モータ駆動制御装置および信号生成方法

申请号 JP2016531374 申请日 2015-06-30 公开(公告)号 JPWO2016002744A1 公开(公告)日 2017-04-27
申请人 マイクロスペース株式会社; 太陽誘電株式会社; 发明人 田中 正人; 正人 田中; 弘三 萩原; 弘三 萩原; 和夫 浅沼; 和夫 浅沼; 弘和 白川; 弘和 白川;
摘要 本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置は、エッジパルスの時間間隔を計測し、当該計測された時間間隔に基づいて次のエッジパルスが出 力 されるまでの時間間隔の予測値を決定する。この予測値に基づき予測値の所定倍の周 波数 の 信号 を生成し、その信号をカウントした出力値を内挿位相信号とする。この内挿位相信号に基づいて連続した駆動基準 波形 を生成し、当該駆動基準波形に基づいてPFM変調のデューティ比を生成する。このことにより、ロータリエンコーダや電流センサを用いずにブラシレスモータの 正弦波 駆動を行う。
权利要求
  • センサ信号の信号に応じてロータの回転角をコード化して上位ビット位相信号を生成する上位ビット位相生成部と、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期を計測する第1カウンタと、
    前記第1カウンタにより計測された周期に基づいて次回の周期の予測値を決定する予測部と、
    前記センサ信号の信号レベルが変化した時点でリセットして前記センサ信号の信号レベルが変化しない間は前記予測値に基づく速度で変化させ、周期が前記予測値の所定数分の1となるノコギリ波状に変化する下位ビット位相信号を生成する下位ビット位相生成部と、
    前記上位ビット位相信号と前記下位ビット位相信号とを加算して前記ロータの回転角に対応する連続位相信号を生成する加算部を備える モータ制御装置。
  • 前記センサ信号は、前記ロータの所定回転角度毎に出力レベルが変化する複数のセンサから出力されることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  • 前記センサ信号を出力するセンサはホール効果により前記ロータの回転角を検出することを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
  • 前記下位ビット位相生成部が、
    前記予測値に基づく分周数で一定周波数のクロックを分周する第2カウンタと、
    前記第2カウンタの分周出力をカウントして前記下位ビット内挿位相信号を生成する第3カウンタと、
    を備える請求項1に記載のモータ制御装置。
  • 前記下位ビット位相生成部が、
    前記予測値の逆数に比例する値を生成する逆数変換部と、
    前記逆数に比例する値を累積する事により前記下位ビット内挿位相信号を生成するアキュムレータと、
    を備える請求項1に記載のモータ制御装置。
  • 前記下位ビット位相生成部は、前記下位ビット内挿位相信号がそのフルレンジ出力値で飽和し増加を停止することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  • 前記下位ビット位相生成部は、前記ブラシレスモータが低速回転状態にある場合に、
    前記下位ビット内挿位相信号がそのフルレンジの略半分の出力値で飽和し増加を停止することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  • 前記第1のカウンタがフルカウントとなった時に、前記ブラシレスモータが低速回転状態にあると判断することを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
  • 前記予測部は、前記第1カウンタにより計測された時間間隔を、前記予測値として決定することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  • 前記予測部は、前記第1カウンタにより計測された時間間隔、及び、過去に前記第1カウンタにより計測された時間間隔に基づいて、前記予測値を決定することを特徴とする 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  • 前記ブラシレスモータがスター結線されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  • 前記モータ制御装置にさらに、前記連続位相信号に基づいて生成される駆動信号に基づいて前記ブラシレスモータに駆動電圧を供給するインバータ回路を備える、
    請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  • 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のモータ制御装置または、モータ駆動制御装置を備えるアシスト車両。
  • ブラシレスモータのロータの所定回転角ごとに出力レベルが変化する複数のセンサ信号を用いて前記ブラシレスモータの複数相の巻線を駆動するモータ駆動制御装置であって、
    前記センサ信号の信号レベルに応じて前記ロータの回転角をコード化して上位ビット位相信号を生成する上位ビット位相生成部と、
    前記センサ信号の信号レベルが変化するタイミング間の周期を計測する第1カウンタと、
    前記第1カウンタにより計測された周期に基づいて、次回の周期の予測値を決定する予測部と、
    前記センサ信号の信号レベルが変化した時点でリセットし、前記センサ信号の信号レベルが変化しない間は前記予測値に基づく速度で出力データを変化させることにより、周期が前記予測値の所定数分の1となるノコギリ波状に変化する下位ビット位相信号、
    を生成する下位ビット位相生成部と、
    前記上位ビット位相信号と前記下位ビット位相信号とを加算して前記ロータの回転角に対応する連続位相信号を生成する加算部と、
    前記連続位相信号に進角値を加算して進角値加算位相信号を生成する進角値加算部と、
    前記進角値加算位相信号に基づいて前記複数相の巻線の通電タイミングを示す通電角信号を生成する、通電角信号生成部と、
    前記通電角信号生成部によって生成された通電角信号に基づいて生成される駆動信号に基づいて、前記複数相の巻線への駆動電圧供給状態およびハイインピーダンス状態に制御するインバータ回路と、
    を備えるモータ駆動制御装置。
  • センサ信号の信号に応じてロータの回転角をコード化して上位ビット位相信号を生成し、前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期を計測し、
    前記周期に基づいて次回の周期を予測し、
    前記センサ信号の信号レベルが変化した時点でリセットして前記センサ信号の信号レベルが変化しない間は前記予測により得られた周期に基づく速度で変化させ、周期が前記予測値の所定数分の1となるノコギリ波状に変化する下位ビット位相信号を生成し、
    前記上位ビット位相信号と前記下位ビット位相信号とを加算して前記ロータの回転角に対応する連続位相信号を生成することを特徴とする信号生成方法。
  • 说明书全文

    本発明は、モータの駆動を制御するモータ駆動制御装置に関し、特にブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動制御装置に関する。

    ブラシレスモータを駆動するための駆動方式として、間欠通電駆動方式と連続通電駆動方式とが知られている。 連続通電駆動方式においては、正弦波などの連続的な波形の駆動信号により駆動制御が行われるため、間欠通電駆動方式に比べてトルク変動が少なく、その結果、振動や騒音の発生を抑制できるという利点がある。 また、正弦波形状の駆動電圧を用いる場合には、適切な進制御を行って誘起電圧(逆起電)の位相と相電流の位相を合わせることにより、誘起電圧と相電流の波形が相似形となるため高効率が得られる。

    連続通電駆動方式において誘起電圧と相電流とを相似形とするためには、モータのロータの位置を正確に測定または推定し、そのロータの位置に応じて駆動信号を生成する必要がある。 ロータの位置は、例えばロータリエンコーダを用いることにより、正確に検出することができる。

    しかしながら、ロータリエンコーダは高価であるため、ロータリエンコーダを用いずにロータの位置を正確に把握できることが望ましい。 ロータリエンコーダを用いずにロータの位置を正確に把握するための提案の1つが、ホールICから出力されるセンサ信号に基づいてロータの大まかな位置を把握し、ホールICの間の細かい位置をロータの回転速度等に基づいて推定する方法である(特開2001−128483号公報(特許文献1)参照)。

    また、特開2005−51950号公報(特許文献2)に記載されているように、電流センサを用いて相電流の波形をリアルタイムでモニターし、このモニターした相電流の波形に基づいてモータ駆動回路(インバータ)への電圧指令を生成する方法も知られている。 しかしながら、電流センサもやはり高価であるため、電流センサも用いずに、ブラシレスモータの正弦波駆動制御を実現することが望まれる。

    特開2001−128483号公報

    特開2005−51950号公報

    上記特許文献1においては、例えば急激な加速時又は減速時にロータの回転電気角ロータの回転電気角の推定値と実際の回転角との差が大きくなると、力率の悪化、動力性能の低下、運転感の悪化等の悪影響が現れることが指摘されている。 そして、この問題に対処するために、ロータの加速時に回転角の推定値を増大させ、ロータの減速時に回転角の推定値を減少させることにより、回転角の推定値と実際の回転角との差を縮小させることが提案されている。 しかし、特許文献1の方法では、電流指令値を生成するために、各相の巻線に流れる実際の電流を電流センサで測定する必要があるため、電流センサを省略することができない。

    上記特許文献2においては、モータ駆動システムにおける電流センサ数を削減することが提案されているが、2個用いられていた電流センサの数を1つに削減するものであり、モータの駆動制御のために、依然として電流センサからの出力を必要としている。 また、特許文献1では、巻線がデルタ結線されているため、誘起電圧の波形に高調波歪みが存在すると、コイルにモータのトルクに寄与しない電流が流れてしまい、エネルギー損失が生じやすい。

