Multi-layer gradient index progressive lens

申请号 JP2009534648 申请日 2007-10-25 公开(公告)号 JP2010507834A 公开(公告)日 2010-03-11
申请人 ヴォルク, ドナルド, エイ.VOLK, Donald, A.; 发明人 ドナルド, エイ. ヴォルク,;
摘要 本発明は、屈折率勾配型プログレッシブ付加メガネレンズに関する。 このレンズは、改善された光学的特性と広い視野を提供する。 このレンズは、連続した 曲率 (湾曲)で軸方向に積層され、結合された複数のレンズ部を含んでいる。 このレンズは、レンズの経線に対して横方向に延在する少なくとも一つの屈折率勾配部を有している。 その勾配部は、異なった屈折率の視覚点同士の間のプログレッシブ中間視 力 ゾーンとして機能する。 その視覚点は、レンズの相当する視力部のための屈折力を提供する。 レンズの他の層は、全体的に一定または似たように変化する屈折率を有する。
【選択図】図1
权利要求
  • 少なくとも2つの層で形成された屈折率勾配型レンズであって、
    前記2つの層のうちの一方はプラス度数を有し、他方はマイナス度数を有し、
    前記2つの層のうちの一方は、第1の層であり、第1の屈折率を有する第1の部分と、第2の屈折率を有する第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分との3つの部分を有し、
    前記第3の部分は、屈折率勾配を有し、前記屈折率勾配型レンズの経線に対して横方向に延在し、
    前記屈折率勾配は、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間で連続的に変化するように構成されていることを特徴とする前記屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配の屈折率の変化率は、極大値から極小値に正弦波形のプログレッションにしたがっている請求項1に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記少なくとも2つの層は、連続する前部湾曲面と後部湾曲面とを含む請求項2に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配型レンズは、患者に使用するためのプログレッシブ眼科用レンズであって、
    前記第1の部分は、患者の視覚の第1のゾーンに相当し、
    前記第2の部分は、患者の視覚の第2のゾーンに相当し、
    前記第3の部分は、患者の視覚の中間およびプログレッシブゾーンに相当する請求項1に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記第1のゾーンは、遠方視力のための度数を有する遠方視力ゾーンであり、
    前記第2のゾーンは、近方視力のための度数を有する近方視力ゾーンであり、
    前記第3のゾーンは、前記遠方視力のための度数と前記近方視力のための度数との間の範囲にある連続して変化する度数を有する中間視力ゾーンである請求項4に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記2つの層のうちの他方は、第2の層であり、前記第1の層と組み合わせて、視覚矯正処方箋を提供するために成形されている請求項4に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記プラス度数を有する層は、前記3つの部分を有する前記第1の層を含み、
    前記マイナス度数を有する層は、前記第2の層を含み、当該第2の層は、視覚矯正処方箋層を有し、
    前記視覚矯正処方箋層は、全体的に一定の屈折率を有する請求項6に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記マイナス度数を有する層は、前記3つの部分を有する前記第1の層を含み、
    前記プラス度数を有する層は、前記第2の層を含み、当該第2の層は、視覚矯正処方箋層を有し、
    前記視覚矯正処方箋層は、全体的に一定の屈折率を有する請求項6に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記2つの層のうちの他方は、第2の層であり、第1の屈折率を有する第1の部分と、第2の屈折率を有する第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分との3つの部分を有し、
    前記第3の部分は、屈折率勾配を有し、前記屈折率勾配型レンズの経線に対して横方向に延在しており、
    前記屈折率勾配は、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間で連続的に変化し、
    前記第1の層と前記第2の層とは、
    a)低屈折率を有する前記第1の層の前記3つの部分の少なくとも一部が、高屈折率を有する前記第2の層の前記3つの部分の少なくとも一部と、前記患者の視線に沿って整列されている、および、
    b)高屈折率を有する前記第1の層の前記3つの部分の少なくとも一部が、低屈折率を有する前記第2の層の前記3つの部分の少なくとも一部と、前記患者の視線に沿って整列されている、
    からなる群から選択される位置関係に互いに配置されている請求項4に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配型レンズは、さらに第3の層を有し、
    前記第3の層は、前記第1の層と前記第2の層との組み合わせで、視覚矯正処方箋層を提供するために成形されている請求項9に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記視覚矯正処方箋層は、全体的に一定の屈折率を有する請求項10に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記第1の層は、前記屈折率勾配型レンズを介して前記患者の視線を全体的に横断する前部表面と後部表面とを有し、
    前記屈折率勾配は、前記前部表面と前記後部表面との間で範囲を有しており、
    前記範囲を介して、ほぼ一定の屈折率を有する面が規定されており、当該面の少なくとも一部が前記屈折率勾配型レンズを通る前記患者の前記視線と概ね位置合わせされている請求項4に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配型レンズを介した前記患者の前記視線は、下方凝視にしたがっている請求項12に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記下方凝視は、まっすぐ前方凝視に対して、約8°の角度である請求項13に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記少なくとも2つの層のそれぞれは、前記屈折率勾配型レンズを介して前記患者の視線を全体的に横断する前部表面と後部表面を有し、
    前記屈折率勾配は、前記前部表面と前記後部表面との間で範囲を有しており、
    前記範囲を介して、ほぼ一定の屈折率を有する面が規定されており、当該面の少なくとも一部が前記屈折率勾配型レンズを通る前記患者の前記視線と概ね位置合わせされている請求項9に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配型レンズを介して前記患者の前記視線は、下方凝視にしたがっている請求項15に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記下方凝視は、まっすぐ前方凝視に対して、約8°の角度である請求項16に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記2つの層は、フルネルレンズで構成され、前記2つの層同士の間に界面を有し、
    前記2つの層の間の前記界面は、フルネル表面で構成されている請求項1に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配型レンズは、患者に使用するためのプログレッシブ眼科用レンズであって、
    前記第1の部分は、前記患者の視覚の第1のゾーンに相当し、
    前記第2の部分は、前記患者の視覚の第2のゾーンに相当し、
    前記第3の部分は、前記患者の視覚の中間およびプログレッシブゾーンに相当する請求項18に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記2つの層のうちの他方は、視覚矯正処方箋にしたがって加工された表面を有する第2の層である請求項19に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記2つの層のうちの他方は、実質的一定の屈折率を有する第2の層であり、前記実質的一定の屈折率は、前記第1の層の前記3つの部分のうちの1つの部分の屈折率と実質的同じである請求項19に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記フルネル表面は、複数の非光学的機能ステップを有し、その少なくともいくつかは円錐状のステップであり、当該円錐状のステップは円錐の頂点を有し、前記屈折率勾配型レンズは後部表面を有し、
    前記円錐ステップを規定する前記円錐の頂点は、前記レンズの前記後部表面の後に位置されており、
    それによって、前記屈折率勾配型レンズを介して周辺領域ポイントから前記患者の目に、増大する光透過を提供している請求項19に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記円錐ステップを規定する前記円錐の頂点は、前記屈折率勾配型レンズの前記後部表面の後、16〜28.5mmに位置する請求項22に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記屈折率勾配型レンズは、さらに層を含み、
    前記層は、連続した前部湾曲面と後部湾曲面とを含んでいる請求項19に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 前記フルネル界面の形状は、無限から21mmの範囲の曲率半径を有する請求項19に記載の屈折率勾配型レンズ。
  • 说明书全文

    この出願は、2006年10月24日に出願された米国仮出願のシリアル番号60/854,469の利益を要求する。

    本発明は、屈折率勾配型プログレッシブ(累積多焦点)付加(addition)メガネレンズに関する。 そのメガネレンズは、改善された光学特性および広い視野を提供する。 そのメガネレンズは、軸方向に積層され、結合された、連続して湾曲する複数のレンズ部を含んでいる。 複数のレンズ部の少なくとも1つは、レンズの経線に対して横向きに延在する(oriented transverse)屈折率勾配(refractive index gradient)を有している。 その屈折率勾配は、異なった屈折率の視部同士の間のプログレッシブ中間視力ゾーンとして機能する。 それらの視力部は、相当するレンズの視力部分の屈折力(refractive power)を提供する。 レンズの他の層は、全体的に一定または同じように変化する屈折率を有している。

    プログレッシブ付加メガネレンズは、目の調節的な機能が部分的または全体的に失われた状態である老眼の取扱に(management)使用される視覚的補助器具である。 アメリカの視覚委員会(Vision Council)は、複数の視認距離の矯正を提供するように設計されたレンズとして、プログレッシブレンズを提唱する。 その複数の視認距離において、度数(power)は、ばらばらにというよりむしろ連続的に変化する。 プログレッシブレンズの度数の変化は、あるレンズの湾曲面および/または光学物質の屈折率を変化させることで得られる。

    多くの屈折率タイプのレンズが、プログレッシブ付加レンズとして使用するために提案されている。 これらのレンズは、屈折力の変化または屈折力の勾配を提供する。 屈折力の変化または屈折力の勾配は、レンズを構成する光学媒体の屈折率変化によって、レンズのプログレッシブ中間視力ゾーンまたはプログレッシブ中間移行ゾーンと称される。 それらは、理論的には、従来のプログレッシブ付加レンズに共通する非回転対象非球面型と関連する非点収差(乱視)を軽減または除去する利益を提供する。

    製造に関する問題点と困難性を含むこれらの設計に関連した問題のため、屈折率プログレッシブ度数レンズは商業化されていない。 遠視機能と近視機能の両方の適切な度数を提供するために、光学物質にかなりの屈折率変化量が要求される。 屈折率変化を実現するために提案されたイオン交換法は、好ましくない屈折率プロファイルと、プログレッシブ付加メガネレンズに必要とされる度数変化を満足しないことの両方を提供する傾向にある。 同様に、拡散法によって得られるレンズは、適切な加入度数(add power)を提供していないし、商業的な成功も実現していない。

    Naujokasの特許文献1には、多焦点のプラスチック眼科用レンズが記載されている。 そのレンズは、1つの屈折率の主レンズ部と、異なった屈折率の副レンズ部とを有しており、それらの間で一定の屈折率を有している。 プラスチック物質は、等温的にコントロールされた環境(条件)下、単量体液体同士間で構築された界面で、その単量体が徐々に拡散され、そして重合されるというプロセスによって製造される。

    まず、このレンズは、遠方視力の性質と近方視力の性質とを提供することができる。 この特許文献1に記載されているパラメーターにしたがったレンズのレイトレーシング(ray tracing)は、相当高いプラス度数の構成が利用されるときにのみ、1ジオプター(diopter)と同等な加入度数を得ることができるということを示している。 その特許文献1に記載される1.5と1.6の屈折率を使用して、4.714ジオプターの計算されたプラス度数が、近方視力部における5.714ジオプターのわずかに大きい度数を得るために、遠方視力部に必要とされる。 したがって、このレンズは、遠方視力のための高プラス度数矯正を必要とするレンズにのみ有効である。 さらに、円柱度数が記載された処方箋にしたがって、レンズの前表面または後表面が加工されると、円柱度数は変化し、屈折率の変化の結果として、収差の原因となる。

    Guilinoらの特許文献2には、多焦点の眼科用レンズが記載されている。 その多焦点眼科用レンズは、遠方視力のために設計されている屈折力を有する遠用部と、近方視力のために設計されている屈折力を有する近用部と、主視線に沿った屈折力が遠用部の屈折力から近用部に連続的に少なくとも部分的に増大する中間部とを有している。 レンズ物質の屈折率は、収差の矯正と屈折力の増大に少なくとも部分的に貢献するように、中間部の少なくとも主視線に沿って変化する。 詳細な説明によれば、左目または右目の前の2つのプログレッシブ眼科用レンズは、遠方視力のための視覚のメインポイント(遠視基準点)BFと、近方視力のための視覚のメインポイント(近視基準点)Bnとを備えている。 さらに、レンズの頂点から遠視基準点または近視基準点の距離y'BFとy'BNは、y'BF=4.0mm、y'BN=−14mmの値を有している。

    言い換えれば、遠方視力のメインポイントはレンズの頂点の4mm上であり、近方視力のメインポイントはレンズの頂点の14mm下である。 また、詳細な説明に記載されているように、屈折率関数は、a)屈折率を変化させることによって、屈折力の増大が主経線に沿ってのみ得られるような、単なる座標y'の関数、または、b)主経線に沿った屈折率の増大だけでなく、主経線上のイメージエラーの矯正も、屈折率の変化によって生じるような座標y'とx'の関数、の2つの関数である。 それらはそれぞれ、特許文献2の図4a、図4bに記載されている。

    図4aに示されるように、屈折率は、レンズの頂点の4mm上の遠方視力のメインポイントの下から−14mmの近方視力のメインポイントに向かって減少している。 そして、その−14mmポイントより下でより大きく減少している。 実際、屈折率は、−14mm点の下から−20mm点で最も劇的に変化している(6mmにわたって1.57〜1.51(0.06目盛りユニット))。 また、−14mm点の上から遠方視力の4mm点で比較的小さく変化している(18mmにわたって1.57〜1.604(0.034目盛りユニット))。 この意味は、いわゆる近用部が屈折力の最も大きい変化を有していることを示している。

    したがって、中間部の定義により適合する。 また、4mm〜−14mmの中間部が、屈折力の比較的小さい変化を有していることを示している。 そのため近用部の定義により適合する。 完全に異なった屈折性質を有するレンズは、プログレッシブ眼科レンズのよい光学特質を提供するということが必要とされる。

    Guilinoらの特許文献3には、眼科レンズが記載されている。 その眼科レンズは、フロント面と、目に直面する境界面と、変化する屈折率を有している。 そして、そのレンズは、収差の矯正に貢献する。 眼科レンズは、一定の屈折率を有する既知のレベル(level)(n(x,y,z)=一定)を表面の少なくとも1つのシステムに有することによって区別される。 表面は、それらの表面の法線方向にすべてのポイントで同じ距離離れており(パラレル表面)、フロント面のレンズ頂点と目に直面する面のレンズ頂点とを結ぶ軸と交差する。

    この特許文献3には、屈折率変化を有するレンズが記載されている。 その屈折率変化は、レンズの頂点の連結軸の方向にある座標zと、連結軸に対して直交する軸の座標x、yとの両方に依存する。 そのため、収差を矯正することを許容し、通常の状態でレンズの臨界厚さを最小にすることを許容する。 詳細な説明によれば、勾配は、非点収差および/またはプログレッシブ屈折力に部分的にのみ貢献する表面設計、または貢献しない表面設計で、非点収差および/またはプログレッシブ屈折力を発生させるために利用される。

    特許文献3の大部分は、収差の矯正のために、およびレンズの臨界厚さを最小化するために、軸方向の屈折率勾配または修正された軸方向の屈折率勾配の使用を記載する。 偶然にも、プログレッシブ付加メガネレンズのそのような屈折率勾配への使用の言及がある。 そのような設計は、同じ発明者によって、特許文献3の出願日の1年前よりも後に米国に出願された特許文献2に記載されているものにとても似ている。 屈折率がZ値の増大とともに増大するか減少するかに関し、そのようなプログレッシブレンズは、上述された特許文献2と似たような問題または同一の問題を有している。

    Blumらの特許文献4には、屈折率勾配レンズが記載されている。 そのレンズは、分離して利用される、少なくとも3つの異なった層の複合材料を含んでいる。 各層は、異なる屈折率を有している。 それらの層は、遠方から近方を見るとき、広い視覚で自然に視覚が変化する多焦点プログレッシブレンズを提供することを可能とする。 基層と外層との間に配置された移行ゾーンは、分離して利用される異なる移行層または複数の移行層を含んでいる。 その移行層は、基層の屈折率と外層の屈折率との間の中間である効果的な屈折率を有している。 そして、その屈折率は、基層の屈折率と外層の屈折率との幾何平均に近づけることが好ましい。 この移行層は、異なる独特(distinct)な屈折率を有する複数の移行層を含んでいる。

    このレンズの発明において、基層、外層、および移行層の屈折率は、それぞれの層で一定である。 多焦点のプログレッシブゾーンを規定する可変厚さの領域は、レンズ設計内に含まれる。 中間屈折率を有する移行ゾーンに使用する技術は、できるだけ目に見えない多焦点のプログレッシブエリアを提供するために使用される。

    特許文献4にほんの一例として記載されるように、プレフォーム(preform)が約1.50の屈折率を有し、外層が約1.70の屈折率を有するのなら、移行ゾーンの3つの移行層の屈折率は、プレフォームから外層へ進む層として、約1.54、1.60および1.66である。 この発明において、勾配率は、上記において言及した特許文献で、プログレッシブ度数(power)に貢献していない。 むしろ、それらの特許文献の中で、多焦点のプログレッシブゾーンを規定する可変厚さの領域は、レンズ内にある。

