シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物 |
|||||||
申请号 | JP2014157318 | 申请日 | 2014-08-01 | 公开(公告)号 | JP2014211652A | 公开(公告)日 | 2014-11-13 |
申请人 | ロート製薬株式会社; Rohto Pharmaceut Co Ltd; | 发明人 | NAKADA ATSUKO; | ||||
摘要 | 【課題】本発明の目的は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのクロロブタノールの吸着を抑制できる、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物を提供することである。【解決手段】(A)クロロブタノールと共に、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン 硫酸 、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種とを併用して、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物を調製する。【選択図】なし | ||||||
权利要求 | (A)クロロブタノールと、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物。 |
||||||
说明书全文 | 本発明は、クロロブタノールを含有していながら、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに適用しても該レンズへのクロロブタノールの吸着が抑制され、そしてシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにクロロブタノールが一旦吸着しても生理食塩水等での溶出処理により溶出させ易くすることで、安全に使用可能なシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物に関する。 また本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのクロロブタノールの吸着を抑制する方法に関する。 更に、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの細菌付着を抑制する方法に関する。 近年、コンタクトレンズ(CL)の装用者が増えており、中でもソフトコンタクトレンズ(SCL)の装用者が増えている。 一般的に、ソフトコンタクトレンズを装用した場合には、大気からの酸素供給量が低下し、その結果として角膜上皮細胞の分裂抑制や角膜肥厚につながる場合があることが指摘されている。 そのため、より高い酸素透過性を有するソフトコンタクトレンズの開発が進められてきた。 シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、そのような背景の下、高酸素透過性を有するソフトコンタクトレンズとして近年開発されてきたものである。 シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、ハイドロゲルにシリコーンを配合することにより、従来のハイドロゲルコンタクトレンズの数倍の酸素透過性を実現する。 従って、ソフトコンタクトレンズの弱点である酸素供給不足を改善することができ、酸素不足に伴う角膜に対する悪影響を大幅に抑制できるものとして、大きく期待されている。 一般に、コンタクトレンズに使用される眼科組成物については、コンタクトレンズの種類に応じて、安全性等の影響を十分に考慮して設計することが肝要である。 特に、ソフトコンタクトレンズは、素材によってイオン性の有無や含水率の高低等が種々異なるため、ソフトコンタクトレンズ用の眼科組成物は、適用されるソフトコンタクトレンズの特性に応じて製剤設計を行うことが肝要である。 一方、クロロブタノールは、防腐剤等として、これまでにも眼科組成物に使用されている。 またクロロブタノールは、従来のソフトコンタクトレンズに対して非常に吸着し易いという問題があることも知られている(特許文献1)。 しかしこれまで、クロロブタノールが、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに対して及ぼす影響については、全く解明されていない。 ましてや、クロロブタノールと他の特定成分とを併用した場合に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに対して及ぼす影響については、皆目見当がつかないのが現状である。 クロロブタノールは、眼科組成物に防腐効力を備えさせるために使用することが望まれる成分であるが、本発明者は、クロロブタノールが各種ソフトコンタクトレンズに与える影響について種々検討を行ったところ、クロロブタノールは、従来のハイドロゲルレンズに比して、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(以下、SHCLと表記することもある)に非常に吸着し易いという新しい知見を得た。 このSHCLへのクロロブタノールの吸着量は、従来のハイドロゲルコンタクトレンズとは比べものにならない程の量である。 そして更に本発明者は検討を重ねたところ、このクロロブタノール吸着後のSHCLに対して生理食塩水で溶出処理を行ってもまだ多量のクロロブタノールが残存してしまうことを見出した。 このことはつまり、多量に吸着したクロロブタノールが涙液などによっても洗い流されずSHCLに残存し続けることを意味するものである。 このようにレンズに防腐剤成分が残存し蓄積していくと、当該成分がレンズに留まることによる悪影響が懸念されるほか、SHCLの変色や光透過率の減少、変形等を生じさせる惧れがある。 そこで、SHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制し、生理食塩水等での溶出処理により溶出させ易くしてSHCLへのクロロブタノールの残存量を低減させることができる手段の開発が求められている。