一対の累進式眼用レンズを決定する方法

申请号 JP2015519107 申请日 2013-06-28 公开(公告)号 JP2015522844A 公开(公告)日 2015-08-06
申请人 エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック); エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック); 发明人 ダミアン・パイユ; バンジャマン・ルソー; オードゥ・コンテ; イザベル・プーラン; ステファニー・ヴィアレ; ファリド・カリオティ;
摘要 本方法は、処方遠方視平均屈折 力 と加入度を対のレンズの各々に対して決定する工程と、装着者の左右差を判断する工程と、当該対のレンズの各々の側頭側と鼻側を定義する工程と、装着される各レンズ上で及び俯 角 と方位角に対応する各注視方向に対し、屈折力と発生非点収差のモジュールを定義する工程と、当該対のレンズの各々に対して近方視注視方向を定義する工程と、当該対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、屈折力が、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の3/4の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として屈折力の側頭半値幅視野を定義する工程と、当該対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、屈折力が、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の3/4の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として屈折力の鼻半値幅視野を定義する工程と、当該対のレンズの各々に対し、近方視注視方向と、発生非点収差のモジュールが処方加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野を定義する工程と、当該対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、発生非点収差のモジュールが処方加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野を定義する工程と、を含む。屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は装着者の左右差に基づき当該対のレンズの各々に対して決定される。
权利要求

一対の累進眼用レンズを決定する方法であって、 前記一対のレンズの各々の処方遠方視平均屈折(PFV)を決定する工程と、 前記一対のレンズの各々の処方加入度(A)を決定する工程と、 装着者の左右差を判断する工程と、 前記一対のレンズの各々の側頭側と鼻側を定義する工程と、 装着される各レンズ上で、並びに俯(α)及び方位角(β)に対応する各注視方向に対し、屈折力(Pα,β)及び発生非点収差のモジュール(Asrα,β)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して近方視注視方向(αPV,βPV)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、近方視注視方向(αPV,βPV)と、前記屈折力が、前記処方遠方視平均屈折力+前記処方加入度の3/4の値に達する(PFV+3/4*A)場合の前記レンズの前記側頭側の注視方向(αPV,βTP)との間の一定の俯角(α)における角距離として屈折力の側頭半値幅視野(TP_LE,TP_RE)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、前記近方視注視方向(αPV,βPV)と、前記屈折力が、前記処方遠方視平均屈折力+前記処方加入度の3/4の値に達する(PFV+3/4*A)場合の前記レンズの鼻側の注視方向(αPV、βNP)との間の一定の俯角(α)における角距離として屈折力の鼻半値幅視野(NP_LE、NP_RE)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、前記近方視注視方向(αPV,βPV)と、前記発生非点収差のモジュールが前記処方加入度の4分の1(A/4)の値に達する場合の前記レンズの前記側頭側の注視方向(αPV,βTA)との間の一定の俯角(α)における角距離として発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野(TA_LE,TA_RE)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、前記近方視注視方向(αPV,βPV)と、発生非点収差の前記モジュールが前記処方加入度の4分の1(A/4)の値に達する場合の前記レンズの前記鼻側の注視方向(αPV,βPV)との間の一定の俯角(α)における前記角距離として発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野(NA_LE,NA_RE)を定義する工程と、を含み、 屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)、(TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE))及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)、(TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE))は前記装着者の前記左右差に基づき前記一対のレンズの各々に対して決定される、方法。前記装着者の前記左右差が左利きであると判断される場合、屈折力の前記側頭半値幅視野と前記鼻半値幅視野の差と和との比は前記右眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される((TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE)≦0)、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は前記右眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される(TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE)≦0)、及び屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は前記左眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される(TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)≧0)、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は前記左眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される(TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)≧0)又は 前記装着者の左右差が右利きであると判断される場合、屈折力の前記側頭半値幅視野と前記鼻半値幅視野の差と和との比は前記右眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される((TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE)≧0)、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は前記右眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される(TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE)≧0)、及び屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は前記左眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される((TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)≦0)、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は前記左眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される((TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)≦0)、請求項1に記載の方法。前記右眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と前記左眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比の合計はほぼ0に設定される((TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE)+(TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)=0)、請求項2に記載の方法。前記右眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と前記左眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比の合計はほぼ0に設定される((TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE)+(TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)=0)、請求項2又は3に記載の方法。一対の個人専用累進眼用レンズを決定する方法であって、 前記一対のレンズの各々の処方遠方視平均屈折力(PFV)を決定する工程と、 前記一対のレンズの各々の処方加入度(A)を決定する工程と、 装着者の有効近方視ゾーンを測定するとともに平線に対する有効近方視ゾーンの傾斜を測定する工程と、 前記一対のレンズの各々の側頭側と鼻側を判断する工程と、 装着される各レンズ上で及び俯角(α)と方位角(β)に対応する各注視方向に対し、屈折力(Pα,β)及び発生非点収差のモジュール(Asrα,β)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して近方視注視方向(αPV,βPV)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、前前記近方視注視方向(αPV,βPV)と、前記屈折力が、前記処方遠方視平均屈折力+前記処方加入度の3/4の値に達する(PFV+3/4*A)場合の前記レンズの前記側頭側の注視方向(αPV,βTP)との間の一定の俯角(α)における角距離として屈折力の側頭半値幅視野(TP_LE,TP_RE)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、記近方視注視方向(αPV,βPV)と、前記屈折力が、前記処方遠方視平均屈折力+前記処方加入度の3/4の値に達する(PFV+3/4*A)場合の前記レンズの鼻側の注視方向(αPV、βNP)との間の一定の俯角(α)における角距離として屈折力の鼻半値幅視野(NP_LE、NP_RE)を定義する工程と、 前記一対のレンズの各々に対して、前記近方視注視方向(αPV,βPV)と、発生非点収差の前記モジュールが前記処方加入度の4分の1(A/4)の値に達する場合の前記レンズの前記側頭側の注視方向(αPV,βTA)との間の一定の俯角(α)における角距離として発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野(TA_LE,TA_RE)を定義することと、 前記一対のレンズの各々に対して、前記近方視注視方向(αPV,βPV)と、発生非点収差の前記モジュールが前記処方加入度の4分の1の(A/4)の値に達する場合の前記レンズの前記鼻側の注視方向(αPV,βPV)との間の一定の俯角(α)における前記角距離として発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野(NA_LE,NA_RE)を定義する工程と、を含み、 屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)、(TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE))及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)、(TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE))は前記装着者の前記有効近方視ゾーンの前記測定された傾斜に基づき前記一対のレンズの各々に対して決定される、方法。前記装着者の頭/眼の挙動を判断する工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)、(TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE))及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)、(TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE))はさらに、前記装着者の前記頭/眼の挙動に基づき前記一対のレンズの各々に対して決定される、方法。前記近方視注視方向は、対応する前記屈折力が、前記レンズの前記処方遠方視平均屈折力PFV+前記レンズの前記処方加入度Aの50%と前記レンズの前記処方遠方視平均屈折力PFV+前記レンズの前記処方加入度の125%との間に含まれるように前記レンズの経線に属する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。前記近方視注視方向(αPV,βPV)は、前記屈折力が、前記一対のレンズの各々の、前記処方遠方視平均屈折力+前記処方加入度の100%に達する場合の前記注視方向として前記一対の前記レンズに対して定義される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。前記近方視注視方向(αPV,βPV)は、前記屈折力が、前記一対のレンズの各々の、前記処方遠方視平均屈折力+前記処方加入度の85%に達する場合の前記注視方向として前記一対の前記レンズに対して定義される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。右利き装着者用の一対の累進眼用レンズであって、前記一対のレンズの各々は処方遠方視平均屈折力(PFV)と処方加入度(A)を有し、側頭側と鼻側と前面上で定義された近方視制御点(PV)とを含み、前記一対のレンズの各々は、装着されると、俯角(α)と方位角(β)に対応する各注視方向に対し、屈折力(Pα,β)と発生非点収差のモジュール(Asrα,β)を有し、 前記右眼レンズは、 0より大きい又は0にほぼ等しい屈折力値の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE)≧0)、及び/又は 0より大きい又は0にほぼ等しい発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE)≧0)を有し、前記左眼レンズは、 0レンズより小さい又は0レンズにほぼ等しい屈折力値の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)≦0)、及び/又は 0より小さい又は0にほぼ等しい発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比((TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)≦0)を有し、ここで 屈折力の側頭半値幅視野(TP_LE,TP_RE)は、前記近方視制御点(PV)と、前記屈折力が、前記処方遠方視平均屈折力+前記加入度の3/4の値に達する(PFV+3/4*A)場合の前記レンズの前記側頭側の点との間の一定の俯角(α)における角距離として前記一対のレンズの各々に対して定義され、 屈折力の鼻半値幅視野(NP_LE,NP_RE)は、前記近方視制御点(PV)と、前記屈折力が、前記処方遠方視平均屈折力+前記加入度の3/4の値に達する(PFV+3/4*A)場合の前記レンズの前記鼻側の点との間の一定の俯角(α)における角距離として前記一対のレンズの各々に対して定義され、 発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野(TA_LE,TA_RE)は、前記近方視制御点(PV)と、発生非点収差の前記モジュールが前記加入度の4分の1(A/4)の値に達する場合の前記レンズの前記側頭側の点との間の一定の俯角(α)における角距離として前記一対のレンズの各々に対して定義され、 発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野(NA_LE,NA_RE)は、前記近方視制御点(PV)と、発生非点収差の前記モジュールが前記加入度の4分の1(A/4)の値に達する場合の前記レンズの前記鼻側の点との間の一定の俯角(α)における角距離として前記一対のレンズの各々に対して定義され、 前記一対のレンズの各々に対して、Δ≦10%であり、ここで Δ=100*abs(Max_Asr_N−Max_Asr_T)/Max(Max_Asr_N、Max_Asr_T)、 abs:絶対値、 Max_Asr_N: 前記レンズの鼻領域内、及び PRP(プリズム基準点)を通る注視方向であって不等式(α2+β2)1/2≦40°に関するすべての注視方向(α,β)を含む注視方向を中心とするゾーン内 に含まれるすべての注視方向により定義された前記レンズの領域全体にわたって見出された発生非点収差の最大値、 Max_Asr_T: 前記レンズの側頭領域内、及び PRP(プリズム基準点)を通る注視方向であって不等式(α2+β2)1/2≦40°に関するすべての注視方向(α,β)を含む注視方向を中心とするゾーン内 に含まれるすべての注視方向により定義された前記レンズの領域全体にわたって見出された発生非点収差の最大値、 Max(x,y):xとyの最大値 である、一対のレンズ。前記近方視制御点は、前記屈折力が、前記一対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の100%に達する場合の前記注視方向と交差する前面上の点として前記一対の前記レンズに対して定義される、請求項10に記載の一対のレンズ。前記近方視制御点は、前記屈折力が、前記一対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の85%に達する場合の前記注視方向と交差する前面上の点として前記一対のレンズの各々に対して定義される、請求項10に記載の一対のレンズ。前記右眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と前記左眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比との合計はほぼ0に等しく設定される((TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE)+(TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)=0)、請求項10〜12のいずれか一項に記載の一対のレンズ。前記右眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と前記左眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比との合計はほぼ0に等しく設定される((TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE)+(TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)=0)、請求項10〜13のいずれか一項に記載の一対のレンズ。プロセッサにアクセス可能な1つ又は複数の格納された一連の命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに請求項1〜9のいずれか一項に記載の工程を実行させる、コンピュータプログラム製品。

