調整可能な眼内レンズ

申请号 JP2015090100 申请日 2015-04-27 公开(公告)号 JP6151297B2 公开(公告)日 2017-06-21
申请人 パワーヴィジョン・インコーポレーテッド; 发明人 ピーター ジェイ.クロポテク;
摘要
权利要求

眼内レンズであって、 変形可能な前側光学面と、前記変形可能な前側光学面の周囲に一体的に、かつ、前記変形可能な前側光学面を支持するように形成された周囲部分と、を有するカバー部と、 変形可能な後側光学面と、前記変形可能な後側光学面の周囲に一体的に、かつ、前記変形可能な後側光学面を支持するように形成された周囲部分と、を有するベース部であって、前記変形可能な前側光学面と前記変形可能な後側光学面との間に光学流体室が形成される、ベース部と、 前記光学流体室内に配置される流体と、 を備え、 前記カバー部と前記ベース部は、それぞれの前記周囲部分の間に前記光学流体室と流体連通する流体溜めを形成し、 前記変形可能な前側光学面及び前記変形可能な後側光学面は、当該眼内レンズが目に移植されると、前記流体溜めから前記光学流体室内への前記流体の移動に応じて前記光学流体室内の流体圧の増大に応じて変形して当該眼内レンズの度を変化させるように構成されていることを特徴とする眼内レンズ。前記光学流体室内の流体量を変更し、当該眼内レンズの度を調整するように前記流体溜めと前記光学流体室との間でポンピングするためのポンプをさらに備えることを特徴とする請求項1の眼内レンズ。前記ポンプは、目の外部に位置するエネルギー源によって駆動することを特徴とする請求項2の眼内レンズ。前記変形可能な前側光学面及び前記変形可能な後側光学面は、それら周囲で接合されて前記光学流体室を形成することを特徴とする請求項1の眼内レンズ。前記変形可能な前側光学面及び前記変形可能な後側光学面の少なくとも一方は、回折パターンを含むことを特徴とする請求項4の眼内レンズ。前記光学流体室と前記流体溜めとの間の流体交換を制限するための弁をさらに備えることを特徴とする請求項1の眼内レンズ。前記変形可能な前側光学面、前記変形可能な後側光学面及び前記流体は、実質的に同一の屈折率を有することを特徴とする請求項1の眼内レンズ。前記変形可能な前側光学面及び前記変形可能な後側光学面は、前記光学流体室における流体圧の増大に応じて曲率を大きくするように構成されることを特徴とする請求項1の眼内レンズ。

说明书全文

本発明は、一般に、眼内レンズに関し、更に詳しくは、個々の目に移植後、いかなる侵襲性の処置をも必要とすることなく、その焦点合わせ性能が外部から調整され得る眼内レンズに関する。

人間の目のレンズ及び膜は、約40ジオプター(D)の屈折を与える角膜と約20Dの屈折力を与えるレンズとの組み合わされたほぼ60Dの屈折力を提供する。白内障のようなある目の病気は、レンズを次第に不透明にする。該不透明度は、一般に、徐々に悪化し、最終的に失明を招き得る。一般に、不透明レンズを外科的に除去し、網膜に対する光の非遮断透過を可能にすることが必要である。しかし、レンズの除去は、レンズが与える実質的な屈折力を目から奪う。

自然のレンズが目から取り去られる場合、目が網膜上に光の焦点を合わせることを助けるため、眼内レンズ(IOL)が目に移植され得る。眼内レンズは、一般に、一又は複数の固定焦点合わせ性能を提供する。一般に、必要な屈折補正は、目へのIOLの移植前に測定される。必要な補正屈折力のそのような手術前の予測は、時には十分に正確ではない。更には、一旦移植されると、IOLは、目内で位置を移し得、それにより、焦点ロスをもたらす。それ故に、移植IOLを有する個人は、所望する視力を得るため、眼鏡のような付加的な補正装置を必要とし得る。

従って、その焦点合わせ性能が原位置で修正され得る眼内レンズを提供することが本発明の目的である。

目への移植後、その焦点合わせ性能が外部から修正され得る眼内レンズを提供することが本発明の別の目的である。

その焦点合わせ性能が選択範囲にわたって調整され得る眼内レンズを提供することが本発明の更に別の目的である。

本発明は、一般に、焦点合わせ性能(焦点合わせ動作)を選択された範囲にわたって調整可能なレンズを提供することにより、上記の及び他の目的を達成する。一実施形態において、本発明は、侵襲性の処置を必要とすることなく、患者の目への移植後に、焦点合わせ性能が調整可能な眼内レンズを教示する。特に、本発明に従うIOL(眼内レンズ)の焦点合わせ性能は、IOLに対し外部源から供給された磁気的又は電気的エネルギーのようなエネルギーの適用により調整可能である。本発明の教示に従う眼内レンズは、流体からの圧力作用の下で変形可能な光学室を含む。IOLは、光学室と流体連通する、光学(的)流体を貯蔵するための溜めを更に含む。弁は、溜めと光学室との間の流体連通を調整する。

ここで用いる用語「光学部品」又は「光学体」は、眼内レンズが光に焦点を合わせることを漸増的に可能にする本発明の眼内レンズ内における構成要素を包含することを企図する。該光学部品は、光学室及びそのような室内の光学流体、並びに、所望により一又は複数の物理的レンズ構造体をも含み得る。ここで用いられる用語「眼内レンズ」は、上述した全ての光学(的)要素(素子)、及びIOLを目に取り付けるために有益な触覚(haptics)のような他の構造体、並びに、後述される他の構造体を包含する。

IOLは、溜めと光学室との間に選択量の光学流体の流れを引き起こすため、目の外部のエネルギー源によって作動可能なポンプを更に含み得る。光学室内への及び/又はそれから外への光学流体の流れは、光学室内の流体量を選択的に変える。光学室室内の流体量の変化は、光学室の可撓(フレキシブル)部分に作用する圧力を変え得、該可撓部分の曲率半径の変化をもたらすか、及び/又は光学室の光学面間の距離を変える。光学室におけるそのような変化は、IOLの焦点合わせ性能の変化に至り得る。

