場合もある。 なお、枠パターン29が形成される位置は、第1実施形態と同様に、眼鏡レンズ200のレンズ特性データや、装用者の処方データに基づいて設定される。 従って、同じ枠パターン29であっても、眼鏡レンズ200のレンズ特性や、装用者の処方情報が異なると、図2(a)とは異なる位置に枠パターン29が形成される。

    レイアウトマーク20及び枠パターン29は、例えばインクジェット法などの印刷法によって第1屈折面200aに形成されている。 例えば黒色や赤色、青色、緑色、黄色などの色素成分を含んだ紫外線硬化型インクやホットメルトインクなどが用いられる点は第1実施形態と同様である。 この枠パターン29は、検査者等が眼鏡レンズ200を見た場合、透明またはほぼ透明の眼鏡レンズ200の表面にレイアウトマーク20及び枠パターン29が描かれた状態が一目で認識される。

    なお、第1屈折面200aには機能膜202aが形成されているため、ホットメルトインクあるいは紫外線硬化型インクが用いられることにより、インクの定着性を高めることができる。 また、レイアウトマーク20及び枠パターン29は、玉摺り加工の後に除去する必要がある。 従って、除去性を有するインクが用いられる。

    枠パターン29は、眼鏡枠の製造元からデータとして入手される他に、対象となる眼鏡枠を測定装置等で適宜計測することにより入手される。 レイアウトマーク20は、装用者の処方データに基づいて、近用度数測定位置22等のそれぞれの形状や位置、大きさなどの表記方法が決定される。

    図2(a)に示す枠パターン29は、右用の眼鏡枠形状に対応している。 なお、左用の眼鏡レンズの場合には、左用であることを示すように、例えば「L」などの左右識別記号25が形成される。 また、左用の眼鏡レンズには、左用の眼鏡枠形状に対応した枠パターンが形成されている。 この枠パターンは、右用の枠パターン29に対して対称の形状や同一の形状を有している。

    また、レイアウトマーク20は、枠パターン29と重なってしまう場合がある。 図2(a)では、近用度数測定位置22の一部や、水平基準線23の一部が枠パターン29と重なっている。 このようにレイアウトマーク20の一部が枠パターン29と重なる場合、レイアウトマーク20及び枠パターン29のいずれか一方を優先して表記させてもよい。 すなわち、両者が重なる場合はレイアウトマーク20を優先して表記させ、その部分においては枠パターン29を表記させないようにしてもよい。 また、レイアウトマーク20の表記位置を変更可能な場合は、レイアウトマーク20を枠パターン29と重ならないように、移動させて表記させてもよい。 これにより、レイアウトマーク20及び枠パターン29の双方を検査者等が容易に確認することができる。

    また、図2(a)に示すように、レイアウトマーク20は、枠パターン29の内側領域に形成されている。 このように、レイアウトマーク20を枠パターン29の内側領域に表記させることにより、検査者等がレイアウトマーク20を容易に確認することができる。 ただし、レイアウトマーク20を枠パターン29の内側領域に表記させることに限定されない。 例えば、レイアウトマーク20のうち表記する位置を変更可能な左右識別記号25、製造者ブランドロゴ27などは、枠パターン29の外側の領域に形成されてもよい。

    枠パターン29は、レイアウトマーク20に対して、線の種類、線の太さ、及び線の色のうち少なくとも1つを変えて形成されてもよい。 図2(a)では、レイアウトマーク20の各マークが実線で形成されているのに対して、枠パターン29は一点鎖線で形成されている。 さらに、枠パターン29は、レイアウトマーク20の線よりも細い線で形成されている。 このように、枠パターン29とレイアウトマーク20との線の種類等を変えることにより、両者の識別を容易にすることができる。

    以上のように、第2実施形態によれば、加工予定の眼鏡枠形状に対応する枠パターン29が眼鏡レンズ200の第1屈折面200aに形成されているため、レイアウトマーク20が形成される場合であっても、第1実施形態と同様に、外観検査の検査者は眼鏡レンズのどの部分が用いられるかを容易に認識することができる。 これにより、後に玉摺り加工によって削除される部分については厳格な検査は不要となり、検査時間の短縮化が図れることになる。 また、第1実施形態と同様、検査者にとって、注目すべき範囲が小さくなるので、検査に集中することが可能となり、検査の精度を向上させることができる。