    本発明は、上述の課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。 具体的には、本発明の目的の1つは、高価なロータリエンコーダ及び電流センサのいずれも用いずにブラシレスモータの正弦波駆動を行うことが可能なモータ駆動制御装置を提供することである。 また、本発明の他の目的は、高価なロータリエンコーダ及び電流センサのいずれも用いずにロータの回転電気角ロータの回転電気角を精度良く推定することであり、その結果、ロータの回転電気角ロータの回転電気角の推定値が実際の回転角から乖離した場合に生じる振動や騒音等の不具合を緩和することである。 本発明のさらに他の目的は、巻線の結線の種別によらずに適用可能な(例えば、スター結線とデルタ結線のいずれにも適用可能な)モータ駆動制御装置を提供することである。 本発明のさらに他の目的は、ロータの回転電気角に対応する連続位相信号を利用して間欠通電駆動を行うことが可能なモータ駆動制御装置を提供することである。 本発明のこれら以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。

    本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置は、各相の巻線に対応して設けられた複数のホールICからロータの所定回転電気角ごとに出力されるセンサ信号を用いてブラシレスモータを駆動するモータ駆動制御装置であって、前記センサ信号の信号レベルに応じて前記ロータの回転電気角をコード化して上位ビット位相信号を生成する上位ビット位相信号生成部と、前記センサ信号の信号レベルが変化するタイミングでホールエッジパルスを生成するホールエッジパルス生成部と、基準クロック信号を所定の分周比で分周して分周クロック信号を生成する分周部と、前記分周クロック信号をイネーブル信号として前記基準クロック信号をカウントし、前記ホールエッジパルス生成部から出力された今回のホールエッジパルスでカウント値� ��クリアすることにより、前記今回のホールエッジパルスと前回のホールエッジパルスとの間の時間間隔を計測する第1カウンタと、前記第1カウンタにより計測された時間間隔に基づいて、前記今回のホールエッジパルスから次回のホールエッジパルスまでの時間間隔の予測値を決定する予測部と、前記予測値から前記基準クロック信号でダウンカウントし、アンダーフローしたことに応じてボロー信号を出力する第2カウンタと、前記第2カウンタからのボロー信号をイネーブル信号として前記基準クロック信号をカウントしたカウント値を内挿位相信号として出力する第3カウンタと、
    前記上位ビット位相信号と前記内挿位相信号とを加算して前記ロータの回転電気角に対応する連続位相信号を生成する加算部と、前記連続位相信号に基づいて生成される駆動信号に基づいて前記各相の巻線に駆動電圧を供給するインバータ回路と、を備える。 ホールICはホール効果を利用して磁束の変化を検知することができる。 さらに、ホール効果を用いて磁束の変化を検知することはホール素子などの種々の素子を用いても可能である。

    また、本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置は、各相の巻線に対応して設けられた複数のホールICからロータの所定回転電気角ごとに出力されるセンサ信号を用いてブラシレスモータを駆動するモータ駆動制御装置であって、前記センサ信号の信号レベルに応じて前記ロータの回転電気角をコード化して上位ビット位相信号を生成する上位ビット位相信号生成部と、前記センサ信号の信号レベルが変化するタイミングでホールエッジパルスを生成するホールエッジパルス生成部と、基準クロック信号を所定の分周比で分周して分周クロック信号を生成する分周部と、前記分周クロック信号をイネーブル信号として前記基準クロック信号をカウントし、前記ホールエッジパルス生成部から出力された今回のホールエッジパルスでカ� ��ント値をクリアすることにより、前記今回のホールエッジパルスと前回のホールエッジパルスとの間の時間間隔を計測する第1カウンタと、前記第1カウンタにより計測された時間間隔に基づいて、前記今回のホールエッジパルスから次回のホールエッジパルスまでの時間間隔の予測値を決定する予測部と、前記予測値から前記基準クロック信号でダウンカウントし、アンダーフローしたことに応じてボロー信号を出力する第2カウンタと、前記第2カウンタからのボロー信号をイネーブル信号として前記基準クロック信号をカウントしたカウント値を内挿位相信号として出力する第3カウンタと、前記上位ビット位相信号と前記内挿位相信号とを加算して前記ロータの回転電気角に対応する連続位相信号を生成する上下位ビット加算部と� �前記連続位相信号に進角値を加算して進角値加算位相信号を生成する進角値加算部と、前記進角値加算位相信号に基づいて、前記各相の巻線の通電タイミングを示す通電角信号を生成する通電角信号生成部と、
    当該通電角信号生成部によって生成された通電角信号に基づいて生成される駆動信号に基づいて前記各相の巻線に駆動電圧を供給するインバータ回路と、を備える。

    本発明によれば、ロータリエンコーダや電流センサを用いずにブラシレスモータの正弦波駆動を行うことが可能なモータ駆動制御装置を提供することができる。

    本発明の一実施形態に係る電動アシスト自転車を概略的に示す図

    本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置の機能ブロック図

    本発明の一実施形態に係る内挿位相信号生成部の機能を示すブロック図

    本発明の一実施形態に係るV相波形生成部の機能を示すブロック図

    本発明の一実施形態に係る予測部の機能を示すブロック図

    本発明の一実施形態における、上位ビット位相信号、内挿位相信号、及び連続位相信号のタイミングチャート

    本発明の一実施形態における駆動波形の形成工程を説明するためのタイミングチャート

    本発明の一実施形態における各相の駆動波形と逆起電力との関係を示すタイミングチャート

    本発明の一実施形態において、次回エッジが出力されるまでの時間間隔の予測値よりも次回エッジが実際に検出されるまでの時間間隔が長い場合に生成される連続位相信号を説明するための図

    本発明の一実施形態において、モータが低速回転状態にある場合に生成される連続位相信号を説明するための図

    本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置の機能ブロック図

    図11の実施形態における、相番号、各相の通電指令信号、及び駆動信号を示すタイミングチャート

    以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。 なお、図面において共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。

    図1は、本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置を適用可能な電動アシスト自転車を概略的に示す。 電動アシスト自転車は本発明に係るモータ駆動制御装置を適用可能な応用例の一例に過ぎず、本発明に係るモータ駆動制御装置は様々な用途におけるブラシレスモータの駆動制御に用いられ得る。

    図1に示すとおり、電動アシスト自転車1はクランク軸と後輪がチェーンを介して連結されている一般的な後輪駆動型のものであり、この電動アシスト自転車1は、例えば、二次電池101と、モータ駆動制御装置102と、トルクセンサ103と、ブレーキセンサ104と、モータ105と、操作パネル106とを備える。

    二次電池101としては、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル素蓄電池などの様々な二次電池を用いることができる。 本発明の一実施形態において、二次電池101は、供給最大電圧(満充電時の電圧)が24Vのリチウムイオン二次電池である。

    トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられる。 トルクセンサ103は、ペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力することができる。

    ブレーキセンサ104は、磁石(不図示)と周知のリードスイッチ(不図示)とから構成されている。 磁石は、ブレーキレバーを固定するとともにブレーキワイヤー(不図示)が送通される筐体内において、ブレーキレバーに連結されたブレーキワイヤーに固定されている。 ブレーキレバーは手で握られたときにリードスイッチをオン状態にするように構成されている。 また、リードスイッチは筐体内に固定されている。 このリードスイッチの導通信号はモータ駆動制御装置102に送られる。

    モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータである。 モータ105の巻線の結線方法は任意であり、例えばスター結線されていてもデルタ結線されていてもよい。 モータ105は、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着される。 モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じて内蔵のローターが回転するように前輪に連結されている。 また、モータ105は、内蔵のロータに備えられた磁極の位置(すなわちロータの位相)を検出するために、複数個(典型的には3個)のホールIC(不図示)を備えている。 ホールICによって検出されたロータの位相を示す信号(すなわちホール出力信号)はモータ駆動制御装置102に出力される。 ホールICが3つの場合には、この3つのホールICは、モータ105に周方向に沿って例えば120°間隔で等間隔に配置される。 ホールICは、モータ105のロータが回転すると、ロータの永久磁石が作り出す磁界を検出し、検出した磁界強度に応じたホール出力信号Hu、Hv、Hw(図6(a)ないし図6(c)参照)を出力する。 一例において、モータ105に配置されたホールICは、ホール出力信号Hu、Hv、Hwが対応するU相、V層、及びW相の逆起電力に対して電気角で30度遅れて出力されるように配置される。

