眼用レンズ

申请号 JP2004513832 申请日 2003-06-02 公开(公告)号 JPWO2003107076A1 公开(公告)日 2005-10-13
申请人 株式会社メニコン; 发明人 克典 山田; 克典 山田; 小林 敦; 敦 小林; 成億 永井; 成億 永井;
摘要 コンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズであって、良好な光学特性を確保しつつ、十分に薄肉のレンズ形状をもって各種レンズ度数が実現され得る、新規な構造の眼用レンズを提供することを目的とする。そして、本発明は、眼用レンズ10の内部に、少なくとも一対の回折格子(24,24)を形成した、特徴的構成を有する。
权利要求
  • レンズ内部に少なくとも一対の回折面を形成したことを特徴とする眼用レンズ。
  • 屈折率の異なる光学層をレンズ厚さ方向に積層して、それら光学層の界面において前記回折面の少なくとも一つを形成した請求項1に記載の眼用レンズ。
  • 気体または液体が内部に封止されることにより、前記光学層の少なくとも一つが気体層または液体層とされている請求項2に記載の眼用レンズ。
  • 薄肉の固体プレートをレンズ内部に埋設せしめて、該固体プレートによって前記回折面を形成した請求項1乃至3の何れかに記載の眼用レンズ。
  • 前記固体プレートがホログラフィーフィルムである請求項4に記載の眼用レンズ。
  • 前記固体プレートの両側に形成される、該固体プレートと屈折率の異なる光学層との界面によってそれぞれ前記回折面を形成した請求項4に記載の眼用レンズ。
  • 前記回折面が、略同心円状に延びる多数状のパターンで形成されている請求項1乃至6の何れかに記載の眼用レンズ。
  • 前記パターンの径方向での間隔が、径方向外方に行くに従って次第に小さくされている請求項7に記載の眼用レンズ。
  • 少なくとも一つの屈折面が形成されている請求項1乃至8の何れかに記載の眼用レンズ。
  • 前記屈折面が、前記回折面に対してレンズ光軸方向で重なるように形成されている請求項9に記載の眼用レンズ。
  • レンズ中央部分と外周部分の何れか一方に前記屈折面が形成されていると共に、それらレンズ中央部分と外周部分の他方に前記回折面が形成されている請求項9に記載の眼用レンズ。
  • 前記対を為す回折面が、レンズ光軸方向で0.01mm〜1.00mmの距離を隔てて対向位置せしめられている請求項1乃至11の何れかに記載の眼用レンズ。
  • レンズ光軸方向の最大厚さが0.05mm〜1.50mmとされている請求項1乃至12の何れかに記載の眼用レンズ。
  • ロール可能とされて、ロール状態で眼球内に挿入することの出来る眼内レンズである請求項1乃至13の何れかに記載の眼用レンズ。
  • 薄肉の固体プレートをレンズ内部に埋設配置せしめて、該固体プレートによって前記回折面を形成すると共に、光学部を有するレンズ本体から外方に突出して該レンズ本体を前記眼球に対して位置決めする支持部を該固体プレートに一体形成した眼内レンズである請求項1乃至14の何れかに記載の眼用レンズ。
  • 一方のレンズ表面が略球状凹面とされると共に、他方のレンズ表面が略球状凸面とされたコンタクトレンズである請求項1乃至13の何れかに記載の眼用レンズ。
  • 回折面が形成された薄肉の固体プレートを準備する工程と、
    該固体プレートを眼用レンズの成形キャビティにおける所定位置にセットする工程と、
    かかる成形型の成形キャビティに光学層の成形用のモノマ材料を充填する工程と、
    かかるモノマ材料を重合せしめて光学層を形成すると同時に前記固体プレートを該光学層に一体的に固着する工程とを、
    含んで請求項1乃至16の何れかに記載の眼用レンズを製造することを特徴とする眼用レンズの製造方法。
  • 说明书全文

    技術分野本発明は、人眼の視矯正や視力回復のために用いられるコンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズとその製造方法に係り、特に回折面を利用した新規な構造の眼用レンズとその製造方法に関するものである。
    背景技術良く知られているように、人眼において視力を司る晶体は、外傷や生活習慣,遺伝,加齢等の要因によって、その調節能力が低下したり、水晶体自体の透明度等の特性が悪化することがあり、それに伴い、例えば近視,遠視,老視等の屈折異常や白内障等の問題が発生して、有効な視力が得られ難くなる。 そして、そのような場合の処置のために、従来から、眼用レンズが提供されている。 例えば、膜上に装着されるソフトタイプやハードタイプ等のコンタクトレンズや、眼球内に装用される前房レンズや後房レンズ等の眼内レンズが、それである。
    ところで、従来のコンタクトレンズや眼内レンズは、一般に、PMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル系樹脂,ガラス,HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)等といった可視光線の透過率が高く人体に無害の光学材料を用いて形成されて、レンズの表面と裏面に屈折面を設けた屈折レンズとして提供されている。
