眼鏡レンズおよび眼鏡

申请号 JP2016554140 申请日 2015-10-16 公开(公告)号 JP6415587B2 公开(公告)日 2018-10-31
申请人 ホヤ レンズ タイランド リミテッド; HOYA Lens Thailand Ltd; 发明人 岩崎 栄作; 小郷 洋一; 西本 圭司; 高柴 健治; 小川 直美;
摘要
权利要求

レンズ基材と、該レンズ基材の眼球側表面上および物体側表面にそれぞれ設けられた多層膜と、を含む眼鏡レンズであって、 眼鏡レンズの眼球側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Reyeおよび眼鏡レンズの物体側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Robjectは、それぞれ2.00%以上9.00%以下であり、かつReyeは、(Robject+0.90)%以上(Robject+7.00)%以下である眼鏡レンズ。前記多層膜は、無機材料を主成分とする被膜が複数積層された多層膜である請求項1に記載の眼鏡レンズ。前記多層膜は、ケイ素酸化物を主成分とする被膜とジルコニウム酸化物を主成分とする被膜とが隣接する積層構造を少なくとも1つ含む請求項2に記載の眼鏡レンズ。前記多層膜は、導電性酸化物を主成分とする被膜を少なくとも一層含む請求項2または3に記載の眼鏡レンズ。前記被膜は、蒸着膜である請求項2〜4のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。前記レンズ基材の眼球側表面上の多層膜および物体側表面上の多層膜の少なくとも一方を、少なくともハードコート層を介して前記レンズ基材上に有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼鏡レンズと、該眼鏡レンズを取り付けたフレームと、を有する眼鏡。

说明书全文

関連出願の相互参照

本出願は、2014年10月17日出願の日本特願2014−212988号の優先権を主張し、その全記載は、ここに特に開示として援用される。

本発明は、眼鏡レンズ、およびこの眼鏡レンズを備えた眼鏡に関する。

近年のデジタル機器のモニター画面はブラウン管から液晶に替わり、最近はLED液晶も普及しているが、液晶モニター、特にLED液晶モニターは、いわゆる青色光と呼ばれる波長430〜450nm程度の短波長光を強く発光する。そのため、デジタル機器を長時間使用する際に生じる眼精疲労や眼の痛みを効果的に低減するためには、青色光に対して対策を講じるべきである。なお以下において、青色光とは、波長430〜450nmの光をいうものとする。

上記の点に関し、特開2012−093689号公報または英語ファミリーメンバーUS2013/222913A1、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される、には、青色光の波長域を含む波長400〜450nmの光を反射する性質を有する多層膜を有する光学物品が提案されている。

青色光に対する対策に関して、眼鏡レンズ表面に入射する青色光を反射する性質(以下、「青色光反射特性」ともいう。)を付与すれば、眼鏡レンズを介して装用者の眼に入射する青色光の量を低減し、青色光による眼への負担を軽減することはできる。 しかし一方で、眼鏡レンズには、眼鏡装用者が良好な装用感をもって使用可能であることも求められる。本発明者らの検討によれば、青色光反射特性が付与された眼鏡レンズは、装用感が必ずしも良好ではなく、更なる改善が望まれることが明らかとなった。

本発明の一態様は、青色光による眼への負担を軽減可能であるとともに、装用感が良好な眼鏡レンズを提供することを目的とする。

本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねる中で、以下の新たな知見を得た。 上記特開2012−093689号公報には、眼鏡レンズの両面に青色光反射特性を付与するための多層膜を設けることが開示されている。このように多層膜を設け眼鏡レンズ両面に青色光反射特性を持たせることは、青色光が眼に与える負担を低減するうえで有効と考えられる。 しかし、眼鏡装用者の眼に入射する光は物体側表面から入射する光に限られず、斜め後方からレンズの眼球側表面に入射した光も、眼球側表面からの反射光として装用者の眼に入射する。そしてこの眼球側表面からの反射光には、眼球側表面を反射面とする光のほかに、眼球側から入射し物体側表面で反射され戻り光としてレンズから出射する光も含まれる。ここで物体側表面に眼球側表面よりも高い青色光反射特性を付与した眼鏡レンズでは、上記のように異なる面で反射された青色光が眼に入射することによりぎらつきが発生することが装用感低下の一因になると、本発明者らは考えるに至った。 そして本発明者らは、上記知見に基づき更に検討を重ねた結果、以下の眼鏡レンズ: レンズ基材と、このレンズ基材の眼球側表面上および物体側表面にそれぞれ設けられた多層膜と、を含む眼鏡レンズであって、 眼鏡レンズの眼球側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Reyeおよび眼鏡レンズの物体側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Robjectは、それぞれ0%超であり、かつReyeはRobjectより大きい眼鏡レンズ、 を新たに見出し、本発明の一態様を完成させた。上記のように、眼球側表面に物体側表面よりも高い青色光反射特性を付与することにより、ぎらつきの発生を抑制することが可能になる。