    図2に、モータ105の駆動を制御するモータ駆動制御装置102を概略的に示す。 本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置102は、以下に詳述するように、安価なホールICからのホール出力信号(センサ信号)に基づいて、電流センサやロータリエンコーダからの出力信号を用いることなく、モータ105のロータの回転電気角に対応する連続的な駆動波形を形成するものである。

    図2に示すように、モータ駆動制御装置102は、駆動制御部110と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジから成るインバータ回路170とを有する。 インバータ回路170は、3相ブラシレスモータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S uh )及びローサイドFET(S ul )と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S vh )及びローサイドFET(S vl )と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S wh )及びローサイドFET(S wl )とを含み、これらの各FETを3相ブリッジ接続して構成される。 インバータ回路170の各相の出力端子は、モータ105の各相の巻線に電気的に接続されている。 インバータ回路170に備えられた各FETは、駆動制御部110から出力される駆動信号によってスイッチングされる。 このように、インバータ回路170では、駆動制御部110から出力される駆動信号に基づいてスイッチング素子(各FET)がオンオフ制御され、このスイッチング素子のオンオフ制御によって、二次電池101から供給される電圧を変換して各相の駆動電圧を生成する。 生成された各相の駆動電圧は、モータ105の各相の巻線に供給される。

    図示のように、本発明の一実施形態に係る駆動制御部110は、上位ビット位相信号生成部120と、内挿位相信号生成部130と、上下位ビット加算部135と、進角値加算部136と、U相波形生成部140uと、V相波形生成部140vと、W相波形生成部140wと、乗算部150uと、乗算部150vと、乗算部150wと、U相PWM変調部160uと、V相PWM変調部160vと、W相PWM変調部160wと、を備える。 また、駆動制御部110には、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する不図示のメモリが備えられてもよい。 このメモリは、制御部110とは別に設けられてもよい。

    本発明の一実施形態における上位ビット位相信号生成部120は、モータ105に備えられたホールICからのホール出力信号Hu、Hv、Hwを読み込み、このホール出力信号の信号レベルに応じて、ロータの回転電気角に相当する電気角の範囲を求め、この電気角を3ビットの上位ビット位相信号にコード化する。 例えば、ホール出力信号Hu、Hv、Hwの信号レベルがそれぞれ図6(a)ないし図6(c)に示すように検出された場合には、ロータの回転電気角は、ホール出力信号Hu、Hv、Hwの信号レベルに応じて、図6(e)に示すように「0」〜「5」の3ビットにコード化される。 すなわち、ホール出力信号Hu、Hv、HwがH、L、Hであれば「0」(電気角0°〜60°)、H、L、Lであれば「1」(電気角60°〜120°)、・・・L、L、Hであれば「5」(電気角300°〜360°)と回転角が60°づつ大きくなるごとに値をインクリメントすることにより、ロータの回転電気角を3ビットにコード化することができる。 回転角をコード化するために必要なビット数(つまり、上位ビット位相信号のビット数)は、ホールICの個数に応じて3ビットより多くても少なくてもよい。

    本発明の一実施形態における内挿位相信号生成部130は、ホール出力信号Hu、Hv、Hwに基づいて、図6(f)に示すように、モータ105のロータの回転電気角をより高い分解能で示す内挿位相信号(下位ビット位相信号とも呼称される)を生成する。 上位ビット位相信号が電気角60°単位の回転角を示す場合には、内挿位相信号は電気角60°よりも細かな回転角を示す。 内挿位相信号生成部130の詳細については後述する。

    本発明の一実施形態における上下位ビット加算部135は、上位ビット位相信号生成部120からの上位ビット位相信号と内挿位相信号生成部130からの内挿位相信号とを加算し連続位相信号を生成する。 上下位ビット加算部135は、上位ビット位相信号生成部120からの上位ビット位相信号をカウンタ上位桁データとし、内挿位相信号生成部130からの内挿位相信号をカウンタ下位桁データとして、当該上位ビット位相信号と当該内挿位相信号とを加算することで連続位相信号を生成する。 連続位相信号については図6(g)に例示されている。

    本発明の一実施形態における進角値加算部136は、上下位ビット加算部135からの連続位相信号に進角値を加算する。

    本発明の一実施形態におけるU相波形生成部140uは、進角値加算部136において進角値が加算された連続位相信号に基づいて、U相用の駆動基準波形信号を生成する。 同様に、V相波形生成部140v及びW相波形生成部140wも、上下位ビット加算部135からの連続位相信号に基づいて、それぞれV相用の駆動基準波形信号及びW相用の駆動基準波形信号を生成する。 各相の駆動基準波形信号は、図8(g)ないし図8(i)に例示されている。 駆動基準波形信号の具体的な形成方法については後述する。

    本発明の一実施形態における乗算部150u、乗算部150v、及び乗算部150wは、対応するU相波形生成部140u、U相波形生成部140v、又はU相波形生成部140wからの駆動基準波形信号に、所定の駆動電圧コードを乗じて、PWM変調のデューティ比に相当するPWMコードを生成する。

    本発明の一実施形態におけるU相PWM変調部160uは、乗算部150uからのPWMコードに基づいて、U相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S uh )及びFET(S ul )に対して出力する。 同様に、V相PWM変調部160vは、乗算部150vからのPWMコードに基づいてV相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S vh )及びFET(S vl )に対して出力し、W相PWM変調部160wは、乗算部150wからのPWMコードに基づいてW相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S wh )及びFET(S wl )に対して出力する。 このように、U相PWM変調部160u、V相PWM変調部160v、及びW相PWM変調部160wは、対応する乗算部150u、乗算部150v、乗算部150wからのPWMコードに基づいて、インバータ回路170の各スイッチング素子(FET)をオンオフ制御する。 上述のように、このスイッチング素子のオンオフ制御によって、各相の駆動電圧が生成され、生成された駆動電圧がモータ105の各相の巻線に供給される。

    次に、図3を参照して、内挿位相信号生成部130についてさらに説明する。 図3に示すとおり、本発明の一実施形態に係る内挿位相信号生成部130は、ホールエッジパルス生成部202と、分周部204と、ANDゲート206と、カウンタ208と、ORゲート210と、予測部212と、ダウンカウンタ214と、ANDゲート216と、カウンタ218と、ANDゲート220と、NORゲート222とを備える。

    ホールエッジパルス生成部202は、ホール出力信号Hu、Hv、Hwのうちの何れか一つが立ち上るか又は立ち下がるたびに基準クロックのパルス幅を有するホールエッジパルス(単に「エッジパルス」ということもある。)を生成し、生成したホールエッジパルスをカウンタ208、ORゲート210、及びカウンタ218に出力する。 図6(d)に示すように、ホールエッジパルスは、ホール出力信号Hu、Hv、Hwの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの各々に対応するタイミングで生成されるパルス信号である。 本明細書においては便宜上、繰り返し生成されるホールエッジパルスを区別するために、ホールエッジパルスがホールエッジパルス生成部202から出力されたときに当該ホールエッジパルスを「今回の」エッジパルス又は「現在の」エッジパルスといい、それ以前に出力されたエッジパルスを「過去の」エッジパルスといい、特に「今回の」エッジパルスよりも1つ前に出力されたエッジパルスを「前回の」エッジパルスといい、「今回の」エッジパルスよりも1つ後に出力されるエッジパルスを「次回の」又は「次の」エッジパルスということがある。

    分周部204は、基準クロックを所定の分周比で分周した分周クロック信号を生成し、生成した分周クロック信号をANDゲート206を介してカウンタ208に出力する。 分周比は、たとえば256とすることができるが、本発明に適用可能な分周比はこれには限られない。

    カウンタ208は、分周部204からANDゲート206を介して入力される分周クロック信号をイネーブル信号として基準クロックをカウントアップする。 また、カウンタ208は、エッジパルスが入力されるとクリアされて0がセットされるように構成される。 このように、カウンタ208は、エッジパルスが出力される時間間隔を計測することができる。

    予測部212には、ORゲート210からの出力が取り込みイネーブル信号として入力される。 予測部212にORゲート210から取り込みイネーブル信号が入力されると、カウンタ208のカウント値(Q)が予測部212に読み込まれる。

