Holography multifocal lens

申请号 JP2002554773 申请日 2001-12-28 公开(公告)号 JP2004522992A 公开(公告)日 2004-07-29
申请人 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト; 发明人 イエ,ミン; ツァン,シャオシャオ; リ,ルオリン;
摘要 The invention provides a multifocal optical lens having a holographic optical element that selectively redirects light to provide the wearer with a single image formed from a single focal power. The invention also provides a method for producing a multifocal optical lens having a holographic optical element.
权利要求
  • 少なくとも一つのホログラフィー光学素子及び少なくとも一つの合焦素子を含む光学レンズであって、前記ホログラフィー光学素子が、ブラッグ条件が満たされたとき入射光の100%までを回折させる有限の光線受容角範囲を有する干渉縞パターンを特徴とし、前記ホログラフィー光学素子が、実質的に中性の合焦力を有することをさらに特徴とする光学レンズ。
  • 生体適合性である、請求項1記載の光学レンズ。
  • コンタクトレンズである、請求項1記載の光学レンズ。
  • 眼鏡用レンズである、請求項1記載の光学レンズ。
  • 眼内レンズである、請求項1記載の光学レンズ。
  • 前記ホログラフィー光学レンズ素子が透過型体積ホログラフィー光学レンズ素子である、請求項1記載の光学レンズ。
  • 前記ホログラフィー光学レンズ素子が反射型ホログラフィー光学レンズ素子である、請求項1記載の光学レンズ。
  • 第一のホログラフィー光学素子及び第二のホログラフィー光学素子を含む光学レンズであって、前記ホログラフィー光学素子が、隣接し、かつ、ブラッグ条件が満たされたとき入射光の100%までを回折させる重複しない有限の光線受容角範囲を有し、前記第一及び第二のホログラフィー素子が、一方のホログラフィー光学素子が能動状態であるとき他方が非能動状態になるように切り替え可能である光学レンズ。
  • 前記第一のホログラフィー光学素子の表面に隣接して位置する第一の合焦光学素子をさらに含む、請求項8記載の光学レンズ。
  • 前記第二のホログラフィー光学素子の表面に隣接して位置する第二の合焦光学素子をさらに含む、請求項8記載の光学レンズ。
  • 生体適合性である、請求項8記載の光学レンズ。
  • コンタクトレンズである、請求項8記載の光学レンズ。
  • 眼鏡用レンズである、請求項8記載の光学レンズ。
  • 眼内レンズである、請求項8記載の光学レンズ。
  • 前記ホログラフィー光学レンズ素子が透過型体積ホログラフィー光学レンズ素子である、請求項8記載の光学レンズ。
  • 前記ホログラフィー光学レンズ素子が反射型ホログラフィー光学レンズ素子である、請求項8記載の光学レンズ。
  • 第一の光学部品及び第二の光学部品を含む光学レンズであって、前記第一の光学部品が、第一の干渉縞パターンを有するホログラフィー光学素子を含み、かつ、前記第二の光学部品が、第二の干渉縞パターンを有するホログラフィー光学素子を含み、前記第一及び第二の干渉縞パターンが、一方の干渉縞パターンが能動状態であるとき他方が能動状態ではないように配置されている光学レンズ。
  • 前記第一の光学部品が合焦素子をさらに含む、請求項17記載の光学レンズ。
  • 前記第二の光学部品が合焦素子をさらに含む、請求項17記載の光学レンズ。
  • 生体適合性である、請求項17記載の光学レンズ。
  • コンタクトレンズである、請求項17記載の光学レンズ。
  • 眼鏡用レンズである、請求項17記載の光学レンズ。
  • 眼内レンズである、請求項17記載の光学レンズ。
  • 前記ホログラフィー光学レンズ素子が透過型体積ホログラフィー光学レンズ素子である、請求項17記載の光学レンズ。
  • 前記ホログラフィー光学レンズ素子が反射型ホログラフィー光学レンズ素子である、請求項17記載の光学レンズ。
  • 切り替えホログラフィー素子を製造する方法であって、
    a)第一の光源光ビームを用意する工程と、
    b)第一の光源光ビームを、一方が参照ビームである第一及び第二の光ビームに分割する工程と、
    c)平坦、凹形又は凸形である、対向して位置する第一及び第二の面を有する記録可能なホログラフィー媒体を用意する工程と、
    d)第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー媒体の表面に送る工程と、
    を含み、第一及び第二の光ビームが、記録可能なホログラフィー媒体中に体積格子構造を記録するのに適当な位相関係を有する方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子が架橋性又は重合性の光学材料を含む、請求項26記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子が、第一及び第二の光ビームに露光すると非流体光学材料を形成する流体光学材料である、請求項27記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子がUV吸収剤をさらに含む、請求項28記載の方法。
  • 記録された光学素子をUV光源で後硬化させる工程をさらに含む、請求項28記載の方法。
  • 第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の表面に送る工程が、第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の同じ面に送る工程を含む、請求項26記載の方法。
  • 第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の表面に送る工程が、第一の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の第一の面に送り、かつ、第二の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の第二の面に送る工程を含む、請求項26記載の方法。
  • 切り替えホログラフィー素子を含む光学レンズを製造する方法であって、
    a)第一の光源光ビームを用意する工程と、
    b)第一の光源光ビームを第一及び第二の光ビームに分割する工程と、
    c)第一及び第二の部分をそれぞれが有する第一及び第二の面を有する記録可能なホログラフィー素子を用意する工程と、
    d)第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の第一の面の第一の部分に送る工程と、
    e)第二の光源光ビームを用意する工程と、
    f)第二の光源光ビームを第三及び第四の光ビームに分割する工程と、
    g)第三及び第四の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の第一の面の第二の部分に送る工程と、
    を含み、第一及び第二の光ビームが、記録可能なホログラフィー素子の第一の面の第一の部分中に透過型体積格子構造を記録するのに適当な位相関係を有し、かつ、第三及び第四の光ビームが、記録可能なホログラフィー素子の第一の面の第二の部分中に第二の透過型体積格子構造を記録するのに適当な位相関係を有する方法。
  • 工程(a)、(b)及び(d)が工程(e)、(f)及び(g)と同時に行われる、請求項33記載の方法。
