【発明の詳細な説明】 【0001】本発明は、眼鏡のためのばねヒンジであって、ケーシングと、少なくとも部分的にケーシング内部で摺動可能に配置されているヒンジ部材と、ケーシング内に配置されている鎖錠部材と、一方ではヒンジ部材に支持され、他方では鎖錠部材に支持されているばねと、 2つのストップ部材を有するストッパ装置とを具備している形式のものに関する。 【0002】眼鏡のためのばねヒンジは従来より知られている。 これらのばねヒンジはケーシングを有しており、その中にヒンジ部材がばねの力に抗して摺動可能に配置されている。 上にケーシングを載せている眼鏡のつるを、開いた位置からさらに外方に旋回させると、ばねが圧縮される。 この場合、ばねがブロックされるという問題がしばしば生じる。 これは、ばねが最小ばね長さに達し、それ以上圧縮できないことを意味している。 しかし、このことはばね特性に否定的な影響を持っている。 最悪の場合には、それによってばねが破壊されることがある。 【0003】この問題を解決するために、従来技術において、ばねがその最小長さに押し付けられるのを防ぐ働きをするストップ部材を設けた。 たとえばDE9114 917U1により、外部、すなわちばねヒンジケーシングの外に設けられたストッパ装置が知られている。 ストッパ装置は、つぼ金の範囲に設けられた第1のストップ部材と、ヒンジを介して眼鏡のつると結合された中央部材によって形成された第2のストップ部材とを有している。 これにより、ストッパ装置の機能は主として、眼鏡のつると結合されたヒンジ部材が中央部材に取り付けられている仕方に依存している。 これらの作業は眼鏡フレームの製造者によって行われるので、ばねヒンジの製造者は、ストッパ装置の不都合のない機能に対しては影響力を持たない。 【0004】刊行物EP0426947に基づき、ばねヒンジケーシングの内部に配置されたストッパ装置が知られている。 この場合、第1のストップ部材は、ばねのガイドの働きをするピンによって形成されており、第2 のストップ部材は、ヒンジ部材に設けられヒンジケーシングのほぼ全長にわたって延びている延長部として形成されている。 この配置構成は複雑であり、それゆえ高価である点が短所である。 【0005】本発明の課題は、簡単に製造でき、かつ廉価なストッパ装置を有するばねヒンジを提供することである。 【0006】この課題は、請求項1に記載の特徴を有するばねヒンジによって解決される。 【0007】両ストップ部材のうち一方のストップ部材がヒンジ部材に配置され、他方のストップ部材がケーシングまたは鎖錠部材に配置されていることによって、製造が簡単で、かつ廉価な、ケーシング内部に位置するストッパ装置が提供される。 この関連で、鎖錠部材とは、 ばねに対する固定した対抗支承部として理解すべきである。 この鎖錠部材はケーシングと一体的に形成する、または独立した部材としてケーシング内に挿入できる。 【0008】本発明の有利な構成において、鎖錠部材が弾性的な舌片を有しており、当該舌片がヒンジ部材に向かって曲げられていて、ヒンジ部材に設けた凹部内に突入して係合し、第2のストップ部材として第1のストップ部材と協働する。 したがって、鎖錠部材の弾性的舌片は二重機能を有している。 舌片は、一方ではその自由端でストップ部材を形成していて、当該ヒンジ部材がばね力に抗して摺動する可能性が所定の行程に制限されている。 他方で、舌片はヒンジ部材に対する紛失防止手段を形成している。 なぜならば、舌片はこのヒンジ部材に向かって曲げられていて、ヒンジ部材に設けた凹部内に突入して係合しているからである。 これにより、いったん鎖錠部材内に挿入したヒンジ部材が再び滑脱するのを防ぐ封止装置が提供される。 そうすることによって、ばねヒンジの組付けは著しく簡単になる。 なぜならば、ケーシングを閉鎖する際になんらかの構成部材が所定の位置にないということに注意を払う必要がなくなるからである。 さらに、ヒンジ部材は鎖錠部材自体にロックされるので、ばねヒンジを特に簡単に組付けることができる。 さらに、ヒンジ部材と鎖錠部材とを事前に組み立てたアセンブリとして提供できることが有利である。 この場合、ばねヒンジの組立は単に、ヒンジ部材、ばねおよび鎖錠部材で事前に組み立てられたアセンブリをケーシング内に収納もしくは挿入し、次いでケーシングを眼鏡のつると鎖錠できることによって達成される。 