    ORゲート210には、カウンタ208からのキャリー信号及びホールエッジパルス生成部202からのエッジパルスが入力されている。 したがって、取り込みイネーブル信号は、エッジパルスの出力タイミング又はカウンタ208がフルカウントされたタイミングで予測部212に入力される。 よって、モータの回転速度が速い場合には、カウンタ208がフルカウントされる前に次のエッジパルスが出力されるので、次のエッジパルスがホールエッジパルス生成部202から出力されたタイミングで、カウンタ208のカウント値が予測部212に取り込まれる。 一方、モータ105の回転速度が遅い場合には、次のエッジパルスの出力タイミングより前にカウンタ208がフルカウントされるので、カウンタ208がフルカウントされたタイミングで予測部212にカウンタ208のカウント値が読み込まれる。 このように、カウンタ208がフルカウントされるほどモータ105が低速回転している状態を本明細書においてモータ105が「低速回転状態」にあるということがある。 以上から、モータ105が低速回転状態ではなく、エッジパルスによりカウンタ208のカウント値が取り込まれる場合には、当該カウント値は、前回のエッジパルスでカウンタ208がクリアされてから今回のエッジパルスが出力されるまでの間の時間間隔を表す。

    また、カウンタ208がフルカウントされたときに出力されるキャリー信号は、反転されてANDゲート206に入力される。 このように、カウンタ208は、ANDゲート206にキャリー信号を反転して入力することにより、フルカウントされてからエッジパルスによりクリアされるまでの間、ANDゲート206からのイネーブル信号を停止し、フルカウントされた飽和状態のままカウントアップ動作を停止する。 上述のように、エッジパルスがカウンタ208に入力されると、カウンタ208は0にセットされる。 このとき、キャリー信号の出力が停止されるので、カウンタ208はカウントアップ動作を再開する。

    予測部212は、カウンタ208から入力された前回のエッジパルスと今回のエッジパルスとの間の時間間隔を示すカウント値に基づいて、当該今回のエッジパルスから次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値を決定する。 図6(d)を例にとってこの予測値の決定について例示すると、フェーズ0とフェーズ1との間(電気角60°)のタイミングでホールエッジパルスHEP1が出力され、当該ホールエッジパルスHEP1に応じてカウンタ208から予測部212にカウント値が出力された場合には、当該今回のホールエッジパルスHEP1と次回のホールエッジパルスHEP2(フェーズ1とフェーズ2との間で出力されるホールエッジパルス)との間の時間間隔の予測値が決定される。

    今回のエッジパルスから次回のエッジパルスまでの時間間隔の予測値は、様々な方法で決定され得る。 最もシンプルな方法は、計測済みの前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔をそのまま次回のエッジパルスまでの時間間隔の予測値とする方法である。 モータの回転速度が安定している場合には、この予測方法により概ね正確な予測値が得られる。 また、2発目のエッジパルスが出力された時点から予測値を決定することができる。 この場合、予測部212は、前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔を保持するフリップフロップを備え、保持している時間間隔を予測値として出力する。

    予測部212の他の例について、図5を参照して説明する。 図5は、本発明の一実施形態に係る予測部212の機能を示すブロック図である。 図示のとおり、本発明の一実施形態に係る予測部212は、フリップフロップ252と、フリップフロップ254と、乗算部256と、加算部258とを備える。

    フリップフロップ252は、前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔を示す値を保持しており、フリップフロップ254は、前々回のエッジパルスから前回のエッジパルスまでの時間間隔を示す値を保持している。 エッジ検出回路202から次回のエッジパルスが出力されると、フリップフロップ252は、保持していた値(前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔)をフリップフロップ254及び乗算部256に出力するとともに、カウンタ208から入力される新たなカウント値(今回のエッジパルスから次回のエッジパルスまでの時間間隔)を新たに保持する。 エッジ検出回路202から次回のエッジパルスが出力された場合、フリップフロップ254は、保持していた前回のカウント値(現在のカウント値よりも1回前にカウンタ208から出力された前回のカウント値であり、前々回のエッジパルスから前回のエッジパルスまでの時間間隔)を加算部258に出力する。 乗算部256は、フリップフロップ252から出力された現在のカウント値を2倍し、2倍された現在のカウント値を加算部258に出力する。 加算部258は、乗算部256からの入力値からフリップフロップ254からの入力値を減算して、その減算結果を次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値として出力する。 このようにして出力された次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値は、ダウンカウンタ214に入力される。 このように、予測部212は、過去に出力されたエッジパルスの出力間隔の計測値に基づいて、直近に出力された(現在の)エッジパルスの出力タイミングから将来(特に次回)出力されるエッジパルスの出力タイミングまでの時間間隔を予測することができる。

    ダウンカウンタ214は、自らのボロー信号(図3におけるCy端子出力)でロードされ、ロードされたときに予測部212から次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値を読み込み、この読み込んだ予測値をセットして、このセットされた値から基準クロックでダウンカウント動作を行う。 このダウンカウント動作により、カウンタ214がダウンフローすると、上述のボロー信号が出力され、カウンタ214がロードされる。

    ダウンカウンタ214からのボロー信号は、ANDゲート216を介してカウンタ218にイネーブル信号として入力される。 カウンタ218は、カウンタ214からのボロー信号をイネーブル信号として、基準クロックでアップカウント動作し、そのカウント値を内挿位相信号として出力する。 また、カウンタ218は、エッジパルスでクリアされるように構成される。

    ダウンカウンタ214は、基準クロックを所定の分周比で分周した分周クロック信号をイネーブル信号として用いてカウンタ208によりカウントされたカウント値(エッジパルスの時間間隔)をセットし、このセットされたカウント値から基準クロックでダウンカウントするので、ダウンカウンタ214がボロー信号を出力する周波数、すなわちカウンタ218のイネーブル信号の周波数は、エッジパルスが出力される周波数(ホールエッジ周波数)の分周比倍となる。 例えば、分周部204が基準クロックを256分周する場合は、カウンタ218のイネーブル信号の周波数は、ホールエッジ周波数の256倍となる。 カウンタ218は、ホールエッジ周波数の分周比(=N)倍のイネーブル信号により基準クロックでカウント動作するので、カウンタ218のカウント値として出力される内挿位相信号は、エッジパルスを分周比と同じ逓倍比(=N)で逓倍したN逓倍信号となる。

    カウンタ218がオーバーフローした際に出力されるキャリー信号がNORゲート222を介してANDゲート216に入力されるので、カウンタ218がフルカウントされた後は、カウンタ218はフルカウントされた飽和状態のままカウントアップ動作を停止する。 カウンタ218は、次のエッジパルスがホールエッジパルス生成部202から入力されるまでカウントアップ動作を停止し、飽和状態に維持される。

    予測部212から出力された次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値よりも実際の時間間隔の方が長い場合に、フルカウント後もイネーブル信号を継続してカウンタ218に入力すると、フルカウント後にカウンタ218がオーバーフローしてゼロに戻ってしまうので内挿位相信号が不連続的に変化し、その結果、後段で生成される駆動基準波形にも不連続な変化が生じてしまい、大きな振動や騒音の原因となってしまう。 例えば、カウンタ218がフルカウント後にゼロに戻ると、図9(a)に示すように、フェーズ1においてカウンタ218のオーバーフロー時に起こる位相内挿信号の不連続な変化により、連続位相信号にも不連続な変化が生じてしまう。 これに対し、カウンタ218をフルカウントで飽和した状態に維持することにより、位相内挿信号はフルカウント値のまま維持されるので、図9(b)に示すように、連続位相信号に不連続区間が生じないようにすることができる。

    また、カウンタ218からは、カウント値の最上位ビットMSBがANDゲート220に出力される。 ANDゲート220は、カウンタ218からの最上位ビットMSBとカウンタ208からのキャリー出力の論理積を生成し、生成した論理積をNORゲート222経由でANDゲート216に出力する。 これにより、カウンタ208からキャリー出力が出力されるモータ105の低速回転状態においては、カウンタ218がハーフカウントされたとき(最上位ビットが「1」になったとき)に、カウンタ218へのイネーブル信号の供給が停止されるので、カウンタ218はハーフカウントに維持されたままカウントアップ動作を停止する。 モータ105の低速回転状態においては、次のエッジパルスが出力されるまで、ロータの回転電気角の予測が極めて困難となり、ロータが0°から60°のどの角度にあるか不明となる。 このようなモータ105の低速回転状態において、カウンタ218のアップカウント動作をハーフカウントで停止することにより、ロータの回転電気角の予測位置と実際の位置との誤差を±30°以内にすることができる。 例えば、フェーズ1の周期が極めて長くなった場合には、このフェーズ1においてカウンタ218がハーフカウントされたときに、すなわちロータの回転電気角30°相当でアップカウント動作を停止することにより、図10に示すような連続位相信号が生成され、実際のロータの回転電気角との誤差を±30°以内にすることができる。 仮にフルカウントまでカウントアップしてしまうと、ロータの回転電気角が電気角0°付近に長時間留まっている場合には最大で60°近い誤差が生じてしまう。 このように、ハーフカウントでカウンタ218のカウント動作を停止することにより、ロータの回転電気角の誤差を小さくすることができる。

