Method of manufacturing a plastic decorative glasses member

申请号 JP13429297 申请日 1997-05-07 公开(公告)号 JP2825479B2 公开(公告)日 1998-11-18
申请人 茂良 山口; 株式会社アイプラス; 发明人 YAMAGUCHI SHIGEYOSHI; ONAMI EIZO;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に分散染料を用いて第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共に、
    この削り取った表面に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて、前記第1段階の染色とは異なる色で第2段階の染色を施すことを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項2】 プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に分散染料を用いて第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成することとし、その際、微細溝線の溝深さは、その溝底側の部分が、前記眼鏡部材の染色されていない部分に存するように設定することを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項3】 請求項1に記載のプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法において、微細溝線の内面の一部分に、前記第1段階の染色による着色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、
    前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定することを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項4】 プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その後、
    少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項5】 プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その際、
    該微細溝線の内面の一部分に、前記黒系色や濃茶系色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項6】 テンプルとして形成されたプラスチック製眼鏡部材の表面の略全体に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、該テンプルの外側の側面及び/又は内側の側面を、その染色された表面の略全長に亘って所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、テンプルの長さ方向に延びる微細溝線を多数凹設して縞状の溝線集合模様を形成し、その際、該微細溝線の内面の一部分に、前記黒系色や濃茶系色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項7】 モダンとして形成されたプラスチック製眼鏡部材の表面の略全体に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、該モダンの外側の側面及び/又は内側の側面を、その染色された表面の略全長に亘って所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、モダンの長さ方向に延びる微細溝線を多数凹設して縞状の溝線集合模様を形成し、その際、
    該微細溝線の内面の一部分に、前記黒系色や濃茶系色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項8】 プラスチック製眼鏡部材を透明又は半透明のものに形成し、前記第1段階の染色により形成された縁取りが光を遮えぎることによって、縁取りの内側部分に陰影が生ずるようになすことを特徴とする請求項1、3、4、5、6又は7記載のプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項9】 前記プラスチック製眼鏡部材の表面に、
    染色に先立って、凹部からなる立体装飾部を形成しておき、該眼鏡部材の染色と同時に前記立体装飾部も染色するものとし、又前記凹部の深さは、微細溝線の形成によっても凹部の底部分が残るように設定することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 【請求項10】 プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に分散染料を用いて第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて、前記第1段階の染色とは異なる色で第2段階の染色を施すプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法であって、前記プラスチック製眼鏡部材の表面に、染色に先立って、凹部からなる立体装飾部を形成しておき、該眼鏡部材の染色と同時に前記立体装飾部も染色するものとし、又前記凹部の深さは、微細溝線の形成によっても凹部の底部分が残るように設定することを特徴とするプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック製のテンプルやモダン、リム装飾片、パッド等のプラスチック製の眼鏡部材であって、染色された表面の一部分に微細溝線からなる溝線集合模様が形成されてなるプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】近年、アンティック調の眼鏡枠が人気を集めているが、プラスチック製のものはこれまで殆ど見受けられない。 このような要望に応えんとして提供された古物風の装飾眼鏡部材としては、特開平5−1649
    96号公報が開示する擬古調樹脂製眼鏡部品の製造方法が提案されている。

    【0003】この製造方法は、プラスチック製の眼鏡部材を分散染料を用いて、樹脂そのものとは別異色に染色して後、その染色層を部分的にバフで研磨することにより、染色層の下から未染色の樹脂層を露出せしめて全体を斑状にし、その後、研磨済の眼鏡部品にラッカーを塗装して仕上げるものであった。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記製造方法によるときには次のような問題点があった。 前記製造方法は、染色された部分をバフで研磨することによって染色層の下から未染色の樹脂層を露出させるだけであったため、擬古調とはいっても、平滑な樹脂面を研磨部分に単純に表わすだけのものであり、繊細な風合いを付与することはできなかった。

    【0005】又、研磨済の眼鏡部材にラッカーを塗装することによって、前記平滑な研磨面がよく反射するために、研磨により形成した装飾部分の印象が薄れ易いばかりか、却って意匠効果が損なわれる問題もあった。

