回折型3焦点レンズ

申请号 JP2016135250 申请日 2016-07-07 公开(公告)号 JP2016189026A 公开(公告)日 2016-11-04
申请人 ザ アリゾナ ボード オブ リージェンツ オン ビハーフ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ アリゾナ; 发明人 シュヴィーゲルリング ジェイムズ ティー;
摘要 【課題】少なくとも1つの回折表面を有する光学要素を備え、この表面プロファイルが複数の環状同心円状ゾーンを備えた回折型多焦点レンズを提供する。 【解決手段】表面プロファイルの光学的厚さは、各ゾーン内で半径とともに単調に変化する一方で、隣接するゾーンの間の接合部における光学的厚さの相異なるステップが、ステップ高さを画定する。ステップ高さは、光学要素の回折次数効率を調整するように、1つのゾーンからもう1つのゾーンにかけて周期的に異なってもよい。3焦点レンズの例では、ステップ高さは2つの値の間で交互し、偶数のステップ高さは、奇数のステップ高さよりも低い。このような表面プロファイルに起因する回折効率のトポグラフィ表現をプロットすることにより、所望のレベルの光度を、近方、中間、および遠方視 力 に対応する回折次数に方向付けるように、ステップ高さを最適化し、多焦点レンズの性能を最適化することができる。 【選択図】図4
权利要求

複数の同心円状の環状ゾーンを備える表面プロファイルを有する第1の光学面を有する光学要素を備える、回折型多焦点レンズであって、前記レンズの光学的厚さは、各ゾーン内で単調に変化し、光学的厚さの相異なるステップは、前記ゾーンの間の接合部で生じ、前記ステップの高さは、少なくともいくつかの隣接するゾーンの間で異なり、2つ以上の隣接するゾーンの間のステップ高さの差のパターンは、前記光学要素の回折次数効率を調整するように、前記レンズの中心から縁部まで周期的に繰り返す、回折型多焦点レンズ。偶数ゾーンの前記ステップ高さは、奇数ゾーンの前記ステップ高さよりも大きい、請求項1に記載のレンズ。2つの隣接するゾーンの間の前記ステップ高さの差は、前記レンズの中心から縁部にかけて徐々に変化する、請求項2に記載のレンズ。前記偶数ゾーンの前記ステップ高さは、奇数ゾーンの前記ステップ高さ未満である、請求項1に記載のレンズ。2つの隣接するゾーンの間の前記ステップ高さの差は、前記レンズの中心から縁部にかけて徐々に変化する、請求項4に記載のレンズ。少なくとも3つの半径方向に連続するゾーンの前記ステップ高さは、相互に異なる、請求項1に記載のレンズ。前記3つ以上の前記ステップ高さは、前記レンズの中心から縁部にかけて徐々に変化する、請求項6に記載のレンズ。前記ステップ高さは、少なくともゼロ次、+1次、および+2次の前記回折効率が実質的に等しくなるように選択される、請求項1に記載のレンズ。少なくともゼロ次、+1次、および+2次の前記回折効率は、相互に対して選択された割合を有する、請求項1に記載のレンズ。各連続したゾーンの投影面積は、実質的に一定である、請求項1に記載のレンズ。各ゾーンの半径方向の表面プロファイル高さは、円弧を形成する、請求項1に記載のレンズ。各ゾーンの半径方向の前記表面プロファイル高さは、実質的に線形に増加する、請求項1に記載のレンズ。前記第1の光学面と区切られる第2の光学面をさらに備える、請求項1に記載のレンズ。2つの隣接するゾーンの間の前記ステップ高さの差は、前記レンズの中心から縁部にかけて徐々に変化する、請求項1に記載のレンズ。コンタクトレンズとして装着されるように適合される、請求項1に記載のレンズ。眼内レンズとして外科的に移植されるように適合される、請求項1に記載のレンズ。前記レンズは、膜内移植を含む、請求項1に記載のレンズ。回折型多焦点レンズを作製する方法であって、 周期的表面プロファイルパターンを有する光学要素をモデル化することと、 前記モデルから、前記パターン化された光学要素を通して伝播する光の回折効率分布を計算することと、 前記レンズの少なくとも3つの対応する回折次数について所望の回折効率を達成するように、前記回折効率分布に従って、寸法パラメータを選択することと、 光学基板の表面に、前記選択された寸法パラメータを含む前記周期的表面プロファイルパターンを形成することと、 を含む、方法。前記寸法パラメータは、前記表面プロファイルの中に複数の異なるステップ高さを作成するように選択される、請求項18に記載の方法。前記表面プロファイルパターンを形成することは、旋盤を使用して前記光学要素の表面を成形することを含む、請求項18に記載の方法。前記表面プロファイルパターンを形成することは、金型を使用して前記光学要素の表面を成形することを含む、請求項18に記載の方法。前記表面プロファイルパターンを形成することは、エネルギービームを使用して前記光学要素の表面を成形することを含む、請求項18に記載の方法。前記表面プロファイルパターンを形成することは、エッチングによって前記光学要素の表面を成形することを含む、請求項18に記載の方法。前記表面プロファイルパターンを形成することは、前記光学要素の表面を、前記表面を溶除することによって成形することを含む、請求項18に記載の方法。

