眼鏡レンズの製造方法

申请号 JP2016525183 申请日 2015-06-02 公开(公告)号 JP6364482B2 公开(公告)日 2018-07-25
申请人 株式会社ニコン・エシロール; 发明人 本間 幸男;
摘要
权利要求

凸形状の第1面と、前記第1面の反対に配置され、凸形状または平面状の面を含む第2面と、を有するレンズブランクにおける前記第2面の凸形状の面を、接着剤を介して固定治具と固定することと、 前記第2面の凸形状または平面状の面と固定されている前記固定治具を支持して、前記第1面の形状を加工することと、 前記加工された前記第1面の凸形状の面を、接着材を介して前記固定治具と固定することと、 前記第1面の凸形状の面と固定されている前記固定治具を支持して、前記第2面の形状を加工することと、を含む眼鏡レンズの製造方法。前記第2面の凸形状または平面状の面は、前記第2面の形状を加工する際に除去される、請求項1に記載の眼鏡レンズの製造方法。前記第2面の全域が凹形状の面になるように前記第2面の形状を加工する、請求項1または請求項2に記載の眼鏡レンズの製造方法。前記第1面または前記第2面の前記固定治具への固定は、 取り付け台の孔部に前記固定治具を嵌め込むことと、 前記レンズブランクの前記第1面または前記第2面を、前記取り付け台の孔部に取り付けられるブロッカーリングに接触させて前記固定治具に向けて配置することと、 前記孔部の、前記固定治具と前記第1面または前記第2面との間に前記接着剤を充填することと、を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの製造方法。前記ブロッカーリングは、内径が異なる複数種類のものから、前記レンズブランクのサイズに応じて選択される、請求項4に記載の眼鏡レンズの製造方法。前記固定治具に固定される前記第1面または前記第2面には、フィルム部材が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの製造方法。前記レンズブランクを製造することを含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの製造方法。前記レンズブランクの製造は、 凹形状の面を有する第1部材と、前記第1部材の凹形状の面に対向して配置される凹形状または平面状の面を有する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間の空間を外部から仕切る第3部材と、を備えるレンズ母型の前記第3部材に仕切られている前記空間にレンズ材料を充填することと、 前記レンズ材料を硬化することと、を含む、請求項7に記載の眼鏡レンズの製造方法。

说明书全文

本発明は、レンズブランク、レンズ母型、レンズブランクの製造方法、レンズの製造方法に関する。

眼鏡レンズの製造プロセスにおいて、半完成品レンズ(セミフィニッシュレンズ)を装用者の処方に合わせて切削研磨するプロセスがある(例えば、下記の特許文献1参照)。セミフィニッシュレンズは、予め光学設計が施された凸形状の面と、切削研磨が施される凹形状の面とを有する。切削研磨に先立ち、セミフィニッシュレンズには、その凸形状の面に固定治具をアロイで接着するブロッキング処理が施される。セミフィニッシュレンズは、固定治具を介して支持された状態で切削研磨される。セミフィニッシュレンズと固定治具とを接着するには、セミフィニッシュレンズと固定治具との間の空間にアロイなどの接着材を充填する。

国際公開第98/16862号

ところで、セミフィニッシュレンズの凹形状の面の加工量の設計は、凸形状の面の光学設計に依存するために制限がある。そこで、凸形状の面と凹形状の面の両面を加工可能にすれば、装用者の処方により合った眼鏡レンズを提供できると考えられる。しかしながら、凸形状の面を加工するには、凹形状の面側を固定治具に固定することになり、凹形状の面と固定治具との間に接着材をいきわたらせることが難しい。その結果、セミフィニッシュレンズと固定治具との接着が不足し、加工不良を生じることがありえる。

本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、レンズブランクを固定治具に安定して固定可能にする技術を提供することを目的とする。

本発明の態様に従えば、凸形状の第1面と、第1面の反対に配置され、凸形状または平面状の面を含む第2面と、を有するレンズブランクにおける第2面の凸形状の面を、接着剤を介して固定治具と固定することと、第2面の凸形状または平面状の面と固定されている固定治具を支持して、第1面の形状を加工することと、加工された第1面の凸形状の面を、接着材を介して固定治具と固定することと、第1面の凸形状の面と固定されている固定治具を支持して、第2面の形状を加工することと、を含む眼鏡レンズの製造方法が提供される。 本発明の第1の態様に従えば、凸形状の第1面と、第1面の反対に配置され、凸形状または平面状の面を含む第2面と、を有するレンズブランクが提供される。

