Trial lens

申请号 JP9604598 申请日 1998-04-08 公开(公告)号 JPH11295669A 公开(公告)日 1999-10-29
申请人 Menicon Co Ltd; 株式会社メニコン; 发明人 OYAMA HIROYUKI; GOTO YUJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To easily and highly accurately determine the optical central position of a multifocus or toric contact lens.
SOLUTION: A target 22 is added to the surface of the lens, and a stable position on the cornea of a trial lens 10 can be measured while utilizing that target 22. Based on this measured result, an optical central position O of the contact lens is determined so that the optical central position of the contact lens can be set corresponding to respective wearing persons.
COPYRIGHT: (C)1999,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成されたコンタクトレンズにおいて、幾何中心に対する光学中心の相対位置を決定するために用いられるコンタクトレンズ型のトライアルレンズであって、 前記コンタクトレンズの光学部に略対応する中央部分のレンズ面に、該中央部分のレンズ面上における任意の点の位置を特定し得る指標を付したことを特徴とするトライアルレンズ。
  • 【請求項2】 前記指標が、幾何中心に対する相対位置が既知の点を原点とする座標系で構成されている請求項1に記載のトライアルレンズ。
  • 【請求項3】 前記指標が、有色透明に彩色形成されている請求項1又は2に記載のトライアルレンズ。
  • 【請求項4】 角膜の表面上でレンズを周方向に位置決めするための周方向位置安定化手段が設けられている請求項1乃至3の何れかに記載のトライアルレンズ。
  • 【請求項5】 レンズ凹面が、角膜の表面形状に対応した略球状面とされている請求項1乃至4の何れかに記載のトライアルレンズ。
  • 【請求項6】 レンズ凸面が、複数の球面またはトーリック面を含んで構成されている請求項1乃至5の何れかに記載のトライアルレンズ。
  • 【請求項7】 装用者の角膜上において、光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成されたコンタクトレンズの安定位置を測定する方法であって、 コンタクトレンズの代わりに請求項1乃至6の何れかに記載のトライアルレンズを用い、該トライアルレンズを装用者の角膜上での安定位置に置き、該トライアルレンズに付された前記指標を利用して、角膜内の瞳孔に対する該トライアルレンズの相対位置を測定することによって、前記コンタクトレンズの安定位置を間接的に特定することを特徴とする角膜上におけるコンタクトレンズの位置測定方法。
  • 【請求項8】 光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成されたコンタクトレンズにおいて、幾何中心に対する光学中心の相対位置を決定するに際して、 請求項1乃至6の何れかに記載のトライアルレンズを用い、装用者の角膜上において、該トライアルレンズに付された前記指標を利用して、装用者の瞳孔に対する該トライアルレンズの幾何中心の相対位置を測定し、かかる測定値に応じて、前記コンタクトレンズにおける光学中心の幾何中心に対する相対位置を決定することを特徴とするコンタクトレンズにおける光学中心の決定方法。
  • 【請求項9】 前記トライアルレンズに付された指標を利用して、装用者の瞳孔に対する該トライアルレンズの幾何中心の相対位置を測定するに際し、かかる指標を利用して装用者の瞳孔径も測定し、かかる瞳孔径の測定値に応じて、前記コンタクトレンズにおける光学部のレンズ面形状を決定する請求項8に記載のコンタクトレンズにおける光学中心の決定方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【技術分野】本発明は、互いに異なる屈折が設定された複数の視力矯正領域を有する多焦点レンズや乱視矯正用のレンズ度数が付加されたトーリックレンズ等の非単一球面型のコンタクトレンズにおいて、光学中心を決定するために用いられるトライアルレンズと、その関連技術に関するものである。

    【0002】

    【背景技術】従来から、視力矯正用のコンタクトレンズの一種として、互いに異なる球面レンズ度数を有する複数の視力矯正領域を設けた多焦点レンズや、円柱レンズ度数を設定したトーリックレンズ、或いはそれら多焦点の球面レンズ度数と円柱レンズ度数を組み合わせたトーリック・マルチフォーカルレンズ等のように、光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成された非単一球面型のコンタクトレンズが知られており、例えば、老視等によって眼屈折力の調節能力が低下した人や乱視による屈折異常のある人等への適用が検討されている。