複数の同心円状の環状ゾーンを備える表面プロファイルを有する第1の光学面を有する光学要素を備える、回折型多焦点レンズであって、前記レンズの光学的厚さは、各ゾーン内で単調に変化し、光学的厚さの相異なるステップは、前記ゾーンの間の接合部で生じ、前記ステップの高さは、少なくともいくつかの隣接するゾーンの間で異なり、2つ以上の隣接するゾーンの間のステップ高さの差のパターンは、前記光学要素の回折次数効率を調整するように、前記レンズの中心から縁部まで周期的に繰り返す、回折型多焦点レンズ。

说明书全文

本特許出願は、2009年2月12日に出願された米国特許仮出願第61/207,409号の利益を請求するものであり、本出願は、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。

本発明は、概して、回折光学素子および眼科学の分野に関し、より具体的には、老眼の治療に有用な、矯正用多焦点眼内レンズまたはコンタクトレンズの設計および構築に関する。

2焦点および3焦点コンタクトレンズは、一般に、老眼、すなわち、近接物体に焦点を合わせる能の漸進的な低下を呈する眼の状態を治療するために使用される。人間は、老化により老眼になり始め、その影響は、典型的に、老眼鏡が必要であることに気付く約40歳〜45歳から顕著になる。そして、矯正レンズを装着する老眼である個人は、好ましくは同じ2焦点レンズ内に、1つが読書用(近方)、そしてもう1つが運転用(遠方)である、2つの別個の処方箋が必要であることを見出す場合がある。3焦点レンズはさらに、例えばコンピュータで作業を行う時といった、中間距離での視覚を向上させる。眼内レンズ(IOL)は、コンタクトレンズまたは眼鏡に代わるものとして使用することができる、人工置換レンズである。IOLは、しばしば、白内障手術の際に自然なままの眼のレンズに代わって移植される。膜内レンズ(ICL)は、角膜に移植される、人工晶体である。

従来の矯正用光学素子は、典型的に、屈折レンズであり、これはそのレンズが、網膜上に対象物の焦点画像を形成するように、対象物から反射される光線を屈曲および集束させることを意味する。光線の屈曲は、相異なる屈折率を伴う2つの材料の境界を光線が横断する時に生じる屈曲の程度を表す、スネルの法則によって決定付けられる。