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、(A)クロロブタノールと共に、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種とを併用すると、SHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制でき、そしてSHCLにクロロブタノールが一旦吸着しても、生理食塩水等での溶出処理により溶出させ易くなることを見出した。 更に、本発明者は、 (A)クロロブタノールと共に、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種とを併用すると、SHCLへの細菌の付着を効果的に抑制でき、更に (C) ビタミンB6類、テトラヒドロゾリン類、及びアラントイン類からなる群より選択される少なくとも1種を併用することによって、このSHCLへの細菌付着抑制効果を一層向上させることが可能であることも見出した。 本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。 即ち、本発明は、下記に掲げる態様のSHCL用眼科組成物を提供する。 また、本発明は、下記に掲げるSHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制する方法を提供する。 また、本発明は、下記に掲げるSHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制する作用を眼科組成物に付与する方法を提供する。 また、本発明は、下記に掲げるSHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制するための剤を提供する。 また、本発明は、下記に掲げるSHCLへの細菌の付着を抑制する方法を提供する。 また、本発明は、下記に掲げるSHCLへの細菌の付着を抑制する作用を眼科組成物に付与する方法を提供する。 更に、本発明は、下記に掲げる使用をも提供する。 本発明のSHCL用眼科組成物は、SHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制することができ、そしてSHCLにクロロブタノールが一旦吸着しても、涙液又はSHCL洗浄液等によってクロロブタノールを洗い流し易くすることができ、SHCLにおけるクロロブタノールの残存量を低減させることが可能である。 従って、本発明のSHCL用眼科組成物によれば、クロロブタノールを含有していながら、SHCLにクロロブタノールが残存して蓄積することを防止でき、快適且つ安全にSHCLに対して適用することが可能になる。 また更に、SHCLは角膜に十分量の酸素を供給できるという大きなメリットがあるものの、結膜常在細菌が付着し易いという欠点も併せ持っている(MDP Willcox et al., Bacterial interactions with contact lenses; effects of lens material, lens wear and microbial physiology、Biomaterials 22(2001),3235-3247)。 また、結膜常在細菌の多くは非病原性であるが、過剰な付着や増殖がおこると、付着・増殖した細菌から分泌される菌体外物質によりSHCL表面にバイオフィルムが形成され、病原性微生物の温床となる危険性がある。 更にSHCLは高い酸素透過性を有するが故に最長1ヶ月間連続装用される場合もあることから、装用中に細菌の付着を助長し易い傾向があるといえ、細菌感染症のリスク要因の一つであるとも指摘されている。 これらに対して、本発明のSHCL用眼科組成物によれば、SHCLへの細菌の付着を抑制できるので、病原性微生物の増殖を抑制することができ、且つ長期間のSHCL装用でも細菌感染症のリスクを低減でき、SHCLを安全に使用することが可能になる。 1. SHCL用眼科組成物 クロロブタノールは、1,1,1,-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノールとも称される公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。 本発明のSHCL用眼科組成物において、(A)成分の配合割合については、該SHCL用眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定されるが、一例として、SHCL用眼科組成物の総量に対して、(A)成分が総量で0.01〜5w/v%、好ましくは0.05〜1w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%が例示される。 本発明のSHCL用眼科組成物は、上記(A)成分に加えて、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。 (B)成分の内、ヒアルロン酸は、グルクロン酸(GlcUA)とN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合したGlcUA-GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から構成されているポリマーであり、眼粘膜等において保湿作用を発揮するグリコサミノグリカンの一種として公知の高分子化合物である。 また、ヒアルロン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。 ヒアルロン酸の塩としては、具体的には、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]等の各種の塩が挙げられる。 これらの塩の中でも、好ましくは無機塩基との塩、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩、特に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。 これらのヒアルロン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明に使用されるヒアルロン酸及びその塩は、その由来については特に制限されるものではなく、例えば、鶏冠から得られたものであってもよく、また微生物由来のものであってよく、また合成品であってもよい。 