レーザーパルスマルチプライヤを用いた半導体検査及び計測システム

申请号 JP2017220025 申请日 2017-11-15 公开(公告)号 JP2018078293A 公开(公告)日 2018-05-17
申请人 ケーエルエー−テンカー コーポレイション; 发明人 チュアン ユン−ホ アレックス; リオウ ジャスティン ダイアンフアン; アームストロング ジェイ ジョセフ; デン ユージン;
摘要 【課題】レーザーの出 力 で動作するUVレーザーの反復率を向上させるための実用的かつ低コストな技術を提供する。 【解決手段】半導体の検査または計測に用いるパルスマルチプライヤは、レーザーパルスを受け取るビームスプリッター103と、ビームスプリッター103を含むリングキャビティを形成する1つ以上のミラー106,107を備える。ビームスプリッターは、レーザーパルスのエネルギーの第1の割合をパルスマルチプライヤの出力として向け、レーザーパルスのエネルギーの第2の割合をリングキャビティに向け、リングキャビティは、波長板を含んでおらず、連続する出力パルスは同一の偏光状態を有する。 【選択図】図1A
权利要求

半導体の検査または計測に用いるパルスマルチプライヤであって、前記パルスマルチプライヤは、 レーザーパルスを受け取るビームスプリッターと、 前記ビームスプリッターを含むリングキャビティを形成する1つ以上のミラーと、 を備え、 前記ビームスプリッターは、前記レーザーパルスのエネルギーの第1の割合を前記パルスマルチプライヤの出として向け、前記レーザーパルスのエネルギーの第2の割合を前記リングキャビティに向け、前記リングキャビティは、波長板を含んでおらず、連続する出力パルスは同一の偏光状態を有する、 パルスマルチプライヤ。連続するレーザーパルス間の時間間隔の約1/2に、又は1/2の約奇数倍に相当する光路長を有するように前記リングキャビティを構成することにより、実質的に規則的に繰り返すレーザーパルスのストリームの反復率を倍増するように更に構成されている、 請求項1に記載のパルスマルチプライヤ。前記1つ以上のミラーは、実質的に同じ曲率半径を有する少なくとも2つの曲面ミラーを備え、前記リングキャビティはヘリオットセル又はホワイトセルを備える、 請求項1に記載のパルスマルチプライヤ。請求項1〜3のいずれかに記載のパルスマルチプライヤを含むシステムであって、 前記システムは、パターン化されていないウェーハ検査システム、パターン化されたウェーハ検査システム、マスク検査システム、及び計測システムの1つを実行し、 前記システムは、データの2つの画像又はチャンネルを同時に検出するように構成された検出器を更に備える、 システム。

说明书全文

本出願は、「レーザーパルスマルチプライヤを用いた半導体検査及び計測システム」と題する2012年12月5日出願の米国仮特許出願第61/733,858号の優先権を主張し、「レーザーパルスの光ピーク電低減及びそれを用いた半導体検査及び計測システム」と題する2011年6月13日に出願の米国仮特許出願第61/496,446号、及び「レーザーパルスマルチプライヤを用いた半導体検査及び計測システム」と題する2012年6月1日出願の米国出願第13/487,075号に関連する。これらの出願の全ては参照されて明細書に組み込まれている。

本発明は、半導体検査および計測システムのためのレーザーパルスの光ピーク出力低減の利用に関し、特に最適化されたパルスマルチプライヤを生成するビームスプリッター及び1つ以上のミラーの利用に関する。

検査および計測に必要な照明は、一般に、連続波(CW)光源が最も適していることが多い。CW光源は一定の出力レベルを有するため、画像又はデータの継続的取得が可能になる。しかし、多くの対象波長、特に紫外(UV)波長において、十分な放射輝度(単位立体あたり単位面積あたりの出力)のCW光源は利用できない、高価である又は信頼できない。

パルス光源はCW光源の時間平均出力レベルよりも遙かに高い瞬間ピーク出力レベルを有している。しかし、対象波長において十分な時間平均放射輝度を有する光源としてパルスレーザーしか利用できない場合や、又はコスト効率が良い場合は、高い反復率及び広いパルス幅を有するレーザーを用いることが最適である。パルス反復率が高いほど、同じ時間平均出力レベルにおけるパルスあたりの瞬間ピーク出力が低くなる。ほとんどの損傷発生メカニズムは非線形であり、平均出力にではなくピーク出力に大きく依存するので、レーザーパルスのピーク出力が低いほど、光学系及び測定中のサンプル又はウェーハへの損傷は少なくなる。

いくつかの応用において、反復率の増加による更なる利点は、データ取得あたり又は画素あたりに収集されるパルスの増加が、パルス間変動の平均化を向上させて及び信号対ノイズ比を向上させる事である。更に、サンプルが高速移動する場合、各パルス間で移動した距離が短くなるため、より高いパルス周波数は時間の関数としてサンプル位置におけるサンプリングの向上になる。

レーザーサブシステムの反復率は、レーザー媒体、ポンプシステム、及び/又はその駆動電子機器を向上させることにより高めることができる。残念ながら、既に所定の反復率で作動しているUVレーザーの変更には、1つ以上の構成要素を改良するために大幅な時間及び資金の投資が必要となり、反復率が少ししか向上できないこともあり得る。更に、UVレーザーにおける基本レーザーの反復率を向上させることは、基本レーザーのピーク出力を減少させる。これは(必然的に非直線プロセスである)周波数変換の効率を減少させ、このため高い平均UV出力レベルを発生させることが困難となる。

国際公開第2011/064059号

従って、レーザーの出力で動作するUVレーザーの反復率を向上させるための実用的かつ低コストな技術が必要とされている。

一般に、システムのための最適化されたパルスを生成する方法が記載される。この方法において、ビームスプリッター及びリングキャビティを用いて、入力レーザーパルスは複数のパルスに光学的に分割される。到来パルスはビームスプリッターによって2つに分離される。パルスの一部は継続し、パルスの一部はリングキャビティに入る。パルスは一度リングキャビティの周囲を移動した後、ビームスプリッターに再遭遇して再び2つに分離される。一方はリングキャビティに離れ、他方はリングキャビティの周囲を再び移動する。

レーザーは、実質的に均等に時間で分離されたパルスのストリームを生成する(即ち、パルスが実質的に一定の反復率で生成される)場合は、キャビティの周囲を一回移動していたパルスが到来レーザーパルスとパルスとの間に到着するようにリングキャビティ長は設定されることができる。例えば、リングキャビティ長は、パルスが2つの到来パルス間の時間間隔の約半分の時間でリングキャビティの周囲を一回移動できるように設定することができる。

ビームスプリッターは、各々の入射パルスのエネルギーのどの位の割合がリングキャビティに入るかを決定する。ビームスプリッターは、キャビティの周囲を移動したパルスのエネルギーのどの位の割合がキャビティを離れるかも決定する。ビームスプリッターを適切に選択することによって、パルスの相対振幅を制御することができる。一態様において、リングキャビティ長は、パルスが2つの到来パルスの間の時間間隔の約半分の時間でリングキャビティの周囲を移動するように選択され、ビームスプリッターはリングキャビティを離れるパルスのエネルギーが互いにほぼ等しくなるように選択され、それによりレーザーの反復率は効果的に倍増される。

パルスマルチプライヤはビームスプリッター、及びミラーのセットを含むことができる。ビームスプリッターは入力レーザーパルスを受信する。ミラーのセットはリングキャビティを形成する。いくつかの実施形態では、リングキャビティはプリズムとミラーがともにキャビティを形成するようにプリズムを含む。ビームスプリッターはパルスマルチプライヤの出力としてパルスの第1のセットを有利に反射(又は透過)し、パルスの第2のセットを透過(又は反射)してリングキャビティへ戻す。

リングキャビティ中でパルスを再集束するために、キャビティ中の1つ以上のミラーは湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のレンズはキャビティ中へ組み込まれパルスを再集束する。

