Programming possible corrective lenses

申请号 JP2000526838 申请日 1998-12-24 公开(公告)号 JP2002500380A 公开(公告)日 2002-01-08
申请人 ノバルティス ファーマ アクチエンゲゼルシャフト; 发明人 ツァン,シャオシャオ;
摘要 The invention provides an ophthalmic lens, which uses a volume HOE to provide an optical power. The ophthalmic lens is produced by a highly flexible production process such that a variety of different ametropic conditions can be accommodated.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 体積ホログラフィック素子を含む、乱視を矯正するための眼用レンズであって、 該体積ホログラフィック素子が、円柱屈折率を含む1種類又はそれ以上の矯正屈折率を提供する、体積回折格子構造を有する眼用レンズ。
  • 【請求項2】 該レンズが、球面屈折率を更に提供する、請求項1記載の眼用レンズ。
  • 【請求項3】 該球面屈折率が、該体積回折格子構造によって提供される、
    請求項2記載の眼用レンズ。
  • 【請求項4】 該球面屈折率が、該眼用レンズの輪郭によって提供される屈折率である、請求項2記載の眼用レンズ。
  • 【請求項5】 該レンズが、安定化機構を有する、請求項1記載の眼用レンズ。
  • 【請求項6】 該レンズが、コンタクトレンズである、請求項1記載の眼用レンズ。
  • 【請求項7】 該レンズが、眼内レンズである、請求項1記載の眼用レンズ。
  • 【請求項8】 該ホログラフィック素子が、生物学的に適合し得る光学的材料を含む、請求項1記載の眼用レンズ。
  • 【請求項9】 該レンズが、複合レンズである、請求項8記載の眼用レンズ。
  • 【請求項10】 透過体積ホログラフィック素子を含む眼用レンズであって、 該ホログラフィック素子が、屈折率を提供する体積回折格子構造を有する眼用レンズ。
  • 【請求項11】 該ホログラフィック素子が、生物学的に適合し得る光学素子である、請求項10記載の眼用レンズ。
  • 【請求項12】 該レンズが複合レンズである、請求項10記載の眼用レンズ。
  • 【請求項13】 コンタクトレンズである、請求項10記載の眼用レンズ。
  • 【請求項14】 眼内レンズである、請求項10記載の眼用レンズ。
  • 【請求項15】 体積ホログラフィック素子を含む、乱視を矯正するためのコンタクトレンズであって、 該体積ホログラフィック素子が、円柱屈折率を提供するようプログラムされた、
    体積回折格子構造を有するコンタクトレンズ。
  • 【請求項16】 該レンズが、安定化機構を有する、請求項15記載のコンタクトレンズ。
  • 【請求項17】 該ホログラフィック素子が、生物学的に適合し得る光学的材料を含む、請求項15記載のコンタクトレンズ。
  • 【請求項18】 該レンズが、球面屈折率を更に提供する、請求項15記載のコンタクトレンズ。
  • 【請求項19】 該球面屈折率が、負の屈折率である、請求項18記載のコンタクトレンズ。
  • 【請求項20】 該球面屈折率が、正の屈折率である、請求項18記載のコンタクトレンズ。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 本発明は、体積ホログラフィック素子を有する矯正用光学レンズに関する。 より具体的には、本発明は、屈折率を提供するホログラフィック素子を有する矯正用光学レンズに関する。

    【0002】 光学的に透明な重合体の屈折率を用いて、非正視状態及びその他の不都合な視状態を矯正するための光学レンズは、広汎に利用することができる。 非正視状態は、近視、遠視、老眼及び乱視を包含する、目の屈折性視力障害の状態を示す用語である。 一般的に用いられる矯正用光学レンズは、眼鏡レンズ及び眼用レンズを包含する。

    【0003】 非正視状態を矯正するための眼用レンズは、コンタクトレンズ及び眼内レンズを包含する。 非正視状態は、それぞれ、特有の矯正屈折率を必要とするため、目の異なる多くの視力欠陥に適応するには、異なる非常に多くの眼用レンズの設計が存在することが必要である。 例えば、異なるレベルの近視状態にコンタクトレンズで適応するには、0〜10ジオプトリー、又はそれよりはるかに低いジオプトリーを、通常は4分の1ジオプトリー刻みで有する、異なるある範囲の球面屈折率のコンタクトレンズが製造される。 適応の困難さは、乱視状態の矯正について特に重大であるが、それは、乱視状態は、屈折率の調整ばかりでなく、円柱軸調整も必要とするからである。 加えて、乱視のための矯正用レンズは、安定化機構、例えばプリズムバラスト又はスラブオフを有して、眼の上のレンズの軸を正しく整合させなければならない。 その結果、異なる多くの設計基準を考慮して、
    乱視状態に正しく適応し、装着するのに快適である、円環体レンズを製造しなければならない。

    【0004】 設計するのに簡単であり、慣用の眼用レンズ製造法より単純な製造法によって製造される、矯正用レンズに対する必要性が存続している。

    【0005】 本発明は、透過体積ホログラフィック素子を有する眼用レンズを提供するが、
    この体積ホログラフィック素子は、屈折率を提供する回折格子構造を有する。 乱視を矯正するための眼用レンズも提供される。 乱視のための矯正用レンズは、円柱矯正屈折率を提供する、体積ホログラフィック素子を有する。 体積ホログラフィック素子を有する適切な眼用レンズは、コンタクトレンズ及び眼内レンズを包含する。

    【0006】 この眼用レンズは、高度に柔軟な製造方法によって製造されるが、それは、レンズの単数又は複数の矯正屈折率が、適切な屈折率をレンズにプログラムすることによって、レンズの寸法を変える必要性なしに与えられるからである。 したがって、異なる広い範囲の矯正屈折率を提供することができ、眼用レンズを、従来の技術のレンズ設計の光学的制約なしに、レンズ装着者の快適さを促進するよう設計することができる。

    【0007】 本発明の眼用レンズは、異なる非常に様々な屈折率及び配置を提供するようにプログラムすることができ、そのため、レンズは、様々な乱視状態を矯正するのに非常に適している。 本レンズで矯正できる例示的非正視状態は、近視、遠視、
    老眼、正及び不正乱視、並びにそれらの組合せを包含する。

