Multifocus type ocular lens

申请号 JP29499998 申请日 1998-10-16 公开(公告)号 JP2000122006A 公开(公告)日 2000-04-28
申请人 Menicon Co Ltd; 株式会社メニコン; 发明人 OYAMA HIROYUKI; KONDO HIDEAKI; MIYAMURA KAZUYA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a lens having a structure with which the visibility at a point existing at the intermediate distance between two points (far point and near point) varying in distances is advantageously and stably assured without the impairment of the viewing clearness of these two points.
SOLUTION: A first intermediate vision correction area 14 set with the lens diopter which is the intermediate of the far sight lens diopter set in a far vision correction area and the near sight lens diopter set in a near vision correction area is positioned in the central portion of the vision correction area 12. The far vision correction area and near vision correction area 16 and 18 are disposed on the outer peripheral side of the first intermediate vision correction area 14.
COPYRIGHT: (C)2000,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 遠方観察用の遠用レンズ度数が設定された遠用視力矯正域と、近方観察用の近用レンズ度数が設定された近用視力矯正域を、それぞれ少なくとも一つ設けた視力矯正域を有する多焦点型眼用レンズにおいて、 前記遠用レンズ度数と前記近用レンズ度数の間のレンズ度数が設定された第一の中間視力矯正域を、前記視力矯正域の中央部分に位置して設けて、該第一の中間視力矯正域の外周側に、前記遠用視力矯正域および前記近用視力矯正域を配したことを特徴とする多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項2】 前記遠用視力矯正域および前記近用視力矯正域において、それぞれのレンズ度数を、径方向の全体に亘って実質的に一定とした請求項1に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項3】 前記第一の中間視力矯正域と前記遠用視力矯正域および前記近用視力矯正域を、同一の光学中心軸をもって同心円形状に形成した請求項1又は2に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項4】 前記第一の中間視力矯正域において、前記遠用レンズ度数と前記近用レンズ度数の間のレンズ度数が、径方向における極値としてまたは径方向に所定幅で広がる一定値として与えられた作用部を少なくとも一つ設けた請求項1乃至3の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項5】 前記作用部の一つを、前記第一の中間視力矯正域の光学中心に位置せしめた請求項4に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項6】 前記作用部を、前記第一の中間視力矯正域の光学中心に位置して一つだけ形成し、且つ該作用部の半径方向寸法を0〜3mmとした請求項4又は5に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項7】 前記第一の中間視力矯正域において、径方向最外方に位置せしめた前記作用部のレンズ度数から、該第一の中間視力矯正域の外周側に隣接位置せしめた前記遠用視力矯正域または近用視力矯正域のレンズ度数に至るまでレンズ度数を径方向に連続的に変化させることによって、該第一の中間視力矯正域の外周部分に移行領域を形成した請求項4乃至6の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項8】 前記第一の中間視力矯正域における移行領域が、2次以上の一つの多項式で示される径方向の度数分布を有している請求項7に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項9】 前記第一の中間視力矯正域における移行領域が、0.1mm〜2.0mmの半径方向寸法で形成されている請求項7又は8に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項10】 前記視力矯正域において、前記第一の中間視力矯正域と前記遠用視力矯正域および前記近用視力矯正域を、同一の光学中心軸をもって同心円形状に形成する一方、該第一の中間視力矯正域における前記作用部を、該第一の中間視力矯正域の光学中心に位置して一つだけ形成すると共に、該第一の中間視力矯正域における作用部の外周側に前記移行領域を形成した請求項7乃至9の何れかに記載の多焦点型眼用レンズにおいて、 前記第一の中間視力矯正域における前記作用部のレンズ度数をPaとし、該第一の中間視力矯正域の外周側に隣接位置せしめた前記遠用視力矯正域または近用視力矯正域からなる内周側視力矯正域のレンズ度数をPbとすると共に、前記視力矯正域の光学中心軸から該第一の中間視力矯正域における該作用部と前記移行領域との境界までの径方向距離をWaとし、該視力矯正域の光学中心軸から該第一の中間視力矯正域と該内周視力矯正域との境界までの径方向距離をWbとすれば、かかる第一の中間視力矯正域の移行領域におけるレンズ度数:yが、該視力矯正域の光学中心軸からの径方向距離をxとして、下式: y=E1(x 3 /3−x 2 (Wa+Wb)/2+x・W
    a・Wb)+F1 但し、 E1=(Pa−Pb)/((Wa 3 −Wb 3 )/3−