本発明の第2の態様に従えば、レンズブランクの製造に用いられるレンズ母型であって、凹形状の面を有する第1部材と、第1部材の凹形状の面に対向して配置される凹形状または平面状の面を有する第2部材と、第1部材と第2部材との間の空間を外部から仕切る第3部材と、を備えるレンズ母型が提供される。

本発明の第3の態様に従えば、レンズブランクの製造に用いられ、凹形状の面を有する第1部材と、前記第1部材の凹形状の面に対向して配置される凹形状または平面状の面を有する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間の空間を外部から仕切る第3部材と、を備えるレンズ母型の第3部材に仕切られている空間にレンズ材料を充填することと、レンズ材料を硬化することと、を含むレンズブランクの製造方法が提供される。

本発明の第4の態様に従えば、凸形状の第1面と、前記第1面の反対に配置され、凸形状または平面状の面を含む第2面と、を有するレンズブランクを製造することと、レンズブランクにおける第2面の凸形状の面を、接着材を介して第1固定治具と固定することと、第2面の凸形状の面と固定されている第1固定治具を支持して、第1面の形状を加工することと、加工された第1面の凸形状の面を、接着材を介して第2固定治具と固定すること、第1面の凸形状の面と固定されている第2固定治具を支持して、第2面の形状を加工することと、を含む眼鏡レンズの製造方法が提供される。

本発明によれば、レンズブランクを固定治具に安定して固定可能にする技術を提供することができる。

眼鏡レンズの一例を示す図である。

本実施形態に係るレンズブランクを示す図である。

本実施形態に係る眼鏡レンズの製造方法を示すフローチャートである。

本実施形態に係るレンズ母型を示す図である。

レンズブランクを切削研磨する方法を示すフローチャートである。

レンズブランクの第2面に固定治具を固定する工程を示す工程図である。

レンズブランクの第1面を形状加工する工程を示す図である。

レンズブランクの第1面に固定治具を固定する工程を示す工程図である。

レンズブランクの第2面を形状加工する工程を示す図である。

レンズブランクの変形例を示す図である。

以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。図1は、眼鏡レンズGLの一例を示す図である。図1(A)は、眼鏡レンズGLの平面図、図1(B)は、図1(A)のA−A線断面図、図1(C)は、眼鏡レンズGLとレンズブランクとの関係を示す平面図である。

図1(A)に示すように、眼鏡レンズGLは、平面視で眼鏡フレームFの形状に近似する形状に形成されたレンズである。図1の眼鏡レンズGLの平面形状は、トラック状であるが、円形や楕円形、ひし形などの他の平面形状であってもよい。なお、図1には左眼用の眼鏡レンズGLを示したが、右眼用の眼鏡レンズについては、左眼用と左右対称的であるので、その説明を省略する。

眼鏡レンズGLは、例えばプラスチックやガラスなどによって形成される。眼鏡レンズGLは、所定の光学中心Pを有している。光学中心Pは、装用者のフィッティングポイントに一致する位置に形成されている。フィッティングポイントは、眼鏡レンズGLを装用したときの装用者の瞳位置(アイポイント)である。このアイポイントは、装用者が平視した状態でのレンズ上の視線位置のことである。また、眼鏡レンズGLには、幾何中心Qが設定される。

図1(B)に示すように、眼鏡レンズGLは、凸形状に形成された凸レンズ面Laと、凹形状に形成された凹レンズ面Lbとを有している。本実施形態において、凸レンズ面Laおよび凹レンズ面Lbは、それぞれ、装用者の処方に合わせてレンズブランクLBの両面を切削研磨することで、形成されている。

レンズブランクLBは、レンズブロックなどと呼ばれることもあり、眼鏡レンズGLのもとになるレンズである。レンズブランクLBは、切削研磨などによって、眼鏡レンズGLへ成形される。したがって、レンズブランクLBは、眼鏡レンズGLと同一の材料、例えばプラスチックやガラスなどによって形成される。図1(C)に示すように、レンズブランクLBは、平面視で円形に形成されたレンズである。レンズブランクLBは、幾何中心Oを有している。

図2は、本実施形態に係るレンズブランクLBを示す図である。図2(A)は、切削研磨後に凹レンズ面Lbになる裏面側から見た斜視図である。図2(B)は裏面側から見た平面図、図2(C)は図2(B)のB−B線断面図である。