    【0003】ところで、このような非単一球面型のコンタクトレンズでは、両レンズ面が実質的に単一の球面形状とされて近視や遠視の球面屈折異常の視力矯正用に用いられる単一球面型のコンタクトレンズに比べて、瞳孔に対する光学部の位置決めが重要であり、装用状態下における瞳孔の光学中心に対する偏倚量が大きくなると、
    収差を生じて良好な視力矯正能が発揮されなくなって視界の明瞭性が低下してしまうおそれがある。 しかも、コンタクトレンズの膜上での安定位置等は、個人差があることから、レンズ幾何中心に対する光学中心の相対位置を画一的に設定すると、人によっては、瞳孔の光学中心からの偏倚量が大きくなり、満足できる視力矯正能が得られない場合がある。

    【0004】そこで、例えば、特開平6−46998号公報等に記載されているように、コンタクトレンズの装用状態を撮影した映像に経線距離測定用パターンを重ね合わせて検査用映像を合成する検眼装置を用い、モニタ上に表示された検査用映像を利用して、コンタクトレンズの角膜上での安定位置等を測定し、かかる測定結果に基づいて、瞳孔位置に対して光学中心が有利に位置せしめられるように、コンタクトレンズにおける光学中心の位置を決定することが、考えられる。

    【0005】ところが、このような位置決定方法では、
    カメラやモニタ、画像処理装置等を含む大掛かりな測定装置が必要となり、測定装置自体が高価であると共に、
    その操作が難しいという問題があった。 しかも、コンタクトレンズの装用状態を撮影した映像と経線距離測定用パターンの重ね合わせにズレ等が生ずることによって測定精度が低下するおそれもあったのである。

    【0006】

    【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、非単一球面型のコンタクトレンズにおける光学中心位置を決定するに際し、大掛かりな装置等を必要とすることなく、角膜上でコンタクトレンズの位置、
    即ち装用時のコンタクトレンズ上での瞳孔位置を容易に且つ高精度に測定することの出来る、新規な構造のトライアルレンズを提供することにある。

    【0007】また、本発明は、非単一球面型のコンタクトレンズの角膜上での安定位置を、大掛かりな装置を用いることなく、容易に且つ高精度に測定することの出来る方法を提供することも、目的とする。

    【0008】更にまた、本発明は、非単一球面型のコンタクトレンズにおける光学中心位置を、大掛かりな装置等を必要とすることなく、容易に且つ高精度に決定することの出来る新規な方法を提供することも、目的とする。

    【0009】

    【解決課題】そして、このような課題を解決するために、トライアルレンズに関する本発明の特徴とするところは、光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成されたコンタクトレンズにおいて、幾何中心に対する光学中心の相対位置を決定するために用いられるコンタクトレンズ型のトライアルレンズであって、前記コンタクトレンズの光学部に略対応する中央部分のレンズ面に、該中央部分のレンズ面上における任意の点の位置を特定し得る指標を付したことにある。

    【0010】このような本発明に従う構造とされたトライアルレンズにおいては、中央部分のレンズ面に付された指標を用いることにより、該レンズ面上における任意の点の位置を、座標値等の数値組によって一義的に決定することが出来る。 それ故、このトライアルレンズを装用させることにより、トライアルレンズのレンズ面上における瞳孔位置を、指標を利用して測定することが出来るのであり、この測定値に基づいて、コンタクトレンズの光学中心位置を設定することにより、装用者の瞳孔位置に適応した光学中心位置を有するコンタクトレンズが、有利に実現され得るのである。

    【0011】しかも、このようなトライアルレンズを用いれば、被検者に装用せしめたトライアルレンズを、検者が肉眼で若しくは必要に応じて拡大鏡やスリットランプ等を用いて観察することにより、角膜上でのコンタクトレンズの位置測定を行うことが出来るのであり、コンタクトレンズの光学中心位置決定のための測定を、カメラやモニタ,画像処理装置等を含む大掛かりな装置を用いることなく、容易且つ迅速に実施することが可能となるのである。