    【0006】本発明は、前記問題点に鑑みて開発されたものであり、より繊細で見栄えのする装飾部を有する、
    例えばアンティック調等の風合をもったプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法の提供を目的とするものである。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。 即ち本発明に係るプラスチック製装飾眼鏡部材の製造方法(以下製造方法という)は、プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に分散染料を用いて第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共に、この削り取った表面に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて、前記第1段階の染色とは異なる色(第1段階の染色による色と濃度が異なる色を含む。
    本発明において以下同様)で第2段階の染色を施すことを特徴とするものである。

    【0008】該製造方法において、微細溝線の内面の一部分に、前記第1段階の染色による着色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定するのがよい。

    【0009】又本発明に係る製造方法の他は、プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に分散染料を用いて第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成することとし、その際、微細溝線の溝深さは、その溝底側の部分が、前記眼鏡部材の染色されていない部分に存するように設定することを特徴とするものである。

    【0010】又本発明に係る製造方法のより具体的な態様は、眼鏡部材の表面の所要部分に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするものである。

    【0011】又本発明に係る製造方法のより具体的な態様の他は、眼鏡部材の表面の所要部分に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、その染色された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その際、該微細溝線の内面の一部分に、前記黒系色や濃茶系色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、
    前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするものである。

    【0012】又本発明に係る製造方法のより具体的な態様は、テンプルとして形成されたプラスチック製眼鏡部材の表面の略全体に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、該テンプルの外側の側面及び/又は内側の側面を、その染色された表面の略全長に亘って所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、テンプルの長さ方向に延びる微細溝線を多数凹設して縞状の溝線集合模様を形成し、その際、該微細溝線の内面の一部分に、前記黒系色や濃茶系色が、
    溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするものである。

    【0013】又本発明に係る製造方法のより具体的な態様の他は、モダンとして形成されたプラスチック製眼鏡部材の表面の略全体に、分散染料を用いて黒系色や濃茶系色の第1段階の染色を施して後、該モダンの外側の側面及び/又は内側の側面を、その染色された表面の略全長に亘って所要厚さに削り取ると共に、その削り取った部分の表面に、モダンの長さ方向に延びる微細溝線を多数凹設して縞状の溝線集合模様を形成し、その際、該微細溝線の内面の一部分に、前記黒系色や濃茶系色が、溝線の長さ方向に連続して或いは途切れ状態で延びる如く残るように、前記削り取り厚さ及び微細溝線の溝深さを設定し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、
    分散染料を用いて茶系色の第2段階の染色を施すことを特徴とするものである。

    【0014】前記製造方法が削り取りの工程を含む場合において、プラスチック製眼鏡部材を透明又は半透明のものに形成し、前記第1段階の染色により形成された縁取りが光を遮えぎることによって、縁取りの内側部分に陰影が生ずるように構成するのがよい。

    【0015】前記各製造方法において、前記プラスチック製眼鏡部材の表面に、染色に先立って、凹部からなる立体装飾部を形成しておき、該眼鏡部材の染色と同時に前記立体装飾部も染色するものとし、又前記凹部の深さは、微細溝線の形成によっても凹部の底部分が残るように設定するのがよい。

    【0016】又本発明に係る製造方法のより具体的な態様の他は、プラスチック製眼鏡部材の表面の所要部分に分散染料を用いて第1段階の染色(黒系色や濃茶系色等の染色)を施して後、その染色された表面の一部分に、
    微細溝線を多数凹設して溝線集合模様を形成し、その後、少なくとも前記溝線集合模様部分に、分散染料を用いて、前記第1段階の染色とは異なる色で第2段階の染色(茶系色等の染色)を施すものとし、前記プラスチック製眼鏡部材の表面に、染色に先立って、凹部からなる立体装飾部を形成しておき、該眼鏡部材の染色と同時に前記立体装飾部も染色するものとし、又前記凹部の深さは、微細溝線の形成によっても凹部の底部分が残るように設定することを特徴とするものである。

