Alternatively the light from the two sight to the observer's eye, or an optical system for guiding the same time

申请号 JP52266698 申请日 1997-11-10 公开(公告)号 JP4155343B2 公开(公告)日 2008-09-24
申请人 ミラージュ イノベーションズ リミテッド; 发明人 イエール デイビット; ヤリブ ベン―イェフダ;
摘要
权利要求
  • 観察者が第一および第二の光景を同時に ることを可能にするための光学系であって、第一及び第二の光景の両方は受動光を介して観察者に視覚により認識されるもので、前記光学系はホログラッフイックプレートを 有し、前記ホログラフィックプレートは、
    (a)第一側及び第二側を持つ、光透過材から形成された本体と、
    (b)前記本体の前記第一側に形成された少なくとも一つの入力ホログロフイック光学素子と、なお、前記材料、そして前記少なくとも一つの入力ホログラッフイック光学素子の各々は、少なくとも一つの入力ホログラッフイック光学素子を介して前記本体に入る任意の方向を持つ入射光がほぼ完全な内反射を起こすように選択され るものであり、そして(c)前記本体に設けられた少なくとも一つの出力ホログラッフイック光学素子とを 有し、このため、前記少なくとも一つの出力ホログラッフイック光学素子のいずれに到達する光も、前記入射光の前記任意の方向とほぼ同様な方向に前記本体から出て観察者の眼の一方に到達 し、
    この場合、前記ホログラッフイックプレートが前記観察者の前記の眼に対して配置され、前記少なくとも一つの入力及び出力ホログラッフイック光学素子が前記本体に対して配置されるため、前記第一及び前記第二の光景の両方からの受動光は、同時に前記観察者の前記眼の中に導かれ るものであり
    遠くの光景からの光が自然にほぼ照準が正されるように、前記第一の光景は近くの光景であり、前記第二の光景は遠くの光景であり、
    さらに前記光学系は、(d)前記近くの光景からの光の照準を正すための照準レンズを有する
    ことを特徴とする光学系。
  • 前記少なくとも一つの出力ホログラッフイック光学素子が前記本体の前記第二側に形成される請求項1に記載の光学系。
  • 前記照準レンズは、前記近くの光景と前記ホログラッフィックプレートとの間に位置していることを特徴とする請求項1 または請求項2に記載の光学系。
  • さらに、(e)前記ホログラッフイックプレートと前記観察者の前記眼との間に配置される、前記観察者の視覚異常を補正するための矯正光学レンズ を有する請求項1 から3のいずれかに記載の光学系。
  • 観察者が第一及び第二の光景を同時に見ることを可能にするためのヘッド・セットであって、前記ヘッド・セットは請求項1 から請求項3のいずれか1項に記載の光学系を二つ有し 、前記二つの光学系の各々が観察者の 各々の眼の前に 一つずつ配置されることを特徴とするヘッド・セット。
  • 観察者が一方の眼で第一の光景を、そして他方の眼で第二の光景を同時に見ることを可能にするためのヘッド・セットであって、前記ヘッド・セットは請求項1 から請求項3のいずれかに記載の光学系 を有し、前記光学系は、前記観察者の前記一方の眼が前記第二の光景に向けられ、同時に前記観察者の前記他方の眼が第二の光景に向けられているときに前記第一の光景からの光が前記観察者の前記一方の眼に到達することを可能にし、同時に前記第二の光景からの光が前記一方の眼に到達しないように遮ることを特徴とするヘッド・セット。
  • 说明书全文

    発明の分野及び背景
    本発明は、二つの光景からの光を、観察者の眼へ、代替的に、あるいは同時に導くための光学系に関し、特に、二つの光景からの光を、観察者の眼へ、代替的に、あるいは同時に導くために、平面光学的アプローチを用いる光学系に関する。 したがって、本発明による光学系は、従来の二焦点眼鏡を用いる場合に必要な、観察対象である光景に対して頭と眼とを位置決めしなければならないという面倒な操作を必要としない独創的な二焦点眼鏡を提供することが可能である。 さらに、本発明は、幾何学的な、あるいは平面光学的なアプローチを用いる、二つの光景からの光を同時に観察者の一方の眼あるいは両方の眼へ導く光学系に関する。 したがって、本発明による光学系は、表示のために能動光を用いるものではない。
    この明細書及び特許請求の範囲に用いる用語「光景」は、受動光を介して、すなわち本発明の光学系の外部からの光を介して観察者によって認知される物体あるいは物体のセットを示す。
    受動光は、例えば、物体あるいは物体のセットによって反射された、あるいは散乱された光であっても、また、物体あるいは物体のセットからの放射光であってもよい。 換言すれば、受動光は、本発明の光学系が存在しない場合でも観察者が認知可能な、本発明の光学系の外部からの光である。
    対照的に、ここに用いる用語「能動光」は、対象となる光学系の構成要素から発生する光を含むことを意図する。 したがって、例えば、従来のヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)システムは、ブラウン管(CRT)を含むため、CRTによって生成される光は能動光である。 ここで定義する能動光によるビューは、ここにディスプレイと定義する。 ここで言及する用語「光景」は、特に、例えば、HUDシステムで用いるような、能動光によって形成されるディスプレイを除外するものであり、本文で用いる用語「イメージ」は、光景及びディスプレイの両方を意味する。 また、実像は光景を、そして虚像はディスプレイを示す。
    本発明の光学系は光源を含まないため、本発明の光学系を用いて観察者が認知するすべての光は受動光である。 注意すべきこととして、ここに定義するように、本発明の範囲においては、例えば、テレビのスクリーンあるいはコンピュータのモニターからの放射光でさえ、テレビのスクリーンあるいはコンピュータのモニターのどちらもが本発明の光学系の一部ではないため、受動光であると見なされる。
    種々の視覚異常のために眼鏡を必要とする人々が、人口の高い割合を占めている。
    従来の眼鏡は、典型的に、眼の前の適当な位置に眼鏡を支持するフレームと、各々の眼に対して一つずつフレーム内に収められた二つのレンズとから構成され、各レンズは、眼の特定な視覚異常を補正する焦点特性を持つ。
    したがって、例えば、近視の場合、これは、眼のレンズと膜にが入り過ぎることから生じる、そして/あるいは眼球が長過ぎることから起こる焦点に関する視覚異常であるが、正の集束能が強すぎるために、遠くの物のイメージが網膜の前に集束し、はっきりと焦点を合わせることができない状態にある。 このため、発散レンズを選択して近視眼が焦点を合わすことができる最も遠い点にイメージが形成されるようにする。
    他方、遠視の場合、これは、近視の反対で、眼の屈折要素の能力が少な過ぎる、そして/あるいは眼球が短過ぎることから生じるが、遠い物のイメージは、(眼がリラックスしているとき)網膜の背後に形成される。 したがって、遠視は収束レンズによって補正する。
    近視及び遠視は、遠い物を見る場合の視覚異常である。 他方、老視は、近くの物を見ることに関わる視覚異常の一つであり、多くの場合、読む能力を損なうものである。 老視は、通常、年齢の経過とともにレンズをなす物質が硬化することから生じ、近くの物に対して眼の焦点を合わせる(適応する)能力が衰えてしまうものである。 したがって、老視は、快適に読むことができるように収束レンズによって補正する。
    しかしながら、多くの場合、単一眼に、その風景の視覚能力を制限する近視あるいは超近視等の遠距離視覚異常と、読む能力を制限する老視等の短距離視覚異常とが生じる。
    このように眼に二重の異常がある者は、遠距離視覚異常に対する補正光学素子を提供する第一のセットと、短距離視覚異常に対する補正光学素子を提供する第二のセットとからなる二つのセットの眼鏡、あるいは択一的に、二焦点眼鏡として本技術において知られる、各々が任意の(異なる)焦点距離と光学特性とを持ち、互いに隣接して配置された二つのレンズの組合せからなる二焦点レンズを含むセットが必要である。 多焦点の眼鏡が既知であるが、高価であり、また、多くの人たちがうまく適応できないため、余り使用されていない。
    しかしながら、これらの解決方法には不都合がある。 読書のために一つ、遠くを見るために一つ、二つの対の眼鏡を用いた場合、近くから遠くの物へ、あるいは遠くから近くの物へと視界を移すときにはいつも眼鏡を変える必要がある。 二焦点眼鏡あるいは多焦点眼鏡を用いた場合、近い物を、そして遠くの物を見るために、異なる視線が強いられ、どちらの場合も視野が限定される。 通常、読書に対しては、頭をほぼ真っ直ぐ前方へ向けながら眼だけを下げる必要がある。 もし、この人に対して、まっすぐ前方に、近い位置に物体を配置した場合、この近い物体をはっきりと見るためには、この人は、頭を後へ傾けながら眼を下げるようにしなければならない。 多くの場合、頭と首に問題が生じるため、多くの人は二焦点眼鏡を用いない。
    したがって、二つの光景からの光を代替的に、あるいは同時に観察者の眼へ導くための光学系の必要が広く認められ、そのようなものを得ることは非常に有利である。 そのような光学系は、見る光景に対して頭と眼とを位置決めする必要がない二重焦点あるいは多焦点眼鏡を提供することが可能である。
    相対的に様々な位置にある光景を見たいという状況は日常的に限りなく存在する。 例えば、限定せずに、(i)黒板、講師あるいはディスプレイ(例えば、スライド・スクリーン)を見ながらノートをとる。 この場合、観察者は、通常、テーブルあるいは筆記板上にある彼のノートと、黒板、講師あるいはディスプレイとの両方を見ることに興味がある。 (ii)描画対象物(例えば、風景)を見ながら絵を描く。 この場合、観察者は、彼の画板と描画対象物との両方を見ることに興味がある。 (iii)スクリーンを見ながらキーボードでタイプする。 この場合、インプロのタイピストは、キーボードとスクリーンとの両方を見ることに興味がある。 (iv)印刷物(例えば、地図、案内書、本など)を見ながら、あるいは読みながら、もう一つの光景(例えば、道路、器具など)を見る。 この場合、観察者は、印刷物と他の光景との両方を見ることに興味がある。
    しかし、上記の状況、そして同様な状況においては、観察者が焦点を合わせることができる視野は比較的に狭いため、一時点においては、観察者は一方の光景だけを見ている。 このことから不利な点が生じる。 (i)観察者は、一方の光景を見ているとき、他の光景における変化に気付くことができない。 したがって、例えば、運転手あるいはパイロットは、道路地図あるいは航行マップを見ているとき、同時に前方の道路あるいは空を見ることができない。 そして(ii)観察者は、光景間で比較を行うことが難しいと分かる。 したがって、画家にとっては、彼の絵と、描画対象物とを比較することが難しく、タイピストにとっては、タイプミスを検出することが難しく、学生にとっては、黒板あるいはディスプレイから彼のノートなどへ正確に内容をコピーすることが難しい。
    したがって、二つの光景からの光を同時に観察者の眼へ導く光学系に対する必要性が広く認識され、そのようなものを得ることは大変有利である。
    発明の要約
    本発明によれば、少なくとも二つの光景からの光を代替的に、あるいは同時に観察者の眼へ導くための光学系が提供される。 さらに、二つの光景からの光を同時に観察者の一方の眼あるいは両方の眼へ導くための光学系が提供される。 これは、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするために用いることができる。 本発明による光学系は、単に光景からの受動光を用いるだけで、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)システムとは対照的に、能動光を用いることはない。