    【0012】なお、本発明の対象となるコンタクトレンズは、マルチフォーカルレンズ(多焦点レンズ)やトーリックレンズ(乱視レンズ),トーリック・マルチフォーカルレンズ等であって、光学部の具体的構造は限定されるものでない。 具体的には、例えば、特開昭59−2
    08524号公報や特開平2−217818号公報等に記載された同心円状の複数の視力矯正領域を備えたマルチフォーカルレンズや、特開昭63−95415号公報や特開平1−319729号公報等に記載された上下分割帯状の複数の視力矯正領域を備えたマルチフォーカルレンズ、或いは特開平9−26558号公報等に記載されたトーリック・マルチフォーカルレンズなどが、何れも、本発明の対象とされ得、そのようなコンタクトレンズにおける光学中心位置の決定に際して、本発明に従う構造とされたトライアルレンズが有利に採用され、それによって、測定値に基づくコンタクトレンズの光学中心の決定精度の向上が図られ得る。 更に、本発明の対象となるコンタクトレンズの材質等は、何等限定されるものでなく、ソフトコンタクトレンズであっても、ハードコンタクトレンズであっても良い。

    【0013】また、トライアルレンズの素材は、特に限定されるものでなく、従来から公知のコンタクトレンズ用素材が何れも採用可能であり、トライアルレンズ自体、ソフトコンタクトレンズタイプのものであっても、
    ハードコンタクトレンズタイプのものであっても良いが、優れた測定精度、ひいてはコンタクトレンズの光学中心の決定精度を得るために、好ましくは、装用されるコンタクトレンズと同じタイプ、更には材質のものが採用される。 更にまた、指標は、コンタクトレンズの光学部に略対応する中央部分に付されることとなるが、コンタクトレンズの角膜上での偏倚量は、一般に限られた範囲であることから、必ずしも、コンタクトレンズの光学部の全域をカバーする指標を付する必要はなく、例えばコンタクトレンズの光学部の中央領域に対応する中央部分のレンズ面だけに指標を付するようにしても良い。 或いは、レンズ上での角膜位置の偏倚が予め概略的に判っているような場合には、それに対応して、指標を付する位置を中央からずらせても良い。

    【0014】さらに、かかる指標は、トライアルレンズ上に存在する点の位置を特定するための基準要素を与えるものであれば良く、その形態だけでなく基準点も任意に設定可能であるが、好ましくは、例えば、レンズの幾何中心に対する相対位置が既知の点を原点とする座標系で構成された指標が採用される。 より具体的には、例えば、直交座標系や斜交座標系,極座標系等を表示する、
    目盛りが付された直交軸や放射状軸、或いは格子状等の網目盛り,ドットマーク等の如き基準要素が、何れも、
    指標として有利に採用される。 より望ましくは、座標系の原点として、コンタクトレンズの幾何中心や光学中心に対応するトライアルレンズの幾何中心や光学中心が採用され、それによって、測定値に基づくコンタクトレンズの光学中心の決定に際しての計算処理等が簡略化され得る。

    【0015】また、かかる指標は、外部から視認可能なものであれば良く、例えば、レーザやカット,穿孔,研磨エッチング等でレンズ面に刻設したり、染料を用いた印刷等の手法で形成すること等が可能であるが、例えば、有色透明に彩色形成された指標が、好適に採用され得る。 このように有色透明な指標を採用すれば、被検者の視界等の測定条件に対する悪影響を有利に軽減乃至は回避しつつ、レンズ面の広い範囲に亘って細かい指標や多くの指標を付することが出来、検者による視認性の向上ひいては測定作業性の向上と測定精度の向上が、有利に達成され得る。 なお、指標をレンズ面に刻設する場合には、レンズの凸面側に指標を形成することが望ましく、それによって、角膜や装用感への悪影響が軽減乃至は回避され得る。