レンズブランクLBは、第1面1と、第1面1の反対に配置された第2面2とを有する。レンズブランクLBの第1面1の側は、切削研磨などの形状加工によって、眼鏡レンズGLの凸レンズ面Laの側になる。第1面1は、凸形状に形成されている(図2(C)参照)。レンズブランクLBの第2面2の側は、切削研磨などの形状加工によって、眼鏡レンズGLの凹レンズ面Lbの側になる。第2面2は、凸形状の面2aおよび凹形状の面2bを含む。

レンズブランクLBの第2面2側には凸部3が設けられており、凸形状の面2aは、凸部3の表面である。本実施形態において、凸形状の面2aは、軸対称な形状である。図2において、凸形状の面2aは、球面状であるが、放物面状であってもよい。放物面は、放物線をその対称軸周りに回転させた立体形状の外面である。

凸部3は、図2(B)のように第2面2を平面視した場合に、幾何中心Oを含む領域に配置されている。ここでは、第2面2を平面視した場合に、凸部3の中心は、幾何中心Oとほぼ一致している。第2面2を平面視した場合に、凸部3の径φ2(凸形状の面2aの径)は、第2面2の径φ1の20%以上100%以下であってもよいし、第2面2の径φ1の50%以上70%以下であってもよく、図2(B)においては第2面2の径φ1の約60%である。第2面2の径φ1(レンズブランクLBの直径)は、例えば約80mmであり、凸部3の径φ2は約48mmである。

凹形状の面2bは、凸部3の周囲に配置されており、第2面2のエッジ2Eまで続いている。ここで、図2(C)に示すように、第1面1の幾何中心Oにおける接平面OPから法線方向に測った第2面2の表面までの距離を、高さという。第2面2の各位置における高さは、第2面2のエッジ2Eから幾何中心Oに向かうにつれて減少し、極小となった後、増加に転じる。この高さの極小となる位置が凸形状の面2aと凹形状の面2bとの境界である。本実施形態において、凸部3の一部の高さは、第2面2のエッジ2Eの高さ以上である。すなわち、凸部3の一部は、第2面のエッジと比べて、第1面1の反対側に突出している。なお、凸部3の高さの最大は、第2面のエッジの高さ以下であってもよい。

凸部3は、凹形状の面2bを含む部分と一体的に形成されている。すなわち、凸部3は、凹形状の面2bを含む部分、及び第1面1を含む部分のいずれとも同じ材料で形成されている。凸形状の面2aを含む部分は、第1面1を含む部分と界面なく連続している。凸部3において、レンズブランクLBの厚みは、外周側から幾何中心Oに向かうにつれて、増加傾向にある。

本実施形態において、凸部3の先端3a(幾何中心O)の位置における凸形状の面2aの曲率半径は、第1面1の頂点1a(幾何中心O)の位置における第1面1の曲率半径よりも小さい。凸形状の面2aの曲率半径は、第1面1の曲率半径と同じであってもよいし、第1面1の曲率半径よりも大きくてもよい。

ところで、レンズブランクLBは、眼鏡レンズGLへと加工されるレンズであり、第1面1および第2面2は、それぞれ、切削研磨などの形状加工が施される。上述のような凸部3は、第1面1に対して切削と研磨の少なくとも一方の形状加工を施す際に、固定治具との固定部(接続部)として利用できる(後に図6、図7などを参照して説明する)。以下、眼鏡レンズGLの製造方法について説明する。

図3は、本実施形態に係る眼鏡レンズGLの製造方法を示すフローチャートである。ここでは、レンズブランクLBがプラスチックレンズで場合を例に説明する。眼鏡レンズGLを製造するには、ステップS1において、レンズ材料を用意する。レンズ材料は、紫外線硬化型の樹脂を含んでいてもよいし、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の熱重合性樹脂を含んでいてもよい。また、レンズ材料は、触媒、紫外線吸収剤などを含んでいてもよい。レンズ材料は、調合して準備してもよいし、購入して準備してもよい。

次のステップS2では、レンズ母型を用意する。図4(A)は、本実施形態に係るレンズ母型5を分解して示す斜視図であり、図4(B)は図4(A)のA−A線における断面図である。

レンズ母型5は、例えば、化学強化処理されたガラスなどで形成される。レンズ母型5は、凹形状の面6aを有する第1部材6と、第1部材6の凹形状の面6aに対向して配置される面7aを有する第2部材7と、第1部材6と第2部材7との間の空間を外部から仕切る第3部材8と、を備える。