    さらに、下記に説明する好適実施例における特徴によれば、本発明による光学系は次のものから構成される。 (a)第一の焦点距離を持つ第一のレンズ。 (b)第二の焦点距離を持つ第二のレンズ。 第一及び第二のレンズは、観察者の一つの眼の前に互いに隣接して配置されるため、いずれの光景からの単一光線も第一及び第二のレンズの一つを介してのみ通過する。 そして(c)第一の光景からの第一のレンズを通過した入射光を観察者の眼の中へ導き、そして同時に第二の光景からの第二のレンズを通過した入射光を観察者の眼の中へ導くための光学装置。 なお、この光学装置は第一及び第二のレンズと観察者の眼との間に配置される。
    本発明のもう一つの実施例によれば、光学系は次のものから構成される。 (a)近くの光景を拡大すると共に通過する光の照準を正すための、短い焦点距離を持つ拡大照準接眼レンズ。 (b)近くの光景からの拡大照準レンズを通過した入射光を観察者の眼の中へ導き、そして同時に遠くの光景からの入射光を観察者の眼の中へ導くための光学装置。 そして(c)遠距離視覚異常を補正するための補正接眼レンズ。 この補正レンズは光学装置と観察者の眼との間に配置される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、光学装置はホログラフィックプレートを含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィックプレートは少なくとも一つのホログラフィック光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィックプレートは、第一のレンズを通過した入射光をホログラフィックプレート内に入れるための第一の入力ホログラフィック光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィックプレートは、拡大照準レンズを通過した入射光をホログラフィックプレート内に入れるための第一の入力ホログラフィック光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィックプレートは、さらに、第二のレンズを通過した入射光をホログラフィックプレート内に入れるための第二の入力ホログラフィック光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィックプレートは、さらに、遠くの光景からの入射光をホログラフィックプレート内に入れるための第二の入力ホログラフィック光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィックプレートは、さらに、ホログラフィックプレートに入った光をホログラフィックプレートから出して観察者の眼に到達させるための出力ホログラフィック光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、光学装置は少なくとも一つの反射光学素子を含む。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、光学系は、さらに、(d)少なくとも任意の時間、第一及び第二の光景の一つからの光を観察者の眼に到達させないように遮るための遮光メカニズムからなる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、光学系は、さらに(d)少なくとも任意の時間、近くの光景及び遠くの光景の一つからの光を観察者の眼に到達させないように遮るための遮光メカニズムからなる。
    本発明のもう一つの実施例によれば、上記のいずれかの実施例による二つの光学系からなる眼鏡が提供される。
    本発明のもう一つの実施例によれば、遮光メカニズムを含む二つの光学系からなる三次元視覚認識のためのヘッド・セットが提供される。
    本発明のもう一つの実施例によれば、観察者が、第一のイメージ及び第二のイメージによって提示される光景の三次元視覚認識を得るために用いることができる光学系が提供される。 この場合、第一及び第二のイメージの各々は、光景の視差情報を含む。 この光学系は、第一のホログラフィックプレート及び第二のホログラフィックプレートからなり、第一及び第二のホログラフィックプレートの各々は次のものを含む(a)第一側及び第二側を持つ、光透過材から形成された本体。 (b)本体の第一側に形成された少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子。 なお、材料、そして入力ホログラフィック光学素子の各々は、本体を入る任意の方向を持つ入射光が回折されてほぼ完全な内反射を起こすように選択する。 そして(c)本体の第二側に形成された少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子。 このため、どの出力ホログラフィック光学素子に到達する光も、入射光の任意の方向と同様な方向で本体から出る。 この場合、第一のホログラフィックプレートは、ほぼ第一のイメージからの光だけを観察者の一方の眼に到達させるためのものであり、第二のホログラフィックプレートは、ほぼ第二のイメージからの光だけを観察者の他方の眼に到達させるためのものである。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ホログラフィック光学素子の各々は、さらに、光を遮る遮光メカニズムを含む。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が第一の光景及び第二の光景を見ることを可能にするための方法が提供される。 この方法は次のステップからなる。 (a)第一の焦点距離を持つ第一の接眼レンズを観察者に提供するステップ。 (b)第二の焦点距離を持つ第二の接眼レンズを観察者に提供するステップ。 第一及び第二のレンズは、観察者の一つの眼の前に互いに隣接して配置されるため、どの光景からの単一光線も第一及び第二のレンズの一つを介してのみ通過する。 そして(c)第一の光景からの第一のレンズを通過した入射光を観察者の眼の中へ導き、そして同時に第二の光景からの第二のレンズを通過した入射光を観察者の眼の中へ導くための光学装置を観察者に提供するステップ。 この光学装置は第一及び第二のレンズと観察者の眼との間に配置される。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が近くの光景及び遠くの光景を見るために用いることができる方法が提供される。 この方法は次のステップからなる。 (a)近くの光景を拡大すると共に通過する光の照準を正すための、短い焦点距離を持つ拡大照準接眼レンズを観察者に提供するステップ。 (b)近くの光景からの拡大照準レンズを通過した入射光を観察者の眼の中へ導き、そして同時に遠くの光景からの入射光を観察者の同じ眼の中へ導くための光学装置を観察者に提供するステップ。 そして(c)遠距離視覚異常を補正するための補正接眼レンズを観察者に提供するステップ。 この補正レンズは光学装置と観察者の同じ眼との間に配置される。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするための光学系が提供される。 この場合、第一及び第二の光景の両方は、受動光を介して観察者に視覚されるもので、この光学系は次のものから構成される。 (a)観察者の頭上に光学系を取り付けて観察者の眼の前に光学系を配置するためのヘッド・アレンジメント。 そして(b)第一の光景からの光と第二の光景からの光の両方が観察者の眼の中へ同時に導かれるように配置されたビーム・スプリッタ。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一の光景が近くの光景で、第二の光景が遠くの光景であるため、遠くの光景からの光は自然に照準がほぼ正される。 この場合、光学系は、さらに、(c)近くの光景からの光の照準を正すための照準レンズからなり、この照準レンズはヘッド・アレンジメントによって支持される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一及び第二の光景の両方が近くの光景であるため、いずれの光景からの光も照準が正されていない光である。 この場合、光学系は、さらに、(c)ヘッド・アレンジメントによって支持される、第一の光景からの光の照準を正すための第一の照準レンズ、そして(d)ヘッド・アレンジメントによって支持される、第二の光景からの光の照準を正すための第二の照準レンズからなる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、光学系は、さらに(c)ヘッド・アレンジメントによって支持される少なくとも一つの反射鏡からなり、この少なくとも一つの反射鏡は、第一の光景からの光をビーム・スプリッタへ導くためのものである。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、光学系は、さらに(c)観察者の視覚異常を補正するための矯正光学レンズからなり、この矯正光学レンズは、ビーム・スプリッタと観察者の眼との間に配置され、ヘッド・アレンジメントによって支持される。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするための方法が提供される。 この場合、第一及び第二の光景の両方は、受動光を介して観察者に視覚されるもので、この方法は、(a)第一の光景からの光と第二の光景からの光の両方を同時に観察者の眼に導くように配置されるビーム・スプリッタを観察者に提供するステップからなる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一の光景が近くの光景で、第二の光景が遠くの光景であるため、遠くの光景からの光は自然に照準がほぼ正される。 この場合、この方法は、さらに、(b)近くの光景からの光の照準を正すための照準レンズを観察者に提供するステップからなる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一及び第二の光景の両方が近くの光景であるため、どちらの光景からの光も照準が正されていない光である。 この場合、この方法は、さらに、次のステップからなる。 (b)第一の光景からの光の照準を正すための第一の照準レンズを観察者に提供するステップ。 そして(c)第二の光景からの光の照準を正すための第二の照準レンズを観察者に提供するステップ。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、この方法は、さらに、(b)少なくとも一つの反射鏡を観察者に提供するステップからなり、この少なくとも一つの反射鏡は第一の光景からの光をビーム・スプリッタに導くためのものである。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、この方法、さらに(b)観察者の視覚異常を補正するための矯正光学レンズを観察者に提供するステップからなり、この矯正光学レンズはビーム・スプリッタと観察者の眼との間に配置される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ビーム・スプリッタは、観察者が頭を動かした場合、第一及び第二の光景が見えるように観察者が光学系を調整できるように、そして観察者が同時に見るもう一つの対の光景を選択できるように、ヘッド・アレンジメントに対して可動である。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一及び第二の光景の両方が遠くの光景であるため、両光景からの光は自然に照準がほぼ正される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、少なくとも一つの反射鏡及びビーム・スプリッタの少なくとも一つは、観察者が頭を動かした場合、観察者が第一及び第二の光景を見るために光学系を調整することができるように、そして観察者が第二の光景と共に同時に見る少なくとも一つの置換光景を選択できるように、ヘッド・アレンジメントに対して可動である。