回折レンズは、例えば、ダイヤモンドもしくはサファイア等の硬い鉱物でできている切削ヘッドを備える場合がある旋盤を使用して表面を切削するもの、レーザビームもしくは電子ビーム等の高エネルギービーム、または表面を溶除する類似した方法を使用して直接的にパターンを書き込むもの、フォトリソグラフィパターン化プロセスを使用して表面をエッチングするもの、あるいは表面を成形するもの等の加工方法によって、光学要素の表面に形成することができる、繰り返し構造を有する。回折構造は、典型的に、一連の同心円状の環状ゾーンであり、各ゾーンが、レンズの中心から縁部にかけて漸進的に狭くなることを必要とする。例えば、レンズの中心と縁部との間には20〜30のゾーンがあってもよい。各ゾーン内の表面プロファイルは、典型的に、円弧、放物線、または直線等の、滑らかに変化する関数である。各ゾーンの外周には、垂直表面プロファイルの中に不連続なステップがあり、そのステップの高さは、典型的に、約0.5〜3ミクロンである。結果として生じる表面構造は、複数の回折次数に光を分散させる円対称の回折格子として作用し、各回折次数は、ゼロ、1、2等の続き番号を有する。

「回折効率」とは、焦点面に回折パターンを備える種々の回折次数のそれぞれに透過される入射光度のパーセンテージを指す。ゾーンが等しい表面積を有し、かつ半径方向に対称である場合、そのゾーンは、異なる回折次数の光をレンズの光軸上に集束させ、各回折次数は、それ自体の相異なる焦点を有する。したがって、回折レンズは、多数の不連続焦点を有する多焦点レンズとして作用する。例えば、回折型2焦点レンズは、2つの異なる距離における対象物の鮮明な網膜画像、ならびに2つの対応する焦点外画像を同時に提供する。人間の視覚系は、異なる網膜画像の中から選択する能力を有し、それによって、単一の回折レンズを使用した同時の多焦点視力を可能にする。

回折レンズは、老眼を矯正するためのコンタクトレンズおよびIOLとして使用されてもよい。このような用途では、レンズは、1つの屈折表面と、1つの回折表面とを備える。実際には、回折レンズを通過する光エネルギーが、典型的に、1つ、2つ、または3つの回折次数に集中する一方で、わずかな量の光エネルギーが他の回折次数に関与する。回折型矯正レンズに関して、例えば、ゼロ次に対する高い回折効率は、遠方での可視性における大幅な改善を意味する。各回折次数に方向付けられる光エネルギーの量は、ゾーンのステップ高さによって決定付けられる。レンズの設計者は、2焦点レンズの回折表面特徴について、例えば、隣接するゾーンの間で1/2波長位相変化を導入するようにステップ高さを選択してもよく、入射光のうちのほぼ40%を、遠方視力に対応するゼロ次回折次数に方向付け、40%を、近方視力に対応する+1次回折次数に方向付ける。従来の2焦点レンズの中の入射光の残りの20%は、視力には有用でない他の回折次数に方向付けられる。

多焦点の眼内レンズおよびコンタクトレンズ用の既存の設計は、屈折光学素子、屈折および回折の組み合わせ設計、または単一の回折次数に光を方向付ける回折レンズのうちのいずれかを使用する。例えば、Swansonに対する米国特許第5,344,447号は、屈折表面および回折表面を有する組み合わせレンズを使用して遠方視力を高める、3焦点IOL設計を開示している。この場合、各回折ゾーンは、2進ステップに対応する。このレンズは、+1次、ゼロ次、および−1次の回折次数の間で、ほぼ均等に光を配分する。しかしながら、この構成に対する欠点は、過剰な光が、他の高次の回折次数に方向付けられ、視覚品質を低下させることである。さらに、この構成は、レンズの屈折度数と、−1次の回折次数の回折度数との組み合わせによって遠方視力が決定付けられるので、潜在的なキャリアレンズの度数を予測することをより困難にする。十分な光を中間焦点距離に対応する回折次数に方向付けることにおいては、既存の代替案のうちのいずれも功を奏しておらず、したがって、3焦点コンタクトレンズおよびIOLは、焦点範囲全体を通して等しく良好に機能することができない。例えば、Zhang et al.に対する米国特許第7,441,894号は、入射光のうちの約25〜28%を近方および遠方焦点に方向付けることが可能な可変領域の回折ゾーンを有する、3焦点眼内レンズを開示しているが、入射光のうちの約10%だけしか中間焦点に方向付けられない。