  • 工程(a)、(b)及び(d)が工程(e)、(f)及び(g)の前に行われる、請求項33記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子が架橋性又は重合性の光学材料を含む、請求項33記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子が、第一及び第二ならびに第三及び第四の光ビームに露光すると非流体光学材料を形成する流体光学材料である、請求項36記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子がUV吸収剤をさらに含む、請求項37記載の方法。
  • 記録された光学素子をUV光源で後硬化させる工程をさらに含む、請求項33記載の方法。
  • 切り替えホログラフィー素子を含む光学レンズを製造する方法であって、
    a)少なくとも一つの光源光ビームを用意する工程と、
    b)用意された光源光ビームを第一、第二、第三及び第四の光ビームに分割する工程と、
    c)第一及び第二の部分を含む記録可能なホログラフィー素子を用意する工程と、
    d)第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の第一の部分に送る工程と、
    e)第三及び第四の光ビームを記録可能なホログラフィー素子の第二の部分に送る工程と、
    を含み、第一及び第二の光ビームが、記録可能なホログラフィー素子の第一の部分中に反射型格子構造を記録するのに適当な位相関係を有し、かつ、第三及び第四の光ビームが、記録可能なホログラフィー素子の第二の部分中に第二の反射型格子構造を記録するのに適当な位相関係を有する方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子が架橋性又は重合性の光学材料を含む、請求項40記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子が、光ビームに露光すると非流体光学材料を形成する流体光学材料である、請求項41記載の方法。
  • 記録可能なホログラフィー素子がUV吸収剤をさらに含む、請求項42記載の方法。
  • 記録された光学素子をUV光源で後硬化させる工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
  • 少なくとも一つのホログラフィー光学レンズ素子を含む複合光学レンズを製造する方法であって、
    a)第一の型の中に第一の重合性又は架橋性の流体光学材料を用意する工程と、
    b)第一の流体光学材料中に格子構造を記録して、それにより、非流体ホログラフィー光学レンズ素子を形成する工程と、
    c)非流体ホログラフィー光学レンズ素子よりも大きなキャビティ容積を有する第二の型を用意する工程と、
    d)第二の型の中に第二の重合性又は架橋性の流体光学材料及び非流体ホログラフィー光学レンズ素子を用意する工程と、
    e)第二の型の中で第二の重合性又は架橋性の流体光学材料を重合又は架橋させる工程と、
    を含む方法。
  • 第一及び第二の流体光学材料が同じ流体光学材料である、請求項45記載の方法。
  • 第一及び第二の流体光学材料が化学的に適合性の材料である、請求項45記載の方法。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    本発明は、眼科用レンズ、たとえばコンタクトレンズに関する。 具体的には、本発明は、装用者が多数の光パワーの間で切り替えを行うことを可能にするホログラフィー光学素子を含む眼科用レンズに関する。 本発明はまた、多焦点レンズを製造する方法に関する。
    【0002】
    歴史的記録は、少なくとも13世紀の早期以来、人間が種々の透明材料の光屈折性を利用して視を改善させていたことを証明している。 もっとも初期の眼鏡は、遠視を支援するための石英でできた簡単な凸レンズであった。 このような初期の拡大鏡から、無数の人々によって一般に使用される特殊化ガラス及びプラスチック製の眼鏡ならびにコンタクトレンズが進化した。
    【0003】
    ポリマー化学における最近の進歩は、眼鏡及びコンタクトレンズの双方の品質及び快適さを大きく改善した。 しかし、これらの改善は、主として、単焦点矯正レンズしか要らない患者に恩恵を与えてきた。 多焦点視力矯正を要する人は、自らが耐える特異な問題における改善をほとんど見ていない。
    【0004】
    たとえば、二焦点又は三焦点眼鏡を装用する多くの人は、異なる焦点をもつ2枚のレンズの近接から生じるゴースト像を体験する。 現在の多焦点視力矯正に関して残存している問題は、コンタクトレンズの分野で非常に顕著に見ることができる。
    【0005】
    眼科用レンズ、たとえばコンタクトレンズ又は眼内レンズに関していくつかの二焦点レンズ設計概念が利用可能である。 二焦点レンズの一つのタイプが回折同時視タイプである。 回折同時視タイプレンズは、回折光学素子及び屈折光学素子を含む。 回折とは、障害物又は開口を通過した後の光の方向及び強さの変化である。 屈折とは、光がある媒体から別の媒体、たとえば空気からに通過するときの光の旋回又は屈曲である。 回折同時タイプレンズは、眼に入る光を近くの像と遠くの像とに分割し、それらの像を同時に網膜に投射する。 網膜上に二重の像が存在すると、いずれの像も完全には鮮明にならない。 さらには、弱い光の条件下では、これらのレンズは使用者にとってコントラスト及び強さの問題を生じさせる。
    【0006】
    二焦点コンタクトレンズのもう一つのタイプは同心同時視タイプである。 このタイプのレンズは、集光力が異なる同心区域を有する。 たとえば、一つの同心区域が近くの像のための集光力を提供し、第二の同心区域が遠くの像のための異なる集光力を提供する。 同心焦点区域は、近く及び遠くの両方の像を網膜の共通の焦点領域に合焦させて、それにより、像と像との重複を形成し、それが両方の像を不鮮明にする。 たとえば、遠くの物体を同心同時二焦点レンズ越しに視ると、近くの物体の像が同時に存在して、遠くの物体の像を不鮮明にしたり、ぼやけさせたりする。 さらには、二つの光学区域が同心同時二焦点レンズに入る光を分け合うため、合焦する像のコントラスト及び強さが特に弱い光の条件下で損なわれる。
    【0007】
    二焦点コンタクトレンズのもう一つのタイプは並進タイプである。 並進タイプは一般に、異なる集光力をもつ二つの別個の局所化区分があるという点で、従来の二焦点眼鏡レンズの設計を踏襲している。 遠く又は近くの物体を視るには、装用者は、正しい集光力に達するまでレンズを眼の上で動かさなければならない。 眼の上でのレンズの動きは、一方の集光力から他方の集光力に切り替えるためにはレンズが眼の上で比較的大きな距離を移動しなければならないため、装用者にとって問題を引き起こすおそれがある。 さらには、レンズの動きが完了しないうちは、鮮明な視覚を実現することはできない。
    【0008】
    他の光学レンズ設計は、多焦点機能を達成するために能動的なアプローチを取り入れている。 たとえば、ある種の同時タイプ二焦点レンズは、近くの像と遠くの像との重複を緩和するため、熱変色性コーティングを組み込んでいる。 この設計では、熱変色性材料がレンズの遠用光学区域に被着される。 近くの物体に集光するために装用者が下を見ると、熱変色性材料が活性化されて、それにより、遠用光学区域に入る光を遮断し、重複する遠くの像の形成を防止する。 残念ながら、現在利用可能な熱変色性材料は、この設計が実用的になるのに十分な速さで活性化及び不活性化しない。
    【0009】
    もう一つの能動的なアプローチは、切り替え可能なバッテリ又はフォトセルによって給電されるマイクロ回路を使用してレンズの焦点距離を物理的に変化させることを含む。 このアプローチは、この作業を達成するために必要な回路及び電源が、コンタクトレンズ中に実装するのに十分に小さく、かつ、コンタクトレンズに規則的に加えられる物理的力、たとえばレンズを洗浄するために出し入れするときの力に耐えるのに十分な耐久性及び信頼性を有しなければならないため、現在、実用的ではない。
    【0010】