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ビーム・スプリッタと反射鏡は、各々、体積を持つ単一光学素子の第一面、そして第二面として形成される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、反射鏡は照準反射鏡であり、ビーム・スプリッタは照準ビーム・スプリッタである。 このため、第一の光景からの光は、ビーム・スプリッタに到達する前に照準反射鏡によって照準が正される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ビーム・スプリッタ及び少なくとも一つの反射鏡は、第一の光景が急勾配な角度で見えるように、第一の光景と観察者の眼とに相対的に配置される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、ビーム・スプリッタが照準ビーム・スプリッタであるため、第一の光景からの光は、観察者の眼に到達する前に照準ビーム・スプリッタによって照準が正される。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、上記に説明した二つの光学系からなる、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするためのヘッド・セットが提供される。 この場合、二つの光学系は、各々観察者の一つの眼の前に配置される。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が、一方の眼で第一の光景を、そして他方の眼で第二の光景を同時に見ることを可能にするためのヘッド・セットが提供される。 このヘッド・セットは上記に説明した光学系から構成され、光学系は観察者の一方の眼の前に配置される。 この場合、ビーム・スプリッタは、ほぼ反射面としてのみ機能するため、観察者の一方の眼が第二の光景に向き、同時に観察者の他方の眼も第二の光景に向いていても、第一の光景からの光は観察者の一方の眼に導かれる。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするための光学系が提供される。 この場合、第一及び第二の光景の両方は、受動光を介して観察者に視覚認識されるもので、この光学系はホログラフィックプレートから構成される。 このホログラフィックプレートは次のものを含む。 (a)第一側及び第二側を持つ、光透過材から形成された本体。 (b)本体の第一側に形成された少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子。 なお、材料、そして少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子の各々は、本体に入る任意の方向を持つ入射光が回折されてほぼ完全な内反射を起こすように選択する。 そして(c)本体の第二側に形成された少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子。 このため、少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子のいずれに到達する光も、入射光の任意の方向と同様な方向に本体から出て(プレートの一方の側から入り、他方から出る)観察者の眼に到達する。 この場合、ホログラフィックプレートは観察者の眼に対して配置され、少なくとも一つの入力及び出力ホログラフィック光学素子が本体に対して配置される。 したがって、第一及び第二の光景の両方からの光は、同時に観察者の眼の中へ導かれる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、本体は少なくとも一ヶ所において湾曲している。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一の光景が近くの光景で、第二の光景が遠くの光景であるため、遠くの光景からの光は自然に照準がほぼ正される。 この場合、この光学系は、さらに、(d)近くの光景からの光の照準を正すための照準レンズからなる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一及び第二の光景の両方が遠くの光景であるため、両光景からの光は自然に照準がほぼ正される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一及び第二の光景の両方が近くの光景であるため、いずれの光景からの光も照準が正されていない光である。 この場合、この光学系は、さらに、次のものからなる。 (d)第一の光景からの光の照準を正すための第一の照準レンズ。 第一の照準レンズは第一の光景とホログラフィックプレートとの間に配置される。 そして(e)第二の光景からの光の照準を正すための第二の照準レンズ。 第二の照準レンズは第二の光景とホログラフィックプレートとの間に配置される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、この光学系は、さらに、(d)第一及び第二の光景の両方からの光の照準を正すための、ホログラフィックプレートと観察者の眼との間に配置される照準レンズからなる。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、この光学系は、さらに、(d)観察者の視覚異常を補正するための矯正光学レンズからなり、この矯正光学レンズはホログラフィックプレートと観察者の眼との間に配置される。 さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、上記に説明した二つの光学系からなる、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするためのヘッド・セットが提供される。 この場合、二つの光学系は、各々観察者の一つの眼の前に配置される。
    さらに、下記に説明する本発明の好適実施例における特徴によれば、観察者が、一方の眼で第一の光景を、そして他方の眼で第二の光景を同時に見ることを可能にするためのヘッド・セットが提供される。 このヘッド・セットは上記の光学系から構成され、光学系は観察者の一方の眼の前に配置される。 観察者の一方の眼が第二の光景に向き、同時に観察者の他方の眼も第二の光景に向いているとき、光学系は、第一の光景からの光が観察者の一方の眼へ到達するようにし、同時に第二の光景からの光が一方の眼に到達するのを遮る。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、第一及び第二の光景は、一対の関連する光景を形成する。 この1対の関連する光景は、ノートと黒板、ノートと講師、ノートとスクリーン、絵と描画対象物、キーボードとスクリーン、印刷物とスクリーン、印刷物と前方の道路、そして印刷物と前方の空からなる光景の対のグループから選択される。
    さらに、好適実施例における特徴によれば、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするための方法が提供される。 この場合、第一及び第二の光景の両方は、受動光を介して観察者に視覚認識されるもので、この方法は次のステップからなる。 (a)ホログラフィックプレートを観察者に提供するステップ。 観察者は、このホログラフィックプレートを介して光景を見る。 なお、このホログラフィックプレートは次のものを含む。 (i)第一側及び第二側を持つ、光透過材から形成された本体。 (ii)本体の第一側に形成された少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子。 材料、そして少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子の各々は、少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子を介して本体に入った任意の方向を持つ入射光が、ほぼ完全な内反射を起こすように選択する。 そして(iii)本体の第二側に形成された少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子。 このため、少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子のいずれに到達する光も、入射光の任意の方向とほぼ同様な方向に本体から出て観察者の眼の一つに到達する。 そして(b)ホログラフィックプレートを観察者の眼に対して、そして少なくとも一つの入力及び出力ホログラフィック光学素子を本体に対して配置するステップ。 これによって、第一及び第二の光景の両方からの受動光が同時に観察者の眼に導かれる。
    本発明は、二つの光景からの光を観察者の眼へ代替的に、あるいは同時に導く光学系を提供することによって、現在既知である機器構成の欠点を解決するものである。 したがって、本発明の光学系は、(i)遠距離視覚から短距離視覚へ変わるときに二焦点眼鏡が必要とするような、観察者の頭の位置あるいは眼の向きを変える必要がないため、二焦点眼鏡の代わりに、容易に、そして快適に用いることができる。 (ii)三次元視覚認識のために用いることも可能である。 そして(iii)観察者が頭の位置そして/あるいは眼の方向を変えることなく、観察者の視野外にある視覚情報を視野内にもたらすことも可能である。 さらに、本発明は、二つの光景からの受動光を観察者の眼へ同時に導く光学系を提供することによって、現在既知である機器構成の欠点を解決する。 この光学系は、観察者が、関連する光景の対を同時に見ることを可能にするために用いることができる。
    本発明による光学系の他の特徴、目的及び利点については、次の個所に説明する。
    【図面の簡単な説明】
    本発明を、次の添付図面を参照しながら単に実施例として、ここに説明する。
    図1は、従来の技術によるホログラフィックプレートの断面図である。
    図2は、もう一つの従来の技術によるホログラフィックプレートの断面図であり、本発明に従って種々の実施例に用いられる。
    図3aから3cは、本発明による光学系の三つ実施例を示す断面図である。
    図4aから4cは、本発明による遮光メカニズムを備えた図3aの光学系の三つの操作モードを示す断面図である。
    図5は、本発明による第二のタイプの遮光メカニズムのタイプを備えた図3bに示す光学系の断面図である。
    図6a及び6bは、本発明による三次元視覚のための光学系の二つの操作モードを示す断面図である。
    図7a及び7bは、本発明による、近くの、そして/あるいは遠くの光景を同時に、あるいは代替的に見ることを可能にする光学系の二つの構成を示す断面図である。
    図8は、本発明による三次元視覚のための眼鏡、ヘッド・セット、すなわち光学系の正面図である。
    図9から図11は、従来の技術による三つのヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)システムの断面図である。
    図12及び図13は、本発明による、幾何光学の原理を用いる光学系の二つの実施例を示す断面図である。
    図14aから14cは、観察者が急勾配な角度及び自然な向きで第一の光景を見ることが可能な、本発明の光学系におけるビーム・スプリッタ及び反射鏡の三つの代替的な構成を示す概要図である。
    図15及び図16は、本発明による、平面光学の原理を用いる光学系の二つの実施例を示す断面図である。
    図17aから17cは、図15の光学系の三つのオプション的な構成を示す断面図である。
    好適実施例の説明
    本発明は、少なくとも二つの光景からの光を観察者の眼へ代替的に、あるいは同時に導くための光学系に関し、異なる、あるいは単一の時間における二つ以上の光景のイメージを観察者に提供するために用いることができる。 特に、本発明は、見ようとする光景に対して頭と眼との不便な位置決めを必要としない二焦点眼鏡を提供するために用いることができる。 もう一つの実施例によれば、本発明は、二つの光景からの光を観察者の一方の眼あるいは両方の眼へ同時に導くための光学系に関し、観察者が一対の関連する光景を同時に見ることを可能にするものである。 特に、本発明のこの実施例によって、観察者は、一方の、あるいは両方の光景の変化に同時に気付くことが可能で、そして光景の一方を他方に正確に比較することが可能になる。