しかし、もちろん閉じたケーシングを使用することも可能であり、 このケーシングは単に端面に開口部を有し、この開口部を通って事前に組み立てたアセンブリを挿入する。 【0009】本発明の有利な構成において、ヒンジ部材が長手方向に延びる溝を有しており、第2のストップ部材がこの溝内に突入して係合している。 この場合、この溝の壁体が第1のストップ部材として働く。 この構成は、従来のヒンジ部材には別の理由から既に溝が設けられているので特に有利である。 これにより、本発明によるストッパ装置を提供するために、第2のストップ部材を設けるだけでよい。 【0010】発明の有利な構成において、鎖錠部材がヒンジ部材の少なくとも1つの長手方向部分を取り囲んでいて、ガイドとして働く。 【0011】発明の有利な構成において、鎖錠部材は、 ケーシング内の凹部とロックするように協働するロック部材を有している。 【0012】本発明の有利な構成において、溝が、ヒンジ部材の、ケーシングの下側に向けられた側に設けられている。 ケーシングの下側とは、眼鏡のつるに向けられている側を言う。 【0013】本発明の有利な構成において、ケーシングに突起部が設けられており、この突起部が第2のストップ部材として働き、ヒンジ部材の溝内に突入して係合する。 この実施形態は製造上の理由から、ケーシングの下側が眼鏡のつるによって形成されていると有利である。 ばねヒンジケーシング自体の下側は開いている。 【0014】発明の有利な構成において、鎖錠部材と、 第2のストップ部材として働く舌片とは一体的に形成されている。 【0015】別の有利な構成が、従属請求項に記載されている。 【0016】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。 【0017】図1Aには、眼鏡のつるを眼鏡フレームに設けた中央部材ヒンジと接続するために眼鏡に結合されているばねヒンジ1が概略的に示されている。 ばねヒンジ1は、縦長のばねヒンジケーシング3(以下単にケーシングと呼ぶ)と、ヒンジ部材5と、鎖錠部材7と、略示したばね9とを有している。 【0018】図1Aに示す実施例において、ケーシング3は断面が方形に形成されているが、断面は長手方向で変化している。 もちろん、他の断面形状も考えられる。 ケーシング3は凹部11を有している。 凹部11は必要に応じて断面が方形に、または孔として円形に形成されている。 縦長の凹部11はケーシング3の長手方向に延びていて、5つのケーシング壁体13で仕切られる。 この場合、図1Aではケーシング壁体13.1、13.2 および13.3が見えている。 他の両ケーシング壁体は、図示の面に対して平行に位置しているので見えない。 【0019】図1Aの上方に位置しているケーシング壁体13.1(上側とも呼ぶ)では、凹部11に向けられた側に凹部15が設けられている。 凹部15は、ケーシングの長手方向に対して直角に延びている少なくとも1 つの壁17を有している。 この壁17は、ケーシング3 の、凹部11の開口部19を有する長手方向端部に向けられている。 【0020】図4に詳しく示したヒンジ部材5は、第1 の長手方向部分21(つぼ金と呼ぶ)と、孔23とを有している。 この孔23はヒンジ部材5の長手方向に対して直角に延びており、ヒンジ部材5と中央部材ヒンジの別のヒンジ部材1A(図1Bおよび1C)と旋回可能に結合するねじを受容するために働く。 長手方向部分21 には、第2の長手方向部分25が接続している。 その高さHはより小さいので、長手方向部分21と長手方向部分25との間には段部27が形成される。 【0021】長手方向部分25の下側29には凹部31 が設けられている。 凹部31は長手方向で区間sにわたって延びていて、好ましくはエンボシングによって実現される。 凹部31は、第1の肩部33と第2の肩部35 とによって長手方向で制限される。 この場合、肩部35 は長手方向部分21に向けられている。 図4bに破線で略示されているように、凹部31は長手方向部分25の全幅Bにわたって延びている。 これにより、凹部31は両長手方向側37.1および37.2に向かって開いている。 しかし、凹部31が長手方向側37の一側のみに向かって開いていることも考えられる。 しかしまた、鎖錠部材7がどのようにケーシング3内に挿入されているかに応じて、長手方向部分25の下側29′に凹部3 1′(破線で示す)を形成することも可能である。 