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眼鏡レンズの製造システム、製造装置、製造方法、製造情報管理システム、製造情報管理装置、および製造情報管理方法

申请号 JP2015502858 申请日 2014-02-14 公开(公告)号 JPWO2014132812A1 公开(公告)日 2017-02-02
申请人 Hoya株式会社; Hoya株式会社; 发明人 喬弘 鈴江; 喬弘 鈴江; 洋 吉崎; 洋 吉崎;
摘要 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、前記マトリクス内の数値として被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値が存在する前記マトリクスを記憶する情報記憶部と、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記情報記憶部における前記マトリクスから選択された前記サイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、前記加工情報入手部により入手された前記加工情報に基づいて被加工レンズを加工する加工装置と、を有し、依頼側および製造側のどちらで枠入れ工程を行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズが製造される眼鏡レンズの製造システムである。
权利要求

眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、前記マトリクス内の数値として被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値が存在する前記マトリクスを記憶する情報記憶部と、 眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記情報記憶部における前記マトリクスから選択された前記サイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手された前記加工情報に基づいて被加工レンズを加工する加工装置と、 を有し、 依頼側および製造側のどちらで枠入れ工程を行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズが製造される眼鏡レンズの製造システム。前記枠入れ工程の内容は、前記依頼側情報に含まれる依頼側枠入れ情報および前記製造側情報に含まれる製造側枠入れ情報によりもたらされるものであり、 前記枠入れ工程の内容は、フレームに対する加温の有無およびその度合、ならびに、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合のうち少なくともいずれかを含む請求項1に記載の眼鏡レンズの製造システム。前記サイズ補正値はサイズ補正値Aおよびサイズ補正値Bを含み、 前記サイズ補正値Aは、少なくとも、前記トレーサーの種類および前記フレームの種類の関係性がマトリクスAに変換された際のマトリクス内の数値であり、 前記サイズ補正値Bは、少なくとも、依頼側および製造側のいずれかで枠入れ工程が行われるか、フレームに対する加温の有無およびその度合、ならびに前記フレームの種類の関係性がマトリクスBに変換された際のマトリクス内の数値である請求項2に記載の眼鏡レンズの製造システム。眼鏡レンズの発注側の環境情報と眼鏡レンズの製造側の環境情報とを含む環境情報および環境に応じたレンズの変形に関するレンズ変形情報に基づき算出された、眼鏡レンズが発注側の環境にある場合と製造側の環境にある場合との間のレンズ変形量、ならびに、前記サイズ補正値Aおよび前記サイズ補正値Bに基づき算出された加工情報に従い、発注側の環境の下でも眼鏡レンズがフレームに嵌まるように、製造側の環境の下で、前記加工装置にて眼鏡レンズが製造される請求項1〜3のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造システム。 但し、眼鏡レンズの発注側とは、眼鏡レンズを購入する顧客を指し、眼鏡レンズの製造の依頼側とは、眼鏡レンズの発注側、眼鏡レンズの発注を受けた元請が下請に対して眼鏡レンズの製造を依頼する場合の元請、または当該下請が更に別の下請に対して眼鏡レンズの製造を依頼する場合の当該下請を指す。依頼側に設置された依頼側コンピュータと、 製造側に設置された製造側コンピュータと、 前記加工情報を算出する演算部と、 を有し、 前記依頼側コンピュータには、少なくとも、依頼側で枠入れが行われるか否かおよび行われる場合にはフレームに対して加温を行うか否かおよびその度合に関する情報を含む依頼側枠入れ情報を含む前記依頼側情報を前記演算部に送信するための依頼側送信部が備えられており、 前記製造側コンピュータには、少なくとも、製造側で枠入れが行われるか否かおよび行われる場合にはフレームに対して加温を行うか否かおよびその度合に関する情報を含む製造側枠入れ情報を含む前記製造側情報を前記演算部に送信するための製造側送信部が備えられており、 前記依頼側情報、前記製造側情報、ならびに、前記依頼側枠入れ情報および前記製造側枠入れ情報に応じて前記情報記憶部から引き出された前記サイズ補正値、に基づき前記加工情報が前記演算部により算出された後に前記加工情報入手部に送信される請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡レンズの製造システム。依頼側に設置された依頼側コンピュータと、 前記加工情報を算出する演算部と、 を有し、 前記サイズ補正値は、少なくとも、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換された際のマトリクス内の数値を含み、 前記依頼側コンピュータが、前記枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類に応じた前記数値に基づいて、依頼側が製造側に対して眼鏡レンズの加工サイズを指示可能とする請求項1に記載の眼鏡レンズの製造システム。眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値として存在する被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値であって前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記マトリクスから選択されたサイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手された前記加工情報に基づいて被加工レンズを加工する加工装置と、 を有し、 依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズが製造される眼鏡レンズの製造装置。眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値であって被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値、に基づいて算出された加工情報に従って被加工レンズを加工し、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズの製造方法。眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、前記マトリクス内の数値として被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値が存在する前記マトリクスを記憶する情報記憶部と、 眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記情報記憶部における前記マトリクスから選択された前記サイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手される前記加工情報を製造側に送信する仲介側送信部と、 を有し、 製造側において製造された眼鏡レンズに対して依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズの製造情報管理システム。眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値として存在する被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値であって前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記マトリクスから選択されたサイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手される前記加工情報を製造側に送信する仲介側送信部と、 を有し、 製造側において製造された眼鏡レンズに対して依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズの製造情報管理装置。眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値であって被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値、に基づき算出された加工情報を製造側に送信する眼鏡レンズの製造情報管理方法。

说明书全文

本発明は、眼鏡レンズの製造システム、眼鏡レンズの製造装置、眼鏡レンズの製造方法、眼鏡レンズの製造情報管理システム、眼鏡レンズの製造情報管理装置、および眼鏡レンズの製造情報管理方法に関する。

通常、眼鏡の購入を予定している顧客が眼鏡店に出向き、所望の眼鏡を眼鏡店に注文する。そして、眼鏡店は、注文内容を眼鏡レンズ製造業者(以降、単に「製造業者」と言う。)へと伝え、製造業者に眼鏡レンズを発注する。そして、製造業者は、注文内容に基づき眼鏡レンズを製造し、眼鏡レンズを眼鏡店へと出荷する。そして、眼鏡店にて、眼鏡枠(フレーム)に眼鏡レンズを枠入れし、眼鏡を完成させる。最終的に、眼鏡店にて顧客が当該眼鏡を受け取る仕組みとなっている。なお、上記の場合では眼鏡店にて枠入れ処理を行っているが、製造業者の側で枠入れ処理を行う場合もある。

眼鏡店において、顧客は、所望のフレームを選択する。そして、眼鏡店は、眼鏡店に備え付けてあるフレーム形状測定装置(以降、単に「トレーサー」とも言う。)を操作し、フレーム形状を測定する。その結果を、顧客の処方値および注文内容とともに、製造業者へと送信する。そして、製造業者は、それらに関する情報を基に、フレームに嵌るように眼鏡レンズを加工する。以降、当該加工を「枠入れ用加工」とも言う。なお、フレームに眼鏡レンズを嵌めることを「枠入れ」と言う。

この枠入れ用加工を行うためには、高度な技術が必要になる。しかも、枠入れ用加工は難易度が高く、結局、枠入れを上手く行えなくなる場合が、度々発生する。そのため、製造業者の手により、枠入れ用加工を精緻に行い、枠入れが確実に行われることを目的とした技術が種々開発されている。

例えば、特許文献1に記載のように、依頼側に備え付けられたトレーサーに関する情報を考慮して補正された測定データに基づき、製造業者が眼鏡レンズを製造する技術が知られている。具体的に言うと、依頼側から送信される注文内容のうちフレームの種類に関する情報から、主にフレームの材質の特性(伸縮度)に起因するサイズの違いを補正する。そして、該当する補正値を眼鏡レンズの加工サイズに適応させ、眼鏡レンズを製造する。最終的に、眼鏡レンズは眼鏡店へ出荷され、眼鏡店を介して顧客に眼鏡レンズを供給する。

また、特許文献2に記載のように、トレーサーに固有の測定誤差量と、トレーサーとは別に設けられた加工装置に固有の加工誤差量とから、加工データを得るという技術も知られている。

WO2007/077848号公報

特開平4−13539号公報

特許文献1に記載の技術においては、トレーサーに関する情報やフレームの種類に応じて、測定データを補正している。それと共に、加工装置においても別途、加工装置に関する情報に基づいて、加工データを補正している。

特許文献1に記載の技術は極めて有用である一方、眼鏡レンズの製造の業態が著しく変化していることに伴い、特許文献1に記載の技術だけでは枠入れを確実なものにできなくなっている。特許文献2に記載の技術を用いて、トレーサーと加工装置の各々に応じた誤差量を用いた場合であっても、眼鏡レンズの製造の業態が著しく変化していることに伴い、枠入れ用加工を精緻に行うことができず、最終的には枠入れを確実なものにできなくなっている。以下、具体的な事例を挙げて説明する。

先程も述べたように、枠入れを行うのは眼鏡店(以降、単に「依頼側」とも言う。)または製造業者(以降、単に「製造側」とも言う。)のどちらかである。本発明者の調べにより、枠入れを行う際に、各々が千差万別な独自の手法を用いて枠入れを行っていることが明らかとなった。例えば、依頼側にて枠入れを行い且つ枠入れの際にフレームを温めている場合、枠入れの際にはフレームが伸び、枠の大きさが枠入れ処理前に比べて拡大する。そうなると、製造側が設計通りに眼鏡レンズを製造したとしても、依頼側が枠入れ処理する際には枠に比べて眼鏡レンズの外径が小さすぎるという事態が起こり得る。

なお、フレームに眼鏡レンズを枠入れしやすくするために枠入れの際にフレームを温める、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズをきつく締め付ける(後述)といった枠入れ処理に関する内容については「枠入れ工程の内容」とも言う。

上記の事態は、依頼側と製造側が1対1の関係ならば、製造側は試行錯誤や経験則を積み重ねていくことにより、特定の1つの依頼側が要望する眼鏡レンズの外径を導き出すことが可能である。しかしながら、依頼側が複数の場合、製造側は依頼側ごとに試行錯誤や経験則を積み重ねていかなければならず、負担が増大する。それに拍車をかけるがごとく、ある依頼側は独自の手法を用いて依頼側で枠入れをする一方、ある依頼側は製造側に枠入れを依頼する場合もある。そうなると、製造側の独自の枠入れの手法についても、試行錯誤や経験則の積み重ねの際に考慮する必要がある。更に、個々の顧客の要望は多様化の一途をたどっており、眼鏡レンズをフレームに通常よりもきつく嵌めるというような要望もあり、枠入れの工程の内容は多様化の一途をたどっていることが本発明者により明らかとなった。

もちろん、依頼側が複数であっても、大変煩雑ではあるが、発注の度に枠入れ工程の内容についてその都度確認することで対処可能かもしれない。しかしながら、現在、製造業はグローバル化が著しく進んでいる。そのため、依頼側または製造側が外国に存在する場合が多々ある。その場合、発注の度に枠入れ工程の内容についてその都度確認することは現実的に不可能である。

情報ネットワークの発達に伴い、いかなる状況の変化にかかわらずスピーディに製品を製造することが求められている。そのような状況下で、決まった依頼側および決まった製造側でしか枠入れ用加工および枠入れを精緻に行えないとなると、多様な顧客のニーズにスピーディに対応することができなくなり、製造側の国際競争を著しく低下させてしまう事態になりかねない。

そこで本発明は、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに提供することを、主たる目的とする。

本発明者は、上記の課題を解決するための手法について検討した。本発明者は、まず、上記の課題は、依頼側および製造側が各々独自の手法を用いて枠入れ処理を行うことにより生じていると考えた。そして、この状況を整理すべく、枠入れ処理であるところの枠入れ工程の内容とフレームの種類とをマトリクスに変換したものを予め作成し、依頼側および製造側の各々が「枠入れに際して行う行為」を「数値化」し、この数値をサイズ補正値と位置付けた上で、このサイズ補正値を、製造すべき眼鏡レンズの外径(サイズ)に反映させるという知見を得た。つまり、依頼側および製造側という現場サイドで行われている枠入れ工程の内容を数値化し、依頼側が多数存在する場合であっても、依頼側および製造側がどのような枠入れ処理を行う場合であっても、眼鏡レンズを適切な外径とするための工程を集中制御可能なシステムを想到した。