    Dreherの特許文献5には、2つのレンズブランク間に挟まれたエポキシのような指標変数物質の層で構成された多焦点プログレッシブレンズまたはプログレッシブレンズが記載されている。 エポキシインナーコーティング層(aberrator)は、患者の目の収差と、より高いオーダーの収差を矯正するために構成された視覚ゾーンを有している。 このレンズのインナー層を構成する指標変数コーティングは、レンズのプログレッシブ加入度数(add power)を備えていない。 むしろ、特許文献5に記載されているように、指標変数コーティングは、患者の目の収差を矯正する。 そのレンズは、非球面プログレッシブレンズで典型的な多くの制約を有している。

    米国特許第3,485,556号公報

    米国特許第5,042,936号公報

    米国特許第5,148,205号公報

    米国特許第5,861,934号公報

    米国特許第6,942,339号公報

    前述の記載に基づいて、各特許文献の問題と関連する問題を解決し、特に光学的特性を改善する屈折率勾配型プログレッシブメガネレンズを提供する必要性があることがわかった。 その利益は、屈折率勾配を有する多層型レンズから得られる。 その屈折率勾配は、遠用視覚の範囲にわたった視覚化のために必要とされる度数変化を提供する。 したがって、多層型プログレッシブレンズを提供することが、本発明の主な目的である。 その多層型プログレッシブレンズは、プログレッシブ中間視力の領域を提供する屈折率勾配を有する少なくとも1つの層を含んでいる。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配がレンズの経線に対して横方向に延在する(oriented transverse)(一般的にレンズトップからボトム)屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 その屈折率勾配は、1/2正弦波形または正弦波状の波形にしたがって、徐々に、連続して変化する。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する一方の層と、患者の処方箋にしたがって得られた表面を有する他方の層との2層を含む屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。

    本発明の別の目的は、レンズの遠方視力部と近方視力部との間の屈折率差と度数(power)差とを効果的に増大させるように、2層を含む屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 各層は、屈折率勾配プロファイルと、他方の層と反対の符号(プラスまたはマイナス)の度数とを有している。

    本発明の別の目的は、3層を含む屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 隣接する2つの層は、屈折率勾配プロファイルと、他方の層と反対の符号の度数とを有している。 第3の層は、患者の処方箋にしたがって得られた表面を有している。

    本発明の別の目的は、2層を含む屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 各層は、屈折率勾配プロファイルと、他方の層と反対の符号の度数とを有しており、各屈折率勾配部は位置合わせされている(aligned)か、位置合わせされていない(misaligned)かのいずれかである。

    本発明の別の目的は、3層を含む屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 2つの隣接する層は、屈折率勾配プロファイルと、他方の層と反対の符号の度数とを有している。 第3の層は、患者の処方箋にしたがって得られた表面を有している。 各屈折率勾配部は、位置合わせされているか、位置合わせされていないかのいずれかである。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配プロファイルを有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 レンズのすべての層は、連続した湾曲面を有している。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配プロファイルを有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 レンズはプログレッシブ中間視力の幅が限られた通路(width-limited corridor)がなく、プログレッシブ中間視力部と近方視力部はレンズの側面境界まで延在している。

    本発明の別の目的は、プログレッシブ中間視力部の高さの範囲で作られてもよい屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 屈折率勾配型プログレッシブレンズは、非球面のプログレッシブレンズに典型的に備えられているプログレッシブ中間視力部より小さいプログレッシブ中間視力部を含んでいる。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 屈折率勾配型プログレッシブレンズは、屈折率勾配を有する層の表面上の湾曲球面のみを利用する。 そのレンズは、優れた光学特質を提供する。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 屈折率勾配型プログレッシブレンズは、高いオーダーの収差を矯正し、メガネレンズ用途のために広い範囲の光学的に矯正された型を提供するための1または2以上の回転対象非球面を利用する。

    本発明の別の目的は、多数の薄層を含む屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 各層は、屈折率勾配プロファイルと、隣接する層と反対の符号の度数とを含んでいる。 レンズの厚さは、似たような加入度数(add power)の標準メガネレンズの厚さに匹敵する。

    本発明の別の目的は、ダブレットフルネルレンズまたはトリプレットフルネルレンズの型で屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 フルネル表面の非光学的機能ステップ(光学的に機能しない段部)の傾斜は、患者の凝視に相当し、それによって、周辺視野において物体からの光線を特に妨害しないようになっている。 したがって、レンズの効率性は増大している。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 フルネル表面の非光学的機能ステップ(段差)の傾斜は、患者の凝視角のいくつかの角度に相当し、それによって、周辺視野において物体からの光線の妨害を部分的に限定している。 したがって、レンズの効率性は増大している。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 レンズの形は平面ではなく、むしろ目のように湾曲している。 フルネル表面の非光学的機能ステップ(段差)の傾斜は、患者の凝視角に相当し、それによって、周辺視野において物体からの光線を特に妨害しないようになっている。 したがって、レンズの効率性は増大している。

    本発明の別の目的は、屈折率勾配を有する屈折率勾配型プログレッシブレンズを提供することである。 レンズの形は平面ではなくむしろ目のように湾曲している。 フルネル表面の非光学的機能ステップ(段差)の傾斜は、患者の凝視角のいくつかの角度に相当し、それによって、周辺視野において物体からの光線の妨害を部分的に限定している。 したがって、レンズの効率性は増大している。

    これらの目的と利点および他の目的と利点は、連続した湾曲(曲率)を有し、レンズの屈折率変化を経てプログレッシブ中間視力および近方視力の増大された度数を得るプログレッシブレンズによって実現される。 このような屈折率勾配の特性と重要さによって、本発明のレンズは、薄い構成で、最小限の非点収差とともに、改善された視覚と高加入度数(high add power)とを提供することができる。

    本発明のレンズは、多層型レンズを含む1または2以上の屈折率勾配層を使用する。 屈折率勾配プロファイル(profile)は、レンズの度数の範囲にわたって視界を提供するレンズ領域に相当する。 屈折率勾配は、層の一方の表面から他方の表面にほぼ一定の屈折率を有するレンズの経線(一般的にレンズトップからボトム)に対して横方向に延在する(oriented transverse)。 屈折率勾配は、レンズのプログレッシブ中間部を経て、滑らかに推移する度数変化を提供するのに適した屈折率変化率によって規定される。

    屈折率勾配は、一般的に、極小値から極大値(π/2〜3π/2)の1/2正弦波曲線または正弦波状の曲線に従う。 したがって、レンズの遠方視力部の上部から近方視力部の下部までの全体的に垂直方向における屈折率変化の増大と減少の割合は、度数の段階的な増大と段階的な減少とを提供する。 一方、勾配に沿って全体的に直交する方向において、屈折率の変化は実質的にない。 勾配率プロファイルに関して垂直(vertical)や直角(orthogonal)の語は、一般的な語であり、方向性の正確な角度を指定していない。

    屈折率とそのレンズ度数は、勾配に沿って直交する方向に全体的に一定である。 そのため、従来の非球面のプログレッシブレンズと同様に、レンズのプログレッシブ中間視力部を介した視覚は、幅または、視覚の通路に限定されない。 むしろ、プログレッシブ中間視力部の上方の遠方視力部と、プログレッシブ中間視力部の下方の近方視力部のように、プログレッシブ中間視力部の有効性は、十分にその幅に沿って延在する。 プログレッシブ中間レンズ部を規定する屈折率勾配の範囲または長さ(距離)は、重要な光学的特性を提供するのに十分であるべきであり、たとえば、およそ10mm〜20mmで変動する。

    乱視(非点収差)度数(astigmatic power)がそのような“一方向の”屈折率勾配から生じると考えられていたかもしれないが、レンズのいずれかの点でのレンズの屈折率の均一性はそのような乱視度数の発生を排除する。 非点収差よりもむしろ、そのような乱視度数は、プログレッシブ中間視力部を介して見られる物体の視覚圧迫または視覚延長として現れる歪曲収差である。 これが生じる程度は、勾配プロファイルの険しさに依存する。 より重要なのは、本発明のレンズにおける非点収差は、劇的に減少し、レンズのすべての幅にわたって明確な画像が得られるということである。

    高分子化学分野におけるここ数年の開発で、眼科用レンズに使用するために適した極めて高い屈折率物質が生み出された。 その物質のいくつかは1.7より大きい屈折率を有している(中には、1.8にほぼ近い屈折率を有している物質もある)。 相溶性の低屈折率光学物質(1.3〜1.5の屈折率を有する)とともに、前述した高屈折率光学物質または他の高屈折率光学物質のちの一つを使用することで、本発明に使用するのに適した大きい屈折率差で屈折率勾配プロファイルが得られる。 その結果、本発明によるレンズは、最小の中心厚さおよびエッジ厚さで生産される。 たとえば、本発明のある実施形態において、レンズの遠方視力部における“0”度数と、レンズの近方視力部における2.5ジオプター(diopters)の加入度数とを提供する直径48mmのレンズは、中心厚さ1.76mmおよびエッジ厚さ1.13mmであるように薄い。

    様々な噴霧(スプレー)、混合、拡散または他の処理方法が、一定状態および繰り返し可能な状態で所望の屈折率特性を提供するために利用される。 たとえば、2またはそれ以上のスプレーガンを使用する噴霧技術は、共通の堆積物上に樹脂組成物の様々なブレンドを製造することができる。 そのスプレーガンは、それぞれ異なった屈折率の相互に相溶性のある樹脂を含み、直線経路または弓形の経路に沿って共に可動し、10〜20mmの広さで、重複堆積物領域または共通堆積物領域を有する堆積物を製造する。 噴霧された各堆積物の大きさと形状によっては、その重複部または共通部は、各スプレーガンからその堆積物領域の中心近くに噴霧された堆積物の部分の物質の量が最大であり、その堆積物領域のエッジに向かって最も遠い部分の物質の量が最小であるように、物質の量が変化する。 この共通領域(部)中の2つの樹脂の徐々に連続して変化する複合混合物は、(前述された正弦波曲線にしたがって、)一方の物質の屈折率から他の物質の屈折率まで、相当する屈折率変化をもたらしている。 その複合樹脂物質は化学的に、または光で重合され、さもなければ固化される。

    別の勾配率製造方法は、溶解可能な高分子膜を使用する制御された拡散プロセスを含んでいる。 その高分子膜は、所定の界面形状を規定し、異なった屈折率の2つの光学樹脂を分離する。 そして、一度、光学樹脂の一方または両方によって溶解された高分子膜は、混合、拡散のための正確な液体界面を提供する。 さらなる方法は、特別な密度の分散された粒子の使用を含んでいる。 その粒子は、重力、浮力または遠心力によって、液体複合体を介した粒子の移動による混合(mixing)、調和(blending)、拡散プロセスを促進し、加速する。

    重力による移動の場合、たとえば、高密度のミクロンサイズの粒子がほとんどの樹脂組成物の上部に分散される。 そして、粒子は、自然落下を経て、液体本体の至るところで安定する。 各粒子は、ある屈折率を有する少量の上部樹脂を、異なった屈折率を有する下部樹脂に引き合わせ、元の界面の真下の範囲で、領域内の2つの隣接した液体の完全な混合および混和を提供する。 一度粒子が十分に沈降すると、液体組成物は化学的に、または光で重合され、さもなければ固化される。

    本発明のレンズは、2層、3層、または多層を含んでいてもよい。 本発明のいくつかの実施形態において、全体的に一定の屈折率の層は、レンズの後面または前面のいずれかを提供する。 その後面または前面は、患者の処方箋にしたがって作られている。 本発明のいくつかの実施形態において、逆屈折率勾配プロファイルが、屈折率差を効率的に増大または倍にするために、隣接するプラス度数の層とマイナス度数の層に使用される。 それによって、低い曲率または平らな曲率で高い加入度を実現し、レンズ厚さを最小にする手段を提供している。 逆屈折率勾配部の少なくとも1組は、屈折率を増大させることが要求される。

    たとえば、仮に屈折率勾配プロファイルが0.3の最大屈折率差を規定するならば、2)逆屈折率勾配層(高屈折率部は、隣接するマイナス度数層の遠方視力部の上部を含んでいる。)と組み合わせた1)屈折率勾配層(高屈折率部は、プラス度数層の近方視力部の下部を含んでいる。)を使用することで、効果的な屈折率差は0.6と二倍になる。 このとても大きい屈折率の差は、本発明にしたがって、薄いレンズ設計における高ジオプター(屈折力)のプログレッシブ加入度数を提供するために有利に使用される。

    本発明の別の実施形態において、レンズは、逆プロファイルおよび逆度数値とを有する多数の屈折率勾配層を交互にした多数の薄層からなっている。 たとえば、2.5ジオプターの加入度数を提供する直径50mmの複合レンズは、0.22mmと同じくらいの臨界厚さを有する13個の低曲率層を含んでいてもよい。 一方、レンズ全体の厚さは似たような加入度数の標準レンズの厚さに近づけてもよい。 屈折率の増大とある方向におけるプラス度数の増大(中心厚さで0.22mm)とを有するプラス度数層は、屈折率の増大と反対方向におけるマイナス度数の増大(エッジ厚さで0.22mm)とを有する隣接するマイナス度数層と交互になっている。 それによって、平面(度なし)(plano)度数レンズまたは平面度数ウィンドウ1.5mm厚さのレンズを生産する。

    しかし、実際には十分な加入度数を有するプログレッシブレンズである。 このようなやり方で交互に重ね合された複数の屈折率勾配層を使用することで、効果的な屈折率差が前述したように得られる。 各層は、とても薄く、連続してまたは独立して加工されてもよいから、薄い部(層)が製造されるとき、良好な混合結果を提供する製造方法が有利に利用される。 たとえば、前述した噴霧方法は、屈折率勾配組成物の薄膜を提供するために望ましい。 薄い部(層)に噴霧することができることは望ましいが、これは、常に可能であるわけではない。 なぜなら、一方の樹脂またはモノマーの密度が他方の樹脂またはモノマーの密度よりも大きいかもしれないからである。 結果として、重力の影響によって、一方の樹脂を他方の樹脂の下に滑り込ませている。

    この問題は、密度が実質的に異なるときに、適用された物質の量と、噴霧塗布が終了する時間とを限定することで解決することができる。 各層は、塗布後および次の層の塗付に先立って、全体にまたは部分的に硬化されまたは重合されてもよい。 もし、噴霧が適用される基体表面が所望の屈曲特性を有する物質を含むのであれば、その基体表面の形状は、そのような物質を少量用いることによって変えることができる。 その量は、ゲル化されまたは部分的に重合された層に正確な半径を与えるために要求される必要な凹凸湾曲を製造するために必要とされる量である。

    塗付層の厚さを限定する他の理由があってもよい。 たとえば、いくつかの光重合プロセスまたは物質が、樹脂またはモノマーの限定された深度に対してのみ適した結果を提供する。 ポリマーの屈折率を変化させるために設計された他のプロセス(たとえば、電子ビーム照射や浸透する反応希釈剤または膨張剤による化学的処理)は、比較的薄い部(層)に対して適した結果を、または限定された浸透深さに対してのみ適した結果を提供してもよい。 したがって、上述したようなとても薄い隣接した層の独立したまたは連続した処理は、これらの手段によって実現されてもよい。

    本発明の別の実施形態において、屈折率勾配型プログレッシブレンズは、1つまたは2つの屈折率勾配層を含むダブレットフルネルレンズの型をとる。 フルネルレンズの表面は、多数の不連続の同軸(同芯)環状部を含んでいる。 その同軸環状部は、それぞれ、連続したレンズ表面形状に相当する傾斜を規定し、より低プロファイルの表面を形成するために押しつぶされた状態にある(collapsed)。 隣接する各光学機能環状部(optically functional annular section)の連結部は、非光学的機能ステップ(光学的に機能しない段部/a non-optionally functional step)をなしており、各段部もまたアニュラス(環帯)の形態をなしている。 それらの段部は、多数の屈折表面とともにレンズの全体形状とレンズ厚さを決定する。

    高プラス・マイナス度数フルネルレンズは、(0.26mm未満の最大ステップ高を有する多くの)従来のレンズの厚さの比(割合)で製造される。 屈折率勾配層の厚さを短焦点フルネル表面のオープン領域を満たすのに十分な厚さとすることで(たとえば、0.3〜0.4mmの厚さ)、本発明のプログレッシブレンズは、極単に薄いレンズ構成で得られる。 ここで再び、上述した噴霧技術は、屈折率勾配層(0.3〜0.4mmの厚さ)の塗付の理想の方法を提供する。 本発明の2つの新しいフルネルレンズの使用は、効率と有効性の向上を提供する。

