眼鏡レンズ製造システム

申请号 JP2017524924 申请日 2016-06-21 公开(公告)号 JPWO2016208584A1 公开(公告)日 2018-04-05
申请人 東海光学株式会社; 发明人 長尾 淳司; 渡邊 広章; 小野 信吾; 上野 紘史;
摘要 【課題】面形状が 精度 良く得られ、玉型加工により無駄になる部分が少なく、玉型加工の手間の少ない眼鏡レンズ製造システムを提供する。【解決手段】眼鏡レンズ製造システム1は、レンズ材料(熱硬化性樹脂材料)を充填するレンズ型枠42と、硬化可能な流動性樹脂を吐出する流動性樹脂吐出手段(3次元プリンタ18)と、を備えており、前記流動性樹脂吐出手段は、前記レンズ型枠42の少なくとも一部を、前記流動性樹脂を吐出して形成する。前記レンズ型枠42は、後面21aが眼鏡レンズ50の前面を規定する前レンズ型枠21と、前面24aが眼鏡レンズ50の後面を規定する後レンズ型枠24と、内面が眼鏡レンズ50の側周を規定する側周レンズ型枠33とを有しており、前記流動性樹脂吐出手段は、少なくとも前記側周レンズ型枠33の内面の一部を含む部分を形成する。【選択図】図1
权利要求

レンズ材料を充填するレンズ型枠と、 硬化可能な流動性樹脂を吐出する流動性樹脂吐出手段と、を備えており、 前記流動性樹脂吐出手段は、前記レンズ型枠の少なくとも一部を、前記流動性樹脂を吐出して形成することを特徴とする眼鏡レンズ製造システム。前記レンズ型枠は、後面が眼鏡レンズの前面を規定する前レンズ型枠と、前面が眼鏡レンズの後面を規定する後レンズ型枠と、内面が眼鏡レンズの側周を規定する側周レンズ型枠とを有しており、 前記流動性樹脂吐出手段は、少なくとも前記側周レンズ型枠の内面の一部を含む部分を形成することを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ製造システム。前記眼鏡レンズの輪郭形状を示す輪郭形状データを取得する輪郭形状データ取得手段が設けられており、 前記流動性樹脂吐出手段は、前記側周レンズ型枠の内面の少なくとも一部を、前記輪郭形状データに応じた形状に形成することを特徴とする請求項2に記載の眼鏡レンズ製造システム。前記輪郭形状データは、発注者側コンピュータから送信されることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡レンズ製造システム。前記流動性樹脂吐出手段は、前記側周レンズ型枠の内面の少なくとも一部を、前記輪郭形状データが示す形状に対し、眼鏡レンズとなる部分の代わりに保持するためのハンドリング部の形状を付加した形状に形成することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の眼鏡レンズ製造システム。前記眼鏡レンズを入れる眼鏡枠のコバ形状を示すコバ形状データを取得するコバ形状データ取得手段が設けられており、 前記流動性樹脂吐出手段は、前記側周レンズ型枠の内面の少なくとも一部を、前記コバ形状データに応じた形状に形成することを特徴とする請求項2ないし請求項5の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記コバ形状データは、発注者側コンピュータから送信されることを特徴とする請求項6に記載の眼鏡レンズ製造システム。前記前レンズ型枠及び前記後レンズ型枠の内の少なくとも一方は、ガラス製であることを特徴とする請求項2ないし請求項7の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記レンズ材料は、熱硬化性樹脂材料であることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記流動性樹脂吐出手段は、3次元プリンタであることを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記流動性樹脂吐出手段は、樹脂吐出ディスペンサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記流動性樹脂を硬化させる硬化手段を有しており、 前記流動性樹脂は、紫外線硬化樹脂であり、 前記硬化手段は、紫外線照射手段であることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記流動性樹脂を硬化させる硬化手段を有しており、 前記流動性樹脂は、熱硬化樹脂であり、 前記硬化手段は、加熱手段であることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。前記流動性樹脂は、吐出後における成分の変化により硬化する自然硬化樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の眼鏡レンズ製造システム。

说明书全文

本発明は、眼鏡レンズを製造するシステムに関する。

眼鏡レンズの製造装置として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。 この製造装置では、外形が円形であるセミフィニッシュレンズ(丸レンズ)における物体側の面や眼球側の面をNC(Numerical Control,数値制御)加工することで、球面度数(S度数)を始めとする処方値に適合した眼鏡レンズが製造される。製造された眼鏡レンズの外形は、眼鏡店等において、眼鏡枠に取り付けるため、丸レンズより小さい滴形等の玉型に加工される。 眼鏡枠に眼鏡レンズを入れて眼鏡を作製する場合、眼鏡枠のレンズを嵌める部分(リム)の形状が様々であり、又光学的機能の発揮のため眼鏡レンズの光学中心と装用者の瞳孔位置(アイポイント)が一致するかあるいはプリズムありの場合等においてアイポイントが眼鏡レンズの所定の位置に配置される必要があるところ、アイポイントは装用者にとって様々であることから、リム形状とアイポイントの情報を得て丸レンズを玉型に加工することとなっている。

かような眼鏡レンズの製造装置では、処方値に適合した眼鏡レンズが、セミフィニッシュレンズの加工により、その在庫の少ない状態で効率良く製造される。 しかし、眼鏡レンズは丸レンズとして製造されるため、眼鏡枠に入れるための外形の玉型加工に手間がかかるし、玉型加工時に丸レンズから削られる部分が無駄になる。 そこで、下記特許文献2に記載された光学構造用の3次元プリンタを用い、外形が玉型であり物体側の面形状や眼球側の面形状が処方値に適合した眼鏡レンズを、紫外線(UV)により硬化するインクの液滴の堆積により形成することが考えられる。

特開平10−175149号公報

特表2014−502931号公報

しかし、特許文献2のプリンタによって製造される眼鏡レンズは、インク液滴の堆積によるものであるから、実際には現状求められる性能を有する玉型の眼鏡レンズとはならない。 即ち、UVで硬化する現実的なコストのインクにおいて、眼鏡レンズとして十分な透明性や透過率等(光学的性能)、あるいは強度や硬度や耐久性等(物理的性能)を硬化後に有するものが殆どない。又、現状噴射されるインク液滴がさほど微細ではなく、硬化後の物体側の面や眼球側の面等がざらつくので、これらの面等に研磨を施さないと眼鏡レンズとして用い得ないところ、硬化後において各種性能を保持しながらの十分な加工に耐えるインクが殆どない。 そこで、本発明の目的は、面形状が精度良く得られ、玉型加工により無駄になる部分が少なく、玉型加工の手間の少ない眼鏡レンズ製造システムを提供することにある。

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、レンズ材料を充填するレンズ型枠と、硬化可能な流動性樹脂を吐出する流動性樹脂吐出手段と、を備えており、前記流動性樹脂吐出手段は、前記レンズ型枠の少なくとも一部を、前記流動性樹脂を吐出して形成することを特徴とするものである。 請求項2に記載の発明は、上記発明にあって、前記レンズ型枠は、後面が眼鏡レンズの前面を規定する前レンズ型枠と、前面が眼鏡レンズの後面を規定する後レンズ型枠と、内面が眼鏡レンズの側周を規定する側周レンズ型枠とを有しており、前記流動性樹脂吐出手段は、少なくとも前記側周レンズ型枠の内面の一部を含む部分を形成することを特徴とする。 請求項3に記載の発明は、上記発明にあって、前記眼鏡レンズの輪郭形状を示す輪郭形状データを取得する輪郭形状データ取得手段が設けられており、前記流動性樹脂吐出手段は、前記側周レンズ型枠の内面の少なくとも一部を、前記輪郭形状データに応じた形状に形成することを特徴とする。 請求項4に記載の発明は、上記発明にあって、前記輪郭形状データは、発注者側コンピュータから送信されることを特徴とする。 請求項5に記載の発明は、上記発明にあって、前記流動性樹脂吐出手段は、前記側周レンズ型枠の内面の少なくとも一部を、前記輪郭形状データが示す形状に対し、眼鏡レンズとなる部分の代わりに保持するためのハンドリング部の形状を付加した形状に形成することを特徴とする。 請求項6に記載の発明は、上記発明にあって、前記眼鏡レンズを入れる眼鏡枠のコバ形状を示すコバ形状データを取得するコバ形状データ取得手段が設けられており、前記流動性樹脂吐出手段は、前記側周レンズ型枠の内面の少なくとも一部を、前記コバ形状データに応じた形状に形成することを特徴とする。 請求項7に記載の発明は、上記発明にあって、前記コバ形状データは、発注者側コンピュータから送信されることを特徴とする。 請求項8に記載の発明は、上記発明にあって、前記前レンズ型枠及び前記後レンズ型枠の内の少なくとも一方は、ガラス製であることを特徴とする。 請求項9に記載の発明は、上記発明にあって、前記レンズ材料は、熱硬化性樹脂材料であることを特徴とする。 請求項10に記載の発明は、上記発明にあって、前記流動性樹脂吐出手段は、3次元プリンタであることを特徴とする。 請求項11に記載の発明は、上記発明にあって、前記流動性樹脂吐出手段は、樹脂吐出ディスペンサーであることを特徴とする。 請求項12に記載の発明は、上記発明にあって、前記流動性樹脂を硬化させる硬化手段を有しており、前記流動性樹脂は、紫外線硬化樹脂であり、前記硬化手段は、紫外線照射手段であることを特徴とする。 請求項13に記載の発明は、上記発明にあって、前記流動性樹脂を硬化させる硬化手段を有しており、前記流動性樹脂は、熱硬化樹脂であり、前記硬化手段は、加熱手段であることを特徴とする。 請求項14に記載の発明は、上記発明にあって、前記流動性樹脂は、吐出後における成分の変化により硬化する自然硬化樹脂であることを特徴とする。