    <第3実施形態>
    第3実施形態について説明する。 図3(a)は、第3実施形態に係る眼鏡レンズ300の構成を示す平面図である。 図3(b)は、(a)におけるB−B線に沿った断面図である。 なお、図3(a)では、図1のような中心領域1や中間領域2、外周領域3について表記していないが、眼鏡レンズ300には、図1と同様に中心領域1等が設定されている。

    図3(a)及び(b)に示すように、眼鏡レンズ300は、玉摺り加工が施される前の状態であり、平面視で円形状に形成されている。 眼鏡レンズ300は、レンズ基体301と、機能膜302a、302bと、保護膜306とを有している。 この眼鏡レンズ300は、保護膜306を有し、後述するように、この保護膜306に枠パターン39やレイアウトマーク30が形成されている点で、第2実施形態とは構成が異なっている。

    従って、レンズ基体301や、機能膜302a、302bの構成は、第2実施形態と同一であるため説明を省略する。 なお、眼鏡レンズ300は、眼鏡レンズ200と同様に、累進焦点レンズである。 従って、眼鏡レンズ300は、眼鏡レンズ200と同様に、遠用部と、近用部と、中間部とを有している。

    保護膜306は、図3(b)に示すように、眼鏡レンズ300の第1屈折面300a側において、機能膜302aの表面を覆うように形成されている。 ただし、機能膜302aの表面だけでなく、第2屈折面300b側において、機能膜302bの表面を覆うように形成されてもよい。 また、保護膜306は、一層に限定されず複数の膜が積層されたものであってもよい。 保護膜306は、所定の透過率を有しており、レンズ基体301や、機能膜302a、302bが保護膜306を通して目視可能となっている。 また、保護膜306は、眼鏡レンズ300を玉摺り加工する際のすべり防止機能を有している。 保護膜306は、玉摺り加工が終了した後、眼鏡レンズ300から除去または剥離できるように形成されている。

    保護膜306は、例えば、機能膜302aの表面に無機酸化物微粒子を分散させた有機樹脂膜を有する構成が用いられる。 保護膜306としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース系重合体、ポリアルキレンオキシド重合体、ポリ酢酸ビニル重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体などの有機樹脂が用いられる。 また、これらの中から1種を単独で用いることの他に、2種以上を混合して用いてもよい。 その中でも特に、ポリビニルアセタール樹脂が用いられる。

    無機酸化物微粒子としては、例えば、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)のうち何れかの酸化物、若しくは、これらの酸化物を少なくとも2種以上含む複合酸化物からなるものを用いることができる。 また、これらの中から1種を単独で用いることの他に、2種以上を混合して用いてもよい。 その中でも特に、酸化シリコン(SiO )、若しくは、酸化シリコンを含む複合酸化物が用いられる。 また、無機酸化物微粒子の平均粒径は、100nm以下に設定されるが、この平均粒径は特に限定されない。

    また、有機樹脂膜中に含有される無機酸化物微粒子の割合は、質量比で例えば15〜60%に設定される。 さらに、質量比として30〜60%に設定されてもよい。 この無機酸化物微粒子の割合が15%未満では、眼鏡レンズ300の玉摺り加工時において、軸ズレ量が大きくなる上に、機能膜302aと保護膜306との間に切削水が入り込んで、レンズロックキャップ351(図7参照)から眼鏡レンズ300が外れ易くなり、二次加工が必要となった場合などに対応できなくなる。 一方、無機酸化物微粒子の割合が60%を超えると、保護膜306が脆くなり、機能膜302aの上に保護膜306を形成した後に、この保護膜306が自然に剥離してしまう場合が生じる。 なお、質量比を30〜60%とすることにより、軸ズレ量を小さくするとともに、保護膜306の剥離抑制を実現できる。