    図3から図8に示す本発明の第一実施例をより良く理解するために、まず、図1及び図2に示す従来の(すなわち、従来の技術による)ホログラフィックプレートの構成及び作用について述べる。
    さて、図面を参照する。 図1に従来の技術によるホログラフィックプレートを示す。 これを下記にプレート20として言及する。 プレート20は、ガラス、プラスチック(限定せず)等の光透過材から形成された本体23を含み、さらに、(本技術において回析光学素子としても知られる)入力ホログラフィック光学素子22及び出力ホログラフィック光学素子24を含む。 入射光(その代表的な光線を矢印21によって示す)が入力ホログラフィック光学素子22を通過して回折される角度α、そしてプレート20を形成する材料は、(矢印21によって示すように)プレート20に入る光がほぼ完全な内反射を生じ、出力ホログラフィック光学素子24に当たり、それを介してプレート20から去る(出る)ように選択する。 したがって、プレート20を用いることによって、光景Aから入力ホログラフィック光学素子22に到達する光は、出力ホログラフィック光学素子24を介して観察者の眼26に視覚認識させることが可能である。
    しかし、図1の従来の技術によるホログラフィックプレート20は、ホログラフィックプレート20に入る光がプレートを出る光に対してほぼ反対の方向にある、すなわち換言すれば、光景及び観察者が図1に示すようにプレートに対して同じ関係で位置しなければならないという特徴がある。
    下記にさらに詳細に説明するが、光景と観察者が共にホログラフィックプレートに対して同じ方向に配置される図1に示す従来の技術による構成は、多くの場合、本発明による種々の実施例を制限するものである。
    さて、図2を参照する。 これは、本発明の種々の実施例を可能にする、もう一つの従来の技術によるホログラフィックプレート30である。 ホログラフィックプレート30は、図1に示す従来の技術によるホログラフィックプレート20に類似するが、決定的な違いがある。 上記に説明したように、図1のプレート20を用いた場合は、観察者と、観察対象である光景との両方がプレートに対して同様な方向へ位置決めされなければならない。 これとは対照的に、プレート30を用いた場合、図2に示すように、観察者は、光景を見るために、その光景の位置に対して正反対の位置をとらなくてはならない。
    したがって、図1のプレート20と同様に、図2のプレート30は、ガラス、プラスチック(限定せず)等の光透過材から形成された本体33、さらに、入力ホログラフィック光学素子32及び出力ホログラフィック光学素子34を含む。 入射光(その代表的な光線を矢印31によって示す)が入力ホログラフィック光学素子32を介して通過し回折される角度β、そしてプレート30が形成されるか材料は、(矢印31によって示すように)プレート30に入る光がほぼ完全な内反射を起こし、出力ホログラフィック光学素子34に当たり、それを介してプレート30を去るように選択する。
    この明細書、そして特に下記の請求項の箇所において、語句「ほぼ完全な内反射」が用いられる場合、それは、ある場合には不純物、研磨不良等の原因で、光の一部が反射されないでプレートから漏れるといった限界を含む全反射を示す。 これらの現象は本技術において良く知られている。 実際、真の全内反射(すなわち、光が100%反射すること)は理論的なものである。 しかしながら、光の数パーセントまでの損失(例えば、10%よりも少ない、5%よりも少ないことが好ましく、1%よりも少ないことがより好ましいが、0.1%以下であることが最も好ましい)は、許容可能であり、ここに用いる「ほぼ完全な内反射」の定義内に含まれる。 さらに、本技術分野において既知であるが、内反射(例えば、異なる位置における)の量は電気的に制御が可能であり、このような電気的に制御されるホログラフィックプレートも、ここで用いる用語「ホログラフィックプレート」の定義内に含まれる。
    しかしながら、図1に示すプレート20に対照的に、プレート30のホログラフィック光学素子32及び34は、プレートの両側に配置されている。 したがって、プレート30を用いた場合、プレート30の一方の側にある光景Aは、その光が入力ホログラフィック光学素子32に到達し、出力ホログラフィック光学素子34を介して、プレート30の他方の側に位置する観察者の眼36によって観察される。
    プレート20及び30は、平面的な構成を持つものとして示すが、上記に説明した内反射が妨げられないような湾曲であれば、湾曲した構成であってもよいことは、本技術において既知である。
    したがって、広い意味において、ホログラフィックプレート30はつぎのものから構成される。 (a)光透過材から形成された、第一側及び第二側を持つ本体。 (b)本体の第一側に形成された少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子。 光透過材、そして入力ホログラフィック光学素子の各々を、任意の方向で本体に入る入射光が回折されて、ほぼ完全な内反射を起こすように選択する。 そして(c)本体の第二側に形成された少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子。 どの出力ホログラフィック光学素子に到達する光も、例えば、図2に示すように、入射光の任意の方向とほぼ同じ方向へ本体から出る。 ここに用いる「ほぼ同じ方向」とは、プレートの一方の側から入り他方の側から出ることを意味する。
    ホログラフィックプレートの他の例としては、フリーゼム氏及びアミタイ氏による「光学の傾向」に述べられている(AA Friesem and Y.Amitai(1996)in”Trends In Optics”. A Consortini, Ed. Academic Press, NY, pp. 125-144)。 特に、上記に引用した参考文献に表されたホログラフィックプレートの種々の実施例は、本文に参照として含まれている。
    さて、図3aから3cを参照する。 これらは、下記に光学系40として言及する、本発明による光学系の三つの代替的な実施例である。 観察者は、光学系40を、少なくとも第一の光景Aと第二の光景Bとを択一的に、あるいは同時に見るために用いることができる。
    この明細書、そして特に下記の請求項個所で用いる用語「光景」は、例えば、動く、そして動かない物体、ディスプレイ、画像等、肉眼で視覚できる光景を示す。 さらに、ここで用いるA及びB等の二つの光景は、二つの独立した光景、重なり合う光景の両方を示し、さらに二つの僅かに異なる角度で観察した単一光景をも含む。 したがって、語句「少なくとも二つの光景」が用いられた場合、これは、上記に用語「光景」が定義されたように、少なくとも二つの光景に言及するものである。
    光学系40は、第一の焦点距離を持つ第一の接眼レンズ42と第二の焦点距離を持つ第二の接眼レンズ44を含む。 第一のレンズ42及び第二のレンズ44は、観察者の(46と付された)一方の眼の前に互いに隣接して配置されているため、(例えば、矢印48あるいは50によって示す)単一光線は、第一のレンズ42及び第二のレンズ44の一方を介して通過する。
    図3aから3c及びその後の図には、レンズ42及び44は二焦点レンズの構成要素として示されている。 しかしながら、従来の二つのレンズ、すなわち二焦点レンズに融合されていないものも本発明の範囲内に含まれること、また、用語が眼科の分野で用いられるような意味で、本発明の範囲を二重焦点の構成に限定する意図はないことは同業者には明らかである。 さらに、この明細書、そして特に下記の請求項個所で用語「隣接」が用いられる場合、それは、レンズ42及び44が互いに近くに配置された構成に言及するものである。 したがって、観察者に対して、レンズ42及び44は、一方のレンズを通過した光が他方を通過しないという条件の下で、図3aから3cに示すように、一方が他方の下に(あるいは上に)位置しても、また、択一的に平方向に並んで配置されても(図示せず)、あるいは他のいかなる互いに近い関係にあってもよい。
    さらに、多くの用途に対して、レンズ42及び44の焦点距離は、例えば、通常の二焦点眼鏡の場合のように、一方のレンズ、例えば42が短い焦点距離を持ち近くの光景に焦点を合わせるのに適当なように、そして他方のレンズ、例えば44が長い焦点距離を持ち遠い光景に焦点を合わせるのに適当なように選択されることは、同業者には明らかである。 しかしながら、下記に詳細を示すが、他の用途に対しては、例えば、光景の視差情報(すなわち、イメージの各々が、典型的に、一人の観察者の二つの眼に見えるような僅かに、そして適度に異なる角度からの光景を示す)等を提示する、イメージの三次元視覚に対しては、レンズ42あるいは44の焦点距離は、上記とは異なるように選択されるが、実際、後者の目的では、レンズ42及び44の焦点距離が等しい、あるいはほぼ等しいように選択される。
    光学系40は、さらに、第一のレンズ42を通過して観察者の眼46に入る第一の光景Aからの(矢印48によって示す)入射光を導くと同時に、第二のレンズ44を通過して観察者の眼46に入る第二の光景Bからの(矢印50によって示す)入射光を導く光学装置52を含む。 本発明のこの実施例によれば、光学装置52は、第一のレンズ42及び第二のレンズ44と観察者の眼46との間に配置される。
    下記に説明するように、図3aから3cの各図は、光学装置52の幾分異なる構成を示すが、光学装置52が、図2に示すホログラフィックプレート30に作用において同様なホログラフィックプレート54を含む図3a及び3bに示す構成が望ましい。
    ホログラフィックプレート54は、少なくとも一つ(図3aにおいては一つ、図3bにおいては二つ)の入力ホログラフィック光学素子56を含む。 したがって、図3aにおいて、レンズ42を通過する入射光は、入力ホログラフィック光学素子56によって、ホログラフィックプレート54に入り、レンズ44を通過する光は、プレート54に、その外面58にほぼ直角に当たるため、ホログラフィックプレート54に直接的に入る。 他方、図3bにおいては、入力ホログラフィック光学素子56は、レンズ42及び44を通過する入射光をホログラフィックプレート54に入れるように作用する。
    図面には、異なる光景からの視線が平行に示されているが、本発明の範囲を平行な視線だけに限定する意図はなく、本発明は、平行である、あるいは平行でないに関わらず、如何なる二つの光景あるいは視線に対しても適用が可能である。
    しかしながら、これらの場合、ホログラフィックプレート54は、さらに、少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子60を含む。 出力ホログラフィック光学素子60は、ホログラフィックプレート54に入った光が、ホログラフィックプレート54を去って、観察者の眼46に到達することを可能にするものである。 ホログラフィックプレート54が光を受けない部分を、図3aに示すように、不透明なカバー57で覆うことが好ましい。
    図3cに示すように、光学装置52は、択一的に、光景A及びBのいずれ、あるいは両方からの入射光を観察者の眼46へ導く反射光学素子62のセット(例えば、幾何光学の技術分野において良く知られる鏡、プリズムあるいはそれらの組合せ)を含んでもよい。 実際、図3cにおいては、光景Aからの入射光は反射光学素子62によって観察者の眼46へ導かれるが、光景Bからの入射光は第二のレンズ44通過した後、4直接的に眼46へ到達する。 しかしながら、さらに、図3bに類似する反射光学素子の同様なセットを、光景Bからの入射光を観察者の眼46へ導くために用いてもよい。