    (Wa 2 −Wb 2 )(Wa+Wb)/2+(Wa−W
    b)Wa・Wb) F1=Pa−E1(Wa 3 /3−Wa 2 (Wa+Wb)
    /2+Wa・Wa・Wb) で表される請求項7乃至9の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項11】 請求項10に記載された多焦点型眼用レンズにおいて、前記第一の中間視力矯正域の移行領域における前記レンズ度数:yの前記径方向距離:xに対する関係が、前記関係式に代えて、下式: y=(Pb−Pa)(x−Wa) 4 /(Wb−Wa) 4
    +Pa で表される請求項7乃至9の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項12】 前記遠用視力矯正域と前記近用視力矯正域を、前記第一の中間視力矯正域の外周側に位置して同心円形状に形成する一方、前記第一の中間視力矯正域における作用部を、該第一の中間視力矯正域の光学中心に位置して一つだけ形成し、且つ該作用部に対して、該第一の中間視力矯正域の外周側に隣接位置せしめた前記遠用視力矯正域と近用視力矯正域の何れか一方からなる内周視力矯正域よりも何れか他方からなる外周視力矯正域に近いレンズ度数を設定した請求項4乃至11の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項13】 前記第一の中間視力矯正域の光学中心に位置せしめた前記一つの作用部に対して、前記外周視力矯正域と同じレンズ度数を、極値として設定すると共に、該作用部のレンズ度数から前記内周視力矯正域と同じレンズ度数に至るまでレンズ度数が半径方向に連続的に変化する移行領域を、かかる第一の中間視力矯正域の全体に亘って形成した請求項12に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項14】 前記外周視力矯正域に遠方観察用のレンズ度数:Pc(Dptr.) を設定して遠用視力矯正域とすると共に、前記内周視力矯正域に付加度数:ADD(Dpt
    r.) を与えて近用視力矯正域とし、且つ前記第一の中間視力矯正域における作用部のレンズ度数:Pa(Dptr.)
    を、下式: Pc+0.25 ≦Pa≦Pc+ADD/2 を満足するように設定した請求項12に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項15】 前記遠用視力矯正域と前記近用視力矯正域を、前記第一の中間視力矯正域の外周側に位置して同心円形状に形成する一方、前記第一の中間視力矯正域における作用部として、相互に異なるレンズ度数を有する第一の作用部と第二の作用部を少なくとも一組形成すると共に、内周側に位置せしめられた該第一の作用部のレンズ度数を、外周側に位置せしめられた該第二の作用部のレンズ度数よりも、前記遠用視力矯正域と前記近用視力矯正域のうち該第一の中間視力矯正域の外周側に隣接位置せしめた内周視力矯正域に近いレンズ度数に設定した請求項4乃至9の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項16】 前記遠用視力矯正域と前記近用視力矯正域を、前記第一の中間視力矯正域の外周側に位置して同心円形状に形成すると共に、それら遠用視力矯正域と近用視力矯正域の間に、該遠用視力矯正域のレンズ度数と該近用視力矯正域のレンズ度数の間のレンズ度数が設定された第二の中間視力矯正域を形成した請求項1乃至15の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項17】 前記第二の中間視力矯正域におけるレンズ度数が、前記遠用視力矯正域のレンズ度数から前記近用視力矯正域のレンズ度数に向かって径方向に連続的に変化している請求項16に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項18】 前記第二の中間視力矯正域が、2次以上の一つの多項式で示される径方向の度数分布を有している請求項16又は17に記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項19】 前記視力矯正域において、前記第一の中間視力矯正域と前記遠用視力矯正域、前記近用視力矯正域および前記第二の中間視力矯正域を、同一の光学中心軸をもって同心円形状に各一つずつ形成する一方、該遠用視力矯正域と該近用視力矯正域のうち内周側に位置せしめた内周視力矯正域のレンズ度数をPbとし、外周側に位置せしめた外周視力矯正域のレンズ度数をPcとすると共に、該視力矯正域の光学中心軸から該内周視力矯正域と前記第二の中間視力矯正域との境界までの径方向距離をWc、該視力矯正域の光学中心軸から該第二の中間視力矯正域と該外周視力矯正域との境界までの径方向距離をWdとすれば、かかる第二の中間視力矯正域におけるレンズ度数:yが、該視力矯正域の光学中心軸からの径方向距離をxとして、下式: y=E2(x 3 /3−x 2 (Wc+Wd)/2+x・W
    c・Wd)+F2 但し、 E2=(Pb−Pc)/((Wc 3 −Wd 3 )/3−
    (Wc 2 −Wd 2 )(Wc+Wd)/2+(Wc−W
    d)Wc・Wd) F2=Pb−E2(Wc 3 /3−Wc 2 (Wc+Wd)
    /2+Wc・Wc・Wd) で表される請求項16乃至18の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項20】 前記第二の中間視力矯正域が、0.1
    mm〜2.0mmの半径方向寸法で形成されている請求項1
    6乃至19の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項21】 前記中央視力矯正域の光学中心が、レンズ幾何中心軸に対して偏倚していると共に、その偏倚量が2.0mm以下である請求項1乃至20の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 【請求項22】 前記視力矯正域において、何れか一方のレンズ面がトーリック面とされている請求項1乃至2
    1の何れかに記載の多焦点型眼用レンズ。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【技術分野】本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ等、眼球の表面や内部に装着乃至は埋殖されるレンズ(以下、眼用レンズという。)であって、互いに異なる度数が設定された複数の視矯正域を有する多焦点型眼用レンズに関するものである。