【0022】長手方向部分25には、別の長手方向部分39が接続している。 以下、これをピン41と呼ぶ。 この実施例では、ピン41は断面が丸形に形成されており、図4cに破線で示されている。 このピン41はばね9を案内する働きをし、長手方向部分25の高さより小さい直径を有する。 【0023】さらに図4cから、長手方向部分21および25の断面が方形に形成されていることが分かる。 【0024】図3に詳しく示されている鎖錠部材7は、 長手方向に延びて互いに平行に配置されている2つの側壁43および45を有している。 これらの側壁43および45は、一方の長手方向側、この実施例では上側で、 ウェブ47を介して互いに結合されている。 さらに、両側壁43、45の長手方向端部49に閉鎖部材51が設けられている。 閉鎖部材51は、両側壁43および45 の上側に設けられて、鎖錠部材7の下側Uに向かってアーチ状に延びている。 この閉鎖部材51は、いわば鎖錠部材7の長手方向閉鎖部を形成している。 図3aに明瞭に見られるように、閉鎖部材51は好ましくは円形の貫通部53を有している。 【0025】さらに、閉鎖部材51はばねの弾性的な押さえ板55を有しており、この押さえ板55は、閉鎖部材51に対向する、鎖錠部材7の長手方向側57に向かって長手方向に延びている。 さらに押さえ板55は上方に向かって、すなわち側壁43、45から離れる方向に曲げられている。 つまり図3aの表現を基準にして、押さえ板55は右下から左上に延びている。 【0026】側壁45は下側Uに向かって縁の開いた、 鎖錠部材7の長手方向に延びている凹部59を有している。 この凹部59に、同様に長手方向に延びている舌片61が備えられている。 舌片61はその長手方向側57 に向けられた端部で側壁45と結合されている。 側壁4 5と舌片61とは、好ましくは一体的に形成されている。 【0027】舌片61は自由な、すなわち側壁45と結合されていない端部63を有している。 この端部63 は、両側壁43および45によって規定される空間の内部に位置している。 【0028】図3cでは、舌片61が下方に、すなわち鎖錠部材7の中心に向かって曲げられているのが明瞭に見える。 相応の材料を選択することにより、舌片61は弾性的な特性を有するので、側壁45によって形成された平面内に押し入れることができる。 【0029】図1Aに示したばねヒンジ1を組み立てる際に、最初にヒンジ部材5がその長手方向部分39で、 長手方向側57の方から鎖錠部材7内に挿入する。 長手方向部材25は挿入された位置で、完全に鎖錠部材7の内部に位置している。 この際にピン41が開口部53を貫通する。 このときウェブ47が長手方向部分25を上方から把持する。 【0030】次いで、ばね9がピン41上に載設され、 閉鎖部材51と、ピン41の対向する端部に設けた略示された固定装置65との間に緊定される。 固定装置65 は、たとえば載設リングまたは単にピン41の潰し部6 5′(図1Bおよび1C)である。 【0031】次に、このヒンジ部材5、鎖錠部材7およびばね9からなる構成ユニットを、ケーシング3の凹部11に挿入して、押さえ板55が凹部15内に突入して掛止し、構成ユニットをロックさせる。 【0032】図1Aに示した、ばねヒンジ5の鎖錠部材7に対する相対的な位置において、舌片61の自由な端部63は隣接の凹部31の範囲に位置している。 自由な端部63は肩部33に対して、図1にwで示されている間隔を有している。 【0033】たとえば眼鏡のつるを押し入れる際に行われるように、ヒンジ部材5を矢印Pの方向に移動させると、肩部33は自由な端部63の方向に移動する。 しかしそれによって、両肩部33および35、すなわち凹部31の範囲に位置している舌片61の長手方向部分も拡大する。 さらに移動させると、舌片61はそのばね弾性的な特性に基づき、図1Aの図示の平面に対して直角に凹部31内に突入して係合する。 ヒンジ部材5が区間w だけ矢印方向Pに移動されるとすぐに、肩部33が舌片61の自由な端部63に当接する。 この位置が図2に示されており、等しい部材は等しい参照符号で示されている。 舌片61の自由な端部63が肩部33に直接当接していることが明瞭に分かる。 これにより、凹部31内に突入している自由な端部63は、ヒンジ部材5がばね9 のばね力に抗して移動する行程を制限する。 