外部エネルギー源は、磁界発生器、電界発生器、又はレーザーのような光子源を含み得るが、これらに限定されない。一の好ましい実施形態において、振動磁界がポンプを駆動するために使用される。別の実施形態において、回転磁界がポンプを駆動するために使用される。

一般に、本発明に有用な光学流体の屈折率は、どのような値をもとり得る。しかし、たいていの実施において、光学流体の屈折率は、ほぼ1.337より大きいものが好ましく選択される。本発明の一の好ましい実施形態は、光学流体として、約1.4の屈折率を有するシリコーンを使用する。

多くの実施において、IOLは、二つの光学的要素を有する光学体を含み得、その内の少なくとも一方は、可撓(軟質)凸状領域を有する。これらの要素は、それらの間に光学室を形成する。そのような実施形態において、ある量の光学流体を上記室内へとポンピングすることは、光学室内の静圧を高め、それ故、該室の可撓領域の曲率半径を低減させる。そのような曲率半径の低減は、該流体の焦点合わせ性能との組合せにおいて、眼内レンズの焦点合わせ性能を高めることとなる。

IOL装置はまた、目内へのレンズの定着を可能にする一又は複数の触覚を含み得る。該触覚はまた、光学室の形状を修正するのに使用する流体の溜めを含み得る。

本発明の一実施形態は、歯車ポンプを使用する眼内レンズを提供する。そのような眼内レンズは、少なくとも光学室を有する光学体を含み、該光学室は、加えられた圧力に応答して変形可能な可撓領域を少なくとも有する。溜めと光学室との間に配置された弁を通じて光学室と流体連通する当該溜めは、選択量の光学流体を貯蔵する。歯車ポンプは、目に対し外部に位置付けられるエネルギー源によって作動されるように構成され、光学室と溜めとの間に弁を通って光学流体を移動させる。

歯車ポンプは、例えばシリコーンゴムから形成された一組の連動歯車を含み得る。該歯車の少なくとも一方は、例えば、シリコーンゴム内に永久磁石を移植することにより、磁気的に回転可能となるように選択される。外部磁界発生器は、上位磁気歯車に回転磁界をかけるために利用され得、その回転を引き起こす。磁気歯車の回転は、次に、他の歯車、すなわち磁気歯車と噛み合う歯車の反対方向の回転を引き起こす。該歯車の組合せ回転は、レンズの溜めと光学室との間の光学流体流を制御する。

本発明の別の好ましい実施形態は、光学流体の光学室と溜めとの間に流体連通を与えるためのぜん動ポンプを使用する。ぜん動ポンプはまた、溜めと光学室との間の光学流体流を調整するための弁を含み得る。外部回転磁界のような磁界が、伝播変形、例えば当該ポンプにおける収縮を誘発することにより、本発明に従うぜん動ポンプを駆動し、これは、溜めと光学室との間に光学流体の流れを引き起こす。従って、ポンプを作動することにより、臨床医(又は被検者)は、IOLの焦点合わせ性能を所望値へと校正又は調整することができる。

本発明の教示に従うぜん動ポンプは、例えば、シリコーンゴムのような弾性材料又は別の高分子エラストマーから形成される管状構造体を有し得る。管状構造体内において伝播収縮を誘発するため、回転磁界が管状構造体にかけられ得るように、フェライト、磁鉄鉱、ニッケルコバルト、ネオジム、ホウ素、サマリウム、鉄又はそれらの材料の組成物又は合金のような多数の磁粉(磁性粒子)が、管状構造体の壁内に分布される。該伝播収縮は、管状構造体内の光学流体を該構造体の一端部から他端部へと流れさせ、これにより、溜めと光学室との間に流体流を誘発する。

本発明の教示に従う眼内レンズの別の実施形態は、膜(ダイヤフラム)ポンプを利用して、光学流体を、光学体内に形成された光学室と光学流体を貯蔵するための溜めとの間に移送する。

膜ポンプは、目の外部に配置されたエネルギー源によって駆動され得る。例えば、膜ポンプは、磁気的に及び/又は電気的に作動され得る。

膜ポンプは、入口開口及び出口開口を有するハウジングを含み得、また更に、ハウジングと機械的に連動するように配置された可撓性(フレキシブル)膜を含み得る。該膜は、シリコーン(Si)、チタン、ステンレス鋼のような材料から形成可能であり、また、少なくとも一の共振振動周波数(共振振動数)を有するように選択され得る。あるいは、該膜は、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)のような弾性材料から形成可能である。該膜の共振振動周波数と実質的にほぼ同じ振動周波数を有する振動磁界は、該膜において大振幅振動を誘発し、これにより、入口及び出口開口間に流体流をもたらす。

本発明の更に別の実施形態において、眼内レンズは、強磁性流体材料を利用するぜん動マイクロポンプを使用可能である。IOLはまた、その間に光学室を形成するベース部及びカバー部を有する光学体を含み得る。カバー部又はベース部の少なくとも一方は、可撓(フレキシブル)領域を有し、これは、加えられた圧力に応答して変形可能である。ベース部は、光学流体を貯蔵するための溜めを含み、また更に、光学流体のための流路を提供することにより、溜めと光学室との間に流体連通を与えるためのチャネルを有する。カバー部は、強磁性流体材料を貯蔵するためのチャネルを有する。ベース部及びカバー部のチャネルは、好ましくは実質的に整列される。ベース部及びカバー部のチャネル間に配置された可撓膜(可撓メンブレン)は、強磁性流体を光学流体から隔離する。強磁性流体材料 は、例えば外部磁気エネルギー源によって外部から駆動可能であり、可撓膜に伝播圧力を与える。該伝播圧力は、次に、該膜の伝播変形を作り出し、溜めと光学室との間に選択量の光学流体の移送を引き起こす。本発明の眼内レンズに使用するのに適した強磁性流体材料は、シリコーン油のような油性強磁性流体、又は磁鉄鉱(Fe3 O4 )、鉄、コバルト、窒化鉄(Pe3 N)から成るナノ粒子の石油蒸留懸濁物を含み得る。