    【0002】

    【背景技術】従来から、老視眼等の視力調節能力に劣る眼に適用されて、視力調節力を補うため等に用いられる眼用レンズとして、一つのレンズ内に互いに異なる度数が設定された複数の視力矯正域を存在せしめた多焦点型眼用レンズが提案されている。 具体的には、多焦点型眼用レンズとしては、例えば、特開昭63−95415号公報や特開平1−319729号公報等に記載されているように、視軸の移動によって度数の異なる視力矯正領域を使い分ける視軸移動型のコンタクトレンズや、特開昭59−208524号公報や特開平2−217818
    号公報等に記載されているように、度数の異なる視力矯正域を同時に使用して脳の判断で必要な像を選別するようにした同時視型のコンタクトレンズ等が、知られている。

    【0003】そして、視軸移動型と同時視型の何れのタイプのレンズでも、近方観察のためのレンズ度数が設定された近用視力矯正域と、遠方観察のためのレンズ度数が設定された遠用視力矯正域の二つの異なる度数領域を有するバイフォーカルレンズと、近用視力矯正域と遠用視力矯正域の間に中間の視力矯正域を形成して三つ以上の異なるレンズ度数領域を設けたマルチフォーカルレンズが、提案されている。

    【0004】ところが、バイフォーカルレンズでは、焦点が二つしかないために中間距離で鮮明な像を得難く、
    イメージジャンプ等を生じやすいという問題があり、境界部の大きな段差によって装用感が悪いという問題もあった。 また、マルチフォーカルレンズでは、レンズ度数が径方向に狭い幅で多段階に変化しているために、近用視力矯正域および遠用視力矯正域の何れにおいても充分な面積が確保され難く、明瞭な像が得難いという問題があることに加えて、中間の視力矯正域でも多段階のレンズ度数が存在するために、中間距離での像の明瞭性が悪く、ゴーストイメージが出現し易いという問題もあった。

    【0005】なお、特開平5−181096号公報には、近用視力矯正域と中間視力矯正域と遠用視力矯正域を、径方向で連続的にレンズ度数が変化するように形成することによって、装用感や中間距離での視認性を向上させたマルチフォーカルレンズが開示されているが、かかるレンズでも、近方観察時と遠方観察時の両方で充分に明瞭な視認性を得ることが難しい場合があった。

    【0006】また、特開平9−26559号公報には、
    近用視力矯正域と遠用視力矯正域を径方向に交互に配したバイフォーカルレンズが開示されているが、かかるレンズでも、近用視力矯正域と遠用視力矯正域が各一つのゾーンからなる一般的なバイフォーカルレンズと同様、
    中間距離で鮮明な像を得難く、イメージジャンプ等を生じやすいという問題があった。

    【0007】

    【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、近方観察時および遠方観察時における明瞭な視認性を確保しつつ、中間距離でも良好な視認性を得ることの出来る多焦点型眼用レンズであって、特に、中間距離における視認性が安定して確保され得る新規な構造の多焦点型眼用レンズを提供することにある。

    【0008】

    【解決課題】そして、このような課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、遠方観察用の遠用レンズ度数が設定された遠用視力矯正域と、近方観察用の近用レンズ度数が設定された近用視力矯正域を、それぞれ少なくとも一つ設けた視力矯正域を有する多焦点型眼用レンズにおいて、前記遠用レンズ度数と前記近用レンズ度数の間のレンズ度数が設定された第一の中間視力矯正域を、前記視力矯正域の中央部分に位置して設けて、
    該第一の中間視力矯正域の外周側に、前記遠用視力矯正域および前記近用視力矯正域を配したことにある。

    【0009】このような本発明に従う構造とされた多焦点型眼用レンズにおいては、遠用視力矯正域と近用視力矯正域にそれぞれ設定された遠用レンズ度数と近用レンズ度数によって、それぞれ、特に必要とされる特定の距離点(遠方観察点および近方観察点)における視認性が何れも有利に確保され得る。 また、それら遠用レンズ度数と近用レンズ度数の間のレンズ度数が設定された第一の中間視力矯正域によって、遠方観察点と近方観察点の間の中間距離点においても良好な視認性を得ることが出来るのである。 なお、遠用レンズ度数および近用レンズ度数は、遠方観察点および近方観察点における視認性を充分に確保するために、径方向に一定であることが望ましいが、収差軽減等のために、径方向に僅かな変化を与えることも可能である。

    【0010】そして、特に、かかる第一の中間視力矯正域が、視力矯正域の中央部分に位置して設けられていることから、レンズの安定状態や装用時の位置ずれ、瞳孔径の変化等に際しても、第一の中間視力矯正域が瞳孔上に有利に位置せしめられるのであり、それによって、中間距離点における視認性がより安定して確保され得るのである。

    【0011】しかも、第一の中間視力矯正域におけるレンズ度数は、それぞれ実質的に一定値のレンズ度数が設定された遠用視力矯正域と近用視力矯正域における両レンズ度数間の範囲からはみ出さない範囲で設定されていることから、中間領域における視認性が一層有利に確保され得るのである。

    【0012】なお、本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ等を含む各種の眼用レンズに対して何れも適用可能であるが、特にコンタクトレンズに有利に適用され、
    それによって老視用コンタクトレンズ等が有利に実現され得る。 また、コンタクトレンズとしては、ハードタイプとソフトタイプの何れにも適用可能である。

    【0013】

    【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。

    【0014】本発明に従う構造とされた多焦点型眼用レンズは、例えば、図1に示されている如き構造のコンタクトレンズ10として形成される。 このコンタクトレンズ10は、レンズの略中央において、装用者に要求される矯正視力を与えるための視力矯正域12を有している。 また、図1に示された実施形態では、視力矯正域1
    2の光学中心軸:Pが、レンズ外形に対する幾何中心軸:Oに一致せしめられているが、装用者の瞳孔位置や膜形状等に応じて、この光学中心軸:Pを、レンズの幾何中心軸:Oに対して、適当に偏倚させることも可能である。

    【0015】例えば、一般的な角膜曲率形状や瞳孔位置等を考慮すれば、かかる視力矯正域12の光学中心軸:
    Pを、レンズの幾何中心軸:Oに対して、装用状態で装用者の鼻側に偏倚させることが望ましく、更には、その偏倚量を2.0mm以下に設定することが望ましい。 このような偏倚量を設定することにより、装用状態下で、視力矯正域12の光学中心軸:Pを、装用者の瞳孔中心に対して有利に一致させることが出来、視認性の更なる向上が図られ得る。 また、図2に示されているように、視力矯正域12の光学中心軸:Pを、コンタクトレンズ1
    0の幾何中心軸:Oに対して、装用状態下で、装用者の生活環境等を考慮して、かかる光学中心軸:Pを、レンズの幾何中心軸:Oに対して、装用状態下で、下方または上方に偏倚させることにより、視力矯正域12の光学中心軸:Pを装用者の瞳孔中心に対して、より高精度に一致させることが可能となる。