    以上説明したように、図3のように構成された内挿位相信号生成部130により、エッジパルスの時間間隔に対応する電気角よりも分周比倍(N倍)の分解能を有する内挿位相信号を生成することができる。 また、内挿位相信号をカウント値として出力するカウンタ218は、フルカウントされた飽和状態のままカウントアップ動作を停止するように構成されているので、次のエッジパルスまでの予測時間が短すぎた場合であても、連続位相信号(または駆動基準波形)が不連続となることを防止することができる。 また、モータ105の低速回転状態においては、カウンタ218のカウント動作をハーフカウントで停止するので、ロータの回転電気角の推定値の誤差を30°以内にすることができる。

    次に、図4及び図7を参照して、各相の駆動基準波形を生成する波形生成部の構成をさらに説明する。 図4は、V相の駆動基準波形を生成するV相波形生成部140vの機能を示すブロック図である。 V相以外の各相の駆動基準波形もV相の駆動基準波形と同様にして生成されるので、ここでは主にV相の駆動基準波形の生成方法について説明する。

    図4に示すとおり、本発明の一実施形態に係るV相波形生成部140vは、オフセット角加算部232と、モジュロ演算部234と、2sC変換部235と、位相加算部236と、2乗演算部238aと、2乗演算部238bと、加算部240aと、加算部240bと、比較部242と、ゼロクリップ部244と、を備える。

    オフセット角加算部232は、上下位ビット加算部135からの上位ビット位相信号と内挿位相信号とを加算して生成された連続位相信号に対して、各相について設定されたオフセット角を加算する。 例えば、U相については30°のオフセット角が設定され、V相については150°のオフセット角(U相のオフセット角+120°)、W相については270°(V相のオフセット角+120°)のオフセット角が設定される。

    モジュロ演算部234は、オフセット角加算部232にて各相ごとのオフセット角が加算された連続位相信号のカウンタ上位桁データ(上位ビット位相信号生成部120からの上位ビット位相信号に由来するデータ)に対してモジュロ演算を行い、オフセット角加算部232からの連続位相信号を電気角0°〜360°の範囲の信号に変換して出力する。 上述のように、上位ビット位相信号が0〜5の値を取る場合には、上位ビット位相信号の6が360°となるため、モジュロ演算部234はモジュロ6演算を行う。

    2sC変換部235は、モジュロ演算部234から出力された0°〜360°範囲の連続位相信号を2の補数表現で取り得る−180°〜+180°の値域にシフトさせる。

    図7(d)に、図6(g)に示した連続位相信号にオフセット角加算部232において各相について設定されたオフセット角を加算し、そのオフセット角加算後の信号をモジュロ演算部234にて電気角0°〜360°の範囲に変換し、さらに2sC変換部235で−180°〜+180°の値域にシフトさせた各相の連続位相信号を示す。 図7(d)においては、U相の連続位相信号はPSu、V相の連続位相信号はPSv、W相の連続位相信号はPSwで表されている。 図7(d)の例では、各相のオフセット角は、U相について30°、V相について150°、W相について270°とされている。

    位相加算部236は、2sC変換部から出力された−180°〜+180°の範囲にある連続位相信号PSv1に−60°のオフセット角を加算し、このオフセット後の位相信号PSv2に再びモジュロ演算を行って−180°〜+180°の値域にシフトさせる。

    2乗演算部238aは、位相加算部236から出力された−180°〜+180°の範囲の連続位相信号PSv2を2乗し放物線を生成する。 そして、加算部240aにおいて、頂点位置を示す定数から2乗演算部238aで生成された放物線を減算することにより、図7(f)に示すように、上に凸の放物線PB2を生成する。 また、2乗演算部238bは、モジュロ演算部234から出力された−180°〜+180°の範囲の連続位相信号PSv1を2乗して放物線を生成し、算部240bにおいて、上記の頂点位置を示す定数から2乗演算部238bで生成された放物線を減算することにより、図7(f)に示すように、上に凸の放物線PB1を生成する。

    比較部242は、放物線PB1の各位相における値と放物線PB2の各位相における値とを比較してその大きい方を選択して出力する。 ゼロクリップ部244は、比較部242の出力信号が負になった部分をゼロクリップすることにより、図7(g)に例示する駆動基準波形を生成する。

    V相の駆動基準波形は以上のようにして生成される。 U相の駆動基準波形及びW相の駆動基準波形も、V相の駆動基準波形と同様にして生成される。 U相の駆動基準波形は、例えばV相の駆動基準波形から電気角−120°だけシフトしており、W相の駆動基準波形は、例えばV相の駆動基準波形から電気角+120°だけシフトしている。 図8(g)ないし図8(i)には、各相の駆動基準波形の例を示している。 図示のように、各相の駆動基準波形は、図8(d)ないし図8(f)に示されている対応する相の逆起電力と概ね相似な形状を有している。

    このようにして生成された各相の駆動基準波形に、上述したように、所定の駆動電圧コードを乗じることにより、PWM変調のデューティ比に相当するPWMコードを生成し、当該PWMコードに基づいてインバータ回路のスイッチング素子がPWM駆動される。 ここで、各相の駆動基準波形が対応する相の逆起電力と相似な形状を有しているため、高効率でモータ105を駆動することができる。 また、駆動基準波形に不連続な部分が存在しないため、モータ105の振動及び騒音を抑制することができる。 また、本実施形態においては、各相の逆起電力とほぼ相似な形状を有する駆動基準波形は、高価な電流センサやロータリエンコーダを用いずに安価なホールICからのセンサ信号に対する信号処理により得られるので、高精度の正弦波駆動を高価な素子を用いることなく実現できる。

    次に、図11及び図12を参照して、本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置を説明する。 本実施形態に係るモータ駆動制御装置は、モータ105を間欠通電駆動することができるように構成されている。

    図11は、本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置の機能ブロック図である。 図11のモータ駆動制御装置の構成要素うち、図2のモータ駆動制御装置と実質的に同じものについては、同じ参照符号を付して説明を省略する。 図11に示すモータ駆動制御装置302の駆動制御部310は、図2の駆動制御部110と同様に、上位ビット位相信号と前記内挿位相信号とを加算してロータの回転電気角に対応する連続位相信号を生成し、当該連続位相信号に進角値を加算して進角値加算位相信号を生成する。

    図11に示す駆動制御部310は、モジュロ演算部312と、間欠駆動デコーダ314と、PWM変調部316と、各相ごとに設けられたANDゲート318u、ANDゲート318v、ANDゲート318wと、駆動回路320とを備える。

    モジュロ演算部312は、進角値加算部136からの進角値加算位相信号のカウンタ上位桁データに対してモジュロ演算を行い、進角値加算位相信号を電気角0°〜360°の範囲の信号に変換して出力する。

    間欠駆動デコーダ314は、電気角0°〜360°の範囲に変換された進角値加算位相信号を3ビットの相番号にコード化する。 この相番号は、進角値が加算された連続位相信号(進角値加算位相信号)をコード化して算出しているため、ホール出力信号Hu、Hv、Hwが示す60°ごとの電気角を順に定められる相番号(図12(d)参照)と比べて、進角調整が成された相番号(図12(e)参照)が得られる。

    間欠駆動デコーダ314は、進角調整後の相番号に基づいて、各相の巻線における通電時間を制御する通電角信号を生成する。 図12(f)及び図12(g)に示すように、U相の通電角信号U+は進角後相番号「0」及び「1」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなり、U相の通電角信号U120は進角後相番号「0」、「1」、「3」及び「4」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなる。 また、図12(h)及び図12(i)に示すように、V相の通電角信号V+は進角後相番号「2」及び「3」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなり、V相の通電角信号V120は進角後相番号「0」、「2」、「3」及び「5」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなる。 また、図12(j)及び図12(k)に示すように、W相の通電角信号W+は進角後相番号「4」及び「5」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなり、W相の通電角信号W120は進角後相番号「1」、「2」、「4」及び「5」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなる。 通電角信号U+、通電角信号V+、及び通電角信号W+はそれぞれANDゲート318u、ANDゲート318v、及びANDゲート318wに出力される。 通電角信号U120、通電角信号V120、及び通電角信号W120はそれぞれ駆動回路120に出力される。