说明书全文

本発明は一対の累進式眼用レンズを決定する方法に関する。本発明はさらに、一対の個人専用累進式眼用レンズと一対の累進式眼用レンズを決定する方法と、この方法に関連するコンピュータプログラム製品とに関する。

装着者には、正又は負の屈折(optical power)補正が処方されることがある。老眼の装着者にとって、屈折力補正の値は近方視における適応の困難性により遠方視と近方視で異なる。したがって、処方箋は、遠方視屈折力値と、遠方視と近方視間の屈折力増分を表す加入度(addition)とを含む。この加入度は処方された(以下、簡単化のため「処方」)加入度とみなされる。老眼の装着者に好適な眼用レンズは多焦点レンズであり、最も適切なものは累進多焦点レンズである。

本発明者らは一枚の紙に書くなどある近方視作業を行う際右利きの人と左利きの人は極めて異なる方法で振る舞うということを発見した。

しかし、現在のレンズ設計はこれらの挙動の差を考慮していない。

本発明の目的は、手の左右差(又は、以下では単に左右差)とも呼ばれる装着者の利き手に従って装着者の近方視を適合させることにより、目的とする一対の眼用レンズを装着する装着者の快適性を改善することである。

したがって、一対の累進式眼用レンズを決定する方法を提案する。本方法は: − 対のレンズの各々の処方遠方視平均屈折力を決定する工程と、 − 対のレンズの各々の処方加入度を決定する工程と、 − 装着者の左右差を判断する工程と、 − 対のレンズの各々の側頭側と鼻側を定義する工程と、 − 装着される各レンズ上で及び俯(lowering angle)と方位角に対応する各注視方向に対し、屈折力と発生非点収差(resulting astigmatism)のモジュールとを定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して近方視注視方向を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、屈折力が、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の3/4の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として屈折力の側頭半値幅視野を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、屈折力が、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の3/4の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として屈折力の鼻半値幅視野を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対し、近方視注視方向と、発生非点収差のモジュールが処方加入度の4分の1の値に達する場合の近方視注視方向とレンズの側頭側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、発生非点収差のモジュールが処方加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野を定義する工程と、を含む。

屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は装着者の左右差に基づき対のレンズの各々に対して決定される。

一実施形態では、装着者の左右差が左利きであると判断される場合、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は対のレンズの各々に対してほぼ0に設定され、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は対のレンズの各々に対してほぼ0に設定される。

一実施形態では、装着者の左右差が左利きであると判断される場合、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定され、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定され、及び屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定され、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される。

一実施形態では、装着者の左右差が右利きであると判断される場合、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定され得、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定され得、及び屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定され、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される。

一実施形態では、右眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と左眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比の合計はほぼ0に設定される。

右眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と左眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比との合計はほぼ0に設定され得る。

本発明はまた、一対の個人専用累進式眼用レンズを決定する方法に関する。本方法は、 − 対のレンズの各々の処方遠方視平均屈折力を決定する工程と、 − 対のレンズの各々の処方加入度を決定する工程と、 − 装着者の有効近方視ゾーンを測定するとともに平線に対する有効近方視ゾーンの傾斜を測定する工程と、 − 対のレンズの各々の側頭側と鼻側を判断する工程と、 − 装着される各レンズ上で及び俯角と方位角に対応する各注視方向に対し、屈折力と発生非点収差のモジュールとを定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して近方視注視方向を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、屈折力が、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の3/4の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として屈折力の側頭半値幅視野を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、屈折力が、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の3/4の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として屈折力の鼻半値幅視野を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対し、近方視注視方向と、発生非点収差のモジュールが処方加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野を定義する工程と、 − 対のレンズの各々に対して、近方視注視方向と、発生非点収差のモジュールが処方加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向との間の一定の俯角における角距離として発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野を定義する工程と、を含む。

屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は装着者の有効近方視ゾーンの測定された傾斜に基づき対のレンズの各々に関して決定される。

本方法はさらに、装着者の頭/目の挙動を判断する工程を含み得る。屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比がさらに、装着者の頭/目の挙動に基づき対のレンズの各々に関して決定される。

近方視注視方向は、屈折力が対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の100%に達する場合の注視方向として対のレンズの各々に対して定義され得る。

又は、近方視注視方向は、屈折力が対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の85%に達する場合の注視方向として対のレンズの各々に対して定義され得る。

本発明の別の態様はまた、右利き装着者用の一対の累進式眼用レンズに関し、対のレンズの各々は処方遠方視平均屈折力と処方加入度を有し、側頭側と鼻側と前面上で定義された近方視制御点とを含む。対のレンズの各々は、装着されると、及び注視方向毎に、屈折力と発生非点収差のモジュールとを有し、各注視方向は俯角と方位角とに対応する。右眼レンズは、 − 0より大きい又は0にほぼ等しい屈折力値の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比、及び/又は − 0より大きい又は0にほぼ等しい発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比を有し、一方、左眼レンズは、 − 0レンズより小さい又は0レンズにほぼ等しい屈折力値の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比、及び/又は − 0より小さい又は0にほぼ等しい発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比を有する。ここで、 − 屈折力の側頭半値幅視野は、屈折力が対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+加入度の3/4の値に達する場合の近方視制御点とレンズの側頭側の点との間の一定の俯角における角距離として対のレンズの各々に対して定義され、 − 屈折力の鼻半値幅視野は、近方視制御点と、屈折力が対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+加入度の3/4の値に達する場合のレンズの鼻側の点との間の一定の俯角における角距離として対のレンズの各々に対して定義され、 − 発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野は、近方視制御点と、発生非点収差のモジュールが加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの側頭側の点との間の一定の俯角における角距離として対のレンズの各々に対して定義され、 − 発生非点収差のモジュールの鼻半値幅視野は、近方視制御点と、発生非点収差のモジュールが加入度の4分の1の値に達する場合のレンズの鼻側の点との間の一定の俯角における角距離として対のレンズの各々に対して定義される。