    【0016】なお、視力矯正域12の外周側は、装用時に瞳孔上に位置しないために光学的特性を与えるものでないが、装用のために必要な外周領域として形成されており、必要に応じてスラブオフ加工等が施される。 特に、上述の如く、光学中心軸:Pを、レンズの幾何中心軸:Oに対して、装用者の瞳孔位置等に応じて偏倚させた場合には、装用状態下でのレンズの周方向の位置決めのために、適宜の回転防止機構が採用されるが、特にプリズムバラスト機構が好適に採用される。 なお、プリズムバラスト機構とは、レンズ肉厚を直径方向で異ならせて、重心をレンズ幾何中心に対して偏心設定することにより、装用状態におけるコンタクトレンズを周方向の特定位置に保持せしめるものであり、プリズムバラスト機構そのものは公知技術であるから、ここでは詳細な説明を省略する。

    【0017】また、図示されているように、視力矯正域12は、互いに異なるレンズ度数が設定された第一の中間視力矯正域14、内周視力矯正域16および外周視力矯正域18を含んで構成されている。 これら第一の中間視力矯正域14と内周視力矯正域16および外周視力矯正域18は、特に同時視型の多焦点型コンタクトレンズを有利に得るために、何れも光学中心軸:Pを共通の光学中心軸として形成することにより、光学的に互いに同心状に形成することが望ましい。 なお、視力矯正域12
    の光学中心軸:Pは、一般に、視力矯正域12の幾何中心に一致させることが望ましい。

    【0018】特に、図1及び図2に示された実施形態では、第一の中間視力矯正域14は、光学中心軸:Pを中心とする円形状を有しており、内周視力矯正域16および外周視力矯正域18は、それぞれ、第一の中間視力矯正域14を順次取り囲んで配された、同心的な円環形状を有している。 そして、これら第一の中間視力矯正域1
    4と内周視力矯正域16および外周視力矯正域18が、
    互いに半径方向で連続的に接続されることにより、全体として一つの視力矯正域12が形成されている。 なお、
    これら第一の中間視力矯正域14と内周視力矯正域16
    および外周視力矯正域18は、完全な円形状乃至は円環形状である必要はなく、例えば楕円形状や楕円環形状等も適宜に採用され得る。

    【0019】さらに、内周視力矯正域16と外周視力矯正域18は、互いに異なるレンズ度数が設定されることにより、一般に、それらの何れか一方の視力矯正域が、
    近方観察のために装用者の視力調節力を補うだけの一定のレンズ度数を、半径方向の所定幅部分、好ましくは全体に亘って有する近用視力矯正域とされると共に、他方の視力矯正域が、遠方観察のために装用者の視力調節力を補うだけの一定のレンズ度数を、半径方向の所定幅部分、好ましくは全体に亘って有する遠用視力矯正域とされる。 なお内周視力矯正域16と外周視力矯正域18の何れを近用視力矯正域とするかは、装用者の要求や生活状況や環境等を考慮して適宜に決定される。

    【0020】また、内周視力矯正域16と外周視力矯正域18を第一の中間視力矯正域14の外周側に位置して同心円形状に形成する場合には、それら内外視力矯正域16,18を径方向で互いに隣接位置して形成しても良いが、一般に、両視力矯正域16,18のレンズ度数は差が大きいことから、図3に例示されているように、それら内周視力矯正域16と外周視力矯正域18の間に位置して、所定幅で周方向に広がる円環形状の第二の中間視力矯正域22を形成し、この第二の中間視力矯正域2
    2に対して、内周視力矯正域16のレンズ度数と外周視力矯正域18のレンズ度数の間のレンズ度数を設定することが望ましい。 これにより、ゴーストイメージが一層有利に軽減され得る。

    【0021】また一方、第一の中間視力矯正域14には、その全体に亘って、内周視力矯正域16に設定されたレンズ度数と、外周視力矯正域18に設定されたレンズ度数との、間のレンズ度数が設定されている。 これにより、内周視力矯正域16および外周視力矯正域18における各チューニング点の間に位置する中間距離の観察のために装用者の視力調整力を補うレンズ度数が、第一の中間視力矯正域14に設定されているのであり、かかる第一の中間視力矯正域14の光学特性に基づいて、装用者に対し、中間距離域においても、良好な視認性が付与され得るようになっている。

    【0022】なお、コンタクトレンズ10において、その内面(球状凹面)側のレンズ面形状は、装用者の角膜形状に対応したベースカーブ面とされることが望ましく、一般に、外面(球状凸面)側のレンズ面形状を調節することによって、各域14,16,18において目的とするレンズ度数が付与されるが、その他、内面と外面の両者のレンズ面形状を調節することによって、或いは内面側のレンズ面形状だけを調節することによって、レンズ度数をチューニングすることも可能である。 また、
    内周視力矯正域16と外周視力矯正域18は、一般に、
    それぞれ球面形状をもって形成されることにより、全体として一定のレンズ度数が有利に付与されるが、その他、例えば、乱視矯正が必要とされるような場合には、
    視力矯正域12における内外面の少なくとも何れか一方のレンズ面において、円筒面レンズ(トーリック面)を組み合わせることにより、互いに異なる径方向で、レンズ度数を相違させて設定することも可能である。

    【0023】ところで、上述の如く、第一の中間視力矯正域14と内周視力矯正域16および外周視力矯正域1
    8を備えたコンタクトレンズ10において、各矯正域1
    4,16,18に設定される具体的なレンズ度数は、装用者の要求や生活環境等に応じて適宜に決定されるものであって、特に限定されるものでないが、以下に、幾つかの具体例について、半径方向の度数分布曲線を示しつつ説明を加えることとする。