    【0008】 この眼用レンズは、ホログラフィック光学素子(HOE)、より詳しくは、透過体積HOEの回折特性を利用して、屈折率を提供する。 本発明の体積HOEは、干渉縞パターン、すなわち体積回折格子構造を有し、それらは、光学的材料の屈折率の周期的変動としてプログラムかつ記録される。 体積回折格子構造は、H
    OEに進入する光を回折させ、光路は、望みの方向に変更かつ再指向させられる。 図1は、収束性又は正の屈折率を有する、本発明に適する例示的HOE10を示す。 HOEレンズ10は、体積回折格子構造12を有し、回折格子構造12は、一方の側からレンズ10に進入する光14を、レンズ10の他方の側に位置する焦点16に集束するよう指向させる。 好ましくは、入射光14は、一つ又はそれ以上の干渉縞12によって回折され、焦点16へと、高い回折効率が達成されるように再指向させられる。

    【0009】 図2は、収束性屈折率を提供する体積HOEを製造又はプログラムする方法を例示する。 本発明に適するHOEは、例えば、重合性又は架橋結合性光学的材料、及び写真用ホログラム記録媒体から製造することができる。 下記に、適切な光学的材料を更に考察する。 以下、例示の目的で、用語「重合性材料」を、別途示されない限り、重合性材料と架橋結合性材料との双方を示すために用いる。 点光源光(第一の光)20及び平行光(第二の光)24を光重合性光学的材料(すなわち光重合性HOE)22に同時に投射する結果、第一の光20及び第二の光2
    4の電磁波は、干渉縞パターンを形成し、これを、光学的材料を重合させるときに、重合性光学的材料に記録する。 光重合性HOE22は、第一の光と第二の光との双方によって重合する、光重合性材料である。 好ましくは、第一の光及び第二の光は、一つの平行光源から、ビーム分割器を用いて、第一の光と第二の光とが可干渉性になるように生成させる。 光の分割された二つの部分がHOE22に向けて投射されるにつれて、分割された光の第一部分の光路は、点光源光20を形成するように変更される。 点光源の第一の光20は、例えば、慣用の凸面光学レンズを、分割された光の一方の部分がHOE22から望みの距離だけ離れて、
    すなわち図2の点光源光の位置20に集束するように、光重合性HOE22から多少隔てて配置することによって与えられる。 第一の光及び第二の光は、可干渉性であるようにHOE22に進入し、干渉縞パターン(すなわち体積回折格子構造26)を記録する。 充分に記録され、重合したHOE22は、焦点を有し、それは、光がHOEに焦点の反対側から進入したときの、点光源光20の発生位置に相当する。 本発明によれば、眼用レンズの屈折率は、例えば、第一の光20の距離及び位置を変えることによって、変えることができる。 本発明によれば、第一の光及び第二の光に好適である光源は、レーザ源であり、より好ましくはUV
    レーザ光源である。 光源の適切な波長は、用いられるHOEの種類に依存するが、好適な波長範囲は、300〜600nmである。

    【0010】 認識できるとおり、収束性矯正屈折率を有するHOEは、多少の変更を加えた上記のHOE製造装置で製造することもできる。 例えば、光源から離れた、HO
    Eの他方の側に焦点を形成する収束性の第一の光光源を、点光源の第一の光の代わりに用いて、負の矯正屈折率を有するHOEを製造することができる。

    【0011】 図3に転じると、乱視の視力状態を矯正するのに適する、円柱屈折率をプログラムするための例示的方法が与えられる。 収束性矯正屈折率を有するHOEを製造するための、上記に考察した方法に、点光源第一の光を線光源第一の光に置き換える以外は類似する、回折格子構造のプログラミング構成を用いることができる。 線光源第一の光は、重合性光学的材料38から多少隔てて垂直に配置された、円柱光学レンズ34を用いて、平行光32を変更することによって与えられる。 円柱レンズ34は、光路32を、円柱レンズ34に対して垂直な方向(すなわち軸子午線)には変えないが、光路32を平方向(すなわち屈折率子午線)に有意に変えて、光を焦点に集束する。 やはり、第一の光32及び第二の光36を、重合性光学的材料38に同時に指向させて、体積回折格子構造を記録し、それによって、円柱又は円環体屈折率を有するHOEレンズを形成する。 焦点の位置は、円柱レンズ34によって与えられ、収束性及び発散性の異なる屈折率を提供するように変えることができる。 例えば、プログラムされたHOEレンズを、プログラミング光源の反対側からの視覚的な光を受けるよう設計し、かつ屈折率子午線に発散性屈折率を提供するよう設計するときは、第一の光の経路は、重合性光学的材料38の前方に位置する一点に集束するよう、プログラミング工程の間に変えなければならない。 加えて、円柱レンズ34の重合性光学的材料38に対する回転の配向を、円柱屈折率の非常に多様な配向を賦与するように変えることができる。 したがって、円環体HOEレンズを製造するための製造法は、多様な円環体レンズを製造することができる、高度に柔軟な方法である。

    【0012】 図3は、規則的乱視のための円環体HOEレンズを製造する方法を示しているが、この方法は、不規則的乱視のための矯正用レンズを製造するよう、容易に変更することができる。 不規則的乱視のための矯正用レンズは、規則的円柱レンズ34に代えて、不規則的円柱レンズを用いて、第一の光の経路を変えることによって製造することができる。 例えば、屈折率子午線の軸と、軸子午線の軸との間に鋭又は鈍角を提供する円柱レンズは、不規則的乱視のための円環体HOEレンズを形成する。

    【0013】 円環体HOEレンズは、慣用の円環体眼用レンズ、例えば円環体コンタクトレンズより非常に好都合である。 慣用の円環体コンタクトレンズとは異なり、HO
    Eレンズは、異なる乱視状態の異なる矯正の必要性、例えば円柱の配向、屈折率の要件、及び安定化機構の位置に適応するために、その寸法を変化させる必要がない。 円環体HOEレンズは、装着者の快適感を最適化するよう設計することができるが、それは、レンズの矯正用屈折率が、レンズ中に柔軟にプログラムされ、レンズの幾何学的形状によって形成されないからである。 注目すべきことに、
    HOEレンズの矯正用屈折率は、レンズの幾何学的形状には頼らないが、レンズの幾何学的形状は、追加的な屈折率を提供するためにか、又はプログラムされた屈折率を補うために利用することができる。 例えば、レンズの形状は、追加的な屈折率、例えば正又は負の球面屈折率を提供するように設計することができる。

