Tilt-wear type contact lens

申请号 JP2009548518 申请日 2008-01-24 公开(公告)号 JP4442927B2 公开(公告)日 2010-03-31
申请人 株式会社メニコン; 发明人 博之 山口; 裕二 後藤; 幸久 阪井;
摘要 A contact lens including a circumferential positioning member (40, 42, 44, 46) that can selectively set up a first stable state where a superficial center (30) of a second power zone (24) is decentered on a symmetrical meridian (22) from a geometrical center (20) of an optical zone (14) and an orthogonal meridian (34) perpendicular to the symmetrical meridian (22) with the lens worn on a right eye is circumferentially tilted by a first angle relative to a vertical line (50) of the eye, and a second stable state where the orthogonal meridian (34) under condition in which the lens is worn on a left eye with the right eye wearing state inverted upside down is circumferentially tilted by a second angle on the opposite side of the first angle relative to the vertical line (50), as well as a visible indicator mark (48) for identifying a lens orientation.
权利要求
  • レンズ中央部分に設けられた光学部に第一の度数領域と該第一の度数領域よりもプラス側に大きなレンズ度数を有する第二の度数領域を備えたコンタクトレンズにおいて、
    前記光学部の一つの径方向線である対称経線に関して線対称のレンズ形状とされていると共に、前記第一の度数領域および前記第二の度数領域の少なくとも一方の面積中心が該光学部の幾何中心に対して該対称経線上で偏心位置せしめられている一方、該対称経線に直交する直交経線が装用眼の上下方向線に対して所定角度傾斜したレンズ回転位置で装用状態におけるレンズ周方向の安定位置を与える周方向位置決め手段が設けられており、右眼に装用せしめた状態で該直交経線が該装用眼の上下方向線に対して周方向で第一の傾斜角度だけ傾斜せしめられた第一の安定状態と、右眼への装用状態と上下反転させて左眼に装用せしめた状態で該直交経線が該装用眼の上下方向線に対して該第一の傾斜角度と周方向で反対側に第二の傾斜角度だけ傾斜せしめられた第二の安定状態とが、該周方向位置決め手段によって設定可能とされていると共に、レンズ上下方向の向きに関して正位置と反転位置を識別出来る識別可能な指標マークが付されていることを特徴とする傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該周辺部において、前記対称経線方向で該光学部を挟んだ両側に位置する部分に比して前記直交経線方向で該光学部を挟んだ両側に位置する部分が何れも薄肉とされたダブルスラブオフが付されており、該ダブルスラブオフの形状が前記対称経線に関して線対称とされると共に前記直交経線に関して非線対称とされることによって前記周方向位置決め手段が構成されている請求項1に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記ダブルスラブオフによって薄肉とされた一対の薄肉部の周方向両端部間に設けられて、前記対称経線方向で前記光学部を挟んだ両側に位置せしめられた一対の厚肉部の周方向長さが、相互に異ならされている請求項2に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該周辺部において、前記対称経線方向で該光学部を挟んだ一方の側に位置する部分に比して他方の側に位置する部分が厚肉とされていることによって前記周方向位置決め手段が構成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該周辺部において着色と刻印の少なくとも一方による前記指標マークが付されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記光学部の幾何中心がレンズ幾何中心とされている請求項1乃至5の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記第一の度数領域および前記第二の度数領域の少なくとも一方の面積中心における前記光学部の幾何中心に対する偏心距離が、前記対称経線の方向成分において0.4mm以上とされている請求項1乃至6の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 角膜に重ね合わされるレンズ後面において、前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該光学部の外径寸法がレンズ外径寸法の75%以下とされている請求項1乃至7の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • ソフトコンタクトレンズであって、前記レンズ後面の前記光学部の外径寸法が10mm以下とされている請求項8に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記光学部における前記第二の度数領域に対して付加レンズ度数を与える付加度数面が、装用時に角膜に重ね合わされるレンズ後面に設定されている請求項1乃至9の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • ソフトコンタクトレンズであって、装用時に角膜に重ね合わされるレンズ後面において前記ダブルスラブオフを与える薄肉面が設定されている請求項2乃至10の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 前記第一の安定状態又は前記第二の安定状態で装用された正装用と、正装用において装用眼の左右一方の側に位置せしめられた前記第一の度数領域又は前記第二の度数領域が装用眼の左右他方の側に位置せしめられる逆装用とが、前記周方向位置決め手段によって選択的に設定可能とされている請求項1乃至11の何れか一項に記載の傾斜装用型コンタクトレンズ。
  • 说明书全文

    本発明は、コンタクトレンズに係り、特に複数の度数領域を有する多焦点コンタクトレンズに関するものである。

    良く知られているように、例えば老視などの矯正には、第一の度数領域としての遠用領域と、遠用領域よりも高い加入度数を有する第二の度数領域としての近用領域の複数の度数領域を有するバイフォーカルレンズ等の多焦点コンタクトレンズが処方される。

    このような多焦点コンタクトレンズとして、例えば特許文献1(特開昭61−272717号公報)には、遠用領域と近用領域がレンズ幾何中心に対して同心円状に形成された多焦点コンタクトレンズが開示されている。 ところが、瞳孔中心は膜中心から僅かに鼻側に偏倚していることが知られている。 それ故、レンズ幾何中心が瞳孔中心と一致することを想定してレンズ幾何中心から同心円状に遠用領域と近用領域を形成した特許文献1に記載の如き形状では、実際の装用時に両領域と瞳孔との位置関係が所期の位置に保たれなかったのであり、遠用視と近用視力の何れに対しても、有効な矯正効果を得ることが出来なかった。

    そこで、本願出願人は、特許文献2(特開平6−289329号公報)において、近用領域をレンズ幾何中心から鼻側に偏倚させた多焦点コンタクトレンズを提案した。 このようにすれば、近くを見る場合は視軸が鼻側に寄ることと巧く対応して、視軸とレンズ光軸を一致させることによって、近用視力と遠用視力の両方を効果的に矯正することが出来た。

    しかし、特許文献2に記載の如き多焦点コンタクトレンズにおいては、近用領域が装用者の左右方向のみならず上下方向にも偏倚している場合があることから、右眼用と左眼用の各別にレンズを提供する必要があって、左右の規格が追加的に必要であった。 それ故、見込み生産によった場合には、多くの在庫を用意する必要があって、製造コストや管理コストの増加を招くおそれがあった。 また、左右が同じ規格の装用者においても、左右のレンズを区別して取り扱う必要があった。

    特開昭61−272717号公報

    特開平6−289329号公報

    ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、製造コストや管理コスト等の必要コストの低減を図ると共に、装用者の取扱性の向上を図ることの出来る、新規な構造のコンタクトレンズを提供することにある。