    【0024】先ず、図4及び図5に示された具体例にあっては、第一の中間視力矯正域14に対して、その半径方向全長に亘って一定のレンズ度数:Paが設定されてなる作用部20が形成されていると共に、第二の中間視力矯正域22に対して、内周視力矯正域16から外周視力矯正域18に向かって径方向に連続的に変化するレンズ度数が設定されている。

    【0025】より具体的には、図4に示されたコンタクトレンズでは、外周視力矯正域18のレンズ度数:Pc
    が遠方観察用とされて遠用視力矯正域が構成されていると共に、内周視力矯正域16のレンズ度数:Pbが近方観察用(Pb=Pc+ADD,但し、ADDは付加度数)とされて近用視力矯正域が構成されている。 また、
    図5に示されたコンタクトレンズでは、図4のものとは反対に、内周視力矯正域16のレンズ度数:Pbが遠方観察用とされて遠用視力矯正域が構成されていると共に、外周視力矯正域18のレンズ度数:Pcが近方観察用(Pc=Pb+ADD)とされて近用視力矯正域が構成されている。

    【0026】ここにおいて、第一の中間視力矯正域14
    に対して一つの作用部20を設けた場合には、該作用部20のレンズ度数:Paを、図4及び図5に示されているように、内周視力矯正域16のレンズ度数:Pbよりも外周視力矯正域18のレンズ度数:Pcに近く設定することが望ましい。 これにより、中間距離点においてより鮮明な像を得ることが可能となって、中間距離点での視認性が一層有利に確保される。 しかも、光学中心軸:
    Pの設定誤差や装用時のレンズ位置ずれ等によって、視力矯正域12の光学中心軸:Pと瞳孔中心の間にずれが生じた場合でも、外周視力矯正域18の有効面積の減少に伴う、該外周視力矯正域18が設定された遠方乃至は近方の視認性が、第一の中間視力矯正域14(作用部2
    0)による視力矯正効果によって、より効果的に維持乃至は補助され得るといった利点もある。

    【0027】特に、図4に示されているように、外周視力矯正域18に遠方観察用のレンズ度数:Pcディオプトリ(以下、「 Dptr.」という。)を設定して遠用視力矯正域とすると共に、内周視力矯正域16に付加度数:
    ADD(Dptr.) を与えて近用視力矯正域とする場合には、かかる第一の中間視力矯正域14に設けられた一つの作用部20のレンズ度数:Pa(Dptr.) を、下式を満足するように設定することが望ましい。 Pc+0.25 ≦Pa≦Pc+ADD/2 これにより、第一の中間視力矯正域14による視力矯正効果に基づいて、中間距離点における良好な視認性が一層有利に実現され得ることに加えて、第一の中間視力矯正域14(作用部20)と外周視力矯正域18が何れも遠方観察用のレンズ度数かそれに近いレンズ度数に設定されることから、それら第一の中間視力矯正域14と外周視力矯正域18の光学特性に基づき、内周視力矯正域16への集光作用が発揮されて、特に近方視に際してより良好な像を得ることが可能となる。

    【0028】更にまた、図4及び図5に示されたコンタクトレンズでは、何れも、第二の中間視力矯正域22に対して、半径方向に連続的に変化するレンズ度数が設定されており、この第二の中間視力矯正域22により、内周視力矯正域16と外周視力矯正域18の境界部分においては、レンズ度数の不連続部が存在しないようになっている。 ここにおいて、かかる第二の中間視力矯正域2
    2は、例えば、内周視力矯正域16のレンズ度数と外周視力矯正域18のレンズ度数を直線的に繋ぐように1次式で示される半径方向の度数分布をもって形成することも可能であるが、2次以上の一つの多項式で示される半径方向の度数分布を有するように形成されることが望ましい。 より好適には、図3に示されているように、視力矯正域12に対して、第一の中間視力矯正域14と内周視力矯正域16、外周視力矯正域18および第二の中間視力矯正域22を、同一の光学中心軸をもって同心円形状に各一つずつ形成したコンタクトレンズ10において、内周視力矯正域16のレンズ度数をPbとし、外周視力矯正域18のレンズ度数をPcとすると共に、視力矯正域12の光学中心軸:Pから内周視力矯正域16と第二の中間視力矯正域22との境界までの径方向距離をWc、視力矯正域12の光学中心軸:Pから第二の中間視力矯正域22と外周視力矯正域18との境界までの径方向距離をWdとすれば、かかる第二の中間視力矯正域22におけるレンズ度数:yが、視力矯正域12の光学中心軸:Pからの径方向距離をxとして、以下の如く設定することが出来る。

    【0029】すなわち、かかる第二の中間視力矯正域2
    2においては、例えば、視力矯正域12の光学中心軸:
    Pからの距離:Wc,レンズ度数:Pbにて内周視力矯正域16のレンズ度数に接し、該光学中心軸:Pからの距離:Wd,レンズ度数:Pcにて外周視力矯正域18
    のレンズ度数に接することから、第二の中間視力矯正域22におけるレンズ度数:yの微分式:y′は、下式のように表される。 y′=(x−Wc)(x−Wd) それ故、係数:E2,F2を用いると、レンズ度数:y
    は、下式のように表される。 y=E2(x 3 /3−x 2 (Wc+Wd)/2+x・Wc・Wd)+F2 この式に、x=Wc,y=Pbと、x=Wd,y=Pc
    をそれぞれ代入すると、下記(式1),(式2)が得られる。 Pb=E2(Wc 3 /3−Wc 2 (Wc+Wd)/2+Wc・Wc・Wd) +F2 ・・・(式1) Pc=E2(Wd 3 /3−Wd 2 (Wc+Wd)/2+Wd・Wc・Wd) +F2 ・・・(式2) よって、(式1)から(式2)を減算してF2を削除し、E2を求めると、 E2=(Pb−Pc)/((Wc 3 −Wd 3 )/3−
    (Wc 2 −Wd 2 )(Wc+Wd)/2+(Wc−W
    d)Wc・Wd) F2=Pb−E2(Wc 3 /3−Wc 2 (Wc+Wd)
    /2+Wc・Wc・Wd) が得られる。