本発明では、面形状が精度良く得られ、玉型加工により無駄になる部分が少なく、玉型加工の手間の少ない眼鏡レンズ製造システムが提供される。

本発明の第1形態に係る眼鏡レンズ製造システムのブロック図である。

側周レンズ型枠の前面図である。

レンズ型枠の側面図である。

仕上げ前眼鏡レンズの前面図である。

輪郭形状データの模式図である。

眼鏡レンズのコバ形状であって(a)ヤゲン形状,(b)溝形状を示す断面図である。

図1の眼鏡レンズ製造システムの動作例に係るフローチャートである。

側周レンズ型枠の変更例に係る前面図である。

本発明の第2形態に係る眼鏡レンズ製造システムにおけるディスペンサーのブロック図である。

図9の粘性樹脂吐出手段ないしレンズ型枠の縦端面模式図である。

以下、本発明に係る実施の形態の例が、適宜図面に基づいて説明される。尚、本発明の実施形態は、これらの例に限定されない。

[第1形態]≪構成等≫ 本発明の実施の第1形態に係る眼鏡レンズ製造システム1は、玉型形状、あるいは丸レンズより玉型形状に近い形状を有するプラスチック製の眼鏡レンズを製造するものであり、図1に示されるように、眼鏡レンズメーカー(受注者側)に設置されるサーバコンピュータ(サーバ)2と、サーバ2とインターネット等を介して通信可能に接続されており、それぞれ発注者側に設置される複数の端末コンピュータ(端末)4,4・・を有している。サーバ2と各端末4の間では、処方データ6等が送受信される。各端末4は、発注者側コンピュータである。 尚、端末4は、1台であっても良い。又、端末4が省略されても良く、端末4の台数にかかわらずサーバ2に対して発注者側からファクシミリ等により得た処方データ6等が入されるようにしても良い。端末4が省略された場合、サーバ2等が端末4の機能を担う。

サーバ2は、処方データ6を始めとする各種のデータ、及びプログラムが記憶される記憶手段10と、各種のデータの送受信が行われる通信手段12及び接続手段13と、これらをプログラム等に基づいて制御する制御手段14を有している。 サーバ2には、前後レンズ型枠選定装置16と、流動性樹脂吐出手段としての3次元プリンタ18と、レンズ硬化装置19と、仕上げ切削装置20が、互いに通信可能に接続されている。尚、これらの内の少なくとも何れかは、サーバ2と一体にされても良いし、これらの内の少なくとも2つは、互いに一体にされても良い。又、前後レンズ型枠選定装置16、3次元プリンタ18、レンズ硬化装置19、及び仕上げ切削装置20の少なくとも1つが複数設けられるようにする等、サーバ2を含めたこれら装置の個数の比率が様々に変更されて良い。更に、サーバ2が前後レンズ型枠選定装置16と接続され、前後レンズ型枠選定装置16が3次元プリンタ18と接続され、3次元プリンタ18がレンズ硬化装置19と接続され、レンズ硬化装置19が仕上げ切削装置20と接続されるようにする等、サーバ2と直接又は間接にデータの送受信ができる他の接続形態とされても良い。

前後レンズ型枠選定装置16は、各種の前レンズ型枠21が格納される前レンズ型枠ストッカ22と、各種の後レンズ型枠24が格納される後レンズ型枠ストッカ26と、前後レンズ型枠選定データ27に基づいて前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24を選定して前レンズ型枠ストッカ22や後レンズ型枠ストッカ26から取り出す前後レンズ型枠選定手段28と、接続手段29と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段30と、これらを制御する制御手段31を有している。前後レンズ型枠選定手段28は、例えばロボットハンドである。又、前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24は、何れもガラス製であるが、他の材質のものが用いられても良いし、互いに異なる材質のものが用いられても良い。尚、説明の便宜のため、物体に近い側が前であり、眼球に近い側が後であるものとしている。

3次元プリンタ18は、UVで硬化する液体樹脂をUVの照射により硬化させて側周レンズ型枠形状データ32に基づく形状の側周レンズ型枠33(図2)を形成するものである。3次元プリンタ18は、液体定量吐出手段34と、例えばUV発光LEDである硬化手段としてのUV照射手段35と、接続手段36と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段37と、これらを制御する制御手段38を有している。液体定量吐出手段34では、側周レンズ型枠形状データ32に基づいて定量された液体樹脂がUV照射手段35によりUVを照射されつつ吐出され、硬化した液体樹脂の堆積物が側周レンズ型枠形状データ32に従った形状となって側周レンズ型枠33となる。 尚、3次元プリンタ18は、熱により硬化する樹脂液体を吐出するもの等を用いて良く、要するに液体定量吐出手段34により各種の形状データに基づいて液体(インク)が順次定量で吐出され堆積されると共に硬化手段(UV照射手段35や加熱手段)により硬化されるものであって良い。硬化手段による液体の硬化は、吐出時でも良いし、堆積時(付着時)でも良いし、吐出(堆積)時から所定時間経過後であっても良い。硬化手段は、3次元プリンタ18(流動性樹脂吐出手段)とは別の装置に配置されても良いし、別個の独立した装置として構成されても良い。又、3次元プリンタ18は、積層造形を行うもの(積層造形手段)であれば、液体を積層し硬化させるもの以外のものであっても良く、例えばテーブル上に層状に敷き詰めた金属粉末(固体)に対し形状データに基づいてレーザーを照射して照射部分のみを(例えば数十ミクロン程度の厚みで)溶融凝固させ、更にその上に金属粉末を層状に敷き詰めて同様にレーザーを照射し、適宜これらを(例えば数千回)繰り返すことで金属の構造物(側周レンズ型枠33)を得る3次元金属積層造形装置であっても良い。更に、3次元プリンタ18は、液体を積層し硬化させるものと3次元金属積層造形装置を組み合わせたものであっても良い。加えて、液体樹脂は、粘性の高い樹脂等であっても良く、要するに流動性の有る樹脂である流動性樹脂が用いられれば良い。 又、側周レンズ型枠形状データ32は、3次元形状を表すものであることが好ましいが、2次元形状を表すものであっても良く、後者の場合、縦横の形状を表すものとして、縦横に垂直な厚みについては一定肉厚等予め定められた分布を有するものとされて良い。以下、説明の便宜のため、レンズを通常装用時のように立てた場合における横方向がX軸方向とされており、縦方向がY軸方向とされており、XY平面に垂直な方向(レンズの肉厚方向)がZ軸方向とされている。又、X軸方向において、レンズの前方に立って向かって右方向が正の方向とされ、装用者にとって右方向はX軸の負の方向となる。更に、Y軸方向において、レンズの前方に立って向かって上方向が正の方向とされ(装用者にとっても同様)、Z軸方向において、後方向が正の方向とされている。各種軸やその正方向の取り方は、適宜変更されて良い。

前後レンズ型枠選定装置16により取り出された前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24の少なくとも一方に対し、3次元プリンタ18で側周レンズ型枠33が形成され、前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24が側周レンズ型枠33に接触したレンズ型枠42(図3)が形成される。 尚、レンズ型枠42における前レンズ型枠21、後レンズ型枠24及び側周レンズ型枠33の少なくとも2つをずれないように固定する粘着テープや容易に剥がせる接着剤等のレンズ型枠固定手段が設けられても良く、そのレンズ型枠固定手段は、前後レンズ型枠選定装置16や3次元プリンタ18に設けられあるいは独立して設けられたレンズ型枠固定手段貼付装置によってレンズ型枠42に貼付されても良いし、手動で貼付されても良い。又、側周レンズ型枠33が粘性や接着性を有するように(硬化後粘性や接着性を呈する材料で)形成され、前レンズ型枠21や後レンズ型枠24に対し固定されるようにしても良く、前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24の少なくとも一方が粘性や接着性を有するようにしても良い。