    より最近、ホログラフィー原理を利用して高度な明澄さをもつ能動性の多焦点レンズを製造することが見いだされた。 全体を引用例として本明細書に取り込む、1997年12月29日出願の米国特許第5,997,140号は、組み合わせ(すなわち二層)透過型体積ホログラフィー光学素子(HOE)を含む光学レンズ及び光学レンズの製造方法を論じている。 このレンズは、レンズに入射する光が事前にプログラムされた度範囲(すなわち、HOEの能動化角)に入ると、組み合わせホログラムを使用して第二の光パワーを提供する。 装用者は、入射光の入射角を変化させることにより、光パワーを選択することができる。 たとえば、装用者は、頭の位置を維持したままで下を見ることにより、光の入射角を変化させることができる。
    【0011】
    組み合わせ透過型体積ホログラフィーレンズは、一度に一つの光パワーによって合焦される鮮明に視認される像を形成する点で、従来の多焦点レンズと比較して大きな改善を表す。 しかし、特定の光パワーを含む多層ホログラフィー素子を含む光学レンズの形成は、複雑な製造作業になるおそれがある。
    【0012】
    したがって、使用者が少なくとも二つの集光力の間で能動的に選択を行うことを可能にするが、多数のホログラム層を要しない多焦点光学レンズの必要性が残る。 また、そのような多焦点レンズを製造するのに適した方法の必要性が残る。
    【0013】
    本発明の目的は、能動性の多焦点レンズを提供することである。
    【0014】
    本発明のさらなる目的は、軸方向に整列した二重の像を生成しない多焦点レンズを提供することである。
    【0015】
    本発明のさらなる目的は、装用者によって一つの集光力からもう一つ集光力へと容易に切り替えることができる多焦点レンズを提供することである。
    【0016】
    本発明のさらなる目的は、能動性の多焦点レンズを製造する方法を提供することである。
    【0017】
    本発明のこれら及び他の目的及び利点は、少なくとも一つのホログラフィー光学素子及び少なくとも一つの合焦素子を含む光学レンズによって提供される。 ホログラフィー光学素子は、ブラッグ条件が満たされたとき入射光の100%までを回折させる有限の光線受容角範囲を有する干渉縞パターンを特徴とするホログラムである。 好ましい実施態様では、ホログラフィー光学素子は、実質的に中性の合焦力を有する。
    【0018】
    本発明の他の利点は、光学レンズを製造する方法であって、第一の光源光ビームを設ける工程と、第一の光源光ビームを第一及び第二の光ビームに分割する工程とを含む方法によって提供される。 好ましい実施態様では、光ビームはレーザビームであり、ビームスプリッタによって二つのほぼ等しい部分に分割される。 ビームスプリッタによって形成される光ビームの一方が、ホログラムを記録するための参照ビームとして使用される。 対向して位置する第一及び第二の面を有する記録可能なホログラフィー媒体が設けられる。 ホログラフィー媒体の面は、平坦、凹形又は凸形であることができる。 そして、第一及び第二の光ビームを記録可能なホログラフィー媒体の面に送ると、そこで、第一及び第二の光ビームは、記録可能なホログラフィー媒体中に体積格子構造を記録するのに適当な位相関係を有する。
    【0019】
    本発明の前記及び他の目的、利点及び特徴ならびにそれらを達成する方法は、本発明の以下の詳細な説明を、好ましい実施例を示す添付図面と合わせて考慮することにより、より容易に理解されるであろう。
    【0020】
    本発明は、能動性の多焦点眼科用レンズを提供する。 本発明はさらに、眼鏡用の能動性の多焦点レンズを提供する。 本発明はまた、眼内装置にも利用することができる。 以下「光学レンズ」は、ことわりなき限り、眼科用レンズ(眼外装置及び眼内装置)及び眼鏡用レンズの両方を示すために使用する。
    【0021】
    本発明の光学レンズは、使用者によって能動化又は不能動化する(オン又はオフに切り替える)ことができる少なくとも一つの光パワーを提供する。 オン又はオフの切り替えは、ホログラフィー光学素子の使用によって達成される。 ただし、以前のホログラフィーベースの多焦点レンズとは違って、本発明のレンズのホログラフィー光学レンズ素子は、焦点矯正を提供することを意図しない。 代わりに、本発明のホログラフィー光学レンズ素子は、その能動化角の範囲に入る光線を遮断する又は向け直して、それにより、そのような光線が網膜の一次受像器官上に合焦することを防ぐように設計されている。
    【0022】
    概して、ホログラフィーは、光を屈折及び合焦させるための写真様プロセスであり、光波を三次元像に形成することが非常に一般的に知られている。 しかし、三次元物体の形成は、ホログラフィー原理の特別な応用である。 三次元物体を形成しないホログラムが存在する。 本発明のホログラムはそのようなホログラムである。
    【0023】
    ホログラフィーは光の波動理論に基づく。 光は、無線波と同様、電磁放射線の1種である。 無線波と同様、光は、山と谷を有する横波として移動する。 海のうねりや波が横波の動きの良い例である。 山と谷が波長(山と山との間の距離)を決定する。
    【0024】
    ホログラフィーを可能にするタイプの光であるレーザ光は、特殊な種類の光である。 好ましくは、ホログラフィーに使用されるレーザ光は、レーザから発せられる光が同じ波長であり、同相であることを意味する「コヒーレント」である。 換言するならば、レーザビームを構成する光波はすべて山と山との間の距離が同じであり、すべての波が一斉に上下する。
    【0025】
    2本の同一のレーザビームが交差するならば、ビームの波が互いに干渉する。 たとえば、一方のビームからの波の山が他方のビームからの波の山に合致することがある。 この干渉は、レーザビーム同士が交差した具体的な仕方(すなわちビームの角度)を特定する特異な干渉縞パターンを形成する効果を及ぼす。
    【0026】
    干渉縞パターンを記録することができる。 たとえば、干渉縞パターンは、光重合性材料によって記録することもできるし、光重合性材料中にプログラムすることもできる。 記録された干渉パターンを含む構造を、本明細書中、ホログラフィー素子又はより具体的にホログラフィー光学素子(HOE)と呼ぶ。 請求項に係る発明の能動性光学レンズに適したHOEは、透過型体積及び反射型体積HOEである。 透過型体積及び反射型体積HOEを造る方法は当業者には周知であり、本明細書では繰り返さない。 しかし、読者への支援として、以下、透過型及び反射型HOEを簡潔に論じる。
    【0027】
    図1は、透過型体積HOEを造るための記録媒体(UV光重合性光学材料)1における透過干渉縞パターンの記録を表す図である。 UV光重合性光学材料に対して垂直なレーザビームを参照ビーム2と呼ぶ。 参照ビームと斜めに交差するレーザビームを対象ビーム4と呼ぶ。 詳細な説明を通じて、異なる実施態様で構造的及び機能的に等しい光線のような要素は同一の参照番号によって参照する。 この例では、参照ビーム及び対象ビームの両方はUVレーザビームである。 参照ビーム2及び対象ビーム4からの光波の相互作用が、干渉縞パターンとして知られる干渉面を作り出す。 UV参照及び対象ビームによって作り出される干渉縞パターンは、光重合性光学材料中に記録され、光学材料の屈折率の周期的変動として現れる。 屈折率におけるこの周期的変動は体積格子構造6として知られている。 体積格子構造6は光学材料の屈折率における変動であるため、体積格子構造6は、HOE7を通過する光の経路を生じさせる。
    【0028】
    参照ビーム及び対象ビームの角度とホログラフィーの当業者には周知である他の変数とに依存して、HOE7における体積格子構造6は、指定の角度の範囲で光学材料に入射する光波だけを屈折させるようにプログラムすることができる。 この角度は一般に体積格子構造の「能動化角」と呼ばれ、図1(b)に角度αとして表す。 本明細書で使用する「能動化角」とは、入射光の前進方向とHOE面に対して垂直な軸とによって形成される角度によって決まり、入射光がHOEの干渉縞格子構造によって回折されるようなブラッグ条件を満たす入射光の入射角を示す。 能動化角は、一つの値である必要はなく、ある範囲の角度であることもできる。 ブラッグ条件は光学技術で周知であり、たとえば、H. KogelnikによるCoupled Wave Theory for Thick Hologram Gratings、The Bell System Technical Journal, Vol. 48, No. 9, p. 2909-2947(1960年11月)で定義されている。 その中で開示されているブラッグ条件の記載を引用例として組み込む。 ブラッグ条件は、