    以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。 なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。

    すなわち、本発明の第一の態様は、レンズ中央部分に設けられた光学部に第一の度数領域と該第一の度数領域よりもプラス側に大きなレンズ度数を有する第二の度数領域を備えたコンタクトレンズにおいて、前記光学部の一つの径方向線である対称経線に関して線対称のレンズ形状とされていると共に、前記第一の度数領域および前記第二の度数領域の少なくとも一方の面積中心が該光学部の幾何中心に対して該対称経線上で偏心位置せしめられている一方、該対称経線に直交する直交経線が装用眼の上下方向線に対して所定角度傾斜したレンズ回転位置で装用状態におけるレンズ周方向の安定位置を与える周方向位置決め手段が設けられており、右眼に装用せしめた状態で該直交経線が該装用眼の上下方向線に対して周方向で第一の傾斜角度だけ傾斜せしめられた第一の安定状態と、右眼への装用状態と上下反転させて左眼に装用せしめた状態で該直交経線が該装用眼の上下方向線に対して該第一の傾斜角度と周方向で反対側に第二の傾斜角度だけ傾斜せしめられた第二の安定状態とが、該周方向位置決め手段によって設定可能とされていると共に、レンズ上下方向の向きに関して正位置と反転位置を識別出来る識別可能な指標マークが付されていることを特徴とする傾斜装用型コンタクトレンズにある。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、装用者の鼻を挟んで略対称に第一の度数領域又は第二の度数領域を瞳孔中心に対して偏心位置せしめることが出来る。 例えば、右眼に装用した第一の安定状態で第二の度数領域を装用者の鼻側に位置せしめた場合には、左眼に装用した第二の安定状態においても、第二の度数領域が装用者の鼻側に位置せしめられる。 なお、本態様においてプラス側に大きなレンズ度数とは、ディオプタ値がプラス側に大きいことを言い、具体的には、例えば、第一の度数領域を−5Dとした場合、+1Dや0D、−3Dは何れもプラス側に大きいこととなる。

    従って、例えば本発明における傾斜装用型コンタクトレンズを老視矯正用のバイフォーカルレンズとして構成して、第一の度数領域を遠用光学部、第二の度数領域を近用光学部に設定した場合には、第一の傾斜角度および第二の傾斜角度を適当に調節することによって、左右眼何れに装用した場合でも近用光学部を装用者の鼻下側に位置せしめることが出来る。 このように、本発明における傾斜装用型コンタクトレンズは、左右何れの眼に装用した場合でもそれに応じた好適な安定状態で安定位置せしめることが可能とされている。 その結果、単一のレンズを左眼用と右眼用に共通して用いることが可能とされており、左右を区別してレンズを用意することが不要とされる。 これにより、例えば見込み生産でレンズを提供する場合にも、在庫量を従来の半分にすることが出来て、製造や管理に要するコストを軽減することが出来る。

    さらに、本発明に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズは、必ずしも左右セットで提供される必要はないが、左右のセットにて提供されることによって、より優れた効果を発揮することが出来る。 即ち、第一の安定状態で右眼に対する矯正効果が発揮されると共に、第二の安定状態で左眼に対する矯正効果が発揮される同一規格の傾斜装用型コンタクトレンズの一対をセットとして装用者に提供することによって、装用者は、これら一対のレンズの何れを装用した場合でも、右眼に装用した場合には右眼に好適な矯正効果が発揮されると共に、左眼に装用した場合には左眼に好適な矯正効果が発揮される。 これにより、同一規格の一対のレンズによって左右両眼の矯正が可能となり、左右が同じ規格の装用者は、左右の別を意識することなくレンズを取り扱うことが出来て、取扱い性も向上せしめられる。

    なお、本発明に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、第一の安定状態と第二の安定状態の2つの安定状態が発現せしめられることから、装用者は、右眼に装用した場合には第一の安定状態で、左眼に装用した場合には第二の安定状態で安定位置せしめられるように、レンズの周方向位置を意識して装用する必要がある。 そこにおいて、本発明における傾斜装用型コンタクトレンズによれば、指標マークが付されていることから、レンズの周方向位置を容易に把握することが可能とされており、所望する安定状態で容易に装用することが可能とされている。

    本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該周辺部において、前記対称経線方向で該光学部を挟んだ両側に位置する部分に比して前記直交経線方向で該光学部を挟んだ両側に位置する部分が何れも薄肉とされたダブルスラブオフが付されており、該ダブルスラブオフの形状が前記対称経線に関して線対称とされると共に前記直交経線に関して非線対称とされることによって前記周方向位置決め手段が構成されていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、スラブオフを直交経線に関して非線対称形状とすることによって、装用眼の上下方向線に対して直交経線が傾斜した安定状態を安定して発現せしめることが出来る。 それと共に、直交経線方向で光学部を挟んだ両側が薄肉とされたダブルスラブオフとされていることから、上下を反転させた2つの安定状態で安定位置せしめることが可能とされている。

    本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記ダブルスラブオフによって薄肉とされた一対の薄肉部の周方向両端部間に設けられて、前記対称経線方向で前記光学部を挟んだ両側に位置せしめられた一対の厚肉部の周方向長さが、相互に異ならされていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、光学部の両側で対称経線方向の重量バランスおよび眼瞼との接触によって及ぼされる作用力が異ならされる。 これにより、直交経線が上下方向線に対して傾斜せしめられた第一および第二の安定状態を有利に発現せしめることが出来る。

    本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該周辺部において、前記対称経線方向で該光学部を挟んだ一方の側に位置する部分に比して他方の側に位置する部分が厚肉とされていることによって前記周方向位置決め手段が構成されていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、対称経線方向で重量バランスが異ならされることによってバラスト効果が生ぜしめられる。 これにより、直交経線が上下方向線に対して傾斜せしめられた第一および第二の安定状態を有利に発現せしめることが出来る。

    本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該周辺部において着色と刻印の少なくとも一方による前記指標マークが付されていることを、特徴とする。 本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、光学部から外れた周辺部に指標マークが付されていることから、指標マークが光学特性に影響を与えることが回避されており、第一および第二の安定状態の何れにおいても、良好な光学特性を得ることが出来る。

    本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記光学部の幾何中心がレンズ幾何中心とされていることを、特徴とする。 本態様によれば、第一および第二の何れの安定状態においても、光学部が瞳孔から外れるようなことが回避されて、安定した光学特性を得ることが出来る。