図1Aおよび図2から、最大移動行程が区間wに相応していることが明らかである。 【0034】これにより自由な端部63を有する舌片6 1は、凹部31の肩部33によって形成された他のストップ部材と協働するストップ部材として働く。 凹部31 は従来のヒンジ部材5に既に存在しているので、既に存在している鎖錠部材7に舌片61を設けるだけで、移動行程を制限するストッパ装置を提供できる。 このために付加的な構成部材は必要ない。 【0035】図1Bには、ケーシング3の第2の実施例が示されている。 図1Aおよび図2〜図4に示したのと等しい部材、もしくは等しい作用を有する部材は、同じ参照符号を付け、図1Aに示したケーシング3に関する違いのみを詳述する。 ヒンジ部材5は、仮想水平線に対して所定の角度で延びている段部27を有している。 これにより鎖錠部材5の長手方向部分21および25(図4a)が、傾斜平面を介して互いに結合されている。 ケーシング3の端面Tもしくは上側のケーシング壁13. 1が相応に形成されている。 したがって端壁Tは段部2 7に対するストッパを形成し、ヒンジ部材5をケーシング3もしくは凹部11内に過度に引き入れられないようになっている。 【0036】上側のケーシング壁13.1には、凹部1 5内に開口している貫通部3Cが設けられている。 それゆえ、鎖錠部材7の押さえ板55は貫通部3C内に差込み可能な物体によって操作可能であり、それによって図1Bに示した押さえ板55と凹部15の壁17との掛止を解消することができる。 このようにして取外し可能な掛止装置55Bが形成される。 これにより、鎖錠部材7 をヒンジ部材5およびばね9と一緒に再びケーシング3 から取り出そうとする場合は、ばねヒンジ1を再び分解することができる。 貫通部3Cは孔として実現されることができる。 【0037】凹部15の仕切り壁17Bによって形成された壁17は、図1Bに示した実施例ではケーシング上側3Bに配置されている。 【0038】図1Bではさらに、ケーシング3が、ケーシング底部3Aを有する閉じたケーシングとして実現されていることが明らかである。 ケーシング底部3Aは、 その他のケーシング壁と一体的に実現されている。 すなわち、ケーシング3は端面のみ開いて形成されているので、ヒンジ部材5は鎖錠部材7およびばね9と一緒にケーシング3内に挿入可能である。 【0039】鎖錠部材7はそのウェブ47がケーシング内壁に支持されている。 下側支持部は隆起部Eによって形成されている。 隆起部Eは、ケーシング内部に突入し、好ましくはケーシング3の長手方向に対して横断方向に延びている2つのウェブSによって形成されている。 これにより、鎖錠部材7は、ケーシング底部3Aに対して間隔を置いて配置されている。 ウェブSは、好ましくはケーシング底部3Aもしくはケーシング3と一体的に形成されている。 【0040】図1Cには、ばねヒンジ1の別の実施例が示されている。 これが図1Bに示したばねヒンジ1と異なる点は、鎖錠部材7がその長手方向軸線を中心に18 0゜回転してケーシング3内に挿入されていることである。 これにより、押さえ板55は、ケーシング底部3A に形成されている凹部15と協働する。 この凹部15は貫通部として実現でき、その結果として押さえ板55は凹部15の壁17に支持されて掛止装置55Bが実現されている。 【0041】鎖錠部材7はケーシング3内で回転させて配置されているので、上側29′が図4aで破線で示された凹部31′を有するヒンジ部材5が使用される。 これにより、鎖錠部材7の弾性的舌片61が、上側29′ に設けられている凹部31′と協働する。 もちろん、下側29にも上側29′にも凹部31を有するヒンジ部材5を設けることも可能である。 そうすると、種々異なるケーシングおよびケーシング内に種々異なって挿入された鎖錠部材に対して1種類のヒンジ部材のみを製造すればよい。 しかし、このヒンジ部材は各々のケーシング内に、もしくは各々の鎖錠手段と協働できる。 その他の点では、他の図1A、図1Bおよび図2〜図4と同じ部材には同じ参照符号を付けている。 この限りで説明を繰り返さない。 【0042】図1Cでは、ケーシング底部3Aの下側に少なくとも1つの、場合によっては2つの、しかし特に4つの溶接突起Xが設けられている。 