Medical device for correcting optical element, ophthalmic lens, and presbyopia

申请号 JP2009514822 申请日 2007-06-14 公开(公告)号 JP2009540380A 公开(公告)日 2009-11-19
申请人 インド インテルナシオナル, エス.エー.; 发明人 ペレス, ホアキン オトン; ロペス, フアン カルロス ドゥルステレル; ブルデウス, フアン エステバン パロマル; バイグ, エンリク フォントデカバ; カブレ, エリザベス ペレス; ガルシア−バレラ, マリア サグラリオ ミラン;
摘要 光学素子は空間光変調器及びスペクトルフィルタを備え、空間光変調器及びスペクトルフィルタは通常幾つかの部分を含み、フィルタの各部分(V;R;A;L)が変調器の少なくとも一つの部分に対応している。 スペクトルフィルタを空間光変調器に重ねることにより、フィルタの各部分の透過率が、変調器の該当する部分により生じる位相ずれによって調整される。 一の実施形態では、空間光変調器はプログラム可能な 液晶 装置である。 本発明は、空間光変調器の各部分により生じる位相ずれを、プログラムされた時間経過で変化させることにより、スペクトルフィルタの各部分の透過率を調整して、空間光変調器の各部分で、スペクトルフィルタ処理された波長の光を受信し、そして当該光を同じ平面に集光させる幾つかの方法を提供する。
权利要求
  • 光波面に位相ずれを生じさせる少なくとも一つの部分を含む空間光変調器を備える光学素子であって、光学素子は更に、空間光変調器の前記少なくとも一つの部分に対応する少なくとも一つのフィルタリング部分を含むスペクトルフィルタを備え、前記スペクトルフィルタの透過率は、空間光変調器の前記少なくとも一つの部分によって光波面に生じる位相ずれに従って選択されることを特徴とする、光学素子。
  • 空間光変調器及びスペクトルフィルタが幾つかの部分を含むことにより、スペクトルフィルタの各部分は、選択用スペクトルフィルタとして機能し、かつ空間光変調器の少なくとも一つの部分に対応し、スペクトルフィルタを空間光変調器に重ねることにより、空間光変調器の各部分の位相ずれが、スペクトルフィルタの該当する部分の透過率によって変わる、請求項1に記載の光学素子。
  • 空間光変調器の前記部分によって生じる位相ずれに関連する、空間光変調器の各部分の光学特性がプログラム可能である、請求項1又は2に記載の光学素子。
  • 空間光変調器が液晶装置である、請求項3に記載の光学素子。
  • 空間光変調器はモザイク構造を含み、モザイク構造では、モザイクの各部分で、一つの波長の光を集光するために最適化される位相ずれを生じる、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の光学素子。
  • モザイクを構成し、かつ同じ波長に関連付けられる複数の部分から成る集合体が、前記波長に対応する所望のパワーを有するサブレンズとして機能することにより、結果として得られるモザイクが、異なる波長に対応して設計されるサブレンズ群の全ての複合体となる、請求項5に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタによって、空間光変調器のモザイク構造と同等のモザイク構造が実現し、スペクトルフィルタの各部分の透過率は、前記部分において除去される波長が空間光変調器の該当する部分に対応して設定される波長と一致するように設定される、請求項5又は6に記載の光学素子。
  • 空間光変調器のモザイク構造はピクセル構造である、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタのモザイク構造はピクセル構造である、請求項8に記載の光学素子。
  • 変調器表面は複数の円形セクターに分割され、これらの円形セクターの各セクターが、一つの異なる波長に関して最適化される、請求項3又は4に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタは、空間光変調器の複数の円形セクターに分割される同じ構造を示す、請求項10に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタが空間光変調器のプログラミングに同期して回転することにより、空間光変調器の所定のセクターに対応して設定される波長、及びスペクトルフィルタの該当するセクターの波長が常にほぼ一致する、請求項11に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタが一つの単一波長を選択し、そして空間光変調器の表面全体がこの同じ波長に関して最適化される、請求項3又は4に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタが調整可能かつプログラム可能である、請求項13に記載の光学素子。
  • 動作状態では、スペクトルフィルタの透過率を変化させ、そして前記波長に関して最適化される空間光変調器の位相分布を前記透過率に合わせて変化させる、請求項13又は14に記載の光学素子。
  • 焦点面におけるエネルギー分布関数は、複合スペクトルフィルタによって選択される波長群の全てに関してほぼ同じであるので、素子にプログラムされる回折光学素子部分の色収差が補正される、請求項2乃至15のいずれか一項に記載の光学素子。
  • スペクトルフィルタは、異なる波長に対応して異なる透過率を示す、請求項16に記載の光学素子。
  • 空間光変調器は位相フレネルレンズである、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光学素子。
  • 請求項1乃至18のいずれか一項に記載の光学素子を備えることを特徴とする、眼科用レンズ。
  • 請求項19に記載の眼科用レンズとテレメトリーシステムとを備えることを特徴とする、老視矯正用素子。
  • 说明书全文