以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。 本発明の第1の態様は、 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、前記マトリクス内の数値として被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値が存在する前記マトリクスを記憶する情報記憶部と、 眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記情報記憶部における前記マトリクスから選択された前記サイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手された前記加工情報に基づいて被加工レンズを加工する加工装置と、 を有し、 依頼側および製造側のどちらで枠入れ工程を行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズが製造される眼鏡レンズの製造システムである。 第2の態様は、第1の態様に記載の態様であって、 前記枠入れ工程の内容は、前記依頼側情報に含まれる依頼側枠入れ情報および前記製造側情報に含まれる製造側枠入れ情報によりもたらされるものであり、 前記枠入れ工程の内容は、フレームに対する加温の有無およびその度合、ならびに、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合のうち少なくともいずれかを含む。 第3の態様は、第2の態様に記載の態様であって、 前記サイズ補正値はサイズ補正値Aおよびサイズ補正値Bを含み、 前記サイズ補正値Aは、少なくとも、前記トレーサーの種類および前記フレームの種類の関係性がマトリクスAに変換された際のマトリクス内の数値であり、 前記サイズ補正値Bは、少なくとも、依頼側および製造側のいずれかで枠入れ工程が行われるか、フレームに対する加温の有無およびその度合、ならびに前記フレームの種類の関係性がマトリクスBに変換された際のマトリクス内の数値である。 第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかに記載の態様であって、 眼鏡レンズの発注側の環境情報と眼鏡レンズの製造側の環境情報とを含む環境情報および環境に応じたレンズの変形に関するレンズ変形情報に基づき算出された、眼鏡レンズが発注側の環境にある場合と製造側の環境にある場合との間のレンズ変形量、ならびに、前記サイズ補正値Aおよび前記サイズ補正値Bに基づき算出された加工情報に従い、発注側の環境の下でも眼鏡レンズがフレームに嵌まるように、製造側の環境の下で、前記加工装置にて眼鏡レンズが製造される。 但し、眼鏡レンズの発注側とは、眼鏡レンズを購入する顧客を指し、眼鏡レンズの製造の依頼側とは、眼鏡レンズの発注側、眼鏡レンズの発注を受けた元請が下請に対して眼鏡レンズの製造を依頼する場合の元請、または当該下請が更に別の下請に対して眼鏡レンズの製造を依頼する場合の当該下請を指す。 第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかに記載の態様であって、 依頼側に設置された依頼側コンピュータと、 製造側に設置された製造側コンピュータと、 前記加工情報を算出する演算部と、 を有し、 前記依頼側コンピュータには、少なくとも、依頼側で枠入れが行われるか否かおよび行われる場合にはフレームに対して加温を行うか否かおよびその度合に関する情報を含む依頼側枠入れ情報を含む前記依頼側情報を前記演算部に送信するための依頼側送信部が備えられており、 前記製造側コンピュータには、少なくとも、製造側で枠入れが行われるか否かおよび行われる場合にはフレームに対して加温を行うか否かおよびその度合に関する情報を含む製造側枠入れ情報を含む前記製造側情報を前記演算部に送信するための製造側送信部が備えられており、 前記依頼側情報、前記製造側情報、ならびに、前記依頼側枠入れ情報および前記製造側枠入れ情報に応じて前記情報記憶部から引き出された前記サイズ補正値、に基づき前記加工情報が前記演算部により算出された後に前記加工情報入手部に送信される。 第6の態様は、第1の態様に記載の態様であって、 依頼側に設置された依頼側コンピュータと、 前記加工情報を算出する演算部と、 を有し、 前記サイズ補正値は、少なくとも、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換された際のマトリクス内の数値を含み、 前記依頼側コンピュータが、前記枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類に応じた前記数値に基づいて、依頼側が製造側に対して眼鏡レンズの加工サイズを指示可能とする。 第7の態様は、 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値として存在する被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値であって前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記マトリクスから選択されたサイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手された前記加工情報に基づいて被加工レンズを加工する加工装置と、 を有し、 依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズが製造される眼鏡レンズの製造装置である。 第8の態様は、 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値であって被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値、に基づいて算出された加工情報に従って被加工レンズを加工し、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズの製造方法である。 第9の態様は、 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、前記マトリクス内の数値として被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値が存在する前記マトリクスを記憶する情報記憶部と、 眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記情報記憶部における前記マトリクスから選択された前記サイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手される前記加工情報を製造側に送信する仲介側送信部と、 を有し、 製造側において製造された眼鏡レンズに対して依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズの製造情報管理システムである。 第10の態様は、 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値として存在する被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値であって前記枠入れ工程の内容および前記フレームの種類に応じて前記マトリクスから選択されたサイズ補正値、に基づき算出された加工情報を入手する加工情報入手部と、 前記加工情報入手部により入手される前記加工情報を製造側に送信する仲介側送信部と、 を有し、 製造側において製造された眼鏡レンズに対して依頼側および製造側のどちらで枠入れを行ってもフレームに嵌る眼鏡レンズの製造情報管理装置である。 第11の態様は、 眼鏡レンズの製造を依頼する複数の依頼側および眼鏡レンズの製造側のいずれかで行われる枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレームの種類に関する情報を含むフレーム情報、およびフレームの形状の測定に用いられるトレーサーの種類に関する情報を含むトレーサー情報を含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報、ならびに、前記マトリクス内の数値であって被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値、に基づき算出された加工情報を製造側に送信する眼鏡レンズの製造情報管理方法である。

本発明によれば、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに提供することができる。

本実施形態における眼鏡レンズの製造システムの概略ブロック図である。

本実施形態におけるマトリクスAの具体例である。

本実施形態におけるマトリクスBの具体例である。

本実施形態における眼鏡レンズの製造の手順を示すフローチャートである。

実施の形態2の眼鏡レンズの製造システムに関する概略説明図である。

実施の形態3の眼鏡レンズの製造システムに関する概略説明図である。

実施の形態4の眼鏡レンズの製造情報管理システムに関する概略ブロック図である。

別の実施の形態における眼鏡レンズの製造システムの概略ブロック図である。

別の実施の形態における眼鏡レンズの製造の手順を示すフローチャートである。

別の実施の形態における眼鏡レンズの製造システムに関する概略説明図である。

別の実施の形態における眼鏡レンズの製造システムに関する概略説明図である。

別の実施の形態における眼鏡レンズの製造情報管理システムに関する概略ブロック図である。

[実施の形態1] 以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態においては、次の順序で説明を行う。 1.眼鏡レンズの製造システム 1−A)依頼側コンピュータ 1−A−a)依頼側送信部 (1)依頼側情報 (1a)眼鏡レンズ情報 (1b)処方値情報 (1c)フレーム情報 (1d)トレーサー情報 (1e)依頼側枠入れ情報 1−B)製造側コンピュータ 1−B−a)加工装置 (2)製造側情報 (2a)加工装置情報 (2b)製造側枠入れ情報 1−B−b)情報記憶部 (3)サイズ補正値 (3a)サイズ補正値A (3b)サイズ補正値B 1−B−c)演算部 1−B−d)加工情報入手部 (4)加工情報 1−C)その他 2.眼鏡レンズの製造装置 3.眼鏡レンズの製造システム用プログラム 4.眼鏡レンズの製造方法 5.実施の形態による効果 6.変形例

また、本実施形態を[実施の形態1]とし、製造側コンピュータが依頼側コンピュータから依頼を受け、製造側コンピュータに接続された加工装置によって眼鏡レンズを製造するというシンプルな場合について述べる。

[実施の形態2]では、製造側が複数存在する場合(少なくとも製造業者Xおよび製造業者Yが存在する場合)であって以下の場合について述べる。すなわち、製造業者Xにおいて、製造業者X独自の枠入れ工程の内容を加味した上で加工情報の演算を行い当該加工情報に従って眼鏡レンズの加工を行う。一方、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズに関しては製造業者Xが製造業者Yに眼鏡レンズの製造を依頼する。そして、依頼を受けた製造業者Yにおいて、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した上で加工情報の演算を行う。

[実施の形態3]では、製造側が複数(製造業者Xおよび製造業者Y)存在する場合であって以下の場合について述べる。すなわち、製造業者Xにおいて、製造業者X独自の枠入れ工程の内容を加味した上で加工情報の演算を行い当該加工情報に従って眼鏡レンズの加工を行う。一方、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズに関しては製造業者Xが製造業者Yに眼鏡レンズの製造を依頼する。ただ、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した加工情報を、製造業者Xで算出する。そして、製造業者Yは、製造業者Xから送信されるサイズ補正値(場合によっては加工情報そのもの)に従って眼鏡レンズの製造を行う。

[実施の形態4]では、眼鏡レンズを自らが製造するのではなく、他者に眼鏡レンズを製造させる場合、即ち、眼鏡レンズの製造情報の管理に焦点を当てた場合について述べる。

[実施の形態5]では、[実施の形態1〜4]に内容に追加可能な改良例として、枠入れを行う者にとっての独自の枠入れ工程の内容に加え、依頼側と製造側との環境の相違を加味した上で製造側が眼鏡レンズの製造を行う例について述べる。

[実施の形態6]では、枠入れ工程の内容ともいうべき依頼側の好みを製造側に伝えるだけではなく、依頼側の好みを反映させた加工サイズを依頼側が製造側に積極的に指示し、眼鏡レンズの外径形状を細かく指示することが可能となる例について述べる。

なお、本実施形態においては、眼鏡レンズの製造システム(具体例を挙げると、依頼側コンピュータおよび製造側コンピュータのうち少なくともいずれか)として、本発明者により発明され、本出願人により開示されたWO2007/077848号公報に記載の眼鏡レンズの供給システムを改良したものを用いた場合について述べる。本明細書においては、WO2007/077848号公報に記載の内容は全て記載されているものとする。そして、本明細書においては、本発明に重点を当てて説明する一方、特記が無い部分については、WO2007/077848号公報に記載の内容を適宜適用しても構わない。また、[実施の形態2]以降の内容において特記が無い部分については、[実施の形態1]の記載内容を適用するものとする。

<1.眼鏡レンズの製造システム> まず、本実施形態における眼鏡レンズの製造システムの機能構成について説明する。図1は、本実施形態における眼鏡レンズの製造システムの概略ブロック図である。本実施形態における眼鏡レンズの製造システムは、大きく分けて、眼鏡レンズの依頼側に設置された依頼側コンピュータ1、および、眼鏡レンズの製造側に設置された製造側コンピュータ2を有している。そして、依頼側コンピュータ1と製造側コンピュータ2との間は、通信回線3により接続されている。

1−A)依頼側コンピュータ1 依頼側コンピュータ1は、眼鏡レンズの製造に必要な加工情報の入手を依頼する側に設置されたコンピュータのことを指す。なお、「眼鏡レンズの製造の依頼側」とは、眼鏡レンズの発注側、眼鏡レンズの発注を受けた元請が下請に対して眼鏡レンズの製造を依頼する場合の元請、または当該下請が更に別の下請に対して眼鏡レンズの製造を依頼する場合の当該下請を指す。本実施形態においては、説明をわかりやすくするために「眼鏡レンズの製造の依頼側」が「眼鏡レンズの発注側」である場合について説明する。また、「眼鏡レンズの発注側」は、本実施形態においては「眼鏡店」のことを指す。

本実施形態の場合、依頼側コンピュータ1は、眼鏡店に設置されたコンピュータである。眼鏡店に、眼鏡レンズの購入を検討している者(後の眼鏡装用者であり顧客)が来る。そして、眼鏡レンズを発注するための情報を顧客から入手する。当該情報は、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレーム情報、トレーサー情報、依頼側枠入れ情報などであるが、いずれも後で説明する。

なお、依頼側コンピュータ1は、コンピュータとしての機能を有したものである。依頼側コンピュータ1は、システム内に複数存在しても構わない。本実施形態においては、依頼側コンピュータが複数存在する場合を例示する。つまり、依頼側が複数存在する場合を例示する。なお、本明細書においては、複数の依頼側コンピュータや複数の製造業者(後述)を表すとき、依頼側コンピュータX、依頼側コンピュータYというように、X、Y,Zを利用するが、コンピュータの台数や依頼側および製造側の人数に制限は無い。 また、依頼側コンピュータ1には、眼鏡レンズの製造に必要な種々の情報を管理および制御、並びに依頼側コンピュータ1に設けられた各部を管理および制御するために、制御部が存在する。ただ、この制御部の具体的な構成は、公知技術を利用して実現すればよく、ここではその詳細な説明を省略する。

1−A−a)依頼側送信部4 依頼側コンピュータ1に設けられる構成としては依頼側送信部4が挙げられる。以下、構成とともに、その構成により取り扱われる情報についても説明する。

本実施形態における依頼側送信部4は、加工情報の算出に必要となるサイズ補正値を入手すべく、フレーム情報(1c)、トレーサー情報(1d)および依頼側枠入れ情報(1e)を、情報記憶部7に送信する機能を有する。それとともに、その他、加工情報の算出に必要な依頼側情報(1)を演算部8に送信する機能を有する。 以下、各情報について説明する。

なお、本実施形態において説明する情報の種類が多いため、各情報にはカッコ書きで番号および小文字のアルファベットを付す。なお、番号が同じ場合、例えば、「眼鏡レンズ情報(1a)やフレーム情報(1c)は、依頼側情報(1)に属する」というような関連性を各情報は有している。 以降、説明の都合上、各情報における(1)、(2)・・・の記載は省略する。