    現在は、例えば、図3a及び3bに実証する平面光学素子の製造及び作動は、図3cに実証する非平面的な(すなわち幾何学的な)光学素子と比較した場合、かなり制限が少ないため、平面光学を利用する実施例が好ましい。 平面光学、特にホログラフィック要素の形成手段に関する詳細については、例えば、フリーゼム氏及びアミタイ氏による「光学の傾向」及びジュルゲン・ジョンズ氏及びスーザン・J・ウォーカー氏による「薄膜付着によって製造された回折マイクロレンズの二次元アレイ」に述べられている(AA Friesem and Y. Amitai(1996)in”Trends In Optics”. A Consortini, Ed. Academic Press, NY, pp. 125-144; Jurgen Johns and Susan J. Walker(1990)Two-dimensional array of diffractive microlenses fabricated by thin film deposition, Applied Optics 29:931-936)。
    本発明の好適実施例においては、光学系40は、図8に示す眼鏡200に用いられ、従来の技術における二焦点眼鏡を用いることに関連するものとして、頭を動かさずに、あるいは眼が向けられた方向を変えないで近くの、そして遠くの光景を見ることを可能にする。 このため、図3a及び3bに示す構成のいずれかの二つの光学系40を、観察者の眼の各々の前に一つの光学系40が配置されるように、従来の眼鏡フレームであるフレーム202に取り付ける。
    この場合、光学系40の各々は、図3aから3cに示すように、近い光景Aを見るための短い焦点距離を持つレンズ42としての下部構成要素と、遠い光景Bを見るための長い焦点距離を持つレンズ44としての上部構成要素とを含む二焦点レンズから構成される。 光学系40の各々のレンズ42及び44は、眼科の技術において既知であるが、特定な人の視覚異常及び視覚限界を調整(補正)するように選択する。 観察者がフレームを身につけるため、光景A及びBの両方からの光が観察者の眼に到達する。 それでも、観察者の眼がリラックスしているとき、すなわち観察者の眼が遠距離の視覚に適応しているときは、光景Aには焦点が合っておらず、光景Bが観察者の網膜上にほぼ集束する。 他方、観察者の眼が近い物を視覚するように焦点が合っているとき、すなわち観察者の眼が短距離の視覚に適応しているときは、光景Bには焦点が合っておらず、光景Aが観察者の網膜上にほぼ集束する。 いずれの場合も、観察者には、一方の光景が集束して、他方がピントがぼけて見える。 観察者の脳は、焦点はずれの光景を無視することを学ぶため、トレーニングの後には、焦点が合った光景のイメージのみを認知するようになる。 したがって、従来の技術による二焦点眼鏡が用いられるモードとは対照的に、長距離の視覚から短距離の視覚に変えるとき、あるいはその逆のときは、観察者は、単に眼の焦点を変えることが必要とされるため、頭の位置及び眼の方向を一定にを保つことが可能である。
    現在、非常に高い屈折率を持つ光透過材が知られているため、眼鏡及び他の光学装置に用いるレンズの厚さは低下し、それらの湾曲は平らになっている。 このような小さな湾曲のレンズは、(眼に面する)内面に、僅かに湾曲するホログラフィックプレートを接着することができるので、本発明による眼鏡に用いるのに非常に適している。
    同様に、図3aから3c、それ以降の図に示す構成に従う光学系40には、二つ以上のレンズを用いることが可能である。 この場合、上記に用語「光景」を定義したように、三つ以上の光景からの光を同時に、択一的に、あるいは対として観察者の眼へ導いてもよい。
    図4aから4cを参照する。 本発明の好適実施例によれば、光学系40は、さらに遮光メカニズム70を含む。 遮光メカニズム70は、少なくとも観察者が選択する任意の時間に渡って、第一及び第二の光景A及びBの一方の光が観察者の眼46に到達しないように光を遮るためのものである。 図4aから4cにおいては、図3aに示す光学系40の構成が、さらに遮光メカニズム70を含むように作り直されている。 遮光メカニズム70は光ブロッカ72を含み、このブロッカは三つの操作モードを持つことが好ましい。
    図4bに示す第一の操作モードでは、光ブロッカ72は、光景Aからの光が観察者の眼46に到達しないように光を遮って配置されている。
    図4cに示す第二の操作モードでは、光ブロッカ72は、光景Bからの光が観察者の眼46に到達しないように光を遮って配置されている。
    図4aに示す第三の操作モードでは、光ブロッカ72は、観察者の眼46に対して光景A及びBのどちらの光をも遮らないように配置されている。 このため、第三の操作モードでは、光学系40は、本質的に、上記図3aで説明したように機能する。
    したがって、図4bに示す第一の操作モードでは、観察者の眼46には光景Bだけが映り、図4cに示す第二の操作モードでは、観察者の眼46には光景Aだけが映る。 しかし、図3aに示す第三の操作モードでは、観察者の眼46には光景A及びBの両方が映る。
    本発明による光学系のこの実施例は、例えば、上記に説明したように焦点はずれの光景を無視できない観察者に適する。 このような観察者は、単に一つの操作モードからもう一つの操作モードへと、遮光メカニズム70に沿って光ブロッカ72を移動させることによって、光景を選択して見ることができる。
    同業者には明らかであるが、(i)遮光メカニズム70は、図3aから3cを参照して説明した光学系40のどの構成にでも用いることが可能である。 (ii)遮光メカニズム70は、レンズ40及び42と光学装置52とに相対的にどの位置にでも配置することが可能である。 例えば、遮光メカニズム70をレンズ42及び44の前に、あるいは光学装置52と観察者の眼46との間に配置してもよい。 そして(iii)上記の三つの操作モードのうち、単に二つの操作モードの組合せを持つ遮光メカニズム70も、ある観察者に対しては、あるいは用途によっては有用である。
    図5に、図3bに示す光学系40の構成を、もう一つのタイプの遮光メカニズム70を含むように作り直す。 図5の遮光メカニズム70は、各々レンズ42及び44に対して取り付けた光ブロッカ72a及び72bを含む。 ブロッカ72aそして/あるいは72bの各々を回転することによって、光景Aそして/あるいはBからの光が、各々観察者の眼46に到達することが妨げられる。
    図8に示す本発明のもう一つの好適実施例においては、光学系40は、単一光景の、二つの角度からの二つのイメージA及びBの三次元視覚を目的としたヘッド・セット300に用いられる。 この場合、イメージA及びBは単一光景の視差情報を含む。 本発明のこの実施例の説明においては、イメージAからの光は、上記に説明した光景Aからの光として作用し、イメージBからの光は、上記に説明した光景Bからの光として作用することに注意すべきである。
    このため、二つの光学系40(図3a及び3bに示す構成の一方を用いることが好ましい)を適当なフレーム、例えば従来のヘッド・セットフレーム(図示せず)内に取り付け、光学系40を観察者の各々の眼の前に配置する。 この場合、光学系40の各々は、任意の比較的に短い焦点距離を持つレンズ42を第一の構成要素として、同様な焦点距離を持つレンズ44を第二の構成要素として含む。 この場合、両レンズは拡大及び照準レンズであることが好ましい。 しかし、この場合、レンズ42及び44は、必ずしも視覚異常を調整(補正)するものとして用いられるものではない。 両光学系40の遮光メカニズム70を収容するフレームを観察者が身につけると、一方の眼がイメージAからの光だけを受け、他方の眼がイメージBからの光だけを受けるため、観察者は、その光景を三次元に視覚する。
    実際、三次元視覚の目的では、光学系40が全くレンズを含まないような構成にしてもよい。 このような単純な光学系を、下記に光学系40'として、図6a及び6bに二つの操作モードを示す。 光学系40'は、図3bに示す光学系40の上記すべての構成要素を含むが、レンズを欠いている。 観察者は、光学系40'用いて、同時に、第一のイメージAを一方の眼、例えば46で、そして第二のイメージBを他方の眼、例えば46'で見ることができる。 したがって、光学系40は、第一のイメージAからの(矢印48によって示す)入射光を観察者の一方の眼46へ、そして同時に、第二のイメージBからの(矢印50によって示す)入射光を観察者の他方の眼46へ導くための光学装置52を含む。 図6a及び6bに示す望ましい構成においては、光学装置52はホログラフィックプレート54を含む。 ホログラフィックプレート54は、二つの(図3bのものに類似する)入力ホログラフィック光学素子56を含むことが好ましい。 入力ホログラフィック光学素子56は、入射光がホログラフィックプレート54に入ることを可能にするためのものである。 本発明のこの実施例のようにレンズが用いられない場合は、入力ホログラフィック光学素子56は、対応するイメージAあるいはBに視野を限定するように選択されることが好ましい。 ホログラフィックプレート54は、さらに、少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子60を含む。 出力ホログラフィック光学素子60は、ホログラフィックプレート54に入った光がホログラフィックプレート54から去り、観察者の眼46及び46'に到達することを可能にするためのものである。 三次元視覚のために、光学系40'は、さらに、遮光メカニズム70を含む。 遮光メカニズム70は、第一及び第二のイメージA及びB内の視差情報のタイプに応じて、イメージA及びBからの各々の光が、観察者の各々の眼46及び46'に到達することを遮るものである。 好適実施例においては、遮光メカニズム70は、光ブロッカ72を含み、図4aから4cに関して上記に説明したような三つの操作モードを持つことが好ましいが、二つの操作モードを図6a及び6bに示す。
    したがって、図6aに示す第一の操作モードにおいては、観察者の眼46にはイメージBだけが見え、図6bに示す、第二の操作モードにおいては、観察者の眼46'にはイメージAだけが見える。
    観察者に対して、予め定めたやり方でイメージA及びBを配置するなら、すなわち、左のイメージ(すなわち、光景に対して左の角度のイメージ)、例えばイメージAが観察者の左眼、この場合は眼46'で見えるように配置し、そして右のイメージ(すなわち、光景に対して右の角度のイメージ)、例えばイメージBが、観察者の右眼、この場合は眼46で見えるように配置するならば、光学系40'は、遮光メカニズム70を含まないで、入力ホログラフィック光学素子56を一つだけ含むように単純化することも可能である。 この場合、この入力ホログラフィック光学素子は、図6aに示す第一のケースとして、イメージBからの(矢印50によって示す)光が眼46に到達するように、そして、図6bに示す第二のケースとして、イメージBからの(矢印48によって示す)光が眼46'に到達するように配置される。
    したがって、本発明によれば、光景を観察者が三次元として視覚できる光学系が提供される。 この場合、光景は第一のイメージ及び第二のイメージとして提示され、第一及び第二のイメージの各々は光景の視差情報を含む。 この光学系は、各々が光透過材から形成された本体を持つ第一及び第二のホログラフィックプレートから構成され、各々は、さらに、本体の第一側に形成された少なくとも一つの入力ホログラフィック光学素子を含む。 本体を形成する材料及び入力ホログラフィック光学素子の各々は、本体に入った任意の方向を持つ入射光が回折され、上記に用語「内反射」を定義したように、ほぼ完全な内反射を生じるように選択する。 第一及び第二のプレートの各々は、さらに本体の第二側に形成された少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子を含むため、出力ホログラフィック光学素子に到達する光は、本体から、入射光の任意の方向とほぼ同様な方向に出る。 この光学系は、第一のホログラフィックプレートによって第一のイメージからの光だけが観察者の一方の眼に到達するように、そして第二のホログラフィックプレートによって第二のイメージからの光だけが観察者の他方の眼に到達するように形成される。 これを可能にするために、ホログラフィックプレートの各々は、さらに遮光メカニズムを含むことが好ましい。