本発明に使用されるヒアルロン酸及びその塩の粘度平均分子量としては、特に制限されないが、例えば0.01万〜500万、好ましくは0.1万〜400万、より好ましくは1万〜300万、更に好ましくは10万〜250万、特に好ましくは50万〜200万の範囲にあるものが例示される。 ここで、粘度平均分子量は公知の測定方法により求めることができる。 具体的には、ヒアルロン酸又はその塩(乾燥物)を0.2M塩化ナトリウム溶液に溶解し、30±0℃における極限粘度(η)をウベローデ粘度計で求め、Laurentの式(η(極限粘度)=3.6×10 −4 M 0.78 : ヒアルロン酸及びその塩の中でも、SHCLへの(A)成分の吸着を抑制する作用を一層高め、そしてSHCLに吸着した(A)成分を溶出させ易くして、SHCLにおけるクロロブタノールの残存量を一層低減させるという観点、或いはSHCLへの細菌の付着をより一層抑制するという観点から、好ましくはヒアルロン酸の塩、より好ましくはヒアルロン酸の無機塩基との塩、更に好ましくはヒアルロン酸のアルカリ金属塩、更により好ましくはヒアルロン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、特に好ましくはヒアルロン酸のナトリウム塩(ヒアルロン酸ナトリウム)が挙げられる。 また、(B)成分の内、コンドロイチン硫酸は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンの2つ糖が反復する糖鎖に硫酸が結合した構造を持ち、眼粘膜等において保湿作用を発揮するグリコサミノグリカンの一種として公知の高分子化合物である。 また、コンドロイチン硫酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではないが、具体的には、上記ヒアルロン酸がとり得る塩と同形態のものが例示される。 塩の形態の中でも、好ましくは無機塩基との塩、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩、特に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。 これらのコンドロイチン硫酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明において使用されるコンドロイチン硫酸及びその塩は、その由来については特に制限されるものではなく、例えば、哺乳動物や魚の軟骨(例えば、サケやサメの軟骨等)等の動物から得られたものであっても、また微生物から得られたものであってもよく、また合成品であってもよい。 本発明に使用されるコンドロイチン硫酸及びその塩の粘度平均分子量としては、特に制限されないが、例えば0.01万〜10万、好ましくは0.05万〜7万、更に好ましくは0.1万〜5万の範囲にあるものが使用され得る。 ここで粘度平均分子量は、第十五改正日本薬局方の一般試験法 粘度測定法 第1法:毛細管粘度計法に準じて極限粘度ηを求め(測定条件:溶解液0.2M塩化ナトリウム溶液、温度25.0±0℃、ウベローデ粘度計)、得られた極限粘度ηを用いて下式Iより算出される。 式I:[η]=5.8×10 -4 M 0.74 (ここで、Mは粘度平均分子量である。) また、(B)成分の内、アルギン酸は、β-D-マンヌロン酸とα-L-グルロン酸が1,4-グリコシド結合した直線状のポリマーであり、マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、及びマンヌロン酸とグルロン酸がランダムに配列した画分(MG画分)が任意に結合したブロック共重合体である。 また、アルギン酸におけるマンヌロン酸/グルロン酸比(M/G比;モル比)は、特に制限されないが、一般的には4.0以下、好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下が例示される。 該M/G比の下限値は、特に制限されないが、一般的には0.1以上、好ましくは0.4以上、更に好ましくは1.0以上が例示される。 該M/G また、アルギン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではないが、具体的には、上記ヒアルロン酸がとり得る塩と同形態のものが例示される。 塩の形態の中でも、好ましくは無機塩基との塩、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩、特に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。 これらのアルギン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明において、アルギン酸及びその塩は、天然物、合成品のいずれを使用してもよい。 また、本発明で使用されるアルギン酸は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、分子量は特に制限されないが、通常、重量平均分子量で0.1万〜150万、好ましくは0.5万〜100万、更に好ましくは0.7万〜50万程度のものを使用できる。 アルギン酸及びその塩の中でも、SHCLへの(A)成分の吸着を抑制する作用を一層高め、 また、(B)成分の内、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロースのヒドロキシ基にメトキシ基とヒドロキシプロポキシ基を導入したセルロースエーテルである。 本発明に使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されるものではない。 また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにおけるメトキシ基とヒドロキシプロポキシ基の含有量についても、特に制限されないが、例えば、分子(100重量%)内に、メトキシ基が19〜31.5重量%及びヒドロキシプロポキシ基が4〜12重量%有するものが例示される。 本発明に使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースとして、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1828等が挙げられる。 