(1)依頼側情報 依頼側情報としては、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレーム情報、トレーサー情報、依頼側枠入れ情報などの情報が挙げられる。以下、上記の各情報について説明する。

(1a)眼鏡レンズ情報 眼鏡レンズ情報は、フレーム情報と対になる情報であり、眼鏡レンズに関する情報である。眼鏡レンズ情報に属する情報としては、例えば、眼鏡レンズの種類(単焦点レンズ、二重焦点レンズ、累進屈折力レンズなど)、材質、レンズカーブ、レンズカラー、機能膜(調光膜,偏光膜,ハードコート膜)の有無などがある。

(1b)処方値情報 処方値情報は、顧客が装用する眼鏡レンズに必要な処方値に関する情報である。処方値情報に属する情報としては、例えば、面度数、乱視度数、乱視軸、加入度、プリズム処方などがある。

(1c)フレーム情報 フレーム情報は、眼鏡レンズの外縁と嵌め合わせる部分の形状に関する情報である。フレーム情報に属する情報としては、例えば、フレームの種類(リム付き、ハーフリムやリムレスなどのフレームタイプおよびフレームの材質)、枠形状データ、フレームサイズ、あおり、フレームカラー、フレームメーカ、モデル名などがある。フレーム情報は、例えば、眼鏡店に設置されたトレーサー5を使用することにより、入手可能である。トレーサー5は、フレームの枠形状を3次元で測定する。トレーサー5の測定結果は、フレームの枠形状データとして依頼側コンピュータ1に入力される。トレーサー5としては周知のものが使用可能である。

(1d)トレーサー情報 本実施形態においては、トレーサー5に関する情報も必要となる。トレーサー情報としては、例えばトレーサー5のメーカー、モデル(トレーサータイプ)などが挙げられる。使用するトレーサーによって異なるフレーム形状が算出されることもあり、良好な枠入れを可能とすべく、本実施形態においてはトレーサー情報も依頼側情報に含めている。 ところで、製造側がトレーサー5を有している場合も考えられるが、フレームを選択するのは依頼側であることから、依頼側により選択されるフレームに関する情報については、説明の便宜上、フレーム情報と同様、依頼側情報に分類している。ここで言う「依頼側情報」とは、依頼の内容に起因する情報という意味である。

(1e)依頼側枠入れ情報 そして、本実施形態の特徴の一つである依頼側枠入れ情報は、枠入れ処理に関する情報である。言い方を変えると、枠入れ工程の内容は、依頼側情報に含まれる依頼側枠入れ情報によってもたらされる。依頼側枠入れ情報としては、具体的には、依頼側で枠入れが行われるか否かに関する情報、眼鏡レンズをフレームに嵌め込む際にフレームを温めるか否か、また温めるのならば何度に温めるのかなどの情報、更には枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合に関する情報が挙げられる。眼鏡店や顧客によっては、フレームが眼鏡レンズを強く締め付けることを好む場合がある。本実施形態においては、このように依頼側の好みともいうべきフレームと眼鏡レンズとの大きさの差異についても、「依頼側枠入れ情報」をマトリクスに組み込むことにより、締め付け度合についても細かく数値化を行っている。

その他、眼鏡レンズの製造に必要な情報を、依頼側情報として用意してももちろん構わない。例えば、「レイアウト情報」が挙げられる。レイアウト情報に属する情報としては、例えば、瞳孔間距離(遠用瞳孔間距離、近用瞳孔間距離)、瞳孔高さ、フィッティングポイント(アイポイント)などがある。

1−B)製造側コンピュータ2 製造側コンピュータ2は、眼鏡レンズを製造する側に設置されたコンピュータのことを指す。発注側の環境の下でも眼鏡レンズがフレームに嵌まるように、製造側の環境の下で、加工装置6にて眼鏡レンズを製造するのに必要な加工情報を入手する。加工情報については、後で説明する。

なお、製造側コンピュータ2は、コンピュータとしての機能を有したものである。製造側コンピュータ2は、システム内に複数存在しても構わない。 また、製造側コンピュータ2には、眼鏡レンズの製造に必要な種々の情報を管理および制御、並びに製造側コンピュータに設けられた各部を管理および制御するために、制御部が存在する。ただ、この制御部の具体的な構成は、公知技術を利用して実現すればよく、ここではその詳細な説明を省略する。

製造側コンピュータ2に設けられる構成としては、以下の構成 ・被加工レンズを加工することにより、眼鏡レンズを実際に製造する加工装置6 ・枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性が変換されたマトリクスを記憶する情報記憶部7 ・加工情報を算出する演算部8 ・枠入れ工程の内容が加味されて算出された加工情報を入手する加工情報入手部9 が挙げられる。

1−B−a)加工装置6 加工装置6は、フレームに枠入れするために眼鏡レンズを玉型加工する加工装置6である。玉型加工の対象となる眼鏡レンズ(以下、「被加工レンズ」ともいう)は、レンズメーカが設計および製造して提供するもので、フレームの枠形状にあわせて未だ加工されていない状態のレンズである。一般的には外形が丸型のアンカットレンズなどが被加工レンズとして取り扱われる。加工装置6による玉型加工においては、荒加工や仕上げ加工が行われる。 荒加工は、最終的なレンズの仕上げ形状よりも一回り大きい形状に眼鏡レンズを加工する加工ステップである。 仕上げ加工は、最終的なレンズの仕上げ形状にあわせて眼鏡レンズを加工するもので、ヤゲン加工を含む加工ステップである。なお、ヤゲン加工とは、眼鏡レンズの外周面にヤゲン(例えば、山形状のヤゲン、V溝状のヤゲン(溝掘り)、平ヤゲンなど)を形成する加工をいう。

なお、荒加工と仕上げ加工は、工程ごとに加工ツールを変えて行ってもよいし、同じ加工ツールを用いて行ってもよい。また、荒加工と仕上げ加工は、例えば、荒加工を切削加工、仕上げ加工を研削加工で行うなど、工程ごとに加工方式を変えてもよいし、同じ加工方式を適用してもよい。また、仕上げ加工には、必要に応じて、鏡面加工を含めてもよい。鏡面加工とは、カット済みレンズのコバ面を目の細かいツールで研磨して光沢を出す加工をいう。

(2)製造側情報 (2a)加工装置情報 製造側情報としては、主に加工装置情報が挙げられる。加工装置情報は、加工装置6自体に関する情報であって、例えば、加工可否に関する情報や、加工パラメータに関する情報などが該当する。加工可否に関する情報には、例えば、加工可能な最大/最小の加工径、加工可能な最大/最小のコバ厚、加工可能なレンズ材料などが含まれる。加工パラメータには、例えば、加工ツールのツール形状、ツール径、加工対象となるヤゲン形状などが含まれる。

(2b)製造側枠入れ情報 そして、本実施形態の特徴の一つである製造側枠入れ情報は、枠入れ処理に関する情報である。言い方を変えると、枠入れ工程の内容は、製造側情報に含まれる製造側枠入れ情報によってももたらされる。製造側枠入れ情報としては、具体的には、製造側で枠入れが行われるか否かに関する情報、眼鏡レンズをフレームに嵌め込む際にフレームを温めるか否か、また温めるのならば何度に温めるのかなどの情報が挙げられる。

なお、製造側コンピュータの外部(例えばサーバ)に演算部が設けられている場合は、演算部に上記の情報を送信するための製造側送信部を別途設けても構わない。ただ、本実施形態においては製造側コンピュータに演算部が設けられているため、製造側情報を演算部に送信する機能を有する製造側送信部は存在するものの記載は省略している。

1−B−b)情報記憶部7 以上の各種情報の中でも、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性についてマトリクスに変換したものを記憶する機能を有するのが、情報記憶部7である。そして、このマトリクス内の数値であって、眼鏡レンズの加工サイズを補正して良好な枠入れが行われるようにするための値が、サイズ補正値である。

本実施形態においては、2つのマトリクスを用意し、各々のマトリクスAおよびBで得られる値をサイズ補正値Aおよびサイズ補正値Bと位置付け、両者を合わせたものをサイズ補正値としている。 以下、サイズ補正値について説明する。

(3a)サイズ補正値A サイズ補正値Aは、少なくとも、トレーサーの種類およびフレームの種類の関係性がマトリクスAに変換された際のマトリクス内の数値である。図2は、マトリクスAの具体例である。

図2のマトリクスAにおいては、フレームの種類に関しては、列ごとに分けている。詳しく言うと、リムの有無に関するフレームタイプで大きく分けつつ、そこからフレームの材質で細分化している。

一方、依頼側の種類およびトレーサーの種類に関しては、行ごとに分けている。本実施形態においては、フレームが眼鏡レンズを締め付ける度合についてはマトリクス内の数値に既に反映されている。そのため、依頼側の種類から実際の依頼側を選択すれば、自ずと、当該依頼側の締め付け度合の好みを反映したサイズ補正値Aが得られる仕組みとなっている。

なお、図2のマトリクス内の数値はレンズ径(半径)に対する補正値であり、単位は(1/100)mmとしているが、もちろんそうでなくとも構わない。 例えば、フレームタイプにおいてフレームが存在し、且つ、フレームの材質が02であり、トレーサータイプにはT1を用い、且つ、依頼側が03という者である場合、サイズ補正値Aは0.05mmとなる。

(3b)サイズ補正値B サイズ補正値Bは、少なくとも、依頼側および製造側のいずれかで枠入れ工程が行われるか、フレームに対する加温の有無およびその度合、ならびにフレームの種類の関係性がマトリクスBに変換された際のマトリクス内の数値である。図3は、マトリクスBの具体例である。

図3のマトリクスBにおいては、フレームの種類に関しては、マトリクスAと同様に列ごとに分けており、リムの有無に関するフレームタイプで大きく分けつつ、そこからフレームの材質で細分化している。なお、マトリクスAと同様に、マトリクスB内のサイズ補正値Bの単位も(1/100)mmとしているが、もちろんそうでなくとも構わない。

一方、製造側で枠入れが行われるか否か、枠入れが行われる場合にはフレームに対して加温を行うか否かに関しては、行ごとに分けている。本実施形態においては、フレームに対する加温の度合についてはマトリクス内の数値に既に反映されている。そのため、製造側で枠入れが行われるか否か、およびフレームに対して加温を行うか否かを選択すれば、自ずと、フレームの加温の度合を反映したサイズ補正値Bが得られる仕組みとなっている。この加温の度合は、依頼側または製造側から予め知得した温度数値であるのが好ましいが、フレームの材質に対応した膨張率が知得されていれば、フレームの加温の度合(加温温度)に応じてフレーム変形量を算出し、フレーム変形量をサイズ補正値Bに反映させる処理を行っても構わない。

例えば、図3に示すように、依頼側(眼鏡店)が03という者であり、且つ、フレームタイプにおいてフルリムタイプであり、且つ、フレームの材質が02であり、且つ、依頼側で枠入れを行い、フレームに対する加温を行う場合、サイズ補正値Bは0.10mmとなる。

以上の結果、サイズ補正値Aは0.05mm、そしてサイズ補正値Bは0.10mmとなったことから、サイズ補正値は合計値である0.15mmとなる。本実施形態では単にサイズ補正値AおよびBを足し合わせたが、眼鏡レンズの製造工程の内容に応じて、いずれかのサイズ補正値に重みを付けて最終的にサイズ補正値を入手しても構わない。

なお、マトリクス内の数値の決定方法としては、枠入れ工程において行われる具体的な行為およびトレーサーの具体的な種類に応じた数値化が挙げられる。一例を挙げると、加温する場合は+0.05mm、通常よりもきつく締め付けるという好みが存在する場合は+0.05mm、H2のトレーサーを使用する場合は−0.05mm、と設定し、フレームの種類に応じて各数値を増減させるという手法を用いても構わない。また、製造側におけるシステム管理者が、マトリクス内の数値を決定しても構わない。なお、管理者が暫定的にマトリクス内の数値を決定したけれども、当該数値が枠入れに適さないものであったとしても、依頼側コンピュータまたは製造側コンピュータ(即ち、枠入れする者)からの報告からフィードバックを受け、マトリクス内の数値を修正しても構わない。

以下、マトリクス内の数値の決定手法の一例について述べる。もちろん、本発明においては、マトリクス内の数値の決定手法は以下に限定されない。

下準備として、以下の3つの工程を行う。 まず、トレーサーに対してキャリブレーションを行う。つまり、直径50mmの形状のフレームを測定したときには、直径50mmの眼鏡レンズの形状データが得られるように較正を行う。 また、加工装置についても調整を行う。つまり、被加工レンズに対し、所望の玉型形状を有する直径50mmの眼鏡レンズとなるような加工を行った際に、眼鏡レンズのヤゲンの頂点を基準に測定したときに直径50mmの眼鏡レンズとなるように、ツール径の値を変更する。 そして、周長測定装置に対してもキャリブレーションを行う。つまり、ヤゲンの頂点を基準に測定したときに直径50mmとなるサンプルを測定したときに、周長が直径50mmに相当する長さとなるように較正を行う。なお、この周長測定装置は、理想となる周長から現実に製造された眼鏡レンズの周長が大きく外れているか否かを確認するために用いられる。大きく外れた場合、当該眼鏡レンズは再加工または廃棄される。ここでは、周長測定装置は、事前の眼鏡レンズの良否を判定するためにも使用される。