この場合、それぞれ2つの溶接突起Xがケーシング底部3Aの一方の端部に付属していて、図1Cでは相前後しているので、1つの溶接突起Xしか見えない。 溶接突起Xは、眼鏡のつる69(図1B)を溶接によってケーシング3と結合するために用いられる。 溶接突起Xは溶接作業で加熱されて変形できるようになり、眼鏡のつる69と固く結合する。 【0043】本発明の別の実施例が、図5および図6に示されている。 図5に示したばねヒンジ1′は、その機能性の点では既に図1で説明したばねヒンジ1と相応している。 それゆえ、同じ参照符号で示した部材の説明は省く。 さらに、見やすくするために、すべての構成部材は示されていない。 たとえば、ばねに対する対抗支承部として働く鎖錠部材がケーシング3の部分であることは見て取れない。 対抗支承部は、線66によって単に概略的に示されている凹部11を狭めることによって形成される。 【0044】この実施例においても、ヒンジ部材5は、 両肩部33および35によって長手方向で仕切られている凹部31を有している。 両肩部33、35の間の範囲では、突起部67が凹部31内に突入している。 この突起部67は、ケーシング3の下側13.3に設けられている。 この実施例は製造技術上の理由から、下側13. 3が眼鏡のつる69によって形成される場合に実現可能である。 組み立てる際は、ケーシング3とヒンジ部材5 およびばね9とからなる構成ユニットを、ケーシング3 の開いた側13.3で眼鏡のつる69に載設し、突起部67が凹部31内に突入するようにする。 【0045】ヒンジ部材5を矢印Pの方向に移動させると、wで表した突起部67と肩部33との間隔が連続的に減少する。 所望の最大移動距離が達成されると、肩部33は突起部67に当接し、矢印Pの方向にそれ以上移動するのを妨げる。 したがって第1の実施例では、両ストップ部材67および33からなるストッパ装置が提供される。 つる69に突起部67を設けるだけなので、ここでもストッパ装置の製造は非常に簡単である。 その他の構成部材は必要ない。 【0046】発明の第3の実施例が図7および図8に示されている。 図7に示したばねヒンジ1″は、その機能性の点では既に図1で説明したばねヒンジ1と相応している。それゆえ、同じ参照符号で示した部材の説明は省く。 【0047】鎖錠部材7は2つの側部部材81を有している。 これらの側部部材81は、互いに平行に配置されていて、図3に示した鎖錠部材7の両側壁43、45の機能を受け持つ。 両図7および8では、両側部部材81 のうち一方のみ見える。 第1の実施例とは異なり、両側部部材81は面状ではなく、棒状に形成されている。 両側部部材81は、長手方向部分83.1が閉鎖部材51 を形成し、これに接続する長手方向部分83.2がケーシング下側13.3に対して平行に、かつ隣接して延び、これに接続する長手方向部分83.3が開口部19 に対して平行に延び、さらに最終部分83.4がケーシング上側13.1に対して隣接して延びるように形成されている。 両側部部材81は特に、長手方向部分83. 4の範囲で図示の平面に対して直角に延びているウェブ85と、同様に図示の平面に対して直角に延びているウェブ87とを介して互いに結合されている。 もちろん、 別の結合部材を設けることもできる。 【0048】長手方向部分83.2の範囲では、鎖錠部材7、すなわち一方の、または両方の側部部材81に、 ケーシング3の下側13.3に設けた凹部15とロックするように協働する押さえ板55が設けられている。 このロックの作用は、第1の実施例の作用と等しい。 異なるのは、押さえ板55と凹部15とがケーシング下側1 3.3の範囲に設けられている点だけである。 【0049】ヒンジ部材5は、ケーシング上側13.1 に向けられた側に段部89を有している。 その段面91 はばねヒンジ1″の長手方向に対して直角に延びている。段面91は、ばねヒンジ1″の長手方向に対して同様に直角に延びたウェブ85の面93に向けられている。 ヒンジ部材5に、開口部19を基準にしてウェブ8 5の後ろで段部89が設けられている。 図7では、ウェブ85の面93と段面91との間隔がwで表されている。 【0050】ヒンジ部材5が矢印方向Pに移動されると、面83と段面91との間で限定された間隔が連続的に減少する。 ヒンジ部材5が所定の距離だけ移動されると、段面91がウェブ85の面93に当接し、それによってヒンジ部材5がさらに引き出されるのを妨げる。 