    本発明は、位相ずれを光波面に生じさせる少なくとも一つの部分を含む空間光変調器を備える光学素子、眼科用レンズ、そして老視を矯正する医療用具に関する。
    光学素子、眼科用レンズ、及び老視を矯正する医療用具は回折素子を含むことが好ましい。

    レンズは、レンズに入射する光波面を歪ませるように機能する、すなわちレンズから出射する光ビームは、レンズ表面のポイントごとに異なる位相ずれを、レンズへの入射光ビームに対して示す。 一般的に言うと、この現象は、光がレンズの表面で屈折するために生じ、光の屈折は、材料の屈折率、及びレンズ表面の形状の両方によって変わる。 従って、これらのパラメータはいずれも、所望の波面が得られるように作用することができる。

    いろいろな形の表面を持つレンズの例が従来のフレネルレンズであり、フレネルレンズは、異なる形状の輪帯状レンズの集合体であり、この集合体から、2πの複数倍の位相ずれを生じさせるレンズの余分な厚み部分が切り取られている。

    屈折率分布を有するレンズの別の例が多焦点眼科用レンズであり、このレンズでは、パワーがレンズ表面に亘って空間的に変化する。 この構成は、各ポイントでのレンズ表面の屈折率または曲率を変えることにより実現する。

    これらの例では、位相ずれは、レンズの異なる部分において異なる、すなわち焦点距離は、レンズの空間的な変化を表わす。 しかしながら、時間とともに変化する焦点距離を有するレンズを実現することも重要である。 この考え方は、プログラム可能なレンズというコンセプトに結び付き、プログラム可能なレンズは、レンズの焦点距離を時間とともに高精度に変化するように設定することができる構成のレンズとして定義することができる。 更に一般的に表現すると、プログラム可能なレンズでは、位相ずれはレンズ表面で空間的に変化するだけでなく、時間の経過とともに変化するようにも設定することができる。

    一般的には、レンズは、空間光変調器(Spatial Light Modulators)、またはSLMと表記される或る種類の光学素子に属するが、SLMという表現は通常、電気光学素子に適用される。 参照される変調は振幅変調または位相変調とすることができるが、本発明は主として位相変調器に関するものである。

    電気光学SLM(以下の記述では、単にSLMと表記される)の表面は複数の部分に分割することができ、これらの部分で、これらの部分に入射する光ビームの振幅または位相を個々に調整または変調することができる。 前記これらの部分は電極群によって制御される。 従って、このようなSLM(空間光変調器)は、プログラム可能なレンズとして機能するために適する手段となり得る。

    SLMは光を反射によって、または透過によって変調することができる。 眼科用レンズの場合、基本的に透過型であることが相対的に有利であるが、反射型素子を眼科用レンズに有利な形で適用することもできる。

    レンズの焦点距離を変えるために最も有用なSLM群の内の一つが、ネマチック液晶表示装置(LCDまたはN−LCD)である。 LCD(液晶表示装置)は微細な液晶セルまたは液晶ピクセルのマトリクスを備え、各ピクセルは電極群を有し、これらの電極によって、ピクセルを構成するセルに充填される液晶の光学的特性を、電圧を印加することにより変化させることができる。 これらの変化によって光路に変化が生じ、この変化によって従来の屈折レンズの屈折率または曲率の変化によって生じる位相ずれと同等の位相ずれが生じる。 このような装置を使用することにより、また従来のレンズ(単焦点レンズ、2焦点レンズ、多焦点レンズ等)と同等の位相分布を生成することにより、所謂回折レンズが得られる。