    本発明のレンズは、球面または非球面湾曲のいずれかを利用する多数の典型的レンズ形状(shaps)または構造(forms)に設計されている。 形状または構造は、レンズの全体的な外形(contour)を意味する。 すなわち、その前面および後面がより平坦(低い値のベースカーブを有する)か、より大きくカーブされている(高い値のベースカーブを有する)かどうかということである。 レンズ構造(型、形状)の広い範囲で球面を使用することにより、優れた光学特質が得られる。 これらのレンズ構造のうち、特定の構造(型、形状)がその他の構造を上回る改善された特性を提供する。

    一般的にいえば、レンズ形状(form)はメガネレンズ用途のために大きくカーブされると通常考えられている。 そのレンズ形状は、大きくカーブされていない形状よりも、目からの標準メガネレンズ距離でよりわずかな非点収差を作り出し、よりよい非点収差を実行する傾向にある。 患者の処方箋を満足するプラス度数またはマイナス度数を組み入れた球面レンズ設計の場合、形状に相当する事項は、最もよい特性を提供する。 代わりに、わずかな非点収差の矯正を必要とする設計を非球面化するために適切な円錐定数を使用することで、収差は最小化される。 そして、ベースカーブの広い範囲と処方箋の光学特質は最適化される。 それによって、レンズ形状の選択の幅を広くし、光学的特質の妥協(compromise)なしに使用されるより平坦なベースカーブを許容する。

    高い円錐定数値で大きな収差矯正を必要とするそれらのレンズにとって、歪曲の減少、またはレンズのより大きい度数部における倍率の不均一化が、達成されてもよい。 高い円錐定数値でのわずかな非球面の過矯正または、付加非球面条件は、所望のレンズのレンズ厚さをさらに減少させるために用いられる。 または、所望のレンズの倍率特性を変化させるために用いられる。

    本発明の他の特徴および利点は、添付した図面とともに、以下に続く発明の詳細な説明から明らかとなるであろう。

    図1(a)、1(b)、1(c)は、屈折率勾配型プログレッシブレンズの第1のグループ(実施形態)を模式的に示す側面図である。 これらの屈折率勾配型プログレッシブレンズは、凹内面、平内面、凸内面を含むダブレットレンズ構成にプラス度数の1つの屈折率勾配層を含んでいる。

    図2は、種々の屈折率勾配プロファイルのグラフである。

    図3(a)、3(b)、3(c)は、樹脂部を分離する溶解可能なメンブランを含む樹脂成型(casting)チャンバーを模式的に示す図である。

    図4は、図1(a)、1(b)、1(c)に模式的に示されたレンズのレンズパラメーターの表を示す図である。

    図5は、加入度数(add power)と、レンズの屈折率差とのレンズ半径の関係値を示すチャートである。

    図6は、屈折率勾配レンズの内面曲率に対する前面曲率および後面曲率をプロットするグラフである。

    図7(a)、7(b)、7(c)、7(d)は、屈折率勾配レンズ層の異なった配向角を模式的に示す図である。

    図8は、屈折率勾配型プログレッシブレンズの第2のグループ(実施形態)を模式的に示す側面図である。 その屈折率勾配型プログレッシブレンズは、凹内面を含むダブレットレンズ構成にマイナス度数の1つの屈折率勾配層を含んでいる。

    図9は、屈折率勾配型プログレッシブレンズの第3のグループ(実施形態)を模式的に示す側面図である。 その屈折率勾配型プログレッシブレンズは、凹内面を含むダブレットレンズ構成中の後部にプラス度数の1つの屈折率勾配層を含んでいる。

    図10(a)、10(b)、10(c)は、屈折率勾配型プログレッシブレンズの第4のグループ(実施形態)を模式的に示す側面図である。 これらの屈折率勾配型プログレッシブレンズは、それぞれ、凹内面、平内面、凸内面を含むダブレットレンズ構成中の後部にマイナス度数の1つの屈折率勾配層を含んでいる。

    図11(a)、11(b)は、屈折率勾配型プログレッシブレンズの第5のグループ(実施形態)を模式的に示す側面図である。 これらの屈折率勾配型プログレッシブレンズは、その前部と後部の両方の位置にプラス度数およびマイナス度数の層を含むダブレットレンズ構成であって、2つの屈折率勾配層を含んでいる。

    図12(a)、12(b)は、屈折率勾配型プログレッシブレンズの第6のグループ(実施形態)を模式的に示す側面図である。 これらの屈折率勾配型プログレッシブレンズは、トリプレットレンズ構成に2つの屈折率勾配層を含んでいる。 トリプレットレンズ構成は、プラス度数の層と、マイナス度数の層と第3の層とを含んでいる。 プラス度数の層とマイナス度数の層とはレンズの前部と後部の両方に位置し、第3の層はレンズの前部(図12(b))と後部(図12(a))の両方の位置に患者の処方箋したがって得られた表面を有している。

    図13は、屈折率勾配型プログレッシブレンズを示す側面図である。 その屈折率勾配型プログレッシブレンズは、ダブレットフルネルレンズの型で屈折率勾配を含んでいる。 図13中の矢印の○および△は、それぞれ、図14中の矢印の○および△とつながっている。

    図14は、図13のフルネルレンズの周辺領域を通る光路を示す拡大図である。 図14中の矢印の○および△は、それぞれ、図13中の矢印の○および△とつながっている。

    図15は、屈折率勾配型プログレッシブレンズを示す側面図である。 その屈折率勾配型プログレッシブレンズは、最適化されたダブレットフルネルレンズの型で屈折率勾配を含んでいる。 図15中の矢印の○および△は、それぞれ、図16中の矢印の○および△とつながっている。

    図16は、図15のフルネルレンズの周辺領域を通る光路を示す拡大図である。 図16中の矢印の○および△は、それぞれ、図15中の矢印の○および△とつながっている。

    図17は、屈折率勾配型プログレッシブレンズを示す側面図である。 その屈折率勾配型プログレッシブレンズは、最適化されたトリプレットフルネルレンズの型で屈折率勾配を含んでいる。 レンズの形状は、患者の目のように湾曲されている。

    図18(a)は、屈折率勾配型プログレッシブレンズを示す側面図である。 その屈折率勾配型プログレッシブレンズは、最適化されたダブレットフルネルレンズの型で屈折率勾配を含んでいる。 フルネルレンズの形状は、患者の目のように湾曲されている。 図18(b)は、保護層を有する図18(a)のレンズを示している。

    図19は、噴霧によって堆積物の共通領域を作ることによって得られる勾配率部を示す図である。

    図20は、多数の屈折率勾配層を有する14層の屈折率勾配型プログレッシブレンズを模式的に示す側面図である。

    図21は、噴霧技術によって屈折率勾配の屈折率勾配型プログレッシブレンズ層を作るために使用される装置を示す図である。

    図22は、液体を分離している界面を介して降下する粒子によって、2つの液体の混合状態を示す図である。

    以下、特許請求の範囲に記載される発明のレンズを製造し、使用し得るように説明する。 それは、出願日に発明者が知っている発明を実行できるベストモードを含んでいる。

    図1(a)、1(b)、1(c)に、詳細な説明にしたがって構成される第1実施形態のレンズの3つのダブレットレンズの構成を示す。 図1(a)、1(b)、1(c)は、3つの実施可能なレンズ形状を示している。 前部レンズ部Aは屈折率勾配(勾配屈折率)層を有しており、後部レンズ部Bはレンズの全体的に一定な屈折率層を有している。 前部レンズ部Aによって、レンズのフロント位置と目から遠い位置が規定され、後部レンズ部Bによって、レンズのリア位置と目に近い位置が規定される。 前部レンズ部Aはプラス度数を有し、後部レンズ部Bはマイナス度数を有する。 本実施形態において、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へレンズのプログレッシブ中間視力部を介して大きくなっている。 したがって、中間視力および近方視力の度数は、除々に大きくなっている。

    図1(a)は、内部湾曲界面R2が前部レンズ部Aに対して凹面である実施形態を示している。 図1(b)は、内部湾曲界面が平面であるレンズの実施形態を示している。 図1(c)は、内部湾曲界面が前部レンズ部Aに対して凸面であるレンズ実施形態を示している。 図1(a)が3つの図(図1(a)〜(c))に示された表面と層を説明するために用いられ、図1(b)と1(c)が屈折率勾配(勾配屈折率)の位置と範囲を説明するために用いられる。

    レンズ層A(前部レンズ部A)は、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 A1はレンズの遠方視力部に相当し、A2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、A3はレンズの近方視力部に相当している。 プログレッシブ中間視力部A2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部A1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部A3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部A2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する遠方視力部A1の屈折率N1の低屈折率値と等しい低屈折率値から、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する近方視力部A3の屈折率N3の高屈折率値と等しい高屈折率値へと大きくなる。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率(rate)になっている。

    そして、その比率は、1/2正弦波の曲線または正弦波状の曲線のπ/2〜3π/2の位置に相当するように、その範囲(程度、広さ)にわたって全体的に特徴づけられている。 後部レンズ部Bは、光学的透明物質で構成されている。 その物質の屈折率N4は、全体的に一定であり、変化しない。 前部レンズ部Aの前部表面4は、半径値R1の凸面曲率(湾曲)を有している。 内部界面Iは、湾曲(内部湾曲界面)R2を有している。
    後部レンズ部Bの後部表面5は、半径値R3の凹面曲率を有している。 この実施形態、次の実施形態および実施例において、各レンズ部は、プレフォーム(preform)として製造され、光学接合剤を使用して接合される。 後に続く層は、プレフォーム部の層の表面に接合され、成型(cast)されてもよい。 そのプレフォームは、レンズ部のキャスティングまたは接合(cementing)に先立って形成され、固体または半固体形状を意味する。 プレフォームのレンズ部は、熱成形、成形、研削(粉砕)、キャスティングまたは他のプロセスによって製造される。

    以下の二次方程式は、上述された正弦波形状を規定するために使用されてもよい。

    式1

    Sinf(x)=ax2+bx+c
    (ただし、aは2.0〜−2.0の間で選択される値を表し、bは1−(2aπ)を表し、cはa*3π 2/4を表す。)

    “a”の値は、種々のカーブを規定するために使用される。 そのカーブのx、y座標は、勾配部の範囲に沿った連続する点の屈折率層の瞬間屈折率に相当する。

    図2は、上記方程式に基づいた5つの湾曲した曲線を示すグラフを示す。 Yに対する屈折率をプロットしている。 Yは、図1(b)と1(c)に示されるレンズ中央線CLの下に示される破線2から破線3の間のレンズのプログレッシブ中間視力部の範囲の距離(ミリメートル)である。 たとえば、“a”の値は、−0.3、0、0.1、0.3、0.4のように選択される。 “0”のa値は、正弦波形を規定し、本発明のレンズの標準として考えられる。 それは、屈折率の等しい増大と減少(増減)の割合を示すからである。 これは、正弦波の上部と下部が対象であるような場合である。 いくつかの例において、非対象に変更された正弦波曲線の使用が好ましい。 2つの極値での曲率の変化は0である。

    たとえば、プログレッシブ加入(addition)が急激に変化する状態でA1とA2の接合に導入され、その一方、プログレッシブ加入が穏やかに変化する状態でA2とA3の接合に導入されるということが望まれているとき、屈折率の急激な変化率は、aが−0.3であるカーブに示されるように必要とされる。 逆に他の状況において、プログレッシブ加入が穏やかに変化する状態でA1とA2の接合に導入され、その一方、プログレッシブ加入が急激に変化する状態でA2とA3との接合に導入されるということが望まれているとき(短いYの距離の場合で起こりそうであるように)、A1とA2との間の屈折率の穏やかな変化率は、aが0.4であるカーブに示されるように必要とされる。

    一般的に、“a”の値は、マイナス値よりもプラス値であることが好ましい。 なぜなら、プラス“a”値のレンズを見る患者によって経験される遠方視力からプログレッシブ中間視力への境目は、問題なくなるからである。 また、“a”がプラス値の場合には、“a”が“0”に等しいかマイナスであるレンズと比較して、少量の加入度数(add power)を提供するためにわずかに大きい(very slightly greater)(若干の)下方凝視が必要とされる。 レンズのプログレッシブ中間視力部が約10mmかそれ以下の場合には、“a”のプラス値を使用することは、より重要になる。 これは、そして、看者の凝視の方向がレンズの遠方視力部からレンズのプログレッシブ中間視力部に移動するにつれて、急激な屈折力(度数)変化が視覚攪乱を生じさせるからである。

    さらに、A3の上部に対してA2の下部(たとえば、15.75”に対して16”)を介して見える物体間の物体焦点距離の差は小さく、A1の下部に対してA2の上部(たとえば、無限に対して有限(17'))を介して見える物体間の物体焦点距離の差は大きい。 したがって、A1とA2の接合点に位置される屈折率変化の少ない割合は、レンズのプログレッシブ中間視力部に対してより穏やかな視覚変化を提供する。 達成される効果は、レンズの近方視力部における高ジオプターの加入度を提供しつつ、視覚の“快適性”という意味に関しては、低加入度のプログレッシブレンズの効果と似ている。

    上述した屈折率勾配の正弦波モデルは、屈折率プロファイルを有する。 その屈折率プロファイルは、低屈折率を有する隣接部(遠方視力部)の低屈折率値と等しい低屈折率値から高屈折率を有する反対隣接部(近方視力部)の高屈折率まで大きくなる。 そのような勾配率プロファイルは、多数の異なった処理方法を使用して製造される。 液体界面で2つのモノマーの相互拡散は、高屈折率の異なる値を有する屈折率勾配を提供するための方法の1つである。

    また、異なる屈折率を有する部分的に重合されたモノマーまたはゲル化されたモノマーの中の1つのモノマーの拡散も、高屈折率の異なる値を有する屈折率勾配を提供するための方法の1つである。 相互溶解性または混和性と、高粘度のゲル化された“プレポリマー”の中の低粘度のモノマーの相互拡散浸透は、拡散と屈折率勾配深度を決定する熱と期間を組み合わせた要因(ファクタ)である。

    これらの方法(approach)は、前述したように、眼科用レンズに使用するに適した高屈折率値を有する最近開発された光学モノマーおよび樹脂で適切に実行することができる。 たとえば、ジスルフィド、チオール、ポリチオールまたはポリイソシアネート化合物を含む物質およびいくつかのエポキシは、1.65と1.78の間の屈折率を提供する。 多数のメタクリレートまたはフルオリンポリマーやフルオロポリマーを含む他の樹脂は、1.36以下の屈折率値を有する。 そして、それらは、噴霧プロセスまたは拡散プロセスで、相溶性の高屈折率物質とともに使用されるのに適している。

    拡散プロセスに使用される2つのモノマーまたは樹脂の液体界面でのわずかな攪乱または不規則性(irregularity)が最終屈折率プロファイルにおける不要な性質または変形をもたらすという事実がある(第1の問題)。 その事実のために、界面が規則的であるか、好ましい外形を有するかがとても重要である。 その界面は、容器(たとえば、拡散/成型プロセスで使用されるレンズ成型チャンバーまたは成型型)内の液体の上表面に沿って典型的に形成するメニスカスを含んでいる。 特に、液体光学樹脂の粘度が高ければ、レンズチャンバーと樹脂の境界に形成されたメニスカスは大きくカーブする。

    また、レンズ成型容器の内部寸法が小さいと、メニスカスは界面にわたって連続である。 そしてもちろん、物質がゲル状態に部分的に重合されると、メニスカスはその状態のままである。 屈折率勾配を作るためにどのようなプロセスが使用されても、一般的に界面は、界面の長さに直交する平面寸法で、すなわち、レンズを介して、平面形、円筒形、楕円型非球面形(ラグビーボール形)、円錐形、および同様な形を有している。

    別の似たような問題(第2の問題)は、一つの液体モノマーの隣または上にある別の液体モノマーの塗布(application)と、塗布中の界面の品位(integrity)の保存の仕方に関する。 ここでは、取り外し可能な分離器(separator)またはバリアーの使用が提案される。 しかし、界面での微攪乱が分離器の移動によって生じることがある。 特に、分離器が液体から持ち上げられたとき、変化する屈折率プロファイルに不利益をもたらす。 両方の問題(第1および第2の問題)は、成型チャンバー内で分離器として溶解可能なポリマーメンブランの使用を伴う新しい拡散方法を利用することで解決される。

    両方(2つ)の樹脂は、分離メンブランと接触し、一方または両方の樹脂によってメンブランを溶解する。 そして、他方の樹脂中における一方の樹脂の相互拡散または拡散を生じ、それに続いて、樹脂複合混合物の重合または硬化が進行する。 メンブランは、チャンバー部に第2の樹脂の導入に先立って導入された第1の樹脂の重量または圧力に耐えるように、十分に厚くするべきである。 しかし、メンブランは、所望の時間内(たとえば、1時間内)に溶解するに十分な薄さであるべきである。 0.012〜0.025mmの厚さのポリメチルメタクリレートフィルムメンブランは、所望の特質を提供する。 高屈折率樹脂の屈折率と低屈折率樹脂の屈折率との間の中間(平均)値または可変値のような屈折率を有する共重合メンブランが使用されてもよい。