    【0017】

    〔第1の実施の形態〕

    図1は、本発明に係る製造方法によって製造された木製風のプラスチック製装飾眼鏡部材1の一例を示すものであり、芯金2をその略全長に亘って被覆する装飾モダン1aとして構成されており、全体が木製モダン風に装飾されている。 その装飾状態は図2に示し、図1では装飾状態を便宜上省略している。

    【0018】かかる装飾モダンを製造する本発明の製造方法は、先ず、ナイロンやセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のプラスチックを用いて、図3に示す、例えばモダン3を成形する。 なおこのプラスチックとしては、不透明のものの他、透明又は半透明のものを用いることができる。 特に、透明又は半透明のプラスチックを用いたときは、後述のように、モダンの木製風の印象をより顕著なものとなし得て好ましい。 又このモダンの例えば外側面4には、図3〜5に示すように、後述する削り取り部分12において、約0.
    5mm程度の深さの凹部5からなる商標等の立体装飾部6が形成されている。 この立体装飾部6は、モダンの成形時に同時に形成される他、成形されたモダンに刻印して形成される。

    【0019】次に、前記モダン3の表面全体を、分散染料を用いて黒系色に染色する。 ここに黒系色とは、黒色の他、例えば青みがかった黒色や赤みがかった黒色等、
    他の色に黒色が混って黒っぽく見える色をいう。 この第1段階の染色による変色域7は、図5に示すように、モダン表面8と一点鎖線の境界線9との間の部分であり、
    例えば、モダンの表面9から0.1〜0.13mm程度の深さの範囲であって、散点を付して表されている。 この染色によって、前記凹部5からなる商標等の立体装飾部6が黒く着色される。

    【0020】その後、先端部分に砥石が付着された回転ブラシを用いて、前記染色されたモダン表面の内側の側面10及び外側の側面4を、図6〜7に示すように、モダンの全長に亘って削り取る。 この作業は、例えば、手で把持したモダンを回転ブラシに当てて行う。 この削り取り部分を、図6〜7に符号12で示している。 その結果、モダンの上下の縁部分13,14及び後端縁部分1
    5が当初の黒系色の染色状態で残る。 この削り取りは、
    モダンの表面を約0.08〜0.1mm程度除去するように行われるものであり、それと同時に、前記砥石の切削作用によって、谷部深さが約0.05〜0.1mm程度の微細溝線16を、モダンの長さ方向に多数本、並列状態に凹設する。

    【0021】これによって、例えば図6〜8に示すような、微細溝線16の集合からなる縞状の溝線集合模様1
    7を形成する。 なお図8においては、この溝線集合模様17の一部分を、左右方向に延びる並列直線として表している。 又、前記削り取りによっても、図6〜8に示すように、凹部5の内面19が当初の黒系色の染色状態で残るようにする。

    【0022】前記微細溝線16は、図8に拡大して示すような、例えば断面半円弧の溝線として形成され、このように形成された溝線内面20には、前記変色域(散点を付して表されている)7と、前記削り取りの厚さ、及び微細溝線16の深さとの関係で、その上側の部分21
    に、溝線の長さ方向に延びる如く、前記第1段階の染色による黒系色が残って、長く連続した筋22や短かく途切れた筋22が形成される。

    【0023】本実施の形態においては、前記モダンの削り取りを、回転ブラシを用いて手作業で行うため、削り取り後に残る染色の変色域や溝線の深さは必ずしも各部一定せず、従って実際上は、この黒系色の筋22の幅は各部均一ではない。 そしてこの筋22は、前記のように、長く連続しているものもあれば短く途切れているものもあるのである。

    【0024】その後、前記縞状の溝線集合模様17が施されたモダン3の全体を、分散染料を用いて例えば茶系色に染色する。 この第2段階染色によって、前記溝線内面20は、その全体が茶色に染色される。 そして前記のように黒系色が残った部分には、第2段階の染色との色の混合によって、黒っぽい茶色が現れ、その結果、図9
    に模式的に示すように、この黒っぽい茶色の筋(以下濃線という)23が溝線に沿って明瞭に形成されることとなる。 第2段階の染色による変色域24は、図8において、モダン表面8と破線の境界線9との間の部分であって、散点を付して表されている。 又前記濃線部分の断面25は、散点の密度を高めて表されている。 なお、前記回転ブラシをかける際、前記削り取りの厚さや溝線の深さを変化させることによって、このような濃線23の縞状筋模様25の現れ方を意図的に変えることも可能である。