レンズ硬化装置19は、レンズ型枠42における前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24並びに側周レンズ型枠33に囲まれた部分にレンズ材料としての熱硬化性樹脂材料を充填するレンズ材料充填手段としての樹脂材料充填手段43と、熱硬化性樹脂材料の充填されたレンズ型枠42に対して、樹脂材料の種類等に応じた所定の態様(温度・時間等)で熱を加えて熱硬化性樹脂材料を硬化させるレンズ硬化手段44と、熱硬化性樹脂材料がレンズ型枠42内で硬化することにより形成された仕上げ前眼鏡レンズ45(図4)をレンズ型枠42から離す離型手段46と、接続手段47と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段48と、これらを制御する制御手段49を有している。レンズ硬化手段44は例えばヒータを備えたチャンバであり、離型手段46は例えばロボットハンドである。尚、熱硬化性樹脂材料に代えて例えばUV硬化樹脂材料といった他のレンズ材料を用いても良く、熱硬化性樹脂に代えて例えばUV硬化樹脂といった他のプラスチックを用いても良い。

仕上げ切削装置20は、玉型の眼鏡レンズ50(図4参照)の輪郭形状データ51(図5)や、玉型の眼鏡レンズの側周面であるコバの形状の種類を表すコバ種類データ52等の各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段53と、仕上げ前眼鏡レンズ45を切削する切削手段54と、接続手段56と、これらを制御する制御手段58を有している。切削手段54は、例えばNC制御される砥石及びチャックであり、仕上げ前眼鏡レンズ45を、外形が輪郭形状データ51に基づく形状になるように切削して、眼鏡レンズ50となるようにする。仕上げ前眼鏡レンズ45は、眼鏡レンズ50となる部分と、その部分に付加された棒状のハンドリング部45aを有する。仕上げ前眼鏡レンズ45は、ハンドリング部45aを掴むことで、眼鏡レンズ50となる部分に触れることなく眼鏡レンズ50となる部分の代わりに保持することができ、ハンドリング部45aは、仕上げ前眼鏡レンズ45作製後の工程における仕上げ前眼鏡レンズ45の取り扱い用として設けられる。

各端末4は、処方データ6を始めとする各種のデータ、及びプログラムが記憶される記憶手段60と、各種のデータの送受信が行われる通信手段62及び接続手段63と、これらをプログラム等に基づいて制御する制御手段64を有している。 各端末4には、処方データ6やコバ種類データ52を入力する入力手段66、及び輪郭形状データ51(特に左右を区別する場合装用者からみて左の輪郭形状データ51L,右の輪郭形状データ51Rとし以下同様)を入力する輪郭形状入力手段68が、サーバ2に対する3次元プリンタ16等と同様、それぞれ接続手段69,70を介して通信可能に接続されている。

入力手段66は、マウス等のポインティングデバイス、あるいはキーボード、タッチパネル、又はこれらの組合せであり、コバ種類データ52や処方データ6の入力をその操作により受け付けて、接続手段69を介して端末4に送信する。 処方データ6は、例えばS度数、乱視度数(C度数)、乱視軸、加入度、プリズム、コバ厚、カラー、瞳孔間距離である。尚、処方データ6は左右個別となっていることが好ましいが、適宜左右共通のものや単一のものを用いることができる。 コバ種類データ52は、眼鏡レンズ50のコバの断面がΛ字状(三形状)に突出したヤゲン形状T(図6(a))を有するのであればその突出高さや頂点の前面周縁からの距離に応じてT−1,T−2等とし、断面がU字状に凹んだ溝形状K(図6(b))を有するのであればその深さや最深部の前面周縁からの距離に応じてK−1,K−2等とし、断面が平ら(平摺り)であればH−1,H−2等とする。例えば、コバ種類データ52は、T−1であれば、0.7ミリメートル(mm)の突出高さを有し、前面周縁から1.0mmの平距離を有する位置に頂点を有するヤゲン形状を表し、コバ種類データ52は、K−1であれば、0.6mmの深さを有し、前面周縁から1.0mmの水平距離を有する位置に最深部を有する所定幅の溝の形状を表す。尚、コバ種類データ52は、コバ断面が台形状であるヤゲン形状等他の形状を示すものを含んでも良く、この場合、例えば台形状のヤゲン形状についてD−1,D−2等としても良いし、三角形状のヤゲンをT−a−1として台形状のヤゲン形状をT−b−1等としても良い。又、コバ種類データ52は、左右個別に取得されても良い。

輪郭形状入力手段68は、眼鏡レンズ50の玉型の輪郭を表す輪郭形状データ51の入力を受け付ける。輪郭形状データ51は、輪郭形状入力手段68の図示しない制御手段による制御に基づき、接続手段70を介して端末4に送信される。輪郭形状入力手段68は、例えば、眼鏡枠Fに係る左右のリム内周形状をプローブの走査により輪郭形状データ51としてデータ化する眼鏡枠トレーサである。眼鏡レンズ50は、眼鏡枠Fのリムに取り付けるため、リム形状(リム内周形状)に対応する玉型に形成される。輪郭形状データ51は、眼鏡枠Fのリム内周形状に関する、所定の原点に対する所定数の座標取得点(例えば100点)のXY座標値の集合である。隣接する座標取得点は、原点あるいはその他の任意の点に対してそれぞれ等角度となるように選択される。又、輪郭形状データ51には、アイポイントE(XY平面上に投影した装用時の瞳孔位置,眼鏡レンズ50の光学中心Cに合致させる)の座標値が含まれる。輪郭形状データ51は、ヤゲン形状の頂点や溝形状の最深部や平摺り部の輪郭を表すものとして取得されるが、眼鏡レンズ50の前面(あるいは後面)の輪郭を表すものとして取得されても良い。眼鏡レンズ50の玉型(眼鏡枠F装着時の外形)は、輪郭形状データ51で示される輪郭形状と、コバ種類データ52で示されるコバ形状(側周断面形状)により表される。リムレス(ツーポイント)のように輪状のリムのない眼鏡枠Fや、ナイロールのように眼鏡レンズ50取り付け前において輪状のリムのない眼鏡枠Fの場合、輪郭形状データ51は、所望の眼鏡レンズ50の玉型を呈するダミーのリム(あるいはダミーの玉型レンズ)を眼鏡枠トレーサに走査させることで得て良い。又、輪状のリムの有無にかかわらず、輪郭形状データ51は、入力手段66や、図面に記載された形状を読み取るスキャナから入力されても良いし、既存のものを選択することで入力されても良い。輪郭形状データ51は、リム内周形状を表すデータに対し所定の演算を施すことで得ても良い。即ち、輪郭形状データ51は、眼鏡枠Fのリム形状に完全に合致しなくても良い。コバ種類データ52も、同様に眼鏡枠Fのリム形状に完全に合致しなくても良い。 尚、座標取得点は、隣接するものがそれぞれ等距離あるいは同じ形状長さとなるように選択されても良い。又、輪郭形状データ51は左右個別となっていることが好ましいが、一方のみが取得され、その取得されたデータを用いて他方の輪郭形状データ51がY軸に対称な形状として演算されるようにしても良い。更に、輪郭形状データ51はZ軸座標値も含む3次元の座標値の集合とされても良い。又更に、輪郭形状入力手段68でコバ種類データ52が検知されるようにしても良いし、コバ種類データ52に代えて、あるいはこれと共に、眼鏡枠トレーサでコバに対応する眼鏡枠Fのリム形状(ヤゲンに対応する溝や溝に対応する突起等の形状)をデータ化して当該コバ形状データを用いても良い。輪郭形状データ51とコバ種類データ52(あるいはコバ形状データ)とを共通化して、眼鏡レンズ50の玉型を表す玉型データとしても良い。コバ種類データ52を省略し、既に決定された断面形状のコバに仕上げるようにしても良い。加えて、アイポイントEは、輪郭形状データ51ではなく、処方データ6等として取り扱われても良い。又、アイポイントEが座標取得点等の原点であるものとして処理されても良い。輪郭形状データ51等に係る演算の一部又は全部は、端末4において行われても良い。更に、眼鏡枠トレーサが(メーカーにおいて)サーバ2に接続され、眼鏡枠Fがサーバ2側(メーカー)に送られて眼鏡枠トレーサにセットされ、輪郭形状データ51がサーバ2に入力されるようにしても良い。