別の側面において、本発明は、少なくとも光学室及び可撓(フレキシブル)領域を有する光学体を備える眼内レンズを提供し、該可撓領域は流体の作用により変形可能である。更に、IOLは、選択量の光学流体を貯蔵するための溜めを含む。溜めは、弁を通じて光学室と流体連通し、該弁は、溜めと光学室との間の光学流体流を調整する。IOLは、溜めと光学室との間に配置され、一端部が回転軸の周りに旋回可能に付けられた少なくとも一の磁石を含む。外部磁気エネルギー源によってかけられた磁界は、上記磁石を動かし得、それをその枢軸点周りに回転させ、それにより、例えば溜めと光学室との間の選択方向に流体流を強制的に流す。IOLはまた、上記第1の磁石の一の極からその他の極へと向けられたベクトルに沿って配置された第2の磁石を含み得、かかる配置は、第1及び第2の磁石の反対の極が互いに近くなるようにされる。これらの磁石は、同一回転軸周りにもかかわらず、外部磁気源によって反対方向に回転されるように駆動され得、溜めと光学室との間に弁を通る光学流体流をもたらす。

本発明の教示に従う別の眼内レンズは、マイクロ(超小型)ポンプを使用し、これは、磁性材料から成る少なくとも一のボールを利用する。そのような磁性材料は、好ましくは軟質であるものが選択され、例えば、シリコーン−鉄合金(2.5%〜6%Si及びFe残余)、又はFe−Co−V−Nb合金のような鉄−コバルト合金、例えばカーペンターヒペルコ(Carpenter Hiperco)合金を含み得る。そのようなIOLは、それらの間に光学室を形成するベース部及びカバー部を有する光学体を含む。ベース部は、少なくとも可撓領域を有し、更に、光学室と流体連通する溜めを有する。更に、カバー部はチャネルを有し、これは、流体の少なくとも一部と接触する可撓(軟質/柔軟)部分を少なくとも有する面を含む。溜めと光学室間に配置された弁は、溜めと光学室との間の流体連通を調整 する。ボールはカバー部のチャネル内に配置され、また、外部磁気源によって駆動されて、それが可撓膜の変形を作り出すようにチャネル内で動く。ボール付近に作り出されたこの変形は、次に、溜めと光学室との間のチャネルと通る流体流を引き起こす。

本発明は、別個の「ベース」部及び「カバー」部の用語において記述されるが、本発明のIOLが、既述のベース部及びカバー部に相当する二つの面を有する単一構造体として構成され得ることは明らかである。更に、二つの構成要素がIOLの製造において形成される場合でさえ、該構成プロセスは、本質的に単一の構造体を形成するよう、「ベース」及び「カバー」構成要素が完全に融合されるようにされ得る。

本発明のIOLの更なる実施形態は、圧電素子を駆動するため、ファラデー効果を使用可能であり、圧電素子は次に膜ポンプを作動する。特に、IOLは光学体を含み、光学体は、光学室を有すると共に、加えられた圧力に応答して変形可能な可撓領域を少なくとも有する。光学体は、光学流体を貯蔵するための溜めを更に含む。圧電素子は、外部源から与えられる時間と共に変化する磁束のようなエネルギーによって駆動可能であり、膜ポンプが溜めと光学室との間に選択量の光学流体を移送するようにさせる。

圧電性駆動膜ポンプは、入口開口及び出口開口(これらは一方向弁であり得る)を有するハウジングと、該ハウジングと機械的に連動する可撓膜と、該膜と接する圧電素子とを含み得る。例えば振動磁束によって誘発される圧電素子における応力の周期的変調(周期的調整)は、該膜の機械的振動をもたらし得る。そのような膜の振動は、膜ハウジング内の流体を、膜ポンプの入口開口と出口開口との間に強制的に流す。

本発明の別の側面に従う眼内レンズは、蒸気稼動ポンプを含む得る。蒸気稼動ポンプは、可撓膜(フレキシブルメンブレン)と接する、選択された量の流体、例えば水の溜めを有するハウジングを含み得る。外部エネルギー源によって電圧が加えられる抵抗器のような抵抗体が、周期的に流体を蒸気に変え、これによって、可撓膜に対し周期的圧力変化を与えるために使用可能である。この周期的圧力変化は、次に、該膜の周期的撓みをもたらし、これは、入力口と出力口(これらは一方弁であり得る)との間に該ポンプのハウジングを通って流体を移送するためのポンプ動作を与える。

本発明の別の側面において、溜めと光学室間に光学流体を移送するためのポンプは、逆電気泳動を使用する。

本発明の図示の実施形態が添付図面を参照して以下に説明される。

本発明の教示に従う眼内レンズの概略側面図である。

図1AのIOLの分解斜視図である。

本発明の教示が適用され得る別の眼内レンズ構造の斜視図である。

図1Cの眼内レンズの側面図である。

本発明に従う歯車ポンプ、埋め込み永久磁石及び弁を示す図1A、1BのIOLの破断斜視図である。

図1A、1B及び2のIOLのベース部の斜視図である。

ぜん動ポンプを使用する本発明の教示に従う眼内レンズの分解斜視図である。

図4のIOLのぜん動ポンプ及び弁の斜視図である。

管状構造体の二つの壁内に分散された多数の磁紛(磁性粒子)を概略的に示す図5の模範的ぜん動ポンプを形成する管状構造体の破断斜視図である。

加えられた磁界に応じて図6Aのぜん動ポンプの壁に引き起こされた局在撓みを示す。

光学流体をぜん動ポンプに強制的に通すため、適用回転磁界によってぜん動ポンプに誘発された伝搬局在収縮を概略的に示す。

ポンプの管状構造体の壁内における磁粉の非対象分布を示す、図5のぜん動ポンプの別の実施形態の断面図である。

適用磁界に応じて図7のぜん動ポンプに形成された局在収縮を示す。

一組の膜ポンプを使用する本発明の教示に従うIOLの別の実施形態の分解斜視図である。

溜めと光学室との間の流体流を調整するための弁を示す、先の図8のIOLの一部の破断斜視図である。

図8の実施形態に使用され得る膜ポンプの分解斜視図である。

強磁性流体ポンプを有する本発明の教示に従うIOLの別の実施形態の分解斜視図である。

選択された量の強磁性流体材料を貯蔵するためのチャネルを含むカバー部と図10のIOLのベース部からカバー部を分離する可撓膜との斜視図である。

IOLの溜めと光学室との間に光学流体のための流路を与えるチャネルに対する強磁性流体材料を貯蔵するためのチャネルの並置を示す図10及び11のIOLの部分断面図である。