    【0030】なお、このような第二の中間視力矯正域2
    2による効果を一層有利に確保するためには、該第二の中間視力矯正域22を、0.1mm〜2.0mmの半径方向寸法で、内外周視力矯正域16,18間を周方向に広がる円環形状をもって形成することが望ましい。

    【0031】更にまた、上記図4及び図5に示されたコンタクトレンズ10においては、第一の中間視力矯正域14の全体に亘って一定のレンズ度数:Paが設定されることにより、第一の中間視力矯正域14の全体によって一つの作用部20が構成されていたが、その他、図6
    に例示されているように、第一の中間視力矯正域14の中央部分だけに作用部20を形成し、該第一の中間視力矯正域14の外周部分の所定幅領域において、作用部2
    0のレンズ度数から内周視力矯正域16のレンズ度数に至るまでレンズ度数を径方向に連続的に変化させることによって、該第一の中間視力矯正域14の外周部分に移行領域24を形成しても良い。 このような移行領域24
    を設ければ、内外周視力矯正域16,18がチューニングされた遠方視点と近方視点の中間の距離のより広い範囲に亘って、視認性の向上が図られ得ると共に、ゴーストイメージの軽減効果が有利に発揮される。

    【0032】そこにおいて、かかる第一の中間視力矯正域14における移行領域24としては、0.1mm〜2.
    0mmの半径方向寸法をもって、作用部20と内周視力矯正域16の間に形成されることが望ましい。 けだし、余り小さいと、上述の如き移行領域24の効果が充分に発揮され難く、余り大きいと、作用部20や内外周視力矯正域16,18の大きさを充分に確保し難くなるからである。

    【0033】また、かかる移行領域24は、例えば、作用部20のレンズ度数:Paと内周視力矯正域16のレンズ度数:Pbを直線的に繋ぐように1次式で示される半径方向の度数分布をもって形成することも可能であるが、2次以上の一つの多項式で示される半径方向の度数分布を有するように形成されることも有効であり、それによって、遠方観察点や近方観察点および中間距離点における視認性や明瞭度のチューニング自由度の拡大等が図られ得る。 より好適には、図6に示されているように、視力矯正域12において、第一の中間視力矯正域1
    4と内周視力矯正域16を、同一の光学中心軸:Pをもって同心円形状に形成する一方、該第一の中間視力矯正域14の光学中心:Pに位置して一つの作用部20を形成すると共に、該第一の中間視力矯正域14における作用部20の外周側に移行領域24を形成したコンタクトレンズ10において、第一の中間視力矯正域14における作用部20のレンズ度数をPaとし、内周視力矯正域16のレンズ度数をPbとすると共に、視力矯正域12
    の光学中心軸:Pから作用部20と移行領域24との境界までの径方向距離をWaとし、視力矯正域12の光学中心軸:Pから第一の中間視力矯正域14と内周視力矯正域16との境界までの径方向距離をWbとすれば、かかる第一の中間視力矯正域14の移行領域24におけるレンズ度数:yが、該視力矯正域12の光学中心軸:P
    からの径方向距離をxとして、以下の如く設定される。
    なお、移行領域24が有効に存在するために、0≦Wa
    <Wbとする。

    【0034】すなわち、かかる移行領域24においては、視力矯正域12の光学中心軸:Pからの距離:W
    a,レンズ度数:Paにて作用部20のレンズ度数に接し、光学中心軸:Pからの距離:Wb,レンズ度数:P
    bにて内周視力矯正域16のレンズ度数に接することから、移行領域24におけるレンズ度数:yの微分式:
    y′は、下式のように表される。 y′=(x−Wa)(x−Wb) それ故、係数:E1,F1を用いると、レンズ度数:y
    は、下式のように表される。 y=E1(x 3 /3−x 2 (Wa+Wb)/2+x・Wa・Wb)+F1 この式に、x=Wa,y=Paと、x=Wb,y=Pb
    をそれぞれ代入すると、下記(式1),(式2)が得られる。 Pa=E1(Wa 3 /3−Wa 2 (Wa+Wb)/2+Wa・Wa・Wb) +F1 ・・・(式1) Pb=E1(Wb 3 /3−Wb 2 (Wa+Wb)/2+Wb・Wa・Wb) +F1 ・・・(式2) よって、(式1)から(式2)を減算してF1を削除し、E1を求めると、 E1=(Pa−Pb)/((Wa 3 −Wb 3 )/3−
    (Wa 2 −Wb 2 )(Wa+Wb)/2+(Wa−W
    b)Wa・Wb) F1=Pa−E1(Wa 3 /3−Wa 2 (Wa+Wb)
    /2+Wa・Wa・Wb) が得られる。

    【0035】なお、かかる移行領域24におけるレンズ度数:yは、上記の3次式に代えて、下記の如き4次式で表されるように設定することも出来る。 即ち、移行領域24におけるレンズ度数の変化率:Aを4次式で表すと、例えば下式のようになる。 A=(Pb−Pa)/(Wb−Wa) 4従って、移行領域24において、視力矯正域12の光学中心軸:Pからの距離:xの点におけるレンズ度数:y
    は、下式のように表すことが出来る。 y=(Pb−Pa)(x−Wa) 4 /(Wb−Wa) 4
    +Pa そして、このようなレンズ度数分布を採用すれば、移行領域24における半径方向のレンズ度数の変化率を、作用部20および内周視力矯正域16の何れか一方との接点で不連続とすると共に、それらの何れか他方との接点で連続するように設定することが可能であり、移行領域24の内周側と外周側でレンズ度数の変化率を異ならせることによって、例えば作用部20や内周視力矯正域1
    6への集光性や視認性等に関する設計自由度の向上が図られ得る。