少なくとも1つの回折表面を有する光学要素を備え、その表面プロファイルが複数の同心円状の環状ゾーンを備える、回折型多焦点レンズを開示する。半径方向の表面プロファイルの光学的厚さは、各ゾーン内で単調に変化する。光学的厚さの中の相異なるステップは、各ゾーンの外周で生じ、そのサイズを「ステップ高さ」と称する。好ましい実施形態によれば、光学要素の回折次数効率を調整するように、隣接するゾーンのステップ高さを等しくする代わりに、1つのゾーンからもう1つのゾーンにかけて周期的に異ならせる。3焦点レンズの中間距離視力に対処するために、光学要素の少なくとも2次回折効率を増大させることに特別な関心がある。

3焦点レンズの一例では、ステップ高さは、2つの値の間で交互し、偶数のステップ高さは、奇数のステップ高さよりも低い。代替の実施形態では、偶数のステップ高さは、奇数のステップ高さよりも高くてもよく、または、連続するステップ高さは、3つ以上の値の間で交互してもよい。さらに別の実施形態では、ステップ高さのパターンは、レンズの中心から縁部にかけて徐々に変化する。そのような一実施形態によれば、レンズの中心は3焦点であるが、レンズの縁部に向かって漸進的に2焦点になる。このような表面プロファイルに起因する回折効率のトポグラフィ表現をモデル化およびプロットすることによって、所望の割合の光度を指定の回折次数に方向付けることを達成するように、ステップ高さ等の寸法パラメータが選択され得、それによって、多焦点レンズの遠方、中間、および近方性能を最適化する。

この概要は、図面および詳細な説明に付随するものを全般的に特定するための手段として提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の目的、特徴、および利点は、添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明を考慮することで容易に理解されるであろう。

市販の従来技術の回折型2焦点眼内レンズを示す図である。

レンズの中心が画像の右下隅に位置する、図1に示される従来技術の回折型2焦点眼内レンズの中央ゾーンの表面の拡大図である。

略等しいステップ高さを示す、レンズの5つのゾーンにわたる半径の関数として、従来技術の2焦点回折レンズによって導入される、光位相変化の線図である。

2つの交互ステップ高さを示す、新規な3焦点回折レンズの好ましい実施形態による回折構造の、半径方向の表面プロファイルの断面図である。

5つの代表的なゾーンの対応する交互ステップ高さを示す、半径の関数としての、図4に示される回折構造によって導入される光位相変化の線図である。

図5の光位相プロファイルにおける交互ステップ高さについて、異なる値の選択の結果として生じる回折効率を示す、一連のコンピュータ生成2次元トポグラフィ線図である。

対応する交互ステップ高さを示す、半径の関数としての、累進的3焦点/2焦点回折構造によって導入される光位相変化の線図である。

本発明は、添付図面とともに以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。説明を容易にするために、同じ符号は、類似の構造要素を表す。以下の説明では、本発明の開示された実施形態の理解を提供するように、数多くの詳細が記載される。しかしながら、本開示を検討すれば、開示された詳細の全てが特許請求される発明を実践するために必要ではない場合があり、本発明の原理から逸脱することなく、代替的な実施形態が構築され得ることが、当業者には明らかになるであろう。

図1を参照すると、既存の回折型2焦点眼内レンズ100が示されている。レンズ100は、ReSTOR(登録商標)レンズ移植片として商業的に公知であり、Fort Worth、TexasのAlcon Laboratories社から入手できる。レンズ移植片は、回折プロファイルパターンが半径方向ゾーン内に形成される少なくとも1つの光学面102を有する中央光学要素に接続される、一対の延長部101を備える。図2は、光学面102の拡大図を示し、図中、一連の同心円状の環状ゾーン104の略半径方向に対称の表面プロファイルパターンは、各ゾーンの外周において、ステップ高さ108を有する不連続なステップ106を特徴とする。ゾーン104の幅は、中央ゾーン幅110が縁部ゾーン幅112よりもかなり広くなり得るように、概して、レンズ100の中心から縁部に向かって減少する。好ましくは、異なる幅のゾーンは、等しい表面積を表す。概して、ステップ高さ108が、2πの位相遅延を導入する場合は、単一度数のレンズ、すなわち、レンズは、単一の焦点を有することになり、ステップ高さ108が、2π倍に等しくない位相遅延を導入する場合は、2焦点レンズとなる。