さらに、対のレンズの各々に対して、Δ≦10%であり、ここで − Δ=100*abs(Max_Asr_N−Max_Asr_T)/Max(Max_Asr_N;Max_Asr_T)、 − abs:絶対値、 − Max_Asr_N: レンズの鼻領域内、及び PRP(プリズム基準点)を通る注視方向(下記不等式(α22)1/2≦40°に関するすべての注視方向(α,β)を含む)を中心とするゾーン内 に含まれるすべての注視方向により定義されたレンズの領域全体にわたって見出された発生非点収差の最大値、 − Max_Asr_T: レンズの側頭領域内、及び PRP(プリズム基準点)を通る注視方向であって不等式(α22)1/2≦40°に関するすべての注視方向(α,β)を含む注視方向を中心とするゾーン内 に含まれるすべての注視方向により定義されたレンズの領域全体にわたって見出された発生非点収差の最大値、 − Max(x;y):xとyの最大値 である。

近方視制御は、屈折力が対のレンズの各々の、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の100%に達する場合の注視方向と交差する前面上の点として対のレンズの各々に対して定義され得る。

又は、近方視制御点は、屈折力が一対のレンズの、処方遠方視平均屈折力+処方加入度の85%に達する場合の注視方向と交差する前面上の点として対のレンズの各々に対して定義され得る。

本発明のさらに別の態様はまた、プロセッサにアクセス可能な1つ又は複数の格納された一連の命令を含むコンピュータプログラム製品であってプロセッサにより実行されると上に定義されたような方法の工程をプロセッサに実行させるコンピュータプログラム製品に関する。

本発明のさらなる特徴と利点は、以下に列挙される添付図面を参照して、非限定的な例として与えられる以下の本発明の実施形態の説明から明らかになる。

目とレンズの光学系を図式的に示す。

目とレンズの光学系を図式的に示す。

眼の回転中心からの光線追跡を図式的に示す

マイクロマーキングを有する面とマイクロマーキングを有しない面それぞれに対するマイクロマーキングに関して定義された基準点を示す。

マイクロマーキングを有する面とマイクロマーキングを有しない面それぞれに対するマイクロマーキングに関して定義された基準点を示す。

レンズの視野ゾーンを示す。

レンズの視野ゾーンを示す。

近方視作業を行う際の目とレンズの光学系を示す。

図13の光学系により掃引されたときの有効ゾーンのレンズ面上の投影を示す。

図13の光学系により掃引されたときの有効ゾーンのレンズ面上の投影を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

本発明による一対の累進式眼用レンズの3つの例の光学特性を示す。

添付図面内の要素は簡略化と明確化のために示され必ずしも原寸に比例して描かれていないということが理解される。例えば、添付図面内の要素のいくつかの寸法は、本発明のいくつかの実施形態の理解を深めるのを支援するために他の要素に対して誇張されることがある。

一対の累進式眼用レンズを決定する方法を提案する。本方法は、装着者の左右差に従って近方視ゾーンを適合化できるようにし、したがって、特には近方視作業を行う際の装着者の快適性を増加させる。

累進レンズは2つ非回転対称非球面、例えば、これらに限定しないが累進面、逆進面、トーリック又は非トーリック面を含む。

知られているように、最小曲率CURVminは次式により非球面上の任意の点において定義される:

ここで、Rmaxは局所最大曲率半径でありメートルで表され、CURVminはジオプターで表される。

同様に、最大曲率CURVmaxは、次式により非球面上の任意の点において定義することができる:

ここで、Rminは局所最小曲率半径でありメートルで表され、CURVmaxはジオプターで表される。

面が局所的に球状である場合は局所最小曲率半径Rminと局所最大曲率半径Rmaxは同じであり、したがって最小曲率CURVminと最大曲率CURVmaxもまた同一であるということが分かる。面が非球面である場合、局所最小曲率半径Rminと局所最大曲率半径Rmaxは異なる。

これらの最小曲率CURVminと最大曲率CURVmaxの式から、SPHminとSPHmaxとして標記される最小球と最大球を考察される面の種類に従って導出することができる。

考察される面が物体側面である場合、

ここで、nはレンズの構成材料の指標である。

考察される面が眼球側面である場合、

ここでnはレンズの構成材料の指標である。

知られているように、非球面上の任意の点における平均球SPHmeanもまた、次のように定義することができる。

したがって、平均球の式は考察される面に依存する: − 面が物体側面である場合、

− 面が眼球側面である場合、

− 円柱CYLもまた次式により定義される。CYL=|SPHmax−SPHmin|

レンズの任意の非球面の特性は局所平均球と円柱により表され得る。円柱が少なくとも0.25ジオプターである場合、面は局所的に非球面と考えられる。

非球面については、局所円柱軸γAXがさらに定義され得る。

円柱軸γAXは、基準軸に対する及び選択された回転方向における最大曲率CURVmax配向の角度である。TABO規則では、基準軸は水平であり(この基準軸の角度は0°であり)、回転方向は眼毎に装着者方向を見て反時計回りである(0°≦γAX≦180°)。したがって、+45°の円柱軸γAXの軸値は、斜めに配向された軸を表し、装着者方向を見て、右上に位置する象限から左下に位置する象限まで延びる。

したがって、面は、最大球SPHmax、最小球SPHmin、円柱軸γAXにより構成されるトリプレットにより局所的に定義され得る。又は、トリプレットは、平均球SPHmean、円柱CYL、円柱軸γAXにより構成され得る。

レンズがその非球面の1つを参照することにより特徴付けられる場合はいつでも、基準はマイクロマーキングを有する面とマイクロマーキングを有しない面それぞれに対し、図4と図5に示すマイクロマーキングに関して定義される。

累進レンズは整合規格ISO8990−2により義務付けられたマイクロマーキングを含む。一時的なマーキングをレンズの面に適用して、レンズ上の制御点の位置、例えば遠方視の制御点、近方視の制御点、プリズム基準点、及びフィッティングクロス(fitting cross)を示してもよい。一時的なマーキングが存在しない又は消されている場合、当業者は実装図と恒久的マイクロマーキングを使用することによりレンズ上に制御点を位置決めすることが常に可能である。

マイクロマーキングはまた、レンズの両面の基準を定義できるようにする。

図4は、マイクロマーキングを有する面の基準を示す。面の中心(x=0,y=0)は、面に対する法線Nが2つのマイクロマーキングを繋ぐ線分の中心と交差する面の点である。MGは2つのマイクロマーキングにより定義される同一直線上のユニタリベクトルである。基準のベクトルZはユニタリ法線(Z=N)に等しく、基準のベクトルYはZとMGとのベクトル積に等しく、基準のベクトルXはYとZとのベクトル積{X,Y,Z}に等しく、したがって正規直交三面体を形成する。基準の中心は面の中心x=0mm、y=0mmである。

図5に、マイクロマーキングを有する面に対向する面の基準を示す。第2の面の中心(x=0,y=0)は、第1の面上の2つのマイクロマーキングを繋ぐ線分の中心と交差する法線Nが第2の面と交差する点である。第2の面の基準は第1の面の基準と同じ方法で構築される、すなわち、ベクトルZは第2の面のユニタリ法線に等しく、ベクトルYはZとMGとのベクトル積に等しく、ベクトルXはYとZとのベクトル積に等しい。面の基準の中心もまたx=0mm、y=0mmである。

同様に、半仕上げレンズブランク上では、規格ISO10322−2はマイクロマーキングが適用されることを要求する。したがって、上述のような基準だけでなく半仕上げレンズブランクの非球面の中心を判断することができる。