    図3に、瞬間屈折率勾配型プログレッシブレンズ用の成型チャンバーを示す。 その成型チャンバーは、鉛直方向のレンズチャンバー部S1とS2の間に挟まれた溶解可能なメンブランM1を含んでいる。 レンズチャンバー部S1はレンズの遠方視力部A1に相当し、レンズチャンバー部S2はレンズの近方視力部A2に相当する。 レンズチャンバー部S1は、ポートP1から供給された一方の屈折率樹脂で満たされている。 一方、レンズチャンバー部S2は、ポートP2から供給された他方の屈折率樹脂で満たされている。

    メンブランの溶解の前に、下部S2(レンズチャンバー部S2)の樹脂がゲル状に重合された場合に限り、その密度は上部S1(レンズチャンバー部S1)の樹脂の密度より小さくなっていてもよい。 さもなければ、一度メンブランが溶解すると、液体樹脂の不要な混合および再安定を避けるために、高密度の樹脂が下部S2に収容される。 いずれの樹脂も同じ密度を有している場合、どちらかは上部S1または下部S2に位置される。 さらに、上部S1および下部S2は並んで位置されていてもよい。 充填プロセス中、または充填プロセスの終了間近に、成型チャンバーは、ポートP1とP2から気泡を逃がすために傾けられてもよい。

    一度レンズチャンバー部S1、S2が樹脂で満たされると、メンブランは、拡散工程が開始するときまでに、一方または両方の樹脂に溶解される。 必要な拡散が開始した後、所望の勾配率プロファイルを作り、レンズ樹脂は光重合または触媒重合のいずれかによって十分に重合される。 同様に、図3(b)では、円筒形状に湾曲したメンブランが、湾曲界面を得るために使用される。 湾曲したメンブランM2は、屈折率樹脂部N1を製造するレンズチャンバー部S3と屈折率樹脂部N2を製造するレンズチャンバー部S4との間に挟まれる。

    図示していないが、メンブランは傾斜された屈折率配向角を得るために、前方向または後方向に揺らされてもよい。 そのような場合、成型チャンバーは、所望の傾斜角を維持する界面を保証するために、拡散プロセスおよび重合プロセス中、同じ傾斜角で傾いてもよい。 樹脂は、ポートP1、P2から気泡を逃がすために、前述したように傾いた成型チャンバーに充填されてもよい。 さらに、図3(b)のチャンバーは、残存する気泡がメンブランM2の凹部(図3(b)の下方に向いている)の中央の領域に残らないように、図3(c)に示すように、逆さまにされて使用されてもよい。 これにより、残存する気泡は、メンブランの湾曲に沿って成型チャンバーの左右の離れた側を上向きに上昇し、充填ポートP3およびP4に向かう。 これらの領域は、レンズの光学部の領域外になる。

    屈折率ブレンドの製造を促進し速めるさらなる方法は、容器または成型チャンバー(たとえば、上述したメンブラン含有成型チャンバー)の中で、異なる屈折率の樹脂溶液またはモノマー溶液の制御された混合工程を含んでいる。 この目的を達成するために、鉛直方向に隣接する2またはそれ以上の層またはそれと別の隣接する層を構成する樹脂液(異なる屈折率を有する)は、その最上層溶液に分散した微粒子(たとえば、ガラスビーズ)の使用を介して、それらの層の界面でブレンドされる。

    図22は、鉛直方向に配置された成型チャンバーを用いてこのプロセスを模式的に示す図である。 図22において、粒子P(拡大しない)は、それらがレンズチャンバー部S1の上部における上部液体から、界面I(成型チャンバーの中央で点線で示される)に向かっておよび界面Iを介して下降し始めるように示されている。 粒子Pは、上層溶液(レンズチャンバー部S1における液体)の上部に集中されるように示されている。 しかし、それらは、上部液体の至るところに均一に分散されている。 いずれにしても、粒子Pは上部液体から界面Iを経てゆっくりと沈降する。

    粒子は、重力または遠心力で下層溶液に(複数層の場合は下層溶液を経由して)沈降する。 そして、そうすることで、最初の界面レベル(level)の下にブレンドゾーンを形成する。 粒子の直径は、たとえば、粒子の集中状態で、50ミクロンまでであってよい。 同様に、粒子のサイズは、ブレンドの範囲を制御するために選択されてもよい。 粒子の使用がブレンドによって接合される2つの屈折率を有するレンズ形成と関連して図示されるが、粒子の使用は、図3(b)、3(c)と関連して示され、記載されるレンズ作成技術と関連して多数のブレンドで実行される。

    溶液の層を通って粒子を移動させるために使用される力と界(field)は、重力と遠心力だけではない。 帯電粒子または磁性粒子に関しては、電界および/または磁界を使用してもよい。 しかしながら、上層溶液から落ち、沈降する粒子は、隣接する下層溶液へ、界面を通って、上層溶液の少量の粒子を引き付ける。 粒子が液体を通過するにつれて、単成分樹脂被膜はきれいにされる。 粒子は上層溶液から隣接する下層溶液に樹脂を運ぶだけでなく、粒子が通過する領域で溶液を微混合する。 上記のように、この方法は、前述したメンブランシステムを含む、またはそれを含まない成形チャンバーまたは成型チャンバーで使用されてもよい。 プロセスは、金型配置(積層された樹脂溶液が並んで配置される)で実行されてもよい。 そして、その配置の場合において、重力よりも他の界(field)が一方の隣接した溶液から他方の溶液に粒子の横への動きを提供するために必要とされる。

    本発明によれば、図1(b)と1(c)に示される破線2と破線3の位置は、図1(a)に示されるY方向に著しく変化するかもしれない。 図1(b)に示されるように、破線2は中央線CLの2mm下に位置している。 そして、破線3は、破線2の18mm下に位置している。 それによって、遠方視力部の下部と近方視力部の上部との間の長さが18mmであるプログレッシブ中間視力部を提供している。 一方、たとえば、図1(c)に示されるように、破線2は中央線CLの3mm下に位置している。 そして、破線3は、破線2の10mm下に位置している。 それによって、遠方視力部の下部と近方視力部の上部との間の長さが10mmであるプログレッシブ中間視力部を提供している。

    本レンズのプログレッシブ中間視力部の範囲(extent)は、非球面プログレッシブ設計の典型的な非点収差を悪化させることなく、非球面プログレッシブレンズで典型的に提供される範囲よりも小さい。 この特別な特性は、非球面プログレッシブレンズの設計にわたって、この開示によって教示される勾配率設計の大きな利点として示される。 この開示によって教示されるようないわゆる“ソフト”レンズは、プログレッシブ中間視力部のY範囲が大きくなると達成される(18mmの長さを有するバージョン)。

    一方、いわゆる“ハード”設計は、プログレッシブ中間視力部のY範囲が小さくなると達成される(10mmの長さを有するバージョン)。 前述したように、勾配プロファイルは、変化の割合(変化率)に従う。 その変化率は、規則的で連続しており、1/2正弦波の曲線または正弦波状の曲線のπ/2〜3π/2の位置に相当するような範囲にわたって一般的に特徴づけられている。 したがって、遠方視力からプログレッシブ中間視力を介した近方視力で気になるような不連続性はない。

    図4は、球面曲率R1、R2、R3の関係する値を表す表である。 それは、図1(a)、1(b)、1(c)で模式的に描かれているレンズの例を示している。 各レンズ1〜7は、前部レンズ部Aの0.05mmの一定なエッジ厚さと、後部レンズ部Bの0.25mmの一定な中心厚さとを有している。 それらのレンズは、表に示されるように、実施例(レンズ#1〜#7)のレンズでそれぞれわずかに異なる全レンズ中心厚さおよび前レンズエッジ厚さを有している。

    図4の表の右から二列は、円錐定数値と各実施例の非球面型の付加的な情報を示している。 図4とすべての次のレンズ実施例において、円錐定数CCは、半径R、中心厚さCT(mm)およびエッジ厚さET(mm)とともに示されている。 そして、円錐定数値が計算されたレンズ表面を示す前部の(a)および後部の(p)とともに示されている。 半径、中心厚さおよびエッジ厚さの値は、球面レンズにのみ関係する。

    レンズ1〜7は、レンズの遠方視力部における'0'ジオプターの度数と、レンズの近方視力部における2.5ジオプターの加入度とを提供する。 このレンズの加入度数と他のすべての加入度数は、ジオプター(diopters)の単位であり、1000/有効焦点距離として計算される。 レンズの遠方視力部における“0”度数の選択は、正眼視を担う遠方視力の標準を表す。 そして、少なくとも+/−1e+009の有効焦点距離と等しいように計算される。 本発明のレンズが患者の処方箋にしたがって加工されるとき、実験室作業のような修正を必要とする。

    しかし、いくつかの処方箋の値が正視から離れるジオプター(diopters)の単位であるので、正視に相当する“0”度数の基礎標準はこの明細書中ですべての計算に保持される。 すべての半径と度数の計算は、ヘリウムd線(587.56mm)で計算された屈折率ndに基づいている。 患者の処方箋にしたがった表面5の修正(alteration)(加工)は、他の機能を必要とするか、他の機能を提供する。 他の機能は、遠方視力度数と近方視力度数の両方を修正するが、レンズによって提供される加入度数を変化させない。 これらのレンズは、以下の付加的な屈折率パラメーターを有している。

    式2

    N1=1.46
    N2=1.46〜1.7勾配 N3=1.7
    N4=1.58

    前述したように、屈折率、加入度、レンズ層厚さ、遠方視力部の“0”度数に関し、可能なレンズ形状のフルレンジにわたってR1、R2、R3の関係に関する付加的な定数が図4に見られる。 図4に示されるように、付加定数は、曲率関係と、性能数またはCRENとして表される。 CRENは、この開示にしたがって構成されるレンズの両表面の半径間の関係を規定する数値である。 そしてそれは、上述した“0”度数標準に基づいて、ジオプター(diopters)の単位で表される。 CRENはまた、全湾曲凸面特質ジオプターまたはレンズの“グロス沈下(gross sag)”を表す。 そして、すべての場合において、CREN値は、プラス値であり、レンズの加入度数よりも大きい。 この開示によって構成される各レンズは、CREN数(値)によって規定される。 そして、すべての次のレンズ実施例のCREN値は、レンズパラメーターを規定する他のパラメーターとともに表される。

    各レンズが、対象回転表面と関連した屈折率変化による加入度数を提供するために追加の容積(bulk)または“凸面”を必要とするということは、この開示によって作られるレンズの性質である。 さらに、レンズの遠方視力部と近方視力部との間の度数差または加入度を得るために必要とされるレンズ層Aの増大されたプラス度数は、マイナス度数のレンズ層Bによるレンズの遠方視力部において、患者の処方箋値または参照“0”度数に減少されなければならない。 こうして、レンズの“グロス沈下(gross sag)”はさらに増大される。 CREN数(値)は、(効率が最も低く、容積が最も大きいとき、)1〜3.5ジオプターの加入度を有するレンズで40〜50の間から、(効率が最も高く、容積が最も小さいとき、)同じ加入度で約3〜11の間に、変動する。 そのような高い効率値は、最小厚さのレンズを提供する。 CREN値は次のような式で計算される。

    式3

    1000/R1+2(1000/R2)+1000/R3=CREN
    (ただし、R1は凸面のときプラスを表し、凹面のときマイナスを表し、R3は凹面のときプラスを表し、凸面のときマイナスを表し、R2はその湾曲がレンズ部Aに対して凸面のときプラスを表し、その湾曲がレンズ部Aに対して凹面であるときマイナスを表す。)

    レンズの遠方視力部に“0”以外の他の度数を組み込んだレンズに対しては、CREN値は、加入度数または処方箋値を最初に削除(canceling)し、そして、計算をすることで決定されてもよい。 低CREN値を有するレンズは、レンズの容積(bulk)や臨界厚さが最も小さくなることが最も望ましい。 レンズの上部側面と下部側面との間の屈折率差(RID)が最も小さくなる時(表の上部で示されるように約0.08〜0.16)、CREN数(値)は最も高い。 そして、RIDが最も大きくなる時(表の下部で示されるように約0.60以上)、CREN数(値)は最も低い。 中間および高RID値は、前部レンズ部Aの屈折率勾配プロファイルを作るために、極めて高い屈折率を有する光学樹脂成分と、極めて低い屈折率を有する光学樹脂成分との両方を一緒に使用することで得られる。

    本実施形態のレンズは、0.24(1.7−1.46=0.24)のRID値を有する。 屈折率勾配層の材料として選択される2つの物質成分は、上記レンズの例よりも比較的高い屈折率値または比較的低い屈折率値を有している。 しかし、それらは、同じRID値を産生し、R1とR2の計算された値はR3を除いて実質的に同じである。 そのため、計算されたCREN値は、後部レンズ部Bの屈折率の変化ない屈折率と異なる。 相当する方向における後部レンズ部Bの屈折率を調整することで、R3とCREN値の同じ値が作り出される。 それにもかかわらず、低CREN値および優れた光学特質を実現するために、レンズ層Bの屈折率は高くなるべきである。 高RID値は、大きい屈折率差を有する光学樹脂成分を使用して得られる。

    たとえば、0.32のRID値は、屈折率勾配プロファイルを作成するために、1.74の高屈折率成分とともに1.42の低屈折率樹脂成分を使用して得られる。 レンズのRID値は、この開示によって教示される方法に従って、2倍の値に増大される。 すなわち、第5実施形態で述べられる手段によって、2つの樹脂成分の屈折率差の最大値(たとえば、0.64)に増大される。

    図5は、屈折率勾配層のRIDとレンズの加入度数にしたがって、第1実施形態のレンズのCREN値を示す表である。 すべての計算の屈折率値は、図4との関係で前述した値である。 表における加入度数は1〜3.5ジオプターの範囲である。 レンズの形を除いてすべて同じパラメーターを有する上記例のレンズのCREN数(値)は、18.436〜18.729の範囲で変化する。 そのCREN数(値)は、前述した0.24のRIDと2.5のジオプターの加入度の交点で、カテゴリーに示された18.07〜19.10の主な部分を規定する。

    チャート上のカテゴリーのその範囲は、図4に含まれない付加レンズ形状を含むために18.07〜19.10の実施例のレンズの数値範囲を超えた2%まで拡大されている。 同様に、図5における他のカテゴリーの範囲は、2%まで拡大されている。 18.07〜19.10のCREN値の範囲は、本件出願の開示にしたがって作られる屈折率勾配レンズのうちで、(中間の効率ではあるが)特に使用に適したレンズのグループを示している。

    表から見られるように、(最も効率的な設計を表している)低CREN数範囲は、加入度数が最も小さく、RID値が最も大きい場所に位置する。 小さい曲率変化が非球面プログレッシブレンズで必要とされるように、低加入度数は小さい屈折率変化を必要とする。 図5のチャートにおける最も効率的なCRENカテゴリー(3.05〜3.19)は、1ジオプターの加入度を提供するために、およそ3ジオプターの容積(bulk)または“グロス沈下(gross sag)”の総量を設計する。 高CREN値を有する場合、(レンズの)容積(bulk)が大きくなると、凸の内部界面半径を有していても、曲率R1とR3が急勾配になる。 したがって、高CREN値にとって、有用な形の限定がある。

    たとえば、内部凸界面R2が急勾配な曲率半径105.809mmを有していても、0.16RIDと、41.18のCREN値とを有する3.5ジオプターの度数のレンズ(add lens)は、前部面および後部面の両面で曲率がかなり急勾配となる。 すなわち、前面部で80.0mmの凸面R1曲率となり、また後面部で−102.242mmの凹面R3曲率となる。 内部凸界面R2が−400mmの曲率を有するとともに、上記例と同じ0.16のRID値を有する同じ3.5ジオプターのレンズ(add lens)は、42.739mmの凸面R1曲率と、−46.144mmの凹面R3曲率と、40.07のCREN値とを有する。

    このような急勾配なレンズは、80.0mmの凸面R1曲率を有するレンズと比較してよりよい光学特質を有するが、装飾的な観点からは、そのような大きく湾曲されたレンズは好ましくないように思える。 それにもかかわらず、図5の各CREN値の範囲は、上述したような急勾配型を含むレンズ形状の範囲から計算される。 著しく非効率な設計を表す50以上のCRENカテゴリーは、これらのCREN値を有するレンズはそれらの厚さ、重量、高曲率の点で用途が限られるので、このチャートに含まれていない。