    ANDゲート318uは、PWM変調部318からのPWM信号と通電角信号U+との論理積を生成し、生成した値を駆動回路320に出力する。 同様に、ANDゲート318v及びANDゲート318wは、PWM変調部318からのPWM信号と、対応する通電角信号V+又は通電角信号W+との論理積を生成し、生成した値を駆動回路320に出力する。

    駆動回路320は、ANDゲート318uからの出力及び間欠駆動デコーダ314からの通電角信号U120に基づいて、U相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S uh )及びFET(S ul )に対して出力する。 具体的には、図12(l)に示すU_HSをFET(S uh )に対するスイッチング信号として生成し、図12(m)に示すU_LSをFET(S ul )に対するスイッチング信号として生成し、生成したスイッチング信号を対応するFET(S uh )及びFET(S ul )に対して出力する。 なお、図12において、PWM及び「/PWM」は、PWMコードに応じたデューティー比でオン/オフする期間を表しており、コンプリメンタリ型であるからPWMがオンであれば/PWMはオフとなり、PWMがオフであれば/PWMはオンとなる。 「OFF」の区間では、対応するFETがハイインピーダンス状態に制御される。 駆動回路320は、V相用のスイッチング信号及びW相用のスイッチング信号についても、U相用のスイッチング信号と同様にして生成する。 図12(n)に示すV_HSは、FET(S vh )に出力されるスイッチング信号を表し、図12(o)に示すV_LSはFET(S vl )に出力されるスイッチング信号を表す。 また、図12(p)に示すW_HSは、FET(S wh )に出力されるスイッチング信号を表し、図12(q)に示すW_LSはFET(S wl )に出力されるスイッチング信号を表す。

    このように、本実施形態に係るモータ駆動制御装置によれば、進角値が加算された連続位相信号に基づいて、進角調整がなされた相番号を生成し、当該相番号に基づいて通電角信号を生成している。 そして、当該通電角信号に基づいて間欠通電駆動用のスイッチング信号が生成され、インバータ回路170の各FETに供給される。 これにより、本実施形態に係るモータ駆動制御装置を用いることにより、間欠通電駆動方式によりモータを駆動する場合でも、進角調整を行うことができるため、速度やトルクに応じて適切な進角を選ぶことにより当該モータを高効率で静粛に駆動することができる。

    以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。 上で述べた機能を実現する具体的な演算手法は複数存在しており、いずれを採用しても良い。 例えば、上記の実施形態では、分周部204で分周したクロックでエッジ間隔周期計測したが、上記の実施形態に代えて、または、上記の実施形態に加えて(上記の実施形態と組み合わせて)、分周したクロックでなく元の基準クロックで計測し、その計測結果を所定数で割ったり、計測結果を下へ所定桁シフトして使用しても、同様の効果を実現することができる。 例えば、基準クロックを8ビット下へシフトして使用することにより、分周部204で256分周した場合と同様の処理を行うことが可能となる。 また、内挿位相信号を出力するカウンタの代わりに、アキュムレータを使用し、予測周期の逆数に比例した数をアキュムレータに入力することでも同様の結果が得られる。 また、駆動制御部110で実行される機能の少なくとも一部は専用の回路で実現されてもよく、コンピュータプロセッサによってプログラムを実行することにより上述した各機能を実現してもよい。

    本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置やソフトウェアによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理または手順は複数の装置、複数のソフトウェアによって実行され得る。 本明細書において説明された機能ブロックは、それらをより少ない機能ブロックに統合して、またはより多くの機能ブロックに分解することによって説明することも可能である。

    上記実施の他に、モータ制御装置(102)が信号を生成する方法として下記手法であってもよい。

    センサ信号の信号に応じてロータの回転角をコード化して上位ビット位相信号を生成し、前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期を計測し、
    前記周期に基づいて次回の周期を予測し、
    前記センサ信号の信号レベルが変化した時点でリセットして前記センサ信号の信号レベルが変化しない間は前記予測により得られた周期に基づく速度で変化させ、周期が前記予測値の所定数分の1となるノコギリ波状に変化する下位ビット位相信号を生成し、
    前記上位ビット位相信号と前記下位ビット位相信号とを加算して前記ロータの回転角に対応する連続位相信号を生成することを特徴とする信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記予測に基づく分周数で一定周波数のクロックを分周し、
    前記分周からの出力をカウントして前記下位ビット位相信号を生成することを特徴とした信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記予測により得られた周期の逆数に比例する値を生成し、
    前記逆数に比例する値を累積することで前記下位ビット位相信号を生成することを特徴とした信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記下位ビット位相信号がフルレンジ出力値で飽和し増加を停止することを特徴とした信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記ブラシレスモータが低回転状態にある場合に前記下位ビット位相信号がフルレンジの略半分の出力値で飽和し増加を停止することを特徴とする信号生成方法。

    前記予測が、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期がフルカウントであれば低速回転状態と判断することを特徴とした請求項15記載の信号生成方法。

    前記予測が、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期を予測した周期として出力することを特徴とした信号生成方法。

    前記予測が、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期、および、過去に前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期に基づいて予測した周期として出力することを特徴とした信号生成方法。

    102、302 モータ駆動制御装置103 モータ110、310 駆動制御部120 上位ビット位相信号生成部130 内挿位相信号生成部135 上下位ビット加算部140u U相波形生成部140v V相波形生成部140w W相波形生成部160u U相PWM変調部160v V相PWM変調部160w W相PWM変調部202 ホールエッジパルス生成部204 分周部206、216、220 ANDゲート210 ORゲート222 NORゲート208 カウンタ212 予測部214 ダウンカウンタ218 カウンタ

    本発明は、モータの駆動を制御するモータ駆動制御装置に関し、特にブラシレスモータを正弦波駆動するモータ駆動制御装置に関する。

    ブラシレスモータを駆動するための駆動方式として、間欠通電駆動方式と連続通電駆動方式とが知られている。 連続通電駆動方式においては、正弦波などの連続的な波形の駆動信号により駆動制御が行われるため、間欠通電駆動方式に比べてトルク変動が少なく、その結果、振動や騒音の発生を抑制できるという利点がある。 また、正弦波形状の駆動電圧を用いる場合には、適切な進角制御を行って誘起電圧(逆起電力)の位相と相電流の位相を合わせることにより、誘起電圧と相電流の波形が相似形となるため高効率が得られる。

    連続通電駆動方式において誘起電圧と相電流とを相似形とするためには、モータのロータの位置を正確に測定または推定し、そのロータの位置に応じて駆動信号を生成する必要がある。 ロータの位置は、例えばロータリエンコーダを用いることにより、正確に検出することができる。

    しかしながら、ロータリエンコーダは高価であるため、ロータリエンコーダを用いずにロータの位置を正確に把握できることが望ましい。 ロータリエンコーダを用いずにロータの位置を正確に把握するための提案の1つが、ホールICから出力されるセンサ信号に基づいてロータの大まかな位置を把握し、ホールICの間の細かい位置をロータの回転速度等に基づいて推定する方法である(特開2001−128483号公報(特許文献1)参照)。

    また、特開2005−51950号公報(特許文献2)に記載されているように、電流センサを用いて相電流の波形をリアルタイムでモニターし、このモニターした相電流の波形に基づいてモータ駆動回路(インバータ)への電圧指令を生成する方法も知られている。 しかしながら、電流センサもやはり高価であるため、電流センサも用いずに、ブラシレスモータの正弦波駆動制御を実現することが望まれる。

    特開2001−128483号公報

    特開2005−51950号公報

    上記特許文献1においては、例えば急激な加速時又は減速時にータの回転電気角の推定値と実際の回転角との差が大きくなると、力率の悪化、動力性能の低下、運転感の悪化等の悪影響が現れることが指摘されている。 そして、この問題に対処するために、ロータの加速時に回転角の推定値を増大させ、ロータの減速時に回転角の推定値を減少させることにより、回転角の推定値と実際の回転角との差を縮小させることが提案されている。 しかし、特許文献1の方法では、電流指令値を生成するために、各相の巻線に流れる実際の電流を電流センサで測定する必要があるため、電流センサを省略することができない。