    ところが、このような屈折レンズにおいては、レンズ度数のディオプタ値がマイナス側或いはプラス側に大きくなると、レンズの最大厚さが非常に大きくなることが避けられない。 そのために、例えばコンタクトレンズの場合には、良好な装用感が得られ難く、装用感を向上させるために全体に薄肉化すると最小厚さ寸法が小さくなり過ぎて強度や耐久性,光学性能の安定性などを十分に確保することが難しくなる等という問題があった。 また、例えば眼用レンズの場合には、レンズ自体の最大厚さ寸法が大きくなることに加えて、眼内に挿入するに際してレンズを折り畳んだりロールする(丸める)ことも難しくなることから、レンズ挿入のために角膜に施す切開創を大きくしなければならなくなり、術後の回復時間が長くなって患者の負担が大きくなったり、術後の角膜乱視が発生し易いなどという問題があった。
    なお、このような問題に対処するために、例えば米国特許第5281294号公報に記載されているように球面状の屈折面を径方向で分割することにより、環状の屈折面をレンズ中心軸回りに多数条分割形成したフレネルレンズを採用することによってコンタクトレンズの最大厚さ寸法を抑えることも考えられるが、屈折型のフレネルレンズでは、レンズ表面に比較的大きな凹凸が形成されていることに起因して、良好な装用感が得られ難いという問題や、凹んだ部分に入った異物を取り除き難く、かかる異物が光学特性や衛生上の問題の原因とならないように取扱い等に注意する必要があった。
    また、米国特許第4828558号公報には、上述の如き屈折型のフレネルレンズの凹凸面を別体形成された被覆プレートで覆うことにより、レンズ表面を平滑化した眼内レンズが開示されているが、結局、従来のフレネルレンズは、例えば灯台の投光器のように、大きな凸レンズの重量と体積を節約するために、それをいくつかの輪帯状のレンズに分割したに過ぎないもので、比較的に大きな凹凸を持ち、凸レンズと略同じ屈折レンズであることから、大きな凹凸を形成するために未だレンズ厚さを十分に小さくすることが難しく、特に凹凸面を別体の被覆プレートで覆うとレンズ厚さが一層大きくなってしまうという問題があった。
    一方、近年では、特開平2−249631号公報に開示されているように、回折作用を利用して目的とするレンズ度数を実現する回折型の眼内レンズが検討されるようになってきている。 回折レンズそのものは、例えば微細な穴や隔壁,突起物,明暗パターン,屈折率変化等の光学的に障害となり得る構造(回折面)をレンズに作り込んだ、従来から公知の光学素子である。 しかしながら、回折レンズは、意図する回折特性を得ることの出来る格子構造の設計とその加工が極めて難しく少なくとも眼用レンズとしての実用化には至っていなかったのであるが、近年になってコンピュータの飛躍的な性能向上と普及に加えて、微細加工技術も急激に進歩したことに伴い、実用可能な技術レベルまで高められてきているのである。
    ところが、回折レンズでは、回折面において複数次数の回折光を生ずることとなり、そのために、正負の高次の回折光が目的とする焦点と異なる位置に集束し或いは発散して、特に眼用レンズでは、コントラストや視認性を低下させてしまうという、重大な問題があったのである。
    ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、レンズ度数に拘わらずレンズ厚さを小さくすることが出来ると共に、レンズ表面を平滑面とすることが可能で、それによって、良好な光学特性を維持しつつ、例えばコンタクトレンズへの適用に際して優れた装用感を達成し得る一方、例えば眼内レンズへの適用に際してロールや屈曲等を行って小さな切開創から眼内に挿入することが可能となる、新規な構造の眼用レンズを提供することにある。
    発明の開示以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。 なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。 また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
    すなわち、本発明の第一の態様は、レンズ内部に少なくとも一対の回折面を形成した眼用レンズを、特徴とする。 このような本態様においては、第一に、眼用レンズにおいて回折作用を利用して目的とする光学特性を得るようにしたことから、従来の屈折作用を利用する眼用レンズ(屈折型のフレネルレンズを含む)に比して、レンズ厚さを十分に小さくすることが出来るのであり、それ故、例えばコンタクトレンズにおいて優れた装用感や強度,耐久性等がレンズ度数に拘わらず安定して実現可能となると共に、例えば眼内レンズにおいて眼内に挿入する際にロールや折り曲げ等で十分に小さくすることにより角膜の切開創を小さく抑えることが可能となる。
    また、回折面をレンズ内部に形成したことから、回折面の構造の如何に拘わらず、レンズ表面を平滑化することが出来るのであり、それ故、レンズ表面の凹凸に起因する安全上や光学上,衛生上のあらゆる問題が回避され得る。
    しかも、回折面を少なくとも一対形成したことにより、対を為す一方の回折面を透過した際に発生する高次の回折光を、他方の回折面を透過させることで集束させることが出来るのであり、その結果、目的とする一次の回折光の集束効率を向上させると共に、高次の回折光を低減させてフレア光を抑えることにより、コントラストや視認性を十分に実用的なレベルまで高めることが可能となるのである。