さらに、累進多焦点レンズはまた、レンズを装着する人の状況を考慮して、光学特性により定義され得る。

図1と図2は、目とレンズの光学系の概略図であり、したがって本明細書で使用される定義を示す。より正確には、図1は、注視方向を定義するために使用されるパラメータα、βを示すこのような系の斜視図を表す。図2は、装着者の頭の前後軸に平行な鉛直面であって、パラメータβが0に等しいときの眼の回転中心を通る鉛直面の図である。

眼の回転中心はQ’と標記される。図2に鎖線で示された軸Q’Fは、眼の回転中心を通り装着者の前に延びる水平軸である、すなわち主注視に対応する軸Q’Fである。この軸は、眼鏡屋によるフレーム内のレンズの位置決めを可能にするためにレンズ上に存在するフィッティング十字(fitting cross)と呼ばれる点上のレンズの非球面と交わる。レンズの裏面と軸Q’Fの交点が点Oである。裏面に位置する場合、Oはフィッティング十字になりえる。中心Q’と半径q’の頂点球(apex sphere)は水平軸の一点でレンズの裏面と交差する。例として、25.5mmの半径q’の値は標準値に対応し、レンズを装着する際に満足な結果を与える。

所与の注視方向(図1上の実線により表される)は、Q’のまわりの回転における眼の位置と頂点球の点J(図2を参照)とに対応する、角度βは軸Q’Fと軸Q’Fを含む水平面上の直線Q’Jの投影との成す角度であり、この角度は図1上の図式上に現われる。角度αは、軸Q’Jと軸Q’Fを含む水平面上の直線Q’Jの投影との成す角度であり、この角度は図1と図2の図式上に現われる。したがって、所与の注視視野(gaze view)は頂点球の点J又は組(α,β)に対応する。下向き注視角の値が正になればなるほど注視はより下向きとなり、同値が負になればなるほど注視視野は上向きとなる。

所与の注視方向において、所与の物体距離に位置する物体空間内の点Mの像は、最小距離JSと最大距離JT(サジタル(sagittal)局所焦点距離と接線方向(tangential)局所焦点距離)に対応する2点SとTとの間に形成される。無限大における物体空間内の点の像は点F’に形成される。距離Dはレンズの後側正面に対応する。

「エルゴラマ(ergorama)」は、物点の標準距離と各注視方向とを関連付ける関数である。通常、主注視方向に従う遠方視において物点は無限大にある。鼻側方向に絶対値で35°程度の角度αと5°程度の角度βとにほぼ対応する注視方向に従う近方視では物体距離は30〜50cm程度である。エルゴラマの考えられる定義に関する詳細については、米国特許第A−6,318,859号明細書を考慮し得る。この文書は、エルゴラマ、その定義、そのモデリング方法について説明している。本発明の方法に関しては、点は無限遠にあっても、無くてもよい。エルゴラマは装着者の屈折異常に応じ得る。

これらの要素を使用して、各注視方向における装着者屈折力及び非点収差を定義することが可能である。エルゴラマにより与えられる物体距離における物点Mには、注視方向(α,β)が考慮される。物体近接度(object proximity)ProxOは、頂点球の点Mと点J間の距離MJの逆数として物体空間内の対応する光線上の点Mに対して定義される。 ProxO=1/MJ

これにより、物体近接度を、エルゴラマの判断に使用されるこの頂点球のすべての点の薄肉レンズ近似内で計算することができるようになる。実際のレンズについては、物体近接度は、対応する光線上の物点とレンズの前面間の距離の逆数として考えることができる。

同じ注視方向(α,β)については、所与の物体近接度を有する点Mの像は、最小焦点距離と最大焦点距離(サジタル焦点距離と接線方向焦点距離)にそれぞれ対応する2点SとTとの間に形成される。量Prox Iは点Mの像近接度と呼ばれる:

屈折力(optical power)は屈折力(refractive power)とも称する。

したがって、薄肉レンズの場合との類推により、所与の注視方向と所与の物体近接度に対して(すなわち、対応する光線上の物体空間の点に対して)、像近接度と物体近接度の合計としての屈折力Puiを定義することができる。 Pui=ProxO+ProxI

同じ表記により、非点収差Astは、あらゆる注視方向と所与の物体近接度に対して次のように定義される。

この定義は、レンズにより生成される光線ビームの非点収差に対応する。

したがって、装着条件におけるレンズの屈折力と非点収差の考えられる定義は、B.Bourdoncle et al.,entitled“Ray tracing through progressive ophthalmic lenses”,1990 International Lens Design Conference,D.T.Moore ed.,Proc.Soc.Photo.Opt.Instrum.Eng.において記載されているように計算することができる。標準的装着条件は、特には−8°の装着時前傾角(pantoscopic angle)、12mmのレンズ−瞳孔の距離、13.5mmの瞳−眼の回転中心、及び0°のそり角(wrap angle)により定義された標準的装着者の眼に対するレンズの位置と理解される。装着時前傾角は、第一眼位における眼鏡レンズの光軸と眼の視軸間の垂直面内における角度であり、通常水平となるように取られる。そり角は、眼鏡レンズの光軸と第一眼位における眼の視軸間の水平面内における角度であり、通常水平となるように取られる。他の条件も使用し得る。装着条件は所与のレンズに対する光線追跡プログラムから計算され得る。さらに、屈折力及び非点収差は、処方が、装着条件で眼鏡を装着する装着者に関する基準点(すなわち遠方視における制御点)において満たされるか、又はフロントフォコメータ(frontofocometer)によって測定されるかのいずれかとなるように、計算され得る。

図3は、パラメータαとβが非零である構成の斜視図を表す。したがって、固定座標系{x,y,z}と目にリンクされた座標系{xm,ym,zm}とを示すことにより眼の回転の影響を示すことができる。座標系{x,y,z}は点Q’にその原点を有する。軸xは軸Q’Oであり、レンズから目方向に向けられる。y軸は垂直であり、上方に向けられる。z軸は、座標系{x,y,z}が正規直交となるようにされる。座標系{xm,ym,zm}は目にリンクされ、その中心は点Q’である。xm軸は注視方向JQ’に対応する。したがって、主注視方向に関し、2つの座標系{x,y,z}と{xm,ym,zm}は同じである。レンズの特性は、いくつかの異なる方法で、特に面において、及び光学的に表現し得ることが公知である。それゆえ、面特性評価は、光学的特性評価と等しい。ブランクの場合、面特性評価のみを使用し得る。光学的特性評価は、レンズが装用者の処方に機械加工されていることを必要とすることを理解する必要がある。対照的に、眼科用レンズの場合、特性評価は、面又は光学的な事項であり、両特性評価によって、2つの異なる視点から同じ物体を説明することができる。レンズの特性評価が光学的な事項であるときはいつでも、上述のエルゴラマ−眼−レンズ系を指す。簡単にするために、説明では用語「レンズ」を使用するが、これは、「エルゴラマ−眼−レンズ系」として理解する必要がある。面のそれぞれの項目の値はそれぞれの点に対して表し得る。点は、図4と図5に関して上に定義されたような座標系における横座標又は縦座標の助けを借りて配置される。

光学的なそれぞれの項目の値はそれぞれの視線方向に対して表し得る。注視方向は、その原点が眼の回転中心である座標系におけるそれらの下向きの度合いと方位角とにより与えられる。レンズが眼の前に適用される場合、フィッティング十字と呼ばれる点が瞳の前又は主注視方向の眼の回転中心Q’の前に配置される。主注視方向は、装着者が真直ぐ見ている状況に対応する。したがって、選択された座標系において、フィッティング十字は、フィッティング十字がレンズのどの面(裏面又は前面)に配置されたとしても0°の俯角αと0°の方位角βとに対応する。

図1〜3を参照してなされた上記説明は中心視に対してなされた。周辺視では、注視方向が固定されるので、瞳の中心が眼の回転中心の代わりと考えられ、周辺光線方向が注視方向の代わりと考えられる。周辺視を考慮する場合、角度αと角度βが注視方向の代わりに光線方向に対応する。

明細書の残りの部分では、「上」、「底」、「水平」、「垂直」、「の上」、「の下」、又は相対位置を示す他の単語のような用語が使用されることがある。これらの用語はレンズの装着条件において理解されるものとする。特に、レンズの「上側」部分は負の俯角α<0°に対応し、レンズの「下側」部分は正の俯角α>0°に対応する。同様に、レンズ又は半仕上げレンズブランクの面の「上側」部分はy軸に沿った正値(好適には、フィッティング十字におけるy値より上のy軸に沿った値)に対応し、レンズ又は半仕上げレンズブランクの面の「下側」部分は、図4と図5に関して上に定義されたような座標系におけるy軸に沿った負値(好適には、フィッティング十字におけるy_valueを下回るy軸に沿った値)に対応する。