本発明の更なる態様は、上記眼鏡レンズと、この眼鏡レンズを取り付けたフレームと、を有する眼鏡に関する。

本発明によれば、青色光による眼への負担を軽減することができ、しかも装用感が良好な眼鏡レンズ、およびこの眼鏡レンズを備えた眼鏡を提供することができる。

本発明の眼鏡レンズは、レンズ基材と、このレンズ基材の眼球側表面上および物体側表面にそれぞれ設けられた多層膜と、を含む眼鏡レンズであって、眼鏡レンズの眼球側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Reyeおよび眼鏡レンズの物体側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Robjectは、それぞれ0%超であり、かつReyeはRobjectより大きい眼鏡レンズである。 以下に、上記眼鏡レンズについて、更に詳細に説明する。

上記眼鏡レンズは、眼球側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Reyeおよび物体側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Robjectが、それぞれ0%超である。即ち、眼鏡レンズの眼球側表面および物体側表面においてそれぞれ430〜450nmの波長域の入射光を反射する性質(青色光反射特性)を有する。Reye、Robjectは、それぞれ、好ましくは1.00%以上であり、より好ましくは2.00%以上であり、更に好ましくは3.00%以上である。上記直入射平均反射率が高いほど、青色光による眼への負担を低減することができる。一方、上記直入射平均反射率が高いほど眼鏡レンズの青みが強くなる傾向があるため、青み付きの少ない眼鏡レンズを得る観点からは、Reye、Robjectは、それぞれ好ましくは21.00%以下であり、より装用感が良好な眼鏡レンズを提供する観点からは、ReyeおよびRobjectの少なくとも一方、好ましくは両方が、15.00%未満であることがより好ましく、11.00%以下であることが更に好ましく、10.00%以下であることが一層好ましく、9.00%以下であることがより一層好ましく、8.00%以下であることが更に一層好ましい。なお直入射平均反射率とは、測定対象表面の光学中心において、430〜450nmの波長域において任意の波長毎に(任意のピッチで)測定された直入射反射率の算術平均値をいう。測定にあたり、測定波長間隔(ピッチ)は、例えば1nm〜10nmの範囲で、任意に設定可能である。

上記眼鏡レンズは、眼球側表面における430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Reyeが、物体側表面における430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Robjectより大きい。このように、より高い青色光反射特性を眼球側表面に付与することにより、前述のぎらつきの発生を抑制し、または発生の程度を低減することが可能となる。こうして青色光による眼への負担の軽減と、良好な装用感を両立することが可能となる。より良好な装用感を得る観点からは、Reyeは、(Robject+0.90)%以上であること、即ち、ReyeとRobjectとの差分(Reye−Robject)が、0.90%以上であることが好ましく、1.00%以上であることがより好ましく、2.00%以上であることが更に好ましく、3.00%以上であることが一層好ましい。また、上記差分は、例えば7.00%以下または6.00%以下であってもよいが、7.00%超であっても6.00%超であってもよい。例えば、上記差分は、18.00%以下、12.00%以下、等であってもよい。また、Robjectに対するReyeの比(Reye/Robject)は、1.00超6.50以下であることが好ましく、1.00超5.00以下であることがより好ましく、1.20以上5.00以下であることが更に好ましい。

上記眼鏡レンズにおいて、レンズ基材の眼球側表面上および物体側表面上にそれぞれ設けられた多層膜は、眼鏡レンズに上記の青色光反射特性を付与することができる。なお、本発明において、眼球側表面とは、本発明の眼鏡レンズを備えた眼鏡が装用者に装用された際に眼球側に配置される面をいい、物体側表面とは、物体側に配置される面をいう。上記多層膜は、レンズ基材の表面上に、直接または一層以上の他の層を介して間接的に設けられる。レンズ基材は、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂をはじめとするスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を挙げることができる。また、無機ガラスも使用可能である。なおレンズ基材としては、染色されていないもの(以下、無色レンズと呼ぶ)を用いてもよく、染色されているもの(染色レンズ)を用いてもよい。レンズ基材の屈折率は、例えば、1.60〜1.75程度である。ただしレンズ基材の屈折率は、これに限定されるものではなく、上記の範囲内でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。なお屈折率とは、e線(波長546.07nm)に対する屈折率neをいうものとする。