    【0016】更にまた、本発明に係るトライアルレンズにおいては、角膜の表面上でレンズを周方向に位置決めするための周方向位置安定化手段を設けることが望ましい。 このような周方向位置安定化手段を設けることによって、トライアルレンズが角膜上で周方向に位置決めされることから、指標を利用した瞳孔位置の測定等が一層容易になると共に、測定精度の更なる向上が図られ得るのである。 なお、周方向位置安定化手段としては、例えば、重心を下方に偏倚させたプリズムバラスト構造や、
    レンズ表面の上下両端縁を傾斜面状に薄くしたダイナミックスタビリゼーション構造、レンズ下端部を平方向に略直線状に切除したトランケーション構造等、従来から公知の各種の手法が何れも採用され得る。 また、このような周方向位置安定化手段としては、好ましくは、コンタクトレンズに形成される周方向位置安定化手段と同じものが採用され、それによって、測定値に基づくコンタクトレンズの光学中心の決定精度の更なる向上が図られ得る。

    【0017】さらに、本発明に係るトライアルレンズにおいては、角膜表面に接触せしめられるレンズ凹面を、
    角膜の表面形状に対応した略球状面とすることが望ましい。 これにより、被検者におけるトライアルレンズの装用感が向上される。 また、一般に、コンタクトレンズの凹面は、角膜の表面形状に対応した略球状面とされることが多いことから、トライアルレンズの凹面を略球状面とすることにより、トライアルレンズの安定位置がコンタクトレンズの安定位置に一層有利に近づけられ、測定精度ひいてはコンタクトレンズにおける中心位置決定精度の更なる向上が図られ得るのである。

    【0018】また、本発明に係るトライアルレンズにおいては、レンズ凸面を、複数の球面またはトーリック面を含んで構成することが望ましい。 これにより、トライアルレンズの形状が、実際に装用されるコンタクトレンズに一層近づけられることから、トライアルレンズの安定位置がコンタクトレンズの安定位置に一層有利に近づけられ、測定精度ひいてはコンタクトレンズにおける中心位置決定精度の更なる向上が図られ得るのである。

    【0019】さらに、前述の如き課題を解決するために、非単一球面型のコンタクトレンズの安定位置の測定方法に関する本発明の特徴とするところは、装用者の角膜上において、光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成されたコンタクトレンズの安定位置を測定する方法であって、コンタクトレンズの代わりに、前述の如き本発明に従う構造とされたトライアルレンズを用い、該トライアルレンズを装用者の角膜上での安定位置に置き、該トライアルレンズに付された指標を利用して、角膜内の瞳孔に対するトライアルレンズの相対位置を測定することによって、コンタクトレンズの角膜上での安定位置を間接的に特定するようにしたことにある。

    【0020】このような本発明方法に従えば、トライアルレンズをコンタクトレンズと見做すことにより、トライアルレンズにおける指標を利用し、トライアルレンズの角膜上での安定位置を測定することによって、コンタクトレンズの角膜上での安定位置を間接的に測定することが可能となる。 そこにおいて、トライアルレンズにおける指標は、コンタクトレンズの光学部に略対応するレンズ中央部分に設けられていることから、かかる指標を利用することにより、トライアルレンズの角膜上での安定位置、ひいてはコンタクトレンズの角膜上での安定位置を、大掛かりな装置を用いることなく、容易に測定することが出来るのである。

    【0021】また、前述の如き課題を解決するために、
    非単一球面型のコンタクトレンズにおける光学中心位置の決定方法に関する本発明の特徴とするところは、光学部のレンズ面が複数の球面またはトーリック面を含んで構成されたコンタクトレンズにおいて、幾何中心に対する光学中心の相対位置を決定するに際して、前述の如き本発明に従う構造とされたトライアルレンズを用い、装用者の角膜上において、該トライアルレンズに付された指標を利用して、装用者の瞳孔に対するトライアルレンズの幾何中心の相対位置を測定し、かかる測定値に応じて、コンタクトレンズにおける光学中心の幾何中心に対する相対位置を決定するようにしたことにある。

    【0022】このような本発明方法に従えば、トライアルレンズに付された指標を利用してトライアルレンズ上での瞳孔位置を測定した結果に基づいて、コンタクトレンズにおける光学中心位置を、装用者に応じて容易に決定することが出来るのであり、カメラやモニタ等の大掛かりな装置を用いる必要がなく、簡略な作業で、コンタクトレンズにおける光学中心位置を速やかに決定することが出来る。