    上記特許文献2においては、モータ駆動システムにおける電流センサ数を削減することが提案されているが、2個用いられていた電流センサの数を1つに削減するものであり、モータの駆動制御のために、依然として電流センサからの出力を必要としている。 また、特許文献1では、巻線がデルタ結線されているため、誘起電圧の波形に高調波歪みが存在すると、コイルにモータのトルクに寄与しない電流が流れてしまい、エネルギー損失が生じやすい。

    本発明は、上述の課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。 具体的には、本発明の目的の1つは、高価なロータリエンコーダ及び電流センサのいずれも用いずにブラシレスモータの正弦波駆動を行うことが可能なモータ駆動制御装置を提供することである。 また、本発明の他の目的は、高価なロータリエンコーダ及び電流センサのいずれも用いずにロータ回転電気角を精度良く推定することであり、その結果、ロータ回転電気角の推定値が実際の回転角から乖離した場合に生じる振動や騒音等の不具合を緩和することである。 本発明のさらに他の目的は、巻線の結線の種別によらずに適用可能な(例えば、スター結線とデルタ結線のいずれにも適用可能な)モータ駆動制御装置を提供することである。 本発明のさらに他の目的は、ロータの回転電気角に対応する連続位相信号を利用して間欠通電駆動を行うことが可能なモータ駆動制御装置を提供することである。 本発明のこれら以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。

    本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置は、 ロータが所定回転角度回転する毎に変化するセンサ信号に応じて、各々所定回転角度で区切られる複数の回転角度区間のうちいずれの回転角度区間であるかを表す第1の信号を生成する第1の信号生成部と、センサ信号に応じて、複数の回転角度区間の各々の期間を測定する測定部と、測定部により測定された1又は複数の回転角度区間の期間に基づき、次の回転角度区間の期間を予測する予測部と、予測された期間の所定数分の1の時間毎に次の回転角度区間内におけるロータの相対的な回転角を表す第2の信号を生成する第2の信号生成部と、第1の信号と第2の信号とに基づき、ロータの回転角に対応する第3の信号を生成する第3の信号生成部とを有する。

    上で述べたモータ駆動制御装置の第2の信号生成部は、次の回転角度区間内におけるロータの相対的な回転角が、予め定められた第1の角度に達すると、当該予め定められた第1の角度を表す第2の信号を維持するようにしても良い。

    本発明によれば、ロータリエンコーダや電流センサを用いずにブラシレスモータの正弦波駆動を行うことが可能なモータ駆動制御装置を提供することができる。

    本発明の一実施形態に係る電動アシスト自転車を概略的に示す図

    本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置の機能ブロック図

    本発明の一実施形態に係る内挿位相信号生成部の機能を示すブロック図

    本発明の一実施形態に係るV相波形生成部の機能を示すブロック図

    本発明の一実施形態に係る予測部の機能を示すブロック図

    本発明の一実施形態における、上位ビット位相信号、内挿位相信号、及び連続位相信号のタイミングチャート

    本発明の一実施形態における駆動波形の形成工程を説明するためのタイミングチャート

    本発明の一実施形態における各相の駆動波形と逆起電力との関係を示すタイミングチャート

    本発明の一実施形態において、次回エッジが出力されるまでの時間間隔の予測値よりも次回エッジが実際に検出されるまでの時間間隔が長い場合に生成される連続位相信号を説明するための図

    本発明の一実施形態において、モータが低速回転状態にある場合に生成される連続位相信号を説明するための図

    本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置の機能ブロック図

    図11の実施形態における、相番号、各相の通電指令信号、及び駆動信号を示すタイミングチャート

    以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。 なお、図面において共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。

    図1は、本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置を適用可能な電動アシスト自転車を概略的に示す。 電動アシスト自転車は本発明に係るモータ駆動制御装置を適用可能な応用例の一例に過ぎず、本発明に係るモータ駆動制御装置は様々な用途におけるブラシレスモータの駆動制御に用いられ得る。

    図1に示すとおり、電動アシスト自転車1はクランク軸と後輪がチェーンを介して連結されている一般的な後輪駆動型のものであり、この電動アシスト自転車1は、例えば、二次電池101と、モータ駆動制御装置102と、トルクセンサ103と、ブレーキセンサ104と、モータ105と、操作パネル106とを備える。

    二次電池101としては、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などの様々な二次電池を用いることができる。 本発明の一実施形態において、二次電池101は、供給最大電圧(満充電時の電圧)が24Vのリチウムイオン二次電池である。

    トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられる。 トルクセンサ103は、ペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力することができる。

    ブレーキセンサ104は、磁石(不図示)と周知のリードスイッチ(不図示)とから構成されている。 磁石は、ブレーキレバーを固定するとともにブレーキワイヤー(不図示)が送通される筐体内において、ブレーキレバーに連結されたブレーキワイヤーに固定されている。 ブレーキレバーは手で握られたときにリードスイッチをオン状態にするように構成されている。 また、リードスイッチは筐体内に固定されている。 このリードスイッチの導通信号はモータ駆動制御装置102に送られる。

    モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータである。 モータ105の巻線の結線方法は任意であり、例えばスター結線されていてもデルタ結線されていてもよい。 モータ105は、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着される。 モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じて内蔵のローが回転するように前輪に連結されている。 また、モータ105は、内蔵のロータに備えられた磁極の位置(すなわちロータの位相)を検出するために、複数個(典型的には3個)のホールIC(不図示)を備えている。 ホールICによって検出されたロータの位相を示す信号(すなわちホール出力信号)はモータ駆動制御装置102に出力される。 ホールICが3つの場合には、この3つのホールICは、モータ105に周方向に沿って例えば120°間隔で等間隔に配置される。 ホールICは、モータ105のロータが回転すると、ロータの永久磁石が作り出す磁界を検出し、検出した磁界強度に応じたホール出力信号Hu、Hv、Hw(図6(a)ないし図6(c)参照)を出力する。 一例において、モータ105に配置されたホールICは、ホール出力信号Hu、Hv、Hwが対応するU相、V 、及びW相の逆起電力に対して電気角で30度遅れて出力されるように配置される。

    図2に、モータ105の駆動を制御するモータ駆動制御装置102を概略的に示す。 本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置102は、以下に詳述するように、安価なホールICからのホール出力信号(センサ信号)に基づいて、電流センサやロータリエンコーダからの出力信号を用いることなく、モータ105のロータの回転電気角に対応する連続的な駆動波形を形成するものである。

    図2に示すように、モータ駆動制御装置102は、駆動制御部110と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジから成るインバータ回路170とを有する。 インバータ回路170は、3相ブラシレスモータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Suh)及びローサイドFET(Sul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Svh)及びローサイドFET(Svl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(Swh)及びローサイドFET(Swl)とを含み、これらの各FETを3相ブリッジ接続して構成される。 インバータ回路170の各相の出力端子は、モータ105の各相の巻線に電気的に接続されている。 インバータ回路170に備えられた各FETは、駆動制御部110から出力される駆動信号によってスイッチングされる。 このように、インバータ回路170では、駆動制御部110から出力される駆動信号に基づいてスイッチング素子(各FET)がオンオフ制御され、このスイッチング素子のオンオフ制御によって、二次電池101から供給される電圧を変換して各相の駆動電圧を生成する。 生成された各相の駆動電圧は、モータ105の各相の巻線に供給される。

    図示のように、本発明の一実施形態に係る駆動制御部110は、上位ビット位相信号生成部120と、内挿位相信号生成部130と、上下位ビット加算部135と、進角値加算部136と、U相波形生成部140uと、V相波形生成部140vと、W相波形生成部140wと、乗算部150uと、乗算部150vと、乗算部150wと、U相PWM変調部160uと、V相PWM変調部160vと、W相PWM変調部160wと、を備える。 また、駆動制御部110には、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する不図示のメモリが備えられてもよい。 このメモリは、制御部110とは別に設けられてもよい。

    本発明の一実施形態における上位ビット位相信号生成部120は、モータ105に備えられたホールICからのホール出力信号Hu、Hv、Hwを読み込み、このホール出力信号の信号レベルに応じて、ロータの回転電気角に相当する電気角の範囲を求め、この電気角を3ビットの上位ビット位相信号にコード化する。 例えば、ホール出力信号Hu、Hv、Hwの信号レベルがそれぞれ図6(a)ないし図6(c)に示すように検出された場合には、ロータの回転電気角は、ホール出力信号Hu、Hv、Hwの信号レベルに応じて、図6(e)に示すように「0」〜「5」の3ビットにコード化される。 すなわち、ホール出力信号Hu、Hv、HwがH、L、Hであれば「0」(電気角0°〜60°)、H、L、Lであれば「1」(電気角60°〜120°)、・・・L、L、Hであれば「5」(電気角300°〜360°)と回転角が60° きくなるごとに値をインクリメントすることにより、ロータの回転電気角を3ビットにコード化することができる。 回転角をコード化するために必要なビット数(つまり、上位ビット位相信号のビット数)は、ホールICの個数に応じて3ビットより多くても少なくてもよい。