    回折光学系では、反射光学系とは異なり、光を直進光によって表現することは十分ではなく、光の波動性に関連する回折現象を考慮に入れる必要がある。

    回折レンズの不具合は、入射光の波長が変化することによって、屈折レンズの場合よりも更に大きく焦点距離が変化することである。 これは、光が単色光ではない場合に、またはほぼ単色光である場合に、画像は、色収差と呼ばれる大きな収差を示すことを意味する。 この収差は、レンズがいずれの波長に関しても異なるパワーを有するために明瞭になる。

    前記色収差は縦方向収差及び横方向収差として分類することができる。 縦方向色収差は、異なる平面上で、かつレンズの回転軸に沿って波長によって変わる形でレンズが集光する現象に関連する。 しかしながら、焦点面(focal plane)が全ての波長に関して同じである(または、考察対象の波長に関して少なくとも同じである)場合でも、光学システムによって像面(image plane)に形成される強度分布が波長によって変わるという現象が発生し得る。 従って、システムは横方向色収差を有し、この現象は、像の周りに虹色(iridescence)がつくことにより明らかになると考えられている。

    米国特許第4601545号明細書には、アドレス指定可能なマトリクス状の複数の電極の電位によって制御されることにより、レンズの屈折率に勾配が生じるようにしたLCDを備える可変パワーレンズが開示されている。 動作状態では、像の倍率はレンズの開口に印加される電界の勾配とともに変化し、そしてレンズのパワーは、LCDの屈折率を変化させることにより変化する。 この文献は、色収差の補正については全く触れていない。

    「色収差補正回折レンズを液晶ディスプレイに作り込む技術」と題する論文(Marquez らによるOPTICS LETTERS, Vol. 31, No. 3, February 1, 2006)には、幾つかの波長に対して同じ焦点距離を同時に有するプログラム可能な回折レンズが開示されている。 前記レンズは眼科用途には設計されておらず、そして当該レンズに関しては、波長がスペクトルフィルタによって選択されることがないため、複数の焦点合わせが異なる平面上で行なわれ、そして色収差が補正されない。

    プログラム可能なレンズのプロトタイプが最近、アリゾナ州立大学において開発され、前記プロトタイプは、同心円環状に形成される幾つかの電極によって制御されるLCDを利用する。 このような素子は単焦点レンズまたは2焦点レンズを再現することしかできず、かつ色収差を補正しない。 この素子に関する初めての記述は、“Optics & laser Europe”誌2006年5月号第139巻11頁に見られる。

    本発明の目的は、空間光変調器を有し、かつプログラム可能なレンズとして動作することができ、このレンズの色収差が大幅に低減されるような回折光学素子を提供することにある。

    本発明の一の態様によれば、光学素子は、空間光変調器の前記少なくとも一つの部分に対応する少なくとも一つのフィルタリング部分を含むスペクトルフィルタを備え、前記スペクトルフィルタの透過率は、空間光変調器の前記少なくとも一つの部分によって光波面に生じる位相ずれに従って選択される。

    好適には、空間光変調器及びスペクトルフィルタが幾つかの部分を含むことにより、スペクトルフィルタの各部分が、選択用スペクトルフィルタとして機能し、かつ空間光変調器の少なくとも一つの部分に対応し、スペクトルフィルタを空間光変調器に重ねることにより、空間光変調器の各部分の位相ずれが、スペクトルフィルタの該当する部分の透過率によって変わる。

    スペクトルフィルタの各部分で一つの波長を選択するということは、前記フィルタの帯域幅が前記波長を中心とすることを意味する。 従って、空間光変調器の各部分は、該当するフィルタリングがスペクトルフィルタによって可能になるので、主として一つの所定波長の光を受信することができる。 空間光変調器は、空間光変調器の各部分で、当該部分で受信するフィルタリング光を同じ平面上に集光するために構成することができるので、この平面が、光学素子に入射する広帯域光の焦点面となり、これによって縦方向色収差を無くすことができる。

    好適には、空間光変調器の前記部分によって生じる位相ずれに関連する空間光変調器の各部分の光学特性がプログラム可能である。 このようにして、光学素子のパワーを時間の経過とともに制御可能に変化させることができる光学素子が得られる。

    有利なことに、空間光変調器は液晶装置である。 LCD装置では、プログラミングを容易、かつ多目的に利用することができる。

    一の実施形態では、空間光変調器はモザイク構造を含み、モザイク構造では、モザイクの各部分で、一つの波長に最適化される位相ずれを生じる。 モザイクを構成し、かつ同じ波長に関連付けられる複数の部分から成る集合体は、前記波長に対応する所望のパワーを有するサブレンズとして機能することにより、結果として得られるモザイクは異なる波長に対応して設計されるサブレンズ群の全ての複合体となる。