    なお、本態様で採用される対を為す回折面は、透過光が両方の回折面を順次に透過せしめられるように、光路上で重なる状態で相対的に対向位置せしめることが有効である。 また、本態様において採用される一対の回折面は、高次の回折光を抑えて目的とする一次の回折光の割合を有利に向上させるために、相互に対応する回折特性を備えたものが望ましい。 なお、回折面としては、例えば微細な穴や隔壁,突起物,明暗パターン,屈折率変化等の光学的に障害となり得て、透過光に対して回折作用を及ぼし得る各種の構造が採用可能であり、回折格子等を含む概念である。
    また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る眼用レンズにおいて、屈折率の異なる光学層をレンズ厚さ方向に積層して、それら光学層の界面において前記回折面の少なくとも一つを形成したことを、特徴とする。 本態様においては、光学層の界面を利用して、例えば特開平2−249631号公報に記載されている如き凹凸面形状の回折面や、例えば特開平7−281015号公報に記載されている如き平坦面形状の積層型回折面などを、レンズ内部で光学層を挟んだ両側に対を為す状態で有利に形成することが可能となる。 なお、本態様における光学層は、積層される界面間で相互に屈折率が異なっていれば良く、従って、例えば二種類以上の屈折率を有する光学層を3層以上重ね合わせることによって、界面において一対以上の回折面を形成することが可能である。
    また、本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る眼用レンズにおいて、気体または液体が内部に封止されることにより、前記光学層の少なくとも一つが気体層または液体層とされていることを、特徴とする。 本態様においては、実質的に変形強度を有しない気体層や液体層で光学層が形成されることから、眼用レンズの全体剛性を小さく設定することが可能となり、例えば眼内に挿入する際のロールや折り曲げ等を一層容易に行なうことの出来る眼内レンズ等が有利に実現され得る。
    また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る眼用レンズにおいて、薄肉の固体プレートをレンズ内部に埋設せしめて、該固体プレートによって前記回折面を形成したことを、特徴とする。 本態様においては、固定プレートで回折面が形成されることから、回折面の形状や特性の安定性が向上されて、目的とする光学特性をより高精度に得ることが可能となる。 特に、かかる固体プレートはレンズ内部に埋設配置されることにより生体への直接の接触を回避することが可能であること等から、材料等の選択に際して大きな自由度が実現される。 なお、本態様においても、第三の態様に係る気体層や液体層の光学層を併せて採用することが可能であり、気体層や液体層の光学層を固定プレートによって形成された光学層とレンズ光軸方向で重ね併せて配設することにより、一対或いは二対以上の回折面を形成しても良い。
    また、本発明の第五の態様は、前記第四の態様に係る眼用レンズであって、前記固体プレートがホログラフィーフィルムであることを、特徴とする。 本態様においては、レーザ光や電子線等を利用してフィルム上に回折面を高精度に形成することが出来るのであり、高精度な光学特性が有利に実現可能となる。 しかも、薄肉のフィルム上に形成されることから、眼用レンズの層厚さを十分に薄くすることが出来ると共に、乱視や老視の矯正などに際して、部分的に異なるレンズ度数が要求されるような場合にも、眼用レンズの成形用型等を変更することなく容易に対応することが可能となる。 なお、本態様においても、第三の態様に係る気体層や液体層の光学層の他、第四の態様に係る固体プレートを、適宜に組み合わせて採用することが可能であり、それによって全体として一対或いは二対以上の回折面を形成しても良い。
    また、本発明の第六の態様は、前記第四の態様に係る眼用レンズであって、前記固体プレートの両側に形成される、該固体プレートと屈折率の異なる光学層との界面によってそれぞれ前記回折面を形成したことを、特徴とする。 本態様においては、固体プレートを物理的に挟んだ両側に回折面が形成されることから、それら両回折面の形成面が相互に直接に干渉することが防止されるのであり、それ故、例えば眼用レンズの取扱いに際してレンズを湾曲や屈曲させた際にも、回折面が相互に直接に干渉して損傷するようなこともない。
    また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係る眼用レンズにおいて、前記回折面が、略同心円状に延びる多数状のパターンで形成されていることを、特徴とする。 本態様においては、人眼の屈折異常に対して特に効果的な矯正作用を発揮し得る光学特性が実現可能となる。
    また、本発明の第八の態様は、前記第七の態様に係る眼用レンズにおいて、前記パターンの径方向での間隔が、径方向外方に行くに従って次第に小さくされていることを、特徴とする。 本態様においては、回折面による回折光を目的とする焦点に対して一層効率的に集光させることの出来る眼用レンズがより効果的に実現可能となる。
    また、本発明の第九の態様は、前記第1乃至第八の何れかの態様に係る眼用レンズにおいて、少なくとも一つの屈折面が形成されていることを、特徴とする。 本態様においては、レンズを透過する光線に対して、回折面による回折作用と屈折面による屈折作用が重ねて及ぼされるのであり、それにより、回折作用に基づく光学特性と屈折作用に基づく光学特性を相補うように利用して、目的とする光学特性をより高度に且つ容易に実現することが可能となる。