以上の下準備を行った後、フレームの種類に応じて、被加工レンズを加工する。そして、フレームの種類に応じ、最適な枠入れが可能となるサイズ補正値Aを決定する。このとき、プラスチックフレームの場合はフレームを温めるか否かでもサイズ補正値Aが変化する。そのため、フレームを温めない場合およびフレームを温める場合の両方について、最適な枠入れが可能となるサイズ補正値A1、A2を各々決定しても構わないし、フレームを温める場合については、フレームを温めない場合のサイズ補正値A1とフレームを温める場合のサイズ補正値A2の差分を、サイズ補正値Bとして使用しても構わない。 なお、サイズ補正値Aの作成の基となった「最適な枠入れ」は、ひとまずは製造側にとって最適と考えられる枠入れで構わない。仮に、依頼側にとって最適な枠入れが可能となる眼鏡レンズを依頼側が要望する場合は、サイズ補正値Bを有するマトリクスBにおいて、依頼側の好みを反映したサイズ補正値Bを決定しておけばよい。

1−B−d)演算部8 本実施形態における演算部8は、加工情報(4)を算出する機能を有する。なお、加工情報は、依頼側情報(1)、製造側情報(2)、情報記憶部7から送信されるサイズ補正値(3)に基づき算出される。

ここで算出される加工情報は、初めに枠入れ工程の内容以外の要因を加味して眼鏡レンズの加工予定形状を算出する「第1の演算」、および、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性を第1の演算結果に加味する「第2の演算」を行うことにより算出される。以下、第1の演算および第2の演算について説明する。

(第1の演算) まず、枠入れ工程の内容以外の要因を加味して眼鏡レンズの加工予定形状となる加工基礎情報を算出する。この加工基礎情報の算出は、公知の方法を用いても構わない。また、公知のパラメータを用いても構わない。加工基礎情報の例としては、眼鏡レンズ情報と処方値情報とフレーム情報とトレーサー情報とを含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報が挙げられる。 なお、発注側が製造側に対して加工基礎情報を送信する際には、通常、発注側が入手可能な加工基礎情報が送信される。そして、製造側において、送信された加工基礎情報(依頼側)と、製造側が有する加工基礎情報(製造側)と組み合わせることにより、全ての加工基礎情報が揃う。以降、「加工基礎情報を送信する」という表現を行う場合があるとしても、この表現は、全ての加工基礎情報を送信するとは限らず、送信する側が有する範囲の加工基礎情報を適宜送信することを意味する。

(第2の演算) 第2の演算においては、先に述べたように、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性に基づき、サイズ補正値を演算部8で算出する。そしてサイズ補正値を、加工基礎情報に加味する。

なお、その際、少なくともフレーム情報(1c)および依頼側枠入れ情報(1e)ならびに製造側枠入れ情報(2b)を演算部8が受信しておく。

フレームの種類を含むフレーム情報を入手することにより、フレームにおける、眼鏡レンズが嵌め込まれる部分の形状のデータが得られる。別の言い方をすると、この形状は、眼鏡レンズが有すべき外形形状である。そして、加工基礎情報に対し、サイズ補正値を加味させることにより、依頼側または製造側の枠入れ工程の内容の好みに合わせてレンズ外形形状を変化させる。例えば、製造側がフレームを加温して枠入れを行う場合、フレームの枠の大きさが拡大する。そのため、製造側は、予定よりも眼鏡レンズの外形形状を大きく設定した上で算出された「加工情報」に従い、眼鏡レンズを製造することになる。

こうして、依頼側情報、製造側情報、ならびに、情報記憶部7から送信されるサイズ補正値に基づき、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性が加味された加工情報が演算部8により算出される。その後、加工情報入手部9に加工情報が送信される。

1−B−e)加工情報入手部9 (4)加工情報 本実施形態における加工情報入手部9は、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性が加味されて算出された加工情報を入手する機能を有する。

加工情報入手部9としては、上記の手法で演算された加工情報を入手可能な構成であれば任意のもので構わない。例えば、加工情報を記録する記録部であっても構わないし、眼鏡レンズの加工装置6に加工情報を送信する構成を有していても構わない。

1−C)その他 もちろん、上記の各部以外の構成を、本実施形態における加工情報入手システムに設けても構わない。例えば、既に述べたが各種の情報を記録する記録部やサーバ、通信回線3等を別途設けても構わない。また、上記の各部において「〜入手部」と名付けられた部分は、記録部を有していても構わない。

なお、列挙した各情報は、依頼側コンピュータ1に設けられた記録部に記録しておいた情報でも構わない。顧客が、以前も同種の眼鏡レンズを製造したことがある場合、記録部に記録しておいた情報を演算部8に送信されるような構成を採用しても構わない。

<2.眼鏡レンズの製造装置> 上記の実施形態においては、加工情報を入手するために、依頼側コンピュータ1と製造側コンピュータ2とで役割を分担させた場合について述べた。その一方、本発明の特徴の一つは、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性を加工情報の算出の基とした上で、加工情報を入手することにある。そのため、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性が変換されたマトリクスに基づいて算出された加工情報を入手し、加工情報に基づいて眼鏡レンズを製造する装置にも、本発明が反映されており、大きな技術的特徴を有している。

ここで言う眼鏡レンズの製造装置は、少なくとも加工情報入手部9を有していればよい。もちろん、加工情報入手部9以外の各部が適宜設けられていても構わない。更に言うと、当該各部のうち、依頼側送信部4以外の全てを備えたものが好ましい。こうすることにより、製造側において加工情報を入手することが可能となり、製造側は加工情報に従って眼鏡レンズを製造することが可能になる。

なお、眼鏡レンズの製造装置の好ましい形態は、眼鏡レンズの製造システムを構成する各部における好ましい形態で述べた通りである。眼鏡レンズの製造システムにおいて好ましいとされた各部を備えたものが、眼鏡レンズの製造装置の好ましい形態となる。

<3.眼鏡レンズの製造システム用プログラム> 更に言うと、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性を加工情報の算出の基とした上で、加工情報を入手する加工情報入手部9として、コンピュータを機能させる眼鏡レンズの製造システム用プログラムにも、本発明が反映されており、大きな技術的特徴を有している。もちろん、当該プログラムが格納された記録媒体にも、本発明が反映されており、大きな技術的特徴を有している。

ここで言う「眼鏡レンズの製造システム用プログラム」は、各コンピュータにインストールされ、制御部からの指令のもと、少なくとも加工情報入手部9としてコンピュータを機能させられればよい。もちろん、加工情報入手部9以外の各部としてコンピュータを適宜機能させても構わない。更に言うと、加工情報入手部9を含め、それ以外の各部としても、コンピュータを機能させるのが好ましい。

なお、眼鏡レンズの製造システム用プログラムの好ましい形態は、眼鏡レンズの製造システムを構成する各部における好ましい形態で述べた通りである。眼鏡レンズの製造システムにおいて好ましいとされた各部を備えたものが、当該プログラムの好ましい形態となる。

<4.眼鏡レンズの製造方法> 以下、眼鏡レンズの製造の具体的な手順について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における眼鏡レンズの製造の手順を示すフローチャートである。

(S11 依頼側情報の送信ステップ) まず、第1の演算を製造側コンピュータ2の演算部8にて行うために、演算部8へと諸々の情報を集約させる。 依頼側コンピュータ1からは、依頼側送信部4によって、眼鏡レンズ情報、処方値情報、フレーム情報、トレーサー情報および依頼側枠入れ情報を含む依頼側情報を演算部8に送信する。

(S12 製造側情報の送信ステップ) 製造側コンピュータ2においては、製造側コンピュータ2に接続されている加工装置6から加工装置情報および製造側枠入れ情報を含む製造側情報を演算部8に送信する。

(S2 サイズ補正値入手ステップ) その一方、サイズ補正値を入手すべく、依頼側コンピュータ1の依頼側送信部4から、フレーム情報、トレーサー情報および依頼側枠入れ情報を情報記憶部7へと送信する。情報記憶部7は、マトリクスに基づいてサイズ補正値を入手する。

(S31 第1の演算ステップ) その後、演算部8にて、第1の演算が行われる。すなわち、加工基礎情報が演算される。

(S32 第2の演算ステップ) そして、演算部8にて、第2の演算が行われる。すなわち、加工基礎情報に対し、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性により得られるサイズ補正値であって、サイズ補正値AおよびBを足し合わせたものであるサイズ補正値による補正が行われる。

(S4 加工情報入手ステップ) 以上の第1の演算、および第2の演算により、加工情報が算出される。そして、当該加工情報は、加工情報入手部9に記録される。

(S5 加工ステップ) その後、加工情報は、加工情報入手部9により加工装置6へと送信される。そして、加工情報に従い、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズが加工装置6によって製造される。

<5.実施の形態による効果> 本実施形態においては、枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性を、眼鏡レンズの製造の基となる加工情報に加味しておくことにより、以下の効果を奏する。

まず、発注側において枠入れを行う場合には発注側独自の枠入れ工程の内容を加味した加工情報が算出され、製造側において枠入れを行う場合には製造側独自の枠入れ工程の内容を加味した加工情報が算出される。そのため、枠入れを行うのが依頼側であれ製造側であれ、枠入れを精緻に行うことが可能な眼鏡レンズを提供することができる。そして、個々の顧客の要望に応じたり、個々のトレーサー5に応じたりした上で、当該眼鏡レンズの提供が可能となる。このことは、依頼側と製造側が1対1の関係で経験則を積み重ねるというような労力をかける必要がなくなり、製造側の負担が著しく軽減することを意味する。言い換えると、依頼側または製造側の好みが枠入れの際にどのように反映されようとも、枠入れが良好に行うことが可能な眼鏡レンズを供給することが可能となるシステムを構築可能であることを意味する。

本実施形態のシステムにより、発注の度に枠入れ工程の内容についてその都度確認する必要が無くなり、しかも、個々の顧客の要望は多様化にも対応することが可能となる。つまり、決まった発注側および決まった製造側という対応関係でしか枠入れ用加工および枠入れを精緻に行えないという状況を改善することができる。その結果、多様な顧客のニーズにスピーディに対応することが可能となり、製造側の国際競争力を向上させることが可能となる。

更に、本実施形態のシステムならば、依頼側コンピュータ1および製造側コンピュータ2が複数である場合であっても、従来とは異なり、各々のコンピュータに合わせて良好な枠入れが可能な眼鏡レンズを製造することができる。このメリットは、グローバル化が進んでいる現状において非常に大きなものである。

以上、本実施形態によれば、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに提供するシステム等を提供することができる。

<6.変形例> 本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。

(各部構成の設置場所) 上記の実施形態では、依頼側コンピュータ1および製造側コンピュータ2のいずれかに、上記の各部構成が設置されている場合について述べた。その一方、上記の各部構成は、必ずしも依頼側コンピュータ1および製造側コンピュータ2のいずれかに存在しなくても構わない。例えば、演算部8を別のコンピュータまたはサーバに設置しておき、依頼側情報、製造側情報およびサイズ補正値を演算部8に送信し、コンピュータまたはサーバ上で加工情報を演算しても構わない。そして、当該加工情報を、製造側コンピュータ2に設置された加工情報入手部9に送信するような構成を採用しても構わない。

ただ、加工情報は、実際の加工に際し、最終的に取得すべき情報であることから、製造側コンピュータ2に加工情報入手部9が存在するのが好ましい。また、依頼側送信部4についても、その名の通り、依頼側情報を演算部8などに送信する関係上、依頼側コンピュータ1に存在するのが好ましい。

(サイズ補正値) 上記の実施形態においては、サイズ補正値Aを決定するマトリクスの構成要素として「依頼側の種類」「トレーサーの種類」「フレームの種類」を採用する場合を挙げた。そして、サイズ補正値Bを決定するマトリクスの構成用として「枠入れが行われるのは依頼側か製造側か」「フレームに対する加温が行われるか否か」「フレームの種類」を採用する場合について挙げた。

その一方、本発明は、枠入れ工程の内容が数値化され、その数値が枠入れの際の眼鏡レンズのサイズに反映されていればよい。そのため、サイズ補正値AおよびBを決定するためのマトリクスを構成する要素については、各マトリクスのいずれかに最低限「枠入れ工程の内容」および「フレームの種類」の関係性が反映されていれば、任意の組み合わせで構わない。そもそも、マトリクスを1つのみ設けても構わないし、3つ以上のマトリクスを設けても構わない。更に、サイズ補正値AおよびBではなく1つのサイズ補正値を入手しても構わない。