≪動作等≫ 図7は、眼鏡レンズ製造システム1の動作例に係るフローチャートである。各装置の動作に関し、その制御手段の動作が、適宜その装置の動作として説明される。例えば、サーバ2の制御手段14の動作が、サーバ2の動作として適宜説明される。又以下では、処理のステップが適宜Sと記載される。ステップは、適宜同等の処理を行う他の1以上のステップに変更されて良いし、適宜順序が入れ替えられても良い。 眼鏡店を始めとする発注者側に配置された端末4は、入力手段66から処方データ6やコバ種類データ52を受信する(S1)。例えば、処方データ6としてS度数−3.00及びコバ厚5.0mmが入力され、コバ種類データ52としてT−1が入力される。 又、輪郭形状入力手段68に眼鏡枠F等がセットされて輪郭形状データ51が取得され、端末4は輪郭形状データ51を受信する(S2)。例えば、輪郭形状データ51Rとして図5に示されるような形状を表すデータが入力される。 端末4は、処方データ6、輪郭形状データ51、及びコバ種類データ52の組を、他の組と区別するための識別記号を付したうえで記憶する。そして、端末4は、発注了承の入力を受けると、これらのデータや識別記号を、サーバ2に送信する(S3)。輪郭形状データ51を取得する端末4及び輪郭形状入力手段68並びにサーバ2の少なくとも何れかは輪郭形状データ取得手段を構成し、コバ種類データ52を取得する端末4及び入力手段66並びにサーバ2の少なくとも何れかはコバ形状データ取得手段を構成する。

サーバ2は、処方データ6、輪郭形状データ51、及びコバ種類データ52の組を受信すると、識別記号毎に記憶する(S4)。 そして、サーバ2は、処方データ6から、前後レンズ型枠選定データ27を演算し、前後レンズ型枠選定装置16へ送信する(S5)。例えば、S度数−3.00により、眼鏡レンズ50の屈折率が1.60であることを前提として、後面21a(図3)の曲率半径が200.00mmである前レンズ型枠21と、前面24a(図3)の曲率半径が100.00mmである後レンズ型枠24が選定される旨を示すデータを生成する。前レンズ型枠21の後面21aは、眼鏡レンズ50の前面を規定し、後レンズ型枠24の前面24aは、眼鏡レンズ50の後面を規定する。サーバ2は、S度数毎に、前レンズ型枠21の後面21aの曲率半径と後レンズ型枠24の前面24aの曲率半径の組(前後レンズ型枠の種類)をデータベースとして記憶しており、処方データ6のS度数に基づいてデータベースにアクセスして、前後レンズ型枠選定データ27を得る。尚、前後レンズ型枠選定データ27の演算の一部又は全部は、前後レンズ型枠選定装置16で行われても良い。又、処方データ6は眼鏡レンズ50の材料に関する材質データを含んでも良く、サーバ2は、その材質データで示される材料により眼鏡レンズ50を作製した場合の屈折率を加味して、前後レンズ型枠選定データ27を得ても良い。材質データは、屈折率や透過率等の材料の性質を示すものとされても良い。又、材質データは、処方データ6(S度数等)から演算されても良い。

又、サーバ2は、処方データ6、輪郭形状データ51、及びコバ種類データ52から、側周レンズ型枠形状データ32を演算し、3次元プリンタ18に送信する(S6)。尚、側周レンズ型枠形状データ32の演算の一部又は全部は、3次元プリンタ18で行われても良い。 例えば、サーバ2は、側周レンズ型枠形状データ32のベース形状データとして、図5のような輪郭形状データ51に対応する内面を持ち、この内面に対して所定量だけ径方向外方にオフセットした外面を持ち、処方データ6のコバ厚に対応した肉厚を持つリング形状データを演算する。当該ベース形状データには、アイポイントEも含まれる。尚、サーバ2は、処方データ6のコバ厚に代えて、S度数あるいは前後レンズ型枠選定データ27が示す前レンズ型枠21の後面21aの曲率半径と後レンズ型枠24の前面24aの曲率半径を参照して、側周レンズ型枠形状データ32のベース形状データの肉厚(分布)を算出しても良いし、S度数等とコバ厚の双方を参照して一層正確な肉厚(分布)のデータを演算しても良い。 又、サーバ2は、側周レンズ型枠形状データ32のハンドリング部形状データとして、互いに所定間隔を置いたX軸に沿う2本の帯状部分の予め演算しておいた結果を参照すると共に、肉厚についてベース形状データと同様に演算する。そして、サーバ2は、ハンドリング部形状データをベース形状データの所定位置に接続するように付加する。 更に、サーバ2は、側周レンズ型枠形状データ32のベース形状データの内面について、コバ種類データ52が示すコバ形状に対応する面形状に変える。コバ種類データ52がT−1であれば、そのヤゲン形状に合う凹部を演算する。即ち、サーバ2は、元の内面のデータを、前面周縁から1.0mmの水平距離を有する位置に0.7mmの最深部を有するヤゲン溝の形状データを加味したものに変更する。 加えて、サーバ2は、輪郭形状データ51とコバ種類データ52を、仕上げ切削装置53に送信する(S7)。尚、サーバ2で行われる演算の一部又は全部は、端末4を始めとする他の装置で行われても良い。

前後レンズ型枠選定データ27を受信した前後レンズ型枠選定装置16は、これを記憶して参照し、前後レンズ型枠選定手段28によって、前後レンズ型枠選定データ27により示される種類の前レンズ型枠21,後レンズ型枠24を前レンズ型枠ストッカ22,後レンズ型枠ストッカ26から選定して、図示しない搬送手段により3次元プリンタ18に搬送する(S8)。上記例示の前後レンズ型枠選定データ27であれば、後面21aの曲率半径が200.00mmである前レンズ型枠21と、前面24aの曲率半径が100.00mmである後レンズ型枠24が選定される。

側周レンズ型枠形状データ32を受信すると共に、これに対応する前レンズ型枠21,後レンズ型枠24を受け取った3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠形状データ32に基づいて、前レンズ型枠21の後面21aと後レンズ型枠24の前面24aの内の少なくとも一方に、側周レンズ型枠33を形成する(S9)。3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠形状データ32のアイポイントEと前レンズ型枠21(後レンズ型枠24)の光学中心Cとが一致する配置において、側周レンズ型枠33を形成する。 3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠形状データ32を順次参照し、液体定量吐出手段34における走査と液体樹脂の吐出量を制御すると共に、UV照射手段35による液体樹脂に対するUVの照射を制御して、硬化した側周レンズ型枠33を形成する。UVで硬化する液体樹脂として、例えばアクリレートを主成分とするもの(アクリレート系UV硬化樹脂)及びエポキシ樹脂を主成分とするもの(エポキシ系UV硬化樹脂)の内の少なくとも一方が用いられる。前者は、UV照射を停止すると直ちに硬化反応が停止するが、硬化前後における体積変化が比較的に大きく、硬化前の体積に比べて硬化後の体積が比較的に大きく収縮する。後者は、UV照射停止後においても硬化反応が継続するが、硬化前後における体積変化が比較的に小さく、硬化前の体積に比べ硬化後の体積はさほど収縮しない。かような複数種類のUV硬化樹脂は、レンズ型枠として要求される精度や硬化速度(効率)等に応じたものを選び出して使用したり、精度や効率に応じ適宜混合して使用したりする。

3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠33の形成後、これを介して前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24が合わさった状態となるようにこれらを配置してレンズ型枠42を組み立て、図示しない搬送手段によりレンズ硬化装置19へ搬送する。尚、前レンズ型枠21、後レンズ型枠24、及び側周レンズ型枠33の結合、即ちレンズ型枠42の組み立ては、レンズ硬化装置19において行われても良い。又、3次元プリンタ18あるいは他の3次元プリンタは、前後レンズ型枠選定データ27や処方データ6等に基づいて前レンズ型枠21の一部又は全部を形成しても良いし、同様に後レンズ型枠24の一部又は全部を形成しても良いし、双方の一部又は全部を形成しても良い。例えば、前レンズ型枠21の基体が用意され、その基体の後面に対し、S度数に合う後面21aを有するUV硬化樹脂製の付加部分が形成されても良いし、後レンズ型枠24の基体が用意され、その基体の前面に対し、S度数に合う前面24aを有する付加部分が形成されても良い。これらの場合、UV硬化樹脂製の付加部分を含む面は、研磨手段等によって仕上げ加工されても良い。あるいは、ガラス製等の側周レンズ型枠33が、そのストッカから選定されるようにしても良い。又、側周レンズ型枠33の基体における内面の少なくとも一部に対して、3次元プリンタ18でUV硬化樹脂を堆積することで、側周レンズ型枠33が形成されても良い。側周レンズ型枠33の基体の内面は例えば仕上げ前眼鏡レンズ45の全体を包含可能な形状であり、その内面の一部又は全部に対し、側周レンズ型枠形状データ32に応じた内面を有するUV硬化樹脂が付加されて良い。側周レンズ型枠33の基体は、1種類であっても良いし、複数種類存在しても良く、後者の場合に、側周レンズ型枠形状データ32等に基づいて基体ストッカから選定されるようにしても良い。側周レンズ型枠33の基体は、ガラス製であって良く、楕円形であっても良い。