上記眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折レンズ等の各種レンズであることができる。レンズの種類は、レンズ基材の両面の面形状により決定される。また、レンズ基材表面は、凸面、凹面、平面のいずれであってもよい。通常のレンズ基材および眼鏡レンズでは、物体側表面は凸面、眼球側表面は凹面である。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。

青色光反射特性を付与するための多層膜は、レンズ基材表面に直接設けてもよく、一層以上の他の層を介して間接的に設けてもよい。レンズ基材と上記多層膜との間に形成され得る層としては、例えば、ハードコート層を挙げることができる。ハードコート層を設けることにより、眼鏡レンズに防傷性(耐擦傷性)を付与することができ、また眼鏡レンズの耐久性(強度)を高めることもできる。ハードコート層の詳細については、例えば特開2012−128135号公報段落0025〜0028、0030を参照できる。また、レンズ基材と上記被膜との間には、密着性向上のためのプライマー層を形成してもよい。プライマー層の詳細については、例えば特開2012−128135号公報段落0029〜0030を参照できる。

レンズ基材の眼球側表面上、物体側表面上にそれぞれ設ける多層膜は、これら多層膜を有する眼鏡レンズ表面に430〜450nmの波長域の入射光を反射する性質(青色光反射特性)を付与できるものであれば特に限定されるものではない。そのような多層膜は、好ましくは、高屈折率層と低屈折率層を順次積層することにより形成することができる。より詳しくは、高屈折率層および低屈折率層を形成するための膜材料の屈折率と、反射すべき光である青色光の波長に基づき、公知の手法による光学的シミュレーションにより各層の膜厚を決定し、決定した膜厚となるように定めた成膜条件下で高屈折率層と低屈折率層を順次積層することにより、上記多層膜を形成することができる。成膜材料としては、無機材料であっても有機材料であっても有機無機複合材料であってもよく、成膜や入手容易性の観点からは、無機材料が好ましい。また、眼球側表面において測定されるReye、物体側表面において測定されるRobjectは、成膜材料の種類、膜厚、積層順等を調整することにより、それぞれ所望の値に制御することができる。

高屈折率層を形成するための高屈折材料としては、ZrO2、Ta2O5、TiO2、Al2O3、Y2O3、HfO2、およびNb2O5からなる群から選ばれる酸化物を挙げることができる。一方、低屈折率層を形成するための低屈折率材料としてはSiO2、MgF2を挙げることができる。なおここでは、便宜上、酸化物およびフッ化物を化学量論組成で表示したが、化学量論組成から酸素またはフッ素が欠損もしくは過多の状態にあるものも、高屈折率材料または低屈折率材料として使用可能である。

多層膜に含まれる各層の膜厚は、上述の通り、光学的シミュレーションにより決定することができる。多層膜の層構成としては、例えば、レンズ基材側からレンズ最表面側に向かって、 第一層(低屈折率層)/第二層(高屈折率層)/第三層(低屈折率層)/第四層(高屈折率層)/第五層(低屈折率層)/第六層(高屈折率層)/第七層(低屈折率層)の順に積層された構成; 第一層(高屈折率層)/第二層(低屈折率層)/第三層(高屈折率層)/第四層(低屈折率層)/第五層(高屈折率層)/第六層(低屈折率層)の順に積層された構成、 等を挙げることができる。好ましい低屈折率層と高屈折率層の組み合わせの一例としては、ケイ素酸化物を主成分とする被膜とジルコニウム酸化物を主成分とする被膜との組み合わせを挙げることができ、これら二層の被膜が隣接する積層構造を少なくとも1つ含む多層膜を、多層膜の好ましい一例として例示することができる。

好ましくは、上記の各層は、前述の高屈折率材料または低屈折率材料を主成分とする被膜である。ここで主成分とは、被膜において最も多くを占める成分であって、通常は全体の50質量%程度〜100質量%、更には90質量%程度〜100質量%を占める成分である。上記材料を主成分とする成膜材料(例えば蒸着源)を用いて成膜を行うことにより、そのような被膜を形成することができる。なお成膜材料に関する主成分も、上記と同様である。被膜および成膜材料には、不可避的に混入する微量の不純物が含まれる場合があり、また、主成分の果たす機能を損なわない範囲で他の成分、例えば他の無機物質や成膜を補助する役割を果たす公知の添加成分が含まれていてもよい。成膜は、公知の成膜方法により行うことができ、成膜の容易性の観点からは、蒸着により行うことが好ましい。本発明における蒸着には、乾式法、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等が含まれる。真空蒸着法では、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。