一実施形態では、1つのキャビティの出力は他のキャビティの入力に向けられることができる。一実施形態では、第1のリングキャビティはレーザーの反復率の2倍の速度でパルスのストリームを発生することができ、第2のリングキャビティは反復率を再び2倍にすることができ、その結果レーザーを4倍にする。いくつかの実施形態では、反復率を8倍にするために3つのリングキャビティが使われ、又は反復率を16倍にするために4つのリングキャビティが使われる。

任意の上述したパルスマルチプライヤはウェーハ検査システム、パターン化されたウェーハシステム、マスク検査システム、又は計測システムに組み込まれることができる。パルスマルチプライヤは、最小限の全出力損失で秒当たりのパルスの数を増加しつつ、低コストでパルス当たりのピーク出力を減少させることができる。パルスマルチプライヤは、市販のレーザーで有利に高速度検査及び高速度計測を可能にする。

入力パルス列の速度の整数倍である反復率でパルス列を生成するように構成された例示的なパルスマルチプライヤを示す。

単一のキャビティから得られるより高い反復率を有するパルス列を生成するために、2つのキャビティから構成された例示的なパルスマルチプライヤを示す。

反復率が入力パルス列の速度の整数倍であるパルス列を生成するように構成された別の例示的なパルスマルチプライヤを示す。

単一のキャビティから得られるより高い反復率を有するパルス列を生成するために、図1Cに示される2つのキャビティを結合させることができる1つの方法を示す。

図1Cに示されるパルスマルチプライヤの一実施形態をより詳細に示す。

図1A、IB、1C、ID、IE、3A、3B、4A、及び4Bの1つのパルスマルチプライヤによる例示的なエネルギーのエンベロープ出力を示す。各エネルギーエンベロープは、出力パルス列を含む。

パルスマルチプライヤは、ピーク電力を低減し実質的に等しいエネルギーを各パルスに確保しながら、初期の反復パルス周波数を倍増できることを示す。

単一のリングキャビティ及び2つのバタフライ型リングキャビティを備えた別の例示的なパルスマルチプライヤを示す。

単一のリングキャビティ及び2つのバタフライ型リングキャビティを備えた別の例示的なパルスマルチプライヤを示す。

ヘリオットセルに基づく別の例示的なパルスマルチプライヤを示す。

半分のヘリオットセルに基づく別の例示的なパルスマルチプライヤを示す。

パルスマルチプライヤを組み込んだ例示的なパターン化されていないウェーハ検査システムを示す。

パルスマルチプライヤを組み込んだ例示的なパターン化されたウェーハ検査システムを示す。

パルスマルチプライヤと組み合わせることができる例示的なコヒーレンスの低減及び/又はパルス整形模式図を示す。

パルスマルチプライヤを組み込んだ例示的なフォトマスク、レチクル又はウェーハ検査システムを示す。

改良されたパルスマルチプライヤの一態様によれば、各レーザーパルスは、光学的に複数のパルスに分割されることができる。一実施形態では、これらのパルスは、ほぼ等しいエネルギーであってもよく、ほぼ等しい時間間隔であってもよい。レーザーパルスのこの分割は、最小のエネルギー損失で上記の問題に対する実用的で安価な解決策を提供することができる。

図1Aは、各入力パルスからパルス列を生成するように構成された例示的なパルスマルチプライヤ100を示す。入力パルスは、方向101から到達してビームスプリッター103に入射し、ビームスプリッターは各パルスの一部を出力方向102に透過し、一部をミラー106に反射する。入力及び出力のパルスは、矢印104に平行な方向に実質的に偏光されている。従って、出力偏光は入射偏光に対して実質的に平行である。

ミラー106は、入力パルスの光をプリズム108に向ける。プリズム108を出る光はミラー107に向けられ、ミラーはビームスプリッター103に光を戻すように向ける。従って、2つのミラー106及び107、プリズム108、並びにビームスプリッター103は、リングキャビティを形成する。ミラー107からビームスプリッター103に到達する各パルスの一部は、リングキャビティの外に反射され、一部がビームスプリッター103を透過し、リングキャビティの周りを再循環する。ビームスプリッター103は、後でより詳細に説明される。

ミラー106及び107は、リングキャビティの周りを少なくとも数回循環するようにレーザービームウエストのサイズ及び形状を実質的に又は部分的に維持するために、キャビティ内で光を再集束するように選択された曲率半径(従って、焦点距離)を有する。例えば、入力パルスレーザーが実質的に平行であってもよく、ミラー106は各レーザーパルスをプリズム108の中心付近のビームウエストに焦点を合わせることができ、及びミラー107は実質的に各レーザーパルスを再び平行にするすることができるが、これに制限されるものではない。この配置は、ビームウエストをビームスプリッター103上に、又はその近傍に配置しないので、ビームスプリッター103に最高の電力密度を当てないという利点を有する。当業者は、多くの他の焦点の配置が可能であることを理解するであろう。

光が、プリズムの材料のブリュースター角に実質的に又はほぼ等しい角度で入射するように、プリズム108の入力面109は好ましくカットされ、それによって入力面109からの反射による光の損失を最小限にする。好ましくは、出力面(明示されていない)は、出力面での光の損失を最小にするためにブリュースター角で配向もされている。入力光パルスは、実質的に方向104に偏光されるので、両方のプリズム面でブリュースター角を使用することにより、プリズム108による光の損失を実質的に除去する。いくつかの好ましい実施形態において、プリズム108は、紫外線(UV)グレードの若しくはエキシマグレードの石英ガラス、フッ化カルシウム(CaF2)又はフッ化マグネシウム(MgF2)を含んでも良い。

好適な実施形態では、リングキャビティの光路長は、連続した入力パルス間の距離の単位分数に実質的に又はほぼ等しくなるように設定される。2つのパルス間の距離は光速にこれらのパルス間の時間間隔を乗じたものに等しい。例えば、いくつかの実施形態では、キャビティの光路長は、入力パルスの間の距離の実質的に又はほぼ1/2、1/3、又は1/4になるように設定されることができる。このようなリングキャビティでは、1つおき、2つおき、又は3つおきのパルスは、それぞれ実質的に又はほぼ到達する入力パルスと一致する。例として、入射レーザーパルスが125MHzの反復率を有する場合、その時は1.199メートルのリングキャビティの光路長は、2つの入力パルスの実質的に中間のパルス及び入射パルスとほぼ同時に生じるパルスとを交互に生成し、従って250MHzの反復率で出力パルスを生成するが、これに制限されることはない。

いくつかの実施形態では、キャビティの光路長は、連続した入力パルス間の距離の単位分数の適切な倍数に設定されることができる。例えば、パルス2逓倍器において、リングキャビティの光路長は、連続した入射パルス間の距離の1/2の代わりに、その距離の実質的に又はほぼ3/2又は5/2倍になるように設定されることができる。この長さは、出力反復率が高い、例えば約1GHz以上の場合、要求される物理的なキャビティ長はわずか15cm以下であるので(反復率及びミラーからの反射の数に応じて)、有利でありうる。このような短いリングキャビティ長は、位置合わせすることは困難であり、又は1mm又は数mmのレーザービームウエストを収容するためには、複数の曲面ミラー内の1つへの非常に大きな入射角を必要とする。一般に、小型の光学収差を小さくするために曲面ミラーへの入射角を小さくすることが好ましい。

リングキャビティの光路長は、増倍率で割ったパルス間隔から直接計算された公称長さよりもわずかに大きい、又はよりわずかに小さくてもよい。この長さは、パルスがビームスプリッターに正確に同時に到達しない、及びに僅かに出力パルスを広げる結果となる。例えば、入力パルスの反復率が125MHzであり、入力パルス幅が約100ピコ秒である場合、僅かなリングキャビティの遅延は周波数増倍率2では4ナノ秒になる(即ち、約1.199mのキャビティの光路長)が、限定するものではない。一実施形態では、4.05ナノ秒に対応するリングキャビティの光路長(即ち、約1.214メートルのリングキャビティ光路長)は、増幅された反射パルスが、互いに又は入射パルスと僅かだけ重なるように用いられることができる。このように、125MHzの入力パルス反復率のための4.05ナノ秒のキャビティ長は有利にパルスを広げ、パルス高を低減することができる。異なる入力パルス周波数又は増倍率を有する他のパルスマルチプライヤは、異なるキャビティの遅延時間を有することができる。この例では、約3.95ナノ秒に対応するキャビティの光路長は、出力パルスの高さに実質的に同様の減少を達成することに留意されたい。