    【0036】また、上述の如き移行領域24による効果を一層有利に確保するためには、該移行領域24を、
    0.1mm〜3.0mm、好ましくは0.5mm〜2.0mmの半径方向寸法で、作用部20と内周視力矯正域16の径方向間を周方向に広がる円環形状をもって形成することが望ましい。 けだし、移行領域24を余り小さくすると、上述の如き移行領域24による効果が充分に発揮され難く、反対に移行領域24を余り大きくすると、作用部20や内周視力矯正域16および外周視力矯正域18
    の大きさを充分に確保し難くなるからである。

    【0037】さらに、上記図7〜9に示された実施形態においては、何れも、作用部20が、内周視力矯正域1
    6のレンズ度数:Pbと外周視力矯正域18のレンズ度数:Pcの間の一定のレンズ度数:Paをもって、半径方向に所定幅:Waで広がる構造とされていたが、かかる作用部20を、半径方向において極値となるレンズ度数をもって形成することも可能である。

    【0038】特に、作用部20を第一の中間視力矯正域14の光学中心上に一つだけ形成し、該作用部20と内周視力矯正域16の間に移行領域24を形成する場合には、図10〜11に示されているように、かかる作用部20を、光学中心軸:P上に極値としてのレンズ度数:
    Paをもって形成し、実質的に、第一の中間視力矯正域14の全体を、光学中心軸:Pから内周視力矯正域16
    に向かって次第にレンズ度数がPaからPbまで変化する移行領域24として形成することも可能である。 このような第一の中間視力矯正域14のレンズ度数の設定によれば、中間距離の広い範囲に亘って、視認性を全体として良好に確保することが可能となる。

    【0039】更に、かくの如く、作用部20のレンズ度数:Paを、光学中心軸:P上に極値として付与する場合には、該作用部20のレンズ度数:Paを、外周視力矯正域18のレンズ度数:Pcと同じに設定することも可能である。 それによって、内周視力矯正域16と外周視力矯正域18がそれぞれチューニングされた遠方観察点と近方観察点の間の中間距離の全体に亘って、良好な視認性を確保することが可能となる。

    【0040】なお、本発明において、極値とは、極大値または極小値をいい、レンズ径方向における微小領域の中間に位置して極大または極小となる値をいう。 例えば、半径方向に連続的に変化するレンズ度数が、半径方向位置の関数として表される場合に、微分可能な範囲では、微分係数が0になる点が極値であり、微分係数の存在しない部分では、その前後の領域で関数が何れも減少または増大する点が極値となる。 なお、例えば図10〜
    11に示されているように、増大乃至は減少の何れか一方向に連続的に漸次変化したレンズ度数が、その不連続となる終端で最大値乃至は最小値をとる場合における当該最大値および最小値も、本発明にいう極値に含むものとする。

    【0041】また、第一の中間視力矯正域14における作用部20は、好ましくは、上述の如く、一定値のレンズ度数をもって半径方向に所定幅で広がる円形状や、極値で与えられたレンズ度数を有する点形状として、第一の中間視力矯正域14の光学中心に形成され得るが、その場合には、かかる作用部20の半径方向寸法を、0〜
    3mmに設定することが望ましい。 けだし、半径寸法が3
    mmより大きくなると、内周視力矯正域16や外周視力矯正域18の大きさを充分に確保できないおそれがあるからである。

    【0042】以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
    かかる実施形態における具体的記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。

    【0043】例えば、本発明は、レンズの用途や材質等に係わらず、各種の眼用レンズに適用可能であることが理解されるべきである。 より具体的には、コンタクトレンズにおいても、ハードタイプとソフトタイプの何れにも適用可能であり、またハードタイプにおいても、PM
    MA等の非ガス透過性のものとガス透過性のもの(RG
    P)の何れにも適用され得、ソフトタイプとしても含性と非含水性の何れにも適用され得る。 更に、眼内レンズ等にも適用可能であることは、言うまでもない。

    【0044】また、本発明に従う構造とされた眼用レンズの製造方法は、何等、限定されるものでない。 具体的には、例えば、レンズブランクから切削加工によって、
    目的とするレンズを削り出し、レンズ内外面を何れも切削形成する方法や、目的とするレンズ内外面を与える成形面を備えた成形型を用いて目的とする形状のレンズをモールド成形する方法、或いは一方のレンズ面だけをモールド成形し、他方のレンズ面を切削形成する方法、更には、モールド成形によって概略的なレンズ面形状を与えた後に、表層部分を切削加工することにより、最終的なレンズ面形状を得る方法等が、何れも、有利に採用され得る。 特に、切削加工によれば、高精度なレンズ面形状を安定して得ることが出来、モールド成形によれば、
    良好なるレンズ生産能率を得ることが出来るのであり、
    それら切削加工とモールド成形を組み合わせることによって、精度と生産能率の両立化を図ることも可能となる。