    有利なことに、スペクトルフィルタによって、空間光変調器のモザイク構造と同等のモザイク構造が実現し、スペクトルフィルタの各部分の透過率は、前記部分において除去される波長が、空間光変調器の該当する部分に対応して設定される波長と一致するように設定される。 すなわち、適切な対応性が変調器部分の機能とフィルタ部分の機能との間で設定されると、本発明による光学素子は、縦方向色収差を、この場合は変調器及びフィルタを空間的に統合することにより、ほとんど無くすことができる。

    好適には、空間光変調器及びスペクトルフィルタのモザイク構造はピクセル構造である。

    一の実施形態では、変調器表面は複数の円形セクターに分割され、これらの円形セクターの各セクターは一つの異なる波長に関して最適化され、そしてスペクトルフィルタは、空間光変調器の複数の円形セクターに分割される同じ構造を示す。

    有利なことに、スペクトルフィルタは、空間光変調器のプログラミングに同期して回転することにより、空間光変調器の所定のセクターに対応して設定される波長、及びスペクトルフィルタの該当するセクターの波長は常にほぼ一致する。 従って、これまでと同じように、変調器とフィルタとを対応させることにより縦方向色収差を無くすことができるが、現在では、空間的/時間的統合を行なうことにより縦方向色収差を無くすことができる。

    一の実施形態では、スペクトルフィルタは一つの単一波長を選択し、そして空間光変調器の表面全体がこの同じ波長に関して最適化される。 有利なことに、スペクトルフィルタは、調整可能かつプログラム可能である。

    好適には、動作状態では、スペクトルフィルタの透過率を変化させ、そして前記波長に関して最適化される空間光変調器の位相分布を前記透過率に合わせて変化させる。 このシステムは、現在では時間的統合によって縦方向色収差を無くすこともできる。

    左右方向の色度分布(transversal chromatic distribution)を無くすために、一の実施形態では、焦点化面におけるエネルギー分布関数は、複合スペクトルフィルタによって選択される波長群の全てに関してほぼ同じであるので、素子にプログラムされる回折光学素子部分の色収差が補正され、スペクトルフィルタが異なる波長に対して異なる透過率を示すので、中心極大は同じ値を持つことができる。

    好適には、空間光変調器は位相フレネルレンズである。

    本発明の別の態様によれば、眼科用レンズは、これまでに列挙した全ての仕様に応じた光学素子を備える。

    本発明の別の態様によれば、老視矯正用素子は、これまでの文章の中に記載された眼科用レンズと、そしてテレメトリーシステムとを備える。
    本発明の或る実施形態について以下に、非制限的な例を通してのみ、添付の図面を参照しながら説明する。

    4つのレンズ、すなわち2つの屈折レンズ、及び2つの回折レンズの焦点距離(f)を波長(λ)に対してプロットしたグラフである。

    モザイク構造の変調器を示す図である。

    図2の詳細拡大図である。

    同じ構成を有する変調器に重ねられる円形セクター群により作製されるスペクトルフィルタを示す図である。

    3つの異なる時点で異なる態様で調整されるスペクトルフィルタ及び変調器を示す図である。

    焦点面での左右方向の像強度の変化をプロットしたグラフである。

    本発明による光学素子は、レンズ(または一般的には、空間光変調器、SLM)及びスペクトルフィルタを備え、そして回折レンズに通常起こる色収差を回避することができるような像を実現するという目的を有する。 このような素子は、例えば眼科用光学系、写真撮影、ホログラフィーのような種々の状況、または静的回折光学素子及び動的回折光学素子の両方の作製に適用することができる。

    幾つかの実施形態では、プログラム可能なレンズが提供され、前記レンズは少なくとも一つのLCD(液晶表示装置)を有するSLM(空間光変調器)を備える。

    ディスプレイまたは液晶によって構成される空間変調器は、2枚の平行なガラス基板に挟まれる薄い液晶層を備える。 このような素子は、液晶の電気光学的性質(electro−optical ability)を利用することにより実現し、液晶は、液晶の光学特性、例えば液晶の屈折率を変化させることにより電圧に応答する。 電圧は幾つかの透明電極に印加され、これらの透明電極は液晶表面に配置され、かつ一つの構造の内、ピクセル群により作製することができる、または事前に設定される構成を有することができる部分を構成する。