    【0023】なお、トライアルレンズを用いた測定値に基づいてコンタクトレンズの光学中心位置を決定するに際しては、一般に、光学中心が、コンタクトレンズの装用時に装用者の瞳孔位置に略一致するように設定することが望ましいが、必ずしも限定されるものでなく、装用者の職業等の生活環境などを考慮し、光学中心を瞳孔位置から測定時の瞳孔位置から偏倚させることも可能である。 具体的には、例えば、専ら文字を読み書きする職業等では、近方観察用の視力矯正領域の中心が鼻側下方に位置するように設定することが望ましく、遠方観察が多い職業等では、遠方観察用の視力矯正領域が光学中心部分の周りに広く存在するように設定することが望ましいこと等を考慮して、光学中心を決定することが有効である。 また、本発明方法に従い、トライアルレンズに付された指標を利用して、装用者の瞳孔に対するトライアルレンズの幾何中心の相対位置を測定する際には、肉眼で観察する他、拡大鏡等を使用しても良く、或いは、装用状態にあるトライアルレンズを撮影した写真や映像等を利用することも可能である。

    【0024】また、本発明方法に従ってコンタクトレンズにおける光学中心位置を決定する場合には、例えば、
    トライアルレンズに付された指標を利用して、装用者の瞳孔に対するトライアルレンズの幾何中心の相対位置を測定するに際し、該指標を利用して装用者の瞳孔径も測定し、かかる瞳孔径の測定値に応じて、コンタクトレンズにおける光学部のレンズ面形状を決定することも可能である。 このような方法を採用すれば、特別な操作を必要とすることなく、装用者の瞳孔の大きさを、同時に測定することが出来るのであり、その測定値に基づいて、
    コンタクトレンズにおける光学中心位置だけでなく、光学部を構成する各視力矯正領域の大きさや位置等も、装用者の瞳孔位置に応じて個別的に設定乃至は選択することが出来ることから、測定作業性の大幅な悪化等を伴うことなく、コンタクトレンズを装用者に応じてより高度に適合させることが可能となり、以て、コンタクトレンズによる目的とする視力矯正能がより安定して且つ有利に発揮され得ることとなるのである。 また、このような方法に従えば、屋外の自然光の下や装用者の仕事環境下などでも容易に測定を行うことが出来るのであり、それによって、装用者の生活環境等に応じた光学中心位置や視力矯正領域の大きさ,位置等を、コンタクトレンズに対して、容易に設定することも可能となるのである。

    【0025】

    【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。

    【0026】先ず、図1及び図2には、本発明の第一の実施形態としての老視用コンタクトレンズの設計に際して好適に用いられるトライアルレンズ10が、示されている。 このレンズ10は、目的とする老視用コンタクトレンズと同じ材質で形成されており、概略的に同等の形状および光学的特性を備えている。

    【0027】より詳細には、本実施形態のトライアルレンズ10は、中央部分において、直径:Dの円形の近用視力矯正領域12を有していると共に、この近用視力矯正領域12の周りを取り囲むようにして、幅:Bの円環形状の遠用視力矯正領域14を有しており、これら近用視力矯正領域12と遠用視力矯正領域14によって、視力矯正機能を発揮する光学部15が構成されている。 なお、遠用視力矯正領域14の外周側は、有効な視力矯正機能を発揮しない非光学部としての円環状の周辺部16
    である。 なお、本実施形態では、近用視力矯正領域12
    と遠用視力矯正領域14が、互いに同じ光学中心:Oをもって同心的に形成されており、且つかかる光学中心:
    Oが、レンズの外形上の中心である幾何学的中心:Pに対して一致せしめられている。

    【0028】すなわち、このような同時視型の老視用コンタクトレンズに対応した構造を有するトライアルレンズ10では、老視用コンタクトレンズと同様に、装用者は、通常、近用視力矯正領域12と遠用視力矯正領域1
    4の両方を同時に使用して、視認対象物を観察することとなり、脳の判断等に基づいて、何れかの視力矯正領域12,14によって明瞭に視認できる像を判別することにより、視認対象物を観察し得るのである。