レーザーパルスは、一般的に急激な立ち上がり時間及び立ち下がり時間をもたず、多くの場合、近似的にガウシアン形状を有することに留意されたい。ピーク電力を低減するように適切なリングキャビティ長を選択するために、パルス幅は、パルスの最大値の半分における全幅(FWHM)、又はパルス幅の1/e2の幅若しくはパルス幅の他の任意の尺度と定義されることができる。いくつかの好ましい実施形態では、キャビティの光路長はパルス幅の約半分にほぼ等しい量だけ、連続したパルス間の間隔の半分に相当するものより長く又は短くなるように設定される。

特に、図1Aのビームスプリッター103は、パルスがリングキャビティの周りを移動するたびにリングキャビティからの各パルスの一部を反射して、各パルスの一部を透過してリングキャビティ内へ戻す。だから、各パルスのエネルギーはリングキャビティの内部を通過するたびに減少する。特に、各ミラー反射及び各プリズム面において更にエレルギー損失がある。しかしこれらの損失は、一般的にビームスプリッターによってキャビティの外に向けたエネルギーの割合と比較して小さい。時間的に近接してビームスプリッターに到達する連続パルスは、エネルギーエンベロープを提供するものとして特徴付けられる。キャビティの光路長が入力パルス間の距離の約半分である例示的な実施形態において、エネルギーエンベロープは、入力パルスの到達に時間に近接してビームスプリッターに到達する偶数パルス列(即ち複数の偶数パルス)及び、2つの入力パルス間の時間の約半分で到達する奇数パルス列(すなわち複数の奇数パルス)とから構成されている。本発明の好適な実施形態の一態様によれば、これらのエネルギーエンベロープはほぼ又は実質的にエネルギーが等しい。

図2Aは、例示的なエネルギーエンベロープ202A、202B、202C、及び202Dを示し、それぞれは出力パルス列201A、20IB、201C、および20IDから構成される。示されるように、出力パルス列は125MHzの入力の反復率を倍増する上述のパルスマルチプライヤの実施形態を例示する。つまり、単一パルスがキャビティ全体を通過する(即ち、0→1、1→2、2→3等)のにかかる時間が4.050ナノ秒になるように、キャビティ長は各周回毎に約0.05ナノ秒の余分な時間遅延を追加するように選択される。

元のパルス200A及び200Bは、パワーエンベロープ202A及び200Cの一部ではないが、文脈のために示されている。具体的には、図1Aのビームスプリッター103は、元のパルス200Aおよび200Bを用いて出力パルス列201A−201Dを生成する。最初のパルスはリングキャビティに入らず、後続のパルスはキャビティの周りを2、4、及び6回周回するため、エンベロープ202Aと202Cの下の個々のパルスには0、2、4、及び6のラベルが付けられている。エンベロープ202Bと202Dの下の個々のパルスには、パルスごとにキャビティの周りを周回した回数を示す1、3、5、及び7のラベルがつけられている。図2Bは、キャビティがミラーやプリズムから失う損失が最小である場合、パルス列201Aと201Bのそれぞれにおける個々のパルスの正規化された和は、実質的に互いに等しくすることができ、そして各入力パルスの総エネルギーの半分にほぼ等しいことを示している。だから、ピーク電力を低減し、各出力パルスのエネルギーを実質的に又はほぼ等しく保ちつつ、パルスマルチプライヤ100のために記載された構成は、元の反復パルス周波数を倍増することができる。

特に、上述したように図1Aを再度参照すると、各パルスの形状又はプロファイル(例えば、ビームウエスト寸法、ビームウエスト楕円、及びM2(これは産業でよく知られたISO標準である、即ち、同じ波長における実際のビームのビームパラメータプロダクトの理想的なガウシアンビームのビームパラメータプロダクトに対する比)などのパラメータによって測定されたように)が少なくとも数回の周回の間ほぼ一定であるように、リングキャビティを移動する間、ミラー106及び107は、光パルスがリングキャビティを移動するたびに再び焦点を合わせることができる。この均一性のため、エンベロープからエンベロープまでの最小の差又は1つのエンベロープの最初から最後までの最小の差をパルスは加算されることができる(例えば、図2Aおよび図2Bに示すように)。各パルスはビームスプリッター103を通過するたびにエネルギーが低減されるので、ほんの数回だけの周回ではエネルギーはかなり残る。だから、複数回の周回後に収差が重要なレベルまで積み上がるまでに、パルスエネルギーは無視できるレベルまでに減少するので、例えば非点のような光学収差によって生じるパルス形状又は品質の僅かな変化は許容される。

このように、ビームスプリッター103は、方向101から到達する各入力パルスからパルス列を生成することがでる。

ビームスプリッター103によって送信されるエネルギーの割合をTとすると(透過率Tとも呼ばれる)、ビームスプリッターにより反射された割合はRで表され(反射率Rとも呼ばれる)、及びリングキャビティの周りを1回伝達するエネルギーの割合はCで表される(リングキャビティ透過率とも呼ばれる)(最初にパルスがビームスプリッターを離れた時、ビームスプリッターに戻ってくるエネルギーのその同じパルスのエネルギーに対する比と定義される)場合、入力パルスのエネルギーの割合として表した、単一の入力パルスに対して連続したパルスの出力エネルギーはT、RCR、RC(TC)R、RC(TC)2R、RC(TC)3R、RC(TC)4R、...となる。

エネルギーの保存は、T+R≦1及びC≦1を意味する。無損失ビームスプリッターでは、R+T=1、及びロスレスリングキャビティでは、C=1である。

キャビティの光路長が2つの連続するパルス間の距離の半分にほぼ等しい場合、図2Aの出力エンベロープ202Aは、入力パルス200Aに偶数回リングキャビティを通過した全てのパルス(エンベロープ202Aの下に2、4、及び6とラベルが付けられている)を加えた割合T(このエンベロープの下に0のラベルが付けられている)を含む。エンベロープ202Cも同様に入力パルス200B(エンベロープ202Cの下に0のラベルが付けられている)の入力エネルギーに対する割合T、キャビティの周りを2回まわった(エンベロープ202C下に2のラベルが付けられている)パルス200Aのエネルギーの割合R2C(TC)、に加えリングキャビティの周りを4回、6回等まわった以前のパルスの一部を含む。この合計は、図2Bに201Aとして示されている。図2Aの出力エンベロープ202B及び202Dはそれぞれリングキャビティを奇数回通過したパルスの和を含む。例えば、エンベロープ202Bの下で1というラベルの付いたパルスは、リングキャビティの周りを1回まわったパルス200Aのエネルギーの割合R2Cである。この合計は、図2Bにおいて201Bとして示されている。

パルスマルチプライヤ100の一態様によれば、ビームスプリッターの反射率R、ビームスプリッターの透過率T、及びリングキャビティの透過率Cが図2Bの201Aと20IBの合計が実質的に又はほぼ等しいように選択される。R2C=T+T2Cの場合、それらの合計は等しくなる。

ビームスプリッターの損失がεBで表される場合、但しεB=1−T−R、及びリングキャビティ損失がεCで表される場合、但しεC=1−C、そして等しいパルスエンベロープの場合、Tは式、

で与えられる。

εB及びεCが両方とも1に比較して小さい時、概略の形式が有効であり、よくあることであろう。εB及びεCが両方ともに無視できる場合(即ち、ビームスプリッター及びキャビティ損失も共に重要ではない)、等しいパルスエンベロープではT=1/3及びR=2/3である。

図2Bに示す式は、図1A及びIBの実施形態のためのものである。後述するように、他の実施例を参照して、T及びRの役割は交換できる。図2Bに示すように、これらの実施形態では、式中TはRに、及びRはTに置き換えられるべきである。