    cos(Φ−Θ)=K/2B
    と表すことができる。 ただし、K=2π/Λであり、Λ=干渉縞の格子周期であり、Θは入射光の入射角であり、Φは格子の傾き角であり、Bは、B=2πn/λ(nは平均屈折率であり、λは光の波長である)と表すことができる平均伝播定数である。 ブラッグ条件が満たされると、入射光の100%までをコヒーレントに回折させることができる。
    【0029】
    図1(b)は、プレイバック中(すなわち、光がHOEを通して送られるとき)の図1の透過型体積HOE7の作動を説明する。 HOE7の平面に対して垂直であるz軸と、入射光波の前進方向8とが入射角Θを形成する。 入射角Θは能動化角αの範囲内である。 したがって、光波8は、HOE7の事前にプログラムされた体積格子構造6によって回折され、入射角Θとは異なる出射角ρでHOE7を出る。 この光波は能動化角の範囲外であるため、図1(b)に示すように、変化しないままHOE7を通過する。 このようにして、HOE7は、その中を通過する光の経路を選択的に変化させる。
    【0030】
    反射型HOEは透過型HOEに類似している。 二つの間のもっとも顕著な違いは、反射型HOEが、光波を通過させるのではなく、光波を反射するということである。 この作動の違いは、これら2種のHOEが形成される方法の違いによる。
    【0031】
    図2は、反射型HOEの記録を表す図である。 この実施態様では、対象ビーム4は、図1の対象ビームの向きから180゜に調節されている。 この例では、得られる体積格子構造12は、透過型体積HOEの能動化角に匹敵しうる能動化角αを有するという点で、透過型体積HOEの構造に類似している。 次に図2(a)を参照すると、能動化角αの範囲内の入射角Θを有する光波8がHOEに当たると、光波8はHOEによって反射される。 図2(a)に示すように、能動化角の範囲外の光波10は、乱されることなくHOEを通過する。
    【0032】
    図3及び図3(a)は、それぞれ、本発明によって使用される例示的な二焦点コンタクトレンズ14の側面図及び正面図である。 本発明は、例示目的としてのみ二焦点コンタクトレンズを参照して開示する。 本発明の光学レンズは、三以上の光パワーを有することができ、眼鏡用レンズ及び眼内レンズをも包含する。 レンズ14は、第一の合焦力をもつ第一の光学素子16と、第二の合焦力をもつ第二の光学素子18とを有するコンタクトレンズである。 通常、光学素子は、第一の光学素子(又は上寄り光学素子)16が遠方視の矯正のために設計され、第二の光学素子(又は下寄り光学素子)18が近方視の矯正のために設計されているように配置される。 レンズが載る角膜が基本的に球面を有するため、通常この幾何学的配向が使用される。 したがって、装用者が下を見ると(本を読むときなど)、レンズはわずかに上に並進して、装用者は主としてレンズの下半分越しに見るようになる。
    【0033】
    図4及び4(a)は、図3及び3(a)の二焦点レンズの矯正性を示す。 図4では、遠くの物体からの光20が第一の光学素子16によって網膜上の焦点24、より具体的には、網膜のうち最大の視力をもつ区域である陥凹部に合焦される。 同時に、第二の光学素子18が遠くの物体からの光を網膜よりも手前の区域25に合焦させる。 軸方向に整合した二重の像が生成する結果、いずれの像も装用者にとって鮮明には見えない。
    【0034】
    同様に、図4(a)は、図3の二焦点レンズが近くの物体から受ける光22を集光させる方法を示す。 この場合、第一の光学素子16(遠方矯正用)は誤って光を網膜よりも後方の焦点26に合焦させ、第二の光学素子18が正確に像を網膜に集光させる。 ここでもまた、軸方向に整合した像が生成される結果、ぼやけて視える。
    【0035】
    一つの態様で、本発明は、図1(a)又は2(a)に示すタイプの少なくとも一つの透過型又は反射型HOEと、図3に示すような少なくとも一つの合焦素子とを含む光学レンズを包含する。 好ましい実施態様では、HOEは、ブラッグ条件が満たされるとき入射光の100%までを回折させる有限の光線受容角範囲を有する干渉縞パターンを特徴とする。 HOEはさらに、実質的に中性の合焦力を有する平レンズであることを特徴とする。 現実には、HOEは、その厚さ及び幾何学形状のせいで、ある程度の固有の光パワーを有する。 しかし、ここでの説明のためには、固有の光パワーは一要素として本発明の教示に含めることが容易であるため、本発明の説明を簡素化するためにHOEレンズの光パワーを無視する。
    【0036】
    図5及び5(a)は、透過型HOEを使用する本発明の実施態様を示す。 図5では、遠くの物体からの光20は、第一の集光素子16及び第二の集光素子18を含む二焦点レンズ28に送られる。 第一の集光素子16及び第二の集光素子は、図3に関して説明したように機能する。 二焦点レンズ28はまた、第一の透過型HOE30及び第二の透過型HOE32を含む。 図5では、第一の透過型HOE30は、第一の集光素子16の外面に隣接して位置し、第二の透過型HOE32は、第二の集光素子18の外面に隣接して位置する。 しかし、素子の位置は、HOE素子が集光素子の内面に隣接するように逆にしてもよい。
    【0037】
    第一の透過型HOE30は、必要な入射角を有する入射光を回折させる能動化角又はある範囲の能動化角を有する体積格子でプログラムされる。 同様に、第二の透過型HOE32は、必要な入射角を有する入射光を回折させる能動化角又は有限範囲の能動化角を有する体積格子でプログラムされる。 好ましくは、第一及び第二のHOEは、重複しない能動化角又は能動化角の範囲でプログラムされる。
    【0038】
    図5はまた、二焦点レンズ28の装用者が遠くの物体を視ている状況を示す。 遠くの物体からの光20が、第一の透過型HOE30を能動化しない角度で第一の透過型HOE30に当たる。 換言するならば、遠くの物体からの光20は、第一の透過型HOE30の能動化角の範囲外にある入射角を形成する。 遠くの物体からの光20は、第一の透過型HOE30を通過し、目の水晶体(図示せず)の光パワーと組み合わさる第一の合焦素子16にしたがって、目の網膜上に、より具体的には陥凹部上の焦点24に集光する。 しかし、第二の透過型HOE32は、遠くの物体からの光20によって示される入射角を有する光を回折させる能動化角を有する体積格子構造でプログラムされている。 したがって、第二の透過型HOE32は、入射光を回折させて、それを遠くの周囲に対応する網膜区域に送る。
    【0039】
    図5(a)は、装用者が近くの物体を視ている状況を示す。 第二の透過型HOE32は、近くの物体からの光22によって能動化されないようにプログラムされている。 換言するならば、近くの物体からの光22は、第二の透過型HOE32の能動化角の範囲外にある入射角を形成する。 近くの物体からの光22は、第二の透過型HOE32を通過し、目の水晶体(図示せず)の光パワーと組み合わさる第二の合焦素子18にしたがって、目の網膜上に、より具体的には陥凹部上の焦点24に合焦する。 しかし、第一の透過型HOE30は、近くの物体からの光22によって示される入射角を有する光を回折させる能動化角を有する体積格子構造でプログラムされている。 したがって、第一の透過型HOE30は、入射光22を回折させて、それを遠くの周囲に対応する網膜区域に送る。
    【0040】