    【0029】また、かかるトライアルレンズ10の裏面18は、略全面に亘って、目的とするコンタクトレンズの裏面形状と略同様な形状、即ち角膜表面形状に対応した凹面形状とされており、装用される眼の角膜に近似した曲率半径:r0の球面形状(ベースカーブ)とされている。 なお、裏面18の外周縁部には、必要に応じ、目的とするコンタクトレンズと同様なベベルが形成される。

    【0030】また一方、トライアルレンズ10の表面2
    0は、近用視力矯正領域12において、近方観察時に有効な矯正視力を与えるような凸面形状を有していると共に、遠用視力矯正領域14において、遠方観察時に有効な矯正視力を与えるような凸面形状を有している。 なお、これら各視力矯正領域12,14の表面形状も、目的とするコンタクトレンズに設定される屈折力と略同じ屈折力を発揮し得るように、目的とするコンタクトレンズの表面形状に出来るだけ近似した形状にすることが望ましい。 また、表面20は、裏面18に対して中心がずらされることにより、レンズ下方に重心を偏心させたプリズムバラスト構造が採用されていると共に、下部の外周縁部には、スラブオフが付されて肉厚が小さくされており、装用時に、角膜上で周方向に位置決めされるようになっている。 なお、これらプリズムバラスト構造やスラブオフも、目的とするコンタクトレンズと同様なものを採用することが望ましい。

    【0031】さらに、トライアルレンズ10の表面20
    には、光学部15を構成する近用視力矯正領域と遠用視力矯正領域14の間に跨がって、指標22が設けられている。 この指標22は、被検者(コンタクトレンズの装用予定者)に装用した状態下で、検者が肉眼で若しくは拡大鏡等を用いて視認できるものであって、例えば、印刷等によって形成された染料による染色マーク等が好適に採用されるが、レーザやカッタ等を用いてマーキングしたもの等も採用可能である。 また、指標22を彩色することは、検者による視認を容易とする上で望ましいが、被検者の視界を大幅に阻害しないように、有色透明の彩色を施すことがより望ましい。

    【0032】さらに、本実施形態の指標22は、互いに直交するX軸とY軸からなる直交座標系にて構成されていると共に、X軸およびY軸には、それぞれ、目盛りが付されている。 また、かかる直交座標系の原点は、レンズ幾何中心:Pおよびレンズ光学中心:Oに一致せしめられている。 そして、プリズムバラスト構造等による位置決め状態下で、X軸方向が水平方向となり、Y軸方向が鉛直方向となるようにされている。

    【0033】なお、指標22を構成するX軸,Y軸や目盛りの線幅は、必要に応じて拡大鏡等を用いて視認可能で、且つ測定精度が十分に確保されるように、0.05
    mm〜0.50mmの線幅で形成されることが望ましい。 また、指標22を構成するX軸とY軸の長さや位置は、トライアルレンズ10を装用させた際に、かかる直交座標で位置を特定出来る領域内に瞳孔が位置せしめられるように、トライアルレンズ10が装用されるであろう被検者を想定して決定されることとなるが、一般に、X軸およびY軸は、それぞれ、光学中心を略中心として、1mm
    〜13mmの長さで形成されることが望ましい。 更にまた、X軸やY軸上に付される目盛りの間隔は、肉眼でまたは拡大鏡等を用いて視認可能で、且つ十分な測定精度が確保されるように、0.05mm〜1.00mmの間隔で形成されることが望ましい。

    【0034】このような構造とされたトライアルレンズ10は、コンタクトレンズの装用予定者(被検者)に装着させることにより、コンタクトレンズを装用した際の角膜上でのレンズ安定位置を測定することが出来るのであり、それ故、かかる測定値に基づいてコンタクトレンズの光学位置等を、装用者各個人に応じて、最適設計することが可能となるのである。 以下、トライアルレンズ10を用いたコンタクトレンズの設計手法について説明する。