    【0025】このようなことの結果、前記縞状の溝線集合模様部分は、溝線16の底部側にに生ずる陰影によって溝線の深み感がより印象付けられるために、木目の印象を与える。 しかも、幅や長さがランダムである前記濃線23による縞状筋模様25も形成されていることから、この縞状筋模様26が木目の印象を一層強める。 このようなことから、前記縞状の溝線集合模様部分には、
    例えば図2に示すように、実際の柾目状木目に近似する印象的な木目調模様27が現出されることとなる。 又、
    微細溝線16における光の乱反射によって、この木目調模様部分に柔らかみ、温かみが付与されることとなる。

    【0026】そして前記のように、モダンの上下の縁部分13,14や後端縁部分15が黒系色のまま残っていることから、図7に示すと同様に、前記木目調模様部分23の周囲が黒系色に縁取りされた状態を呈し、図10
    に示すように、この縁取りの部分29は樹皮のように見える。 それ故モダンは、プラスチック製ではあるが、柔らかみ、温かみのある木製のモダンに近似した外観に仕上がることになるのである。 特に前記のように、テンプルが透明又は半透明のプラスチックで成形されているときは、前記黒い縁取りの部分29が内部に陰影を形成する結果、図10に示す縁取りの内側周辺部分30が、同図に斜線を付して示すように稍暗くなり、この暗くなった部分の内側に前記木目調模様27が連なることになる。 これは、外側が黒色乃至濃茶系色であり且つ内側に向けて徐々に色が薄くなる実際の樹皮の印象に非常に近く、従って、木製風モダンの印象をより一層強めることができる。

    【0027】又、図2、図7、図10に示す黒色の凹部5aからなる前記商標等の立体装飾部6は、モダンが前記のように木製風に見えることから、あたかも焼印して形成されたものであるかのように浮き出て見えることとなる。 そして前記木目調模様の部分は、その谷部が摩耗しにくいために、長期間に亘って、木製風の外観が維持されることとなる。

    【0028】〔第2の実施の形態〕 図11は、本発明に係る製造方法の他の態様を説明するものであり、例えば黄系色の着色プラスチックを用いてモダン3を成形する。 本実施の形態においても、図4に基づいて説明したと同様、モダンの例えば外表面4に、
    凹部5からなる商標等の立体装飾部6が形成されている。 その後このモダン3を、分散染料を用いて、そのモダンの色とは別異の色例えば黒系色に染色する。 その横断面は図5に示すと同様であり、その染色による変色域7は、図11に示すように、モダン表面8と一点鎖線の境界線9との間の部分である。 この変色域は、図11において、散点を付して表されている。

    【0029】その後、その染色されたモダン表面の外側の側面や内側の側面を、図6に示すと同様にして、砥石付きの回転ブラシで所要に削り取る共に、それと同時に、モダンの長さ方向に流れる微細溝線16からなる縞状の溝線集合模様17を形成する。 この溝線集合模様1
    7の形成は、図11に示すように、黄系色の筋31と黒系色の筋32とが、削り取った面に表れるように、染色による黒系色を多少残すように行う。 本実施の形態においては、前記実施の形態におけるような第2段階の染色は施さない。

    【0030】このようにして得られた装飾モダンは、前記微細溝線16に生ずる陰影と該微細溝線16における光の乱反射によって、柔かみ、温かみのある繊細な意匠をモダンに付与できることとなる。

    【0031】本実施の形態においても、前記削り取り部分に、凹部5からなる商標等の立体装飾部6を形成しているため、前記染色によって凹部5の内面19も黒系色等に染色され、従って、該削り取った部分に、染色された立体装飾部を浮き出すことができる。

    【0032】〔その他の実施の形態〕 本発明に係るプラスチック製装飾眼鏡部材は、前記モダンの他、図12に示すようなプラスチック製のテンプル33に応用できる他、図13に示すようなパッド3
    5や、リム上縁に取り付けられる化粧片(まゆ)36にも応用可能である。 又図13に示すような、掛け部分だけに用いられるモダン3にも応用可能である。