    本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記第一の度数領域および前記第二の度数領域の少なくとも一方の面積中心における前記光学部の幾何中心に対する偏心距離が、前記対称経線の方向成分において0.4mm以上とされていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、第一又は第二の度数領域の光学部の幾何中心に対する相対位置を第一の安定状態と第二の安定状態で明確に異ならせることが出来る。 即ち、かかる偏心距離が0.4mmよりも小さいと、第一の安定状態と第二の安定状態との間で第一又は第二の度数領域の光学部の幾何中心に対する相対位置の変化が小さくなって、二つの安定状態のそれぞれに応じた光学特性を発揮することが困難となる。

    本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、角膜に重ね合わされるレンズ後面において、前記光学部の外周側に周辺部が設けられていると共に、該光学部の外径寸法がレンズ外径寸法の75%以下とされていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、第一の安定状態と第二の安定状態を何れも安定して発現することが出来る。 即ち、光学部の外径寸法がレンズ外径寸法の75%よりも大きいと、装用時におけるレンズ幾何中心が角膜表面の定位置で安定し易くなって、第一の安定状態と第二の安定状態の2つの安定状態を安定して発現せしめることが困難となるおそれがある。

    具体的には、例えば、本発明の第九の態様として、前記第八の態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、ソフトコンタクトレンズであって、前記レンズ後面の前記光学部の外径寸法が10mm以下とされている態様が、好適に採用される。

    本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記光学部における前記第二の度数領域に対して付加レンズ度数を与える付加度数面が、装用時に角膜に重ね合わされるレンズ後面に設定されていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、第一の度数領域と第二の度数領域との曲率の違いによって、角膜表面とレンズ後面との間に涙液を保持することが出来る。 そして、保持された涙液を涙液レンズとして用いることによって、第一の度数領域と第二の度数領域の間での急激な光学特性の変化を軽減することが出来る。 また、第一の度数領域と第二の度数領域と異なる複数の曲率を有するレンズ後面形状を成形型で形成することによって、優れた製造効率を得ることも出来る。

    本発明の第十一の態様は、前記第二乃至第十の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、ソフトコンタクトレンズであって、装用時に角膜に重ね合わされるレンズ後面において前記ダブルスラブオフを与える薄肉面が設定されていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズによれば、眼球への装用状態においてレンズが変形して角膜表面に沿うことによって、レンズ後面に形成されたダブルスラブオフがレンズ前面に現れる。 これにより、眼瞼との相互作用によってレンズを第一の安定状態および第二の安定状態で位置決めすることが出来る。 なお、本態様は、前記第十の態様と組み合わせて好適に用いられる。 即ち、レンズ後面に付加度数面と薄肉面を形成すれば、かかる複雑なレンズ後面形状を成形型で形成することが可能となり、優れた製造効率を得ることが出来る。

    本発明の第十二の態様は、前記第一乃至第十一の何れか一つの態様に係る傾斜装用型コンタクトレンズにおいて、前記第一の安定状態又は前記第二の安定状態で装用された正装用と、正装用において装用眼の左右一方の側に位置せしめられた前記第一の度数領域又は前記第二の度数領域が装用眼の左右他方の側に位置せしめられる逆装用とが、前記周方向位置決め手段によって選択的に設定可能とされていることを、特徴とする。

    本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズにおいては、例えば第一の度数領域を側に位置せしめた正装用と、第一の度数領域を鼻側に位置せしめた逆装用を選択して装用することが出来る。

    従って、例えば本態様における傾斜装用型コンタクトレンズを老視矯正用のバイフォーカルレンズとして構成して、第一の度数領域を遠用光学部、第二の度数領域を近用光学部に設定した場合には、同一の装用眼において、近用光学部が装用眼の鼻側に位置せしめられた正装用と、近用光学部が装用眼の耳側に位置せしめられた逆装用とを選択して装用することが出来る。 これにより、正装用した場合には、近用光学部が装用者の鼻側に位置せしめられて瞳孔中心にかかり、遠用視力と近用視力の矯正が可能となる。 一方、逆装用した場合には、近用光学部が瞳孔中心から外れた耳側に位置せしめられることによって、フレアの発生等も軽減された良好な遠用視力を得ることが出来る。 即ち、本態様によれば、装用状態を変更することによって、(1)瞳孔中心におけるレンズ光学面の度数の変化(好ましくは、度数変化は0.25D以上)、(2)瞳孔におけるレンズ光学部の度数の配置の変化、(3)瞳孔における近用光学部と遠用光学部の投影面積比の変化(好ましくは、投影面積比の変化は10%以上)、の少なくとも1つが生ぜしめられるようになっている。 これにより、正装用することによってバイフォーカル効果が得られると共に、逆装用することによって略単焦点効果を得ることが可能となり、それら異なる光学特性の何れをも有効に発揮せしめることが出来る。

    さらに、本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズは、必ずしも左右セットで提供される必要はないが、左右のセットにて提供されることによって、より優れた効果を発揮することが出来る。 即ち、装用者が使用環境に応じて左右それぞれのレンズの正装用と逆装用を選択的に組み合わせて使用することが可能となり、例えば、前記バイフォーカルレンズにおいて、左右両レンズを正装用すれば、両レンズによるバイフォーカル効果が得られる一方、左右両レンズを逆装用すれば、両レンズによる略単焦点効果を得ることが出来る。 更には、優位眼に正装用、非優位眼に逆装用したり、優位眼に逆装用、非優位眼に正装用するなど、使用環境に応じて遠用視力と近用視力の矯正バランスを変化させることが出来る。 これにより、モディファイトモノビジョン処方にも有効に用いることが出来る。

    そして、これら左右の正逆装用の組み合わせにより、本態様における傾斜装用型コンタクトレンズは、例えばバイフォーカルレンズを装用者に慣らす時間と手間を軽減することが出来る。 即ち、例えば第一の度数領域を遠用光学部、第二の度数領域を近用光学部に設定して、両眼において近用光学部が耳側に位置せしめられる逆装用で遠用度数を決定すれば、遠用視力矯正用のコンタクトレンズとしての処方が完了する。 そして、近用度数については、決定した遠用度数を有し、近用光学部のレンズ度数が少しずつ異ならされた本態様に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズを多数用意すると共に近用光学部が鼻側に位置せしめられる正装用で装用して、近用度数を徐々に変化させて生活環境の中で数日から数ヶ月単位で十分に慣らすことによって、最適な近用度数を決定又は設定することが出来る。