上記の多層膜は、以上説明した高屈折率層および低屈折率層に加えて、導電性酸化物を主成分とする被膜、好ましくは導電性酸化物を主成分とする蒸着源を用いる蒸着により形成される一層以上の導電性酸化物層を、多層膜の任意の位置に含むこともできる。導電性酸化物としては、眼鏡レンズの透明性の観点から、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、チタニアおよびこれらの複合酸化物等の、一般に透明導電性酸化物として知られる各種導電性酸化物を用いることが好ましい。透明性および導電性の観点から特に好ましい導電性酸化物としては、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITO)を挙げることができる。導電性酸化物層を含むことにより、眼鏡レンズが帯電し塵や埃が付着することを防ぐことができる。

更に、多層膜上に、更なる機能性膜を形成することも可能である。そのような機能性膜としては、撥性または親水性の防汚膜、防曇膜、偏光膜、調光膜等の各種機能性膜を挙げることができる。これら機能性膜については、いずれも公知技術を何ら制限なく適用することができる。

以上説明した本発明の眼鏡レンズは、眼に負担を掛ける青色光が眼に入射することを効果的に抑制することができるとともに、良好な装用感を得ることができるものである。更に本発明によれば、そのような眼鏡レンズと、この眼鏡レンズを取り付けたフレームとを有する眼鏡を提供することもできる。眼鏡の構成については、特に制限はなく、公知技術を適用することができる。

以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。

[実施例1〜8] 両面が光学的に仕上げられ予めハードコートが施された、物体側表面が凸面、眼球側表面が凹面であるプラスチックレンズ基材(無色レンズ)の凸面側(物体側)のハードコート表面に、アシストガスとして酸素ガスおよび窒素ガスを用いて、イオンアシスト蒸着に合計8層の多層蒸着膜を順次形成した。 凹面側(眼球側)のハードコート表面にも同様の条件でイオンアシスト蒸着により合計8層の多層蒸着膜を積層して眼鏡レンズを得た。 実施例1〜8では、凸面側、凹面側とも、多層蒸着膜は、レンズ基材側(ハードコート側)から眼鏡レンズ表面に向かって、表1に示す蒸着源を用いて第1層、第2層…の順に積層し、眼鏡レンズ表面側最外層が第8層となるように形成した。これら実施例では、不可避的に混入する可能性のある不純物を除けば表1に示す酸化物からなる蒸着源を使用し、多層蒸着膜を構成する層の一層以上の膜厚を変えることにより、直入射平均反射率ReyeおよびRobjectを制御した。

[実施例9〜21、比較例1] 両面が光学的に仕上げられ予めハードコートが施された、物体側表面が凸面、眼球側表面が凹面であるプラスチックレンズ基材(無色レンズ)の凸面側(物体側)のハードコート表面に、アシストガスとして酸素ガスおよび窒素ガスを用いて、イオンアシスト蒸着に合計8層の多層蒸着膜を順次形成した。 凹面側(眼球側)のハードコート表面にも同様の条件でイオンアシスト蒸着により合計8層の多層蒸着膜を積層して眼鏡レンズを得た。 実施例9〜21、比較例1では、凸面側、凹面側とも、多層蒸着膜は、レンズ基材側(ハードコート側)から眼鏡レンズ表面に向かって、表2に示す蒸着源を用いて、表2に示す膜厚(物理膜厚)で、第1層、第2層…の順に積層し、眼鏡レンズ表面側最外層が第8層となるように形成した。各実施例、比較例では、不可避的に混入する可能性のある不純物を除けば表2に示す酸化物からなる蒸着源を使用した。

表2に示すレンズ基材は、表2に示す度数を有し、屈折率1.60のものはHOYA株式会社製商品名アイアス、屈折率1.50のものはHOYA株式会社製商品名ハイルックス(屈折率1.50)であり、屈折率1.74のものはHOYA株式会社製アイヴィアであり、それぞれ表2に示す屈折率を有するハードコートが両面に設けられている。

<評価方法> 1.青色光反射特性(Reye、Robject)、主波長の測定 作製した眼鏡レンズの物体側表面(凸面側)、眼球側表面(凹面側)の光学中心において、オリンパス顕微分光測定器USPMを用いて380〜780nmの波長域における直入射反射分光特性を測定した(測定ピッチ:1nm)。測定結果から、Reye、Robjectおよび主波長を求めた。なお主波長とは、380〜780nmの波長域における直入射反射分光特性を示す分光反射スペクトルにおける反射極大波長をいうものとする。本発明の一態様にかかる眼鏡レンズは、400〜500nmの波長域に主波長を有することが、青色光反射特性の観点から好ましい。 結果を表2に示す。