    本発明のもう一つの実施例においては、光学系40を、観察者の視野外の情報を視野内にもたらすために用いることも可能である。 例えば、眼が前方の道路(空)に向いた自動車の運転手(あるいは航空機のパイロット等)は、前方の道路(空)と情報パネルとの両方を同時に視覚するために、そして/あるいは運転手(パイロット)の視野の、通常下方あるいは上方に位置する情報を映すために、眼の前に一対の光学系40を身につけることができる。 上記の三次元視覚の実施例のように、この場合も、レンズはオプション的なものであり、不可欠なものではない。
    さて、図7a及び7bを参照する。 本発明のもう一つの好適実施例によれば、下記に光学系40”として述べられる光学系が提供される。光学系40”を用いることによって、頭を動かさずに、あるいは眼の方向を変えないで、近くの、そして遠くの光景の両方を見ることを可能にする、例えば、図8に示す200と付された眼鏡を提供することができる。 この眼鏡は、各接眼レンズが僅かに一つの特注レンズから構成されるため、光学系40の種々の構成に基づく眼鏡に比べ(二つの特注レンズ)、製造が容易である。
    図7a及び7bに、本発明による光学系40”の二つのオプション的な実施例を示す。観察者は、光学系40”を、近くの光景Aと遠くの光景Bとを択一的に、あるいは同時に見るために用いることができる。 光学系40”は、通過する光の照準を正す拡大照準接眼レンズ42'を含む。拡大照準レンズ42'は(例えば、読むのに適する25から40cmの範囲の)比較的に短い焦点距離を持つことが好ましい。拡大照準レンズ42'は、基本的な光学素子として市販されている従来のタイプのものであることが好ましい。したがって、これは特注品ではない。
    光学系40”は、近くの光景Aからの(矢印48によって示す)入射光を、拡大照準レンズ42'を介して観察者の眼46に、そして同時に、遠くの光景Bからの(矢印50によって示す)入射光を観察者の同じ眼46に導くために、さらに、ホログラフィックプレート54の形態で光学装置52を含むことが好ましい。光学装置52は、図3cに示す要素62等の反射光学素子を含んでもよいが、この構成は、現時点では、古典幾何光学に比べて平面光学の方が利点が多いため、好ましくない。
    ホログラフィックプレート54は、少なくとも一つの(図7aにおいては一つ、図7bにおいては二つの)入力ホログラフィック光学素子56を含む。 したがって、図7aにおける入力ホログラフィック光学素子56は、近くの光景Aからの、レンズ42'を通過してホログラフィックプレート54に入る入射光を受け入れるためのものである。 この場合、光景Bからの光は、プレート54の外面58にほぼ直角に当たるため、直接的にホログラフィックプレート54に入る。 他方、図7bにおける入力ホログラフィック光学素子56は、光景A及びBの両方からの入射光をホログラフィックプレート54に受け入れるためのものである。
    しかし、どちらの場合も、ホログラフィックプレート54は、さらに、少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子60を含む。 出力ホログラフィック光学素子60は、ホログラフィックプレート54に入った光を、ホログラフィックプレート54から放ち、観察者の眼46に到達させるためのものである。
    光学系40”は、さらに、典型的に長い焦点距離を持つ補正接眼レンズ44'を含む。補正レンズ44'は、遠距離視覚異常を調整する(補正する)ためのもので、特定の観察者の特定の眼46に調整される。補正レンズ44'は、観察者の眼46と出力ホログラフィック光学素子60との間に位置している。光景Aそして/あるいはBから補正レンズ44'に到達する光は照準が正しい状態にある。これは、近くの光景Aからの光が拡大照準レンズ42'によって照準が正され、遠くの光景Bからの光が自然にほぼ照準が正されるためである。
    上記に説明した光学系40”の構成によれば、短距離及び遠距離の両方の視覚異常に苦しむ観察者が、近くの光景A及び遠くの光景Bを快適に同時に、あるいは択一的に見るためには、特注レンズ(すなわち、レンズ44')が一つだけ要求される。光学系40のように、光学系40”にも、近くの光景A及び遠くの光景Bの視覚を容易にするために、(例えば、図4aから4cに示す遮光メカニズム70に類似する)遮光メカニズムを補ってもよいことは明らかである。 したがって、光学系40”には、光学系40について上記に説明したすべての利点がある。さらに、光学系40では二つの特注レンズ(例えば、図3a及び3b、そして図4aから4cのレンズ42及び44)が必要とされるのに対し、光学系40”には、特注レンズ(すなわち、レンズ44')が一つだけであるという、もう一つの利点がある。
    本発明の第二実施例による光学系は、光景からの受動光を用いるもので、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)システムとは対照的に、システムの一部として能動光(すなわち、ディスプレイ)を用いることはない。
    図面の図12から図17に示す本発明の第二実施例をより良く理解するために、ここで、図9から図11に示す従来の(すなわち、従来の技術による)ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)システムの構成及び作動について述べる。
    下記にシステム220と言及する従来のHUDシステムは、結合器として機能するビーム・スプリッタ222を含む。 結合器222は、遠くの光景Aからの、視線226によって示す照準が正された受動光が本質的に何の影響も受けずに観察者の眼254に到達するように、観察者の眼254に相対的に配置される。 HUDシステム220は、さらに、アクティブなディスプレイ装置228を含む。 この装置228は通常ブラウン管(CRT)であって、Dと付したディスプレイを提示する。 このため、装置228は、視線230によって示す(通常、照準が正されていない)能動光を発する。 下記に述べるが、システム220は、(i)視線232によって示す光の照準を正す、そして(ii)この平行光232を結合器222へ、そして、そこから観察者の眼254へ導くことが可能な光学装置231を含む。 したがって、観察者は、光景A及びディスプレイDの両方からの平行光を同時に見る。
    従来のHUDシステム220は、いくつかの構成に形成することが可能であり、三つの例を図9から図11に示す。
    図9に示すように、光学装置231は照準レンズ234を含む。 図9の構成においては、装置228及びレンズ234は、装置228から発した、照準が正されていない能動光230が照準レンズ234を通過し、そこで照準が正され、しかし方向はほとんど変化せずに結合器222に向かい、そして結合器222によって反射されて観察者の眼254へ導かれるように、共直線的に配置される。
    図10に示すように、光学装置231は、前記のものと同様に照準レンズ234を含み、さらに反射鏡(例えば、鏡あるいはプリズム)236を含む。 図10に示す構成では、装置228及びレンズ234は、装置228から発した照準が正されていない能動光230が照準レンズ234を通過して照準が正され、232によって示すこの平行光が反射鏡236に到達し反射されて結合器222に向かい、次に結合器222によって反射されて観察者の眼254へ導かれるように、共直線的に配置される。 レンズ234及び反射鏡236の位置は、光がまず反射されてから照準が正されるように変えてもよいこと、また、システム220の他の構成要素に対して装置228が、これとは異なって配置される場合は、装置228から結合器222へ光を導くために、さらに反射鏡を追加してもよいことは明らかである。
    図11に示すように、光学装置231は、先に説明した図10に示す第二の構成の照準レンズ234及び反射鏡236によって達成されるものと同様な照準と反射との組合せ効果を提供するための照準反射鏡238を含む。 図11に示す構成では、装置228及び照準反射鏡238は、装置228から発した、照準が正されていない能動光230が、照準反射鏡238によって反射されると同時に照準が正され、232によって示すこの平行光が、照準反射鏡238のカーブに適応した照準結合器である結合器222に到達し、次に、その光が照準結合器222によって反射されて観察者の眼254へ導かれるように配置される。 システム220の他の構成要素に対して装置228がこれとは異なって配置される場合、装置228からの光を結合器222へ導くために、さらに反射鏡を追加してもよいことは明らかである。
    ある場合には、システム220のための、上記に説明した光学素子はすべて、上記に特定したように各面が機能する表面を持つ単一の光学素子に含ませることができる。 したがって、例えば、図10に示す構成では、結合器222及び反射鏡236は、(破線で示す)単一のエレメント240の二つの面であってもよい。 この場合、光は、これを通って、反射面236'から結合面222'へ進む。 この方向のHUDシステムは、例えば、JP497193(要約)に開示されている。
    従来の技術によるHUDシステムのいくつかは据置型であるが、システムがいつも観察者の眼の前に位置するように、ヘッド・セット、ヘルメット等に(少なくとも部分的に)取り付けたものもある。 しかしながら、すべての従来の技術によるHUDシステムは、受動光を介して視覚により認識される一つの光景と、能動光を介して視覚により認識される一つのディスプレイとの同時のプレゼンテーションに限定される(用語「受動光」及び「能動光」は上記背景の個所で定義している)。 現在既知であるHUDシステムで、二つの光景の同時視覚を、本発明の基礎である上記に定義した意味において目指すものは全く存在しない。 換言すれば、HUDシステムでは、観察者の各々の眼は、観察者の眼に到達する受動光によって形成される一つの実像と、観察者の眼に到達する能動光によって形成される一つの虚像とを同時に視覚により認識する。 多くの場合、両イメージからの光は、観察者の眼がかなりリラックスした(すなわち、近距離視覚に適応していない)状態で、両イメージがはっきりと見えるように、自然に、あるいは光学的に、ほぼ、あるいは完全に照準が正される。
    本発明による光学系の原理及び作用については、次の図面と、その説明から良く理解することができる。
    さて、図12及び図13に、下記に光学系250として言及する本発明による光学系のいくつかの実施例を示す。
    光学系250は、観察者が、A(あるいはA')によって示す第一の光景と、Bによって示す第二の光景とを同時に見ることを可能にするためのものである。 両光景A(あるいはA')及びBは、用語「光景」が上記背景の個所で定義されているように、受動光を介して観察者が視覚により認識するものである。 ここに説明する光学系250は、観察者の一つの眼に使用するためのものである。 構成要素が最も少ない構成において、光学系250は、観察者の頭に光学系250を取り付け、観察者の眼254の前に光学系250を配置するためのヘッド・アレンジメント252を含む。 ほとんどの実施例においては、観察者の眼の各々に対して一つ、合計二つの光学系250を用いる。 これらの場合、これら二つの光学系の他の構成要素を係合させるには、一つのヘッド・アレンジメント252で十分である。 図12及び図13では、ヘッド・アレンジメント252は、眼鏡のどめに類似するように示されているが、多くの他の構成が可能であり、本技術分野で良く知られる例えば、ヘッド・セット、ヘルメット等(限定せず)、あるいは観察者の眼の前に近づけて光学系250をしっかり固定することができる他の構成でもよい。
    同業者には明らかであるが、光学系250の構成要素が大きい場合、光学系250は、使用中に観察者の頭に係合しないタイプのものでもよい。 この場合、光学系250は、ヘッド・アレンジメントを含まず、その代わり、ここに説明するその他の構成要素は、適当なハウジング(図示せず)内に直接的に、あるいは間接的に係合されることが好ましい。 その大きさに応じて、単一の光学系250が観察者の両眼に対して同時に作用してもよい。