    保護膜306の表面306aには、累進焦点レンズに関するレイアウトマーク30が形成されている。 レイアウトマーク30は、第2実施形態のレイアウトマーク20と同様に、例えば遠用度数測定位置31、近用度数測定位置32、水平基準線33、フィッティングポイント34、左右識別記号35、レンズの光学中心36、製造者ブランドロゴ37、及び加入度記号38が形成されている。 これら遠用度数測定位置31等は、レイアウトマーク20のそれぞれと同様である。

    また、保護膜306の表面306aには、上記のレイアウトマーク30に加えて、枠パターン39が形成されている。 枠パターン39は、第2実施形態の枠パターン29と同様であり、加工予定の眼鏡枠形状に対応した平面形状及び寸法を例えば一点鎖線により表記している。 なお、この枠パターン39に沿って玉摺り加工されることにより、予め選択されている眼鏡枠に装着可能な眼鏡レンズが形成される。

    レイアウトマーク30及び枠パターン39は、例えばインクジェット法などの印刷法によって表面306aに形成される。 レイアウトマーク30及び枠パターン39を形成する際のインクとしては、保護膜306との密着性が良く、また簡単に剥がれない(除去されない)ように、染料または顔料の種類、樹脂の種類と濃度、溶剤の種類、界面活性剤の種類などを適宜選択して使用される。 本実施形態では、保護膜306の主成分がポリビニルアセタール等の汎用樹脂が用いられた場合、印刷性能(インクの付着性能)が機能膜302aに比べて優れている。 このため、保護膜306に印刷する場合は、インクの種類の選択や、印刷方法の選択など、自由度が大きい。

    枠パターン39は、眼鏡枠の製造元からデータとして入手される他に、対象となる眼鏡枠を測定装置等で適宜計測することにより入手される。 レイアウトマーク30は、装用者の処方データに基づいて、近用度数測定位置32等のそれぞれの形状や位置、大きさなどの表記方法が決定される。

    図3(a)に示す枠パターン39は、右用の眼鏡枠形状に対応している。 なお、左用の眼鏡レンズの場合には、左用であることを示すように、例えば「L」などの左右識別記号35が形成される。 また、左用の眼鏡レンズには、左用の眼鏡枠形状に対応した枠パターンが形成されている。 この枠パターンは、右用の枠パターン39に対して対称の形状や同一の形状を有している。

    また、レイアウトマーク30が、枠パターン39と重なる場合に、レイアウトマーク30及び枠パターン39のいずれか一方を優先して表記させてもよい点は、第2実施形態と同様である。 また、レイアウトマーク30のうち、表記位置を変更可能なマークは、枠パターン39と重ならないように、または枠パターン39の外側の領域に表記させてもよい点は、第2実施形態と同様である。 また、レイアウトマーク30と枠パターン39とで、線の種類等を変えてもよいことは、第2実施形態と同様である。

    以上のように、第3実施形態によれば、加工予定の眼鏡枠形状に対応する枠パターン39が眼鏡レンズ300の第1屈折面300aに形成されているため、第1及び第2実施形態と同様に、外観検査の検査者は眼鏡レンズのどの部分が用いられるかを容易に認識することができる。 これにより、後に玉摺り加工によって削除される部分については検査が不要となり、検査時間の短縮化が図れることになる。 また、第1及び第2実施形態と同様、検査者にとって、注目すべき範囲が小さくなるので、検査に集中することが可能となり、検査の精度を向上させることができる。

    <眼鏡レンズの製造方法>
    次に、上記のように眼鏡レンズの製造方法について説明する。 なお、以下では、第3実施形態の眼鏡レンズ300を例としてその製造方法を説明する。

    先ず、図4(a)に示すように、レンズ基体301が形成される。 レンズ基体301は、所定の型枠内に、プラスチック素材のモノマーが供給され、加熱して重合させることにより形成される。 その後、重合体を冷却させ、型枠から取り出すことにより、図4(a)に示すようにレンズ基体301が形成される。 なお、型枠から取り出されたレンズ基体301は、第1屈折面300a及び第2屈折面300bが既に形成されている。 ただし、第1屈折面300a及び第2屈折面300bをさらに研削及び研磨してレンズ基体301を形成させてもよい。