T、R、及びミラーコーティング(及び、従って、εB及びεC)は通常の製造ばらつきによってコンポーネント間で僅かに異なる場合がある。いくつかのアプリケーションでは、各出力パルスに実質的に等しいエネルギーを達成するために、リングキャビティに微調整を行うことができることが望ましい。従って、いくつかの実施形態では、キャビティ伝送損失(εC)は、奇数エンベロープ(即ち合計201B)及び偶数エンベロープ(即ち合計201A)の下でエネルギーを実質的に一致させるために調整されることができる。この調整の間、光は正確にブリュースター角でプリズムに当たらないように、プリズム108は、わずかに回転させることができる。これにより、各パルスのごく一部を、リングキャビティの外へ反射させ、結果としてεCを増加させる。リングキャビティのミラーの角度の微調整はキャビティの位置合わせを維持するために必要に応じて行われる。プリズム108での損失が最小である(実施的にゼロ)ので、光がブリュースター角でプリズムに入射する時、ブリュースター角に向かう調整又は離れる調整が可能であるように当業者は、通常のリングキャビティは、ブリュースター角からわずかにはずれたプリズムの入射角のためであることを理解するであろう。

図2A及び2Bは、リングキャビティ長は、入射レーザーパルス間の半分より少し長い間隔(例えば、50ピコ秒)である場合を示している。示されるように、各出力パルスのエンベロープが最大強度に急激に増加し、その後、連続したより弱いパルスのようによりゆっくり減衰して出力に到達する。リングキャビティ長は、入射レーザーパルス間の間隔の半分より僅かに短い(例えば、50ピコ秒より短い)場合は、エンベロープは実質的に時間的に逆になり、最大強度までゆっくり上昇し、その後更に急激に減衰することが容易に理解されるであろう。上記の式及び分析は出力エンベロープを計算及び調整するために適用可能である。多くのアプリケーションのために、いずれかのアプローチが反復率を倍増させピーク電力を低減するために作用するであろう。

キャビティ長が入力パルス間隔の半分以外のいくらかの割合、例えばパルス間隔の1/3に実質的に等価である場合、出力パルスのエンベロープは図2Bのそれらとは異なる和によって決定される。キャビティ長がパルス間隔の1/3に実質的に等しい場合、第1のエンベロープは、リングキャビティの周りを3回の倍数回(3回、6回など)まわったパルスを入力パルスに加えた割合Tの合計であり、第2のエンベロープは、リングキャビティの周りを1回、4回、7回等まわったパルスの合計であり、第3のエンベロープは、リングキャビティの周りを2回、5回、8回等まわったパルスの合計でなる。このキャビティ長では、第4のエンベロープは実質的に第1のエンベロープに類似しているであろう。リングキャビティの周りを2回まわったパルスは、1回まわったパルスより必然的により弱いため(Tは1未満でなければならないので、他の有意なパルスエネルギーはキャビティに入らない)、たとえリングキャビティが、別の方法で損失なし(C=1)であっても、第2及び第3の出力エンベロープを均一にほぼ等しくすることは不可能である。2より大きいパルス周波数増倍率が要求され、しかし各出力パルスにおいて等しいエネルギーが要求されない場合、単一のリングキャビティが適切である。実質的に又はほぼ等しいパルスエネルギーで2より大きいパルス周波数増倍率を必要とされる場合は、2つ又はそれ以上のパルスマルチプライヤはそれを達成するために結合されなければならない。

簡単にするため、図1Aは、光学部品全てが入力及び出力光方向101及び102も含む1つの平板内に配列されているかのように光学部品を示していることに注意が必要である。実際の実装では、コンポーネントは3次元で配置されることができる。例えば、ミラー106は、方向101からの入射光がプリズム108中を通過するように少なくとも部分的に下向きである方向へミラーに当たった光を反射することができる。この構成では、プリズムを離れた光がミラー107に向かって上方向に移動するように、プリズム108は配向される。

また、ビームスプリッター103は、2つのミラー間の中間に配置される必要がないことに注意すべきである。他の実施形態では、ビームスプリッター103は、他のミラーより1つのミラーに対してより近くに配置することができる。当業者は、コンポーネントの多くの異なる配置が可能であることを理解するであろう。

各パルスがリングキャビティ内を循環するように、各パルスを再集束するように構成された場合、‘075のアプリケーションのパルスマルチプライヤは、図1Aのパルスマルチプライヤよりも多くのコンポーネントを必要とする。また、‘075アプリケーションのパルスマルチプライヤは、リングキャビティで2つの異なる偏光状態を使用する。これらの偏光状態は、特にディープUV波長では各表面のコーティング設計を複雑にする可能性がある。入射レーザーパルスの高いピーク出力レベルを許容しながら両方の偏向状態がうまく動作するディープUVビームスプリッターの製作は難しいかもしれない。同様に、リングキャビティ内の伝送要素、例えば波長版(‘075実施形態における)、レンズ、又はプリズム用の堅牢なディープUV用反射防止コーティングがない可能性がある。だから、一つの別の実施形態では、プリズム108の面のブリュースター角の使用は、最小限の光損失はプリズム面にコーティング無しに達成されることを意味する。更に、以下に詳細に記載されるようにリングの位置合わせは、より少ない構成要素を使用することにより簡素化することができる。

図1Bは、単一のリングキャビティから得ることができる増倍率よりも高い増倍率を発生する2つのリングキャビティを含む例示的なパルスマルチプライヤ110を示す。例えば、第1のリングキャビティは、入力レーザーの反復率の2倍に実施的に等しいエネルギーのパルスを生成するように構成することができる。第2のリングキャビティは、第1のリングキャビティの出力の2倍の増幅率と実質的に等価なエネルギーのパルスを生成するように構成されることができ、それにより、各出力パルスの実質的に等しいエネルギーを維持しながら入力レーザーの反復率を4倍に増加させる。第1リングキャビティのための上述の任意の構成及び全ての方法は、第2のリングキャビティに適用することができる。

上述したように図1Bにおいて、第1のリングキャビティは、コンポーネント103、106、108、及び107を含んでいる。第2のリングキャビティは、ビームスプリッター113、ミラー116及び117、並びにプリズム118を含み、レーザーのパルス周波数を直接というよりもむしろ第1のリングキャビティの出力のパルス周波数を増大させること以外は、第1のリングキャビティと類似の方法で機能する。第1のリングキャビティのビームスプリッター103からの光は第2のリングキャビティのビームスプリッター113に向けられる。ビームスプリッター113はビームスプリッター103と実質的に同様に機能する。ミラー116及び117は、第2のリングキャビティ内にレーザーパルスを再集束し、(好ましい実施形態において、第1のリングキャビティの光路長より短い)第2のリングキャビティの光路長に適切な曲率半径(従って、焦点距離)を有する。プリズム118は、好ましくは、その入力面及び出力面が実質的に又はほぼブリュースター角(その入力面は119がラベル付けされている)でカットされている。出力光は、第2のリングキャビティを方向112へ出て、第1のリングキャビティからのパルスと第2のリングキャビティの周りを循環しているパルスとの結合から成る。

図1Cは、(図1Aに示すように)2枚のミラーより1枚のミラーを使用する別の例示的なパルスマルチプライヤ120を示す。この実施形態では、入力光が方向121から到達し、一部はビームスプリッター123で出力方向122に反射される(入力された光の一部が出力方向に送信される図1Aの実施形態と比較して)。ビームスプリッター123を透過した光は、ミラー126、プリズム128、及びビームスプリッター123、を含むリングキャビティに入る。ミラー126はリングキャビティ内を循環する光を再集束する。ビームウエストは1つのリングキャビティの周りを各1回周回する倍数で再集束されるように、好ましくは、ミラー126の曲率半径はリングキャビティの光路長の半分に実質的に等しい。図1Aの実施形態のように、ブリュースター角のカットは好ましくはプリズム128の入力面及び出力面に用いられ、それによりこれらの面(プリズム128の入力面は図1Cに129とラベル付けされている)での反射損失を最小にする又は除去する。以前の実施形態と同様な方法で、プリズム128での損失を大幅に除去するように、入力光は実質的に又はほぼ方向124に偏光されるべきである。光がプリズム128を出た後、光はビームスプリッター123に戻るように向けられ、そこで各パルスの一部は出力方向122へビームスプリッター123を透過し、及び一部はリングキャビティに戻るように反射される。