    本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。

    同コンタクトレンズの直交経線方向断面の一部をモデル的に示す説明図。

    同コンタクトレンズの装用状態の組み合わせ例を示す説明図。

    同コンタクトレンズの装用状態の異なる組み合わせ例を示す説明図。

    同コンタクトレンズの装用状態の更に異なる組み合わせ例を示す説明図。

    本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。

    同コンタクトレンズの装用状態の組み合わせ例を示す説明図。

    同コンタクトレンズの装用状態の異なる組み合わせ例を示す説明図。

    本発明の第三の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。

    本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズを示す正面説明図。

    実施例の正装用状態および比較例の装用1での装用状態を示す正面説明図。

    実施例の逆装用状態および比較例の装用1と反転した装用状態を示す正面説明図。

    符号の説明

    10 コンタクトレンズ12 レンズ幾何中心軸14 光学部16 周辺部20 光学部幾何中心軸22 対称経線24 近用光学部26 遠用光学部30 近用部面積中心32 遠用部面積中心34 直交経線40 スラブオフ領域42 スラブオフ領域44 厚肉部46 厚肉部48 指標マーク

    以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。

    先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としての傾斜装用型コンタクトレンズに係るコンタクトレンズ10を示す。 コンタクトレンズ10は、図1に示す正面視においてレンズ幾何中心軸12回りの回転体形状の外形を有する全体として略球殻形状とされており、眼球における角膜の表面に重ね合わせて装用されることによって使用されるようになっている。 なお、図1および後述する図3乃至図10中の「N」および「D」は、それぞれ、近用光学部と遠用光学部の位置を容易に把握するために便宜上表示したものである。

    本実施形態におけるコンタクトレンズ10はソフトタイプのコンタクトレンズであり、その材料は何等限定されるものでなく、従来から公知のPHEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)やPVP(ポリビニルピロリドン)等の含性材料の他、アクリルゴムやシリコン等の非含水性材料であっても良い。

    そして、コンタクトレンズ10は、同時視型の老視矯正用レンズであって、図示されたレンズ正面視において、矯正光学系としての光学部14が、レンズ幾何中心軸12上に広がる大きな円形状で形成されている。 また、レンズ外周部分には、光学部14の周りを囲むようにして非光学領域としての周辺部16が、所定幅の円環帯形状をもってレンズ幾何中心軸12上に形成されている。 更にまた、レンズ外周縁部には、コンタクトレンズ10の前後両面を滑らかに繋ぐエッジ部18が全周に亘って円環形状で形成されている。

    ここにおいて、光学部14は、その光学部幾何中心軸20がレンズ幾何中心軸12と一致せしめられている。 更に、レンズ後面における光学部14の外径寸法は、レンズ外径寸法の75%以下とされており、具体的には、人間の角膜径の標準値以下の10mmφ以下とされることが好ましい。 蓋し、光学部14の外径寸法がレンズ外径寸法の75%よりも大きいと、レンズが定位置で安定し易くなって、後述する第一の安定状態と第二の安定状態の2つの安定状態を得難くなるからである。

    さらに、光学部14は、3つの異なる焦点距離を備えた光学領域によって構成されている。 先ず、その面積中心が光学部幾何中心軸20から光学部14の一つの径方向線である対称経線22上で偏心位置せしめられた小円形状の領域が、近方視認用に一定の焦点距離(即ち、レンズ度数)が設定された近用光学部24とされている。 一方、近用光学部24の周りの光学部14における最外周部分の領域が、遠方視認用に一定の焦点距離(レンズ度数)が設定された遠用光学部26とされている。 更に、近用光学部24と遠用光学部26の間の円環帯状の領域が移行部28とされている。

    近用光学部24は、近方視認のために遠用光学部26のレンズ度数に対して所定の付加度数が付与されたレンズ面とされている。 これにより、近用光学部24のレンズ度数(ディオプタ値)は遠用光学部26のレンズ度数(ディオプタ値)に比してプラス側に大きくされており、本実施形態においては、遠用光学部26が第一の度数領域とされる一方、近用光学部24が第二の度数領域とされている。 そして、移行部28において、近用光学部24のレンズ度数から遠用光学部26のレンズ度数まで径方向で次第に変化する焦点距離(レンズ度数)が設定されている。 なお、移行部28としては、例えば、近用光学部24と遠用光学部26の間の所定の焦点距離(レンズ度数)が設定されていても良い。

    そこにおいて、近用光学部24の面積中心となる近用部面積中心30は、光学部14の対称経線22上で光学部幾何中心軸20に対して偏心位置せしめられている。 なお、近用部面積中心30の光学部幾何中心軸20に対する偏心距離は、対称経線22の方向成分において0.4mm以上、より好ましくは0.6mm以上とされていることが好ましい。 蓋し、近用部面積中心30の偏心距離が0.4mmよりも小さいと、後述する第一の安定状態と第二の安定状態との間で近用光学部24の瞳孔に対する相対位置に差異が生じ難くなると共に、近用光学部24を鼻下側に位置せしめ難くなるからである。 一方、遠用光学部26の面積中心となる遠用部面積中心32は、対称経線22上で光学部幾何中心20を挟んで近用部面積中心30と反対側に偏心位置せしめられている。 これにより、光学部14は対称経線22に関して線対称形状とされていると共に、対称経線22とレンズ幾何中心軸12上で直交する直交経線34に関して非線対称形状とされている。

    さらに、近用光学部24の付加レンズ強度を与える付加度数面は、装用時に角膜と重ね合わされることとなるレンズ後面に形成されており、本実施形態における光学部14は、略一定の曲率半径を有する凸状の略円弧形断面とされたレンズ前面36(図2参照)と協働して近用光学部24および遠用光学部26のレンズ度数を与える凸状の略円弧状断面がレンズ後面38(図2参照)に形成されている。 これにより、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、眼球への装用時には角膜表面とレンズ後面38との間に涙液を保持することが出来て、かかる涙液によって形成される涙液レンズによって近用光学部24と遠用光学部26の間での急激なレンズ度数の変化が軽減されている。

    そして、周辺部16において、直交経線34方向で光学部14を挟んだ両側には、対称経線22方向で光学部14を挟んだ両側に位置する部分に比して薄肉とされた薄肉部としての一対のスラブオフ領域40、42が形成されおり、両スラブオフ領域40、42によってダブルスラブオフ構造が形成されている。 特に本実施形態においては、両スラブオフ領域40,42は、対称経線22に関して対称形状とされる一方、直交経線34に関して非対称形状とされており、正面視において周方向端縁部の一方が他方に比してより対称経線22に接近せしめられた傾斜形状とされている。

    特に本実施形態においては、図2にスラブオフ領域40を例にモデル的に示すように、両スラブオフ領域40,42を与える薄肉面43はレンズ後面38に設定されている。 そして、装用状態においてコンタクトレンズ10が角膜表面に沿うように変形せしめられることによって、レンズ後面38に設定された薄肉形状がレンズ前面36に現れるようにされている。