    次に、レンズ基体301の一部または全部を染色する場合は、染色工程を行う。 レンズ基体301を染色する形態として、レンズ基体301の表面に染色層を形成するものや、レンズ基体301内に染料を浸透させるものがある。 染色工程としては、例えば染色液中にレンズ基体301を浸漬させてもよいし、レンズ基体301の表面に染色液をスプレー法あるいはスピンコート法によりコーティングし、その後加熱することで定着させるようにしてもよいし、レンズ基体301の表面に昇華性染料をコーティングした後に昇華性染料を加熱浸透させてもよい。

    次に、図4(b)に示すように、レンズ基体301に機能膜302a、302bが形成される。 機能膜302a、302bの一例を示すと、先ず、レンズ基体301の表面に、他の機能膜の密着性を向上させて耐衝撃性を付与するためのプライマーコート膜が形成される。 続いて、プライマーコート膜上にハードコート膜、反射防止膜や撥油膜が順次形成される。 反射防止膜は、例えば、酸化シリコンと酸化ジルコニウムとを蒸着等により交互に成膜させて形成される。 なお、機能膜としては、先に述べたようにこれらに限定されず、レンズ基体301の表面には、様々な機能膜を積層して形成することが可能である。

    次に、図4(b)に示すように、第1屈折面300a側の機能膜302aの表面に保護膜306が形成される。 保護膜306が形成されることで、レンズ積層体307が形成される。 保護膜306は、例えば、ディッピング法やスピンコート法、スプレー法、流し塗り法などによって形成される。 また、これらの方法により材料が塗布された後は、自然乾燥や、熱風の吹き付けなどによって乾燥させる方法などが用いられる。 また、保護膜306である有機樹脂膜に紫外線硬化樹脂を使用した場合には、樹脂の塗布後に紫外線を照射することによって樹脂を硬化させる方法が用いられる。

    上記した材料の塗布方法のうち、スピンコート法では、一般的にスピンコータなどの比較的小型の装置を用いて、機能膜302aの面上に、保護膜306を形成させるためのコーティング液を塗布することにより塗膜を形成する。 なお、コーティング液は、玉摺り加工時の軸ずれ防止のため、有機化合物樹脂および無機微粒子を含むものを用いることが好ましい。

    次に、保護膜306が形成された後、図4(c)に示すように、保護膜306の表面306aにレイアウトマーク30及び枠パターン39が形成される(枠パターン形成工程、レイアウトマーク形成工程)。 この工程では、例えばインクジェット法などの印刷手法によってパターンが形成される。 図5及び図6は、インクジェット法によってレイアウトマーク30及び枠パターン39を形成する工程を示す図である。

    図5及び図6(a)に示すように、この工程では、インクジェットヘッド(以下、IJヘッドと呼ぶ)Hを用いて表面306aに所定のパターンを印刷する。 IJヘッドHは、インクジェット法によりパターンを描画するインクジェット装置の一部を構成する。 このIJヘッドHは、紫外線硬化型インクやホットメルトインクの他、各種インクを吐出可能な、不図示の複数のノズルを有している。 複数のノズルは、IJヘッドHの吐出面Haにおいて、その長手方向に並ぶように形成され、ノズル列を構成している。 なお、図6(a)に示すIJヘッドHは、その長手方向の全長が長いものが用いられており、このIJヘッドHに形成されるノズル列の長さが、レンズ積層体307の直径よりも長いもの(または描画すべきパターンの上下方向の長さより長いもの)が用いられている。

    インクジェット装置は、IJヘッドHを、ノズル列が形成された一方向に交差する方向(例えば、直交方向)に移動させる。 インクジェット装置には、IJヘッドHの移動及びインク吐出のタイミングを制御する制御部(不図示)が設けられている。 制御部は、所定のパターン情報に基づいてIJヘッドHを移動させながら、インク吐出のタイミングを制御する。 パターン情報としては、上記したレイアウトマーク30及び枠パターン39を含んだパターン情報が挙げられる。