図1Cのビームスプリッター123の透過及び反射の役割は、図1Aのビームスプリッター103における役割に関連して入れ替えられることを除いて、パルスマルチプライヤ120は、図1Aのパルスマルチプライヤ100と実質的に同様の方法で機能する。上記の式はR及びTが交換できる限り、このリングキャビティに適用されることができる。実質的に等しいパルスエンベロープの場合、マルチプライヤ120を用いて入力パルスの速度を倍増する時、キャビティ及びビームスプリッターの損失を無視できるなら、Rは約1/3であり、Tは約2/3である必要がある。図1Aのマルチプライヤの場合、上記で教示されるようにリングキャビティ及び/又はビームスプリッターの損失がある場合、実質的に等しいパルスエンベロープを維持するように僅かに異なるR及びTの値が選択されることができる。

パルスマルチプライヤ100(図1A)と比較してパルスマルチプライヤ120(図1C)の1つの利点は、パルスマルチプライヤ120は2枚のミラーよりむしろ1枚のミラーを用いることである。その結果、特に深紫外波長において光の損失が少なくなる。構成要素が少ないほどリングキャビティの光学位置合わせの簡素化もできる。一方、パルスマルチプライヤ120の非点収差やラテラルカラーなどの光学収差は、(パルスマルチプライヤ100に比べて)より大きくてもよいことに注意すべきである。これらの光学収差が許容できるかどうかは、レーザーのビームウエスト、リングキャビティ長及び要求される出力パルスビームプロファイルに依存する。当業者が理解するであろうように、曲面ミラー126への入射角を小さく保持することは光学収差を最小限に抑えることができる。

図1Dは、単一のリングキャビティから簡単に得ることができる増倍率より、より高い増倍率を生成するために、図1Cに示されたものと同様の2つのリングキャビティを含む別の例示的なパルスマルチプライヤ130を示す。例えば、第1のリングキャビティは、入力レーザーの2倍の反復率に実質的に等しいエネルギーのパルスを生成するように構成されることができる。第2のリングキャビティは第1のリングキャビティの出力の2倍の反復率に実質的に等しいエネルギーのパルスを生成するように構成されることができ、それにより各出力パルスと実質的に等しいエネルギーを維持しながら入力レーザーの反復率を4倍に増やす。

上述したように図1Dにおいて、第1のリングキャビティは、ビームスプリッター123、ミラー126及び、プリズム108を備える。第2のリングキャビティは、ビームスプリッター133、ミラー137、及びプリズム138を備える。第1のリングキャビティのビームスプリッター123からの光は、第2のリングキャビティのビームスプリッター133に向けられる。ビームスプリッター133はビームスプリッター123と実質的に同様に機能する。ミラー137は、第二のリングキャビティ内にレーザーパルスを再集束し及び、好ましくは、第2のリングキャビティの半分の光路長に実質的に等しい曲率半径を有する。他の実施形態について上述したように、プリズム138は好ましくは、入射及び透過光がカットされた面に対して実質的に又はほぼブリュースター角になるようにカットされたその入射面及び出力面を有する。出力光は、ビームスプリッター133を透過し方向132に第2のリングキャビティを出射し、出力光は第1のリングキャビティからのパルス及び第2のリングキャビティの周りを循環しているパルスとの組み合わせから成る。先の実施形態について説明したように、ビームスプリッター133も各パルスの一部を再循環させる。

図1Eは、図1Cとは異なる(ただし、同一の構成要素)レイアウトで別の例示的なパルスマルチプライヤ140を示す。リングキャビティ内の光の入射角が、図1Cのミラー126及びビームスプリッター123上で実質的に同じである場合、入射角度を低く保持することは、ミラー126からプリズム128を通って同じビームスプリッター123までの光路長が、ビームスプリッター123からミラー126までの光路長よりほんの僅かに長くなる結果となる。ミラー126は好ましくはキャビティの全光路長の半分に実質的に等しい曲率半径を有するので、レーザーパルスは、プリズム128とビームスプリッター123との間の位置でビームウエストに再集束されるが、一般的にビームスプリッター123に非常に近い。ディープUVで使用されるパルスマルチプライヤの場合、これはビームスプリッター128の表面に高電力密度の入射をもたらす結果となるかも知れず、寿命を低下させる。

図1Eの実施形態は、ビームスプリッター123の表面からさらに少しビームウエストを移動させるために、リングキャビティの形状を変更している。いくつかの好ましい実施形態では、ビームウエストはプリズム128の出力面とビームスプリッター123の表面との間のほぼ中間に配置されている。

図1Eに示されるように、ビームスプリッター123とミラー126との間の距離はd1、ミラー126とプリズム128の入力面との間の距離はd2、光が通る中心軸に沿ったプリズム128の長さはL1、及びプリズム128の出射面からビームスプリッター123までの距離がd3である。従って、リングキャビティの全光路長はd1+d2+d3+L1*nに等しく、nはレーザーの波長におけるプリズム材料の屈折率である。例えば、プリズム128がCaF2を含みレーザー波長が266nmである場合、その屈折率は1.462になる。例えば、入力レーザーの反復率が125MHzで反復率の倍増が、リングキャビティによって実行されると、リングキャビティの光路長は、光が4ナノ秒移動する距離にほぼ等しくなる、即ち約1.199メートルである。以上説明したように、特定の好ましい実施形態では、リングキャビティの光路長はレーザーのピーク電力を更に低減するためにこの長さより少し長い長さに、又は少し短い長さに設定される。例えば、リングキャビティの光路長は、125メガヘルツの反復率のレーザーでは約1.214mになるように設定されることができる。

以上説明したように、好ましくはミラー126の曲率半径は光路長の半分にほぼ等しい。レーザービームウエストは、ミラー126から光路長の半分離れて再集束されるであろう。レーザービームウエストからミラー126までの光路長がキャビティの光路の半分にほぼ等しいように、入力レーザーは、好ましくはビームスプリッター123の前に焦点を結ぶべきである。

示されているように、ミラー126への光の入射が2θ1の角度で偏向されるように、ミラー126への入射角はθ1である。ビームスプリッター123への入射角はθ2である。プリズム128のブリュースター角θBは、レーザー波長においてプリズム材料の屈折率によって決定される。CaF2では266nmの波長において、ブリュースター角は約55.6°である。示されるようにブリュースター角でプリズム128の面に入射する光線は2θB−90°に等しい角度でずれている(即ち、CaF2では266nmの波長で角度約21.3°)。プリズム128は、示されたようにビームスプリッター123とミラー126との間の光に平行な線に対して角度δで傾斜している。

幾何学から、次の関係を導出される: [数2] 2θ1=2θB−90°+δ 2θ2=2θB−90°+δ d1=L1*cos(δ)+d2*cos(2θ1)+d3*cos(2θ2) d3*sin(2θ2)=d2*sin(2θ1)+L1*sin(2θ2)

プリズム128の所望のリングキャビティの光路長と特性とを組み合わせたこれらの方程式は、許容される光学収差を維持するためにミラー126上で適度に小さな入射角度θ1を維持しながら、適切な角度、プリズムの長さL1並びに構成要素間隔d1、d2、及びd3の選択が所望の位置にビームウエストを配置できるようにする。

図IB及びIDで示されるものと同様に、4倍の増倍率のような高い増倍率を達成すために図1Eに示すような2つのキャビティが含まれる(即ち、光結合型)。

図3Aは例示的なレーザーパルスマルチプライヤ300を示す。このマルチプライヤはプリズムを含んでいない、だからレーザー波長及びピークパワーレベルと互換性のあるプリズムの材料が容易に入手できない及び/又は安価でない場合に使用される。