レンズを通して見られる視野ゾーンを図6と図7に概略的に示す。レンズは、レンズの上部にある遠方視ゾーン26と、レンズの下部にある近方視ゾーン28と、遠方視ゾーン26と近方視ゾーン28間のレンズの下部に位置する中間領域30とを含む。レンズはまた、3つのゾーンを通るとともに鼻側と側頭側を定義する主経線32を有する。

眼科分野における処方箋は屈折力処方箋に加えて非点収差処方箋を含み得る。このような処方箋は軸値(単位:度)とモジュール値(単位:ジオプター)からなる。モジュール値は、装着者の視覚初期設定を修正できるようにする所与の方向における最大屈折力と最小屈折力との差を表す。規則に従い、軸は、基準軸に対する2つの屈折力の一方の配向であって所与の回転方向に従う配向を表す。TABO規則を使用し得る。この規則では、基準軸は水平であり、回転方向は装着者を見て反時計回りである。45°の軸は、装着者を見て右上象限と左下象限とを繋ぐ斜めに配向された軸に対応する。このような非点収差処方箋は、遠方視において装着者に対して測定される。我々は、組(モジュール,軸)を指すために用語「非点収差」を使用する。この用語は時にはモジュールを単純に示すために使用される。当業者は、文脈に応じてそれが何を指すかを容易に理解する。当業者はまた、装着者の屈折力/非点収差処方箋が用語:球、円柱、及び軸により一般的に記述されることを知っている。

したがって、我々は、「処方屈折力」+「処方非点収差のモジュールの2分の1」として処方遠方視平均屈折力値(PFV:prescribed far vision mean power value)を定義することができる。

発生非点収差は、処方非点収差と眼に関連付けられた基準座標系において働くレンズにより生成された非点収差との差として、凝視の方向毎に定義される。発生非点収差は残余非点収差(residual astigmatism)とも呼ばれることがある。

本発明の目的のために、累進レンズの経線32は以下のように定義され得る:フィッティング十字に対応する注視方向とレンズの最下部との成す角度α=α1の視野のそれぞれの下向きに関し、注視方向(α11)は、エルゴラマにより判断された距離における正中面内に位置する物点を鮮明に見ることができるようにするために、光線追跡により探索される。正中面は、頭の正中面であり、優先的には鼻の基部を通る。この面はまた、右及び左眼回転中心の中央を通り得る。

したがって、そのようにして定義されたすべての注視方向は、エルゴラマ眼レンズ系の経線を形成する。個人用に設定するために、環境における頭の角度と位置などの装着者の姿勢データが物体位置を決定するために考慮される可能性がある。例えば、物体位置は、近方視における装着者横ズレをモデル化するために、正中面から外れた位置である可能性がある。

レンズの経線は、装着者が遠方視から近方視で見ているとき装着者の平均注視方向の軌跡を表す。レンズの面の経線32は以下のように定義される。レンズの光学的経線に属する各注視方向(α,β)は点(x,y)において面と交差する。面の経線はレンズの経線の注視方向に対応する点集合である。

図7に示すように、経線32はレンズを鼻領域と側頭領域とに分離する。予想通り、鼻領域は経線と装着者の鼻との間にあるレンズの領域であり、側頭領域は経線と装着者の側頭との間にある領域である。

本発明は、右利きの人と左利きの人がある近方視作業を行う際に異なる方法で振る舞うという本発明者らによる研究に依存する。

本研究は、人々の左右差に基づき2つのカテゴリに分類された人々のグループに対して行われた。

人の左右差は、一枚の紙に書くために使用される手により、又は、より正確には、日常の作業において使用される手について一連の質問をすることにその本質があるEdinburgh Handedness Inventory(Oldfield R.C.(1971),“The assessment and analysis of handedness:The Edinburgh Inventory”,Neuropsychologia,vol.9,p.97−113)により利き手得点を計算することにより、定義され得る。

次に、一枚の紙に書く特定の近方視作業について考察する。

この目的を達成するために、図8に示すように、対象者が書いている場合の文書42の書くゾーン40が考慮され、文書42の領域として定義される。

グループの各人は書くゾーン40上で書く状態に置かれる。

この時、左及び右レンズの面内の書くゾーン40の投影44L、44Rが計算され、記録され、解析される。これらの投影44L、44Rはまた、本明細書の残りの部分では有効近方視ゾーン又は単に有効ゾーンと呼ばれる。より一般的には、レンズの有効ゾーンは、ある状況下の装着者により使用されるように意図されたレンズの領域を示す。これは近方視用レンズの部分内の有効領域を含む。有効ゾーンは装着者毎に変わり得る。さらに、一人の装着者に関し、有効ゾーンはまた、レンズが装着される一般情勢を考慮する際に変化し得、したがって活動依存である(髭を剃る、読書する、電子タブレット又はスマートフォンを使用する、机で書き物をする、料理するためのレンズと眼鏡)。有効ゾーンは視標追跡により例えば視線追跡眼鏡により判断され得る。

図9に、この経験を継続した右利きの人について記録された有効ゾーン44L、44Rの重ね合せを示し、図10に、この経験を継続した左利きの人について記録された有効ゾーン44L、44Rの重ね合せを示す。

これらの図9と図10から、有効ゾーン44L、44Rは右利きと左利きの人とで著しく異なるということがわかる。

その上、左利きの人々の間では有効ゾーンの高い可変性があり、大きくかつ水平軸(α=0°)に平行な軸に沿ってほぼ一直線になった平均有効ゾーンを生じる。逆に、右利きの人の間では、有効ゾーンの可変性は低減され、より小さくかつ水平軸に対してほぼ傾いた平均有効ゾーンを生じる。表1に、特定された有効ゾーンを要約する。

したがって、水平軸に対するそれらの配向に基づき有効ゾーン44L(44R)を利用することができる。

傾斜角(θ)は以下のように判断されることができる:装着者には印刷されたテキストを有する一枚の紙が与えられる。テキストは複数の平行なテキスト行からなる。装着者はテキストを読むための読む位置を取るように要求され、テキストの行はレンズ毎の座標系に投影される。1つの眼の座標系は眼の回転中心を中心としており、上述のようなパラメータ(α,β)を使用する。図1と図2をまた参照されたい。傾斜角θは投影線(レンズ面におけるテキスト行の投影)とレンズの「水平」線(レンズの座標系(Q’,α,β)におけるα=0の線)との成す角度(単位:度)として定義される。

傾斜角(θ)は−90°〜90°の間で変化する可能性がある。正値は例えば図9上に表された傾斜に対応する。

表1に収集し表したデータに基づき、平均では、右利きの人は書くなどの近方視作業を行う際約20°の角度だけ文書42を傾斜させ、一方、左利きの人に関しては、傾斜は0°からそれほど大きく異ならないので平均傾斜角は0°であると考えられる。

書く作業における文書42の配向のこのような高い可変性は、右利きと左利きの人との間に存在する特殊行動を実証するので右利きと左利き装着者に対して近方視における異なる設計を提供する必要性を暗示する。特に、レンズの近方視ゾーンは、有効ゾーンのそれぞれのレンズ上の平均投影が近方視作業中に掃引される最適な方法で一致するようにされる必要がある。

したがって、本発明の第1の態様は、一対の累進眼用レンズの2つの異なる設計:左利きの人に対して1つの特定の設計と右利きの人に対して1つの特定の設計を提供することにある。

最初に、近方視注視方向 (αPVPV)は対のレンズの各々に定義される、すなわち当該対の左眼レンズに左近方視注視方向 (αPVLPVL)、当該対の右眼レンズに右近方視注視方向(αPVRPVR)が定義される。

左/右近方視注視方向は左/右経線に属する。

一般的に、累進レンズに対し、近方視注視方向したがってαPVは、対応する屈折力が、当該レンズの処方遠方視平均屈折力PFV+当該レンズの処方加入度Aの50%と、当該レンズの処方遠方視平均屈折力PFV+当該レンズの処方加入度の125%との間に含まれるようにされる。点PVは、近方視注視方向と交差するレンズの前面上の点として定義される近方視制御点である。