    表はまた、屈折率勾配の第1の層のほぼ最大のRID、または、1つのレンズ層だけが屈折率勾配を含む場合には、レンズの最大RIDを示している。 0.32RIDレベルに位置している区分(demarcation)は、極めて高い屈折率および極めて低い屈折率の両方を有する有効な相溶性のある光学樹脂の使用に基づいている。 高い屈折率および低い屈折率の両方を有する他の物質は大きいRIDを得るために使用される。 そのような場合において、潜在的なCREN値は低いかもしれない。 前述したように、RIDを増大させ、CREN値を減少させるために、逆方向に2つの屈折率勾配プロファイルを使用することは、可能である。 そのような場合において、第1のラインを超え、“レンズのおおよその最大RID”までの値が適用できる。

    代わりに、2つの逆方向勾配屈折率(屈折率勾配)層がより適度な屈折率を有する物質で製造され、その結果、各RID値が図4のレンズにおけるレンズ層AのRID値よりも小さいとき、付加的なRIDが、最大RIDを有する1つの屈折率勾配層のみを有するレンズのRIDを超えるかもしれない。 それによって、とても有効で薄いレンズが製造される。 上述したように、屈折率、RID、加入度数、レンズ層Aの一定なエッジ厚さ(0.05mm)と、レンズ層Bに対する一定な中心厚さ(0.25mm)とを含む種々の定数を有するレンズ群(family)は、CREN値として計算されたR1、R2、R3との間の特定な関係によって規定される種々の形状を有することができる。

    そのため、異なるベースカーブとレンズ形状を有する場合には、R2は、レンズの遠方視力部を介して特定された基準“0”度数と加入度数を得るための特別な値でなければならない。 図1(a)、1(b)、1(c)、および図4から、R2は、可能なレンズ形状の範囲にわたって、平坦な凸面R1曲率と凹面R3曲率とで(レンズ層Aに対して)より大きい凸性の方向に、および、急勾配の凸面R1曲率と凹面R3曲率とで(レンズ層Aに対して)より凹性の方向に湾曲性を発揮することによって、典型的にR1とR3に一致(相当)する。

    図6は、R2のジオプター値の範囲に対して、R1とR3の曲率のジオプターをプロットする関係を示すグラフである。 グラフは、内部界面R2が内部凸界面、内部平界面、内部凹界面の曲率を有する図4のレンズのCRENファミリーの例をプロットしている。 そして、グラフは、上述されたCREN値の方程式を満足する。 表面ジオプターに変換される方程式は、以下に示される。

    式4

    D1+2・D2+D3=CREN

    さらに、この開示に従って作られたレンズのユニークで特定する性質を説明する。 屈折率値N1、N2、N3およびN4が実施例のレンズの屈折率と異なっているとき、当然に、示される相関的な値は変化する。

    上述した優れた光学特質は、形状の広い範囲にわたった球面を使用して得られる。 この場合、大きく湾曲された表面を有するレンズは、わずかな非点収差およびよい焦点を得る傾向にある。 図4に示される円錐定数値の大きさは、矯正が必要とされる程度を示している。 また、その大きさは、どの実施例のレンズ設計がほとんどもしくは全く非球面化なしでよりよく機能するかを示している。 図4から明らかなように、イクザンプルレンズ(実施例のレンズ)#7は、最も高いCREN値および最も平坦なR1、R3の曲率値を有しており、−14.879の理論円錐定数値として計算される最も大きな矯正量を必要とする。

    反対に、たとえば、最も小さいCREN値を有する急勾配レンズ#1は、ほとんどまったく矯正を必要としない。 非球面曲率を有するこの開示にしたがって作られたレンズの矯正は、度数として、すべてのレンズ部に最適な視覚化を提供することができない。 そのため、矯正量はレンズ全体にわたって変化することに注意されたい。

    一般的にいえば、その形状にかかわらず、少ない矯正がレンズの遠方視力部の上部に必要とされる。 そのため、平面形状のレンズに対して挙げられた円錐定数値より小さい円錐定数値は、いくつかの矯正がレンズの遠方視力部における光学特質の損失なしで達成されるように選択される。 非球面矯正をわずかに必要とするやや急勾配なレンズ形状は、平面レンズによる装飾的なアピールが第1の関心事ではないとき、替わりのレンズを提供するかもしれない。 そして、図4に挙げられたイクザンブルレンズの中では、たとえば、レンズ#6レンズ#7に対する優れた代替レンズとなり得る。

    CREN値を精度よく計算するために使用可能な非球面のたった一つ(共通)の半径値はないので、各非球面に対して最も適した球面(最良適合球面)を代わりに使用することは、CREN数(値)のより精度のよい計算を提供する。 マイナスの円錐定数値を有するレンズの最良適合球面の半径は、円錐の曲率頂点半径(apical radius)より常にわずかではあるが大きく湾曲している。 そのため、計算されたCREN値は低くなる。 たとえば、レンズ(#7)の非球面の曲率頂点半径(図4には掲載されていない)の代わりに195.1687mmの最良適合球面半径を使用すると、再計算されたCREN数は18.419である。 比較すると、この値はレンズ#1のCREN値に近く、ほとんど矯正を必要としない。

    レンズ#1から#7の非球面型の最良適合球面対応物を使用することで得られるすべての再計算されたCREN数は、図4の表に示されている。 図4の表から分かるように、すべての最良適合球面のCREN値は、互いに近接しており、レンズ#1のCREN値に近いものになっている。 それは、非球面矯正を必要としないという観点から、実際的には最適かもしれない。 したがって、狭いCREN範囲は、共通の光学特質を共有するレンズ形状のファミリーを規定するということができる。 それにもかかわらず、図4に示されているようなより狭い範囲よりむしろ、前述したような広いCREN範囲が、非矯正球面レンズが利用される場合において、図5の表に示される。

    図7(a)、7(b)、7(c)、7(d)は、この開示に従った第1実施形態のレンズの4つの変形例(version)を示している。 図7(a)〜7(d)において、屈折率勾配(refractive index gradient)の配向角Xは異なっている。 屈折率勾配の配向角(refractive index gradient orientation angle)は、表面(たとえば、平面)の少なくとも1部を規定する角度を意味する。 この面は、実質的に一定の屈折率である屈折率勾配と交差する。 屈折率勾配の配向角を適切に選択することで、患者の特定の凝視角でレンズの屈折率勾配を介した視覚は(図において、線COによって表されている)、最適化され、収差やぼやけがない。 その収差やぼやけは、勾配を通しての患者の視先が屈折率が一定でない角度で斜めに傾いているときに結果として生じる。 すなわち、そのような収差やぼやけは、図7(a)に示されるように、配向角が“0”または凝視角と異なっているときに生ずる。

    レンズの屈折率勾配領域を介して見たときの患者の凝視角に近いあるいは等しい配向角を得る2つの方法がある。 第1の方法は、レンズの中心部を通って真っ直ぐ前方方向を見るとき、患者の凝視角に対してメガネフレーム内のレンズを傾ける方法である。 傾斜のプラスの角度が約8°であると、図7(b)に示すように、レンズの上部の遠方視力部はレンズの他の領域に対して前方(図7(b)右側)に傾いている。 小さい傾斜は、レンズのプログレッシブ中間視力部の上部に対して配向角基準を満足するだけでなく、レンズの下部を通って見られる物体のやや改善された視覚もまた提供する。 なぜなら、物体から目に通る光線の束とレンズを通る光線の束は、光の束が透過する表面位置に対してほぼ法線(直交する)角度で通るからである。

    プラスの勾配率配向角(positive gradient index orientation angle)を得るための第2の方法は、図7(c)に示すように、患者がレンズのプログレッシブ中間視力部の選択された領域を見るとき、凝視角により近づいて対応するように勾配率部内の勾配媒体(gradient medium)を傾けることである。 配向角Xは、図7(d)に示すように、勾配率部全体を介して瞬間的な凝視角にさらに近づいて対応するように、レンズのプログレッシブ中間視力部を通って変化する。 すなわち、図7(d)に示すように、その配向角は約8°〜18°に変化する。 レンズに対して勾配媒体の一定なまたは可変する傾斜とレンズの前方傾斜を組み合わせることで、所望の勾配率配向角を得ることができる。

    目の瞳孔はポイントでなく、むしろ昼間の視覚においては直径4mmの平均領域をカバーするので、患者の凝視角に対応しない配向角から生じる視覚の乱れは、完全に避けることができない。 しかし、それでもなお、視覚の改善が勾配率配向角を調節することによって達成される。 これは、プログレッシブ中間視力領域の範囲が大きいときは(約15〜20mm)、それほど重要ではない。 しかし、プログレッシブ中間視力領域の範囲が小さいときは(約10〜15mm)、より重要である。 本実施形態で示されるように、勾配率配向角は、(本実施形態のように)勾配率部がレンズのプラス度数部のみを含むとき、比較的重要である。 この場合において、まっすぐ前を凝視する患者は勾配率部の最も厚い部を見ている。

    勾配率配向角は、勾配率部がレンズのマイナス度数部のみを含むとき、比較的重要ではない。 そのような場合において、まっすぐ前を凝視する患者は勾配率部の最も薄い部分を見ている。 前述したように、マイナス度数の横断勾配率の実施形態は図8に示される。

    図8は、本発明の第2実施形態のダブレットレンズの構成を示している。 前部レンズ部Aはレンズの勾配率部(gradient index section)を含み、後部レンズ部Bはレンズの全体的に一定な屈折率部(refractive index section)を含む。 前部レンズ部Aはマイナス度数を有し、後部レンズ部Bはプラス度数を有する。 図8に示された例において、内部湾曲界面R2は凹面である。 この実施形態において、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へレンズのプログレッシブ中間視力部を介して減少する。 したがって、中間視力および近方視力の度数は、徐々に増加している。

    図8におけるレンズ層Aは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 A1はレンズの遠方視力部に相当し、A2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、A3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部A2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部A1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部A3の上側面を指定する。

    プログレッシブ中間視力部A2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する遠方視力部A1の屈折率N1の高屈折率値と等しい高屈折率値から、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する近方視力部A3の屈折率N3の低屈折率値と等しい低屈折率値に減少する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率(rate)になっている。 破線2と破線3によって示されるように、8°の屈折率配向角がレンズの本体内の屈折率媒体を傾けることによって得られる。 そして、破線2と破線3の間に位置する屈折率勾配プログレッシブ中間視力部の範囲(広さ)は12mmである。

    図8における後部レンズ部Bは、光学的透明物質で構成されている。 その物質の屈折率N4は、全体的に一定である。 レンズ層Aの前部表面4は半径値R1を有する曲率を有している。 内部界面Iは曲率R2を有している。 後部レンズ部Bの後部表面5は半径値R3を有する曲率を有している。

    前の実施例に関するように、R1、R2、R3の値は、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における2.5ジオプターの加入度数とを提供するレンズに基づいている。 この実施例のレンズおよび次のすべての実施例のレンズにおいて、屈折率勾配の配向角(°)(OA)およびプログレッシブ中間視力部の範囲(IE)(mm)は、屈折率の値(N1〜N4)、CRENの値、半径の値(R1〜R3)(mm)および厚さの値(CT、ET)(mm)とともに示される。 本実施形態による3つの屈折率勾配型プログレッシブレンズのパラメーターの典型的な値を以下に示す。

    図9は、この詳細な説明に示す第3実施形態のダブレットレンズの構成を示している。 図9における、前部レンズ部Aはレンズの全体的に一定な屈折率部を含み、後部レンズ部Bはレンズの勾配率部を含む。 前部レンズ部Aはマイナス度数を有し、後部レンズ部Bはプラス度数を有する。 提供された例において、内部湾曲界面R2は、前部レンズ部Aに対して凹面である。 この実施形態において、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へ勾配(後部)レンズ部Bのプログレッシブ中間視力部を介して増大する。 したがって、中間視力および近視力の度数は、徐々に増加する。

    前述した図示された実施例に示すように、レンズを特定かつ規定する似たような取り決めを使用して説明するに、図9における後部レンズ層Bは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 B1はレンズの遠方視力部に相当し、B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、B3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部B2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部B1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部B3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部B2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する遠方視力部B1の屈折率N1の低屈折率値と等しい低屈折率値から、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する近方視力部B3の屈折率N3の高屈折率値と等しい高屈折率値に上昇する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    前部レンズ部Aは、光学的透明物質で構成されている。 その物質の屈折率N4は全体的に一定であり、変化しない。 レンズ部Aの前部表面4は、半径値R1を有する曲率を有している。 内部界面Iは、湾曲R2を有している。 後部レンズ部Bの後部面5は、半径値R3を有する曲率を有している。 破線2によって示されるように、8°の屈折率配向角(OA)が、患者の凝視角に対してレンズ傾けることによって得られる。 両方のレンズは、10mmのプログレッシブ中間視力範囲(広さ)(IE)を有している。

    R1、R2、R3の値は、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における2.0ジオプターの加入度数とを提供するレンズに基づいている。

    図10(a)、10(b)、10(c)は、この開示に従って構成される第4実施形態の3つのダブレットレンズの構成を示している。 これらのレンズにおいて、前部レンズ部Aはレンズの全体的に一定な屈折率部を含み、後部レンズ部Bはレンズの勾配率部を含む。 前部レンズ部Aはプラス度数を有し、後部レンズ部Bはマイナス度数を有する。 この例において、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へ屈折率勾配(後部)レンズ部Bのプログレッシブ中間視力部を介して減少する。 したがって、中間視力および近方視力の度数は、徐々に増加している。

    図10(a)は、内部湾曲界面R2が凹面である典型的なレンズを示している。 図10(b)は、内部湾曲界面が平面であるレンズ典型的なレンズを示している。 図10(c)は、内部湾曲界面が凸面である典型的なレンズを示している。 図10(a)〜10(c)において、後部レンズ層(部)Bは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。

    B1はレンズの遠方視力部に相当し、B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、B3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部B2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部B1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部B3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部B2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する遠方視力部B1の屈折率N1の高屈折率値と等しい高屈折率値から、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する近方視力部B3の屈折率N3の低屈折率値と等しい低屈折率値に減少する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    前部レンズ部Aは、光学的透明物質で構成されている。 その物質の屈折率N4は全体的に一定である。 レンズ部Aの前部表面4は、半径値R1を有する曲率を有している。 内部界面Iは、湾曲R2を有している。 後部レンズ部Bの後部面5は、半径値R3を有する曲率を有している。

    図10(b)において破線2と破線3によって示されるように、8°の屈折率配向角(OA)が、患者の凝視角に対してレンズを傾けることによって得られる。 図10(c)のレンズは、レンズの前方への傾斜4°と、レンズ内の屈折率媒体の傾斜4°を組み合わせた角度を有している。 それによって、8°の全配向角傾斜を提供している。 これらのレンズは、8mmのプログレッシブ中間視力範囲(広さ)(IE)を有している。

    図10(a)、10(b)、10(c)において図視された実施例(第4実施形態)のレンズが表すR1、R2、R3の相関値は、屈折率値とともに、以下の表に示される。 これらのレンズは、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における2.5ジオプターの加入度数とを提供する。

    図11(a)、11(b)は、この開示に従って作られる第5実施形態の2つのダブレットレンズの構成を示している。 これらの実施形態において、1つの図のみが可能な形状の範囲を説明するために使用される。 凸面、平面、凹面の内部界面を有するレンズがこの開示にしたがって説明されるということが前述した実施形態および実施例から理解できる。 これらのレンズにおいて、前部レンズ部Aと後部レンズ部Bの両方がレンズの屈折率勾配部を含んでいる。

    隣接するプラス度数部およびマイナス度数部における逆屈折率勾配層のペアセットを使用することで、各層の屈折率差(RID)は付加的に結合されてもよい。 その屈折率差(RID)は、単屈折率勾配層によって実現されるよりはるかに優れたRID値をもたらしている。 それによって、次の実施形態および実施例で見られるように、低曲率またはより平面な曲率を有する高加入度を得るとともにレンズ厚さを減少させる手段とを提供している。

    図11(a)に示す実施例では、前部レンズ部Aはプラス度数を有し、後部レンズ部Bはマイナス度数を有する。 前部レンズ部Aの屈折率は、遠方視力部から近方視力部へそのプログレッシブ中間視力部を介して増加する。 そして、後部レンズ部Bの屈折率は、遠方視力部から近方視力部へそのプログレッシブ中間視力部を介して減少する。 したがって、この配置(構成)では、中間視力および近方視力の度数が徐々に増加する。 レンズ層Aは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 A1はレンズの遠方視力部に相当し、A2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、A3はレンズの近方視力部に相当する。

    プログレッシブ中間視力部A2は、レンズの破線2aと破線3aとの間に位置している。 そして、破線2aは屈折率がN1である遠方視力部A1の下側面を指定し、破線3aは屈折率がN3の近方視力部A3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部A2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する遠方視力部A1の屈折率N1の低屈折率値と等しい低屈折率値から、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する近方視力部A3の屈折率N3の高屈折率値と等しい高屈折率値に増加する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。 レンズ層Bは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 B1はレンズの遠方視力部に相当し、B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、B3はレンズの近方視力部に相当する。