第1部材6は、いわゆる下型であり、図2に示したレンズブランクLBの第1面1の形状を定める部分である。図4(b)に示すように、第1部材6の凹形状の面6aは、設計上のレンズブランクLBの第1面1と同じ形状に設定される。第2部材7は、いわゆる上型であり、レンズブランクLBの第2面2の形状を定める部分である。第2部材7の面7aは、設計上のレンズブランクLBの第2面2と同じ形状に設定される。第2部材の面7aは、第2面2の凸形状の面2aを定める凹形状の面7bと、第2面2の凹形状の面2bを定める凸形状の面7cと、を含む。

第3部材8は、いわゆるガスケットであり、第1部材6と第2部材7とのギャップを規定する。すなわち、第3部材8は、レンズブランクLBの厚みを定める部分である。第3部材8は、互いに対向する第1部材6と第2部材7との間の空間を環状に囲むように設けられる。図4(B)に示すように、組み立てられたレンズ母型5の内部には、外部から仕切られた空間SP1が形成される。

図3の説明に戻り、ステップS2では、レンズ母型の洗浄および組み立てなどを行う。次に、レンズ母型5の内部にレンズ材料を注入する(ステックS3)。レンズ母型5の第3部材8には、空間SP1に通じる注入口(図示略)が設けられており、レンズ材料は、この注入口を介して空間SP1に充填される。

次に、ステップS4において、レンズ材料を重合(硬化)させる。ステップS4では、レンズ材料に応じて紫外線硬化あるいは熱硬化により、レンズ材料を硬化させる。ステップS4では、重合に伴う体積変動などに留意しながら、重合を完了させる。重合により固体化した物がレンズブランクLBに相当する。

そして、ステップS5において、レンズブランクLBからレンズ母型5を離型する。レンズ母型5から分離されたレンズブランクLBには、重合時に生じた内部ひずみが残留していることがある。そのため、ステップS6において、レンズブランクLBをアニール処理することにより、内部ひずみを取り除く。そして、ステップS7において、レンズブランクLBに、装用者の処方に応じた形状加工を切削研磨などによって施す。また、検査などを行うことによって、完成品の眼鏡レンズが得られる。

次に、レンズブランクLBを切削研磨する方法を説明する。ここでは、図5を参照して全体フローを説明した後、図6から図9を参照して各工程について説明する。図5は、レンズブランクLBを切削研磨する方法を示すフローチャートである。

本実施形態においては、第1面1に切削研磨を行った後に、第2面2に切削研磨を行う。ステップS11においてレンズブランクLBの第2面2と固定治具とを接着により固定し、ステップS12において固定治具を支持しながら第1面1を切削研磨した後、ステップS13において第2面2と固定治具とを分離する。次に、ステップS14においてレンズブランクLBの第1面1と固定治具とを接着により固定し、ステップS15において固定治具を支持しながら第2面2を切削研磨した後、ステップS16において第1面1と固定治具とを分離する。

図6は、レンズブランクLBの第2面2を固定治具と固定する工程(ステップS11)を示す工程図である。第2面2と固定治具とを固定するには、図6(A)に示すように、孔部10aが設けられたブロッカ10(取り付け台)を用意する。ブロッカ10の上面付近において、孔部10aの内壁は階段状になっており、孔部10aの内径はステップ的に変化している。孔部10aのうち内径が小さい部分には、図6(B)に示すように、固定治具11をはめ込むことができる。固定治具11は、いわゆるヤトイなどであり、円筒状の部材である。また、孔部10aのうち内径が大きい部分には、ブロッカリング12を取り付け可能である。ブロッカリング12は、環状の部材であり、その外壁が孔部10aの内壁に接触することで、ブロッカ10と位置決めされる。ブロッカ10にブロッカリング12を取り付けた状態で、孔部10aの開口径は、実質的にブロッカリング12の内径となる。すなわち、ブロッカリング12は、孔部10aの開口径を調整するアジャスタである。ブロッカリング12としては、その内径が異なる複数種類のものが用意されており、レンズブランクLBのサイズに応じて選択される。また、レンズブランクLBのサイズによっては、ブロッカリング12を用いない場合もある。なお、ブロッカリング12は、固定治具11よりも先にブロッカ10に取り付けてもよい。