    【0014】 図4は、本発明の例示的なHOEレンズの意匠を示す。 この実施態様では、H
    OE二焦点有効レンズ40が、HOEを形成する光学的材料から製造される。 H
    OEレンズのプログラムされた体積回折格子構造は、屈折率を与え、上記に考察したとおり、HOEレンズの形状とHOE材料の屈折率との組合せは、補足的又は追加的な屈折率を与え得る。 このHOEレンズの実施態様は、用いたHOE材料が生物学的に適合し得る材料であり、そのため、体組織と不都合に作用し合わないときに特に適する。 本明細書に用いられる限りで、用語「生物学的に適合し得る材料」とは、対象者の生物学的組織内に移植されるか、又はそれに隣接して置かれたときに、経時的に、認識し得るほどに悪化させず、有意な免疫応答、又は有害な組織反応、例えば毒性反応、又は有意な刺激を誘発しない重合体である材料を意味する。 好ましくは、生物学的に適合し得る材料は、少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも1年、最も好ましくは少なくとも10年にわたって悪化させず、免疫応答又は有害な組織反応を生じさせない。 適切な生物学的に適合し得る光学的材料は、高度に光架橋結合性又は光重合性である光学的材料である。 適切な生物学的に適合し得る材料は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンの誘導体及び共重合体を包含する。 本発明のHOE
    を製造するのに特に適する例示的な生物学的に適合し得る材料は、Muellerへの 米国特許第5,508,317号明細書、及びMuehlebachへの国際公開特許願第EP96/00246号公報に開示されており、これらの特許及び特許願を、引用によって本明細書に組み入れ、下記に更に考察する。

    【0015】 HOE眼用レンズ40は、特に、乱視を矯正するためのコンタクトレンズとしてレンズ40を設計するときは、安定化機構(図示せず)を有してよい。 例えば、プリズムバラストをレンズの底部に付加し、スラブオフをレンズの頂部に提供するか、又は頂底二重スラブオフの意匠を用いて、目の乱視状態に合うよう、円環体レンズの円柱軸を適正かつ安定的に配向する。 加えて、上記に考察したとおり、レンズ40の形状、及びHOE材料40の固有屈折率が、追加の屈折率を与え得る。

    【0016】 もう一つのレンズ意匠の実施態様を、図5に示す。 複合レンズ50は、第一の光学的材料54、好ましくは生物学的に適合し得る光学的材料に包埋又は封入されたHOE52を有する。 この複合レンズの実施態様は、HOE52を、適切に生物学的に適合し得ない光学的材料から作成するとき、特に適切である。 更にもう一つの実施態様を、図6に示す。 複合HOEレンズ60は、第一の光学レンズ62と、第一の光学レンズ62に隣接してかぶせたHOEレンズ64とを有する。 これに代えて、HOEレンズ64は、目の瞳孔のみを覆うにすぎない大きさのものであることもでき、第一の光学レンズ62及びHOEレンズ64の配置は、
    相互に交換することができる。 第一の光学的材料からの第一の光学レンズ62、
    及びHOE材料からのHOEレンズ64は、別個に製作し、例えば接着剤又は熱によって、結合することができる。 これに代えて、第一の光学レンズ62及びH
    OEレンズ64は、複合レンズを製造するように、逐次又は同時に一方を他方に重ねて製作することもできる。 この逐次又は同時の取組み方は、第一の光学レンズとHOEレンズとを1種類の基本材料、又は2種類の化学的に融和できる材料から製造するときに、特に適している。

    【0017】 本発明によれば、適切なHOEは、比較的急速に光重合又は光架橋結合できる、重合性及び架橋結合性光学的材料、特に流体の光学的材料から製造することができる。 以下、例示の目的で、用語「重合性材料」を用いて、別途示されない限り、重合性材料と架橋結合性材料との双方を示す。 屈折率の周期的変動を許す、
    急速重合性光学的材料は、光学的材料を重合させて、固体の光学的材料を形成している間に、光学的材料中に生成されることができ、そのため、体積回折格子構造を形成する。 流体の重合性光学的材料を用いて、HOEを生成するときは、光源が、流体の光学的材料を、体積回折格子構造を形成しつつ、非流体又は固体のHOEに転換する。 本明細書に用いられる限りで、用語「流体」は、材料が、液体のように流動できることを示す。 好ましくは、適切な重合性及び架橋結合性光学的材料は、生物学的に適合し得るである光学的材料から選び、好ましくは、適切な光学的材料は、架橋結合又は重合して、規定された形状を有する非流体の固化された光学素子を、5分又はそれ未満、より好ましくは3分又はそれ未満、更に好ましくは1分又はそれ未満、最も好ましくは30秒又はそれ未満、例えば5
    〜30秒で形成する、流体の生物学的に適合し得る光学的材料から選ぶ。 架橋結合又は重合の持続時間は、架橋結合性又は重合性光学的材料を、顕微鏡スライドの寸法を有し、スペーサで100imだけ隔てた、2枚の石英スライドの間に置くことによって決定される。 充分量の光学的材料を第一の石英スライド上に与えて、約14mmの直径を有する環状の液滴を形成し、第二のスライドを光学的材料にかぶせる。 これに代えて、スペーサを用いて、スライド間に光学的材料のための円柱状の空間を提供することもできる。 スライド間の光学的材料を、石英スライドの18cm上方に置いた200ワット中圧水銀アーク灯で照射する。

    【0018】 本発明に適した生物学的に適合し得る重合性光学的材料の例示的な群は、Muel
    lerへの米国特許第5,508,317号明細書に開示されている。 米国特許第5
    ,508,317号明細書に開示されたとおり、重合性光学的材料の好適な群は、1,3
    −ジオールの基本構造を有するそれらであって、一定百分率の1,3−ジオール単位が、重合可能ではあるが重合されていない基を2の位置に有する、1,3−
    ジオキサンへと修飾されている。 この重合性光学的材料は、好ましくは、少なくとも約2,000の重量平均分子量M wを有する、ポリビニルアルコールの誘導 体であって、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基の数に基づいて、約0.5
    〜約80%の式(I):