レンズ硬化装置19は、レンズ型枠42を受け取ると、熱硬化性樹脂材料をレンズ型枠42に流し込んで硬化させ、熱硬化性樹脂製の仕上げ前眼鏡レンズ45を作製する(S10)。 即ち、まずレンズ硬化装置19の樹脂材料充填手段43が、レンズ型枠42(前レンズ型枠21、後レンズ型枠24、及び側周レンズ型枠33で囲まれた部分)に、熱硬化性の樹脂材料を充填する。樹脂材料充填手段43は、樹脂材料を、レンズ型枠42の充填口J(図3)から充填する。仕上げ前眼鏡レンズ45(図4)がハンドリング部45aを備えるようにすることで、レンズ型枠42の内部に通じる充填口Jが形成される。樹脂材料充填手段43は、センサによりレンズ型枠42から樹脂材料が溢れることを把握して充填を終えても良いし、自身あるいはサーバ2等の他の装置で充填量を演算しておき、その充填量に達したら充填を終えても良い。又、レンズ硬化装置19は、前レンズ型枠21、後レンズ型枠24、及び側周レンズ型枠33の少なくとも何れかが離れた状態でレンズ型枠42を受け取り、その状態で樹脂材料を充填した後、前レンズ型枠21、後レンズ型枠24、及び側周レンズ型枠33を全て組み合わせるようにしても良い。例えば、レンズ硬化装置19は、後面21aに側周レンズ型枠33が結合された前レンズ型枠21と、後レンズ型枠24を個別に受け取り、前レンズ型枠21と側周レンズ型枠33で囲まれた部分に樹脂材料を流し込んだ後、側周レンズ型枠33に後レンズ型枠24をかぶせても良い。かように樹脂材料の充填後にレンズ型枠42の組み立てを完成させることで、側周に充填口Jが露出していなくてもレンズ型枠42内に樹脂を充填することができる。加えて、レンズ硬化装置19は、処方データ6(材質データ)をサーバ2等から受信して、樹脂材料充填手段43が眼鏡レンズ50に係る材質データで示される材質の樹脂材料を選択して充填するようにしても良い。 従来の丸レンズは、丸い前レンズ型枠21と後レンズ型枠24の間全体に樹脂材料を充填して形成されるに等しく、よって眼鏡レンズ製造システム1における樹脂材料の使用量は大幅に低減される。又、樹脂材料は、3次元プリンタ18で使用可能である必要はなく、低コストのものから高性能のもの(硬化後に高屈折率を呈するもの等)まで幅広く使用することができ、眼鏡レンズ50として十分な性能を有するものを使用することができる。

次に、レンズ硬化手段44が樹脂材料入りのレンズ型枠42を加熱し、樹脂材料を硬化させて熱硬化性樹脂製の仕上げ前眼鏡レンズ45を形成する。樹脂材料のレンズ型枠42内での硬化に際し、前レンズ型枠21と後レンズ型枠24は、ガラス製のもの等、後面21aや前面24aについて十分に平滑なものを使用することができ、光学的に重要な眼鏡レンズ50の前面や後面は、眼鏡レンズとして十分な性能を有するものに形成される。 続いて、離型手段46が、レンズ型枠42から仕上げ前眼鏡レンズ45を取り出す。例えば、離型手段46は、ロボットハンドにより、前レンズ型枠21、後レンズ型枠24、及び側周レンズ型枠33の少なくとも何れかを分離し、仕上げ前眼鏡レンズ45を取り出す。あるいは、離型手段46は、仕上げ前眼鏡レンズ45入りのレンズ型枠42を洗浄用等の液槽に投入し、液槽(液中)内において液の作用でレンズ型枠42から離れた仕上げ前眼鏡レンズ45を取り出す。仕上げ前眼鏡レンズ45中の眼鏡レンズ50となる部分の前面は、前レンズ型枠21の後面21aに従い曲率半径が200.00mmであるものとして形成され、眼鏡レンズ50となる部分の後面は、後レンズ型枠24の前面24aに従い曲率半径が100.00mmであるものとして形成される。前レンズ型枠21や後レンズ型枠24は回収され、適宜洗浄のうえで、それぞれのストッカ(前レンズ型枠ストッカ22,後レンズ型枠ストッカ26)に戻される。 そして、レンズ硬化装置19は、取り出した仕上げ前眼鏡レンズ45を、図示しない搬送手段により仕上げ切削装置20に搬送する。レンズ硬化装置19の搬送手段は、仕上げ前眼鏡レンズ45のハンドリング部45aを掴むことで、眼鏡レンズ50となる部分に接触することなく仕上げ前眼鏡レンズ45を取り扱うことができる。

仕上げ切削装置20は、S7でサーバ2から送信された輪郭形状データ51及びコバ種類データ52を受信するとこれらデータを記憶しており、これらデータに対応した(これらデータに係る識別記号と同一の識別記号を有する)仕上げ前眼鏡レンズ45を受け取ると、これらデータに基づいて仕上げ前眼鏡レンズ45を切削し、眼鏡レンズ50を仕上げる(S11)。 即ち、仕上げ切削装置20は、仕上げ前眼鏡レンズ45をソフトタッチチャックで固定し、切削手段54によってハンドリング部45aを切り離して、処方データ6(S度数等)や輪郭形状データ51(アイポイントEを含む)、コバ種類データ52に従った眼鏡レンズ50を作製する。仕上げ切削装置20は、切削手段54の砥石としてコバ種類データ52に係るコバ形状に対応する砥石面を有するものを選択し、切り離すラインが輪郭形状データ51に合致したものとなるように切削手段54の砥石が移動される。尚、仕上げ切削装置20は、砥石面の形状でコバを形成せず、予め演算したコバ形状データに基づく3次元NC制御切削によってコバを形成しても良いし、輪郭形状データ51より大きめにカットをし若しくは荒削りをしてからコバを形成しても良い。又、仕上げ切削装置20は、眼鏡レンズ50のハンドリング部45a接続部以外のコバを切削しあるいは研磨しても良い。

仕上げ切削装置20は、ハンドリング部45aの切り離しのみによって切削が完了するので、切削時間が短くて済み、効率が良好である。又、樹脂で無駄になる部分は、ハンドリング部45aのみである。 尚、図8に示すように、サーバ2は側周レンズ型枠形状データ32として輪郭形状データ51から所定距離以上離れた最小の楕円筒面を内面に持つものを演算し、3次元プリンタ18は楕円リング状の側周レンズ型枠33を形成し、レンズ硬化装置19は側周が楕円形である仕上げ前眼鏡レンズ45を硬化し、仕上げ切削装置20は輪郭形状データ51及びコバ種類データ52に従い仕上げ前眼鏡レンズ45を切削して眼鏡レンズ50を製造しても良い。この場合も、仕上げ前眼鏡レンズ45から眼鏡レンズ50を除いた部分がハンドリング部45aとなって取り扱い易いし、樹脂材料の使用量が低減されるし、丸レンズを切削する場合に比較して切削の効率が良好である。又、側周レンズ型枠33が楕円形となるので、演算量が比較的に少なくて済む。更に、仕上げ前眼鏡レンズ45の形状が楕円形に統一され、又ハンドリング部45aが側周全体に亘ることとなり、仕上げ切削装置20への搬送を始めとする仕上げ前眼鏡レンズ45作製後の工程での取り扱いが容易になる。側周レンズ型枠形状データ32は所定種類のみ用意されるものとし、サーバ2は輪郭形状データ51に係る形状の全体を含み得る最小の種類の側周レンズ型枠形状データ32を選択するようにして良い。 又、側周レンズ型枠形状データ32が輪郭形状データ51(及びコバ種類データ52)で表される眼鏡レンズ50の側周に一致する内面形状を表すように生成されるようにして、眼鏡レンズ50が輪郭形状又は玉型で硬化するようにし、仕上げ切削の大部分あるいは全部を省略するようにして良く、仕上げ切削装置20が発注者側に設置されても良いし省略されても良い。 あるいは、仕上げ切削装置20等による眼鏡レンズ50の作製後に、又は仕上げ前眼鏡レンズ45の作製後(仕上げ切削前)に、眼鏡レンズ50や仕上げ前眼鏡レンズ45の前面及び後面並びに側周面(コバ)の少なくとも何れかに対し1種以上の膜が形成されても良い。例えば、無機酸化物等の低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した光学多層膜(反射防止膜等)や、ハードコート膜、防水膜、若しくは防汚膜、偏光膜、遮光膜又はこれらの組合せが形成されて良い。レンズ硬化装置19による仕上げ前眼鏡レンズ45作製後の工程(仕上げ切削装置20との間)において、仕上げ前眼鏡レンズ45の同様箇所に対して同様の膜が形成されても良い。 又、仕上げ切削装置20等による眼鏡レンズ50の作製後や仕上げ前眼鏡レンズ45の作製後(仕上げ切削前)において、眼鏡レンズ50や仕上げ前眼鏡レンズ45に対し着色が施されても良い。眼鏡レンズ50の着色や仕上げ前眼鏡レンズ45の着色は、顔料による着色や、染料による染色、レンズ材料に対する着色、着色膜の付加、あるいはこれらの組合せ等により行うことができる。