また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではないが、具体的には、上記ヒアルロン酸がとり得る塩と同形態のものが例示される。 塩の形態の中でも、好ましくは無機塩基との塩、より好ましくはアルカリ金属塩、更に好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩、特に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。 これらのヒドロキシプロピルメチルセルロースの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその塩の分子量については、置換基の種類や置換度等によって異なるが、通常、重量平均分子量で0.1万〜150万、好ましくは0.5万〜130万、更に好ましくは1万〜100万程度のものを使用することができる。 ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその塩の中でも、SHCLへの(A)成分の吸着を抑制する作用を一層高め、そしてSHCLに吸着した(A)成分を溶出させ易くして、SHCLにおけるクロロブタノールの残存量を一層低減させるという観点、或いはSHCLへの細菌の付着をより一層抑制するという観点から、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。 本発明のSHCL用眼科組成物において、(B)成分は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩の中から1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明で使用される(B)成分の好適な一例として、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アルギン酸、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。 本発明で使用される(B)成分の中でも、SHCLへの(A)成分の吸着を抑制する作用を一層高め、そしてSHCLに吸着した(A)成分を溶出させ易くして、SHCLにおけるクロロブタノールの残存量を一層低減させるという観点から、好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びこれらの塩、更に好ましくはヒアルロン酸のアルカリ金属塩及びコンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩、特に好ましくはヒアルロン酸ナトリウム及びコンドロイチン硫酸ナトリウムが例示される。 また、SHCLへの細菌の付着をより一層抑制するという観点から、好ましくはコンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩、更に好ましくは、コンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に好ましくはコンドロイチン硫酸ナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが例示される。 本発明のSHCL用眼科組成物において、(B)成分の配合割合は、(B)成分の種類、併用する(A)成分の種類等に応じて適宜設定されるが、一例として、SHCL用眼科組成物の総量に対して、(B)成分が総量で0.0001〜5w/v%、好ましくは0.005〜1w/v%が例示される。 より具体的には、SHCL用眼科組成物の総量に対する各(B)成分の配合割合として、以下の範囲が例示される。 また、本発明のSHCL用眼科組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、特に制限されるものではないが、SHCLへの(A)成分の吸着を抑制する作用を一層高め、 本発明のSHCL用眼科組成物は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて、更に(C)ビタミンB (C)成分のうち、ビタミンB6類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されないが、具体的には、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、及びそれらの塩が挙げられる。 本発明で使用されるビタミンB6類のうち、塩の形態としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)等が挙げられる。 これらの塩の中でも、好ましくは無機酸塩、より好ましくは塩酸塩及びリン酸塩、特に好ましくは塩酸塩が挙げられる。 これらのピリドキシン、ピリドキサール、及びピリドキサミンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 これらのビタミンB6類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 これらのビタミンB6類の中でも、SHCLへの細菌付着をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくは、ピリドキシン及びその塩、より好ましくはピリドキシン及びその無機酸塩、更に好ましくはピリドキシン塩酸塩及びピリドキシンリン酸塩、特に好ましくはピリドキシン塩酸塩(塩酸ピリドキシン)が挙げられる。 (C)成分のうち、テトラヒドロゾリン類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されないが、具体的には、テトラヒドロゾリン及びその塩が挙げられる。 本発明で使用されるテトラヒドロゾリン類のうち、塩の形態としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、上記ビタミンB6類がとり得る塩と同形態のものが例示される。 これらの塩の中でも、好ましくは無機酸塩、より好ましくは塩酸塩及び硝酸塩、特に好ましくは塩酸塩が挙げられる。 これらのテトラヒドロゾリンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 これらのテトラヒドロゾリン類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 これらのテトラヒドロゾリン類の中でも、SHCLへの細菌付着をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくは、テトラヒドロゾリン及びその塩、より好ましくはテトラヒドロゾリン及びその無機酸塩、更に好ましくはテトラヒドロゾリン塩酸塩及びテトラヒドロゾリン硝酸塩、特に好ましくはテトラヒドロゾリン塩酸塩(塩酸テトラヒドロゾリン)が挙げられる。 (C)成分のうち、アラントイン類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されないが、具体的には、アラントイン、その誘導体、及びそれらの塩が挙げられる。 本発明で使用されるアラントイン類のうち、アラントインの誘導体、並びにアラントイン及びその誘導体の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントイングリチルレチン、アラントインアセチル-DL-メチオニン、アラントインDL-パントテニルアルコール、アラントインポリガラクツロン酸等が例示される。 これらのアラントイン類は、アラントイン、その誘導体、及びそれらの塩の中から、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。 これらのアラントイン類の中でも、SHCLへの細菌付着をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくはアラントイン、アラントインジヒドロキシアルミニウム、及びアラントインクロルヒドロキシアルミニウム、更に好ましくはアラントイン、及びアラントインジヒドロキシアルミニウム、特に好ましくはアラントインが挙げられる。 本発明のSHCL用眼科組成物において、(C)成分は、ビタミンB6類、テトラヒドロゾリン類、及びアラントイン類から1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。 本発明で使用される(C)成分の好適な一例として、アラントイン、ピリドキシン塩酸塩(塩酸ピリドキシン)、及びテトラヒドロゾリン塩酸塩(塩酸テトラヒドロゾリン)が挙げられる。 本発明のSHCL用眼科組成物に(C)成分を配合する場合、該(C)成分の配合割合については、(C)成分の種類、併用する(A)成分や(B)成分の種類等に応じて適宜設定されるが、一例として、SHCL用眼科組成物の総量に対して、(C)成分が総量で0.0001〜1.0w/v%、好ましくは0.01〜0.5w/v%が例示される。 より具体的には、SHCL用眼科組成物の総量に対する各(C)成分の配合割合として、以下の範囲が例示される。 また、本発明のSHCL用眼科組成物に(C)成分を配合する場合、(A)成分に対する(C)成分の比率については、特に制限されるものではないが、SHCLへの細菌付着をより一層効果的に抑制するという観点から、(A)成分の総量100重量部当たり、上記(C)成分の総量が0.1〜20000重量部、好ましくは10〜1000重量部となる範囲が例示される。 より具体的には、(A)成分の総量100重量部当たりの各(C)成分の比率として、以下の範囲が例示される: 本発明のSHCL用眼科組成物は、更に緩衝剤を含有していてもよい。 本発明のSHCL用眼科組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。 かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。 これらの緩衝剤は組み合わせて使用しても良い。 好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、及びクエン酸緩衝剤であり、より好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、及びリン酸緩衝剤であり、特に好ましい緩衝剤はホウ酸緩衝剤である。 ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。 リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。 炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。 クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等のクエン酸塩が挙げられる。 また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。 より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、 本発明のSHCL用眼科組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や量、該眼科組成物の製剤形態等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該SHCL用眼科組成物の総量に対して、該緩衝剤が総量で0.01〜10w/v%、好ましくは0.1〜5w/v%、更に好ましくは0.5〜2w/v%となる割合が例示される。 本発明のSHCL用眼科組成物は、更に等張化剤を含有していてもよい。 本発明のSHCL用眼科組成物に配合できる等張化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。 かかる等張化剤の具体例として、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、 本発明のSHCL用眼科組成物に等張化剤を配合する場合、該等張化剤の配合割合については、使用する等張化剤の種類等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該等張化剤が総量で0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%、更に好ましくは0.1〜3w/v%となる割合が例示される。 