    また、スラブオフ領域40,42の周方向両端部間において対称経線22方向で光学部14を挟んだ両側には、スラブオフ領域40,42に比して厚肉とされた一対の厚肉部44,46が形成されている。 これら厚肉部44,46の周方向長さ寸法は互いに異ならされている。 換言すれば、一方の厚肉部44における周方向両端縁部間のレンズ幾何中心軸12回りの中心角:αと、他方の厚肉部46における周方向両端縁部間のレンズ幾何中心軸12回りの中心角:βが異ならされている。 そこにおいて、厚肉部44の中心角:αと厚肉部46の中心角:βの差はレンズ幾何中心軸12回りで5〜50度、より好ましくは10〜40度とされていることが好ましい。 蓋し、中心角:α、βの差が5度より小さいと、両厚肉部44、46の重量バランスおよび両厚肉部44,46に及ぼされる眼瞼の作用力が両厚肉部44、46間で略釣り合い状態となって、後述する直交経線34が傾斜した状態で安定しにくくなる一方、中心角:α、βの差が50度より大きいと、厚肉部44,46の周方向長さの大きい方によるバラスト効果が支配的となって一定の周方向位置で安定してしまい、後述する第一の安定状態と第二の安定状態の2つの安定状態を得難くなるおそれがあるからである。 なお、厚肉部44,46の周方向長さ寸法は、要求されるレンズ傾斜角度等を考慮して、適宜に設定される。

    これにより、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、光学部14と周辺部16を含む全体として対称経線22に関して線対称形状とされる一方、近用光学部24がレンズ幾何中心軸12から偏心位置せしめられると共に、両スラブオフ領域40,42が傾斜形状とされていることによって、直交経線34に関して非線対称形状とされている。

    また、周辺部16における周方向の適当な位置には、視標マーク48が視認可能に設けられている。 指標マーク48は、コンタクトレンズ10の周方向を視認するためのものであり、好ましくは、対称経線22乃至は直交経線34上のレンズ外周縁部に形成される。 特に本実施形態においては、指標マーク48は、長軸が対称経線22上に延びる楕円形状とされており、レンズ幾何中心軸12を挟んで近用光学部24と反対側のレンズ外周縁部に形成されている。 なお、指標マーク48は従来公知の手法で形成することが可能であり、着色や刻印が好適に採用される。 また、指標マーク48の外観は何等限定されるものではなく、各種の図形や文字等が適宜に採用可能である。

    図3に、本実施形態におけるコンタクトレンズ10の左右眼への装用状態を示す。 なお、図3および後述する図4、図5は本実施形態におけるコンタクトレンズ10を左右両眼にそれぞれ装用した正面視をモデル的に示すものであり、右眼に装用されたレンズ(図中、左側)をコンタクトレンズ10a,左眼に装用されたレンズ(図中、右側)をコンタクトレンズ10bとする。

    本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、両スラブオフ領域40,42が直交経線34に関して非対称形状とされていること、および厚肉部44、46の周方向長さが異ならされていることから、眼瞼との相互作用および重量バランスが直交経線34を挟んだ左右両側で不均一とされる。 その結果、眼球への装用時には、装用眼の上下方向線50に対して直交経線34がレンズ幾何中心軸12を中心として所定角度だけ傾斜せしめられた周方向位置で安定位置せしめられるようになっている。 これにより、コンタクトレンズ10aを、指標マーク48を耳側に位置せしめて右眼に装用した場合には、眼の上下方向線50に対して直交経線34がレンズ幾何中心軸12を中心とした時計回りに第一の傾斜角度:γ 1だけ傾斜した周方向位置で安定位置せしめられるようになっており、かかる位置が第一の安定状態とされる。 一方、コンタクトレンズ10bを、右眼への装用方向と上下を反転せしめて、指標マーク48を耳側に位置せしめて左眼に装用した場合には、上下方向線50に対して直交経線34がレンズ幾何中心軸12を中心とした反時計回りに第二の傾斜角度:δ 1だけ傾斜した周方向位置で安定位置せしめられるようになっており、かかる位置が第二の安定状態とされている。 このように、本実施形態においては、両スラブオフ領域40,42および厚肉部44,46を含んで周方向位置決め手段が構成されている。 そこにおいて、第一の傾斜角度:γ 1と第二の傾斜角度:δ 1は、互いに異ならされても良いし、等しくされても良い。

    そして、本実施形態におけるコンタクトレンズ10によれば、近用光学部24の面積中心が光学部幾何中心20から偏心位置せしめられていることから、右眼に第一の安定状態で装用されたコンタクトレンズ10a,左眼に第二の安定状態で装用されたコンタクトレンズ10bの何れにおいても、近用光学部24が瞳孔52と重なる鼻側に位置せしめられるようになっている。 これにより、近方視時には瞳孔中心が鼻側に偏倚せしめられることと巧く対応して、近用光学部24を瞳孔52の中心:Pにかからせることが出来る。 その結果、遠用視力と近用視力のバランスの取れたバイフォーカル効果を得ることが出来る。 更に、瞳孔中心は、近方視時には鼻側で且つやや下方に偏倚することが知られており、特に本実施形態によれば、レンズが傾斜せしめられることによって、近用光学部24を鼻側で且つやや下方に偏倚せしめた状態で安定位置せしめることが可能とされており、瞳孔52に対してより好適に対応した位置で近用光学部24を安定位置せしめることが可能とされているのである。

    また、右眼に第一の安定状態および左眼に第二の安定状態で装用した場合においては、左右眼の何れにおいても、周方向寸法が大きく、眼瞼の押出作用が及ぼされ易い厚肉部44が耳側に位置せしめられている。 これにより、眼瞼の押出作用によってコンタクトレンズ10a,10bに耳側へ向かう作用力が及ぼされると共に、強膜は角膜を挟んだ耳側の方が広いことから、かかる作用力によるコンタクトレンズ10の耳側への偏倚が許容され易く、左右眼に装用された両コンタクトレンズ10a,10bは、それぞれ、耳側へ僅かに偏倚せしめられる。 その結果、近用光学部24を瞳孔52に対して更に好適な位置で近用光学部24を安定位置せしめることが出来る。

    なお、第一の安定状態および第二の安定状態を安定して発現せしめるためには、コンタクトレンズ10を予め近用光学部24を鼻側に位置せしめた周方向位置で眼球に装用することが好ましい。 そのためには、装用者において近用光学部24の位置を把握する必要があるが、本実施形態によれば、対称経線22方向で近用光学部24と反対側に指標マーク48が形成されていることから、例えば右眼に第一の安定状態で装用されたレンズ上下方向の向きを正位置とすれば、正面視において指標マーク48が左側に位置せしめられたレンズ上下方向の向きが正位置であり、指標マーク48が右側に位置せしめられたレンズ上下方向の向きが、正位置と上下反転された反転位置であることが識別可能とされている。 従って、指標マーク48を耳側に位置せしめた周方向位置(本実施形態においては、右眼に正位置、左眼に反転位置)で眼球に装用すれば、左右眼の何れにおいても近用光学部24を鼻側に位置せしめることが出来て、第一および第二の安定状態を安定して発現せしめることが出来る。