外部磁界にさらされた強磁性流体によって膜に誘導された局在伝搬ぶれを概略的に示す、図10のIOLのカバー部とベース部を分離する該膜(バリヤーフィルム)の斜視図である。

溜めと光学室との間に光学流体をポンプするため、一組の永久磁石から形成されたマイクロポンプを使用する本発明の他の実施形態に従うIOLのベース部の斜視図である。

図14の一組のマイクロポンプの一方を形成する永久磁石の部分上面図である。

外部適用磁界に応じての図15Aの磁石の振れを示す。

溜めと光学室との間に光学流体を強制的に流すための磁気ボールを使用する本発明の別の実施形態に従うIOLの分解斜視図である。

膜ポンプを駆動するための圧電素子を使用する本発明の教示に従うマイクロポンプの斜視図である。

本発明の教示に従う蒸気駆動ポンプの概略図である。

本発明のIOL装置の焦点合わせ性能を外部から調整するための装置の斜視図である。

本発明のIOLレンズの焦点合わせ性能を調整するための外部エネルギー源として利用され得る磁界発生器(例えばコイル)の斜視図である。

本発明のIOLレンズの焦点合わせ性能を調整するための外部エネルギー源として利用され得る別の磁界発生器の斜視図である。

本発明のレンズの焦点合わせ性能を外部から調整するのに使用するための電磁石を有する別の磁界発生器の斜視図である。

本発明はIOLを提供し、それが患者の目に移植された後、いかなる侵襲性処置も要せずに、その焦点合わせ性能が事前定義範囲内で修正され得る。更に詳しくは、本発明の教示に従うIOLの焦点合わせ性能は、IOLが移植される目の視力を最大にする光出力を提供するため、電界又は磁界を与える源のような外部エネルギー源を使用することによって修正され得る。本発明に従うIOLは、選択範囲内のその光出力の外部修正を可能にする。本発明のIOLの一の重要な利点は、その光出力のそのような修正が侵襲性処置を要せずに達成され得ることである。即ち、本発明のIOLの焦点合わせ性能は、目の外部/遠隔のエネルギー源を利用することによって修正され得る。本発明の多くの好ましい実施形態が後述される。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に多くの変更がなされ得ることを認識するであろう。

図1A及び1Bは、本発明の一の好ましい実施形態に従う、光学体12を含む眼内レンズ10を示す。図示の光学体12は、前側光学面16及び後側光学面14を含み、その内の少なくとも一方は、加えられた圧力に応じて変形可能である。膜16及び膜/一体レンズ14は、それらの間に光学室18を形成する。図1Bに示されるIOL10の分解斜視図は、IOL10が、後側光学面14を有するベース部20と、前側光学面16を有するカバー部22とを含むことを示す。ベース部20は、二つの部分24a及び24bを有する溜め24を更に含み、その中に、シリコーンのような光学流体(図示せず)が貯蔵され得る。チャネル26は、溜め24の部分24a及び24b間に流体連通を与え、別のチャネル28は、溜め24と光学室18間に流体連通を与える。弁30は、溜め24 と光学室18間の流体連通を後述する態様にて調整する。

ここで使用される用語「ベース部」及び「カバー部」は、別個の要素及び単一構造体の面の両方を包含することを企図する。

ハウジング部20は、一組の連動歯車34a、bを収容するための座部32を更に含み、連動歯車34a、bは、溜め24と光学室18間に光学流体をポンプするため、外部磁気エネルギー源によって作動され得る。

本発明の眼内レンズの構造は、図1A及び1Bに示されたものに限定されない。例えば、図1C及び1Dは、本発明の教示が適用され得る眼内レンズ10aを示す。図示のIOL10aは、例えば軟質アクリル樹脂材料から成る光学体12aと、光学体12aを囲むカラー12bとを含む。IOL10aは、一組のC字形触覚ループ12c/12dを更に含み、その各々は、その基端部でカラー12bにしっかり固定される。触覚ループ12c/12dは、押出し法を利用することにより、例えばPMMAから形成され得る。模範的触覚ループ12c及び12dは、光学体12aの後面下に、例えば5度の角度で下方に曲がる。

図1A及び1Bを再び参照して、本発明の一の好ましい実施形態において、ベース部20、カバー部22及び歯車34a、bは、シリコーンゴムから形成される。更に、図2に示されるように、歯車34aに埋め込まれた永久磁石36が高内部磁化を有するように選択される。例えば、永久磁石36は、当技術において知られているNd−Fe−B又はSm−Co−Fe組成物を有し得る。IOL10は、射出成形のようないかなる適当な製造技術をも利用して形成され得る。

前側光学面16及び後側光学面14を形成するための材料は、その屈折率が、眼内レンズの焦点合わせ性能を修正するために利用される光学流体の屈折率と実質上ほぼ同等となるように好ましく選択され得る。例えば、該光学面は、シリコーンが光学流体として利用される場合、シリコーンゴムから形成され得る。シリコーンの屈折率とのシリコーンゴムの屈折率の実質的類似性は、光学面14及び16と液体充満光学室18との間の境界で光の屈折を有利に最小にし、それにより、光学室18の内面の要求品質の厳格さを緩和し、及び/又は、光学的異常性を最小にする。

前側光学面16及び後側光学面14を形成するのに適する他の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)又はアクリレート/メタクリレート共重合体のようなアクリル重合体を含むが、これに限定されない。更に、本発明の眼内レンズに使用するための光学流体の選択は、上述のシリコーンに限定されない。例えば、長鎖ポリジメチルシロキサン トリメチルシロキシを末端基とするシリコーン油が光学流体として利用され得る。シリコーン油に対する種々の化学的改質も利用され得、いくつかの例では、より高い屈折率を与え得る。更に、シリコーン基流体以外の流体も、それらが透明で適当な屈折率及び粘性を有する限り、利用され得ることが理解されるべきである。