    【0035】先ず、コンタクトレンズの装用予定者(被検者)に関して予め測定した視力や角膜形状等のデータに基づき、装用予定のコンタクトレンズの形状にできるだけ近似した形状のトライアルレンズ10を選択する。
    そして、図3に示されているように、このトライアルレンズ10を、被検者の眼24に装用させ、角膜26上の安定位置に位置せしめる。 即ち、例えば、被検者に対して、適当な距離および位置にある予め特定された対象を視認させること等により、角膜26の位置等を安定化させる。 かかる状態下で、検者は、必要に応じて拡大鏡等な使用し、トライアルレンズ10上での瞳孔28の位置を測定する。 即ち、この測定は、安定位置に装用されたトライアルレンズ10の指標22を利用し、直交座標系:O−XY上における瞳孔28の中心:Qの座標値:
    x,yを求めることによって行われる。 また、それと同時に、直交座標系:O−XYを利用し、瞳孔28の直径(瞳孔径):dを求める。 なお、瞳孔径:dは、周囲の明るさを所定の値に調節して測定するか、或いは異なる明るさの下でそれぞれ測定することが望ましい。

    【0036】このようにして得られた座標値:x,y
    は、被検者がコンタクトレンズを装用した場合における、コンタクトレンズ上での被検者の瞳孔28の中心位置を表すものであり、特に、本実施形態では、かかる座標値:x,yが、直接、コンタクトレンズの幾何学中心:Pに対する瞳孔中心:Qの偏倚方向および偏倚量を表すこととなる。

    【0037】従って、この測定値(座標値:x,y)を考慮してコンタクトレンズを設計することにより、具体的には、例えば、コンタクトレンズの光学中心を、幾何中心:Pに対して、水平方向および鉛直方向に(x,
    y)だけ偏倚させることによって、装用者に応じて光学中心が瞳孔中心に対して有利に一致せしめられたコンタクトレンズが、有利に設計され得るのである。 なお、コンタクトレンズの設計に際して、コンタクトレンズの光学中心は、必ずしも瞳孔中心に一致させる必要はなく、
    装用者の生活環境等を考慮して適宜に決定されるべきであり、例えば、文字の読み書きの時間が多い場合には、
    光学中心が、装用者の鼻側下方に偏倚して位置するように設計することも有効である。

    【0038】また、瞳孔径:dの値を考慮することにより、コンタクトレンズに設定すべき光学部15の形状や大きさ、即ち近用視力矯正領域および遠用視力矯正領域の外径寸法や形状も、装用者に応じて設計することが可能である。 具体的には、例えば、読書等の照明下で瞳孔径が絞られた際に、近用視力矯正領域12による視力矯正が有効に為され、且つ、暗闇等で瞳孔が広がった際にも、瞳孔の全体が遠用視力矯正領域14で十分に覆われるように、それら両視力矯正領域12,14の形状や大きさを設計することにより、装用者に一層適合したコンタクトレンズの設計が為され得るのである。

    【0039】そして、このようなトライアルレンズ10
    を用いたコンタクトレンズの設計手法によれば、大掛かりな測定装置等を用いることなく、容易且つ迅速に、角膜上のコンタクトレンズの安定位置を測定することが出来るのであり、また、その測定結果を利用することにより、装用者各個人に応じて、コンタクトレンズにおける光学部15の位置決定ひいては最適設計を行うことが可能となり、コンタクトレンズの設計の容易化と視力矯正能の向上および安定化が達成され得るのである。

    【0040】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に関する具体的な説明によって、何等、限定されるものでない。

    【0041】例えば、前記第一の実施形態としてのトライアルレンズ10では、レンズの光学中心:Oが幾何学中心:Pに一致せしめられていたが、図4に示されているように、光学部15の光学中心:Oを幾何学中心:P
    に対して偏倚して設定しても良い。 このような第二の実施形態としてのトライアルレンズ30は、例えば、装用されるコンタクトレンズにおいて、光学中心:Oの幾何学中心:Pに対する偏倚量や偏倚方向が、装用者の事前の検査等で概ね既知である場合等に、装用されるコンタクトレンズと出来るだけ近似した形状をトライアルレンズを採用することを可能とする点において有効である。
    なお、かかるトライアルレンズ30における指標22
    は、光学部の偏倚に拘わらず、幾何学中心:Pを原点として設けることも可能であるが、図示されているように、かかる指標22を、光学中心:Oを原点として設けても良い。