    このような構造とされたコンタクトレンズ10においては、光学部14と周辺部16を含む全体として対称経線22に関して対称形状とされていると共に、直交経線34に関して非対称形状とされた特定形状を有するスラブオフ領域40,42および厚肉部44,46を採用したことによって、所定の傾斜角度:γ 1 、δ 1だけ傾斜せしめられた第一の安定状態と第二の安定状態を設定することが可能とされている。 これにより、左右何れの眼に装用した場合でも、近用光学部24を装用者の鼻側で且つ下側に位置せしめることが可能とされている。 その結果、本実施形態におけるコンタクトレンズ10によれば、左眼用と右眼用を区別してレンズを用意することが不要とされており、製造や管理に要するコストを軽減することが出来る。

    特に、一つのレンズを左右両眼に用いることが出来ることから、第一の安定状態で右眼に対する矯正効果が発揮されると共に、第二の安定状態で左眼に対する矯正効果が発揮される同一規格のレンズの一対を処方することが出来る。 このようにすれば、左右が同じ規格の装用者は左右の区別を意識することなくレンズを取り扱うことが出来て、取扱い性も向上せしめられる。

    なお、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、同一の装用眼に対して、上下を反転させて装用することによって、2つの装用状態を設定することが出来る。 即ち、図3に示した、近用光学部24が鼻側に位置せしめられた第一および第二の安定状態を正装用とすると、図4に示すように、それぞれのコンタクトレンズ10a,10bを同一の装用眼に対して正装用と上下を反転させて装用した逆装用状態を設定することが出来る。

    そこにおいて、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、スラブオフ領域40,42が傾斜せしめられていることから、右眼に逆装用した場合には、上下方向線50に対して、径方向線34が第一の傾斜角度:γ 1とは反対の傾斜方向となる反時計回りに所定の傾斜角度:γ 2だけ傾斜した周方向位置で安定位置せしめられる。 一方、左眼に逆装用した場合には、上下方向線50に対して、径方向線34が第二の傾斜角度:δ 1とは反対の傾斜方向となる時計回りに所定の傾斜角度:δ 2だけ傾斜した周方向位置で安定位置せしめられる。 なお、第一の傾斜角度:γ 1と所定の傾斜角度:γ 2 、および第二の傾斜角度:δ 1と所定の傾斜角度:δ 2は、互いに異ならされても良いし、等しくされても良い。

    そして、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、近用光学部24が光学部幾何中心軸20から偏心位置せしめられていることから、右眼に逆装用されたコンタクトレンズ10a,左眼に逆装用されたコンタクトレンズ10bの何れにおいても、近用光学部24が耳側に位置せしめられるようになっている。 これにより、近用光学部24が瞳孔52の中心:Pから外れ、遠用光学部26による略単焦点レンズと同様の効果と若干の近用の矯正効果を得ることが出来る。 更に、フレアの発生も大幅に軽減することが可能となり、例えば夜間のドライブ時などに好適に採用することが出来る。

    また、本実施形態におけるコンタクトレンズ10は、必ずしも左右一対で提供される必要は無いが、左右一対で提供されて、左右両眼のそれぞれにおいて、正装用と逆装用を組み合わせて用いることによって、使用状況に応じた適切な矯正効果を得ることが出来る。 即ち、図3に示したように、左右両眼に正装用すれば、良好なバイフォーカル効果が得られる一方、図4に示したように、左右両眼に逆装用すれば、略単焦点レンズと同様の遠用矯正効果を得ることが出来る。 更に、図5に例示するように、右眼に対して正装用、左眼に対して逆装用することなども可能である。 このようにすれば、右眼は近用光学部24が瞳孔52の中心:Pにかかり、遠用視力と近用視力が得られる一方、左眼は近用光学部24が瞳孔52の中心:Pから外れることによって単焦点レンズと略同様の遠用矯正効果を得ることが出来る。 これにより、モディファイトモノビジョン処方に好適に用いることが出来る。

    次に、図6に、本発明の第二の実施形態としての傾斜装用型コンタクトレンズに係るコンタクトレンズ60を示す。 なお、以下の説明において、前述の第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位については、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。

    コンタクトレンズ60は、前述の第一の実施形態と同様の同時視型のコンタクトレンズとされており、その光学部14には、近用光学部24、遠用光学部26、および移行部28が形成されていると共に、近用部面積中心30および遠用部面積中心32が径方向線22上で光学部幾何中心軸20から偏心位置せしめられている。 特に本実施形態においては、近用光学部24が第一の実施形態に比してやや大きく形成されており、光学部幾何中心軸20に至る大きさを有している。

    そして、直交経線34方向で光学部14を挟んだ両側には、対称経線22方向で光学部14を挟んだ両側に比して薄肉とされた薄肉部としてのスラブオフ領域62,64が形成されている。 特に本実施形態においては、両スラブオフ領域62、64は、径方向線22に関して対称形状とされていると共に、直交経線34に関しても線対称形状とされている。

    さらに、周辺部16において対称経線22方向で光学部14を挟んだ一方の側(本実施形態においては、図6中、左側)における両スラブオフ領域62,64の間には、周辺部16の径方向略中間部分からレンズ外周縁部にかけて、レンズの厚さ寸法が小さくされた軽量部66が形成されている。 これにより、周辺部16において対称経線22方向で光学部14を挟んだ軽量部66と反対側(図6中、右側)の部位には、軽量部66よりもレンズの厚さ寸法が大きくされた重量部68が形成されている。 ここにおいて、軽量部66と重量部68の平均厚さ寸法の差は、レンズ半径方向で0.01〜0.15mm、より好ましくは、0.05〜0.10mmの範囲内で設定されることが好ましい。 蓋し、平均厚さ寸法の差が0.01mmよりも小さいと、軽量部66と重量部68の重量の差が小さく、両部66,68が釣り合い状態となって直交経線34を傾斜せしめた周方向位置で安定せしめることが困難となる一方、平均厚さ寸法の差が0.15mmよりも大きいと、重量部68の重量が軽量部66に比して大きくなり過ぎて、単一の周方向位置で安定し易く、第一の安定状態と第二の安定状態の2つの周方向安定状態を選択的に設定することが困難となるおそれがあるからである。