    【0019】

    【化1】

    【0020】 〔式中、Rは、8個までの炭素原子を有する低級アルキレンであり、 R 1は、水素又は低級アルキルであり、 R 2は、好ましくは25個までの炭素原子を有する、オレフィン性不飽和で、 電子求引性の共重合できる基である〕 で示される単位を有する。 R 2は、例えば、式R 3 −CO−〔式中、R 3は、2〜 24個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子、特に好ましくは2〜4個の炭素原子を有する、オレフィン性不飽和の共重合し得る基である〕で示されるオレフィン性不飽和のアシル基である。 例示的なオレフィン性不飽和の共重合できる基は、エテニル、2−プロペニル、3−プロペニル、2−ブテニル、ヘキセニル、オクテニル及びドデカニルを包含する。

    【0021】 望ましい実施態様としては、基R 2は、式(II):

    【0022】

    【化2】

    【0023】 〔式中、 pは、0又は1、好ましくは0であり; qは、0又は1、好ましくは0であり; R 4及びR 5は、それぞれ独立に、2〜8個の炭素原子を有する低級アルキレン、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン、6〜10個の炭素原子を有する飽和された2価の脂環族の基、7〜14個の炭素原子を有するアリーレンアルキレン若しくはアルキレンアリーレン、又は13〜16個の炭素原子を有するアリーレンアルキレンアリーレンであり;そして R 3は、上記に定義されたとおりである〕 で示される基である。

    【0024】 低級アルキレンであるRは、好ましくは、8個までの炭素原子を有し、直鎖状又は分枝鎖状であってよい。 適切な例は、オクチレン、ヘキシレン、ペンチレン、ブチレン、プロピレン、エチレン、メチレン、2−プロピレン、2−ブチレン及び3−ペンチレンを包含する。 好ましくは、低級アルキレンであるRは、6個まで、特に好ましくは4個までの炭素原子を有する。 メチレン及びブチレンが、
    特に好適である。 R 1は、好ましくは、水素、又は7個まで、特に4個までの炭 素原子を有する低級アルキル、特に水素である。

    【0025】 R 4及びR 5については、低級アルキレンであるR 4又はR 5は、好ましくは2〜
    6個の炭素原子を有し、特に直鎖状である。 適切な例は、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、ジメチルエチレン、及び特に好ましくは、エチレンを包含する。
    アリーレンであるR 4又はR 5は、好ましくは、非置換であるか、又は低級アルキル若しくは低級アルコキシで置換されたフェニレン、特に1,3−フェニレン若しくは1,4−フェニレン、又はメチル−1,4−フェニレンである。 飽和された2価の脂環族の基であるR 4又はR 5は、好ましくは、シクロヘキシレン又はシクロヘキシレン低級アルキレン、例えば、シクロヘキシレンメチレンであって、
    非置換であるか、又は1個若しくはそれ以上のメチル基で置換されたもの、例えばトリメチルシクロヘキシレンメチレンであり、例えば2価イソホロン基である。 アルキレンアリーレン又はアリーレンアルキレンであるR 4又はR 5のアリーレン単位は、好ましくは、非置換であるか、又は低級アルキル若しくは低級アルコキシで置換されたフェニレンであり、そのアルキレン単位は、好ましくは、低級アルキレン、例えばメチレン若しくはエチレン、特にメチレンである。 したがって、そのような基R 4又はR 5は、好ましくは、フェニレンメチレン又はメチレンフェニレンである。 アリーレンアルキレンアリーレンであるR 4又はR 5は、好ましくはアルキレン単位に4個までの炭素原子を有するフェニレン低級アルキレンフェニレン、例えばフェニレンエチレンフェニレンである。 基R 4又はR 5は、それぞれ独立に、好ましくは、2〜6個の炭素原子を有する低級アルキレン、非置換であるか、又は低級アルキルで置換されたフェニレン、非置換であるか、又は低級アルキルで置換されたシクロヘキシレン若しくはシクロヘキシレン低級アルキレン、フェニレン低級アルキレン、低級アルキレンフェニレン、あるいはフェニレン低級アルキレンフェニレンである。

    【0026】 式(I)の重合性光学的材料は、例えば、ポリビニルアルコールを化合物(II
    I):

    【0027】

    【化3】

    【0028】 〔式中、 R、R 1及びR 2は、上記に定義されたとおりであり、R′及びR″は、それぞれ独立に、水素、低級アルキル又は低級アルカノイル、例えばアセチル又はプロピオニルである〕と反応させることによって製造する。好ましくは、得られる重合性光学的材料のヒドロキシル基の約0.5〜約80%、より好ましくは約1〜
    約50%、最も望ましくは約2〜約15%を、化合物(III)で置き換える。

    【0029】 本発明の誘導体化されたポリビニルアルコールに適するポリビニルアルコールは、約2,000〜約1,000,000、好ましくは10,000〜300,
    000、より好ましくは10,000〜100,000、最も好ましくは10,
    000〜50,000の重量平均分子量を有する。 このポリビニルアルコールは、約50%未満、好ましくは約20%未満の加水分解されていない酢酸ビニル単位を有する。 加えて、このポリビニルアルコールは、共重合体単位、例えばエチレン、プロピレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、
    ヒドロキシエチルメタクリラート、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリラート、アリルアルコール及びスチレンのうち1種類又はそれ以上を約20%まで、好ましくは約5%まで含有してよい。

    【0030】 ポリビニルアルコール誘導体は、溶媒中で、例えばUVレーザを用いた、光架橋結合法によって重合させて、HOEを製造する。 適切な溶媒は、ポリビニルアルコール及びビニル性共単量体を溶解するいかなる溶媒でもある。 例示的な溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの混合物を包含する。 光架橋結合法を容易にするには、ラジカル架橋結合を開始させ得る光開始剤を加えるのが望ましい。 本発明に適する例示的な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Durocure(登録商標)1173、及びIrgacure(登録商標)という光開始剤を包含する。 好ましくは、重合性配合物の全重量に基づいて、約0.3〜約2.0%の光開始剤を用いる。 本発明によれば、HOEを製造するための、溶媒中のポリビニルアルコール誘導体の適切な濃度は、特にHOEを眼用レンズとして用いるよう設計するときは、好ましくは、約3〜約90重量%
    、より好ましくは約5〜60重量%、最も好ましくは約10〜約50重量%である。