ブロッカ10に固定治具11を取り付けた後に、図6(D)に示すように、レンズブランクLBを、その第2面2を固定治具11に向けて配置する。レンズブランクLBは、凸部3とブロッカリング12が接触するように、載置される。なお、レンズブランクLBにおいて固定治具11と固定される面(ここでは第2面2)には、フィルム部材が設けられることがある。このフィルム部材としては、レンズブランクLBの表面を保護するもの、アロイなどの接着材との密着性を高めるもの、アロイなどの接着材を除去する際に剥離しやすくするものなどが用いられる。

このようにレンズブランクLBを配置すると、レンズブランクLBの第2面2と固定治具11との間の空間SP2が外部から仕切られた状態になる。レンズブランクLBの凸部3は、固定治具11に向かって凸であるので、ブロッカリング12よりも下方に張り出すように配置される。このような状態で、図6(E)に示すように、空間SP2にアロイ(低融点合金)などの液状の接着材13を注入(充填)する。そして、アロイの温度が融点未満になり硬化すると、レンズブランクLBと固定治具11とが固体化したアロイを介して固定される。

ところで、第2面に凸部が設けられていない場合には、第2面が凹面でありブロックリングよりも上方に配置されるので、第2面に液状の接着材をいきわたらせることが難しくなる。また、第2面が凹面であるので、ここに気泡が残留しやすくなる。

本実施形態に係るレンズブランクLBは、凸部3がブロッカリング12よりも固定治具11に向かって張り出した状態になるので、第2面2のうち空間SP2に面している領域に接着材13が広がりやすい。また、空間SP2の気体が凸部3の外側に向かって抜けやすくなるので、気泡の残留などが抑制される。結果として、レンズブランクLBと固定治具11とを安定的に固定することができる。

ここで、凸部3の曲率が大きい(曲率半径が小さい)ほど、凸部3と接着材13との接触面積が広くなり、レンズブランクLBと固定治具11との接着力が高くなる。また、凸部3の頂点の高さを増すほど凸部3と接着材13との接触面積が広くなり、例えば、凸部3の頂点を第2面2のエッジ2Eよりも高くすると、レンズブランクLBと固定治具11との接着力が高くなる。また、第2面2を平面視した場合の第2面2の径φ1に対する凸部3の径φ2を大きくするほど、凸部3と接着材13との接触面積が広くなり、レンズブランクLBと固定治具11との接着力が高くなる。

図7は、レンズブランクLBの第1面1を切削研磨する工程(ステップS12)を示す図である。第1面1を加工する際に、第2面2は支持具15と固定される。支持具15は、固定治具11および接着材13(アロイ)を含む。加工装置16は、加工機17および回転機構18を備える。切削加工を施す場合に、加工機17は旋盤機構などであり、研磨加工を施す場合に加工機17は、研磨部材を支持する支持機構などである。

固定治具11の軸方向の一端は、接着材13を介してレンズブランクLBの第2面2と固定されている。また、固定治具11の軸方向の他端は、回転機構18に着脱可能に固定される。回転機構18は、所定の回転軸の周りに回転可能に設けられている。固定治具11は、その中心軸が回転機構18の回転軸と同軸になるように、回転機構18に取り付けられる。回転機構18は、不図示のモータなどの駆動源から供給されるトルクにより、回転する。

レンズブランクLBは、切削加工が施される際に支持具15に支持され、回転機構18により回転する。加工機17は、回転しているレンズブランクLBに対して切削加工(ジェネレーティング)を行う。この切削加工では、例えば、度数や累進焦点、非球面の状態などを調整しつつ切削する。

また、レンズブランクLBは、研磨加工が施される際に切削加工時と同様に、支持具15に支持される。レンズブランクLBの第1面1には、研磨部材が配置される。この研磨部材は、例えばスポンジ状に形成され、外部からの圧力によって変形可能に設けられる。研磨部材は、例えば第1面1の全域を覆うように配置される。研磨部材が第1面1に接触した状態で回転機構18が回転すると、レンズブランクLBが回転機構18とともに研磨部材に対して回転する。レンズブランクLBは、研磨部材が押し付けられた状態で回転すると、研磨部材との摩擦により研磨される。

回転機構18の回転速度は、例えば、研磨部材の材質や形状、研磨部材が第1面1を被覆する範囲などに応じて設定される。回転機構18の回転速度は、例えば100rpm以上1000rpm以下の範囲に設定されるが、適宜変更できる。