この位置が図8に示されている。 段面91がウェブ85の面93に当接しているのが明瞭に見える。 【0051】鎖錠部材7は標準構成部材であるので、両ストップ部材91および93からなるこのストッパ装置を得るためには、ヒンジ部材5に段面91を設けるだけでよい。 それ以外の変更は必要ない。 それによってこの実施例でも、廉価で、かつ容易に製造できる内部ストッパが実現される。 【0052】上述したすべての実施例において留意しなければならないのは、肩部33がストップ部材63もしくは67に達したら、ばね9が完全に圧縮されないように、すなわちブロックされるように、最大移動距離を表す間隔wを選択することである。 【0053】もちろん、ヒンジ部材5の肩部33または別の面91と協働する、ストップ部材に対する別の解決手段も考えられる。 【0054】ばねヒンジ1、1′、1″のケーシング3 は、粉末射出成形法(Powder-Injection-Molding;Meta l-Injection-Molding)で作製される。 これらの方法においては、適当な金属粉末を粉末状の結合剤と混ぜる。 両方の基本物質の均一な混合に特別価値を置くことが好ましい。 【0055】金属粉末と結合剤との混合物を、適当な射出成形機において、好ましくは加熱して、輪郭がばねヒンジ1、1′、1″のケーシング3に対応している鋳型に加圧下で入れる。鋳型には、凹部11、好ましくは凹部15と貫通部3Cが作られるように配置および形成されたピンを取り付ける。もちろん、ケーシング3を作製した後に凹部15および貫通部3Cを設けることも可能である。プラスチック射出成形法と類似に進行する射出成形作業において、ケーシング3の第1パリソン、いわゆるグリーンボディーが生じる。 【0056】射出成形作業後に、第1パリソンを鋳型から取り出してピンを抜き取ると、凹部11、場合によっては凹部15と貫通部3Cが形成される。 したがって凹部11は切削法で形成する必要はなく、このことがばねヒンジの製造コストを著しく低減する。 さらに、凹部、 場合によっては貫通部は非常に寸法精度が高く、特に平滑である。 特に有利なのは、追加の加工段階または製造段階を要することなく、ばねヒンジ1の外面を円筒形に形成できることである。 そうすることによって、特に美観に優れたばねヒンジを実現できる。 【0057】ケーシングの第1パリソンは第2パリソンを作製するために加熱される。 それによって第1パリソンから結合剤が押し出される。 第2パリソンはブラウンボディーとも呼ばれる。 【0058】次の段階で、第1パリソンが焼結される。 この場合、通常の焼結炉を使用できる。 【0059】この方法段階で、完成したケーシング3が生じる。 必要に応じて、さらに表面処理を行うことができる。 しかしこれは原則として必要ではなく、このことがこの方法の大きな利点でもある。 【0060】金属粉末を自由に選択できることが特に有利である。 特にばねケーシング3を製造する場合は、チタン粉末を使用できる。 [図面の簡単な説明] 【図1】Aは、第1の実施例によるヒンジの第1の位置における概略図である。 Bは、第2の実施例によるばねヒンジの第2の位置における概略図である。 Cは、ばねヒンジの別の実施例を示す図である。 【図2】図1Aに示した実施例の第2の位置における図である。 【図3】(a)〜(d)は、鎖錠部材を種々の側面から示した図である。 【図4】ヒンジ部材を示す3つの側面図である。 【図5】第4の実施例に従うばねヒンジの第1の位置における概略図である。 【図6】図5に示した実施例の第2の位置における図である。 【図7】第5の実施例に従うばねヒンジの第1の位置における概略図である。 【図8】図7に示した実施例の第2の位置における図である。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ワグナー,ライナー ドイツ連邦共和国 ディー−75228アイ スプリンゲン,タルンシュトラーセ 22 エー (56)参考文献 特開 平7−301773(JP,A) 特開 平3−171031(JP,A) 特表 平10−507717(JP,A) 国際公開96/30800(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) G02C 5/22 |