    まず、図5に示すように、吐出面Haが下方を向くようにIJヘッドHを待機位置ST1で待機させる。 また、レンズ積層体307は、第1屈折面(凸面)を上向きとして保護膜306の表面306aが上方に向くように保持される。 なお、レンズ積層体307は、吸着またはクランプ等によりホルダに保持される。 続いて、IJヘッドHを待機位置ST1から、表面306a上に設定された走査経路SCを走査(図5では左から右へ)させつつ、吐出面Haのノズルから所定のタイミングでインクを吐出させる。 これにより、表面306aには、レイアウトマーク30及び枠パターン39が描画される。

    このように、インクジェット法が用いられることにより、レイアウトマーク30及び枠パターン39が同時に形成されるため、枠パターン39を別に形成する必要がなく、枠パターン39の形成による工程数の増加を防ぎ、製造コストの増加を抑制できる。 なお、レイアウトマーク30及び枠パターン39が同時に形成されることに限定されず、例えば、レイアウトマーク30と枠パターン39とで異なるインクを用いる場合などでは、レイアウトマーク30を形成させた後に枠パターン39が形成されてもよい。

    なお、第1実施形態、あるいは第2実施形態の場合はフッ素系材料で形成される撥水膜あるいは撥油膜表面にレイアウトマークや枠パターンを形成させるため、使用するインクの選択には制約がある。 しかしながら保護膜306にレイアウトマークや枠パターンを形成させる場合は、表面306aにおいてインクの定着性を確保するのが容易であるため、使用するインクの選択肢は増える。 なお、IJヘッドHは、停止位置ST2で停止する。 次のレンズ積層体307にパターン描画する場合は、IJヘッドHを、停止位置ST2から待機位置ST1に向けて走査経路SCを走査させることにより行う。 ただし、IJヘッドHを、一旦待機位置ST1に戻してから再度走査経路SCを走査させて描画してもよい。

    なお、図6(a)では、IJヘッドHの一回の走査によってレイアウトマーク30及び枠パターン39が形成される。 ただし、使用するIJヘッドによっては、一回の走査によってレイアウトマーク30及び枠パターン39を形成できない場合がある。 図6(b)では、小型のIJヘッドH2を用いて描画する場合を示している。

    図6(b)に示すIJヘッドH2は、ノズル列の長さがレイアウトマーク30及び枠パターン39の範囲をカバーしていない。 この場合は、IJヘッドH2を往復させることによりレイアウトマーク30及び枠パターン39が形成される。 先ず、IJヘッドH2を一方向に(図6では左から右へ)移動させて表面306aの上方を走査させつつインクを吐出する。 このとき、レイアウトマーク30及び枠パターン39の一部が形成される。 続いて、IJヘッドH2を下方へステップさせ、IJヘッドH2を先の走査方向とは逆方向に(図6では右から左へ)移動させて表面306aの上方を走査させつつインクを吐出する。 これにより、レイアウトマーク30及び枠パターン39の残りの部分が形成され、レイアウトマーク30及び枠パターン39が完成する。

    図6(b)示すIJヘッドH2は、2回の走査でレイアウトマーク30及び枠パターン39を形成させるが、3階以上の走査によって形成させてもよい。 また、上記では、IJヘッドH、H2を移動させているが、これに代えて、レンズ積層体307をIJヘッドH、H2に対して移動させてもよい。 この場合、レンズ積層体307を保持するホルダがIJヘッドH、H2に対して移動する。

    また、上記では、IJヘッドH、H2を直線方向に移動させているが、これに限定されない。 例えば、レンズ積層体307の第1屈折面の凸形状に合わせて、レンズ積層体307との間隔を一定に保持するようにIJヘッドH、H2を曲線状に移動させてもよい。 この場合、インクジェット装置の制御部は、予めレンズ積層体307の曲率等のデータを取得しておき、このデータに基づいてIJヘッドH、H2を駆動させる。