    構成要素が最も少ない構成でも、光学系250は、視線257によって示す第一の光景Aからの光と、視線258によって示す第二の光景Bからの光との両方が観察者の眼254の中へ同時に導かれるように配置されるビーム・スプリッタ256を含む。 したがって、ビーム・スプリッタ256が結合器として機能する。
    好適実施例においては、ビーム・スプリッタ256は、観察者が彼の頭を動かした場合に観察者が、第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bを見るのに光学系を調整できるように、そして観察者が、同時に見るもう一対の光景(図示せず)を選択できるように、ヘッド・アレンジメント252に対して可動性(例えば、移動、回転、あるいは両方)がある。 ビーム・スプリッタ256を動かすには、例えば、ヘッド・アレンジメント252にビーム・スプリッタ256を連結する第一のヒンジ259が有効である。
    多くの場合、第一の光景A(あるいはA')は近くの光景で、第二の光景Bは遠くの光景である。 ここに用いる用語「近くの光景」は、観察者が近くの光景を見るために、眼の焦点を合わせる(適応させる)必要がある場合、観察者から特定な距離内に位置する光景を示す。 したがって、近くの光景は、通常、観察者から、数センチメートルから数メートルまでの範囲内に位置する。 ここに用いる用語「遠くの光景」は、観察者が遠くの光景を見るために、眼の焦点を合わせる(適応させる)必要がほとんどないような観察者から特定な距離内に位置する光景を示す。 したがって、遠くの光景は、通常、観察者から例えば5から10メートル、あるいは例えば100から1000メートルの範囲、あるいはもっと遠くに位置する。 第一の光景A(あるいはa')が近くの光景で、第二の光景Bが遠くの光景である場合は、遠くの光景Bからの光は、(かなり遠くから到達するので)自然にほぼ照準が正されるが、近くの光景A(あるいはA')からの光は照準が正されない。 このことは、観察者が両光景をはっきりと同時に見るうえで問題である。 その理由は、任意の時点における眼254は、近くの光景A(あるいはA')を見るために焦点が合わされて、遠くの光景Bをはっきりと見ることができない状態にあるか、あるいは択一的に、遠くの光景Bを見るためにリラックスして、近くの光景A(あるいはA')をはっきりと見ることができない状態にあるかのいずれかであるためである。 したがって、図12に示すように、本発明の好適実施例においては、光学系250は、さらに、照準レンズ260を含む。 このレンズは、近くの光景A(あるいはA')からの光の照準を、ビーム・スプリッタ256に到達する前に正すためのものである。 照準レンズ260は、ヘッド・アレンジメント252(図示せず)によって(例えば、ビーム・スプリッタ256等の光学系250の他の構成要素を介して)直接的にあるいは間接的に支持される。 図13に示すように、照準レンズを介して近くの光景A(あるいはA')からの光の照準を正す代わりに、ビーム・スプリッタ256を照準ビーム・スプリッタ256'として選択することによって、光の照準を正すことができる。
    しかしながら、光景A(あるいはA')及びBが共に遠くの光景である場合、両光景A(あるいはA')及びBからの光は、自然に照準がほぼ正される。 この場合、照準を正す必要はないが、光学系250が多目的に使用できるように、なおかつ照準合わせを行うことが好ましい。
    さらに、第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bが共に近くの光景である場合、光景A(あるいはA')及びBからの光は照準が正されない。 この場合、いくつかの用途に対しては、光学系250が、さらに、第一の光景A(あるいはA')からの光の照準を正すための第一の照準レンズ260(図12)あるいは照準ビーム・スプリッタ(図13)と、第二の光景Bからの光の照準を正すための第二の照準レンズ262との両方を含むことが好ましい。 この場合、第二の照準レンズ262は、直接的にあるいは間接的にヘッド・アレンジメント252によって支持される。
    さらに、他の用途に対しては、全く照準合わせを行わないことが好ましい。 例えば、観察者が二つの光景からの光を同時に受けることを望みながら、一方の光景のみにはっきりと焦点を合わせたい場合、他方の光景に焦点が合ってなくても、その光景に変化が生じたときに観察者の注意を引き付けることができる。
    しかしながら、好適実施例においては、観察者に視覚により認識される前に、光学系250を通過するすべての光の照準を正すために、ビーム・スプリッタ256と観察者の眼254との間に位置した照準レンズ267が用いられる。
    第一の光景A(あるいはA')あるいは第二の光景Bは、観察者に対して任意の位置に存在するため、例えば、第一の光景はAあるいはA'に位置してもよいし、また、観察者が、ビーム・スプリッタ256から反射した後の第一の光景Aを見ると、光景は逆さまの方向で視覚されるため、本発明の好適実施例においては、光学系250は、さらに、少なくとも一つの反射鏡264を含む。 反射鏡264の各々は、直接的にあるいは間接的にヘッド・アレンジメント252によって支持される。 図12及び図13に示すように、ヘッド・アレンジメント252によって間接的に支持された単一の反射鏡264が用いられる。 この単一の反射鏡264は、ヘッド・アレンジメント252によって支持されたビーム・スプリッタ256に中性光学素子266を介して連結される。 したがって、反射鏡264は、第一の光景A'からの光をビーム・スプリッタ256に導くためのものである。 しかしながら、ある場合には、図13に示すように、反射鏡264自体が光の照準を正することが可能なことが好ましい。 このため、照準反射鏡264'を選択してもよい。
    多くの用途ににおいては、観察者が頭を移動させて第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bを見るときに観察者が光学系250を調整することができるように、そして観察者が、第一あるいは第二の光景と共に同時に見るための少なくとも一つの置換光景(図示せず)を選択できるように、反射鏡264及びビーム・スプリッタ256の少なくとも一つがヘッド・アレンジメント252に対して可動であることが重要である。 このため、光学系250は、さらに、反射鏡264と中性光学素子266との間を連結する第二のヒンジ268を備えてもよい。
    本発明のもう一つの実施例においては、ビーム・スプリッタ256及び反射鏡264は、点線272によって示す容量を持つ単一の光学素子270の各々第一面256”及び第二面264”として形成される。
    これまで説明した光学系250は、(視覚異常がない)正常な視力を持つ観察者に適しているが、光学系250は、視覚異常がある観察者も使用することができる。 例えば、眼のレンズ及び角膜の力が強すぎること、そして/あるいは眼球が長すぎることから生じる焦点に関する視覚異常である近視の場合は、正の集束能が大きすぎるために遠くの物のイメージが網膜の前に集束し、はっきりと見ることができないため、発散レンズを選択して、近視眼が焦点を合わせることができる最も遠い点にイメージを形成するようにする。 他方、眼の屈折要素が弱すぎること、そして/あるいは眼球が短すぎることから生じる近視の正反対である遠視の場合は、遠くの物のイメージが(眼がリラックスしているときに)網膜の背後に形成される。 したがって、遠視は収束レンズによって補正する。 近視及び遠視は、遠くの物を見る場合の視覚異常である。 他方、近くの物を見る場合の視覚異常の一つであり、多くの場合、読む能力を損なう老視は、典型的に、年齢の経過と共に眼レンズが硬化した結果として生じ、近くの物に対して眼の焦点を合わせる(適応させる)能力が制限されてしまう。 したがって、老視は、快適に読むことができるように、収束レンズによって補正する。 従来の眼鏡は、典型的に、観察者の眼の前の適当な位置に眼鏡を支持するためのフレームと、フレーム内に設けた、観察者の眼の各々に対して一つずつ、合計二つのレンズとを含み、各レンズは、特定な眼視覚異常を補正する焦点特性を持つ。
    眼鏡が必要な人に対しては、ヘッド・アレンジメント252が眼鏡のフレームに取り付けられるアタッチメント(図示せず)として、光学系250を構成してもよい。 択一的に、光学系250は、さらに、観察者の視覚異常を補正するための矯正光学レンズ274を含んでもよい。 この矯正光学レンズは、ビーム・スプリッタ256と観察者の眼254との間に配置し、ヘッド・アレンジメント252(図示せず)によって直接的にあるいは間接的に支持する。
    上記の通り、これまで説明した光学系250は、観察者の一方の眼、例えば眼254に使用するものであるが、多くの場合、観察者の眼の各々に対して、独立した光学系250を補うことが好ましい。 このため、本発明の好適実施例によれば、観察者が第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bを同時に見ることが可能なヘッド・セット(例えば、ヘルメット)が提供される。 このヘッド・セットは、上記の実施例における二つの光学系250を含み、観察者の眼の各々の前に一つずつ光学系250が配置される。
    観察者の眼の各々が、異なる光景を見ることができるほうが望ましい場合、ヘッド・セットは、単に、観察者の一方の眼、例えば眼254の前に配置された一つの光学系250を含むだけでもよい。 この場合、両眼が一つの光景、例えば第二の光景Bに向けられ、そしてビーム・スプリッタ256がほぼ反射面256”'としてのみ機能するなら、すなわち、第二の光景Bからの光をほとんど通さず、第一の光景A(あるいはA')からのほとんどの光を反射するなら、観察者のその一方の眼(254)が第二の光景Bに向けられていても、第一の光景A(あるいはA')からの光が入るため、眼254は光景A(あるいはA')を見るが、このとき同時に、他方の眼は光景Bを直接的に見る。
    これと全く同じ効果を、観察者の眼の各々に対して一つずつ二つの光学系250を用いる上記のヘッド・セットを使用しても得ることができる。 しかし、この場合は、視線258が観察者の一方の眼によって、また視線257が他方の眼によって視覚されないように遮る遮光メカニズムを用いることが必要である。 遮光メカニズム(例えば、光シャッタ)については、本文中で説明したが、本技術分野においても良く知られている。
    さて、図14a及び14bを参照する。 ディスプレイ(例えば、CRTディスプレイ)からの光を、結合器として機能するビーム・スプリッタへ導く反射鏡を含むHUDシステムにおいては、場合によって、ディスプレイは、逆さまに、あるいは真のディスプレイの鏡像として表示される。 HUDシステムでは、このことは、ほとんど問題ではない。 ディスプレイ自体を変えることができる(例えば、逆さまに、あるいは鏡像として表示できる)ため、観察者は、ディスプレイを正常な状態(例えば、右側が上にある自然なイメージ)で見ることが可能である。
    しかし、この効果は、受動光による光景を見るために用いる光学系にとっては深刻な問題である。 なぜなら、観察者は、光景に対して、ディスプレイを見るときのようなコントロールを持たないためである。
    このため、本発明の好適実施例においては、第一の光景A'の光景が観察者に自然な状態で見えるように、ビーム・スプリッタ256及び反射鏡264を第一の光景A'に対して、また観察者の眼254に対して配置する。 このような構成のいくつかを図12及び図13に概略的に示し、上記に説明した。 しかしながら、第一の光景A'を自然な状態で見ることを可能にする図12及び図13の構成は、地平線に対して浅い角度(例えば、俯角0から70度)に位置する第一の光景、例えば第一の光景A'を見ることを可能にするが、地平線に対して急勾配な角度(例えば、俯角70から90度)に位置する第一の光景、例えば第一の光景Aを見ることを制限する。