    また、本発明の第十の態様は、前記第九の態様に係る眼用レンズであって、前記屈折面が、前記回折面に対してレンズ光軸方向で重なるように形成されていることを、特徴とする。 このような本態様においては、光学特性の一つとしての色収差に関して、回折作用と屈折作用で反対方向の収差が発生することから、それらを相殺させるようにして、色収差を低減することも可能となる。
    また、本発明の第十一の態様は、前記第九の態様に係る眼用レンズであって、レンズ中央部分と外周部分の何れか一方に前記屈折面が形成されていると共に、それらレンズ中央部分と外周部分の他方に前記回折面が形成されていることを、特徴とする。 このような本態様にあっては、大きなレンズ度数(マイナス側とプラス側の何れも含む)の眼用レンズにおいて、中央部分と外周部分の何れか、目的とするレンズ度数を屈折作用で得ようとすると厚肉となる一方の側で回折面を利用することにより、眼用レンズの最大厚さを抑えることが出来ると共に、それ程厚肉とならない他方の側で屈折力を利用することにより、高度な集光効果等という屈折レンズによる利点が享受され得る。
    また、本発明の第十二の態様は、前記第一乃至第十一の何れかの態様に係る眼用レンズにおいて、前記対を為す回折面を、レンズ光軸方向で0.01mm〜1.00mmの距離を隔てて対向位置せしめたことを、特徴とする。 本態様においては、対を為す一方の回折面による高次の回折光を他方の回折面で集束させて、両者によって一次の回折光を一層効率的に得ることが可能となる。
    また、本発明の第十三の態様は、前記第一乃至第十二の何れかの態様に係る眼用レンズにおいて、レンズ光軸方向の最大厚さを0.05mm〜1.50mmとしたことを、特徴とする。 本態様においては、レンズの厚さ寸法だけでなくレンズの重量も十分に小さく抑えることが出来るのであり、それによって、コンタクトレンズと眼内レンズの何れにおいても、良好な装用性や装用状態下での安定性などが高度に達成され得る。 なお、本態様において、より好ましくは、レンズ光軸方向の最大厚さが0.10mm〜1.00mmとされる。
    また、本発明の第十四の態様は、前記第一乃至第十三の何れかの態様に係る眼用レンズであって、ロール可能とされて、ロール状態で眼球内に挿入することの出来る眼内レンズであることを、特徴とする。 本態様に従う構造とされた眼内レンズにおいては、前記第一乃至第十三の何れかの態様に従う特性構造の眼用レンズを採用したことにより薄肉で小径にロールすることが出来るのであり、それ故、眼球内に挿入するに際しての角膜への切開創を十分に小さくすることが可能となって、患者の負担も軽減され得るのである。
    また、本発明の第十五の態様は、前記第一乃至第十四の何れかの態様に係る眼用レンズであって、簿肉の固体プレートをレンズ内部に埋設配置せしめて、該固体プレートによって前記回折面を形成すると共に、光学部を有するレンズ本体から外方に突出して該レンズ本体を前記眼球に対して位置決めする支持部を該固体プレートに一体形成した眼内レンズであることを、特徴とする。 本態様に従う構造とされた眼内レンズにおいては、固定プレートで回折面を形成したことにより、回折面の特性が安定して発揮されて目的とする回折効果を高精度に得ることが出来ると共に、かかる固定プレートを巧く利用することにより、眼内レンズを眼内の所定位置に保持せしめる支持部を、容易に且つ高強度に形成することが可能となるのである。
    また、本発明の第十六の態様は、前記第一乃至第十三の何れかの態様に係る眼用レンズであって、一方のレンズ表面が略球状凹面とされると共に、他方のレンズ表面が略球状凸面とされたコンタクトレンズであることを、特徴とする。 本態様に従う構造とされたコンタクトレンズにおいては、前記第一乃至第十三の何れかの態様に従う特性構造の眼用レンズを採用したことにより、薄肉で且つレンズ内外面に適当な略球面形状を大きな自由度で設定することが出来るのであり、それ故、良好な光学特性を確保しつつ、優れた装用感が容易に実現可能となるのである。
    さらに、上述の如き本発明の第一乃至第十六の何れかに係る眼用レンズの製造方法に関する本発明の特徴とするところは、(a)回折面が形成された薄肉の固体プレートを準備する工程と、(b)該固体プレートを眼用レンズの成形キャビティにおける所定位置にセットする工程と、(c)かかる成形型の成形キャビティに光学層の成形用のモノマ材料を充填する工程と、(d)かかるモノマ材料を重合せしめて光学層を形成すると同時に前記固体プレートを該光学層に一体的に固着する工程とを、含んで眼用レンズを製造することを、特徴とする。
    このような本発明方法に従えば、回折面を備えた固体プレートに対して、別の光学層を高精度に密接状態で積層形成することが出来るのであり、それ故、内部に少なくとも一対の回折面を備えた眼用レンズを、容易に且つ高精度に製造することが可能となるのである。
    また、本発明方法に従えば、固体プレートの表面にミクロンオーダやサブミクロンオーダの如き微小な凹凸が付されているような場合でも、固定プレートの表面に高度な密着状態で光学層を形成することが出来るのであり、それ故、固体プレートとその表面に形成される別の光学層との界面に凹凸等による回折面が形成される場合でも、目的とする回折効果を安定して得ることが可能となる。
    発明を実施するための最良の形態以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