    このような素子は、波面に生じる位相ずれを電圧変化により変化させる性質を有するので、電圧分布により従来のレンズの屈折率分布によって生じる変化と同等の波面の変化が生じる場合に、レンズとして機能する。 従って、このような素子によって、波面に何かしらの変化を生じさせることができれば、従来のレンズの特徴を再現することができる。 しかしながら、液晶ディスプレイを利用する変調器では、位相変調範囲が狭い。 このため、位相フレネルレンズと呼ばれるフレネルレンズの厚み分布のような分布を有する位相変化を利用することになる。 このような分布は不連続性を示し、そしてこれらの不連続性は、これらの回折レンズが示す色収差の主要な原因となる。

    図1は、2つの利用可能な位相変調範囲π、6πを有する液晶ディスプレイ内に形成され、かつ550nmの波長(λ)に対応する0.94mの焦点距離(f)を示すように設計される2つのレンズの縦方向色収差を示している。 図1は更に、波長に対するパワーの変化を、眼科用光学系に広く使用される材料により作製される2つの従来レンズ(BSC及びDF−4)に関して示している。 変調器が6πの位相変調範囲を有する場合でも、LCDレンズにおける色収差の方が従来のレンズにおける色収差よりもずっと大きいことが分かる。 市販のLCD変調器は最大で3πの位相変調範囲を実現するので、市販の変調器の性能は図示の2つの変調器の中間のレベルになる。

    回折レンズの色収差問題を解決するために用いられる幾つかの実施形態について以下に説明する。

    一の実施形態では、液晶表面が事前に設定されるモザイク構造に分割される構成の変調器を用い、モザイク構造では、各部分は、所定波長の光が所望の焦点面に集光されるように計算される。 モザイクの一つの部分(または詳細には、当該部分によって生じる位相ずれ)と、所定波長とのこの関係を、当該波長に対応する前記部分の「最適化」と表現することとする。

    同じ波長に関連付けられるこれらの部分の集合は、前記波長に対応する所望のパワーを有するサブレンズのように動作し、結果として得られるモザイクは異なる波長に対応して設計されるサブレンズ群の全ての複合体である。

    変調器の各部分は一つの波長に対応して最適化されるので、当該部分は、他の全ての波長に対して色収差を示す。 この問題を解決するために、複合スペクトルフィルタを変調器に重なるように配置し、前記フィルタは変調器のモザイク構造と同等のモザイク構造を有する。 フィルタは、除去される波長が変調器の該当する部分に用いられる波長に一致するように設計される。 従って、変調器の各部分は、前記部分が最適化される対象となる波長を持つ光のみを受信することになるので、どの部分も決して、大きな色収差を引き起こすということがない。 複合スペクトルフィルタの各部分または各要素は所定波長を中心とする最大強度の光を透過する。

    図2は、ピクセル群により作製され、かつ4つの波長に対して最適化されたモザイク構造を有する変調器を示している。 各部分の色は、前記部分が最適化される対象となる波長を示す。 従って、スペクトルフィルタはモザイクと同じピクセル構造を示すことになる。 図2aは、4つの基本色、赤(R )、青(A )、緑(V )、及び紫(L )のピクセルを示し、各部分の強度は、前記部分の中にプログラムされる位相ずれを表わし、色、すなわち赤、青、緑、及び紫に対応する下付き文字「i」は異なる位相ずれの大きさを表わす。

    別の実施形態では、変調器の表面は円形セクター群に分解され、円形セクター群の各円形セクターは、一つの異なる波長に対応して最適化される。 同じ円形セクター構造を有するスペクトルフィルタを変調器に重ねて色収差を最小にする。 一つの波長に対応して最適化される複数の部分が変調器表面全体に分布する構成の、前の実施形態である場合を除いて、この実施形態では、これらの部分は単一の領域に閉じ込められる。

    焦点におけるエネルギー分布を円対称として利用するためには、フィルタを変調器のプログラミングに合わせて回転させて、変調器の所定のセクターに対応して設定される波長が、フィルタの該当するセクターの波長と一致するようにする。 回転周期は、像取得システムにおいて積分を行なうために要する時間よりも短くして、異なる波長に対応する像の多重化が生じて、素子が色収差の無いレンズのように動作することができるようにする必要がある。