図3は、入射光波が回折レンズ100を通過するにつれて、入射光波が受ける光位相変化の半径方向プロファイル120を示す。半径方向プロファイル120は、概して、鋸歯形状の要素を有する回折構造によって、またはレンズ材料の屈折率を変化させることによって達成されてもよい。位相変化の半径方向依存性Φ(r)は、次式によって与えられ、 Φ(r)=2παp[j−r2/(2pλoFo)] (1) α=λ/λo[n(λ)−n’(λ)]/[n(λo)−n’(λo)] j次ゾーン内で半径rの場合 (2)式中、λoは、設計波長、すなわち、各ゾーンの境界で2πの位相変化が生じる波長であり、nは、レンズ材料の屈折率であり、Foは、照明波長がλ=λoの時の焦点距離であり、n’は、レンズを囲繞する材料の屈折率であり、pは、2π倍の時に最大位相変調を表す整数である。図2に示される同心円状の領域104に対応する、実際の光学面の断面は、半径方向の位相変化プロファイルに関係する。光学面102の表面レリーフの対応する最大高さは、次式によって与えられ、 hmax(r)=pλo/[n(λo)−n’(λo)] (3) 典型的に、約5ミクロンである。

図3を参照すると、半径方向の位相プロファイル120の要素は、ゼロに正規化される第1の値125からピーク値126まで徐々に上昇する前縁部124を有する急激なピークを特徴とする、鋸歯形状122と、ピーク値126から急激に低下して初期の高さ125に戻る、後縁部128とを有する。中心リング幅110は、第1のピークの半径に対応し、縁部リング幅112は、この例では、第4のピークと第5のピークとの間の距離に対応し、ピーク値126は、実質的に等しいステップ高さと関連付けられる。図3の半径方向の位相プロファイルは、表面プロファイルによって作成され、その要素は、鋸歯122と類似した形状を有し、同じく鋸歯122と類似した形状を有する、関連する光学的厚さプロファイルを有する。既存の2焦点眼内レンズ100は、この構成では、典型的に、ゼロ次および1次の回折次数(それぞれ、遠方および近方距離)のそれぞれへの40%の回折効率を有し、また、高い回折次数の場合には、実質的に小さい回折効率を有する。その結果、遠方および近方視力は高められるが、中間視力は制限される。

図4は、好ましい実施形態によるレンズの上部光学面102の中に加工される回折構造の物理的表面プロファイル130の断面図を示す。レンズの下面134は、屈折表面である。各回折環状ゾーン104の半径方向幅は、回折ゾーンの面積を等しく保つように、レンズの中心からレンズの縁部にかけて減少する。各ゾーンの間のステップ高さは、2つの値の間を交互し、中央ゾーンと第1の環状ゾーンと間の移行について、大きいステップ高さ136から始まる。小さいステップ高さ138は、第1および第2のゾーンの間の移行を特徴付ける。この交互ステップ高さのパターンは、レンズの縁部へと繰り返される。

図5は、入射光波が図4に示される表面プロファイルを有する改良された回折型3焦点レンズを通過するにつれて、入射光波が受ける光位相変化Φ(r)の半径方向プロファイル140の線図を示す。半径方向プロファイル140の要素は、鋸歯形状122に類似した鋸歯形状141を有し、同心円状ゾーンのそれぞれは、同じ半径に位置するが、ステップ高さの全てが実質的に等しいわけではない。代わりに、大きいステップ高さ144を有する第1組のピーク142は、小さいステップ高さ148を有する第2組のピーク146と交互する。位相プロファイルのこれらの特徴は、それぞれ、表面プロファイルのステップ高さ136および138に対応する。ステップ高さを交互させることによって、入射光度が、遠方、中間、および近方視力に対応する回折次数に方向付けられ得る。以下に例示される好ましい実施形態によれば、奇数のステップ高さは、偶数のステップ高さよりも大きいが、代替の実施形態では、設計を最適化するための同じ方法を適用しながら、逆のことが明記され得る。