    先ず、第1図及び第2図には、本発明の第一の実施形態としての眼内レンズ10が、正面図および右側面図として概略的に示されている。 これらの図から明らかなように、眼内レンズ10は、レンズ本体となる光学部12と、眼内において該光学部12を位置決め支持せしめる支持部14,14を含んで、構成されている。
    より具体的には、光学部12は、所定厚さの略円板形状を有している。 一方、支持部14,14は、細長いロッド形状を呈しており、光学部12における周縁部の互いに径方向で対向位置する2箇所から、それぞれ接線方向に傾斜して、互いに反対方向に向かって所定寸法で延び出して形成されている。 また、これら一対の支持部14,14の先端部分は、光学部12の周方向に湾曲して延びるように成形されており、各先端縁部が無接続の自由端とされている。
    また、光学部12は、第3図に縦断面図が示されているように、薄肉の略円板形状を有する固体プレートとしての中央プレート16と、該中央プレート16を厚さ方向両側から挟み込むようにして重ね合わせられた一対のカバー層18,18を含んで構成されている。 これら中央プレート16とカバー層18,18は、何れも可視領域の光線に対して透光性を有しており、全体として3つの光学層を構成している。
    特に、中央プレート16は、第4図に正面図が示されているように、表裏両面に対して、中心軸20の回りに同心的に延びる多数の微小の環状凹凸を形成することにより、全体としてキノフォーム様の光学素子とされている。 また、中央プレート16には、外周縁部から外方に向かって突出する状態で、前記一対の支持部14,14が一体形成されている。 即ち、本実施形態では、中央プレート16が一対の支持部14,14を備えた一体成形品にて構成されているのである。
    そして、この中央プレート16を全体に亘って覆うように被覆材22が設けられており、かかる被覆材22によって、中央プレート16の表裏両面には、それぞれの面を密着状態で覆う略円板形状の一対のカバー層18,18が形成されている。 また、この被覆材22は、中央プレート16を、その表裏両面だけでなく外周面も含めて覆っており、一対のカバー層18,18が外周縁部で相互に連結されて一体形成されている。 そして、中央プレート16と被覆材22によって協働して、全体として略一定厚さ寸法を有する円板形状の光学部12が構成されている。 また、被覆材22を貫通して、中央プレート16に一体形成された一対の支持部14,14が外部に突出位置せしめられている。
    このように、キノフォーム様の光学素子とされた中央プレート16の表裏両面に対してカバー層18,18が密着状態で重ね合わされて形成されることにより、中央プレート16の表裏両面とカバー層18,18との界面24,24において、回折作用を発揮する回折面としての回折格子が形成されている。 なお、図面上では判り易くするために、中央プレート16の表裏両面における凹凸を誇張して図示しているが、実際には、目的とする回折効果が発揮されるように、一般に、公知の下式などに従って設計されることとなる。
    Rm=√(m λ +2mλ
    但し、Rmは、フレネル形状で同心的に周方向に延びる各輪帯のレンズ中心軸20からの半径寸法(輪帯半径)であり、mは各輪帯の径方向幅寸法であり、λ は設計波長であり、fは焦点距離である。 従って、一つの焦点距離を得る場合には、一般に、各輪帯の径方向幅寸法:mの値は、径方向外方に行くに従って小さくなるようにされる。
    そして、上述の如き構造とされた眼内レンズ10は、例えば第5図に示されているように人眼26の角膜28の一部を切開して、そこから眼内に差し入れることにより、図示されている如き後房や、或いは前房内の光路上に収容状態で装着されることとなる。 なお、かかる装着状態下では、一対の支持部14,14が嚢などの眼組織に当接せしめられて、光学部12を眼内の所定位置に支持せしめるようにされる。
    そこにおいて、本実施形態の眼内レンズ10においては、光路上で中央プレート16を挟んで重ね合わせられた状態で対向配置された一対の回折格子による回折作用の結果、透過光の目的とする焦点への集光が効率的に実現され得て、目的とするレンズ度数が有利に実現され得ると共に、優れたコントラストや視認性も発揮されるのである。
    しかも、上述の如き眼内レンズ10では、回折作用を利用していることから、屈折作用を利用する従来構造の眼内レンズに比して最大厚さを十分に小さくして全体を略一定厚さの薄肉のプレート形状とすることが出来るのであり、それ故、ロール状に巻いたり、折り畳むようにして湾曲乃至は屈曲させることによって、十分に小さくすることが容易となる。 従って、眼内に挿入する際に角膜等に形成される切開創を小さく抑えることが可能となって患者の負担が大幅に軽減され得るのである。
    また、特に本実施形態の眼内レンズ10においては、中央プレート16の表裏両面に回折格子が形成されていることから、回折格子が互いに或いは他部材に対して干渉することがなく、眼内レンズ10の変形等に際しても回折格子の形状が高精度に維持されて、目的とする光学特性が安定して発揮され得るのである。
    更にまた、回折格子を形成するための凹凸が付された中央プレート16の表裏両面は、カバー層18によって前面が覆われており、カバー層18で形成された眼内レンズ10自体の表裏両面は、何れも十分に平滑な面とされていることから、レンズ表面への異物の付着に起因する光学特性の低下や、レンズ表面の生組織への接触に起因する人体への悪影響なども、有利に回避され得るのである。