    【0031】 本発明に適するもう一群の例示的な生物学的に適合し得る重合性光学的材料は、米国特許願第08/875,340号明細書(Muehlebachへの国際公開特許願第EP96/00246号公報)に開示されている。 引用により、この米国特許願中の重合性光学的材料の記載を本明細書に組み込む。 適切な光学的材料は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンのアザラクトン部分含有誘導体であって、ポリビニルアルコール中のヒドロキシル基の数、あるいはポリエチレンイミン又はポリビニルアミンのイミン若しくはアミン基の数に基づいて、約0.5〜約80%の、それぞれ、式(IV)及び(V):

    【0032】

    【化4】

    【0033】 〔式中、 R 1及びR 2は、互いに独立に、水素、(C 1 〜C 8 )アルキル基、アリール基、
    又はシクロヘキシル基(これらの基は非置換であるか、又は置換されている)であり;R 3は、水素、又は(C 1 〜C 8 )アルキル基、好ましくはメチルであり; R 4は、−O−又は−NH−架橋、好ましくは−O−である〕で示される単位を 有する。 本発明に適するポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンは、約2,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜
    300,000、より好ましくは10,000〜100,000、最も好ましくは10,000〜50,000の数平均分子量を有する。 特に適切な重合性光学的材料は、ポリビニルアルコールの水溶性誘導体であって、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基の数に基づいて、約0.5〜約80%、好ましくは約1〜約25%、より好ましくは約1.5〜約12%の、R 1及びR 2にメチル基を、R 3に水素を、R 4に−O−(すなわちエステル結合)を有する式(IV)を含有する 。

    【0034】 式(IV)及び(V)の重合性光学的材料は、例えば、式(VI):

    【0035】

    【化5】

    【0036】 〔式中、 R 1 、R 2及びR 3は、上記に定義されたとおりである〕で示されるアザラクト ンを、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン又はポリビニルアミンと、適切な有機溶媒中、約55〜75℃の上昇させた温度で、場合により、適切な触媒の存在下で、反応させることによって製造することができる。 適切な溶媒は、重合体の主鎖を溶解するそれらで、非プロトン性極性溶媒、例えばホルムアミド、
    ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ニトロメタン、アセトニトリル、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロメタン及びジオキサンを包含する。 適切な触媒は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、及び有機スズ塩、例えばジラウリン酸ジブチルスズを包含する。

    【0037】 アザラクトン部分に加え、このアザラクトン部分含有光学的材料は、重合させるHOEの望みの物理的特性に応じて、その他の疎水性及び親水性のビニル性共単量体を有することができる。 例示的な適切な疎水性共単量体は、アクリル酸及びメタクリル酸(C 1 〜C 18 )アルキル、(C 3 〜C 18 )アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(C 1 〜C 18 )アルカン酸ビニル、(C 2 〜C 18 )アルケン、スチレン、ビニルアルキルエー テル、(C 2 〜C 10 )ペルフルオロアクリラート及びメタクリラート、(C 3 〜C 12 )ペルフルオロアルキルエチルチオカルボニルアミノエチルアクリラート及びメタクリラート、アクリルオキシ−及びメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの(C 1 〜 C 12 )アルキルエステルを包含する。 例示的な適切な親水性共単量体は、ヒドロキシアルキルアクリラート及びメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、メトキシ化アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシアルキルアミド及びメタクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルスクシンイミド、N−
    ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸などを包含する。

    【0038】 アザラクトン部分含有光学的材料は、溶媒中で、例えばUVレーザを用いた、
    光架橋結合法によって重合させて、HOEを製造する。 適切な溶媒は、光学的材料の重合体主鎖を溶解するいかなる溶媒でもある。 例示的な溶媒は、アザラクトン修飾と関連して上記に開示された非プロトン性溶媒、水、エタノール、メタノール、プロパノール、グリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの混合物を包含する。 光架橋結合重合法を容易にするには、ラジカル架橋結合を開始させ得る、光開始剤を加えるのが望ましい。 本発明に適する例示的な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Durocure 1173、及びIrgacureという光開始剤 を包含する。 好ましくは、重合性配合物の総重量に対して約0.3〜約2.0%
    の光開始剤を用いる。 本発明によれば、HOEを製造するための、溶媒中のアザラクトン部分含有光学的材料の適切な濃度は、特にHOEを眼用レンズとして用いるよう設計するときは、好ましくは、約3〜約90重量%、より好ましくは約5〜約60重量%、最も好ましくは約10〜約50重量%である。

    【0039】 本発明に適する更にもう一群の生物学的に適合し得る重合性光学的材料は、ビニルラクタムと、少なくとも1種類の追加的ビニル共重合体、すなわち第二のビニル単量体との機能化された共重合体である。 この共重合体は、反応性ビニル単量体を用いて機能化される。 本発明のビニルラクタムは、式(VII):

    【0040】

    【化6】

    【0041】 〔式中、 R aは、2〜8個の炭素原子を有するアルキレン架橋であり; R bは、水素、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリール、好ましく は水素、7個までの炭素原子を有する低級アルキル、10個までの炭素原子を有するアリール、又は14個までの炭素原子を有するアラルキル若しくはアルカリールであり; R cは、水素、又は7個までの炭素原子を有する低級アルキル、好ましくはメ チル、エチル若しくはプロピルである〕 で示される5〜7員ラクタムである。

    【0042】 本発明に適する例示的なビニルラクタムは、N−ビニル−2−ピロリドン、N
    −ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N
    −ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−
    メチル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,4,5−トリメチル−
    3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−
    ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−
    メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、
    N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタム、及びそれらの混合物を包含する。 好適なビニルラクタムは、複素環中に4〜6個の炭素原子を有する、式(VII)の複素環式単量体である。 より好 適なビニルラクタムは、複素環の環が4個の炭素原子を有し、R b及びR cが、独立に、水素及び低級アルキル部分から選ばれる、式(VII)の複素環式単量体を 有する。 非常に適切なビニルラクタムは、N−ビニル−2−ピロリドンである。