    以上の工程によって、眼鏡レンズ300が製造される。 なお、枠パターン39の形成にインクジェット法が用いられることに限定されず、例えば、凸版印刷やスクリーン印刷など、他の印刷手法が用いられてもよい。 また、第1実施形態の眼鏡レンズ100や第2実施形態の眼鏡レンズ200においては、上記した工程の一部を実施することにより製造される。

    <眼鏡の製造方法>
    続いて、眼鏡の製造方法について説明する。 上記した工程によって眼鏡レンズ300が製造された後、眼鏡レンズ300の外観検査が行われる。 この外観検査に際しては、枠パターン39の位置、寸法、範囲などが参照される。 これにより、検査者は、枠パターン39の外側の領域は、この後の玉摺り加工によって除去されるため、厳格な検査は不要の領域と容易に認識できる。 従って、検査者は、眼鏡レンズ300のうち枠パターン39で囲まれた部分に対して重点的に検査を行うことができるため、無駄な検査を省くことができ、短時間で正確に検査を行うことができる。

    外観検査の後、注文が丸玉形状などのアンカットレンズである場合は最終出荷検査の後、梱包されて発注先に発送される。 この場合、玉摺り加工は発注先の眼鏡店もしくは特定の加工センターで行われる。 注文が眼鏡枠形状の玉摺り加工済みレンズである場合、眼鏡レンズ300に対してはそのまま製造業者の工場で玉摺り加工が実施される(レンズ加工工程)。 玉摺り加工は、例えば、図7に示すような、玉摺り加工機350を用いて行われる。 図7に示すように、この玉摺り加工では、先ず、レンズロックキャップ351の被着面351aに両面接着テープ355を介して眼鏡レンズ300の一面、具体的には、保護膜306が形成された第1屈折面300aを固定する。 なお、図7に示す眼鏡用レンズ300においては、機能膜302a、302bは省略されている。

    次に、眼鏡レンズ300が固定されたレンズロックキャップ351を一方のレンズ加工軸352の先端部に取り付けた後、他方のレンズ加工軸353の先端部を進行させて、この先端部を眼鏡レンズ300の第2屈折面300bに当接させる。 これにより、眼鏡レンズ300は、一対のレンズ加工軸352、353の間に挟み込まれた状態で支持される。 なお、レンズ加工軸352、353は、眼鏡レンズ300の光学中心点Oを含んだ領域にそれぞれ当接している。

    次に、砥石354を高速で回転させながら、この砥石354を眼鏡レンズ300の外縁部に押し当て、眼鏡用レンズ300の外縁部を研削する。 同時に、一対のレンズ加工軸352、353を同期させて回転させながら、眼鏡用レンズ300の外縁部に沿って砥石354が当たるようにしている。 これにより、眼鏡レンズ300の外形が眼鏡枠の形状に合わせて加工される。 なお、砥石354による眼鏡用レンズ300の研削は、枠パターン39に沿って行われている。

    玉摺り加工は、眼鏡レンズ300の製造業者が行う場合の他に、眼鏡店が店内で行う場合や、加工センターの場合もある。 この玉摺り加工を眼鏡店や加工センターで行う場合、眼鏡枠形状の枠パターン39が印刷された眼鏡レンズ300であれば、外観的欠陥が眼鏡枠形状に対応する領域の内側にあるか否かを容易に判別できる。 また、枠パターン39があることにより、玉摺り加工を行った後、軸ズレなどの発生が無く加工できたかの判定も容易である。 また、保護膜306が設けられることで、上述した眼鏡用レンズ300と両面接着テープ355との接着面で滑りが生じにくく、眼鏡レンズ300がレンズ加工軸352、353に対して軸ズレを起こしてしまうことを防ぐことができる。

    このような工程を、左右の眼鏡レンズ300についてそれぞれ行う。 その後、左右の眼鏡レンズ300についてそれぞれ保護膜306が除去される。 保護膜306の除去は、例えば保護膜306を、粘着テープを使用して剥離させる方法や、溶剤等で拭取る方法などがある。 これにより、図8に示すように、眼鏡枠の形状に加工された右用レンズLR及び左用レンズLLが製造される。 次に、図8に示すように、右用レンズLR及び左用レンズLLは予め選定されている眼鏡枠401に嵌め込まれる(枠入れ工程)。 これにより、眼鏡400が完成する。