    プログレッシブ中間視力部B2は、レンズの破線2pと破線3pとの間に位置している。 そして、破線2pは屈折率がN4である遠方視力部B1の下側面を指定し、破線3pは屈折率がN6の近方視力部B3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部B2の屈折率N5は、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する遠方視力部B1の屈折率N4の高屈折率値と等しい高屈折率値から、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する近方視力部B3の屈折率N6の低屈折率値と等しい低屈折率値に減少する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    図11(a)において、レンズ部A、Bの各屈折率勾配部を表す破線2a、3a、2p、3pは、協働し、位置合わせされたレンズの視力部を提供するために位置合わせされている(調整されている)。 その位置合わせによって、屈折率勾配部が共通のレベルおよび範囲を共有するということを意味する。 また、位置合わせされているということは、2つの屈折率勾配部の上部面と下部面の配向角を規定する表面が全体的に一致するということを意味する。 本実施例のレンズの屈折率勾配配向角(OA)は、8°である。 それは、レンズの本体内の屈折率媒体を傾けることによって得られる。 また、プログレッシブ中間視力部の範囲(広さ)(IE)は14mmである。

    レンズ部Aの前部表面4は、半径値R1を有する曲率を有している。 内部界面Iは、曲率R2を有している。 後部レンズ部Bの後部面5は、半径値R3を有する曲率を有している。 凹面、平面および凸面の内部湾曲界面を有する実施例のレンズに表されるR1、R2、R3の相関値は、関連するCREN値、屈折率値(N1〜N6)、レンズ厚さ(CT、ET)、および光学的円錐定数値(CC)とともに以下の表に示される。 実施例の3つのレンズは、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における2.5ジオプターの加入度数とを提供する。

    以下に示す実施例の3つのレンズは、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における3.5ジオプターの加入度数とを提供する。

    図11(b)に示すように、前部レンズ部Aはマイナス度数を有し、後部レンズ部Bはプラス度数を有する。 前部レンズ部Aの屈折率は、遠方視力部から近方視力部へそのプログレッシブ中間視力部を介して減少する。 そして、後部レンズ部Bの屈折率は、遠方視力部から近方視力部へそのプログレッシブ中間視力部を介して増大する。 したがって、この配置(構成)は、中間視力および近方視力の度数が徐々に増加することを表している。

    レンズ層Aは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 A1はレンズの遠方視力部に相当し、A2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、A3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部A2は、レンズの破線2aと破線3aとの間に位置している。 そして、破線2aは屈折率がN1である遠方視力部A1の下側面を指定し、破線3aは屈折率がN3の近方視力部A3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部A2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する遠方視力部A1の屈折率N1の高屈折率値と等しい高屈折率値から、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する近方視力部A3の屈折率N3の低屈折率値と等しい低屈折率値に減少する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    図11(b)に示されるレンズ層Bは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 B1はレンズの遠方視力部に相当し、B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、B3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部B2は、レンズの破線2pと破線3pとの間に位置している。 そして、破線2pは屈折率がN4である遠方視力部B1の下側面を指定し、破線3pは屈折率がN6の近方視力部B3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部B2の屈折率N5は、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する遠方視力部B1の屈折率N4の低屈折率値と等しい低屈折率値から、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する近方視力部B3の屈折率N6の高屈折率値と等しい高屈折率値に増大する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    図11(b)において、レンズ部A、Bの各屈折率勾配部を表す破線2a、3a、2p、3pは、レンズの度数の修正された変化率(modified rate)を提供するために正しく位置合わせされていない。 破線2a、3a、2p、3pが位置合わせされていないことによって、屈折率勾配部が共通のレベルまたは共通の範囲のいずれかまたはいずれもを共有しないことを意味する。 また、この正しく位置合わせされていないということは、2つの屈折率勾配部の上部面と下部面の配向角を規定する表面が全体的に一致しないということを意味する。 互いに隣接するレンズ部の2つの屈折率勾配部は、一方の屈折率勾配部が隣接するレンズ部の他方の屈折率勾配部のレベルより上または下に配置されるように位置合わせされていなくてもよい。

    図11(b)において、後部レンズ部Bの破線2pおよび3pによって規定される屈折率勾配部は、前部レンズ部Aの破線2aおよび3aによって規定される屈折率勾配部より下3mmに配置されている。 それによって、勾配率部の境界で小さい屈折率変化率を提供し、極端な場合に、プログレッシブ中間視力部のより緩やかな(漸進的な)度数変化をもたらしている。

    本実施例のレンズの各屈折率勾配の配向角(OA)は、8°である。 それは、前述したように、レンズの前方への傾斜によって得られる。 また、プログレッシブ中間視力部の範囲(広さ)(IE)は10mmである。 レンズ部Aの前部表面4は、半径値R1を有する曲率を有している。 内部界面Iは、曲率R2を有している。 後部レンズ部Bの後部面5は、半径値R3を有する曲率を有している。 凹面、平面および凸面の内部湾曲界面を有する実施例のレンズに表されるR1、R2、R3の相関値は、関連するCREN値、屈折率値(N1〜N6)、レンズ厚さ(CT、ET)、および光学的円錐定数値(CC)とともに以下の表に示される。 実施例の3つのレンズは、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における3.0ジオプターの加入度数とを提供する。

    図12(a)、12(b)は、この開示に従って作られる第6実施形態の2つのトリプレットレンズの構成を示している。 これらの実施形態において、1つの図のみが可能な形状の範囲を説明するために使用される。 図12(a)、12(b)のレンズは、図11(a)、11(b)の第5実施形態のレンズと同じ特質および同一の屈折率部N1、N2、N3、N4、N5およびN6を有する。 前部レンズ部Aと後部レンズ部Bの両方は、レンズの屈折率勾配部を含んでいる。 加えて、図12(a)、12(b)におけるレンズは、患者の処方箋にしたがって得られた第3の結合レンズ層Cを有している。 後部レンズ部Cは、屈折率N7が全体的に一定である光学透明物質で構成する。

    図12(a)において、レンズ部Cはレンズ部Bと隣接して位置され、そのため、レンズの最後部層となっている。 図12(b)において、レンズ部Cは、レンズ部Aと隣接して位置され、そのため、レンズの最前部層となっている。 いずれの形態においても、レンズ部Cは、レンズ部Aまたはレンズ部Bのいずれかに隣接して位置されている。 レンズブランク形状において、図12(a)のレンズは、患者の処方箋にしたがって加工された十分な厚さのレンズ部Cを有している。 レンズ部Cの最終中心厚さは、0.25mmと同じくらいの厚さである。

    種々の内部湾曲界面R2を有する2つの実施例のレンズのR1、R2、R3およびR4の相関値は、関連するCREN値、屈折率値(N1〜N7)、レンズ厚さ(CT、ET)、および光学的円錐定数値(CC)とともに以下の表に示される。 CREN数(値)を決定するための方程式は、付加的なレンズ層Cに相当する値を含むために修正される。 そして、以下のように、表面ジオプターで表される。

    式5

    D1+2・D2+D3+(D3−D4)=CREN
    (ただし、D1、D3、D4は、それぞれ、R1、R3、R4の表面ジオプターの絶対値であり、R2の表面度数(surface diopter power)であるD2は、その湾曲がレンズ部Aに対して凸面であるときはプラスであり、その湾曲がレンズ部Aに対して凹面であるときはマイナスである。(D3−D4)は、符号のない値である。)

    最小容量(minimum bulk)または“グロス沈下(gross sag)”および最大CREN効率を有するレンズを提供するために、レンズ部AおよびBの両方がレンズのプログレッシブ加入度数を提供するために多かれ少なかれ等しく共有することが好ましい。 レンズ部Cの厚さを上記した0.25mmの中心厚さよりも大きい値にすることで、レンズのCREN値と光学性能効率をわずかに増大させることができる。 わずかに平坦化されたレンズ曲率のいくつかをそうすることによって、レンズの全体の厚さは増大するが、性質のバランスは取れている。 改善された光学特性を提供し、CREN効率を増大させ、レンズ厚さと容量を減少させるために、レンズ部Cの中心厚さは0.25〜1.0mmであることが好ましい。

    レンズの遠方視力部におけるプラス度数を必要とする患者の処方箋に関し、レンズ部Cの中心厚さは1mmを超えていてもよい。 反対に、レンズの遠方視力部におけるマイナス度数を必要とする患者の処方箋に関し、レンズ部Cと全レンズのエッジ厚さは増大する。 以下のレンズの実施例において、0.5mmの中心厚さがレンズ部Cのために選択される。 加えて、利便性のため、薄いレンズ部Cを利用することを可能とする患者の処方箋を提供するために、レンズ部BのR3値に等しいレンズ部CのR4値は、レンズ部Cがレンズ部Bに隣接するとき、以下の実施例で使用される。

    また、レンズ部AのR1値に等しいレンズ部CのR4値は、レンズ部Cがレンズ部Aに隣接するとき、以下の実施例で使用される。 レンズ部Aとレンズ部Bが、度数符号(+または−)と、屈折率勾配プロファイルの方向性(orientation)との両方とも反対であるように、2つのレンズ部の約50%度数を共有することによって、レンズの屈折率差またはRID値を倍まで大きくする機会がある。

    これにより、レンズ部間の百分率機能を変える(shift)ことができ、また、優れた光学特質を維持することもできる。 しかし、そうすると、レンズのグロス沈下と、CREN値の両方は大きくなる。 百分率の変化(shift)は、レンズ部Aまたはレンズ部Bのいずれにとっても有利である。 たとえば、レンズ部Aの有利な変化は、レンズ部Aの表面度数(surface diopter power)と中心厚さとの増大と、レンズ部Bの表面度数とエッジ厚さの減少とをもたらす。 百分率変化は、(レンズ部Aがすべての動作をしている場合)部分的または100%に等しく、かなりの急勾配である。 そして、レンズ部Bは、レンズの加入度機能に寄与しないで、実質的に平面レンズになる。 この場合において、レンズは、第1の実施形態のレンズと実質的に同じである。

    レンズの屈折率勾配部を含む1つのレンズ部だけがある。 したがって、第6実施形態のレンズが、最大効率値から屈折率勾配を有する1つのレンズ部だけを有するレンズのおおよその最大効率値まで変動するCREN値を有しているということが理解される。 この最大効率値は、加入度が発生しているレンズ部AとBの両方の最適な共有および組み合わせから生じる。

    以下のレンズ12(a)のパラメーターにおいて、カッコ内のCREN値は、レンズ部Aが100%の加入度数を提供し、レンズ部Bが何も提供していないときのCREN値を表す。 そして、以下のレンズ12(b)のパラメーターにおいて、カッコ内のCREN値は、レンズ部Bが100%の加入度数を提供し、レンズ部Aが何も提供していないときのCREN値を表す。 各実施例のレンズのCREN値は、これらの2つの値の間の範囲にある。 これらの2つの値は、各部がレンズの加入度数に寄与する百分率に基づいている。

    配向角OAと、プログレッシブ中間視力部範囲IEは、図11(a)、11(b)の実施例のレンズと同様である。 そして、それは、以下のレンズパラメーターに示されていない。 これらのレンズは、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における3.5ジオプターの加入度数とを提供する。

    図13〜18は、この開示に従って構成されるレンズの追加的な実施形態を示している。 それらは、屈折率勾配有する多層フルネルレンズを有している。 前述したように、フルネルレンズ表面は、多数の不連続同軸(同芯状)環状部を有している。 その多数の不連続同軸環状部は、連続するレンズ表面形状に相当する傾斜を規定し、より低プロファイルの表面を形成するために押しつぶされた状態にある(collapsed)。 隣接する各光学機能環状部(optically functional annular section)の連結部は、非光学的機能ステップ(光学的に機能しない段部/a non-optionally functional step)をなしており、各段部もまたアニュラス(環帯)の形態をなしている。 それらの段部は、多数の屈折表面とともにレンズの全体形状とレンズ厚さを決定する。

    フルネルレンズは、そのようなレンズの画質が一般的に悪いと考えられるため、眼科用レンズには通常使用されない。 レンズ表面を非常に高い精度で製造されていないとイメージジャンプが生じるだけでなく、レンズの効率(性能)が凝視角、傾斜角または光線角を増大させるために特に悪い。 この悪い効率は、目に入るはずであった光線が非光学的機能ステップ(光学的に機能しない段部)によって妨害されたときに生じる。 非光学的機能ステップの配向角は、光線経路に一致しない。 光損失はレンズの周辺で最も顕著である。 そして、その損失は、レンズの遠方視力部の上部、レンズの側面、およびレンズの近方視力部の下部を介して、視覚に影響を与える。 さらに、ざらつきのある表面からの回折、散乱、反射が原因で、光損失がある。 もちろん、人によっては、透明ヴィクトローラレコード(“Victrola records”/登録商標)のようなレンズを装着した際の装飾面(見栄えの点)での懸念がある。

    フルネルレンズが眼科用に使用されるように、この開示によれば、3つのステップがフルネルレンズの性能と外見を大きく改善するために採られる。 まず第一のステップとして、非光学的機能ステップを含む各環状部(annulus)は、患者の視線に相当するフィールド内の複数のポイントからレンズ上の1点を通過して患者の目に向かう光線の角度と実質的同じ角度で配向される。 どのポイントが射出瞳として選択されるべきであることに関して問題が生じる。 考えらえる2つの主要な位置がある。

    一つは、患者がレンズの中心を介してまっすぐ前方を見ているときの目の瞳の位置である。 もう一つは、目の回転中心である。 それは、患者がレンズの周辺部を介して見ているとき、“射出”瞳と考えられるかもしれない位置である。 患者がまっすぐ前方を見ているとき、周辺領域(周辺フィールド)に見られる物体がよいコントラストと明瞭性とを有するということは真実である。 しかし、患者がまっすぐ前方を見ているときの目の瞳の位置が、非光学的機能ステップの傾斜を決定するのに使用される場合、目がレンズの左、右または下部近用部を通って物体を凝視するとき、ステップによって光線が妨害され、周辺視覚がいくらか低下する。

    反対に、レンズの左、右、下部近方視力部を通る角度で凝視するとき、患者の周辺フィールドに見られる物体がよいコントラストと明瞭性とを有するということは真実である。 しかし、目の回転中心が非光学的機能ステップの傾斜を決定するのに使用される場合、目がレンズの中心部においてまっすぐ前方を見ているとき、ステップによって光線が妨害され、それによって周辺視覚いくらか低下する。

    患者がまっすぐ前を見ている時、瞳はメガネレンズの後部(back)表面の約16mm後に位置している。 一方、目の回転中心はメガネレンズの後部表面の約28.5mm後に位置している。 いずれかの位置あるいはそれらの間のいくつかのポイントが、ステップの傾斜角を決定するために使用される。 そして、優れた結果が得られる。 さらに、射出瞳を規定する位置として、約15mmより大きいレンズの後部のポイントを選択することによって、改善された効果が得られる。 レンズの後部表面から射出瞳の位置までの21mmの距離は、その位置に向けられた周辺光線との関係で述べた2つの極端の目の向きに対して約8°の非光学的機能ステップとほぼ等しい角度誤差をもたらす。

    各ステップの傾斜は、そのステップの位置でレンズを通過し、レンズから射出瞳に進む屈折された光線の角度と等しい。 各ステップは、円環状かつ直円状の同芯状円錐状部(annular right circular concentric conical sections)の一組(series)の一つ(直円錐の底面における同芯状円環状部)として視覚化されている。 これらの円環状かつ直円状の同芯状円錐状部は、それぞれ、円錐表面とレンズ本体との共通部分(円錐表面)によって形成されている。 それは、これらの円錐表面は、レンズを通って進む屈折した光線の経路をある程度までたどっており、上述した21mmの距離またはレンズの後部表面の他の距離でそれらの頂点を形成するからである。

    本発明のフルネルレンズの性能を改善するために採ることができる第2のステップは、成型(cast)層として、フルネル表面に隣接するレンズ層を結合することである。 それによって、脆弱なフルネル形状を保護しながら、ある部分(遠方視力部の上部または近方視力部の下部のいずれか)の反射とフルネル回折を全体的に除去または限定し、それ以外の他の部分で反射および回折をほぼ減少させている。 結合された部分の屈折率がフルネルプレフォームの屈折率と等しいとき、フルネルの機能だけでなく、その視認性および視覚低下もまた完全に除去される。 ダブレットフルネルレンズのそのような領域は、屈折率の光学的単窓(a single index optical window)として機能する。 それは、レンズの遠方視力部の理想(典型)である。