    【0043】 適切な第二のビニル単量体は、ビニル基に加えて、官能基、例えばヒドロキシル、アミノ、低級アルキル置換アミノ、カルボキシル、エステル化されたカルボキシル、アルコキシカルボニル、エポキシ又はスルホ(−SO 3 H)を有する、 官能性ビニル単量体を包含する。 官能基は、第二のビニル単量体のビニル基を、
    ビニルラクタムと反応させて、重合体鎖を生成するときに、保持され、重合体を修飾又は機能化するのに用いることができる。

    【0044】 適切な官能性ビニル単量体は、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、エトキシ化アクリラート及びメタクリラート、エポキシ低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、エポキシシクロアルキル低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、アミノ又はヒドロキシル置換スチレン、エチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
    アクリル酸、メタクリル酸、アミノ低級アルキル及びアルキルアミノ低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、アクリルオキシ及びメタクリルオキシ低級アルキルマレイミド、並びにアリルアルコールを包含する。 本明細書に用いられる限りで、用語「低級アルキル」とは、7個までの炭素原子、好ましくは4個までの炭素原子を有するアルキル基を意味する。 特に適切な官能性ビニル単量体は、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、3−ヒドロキシプロピルメタクリラート、アクリル酸、メタクリル酸、4−アミノスチレン、3−メタクリルオキシメチル−7−オキサビシクロ〔4.1.0〕ヘプタン、N−メタクリルオキシエチルマレイミド、メタクリル酸グリシジル、塩酸メタクリル酸エチルアンモニウム、及び塩酸メタクリル酸プロピルアンモニウムを包含する。

    【0045】 ビニルラクタムと第二のビニル単量体との共重合体は、既知の方法で、溶媒を用いてか、又は用いずに製造される。 共重合体は、ランダム重合体であることもできる。 ランダム重合体を製造する方法は、例えば米国特許第5,712,35
    6号明細書に開示されている。 適切な溶媒は、単量体と、該単量体から生成される重合体とを溶解し、かつそれらに対して実質的に不活性である。 例示的な適切な溶媒は、水;アルコール、例えばメタノール、エタノール及びプロパノール;
    カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド;エーテル、例えばジエチルエーテル、THF及びジグリム;並びにそれらの混合物を包含する。 適切な共重合体は、約2,000〜約1,000,000、好ましくは10,000〜300,000、より好ましくは10,000〜100,0
    00、最も好ましくは10,000〜50,000の重量平均分子量を有する。

    【0046】 この共重合体は、反応性ビニル単量体で更に修飾して、急速に架橋結合し得る重合体が生成される。 適切な反応性ビニル単量体は、ビニル基に加えて、反応性部分を有し、これが共重合体に存在する官能基と反応して、単量体のビニル基を保持しつつ、共有結合を形成する。 例示的な適切な反応性ビニル単量体は、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノ低級アルキル及びモノ低級アルキルアミノ低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、アリルアルコール、エポキシ低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、イソシアナト低級アルキルアクリラート及びメタクリラート、3〜
    7個の炭素原子を有するビニル的不飽和カルボン酸、及びそれらの酸塩化物や無水物、アミノ−、ヒドロキシル−又はイソシアナト−置換スチレン、並びにエポキシシクロアルキル低級アルキルアクリラート及びメタクリラートを包含する。
    好適な反応性ビニル単量体は、ヒドロキシエチルアクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート及びメタクリラート、イソシアナトエチルアクリラート及びメタクリラート、アクリル酸及びメタクリル酸塩化物、塩酸メタクリル酸エチルアンモニウム、及び塩酸メタクリル酸プロピルアンモニウムを包含する。

    【0047】 機能化された共重合体は、代表的には、溶媒中で、例えばUVレーザを用いる、光架橋結合法によって架橋結合又は重合させて、HOEを生成するが、この共重合体は、溶媒の不在下で架橋結合又は重合させることもできる。 適切な溶媒は、重合体の重合体主鎖を溶解するいかなる溶媒でもある。 例示的な溶媒は、水;
    アルコール、例えばメタノール及びエタノール;カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド;並びにそれらの混合物を包含する。 光架橋結合法は、ラジカル架橋結合を開始させ得る光開始剤によって促進される。 本発明に適する例示的な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Durocure 1173、及びIrgacure 2959を包含する。 好ましくは、重合性配合物の全重量に基づいて、約0.3〜約2.0%
    の光開始剤を用いる。 本発明によれば、HOEを製造するための、溶媒中の機能化ビニルラクタム共重合体の適切な濃度は、特にHOEを眼用レンズとして用いるよう設計するときは、好ましくは、約3〜約90重量%、より好ましくは約5
    〜60重量%、最も好ましくは約10〜約50重量%である。

    【0048】 本発明に適するもう一群のHOEは、慣用的及びその他の体積透過ホログラフィック光学素子記録媒体から製造することができる。 HOEのための上記の重合性材料によるのと同様に、第一の光及び平行参照光を、対象物の電磁波と参照光とが干渉縞パターンを形成するように、HOE記録媒体に同時に投射する。 干渉縞パターン、すなわち体積回折格子構造が、HOE媒体に記録される。 HOE記録媒体が充分に露光されると、記録されたHOE媒体を、既知のHOE現像法に従って現像する。 適切な体積透過ホログラフィック光学素子記録媒体は、商業的に入手できるホログラフィック写真記録材料又はプレート、例えば二色性ゼラチンを包含する。 ホログラフィック写真記録材料は、Polaroid Corp.を包含する様々な製造者から入手することができる。 本発明に適するその他のホログラフィック媒体は、例えば、Polaroidへの国際公開特許願第US96/15600号公報、及び日本塗料への米国特許第5,453,340号明細書に開示されている。
    しかし、写真記録材料をHOEとして用いるときは、目の環境に対する材料の有毒な効果を考慮しなければならない。 したがって、慣用の写真HOE材料を用いるときは、HOEを生物学的に適合し得る光学的材料に封入するのが好ましい。