2.ぎらつき評価 作製した眼鏡レンズを、通常の明るさの室内で眼球側から観察し、物体側表面の内側で反射する光(ぎらつき)の強さを観察者の眼により、以下の評価基準に基づき官能評価した。結果を表2に示す。表2に示すように、実施例の眼鏡レンズでは、比較例の眼鏡レンズと比べてぎらつきの発生が抑制されていることが確認された。 A++:ぎらつきが観察されない。 A+:ぎらつきがほとんど観察されない(Aよりぎらつきが少ない)。 A:ぎらつきがほとんど観察されない。 B:ぎらつきが観察される。 C:ぎらつきが観察される(Bより重度)。 D:ぎらつきが顕著に観察される。

3.ゴースト評価 先に記載した通り、上記2.において評価されるぎらつきは、眼鏡レンズの物体側表面に入射した青色光が発生原因と考えらえる。一方、眼鏡レンズの物体側表面に入射した青色光に関しては、その一部は物体側表面で反射されるが、一部は物体側表面を通過し眼鏡レンズに入射する。こうして入射した青色光が眼鏡レンズ内部で多重反射することに起因し、眼鏡装用者が二重像を観察してしまうゴーストと呼ばれる現象が発生する場合がある。眼鏡レンズの装用感をより改善するためには、ゴーストの発生も抑制することが望ましい。 そこで、作製した眼鏡レンズを、暗室において蛍光灯下30cmの位置で眼球側から観察し、ゴースト(二重像)の発生の有無・程度を観察者の目により、以下の評価基準に基づき官能評価した。表2に示すように、実施例の眼鏡レンズでは、比較例の眼鏡レンズと比べてゴーストの発生が抑制されていることが確認された。本発明者らは、このゴースト発生の抑制も、眼球側表面に物体側表面よりも高い青色光反射特性を付与することによりもたらされたものと推察している。 A:ゴーストが観察されないか、ほとんど観察されない。 B:ゴーストが観察される(Aより重度)。 C:ゴーストが顕著に観察される。

以上の結果を、表2に示す。

最後に、前述の各態様を総括する。

一態様によれば、レンズ基材と、このレンズ基材の眼球側表面上および物体側表面にそれぞれ設けられた多層膜と、を含む眼鏡レンズであって、眼鏡レンズの眼球側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Reyeおよび眼鏡レンズの物体側表面において測定される430〜450nmの波長域における直入射平均反射率Robjectは、それぞれ0%超であり、かつReyeはRobjectより大きい眼鏡レンズを提供することができる。

一態様によれば、上記眼鏡レンズと、この眼鏡レンズを取り付けたフレームと、を有する眼鏡を提供することができる。

上記眼鏡レンズは、上記のように眼球側表面に物体側表面よりも高い青色光反射特性が付与された眼鏡レンズであり、青色光による眼への負担を軽減することができ、かつ、この眼鏡レンズを備えた眼鏡の装用者に、良好な装用感をもたらすことができる。

一態様では、ReyeおよびRobjectは、それぞれ2.00〜21.00%の範囲であり、ただしReyeはRobjectより大きい。

一態様では、より良好な装用感をもたらす観点から、ReyeおよびRobjectは、それぞれ2.00〜10.00%の範囲であり、ただしReyeはRobjectより大きい。

一態様では、ReyeとRobjectとの差分(Reye−Robject)は、0.90%以上である。

一態様では、Robjectに対するReyeの比(Reye/Robject)は、1.00超6.50以下の範囲である。

一態様では、上記多層膜は、無機材料を主成分とする被膜が複数積層された多層膜である。

一態様では、上記多層膜は、ケイ素酸化物を主成分とする被膜とジルコニウム酸化物を主成分とする被膜とが隣接する積層構造を少なくとも1つ含む。

一態様では、上記多層膜は、導電性酸化物を主成分とする被膜を少なくとも一層含む。

一態様では、上記被膜は、蒸着膜である。

一態様では、上記眼鏡レンズは、レンズ基材の眼球側表面上の多層膜および物体側表面上の多層膜の少なくとも一方を、少なくともハードコート層を介してレンズ基材上に有する。

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

本発明は、眼鏡レンズおよび眼鏡の製造分野において有用である。

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