    【0042】また、指標22は、任意の点の座標値が特定できるように、原点のレンズ幾何中心:Pに対する相対偏倚量と偏倚方向さえ知ることができれば良く、図5
    に示されているように、かかる指標22を、光学中心:
    Oと幾何学中心:Pの何れからも偏倚した原点:O′をもつ座標系で構成することも可能である。 このような指標22を有する第三の実施形態としてのトライアルレンズ32は、例えば、装用されるコンタクトレンズにおいて、光学中心の幾何学中心に対する偏倚量や偏倚方向が、装用者の事前の検査等で概ね既知である場合等に、
    原点:O′の位置だけを、コンタクトレンズにおける光学中心の偏倚に応じてずらせることにより、瞳孔位置の測定可能領域を有利に確保する上において有効である。

    【0043】更にまた、前記第一〜三の実施形態に係るトライアルレンズ10,30,32においては、何れも、X,Y軸で表示された直交座標系:O−XYからなる指標22が採用されていたが、指標の具体的形態は、
    レンズ上の位置を特定し得るものであれば良く、何等、
    限定されるものでない。 具体的には、例えば、図6に示されている如き、直交座標で位置特定され得る領域を覆うように形成された格子状指標34を採用することもできる。 このような格子状指標34を採用すれば、座標値の読取りが容易となり、更なる測定精度の向上と迅速化が図られ得る。 また、例えば、図7に示されているように、原点:Oを中心に延びる複数本の放射状線と、原点:Oを中心とした複数本の同心円環線からなる極座標系の指標36を採用することも出来る。 このような指標36を採用すれば、任意の点の位置を、原点:Oからの距離と、基準経線(例えば水平線)からの原点:O周りの角度によって特定することが可能となる。

    【0044】なお、第2〜第5の実施形態としてのトライアルレンズを示す、図4〜7においては、その理解を容易とするために、第一の実施形態と同様な構造とされた各部位について、それぞれ、第一の実施形態と同じ符号を図中に付しておく。 また、図5〜7に示されたトライアルレンズでは、明示されていないが、各光学部15
    において、装用されるコンタクトレンズに近似した多焦点面やトーリック面が設定されることが望ましい。

    【0045】さらに、本発明に従う構造とされたトライアルレンズにおいては、角膜上での安定位置を測定する際に、指標を利用して、トライアルレンズひいては装用されるコンタクトレンズの周方向(回転方向)の安定位置を測定することも出来、かかる測定結果に基づいて、
    トーリック面の円柱軸方向等を有利に設定することが可能である。

    【0046】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
    当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
    何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
    言うまでもない。

    【0047】

    【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたトライアルレンズにおいては、装用状態下における角膜上での位置を、レンズ面に付された指標を利用して容易に測定することが出来るのであり、
    それ故、コンタクトレンズの光学中心位置決定のための測定を、大掛かりな装置を用いることなく、容易且つ迅速に実施することが可能となるのである。

    【0048】また、本発明に従うコンタクトレンズの位置測定方法においては、コンタクトレンズの代わりにトライアルレンズを装用させ、トライアルレンズに付された指標を利用することにより、角膜上でのレンズの安定位置を直接に測定することが出来るのであり、測定作業の簡略化と迅速化が有利に達成されるのである。

    【0049】更にまた、本発明に従うコンタクトレンズにおける光学中心の決定方法においては、トライアルレンズを用いて測定された角膜上でのレンズの安定位置を考慮して、コンタクトレンズの光学中心位置が決定されることから、コンタクトレンズの光学中心が、装用者に応じて、好適な位置に且つ容易に設定されるのであり、
    コンタクトレンズの各装用者に対応した最適設計が容易に実現可能となるのである。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の第一の実施形態としてのトライアルレンズを示す正面図である。

    【図2】図1に示されたトライアルレンズの縦断面図である。

    【図3】図1に示されたトライアルレンズの装用状態を示す説明図である。

    【図4】本発明の第二の実施形態としてのトライアルレンズを示す正面図である。

    【図5】本発明の第三の実施形態としてのトライアルレンズを示す正面図である。

    【図6】本発明の第四の実施形態としてのトライアルレンズを示す正面図である。

    【図7】本発明の第五の実施形態としてのトライアルレンズを示す正面図である。

    【符号の説明】

    10 トライアルレンズ 12 近用視力矯正領域 14 遠用視力矯正領域 22 指標

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