なお、上記の実施形態においては、サイズ補正値Aを「依頼側に関連する情報」、サイズ補正値Bを「製造側が関連する情報」というように役割を分担している。 その一方、サイズ補正値Aを、「トレーサーの種類」および「フレームの種類」の関係性のマトリクス、すなわち「枠入れ工程とは関係ない内容」と「フレームの種類」との間の関係性を表すマトリクスから入手するようにしても構わない。 それと同時に、サイズ補正値Bを、「依頼側の種類」「枠入れが行われるのは依頼側か製造側か」「フレームに対する加温が行われるか否か」「フレームの種類」の関係性のマトリクス、すなわち「枠入れ工程に関係ある内容」であって「好みや独自手法に関係する内容」と「フレームの種類」との間の関係性を表すマトリクスから入手するようにしても構わない。 こうすることにより、仮に、枠入れする者が行う枠入れ工程の内容が変更したとしても、サイズ補正値Bに関するマトリクスBのみを修正すれば済む。そして、サイズ補正値Aは修正の必要がなくなる。つまり、枠入れ工程の内容が変更したとしても、全てのマトリクス内の数値を変更する必要がなくなるし、サイズ補正値Aは依頼側が管理し、サイズ補正値Bは枠入れを実際に行う者が管理するという分業も可能となり、眼鏡レンズの生産効率の向上も期待できる。

(演算部8) 上記の実施形態においては、第1の演算および第2の演算を、製造側コンピュータ2における演算部8にて行った。その一方、依頼側コンピュータ1に演算部8を設け、且つ、製造側情報を入手自在な構成(例えば製造側情報受信部、但し不図示)を設け、依頼側コンピュータ1の演算部8において第1の演算および第2の演算を行っても構わない。また、依頼側コンピュータ1における演算部8にて第1の演算を行い、製造側コンピュータ2における演算部8にて第2の演算を行うというように、役割分担を行っても構わない。

例えば、サイズ補正値において、サイズ補正値Aを「依頼側に関連する情報」、サイズ補正値Bを「製造側が関連する情報」というように役割を分担している場合、サイズ補正値Aは、依頼側コンピュータに設けた演算部にて算出しても構わないし、サイズ補正値Bは、製造側コンピュータに設けた演算部にて算出しても構わない。

また、第1の演算の一部は依頼側コンピュータ1で行いつつ、第1の演算のその他の部分は他の場所(製造側コンピュータ2、または、別のコンピュータやサーバに設置された演算部8)で行っても構わない。また、眼鏡レンズのサイズ補正の基となる眼鏡レンズの外形形状はフレーム情報から第1の演算で算出しておき、第2の演算にてサイズ補正値を当該眼鏡レンズの外形形状に対して加味しても構わない。

[実施の形態2] 上記の実施形態の冒頭で説明したように、本実施形態においては、製造側が複数(製造業者Xおよび製造業者Y)存在する場合であって、まずは製造業者Xで製造業者X独自の枠入れ工程の内容を加味しながら眼鏡レンズを製造し、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズについては、製造業者Yで当該眼鏡レンズを製造する。この製造の際には、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した上で、製造業者Yが加工情報βの演算を行う。

以下、本実施形態を、図5を用いて説明する。図5は、別の実施形態の眼鏡レンズの製造システムに関する概略説明図である。図5における発注側(眼鏡店)には、上記の実施形態と同様、依頼側コンピュータ1およびトレーサー5が設けられている。また、製造側には、製造側コンピュータ2および加工装置6が設けられている。なお、以降に説明する[実施の形態3]についても同様とする。

また、本実施形態においては、加工基礎情報の演算(第1の演算)の一部が発注側で行われる場合について述べる。詳しく言うと、加工基礎情報のうち、発注側で算出可能なものについては、発注側が算出する。つまり本実施形態においては、[実施の形態1]の演算部8の一部が、依頼側コンピュータ1にも設けられている。なお、以降に説明する[実施の形態3]についても同様とする。発注側から製造側に送信される加工基礎情報の一例としては、加工装置情報のように製造業者Aで算出可能な製造側情報以外の加工基礎情報が挙げられる。 以降、特記の無い限り、発注側から製造業者Aに送信される加工基礎情報は、加工装置情報を除いた加工基礎情報(依頼側)とし、製造業者Aが有する加工基礎情報(製造側)と組み合わせることにより加工基礎情報となる。また、製造業者Aから製造業者Bに送信される加工基礎情報についても、加工装置情報を除いた加工基礎情報(依頼側)とし、製造業者Bが有する加工基礎情報(製造側)と組み合わせることにより加工基礎情報となる。

まず、発注側である眼鏡店が、加工基礎情報を製造業者Xの製造側コンピュータ2へと送信する。なお、送信の際、製造業者Xが製造する眼鏡レンズ用の加工基礎情報αを算出しておくと共に、製造業者Yが製造する眼鏡レンズ用の加工基礎情報βを算出しておく。なお、各加工基礎情報を依頼側情報として各製造業者へと送信しても構わない。以降に説明する[実施の形態3]についても同様とする。

ちなみに、本実施形態において加工基礎情報αと加工基礎情報βとを区別して記載したのは、図5に記載のように、製造業者XとYが別々の形状の眼鏡レンズを製造するためである。本実施形態の依頼側情報には、製造業者Xが製造すべき眼鏡レンズの外形形状(略楕円)に関するデータが含まれているし、製造業者Yが製造すべき眼鏡レンズの外形形状(略矩形)に関するデータも含まれているものとする。もちろん、製造業者XとYが同形の眼鏡レンズを製造しようとする場合は、共通の加工基礎情報を使用することが可能である。

そして、製造業者Xの製造側コンピュータ2において、製造業者X自らが備えるマトリクスを用いてサイズ補正値を算出し、加工基礎情報αに対してサイズ補正値A1およびB1を加え、最終的に加工情報αを算出する。そして、当該加工情報αに従い、製造業者Xの加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

その一方、眼鏡レンズの形状上の理由で、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズの製造を依頼された場合、製造業者Xが別の製造業者Yに眼鏡レンズの製造を依頼することになる。依頼の際に、製造業者Xの製造側コンピュータ2から製造業者Yの製造側コンピュータ2へと、依頼側情報を送信する。そして、製造業者Yは、製造業者Y自らが備えるマトリクスを用いて製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味したサイズ補正値A2およびB2を算出し、これを加工基礎情報βに加える。そして、最終的に加工情報βを算出し、当該加工情報βに従い、製造業者Yの加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

つまり掻い摘んで言うと、以下の通りである。 製造業者Xにおいて枠入れを行う場合には、製造業者Xは、製造業者X独自の枠入れ工程の内容を加味した上で眼鏡レンズを製造する。 また、製造業者Yにおいて枠入れを行う場合には、別の製造業者Yも、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した上で眼鏡レンズを製造する。 そして、発注側において枠入れを行う場合には、製造業者XおよびYのうちどちらで眼鏡レンズを製造する場合であっても、発注側独自の枠入れ工程の内容を加味した上で眼鏡レンズを製造する。

なお、製造業者Xは、各サイズ補正値の少なくともいずれかを、製造業者Yに計算させても構わない。例えば、製造業者Yにおいて、サイズ補正値Aとして製造業者Xが算出したものを使用する一方、サイズ補正値Bは製造業者Y自身が算出するシステムを構築しても構わない。

上記の手法を採用することにより、製造業者Xが全ての眼鏡レンズを製造する必要が無くなり、眼鏡レンズの種類に応じ、良好な枠入れが可能な眼鏡レンズを製造することが可能となる。しかも、製造業者がどの地域にいても枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをスピーディに提供することができる。このメリットは、グローバル化が進む製造業にとって、極めて大きい。

なお、本実施形態において、「依頼側」が発注側(眼鏡店)である場合だと、「製造側」は製造業者Xのことを指す。もちろん、製造業者Xを介してではあるが、眼鏡店の依頼を製造業者Yが受けていることに変わりはない。一方、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズの製造を製造業者Xが依頼していることから、「依頼側」が製造業者Xと見ることもできる。その場合、「製造側」は製造業者Yのことを指す。この場合、製造業者Xは元請であり、製造業者Yは下請である。もちろん、別の製造業者Z(別の下請)に対して、製造業者Xが依頼した内容と同様の依頼を、製造業者Yが行っても構わない。

[実施の形態3] 上記の実施形態の冒頭で説明したように、本実施形態においては、製造側が複数(製造業者Xおよび製造業者Y)存在する場合であって、まずは製造業者Xで製造業者X独自の枠入れ工程の内容を加味しながら眼鏡レンズを製造し、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズについては、製造業者Yで当該眼鏡レンズを製造する。この製造の際には、製造業者Yではなく製造業者Xが、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を予め知得しておき、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した上で製造業者Yのための加工情報βの演算を行い、製造業者Yは単に当該加工情報βに従って眼鏡レンズを製造する。

以下、本実施形態を、図6を用いて説明する。図6は、別の実施形態の眼鏡レンズの製造システムに関する概略説明図である。

まず、発注側である眼鏡店が、加工基礎情報を製造業者Xの製造側コンピュータ2へと送信する。なお、送信の際、製造業者Xが製造する眼鏡レンズ用の加工基礎情報αを算出しておくと共に、製造業者Yが製造する眼鏡レンズ用の加工基礎情報βを算出しておく。

その一方、眼鏡レンズの形状上の理由で、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズの製造を依頼された場合、製造業者Xが別の製造業者Yに眼鏡レンズの製造を依頼することになる。本実施形態においては、[実施の形態2]とは異なり、依頼の際に、製造業者Xの製造側コンピュータ2から製造業者Yの製造側コンピュータ2へと、最終的な加工情報βを送信する。つまり、製造業者Xの製造側コンピュータ2において、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加工基礎情報βに加味しておく。そして、製造業者Xが製造業者Yに加工情報βを送信する。

つまり掻い摘んで言うと、製造業者Xにおいて枠入れを行う場合には、製造業者Xは、製造業者X独自の枠入れ工程の内容を加味した上で眼鏡レンズを製造する。その一方、製造業者Xは別の製造業者Yを下請として使用する。製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した加工情報βは、製造業者Xが算出し、これを製造業者Yに送信する。そして、製造業者Yは、製造業者Xの下請として眼鏡レンズを製造する。しかも、下請として眼鏡レンズを製造させるにもかかわらず、製造業者Y独自の枠入れ工程の内容を加味した上で眼鏡レンズを製造することができる。従って、製造業者Yにおける製造側コンピュータ2には、必ずしも、情報記憶部7(即ちマトリクス)および演算部8が備えられていなくともよい。

なお、上記の実施形態では、製造業者Xが製造業者Yの枠入れ工程の内容を知得する場合について述べた。その一方、そもそも発注側(眼鏡店)が枠入れを行う場合、製造業者Yがフレームに対する加温を行うことがなくなる。その結果、製造業者Xが加工情報αを演算する際に、製造業者Yの枠入れ工程を加味する必要がなる。そうなると、製造業者Xが算出したサイズ補正値を使用することが可能となり、加工基礎情報βに当該サイズ補正値を加えたものさえ製造業者Yに渡せば、製造業者Xは製造業者Yを下請として使用することが可能となる。ひいては製造業者Xと同等に枠入れが良好な眼鏡レンズを製造業者Yに製造させることが可能となる。

上記の手法を採用することにより、[実施の形態2]と同様の効果が得られる。その上、製造業者Yに対して加工情報βを算出するための手法や各種情報を公開する必要がなくなる。製造業者Yが外国に存在する場合、このメリットは、グローバル化が進む製造業にとって、極めて大きい。

なお、本実施形態において、「依頼側」が眼鏡店に該当するのか製造業者Xに該当するか、および「製造側」が何に該当するのか等々については、[実施の形態2]で述べた内容を適用しても構わない。

[実施の形態4] 上記の実施形態の冒頭で説明したように、本実施形態においては、眼鏡レンズを自らが製造するのではなく、他者に眼鏡レンズを製造させる場合、即ち、眼鏡レンズの製造情報の管理に焦点を当てた場合について述べる。

以下、本実施形態を、図7を用いて説明する。図7は、眼鏡レンズの製造情報管理システムに関する概略説明図である。

まず、発注側である依頼者(すなわち眼鏡店)が、依頼側情報を取得しておく。そして、依頼側情報を、仲介業者の仲介側コンピュータ10へと送信する。

一方、仲介業者の仲介側コンピュータ10は、眼鏡レンズを実際に製造する製造業者XおよびYが有する製造側コンピュータ2と接続している。そして、製造側情報を、製造側送信部11から仲介業者の仲介側コンピュータ10へと送信する。なお、本実施形態においては、加工装置6から加工装置情報を演算部8に送信するのではなく、製造側コンピュータ2に記録されていた加工装置情報を製造側送信部11により送信する例について記載している。加工装置情報の送信手法としては、上記の実施形態に記載の手法でも構わないし、本実施形態に記載の手法でも構わない。