    【0033】 前記モダンやテンプルに関して、第1
    段階の染色部分を削り取る態様には、その内側の側面のみ、或いは外側の側面のみを削り取る場合がある。 このようにすれば、モダンやテンプルの内外の側面のデザインを異ならせることができるため、眼鏡着用状態におけるテンプル部分の意匠効果(テンプルの外側の側面の意匠効果)と、テンプルを折り畳んだ状態においてレンズ越しに見えるテンプル部分の意匠効果(テンプルの内側の側面の意匠効果)が別異となり、意匠的な変化を楽しめることとなる。

    【0034】 第1段階の染色部分を削り取る態様には、眼鏡部材が例えば前記モダンやテンプルである場合、前記実施の形態で示すように、その長さ方向の全体を削り取ることの他その前側や後側或いは中間の一部分を削り取る場合がある。 又、上下の面の双方又は一方を削り取ることもある。 更に、周方向或いは螺旋状に削り取ることもある。 この削り取りは、第1段階の染色部分が残らないように行う他、前記実施の形態で示したように、その染色部分を多少残して行うこともある。

    【0035】 第1段階及び第2段階の分散染料による染色の色の種類に限定がない。 例えば、緑系色、青系色、赤系色等、各種の色を採用できる。 又、濃度の異なる同一色を採用することもできる。 特に、プラスチック製装飾眼鏡部材を木製風に仕上げる場合は、第1段階の染色を黒系色で行うのが最適であるが、これに代えて濃茶系色で行ってもよい。

    【0036】 第1段階の染色の削り取り工程と微細溝線を形成する工程は、前記実施の形態で示した砥石付きのブラシ等を用いて同時に行うことができる他、削り取った後に微細溝線を形成することとしてもよい。 又この微細溝線は、眼鏡部材の軸線方向に流れる線状に形成される他、この軸線に対して傾く線状に、或いは、軸線と直交する方向の線状に形成されることもある。

    【0037】 本発明に係る製造方法は、図14に示すように、第1段階の染色を施して形成された表面37
    を削り取らないで、微細溝線16の溝部上端39が前記表面37に合致するように溝線集合模様17を形成し、
    その際前記と同様、染色に先立って凹部からなる立体装飾部を表面37に形成しておき、該眼鏡部材の染色と同時に前記立体装飾部も染色するものとし、又前記凹部の深さは、微細溝線の形成によっても凹部の底部分が残るように設定することもある。 このようにすることにより、前記と同様に、削り取った部分に、染色された立体装飾部を浮き出すことができる。

    【0038】 前記染色は、浸染で行う他、捺染や転写等の手段で行うこともできる。 そして第1段階の染色は、眼鏡部材の一部分にのみ施されることもある。

    【0039】

    【発明の効果】本発明は以下の如き優れた効果を奏する。 本発明によるときは、染色を施した部分の一部分を削り取ると共にこの削り取った部分に微細溝線からなる縞状の溝線集合模様を形成するため、その溝線部分に生ずる陰影や光の乱反射によって、柔かみ、温かみのある繊細な装飾部を具えたプラスチック製装飾眼鏡部材を提供できることとなる。 このように独特の意匠効果を付与できる本発明の製造方法は、単純に研磨するだけの前記従来の製造方法とは明らかに異なるものである。

    【0040】 特に、プラスチック製眼鏡部材を黒系色や濃茶系色に染色して後、その染色部分の一部を削り取ると共にその削り取った部分の表面に微細溝線からなる溝線集合模様を形成し、その際、溝線の内面に前記黒系色や濃茶系色が筋状に残るようにし、この溝線集合模様部分に茶系色を更に染色する場合は、プラスチック製でありながら、あたかも木製であるかの如き外観を呈する高付加価値の装飾眼鏡部材を低コストで製造できることになる。