本発明のSHCL用眼科組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよい。 本発明のSHCL用眼科組成物に配合可能な界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。 本発明のSHCL用眼科組成物に配合可能な非イオン性界面活性剤としては、具体的には、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー403、ポロクサマー237、ポロクサマー124等のPOE・POPブロックコポリマー類;POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油類;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。 なお、上記で例示する化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数を示す。 また、本発明のSHCL用眼科組成物に配合可能な両性界面活性剤としては、具体的には、アルキルジアミノエチルグリシン等が例示される。 また、本発明のSHCL用眼科組成物に配合可能な陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示される。 また、本発明のSHCL用眼科組成物に配合可能な陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、αオレフィンスルホン酸等が例示される。 本発明のSHCL用眼科組成物において、上記界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。 上記の界面活性剤の中でも、好ましくは非イオン性界面活性剤;より好ましくはPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE硬化ヒマシ油類、又はPOE・POPブロックコポリマー類が用いられる。 本発明のSHCL用眼科組成物に界面活性剤を配合する場合、該界面活性剤の配合割合については、該界面活性剤の種類、他の配合成分の種類や量、該SHCL用眼科組成物の製剤形態等に応じて適宜設定できる。 界面活性剤の配合割合の一例として、SHCL用眼科組成物の総量に対して、該界面活性剤が総量で、0.001〜1.0w/v%、好ましくは0.005 本発明のSHCL用眼科組成物のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。 本発明のSHCL用眼科組成物のpHの一例として、4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、更に好ましくは5.5〜8.5となる範囲が挙げられる。 また、本発明のSHCL用眼科組成物の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。 本発明のSHCL用眼科組成物の浸透圧比の一例として、好ましくは0.5〜5.0、更に好ましくは0.6〜3.0、特に好ましくは0.7〜2.0となる範囲が挙げられる。 浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール、糖アルコール、糖類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。 浸透圧比は、第十五改正日本薬局方に基づき286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。 なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。 本発明のSHCL用眼科組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。 かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。 具体的には、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。 また、本発明のSHCL用眼科組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。 それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。 代表的な成分として次の添加物が挙げられる。 本発明のSHCL用眼科組成物は、所望量の上記(A)及び(B)成分、及び必要に応じて(C)成分又は他の配合成分を所望の濃度となるように添加することにより調製される。 本発明のSHCL用眼科組成物は、その剤型については、眼科分野で使用可能である限り特に制限されないが、例えば、液状、軟膏状等が挙げられる。 これらの中でも、液状が好ましい。 また液状の中でも水性液状が好ましい。 本発明のSHCL用眼科組成物を水性液状にする場合、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される水を水性担体として使用すればよく、このような水として、具体的には、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等が例示される。 これらの定義は第一五改正日本薬局方に基づく。 ここで、水性液状とは、水を含有する液状の形態を意味し、通常は、SHCL用眼科組成物中に水を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上を含有するものを意味する。 本発明のSHCL用眼科組成物は、眼科分野で用いられるものであってSHCLに接触するように使用されるものであれば、その製剤形態については制限されない。 例えば、SHCL用点眼剤(SHCLを装着したまま使用可能な点眼剤)、SHCL用洗眼剤(SHCLを装着したまま使用可能な洗眼剤)、SHCL装着液、SHCLケア用液剤(SHCL消毒液、SHCL保存液、SHCL洗浄液、及びSHCL洗浄保存液等)等を挙げることができる。 これらの中でも、SHCL用点眼剤は、他の眼科組成物に比べて一般に1日当たりの使用頻度が高く、SHCLに対してクロロブタノールを吸着、蓄積させ易く、SHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制させることが強く望まれている製剤形態である。 