また、上記の実施形態だと製造側コンピュータ2に設けられていた「情報記憶部7」「演算部8」および「加工情報入手部9」が、仲介側コンピュータ10に設けられている。

そして、仲介業者の仲介側コンピュータ10の「情報記憶部7」および「演算部8」において、各依頼側または各製造業者独自の枠入れ工程の内容およびフレームの種類の関係性からサイズ補正値を算出し、最終的に加工情報を算出する。そして、算出された当該加工情報が加工情報入手部9にて入手される。当該加工情報は、仲介側コンピュータ10に設けられた仲介側送信部12により、外部である各製造業者の製造側コンピュータ2に送信される。そして、製造業者XおよびYは、当該加工情報に従い、各々の加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

本発明の課題にて述べたように、現在、製造業はグローバル化が著しく進んでいる。それに伴い、製造業を営む者自らが眼鏡レンズを製造しない場合も増えている。つまり、実際に眼鏡レンズを製造する製造業者に対し、眼鏡レンズの加工情報を提供するという状況も急増している。この状況においても、いかなる状況の変化にかかわらずスピーディに製品を製造することが求められているという点は変わりない。むしろ、情報ネットワークの発達に伴い、上記の実施形態で挙げたような加工情報を管理することの重要性は増大しつつある。そのような状況下で、決まった発注側および決まった製造側でしか枠入れ用加工および枠入れを精緻に行えないとなると、多様な顧客のニーズにスピーディに対応することができなくなり、製造側の国際競争力を著しく低下させてしまう事態になりかねない。

ところが、上記の手法を採用することにより、製造業を営む者自らは仲介業者となったとしても、枠入れを精緻に行うことが可能な眼鏡レンズを提供することができる。この点は、実施の形態1と同様の効果が得られる。

更に、本実施形態のシステムならば、依頼側コンピュータ1および製造側コンピュータ2が複数である場合であっても、従来とは異なり、各々のコンピュータに合わせて良好な枠入れが可能な眼鏡レンズを製造することができる。このメリットは、グローバル化が進んでいる現状において非常に大きなものである。

以上、本実施形態によれば、発注側において枠入れを行う場合には発注側独自の枠入れ工程の内容を加味した加工情報が算出され、製造側において枠入れを行う場合には製造側独自の枠入れ工程の内容を加味した加工情報が算出される。その結果、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに製造するシステム等を提供することができる。

なお、本実施形態において、「依頼側」が眼鏡店に該当するのか製造業者Xに該当するか、および「製造側」が何に該当するのか等々については、[実施の形態2]で述べた内容を適用しても構わない。

また、眼鏡レンズの製造情報管理システムの好ましい形態は、加工装置を必ずしも設けなくとも構わないことを除けば、眼鏡レンズの製造システムを構成する各部における好ましい形態で述べた通りである。眼鏡レンズの製造システムにおいて好ましいとされた各部を備えたものが、眼鏡レンズの製造情報管理システムの好ましい形態となる。

更に、眼鏡レンズの製造情報管理装置の好ましい形態は、実施の形態1で述べたのと同様に、眼鏡レンズの製造情報管理システムを構成する各部における好ましい形態を踏襲することが可能である。また、本実施形態においては、眼鏡レンズの製造システム用プログラムや眼鏡レンズの製造方法と同様に、眼鏡レンズの製造情報管理システム用プログラムや眼鏡レンズの製造情報提供方法においても、上記の効果を奏することが可能である。

[実施の形態5] 上記の実施形態の冒頭で説明したように、本実施形態においては[実施の形態1〜4]に内容に追加可能な改良例として、依頼側と製造側との環境の相違を加味した上で製造側が眼鏡レンズの製造を行う例について述べる。

上記の実施形態により、確かに、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに提供することが可能となる。

しかしながら、既に述べたように、現在、製造業はグローバル化が著しく進んでいる。そのため、依頼側または製造側が外国に存在する場合が多々ある。そうなると、依頼側または製造側の各々が千差万別な独自の手法を用いて枠入れを行うのみならず、依頼側と製造側との環境に差異が生じることが考えられる。

本実施形態においては、依頼側と製造側との環境の差異をも枠入れ用加工(眼鏡レンズに対する加工)に加味する。こうすることにより、極めて精緻に枠入れを行うことが可能な眼鏡レンズを製造することが可能となる。 以下、依頼側と製造側との環境の差異を枠入れ用加工に反映させるための具体的な手法について説明する。なお、基本的な構成は[実施の形態1]で述べた通りであり、本実施形態においては[実施の形態1]から追加または変更が生じる部分について述べる。つまり、以下に特記の無い内容は、[実施の形態1]と同様であるし、公知の内容を用いても構わない。

なお、本実施形態における眼鏡レンズの製造システムの概要を[実施の形態1]に倣って記載すると、以下の通りである。なお、*を付した部分が本実施形態において追加した部分である。また、各種情報の番号および符号については適宜振り直している。なお、図面における符号に変化はない。 1.眼鏡レンズの製造システム 1−A)依頼側コンピュータ 1−A−a)依頼側送信部 (1)依頼側情報 (1a)眼鏡レンズ情報 (1b)処方値情報 (1c)フレーム情報 (1d)トレーサー情報 (1e)依頼側枠入れ情報 *(1f)発注側地域情報 1−B)製造側コンピュータ 1−B−a)加工装置 (2)製造側情報 (2a)加工装置情報 (2b)製造側枠入れ情報 *(2c)製造側地域情報 1−B−b)情報記憶部 (3)サイズ補正値 (3a)サイズ補正値A (3b)サイズ補正値B *1−B−c)環境情報入手部 *(4)環境情報 *(4a)発注側の環境情報 *(4b)製造側の環境情報 *1−B−d)レンズ変形情報入手部 *(5)レンズ変形情報 1−B−e)演算部 1−B−f)加工情報入手部 (6)加工情報 1−C)その他 また、[実施の形態1]と同様に、図8に、本実施形態における眼鏡レンズの製造システムの概略ブロック図を示す。

(1f)発注側地域情報 まず、本実施形態においては、依頼側情報(1)として、発注側地域情報(1f)を設けておく。 発注側地域情報は、後述の発注側の環境情報を入手するための引き金となる情報である。発注側地域情報としては、顧客が住む場所が挙げられる。詳しくは後述するが、依頼側送信部4により発注側地域情報が環境情報入手部13へと送信されると、環境情報入手部13は、発注側地域情報を基にして、顧客が住む場所の環境情報、すなわち発注側の環境情報を、例えば第三者媒体(例えばインターネットの気象情報)から入手する。

通常、顧客は眼鏡店の近所に住んでいるため、眼鏡店で精緻に枠入れされた眼鏡レンズは、顧客の住所においても精緻に枠入れされた状態を維持することができる。その一方、眼鏡店の地域環境とは異なる場所に顧客が住んでいるとすると、「発注側地域情報」として眼鏡店の地域の情報を使用すると、良好な枠入れ状態を最終的に維持できない可能性がある。この場合、「発注側地域情報」として、顧客の住所についての情報を設定すればよい。つまり、この場合、「眼鏡レンズの発注側」は「顧客」のことを表すようになる。このように設定することにより、顧客は眼鏡店の近所に住んでいない場合であっても、本発明の効果を奏することが可能となる。

(2c)製造側地域情報 そして、発注側地域情報と同様に、本実施形態においては、製造側情報(2)として、製造側地域情報(2c)を設けておく。製造側地域情報は、後述の製造側の環境情報を入手するための引き金となる情報である。製造側地域情報としては、製造側の工場がある場所が挙げられる。ただ、後述するが、加工装置6や製造側コンピュータ2に備え付けられている温度計から製造側の環境情報を入手可能な場合は、製造側地域情報が不要となる。

1−B−c)環境情報入手部 (4)環境情報 本実施形態における環境情報入手部13は、眼鏡レンズの発注側の環境情報(4a)と眼鏡レンズの製造側の環境情報(4b)を入手する機能を有する。そして、依頼側送信部4から送信された発注側地域情報(1f)を受信する機能を有する。この発注側地域情報(1f)は、発注側の環境情報(4a)を特定するためのものでもある。

(4a)発注側の環境情報 発注側の環境情報は、発注者が在住する地域の環境に関する情報であり、眼鏡レンズのサイズに変動を与える要因となる気候に関する情報である。例えば、発注時の気温や納品予定時の平均気温が挙げられる。また、平均室内気温や平均温を使用することも挙げられる。また、同様に湿度についても環境情報として用いても構わない。これらの情報は、発注側地域情報を基に、第三者媒体から入手しても構わない。

(4b)製造側の環境情報 製造側の環境情報は、製造業者が眼鏡レンズを製造する工場が存在する地域の環境に関する情報であり、眼鏡レンズのサイズに変動を与える要因となる気候に関する情報である。例えば、製造時の気温または平均気温が挙げられる。また、工場における平均室内気温や平均水温を使用することも挙げられる。また、同様に湿度についても環境情報として用いても構わない。これらの情報は、第三者媒体(例えばインターネットの気象情報)から入手しても構わないし、加工装置6や製造側コンピュータ2に備え付けられている温度計から入手しても構わない。以降、環境に起因する眼鏡レンズのサイズに変動のことを単に「レンズ変形量」と言う。

なお、本実施形態においては、発注側の環境と製造側の環境とが相違する場合について述べる。ただ、発注側の環境と製造側の環境とが相違しない、ないし眼鏡レンズの枠入れにおいて支障が生じない程度の差異しかない場合は、レンズ変形量を加味せずに加工情報を算出しても構わない。つまり、発注側の環境と製造側の環境とが相違の度合いにより、加工情報の算出の手法が変化する。いずれかの手法を採用するかを決定すべく「環境情報に基づく補正の要否判定部(以降、単に要否判定部とも言う。)」を環境情報入手部13およびレンズ変形情報入手部14と接続する形で、別途設けても構わない。なお、判定の基準については、眼鏡レンズの枠入れの際に求められる精度に応じて適宜決定すればよい。

1−B−d)レンズ変形情報入手部14 (5)レンズ変形情報 本実施形態におけるレンズ変形情報入手部14は、レンズ変形情報を入手する機能を有し、且つ、依頼側送信部4から送信された眼鏡レンズ情報(1a)を受信する機能を有する。この眼鏡レンズ情報(1a)は、レンズ変形情報(5)を特定するためのものでもある。上記の要否判定部において補正が必要と判断されれば、要否判定部がレンズ変形情報入手部14に対し「レンズ変形情報を演算部8へと送信せよ」という指令を送信する。

そしてレンズ変形情報は、環境情報とレンズ変形量との関係についての情報であり、眼鏡レンズが発注側の環境にある場合と製造側の環境にある場合との間のレンズ変形量を算出する基となる情報である。一例を挙げると、温度差と眼鏡レンズ材料により構成されたマトリクスにて設定されるレンズ膨張率である。つまり、環境情報(温度差)とレンズ変形情報(温度差に対する半径値における変形量)とに基づき、レンズ変形量を後述の演算部8で算出することが可能となる。

そして最終的に、サイズ補正値AおよびBに加え、発注側と製造側との間の環境の差異に起因するレンズ変形量が加味された加工情報(6)に従い、眼鏡レンズの依頼側および製造側の場所を問わず枠入れを良好に行えるように、且つ、発注側の環境の下でも眼鏡レンズがフレームに嵌まるように、製造側の環境の下で、加工装置6にて眼鏡レンズが製造することになる。

1−B−d)演算部8 本実施形態における演算部8は、既に述べた実施形態と同様、加工情報(6)を算出する機能を有する。なお、加工情報は、依頼側情報(1)、製造側情報(2)、サイズ補正値(3)に加え、環境情報入手部13から送信される環境情報(4)、および、レンズ変形情報入手部14から送信されるレンズ変形情報(5)に基づき算出される。

ここで算出される加工情報は、既に述べた実施形態で述べた「第1の演算(すなわち枠入れ工程の内容を反映していない加工基礎情報の算出)」および「第2の演算(すなわち枠入れ工程の内容を反映させた情報の算出)」を行った上で、「第3の演算」を行う。「第3の演算」は、発注側の環境と製造側の環境との差異に起因するレンズ変形量を「第2の演算」の結果に加味することにより算出される。以下、第3の演算について説明する。 なお、第1の演算における加工基礎情報の算出は、公知の方法を用いても構わない。また、公知のパラメータを用いても構わない。例としては、眼鏡レンズ情報とフレーム情報と処方値情報と発注側地域情報とを含む眼鏡レンズの製造の依頼側情報、加工装置情報を含む眼鏡レンズの製造側情報が挙げられる。もちろん、レンズ変形量を「第1の演算」の結果に加味し、加味したものを「第2の演算」の結果に更に加えても構わない。