    【0041】より詳しくは、前記溝線集合模様部分は、
    溝線に生ずる陰影によって溝線の深み感がより印象付けられ、しかも、溝線の内面に前記黒系色や濃茶系色が残ることによって濃線の縞状筋模様も形成されることから、前記溝線集合模様部分には、実際の木目に近似する印象的な木目調模様が現出されることとなる。 そしてこの木目調模様部分は、微細溝線における光の乱反射によって、実際の木目に近い柔らかみ、温かみを有する。 その上、削り取った部分の周囲に黒系色や濃茶系色の染色部が存することから、前記木目調模様部分の周囲がこの黒系色や濃茶系色で縁取りされた状態を呈し、この縁取りの部分は樹皮のように見える。 それ故モダンは、プラスチック製ではあるが、柔らかみ、温かみのある木製のモダンに近似した外観に仕上がることになるのである。

    【0042】特に、眼鏡部材を透明又は半透明のプラスチックで成形するときは、黒い縁取りが内部に陰影を形成する結果、この縁取りの内側周辺部分が稍暗くなり、
    この暗くなった部分の内側に前記木目調模様部分が連なることになる。 このような縁取りと陰影とからなる部分は、外側が黒色乃至濃茶色であり且つ内側に向けて徐々に色が薄くなる、実際の樹皮の外観に非常に近い印象を与え、木製モダンの印象をより一層強めることとなる。

    【0043】 成形されたプラスチック製眼鏡部材を、分散染料を用いて、その眼鏡部材の色とは別異の色に染色して後、その染色部分の一部に微細溝線からなる溝線集合模様を形成して装飾眼鏡部材を製造するときも(前記第2段階の染色を施さない態様)、微細溝線に生ずる陰影と微細溝線における光の乱反射によって、柔かみ、温かみのある繊細な意匠を眼鏡部材に付与できることとなる。

    【0044】 眼鏡部材の表面に、第1段階の染色に先立って、凹部からなる商標等の立体装飾部が形成されているときは、染色によって、この商標等を着色できると共に、その後の染色部分の削り取りによってもこの着色を残すことが可能であるため、前記着色された商標等を浮き出すことができる。 特に、溝線集合模様部分に木目調模様が形成され、この凹部からなる商標等が黒系色や濃茶系色であるときは、この着色商標等を、あたかも焼印して形成されたものであるかのように印象的に浮き出して見せることができる。

    【0045】 溝線集合模様部分は、その凹凸の存在によって谷部が摩耗しにくいために、その装飾効果を長く維持させることができる。 又この凹凸の溝線集合模様部分を、眼鏡部材が肌と接触する部分に形成することにより、摩擦抵抗の増大による眼鏡のずり落ち防止効果も得られることとなる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】装飾眼鏡部材をその使用状態で説明する斜視図である。

    【図2】その部分斜視図である。

    【図3】モダンとしての眼鏡部材を示す側面図である。

    【図4】その部分斜視図である。

    【図5】第1段階の染色が施されたモダンの断面図である。

    【図6】第1段階の染色による面を部分的に削り取ると共に、この削り取った表面に溝線集合模様を形成した状態を示すモダンの断面図である。

    【図7】その側面図である。

    【図8】その一部分を拡大して説明する斜視図である。

    【図9】第2段階の染色を施した部分の一部分を拡大して説明する斜視図である。

    【図10】装飾モダンの一部分を拡大して示す側面図である。

    【図11】第1段階の染色が施された表面の一部分を所要厚さに削り取ると共にこの削り取った表面に溝線集合模様を形成してなる装飾モダンの一部分を拡大して説明する斜視図である。

    【図12】本発明の製造方法が応用されるテンプルを示す斜視図である。

    【図13】本発明の製造方法が応用される眼鏡部材のその他の例を説明する斜視図である。

    【図14】第1段階の染色を施して形成された表面を削り取らないで溝線集合模様を形成した状態の一部分を拡大して説明する斜視図である。

    【符号の説明】 1 装飾眼鏡部材 3 モダン 5 凹部 6 立体装飾部 7 第1段階の染色による変色域 16 微細溝線 17 溝線集合模様 23 濃線 24 第2段階の染色による変色域

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 6 ,DB名) G02C 5/00 - 5/20 G02C 11/02

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