IOL10は触覚36aを更に含み、これは、目におけるIOL10の固定を容易にするため、開業医に一般に使用されている。

この図示実施形態の前側光学面16及び後側光学面14は凸状として示されるが、当業者は、光学面14及び/又は16の形状が、該光学面の少なくとも一方の少なくとも一部が加えられた圧力に応じて変形するように十分に柔軟である限り、光学室が平凸であるように選択され得ることを理解するであろう。更に、光学面14及び16の一方又は両方は、IOLの焦点合わせ性能を向上させるため、及び/又は、本発明のIOL及び角膜を含む全光学系の色収差を補償するため、回折パターン、例えばフレネル回折パターンを含み得る。

図2は、座部32における歯車34a及び34bの位置決めを示す。歯車34a及び34bは、耐久性のある滑りやすい材料で被われたコア歯車を含み得る。該コア歯車を形成するのに適したいくつかの材料は、チタン、ダイヤモンド、TiB2 及び二硫化モリブデンを含むが、これらに限定されない。歯車34a及び34bのそのような構成は、コア材料の強度と滑りやすく耐久性のある被膜とを有利に結合させる。歯車34aは、ベクトルmで概略的に示される磁気双極子モーメントを有する永久磁石36を含む。歯車34aの磁気モーメントmに対し、その時計回り又は反時計回りのいずれかの回転をもたらすため、外部磁界がかけられ得る。歯車34aの回転は、次に、反対方向の連動歯車34bの回転をもたらし、それにより、溜め24と光学室18(図1A、1B)の間に、即ち、溜め24から光学室18へ又は光学室18から溜め24へのいずれかに光学流体の流れを強制する。従って、連動歯車34a及び34bはギヤーポンプを形成し、これは、光学流体を内部室18内へ又はその外へポンピングすることを可能にし、可撓前側光学面16及び/又は可撓後側光学面14に加えられた静水圧を変え、それによってIOL10の屈折力を修正する。

例えば、歯車34aの上面と平行な平面にある模範的な外部磁界Bを歯車34aに対しかけることは、この歯車に対し、その回転をもたらすトルクを加える結果となる。この図示例において、外部磁界Bは、歯車34aの反時計回り回転を引き起こし、これは連動歯車34bの時計回り回転をもたらす。外部磁界Bが動かないなら、磁気モーメントmと外部磁界Bが整列されると、歯車34aの回転はやむ。

回転外部磁界が歯車34に適用され得、該回転磁界が存在する限り歯車34aの連続回転を引き起こす。例えば、図示の外部磁界Bは、それが存在する平面において回転され得、歯車34aの連続回転をもたらし、歯車34aは次に歯車34bを反対方向に回転させ、これにより、光学流体を溜め24と光学室18(図1A、1B)との間に移送するためのポンプ動作を生み出す。

使用において、歯車ポンプ34は、外部エネルギー源から供給された外部磁界によって作動され得、溜め24と光学室18間に光学流体を移送する。静止又は回転磁界のいずれかを与えるためのエネルギー源は、本技術において知られている。回転磁界は、例えば、広く使用されている3相電動機において見られ得る。多くのステッパー電動機も回転磁界を用い、そこでは、磁界の回転は連続的ではなく、多くの小さなステップで実行される。更に、振動強度を有する磁界を与える装置が知られている。そのような装置は、一般に、振動電流によって駆動されるインダクター、例えばコイルから成る。

図3は、歯車ポンプ34a、bの模範的な操作を概略的に示す。溜め24は、選択された量のシリコーンのような光学流体38を貯蔵する。IOL10が患者の目に移植された後、その焦点合わせ性能を高める必要があり得る。そのような場合、選択された量の光学流体38を溜め24から光学室18(図1A)へとポンプするため、外部回転磁界が例えば上述した態様で歯車ポンプにかけられ得る。複数の矢印40は、歯車ポンプ34のポンプ動作の下で部分24a及び24bから光学室18(図1A及び1B)へと流れる光学流体38の通路を概略的に示す。特に、歯車ポンプ34は、溜め24の部分24a及び24bからチャネル28内へ、及び弁30を通って光学室18(図1A)内へ向かう流体の流れを引き起こす。弁30は、好ましくはスリット30aの形態であり、これは、歯車ポンプ34によって生み出された該弁を横切る差圧が、選択された閾値を超えると、流体流のための開口を提供する。スリット30aは、例えば、ダイヤモンドメスを用いて、例えばモノリシック樹脂から成り得る成形関門にスリットを入れることにより、形成され得る。そのような微小なスライスは、弁閉鎖面の優れた合致を与え、それにより、ポンプ動作の不在下において弁を通っての流体の漏れを抑制する。

当業者は、本発明のIOLにおける光学流体の流れを調整するために、スリット弁に加えて、他の多くの種類の弁が利用され得ることを認識するだろう。そのような弁は、フラップ弁、ボール弁、ノズル弁、スプリング弁及びゲート構造を含み得るが、これらに限定されない。

光学室18(図1A)内の光学流体量の増加は、前側光学面16及び後側光学面14に対し及ぼされた静水圧の増加をもたらす。光学面14及び16の少なくとも一方の少なくとも一部は、柔軟性(可撓性)であるように選択される。そのため、増加した静水圧は、該光学面をより凸状にする。即ち、それは、各光学面の曲率半径を増長し、それにより、IOL10の光出力を増やす。当業者は、本発明の教示に従うIOLが一のみの軟質光学面について適正に機能し得ることを認識するであろう。即ち、前側光学面16又は後側光学面14の一方のみが軟質で、本発明の教示に従ってIOL10の光出力を修正すれば十分である。更に、膜全体が柔軟であることは必要ではない。該膜の一領域、例えば光学的領域が、光学室18内の光学流体によってそこに及ぼされた静水圧に有効に応じて十分に柔軟であれば十分である。

あるいは、歯車ポンプ34は、選択された量の光学流体を光学室18から溜め24へと移送し、IOL18の光出力を低下させるために作動され得る。例えば、図2に概略的に示される外部回転磁界Bの回転方向を逆転させることは、歯車34aの回転を反対方向にさせ得、これにより、光学室から溜め24への流体流を引き起こす。