(第3の演算) 第2の演算においては、先に述べたように、環境情報(温度差)とレンズ変形情報(温度差に対する変形量)とに基づき、レンズ変形量を演算部8で算出する。そしてレンズ変形量を、加工基礎情報に加味する。

フレーム情報により、フレームにおける、眼鏡レンズが嵌め込まれる部分の形状のデータが得られる。別の言い方をすると、この形状は、眼鏡レンズが有すべき外形形状である。そして、加工基礎情報に対し、レンズ変形量を加味させることにより、目標とする外形形状を変化させる。例えば、製造側が熱帯地方に存在し、発注側が寒冷地方に存在する場合、眼鏡レンズは収縮する。そのため、製造側は、予定よりも眼鏡レンズの外形形状を大きく設定した上で算出された「加工情報」に従い、眼鏡レンズを製造することになる。

こうして、依頼側情報、製造側情報、情報記憶部7から送信されるサイズ補正値、環境情報入手部13から送信される環境情報、および、レンズ変形情報入手部14から送信されるレンズ変形情報に基づき、枠入れ工程の内容に加え、依頼側と製造側との間の環境の差異に起因するレンズ変形量が加味された加工情報が演算部8により算出される。その後、加工情報入手部9に加工情報が送信される。

上記の環境情報およびレンズ変形情報を使用することにより、発注側と製造側の気候の違いにも影響されない安定したサイズの眼鏡レンズを供給することができる。また、要否判定部を設けた場合は、発注側と製造側との気候(気温)差を元に、追加のサイズ補正が必要か否かを判断する。追加のサイズ補正が必要だと判定された場合にのみ、自社で蓄積した温度差とレンズの材質との関係性を示すマトリクスに設定されたレンズ膨張値(すなわちレンズ変形量)を参照し、その値を発注側から製造側へ送信する。こうすることにより、依頼側と製造側との間の枠入れ工程の内容に関する手法的な差異のみならず、依頼側と製造側との間の環境の差異まで考慮に入れ、安定したサイズの眼鏡レンズを供給することができることに加え、場合によっては余分な演算を行わなくて済み、更にスピーディに眼鏡レンズを製造且つ提供することが可能となる。ただ、要否判定部を設けずに、環境情報を加味して加工情報を算出しても、本発明の効果を奏することはもちろん可能である。

なお、本実施形態は、眼鏡レンズの製造装置、眼鏡レンズの製造システム用プログラムおよび眼鏡レンズの製造方法としても大きな特徴があるのは、[実施の形態1]で述べた理由と同じ理由である。

ところで、本実施形態における眼鏡レンズの製造方法の概要を[実施の形態1]に倣って記載すると、以下の通りである。なお、*を付した部分が本実施形態において追加した部分である。また、工程番号については振り直している。 S11…依頼側情報の送信ステップ S12…製造側情報の送信ステップ S2 …サイズ補正値入手ステップ *S3 …環境情報入手ステップ *S4 …環境情報に基づく補正の要否判定ステップ *S5 …レンズ変形情報入手ステップ S61…第1の演算ステップ S62…第2の演算ステップ *S63…第3の演算ステップ S7 …加工情報入手ステップ S8 …加工ステップ また、[実施の形態1]と同様に、図9に、本実施形態における眼鏡レンズの製造の手順を示すフローチャートを示す。 なお、(S2 サイズ補正値入手ステップ)および(S3 環境情報入手ステップ)の順番は前後しても構わない。また、演算に関する工程は、適宜順番を入れ替えても構わない。

(S3 環境情報入手ステップ) 眼鏡レンズの発注側の環境情報と眼鏡レンズの製造側の環境情報とを含む環境情報を入手すべく、依頼側コンピュータ1の依頼側送信部4から、発注側地域情報を環境情報入手部13へと送信する。環境情報入手部13は、発注側地域情報に基づき、発注者が在住する地域の温度に関する情報を公衆回線から入手する。それとともに、環境情報入手部13は、製造工場における温度に関する情報を入手する。

(S4 環境情報に基づく補正の要否判定ステップ) 環境情報に基づく補正の要否判定部において、環境情報に基づく補正の要否を判定する。 予め設定された眼鏡レンズの枠入れの精度を損なう程度に発注側と製造側との温度が相違するならば、補正が必要と判断し、以下の(S5 レンズ変形情報入手ステップ)へと進む。 一方、そうでないならば、補正が不要と判断し、レンズ変形情報を入手することなく(S5 レンズ変形情報入手ステップ)をスキップして(S61 第1の演算ステップ)(S62 第2の演算ステップ)(S63 第3の演算ステップ)へと進む。この場合、(S63 第3の演算ステップ)においては、レンズ変形量は補正の要素としては取り扱われず、(S63 第3の演算ステップ)を省略しても構わない。

(S5 レンズ変形情報入手ステップ) また、製造対象となる眼鏡レンズに関するレンズ変形情報を入手すべく、依頼側コンピュータ1の依頼側送信部4から、眼鏡レンズ情報をレンズ変形情報入手部14へと送信する。レンズ変形情報入手部14は、送信された眼鏡レンズ情報に基づき、主に眼鏡レンズのマテリアルに応じたレンズ膨張率を採用し、これを入手する。

(S63 第3の演算ステップ) そして、演算部8にて、第3の演算が行われる。すなわち、加工基礎情報に対し、発注側の温度と製造側の温度の差異(環境情報)により得られるレンズ変形量による補正が行われる。

(S7 加工ステップ) その後、加工情報は、加工情報入手部9により加工装置6へと送信される。そして、加工情報に従い、発注側の環境の下でも眼鏡レンズがフレームに嵌まるように、製造側の環境の下で、加工装置6にて眼鏡レンズが製造される。

本実施形態においては、発注側の環境と製造側の環境との間の相違を、製造側において眼鏡レンズの製造の基となる加工情報に加味しておくことにより、以下の効果を奏する。

まず、製造側の製造工場がどこであれ、更には発注者の住所がどこであれ、枠入れ用加工および枠入れを精緻に行うことが可能な眼鏡レンズを提供することができる。そして、個々の顧客の要望に応じたり、個々のトレーサー5に応じたりした上で、当該眼鏡レンズの提供が可能となる。このことは、言い換えると、製造工場がどこにあろうと、同じ品質(サイズ)の眼鏡レンズを供給することが可能となるシステムを構築可能であることを意味する。更に言うと、発注者が在住する地域においては、どの製造工場で製造した眼鏡レンズであっても、眼鏡レンズがフレームに精緻に嵌め込まれた状態を維持することが可能となる。これにより、[実施の形態1〜4]によりもたらされる効果との相乗効果が期待できる。

本実施形態のシステムにより、グローバル化に伴い向上する各国の天変地異のリスクの備えを十分なものとすることが可能となる。そして、個々の顧客の要望は多様化にも対応することが可能となる。しかもそれらに対し、環境情報を採用するという比較的シンプルな工夫により、スピーディに対応することが可能となる。つまり、決まった発注側および決まった製造側でしか枠入れ用加工を精緻に行えないという状況を改善することができる。その結果、多様な顧客のニーズにスピーディに対応することが可能となり、製造側の国際競争力を向上させることが可能となる。

更に、本実施形態のシステムならば、依頼側コンピュータ1および製造側コンピュータ2が複数である場合であっても、従来とは異なり、各々のコンピュータに合わせて良好な枠入れが可能な眼鏡レンズを製造することができる。このメリットは、グローバル化が進んでいる現状において非常に大きなものである。

以上、本実施形態によれば、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、眼鏡レンズの依頼側および製造側の場所を問わず、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに製造するシステム等を提供することができる。

なお、本実施形態に対し、[実施の形態1]で述べた変形例を適用することはもちろん可能である。また、[実施の形態2〜4]で述べた変形例を適用することももちろん可能である。

[実施の形態2]に倣った図を図10に示す。図10は、別の実施の形態の製造システムに関する概略説明図である。 [実施の形態2]を適用する場合、製造側が複数(製造業者Xおよび製造業者Y)存在する場合であって、まずは製造側Aでレンズ変形量を加味しながら眼鏡レンズを製造し、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズについては、製造業者Yで当該眼鏡レンズを製造する。この製造の際には、製造業者Yの環境情報を加味した上で、製造業者Yが加工情報の演算を行う。

まず、発注側である眼鏡店が、加工基礎情報αおよびβを算出しておく。そして、加工基礎情報αおよびβを、製造業者Xの製造側コンピュータ2へと送信する。そして、製造業者Xの製造側コンピュータ2において、製造業者Xと発注側との環境の差異およびレンズ変形情報からレンズ変形量を算出し、最終的に加工情報αを算出し、当該加工情報αに従い、製造業者Xの加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

その一方、眼鏡レンズの形状上の理由で、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズの製造を依頼された場合、製造業者Xが別の製造業者Yに眼鏡レンズの製造を依頼することになる。依頼の際に、製造業者Xの製造側コンピュータ2から製造業者Yの製造側コンピュータ2へと、加工基礎情報βを送信する。そして、製造業者Yは、加工基礎情報βに対し、製造業者Yと発注側との環境の差異およびレンズ変形情報からレンズ変形量を算出し、最終的に加工情報βを算出し、当該加工情報に従い、製造業者Yの加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

つまり掻い摘んで言うと、製造業者Xは自分の環境と発注側の環境との相違を加味した上で眼鏡レンズを製造するし、別の製造業者Yも自分の環境と発注側の環境との相違を加味した上で眼鏡レンズを製造する。

なお、製造業者Xは、各サイズ補正値の少なくともいずれかを、製造業者Yに計算させても構わない。例えば、発注側と製造業者Xとの距離は近いけれども、製造業者Yは別の国に存在し、発注側とは気候が全く異なる場合、レンズ変形量については製造業者Yに算出させても構わない。こうすることにより、製造現場に合ったレンズ変形量を、製造現場において製造業者Y自身が入手することが可能となる。もちろん、レンズ変形量ではなくサイズ補正値を製造業者Yに算出させても構わない。

上記の手法を採用することにより、製造業者Xが全ての眼鏡レンズを製造する必要が無くなり、眼鏡レンズの種類に応じ、良好な枠入れが可能な眼鏡レンズを製造することが可能となる。しかも、製造業者がどの地域にいても枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをスピーディに提供することができる。このメリットは、グローバル化が進む製造業にとって、極めて大きい。

[実施の形態3]に倣った図を図11に示す。図11は、別の実施の形態の製造システムに関する概略説明図である。 [実施の形態3]を適用する場合、製造側が複数(製造業者Xおよび製造業者Y)存在する場合であって、まずは製造側Aでレンズ変形量を加味しながら眼鏡レンズを製造し、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズについては、製造業者Yで当該眼鏡レンズを製造する。この製造の際には、製造業者Yではなく製造業者Xが、製造業者Yの環境情報を加味した上で加工情報βの演算を行い、製造業者Yは単に当該加工情報βに従って眼鏡レンズを製造する。

まず、発注側である眼鏡店が、加工基礎情報αおよびβを算出しておく。そして、加工基礎情報αおよびβを、製造業者Xの製造側コンピュータ2へと送信する。そして、製造業者Xの製造側コンピュータ2において、製造業者Xと発注側との環境の差異およびレンズ変形情報からレンズ変形量を算出し、最終的に加工情報αを算出し、当該加工情報αに従い、製造業者Xの加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

その一方、眼鏡レンズの形状上の理由で、製造業者Xでは製造しない眼鏡レンズの製造を依頼された場合、製造業者Xが別の製造業者Yに眼鏡レンズの製造を依頼することになる。本実施形態においては、[実施の形態2]とは異なり、依頼の際に、製造業者Xの製造側コンピュータ2から製造業者Yの製造側コンピュータ2へと、最終的な加工情報βを送信する。つまり、製造業者Xの製造側コンピュータ2において、製造業者Yの環境と発注側の環境との差異を加工基礎情報βに加味しておく。そして、製造業者Xが製造業者Yに加工情報を送信する。

つまり掻い摘んで言うと、製造業者Xは自分の環境と発注側の環境との相違を加味した上で眼鏡レンズを製造する一方、製造業者Xは別の製造業者Yを下請として使用する。製造業者Yの環境を加味した加工情報βは、製造業者Xが算出し、これを製造業者Yに送信する。そして、製造業者Yは、製造業者Xの下請として眼鏡レンズを製造する。しかも、下請として眼鏡レンズを製造させるにもかかわらず、製造業者Yの環境と発注側の環境との相違を加味した上で眼鏡レンズを製造することができる。

上記の手法を採用することにより、[実施の形態2]と同様の効果が得られる。その上、製造業者Yに対して加工情報を算出するための手法や各種情報を公開する必要がなくなる。製造業者Yが外国に存在する場合、このメリットは、グローバル化が進む製造業にとって、極めて大きい。