図6は、ゼロ次、+1次、および+2次の回折次数に方向付けられる光度の、回折効率の9つのコンピュータ生成トポグラフィ線図A〜Iを示す。これらの回折次数は、それぞれ、奇数のステップ高さおよび偶数のステップ高さが異なる値を取り得る、図3および5の両方と一致する、法則化された鋸歯形状の位相プロファイルを有する、回折型多焦点レンズの、遠方視力152、中間視力154、および近方視力156を表す。

図5の位相プロファイルの回折効率を計算するための式は、FaklisおよびMorrisによる論文(Dean FaklisおよびG.Michael Morris「Spectral Properties of Multiorder Diffractive Lenses」、Applied Optics、Vol.34、No.14、1995年5月10日)に開示されるスキームを法則化することによって導出され、その論文の第1および第2節は、参照することにより本明細書に組み込まれる。FaklisおよびMorrisは、m次の回折次数の回折効率ηmの式を導出し、フーリエ級数として回折型レンズの振幅透過関数を展開し、フーリエ係数cmを抽出することによって、図3の位相プロファイルに関する回折効率を提示している。よって、回折効率ηmは、|cm|2によって与えられる。実質的に等しいステップ高さを有する位相プロファイルについて、FaklisおよびMorrisは、次式で表され得る回折効率を示している。 ηm=[sin[π(αp−m)]/π(αp−m)]2 (4)

この導出物を法則化することによって、2次元パラメータ(例えば、交互するステップ高さ)A1およびA2を有する、図5の位相プロファイルのm次回折次数の回折効率が、次式によって与えられることが示され得る。 ηm(m,p,α,A1,A2) =sqrt{1/4{sinc[π/2(m−2A1pα)]2 (5) +2(−1)mcos[π(A1−A2)pα]sinc[π/2(m−2A1pα)] sinc[π/2(m−2A2pα)]+sinc[π/2(m−2A2pα)]2}} 3つ以上の異なるステップ高さを有するレンズ設計に対して、類似した導出を実施してもよく、本明細書に開示される具体的な例の場合には、(5)に類似した異なる式を生ずる。

図6を参照すると、m=0の場合のηmのグラフが線図A、D、およびGに示され、m=+1の場合のηmのグラフが線図B、E、およびHに示され、m=+2の場合のηmのグラフが線図C、F、およびIに示される。9つの線図のそれぞれにおいて、水平軸158は、2πに正規化される偶数のプロファイルピークのステップ高さを表し、垂直軸160は、2πに正規化される奇数のプロファイルピークのステップ高さを表す。したがって、9つの線図はそれぞれ、トポグラフィ「マップ」を提供し、そのマップ上には、ステップ高さA1およびA2の選択によって決定付けられる、異なる回折レンズ設計の例に対応する、「X」でマークされる関心の地点を位置させてもよい。したがって、マップは、関心の地点でそれらを相対的にシェーディングすることによって、遠方、中間、および近方視力の異なる割合を生ずるように、各焦点領域に方向付けられる度数の程度を示す。例えば、ステップ高さA1およびA2は、3つ全ての焦点について等しく回折効率を高めるように選択されてもよく、またはゼロ次の回折効率が、+1次および+2次の回折効率の2倍になるように選択されてもよいが、これは、中間視力を犠牲にしてより良好な遠方視力を生ずる。各線図の中の最も明るいシェーディング領域は、100%の回折効率に対応し、各線図の中の最も暗いシェーディング領域は、0%の回折効率に対応する。(前述の(5)と同様に導出される対応する式によれば、3つ以上の異なるステップ高さA1、A2、およびA3を有するレンズ設計について、類似した組の線図が生成され得る。)