図4は、本発明の別の実施形態に従う眼内レンズ42の分解図を示す。先の実施形態のIOL10と同様に、IOL42は、溜め46を有するベース部44とカバー部48とを含む。図示のカバー部48は、光学材料から形成された柔軟な凸状前側光学面50を含む。加えて、ベース部44は、これも光学材料から形成された柔軟な後側光学面52を含む。図1A、Bの室18と同様の室が、前側光学面50と後側光学面52間に形成される。チャネル54は、ぜん動ポンプ56のための座部を提供し、該ポンプは、溜め46に貯蔵された光学流体(図示せず)を溜め46と光学室との間に移送するためのポンプ動作を与える。

図5は、模範的ぜん動ポンプ56が、軟質材料から形成された管状構造体56aを有し、管状構造体56aの形状をチャネル54の形状に実質上一致させることを可能にすることを示す。ポンプ56は、二つの開口56b及び56cを有し、これらは、光学流体の管状構造体56a内へ及び/又はその外へ入ること及び/又は出ることを許容する。スリットの形態の弁58は、管状構造体56aを通る光学流体流を調整し、それにより、溜め46と室(図4)間の光学流体の移送を調整する。先の実施形態のスリット30aと同様に、ポンプ動作が無い状況下で弁58を通る光学流体の漏れは最小である。

管状構造体56aは、一般に眼内レンズの構成に使用される例えばシリコーンゴム、ヒドロゲル又は粘弾性アクリル酸共重合体から形成され得、そこに分散された複数の磁粉(磁性粒子)を有する。該磁粉は、例えば、フェライト、磁鉄鉱、ニッケルコバルト、又はそのような材料の化合物もしくは合金であるように選択され得る。

例えば、管状構造体56aの破断斜視図である図6Aは、モーメント56d、56e、56f及び56gのような複数の磁気モーメントを示し、各々は北極(N)及び南極(S)を有し、これは、管状構造体56aの二つの壁60及び62内における複数の磁粉の模範的分散を概略的に示す。磁界B1 のような回転磁界は、後述する態様で管状構造体56aにかけられ得、構造体56aに伝搬局在収縮を引き起こし、これにより、それを通る光学流体流をもたらす。例えば、外部源によって適用され、かつ、モーメント56d〜56gに垂直となると共に、管状構造体56aの壁によって形成されたチャネルに沿って向けられたベクトルVに垂直となるように選択された磁界B1 は、56d〜56gにトルクを加え、それらの局在撓み、従って、図6Bに示されるように管状構造体56aの一部の局在撓みを引き起こす。この撓みは、構造体56aにおける局在収縮を生み出す。管状構造体56aの面Sに平行な平面における磁界B1 の回転は、図6cに概略的に示されるように、誘導局在収縮を構造体56aに沿って伝播させる。この伝搬収縮は、光学流体を管状構造体56aを通って強制的に流し、これにより、IOLの溜めと光学室間に移送される。

当業者は、上述したもの以外の磁粉の分散も、本発明の教示に従うぜん動ポンプを形成するために利用され得ることを認識するであろう。例えば、磁紛は、図7Aに概略的に示されるように、管状構造体56aの一のみの壁60内に分散され得、非対称管状ポンプ構造体64を作り出す。ポンプ64の操作は、上述したものと同様である。特に、回転磁界は、図7Bに示された収縮のような伝搬収縮をもたらし、それにより該ポンプを通る流体流を引き起こすために適用され得る。

微小ぜん動ポンプ56を製造するための一の技術は、該ポンプの壁を一部品又は二部品壁構造体として射出成形又は鋳造を通じて形成する。該壁構造体を形成するために利用される材料は、例えば、ゴム状重合体樹脂と永久磁化され得る粒子の微細紛との混合物であり得る。該粒子は、該樹脂内における粒子の分散の均等性を改善するため、非磁化状態において樹脂と混合される。該粒子の濃度は、例えば、該混合物の量のほぼ50%までであり得る。該構造体の壁は、次に、適切に整列され、強磁界、例えば1〜4テスラにさらされ、該粒子の磁化ベクトルを適切に配向させる。その後、該樹脂は硬化され、該構造体は型から取り去られる。壁構造体は、次いで、ぜん動ポンプ56を形成するため、光学体内へと組み付けられ、適当位置に接着され、封止される。

図8は、本発明の別の実施形態に従う眼内レンズ装置66の分解斜視図であり、これは、レンズの溜めと光学室との間に光学流体をポンピングするために膜ポンプ68及び70を使用する。先の実施形態と同様に、レンズ66は、軟質前側光学面72aを有するカバー部72を含み、また、光学流体を貯蔵するための溜め76を有するベース部74を更に含む。IOL66はまた、膜ポンプ68及び70をそれぞれ収容するための座部78a及び78bを含む。更に、弁78c及び78dは、IOLの溜め76と光学室間の流体流を調整する。

IOL66の一部の破断図である図8Aは、一の弁78cをより良く示す。特に、図8Aは、弁78cが、例えば関門の極度に鋭い切開を通じて作られたスリットの形態であることを示す。

図9に参照すれば、眼内レンズ66での使用にとっての各模範的な膜ポンプ68、70は、ポンプハウジング部80を含み得、該ハウジング部は、それを通って光学流体がポンプハウジング80内へ及び/又はその外へと流れ得る二つの開口80a及び80bを有する。膜蓋82はハウジング部80を被う。本発明の一の好ましい実施形態において、蓋82は磁性を有し、そのため、そこに振動磁界をかけることで機械的に調節され得る。例えば、シリカから成る蓋への永久磁石の取付けは、そのような磁気膜板を作り出し得る。磁気膜板82に垂直に向けられかつ振動等級を有する磁界B2 は、膜板82を機械的に調節し、それにより、流体を、開口80aのノズル弁を通って吸い込まれ、開口80bの別のノズル弁を通って追い出されるようにさせる。開口80a及び80bに配置された方向弁(図示せず)は、ポンプが作動された際、流れの選択された方向を確実なものとし得る。