また、本実施形態では製造業者Xが、製造業者Yの環境に合わせた加工情報βを算出する場合について述べたが、製造業者XとYとの環境の相違が小さい場合は、製造業者Xと同じ高品質の眼鏡レンズを製造させるべく、環境情報βとして、実際に眼鏡レンズを製造する製造業者Yではなく製造業者Xの環境と発注者の環境の相違を加味した加工情報αを製造業者Yに送信しても構わない。

[実施の形態4]に倣った図を図12に示す。図12は、別の実施の形態の製造情報管理システムに関する概略説明図である。 [実施の形態4]を適用する場合、仲介業者の仲介側コンピュータは、眼鏡レンズを実際に製造する製造業者XおよびYが有する製造側コンピュータ2と接続している。そして、製造側情報を、製造側送信部11から仲介業者の仲介側コンピュータ10へと送信する。なお、本実施形態においては、加工装置6から加工装置情報を演算部8に送信するのではなく、製造側コンピュータ2に記録されていた加工装置情報を製造側送信部11により送信する例について記載している。加工装置情報の送信手法としては、上記の実施形態に記載の手法でも構わないし、本実施形態に記載の手法でも構わない。

また、仲介側コンピュータ10には、上記の実施形態だと製造側コンピュータ2に設けられていた「環境情報入手部13」「レンズ変形情報入手部14」「演算部8」および「加工情報入手部9」が設けられている。

そして、仲介業者の仲介側コンピュータ10の「環境情報入手部13」「レンズ変形情報入手部14」および「演算部8」において、各製造業者と発注側との環境の差異およびレンズ変形情報からレンズ変形量を算出し、最終的に加工情報を算出する。そして、算出された当該加工情報が加工情報入手部9にて入手される。当該加工情報は、仲介側コンピュータ10に設けられた仲介側送信部12により、外部である各製造業者の製造側コンピュータ2に送信される。そして、製造業者XおよびYは、当該加工情報に従い、各々の加工装置6にて眼鏡レンズを製造する。

本発明の課題にて述べたように、現在、製造業はグローバル化が著しく進んでいる。それに伴い、製造業を営む者自らが眼鏡レンズを製造しない場合も増えている。つまり、実際に眼鏡レンズを製造する製造業者に対し、眼鏡レンズの加工情報を提供するという状況も急増している。この状況においても、いかなる状況の変化にかかわらずスピーディに製品を製造することが求められているという点は変わりない。むしろ、情報ネットワークの発達に伴い、上記の実施形態で挙げたような加工情報を管理することの重要性は増大しつつある。そのような状況下で、決まった発注側および決まった製造側でしか枠入れ用加工および枠入れを精緻に行えないとなると、多様な顧客のニーズにスピーディに対応することができなくなり、製造側の国際競争力を著しく低下させてしまう事態になりかねない。

ところが、上記の手法を採用することにより、製造業を営む者自らは仲介業者となったとしても、製造側の製造工場がどこであれ、更には発注者の住所がどこであれ、枠入れ用加工および枠入れを精緻に行うことが可能な眼鏡レンズを提供することができる。この点は、実施の形態1と同様の効果が得られる。

更に、本実施形態のシステムならば、依頼側コンピュータ1および製造側コンピュータ2が複数である場合であっても、従来とは異なり、各々のコンピュータに合わせて良好な枠入れが可能な眼鏡レンズを製造することができる。このメリットは、グローバル化が進んでいる現状において非常に大きなものである。

[実施の形態6] 上記の実施形態の冒頭で説明したように、本実施形態においては、枠入れ工程の内容ともいうべき依頼側の好みを製造側に伝えるだけではなく、依頼側の好みを反映させた加工サイズを依頼側が製造側に積極的に指示し、眼鏡レンズの外径形状を細かく指示することが可能となる例について述べる。

本発明の課題にて述べたように、個々の顧客の要望は多様化の一途をたどっている。上記の実施形態の手法を用いれば、確かに、依頼側および製造側のどちらで枠入れを行っても且つどのような枠入れ処理を行っても、枠入れを良好に行うことが可能な眼鏡レンズをグローバル且つスピーディに提供することは可能となる。

その一方、仮にある顧客(依頼側)が上記のサイズ補正値Bを変更しなければならないような度重なる要望の変更を行う場合、製造側コンピュータ2において、加工情報の算出の基となるサイズ補正値Bをその都度変更しなければならない。そのためには、サイズ補正値Bを有するマトリクスBについても、製造側が常にメンテナンスしていなければならない。

また、依頼側にとっては、製造側がサイズ補正値Bを得て、そこから全体のサイズ補正値を算出することになるため、要望内容が即座に加工に反映させることができないというもどかしさが存在することになる。しかも、依頼側または製造側が外国に存在する場合のように、依頼側が製造側に対して容易に連絡が取れない場合、そのもどかしさは増大することになる。

また、サイズ補正値BのマトリクスBに存在しない内容の好み(枠入れ工程の内容)に関する要望を依頼側が持った場合、その新たな好みに応じたマトリクスBを製造側は作成しなければならない。

そこで、上記の本発明の効果を奏しつつも、本実施形態の課題を解決可能としたものが、以下の構成である。 依頼側に設置された依頼側コンピュータ1と、 前記加工情報を算出する演算部8と、 を有し、 サイズ補正値は、少なくとも、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換された際のマトリクス内の数値(ここではサイズ補正値B)を含み、 依頼側コンピュータが、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類に応じたサイズ補正値Bに基づいて、依頼側が製造側に対して眼鏡レンズの加工サイズを指示可能とする眼鏡レンズの製造システム。

従来では、依頼側が製造側に枠入れ加工に関する好みを伝えるに留まっていた。それに対し、本実施形態においては、依頼側は、好みのような漠然としたものではなく、加工サイズの具体的数値を製造側に指示することが可能となる。

ここで、「依頼側コンピュータが、サイズ補正値Bに基づいて、依頼側が製造側に対して眼鏡レンズの加工サイズを指示可能」とする具体例としては、本実施形態では、眼鏡店に存在しているはずの依頼側コンピュータ1が、情報記憶部7におけるマトリクスBから選択されたサイズ補正値Bを直接的に変更可能とする例が挙げられる。また、別の例として、製造側コンピュータ2ではなく依頼側コンピュータ1がサイズ補正値Bを情報記憶部7から取得し、依頼側コンピュータ1がサイズ補正値Bを演算部8へと送信する例も挙げられる。

なお、以降の説明においては、演算部8が製造側コンピュータ2に設けられている場合について述べる。もちろん、演算部8は、別のコンピュータやサーバなど製造側コンピュータ2以外に設けられていても構わない。

上記の構成において、情報記憶部7は、依頼側コンピュータ1からアクセス可能としている。そして、少なくともマトリクスBは、依頼側コンピュータ1が入手可能となるように設定している。言い換えると、マトリクスBおよびサイズ補正値Bは、依頼側に対してオープンになっている。つまり、上記の構成は、サイズ補正値BおよびマトリクスBを、依頼側コンピュータが変更可能な設定となっている。ここで言う「変更」とは、数値の更新、マトリクスBにおいて新たな関係性の追加に伴うサイズ補正値Bの追加、マトリクスBにおいて関係性の削除に伴うサイズ補正値Bの削除を含む。この場合においても、結局のところ、依頼側コンピュータ1が(修正後の)マトリクスBから(修正後の)サイズ補正値Bを選択することに変わりはない。なお、この場合、依頼側コンピュータ1はサイズ補正値Bを変更するに留まる。別の言い方をすると、サイズ補正値Bを演算部8に送信するのは情報記憶部7または製造側送信部11であり、依頼側コンピュータ1がサイズ補正値Bを演算部8に送信する必要はない。

サイズ補正値Bの変更の手法について一例を挙げると、以下の通りである。 図3において、依頼側(眼鏡店)が03という者であり、フレームタイプにおいてフルリムタイプであり、且つ、フレームの材質が02であり、且つ、依頼側で枠入れを行い、フレームに対する加温を行う場合、サイズ補正値Bは0.10mmとなっている。しかしながら、フレームに対する加温を行わないことが眼鏡店で求められる場合、眼鏡店における依頼側コンピュータ1は、製造側コンピュータ2に存在する情報記憶部7における当該サイズ補正値Bを0.00mmへと変更する。それとは逆に、フレームに対して更に高い温度の加温が眼鏡店で求められる場合、眼鏡店における依頼側コンピュータ1は、製造側コンピュータ2に存在する情報記憶部7における当該サイズ補正値Bを0.01mm単位で幾許か大きく変更する。

なお、依頼側コンピュータ1が、サイズ補正値BをマトリクスBから選択可能な構成としても構わない。その場合、依頼側コンピュータ1が製造側コンピュータ2に対して加工情報の基となるサイズ補正値Bを送信することにより、眼鏡レンズの加工サイズを依頼側が製造側に直接指示するという構成となる。

万一、サイズ補正値Bが枠入れ工程において不適切な数値へと依頼側により変更されたとしても、例えば、製造側の上記の要否判定部にてサイズ補正値Bが適切か否かを判定しても構わない。不適切と判定されれば、枠入れが可能となるように新たな補正値をサイズ補正値に加えても構わない。

上記の構成を採用することにより、依頼側が有する好み(即ち枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合)を依頼側コンピュータ1から製造側コンピュータ2へと直接送信することが可能となる。つまり、依頼側の好みを、依頼側自らの手で加工情報に反映させることが可能となる。

その結果、依頼側がサイズ補正値Bを変更しなければならないような度重なる要望の変更を行ったとしても、依頼側自らがサイズ補正値Bを選択ないし作成することになるので、マトリクスBの管理に代表される製造側の負担が著しく軽減する。

また、例え、依頼側または製造側が外国に存在する場合であっても、依頼側にとっては、要望内容を即座に加工に反映させることが可能となり、直接加工サイズを操作しているという満足感を得ることができる。

そして、サイズ補正値BのマトリクスBに存在しない内容の好み(枠入れ工程の内容)に関する要望を依頼側が持ったとしても、その新たな好みに応じたマトリクスBを依頼側自らが作成することも可能となる。もちろん、依頼側自らがマトリクスBを作成するのが技術的に困難な場合は、製造側がマトリクスBの一部を作成しても構わない。

なお、本実施形態においては、依頼側が製造側に対して眼鏡レンズの加工サイズを指示する例について挙げた。その一方、加工サイズの具体的な数字を直接指示するのに合わせ、または、加工サイズの具体的な数字を直接指示するかわりに、製造側に枠入れ工程を行わせる状況において、枠入れ工程の内容を、依頼側が製造側に対して指示しても構わない。こうすることにより、製造側がどのような者であろうとも、常に依頼側が要望する枠入れ状態が実現される。掻い摘んで言うと、依頼側が好む枠入れ行程の内容の実施を製造側に指示すると共に、依頼側の好みをも反映させた加工サイズを製造させ、枠入れを実施させる。言わば、これは依頼側の枠入れ作業を製造側に完全代行させることと同義である。その場合、例えば、依頼側が製造側に対して枠入れ工程の内容(フレームを温める)を指定する際に、依頼側が依頼側コンピュータ1を操作することによりマトリクス内の「枠入れ工程の内容」の中の「フレームを温めるか否か」の項目において、製造側は「フレームを温める」しか選択できないように、依頼側がマトリクスを更新するという手法を採用しても構わない。また、依頼側の立場と製造側の立場を逆転させても構わない。すなわち、依頼側に枠入れ工程を行わせる状況において、枠入れ工程の内容を、製造側が依頼側に対して指示しても構わない。そして上記のようにマトリクス内の「フレームを温めるか否か」の項目において、依頼側は「フレームを温める」しか選択できないように、製造側がマトリクスを更新しても構わない。

なお、本実施形態は、眼鏡レンズの製造システムのみならず、眼鏡レンズの発注システムとしての側面もある。具体的な構成は以下の通りである。 依頼側に設置された依頼側コンピュータ1と、 前記加工情報を算出する演算部8と、 枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類の関係性がマトリクスに変換されており、マトリクス内の数値として被加工レンズの加工予定形状に対するサイズ補正値が存在するマトリクスを記憶する情報記憶部7と、 を有し、 依頼側コンピュータ1が、枠入れした際にフレームが眼鏡レンズを締め付ける度合およびフレームの種類に応じたサイズ補正値Bに基づいて、依頼側が製造側に対して眼鏡レンズの加工サイズを指示する眼鏡レンズの発注システム。

上記の発注システムであっても、本実施形態で述べた課題を解決することが可能である。つまり、依頼側の好みを、依頼側自らの手で加工情報に反映させることが可能となり、上記の効果を奏する。なお、上記の実施形態の内容に、本実施形態の内容を適宜適用させることはもちろん可能である。

1…依頼側コンピュータ、2…製造側コンピュータ、3…通信回線、4…依頼側送信部、5…トレーサー、6…加工装置、7…情報記憶部、8…演算部、9…加工情報入手部、10…仲介側コンピュータ、11…製造側送信部、12…仲介側送信部、13…環境情報入手部、14…レンズ変形情報入手部

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