    【0049】 眼用レンズの第一の光学的材料については、ハードレンズ、通気性レンズ、又はヒドロゲルレンズに適する光学的材料を用いることができる。 第一の光学的材料に適する重合体性材料は、ヒドロゲル材料、剛体通気性材料、及び眼用レンズ、例えばコンタクトレンズを製造するのに役立つことが既知である、剛体材料を包含する。 適切なヒドロゲル材料は、代表的には、架橋結合した親水性網目構造を有し、ヒドロゲル材料の全重量に基づいて、約35〜約75%の水を保持する。 適切なヒドロゲル材料の例は、2−ヒドロキシエチルメタクリラートと、1種類又はそれ以上の共単量体、例えば2−ヒドロキシアクリラート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、ビニルピロリドン、N−ビニルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリラート、メタクリル酸イソブチル、スチレン、エトキシエチルメタクリラート、メトキシトリエチレングリコールメタクリラート、メタクリル酸グリシジル、ジアセトンアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリルアミド、ヒドロキシトリメチレンアクリラート、メトキシメチルメタクリラート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸グリセリル及びジメチルアミノエチルアクリラートとを有する共重合体を包含する。 その他の適切なヒドロゲル材料は、
    メチルビニルカルバゾール又はジメチルアミノエチルメタクリラートを有する共重合体を包含する。 もう一群の適切なヒドロゲル材料は、Beat Muellerに交付された米国特許第5,508,317号明細書、及び国際公開特許願第EP96/
    01265号公報に開示された、例えば、修飾ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンのような重合性材料を包含する。 更にもう一群の非常に適切なヒドロゲル材料は、国際公開特許願第EP96/01265号公報に開示されたシリコーン共重合体を包含する。 本発明に適する剛体通気性材料は、架橋結合シロキサン重合体を包含する。 そのような重合体の網目構造は、N
    ,N′−ジメチルビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリラート、トリヒドロキシプロパントリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラートその他の類似の多官能性アクリラート若しくはメタクリラート、又はビニル化合物、例えばN−メチルアミノジビニルカルバゾールのような、適切な架橋剤を取り込む。 適切な剛体材料は、アクリラート、例えばメタクリラート、ジアクリラート及びジメタクリラート、ピロリドン、スチレン、アミド、アクリルアミド、カルボナート、ビニル、アクリロニトリル、ニトリル、スルホンなどを包含する。 適切な材料のうち、ヒドロゲル材料は、本発明に特に適する。

    【0050】 本発明によれば、本発明のHOEは、好ましくは、光の可視スペクトル内のすべてのか、又は実質的にすべての波長にわたって、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも95%の回折効率を有する。 本発明に特に適するHOEは、ブラッグ条件が満たされたとき、可視光のスペクトルの全波長にわたって、100%の回折効率を有する。 したがって、体積HOEは、本発明に特に適している。 しかし、上に指定したものより低い回折効率を有するHOEも、本発明に利用することができる。 ブラッグ条件は、光学技術に周知であり、例えば、H. KogelnikによるCoupled Wave Theory for Thick
    Hologram Gratings、The Bell System Technical Journal, Vol. 48, No. 9, p
    . 2909-2947 (Nov. 1969)に定義されている。 その中に開示されているブラッグ 条件の説明を、引用により組み込む。 ブラッグ条件は、 cos(φ−θ)=K/2B として表すことができ、ここで、K=2π/Λ、Λ=干渉縞の回折格子周期、θ
    は入射光の入射角、φは回折格子の傾斜角、Bは平均伝搬定数であって、B=2
    πn/λとして表すことができる。 nは平均屈折率であり、λは光の波長である。 ブラッグ条件が満たされたときは、入射光の100%までが可干渉的に回折され得る。

    【0051】 本発明に適するHOEは、好ましくは、少なくとも2層のHOEを有する、多層組合せHOEであるが、それは、薄いHOEの積層は、HOEの回折効率及び光学的品質を向上させ、HOEの厚さを削減するのを可能にするからである。 眼科技術に既知のとおり、眼用レンズは、レンズ装着者の快適さを促進するために、薄い寸法の厚さを保有しなければならない。 したがって、本発明のためには、
    寸法的に薄いHOEが好ましい。 しかし、高い回折効率を有するHOEを提供するには、HOEは、光学的に厚い、すなわち光が干渉縞パターンの一つより多くの平面によって回折されなければならない。 光学的に厚く、寸法的には薄いHO
    Eを提供する一つの方法は、HOEの長手方向に傾けた方向に干渉縞パターンをプログラムすることである。 そのような傾斜した体積回折格子構造は、入射光の入射角と射出光の射出角との間の大きい角度偏差をHOEに持たせる。 しかし、
    大きい角度偏差を有するHOEは、眼用レンズには特に適さないことがある。 例えば、そのようなHOEを目に接して配置したとき、視線は、目の正常な視線から外れて有意に曲げられる。 本発明の好適実施態様としては、HOEを設計する際のこの角度上の制約は、多層組合せHOE、特に二層HOEを利用することによって対処される。 図7は、本発明の例示的な組合せHOE70を示す。 大きい角度偏差を有する薄い寸法の二つのHOEを組合せHOEとして作成して、小さい角度偏差を有する薄い寸法の一つのHOEを提供する。 多層HOE70は、薄い寸法の第一のHOE72及び薄い第二のHOE74を有する。 第一のHOE7
    2は、光が角度αでHOEに進入したとき、HOE72から出る光が、鋭角の射出角βを形成するように、入射光を回折するようプログラムされていて、βは、
    図7Aに示したとおり、入射角αより大きい。 好ましくは、第一のHOEは、約10〜約100μm、より好ましくは約20〜約90μm、最も好ましくは約30
    〜約50μmの厚さを有する。 第二HOE74(図7B)は、第一のHOE72 の射出角βに見合う活性化入射角βを有するようプログラムされている。 加えて、第二のHOE74は、光が活性化角β以内で進入したとき、入射光を焦点76
    に集束するようプログラムされている。 図7Bは、第二のHOE74を示す。 好ましくは、第二のHOEは、約10〜約100μm、より好ましくは約20〜約 90μm、最も好ましくは約30〜約50μmの厚さを有する。