膜ポンプ68、70の微小流体構成要素は、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)を利用して製造され得る。該微小流体構成要素を製造するために、多くの技術が使用され得る。例えば、参照によりここに組み込まれる、J. Micromech. Mircoreng. 9(1999)211〜217に発表された題目「Rapidprototyping of microfluidic switches in poly(dimethyl siloxane) and their actuation by electro-osmotic flow)」の論文は、PDMSにおける微小流体構成要素の製造のための方法論を記述する。

また図8を参照して、例えば外部磁気源による一の膜ポンプのポンプ動作は、溜め76と、カバー部72とベース部74間に形成された光学室との間における選択された量の光学流体の移送をもたらす。膜ポンプの一方を選択的に作動させて、光学室内へ又はその外へ流体流を供給する。

本発明の別の好ましい実施形態は、マイクロポンプを使用し、これは、Fe3O4 、Co、Fe又はFe3 Nナノ粒子を基とする強磁性流体のような強磁性流体材料を利用し、本発明の眼内レンズの溜めと光学室との間に光学流体を移送するためのポンプ動作を与える。

図10は、そのような実施形態に従う眼内レンズ84の分解図である。IOL84は、軟質前側光学面86aを有するカバー部86と、溜め88a及びチャネル88bを有するベース部88とを含み、チャネル88bは、溜め88aと、カバー部86とハウジング部88間に形成される室との間に流体連通を与えるためのものである。弁88cは、溜め88aと光学室との間の流体連通を調整する。

図11は、選択された量の強磁性流体材料が貯蔵されるチャネル86dを含むカバー部を示す。図10及び11の両方を参照すれば、可撓バリヤーフィルム90は、カバー部86をベース部88から分離し、そのため、強磁性流体を光学流体から隔離する。

IOL84の部分断面図である図12は、光学流体用の流路を提供するチャネル88bに対する、強磁性流体を貯蔵するために利用されるチャネル86dの並置を示す。チャネル86dは、チャンネル88bに対し実質上整列され、可撓膜90によってそれから分離される。

図10、11、12及び13を参照して、強磁性流体に対する、外部源(図示せず)によって与えられた模範的磁界B3 の適用、及び膜90の平面に平行な平面における回転は、チャネル86dを通じて強磁性流体の運動を引き起こし得る。そのような強磁性流体の運動は、チャネル86dをチャネル88bから分離する膜90の撓み90aのような局在撓みをもたらす(図12及び13)。磁界の回転は、膜90における局所的な撓みを、チャネル88bを超えて該膜の周囲に伝搬させ、これにより、溜め88aと光学室との間のチャネル88bを通る光学流体流を強制的にもたらす。磁界の回転方向の反転は、光学流体流を逆方向に向ける。従って、光学流体は、単に磁界B3 の向きを選択することにより、光学室内へ又はその外へポンプされ得る。

本発明のいくつかの実施形態において、磁界B3 の方向は、それが、膜90に垂直な構成要素及びチャネル86dの方向における構成要素を有するように選択される。該垂直構成要素は、強磁性流体材料を膜90に対し有利に押し、これにより、膜90に形成された撓みを強める。膜90は、例えば、シリコーンゴムのような弾性重合体から形成され得る。更に、膜90は、それを通る流体の拡散を抑制するため、本技術において知られている態様で被覆された面であり得る。

図14は、本発明の別の好ましい実施形態に従う眼内レンズのベース部92を示し、これは、一組の磁気マイクロポンプ94及び96を含む。先の実施形態と同様に、ベース部92は、光学流体(図示せず)を貯蔵するための溜め98と、溜め98と図1A及び1Bに示された光学室18のような光学室(図示せず)との間に流体連通を与えるためのチャネル100とを含む。各マイクロポンプ94及び96は、二つの永久磁石94a、b及び96a、bを含み、これらは、それぞれ、ポイントA、B及びC、Dの周りを旋回(枢動/回転)される。一組の弁102a、bは、溜め98とチャネル100との間の光学流体の移送を調整する。

マイクロポンプ94及び96の操作は、図15A及び15Bを参照することにより理解され得、これらは、マイクロポンプ94の永久磁石94a、bが、例えば、磁石94aの北極(N)が磁石94bの北極(N)に対面するように置かれる状態を示す。磁石94a及び94bは、磁気モーメントm1 及びm2 とみなされ得、各々は、磁石の北極(N)からその南極(S)へと伸長する方向を有する。外部磁気源によって与えられ、また、好ましくは磁気モーメントm1 及びm2 の方向に垂直でるように選択された、ベース部92(図14)の平面にある磁界B4のような磁界の適用は、図15Bに示されるような磁石94a及び94bのふれを引き起こす。磁界B4 の方向の反転、即ち、磁界B5 の適用は、磁石94a及び94bの反対方向のふれをもたらす。それ故、その方向が磁界B4 及びB5 の方向を切り換える振動磁界が、磁石94a及び94bの機械的振動をもたらす。そのような機械的振動は、光学流体(図示せず)が溜め98とチャネル100との間 に移送されることを強制する。マイクロポンプ96も同様な態様で動作する。

図16は、本発明の教示に従う眼内レンズ104の更に別の実施形態の分解図であり、これは、カバー部106とベース部108と保持フィルム110とを含む。カバー部106は、軟質磁性材料から成るボール114を取り付けるためのチャネル112を含む。保持フィルム110、カバー部106及びハウジング部108は、好ましくは、シリコーンのような弾性材料から形成される。特に、チャネル112の底面112aは、ボール114の磁力下で変形するのに十分な弾性を有するシリコーンのような材料から形成される。先の実施形態と同様に、ベース部108は、光学流体(図示せず)を貯蔵するための溜め108aと、膜又は一体レンズ部116(好ましくは変形可能であるように選択される)と、実質上チャネル112と整列されるチャネル118とを含む。チャネル118は、溜め108aと、カバー部106とベース部108間にこれらを共に連結すると形成される室との間に流体連通を与える。