    図3は、後部平面における、ピクセル構造を有する変調器を示しており、変調器は、4つの円形セクター(緑V、赤R、青A、及び紫L)に分割され、各円形セクターは重ね合わせフィルタの該当するセクターの同じ波長に関して最適化される。 フィルタは時間の経過とともに回転するが、変調器は静止しており、電圧分布は時間の経過とともに変化するので、フィルタの該当する領域に関連付けられる変調器の領域は、同じ波長に対応して設計される。

    これまでの実施形態では、フィルタは可変フィルタではないが、他の実施形態は調整可能なスペクトルフィルタを備える。 これらの実施形態の内の一つでは、変調器表面全体が単一の波長に関して最適化され、そしてフィルタはこの波長に関してプログラムされる。 これにより、この波長に関して最適化されるレンズが提供される。 素子を広いスペクトル、例えば白色光を有する照明システムに使用する必要がある場合、変調器の中にプログラムされるレンズの波長の変化は、フィルタの中での波長の調整に同期させる。 変調器内に分布する大多数の波長、または少数の波長は、用途における要件によって変わるように選択され、そして前記波長は像取得システムにおける積分時間よりも短い時間で表示される。

    図4は、このような素子の3つの異なる時点における構成を示し、3つの異なる時点では、変調器にプログラムされるレンズの波長は、フィルタにおいて当該時点で調整される波長に一致する(青A、緑V、及び赤R)。

    これらの実施形態の内のいずれにおいても、変調器によって生じる位相フレネルレンズの縦方向色収差の問題が解決される。 実際、スペクトルフィルタは、縦方向色収差を補正するスペクトルフィルタであるが、これらの実施形態では、横方向色収差を補正することもできる。

    横方向色収差を補正するために、次式により表わされる円形絞りレンズ(circular aperture lens)の伝達関数を考慮に入れる必要がある:


    上の式では、I

    は、各波長λiに対応する座標(u,v)の像平面における強度分布であり、τ

    は各波長に対応するスペクトルフィルタの透過率であり、fは所望の焦点距離であり、そしてR

    は、変調器において各波長に対応するように設計されるレンズの半径である。 同様の数学的分析を、異なる構造を有するレンズの他の絞りに関して行なうことができ、前記分析の代わりに他の関数を用いて、焦点化面(focalization plane)におけるエネルギー分布を表わすことができる。

    横方向色収差を無くすためには、像平面における強度分布をいずれの波長に関しても同じとする必要がある。 素子の円形絞り(circular aperture)に対応する正規ベッセル関数J (括弧内に含まれ、かつ焦点化面におけるエネルギー分布を表わす量)が、いずれの波長に関しても主極大の幅と同じ幅を持つという条件が課される場合、強度分布は同じ値ではないが同じ位置に、複数の極大及び複数の極小を持つことができる。 この特性は、異なる透過率を、各波長に対応するスペクトルフィルタに適用することにより補うことができる。

    横方向色収差に対する別の解決策は、いずれの波長に関しても中央最大値を同じにするという条件を課すことにより得られる。 この解決策によって、他の極大及び極小が、いずれの波長に対しても同じ位置になるという訳ではない。 しかしながら、計算によれば、2番目の極大及び極小の位置の差は、可視光スペクトル領域では大幅には違わないことが分かる(図5参照)。

    記載の素子は、既に述べたように、非常に多くの分野に適用することができるが、眼科用光学系の分野における2つの用途に注目することができる。 一方の用途では、素子を手動制御と組み合わせて異なる構成を選択することにより、レンズのパワーを意のままに変化させることができる。 他方の用途では、これらのレンズを用いて、老視を矯正することができる。 老視のある人は、視認することができるオブジェクトまでの距離によって変わる、異なるパワーを持つレンズを必要とする。 記載の素子はテレメトリーシステムと組み合わせることにより、オブジェクトまでの距離を求めることができるため、ユーザが彼/彼女の眼の状態に応じて必要とするパワーを持つレンズを形成するために必要な電圧分布を発生させることができる。

    本発明の特定の実施形態についてのみ、本明細書において示し、そして記載してきたが、当業者であれば、添付の請求項により規定される保護範囲から逸脱せずに、これらの実施形態のいずれの技術的特徴も、技術的に等価であり、かつ各事例に関する特定の要件によって変わる他の特徴に変更し、置き換えることができる。

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