    以上のように、本実施形態によれば、保護膜306に枠パターン39が形成されるため、保護膜306を除去することにより、枠パターン39を眼鏡レンズ300から容易に除去することができる。 また、フッ素化合物を含まない保護膜306の表面306aに枠パターン39を形成するため、インクジェット法によって枠パターン39を形成する場合に、インクの選択肢が広がることになる。 また、レイアウトマーク30と枠パターン39とを同一工程で同時に形成することができるため、工数を短縮化することができる。

    <枠パターンの変形例>
    図9は、枠パターンの変形例を示している。 図9は、枠パターン502が形成された眼鏡レンズ500を示している。 図9は、第1屈折面500a側から見たときの構成である。 図9に示すように、眼鏡レンズ500の第1屈折面500aには、着色部501が形成されている。 ただし、第1屈折面500aに機能膜や保護膜が形成される場合、着色部501は、例えば、保護膜等の上に形成される。

    着色部501は、加工対象となる枠形状の外側の領域に形成されている。 従って、着色部501と非着色部分との間に境界が形成され、この境界が枠パターン502となる。 着色部501の色は任意に設定される。 また、着色部501として、透過性または非透過性のいずれであってもよい。 着色部501が透過性を有する場合、その濃度(透過率)は均一に形成されるか、また、濃度勾配を持って形成されてもよい。 例えば、境界部分に近い領域の濃度を濃くするとともに、境界から離れるに従って濃度を薄くするような形態でもよい。

    着色部501は、例えば、第1屈折面500aのうち枠パターン502に相当する領域がマスクされた状態で、染料を塗布または染料に浸漬させることにより形成される。 このように、第1屈折面500aに線を描画せずに、枠パターン302を形成させることが可能である。 また、枠パターン502の内側領域は着色されていないので、外観検査の検査者は、検査すべき領域を容易に確認することができる。

    なお、眼鏡枠形状の内側領域に着色部501が設けられ、その外側の領域には着色されない構成としてもよい。 この場合においても、着色部501と非着色部分との間の境界が枠パターン502となる。 さらに、眼鏡枠形状の内側領域と外側領域とで、色を変えて双方とも着色されてもよい。 この場合においても、色と色との境界が枠パターン502となる。

    図10は、枠パターンの他の変形例を示している。 図10は、枠パターン601が形成された眼鏡レンズ600を示している。 図10は、第1屈折面600a側から見たときの構成である。 図10に示すように、眼鏡レンズ600の第1屈折面600aには、枠パターン601が形成されている。 この枠パターン601は、眼鏡枠形状と同一の領域602に沿って、領域602の外側に間隔tで囲むように形成されている。 すなわち、枠パターン601は、領域602を含んだ広い領域を囲むように形成されている。

    このように、眼鏡枠形状からずれた状態で枠パターン601が形成されるので、外観検査において、眼鏡枠形状と重なるような欠陥の発見が容易となる。 なお、間隔tは任意に設定される。 間隔tは、一定であることに限定されず、部分的に異なるものでもよい。 なお、枠パターン601は、領域602の外側、すなわち玉摺り可能によって除去される部分に形成される。 従って、玉摺り加工後において、枠パターン601は除去されて残っていない。 また、枠パターン601は、領域602の外側に形成されることに代えて、領域602の内側に形成されてもよい。

    図11は、枠パターンの他の変形例を示している。 図11は、枠パターン701が形成された眼鏡レンズ700を示している。 図11は、第1屈折面700a側から見たときの構成である。 図11に示す眼鏡レンズ700は、累進焦点レンズであり、図2に示すようなレイアウトマークが形成される。 枠パターン701は、図11に示すように、レイアウトマークの一つである製造者ブランドロゴ702を含んで形成されている。 なお、図11において、他のレイアウトマークは省略されている。