かように製造された眼鏡レンズ50は、適宜検品を経て、発注側の場所あるいは発注側の指定する場所に送付される。これらの場所を示すデータは、サーバ2において端末4から受信して記憶しておいて良い。又、眼鏡レンズ50についての決済情報も、同様に受信して記憶しておき、適宜この決済情報を用いて決済側サーバコンピュータ等にアクセスし、眼鏡レンズ50の決済を行っても良い。 発注側等においては、対応する眼鏡枠Fに眼鏡レンズ50を入れ、眼鏡を完成させる。 眼鏡レンズ製造システム1は、かような動作を識別記号毎に適宜繰り返す。尚、眼鏡レンズ製造システム1は、所定の仕上げ前眼鏡レンズ45や眼鏡レンズ50の在庫を確保する等の場合において、識別記号や輪郭形状データ51等を得ずにこれらを製造して良く、この場合において、レンズ型枠42の一部や全部を、適宜洗浄のうえで再利用しても良い。

≪作用効果等≫ 以上の眼鏡レンズ製造システム1は、レンズ型枠42にレンズ材料(熱硬化性樹脂材料)を充填する樹脂材料充填手段43(レンズ材料充填手段)を有しており、レンズ型枠42の少なくとも一部が、3次元プリンタ18により形成される。 即ち、眼鏡レンズ製造システム1は、レンズ材料を充填するレンズ型枠42と、硬化可能な液体樹脂を吐出する3次元プリンタ18と、を備えており、3次元プリンタ18は、レンズ型枠42の少なくとも一部を、液体樹脂を吐出して形成する。 よって、眼鏡レンズ50は、任意の形状に形成されたレンズ型枠42に従って任意の形状に形成され、直接3次元プリンタ18で形成される場合に比べ、3次元プリンタ18で使用可能なレンズ材料を用いるという制約がないために光学的性能や物理的性能がより良好な状態で形成される。現状、3次元プリンタ18において現実的コストで使用可能なレンズ材料から形成された任意形状の眼鏡レンズでは、十分な(現状の一般的眼鏡レンズと同等以上の)光学的性能や物理的性能を具備させることができない。これに対し、眼鏡レンズ製造システム1では、3次元プリンタ18がレンズ型枠42の形成に用いられ、適宜3次元プリンタ18により形成したレンズ型枠42により規定された仕上げ前眼鏡レンズ45の部分に仕上げ加工を施すことで、任意形状の眼鏡レンズ50が、十分な光学的性能や物理的性能を具備する状態で作製される。

又、レンズ型枠42は、後面21aが眼鏡レンズ50の前面を規定する前レンズ型枠21と、前面24aが眼鏡レンズ50の後面を規定する後レンズ型枠24と、内面が眼鏡レンズ50の側周を規定する側周レンズ型枠33とを有しており、3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠33を形成する。よって、仕上げ前眼鏡レンズ45が眼鏡レンズ50に近い形状に作製されたり、所望の玉型(輪郭形状、あるいは輪郭形状及びコバ形状の組合せ)を有する眼鏡レンズ50が直接作製されたりすることとなり、レンズ材料の使用量や仕上げ前眼鏡レンズ45の加工量が減少する。

更に、眼鏡レンズ50の輪郭形状を示す輪郭形状データ51を取得する輪郭形状入力手段68(あるいはサーバ2の通信手段12等)が設けられており、3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠33の内面を、輪郭形状データ51に応じた形状に形成する。よって、眼鏡レンズ50の外形が眼鏡枠Fのリム形状等に応じた所望の形状に形成され、レンズ材料の使用量や仕上げ前眼鏡レンズ45の加工量が低減する。

又、輪郭形状データ51は、発注者側コンピュータである端末4から送信される。よって、発注者から眼鏡枠Fそのものを受領することなく、リム形状等に応じた形状の眼鏡レンズ50が作製される。

更に、3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠33の内面を、輪郭形状データ51が示す形状に対し、眼鏡レンズとなる部分の代わりに保持するためのハンドリング部45aの形状を付加した形状に形成する。よって、仕上げ前眼鏡レンズ45において眼鏡レンズ50となる輪郭形状データ51内部部分以外の部分であるハンドリング部45aが形成され、仕上げ前眼鏡レンズ45作製後の工程においてハンドリング部45aを保持することで仕上げ前眼鏡レンズ45が取り扱い易くなり、眼鏡レンズ50となる部分が保護される。特に、ハンドリング部45aの形状が一定あるいは所定範囲内に収まるようにすれば、仕上げ前眼鏡レンズ45作製後の工程における治具は、仕上げ前眼鏡レンズ45の形状別に設ける必要がなく種類数が少なくて済み、あるいは仕上げ前眼鏡レンズ45の様々な形状に対応可能に形成する必要がなく複雑化しない。又、前レンズ型枠21や後レンズ型枠24の側周に達するハンドリング部45aが形成されることで、レンズ材料をレンズ型枠42内に充填するための充填口Jが設けられる。

又更に、眼鏡レンズ50を入れる眼鏡枠Fのコバ形状を示すコバ種類データ52を取得する入力手段66(あるいはサーバ2の通信手段12等)が設けられており、3次元プリンタ18は、側周レンズ型枠33の内面(ハンドリング部45a接続部以外の部分)を、コバ種類データ52に応じた形状に形成する。よって、眼鏡レンズ50(仕上げ前眼鏡レンズ45)が、ヤゲン形状や溝形状等のコバ形状を有する状態で、レンズ型枠42によって形成される。

又、コバ種類データ52は、発注者側コンピュータである端末4から送信される。よって、発注者から眼鏡枠Fそのものを受領することなく、所望のコバ種類に応じたコバ形状を有する眼鏡レンズ50が作製される。

加えて、前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24は、ガラス製である。よって、側周と比較して光学的に重要な眼鏡レンズ50の前面及び後面が、十分に平滑に形成される。又、前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24が繰り返し使用可能であり、コストが低減される。

又、眼鏡レンズ製造システム1において、レンズ材料が熱硬化性樹脂材料であるから、光学的性能や物理的性能に優れ取り扱い易く、又レンズ型枠42に流し込み易くレンズ型枠42内で硬化させ易い等製造管理の容易な熱硬化性樹脂製の眼鏡レンズ50が製造される。