    第3のステップとして、たとえば20ジオプターのプラスまたはマイナス度数のいずれかの高度数フルネルプレフォームを使用することにより、プログレッシブ加入度数を提供する結合された部分(結合された加入度部分)の屈折率は、そのプレフォームの屈折率にいくらか近づけることができる。 度数が高ければ高いほど、必要とされる屈折率差は小さくなる。 結合された加入度部分の屈折率は、プレフォームの屈折率よりも大きいかまたは小さい。 そして、その結合された加入度部分の屈折率は、フルネルプレフォームがプラス度数またはマイナス度数であるかどうかによって、プラス度数またはマイナス度数となる。 結合された加入度部分を有する高度数フルネルプレフォームの使用は、回折、光散乱、反射、表面形状、および表面誤差または表面損傷(ダメージ)が目に見えて減少されるという利点を提供する。 結合された加入度部分は、フルネルプレフォームの屈折率といくぶん近い屈折率を有している。

    図13は、この開示にしたがって構成された第7実施形態のレンズを規定するダブレットフルネルレンズの構成を示している。 図13のレンズにおいて、非光学的機能ステップ(段部をなす面)は、レンズの形状に対して法線(垂直)(normal)である。 そして、そのステップは、記載された射出瞳に一致しない。 図13において、レンズ部Aはレンズの全体的に一定な屈折率部を構成し、レンズ部Bはレンズの屈折率勾配部を構成する。 前部レンズ部Aはマイナス度数を有し、後部レンズ部Bはプラス度数を有する。 この典型的なレンズにおいて、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へ勾配レンズ部Bのプログレッシブ中間視力部を介して増大する。 そのため、中間視力および近方視力の度数は、徐々に増加している。

    レンズ部Bの厚さは最小であり、そして、そのため、破線2と破線3との間に位置する屈折率勾配部の厚さも最小である(約0.4mm)ので、屈折率配向角はない。 さらに、曲率(より適切に言えばフルネル表面の“形状”)はフルネルレンズの度数と無関係なので、空気との境界表面がフルネルの屈折力湾曲形状(diopter curvature form or shape)から大きく逸脱していない限り、CREN値は0または小さな値となる。 また、同一の屈折率を有する隣接層部によってフルネル表面領域の1つがキャンセルされることがなければ、その場合もCREN値は0または小さな値となる。 これらの場合において、空気との境界表面の一方または両方によって提供されるプラスまたはマイナス度数は、遠用標準の“0”度数にレンズを矯正するために必要とされる。 本実施例のフルネルレンズのCREN方程式は以下のように修正される。

    式6

    1000/R1−2・1000/R2+1000/R3=CREN
    (ただし、R1、R2、R3は、表面半径の絶対値を示し、R2はフルネルの屈折力(diopter)湾曲形状(R2f)であり、その実際の表面度数とは独立した値である。)屈折率勾配部(例えば遠方視力部)のある層部分の屈折率がそれが接合されるフルネルプレフォームの屈折力と同じであるレンズにとって、曲率矯正がR1とR3に必要とされず、そのような場合には、(R2が平面であろうが湾曲していようが)R1とR3は、R2の形状または外形(曲面)と“平行”であってもよい。 この場合において、以下の代入された方程式に示されるように、R1、R2、R3が250mmであるとき、CREN値は、“0”で終わる。

    式7

    4−8+4=0

    R1とR3がR2と平行でないとき、たとえば、R2が平坦で、R1が333mmであり、R3が333mmであるとき、CREN値は6である。 これは、レンズに対していくつかの容量またはグロス沈下を示している。 本実施例のフルネルレンズのためのCREN値は、0〜20の範囲であり、各実施例のフルネルレンズについて関連するレンズパラメーターとともに示されている。

    図13において、後部レンズ部Bは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 B1はレンズの遠方視力部に相当し、B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、B3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部B2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部B1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部B3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部B2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する遠方視力部B1の屈折率N1の低屈折率値と等しい低屈折率値から、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する近方視力部B3の屈折率N3の高屈折率値と等しい高屈折率値に増大する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    前部レンズ部Aは、光学的透明物質で構成されたフルネルプレフォームレンズである。 光学的透明物質の屈折率N4は全体的に一定であり、変化しない。 レンズ部Aの前部表面4は、平面である曲率R1を有している。 内部フルネル界面Iは、全体的に平面である形状R2fと、レンズ部Aに対して同等のフルネル半径R2rと、円錐定数値CCとを有している。 後部レンズ部Bの後部表面5は、平面である曲率R3を有している。

    このレンズは、以下に示すように、レンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における高ジオプター(diopter)加入度数とを提供する。 前部表面4は、患者の処方箋にしたがって加工されていてもよい。 前部表面4と後部表面5の両方は、メニスカス湾曲形状を提供するために加工されていてもよい。 4つの実施例のレンズの値を以下に示す。

    上記実施例のフルネルレンズでは、レンズ後部表面5の後約21mmに位置するポイントEが射出瞳として選択された。 そして、フルネル形状はフルネルステップ(段部)の相当する角度によって矯正されていないが、このポイントEは矯正されていないフルネル形状の効率を決定するために有効な基準(reference)である。

    図14は、図13の内部フルネル界面Iの形状R2rの非光学的機能ステップ(段部)8、9、10、11とともに、2つの光学的機能傾斜(傾斜面)6、7の拡大図である。 これは、図14に矢印によって示されている。 光線束12、13は、それぞれ、所定の直径14、15を有するものとして示している。 光線束12、13はともに、レンズを通って2つのわずかに異なる角度で屈折され、射出瞳Eに向かって進む。 図14から見られるように、かなりの量の光線束12、13がステップ8、9、10、11によって妨害され、または切り取られる(カットされる)。 そして、その結果、レンズはその周囲部においてかなり非効率である。

    図14におけるレンズ実施例#1は、フルネルプレフォーム(レンズ層)Aを構成する。 そのフルネルプレフォームAは、マイナスの焦点長さ50mm、1.491の屈折率N4、−24.68mmのフルネル半径R2r、および−0.631の円錐定数を有している。 このプレフォームAは、0.4mmの厚さの成型(cast)フルネル層Bと結合されている。 成型フルネル層Bは、1.491の屈折率N1と、1.491〜1.58に増大する勾配屈折率N2と、1.58の屈折率N3とを含んでいる。 レンズは、3.5ジオプターのプログレッシブ加入度数を提供する。 2つの光線は、上述された射出瞳に向かって、35°と45°の周辺角度で選択される。 その位置で、45°に屈折した光線束は、内部フルネル界面の1つの環状部を通過する。 表面傾斜は44.67°であり、0.254mmの選択された溝幅にわたって、0.25095mmの計算されたステップ深さ(段差)を有する。

    一方、35°に屈折した位置で、光線束は、内部フルネル界面の1つの環状部を通過する。 表面傾斜は32.51°であり、0.254mmの溝幅にわたって、0.16210mmの計算されたステップ深さ(段差)を有する。 45°の光線は26.59°の内部光線角度から屈折され、35°の光線は21.29°の内部光線角度から屈折される。 26.59°の光線は、49.5%の光減少をもたらす0.25095mmの高(外)ステップ環状部の界面からの損失を示している。 そして、35°の光線は、25%の光減少をもたらす0.16210mmの高(外)ステップ環状部の界面からの損失を示している。

    レンズ部Aとレンズ部Bの屈折率が同じである部分を介してごくわずかな無視できる程度の光損失がある。 すなわち、この例ではレンズ部Aとレンズ部Bの屈折率が1.491であり、その場合、フルネル界面の表面形状は、目に見えず、非効率になるからである。 0.089の屈折率差がある近方視力部のステップ角度は、矯正されるべきである。 さらに、色収差を避けまたは最小化するために、似たようなアッベ(Abbe)値を有する光学物質が選択されるべきである。 またはアッベ特性を補償(相殺)する物質が色収差を矯正するために選択されてもよい。

    図15は、この開示にしたがって構成された第8実施形態のレンズのダブレットフルネルレンズの構成を示している。 このダブレットフルネルレンズは、レンズの周囲部における光線の妨害を最小限にするために、環状ステップ(段部)の傾斜が前述したように矯正されたことを除いて、図13のフルネルレンズと同一である。 レンズの、表面半径、屈折率、レンズ部度数、厚さおよび加入度数は、図13に関する実施例#1のレンズに示されたものと同じである。

    図16は、図15の内部フルネル界面Iの形状R2rの非光学的機能ステップ(段部)8、9、10、11とともに、2つの光学的機能傾斜(傾斜面)6、7の拡大図である。 これは、図16に矢印によって示されている。 光線束12、13は、図14のように、同じ直径14、15を有するものとして示している。 光線束12、13はともに、レンズを通って屈折され、射出瞳Eに向かって進む。 図から見られるように、フルネル界面で、ステップ8、9、10、11による光線の束の妨害、または切り取り(カット)がない。

    その結果、光損失は最小であり、レンズはその周辺部において非常に効率的である。 レンズの周辺側面フィールドで、かつ、レンズの近方視力部を介して、物体の高コントラスト、高い輝き、高い明瞭性の視覚化を提供する。 上述したように、環状フルネルステップは、メガネレンズの後部表面の21mm後の位置の射出瞳のために最適化される。 それによって、患者によるまっすぐ前方の凝視および周辺方向の凝視の両方の光線のわずかな妨害のみをもたらしている。

    前記実施例のフルネルレンズでは、内部フルネル界面Iは、最も商業的に入手できるフルネルレンズであるように、全体的に平面である。 しかし、レンズの形状は、平面以外であってもよい。 たとえば、表面R1およびR3が標準眼科レンズに似ているメニスカス形状に湾曲されていてもよい。 この場合において、レンズの厚さは、レンズ部Aの中心厚さの増大とレンズ部Bのエッジ厚さの増大の結果として増大する。 低ジオプターの曲率を使用することによって、厚さの増大は合理的な制限の範囲内となる。

    図17は、この開示にしたがって構成された第9実施形態のレンズを示している。 図17のレンズは、結合された第3のレンズ層Cを含むトリプレットフルネルレンズである。 図17において、内部フルネル界面Iは、全体的に平面である。 そして、上述したようなレンズの形状は、メニスカスであり、標準眼科用レンズに似ている。 レンズは、非光学的機能ステップ(段部)を有している。 その非光学的機能ステップは、レンズの面に対して法線である(直交している)か、または、図15および16と関連して上述したように、角度をつけられて矯正されている。

    図17において、レンズ部Aは全体的に一定な屈折率の(第1の)フルネルプレフォームを含んでいる。 レンズ部Bは、レンズの屈折率勾配部を含んでいる。 レンズ部Cは、第2のプレフォームを含んでいる。 前部レンズ部Aはマイナス度数を有し、後部レンズ部Bはプラス度数を有し、レンズ部Cはマイナス度数を有する。 この実施例において、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へ勾配レンズ部Bのプログレッシブ中間視力部を介して増大する。 そしてそのため、中間視力および近方視力の度数は、徐々に増加している。

    前述した実施例のフルネルレンズに関するように、レンズ部Bの厚さが最小であるので、屈折率配向角はない。 したがって、レンズの破線2と破線3との間に位置された屈折率勾配部の厚さもまた、最小である(約0.35mm)。 屈折率勾配レンズ層Bは、レンズ層Aとレンズ層Cとの間の光学的接合剤として機能する。 B1はレンズの遠方視力部に相当し、B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、B3はレンズの近方視力部に相当する。

    プログレッシブ中間視力部B2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部B1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部B3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部B2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する遠方視力部B1の屈折率N1の低屈折率値と等しい低屈折率値から、プログレッシブ中間視力部B2に隣接する近方視力部B3の屈折率N3の高屈折率値と等しい高屈折率値に増大する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    前部レンズ部Aは、光学的透明物質で構成されたフルネルプレフォームレンズである。 光学的透明物質の屈折率N4は全体的に一定である。 後部レンズ層Cは、屈折率N5を有するプレフォームレンズである。 レンズ部Cの内部表面5は、レンズ部Bを構成する屈折率勾配光学接合剤に対して気泡のない接合を促進するために、レンズ部Cに対して、平面またはわずかに凸面であってもよい曲率R3を有している。 前部表面4と後部表面6は、患者の処方箋にしたがって加工されてもよい。 3ジオプターの前部表面4の湾曲凸面と、後部表面6の湾曲凹面とが、眼科用レンズの典型的なメニスカスレンズ形状を提供する。

    以下のパラメーターを有する50mm径レンズにおける中心厚さとエッジ厚さは、眼科用レンズの合理的な範囲内である。 それらは、以下の表に示される。 レンズは、レンズの遠方視力部における'0'度数と、レンズの近方視力部における3.265ジオプターの加入度数とを提供する。 高屈折率プレフォームは十分に薄いレンズをもたらす。 それによって、前部表面4と後部表面6は大きく湾曲している。

    上記実施例のフルネルは、本明細書の前記実施形態のように、レンズの屈折率勾配部が1つまたは両方のレンズ部に設けられるように製造されてもよい。 しかし、フルネルレンズ型において、1つの屈折率勾配部のみが屈折勾配率を含むことが好ましい。 加えて、第5実施形態のレンズに似たレンズが、所望の度数の修正された変化率を提供するようにしてもよい。 そのレンズは、両方の屈折率勾配部が屈折率勾配を含み、プログレッシブ中間部が位置合わせされていない。 フルネルプレフォームは、プラス度数またはマイナス度数のいずれかを有していてもよい。 そして、前部レンズ層または後部レンズ層のいずれかとして位置されている。 屈折率勾配層のある部分の屈折率は、隣接する結合された層の対応する部分の屈折率と同じか異なっていてもよい。 また、内部フルネル表面は、平面か湾曲面かのいずれかであるレンズの全体形状とともに、典型的に平面であってもよい。

    図18(a)は、この開示にしたがって構成された第10実施形態のレンズのダブレットフルネルレンズ構成を示している。 図18(a)のレンズは、湾曲された表面R1およびR3と同様、湾曲された内部フルネル表面R2もまた有している。 この第10実施形態において、フルネルレンズ形状は、湾曲した内部フルネル表面R2に加えて、前述したような非光学的機能ステップ(段部)の変形形状を含んでいる。 その湾曲表面R2によって、メニスカス形状は、レンズの増大されたCREN値と追加された厚さなしに使用される。 すなわち、内部フルネル表面R2の曲率は、表面R1またはR3の曲率と近似していてもよい。

    表面R1および表面R3と関連する内部フルネル表面R2は、レンズの本体内の光線の経路がフルネル形状に対してほぼ直交し、そのため、非光学的機能ステップがフルネル形状に対して同様に直交(normal)するように、より大きく湾曲されたレンズを提供してもよい。 これが生じる場合は、後部表面5の半径が射出瞳に対する距離にほぼ等しいときである。 これは、どこから見ても、眼科用レンズの過度の急勾配である47.6ジオプターの曲率に形を変える。 したがって、曲率R2は、標準眼科用レンズの基本的曲線(湾曲部)の典型的な値(例えば、200mm(5ジオプター曲線)に減少され、そして、ステップ角度がそれに合わせて矯正されることが好ましい。この実施例において、射出瞳Eはメガネレンズの後部表面の28.5mm後に位置する。

    図18(a)におけるレンズ部Aは、レンズの屈折率勾配部を含み、レンズ部Bは、レンズの全体的に一定な屈折率部を含む。 前部レンズ部Aはマイナス度数を有し、後部レンズ部Bはプラス度数を有する。 この実施例において、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へ勾配レンズ部Aのプログレッシブ中間視力部を介して減少する。 そのため、中間視力および近方視力の度数は、徐々に増加する。

    レンズ層Aは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 A1はレンズの遠方視力部に相当し、A2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、A3はレンズの近方視力部に相当する。 プログレッシブ中間視力部A2は、レンズの破線2と破線3との間に位置している。 そして、破線2は屈折率がN1である遠方視力部A1の下側面を指定し、破線3は屈折率がN3の近方視力部A3の上側面を指定する。 プログレッシブ中間視力部A2の屈折率N2は、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する遠方視力部A1の屈折率N1の高屈折率値と等しい高屈折率値から、プログレッシブ中間視力部A2に隣接する近方視力部A3の屈折率N3の低屈折率値と等しい低屈折率値に減少する。 勾配プロファイルは、規則的で連続した変化率になっている。

    後部レンズ部Bは、光学的透明物質で構成されたフルネルプレフォームレンズである。 光学的透明物質の屈折率N4は全体的に一定である。 レンズ層Aの前部表面4は、湾曲凸面R1を有している。 内部フルネル界面Iは、レンズ部Aに対して凹面で同等のフルネル半径R2rであり、円錐定数値CCである形状R2fを有している。 後部レンズ部Bの後部表面5は、湾曲凹面R3を有している。 プログレッシブ中間部IEの範囲は、16mmである。