    加えて、本実施形態の眼内レンズ10では、一対の支持部14,14が、光学部12を形成する中央プレート16と一体形成されていることから、支持部14を光学部12に後固定するための微細加工が不要となって眼内レンズ10の製造が容易になると共に、支持部14,14の光学部12への取付部位における強度も有利に且つ安定して得ることが出来る。 なお、支持部14,14の具体的形状は、何等限定されるものでないことは、言うまでもない。 また、眼内レンズ10の外周縁部を補強や保護等したり、或いは中央プレート16から別体形成された支持部14,14を高強度に取り付けるなどの目的で、眼内レンズ10の光学部を除く外周縁部だけを補強する補強被覆材など、各種の付加的な構成は、必要に応じて適宜に採用可能である。
    なお、上述の如き構造とされた眼内レンズ10において光学部12や被覆材22を与える材料としては、可視光線に対する透明性が高く可撓性を有するものが望ましく、人体への影響等を考慮して従来から公知のものが適宜に用いられ得ることとなる。 そこにおいて、回折の他、反射や屈折等まで考えて、中央プレート16とカバー層18における屈折率の相違についても考慮することが望ましく、例えば、光学部12とカバー層18に関して、屈折率が1.40〜1.70程度の高屈折率の材料と、屈折率が1.32〜1.60程度の低屈折率の材料を組み合わせて、回折格子の両側で屈折率が異なるように設定することが望ましい。
    具体的に例示すると、光学部12や被覆材22としては、何れも、高屈折率の材料として、ポリカーボネート,ポリイミド,PMMAや芳香族を有する(メタ)アクリレート等が好適に採用される一方、低屈折率の材料として、シリコン系ラバー,PMMAやフッ素を含有する(メタ)アクリレート等が好適に採用される。
    更にまた、前記実施形態では、中央プレート16が固体プレート材で形成されていたが、その他、かかる中央プレート16は、被覆材22で完全に被覆することで外部から遮断された内部の密閉領域に配設されることから、例えば気体や液体からなる光学層で形成することも可能である。 その場合には、かかる中央プレート16の材料として、例えば高屈折率のものとしては、アニリンやグリセリン,四塩化炭素,ジヨードメタン,セダ油,パラフィン油,ブロモナフタレン,ベンゼン等が好適に採用される一方、被覆材22としては、シリコンオイル,エチルアルコール,ジエチルエーテル,水,メチルアルコール,空気等が好適に採用される。
    なお、前述の如き材料から目的とする眼内レンズ10を製造するに際しては、例えば、中央プレート16を単体で製作し、その後、該中央プレート16の周囲にカバー層18を形成する手法が、好適に採用される。
    そこにおいて、中央プレート16は、目的とする表裏面を与える成形面を有する成形キャビティを備えた成形型を用いて射出成形することも考えられるが、表裏面の微細な凹凸を高精度に形成するために、射出圧縮成形や射出プレス成形が好適に採用される。 また、平坦な表裏面を備えた中央プレート16の基板を成形した後、その表裏面にレーザ光等を利用した後加工を施すことにより、目的とする凹凸を形成して中央プレート16とすることも可能である。 或いはまた、目的とする表裏面を与える成形面を有する成形キャビティにモノマ材料を充填し、紫外線照射や加熱等の重合処理を施すことによって中央プレート16を成形することも可能である。 なお、中央プレート16は、一対の支持部14,14を一体的に備えた一体成形品として形成されることとなる。
    そして、このようにして得られた中央プレート16を、目的とする被覆材22の外形形状に対応した成形面を有する成形キャビティを備えた成形型にセットする。 なお、かかるセットに際しては、例えば中央プレート16に一体形成された一対の支持部14,14を成形型で挟持することにより、中央プレート14を成形キャビティ内の略中央部分に位置決め保持せしめる。 そして、かかる状態下で被覆材22の成形材料を成形キャビティに充填して成形固化せしめることにより、中央プレート16の表裏面にカバー層18,18が一体的に形成された目的とする眼内レンズ10を得ることが出来る。
    なお、被覆材22の成形は、射出成形等によって行なうことも可能であるが、例えば被覆材22の成形用モノマ材料を成形キャビティに充填し、その後、紫外線照射や加熱等の適当な重合処理を施すことによって被覆材22を形成することが望ましく、それによって、中央プレート16の表裏面に形成された微細な凹凸にまで入り込んで密着状態とされたカバー層18を容易に且つ安定して製造することが可能となる。
    以上、本発明の一実施形態としての眼内レンズ10について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は係る実施形態の具体的な記載によって何等限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。
    例えば、第6図及び第7図に示されているように、中央プレート16の中心軸20上に所定径の透孔32を形成し、この透孔32に被覆材22を充填することによって、光学部12の中央部分において、被覆材22の単層からなる屈折型の光学レンズ34を形成しても良い。 このような本発明の第二の実施形態としての眼内レンズ36においては、中央部分に屈折面38,38を有する光学レンズ34が形成されていると共に、外周部分に回折格子を有する光学レンズ40が形成されており、それらが協働して目的とする光学特性を発現するようになっている。