更に、眼鏡レンズ製造システム1において、3次元プリンタ18は液体樹脂を硬化させるUV照射手段35を有しており、液体樹脂はUV硬化樹脂であり、UV照射手段35によってUV硬化樹脂を硬化させるから、レンズ型枠42(の一部)を容易に形成することができる。特に、レンズ硬化装置19がレンズ材料をレンズ型枠42に入れて加熱により硬化させて仕上げ前眼鏡レンズ45を作製する場合、レンズ型枠42を加熱せずに硬化可能とすることができ、レンズ型枠42が加熱された場合に想定される、レンズ材料充填中に硬化が開始してしまう等の悪影響が防止される。 尚、液体樹脂が熱硬化樹脂であって加熱による硬化(硬化手段は加熱手段である)によりレンズ型枠42が作製され、更にレンズ硬化装置19がレンズ材料をレンズ型枠42に入れて加熱により硬化させて仕上げ前眼鏡レンズ45を作製する(レンズ硬化手段も加熱手段である)場合であっても、レンズ型枠42の硬化温度よりレンズ材料の硬化温度が高ければ、レンズ型枠42は、上述の悪影響を回避した状態で、作製により予熱されることになり、レンズ型枠42を用いたレンズ材料の硬化の効率が良好になる。 又、液体樹脂は、吐出後における成分の変化により硬化する自然硬化樹脂であっても良い。例えば、自然硬化樹脂は、吐出後において空気中の成分(水分や酸素等)と反応して硬化する瞬間接着剤やコーキング剤等の樹脂であっても良いし、吐出後において溶媒(水分や炭化水素等)等の一部の成分が自然に離脱(蒸発等)して溶質等の残余部分が硬化する乾燥硬化型の樹脂であっても良い。この場合、UV照射手段35や加熱手段が省略可能であり、構成がよりシンプルになる。 あるいは、液体樹脂は、吐出後において特定成分(水や硬化用樹脂等)を導入してその特定成分を混合させあるいは付着させることにより硬化する混合硬化型の樹脂であっても良い。この場合、硬化手段は、特定成分を導入する(混合させあるいは付着させる)硬化用成分導入手段である。 液体樹脂(流動性樹脂)の硬化は、表面のみ硬化し、内部が硬化しないものであっても良い。

[第2形態]≪構成等≫ 本発明の実施の第2形態に係る眼鏡レンズ製造システムは、第1形態の眼鏡レンズ製造システム1と、変更例も含め同様に成る。但し、第2形態では、流動性樹脂吐出手段に関し、3次元プリンタに代えて、樹脂吐出ディスペンサー(ディスペンサー)が用いられる。以下、第2形態に係る眼鏡レンズ製造システムにおける、第1形態の眼鏡レンズ製造システム1と同様に成る手段や部分等については、第1形態と同じ符号が付されて適宜説明が省略される。 尚、3次元プリンタは、流動性樹脂を堆積可能なものであるのに対し、ディスペンサーは、流動性樹脂を堆積させずに吐出するものである。

図9は第2形態に係る眼鏡レンズ製造システムにおけるディスペンサー118のブロック図であり、図10は前レンズ型枠21の後面21aに対して粘性樹脂Vが吐出される場合のレンズ型枠42ないし粘性樹脂吐出手段134の縦端面模式図である。 流動性樹脂吐出手段としてのディスペンサー118は、UVで硬化する粘性の高い流動性樹脂である粘性樹脂VをUVの照射により硬化させて側周レンズ型枠形状データ32に基づく形状の側周レンズ型枠33を形成するものである。ディスペンサー118は、粘性樹脂吐出手段134と、UV照射手段35と、接続手段36と、各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段37と、前レンズ型枠21に対して後レンズ型枠24を固定する固定手段139と、これらを制御する制御手段38を有している。粘性樹脂吐出手段134は、前後レンズ型枠選定装置16から受け取った前レンズ型枠21の後面21a又は後レンズ型枠24の前面24aに対し、側周レンズ型枠形状データ32に基づいて側周レンズ型枠33の形状に沿って粘性樹脂Vを吐出する。粘性樹脂吐出手段134は、粘性樹脂Vの上に粘性樹脂Vを載せることはせず、粘性樹脂Vを堆積させない。粘性樹脂吐出手段134は、粘性樹脂Vを、側周レンズ型枠形状データ32における最も大きい厚み以上の高さを有する状態で吐出する。粘性樹脂Vは、粘性樹脂吐出手段134により吐出可能であり、又吐出後の形状変化が重力以外の外力のない場合にほぼ起こらない程度の粘性を有している。 尚、粘性樹脂吐出手段134における吐出量(吐出速度)の制御や移動速度の制御により、粘性樹脂吐出手段134は、側周レンズ型枠形状データ32の厚み(高さ)に(ある程度)応じるように粘性樹脂Vを吐出しても良い。又、粘性樹脂Vとして、第1形態と同様に、シリコンコーキング剤を始めとするコーキング剤等の粘性のある自然硬化樹脂が用いられても良い。

その後、ディスペンサー118は、側周レンズ型枠形状データ32を参照した固定手段139により、前レンズ型枠21に対して後レンズ型枠24を、側周レンズ型枠形状データ32が示す側周レンズ型枠33の厚みに即した所定の距離を有する状態で固定する。固定手段139としては、前レンズ型枠21に対する後レンズ型枠24の相対的な位置を調整する図示されない位置調整手段(アームと昇降台の組合せやロボットアーム等)と、前レンズ型枠21ないし後レンズ型枠24に亘り貼り付けられてこれらを支持する支持手段(ガスケットや図10(b)に図示された重合テープP等)の組合せが例示される。尚、支持手段は、貼り付け以外によって支持するものであっても良く、前レンズ型枠21又は後レンズ型枠24の何れか一方を支持するものであっても良い。又、固定手段139は、前レンズ型枠21と後レンズ型枠24の間隔を把握するセンサ(非接触センサやカメラあるいはこれらの組合せ等)を備えるようにし、その間隔把握センサ(により把握した前レンズ型枠21と後レンズ型枠24の現状の間隔)によって所定距離における固定を実行しても良い。

そして、UV照射手段35は、側周レンズ型枠形状データ32に従った形状に置かれた粘性樹脂Vや、その粘性樹脂Vを挟んだ状態で所定の距離で固定された前レンズ型枠21ないし後レンズ型枠24に対し、UVを照射して、粘性樹脂Vを硬化させて側周レンズ型枠33を形成すると同時に、前レンズ型枠21,後レンズ型枠24,側周レンズ型枠33が組み合わせられたレンズ型枠42の形成を完了する。ディスペンサー118は、かように形成されたレンズ型枠42を、レンズ硬化装置19へ搬送する。 尚、粘性樹脂Vの粘度は、硬化前においても前レンズ型枠21の後面21a又は後レンズ型枠24の前面24a上で形状を保持し易くする観点から、好ましくは50万mPa・s(ミリパスカル秒)以上とされ、より好ましくは100万mPa・s以上とされる。但し、粘性樹脂Vの粘度は、吐出可能であるものであることが前提となっており、好ましくは吐出の容易性と前述の形状保持容易性との兼ね合いで決定されるものである。又、粘性樹脂Vは、熱により硬化するものであっても良いし、熱及びUV照射により硬化するものであっても良い。 更に、側周レンズ型枠形状データ32は、厚み以外の2次元のものとされても良く、2次元の側周レンズ型枠形状データ32に付属して、あるいは側周レンズ型枠形状データ32とは別に、処方データ6から得られる仕上げ前眼鏡レンズ45あるいは眼鏡レンズ50の厚みに応じた前レンズ型枠21と後レンズ型枠24の距離のデータである距離データが設けられても良い。この場合、距離データは、予定される仕上げ前眼鏡レンズ45あるいは眼鏡レンズ50の中心厚に応じた、前レンズ型枠21の中心と後レンズ型枠24の中心の間の距離に係るものであっても良いし、予定される仕上げ前眼鏡レンズ45あるいは眼鏡レンズ50の縁(コバ)厚に応じた、粘性樹脂V(側周レンズ型枠23)内側における距離に係るものであっても良いし、予定される仕上げ前眼鏡レンズ45あるいは眼鏡レンズ50の厚みを確保した際に発生する前レンズ型枠21の縁と後レンズ型枠24の縁の間の距離に係るものであっても良いし、これらの組合せであっても良い。距離データは、サーバ2で演算されたものを受信しても良いし、ディスペンサー118において算出しても良い。 あるいは、前後レンズ型枠選定装置16が前レンズ型枠21及び後レンズ型枠24に加えて所定距離毎に用意された支持手段(台に置かれた前レンズ型枠21に対して所定距離を置いた状態で後レンズ型枠24を支持する突起と脚を有するリング状の支持体等)を選定し又は任意の距離に調節可能な支持手段を所定距離に調節してディスペンサー118に送るようにし、ディスペンサー118は受け取った支持手段を用いて所定距離で前レンズ型枠21や後レンズ型枠24を支持するようにしても良く、このとき側周レンズ型枠形状データ32は2次元のものとされて良い。 又更に、前レンズ型枠21や後レンズ型枠24は、粘性樹脂Vの硬化後(側周レンズ型枠33の形成後)に組み合わせられても良い。加えて、粘性樹脂Vの硬化後、レンズ硬化装置19へ搬送する前やレンズ硬化装置19へ搬送された後において、固定手段139による固定は解除されても良く、即ち支持手段は取り外されても良い。

≪動作等≫ 第2形態に係る眼鏡レンズ製造システムの動作例は、ディスペンサー118の動作を除き、第1形態の眼鏡レンズ製造システム1の動作例と同様である。第1形態の眼鏡レンズ製造システム1と同様の動作等(主に図7のS9以外)については、適宜説明が省略される。