    【0045】さらに、上述の説明では、同時視型のコンタクトレンズについて説明したが、本発明に従う構造とされた多焦点型眼用レンズは、各視力矯正域の光学中心軸とレンズ外形に対する幾何中心軸とのずれ量の大きさや、各視力矯正域の大きさ等を適当に設定することによって、視軸移動型の眼用レンズにも、有利に適用され得る。 具体的には、例えば、視力矯正域の中央部分に第一の中間視力矯正域を形成する一方、該第一の中間視力矯正域の外周部分をそれぞれ略半周に亘って囲むように、
    遠用視力矯正域と近用視力矯正域を、それぞれ略半円環形状をもって形成し、プリズムバラスト機構等の回転防止手段を採用することにより、第一の中間視力矯正域を挟んで、該第一の中間視力矯正域を通る装用時における水平線に対して、近用視力矯正域が鉛直下方に位置し、
    遠用視力矯正域が鉛直上方に位置するように設定すること等により、視軸移動型の眼用レンズが構成され得る。
    このような眼用レンズにおいては、装用者が読書等に際して視線を下方に移すと、瞳孔上の広い部分が近用視力矯正域と第一の中間視力矯正域で覆われることとなり、
    近点および中間点の視認明瞭性が確保され得る。 一方、
    装用者が車の運転等に際して視線を中央から上方に移すと、瞳孔上の広い部分が遠用視力矯正域と第一の中間視力矯正域で覆われることとなり、遠点および中間点の視認明瞭性が確保されるのである。

    【0046】また、前記実施形態では、第一の中間視力矯正域14の外周部分において、内周視力矯正域16と外周視力矯正域18が各一つずつ形成されていたが、それら内周視力矯正域16や外周視力矯正域18を、例えばそれぞれ所定幅の円環形状をもって半径方向で交互に位置するように、同心的に複数形成しても良い。

    【0047】更にまた、前記実施形態では、第一の中間視力矯正域14において作用部20が一つだけ形成されていたが、かかる作用部20を、複数設けることも可能である。 具体的には、例えば、図12に半径方向の度数分布曲線が示されているように、示されているように、
    内周視力矯正域16と外周視力矯正域18を、第一の中間視力矯正域14の外周側に位置して同心円形状に形成する一方、第一の中間視力矯正域14における作用部として、相互に異なるレンズ度数:Pa1,Pa2を有する第一の作用部と第二の作用部を少なくとも一組形成することが可能であり、その場合には、特に、内周側に位置せしめた第一の作用部のレンズ度数:Pa1を、外周側に位置せしめた第二の作用部のレンズ度数:Pa2よりも、内周視力矯正域16に近いレンズ度数に設定することが望ましい。 このように複数の作用部を形成すれば、中間距離点において、各作用部のレンズ度数に対応した複数の距離点での視認性を、何れも有利に確保することが可能となるのである。 より好適には、第一の作用部のレンズ度数:Pa1が、外周視力矯正域18のレンズ度数:Pcよりも内周視力矯正域16のレンズ度数:
    Pbに近く設定される一方、第二の作用部のレンズ度数:Pa2を、内周視力矯正域16のレンズ度数:Pb
    よりも外周視力矯正域18のレンズ度数:Pcに近く設定される。

    【0048】なお、本発明では、作用部を単数設定する場合と、複数設定する場合の何れにおいても、かかる作用部におけるレンズ度数は、何れも、遠用レンズ度数と近用レンズ度数の間のレンズ度数に設定される。 また、
    第二の中間視力矯正域22を設ける場合には、第一の中間視力矯正域14と同様、その全体に亘って、遠用レンズ度数と近用レンズ度数の間の範囲からはみ出さないように、レンズ度数が設定される。 それによって、ゴーストの発生を抑えつつ、中間距離点での視認性を有利に確保することが可能となるのである。

    【0049】また、前記実施形態では、第二の中間視力矯正域22が、内周視力矯正域16のレンズ度数から外周視力矯正域18のレンズ度数まで連続的に変化するレンズ度数をもって形成されていたが、かかる第二の中間視力矯正域22においても、第一の中間視力矯正域14
    と同様、極値や所定領域の一定値からなるレンズ度数を備えた作用部を、単一若しくは複数形成することも可能である。

    【0050】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
    当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
    何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
    言うまでもない。

    【0051】

    【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた多焦点型眼用レンズにおいては、遠用視力矯正域と近用視力矯正域の間のレンズ度数が、それら遠用視力矯正域に設定されたレンズ度数と近用視力矯正域に設定されたレンズ度数の間からはみ出すことなく、設定された第一の中間視力矯正域を、視力矯正域の中央部分に位置せしめたことにより、ゴースト等の発生を抑えつつ、第一の中間視力矯正域の光学特性に基づいて発揮される中距離点における視認性の向上等の効果が、安定して発揮されるのであり、例えば、レンズの装用時の位置ずれ等に起因する視認性の低下も有利に軽減乃至は回避され得るのである。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の実施形態としてのコンタクトレンズの一例を示す正面説明図である。

    【図2】本発明の別の実施形態としてのコンタクトレンズの一例を示す正面説明図である。

    【図3】本発明の更に別の実施形態としてのコンタクトレンズの一例を示す正面説明図である。

    【図4】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【図5】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の別の具体的な設定例を説明するためのグラフである。

    【図6】本発明の更に別の実施形態としてのコンタクトレンズの一例を示す正面説明図である。

    【図7】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の更に別の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【図8】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の更に別の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【図9】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の更に別の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【図10】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の更に別の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【図11】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の更に別の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【図12】本発明に従う構造とされたコンタクトレンズにおけるレンズ度数分布の更に別の具体的な一設定例を説明するためのグラフである。

    【符号の説明】

    10 コンタクトレンズ 12 視力矯正域 14 第一の中間視力矯正域 16 内周視力矯正域 18 外周視力矯正域 20 作用部 22 第二の中間視力矯正域 24 移行領域

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮村 一哉 愛知県春日井市高森台五丁目1番地10 株 式会社メニコン総合研究所内 Fターム(参考) 2H006 BC03 BC07 4C097 AA24 AA25 SA02 SA10

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