大きな勾配を有する回転外部磁界がベース部108下の方向からボール114にかけられ得、それを、チャネル112の面112aに対し押し付けさせ、これにより、ボール114付近における面112aの局所的な撓みを強める。該磁界はまた、ボールをチャネル112に沿って移動させる構成要素を有するように選択され得る。チャネル112の面112aにおける撓みがボールの動きと共にチャネル112の周囲に伝搬する際、それは、光学流体を、溜め108aと光学室との間におけるベース部108のチャネル118に強制的に流す。従って、ボール114は、光学流体を光学室内へ又はその外へポンプするぜん動ポンプとして機能し、それにより、膜114及び116における静水圧を変える。光学室内における静水圧の該変化は、軟質膜114及び116の選択された撓みをもたらし、これにより、レンズの焦点合わせ性能における変化を引き起こす。

本発明の別の好ましい実施形態は、図17に示されたマイクロポンプ118を使用し、これは、圧電作動素子120を利用し、図8の膜ポンプ68と同様に、膜ポンプ122の膜(ダイヤフラム)122aを駆動する。模範的な半円作動素子120によって部分的に閉じられた領域における時間と共に変化する磁束Φの適用は、ファラデー効果を通じての素子120の端部120a及び120b間の電圧差を含む。作動コイル素子120が圧電能動物質から形成されるので、誘導電圧差は、圧電材料内の応力(ストレス)における変化を引き起こし、これは、次いで、膜122aの機械的運動をもたらす。磁束の経時変化の速度の調整は、素子120における応力の調整をもたらし、これは、次に、膜122aの機械的振動を引き起こす。図8及び9の実施形態に関して記述されるような膜122aのこの機械的振動は、本発明の眼内レンズの溜めと光学室間に光学流体を移送するポンプ動作をもたらす。

作動素子120を形成するために用いられる材料は、それを横切って誘導される電圧差に応じてポンプ122の膜を駆動するために十分な長さの変化を示すように選択され、これは、目にレンズが移植される個人にとって安全である。例えば、電気活性重合体(EAP)として知られている材料が作動素子120を形成するために利用され得る。そのような材料は、一般に、比較的控えめにかけられた電界に応じて大きな変位を示す。

マイクロポンプ118の一の利点は、それが、超高磁界を用いる核磁気共鳴映像法(MRI)装置のような診断装置を妨げ得るいかなる磁気構成要素をも使用しないことである。

本発明の眼内レンズの別の実施形態は、溜めと内部室(図示せず)との間に光学流体の流れを引き起こすため、図18に示されるような蒸気駆動マイクロポンプ124を使用する。蒸気駆動ポンプ124はハウジング126を含み、ハウジング126は、溜め126bをハウジング126の内部の残りの部分から分離する軟質膜126aを有する。選択された量の水のような流体が、溜め126bに貯蔵される。好ましくはコンデンサー130及びインダクター132を有する共振回路を形成し得る抵抗体128は、周期的に溜め内の流体を加熱し、それを蒸気に変えるために使用され得る。これは、膜126aに周期的圧力を及ぼし、それ故、周期的撓み、即ち、それの振動を引き起こす。

例えば、外部磁気源は、インダクター132を通っての好ましくは該回路の共振振動数に近い振動数を有する、時間と共に変化する磁束を与えるために用いられる得、それにより共振回路を生かす。軟質膜126aの振動は、次に、ノズル弁(図示せず)を有する口134のような入力口からハウジング126の内部を通ってノズル弁(図示せず)を有する口136のような出口まで至る流体流をもたらす。

上述したように、電気又は磁気源のような外部エネルギー源は、本発明の眼内レンズの焦点合わせ性能を外部から調整するために使用され得る。図19は、患者の目に移植された本発明の眼内レンズの焦点合わせ性能を外部から調整するための装置134を示す。装置134は、エネルギー源を含み得、また、事前定義値により該レンズの焦点合わせ性能を調整するための校正機構を更に含み得る。

多くの異なるエネルギー源が、本発明のIOLのマイクロポンプを作動するために、装置134に利用され得る。例えば、図20はコイルの形態の磁界発生器136を示し、それを通じて電流が流れ得、その軸方向に沿う磁界、例えば磁界Bを作り出す。該コイルを通って流れる電流の大きさの変化は、磁界の強さの変化をもたらし得、また、電流の方向の変化は、該磁界の方向の変化をもたらし得る。好ましい実施形態において、コイル136は、インダクター及びコンデンサーを有する共振回路を形成し、事前定義振動数、例えば図9の膜ポンプの膜の機械的振動周波数と実質的に同様である振動数を有する振動磁界を作り出す。そのような磁界発生器は、例えば、図8又は17に示された本発明の眼内レンズの実施形態における焦点合わせ性能を調整するために使用され得る。

図21は別の磁界発生器138を示し、これは、本発明の眼内レンズの屈折力を外部から調整するために利用され得る。磁界発生器138は、北極(「N」)及び南極(「S」)を有する磁石を含む。磁界線138aは、北極から出て南極で終端する。磁界発生器138は、少なくともいくつかの磁界線138aが目を貫くように、本発明のIOLを有する患者の目の近くに位置付けられ得る。目の外部の磁界発生器の回転は、その際、例えば、ぜん動マイクロポンプを有する実施形態のような多くの本発明の実施形態に利用され得る回転磁界を引き起こし得る。

図22は、IOLの焦点合わせ性能を調整するための本発明の種々の実施形態に利用され得る別の磁界発生器140を示す。磁界発生器140は、磁界線140bで表された磁界のような磁界を発生させるための電磁石140aを含む。電磁石を通る電流の反転は、磁界の方向の反転をもたらす。更に、磁界の強さは、電磁石を通る電流を増加又は低減することにより変えられ得る。そのような磁界発生器は、例えば、歯車ポンプ又はぜん動ポンプ又は圧電駆動ポンプを有する本発明の実施形態において、外部エネルギー源として使用され得る。

当業者は、上述した実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点を認識するであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲に示されたものを除き、特に示され記述されたものには限定されるべきではない。ここに引用された全ての刊行物及び参考文献は、それらの全体の参照によりここに明確に組み込まれる。

10 眼内レンズ(IOL) 12 光学体 14 後側光学面 16 前側光学面 18 光学室 20 ベース部 22 カバー部 24 溜め 26、28 チャネル 30 弁 34a、34b 連動歯車

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