    能動性二焦点レンズ、より具体的には能動性レンズのHOE部に対する入射光の入射角は、種々の手段によって変化させることができる。 たとえば、能動性レンズを傾けて入射光の入射角を変えることができる(すなわち、レンズの装用者が、頭の位置を維持したままで下を見ることにより、光の入射角を変化させることができる)。 図5(a)に示す、z軸に対するレンズの傾きは、レンズの合焦力を能動的に切り替える方法を示す。 あるいはまた、レンズは、レンズ装用者が眼の一以上の筋肉によって能動的に制御することができる位置制御機構を有することができる。 たとえば、レンズは、レンズの動きを下まぶたで制御することができるようなプリズムバラストを有するように成形することもできる。 図5(a)に示すレンズの能動化角は、本発明を説明しやすくするために誇張されており、したがって、能動性レンズの能動化角は、図5(a)に示す傾斜レンズについて示す角度ほど大きくなくてもよい。 実際、本発明に適したHOEは、ホログラフィー技術で公知のHOEプログラミング方法にしたがって、広い範囲の異なる能動化角を有するようにプログラムすることができる。 したがって、使用者がHOEをオン及びオフに切り替えるために必要な動きの程度(別の言い方をするならば、ある光パワーから別の光パワーに切り替えるために必要な動きの程度)は、各レンズ装用者の設計規準及び必要性に応じて容易に変更することができる。
    【0041】
    本発明のレンズは二以上の光パワーを提供するが、レンズは、軸方向に整合した二重の像を生成しない。 したがって、能動性レンズは、従来の二焦点レンズ、たとえば同心同時二焦点レンズとは違って、ぼやけた像又は不鮮明な像を生成しない。 代わりに、本発明のレンズは、一度に一つの光パワーを使用するだけで、鮮明に視認しうる像を装用者の視線に沿って、より具体的には陥凹部で形成する。
    【0042】
    本レンズのぼやけさせない特徴は、眼に固有の構造を利用するレンズ設計の成果である。 陥凹部の外側の網膜受容器官の密度は陥凹部の中よりも大幅に低いことが知られている。 したがって、実質的に陥凹部の外で集光する(すなわち遠くの周囲に集光する)像は、像が網膜によって不十分にしかサンプリングされず、かつ、レンズ装用者の脳によって周辺視又は像として無視されやすいため、鮮明には視認されない。 視線から8゜ずれただけで対象物に対する人の視力は約20/100に低下するということがわかっている。 本レンズは、前記した能動的に制御する方法で、眼に固有の構造を利用することにより、一度に一つの光パワーから鮮明な像を提供する。 本能動性レンズは、眼に固有の網膜受容器官の構造とHOEレンズにおける異なる範囲の能動化角をプログラムする能力とを利用して、異なる距離に位置する物体の鮮明な像を独自かつ選択的に提供する。 並進二焦点レンズとは対照的に、本能動性レンズは、異なる距離からの像を選択的に提供するのにレンズのわずかな移動しか要らないように設計することが容易である。
    【0043】
    もう一つの実施態様で、本発明は、反射型HOEを利用する。 図6では、遠くの物体からの光20は、第一の集光素子16及び第二の集光素子18を含む二焦点レンズ34に送られる。 第一の集光素子及び第二の集光素子は、本発明の透過型HOE態様に関して記載したものと同じ機能を提供する。 二焦点レンズ34はまた、第一の反射型HOE36及び第二の反射型HOE38を含む。 図6では、第一の反射型HOE36は、第一の集光素子16の外面に隣接して位置し、第二の反射型HOE38は、第二の集光素子18の外面に隣接して位置する。 しかし、素子の位置は、HOE素子が集光素子の内面に隣接するように逆にしてもよい。
    【0044】
    第一の反射型HOE36は、必要な入射角を有する入射光を反射する能動化角又はある範囲の能動化角を有する体積格子でプログラムされている。 同様に、第二の反射型HOE38は、必要な入射角を有する入射光を反射する能動化角又は有限範囲の能動化角を有する体積格子でプログラムされている。 好ましくは、第一及び第二のHOEは、重複しない能動化角又は能動化角の範囲でプログラムされている。
    【0045】
    図6はまた、二焦点レンズ34の装用者が遠くの物体を視ている状況を示す。 遠くの物体からの光20が、第一の反射型HOE38を能動化しない角度で第一の反射型HOE36に当たる。 換言するならば、遠くの物体からの光20は、第一の反射型HOE36の能動化角の範囲外にある入射角を形成する。 遠くの物体からの光20は、第一の反射型HOE36を通過し、目の水晶体(図示せず)の光パワーと組み合わさる第一の集光素子16にしたがって、目の網膜上に、より具体的には陥凹部上の焦点24に集光する。 しかし、第二の反射型HOE38は、遠くの物体からの光20によって示される入射角を有する光を反射する能動化角を有する体積格子構造でプログラムされている。 したがって、第二の反射型HOE38は入射光を反射して、それを眼に入れないようにする。
    【0046】
    図6(a)は、装用者が近くの物体を視ている状況を示す。 近くの物体からの光22は、第二の反射型HOE38を能動化しない角度で第二の反射型HOE38に当たる。 換言するならば、近くの物体からの光22は、第二の反射型HOE38の能動化角の範囲外にある入射角を形成する。 近くの物体からの光22は、第二の反射型HOE38を通過し、目の水晶体(図示せず)の光パワーと組み合わさる第二の集光素子18にしたがって、目の網膜上に、より具体的には陥凹部上の焦点24に合焦する。 しかし、第一の反射型HOE36は、近くの物体からの光22によって示される入射角を有する光を反射する能動化角を有する体積格子構造でプログラムされている。 したがって、第一の反射型HOE30は入射光を反射して、それを眼に入れないようにする。
    【0047】
    透過型及び反射型の両方の実施態様で、利用可能な光の一部が陥凹部から奪われる。 しかし、瞳孔がすぐに広がって陥凹部への光の損失を補うため、この光の損失は、使用者の視力に対して無視しうる影響しか及ぼさない。 したがって、陥凹部に到達する光の強さは実際には一定になる。
    【0048】
    本発明に適したHOEは、たとえば、重合性又は架橋性の光学材料、特に流体光学材料から製造することができる。 本明細書で使用する「流体」とは、材料が流体のように流動することができることをいう。 以下、説明のためだけに、「重合性材料」は、ことわりなき限り、重合性材料及び架橋性材料の両方を示すために使用する。
    【0049】
    好ましくは、HOEを造るために記録媒体として使用される重合性材料は、生体適合性材料である。 本明細書で使用する生体適合性材料とは、対象者の生物学的組織の中に埋め込まれた又はそれに隣接して配置されたとき、認めうるほどに劣化しないし、有意な免疫反応又は有害な組織反応(たとえば、中毒反応又は有意な刺激)を誘発しないポリマー材料をいう。 本発明に適したHOEを製造するために使用することができる生体適合性材料の例は、引用例として本明細書に取り込む、Beat Mullerへの米国特許第5,508,317号(Mullerの317号)及びMuhlebachへの国際特許出願PCT/EP96/00246で論じられており、さらに以下で論じる。
    【0050】
    適当な生体適合性光学材料は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンの誘導体及びコポリマーを含む、光架橋性又は光重合性が高い光学材料である。
    【0051】
    本発明にしたがって、適当なHOE記録媒体は、比較的急速に光重合又は光架橋させることができる重合性及び架橋性の光学材料である。 急速に重合可能な光学材料の中で屈折率の周期的変動を生じさせることができる。 このようにして、光学材料を重合させて固体光学素子を形成する間に体積格子構造を形成することができる。 本発明に適した急速に重合する光学材料の群の例は、Mullerの317号に開示されている。 Mullerの317号に記載されている急速に重合する光学材料の好ましい群は、1,3−ジオール単位の一定の割合が、重合性ではあるが重合していない基を2位置に有する1,3−ジオキサンに変性されている、1,3−ジオール基本構造を有する材料である。 重合性光学材料は、好ましくは、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基の数に基づいて約0.5%〜約80%の式Iの単位を含む、少なくとも約2000の重量平均分子量M Wを有するポリビニルアルコールの誘導体である。
    【0052】
    【化1】