有利には、近方視注視方向したがってαPVは、当該対の各レンズに対して、屈折力が、当該レンズの処方遠方視平均屈折力PFV+当該レンズの処方加入度Aの85%に達する場合の注視方向、又は屈折力が、当該レンズの処方遠方視平均屈折力PFV+当該レンズの処方加入度Aの100%に達する場合の注視方向として定義される。

第2に、対のレンズの各々上及び各注視方向(α,β)に対して、屈折力Pα,βと発生非点収差のモジュールAsrα,βが定義される。

次に、屈折力の左及び右側頭半値幅視野TP_LE、TP_REと屈折力左及び右鼻半値幅視野NP_LE、NP_REは、左眼レンズと右眼レンズに対してそれぞれ定義される。

レンズに対して、屈折力の側頭半値幅視野TPは、近方視注視方向(αPVPV)と、屈折力PαPV,βTPが、レンズの処方遠方視平均屈折力の値PFV+レンズの処方加入度Aの3/4の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向(αPVTP)との間の一定の俯角αにおける角距離として定義される。

レンズに対して、屈折力の鼻半値幅視野NPは、近方視注視方向(αPVPV)と、屈折力PαPV,βNPが、レンズの処方遠方視平均屈折力の値PFV+レンズの処方加入度Aの3/4の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向(αPVβNP)との間の一定の俯角αにおける角距離として定義される。

さらに、発生非点収差のモジュールの左及び右側頭半値幅視野TA_LE、TA_REと屈折力の左及び右鼻半値幅視野NA_LE、NA_REを左眼レンズと右眼レンズに対してそれぞれ定義する。

レンズに対して、発生非点収差のモジュールの視側頭半値幅視野TAは、近方視注視方向(αPVPV)と、発生非点収差のモジュールAsrαPV,βTAがレンズの処方加入度Aの1/4の値に達する場合のレンズの側頭側の注視方向(αPV,βTA)との間の一定の俯角αにおける角距離として定義される。 AsrαPV,βTA=A/4

レンズに対して、発生非点収差NAのモジュールの鼻半値幅視野は、近方視注視方向(αPVPV)と、発生非点収差のモジュールAsrαPV,βNAがレンズに対する処方加入度Aの4分の1の値に達する場合のレンズの鼻側の注視方向(αPVNA)との間の一定の俯角αにおける角距離として定義される。 AsrαPV,βNA=A/4

以下で考慮される基準は、左眼レンズと右眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比RPL、RPRと、左眼レンズと右眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比RAL,RARである:

対の各レンズに関しては、少なくとも1つの判定基準(すなわち。屈折力RPの比又は発生非点収差RAのモジュールの比のいずれか又はその両方)が装着者の左右差に基づき判断される。

表1に要約され図9と図10を参照して説明した結果によると、選択する判定基準は、左利きと右利きの人に対して異なる方法で判断される。

左利きの人に関しては、左眼と右眼レンズの面上の書くゾーン40の投影の水平軸に対する傾斜は0°にほぼ等しいので、左眼及び右眼レンズの両方の設計は対応する近方視注視方向(αPVLPVL),(αPVRPVR)に対して対称的である。

この条件は次の事実により表される。左利きの人に対して、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は一対の各レンズに対してほぼ0に設定される。及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は一対の各レンズに対してほぼ0に設定される: RPL=RPR=0、及び/又はRAL=RAR=0

これらの式は以下の事実に至る、左利きの人に関しては、屈折力の左及び右側頭半値幅視野がそれぞれ屈折力の左及び右鼻半値幅視野にほぼ等しい、及び/又は発生非点収差のモジュールの左及び右側頭半値幅視野はそれぞれ発生非点収差のモジュールの左及び右鼻半値幅視野にほぼ等しい: TP_LE=NP_LE及びTP_RE=NP_RE 及び/又は TA_LE=NA_LE及びTA_RE=NA_RE

表2は、屈折力が「PFV+処方加入度の100%」に達する場合の近方視注視方向と屈折力が「PFV+処方加入度の85%」に達する場合の近方視注視方向に対する、左利きの人の発生非点収差RAL,RARの基準の値を要約する。

別の実施形態では、より一般的には、左利き装着者に対して、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される((TP_RE−NP_RE)/(TP_RE+NP_RE)≦0)、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される(TA_RE−NA_RE)/(TA_RE+NA_RE)≦0)、及び屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される(TP_LE−NP_LE)/(TP_LE+NP_LE)≧0)、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される(TA_LE−NA_LE)/(TA_LE+NA_LE)≧0)。

左利き装着者に対して: RPR≦0及びRPL≧0 及び/又は RAR≦0及びRAL≧0 又は RPR<0及びRPL>0 及び/又は RAR<0及びRAL>0

本明細書に記載されるすべての実施形態において、所与の比が零より小さい又は零にほぼ等しい値に設定される場合、比は<0の値に設定され得る。同様に、すべての実施形態に対して、所与の比が零より大きい又は零にほぼ等しい値に設定される場合、比は>0の値に設定され得る。

右利きの人に対して、左眼及び右眼レンズの面上の書くゾーン40の投影は水平軸に対して約20°の角度だけ傾斜するので、左眼及び右眼レンズの両方の設計は対応する近方視注視方向(αPVLPVL),(αPVRPVR)に対して非対称である。

この条件は次の事実により表される。右利きの人に対して、屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される、及び屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定され、及び/又は発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は右眼レンズに対して0より大きい又は0にほぼ等しい値に設定される、及び発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比は左眼レンズに対して0より小さい又は0にほぼ等しい値に設定される。 RPR≧0及びRPL≦0 及び/又は RAR≧0及びRAL≦0

これらの式は以下の事実に至る、右利きの人に対して、屈折力の右側頭半値幅視野は屈折力の右鼻半値幅視野より大きい又はそれにほぼ等しい、及び屈折力の左側頭半値幅視野は屈折力の左鼻半値幅視野より小さい又はそれにほぼ等しい、及び/又は発生非点収差のモジュールの右側頭半値幅視野は発生非点収差のモジュールの右鼻半値幅視野より大きい又はそれにほぼ等しい、及び発生非点収差のモジュールの左側頭半値幅視野は発生非点収差のモジュールの左鼻半値幅視野より小さい又はそれにほぼ等しい。 TP_RE≧NP_RE及びTP_LE≦NP_LE 及び/又は TA_RE≧NA_RE及びTA_LE≦NA_LE

特に、右利きの人に対して、右眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と左眼レンズの屈折力の側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比との合計はほぼ0に設定される、及び/又は右眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比と左眼レンズの発生非点収差のモジュールの側頭半値幅視野と鼻半値幅視野の差と和との比との合計はほぼ0に設定される。 RPR+RPL=0 及び/又は RAR+RAL=0

表3は、屈折力が「PFV+処方加入度の100%」に達する場合の近方視注視方向と屈折力が「PFV+処方加入度の85%」に達する場合の右方視注視方向に対する、右利きの人の発生非点収差RAL,RARの基準の値を要約する。

さらに、上記特徴に加えて、本発明は、右利き装着者用の一対のレンズを提供する、ここで、対のレンズの各々に対して、Δ≦10%であり、ここで − Δ=100*abs(Max_Asr_N−Max_Asr_T)/Max(Max_Asr_N;Max_Asr_T)、 − abs:絶対値、 − Max_Asr_N: レンズの鼻領域内、及び PRP(プリズム基準点)を通る注視方向であって不等式(α22)1/2≦40°に関するすべての注視方向(α,β)を含む注視方向を中心とするゾーン内 に含まれるすべての注視方向により定義されたレンズの領域全体にわたって見出された発生非点収差の最大値、 − Max_Asr_T: レンズの側頭領域内、及び PRP(プリズム基準点)を通る注視方向であって不等式(α22)1/2≦40°に関するすべての注視方向(α,β)を含む注視方向を中心とするゾーン内 に含まれるすべての注視方向により定義されたレンズの領域全体にわたって見出された発生非点収差の最大値、 − Max(x;y):xとyの最大値 である。

レンズの鼻及び側頭側はレンズの経線に対して判断される。

有利には、本発明によるとΔ≦10%、好適にはΔ≦8%、より好適にはΔ≦5%。この特徴は、各レンズの鼻側と側頭側間の発生非点収差の相対的不平衡の最大値を設定する。それに応じて、たとえ鼻及び側頭半値幅視野の値が近方(近接)視の所与のレンズ上で非対称であり左右差を反映したとしても、この非対称性は発生非点収差のピーク値という意味でレンズ設計の相対的(制御された)全体対称性により相殺される。これは、動的視及び/又は周辺視の状況におけるレンズ性能に対して特に有利である。