    本実施形態の眼内レンズ36においては、レンズの最大厚さを抑えつつ、屈折型の光学レンズ34を採用することが可能であり、それによって、例えば、回折型レンズに比して設計が容易で技術が高度に確立されている屈折型レンズを用いて光学特性の設計自由度を大きく確保することが出来るという利点があると共に、二つの光学レンズ34,40に対して互いに異なる焦点距離を設定することにより、バイフォーカルレンズや多焦点レンズが有利に実現され得る。 更にまた、眼内レンズ38の中央部分が単一材で形成されることから、中央プレート16が軟質材や気体,液体等である場合でも、眼内レンズ38の湾曲性を十分に確保しつつ、全体強度を有利に得ることが出来ると共に、中央の光学レンズ34によって一層安定した光学特性が発揮されるといった利点もある。
    また、第8図に示されている、本発明の第三の実施形態としての眼内レンズ42においては、中央プレート16と各カバー層18,18との界面24,24および各カバー層18,18で形成された光学部12のレンズ表裏面44,44の何れもが、全体として凸レンズ形状を与えるように中心軸20上で軸方向外方に向かって略球面状に凸とされている。
    このような本実施形態の眼内レンズ42においては、界面24,24に形成された一対の回折格子の回折作用に加えて、それら界面24,24やレンズ表裏面44,44による屈折作用が発揮されることとなり、回折作用と屈折作用の両者を適当に調節することが出来ることから、光学特性の調節自由度が大きくなる。
    また、第9図に示されている、本発明の第四の実施形態としての眼内レンズ46においては、光学部12の内部に2枚の中央プレート16,16が埋設されており、それら中央プレート16,16と3つのカバー層18,18,18によって、合計5つの光学層が、中心軸20の方向に積層形成されている。
    このような本実施形態の眼内レンズ46においては、各中央プレート16と各カバー層18の界面24において、合計2対の回折格子が形成されており、各対を為す回折格子が互いに光線の透過方向(中心軸20の方向)で重ね合わせられて対向配置されていることから、それぞれの回折格子による回折効果が有効に発揮されて全体として大きな回折作用が発揮されると共に、高次の回折光が抑えられて、全体として目的とする1次の回折光を高効率に得ることが可能となるのである。 また、本実施形態の眼内レンズ46は、前記第三の実施形態と同様に、全体として凸レンズ形状とされて界面24,24やレンズ表面44,44で屈折面が形成されていることから、回折作用に加えて屈折作用による光学効果も発揮され得る。
    また、第10図に横断面説明図が示されている、本発明の第五の実施形態としての眼内レンズ48は、界面24を形成する中央プレート16およびカバー層18の両者に形成された回折格子が、中心軸20の回りで同心円状とされているが、互いに直交する径方向でピッチ(輪帯半径および輪帯幅寸法)が異ならせられている。 このように輪帯半径等を部分的に異ならせることによって、円柱レンズ度数を設定したり、部分的に異なるレンズ度数を付与して多焦点レンズ等を実現することも可能となるのである。
    また、第11図に横断面図が示されている、本発明の第六の実施形態としての眼内レンズ50は、中心軸20回りの周方向で部分的に中央プレート18が配設されている。 即ち、中央プレート18は、所定の中心角を有する扇形の平面形状とされた分割プレート52,52から構成されている。 また、光学部12において、これら分割プレート52,52が配設されていない部分は、被覆材22のみから形成された単体レンズとされており、図面上で必ずしも明確ではないが、例えば屈折型の光学レンズが形成されている。 このように回折格子を周方向で部分的に形成することにより、局部的に異なるレンズ度数を設定することが可能となり、レンズの設計自由度が大きくされ得、例えばバイフォーカルレンズや多焦点レンズ等の設計に有利となる。
    また、第12図に縦断面図が示されている、本発明の第七の実施形態としての眼内レンズ56は、中央プレート16としてホログラフィーフィルムを採用した場合の概略図である。 即ち、ホログラフィーフィルムを用いると、極めて薄肉のフィルムに物理的な凹凸を付することなく回折面としての回折格子を形成することが可能であり、感光性のフィルム(フォトリフラクティブ結晶からなるフィルムを含む)に対して光(レーザや電子線を含む)を照射して所定パターンの回折格子を形成することが出来るのである。 それ故、所定の回折格子を形成したホログラフィーフィルムからなる中央プレート16,16の一対を中心軸20の方向で対向配置するようにして光学部12内に埋設することにより、第一の実施形態と同様な効果を得ることが出来るのである。 しかも、ホログラフィーフィルムを採用することにより、回折格子を一層高精度に形成することが出来ると共に、回折格子の変更も容易となる等の利点がある。
    さらに、第13図には、本発明の第八の実施形態としてのコンタクトレンズ58の縦断面図が示されている。