    【0053】


    式中、


    Rは、炭素原子8個までを有する低級アルキレンであり、


    1は、水素又は低級アルキルであり、


    2は、好ましくは炭素原子25個までを有するオレフィン性不飽和電子求引性共重合性基である。 R

    2は、たとえば、式R

    3 −CO−のオレフィン性不飽和アシル基である。 式中、


    3は、炭素原子2〜24個、好ましくは2〜8個、特に好ましくは2〜4個を有するオレフィン性不飽和共重合性基である。


    【0054】


    もう一つの実施態様では、基R

    2は、式IIの基である。


    【0055】


    【化2】


    【0056】


    式中、qは、0又は1であり、


    4及びR

    5は、互いに独立して、炭素原子2〜8個を有する低級アルキレン、炭素原子6〜12個を有するアリーレン、炭素原子6〜10個を有する飽和した二価の脂環式基、炭素原子7〜14個を有するアリーレンアルキレンもしくはアルキレンアリーレン、又は炭素原子13〜16個を有するアリーレンアルキレンアリーレンであり、


    3は、上記で定義したとおりである。


    【0057】


    低級アルキレンRは、好ましくは、炭素原子8個までを有し、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。 適当な例は、オクチレン、ヘキシレン、ペンチレン、ブチレン、プロピレン、エチレン、メチレン、2−プロピレン、2−ブチレン及び3−ペンチレンを含む。 好ましくは、低級アルキレンRは、炭素原子6個まで、より好ましくは炭素原子4個までを有するものである。 メチレン及びブチレンが特に好ましい。 R

    1は、好ましくは水素又は炭素原子7個まで、特に4個までを有する低級アルキルである。 水素がR

    1の特に好ましい実施態様である。


    【0058】


    4及びR

    5に関して、低級アルキレンR

    4又はR

    5は、好ましくは炭素原子2〜6個を有し、好ましくは直鎖状である。 適当な例は、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、ジメチルエチレン及び特に好ましくはエチレンを含む。 アリーレンR

    4又はR

    5は、好ましくは、非置換であるか、又は、低級アルキル若しくは低級アルコキシによって置換されたフェニレン、特に1,3−フェニレンもしくは1,4−フェニレン又はメチル−1,4−フェニレンである。 飽和した二価の脂環式基R

    4又はR

    5は、好ましくは、シクロへキシレン又はシクロヘキシレン低級アルキレン、たとえば、非置換であるか、又は、1個以上のメチル基によって置換されているシクロへキシレンメチレン、たとえばトリメチルシクロヘキシレンメチレン又は二価のイソホロン基である。 アルキレンアリーレン又はアリーレンアルキレンR

    4又はR

    5のアリーレン単位は、好ましくは、非置換であるか、又は、低級アルキル若しくは低級アルコキシによって置換されているフェニレンであり、そのアルキレン単位は、好ましくは低級アルキレン、たとえばメチレン又はエチレン、特にメチレンである。 したがって、このような基R

    4又はR

    5は、好ましくはフェニレンメチレン又はメチレンフェニレンである。 アリーレンアルキレンアリーレンR

    4又はR

    5は、好ましくは、アルキレン単位中に炭素原子4個までを有するフェニレン−低級アルキレン−フェニレン、たとえばフェニレンエチレンフェニレンである。 基R

    4及びR

    5は、それぞれ独立して、好ましくは、炭素原子2〜6個を有する低級アルキレン、非置換であるか、炭素原子2〜6個を有する低級アルキレンによって置換されているフェニレン、非置換であるか、低級アルキルによって置換されているフェニレン、非置換であるか、低級アルキルによって置換されているシクロへキシレンもしくはシクロヘキシレン−低級アルキレン、フェニレン−低級アルキレン、低級アルキレン−フェニレン又はフェニレン−低級アルキレン−フェニレンである。


    【0059】


    本発明に適した重合性光学材料の例のもう一つの群は、Muhlebachへの国際特許出願PCT/EP96/00246に開示されている。 そこに開示されている適当な光学材料は、ポリビニルアルコール中のヒドロキシル基の数又はポリエチレンイミンもしくはポリビニルアミン中のイミンもしくはアミン基の数に基づいて約0.5〜約80%の式IV及びVの単位を含む、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンの誘導体を含む。


    【0060】


    【化3】


    【0061】


    式中、R

    5及びR

    6は、互いに独立して、水素、C

    1 〜C

    8アルキル基及びアリール基又はシクロヘキシル基であり、これらの基は、非置換であるか、又は、置換されており、R

    7は、水素又はC

    1 〜C

    8アルキル基、好ましくはメチルであり、R

    4は、−O−又は−NH−架橋、好ましくは−O−である。 本発明に適したポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンは、約2000〜1,000,000、好ましくは10,000〜300,000、より好ましくは10,000〜100,000、もっとも好ましくは10,000〜50,000の数平均分子量を有する。 特に適した重合性光学材料は、ポリビニルアルコール中のヒドロキシル基の数に基づいて約0.5〜約80%、好ましくは約1〜25%、より好ましくは約1.5〜約12%の、R

    5及びR

    6としてメチル基を有し、R

    7として水素を有し、R

    4として−O−(すなわち、エステル結合)を有する式IVのポリビニルアルコールの水溶性誘導体である。


    【0062】


    本発明に適したHOEのもう一つの群は、従来の体積ホログラフィー光学素子記録媒体から製造することができる。 HOEのための上述した重合性材料の場合と同様に、対象光と平行化参照光とが同時にHOE記録媒体に投射され、その結果、対象光及び参照光の電磁波が干渉縞パターンを形成する。 この干渉縞パターン、すなわち体積格子構造がHOE媒体に記録される。 HOE記録媒体が完全に露光されると、公知のHOE現像法にしたがって、記録されたHOE媒体を現像する。 適当な体積ホログラフィー光学素子記録媒体は、市販のホログラフィー写真記録材料又はプレート、たとえば二色性ゼラチンを含む。 ホログラフィー写真記録材料は、Polaroid社を含む種々の製造業者から市販されている。 しかし、写真記録材料をHOEとして使用する場合には、眼の環境に対する材料の毒物学的影響を考慮しなければならない。 したがって、従来の写真HOE材料を使用する場合には、HOEを生体適合性光学材料に封じ込めることが好ましい(図7参照)。 HOEを封じ込めるのに有用な生体適合性光学材料は、本レンズの第一の合焦素子に適した光学材料を含む。