図6のトポグラフィ線図A、B、およびCは、変数A1およびA2によって表される、奇数および偶数の両方の位相ステップ高さ126がゼロに設定される、限定的な場合を示し、すなわち、この場合は、回折表面パターンが存在しないことを表し、本質的に屈折レンズである。トポグラフィ線図A、B、およびCのそれぞれの地点(0,0)をプロットすると、トポグラフィ領域の左下隅に「X」を生ずる。線図Aでは、Xは、明るいスポットと一致し、光の約100%がゼロ次の「回折次数」(遠方)に方向付けられることを示す。線図BおよびCでは、Xは、暗い領域と一致し、実質的にいかなる光も1次および2次回折次数(中間および近方)に方向付けられないことを示し、この例には、多焦点回折パターンが存在しないことと一致する。

図6のトポグラフィ線図D、E、およびFは、変数A1およびA2によって表される、奇数および偶数の両方のステップ高さ126が0.5×2πに等しい、図3に示されるプロファイルを有する従来の2焦点回折レンズに対応する、限定的な場合を示す。座標(0.5、0.5)をプロットすることで、各線図の中心近くに「X」を生ずる。線図DおよびFでは、Xは、グレー領域と一致し、光度の実質的に等しい部分が、遠方および近方視力に対応するゼロ次および2次の回折次数に方向付けられることを示す。線図Eでは、Xは、暗い領域と一致し、光度の実質的に0%が、中間視力に対応する1次の回折次数に方向付けられることを示す。

図6のトポグラフィ線図G、H、およびIは、図5に示されるマルチステップ回折レンズの好ましい実施形態を例示する。この例では、最適な結果を生じるように、奇数のステップ高さ136には、0.7×2πの値が割り当てられ、偶数のステップ高さ138には、0.3×2πが割り当てられる。これらの値を割り当てる理由については、トポグラフィ線図G、H、およびIのそれぞれの地点(0.3,0.7)をプロットすることによって理解することができ、各線図の左上の象限の中に「X」を生ずる。線図のそれぞれにおいて、Xは、明るいグレーシェーディング領域と一致し、グレースケール値は、遠方、中間、および近方視力が全て実質的に等しく高められるように、ゼロ次、1次、および2次の回折次数のそれぞれに等しく光度が方向付けられることを示す。

図7には、徐々に減少する位相プロファイルの場合の、より複雑な設計の例が示され、レンズの中心では3焦点部分を提供し、レンズの縁部では2焦点レンズに至る。この実施形態によれば、一対の交互ステップ高さは、レンズの中心での第1の所定の値166および168から、レンズの縁部での第2の所定の値170および172まで単調に減少する。例えば、ステップ高さA1およびA2は、それぞれ、レンズの中心で0.3λおよび0.7λとなるように、またレンズの縁部で0.1λおよび0.45λとなるように選択されてもよい。このような設計に従って加工される3焦点レンズは、小瞳孔を有する人には、高められた遠方、中間、および近方視力を提供し、大瞳孔を有する人には、遠方および中間視力に好都合となり、大瞳孔については、近方視力が徐々に低下する。視覚的に、これは、明るい照明状態にある人が、運転すること、コンピュータ用モニタを見ること、および読むことを可能にする一方で、読む必要が無い時の暗い条件の下では、その人が、運転することおよびよりはっきりとダッシュボードを見ることを可能にする。

特定の実施形態を本明細書に例示および説明したが、当業者は、同じ目的を達成するように計算された、様々な代替もしくは同等の実施形態または実装例が、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、例示および説明される実施形態と置換されてもよいことを理解するであろう。当業者は、本発明による実施形態が、非常に幅広い方法で実装され得ることを容易に理解するであろう。本願は、本明細書で論じられる実施形態のあらゆる適合例または変形例を包含することを意図するものである。

前述の明細書の中に採用された用語および式は、本明細書において、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および式の使用においては、例示および説明される特徴の同等物またはその一部分を除外することを意図するものではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲だけによって定義および限定されることを認識されたい。

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