更に、SHCL用点眼剤は、SHCLを長期間連続装用しているときにも細菌付着を抑制するために手軽に使用できるという観点からも好適である。 かかる観点に鑑みれば、本発明のSHCL用眼科組成物の好適な一例として、SHCL用点眼剤を挙げることができる。 また、本発明のSHCL用眼科組成物の使用方法としては、該SHCL用眼科組成物をSHCLに接触させることとなる工程を有する公知の方法であれば、特に限定はない。 例えば、SHCL用点眼剤の場合、SHCLの装着前又は装用中に、該点眼剤の適量を点眼すればよい。 また、SHCL用洗眼剤の場合も、SHCLの装着前又は装用中、該洗眼剤の適量を洗眼に使用すればよい。 なお、本発明のSHCL用眼科組成物がSHCL用点眼剤又はSHCL用洗眼剤である場合、SHCLを装用している時はもちろん、装用していない時でも点眼や洗眼の目的で使用することができる。 また、SHCL装着液の場合、SHCLの装着時にSHCLと該装着液の適量を接触させることより使用される。 更に、SHCLケア用液剤の場合であれば、適量の該ケア用液剤中にSHCLを浸漬したり、該ケア用液剤にSHCLを接触させて擦り洗いすること等によって使用される。 本発明のSHCL用眼科組成物において、適用対象となるSHCLの種類については特に制限されず、イオン性又は非イオン性の別を問わず、現在市販されている、或いは将来市販される全てのSHCLを適用対象にできる。 ここでイオン性とは、米国FDA(米国食品医薬品局) また、本発明のSHCL用眼科組成物において、適用対象となるSHCLの含水率についても特に制限されず、例えば、90%以下、好ましくは60%以下、更に好ましくは50%以下が挙げられる。 なお、SHCLはハイドロゲル素材を含むものであるため、少なくとも0%より多い水分を含む。 ここでSHCLの含水率とは、SHCL中の水の割合を示し、具体的には以下の計算式により求められる。 含水率(%)=(含水した水の重量/含水状態のSHCLの重量)×100 本発明のSHCL用眼科組成物によれば、SHCLへのクロロブタノールの吸着を効果的に抑制することができ、そしてSHCLに吸着したクロロブタノールを生理食塩水等での溶出処理により溶出させ易くして、SHCLにおけるクロロブタノールの残存量を顕著に低減させることができる。 従って、本発明のSHCL用眼科組成物によれば、クロロブタノールの吸着・蓄積によって引き起こされる様々な弊害(例えば、多量に蓄積したクロロブタノールがSHCLに長期間留まることにより誘発され得る角膜上皮障害や、吸着したクロロブタノールによって引き起こされるSHCLの変形等により誘発され得る角膜上皮障害等)を防止することができる。 また、SHCLは、細菌が付着し易いことが分かっており、更に長期間の連続装用も可能になっているため、装用中に細菌の付着が助長され易い使用形態で用いられることもある。 これに対して、本発明によれば、SHCLへの細菌の付着を有効に抑制できるので、眼粘膜の細菌感染症の予防乃至緩和剤としても使用できる。 また、本発明は、別の観点から、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物の製造のための、(A)クロロブタノール、並びに(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の使用を提供する。 更に、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物の製造のための、(A)クロロブタノール、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)ビタミンB6類、テトラヒドロゾリン類、及びアラントイン類からなる群より選択される少なくとも1種の使用をも提供する。 2. SHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制する方法、SHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制する作用を付与する方法、及びSHCLへのクロロブタノールの吸着を抑制するための剤 これらの方法及び剤において、(A)及び(B)成分の種類や配合割合、配合される他の成分の種類や配合割合、SHCL用眼科組成物の製剤形態、適用対象となるSHCLの種類等については、前記「1.SHCL用眼科組成物」と同様である。 また、本発明は、別の観点から、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのクロロブタノールの吸着を抑制するための剤の製造のための、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の使用を提供する。 3. SHCLへの細菌の付着を抑制する方法、SHCLへの細菌の付着を抑制する作用を付与する方法 また別の観点から、本発明は、眼科組成物において、(A)クロロブタノールと、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種とを配合することを特徴とする、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの細菌の付着を抑制する作用を該眼科組成物に付与する方法を提供する。 更に本発明は、眼科組成物において、(A)クロロブタノールと、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(C)ビタミンB これらの方法において、(A)、(B)及び(C)成分の種類や配合割合、配合される他の成分の種類や配合割合、SHCL用眼科組成物の製剤形態、適用対象となるSHCLの種類等については、前記「1.SHCL用眼科組成物」と同様である。 また、本発明は、別の観点から、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの細菌付着を抑制するための剤の製造のための、(A)クロロブタノール、並びに(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の使用を提供する。 