レーザーパルスは、方向301から到達する。各パルスの一部はビームスプリッター303から出力方向302に反射され、一部はリングキャビティ(パスが交差しているのでバタフライ型リングキャビティと呼ばれることもある)に入る。以上説明したように、リングキャビティ及びビームスプリッター303が無損失であった場合、ビームスプリッター303は、好ましくは、各レーザーパルスのエネルギーの約1/3を反射し、約2/3をリングキャビティ内に伝送する。以上説明したように、これらの値はパルス周波数逓倍器で実質的に等しいエネルギー出力パルスを維持するために、ビームスプリッター及びリングキャビティの損失を考慮するように修正することができる。

レーザーパルスはリングキャビティに入った後、平面ミラー304で反射され、曲面ミラー305に向けられる。ミラー305はレーザーパルスを曲面ミラー306に向けて反射する。ミラー306はビームスプリッター303向かってレーザーパルスを戻すように反射する。ミラー305及び306の曲率は、リングキャビティ内の各レーザーパルスを再集束するように選択される。ミラー305及び306の曲率半径、従って焦点距離の異なる組み合わせが可能である。例えば、入力レーザーパルスは、ビームスプリッター303とミラー304との実施的に中間の位置のビームウエストに焦点を合わせることができる。ミラー305は、レーザーパルスを平行にするように曲率半径を選択することができる。ミラー306は、(構成要素の対称形配置を仮定すると)同じ曲率半径を有し、ビームスプリッター303とミラー304との間の実質的に中間の位置のビームウエストに各パルスを再集束ことができる。別の実施形態では、入力レーザーパルスは実質的に平行にされる。この場合、ミラー305は、ミラー305とミラー306との間の実質的に中間の位置のビームウエストにレーザーパルスを再集束することができる。そしてミラー306はレーザーパルスを再平行化することができる。当業者は、上述した2つに加えてそのほかの再集束方式が可能であることを理解するであろう。

パルスがビームスプリッター303に当たると、パルスの一部は出力方向302に送信され、一部はリングキャビティの周りに再循環される。以上説明したように、キャビティ長は2つの連続する入射レーザーパルス間の間隔の半分より少し大きいか又は少し小さい長さと同等であることができる。

当業者は、平面鏡304並びに曲面ミラー305及び306の1つは、曲面ミラーの焦点距離の適切な変更により位置を交換できることを理解するであろう。

図3Bは、単一のリングキャビティから簡単に得ることができる増倍率より、より高い増倍率を生成するために、図3Aに示されたものと同様の2つのリングキャビティを含む別の例示的なパルスマルチプライヤ310を示す。例えば、第1のリングキャビティは、入力レーザーの2倍の反復率に実質的に等しいエネルギーのパルスを生成するように構成されることができる。第2のリングキャビティは、第1のリングキャビティの出力の2倍の反復率に実質的に等しいエネルギーのパルスを生成するように構成されることができ、それにより各出力パルスの実質的に等しいエネルギーを維持しながら入力レーザーの反復率を4倍に増やす。

上述したように図3Bにおいて、第1のリングキャビティは、構成要素303、304、305および306を備える。第2のリングキャビティは、ビームスプリッター313、並びにミラー314、315及び316を備える。第1のリングキャビティのビームスプリッター303からの光は、第2のリングキャビティのビームスプリッター313に向けられる。ビームスプリッター313は、ビームスプリッター303と実質的に同様に機能する。ミラー314は、曲面ミラー315に光を向け直す。ミラー315及び316は、第2のリングキャビティ内にレーザーパルスを再集束する。出力光はビームスプリッター313を透過し方向312へ第2のリングキャビティを出射し、出力光は第1のリングキャビティからのパルス及び第2のリングキャビティの周りを循環したパルスの組み合わせから成る。先の実施形態について説明したように、ビームスプリッター313も各パルスの一部を再循環させる。

図3Bは、構成要素をそれらが1つの平面内に配置されているかのように示しているが、レイアウトは3次元であってもよい。例えば、方向101からの入力レーザーパルスは、第2のリングキャビティの光学構成要素の上又は下に移動することができる。

図4Aは、プリズムを含まない別のレーザーパルスマルチプライヤ400を示す。本実施形態は、ビームスプリッターとほぼ等しい曲率半径の2つの曲面ミラーだけを含む。本実施形態のアライメントは特に簡単である。本実施形態は、Herriott et al., “Off-axis Spherical Mirror Interferometers”, Applied Optics 3, #4, pp523-526 (1964)及び Herriott et al., “Folded Optical Delay Lines”, Applied Optics 4, #8, pp883-889 (1965)に記載されたヘリオットセルと同様である。特に、本実施形態はパルスの増加を実行するために、リングキャビティ内にビームスプリッターを含む。Herriottらの参考文献は、キャビティ内のビームスプリッターを含むことを記載していない、及びにパルス周波数逓倍器の応用を記載していない。

レーザーパルスは、方向401から到達する。各パルスの一部がビームスプリッター407によって出力方向402へ透過し、一部はリングキャビティへ入る。図1Aについて上記で説明したように、パルス周波数逓倍器として使用される時、リングキャビティ及びビームスプリッター407が無損失の場合、ビームスプリッター407は、好ましくは各レーザーパルスのエネルギーの約1/3を透過し、約2/3をリングキャビティ中へ反射する。以上説明したように、これらの値はパルス周波数逓倍器で実質的に等しいエネルギー出力パルスを維持するために、ビームスプリッター及びキャビティ損失を考慮するように修正することができる。

レーザーパルスがリングキャビティに入った後、曲面ミラー405で反射され、曲面ミラー406に向けられる。ミラー406はその光をミラー405の方へ向けて戻す。両方のミラーからの複数の反射(図4Aに示された例では、各ミラーで2回反射)した後、パルスは再集束の後に、ビームスプリッター407に戻って到達する。Herriottらによって記載されたように(1964)、各ミラーからの反射の数は、ミラーの間隔dに対する2枚のミラーの曲率半径だけに依存し、光がリングキャビティに入射する正確な角度に依存しない。例えば2枚のミラーの曲率半径をd(即ち、各ミラーの焦点距離はd/2)である場合、各ミラーからの2回の反射の後に、各パルスは再集束されて、ビームスプリッター407に戻る。そこでパルスの一部はリングキャビティから方向402へ反射されて、一部はリングキャビティ内に伝送されて戻る。Herriottら(1964)は、各ミラーで2、3、4、6、12及び24回の反射の場合、ミラーの焦点距離の値(従って、曲率半径)をdの倍数として与えている。Herriottらによって説明されるように、反射の他の数も可能である。Herriottら(1964)によって記載されたように、反射は、反射の回数及び光がビームスプリッター407からミラー405に入射する角度に依存するため、1つの平面内に存在しないかもしれない。各ミラーからの2回の反射を用いるキャビティと比較して、各ミラーからの2回以上の反射はキャビティをよりコンパクトにする。しかし、一部の光は各ミラーの反射で失われるので、ミラー反射損失がそれほど小さくない場合(例えば、ディープUV波長でのように)、ミラー1枚あたり2回の反射が好まれるであろう。しかし反射当たりの損失が小さい場合(例えば赤外線、可視光線又は近UV波長)、ミラーあたり2回以上の反射が使用可能である。

方向402に出射する出力パルスが入射パルスとほぼ又は実質的に同様な発散及びビームウエスト位置を持つように、入力レーザーパルスのビームウエストの位置にかかわらず、パルスマルチプライヤ400はレーザーパルスを再集束する。パルスマルチプライヤ400の好ましい実施形態では、方向401からの入力レーザーパルスはビームスプリッター407上のパワー密度の入射を最小にするように実質的に平行にされるであろう。そして出力されるレーザーパルスも実質的に平行にされるであろう。

図4Bは、図4Aのパルスマルチプライヤ400よりもコンパクトである別のパルス周波数マルチプライヤ410を示す。パルスマルチプライヤ410は、平板ミラー416を用いて曲面ミラー415からの光を再帰反射する。だからマルチプライヤは同じキャビティ光路長のパルスマルチプライヤ400と比較してマルチプライヤの2枚のミラーの間に距離を有する(即ち、パルスマルチプライヤ410のミラー間隔d/2はパルスマルチプライヤ400のミラー間隔dと同じ光路長となる)。曲面ミラー415はミラー405(図4A)と同じ曲率半径を有する。パルスマルチプライヤ400と比較してパルスマルチプライヤ410の他の優位性は、ビームスプリッター417が平面ミラー416とほぼ同一面上に配置でき、それにより構造及びアライメントを単純化することができることである。ビームスプリッター417の反射及び透過の役割は、パルスマルチプライヤ400のビームスプリッター407の役割と比較すると入れ替わっていることに注意が必要である。