以上のような切削加工、研磨加工において、レンズブランクLBは、凸部3が設けられた第2面2が固定治具11に安定的に固定されているので、脱落などの発生が抑制される。レンズブランクLBは、切削加工および研磨加工が終了した後に、アロイを溶融させることなどにより固定治具11から取り外される(ステップS13)。

次に、レンズブランクLBの第2面2を切削研磨する工程について説明する。図8は、レンズブランクLBの第1面1を固定治具と固定する工程(ステップS14)を示す工程図である。第1面1と固定治具との固定は、第2面2と固定治具との固定と同様に行うことができる。すなわち、図8(A)に示すようにブロッカ10を用意し、図8(B)に示すようにブロッカ10の孔部10aに固定治具11をはめ込む。

そして、図8(C)に示すように、ブロッカ10にブロッカリング20を取り付ける。ところで、レンズブランクLBの第2面2は、その一部が凸形状の面2aであるのに対して、第1面1は、その全域が凸形状の面である。すなわち、第1面1における凸形状の面(第1面1の全域)の径は、第2面2における凸形状の面2aの径よりも大きい。そこで、第2面2を固定治具11と固定した際のブロッカリング12(図6(C)参照)と比べて、内径が大きいブロッカリング20を用いることもできる。

以上のようにブロッカ10に固定治具11およびブロッカリング20を取り付けた後、図8(D)に示すように、ブロッカ10上にレンズブランクLBを、第1面1を固定治具11に向けて配置する。レンズブランクLBは、ブロッカリング20と接触して、またはフィルム部材を介して、ブロッカ上に配置される。

このようにレンズブランクLBを配置すると、レンズブランクLBの第2面2と固定治具11との間の空間SP2が外部から仕切られた状態になる。レンズブランクLBの凸部3は、固定治具11に向かって凸であるので、ブロッカリング12よりも下方に張り出すように配置される。このような状態で、図6(E)に示すように、空間SP2にアロイなどの液状の接着材13を注入(充填)する。レンズブランクLBの第1面1は、固定治具11に向かって凸形状であるので、第1面1と固定治具11との間にアロイをいきわたらせることができる。そして、アロイの温度が融点未満になり硬化すると、レンズブランクLBと固定治具11とが固体化したアロイを介して安定的に固定される。

なお、第1面1と固定治具11とを固定する際に、ブロッカリング12よりも内径が大きいブロッカリング20を用いると、孔部10aの内径が実質的に大きくなる。その結果、接着材13と第1面1との接触面積が大きくなり、第1面1と固定治具11との接着力を高めることができる。

図9は、レンズブランクLBの第2面2を切削研磨する工程(ステップS15)を示す図である。第1面1を加工する際に、第2面2は支持具15と固定される。支持具15、加工装置16については、第1面1の加工時と同様である。固定治具11の軸方向の一端は、接着材13を介してレンズブランクLBの第1面1と固定されている。また、固定治具11の軸方向の他端は、回転機構18に着脱可能に固定される。レンズブランクLBは、切削加工が施される際に支持具15に支持され、回転機構18により回転する。加工機17は、回転しているレンズブランクLBに対して切削加工(ジェネレーティング)を行う。

この切削加工では、凸部3を除去し、例えば第2面2の全域が凹形状の面になるように切削する。また、この切削加工では、度数や累進焦点、非球面の状態などを調整しつつ切削する。

ここで、凸部3の曲率が小さいほど、第2面2を凹形状の面にするための切削量が少なくなり、加工の時間やコストを減らすことができる。また、凸部3の頂点の高さを減らすほど、第2面2を凹形状の面にするための切削量が少なくなり、加工の時間やコストを減らすことができる。また、また、第2面2の平面視した場合の第2面2の径に対する凸部3の径を小さくするほど、第2面2を凹形状の面にするための切削量が少なくなり、加工の時間やコストを減らすことができる。

そして、第1面1の加工時と同様に、第2面2に研磨加工を行う。レンズブランクLBは、第2面2に対する切削加工および研磨加工が終了した後に、アロイを溶融させることなどにより固定治具11から取り外される(ステップS16)。

上述のような本実施形態に係るレンズブランクLBは、凸形状の第1面1と、第1面1の反対に配置され、凸形状の面を含む第2面2とを有するので、固定治具に安定して固定可能である。なお、第2面2と固定治具11は、第1面1と固定治具11との固定時と同様の部材、例えばブロッカ10などを使って固定できる。換言すると、第2面2と固定治具11との固定用の部材を別途用意しなくてもよく、固定に用いる部材に要する部材のコストをおさえることができる。