    【0063】


    本発明の多焦点レンズは、別々に製造されたHOE及び合焦素子から製造することができる。 HOEは、製造されたのち接着剤又は熱によって合焦素子と永久接合されてコヒーレントコンタクトレンズを形成する。 合焦素子は、コンタクトレンズ製造の当業者には周知である技術を使用して製造することができる。 HOEは、前に記し、さらに以下に論じる技術を使用して製造することができる。


    【0064】


    本発明の透過型HOEを製造する方法の例を図8に示す。 光ビーム41を発する光源40、好ましくはレーザ光源、もっとも好ましくはUVレーザ光源が設けられる。 光源の適当な波長は使用するHOEのタイプに依存するが、好ましい波長範囲は300nm〜600nmである。


    【0065】


    光源光ビーム41はビームスプリッタ42に送られる。 ビームスプリッタ42は、光源光ビーム41を二つの部分、好ましくは二つの等しい部分に分割する。 2個のミラー46及び48がビームスプリッタ42の両側に配置されて、光源光ビーム41の一方の分割部2がその元の経路をたどり続け、第一のミラー46に送られ、第二の部分4が第二のミラー48に送られるようになっている。 光ビームの第一の部分2は参照ビームであり、第二の部分4は対象ビームである。 通常、本発明の実施に使用されるビームの出力レベルは、1ビームあたり1〜10mW/cm

    2のオーダである。 当業者は、光部分の機能及び指定を逆にしてもよいことを認識するであろう。 同様に、ビームの出力及びビーム間を分ける角度は、必要に応じて、具体的な状況に依存して調節することができる。


    【0066】


    先に論じた種のホログラフィー記録媒体が記録媒体ホルダ44に設けられている。 説明のため、記録媒体は流動タイプであると仮定し、露光すると非流体光学材料を形成する。 記録媒体ホルダ44は、好ましくは、光に対して実質的に透過性であり、より好ましくはUV光に対して透過性である。 コンタクトレンズ関連では、記録媒体ホルダ44は、一般的なコンタクトレンズ型である。 一般的なレンズ型は、透明又はUV透過性の熱可塑性材料から製造され、2個の型、すなわち、レンズの第一の面を有する1個の型及びレンズの第二の面を有する他方の型を有する。 型は、ホログラフィー記録媒体を平坦、凹形又は凸形の構造に成形することができる。


    【0067】


    2個のミラー46及び48は、参照光ビーム2及び対象光ビーム4を方向付けしてホログラフィー記録媒体に適切な位相で入射させて、ホログラフィー記録媒体の一面から体積格子構造を記録する。 場合によっては、体積格子構造が記録され、HOEが形成されたのち、記録に使用した光設定をオフにし、HOEを後硬化工程に付して、型の中のすべての流体光学材料が完全に重合することを保証する。 たとえば、UV光源を使用してHOEを後硬化させてもよい。 必要ならば、体積格子構造を記録する前にUV光源を使用して光学材料を部分的に硬化させてもよい。 ここでもまた、具体的な状況が工程ごとの正確なパラメータ(たとえば光の出力)を規定する。 HOEを形成したのち、HOEを適切な合焦素子に取り付けてもよい。 配置におけるミラー及びビームスプリッタの位置及び角度を変えると、異なる能動化角を有する非常に多様なHOEを製造することができる。


    【0068】


    同様に、ビームスプリッタ及びミラーを使用して反射型HOEを作ることもできる。 次に、図8(b)を参照する。 光源40が光源ビーム41をビームスプリッタ42に送る。 ビームスプリッタ42は、光源ビーム41を二つの部分、好ましくは二つの等しい部分に分割する。 一方のビームである参照ビーム2が記録媒体ホルダ44の一面に送られる。 2個のミラー48及び46が対象ビーム4を記録媒体ホルダ44の他方の面に送る。 次に、記録媒体を透過型HOEと同じ方法で重合させる。 さらには、当業者は、先に論じた製造方法をほとんど変更せずに使用して眼鏡用レンズを形成することもできることを認識するであろう。


    【0069】


    光ビーム、ビームスプリッタ及びミラーの組み合わせを多くの方法で組み合わせて多数のHOEを作ることができる。 2個のHOE素子を同時に作るために使用されるそのような組み合わせの例を図8(c)に示す。


    【0070】


    光ビーム41を発する光源40、好ましくはレーザ光源、もっとも好ましくはUVレーザ光源が設けられる。 光源光ビーム41はビームスプリッタ42に送られる。 ビームスプリッタ42は、光源光ビーム41を二つの部分、好ましくは二つの等しい部分50及び52に分割する。 第一の部分50は第二のビームスプリッタ56に送られ、第二の部分は第三のビームスプリッタ54に送られる。 第二及び第三のビームスプリッタは逆に、最初の光ビームの第一及び第二の部分を第一及び第二の部分に分割して、4本の光ビーム―2組の参照ビーム及び対象ビーム2及び4ならびに2a及び4a―を生成する。


    【0071】


    2組のミラーが2組の参照ビーム及び対象ビームを記録媒体ホルダ44に送る。 参照ビーム2及び対象ビーム4の第一の組は2個のミラー58及び60によって記録媒体ホルダ44の第一の部分に送られる。 参照ビーム2a及び対象ビーム4aの第二の組は2個のミラー62及び64によって記録媒体ホルダ44の第二の部分に送られる。 そして、先に論じた同じ方法で記録媒体を重合させ、媒体中に体積格子構造を作り出す。


    【0072】


    あるいはまた、本発明のレンズは、HOE又は多数のHOEを多焦点レンズ中に記録することによって製造することができる。 この実施態様では、体積格子構造を多焦点レンズ中に直接記録する。 記録方法は、上述した方法と本質的には同じである。 しかし、レンズの合焦力を決定するとき、ホログラムに当てられるレンズの体積を考慮しなければならない。 同様に、有効量の光吸収化合物(たとえば、UVレーザ光を使用する場合にはUV吸収剤)を型の中で記録媒体に加えて、一方の側から入射する光ビームが型の第二の側寄りに位置する光学材料に対して強い重合影響を及ぼさないようにすることができる。 光吸収剤の添加は、別個のHOE層が形成されることを保証する。 光吸収剤の効力に依存する光吸収剤の有効量及び光吸収剤の量は、光学材料の適切な重合を有意に妨げるほど高くすべきではない。 特に本発明を使用して眼科用レンズを製造する場合、好ましい光吸収剤は生体適合性の光吸収剤であるが、非生体適合性の光吸収剤を使用することもできる。 非生体適合性の光吸収剤を使用する場合、HOEが完全に形成したのち、得られたHOEを抽出して光吸収剤を除去することができる。