したがって、本発明は、装着者の左右差に従って一対の累進式眼用レンズのための2つの特定の設計を提供する。

別の態様によると、本発明は、特定の装着者用の一対の個人専用累進式眼用レンズを決定する方法を提供する。

この方法は、この装着者の有効近方視ゾーン44L、44Rと有効近方視ゾーン44L、44Rの傾斜が測定され、基準は測定された傾斜に基づき判断されるという点で左利きの/右利きの区分化に関する上記方法と異なる。

したがって、得られた設計は、左利き又は右利きの人の平均値ではなくこの特定の装着者に適用される。

明らかに、コンピュータ上で読む、書く、スマートフォンを使用するなど他の近方視作業を考慮し得る。

本発明の方法において、設計はさらに、装着者の頭/目挙動を考慮することにより微調整することができる。

実際、近方視作業を行う場合、ある人はむしろ自分の目を動かす傾向があり、他の人はむしろ自分の頭を動かす傾向がある。

本発明者らは、目を動かす装着者に関して、実際に使用されるレンズの領域は書くゾーン40のレンズ上の全投影に対応し、一方、頭を動かす装着者に関しては、実際に使用されるレンズの領域が書くゾーン40のレンズ上の投影の一部に対応するということを見出した。

頭/目挙動得点を計算することができ、書くゾーン40の投影を頭/目挙動得点に依存する係数により重み付けることができる。Visioffice又はVision Print Systemの名称で知られた装置を使用することにより頭/目挙動得点を測定できる、又はSMI視標追跡眼鏡(SensoMotoric Instrument)、ASL視標追跡眼鏡(Applied Science Laboratories)などの視標追跡により頭/目の挙動得点を決定できる。

一実施形態によると、頭/眼の挙動は、次のように評価することができる。装着者は、−40°、0°、+40°及び40cmの装着者/目標の距離における3つの偏心ライトを有するストリップの反対側に置かれる。可聴信号が鳴り、前方向凝視に対応するランダムな持続時間(1.5〜2.5秒)の間中央のライトが点灯される。中央のライトが消灯されると2つの周辺ライトの1つが点灯される(1秒間)。装着者に与えられる命令は点灯された光を継続的に凝視することである。Polhemus Fastrakシステム(無接触6軸測定システム)などの追跡システムを使用することにより目標までの距離と頭の回転角の測定が行われる。患者には、約20サイクルの中央光/周辺光(左右でバランスのとれた)が提示される。どちらの側が活性化されるかに関する選択は無作為になされるが同じ側では2回以下の連続提示がなされる。頭をいくぶん動かす装着者の性向を定性的に評価するために、目標に達するのに役立つ合計運動内の頭の運動の割合を与える利得又は頭/眼係数として知られた変数を使用することができる。これは次のように表される:利得=(頭角度)/(目標角度)。平均角度は右と左に対し別々に計算される。測定のために取られる値は、最も低い典型的差異に関連付けられた利得に対応する。この測定法では、「全面的に眼を動かす人」は0.00の利得を有し、「全面的に頭を動かす人」は1.00の利得を有する。

本方法は修正され得る又は変形形態(例えば、ライトの位置、音又は光信号の持続時間、サイクル数などの変形形態)に適合され得、特に頭/眼の挙動を記述するために逆利得を計算し得るということを当業者は認識する: (逆利得)=[1−Gain]=[1−(頭角度)/(目標角度)]。

レンズ設計への頭/眼の挙動の影響は例えば国際公開第2006/072683号パンフレットから当該技術分野において知られている。

本発明についてさらに以下の例により示す。

実施例の図面の概要 図11〜22 は考察されるレンズの光学特性を示す。

図11、13、15、17、19、及び21は屈折力マップである。マップの垂直及び水平軸は注視方向の俯角αの値と方位角βの値である。これらのマップに示された等角曲線は、同じ屈折力値に対応する注視方向を接続したものである。曲線のそれぞれの屈折力値は、隣接曲線間で0.25δだけ増加され、これらの曲線のいくつかの上に示される。

図12、14、16、18、20、及び22は、発生非点収差マップである。これらのマップの軸は屈折力マップのものと同様であり、これらのマップに示された等角曲線は、同じ発生非点収差値に対応する注視方向を接続したものである。

これらのマップのそれぞれのマップ上で、3つの特定箇所PV、A、Bを考察する。

点PVは、近方視注視方向と交差するレンズの前面上の点として定義される近方視制御点である。

以下の例では、点PVは、屈折力が「当該レンズの処方遠方視平均屈折力」+「当該レンズに処方された加入度の100%」に達する場合の注視方向と交差するレンズの前面上の点である。

点Aは、点Aと点PV間の距離が上に定義されるような側頭半値幅視野に対応するようにレンズの側頭側上に配置される。

点Bは、点Bと点PV間の距離が上に定義されるような鼻半値幅視野に対応するようにレンズの鼻側に配置される。

例1、図11〜図14: 例1は、右利き装着者用の本発明による累進式眼用レンズの対PAIR1であって発生非点収差という意味で最適化された対PAIR1に対応する。

この場合、屈折力処方箋は遠方視において+0.75δであり、処方加入度は対のレンズの両方に対して1.50δである。装着者に対していかなる非点収差も処方されない。

図11と図12に、当該対の右眼レンズLENS1の光学特性(屈折力と発生非点収差)を示す。

図13と図14に、当該対の左眼レンズLENS2の光学特性(屈折力と発生非点収差)を示す。

図11で: 点PVはαPVR=28.9°及びβPVR=4.9°に位置する。 点PVは屈折力値に対応する等角曲線上に位置する: P=0.75+100%*1.5=2.25δ

図12で: − 点PVはαPVR=28.9°及びβPVR=4.9°に位置する。 − 点AはαARPVR=28.9°及びβAR=−1.4°に位置する。 − 点BはαBRPVR=28.9°及びβBR=8.4°に位置する。 点AとBを接続する等角曲線は発生非点収差値に対応する: Asr=1.5/4=0.375δ TA_RE=6.3°及びNA_RE=3.5° このときRAR=0.28

図13で: 点PVはαPVL=29.0°及びβPVL=−4.9°に位置する。 点PVは屈折力値に対応する等角曲線上に位置する: P=0.75+100%*1.5=2.25δ

図14で: − 点PVはαPVL=29.0°及びβPVL=−4.9°に位置する。 − 点AはαAlPVL=29.0°及びβAL=−1.2°に位置する。 − 点BはαBLPVL=29.0°及びβBL=−11.3°に位置する。 点AとBを接続する等角曲線は発生非点収差値に対応する: Asr=1.5/4=0.375δ TA_LE=3.7°及びNA_LE=6.4° このとき、RAL=−0.27

この対PAIR1は右利きの人用である。発生非点収差比はこのようなである。 RAR≧0及びRAL≦0

上記比はさらに、公差範囲を考慮してRAR+RALがほぼ0に等しくなる(RAR+RAL=0.01)ようにされる。

さらに、発生非点収差ピークに関し: ・ 右眼に対して(図12): Max_Asr_T=1.51δ、以下に位置する点Dとして標記: β_Max_Asr_T=−33° α_Max_Asr_T=25° Max_Asr_N=1.51δ,以下に位置する点Eとして標記: β_Max_Asr_N=30° α_Max_Asr_N=23° この場合、Δ=0.0%

・ 左眼に対して(図14): Max_Asr_T=1.51δ,以下に位置する点Eとして標記: β_Max_Asr_T=32° α_Max_Asr_T=26° Max_Asr_N=1.49δ,以下に位置する点Dとして標記: β_Max_Asr_N=−33° α_Max_Asr_N=23° この場合、Δ=1.3%。

したがって、例1の一対のレンズは、装着者が近方視作業を行う場合に有効ゾーン内において非対称設計を提供することにより最適な快適性を右利き装着者に提供する。

例2、図15〜図18: 例2は、左利き装着者用の本発明による累進式眼用レンズの対PAIR2であって発生非点収差という意味で最適化された対PAIR2に対応する。

この場合、屈折力処方箋は遠方視において+0.75δであり、処方加入度は対のレンズの両方に対して1.50δである。装着者に対していかなる非点収差も処方されない。

図15と16に、当該対の右眼レンズLENS3の光学特性(屈折力と発生非点収差のモジュール)を示す。

図17と図18に、当該対の左眼レンズLENS4の光学特性(屈折力と発生非点収差のモジュール)を示す。

図15で: − 点PVはαPVR=29.1°及びβPVR=5.0°に位置する。 − 点PVは屈折力値に対応する等角曲線上に位置する: P=0.75+100%*1.5=2.25δ