また、本実施形態に係るレンズ母型5は、凹形状の面を有する第1部材6と、第1部材6の凹形状の面に対向して配置される凹形状の面を有する第2部材7と、第1部材と第2部材との間の空間を外部から仕切る第3部材8と、を備える。そのため、固定治具に安定して固定可能なレンズブランクLBを提供できる。

また、本実施形態に係るレンズブランクLBの製造方法は、レンズ母型5の第3部材8に仕切られている空間SP1にレンズ材料を充填することと、レンズ材料を硬化することと、を含む。そのため、固定治具に安定して固定可能なレンズブランクLBを提供できる。

本実施形態に係る眼鏡レンズの製造方法は、レンズブランクLBを製造することと、レンズブランクLBにおける第2面2の凸形状の面2aを、接着材13を介して固定治具11と固定することと、第2面2の凸形状の面2aと固定されている固定治具11を支持して、第1面1を研磨することと、研磨された第1面1の凸形状の面2aを、接着材13を介して固定治具11と固定すること、第1面1の凸形状の面2aと固定されている固定治具11を支持して、第2面2を研磨することと、を含む。そのため、レンズブランクLBを安定的に支持し、第1面1と第2面2のそれぞれを研磨することができるので、装用者に合った眼鏡レンズを提供できる。

次に、レンズブランクLBの変形例について説明する。図10は、変形例に係るレンズブランクLBを示す図である。変形例において、上述の実施形態と対応関係になる要素については、実施形態と同様に符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。

図10(A)に示すレンズブランクLBは、第1面1を含む第1部分25と、第2面2のうち凸形状の面2aを含む第2部分26とを含む。第2部分26は、第1部分25と別に形成され、第1部分25と接着などにより接合されたものである。第2部分26の材質は、第1部分25と同じであってもよいし、異なっていてもよい。

本変形例に係るレンズブランクLBは、図4に示したレンズ母型5を使わないで製造することもできる。このように、レンズブランクLBは、凸形状の第1面1を形成することと、第1面1の反対に配置され凸形状の面2aを含む第2面2を形成することと、を含む製造方法により製造されてもよい。また、本変形例に係るレンズブランクLBの第2面2を切削研磨する際に、第2部分26を第1部分25から剥離可能ならば、第2部分26の剥離後に第2面2側を切削研磨してもよい。

図10(B)に示すレンズブランクLBは、凸部3が円柱状である。凸部3の上面3bは、平面状である。このように、レンズブランクLBの第2面2は、平面状の面を含んでいてもよい。また、第2面2は、曲面および平面を含んでいてもよい。なお、凸部3は、直方体状であってもよい。

図10(C)に示すレンズブランクLBは、凸部3が円錐状である。このように、レンズブランクLBの第2面2は、球面あるいは放物面以外の曲面を含んでいてもよい。また、凸部3は、四錐などの角錐状であってもよい。

図10(D)に示すレンズブランクLBにおいて、凸部3は、円柱状の第3部分27と、第3部分27上に設けられた半球状の第4部分28とを含む。このように、第2面2の凸形状の面2aにおいて、傾きが不連続に変化する位置があってもよい。

図10(E)に示すレンズブランクLBにおいて、第2面2の凸形状の面2aは、凹形状の面2bと滑らかに接続されている。すなわち、第2面2の傾きは、凸形状の面2aと凹形状の面2bとで連続的に変化している。このような場合に、凸形状の面2aと凹形状の面2bとの境界は、傾きが0になる位置(変曲点)を結ぶ線である。

図10(F)は、レンズブランクLBの第2面2の平面図である。このレンズブランクLBにおいて、平面視した場合の凸部3の外形は、矩形状である。このように、凸部3の平面形状は、回転対称な形状でなくてもよく、3角形あるいは5以上の角を持つ多角形、多角形の角を丸めた形状、直線および曲線を含む輪郭に囲まれる形状のいずれであってもよい。

なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態あるいは変形例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。

1 第1面、2 第2面、2a 凸形状の面、2b 凹形状の面、5 レンズ母型、6 第1部材、6a 凸形状の面、 第2部材、7b 凹形状の面、7c 凸形状の面、8 第3部材、GL 眼鏡レンズ

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