    【0073】


    光学材料に適したUV吸収剤の例は、o−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ヒドロキシフェニルサリチレート及び2−(o−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの誘導体、ベンゼンスルホン酸ならびに立体障害アミンを含む。 特に適当なUV吸収剤は、局所的に許容しうるUV吸収剤、たとえば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを含む。 実施例は、UV吸収剤、好ましくはベンゼンスルホン酸誘導体、たとえばベンゼンスルホン酸、2,2−([1,1′−ビフェニル]−4,4−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ジナトリウム塩0.05〜0.2重量%を使用する。


    【0074】


    本発明のもう一つの実施態様として、連続記録方法によって組み合わせHOEを製造することができる。 流体重合性又は架橋性光学材料を入れた、一対の型2個の対を有する閉止した型アセンブリを体積格子構造記録処理に付したのち、形成されたHOE層が一方の型の光学面に付着したままで型アセンブリを開く。 さらなる量の重合性光学材料又は化学的に適合性の第二の重合性光学材料を第一のHOE層の上に配置する。 そして、先に取り外した型よりも大きなキャビティ容積を有する新たな対になる型を第一のHOE層を有する型と嵌合させる。 この新たな型アセンブリを第二の重合処理に付して、HOE素子の上に合焦素子層を形成する。 得られるレンズは、二つの順に形成された隣接する合焦層及びHOE層を有する組み合わせレンズである。


    【0075】


    本発明にしたがって、本発明のHOEは、好ましくは、光の可視スペクトル範囲内のすべて又は実質的にすべての波長に対して少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、もっとも好ましくは少なくとも95%の回折効率を有する。 本発明に特に適当なHOEは、可視光のスペクトルのすべての波長に対して100%の回折効率を有する。 しかし、上記で指定したよりも低い回折効率を有するHOEを本発明に使用することもできる。 さらには、本発明に好ましいHOEは、能動化段と非能動化段との間で、ゆるやかな移行角ではなく鋭い移行角を有して、能動性レンズのわずかな動きによってHOEの能動化及び非能動化を達成することができ、合焦力間の移動中にHOEによって移行的な像が全く又はほとんど形成されないようにする。


    【0076】


    能動性レンズの第一の光学材料としては、ハードレンズ、ガス透過性レンズ又はヒドロゲルレンズに適した光学材料を使用することができる。 能動性眼科用レンズの第一の光学素子に適したポリマー材料は、眼科用レンズ、たとえばコンタクトレンズを製造するのに有用であると知られているヒドロゲル材料、剛性ガス透過性材料及び剛性材料を含む。 適当なヒドロゲル材料は通常、架橋した親水性ネットワークを有し、ヒドロゲル材料の全重量に基づいて約35%〜約75%の水を保持する。 適当なヒドロゲル材料の例は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、一以上のコモノマー、たとえば2−ヒドロキシアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルピロリドン、N−ビニルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、スチレン、エトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシトリメチレンアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリセリルエタクリレート及びジメチルアミノエチルアクリレートとを有するコポリマーを含む。 他の適当なヒドロゲル材料は、メチルビニルカルバゾール又はジメチルアミノエチルメタクリレートを有するコポリマーを含む。 適当なヒドロゲル材料のもう一つの群は、重合性材料、たとえば、Beat Mullerに発行された米国特許第5,508,317号及び国際特許出願PCT/EP96/01265に開示されている改質ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンを含む。 非常に好適なヒドロゲル材料のさらに別の群は、国際特許出願PCT/EP96/01265に開示されているシリコーンコポリマーを含む。 本発明に適した剛性ガス透過性材料は、架橋シロキサンポリマーを含む。 このようなポリマーのネットワークは、適切な架橋剤、たとえばN,N″−ジメチルビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、トリヒドロキシプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート及び他の同様な多官能性アクリレートもしくはメタクリレート又はビニル化合物、たとえばN−メチルアミノジビニルカルバゾールを組み込む。適当な剛性材料は、アクリレート、たとえばメタクリレート、ジアクリレート及びジメタクリレート、ピロリドン、スチレン、アミド、アクリルアミド、カーボネート、ビニル系樹脂、アクリロニトリル、ニトリル、スルホンなどを含む。適当な材料のうち、ヒドロゲル材料が本発明に特に適している。


    【0077】


    本多焦点光学レンズは、従来の二焦点レンズとは違って、レンズの他の光パワーからの光学的干渉を受けず又は実質的に受けずに、一度に一つの所望の光パワーを提供するために能動的及び選択的に制御することができる。 加えて、能動性レンズのHOEのプログラム可能性が、このレンズを、従来の矯正光学レンズによって容易には調節されない非正視状態を矯正するのに非常に適したものにする。 たとえば、能動性レンズは、対象光及び参照光の配置を特異的に設計することにより、不正乱視状態の不等で歪曲した角膜湾曲に対する矯正措置を有するようにプログラムすることもできる。


    【0078】


    先に述べたように、本発明は、眼内レンズの実施態様で使用することができる。 この実施態様では、レンズのHOEは、上記方法にしたがって形成される。 この実施態様と先に論じた実施態様との主な違いは、このレンズが眼に挿入されるように設計されていることである。 このようなレンズ、当該レンズの製造方法及び当該レンズを挿入する方法は一般に当業者に公知である。 これらのレンズ及び製造方法は、いくつかの出版物、たとえば、すべて引用例として本明細書に取り込むMcDonaldへの米国特許第5,776,192号、Tingへの米国特許第5,044,743号、McDonaldへの米国特許第4,595,070号及びKelmanへの米国特許第4,769,035号に記載されている。


    【0079】


    読者が過度の実験をすることなく本発明を実施することができるよう、特定の好ましい実施態様を参照しながら本発明を詳細に説明した。 しかし、当業者は、本発明の範囲及び本質を逸することなく、構成部品及びパラメータの多くをある程度に変更又は改変することができることを容易に認識するであろう。 さらには、標題、見出しなどは、本文書の読者の理解を高めるために設けたものであり、本発明の範囲を限定するものと読むべきではない。 したがって、請求の範囲ならびにその妥当な拡張及び均等物のみが本発明に係わる知的所有権を定義する。


    【図面の簡単な説明】


    【0080】


    【図1】記録媒体における透過干渉縞パターンの記録を表す図である。


    【図1(b)】本発明の透過型体積ホログラフィー光学素子の作動を表す図である。


    【図2】記録媒体における反射干渉縞パターンの記録を表す図である。


    【図2(a)】本発明の反射型ホログラフィー光学素子の作動を表す図である。


    【図3】本発明の実施に使用することができる二焦点レンズの側面図である。


    【図3(a)】本発明の実施に使用することができる二焦点レンズの正面図である。


    【図4】図3に示す二焦点レンズの作動を表す図である。


    【図4(a)】図3に示す二焦点レンズの作動を表す図である。


    【図5】本発明の多焦点レンズの作動を表す図である。


    【図5(a)】本発明の多焦点レンズの作動を表す図である。


    【図6】本発明の多焦点レンズの作動を表す図である。


    【図6(a)】本発明の多焦点レンズの作動を表す図である。


    【図7】本発明の多焦点レンズのさらなる実施態様の図である。


    【図8】本発明の多焦点レンズを製造する方法を表す図である。


    【図8(b)】本発明の多焦点レンズを製造する方法を表す図である。


    【図8(c)】本発明の多焦点レンズを製造する方法を表す図である。

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