図16で: − 点PVはαPVR=29.1°及びβPVR=5.0°に位置する。 − 点AはαARPVR=29.1°及びβAR=−0.1°に位置する。 − 点BはαBRPVR=29.1°及びβBR=10.1°に位置する。 点AとBを接続する等角曲線は発生非点収差値に対応する: − Asr=1.5/4=0.375δ − TA_RE=5.1°及びNA_RE=5.1° このときRAR=0.00

図17で: 点PVはαPVL=29.1°及びβPVL=−5.0°に位置する。 点PVは屈折力値に対応する等角曲線上に位置する: P=0.75+100%*1.5=2.25δ

図18で: − 点PVはαPVL=29.1°及びβPVL=−5.0°に位置する。 − 点AはαAlPVL=29.1°及びβAL=0.1°に位置する。 − 点BはαBLPVL=29.1°及びβBL=−10.1°に位置する。 点AとBを接続する等角曲線は発生非点収差値に対応する: Asr=1.5/4=0.375δ TA_LE=5.1°及びNA_LE=5.1° このときRAL=0.00

この対PAIR2は左利きの人用である。実際には、発生非点収差比は次のようにされる: RAL=RAR=0

したがって、例2のこの対のレンズは、装着者が近方視作業を行う場合に、有効ゾーン内において対称設計を提供することにより最適な快適性を左利き装着者に提供する。

例3 − 図19〜図22: 例3は、左利き装着者用の本発明による累進式眼用レンズの対PAIR3であって発生非点収差という意味で最適化された対PAIR3に対応する。

この場合、屈折力処方箋は遠方視において+0.75δであり、処方加入度は対のレンズの両方に対して1.50δである。装着者に対していかなる非点収差も処方されない。

図19と20に、対PAIR3の右眼レンズLENS1の光学特性(屈折力と発生非点収差)を示す。

図21と22に、対PAIR3の左眼レンズLENS2の光学特性(屈折力と発生非点収差)を示す。

図19で: 点PVはαPVR=29.0°及びβPVR=5.0°に位置する。 点PVは屈折力値に対応する等角曲線上に位置する: P=0.75+100%*1.5=2.25δ

図20で: − 点PVはαPVR=29.0°及びβPVR=5.0°に位置する。 − 点AはαARPVR=29.0°及びβAR=1.3°に位置する。 − 点BはαBRPVR=29.0°及びβBR=11.4°に位置する。 点AとBを接続する等角曲線は発生非点収差値に対応する: Asr=1.5/4=0.375δ TA_RE=3.7°及びNA_RE=6.4° このとき、RAR=−0.27

図21で: 点PVはαPVL=28.9°及びβPVL=−4.9°に位置する。 点PVは屈折力値に対応する等角曲線上に位置する: P=0.75+100%*1.5=2.25δ

図22で: − 点PVはαPVL=28.9°及びβPVL=−4.9°に位置する。 − 点AはαAlPVL=28.9°及びβAL=1.4°に位置する。 − 点BはαBLPVL=28.9°及びβBL=−8.4°に位置する。 点AとBを接続する等角曲線は発生非点収差値に対応する: Asr=1.5/4=0.375δ TA_LE=6.3°及びNA_LE=3.5° このときRAL=0.28

この対PAIR3は左利きの人用である。実際、発生非点収差比は次のようになるようにされる RAR≦0及びRAL≧0

上記比はさらに、公差範囲を考慮してRAR+RALがほぼ0に等しくなる(RAR+RAL=0.01)ようにされる。

したがって、例3のレンズの対は、装着者が近方視作業を行う場合に、有効ゾーン内において非対称設計を提供することにより最適な快適性を左利き装着者に提供する。

例4:読む傾斜を考慮したレンズ設計 レンズは、読む状況におけるテキストの行の傾斜角を考慮することにより判断される。

傾斜角θは上述のように判断される。

以下の関係式が提供される、ここで、RはRPL、RPR、RAL、RARのいずれかであり、Rの符号は、左右差に従って本明細書に記載されるように判断される。absは絶対値、LEは左眼、REは右眼を表す。

・ PFV+100%AにおけるRとθとのあり得る関係: abs(θ)≦45°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=abs(θ)/100 abs>(θ)45°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=0.45 例えば: θ=0°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=0 θ=20°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=0.20

・ PFV+85%AにおけるRとθとの関係: abs(θ)≦45°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=abs(θ)/133 abs>(θ)45°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=0.34 例えば: θ=0°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=0 θ=20°である場合abs(RRE)=abs(RLE)=0.15

例5:頭−眼の挙動を考慮したレンズ設計 レンズは頭/眼の挙動を考慮することにより決定される。利得の値は上述のように判断される:利得(頭角度)/(目標角度)。

・ 例5.1:利得と比Rの値との関係 この実施形態では、半値幅視野は利得に応じて修正される、すなわち、修正された側頭(又は鼻)半値幅視野は未修正の側頭(又は鼻)半値幅視野に比例する:T’=k*T,ここで、Tは屈折力に対するもの又は発生非点収差のモジュールに対するもののいずれかであり得る、いずれかの眼(それぞれN’=k*N)毎に。TはTP_LE、TP_RE、TA_LE、及びTA_REから選択される。NはNA_LE、NA_RE、NP_LE、及びNP_REから選択される。

結果として、R=(k*T−k*N)/k*(T+N)=(T−N)/(T+N),RはRPL、RPR、RAL、RARから選択される。比Rの値は利得に依存しないが、半値幅視野の値は依存する。

例えば、kは以下のように決定され得る:k=−0.4*利得+1.2。

眼を動かす人に対して利得=0である場合:T’=1.2*T。

頭を動かす人に対して利得=1である場合:T’=0.8*T。

別の実施形態では、より一般的には、k=−0.4*Gain+K、ここで、Kは[1.0〜1.2]間の一定値である。

・ 例5.2:利得と比Rの値との関係 この実施形態では、比Rの他の可能な値が利得に応じて決定される。値0.253は利得の平均値として選択されるが、他の値が使用され得る。

次の関係を以下に示す、ここで、Rは、RPL、RPR、RAL、RARのいずれかであり、Rの符号は左右差に従って本明細書に記載さたように判断される。absは絶対値、LEは左眼、REは右眼を表す。

例5.2.1:[0−0.253]の利得 利得が0〜0.253である場合、半値幅視野の値は比較的大きく、したがって、非対称性に対する要求はそれほど顕著なものではない。したがって、比Rの絶対値は、0.253の利得を有する「平均的」装着者に提案される絶対値より小さいこともある。

したがって、左利き及び右利き装着者間の区分化に対して: − 右利き:abs(RRE)=abs(RLE)=0.13(PFV+85%A又はPFV+100%Aにおいて)。 − 左利き:abs(RRE)=abs(RLE)=0.00(PFV+85%A又はPFV+100%Aにおいて)。

読む状況における頭/眼の挙動及び傾斜角を使用したカスタム化に対して、パラメータ利得とθ(°)は上に定義されたように使用される。 abs(R)=(abs(θ)/133)*Gain/0.253(PFV+85%Aにおける)又は abs(R)=(abs(θ)/100)*Gain/0.253(PFV+100%Aにおける)

例5.2.2:[0.253〜1]の利得 したがって、区分化に対して:左右差の全範囲が考慮される。したがって、右利き装着者に対して、比Rの絶対値として、20°の平均傾斜に対して得られるものを使用することが可能である。逆に、左利き装着者に対して、比は0°の平均傾斜に対して得られる値において設定される。 − 右利き:abs(RRE)=abs(RLE)=0.15又は0.20(PFV+85%A又はPFV+100%A) − 左利き:abs(RRE)=abs(RLE)=0.00(PFV+85%A又はPFV+100%A)

利得とθに応じたカスタム化に対し、傾斜は完全に考慮される。 abs(R)=θ/133又はθ/100(PFV+85%A又はPFV+100%A)

6 無接触 26 遠方視ゾーン 28 近方視ゾーン 30 中間領域 32 主経線,経線 40 ゾーン 42 文書 44L,44R 有効ゾーン,有効近方視ゾーン

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