    かかるコンタクトレンズ58は、全体が光学部12から構成されており、この光学部12の表面は、略球状の凸面形状とされている一方、該光学部12の裏面は、略球状の凹面形状とされている。 また、かかる光学部12には、第一の実施形態と同様に、中央プレート16が設けられており、該中央プレート16の全体が被覆材22で覆われて、被覆材22の内部に中央プレート16が埋設配置されている。 これにより、コンタクトレンズ58が、中央プレート16と、被覆材22で形成されて中央プレート16の表裏に重ね合わされた一対のカバー層18,18からなる3つの光学層を有する積層構造をもって形成されている。
    そこにおいて、中央プレート16は、全体として略球状の湾曲形状とされているが、第一の実施形態と同様に、表裏両面に対して、中心軸20を中心とする同心円状に延びる多数状の凹凸が形成されてキノフォーム様の光学素子とされている。 また、カバー層18,18も、全体として略球状の湾曲形状とされているが、第一の実施形態と同様に、中央プレート16の表裏両面に対して密着状態で重ね合わされて形成されており、それによって、中央プレート16の表裏両面とカバー層18,18との界面24,24において、回折作用を発揮する一対の回折格子が形成されている。
    なお、コンタクトレンズ58の表裏面を形成するカバー層18,18の外面は、何れも全体に亘って平滑な湾曲表面とされていることや、中央プレート16の表裏両面の凹凸は、図面上では判り易くするために誇張して図示していること等は、何れも、第一の実施形態と同様である。 また、本実施形態において、中央プレート16および被覆材22の材質や、コンタクトレンズ58の製造方法等についても、第一の実施形態のものに従う。
    このような構造とされたコンタクトレンズ58においては、第一の実施形態と同様に、中央プレート16とカバー層18,18の各界面24,24に形成された一対の回折格子における回折作用に基づいて、所定のレンズ度数を有する光学素子として機能し得るのであり、しかも、回折作用を利用したことによって、設定するレンズ度数に拘わらず、コンタクトレンズ58の厚さ寸法を十分に小さくすることが可能となって、優れた装用感や耐久性,強度等が有利に達成され得るのである。
    なお、本実施形態のコンタクトレンズ58においても、前記第二の実施形態の如く部分的に、或いは第三の実施形態の如く全体的に、屈折面を形成して屈折作用を併せて利用するようにしても良い。 また、前記第四の実施形態や第五の実施形態の如く、回折作用を周方向等で部分的に異ならせて設定したり、或いは前記第六の実施形態の如く、ホログラフィーフィルムで回折格子を形成することも可能である。
    上述の実施の形態における説明からも明らかなように、本発明に従う構造とされた眼用レンズにおいては、回折面を透光方向で重なるようにして少なくとも一対形成したことにより、従来からの屈折型の眼用レンズに比して、レンズ厚さを十分に小さくすることが出来ると共に、レンズ表面の平滑性を損なうこともないのであり、しかも高次の回折光を抑えて目的とする一次の回折光の集光効率が飛躍的に高められて、良好な視認性やコントラストが実現され得るのである。
    それ故、例えばコンタクトレンズにおいては、目的とする矯正視力を十分に実現しつつ、優れた装用感や強度,耐久性等を、レンズ度数の大小に拘わらず高度に且つ安定して得ることが可能となる。
    また、例えば眼内レンズにおいては、目的とする視力を十分に実現しつつ、眼内に挿入する際にロールや折り曲げ等で十分に小さくすることが可能となって、手術に際しての角膜の切開創を極めて小さく抑えることが可能となるのである。
    さらに、本発明方法に従えば、固定プレートとそれを覆う光学層を、高精度な密着性をもって安定して製造することが出来るのであり、それによって、目的とする回折作用に基づく光学効果を発揮し得る眼用レンズを有利に製造することが可能となるのである。
    産業上の利用可能性本発明は、工業的な生産工程によって製造され得て市場に提供されるコンタクトレンズ等の眼用レンズに係り、新規な構造を備えた眼用レンズおよびかかる眼用レンズの有利な製造方法に関するものである。 従って、本発明が産業の場において利用され得るものであることは明らかである。
    【図面の簡単な説明】
    第1図は、本発明の第一の実施形態としての眼内レンズを示す正面図である。 第2図は、第1図の右側面図である。 第3図は、第1図に示された眼内レンズにおける光学部の縦断面図であって、第1図のIII−III断面に相当する図である。 第4図は、第3図におけるIV−IV断面図である。 第5図は、第1図に示された眼内レンズの人眼への装着状態を示す説明図である。 第6図は、本発明の第二の実施形態としての眼内レンズの光学部を示す縦断面図である。 第7図は、第6図におけるVII−VI断面図である。 第8図は、本発明の第三の実施形態としての眼内レンズの光学部を示す縦断面図である。 第9図は、本発明の第四の実施形態としての眼内レンズの光学部を示す、第4図に対応する断面図である。 第10図は、本発明の第五の実施形態としての眼内レンズの光学部を示す、第4図に対応する断面図である。 第11図は、本発明の第六の実施形態としての眼内レンズの光学部を示す、第4図に対応する断面図である。 第12図は、本発明の第七の実施形態としての眼内レンズの光学部を示す縦断面図である。 第13図は、本発明の第八の実施形態としてのコンタクトレンズを示す縦断面図である。

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