    また、周辺部16において、軽量部66が形成された領域には、指標マーク70が形成されている。 指標マーク70は、対称経線22方向で、光学部14の外周縁部とレンズ外周縁部の略中間部分を直交経線34と平行に延びる境界線とレンズ外周縁部によって囲まれる領域が着色により塗り潰されて形成されている。 なお、図中においては、指標マーク70と重なる軽量部66の形状を示すために、指標マーク70の形成領域を斜線で示す。

    本実施形態におけるコンタクトレンズ60は、両スラブオフ領域62,64および重量部68を含んで周方向位置決め手段が構成されている。 これにより、例えば図7に示すように、右眼に装用した状態で、上下方向線50に対して時計回りに第一の傾斜角度:ε 1だけ傾斜せしめられた第一の安定状態で安定位置せしめられる一方、左眼に装用した状態で、上下方向線50に対して反時計回りに第二の傾斜角度:θ 1だけ傾斜せしめられた第二の安定状態で安定位置せしめられる。 その結果、左右眼いずれに装用した場合でも、近用光学部24を鼻側且つ下方に位置せしめることが出来て、良好なバイフォーカル効果を得ることが出来る。 なお、第一の傾斜角度:ε 1と第二の傾斜角度:θ 1は、互いに異ならされても良いし、等しくされても良い。

    そして、本実施形態におけるコンタクトレンズ60においても、第一および第二の安定状態で装用された正装用に対して、上下を反転させた逆装用で装用することも可能である。 例えば、図8に示すように、右眼に逆装用した場合には、上下方向線50に対して、径方向線34が第一の傾斜角度:ε 1とは反対の傾斜方向となる半時計回りに所定の傾斜角度:ε 2だけ傾斜した周方向位置で安定位置せしめられる。 一方、左眼に逆装用した場合には、上下方向線50に対して、径方向線34が第二の傾斜角度:θ 1とは反対の傾斜方向となる時計回りに所定の傾斜角度:θ 2だけ傾斜した周方向位置で安定位置せしめられる。 これにより、左右眼に装用されたコンタクトレンズ60a,60bの何れにおいても、近用光学部24が瞳孔52の中心:Pから外れることによって、遠用光学部26による略単焦点レンズと同様の効果を得ることが出来る。 なお、第一の傾斜角度:ε 1と所定の傾斜角度:ε 2 、および第二の傾斜角度:θ 1と所定の傾斜角度:θ 2は、互いに異ならされても良いし、等しくされても良い。 更に、図示は省略するが、第一の実施形態と同様に、左右眼のそれぞれにおいて、正装用と逆装用を組み合わせて装用することも可能であって、例えば右眼に正装用、左眼に逆装用することによって、モディファイトモノビジョン処方に好適に用いることなども出来る。

    このように、本実施形態においても、左眼用と右眼用を区別してレンズを用意することが不要とされており、製造や管理に要するコストを軽減することが出来る。 そして、本実施形態から明らかなように、レンズ周方向の安定位置を与える周方向位置決め手段の具体的構造は特に限定されるものではない。

    次に、図9に、本発明の第三の実施形態としての傾斜装用型コンタクトレンズに係るコンタクトレンズ80を示す。 コンタクトレンズ80は、前述の第一の実施形態におけるコンタクトレンズ10の近用光学部24と遠用光学部26が、その正面視における外形を等しくして入れ替えたものであり、本実施形態においては、正面視において小円形状とされた遠用光学部82の周りに近用光学部84が形成されており、これら遠用光学部82と近用光学部84の間に移行部86が形成されている。 本実施形態から明らかなように、第一の度数領域(本実施形態における遠用光学部82)と第二の度数領域(本実施形態における近用光学部84)の面積比は何等限定されるものではなく、第一および第二の度数領域の何れが大きくても良いし、小さくても良い。 或いは、第一および第二の度数領域の面積が互いに等しくされても良い。

    さらに、図10に、本発明の第四の実施形態としての傾斜装用型コンタクトレンズに係るコンタクトレンズ90を示す。 本実施形態においては、光学部幾何中心軸20が、対称経線22上でレンズ幾何中心軸12から偏心位置せしめられている。 このように、光学部14は、装用上で問題とならない程度にレンズ幾何中心軸12から偏心位置せしめられても良い。

    以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。

    例えば、本発明は、2焦点を有するバイフォーカル、2焦点よりも多焦点を有するマルチフォーカルや累進多焦点レンズの何れに適用することも可能である。 また、第一の度数領域と第二の度数領域の境界は明確である必要はなく、例えば累進多焦点レンズの場合には、レンズ度数の最大値と最小値の中間値に関して、該中間値より小さい度数領域が第一の度数領域、大きい度数領域が第二の度数領域とされる。 従って、本発明は、必ずしも老視矯正に用いられる遠近両用のレンズにのみ適用されるものではなく、例えば第一の度数領域と第二の度数領域の度数差が0.25D程度と小さく、正装用で屋内用として用い、逆装用で屋外用として用いるレンズとすること等も可能である。

    また、第一の度数領域又は第二の度数領域の面積中心の偏心位置は、必ずしも厳密に径方向線上に限定されるものではなく、径方向線からの多少のずれは許容され得る。

    更にまた、本発明は、必ずしもソフトコンタクトレンズにのみ適用され得るものではなく、ハードコンタクトレンズに適用することも、勿論可能である。

    なお、本発明に従う構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズの安定位置および矯正効果を確認するために行なった試験結果を、以下に示す。

    先ず、実施例としての前述の第一の実施形態と略同様の構造とされた傾斜装用型コンタクトレンズと、比較例としての従来構造に従うコンタクトレンズを被検者Aに用意した。 これらは何れも、外径寸法(DIA)=14.2mm、ベースカーブ(B.C.)=8.60mm、後面光学部直径=8mm、近用光学部直径=1mm、レンズ度数移行部幅=0.5mm、中心厚さ=0.10mm、周辺部における厚肉部の平均厚さ=0.40mm、周辺部における薄肉部の平均厚さ=0.13mmの含水率72%のソフトコンタクトレンズを用いた。

    そして、実施例および比較例として、上述の如きソフトコンタクトレンズに対して、被検者Aの左右両眼に遠視矯正力を与える表1に示す遠用度数を付与すると共に、何れのレンズにも一律の+1.5Dの付加度数を付与した。 なお、表1における調節力とは、調節を休止している状態での網膜共役点である調節遠点と、調節を最大限働かせたときの網膜共役点である調節近点までの調節域をレンズの屈折力で表したものである。