    このレンズは、レンズの遠方視力部における“0”度数と、レンズの近方視力部における2.278ジオプターの加入度数とを提供する。 後部表面5は、患者の処方箋にしたがって加工されていてもよい。 実施例のレンズの値を以下に示す。

    図13、15、17の平面形状フルネルレンズの屈折率勾配部は、前述したような噴霧(spraying)方法を使用して製造されてもよい。 その方法において、2つのスプレーガンが使用される。 そのスプレーガンは、直線経路または弓形の経路に沿ってともに可動する。 そのような状態で、2つのスプレーガンは、レンズの4〜20mmの広さまたはその範囲を超える広さの堆積物(2つのガンから噴霧された樹脂が重なっているような堆積物または共通の堆積物)を得るように、フルネルプレフォーム表面上に屈折率樹脂の一つを噴霧する。

    薄い分離垂直壁が2つのスプレーガンの間で、噴霧された樹脂堆積物上に設置される。 そして、分離垂直壁は、スプレーガンの移動方向に直線状に配置される。 そして、分離垂直壁は、遠方視力部と近方視力部とに分け、隣接するそれらの部において、各ガンからの不要な噴霧が堆積することを遮る。 重複領域またはブレンド領域の範囲は、増大または減少してもよい。 また、その範囲は、第一に、ガンの噴霧方向と噴霧パターンを調節することによって簡単に制御され、第二に、分離壁の高さを調節することによって簡単に制御される。

    噴霧プロセスは、スプレーガンを直線状または弓状の前後に可動し続けながら、実行され、フルネルレンズ表面にわたって堆積された樹脂物質の量と均一な分布を保証している。 噴霧プロセスは、2つの樹脂が、噴霧された堆積物の動きなどによってブレンド領域において完全に混合されることをさらに保証している。 その堆積物の動きは、スプレーガンの樹脂ミストと空気圧の両方の影響によって引き起こされる。 図21と関連して説明される噴霧装置は、前述した噴霧方法を実行するために使用される。

    図19は、2つの噴霧された堆積領域を示している。 それらの領域は、勾配率混合を有する重複領域または共通領域を含んでいる。 この場合において、両方の噴霧パターンの堆積物は、円形である。 しかし、それらは、楕円形のように、異なった形状であってもよい。 円形堆積物Aと円形堆積物Bは、共通領域A+Bを共有する。 各樹脂の変化量が、線ABで表される共通領域の範囲にわたっての組成物(構成)に寄与する。 LP方向におけるガンの直線状または弓状の動きおよび経路と同様、A+B内の各円形堆積物(樹脂混合物)の可変弦の長さCL(LPに平行)が原因で、組成物の屈折率は、LPに対して直交する方向において、滑らかで連続した規則的な変化率を示す。 それは、正弦波形状のπ/2〜3π/2の位置に密接にしたがっている。

    噴霧された堆積物の深さが、一度、フルネル表面の充填されたボイド(ステップ)の平面よりいくらか上になると、レンズは十分硬化または重合される。 そして、レンズは、前述したように、機械加工されて処理される。 または、図17または図18(b)のレンズ部Cのような保護層または追加部が液状樹脂表面に供給され、重合されてもよい。 これによって、永久的に結合された層を形成している。 もう一つの方法として(その代わりに)、除去可能な成型(casting)部材が樹脂表面の最上面に供給されてもよい。 そしてその最上面は、図13に示される後部表面5のような光学特質表面を製造するために、重合および次の除去に供される。

    図18(a)の湾曲した形状のフルネルレンズの屈折率勾配部は、屈折率勾配領域組成物を製造する2つのガンスプレーシステムを使用して、同様の方法で製造される。 この場合において、樹脂は、所望の厚さ(たとえば、0.35mmの厚さ)で屈曲性を有し、平坦面上に堆積される。 一度堆積すると、樹脂はゲル状体に部分的に重合されてもよい。 このステージに続いて、フレキシブル表面がフルネルプレフォームに相当するように湾曲に変形され、または拡張(弛緩/relax)されてもよい。

    次に、その表面は、プレフォームに対して押圧され、フルネル表面にゲル化された層を永久的に結合するために重合される。 フレキシブル表面を含むレンズ層Cは、図18(b)に示されるように、レンズの一部として残存していてもよいし、除去されて、再利用または処分されてもよい。 前述されたようなフレキシブル表面は、所望の湾曲に拡張され、または、機械的または他の手段(たとえば、真空成形プロセス)により、拡張されてもよい。 これは、所望の湾曲に変形する原因となる。

    図20は、この開示にしたがって構成される第11実施形態のレンズを示している。 図20のレンズは、屈折率勾配型プログレッシブレンズである。 そのレンズは、複数の屈折率勾配と度数符号(“power sign”または−)とを有する多数の層を有している。 各度数符号は、隣接する層の度数符号と反対となっている。 すでに説明したように、1組の屈折率勾配プロファイルは、屈折率差を増大または2倍にするために、隣接するプラス度数層とマイナス度数層で効果的に使用される。 それによって、低曲率または平面曲率および減少したレンズ厚さとともに、高プログレッシブ加入度を得る手段を提供している。 本実施形態は、同じ原理で作動する。

    しかし、同様の結果を得るために、低曲率で薄い多数の1対の層を利用する。 0.3mm以下の厚さのフィルム層は、相当するプログレッシブ加入度を作り出すために様々な数で組み合わされる。 たとえば、反対の度数で、反対の勾配率プロファイルの層の1対が0.417ジオプターの加入度を提供すると、6つの同一の1対の層は2.5ジオプターの加入度を提供する。

    図20において、前部レンズ部Aは全体的に一定の屈折率層で構成され、レンズ部B、レンズ部C、レンズ部Dおよびレンズ部Eはレンズの屈折率勾配層を構成する。 6つのレンズ部Cと5つのレンズ部Dがある。 レンズ部Bとレンズ部Eは、同じ度数であり、追加レンズ部Dの構成とともに加えられる。 1対のレンズ部Cとレンズ部Dの度数は、互いに反対で等しい。

    レンズ部Aは、プラス度数を有し、レンズの遠方視力部の上部のマイナスの“加入度”数を相殺する。 レンズ部Bはプラス度数を有し、レンズ部Cはマイナス度数を有し、レンズ部Dはプラス度数を有し、レンズ部Eはプラス度数を有する。 この実施形態のレンズにおいて、屈折率は、遠方視力部から近方視力部へ屈折率勾配レンズ部Cのプログレッシブ中間視力部を介して減少する。 また、遠方視力部から近方視力部へ屈折率勾配レンズ部Dのプログレッシブ中間視力部を介して増大する。 したがって、中間視力および近方視力の度数は、複雑で徐々に増加している。

    レンズ層Aは、屈折率N1が全体的に一定である光学的透明物質で構成されている。 レンズ層Bは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 B1はレンズの遠方視力部に相当し、屈折率値N2を有している。 B2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、勾配屈折率値N3を有している。 B3はレンズの近方視力部に相当し、屈折率値N4を有している。 レンズ層Cは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 C1はレンズの遠方視力部に相当し、屈折率値N5を有している。 C2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、勾配屈折率値N6を有している。 C3はレンズの近方視力部に相当し、屈折率値N7を有している。

    レンズ層Dは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 D1はレンズの遠方視力部に相当し、屈折率値N8を有している。 D2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、勾配屈折率値N9を有している。 D3はレンズの近方視力部に相当し、屈折率値N10を有している。 レンズ層Eは、可変屈折率値を有する光学的透明物質で構成されている。 E1はレンズの遠方視力部に相当し、屈折率値N11を有している。 E2はレンズのプログレッシブ中間視力部に相当し、勾配屈折率値N12を有している。 E3はレンズの近方視力部に相当し、屈折率値N13を有している。 屈折率勾配部N3、N6、N9、N12は、レンズのプログレッシブ中間視力部を規定する破線2と破線3との間に位置している。

    レンズ層Aの前部表面4は、半径値R1を有する凸面曲率を有する。 内部界面5は半径R2を有し、各内部界面6は半径R3を有し、各内部界面7は半径R4を有し、後部表面8は半径R5を有している。 レンズ部Cとレンズ部Dは、湾曲界面6/R3と湾曲界面7/R4を共有する。 レンズ部Aに対して、R3は凹面であり、R4は凸面である。 隣接する内部界面の曲率は反対であるから、この実施例によるレンズのCREN値は、すべての表面の完全な表面度数を足すことによって、簡単に計算される。 図20に示されるように、8°の屈折率配向角は、漸増量の連続した屈折率勾配を位置合わせしないことで得られる。 前述した実施例に関するように、すべての半径値はレンズの遠方視力部における0度数と、レンズの近方視力部における2.5ジオプターの加入度数を提供するレンズに基づいている。

    この実施形態による屈折率勾配型プログレッシブレンズのパラメーター値の例を以下に示す。

    上記記載されたレンズは、図13、15、17、18に記載されたレンズに対して、所望の屈曲特性を有する変形可能な基板とともに、前述した噴霧法を使用する手順で、他の層と独立に各レンズ層を処理することによって製造される。

    図21は、2つのスプレーガンS1、S2を含む噴霧装置を示している。 その装置は、レンズ層を処理(加工)するために使用される。 スプレーガンS1は1.74の屈折率を有する物質を供給し、スプレーガンS2は1.41の屈折率を有する物質を供給する。 それらのガンはともに、直線動作で経路LPを移動する。 スプレーガンS1、S2は、それぞれ、S1.74の物質(樹脂)、S1.41の物質(樹脂)を基板表面B上に噴霧し、14mmの広さの結合された重複堆積物または結合された共通堆積物を製造する。 薄い垂直分離壁Wは、スプレーガンS1とスプレーガンS2との間で、樹脂堆積物上に配置される。 それは、スプレーガンS1、S2の移動方向に直線状に配置されている。 そして、垂直分離壁Wは、遠用部Dと近用部Nとを分けている。

    また、垂直分離壁Wは、その下を通って混合する噴霧された各樹脂の量を制御しながら、各スプレーガンからの不要な噴霧USが隣接する部にされることを阻止している。 共通堆積物領域または共通ブレンド領域の範囲は、減少または増大されてもよい。 そして、その範囲は、第一に、ガンの噴霧の方向とパターンを調節することによって簡単にコントロールされ、第2に、分離壁Wの高さを調製することによって、簡単にコントロールされる。 各スプレーガンからの30°の円錐角を保証すると、各ガンの15°の収束傾斜、ガン先端から堆積物表面の63mmの噴霧距離、56mmのガンチップ同士の距離、堆積物表面より12mm上の分離壁高さ、14mmの広さの勾配率部が得られる。

    分離壁Wは、不要な噴霧USがされることを避けるためにも使用される。 しかし、それは、限定の範囲内で、勾配率部の幅を制御するために調節されてもよい。 分離壁Wは、その最下方に沿って、真空源に接続される開口を含んでいる。 その真空源は、堆積された樹脂を吸引する(draws)。 そして、壁から堆積物に物質の液滴が落ちることを避けるために、噴霧された領域と分離壁Wから離れて組み立てられている。

    フレキシブルで変形可能な基板Bは、第1の樹脂層が噴霧され、垂直分離壁Wが配置される表面を有する。 変形可能な基板Bは、基板支持シリンダーBS上に設置される。 基板支持シリンダーBSは、噴霧された樹脂のコンテナーとして作用し、基板Bより上に伸びる上部壁部Rを有している。 変形可能な基板Bは薄いプラスチック、ガラスまたはステンレス部材で構成されている。 それらの部材は、機械的手段または他の手段で、その曲率が変化する。 各噴霧中、曲率の変化は、基板B中に生じる。 その基板Bは、新しい層が塗布されるとき、各内部界面の曲率を順々に作り出す。

    図21において、真空ラインVLは、真空源から真空チャンバーVCに、部分的で制御可能な真空を提供する。 真空ラインVLは、湾曲凸面を作るために、変形可能な基板Bを下方に引くための吸引手段を提供する。 以下のサイクルラインVLは、チャンバーVC内に大気圧環境を作るために加圧される。 そして、サイクルラインVLは、湾曲凸面を形成するために、変形可能な基板Bを上方に押すための圧縮手段を提供する。 R3とR4が、0.0974mm以上50mmの矢状(sagittal)深さを有するので、少量の表面変化のみが、基板Bに必要とされる曲率半径をとることを必要とされる。 基板Bの可変厚さは、基板が変形されるとき、連続し、有用な光学的湾曲表面(たとえば、湾曲球面)が得られるということを保証するために使用される。

    第1の複合(合成)層B1は、基板Bが平面状態で維持されているとき、最初に作られる。 噴霧工程の過程中、噴霧された樹脂がたまり、層が形成され、基板表面Bは、次第に、その最終曲率のための凹面状に急勾配にされる。 そして、図21に示されるように、噴霧層厚さが得られると、曲率の変化が塗布された樹脂層の形成に呼応して進む。 一度、最終曲率まで至り樹脂層厚さが得られると、分離壁Wは除去されてもよい。 この時点で、噴霧された樹脂層の液体表面が沈降する。 そして、一様のレベルになった後、噴霧された樹脂層はゲル状体に光重合される。 別な方法として、平面またはわずかに凸面の成型表面が、表面外形(曲線)を正確に制御するために、未重合樹脂層に適用されてもよい。

    凸面成型表面は、噴霧された樹脂組成物の空気にさらされた表面に適用されるとき、気泡を避けるために使用される。 この樹脂層は、その後で、ゲル状に重合されてもよい。 そして、その後、上部成型表面が除去される。 ゲル状に硬化した堆積物の最上面は、第2の噴霧された層が塗布される基板B1になる。 そのため、必要とされる曲率を得るための微調整が、第2の層を塗布するためのフラット表面B1を得るために、基板B1になされる。 それから、第2の噴霧された樹脂層は、フラット表面に適用される。 しかしこのとき、スプレーガンまたはレンズは、反対屈折率プロファイル配向性(方向)を得るために180°回転される。

    第2の層の噴霧工程の過程中、基板表面Bは、凹面急勾配に次第に減少される。 そして、基板表面Bは、噴霧層厚さが得られると、徐々に、その最終急勾配の凸面にされる。 こうして、再び、曲率の変化が塗布された樹脂層の形成に呼応して進み、基板Bの湾曲に相当する変化で、新しい湾曲した界面半径を作る。 一度、最終曲率まで至り樹脂層厚さが得られると、噴霧された液体樹脂の上面は、前述したように終了される。 スプレーガンまたはレンズは、各付加層の反対屈折率プロファイル配向性(方向)を得るために180°繰り返し回転される。 各付加層は、交互に生じるプラス度数またはマイナス度数を有している。 各回転は、破線2と破線3によって示される屈折率配向角を得るための漸進的な(徐々に起こる)矯正値を含んでいてもよい。

    各樹脂層が噴霧堆積された後、ゲル重合に先立って、一度レンズが十分に重合されると、前の層に生じた曲率は、曲率半径を必要とする。 その曲率半径は、R3曲率とR4曲率で交互になる。 これは、層形成プロセスが引き続き起きるように、レンズ厚さの増大が原因で生じる微調整とゲル重合ステージで生じる代償性曲率を必要とする。 ゲル状から固体状への最終重合は、フラット表面における最上面と基材表面で開始する。 最終レンズ層Aはプレフォームとして製造され、複合多層レンズに結合される。 またはそれは、表面BまたはE上に成型され、重合される。

    第1から第6実施形態のレンズに関して前述された拡散プロセスの代替手段として、上述した噴霧技術が使用されてもよい。 これらのレンズのひとつの屈折率勾配部または複数の屈折率勾配部の厚さは、第11実施形態のレンズの厚さより大きいので(約1mm以上)、より大きい厚さを有する噴霧された堆積物が必要とされる。 大きい厚さの単一噴霧が適用される場合、2つの噴霧された屈折率物質の密度が実質的に異なっていると、より重い物質は、重力によってより軽い物質の下に沈降する。 この問題を避けるために、塗布された薄い層の定期的なゲル重合または部分硬化が始められる。

    たとえば、0.25mmの厚さの塗付された層は、最終層厚さが得られるまで、順次ゲル重合される。 この場合、後で同じ屈折率プロファイル配向性の付加スプレーコーティングが塗布されるので、上部成型表面は、完全なフラット表面にするために、その後の噴霧堆積物が塗布される必要はない。 より大きい厚さで急勾配な曲率のこれらのレンズは、噴霧製造プロセスを促進するために、かつ、必要とされる半径を提供するために、変形可能な基板を利用する。 前述したように、除去可能な成型表面は、最終重合とそれに続く除去によって得られる最上表面に適用される。 別な方法として、成型表面は、保護層として機能する別途付加された永久的に結合されたレンズ部を構成してもよい。

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