図10(a)に示されるように、ディスペンサー118には、前後レンズ型枠選定装置16の選定(S8)に係る前レンズ型枠21が、後面21aを上にした状態で導入され、後面21aの上方に粘性樹脂吐出手段134のノズルが配置される。そして、制御手段38により、粘性樹脂吐出手段134のノズルが、粘性樹脂Vを吐出しながら側周レンズ型枠形状データ32に基づいて前レンズ型枠21に対して相対的に移動され、粘性樹脂吐出手段134は、前レンズ型枠21の後面21aに対し、粘性樹脂Vを、側周レンズ型枠形状データ32に従った形状で置いて行く(S9,但し3次元プリンタ18に代えてディスペンサー118により実行される)。例えば、粘性樹脂吐出手段134は、図2における側周レンズ型枠33の形状に即した形状で、粘性樹脂Vを置いて行く。

側周レンズ型枠形状データ32に係る形状の全体に亘り粘性樹脂Vが置かれると、図10(b)に示されるように、ディスペンサー118は、固定手段139(ロボットアームと重合テープP)により、前面24aを下にした状態の後レンズ型枠24を、前レンズ型枠21に対して、所定の距離を有する状態で固定する。粘性樹脂吐出手段134は、粘性樹脂Vを、側周レンズ型枠形状データ32における最大厚み以上の高さを有するように置いているから、粘性樹脂Vは、全体として、後レンズ型枠24の前面24aに接触する。尚、側周レンズ型枠形状データ32における厚みを超えた高さで置かれた粘性樹脂Vの部分は、所定距離で固定された後レンズ型枠24によって押し潰されて変形されるところ、その変形(特に内方への変形)が考慮された(内方への変形分拡大された)側周レンズ型枠形状データ32をサーバ2が生成するようにしても良いし、サーバ2が変形を考慮せず生成した側周レンズ型枠形状データ32を、ディスペンサー118が変形を考慮したものに変換するようにしても良い。又、粘性樹脂Vに係る内方への見込みの変形分に対し余裕をとって拡大された側周レンズ型枠形状データ32に従って粘性樹脂Vを置いて行き、仕上げ切削装置20で余裕分を切削するようにしても良い。 そして、ディスペンサー118は、図10(b)の状態における粘性樹脂Vに対してUV照射手段35を作動させ、粘性樹脂V全体に対し(一度に又は複数回に亘り若しくは各部分に分けて)UVを照射して、粘性樹脂Vを硬化させ、側周レンズ型枠33の形成を完了し、同時に、前レンズ型枠21,後レンズ型枠24,側周レンズ型枠33の組合せであるレンズ型枠42の形成を完了する。例えば、ディスペンサー118は、図3に示されるようなレンズ型枠42を形成する。 ディスペンサー118は、形成したレンズ型枠42をレンズ硬化装置19に送り、レンズ硬化装置19は、硬化前のレンズ材料をレンズ型枠42に充填して、レンズ硬化手段44によりレンズ材料を硬化させ、仕上げ前眼鏡レンズ45を形成する(S10,図4)。離型手段45は、レンズ型枠42から仕上げ前眼鏡レンズ45を取り出す際、重合テープPを外す。

≪作用効果等≫ 第2形態の眼鏡レンズ製造システムは、レンズ型枠42にレンズ材料を充填する樹脂材料充填手段43を有しており、レンズ型枠42の少なくとも一部が、ディスペンサー118により形成される。 即ち、第2形態の眼鏡レンズ製造システムは、レンズ材料を充填するレンズ型枠42と、硬化可能な粘性樹脂Vを吐出するディスペンサー118と、を備えており、ディスペンサー118は、レンズ型枠42の少なくとも一部を、粘性樹脂Vを吐出して形成する。 よって、第1形態の眼鏡レンズ製造システム1と同様に、眼鏡レンズ50は、任意の形状に形成されたレンズ型枠42に従って任意の形状に形成され、光学的性能や物理的性能が良好であり且つ丸レンズからの切削に比べ無駄の少ない状態で形成される。第2形態の眼鏡レンズ製造システムでは、硬化可能な粘性樹脂Vを吐出するディスペンサー118がレンズ型枠42の形成に用いられ、適宜ディスペンサー118により形成したレンズ型枠42で規定された仕上げ前眼鏡レンズ45の部分に仕上げ加工を施すことで、十分な光学的性能や物理的性能を具備する任意形状の眼鏡レンズ50が、無駄の少ない効率的な状態で作製される。 尚、第2形態の眼鏡レンズ製造システムは、第1形態の眼鏡レンズ製造システム1に比べ、液体樹脂を堆積(積層)させてレンズ型枠42の少なくとも一部を形成する3次元プリンタ18を用いていない点で精度が比較的に低くなるものの、下層の硬化工程やその下層へ液体樹脂を盛る積層工程が省略されるために製造時間が比較的に短い。ここで精度について詳述すると、第2形態の眼鏡レンズ製造システムにおいて、前レンズ型枠21に対して後レンズ型枠24を所定の距離で相対的に固定する固定手段139が設けられること等により、光学的に最も重要な高さ方向(Z軸方向)の形状の精度は担保可能であるものの、後レンズ型枠24の押し付け等によって粘性樹脂VのX軸方向やY軸方向における変形が発生し得ること等により、X軸方向やY軸方向の精度が比較的に低くなるものである。尚、第2形態の眼鏡レンズ製造システムにおける比較的に低い精度は、仕上げ切削によりカバーすることが可能である。 又、特にカーブの深い眼鏡レンズを製造する場合、前レンズ型枠21や後レンズ型枠24における側周レンズ型枠33を作ろうとする部分に高低差があることになるが、一般に第1形態の3次元プリンタ18ではノズルが基本的に平行移動するために大きな高低差の制御が比較的に難しく、制御や製造に比較的に手間がかかるところ、第2形態のディスペンサー118では一般に樹脂の堆積のための平行移動の制約がなく、必要量の液体樹脂を一周吐出すれば良いので、高低差がある場合であっても制御や製造が比較的に容易である。

又、第2形態の眼鏡レンズ製造システムにおいて、レンズ型枠42は、後面21aが眼鏡レンズ50の前面を規定する前レンズ型枠21と、前面24aが眼鏡レンズ50の後面を規定する後レンズ型枠24と、内面が眼鏡レンズ50の側周を規定する側周レンズ型枠33とを有しており、ディスペンサー118は、側周レンズ型枠33を形成する。よって、レンズ材料の使用量や仕上げ前眼鏡レンズ45の加工量がより減少する。又、レンズ型枠42における、光学的により重要で後加工がより大変な眼鏡レンズ50の前後面を規定する前レンズ型枠21や後レンズ型枠24は精度をより重視してディスペンサー118で形成せず、前面や後面に比べて光学的には重要ではなく後加工がより行い易いコバを規定する側周レンズ型枠33は形状可変性をより重視してディスペンサー118で形成する、というような適材適所が可能となる。 更に、第2形態の眼鏡レンズ製造システムにおいて、前レンズ型枠21に対し相対的に後レンズ型枠24を所定の距離で固定する固定手段139が設けられているため、ディスペンサー118から吐出された粘性樹脂Vにおける前レンズ型枠21上での高さが本来の高さ(側周レンズ型枠33として有すべき高さ)からある程度離れていたとしても、固定手段139による後レンズ型枠24の配置時に粘性樹脂Vを本来の高さに合わせることができ、所望する光学性能を発揮させるために重要な眼鏡レンズ50の厚みが確実に適切なものとなる眼鏡レンズ50用のレンズ型枠42を、より容易に形成することができる。

1・・眼鏡レンズ製造システム、2・・サーバコンピュータ(サーバ)、4・・端末コンピュータ(端末)、18・・3次元プリンタ(流動性樹脂吐出手段)、21・・前レンズ型枠、21a・・(眼鏡レンズの前面を規定する前レンズ型枠の)後面、24・・後レンズ型枠、24a・・(眼鏡レンズの後面を規定する後レンズ型枠の)前面、33・・側周レンズ型枠、35・・UV照射手段(硬化手段)、42・・レンズ型枠、43・・樹脂材料充填手段(レンズ材料充填手段)、45・・仕上げ前眼鏡レンズ、45a・・ハンドリング部、50・・眼鏡レンズ、51・・輪郭形状データ、52・・コバ種類データ、66・・入力手段、68・・輪郭形状入力手段、118・・樹脂吐出ディスペンサー(流動性樹脂吐出手段)、F・・眼鏡枠、V・・粘性樹脂(流動性樹脂,液体樹脂)。

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