    図14aから14cに示す構成は、ビーム・スプリッタ256の上方に反射鏡264を配置し、ビーム・スプリッタ256の低い方を観察者の眼254に近づけている。 したがって、これらの構成は、急勾配な角度にある第一の光景(例えば、光景A)を見ること、そして自然な状態で光景を見ることを可能にする。
    光学系250は、一対の関連する光景を同時に見るのに適しており、そのために用いることができる。 ここに言及する関連する光景とは、観察者に対して異なる位置にある光景のことであり、したがって、光学器械を使用せずには、はっきりと同時に見ることは不可能である。 しかし、このような光景を同時に見ることには利点がある。 このような光景の対としは、限定せずに次のものを含む。 ノートと黒板、ノートと講師、ノートとスクリーン、絵と描画対象物、キーボードとスクリーン、印刷物とスクリーン、印刷物と前方の道路、そして印刷物と前方の空。 リストした光景の対については、上記背景の個所で詳しく述べている。
    さらに、図12から図14を参照する。 本発明によれば、観察者が第一の光景及び第二の光景を同時に見ることを可能にするための方法が提供される。 この場合、第一及び第二の光景の両方は受動光を介して観察者に視覚される。
    好適実施例によれば、この方法は次のステップを含む。 (a)第一の光景Aからの光と第二の光景Bからの光との両方を観察者の眼254に同時に導くように配置されたビーム・スプリッタ256を観察者に提供する。 ビーム・スプリッタ256は、観察者が頭を動かした場合、第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bを見ることが可能なように観察者が光学系を調整することができるよう、また観察者が他の二つの光景(図示せず)を選択して同時に見ることができるように可動性であることが好ましい。 第一の光景A(あるいはA')が近くの光景で、第二の光景Bが遠くの光景である場合、遠くの光景Bからの光は自然に照準がほぼ正される。 この場合、この方法は、さらに、近くの光景A(あるいはA')からの光の照準を正すための照準レンズ260を観察者に提供するステップを含むことが好ましい。 第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bが共に遠くの光景である場合には、光景A(あるいはA')及びBからの光は自然に照準がほぼ正される。 さらに、第一の光景A(あるいはA')及び第二の光景Bの両方が近くの光景である場合は、どちらの光景からの光も照準が正されていない光である。 この場合は、この方法は、さらに、第一の光景A(あるいはA')からの光の照準を正すための第一の照準レンズ260を観察者に提供するステップを含むことが好ましい。 そしてさらに、第二の光景Bからの光の照準を正すための第二の照準レンズ262を観察者に提供するステップを含むことが好ましい。
    好適実施例によれば、この方法は、さらに、第一の光景A'からの光をビーム・スプリッタ256へ導くための少なくとも一つの反射鏡264を観察者に提供するステップを含む。 観察者が頭を動かす場合、観察者が第一の光景A'及び第二の光景Bの視覚を調整できるように、また観察者が、第二の光景と共に同時に見るための少なくとも一つの置換光景(図示せず)を選択できるように、反射鏡264及びビーム・スプリッタ256の少なくとも一つが、互いに対して可動性があることが好ましい。 好適実施例においては、ビーム・スプリッタ256及び反射鏡264は、体積を持つ単一の光学素子270の各々第一面256”及び第二面264”として形成される。 本発明の好適実施例によれば、反射鏡264は照準反射鏡264'であり、ビーム・スプリッタ256は照準ビーム・スプリッタ256'である。 このため、第一の光景A'からの光は、ビーム・スプリッタ256'に到達する前に照準反射鏡によって照準が正される。
    本発明の方法の好適実施例によれば、ビーム・スプリッタ256及び反射鏡264は、第一の光景Aが急勾配な角度で、そして自然な状態で見られるように、第一の光景Aに対して、また観察者の眼254に対して配置される。
    本発明の方法のもう一つの好適実施例によれば、この方法は、さらに、観察者の視覚異常を補正する矯正光学レンズ274を観察者に提供するステップを含む。 この矯正光学レンズ274は、ビーム・スプリッタ256と観察者の眼254との間に配置する。
    本発明の方法のもう一つの好適実施例によれば、光学系250は、観察者の眼の前に光学系250を支持するヘッド・アレンジメント252内に係合される。 眼鏡と同様なやり方で、単一のヘッド・アレンジメント252によって二つの光学系250が支持されることが好ましい。 現時点ではあまり好ましくないが、もう一つの実施例としては、光学系250を適当なハウジング内に係合させて、単一の光学系250を同時に観察者の両眼に用いることができる。
    上記の光学系250は、二つの光景からの光を同時に観察者の一方の眼、あるいは両眼へ導くために、幾何光学の原理を用いる。 平面光学の原理を用いても同じことが達成できる。 幾何光学に比べ、平面光学においては、多くの場合、大部分の、あるいはすべての光学的機能は、単一の光学素子を用いて達成することが可能なため、他の要素に対する光学的な、そして物理的な調整の必要がない、あるいは調整の必要がある要素が少ないという利点がある。 これは、良い光学的精度を提供すると共に製造コストが少なくてすむ。
    さて、図15から図17は、下記に光学系100として言及する本発明による光学系の二つのオプション的な実施例を示すものである。 光学系100は、観察者が第一の光景Aと第二の光景Bとを同時に見るために用いるものである。
    光学系100は、少なくとも一つの(図15及び図17aから17cにおいては一つ、図16においては二つの)入力ホログラフィック光学素子104を含むホログラフィックプレート102から構成される。 したがって、図15及び図17aから17cにおいては、入力ホログラフィック光学素子104は、光景Aからの入射光をホログラフィックプレート102に入れるためのものである。 この場合、光景Bからの光は、プレート102の外面106にほぼ直角に当たるため、直接的にホログラフィックプレート102に入る。 他方、図16においては、入力ホログラフィック光学素子104は、両光景A及びBからの入射光をホログラフィックプレート102に入れるためのものである。
    本技術分野で良く知られるように、ホログラフィックプレートは、光透過材から作られた本体120を含んで形成され、この本体120には第一側106と第二側106'とがある。 好適実施例においては、入力ホログラフィック光学素子104は本体120の第一側106に形成される。 本体120が形成される材料、そして入力ホログラフィック光学素子の各々は、本体120に入る任意の方向を持つ入射光が回折されてほぼ完全な内反射を生じるように選択する。
    しかしながら、これらの場合(図15及び図17aから17c、そして図16)、ホログラフィックプレート102は、さらに少なくとも一つの出力ホログラフィック光学素子108を含む。 出力ホログラフィック光学素子108は、ホログラフィックプレート102に入った光を、ホログラフィックプレート102から出して観察者の眼254に到達させるためのものである。 ホログラフィックプレート102の光を受けない箇所は、図15に示すように、不透明なカバー110で覆われている。 出力ホログラフィック光学素子は本体120の第二側106'に形成されるため、どの出力ホログラフィック光学素子に到達する光も、入射光の任意の方向とほぼ同じ方向へ本体120から出て、例えば図15から図17に示すように、観察者の眼254に到達する。 ここに用いる「ほぼ同じ方向」は、プレート102の一方の側106を介して入り、他方の側106'を介して出ることを意味する。
    ホログラフィックプレート102が観察者の眼254に対して配置され、入力及び出力ホログラフィック光学素子が本体120に対して配置されるため、第一及び第二の光景A及びBの両方からの光は、観察者の眼254に同時に導かれる。 図17aから17cに示すように、(i)これらの光景からの光は、種々の方向から光学系100に到達するかもしれないが、それでも光学系100は観察者の眼254の中へ光を同時に導くのに適している。 (ii)光学系100、そして特にプレート102は、観察者の眼254に対して種々の向きで配置されてもよい。 そして(iii)図17cに示すように、プレート102を一つ以上の領域において曲げることによって、両光景A及びBからの光がプレート102に同時に入ることが可能な状態の角度を広げることができる。 この場合、この曲線によって、プレート102のほぼ完全な内反射の特性に悪影響を与えないようにすべきである。
    平面光学、そして特にホログラフィック要素を形成する手段に関する詳細については、例えば、フリーゼム氏及びアミタイ氏による「光学の傾向」及びジュルゲン・ジョンズ氏及びスーザン・J・ウォーカー氏による「薄膜付着によって製造された回折マイクロレンズの二次元アレイ」に述べられている(AA Friesem and Y. Amitai(1996)in”Trends In Optics”. A Consortini, Ed. Academic Press, NY, pp. 125-144; Jurgen Johns and Susan J. Walker(1990)Two-dimensional array of diffractive microlenses fabricated by thin film deposition, Applied Optics 29:9231-9236)。
    本発明の好適実施例においては、光学系100は、上記の光学系250のように、同様の理由により、照準レンズ112を含む。 例えば、一対の照準レンズ112を、光景A及びBの各々とプレート102との間に配置してもよい。 択一的に、単一の照準レンズ112を、プレート102と観察者の眼254との間に配置してもよい。
    また、上記の光学系250と同様に、光学系100も、さらに矯正光学レンズ114を含んでもよい。 択一的に、光学系250に対して、すべて上記に詳しく述べたように、視覚異常のある人が用いる眼鏡に取り付けが可能なように、光学系100を調整してもよい。 光学系250の他の特徴、例えば、ヘッド・アレンジメント、ハウジング等も光学系100に含めてもよい。 さらに、二つの光学系100を含むヘッド・セットも本発明の範囲内にある。 この場合、各光学系100は、観察者の一つの眼の前に近づけて配置される。 したがって、光学系100は、一対の関連する光景を同時に見るのに適当であり、そのように用いることが好ましい。 この用語「関連する光景」は、光学系250に対して上記に定義している。 光学系250に関しては、観察者が、第一の光景Aを一方の眼で、そして第二の光景Bを他方の眼で同時に見ることを可能にするために、ヘッド・セットを用いてもよい。 この場合、ヘッド・セットは、観察者の一方の眼、例えば眼254の前に配置した、単一の光学系100を含む。 これは、ほぼ第一の光景Aからの光だけを眼254に到達させると共に、同時に、眼254が、観察者の他方の眼と同様に、第二の光景Bに向けられていても、第二の光景Bからの光が眼254に到達しないように遮るためのものである。
    現在、非常に高い屈折率を持つ光透過材が既知であるため、眼鏡や他の光学装置に用いるレンズの厚さは減少し、また、湾曲も平らになって来ている。 そのような小さな湾曲のレンズは、本発明による矯正光学レンズとして用いるのに非常に適している。 それらの内面に、僅かに湾曲したホログラフィックプレートを接着して矯正光学レンズを形成することができる。 先に説明した遮光メカニズムをも、一つの光景、例えばAからの光が観察者の一方の眼、例えば眼254に到達しないように、また他の光景、例えばBからの光が観察者の他方の眼に到達しないよう遮って、観察者の各々眼に異なる光景を見させる目的で、光学系100に用いてもよい。
    本発明は、限られた実施例で説明したが、多くの変更及び改良、そして他の用途が可能であることは明らかである。

    QQ群二维码
    意见反馈