パルスマルチプライヤ410は、入力と出力のレーザーパルスを分離するために第2のビームスプリッター413を使用する。図4Bに示される実施形態では、ビームスプリッター413は、実質的に100%の入射レーザーパルスを透過するように配置された偏光ビームスプリッターであり、矢印404によって示されるようにビームスプリッター413に対して実質的にP偏光されている。特定の実施形態では、この透過は、方向411からの光がそのレーザーの波長のほぼブリュースター角で入射するようにビームスプリッター413を配向することによって達成される。

ビームスプリッター413が各出力パルスの高い割合のエネルギーを反射するために、出力パルスの偏光は、ビームスプリッター413に対する偏向のように実質的に配向させる必要がある。この偏光は、ビームスプリッター413と417との間に配置された1/4波長板418によって達成することができる。1/4波長板418は入力された偏向を実質的に円偏向に変換するように向けられる。1/4波長板418を通過する際に、出力パルスは入力された偏光に対して90°回転される実質的に直線偏光に再変換されるように、リングキャビティ内部で奇数回の反射(図4Bに示される実施形態において7回の反射)の後、円偏光の左右像が反転されている(即ち、左円偏向は右円偏光になり、逆もまた同様)。リングキャビティ内に波長板を含む‘075出願の実施形態とは対照的に1/4波長板418がリングキャビティの外側にあることに注意されたい。

本明細書に記載のパルスマルチプライヤの実施形態のいずれも、リングキャビティ内に波長板を必要としない。代わりに、ビームスプリッターだけがキャビティから出射する各パルスの割合とキャビティの周りを再循環する割合を決定するために使用される。

パルスマルチプライヤ410のビームウエストはミラー416の表面上、又はその近くにあることに注意されたい。パルスマルチプライヤ410を使用するか、又はパルスマルチプライヤ400を使用するかの選択はレーザーの波長、パワー密度、及びリングキャビティの利用可能なスペースに依存する。

図1及び3の実施形態と同様に、図4A及び4Bに示される実施形態の2つ以上のパルスマルチプライヤは、一緒に結合されてより高い増倍率を達成することができる。

有利なことに、検査システムは上述したパルスマルチプライヤを含むことができる。検査システムは、明視野検査システム、暗視野検査システム、又は明視野と暗視野の両方のモードを備えたシステムとすることができる。検査システムは、半導体ウェーハ又はフォトリソグラフィマスクを検査するように構成されることができる。具体的には、検査システムは、パターン化された試料上のパターニング欠陥を検出するように構成することができ、又はパターン化若しくはパターン化されていない表面の粒子、ピット、若しくは突起を検出するように構成されることができる。

例えば、上述したパルスマルチプライヤによって生成された高反復率のレーザーパルスは、フラッシュオンザフライ検査システムで使用することができ、単一のレーザーパルスにより、移動している検査対象サンプル(例えば、ウェーハ又はレチクル)の一部を照射し、カメラによって画像を取得する。各レーザーパルスは持続時間が短いため、動きが効果的に凍結され、ぼけのない画像が取得される。有利なことに、上記のパルスマルチプライヤによって提供されるより高い増幅率により、単位時間当たりにより多くの画像を取得することが可能になり、これにより、より高速な動作が可能になる。フラッシュオンザフライ検査システムで使用されるパルスマルチプライヤのいくつかの実施形態では、1つの目標は動きを凍結することであるので、パルス周波数を逓倍する場合、各レーザーパルスを過度に広げないことが好ましい。従って、このような実施形態では、キャビティ長は、連続する入射パルス間の時間間隔の半分に実質的に等しくなるように設定することができる。

図5は、パルスマルチプライヤ520を内蔵する光源を含む例示的なパターン化されていないウェーハ検査システム500を示す。システム500において、ウェーハ501は装置502を使用して回転、及び移動させることができ、ウェーハの表面全体を走査可能であることを保証する。パルスマルチプライヤ520はウェーハ501に向かう垂直ビーム503及び斜光ビーム504のためのパルスを有利に生成する。ウェーハ501からの反射入射光は、例えばコブレンツ球508及び光学系509を用いて検出器(簡略化のため図示せず)上に向けられる。システム500は、例えば狭い光電子増倍管(PMT)505及び広いPMT506を含む、狭い及び広い両方の検出経路を提供する。Jannらによる1993年2月23日に発行された米国特許第5,189,481号はシステム500をより詳細に説明している。そしてそれは参照され本明細書に盛り込まれている。特に、パルスマルチプライヤ520は、紫外線、深紫外線、又は真空紫外線レーザーからのパルスを逓倍することができる。パルスマルチプライヤ520は、使用されるどのようなレーザーのピーク電力をも低減しつつ、好都合に反復率を増加させることができる。

Vaez-Iravaniらによる2001年3月13日に発行された米国特許第6,201,601号及びMarxらによる2001年8月7日に発行された米国特許第6,271,916号はパターン化されていないウェーハ検査システムについて更なる詳細を提供し、それは本明細書に記載されたパルスマルチプライヤのいずれかを有利に組み込むことができる。これらの両特許は、参照され本明細書中に盛り込まれている。

図6は、ほぼ垂直照明及び斜光照明(明確にするために斜光照明602だけが示される)の両方を提供するパルスマルチプライヤ601を備える光源を含む例示的なパターン化されたウェーハ検査システム600を示す。パルスマルチプライヤ601は、紫外線、深紫外線、又は真空紫外線レーザーからのパルスを生成することができる。有利なことには、パルスマルチプライヤ601はピーク電力を低減しながら、使用されるレーザーの反復率を増加させることができる。システム600では、マルチチャンネルコレクション603は、増加した信号対雑音比(SNR)の大きな収集領域、ビニング、及びチャンネル融合を提供することができる。パルスマルチプライヤ601によって生成されたような照明の偏光は、下層の抑制と欠陥選択性を提供することができる。マルチチャンネルコレクション603を促進する照明チャンネルは、ウェーハ604上の1つ以上のスポットを、1本以上の細線を、又は矩形領域を照明することができる。検出チャンネルは(パターンの抑制のための)フーリエフィルタリング、偏光選択、角度範囲及び/又は開口数(NA)の制御を含むことができる。Leongらにより2009年4月28日に発行された米国特許第7,525,649号は、参照されて本明細書に盛り込まれ、表面検査装置600及び他の複数の収集システムを更に詳細に記載している。

有利なことには、計測システムはまた、上記のパルスマルチプライヤを含むことができる。例示的な計測システムは、エリプソメータ(例えば、参照されて本明細書中に盛り込まれた米国特許第6,734,968号を参照)、角度分解反射率計(例えば、参照されて本明細書に組み込まれた米国特許第4,999,014号又は米国特許第7,667,841号の両特許を参照)又は光音響測定システム(例えば、参照されて本明細書に組み込まれた米国特許第4,710,030号を参照)を含むが、これらに限定されない。パルスマルチプライヤを組み込んだ光音響測定システムのいくつかの実施形態では、各出力パルスに対して高いピーク出力を有するために、各レーザーパルスを過度に広げないことが好ましい。従って、このような実施形態では、キャビティの光路長は、連続する入射パルス間間隔の半分に実質的に等しく設定することができる。

パルスマルチプライヤを含む任意の検査や計測システムは、パルス整形及び/又はコヒーレンス低減装置と組み合わせて使用することができることに注意すべきである。例示的なパルス整形及びコヒーレンス低減装置としてはChuangらによる同時係属中の米国公開特許出願第2011/0279819号及び同第2011/0228263号の両方に記載されたものを含むが、これらに限定されるものではない。これら2つの出願は両方共に2008年9月29日出願された米国仮出願第61/100,990号の優先権を主張する。これらの出願の全ては参照され本明細書に組み込まれる。このようなパルス整形装置は、各レーザーパルスのコヒーレンスを低減、又はそうでなければパルスの形状を修正するために使用されることができる。