    さらに、実施例としての傾斜装用型コンタクトレンズは、一方の厚肉部の中心角(前記第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10における厚肉部44の中心角:α)=50°、他方の厚肉部の中心角(前記第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10における厚肉部46の中心角:β)=10°、右眼用のレンズにおける近用光学部幾何中心とレンズ幾何中心の偏心距離=1.0mm、左眼用のレンズにおける近用光学部幾何中心とレンズ幾何中心の偏心距離=0.8mmとした。 また、周辺部には、指標マークとして、長さ1.5mm、幅0.3mmの長方形を青色の着色によって形成した。 なお、近用光学部幾何中心のレンズ幾何中心からの偏心距離は、近用光学部の幾何中心が瞳孔中心に位置せしめられる最適値として、正装用における近用光学部幾何中心のレンズ幾何中心からの偏心距離とした。

    一方、比較例としての従来構造に従うコンタクトレンズは、両方の厚肉部の中心角(前記第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10における厚肉部44および厚肉部46の中心角:α、β)を何れも30°、右眼用のレンズにおける近用光学部幾何中心とレンズ幾何中心の偏心距離=0.4mm、左眼用のレンズにおける近用光学部幾何中心とレンズ幾何中心の偏心距離=0.5mmとした。 また、周辺部には、指標マークとして、短径1.6mm、長径2.0mmの楕円形状を青色の着色によって形成した。 なお、近用光学部幾何中心のレンズ幾何中心からの偏心距離は、近用光学部の幾何中心が瞳孔中心に位置せしめられる最適値として、指標マークが正面視において耳側に位置せしめられた周方向位置(以下、装用1とする)と、装用1を上下反転させて、指標マークが正面視において鼻側に位置せしめられた周方向位置における近用光学部幾何中心のレンズ幾何中心からの偏心距離とした。

    図11(a),(b)に、実施例としてのコンタクトレンズを正装用した状態の正面視と、比較例としてのコンタクトレンズを装用1で装用した状態の正面視を示すと共に、図12(a),(b)に、実施例としてのコンタクトレンズを逆装用した状態の正面視と、比較例としてのコンタクトレンズを装用1と上下を反転して装用した状態の正面視を示す。 なお、図11および図12における実施例としてのコンタクトレンズは右眼および左眼に装用されたものをそれぞれコンタクトレンズ10a、10bとして図示すると共に、比較例としてのコンタクトレンズは右眼および左眼に装用されたものをそれぞれコンタクトレンズ100a、100bとして図示する。 更に、図11および図12に示すコンタクトレンズ10a,10b、100a,100bにおいて前述の第一の実施形態と対応する部位には、第一の実施形態と同一の符号を付する。

    これら実施例としてのコンタクトレンズ10a,10bを正装用および逆装用した場合におけるレンズ幾何中心軸12の瞳孔中心:Pからの距離を表2に示し、比較例としてのコンタクトレンズ100a,100bを装用1および装用1と上下反転装用した場合におけるレンズ幾何中心軸12の瞳孔中心:Pからの距離を表3に示す。 また、実施例としてのコンタクトレンズ10a,10bを正装用および逆装用した場合における近用部面積中心30の瞳孔中心:Pからの距離を表4に示し、比較例としてのコンタクトレンズ100a,100bを装用1および装用1と上下反転装用した場合における近用部面積中心30の瞳孔中心:Pからの距離を表5に示す。 なお、本実施例および比較例における近用光学部24は正面視において円形状とされていることから、近用部面積中心30は近用光学部24の幾何中心となる。 また、表2乃至表5における水平方向は耳側を−,鼻側を+とすると共に、垂直方向は上方を+、下方を−とした。

    これら図11、図12および表2乃至表5から明らかなように、実施例を正装用した場合には、瞳孔中心:Pに対する近用光学部24の偏倚量を比較例を装用1で装用した場合に比してより大きく得ることが出来る。 これにより、近用光学部24を瞳孔52と重なる位置で且つ比較例に比してより鼻下側に位置せしめることが出来て、近用光学部24と遠用光学部26によるバイフォーカル効果がより有利に発揮され得ることが確認された。

    さらに、比較例は装用1の場合と装用1を反転装用した場合において、レンズ幾何中心12および近用部面積中心30の瞳孔中心:Pからの偏倚量に殆ど差異が無いのに比して、実施例によれば、正装用の場合と逆装用の場合において、レンズ幾何中心12および近用部面積中心30の瞳孔中心:Pからの偏倚量がより大きく変化せしめられている。 これにより、実施例を逆装用した場合には、比較例に比して近用光学部24を瞳孔中心:Pからより離れた位置に位置せしめることが出来て、遠用光学部26による略単焦点レンズと同様の効果がより有利に発揮され得ることが確認された。

    さらに、実施例の正装用と逆装用、および比較例の装用1と装用1を反転装用した場合におけるレンズの傾きを測定した結果を、表6に示す。 なお、レンズの傾きは、指標マーク48が水平になる状態を0°とし、右眼については反時計回りを+、左眼については時計回りを+とした。

    表6から明らかなように、比較例については装用1の場合に左眼が+方向、即ち、近用光学部24が瞳孔52の鼻下側から離隔する方向に偏倚せしめられるのに比して、実施例によれば、正装用の場合には、左右何れもマイナス方向、即ち、近用光学部24が瞳孔52の鼻下側に位置する方向に偏倚せしめられている。 また、実施例を正装用した場合には、比較例に比してレンズ傾きも大きい。 これにより、実施例によれば、正装用することによってより好適に近用光学部24を瞳孔52の鼻下側に位置せしめられることが確認された。

    また、実施例および比較例を両眼に正装用乃至は装用1で装用した場合と、両眼に逆装用乃至は装用1と反転装用した場合のそれぞれにおける遠用の見え方と近用の見え方を被検者の自覚により評価した結果を、表7に示す。 なお、見え方は、0〜10の11段階で評価し、10を最良とした。

    表7から明らかなように、実施例を正装用した場合には、比較例を装用1で装用した場合に比して遠用矯正効果と近用矯正効果の何れもがより有効に発揮されて、遠用と近用のバランスの取れた矯正が行なわれる一方、実施例を逆装用した場合には、比較例を装用1と反転装用した場合に比して遠用矯正効果がより増加せしめられると共に近用矯正効果がより低減されて、単焦点レンズと略同様の遠用矯正効果が得られることが確認された。

    さらに、実施例および比較例を両眼に正装用乃至は装用1で装用した場合と、両眼に逆装用乃至は装用1と反転装用した場合のそれぞれにおいて、レンズ装用時に得られる加入度数を測定した結果を、表8に示す。 表8から明らかなように、実施例を正装用した場合には、比較例を装用1で装用した場合に比して、より大きな加入度数、即ち、より有効な近用矯正効果が得られる一方、実施例を逆装用した場合には、比較例を装用1と反転装用した場合に比して近用矯正効果がより抑えられて、略単焦点レンズと同様の遠用矯正効果が得られることが確認された。

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