更に、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの細菌付着を抑制するための剤の製造のための、(A)クロロブタノール、(B)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(C)ビタミンB6類、テトラヒドロゾリン類、及びアラントイン類からなる群より選択される少なくとも1種の使用をも提供する。 以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 先ず、各ソフトコンタクトレンズを生理食塩水で洗浄し、液をきれいにふき取った。 次いで、サンプル群として、表2に示すクロロブタノール含有試験液(比較例1)10mLに各ソフトコンタクトレンズを浸漬し、120rpm、34℃の条件で、24時間振盪を行った。 また、ブランク群として、いずれのソフトコンタクトレンズも浸漬させないで、試験液をサンプル群と同条件で振盪させた。 次いで、サンプル群及びブランク群の試験液中に含まれるクロロブタノールを常法に従いHPLCで定量し、その差をソフトコンタクトレンズに吸着したクロロブタノールの量(クロロブタノール吸着量)とした。 次いで、上記振盪処理後のサンプル群の各ソフトコンタクトレンズを生理食塩水で軽く洗浄し、その後、生理食塩水10mLに各ソフトコンタクトレンズを浸漬し、120rpm、34℃の条件で、 得られた結果として、各ソフトコンタクトレンズのクロロブタノール吸着量を図1に示し、また生理食塩水で溶出処理後の各ソフトコンタクトレンズにおけるクロロブタノール残存量を図2に示す。 この結果から明らかなように、従来のハイドロゲルレンズ(レンズA及びB)に比して、SHCL(レンズC〜E)は著しくクロロブタノールを吸着し易く(図1)、そして生理食塩水での溶出処理後もクロロブタノールは十分に溶出されず多量にSHCLに残存してしまう(図2)という特有の課題が存在することが確認された。 中でも、イオン性SHCL(レンズC)において、この課題は顕著であった。 試験例1:SHCLに対するクロロブタノールの吸着及び残存抑制試験 得られた結果として、各試験液を用いた場合のSHCLへのクロロブタノールの吸着量を測定した結果を図3に示し、また各試験液を用いた場合について生理食塩水で溶出処理後のSHCLへのクロロブタノールの残存量を測定した結果を図4に示す。 この結果から明らかなように、クロロブタノールと共に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、又はヒアルロン酸ナトリウムを含む試験液(実施例1−4)では、クロロブタノールを単独で含む試験液(比較例1)に比して、SHCLへのクロロブタノールの吸着量が抑えられ(図3)、生理食塩水での溶出処理後にクロロブタノールの残存量が顕著に低減されている(図4)ことが判明した。 特に、コンドロイチン硫酸ナトリウム、又はヒアルロン酸ナトリウムを使用した場合(実施例3−4)では、生理食塩水での溶出処理後の残存量を格段顕著に低減させることができ、SHCLへのクロロブタノールの吸着と溶出処理後の残存を効果的に抑制して、クロロブタノールを含んでいながら極めて安全なSHCL用眼科組成物とすることができることが認められた。 試験例2:SHCLへの細菌付着性評価試験(1) まず、各レンズを1枚あたり滅菌生理食塩水5mL中に4時間以上浸漬させた(レンズの前処理)。 次いで、各試験液(実施例5−6及び比較例2−3)1mLを24穴マルチプレートに入れ、それぞれに前処理を終えたSHCLを1枚ずつ入れた。 また、非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズについても、比較例2に係る試験液で同様に処理を行った。 一晩処理した後に各レンズの表面の水分を不織布で軽く吸い取り、次いで、10 7〜8 CFU/mLのS. aureus菌液(生理食塩水中に懸濁したもの)5mLを入れた6穴マルチプレートに入れ、30分間室温にて保存した。 30分後、ピンセットで生理食塩水5mLを入れた6ウェルプレートに各レンズを移し、1分間振とうした。 次いで、各レンズを、新しい生理食塩水5mLの入ったスピッツ管に移し,3分間超音波(38kHz)にかけた後、1分間試験管ミキサーにて攪拌することで、各レンズに付着した細菌を剥がし、付着菌液とした。 得られた付着菌液を適当な濃度になるように希釈し、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・寒天培地(SCDLP寒天培地)上に播種した。 33℃にて一晩培養後、観察されたコロニー数をカウントし、希釈倍率で補正することにより、各レンズに対する付着細菌数(生菌数)を求めた。 この結果を、以下の図5に示す。 図5に示されるように、SHCLは非シリコーンハイドロゲルレンズに比べて著しくS.aureusを付着させ易いことが認められ(比較例2)、またクロロブタノールの配合により付着菌数は若干減少することが認められた(比較例3)。 一方、全く予想外のことに、このクロロブタノールに対しヒドロキシプロピルメチルセルロースを組み合わせて適用することにより、SHCLへの付着菌数を大幅に低減できることが認められた(実施例5)。 更に、クロロブタノールとヒドロキシプロピルメチルセルロースと共にアラントインを組み合わせることにより、より一層顕著に付着菌数を低減できることも明らかとなった(実施例6)。 試験例3:SHCLへの細菌付着性評価試験(2) この結果を、以下の図6に示す。 図6に示されるように、SHCLの種類を変えた場合でも、クロロブタノールとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせにより、上記試験例2と同様の細菌付着抑制効果が確認された(実施例7)。 また、クロロブタノールとヒドロキシプロピルメチルセルロースに対して、塩酸ピリドキシン又は塩酸テトラヒドロゾリンを更に組み合わせた場合にも、より一層顕著な細菌付着抑制効果が発揮されることも明らかとなった(実施例8及び9)。 試験例4:SHCLへの細菌付着性評価試験(3) この結果を、以下の図7に示す。 図7に示されるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに代えてコンドロイチン硫酸ナトリウムを用いた場合であっても、これまでの試験例と同様の細菌付着抑制効果が発揮されることが認められた(実施例10−11)。 |