    【0052】 第一のHOE72を、第二のHOE74の次に配置し、入射光が、角αに相当する角度で第一のHOE72に進入したとき、組合せHOE70から出る光路は、変更され、光は、焦点76に集束される。 多層組合せHOEを利用することによって、高い回折効率、及び小さい角度偏差を有する、薄い寸法のHOEを製造することができる。 高い回折効率、及び小さい角度偏差という利点に加えて、多層HOEを用いることは、分散収差及び色収差の補正を包含する、その他の追加的な利点を提供する。 単一のHOEは、分散及び色収差を有する像を生成し得るが、それは、視覚光は、異なる波長を有する電磁波のスペクトルからなり、波長の差は、電磁波をHOEによって異なって回折させ得るからである。 多層、特に二層のHOEは、これに対抗して、単層HOEによって生じ得るこれらの収差を補正できることが見出された。 したがって、多層の組合せHOEが好ましい。

    【0053】 本発明の眼用レンズ製造法は、高度に柔軟な方法であって、広範囲の矯正屈折率を有する眼用レンズを製造するのに用いることができ、かつレンズ装着者の快適さを促進するよう設計された眼用レンズを製造する。 慣用の眼用レンズとは異なり、本発明の眼用レンズの単数又は複数の矯正屈折率は、適切な屈折率をレンズ内にプログラムすることによって、レンズの寸法を変える必要性なしに、単数又は複数の矯正屈折率を提供する。 上記に考察したとおり、異なる矯正屈折率は、例えば、対象光と参照光との距離、パターン及び/又は配置を変えることによって、眼用レンズ内にプログラムすることができる。 したがって、レンズ製造法は、高度に簡素化される。 追加的利点は、眼用レンズ製造者が、異なる矯正屈折率を有する広範囲の異なるレンズを製造するために、異なるレンズ製造機器及び方法を有することを必要としないことを包含する。 本発明は、眼用レンズに関連して説明されているが、体積HOEを有する矯正用眼鏡レンズが、本発明に従って製造できることに留意しなければならない。 例えば、矯正屈折率を提供するようプログラムされた、薄い寸法のHOEの薄膜を、平面眼鏡レンズに積層することができる。 そのような眼鏡レンズ、すなわちメガネのレンズは、この矯正用H
    OEレンズが、上記に考察したとおり、矯正屈折率を提供するのにレンズの厚さに頼らないことから、装着者の快適さを、レンズの矯正効力を犠牲にすることなく促進するよう設計することができる。

    【0054】 本発明を、下記の実施例を用いて更に説明する。 しかし、実施例は、本発明をそれらに限定するとして解釈してはならない。

    【0055】

    【実施例】

    実施例1 Nelfilcon Aというレンズ単量体組成物約0.06mlを、雌の型半分の中心部 に与え、これに合う雄の型半分を雌型半分にかぶせて、レンズ成形用型組立て品を形成する。 雄型半分は、雌型半分に接触せず、約0.1mmだけそれらを隔離する。 レンズ型半分は、石英製であり、中心の直径約15mmの環状レンズ部分以外は、クロムで遮蔽する。 略述すると、Nelfilcon Aは、修飾された架橋結合性ポ リビニルアルコールであって、約0.48ミリモル/gのアクリルアミド架橋剤を含有する。 このポリビニルアルコールは、約7.5モル%のアセタート含量を有する。 Nelfilcon Aは、約31%の固体含量を有し、約0.1%の光開始剤Dur
    ocure 1173を含有する。 閉じたレンズ成形用型組立て品を、レーザ機構下に置く。 レーザ機構は、波長が351nmの二つの可干渉性平行化UVレーザビームを提供するが、ここで、一方のビームは、レンズ成形用型組立て品から500mm離れて焦点が形成されるよう、光学的凸面レンズを通過させる。 集束させた光は、点光源第一の光として働く。 第一の光の経路と参照光のそれとの間に形成される角度は、約7°である。 この機構は、2ジオプトリーの追加された矯正屈折率を有するHOEを提供する。 レンズ単量体組成物を、約0.2ワットを有するレーザビームに約2分間露光させて、組成物を完全に重合させ、体積回折格子構造を形成させる。 レンズ成形用型は、中心部分以外は、遮蔽されているため、成形用型の環状の中心部分で露光したレンズ単量体は、第一の光及び参照光の下に置かれ、重合させる。

    【0056】 成形用型組立て品を開くと、レンズは、雄型半分に付着して残る。 Nelfilcon
    Aのレンズ単量体組成物約0.06mlを、雌型半分の中心部分に再び与え、形成 されたレンズを有する雄型半分を雌型半分にかぶせる。 雄及び雌の型半分は、約0.2mmだけ隔離する。 閉じた成形用型組立て品を、再びレーザ機構に露光させるが、光学的凸面レンズは、第一の光機構から取り出す。 単量体組成物を、再び、レーザビームに約2分間露光させて、組成物を完全に重合させる。 得られた複合レンズは、レンズの形状、及びレンズ材料の屈折率に基づく屈折率、並びに+
    2ジオプトリーの活性化できる追加的矯正屈折率を有する。

    【0057】 実施例2 実施例1を繰り返すが、第一の光のための凸面光学的レンズを、円柱レンズに置き換える。 この円柱レンズは、垂直方向に配向された線光源光を提供する。 得られた複合レンズは、レンズの形状、及びレンズ材料の屈折率に基づく屈折率、
    並びに円柱軸が90°の+2ジオプトリーの追加的円柱屈折率を有する。 この複合レンズは、乱視状態を矯正するのに適する。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 本発明の矯正用眼用レンズを示す図である。

    【図2】 本発明の体積ホログラフィック光学的素子を製造する方法を示す図である。

    【図3】 円環体HOE眼用レンズを製造する方法を示す図である。

    【図4】 本発明の眼用レンズを示す図である。

    【図5】 本発明の眼用レンズを示す図である。

    【図6】 本発明の眼用レンズを示す図である。

    【図7】 ホログラフィック組合せ光学素子を示す図である。

    【図7A】 ホログラフィック組合せ光学素子を示す図である。

    【図7B】 ホログラフィック組合せ光学素子を示す図である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

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