図7は、本発明の実施形態による検査又は計測システムに組み込むのに適したパルスマルチプライヤと組み合わせて使用されるパルス整形装置及びコヒーレンス低減装置の一態様を示す。光源710は、パルスレーザー及びパルスマルチプライヤを備える。光源710は、一連のパルスを含む光束712を生成する。この実施形態の一態様は、光ビーム712の実質的に迅速な時間変調を行うために、レーザーの有限なスペクトル範囲を利用することであり、1/10ピコ秒の時間スケール(1/10ピコ秒の時間間隔は、スペクトル幅で約1ピコメートルと同等である)で変換され、及び時間変調を空間変調に変換され得る。

分散素子及び電気光学変調器を使用は、スペックル低減及び/又はパルス整形のために提供される。例えば、照明サブシステムは、光のコヒーレントパルスの経路中に配置された分散素子を含む。図7に示すように、分散素子は、光のコヒーレントパルスの断面x1に角度θ1で配置された面714に配置されることができる。更に図7に示すように、光パルスは分散素子を角度θ1′及び断面寸法x1′で出射する。一実施形態では、分散素子はプリズムである。別の実施形態では、分散素子は回折格子である。分散素子は、光パルスの光分布の空間的および時間的特性とを混合することによって、光のパルスのコヒーレンスを低減するように構成されている。特に、プリズム又は回折格子などの分散素子は光のパルス中の光分布の空間的特性と時間的特性との間のいくつかの混合を提供する。分散素子は、照明サブシステム及び計測又は検査システムの光学特性によって変えることができる任意の適切なプリズム又は回折格子を含むことができる。

更に、照明サブシステムは、分散素子から出る光のパルスの経路に配置された電気光学変調器を含む。例えば図7に示すように、照明サブシステムは分散素子から出る光パルスの経路中に配置された電気光学変調器716を含むことができる。電気光学変調器は、光パルスの光分布を時間的に変調することによって光パルスのコヒーレンスを低減するように構成されている。具体的には、電気光学変調器は、光分布の任意の時間変調を提供する。従って、分散素子及び電気光学変調器は、光源によって生成される光パルスに組合せ効果を有している。特に、電気光学変調器と分散素子の組み合わせは、任意の時間変調を生成し、時間変調を任意の出力ビーム718の空間変調に変換する。

一実施形態では、電気光学変調器は、1/10ピコ秒の時間間隔で光のパルスの光分布の時間変調を変更するように構成されている。別の実施形態では、電気光学変調器は電気光学変調器の変調の各周期に約1000の非周期サンプルを提供するように構成され、それにより、約10−13秒のデコヒーレンス時間を提供する。

本発明の特定の実施形態によれば、パルスマルチプライヤを組み込んだ検査システムは、単一の検出器上でのデータの2つのチャンネルを同時に検出することができる。このような検査システムは、レチクル、フォトマスク及びウェーハ等の基板を検査するのに使用することができ、Brownらにより2009年5月15日に発行された米国特許第7,528,943号に記載されているように動作することができる。‘943特許は、参照により本明細書に組み込まれている。

図8は、1つのセンサー870上の画像又は信号の2つのチャンネルを同時に検出するレチクル、フォトマスク又はウェーハ検査システム800を示す。いくつかの実施形態では、照明源809および810の一方又は両方はパルスマルチプライヤを内蔵している。いくつかの実施形態では、パルスマルチプライヤを含む単一の光源は、照明源809及び810のために使用することができる。2つのチャンネルは、検査対象物830が透明(例えば、レチクル又はフォトマスク)である場合、反射強度及び透過強度を含む、又は入射角、偏光状態、波長又はそれらのいくつかの組み合わせのような2つの異なる照明モードを含むことができる。

図8に示すように、照明リレー光学系815及び820はそれぞれ光源809及び810から検査対象物830に照明を中継する。検査対象物830は、レチクル、フォトマスク、半導体ウェーハ又は他の被検査物品であってもよい。画像リレー光学系855及び860は、検査対象物830によって反射された及び/又は透過された光をセンサー870へリレーする。2つのチャンネルで検出された信号又は画像に対応するデータはデータ890として示され、処理のためにコンピュータ(図示せず)に送信される。

レチクル又はフォトマスクから透過された光及び反射された光を測定するように構成されることができるレチクル及びフォトマスクの検査システム及び方法の他の詳細は、Kvammeらによって2008年4月1日発行された米国特許第7,352,457号に記載され、参照されて本明細書に盛り込まれている。パルスマルチプライヤを組み込むことができるレチクル及びフォトマスク検査システム及び方法に関する更なる詳細は、Emeryらにより1996年10月8日発行された米国特許第5,563,702号に見出すことができ、参照されて本明細書に組み込まれている。

本発明の特定の実施形態によるパルスマルチプライヤを組み込んだ検査システムは、複数のチャンネルを組み込むことができ、各チャンネルは異なる特性(例えば、タイプ、波長範囲など)を有する光を含む。複数のチャンネルを利用し及びパルスマルチプライヤの組み込みに適した検査システム及び方法は、Armstrongらによる2009年7月16日公開された米国特許出願第2009/0180176号に記載され、参照されて本明細書に盛り込まれている。

本発明の特定の実施形態によるパルスマルチプライヤを組み込んだ検査システムは、1次の照明源、2次の照明源及び、反射屈折対物レンズを組み込み、照明源のうちの少なくとも1つはパルスマルチプライヤを備える。パルスマルチプライヤのために適し、及び1次及び2次の照明源並びに反射屈折対物レンズを利用する検査システム及び方法は、Chuangらにより2007年1月4日に公開された米国特許出願第2007/0002465号に記載され、参照されて本明細書に盛り込まれている。

特に、最小限の総電力損失で毎秒あたりのパルス数を増加させながら、パルスマルチプライヤはパルス当たりのピーク電力を安価に低減することができる。パルスマルチプライヤは既製のレーザーを用いて高速検査及び計測を有利にすることができる。暗視野検査システムでは、レーザー光源に依存する。上記のパルスマルチプライヤは、これらのシステムが別の方法では低すぎるパルス反復率を有するであろうレーザーを使用することができ、適切なレーザーを利用できない、又は使用可能なレーザーは非常に高価である若しくは信頼できない場合に、非常に高い反復率のUVレーザー又はCWレーザーの潜在的な代替手段を提供する。

本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明は、本発明の原理を例示する添付の図と共に上述されている。本発明は、このような実施形態に関連して説明されるが、本発明は任意の実施形態に限定されるものではない。

例えば、一実施形態において、光学部品はレーザー波長に適したコーティングで被覆されることができる。波長板のような任意の透過要素の各々の表面は、各表面で反射したレーザーエネルギーの量を最小限にする反射防止コーティングも有することができる。ミラーは、レーザー波長での反射を最大化し及び散乱を最小化するように設計されたコーティングで被覆されることができる。

別の例では、一実施形態では、リングキャビティは異なる形状又は上記の例とは異なる数のミラーを有する場合がある。例えば、ホワイトセル(J. White, "Long Optical Paths of Large Aperture", Journal of the Optical Society of America 32 #5, p285, 1942)32巻5号、p285、1942年)又は他のリングキャビティを使用することができる。

いくつかの実施形態では、1つ以上のミラーは、複数のリングのキャビティ間で共有することができる。いくつかのケースでは、これは個別のキャビティと比較してパルスマルチプライヤをさらにコンパクトにするだけでなく、位置合わせを単純化することができる。

本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、本発明は、多数の代替、修正および等価物を包含する。本発明の完全に理解するために、多数の特定の詳細が上記の説明に記載されている。これらの詳細は例示の目的のために提供され、これらの特定の詳細の一部又は全てがなくても本発明は特許請求の範囲に従って実施されることができる。明確さのために、本発明に関連する技術分野で知られている技術的な材料は、本発明が不必要に不明瞭でないように詳細に記載されていない。

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