    このように、枠パターン701が、レイアウトマークの一つを含んで形成されることにより、枠パターン701の内側に形成されるレイアウトマークの数を減少させるので、外観検査において注意すべき領域を見やすくすることができる。 なお、製造者ブランドロゴ702に代えて左右識別記号(図2参照)が用いられてもよい。 また、枠パターン701は、複数のレイアウトマークを含んで形成されてもよい。 複数のレイアウトマークを含む場合、同種または複数種類のレイアウトマークのいずれでもよく、また、等間隔での配置または間隔を変えた配置のいずれでもよい。

    図12は、枠パターンの他の変形例を示している。 図12は、枠パターン801が形成された眼鏡レンズ800を示している。 図12は、第1屈折面800a側から見たときの構成である。 図12に示す眼鏡レンズ800は、累進焦点レンズであり、図2に示すようなレイアウトマークが形成される。 枠パターン801は、図12に示すように、レイアウトマークの一つである左右識別記号802によって形成されている。 なお、図12において、他のレイアウトマークは省略されている。

    枠パターン801は、複数の左右識別記号802が、眼鏡枠形状に沿って配置されることにより形成される。 図12では右用の眼鏡レンズを示す「R」が用いられている。 このように、枠パターン801が、レイアウトマークによって形成されることにより、枠パターン801の内側に形成されるレイアウトマークの数を減少させるので、外観検査において注意すべき領域を見やすくすることができる。 なお、左右識別記号802に代えて製造者ブランドロゴ(図2参照)が用いられてもよい。 また、枠パターン801は、複数種類のレイアウトマークが用いられてもよく、またその配置も任意である。

    <その他>
    本発明の技術範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。 また、上記した第1〜第3実施形態や、変形例を適宜組み合わせてもよい。 例えば、第3実施形態の眼鏡レンズ300に、図9に示す着色部501を形成させてもよく、図10に示す枠パターン601として、図12の枠パターン801を適用させてもよい。 また、本発明は、上記した眼鏡レンズとして単焦点レンズや累進焦点レンズに限らず、他の眼鏡レンズであっても広く適用することが可能である。

    また、眼鏡レンズの表面に設けられる保護膜としては、上述したものの他にも、例えば国際公開2006/093113号パンフレットに開示されているものなどを用いることができる。 具体的には、(1)機能膜の表面に、金属酸化物微粒子とフッ化物の微粒子との少なくとも一方を分散させた微粒子層を形成し、さらに、その微粒子層の上に有機化合物からなる樹脂層を形成したものや、(2)機能膜の表面に、金属酸化物微粒子とフッ化物の微粒子との少なくとも一方を分散させた有機化合物からなる樹脂層を形成したものなどを用いることができる。

    また、上記説明においては、枠パターンとして眼鏡枠形状の一周にわたって形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。 例えば、眼鏡枠形状の一部(例えば、部や辺部など)において枠パターンが形成された構成であってもよい。 また、図9に示す着色部501に代えて、多数のドット(点)を表記させた形態や、反射膜が用いられてもよい。

    また、図10に示す枠パターン601としては、全部を領域602から間隔tで形成されることに代えて、一部は領域602から間隔tで形成され、他は領域602に沿って形成されるものでもよい。 また、図10に示す枠パターン601としては、領域602と相似形の枠パターンが用いられてもよい。

    また、上記説明した形態では、各眼鏡レンズに1種類の枠パターンが形成されているが、これに限定されず、2種以上の枠パターンが形成されてもよい。 2種以上の枠パターンとして、2以上の相似形の枠パターンが用いられてもよい。

    H、H2…インクジェットヘッド(IJヘッド) t…間隔 1…中心領域 2…中間領域 3…外周領域 4、29、39、502、601、701、801…枠パターン 20、30…レイアウトマーク 100、200、300、500、600、700、800…眼鏡レンズ 100a、200a、300a、500a、600a、700a、800a…第1屈折面 100b、200b、300b、500b、600b、700b、800b…第2屈折面 306…保護膜 350…玉摺り加工機 400…眼鏡 401…眼鏡枠

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