    本発明の一実施形態における内挿位相信号生成部130は、ホール出力信号Hu、Hv、Hwに基づいて、図6(f)に示すように、モータ105のロータの回転電気角をより高い分解能で示す内挿位相信号(下位ビット位相信号とも呼称される)を生成する。 上位ビット位相信号が電気角60°単位の回転角を示す場合には、内挿位相信号は電気角60°よりも細かな回転角を示す。 内挿位相信号生成部130の詳細については後述する。

    本発明の一実施形態における上下位ビット加算部135は、上位ビット位相信号生成部120からの上位ビット位相信号と内挿位相信号生成部130からの内挿位相信号とを加算し連続位相信号を生成する。 上下位ビット加算部135は、上位ビット位相信号生成部120からの上位ビット位相信号をカウンタ上位桁データとし、内挿位相信号生成部130からの内挿位相信号をカウンタ下位桁データとして、当該上位ビット位相信号と当該内挿位相信号とを加算することで連続位相信号を生成する。 連続位相信号については図6(g)に例示されている。

    本発明の一実施形態における進角値加算部136は、上下位ビット加算部135からの連続位相信号に進角値を加算する。

    本発明の一実施形態におけるU相波形生成部140uは、進角値加算部136において進角値が加算された連続位相信号に基づいて、U相用の駆動基準波形信号を生成する。 同様に、V相波形生成部140v及びW相波形生成部140wも、上下位ビット加算部135からの連続位相信号に基づいて、それぞれV相用の駆動基準波形信号及びW相用の駆動基準波形信号を生成する。 各相の駆動基準波形信号は、図8(g)ないし図8(i)に例示されている。 駆動基準波形信号の具体的な形成方法については後述する。

    本発明の一実施形態における乗算部150u、乗算部150v、及び乗算部150wは、対応するU相波形生成部140u、 相波形生成部140v、又は相波形生成部140wからの駆動基準波形信号に、所定の駆動電圧コードを乗じて、PWM変調のデューティ比に相当するPWMコードを生成する。

    本発明の一実施形態におけるU相PWM変調部160uは、乗算部150uからのPWMコードに基づいて、U相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S uh )及びFET(S ul )に対して出力する。 同様に、V相PWM変調部160vは、乗算部150vからのPWMコードに基づいてV相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S vh )及びFET(S vl )に対して出力し、W相PWM変調部160wは、乗算部150wからのPWMコードに基づいてW相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S wh )及びFET(S wl )に対して出力する。 このように、U相PWM変調部160u、V相PWM変調部160v、及びW相PWM変調部160wは、対応する乗算部150u、乗算部150v、乗算部150wからのPWMコードに基づいて、インバータ回路170の各スイッチング素子(FET)をオンオフ制御する。 上述のように、このスイッチング素子のオンオフ制御によって、各相の駆動電圧が生成され、生成された駆動電圧がモータ105の各相の巻線に供給される。

    次に、図3を参照して、内挿位相信号生成部130についてさらに説明する。 図3に示すとおり、本発明の一実施形態に係る内挿位相信号生成部130は、ホールエッジパルス生成部202と、分周部204と、ANDゲート206と、カウンタ208と、ORゲート210と、予測部212と、ダウンカウンタ214と、ANDゲート216と、カウンタ218と、ANDゲート220と、NORゲート222とを備える。

    ホールエッジパルス生成部202は、ホール出力信号Hu、Hv、Hwのうちの何れか一つが立ち上るか又は立ち下がるたびに基準クロックのパルス幅を有するホールエッジパルス(単に「エッジパルス」ということもある。)を生成し、生成したホールエッジパルスをカウンタ208、ORゲート210、及びカウンタ218に出力する。 図6(d)に示すように、ホールエッジパルスは、ホール出力信号Hu、Hv、Hwの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの各々に対応するタイミングで生成されるパルス信号である。 本明細書においては便宜上、繰り返し生成されるホールエッジパルスを区別するために、ホールエッジパルスがホールエッジパルス生成部202から出力されたときに当該ホールエッジパルスを「今回の」エッジパルス又は「現在の」エッジパルスといい、それ以前に出力されたエッジパルスを「過去の」エッジパルスといい、特に「今回の」エッジパルスよりも1つ前に出力されたエッジパルスを「前回の」エッジパルスといい、「今回の」エッジパルスよりも1つ後に出力されるエッジパルスを「次回の」又は「次の」エッジパルスということがある。

    分周部204は、基準クロックを所定の分周比で分周した分周クロック信号を生成し、生成した分周クロック信号をANDゲート206を介してカウンタ208に出力する。 分周比は、たとえば256とすることができるが、本発明に適用可能な分周比はこれには限られない。

    カウンタ208は、分周部204からANDゲート206を介して入力される分周クロック信号をイネーブル信号として基準クロックをカウントアップする。 また、カウンタ208は、エッジパルスが入力されるとクリアされて0がセットされるように構成される。 このように、カウンタ208は、エッジパルスが出力される時間間隔を計測することができる。

    予測部212には、ORゲート210からの出力が取り込みイネーブル信号として入力される。 予測部212にORゲート210から取り込みイネーブル信号が入力されると、カウンタ208のカウント値(Q)が予測部212に読み込まれる。

    ORゲート210には、カウンタ208からのキャリー信号及びホールエッジパルス生成部202からのエッジパルスが入力されている。 したがって、取り込みイネーブル信号は、エッジパルスの出力タイミング又はカウンタ208がフルカウントされたタイミングで予測部212に入力される。 よって、モータの回転速度が速い場合には、カウンタ208がフルカウントされる前に次のエッジパルスが出力されるので、次のエッジパルスがホールエッジパルス生成部202から出力されたタイミングで、カウンタ208のカウント値が予測部212に取り込まれる。 一方、モータ105の回転速度が遅い場合には、次のエッジパルスの出力タイミングより前にカウンタ208がフルカウントされるので、カウンタ208がフルカウントされたタイミングで予測部212にカウンタ208のカウント値が読み込まれる。 このように、カウンタ208がフルカウントされるほどモータ105が低速回転している状態を本明細書においてモータ105が「低速回転状態」にあるということがある。 以上から、モータ105が低速回転状態ではなく、エッジパルスによりカウンタ208のカウント値が取り込まれる場合には、当該カウント値は、前回のエッジパルスでカウンタ208がクリアされてから今回のエッジパルスが出力されるまでの間の時間間隔を表す。

    また、カウンタ208がフルカウントされたときに出力されるキャリー信号は、反転されてANDゲート206に入力される。 このように、 NDゲート206にキャリー信号を反転して入力することにより、フルカウントされてからエッジパルスによりクリアされるまでの間、ANDゲート206からのイネーブル信号を停止し、 カウンタ208は、フルカウントされた飽和状態のままカウントアップ動作を停止する。 上述のように、エッジパルスがカウンタ208に入力されると、カウンタ208は0にセットされる。 このとき、キャリー信号の出力が停止されるので、カウンタ208はカウントアップ動作を再開する。

    予測部212は、カウンタ208から入力され且つ前回のエッジパルスと今回のエッジパルスとの間の時間間隔を示すカウント値に基づいて、当該今回のエッジパルスから次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値を決定する。 図6(d)を例にとってこの予測値の決定について例示すると、フェーズ0とフェーズ1との間(電気角60°)のタイミングでホールエッジパルスHEP1が出力され、当該ホールエッジパルスHEP1に応じてカウンタ208から予測部212にカウント値が出力された場合には、当該今回のホールエッジパルスHEP1と次回のホールエッジパルスHEP2(フェーズ1とフェーズ2との間で出力されるホールエッジパルス)との間の時間間隔の予測値が決定される。

    今回のエッジパルスから次回のエッジパルスまでの時間間隔の予測値は、様々な方法で決定され得る。 最もシンプルな方法は、 回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの計測済みの時間間隔をそのまま次回のエッジパルスまでの時間間隔の予測値とする方法である。 モータの回転速度が安定している場合には、この予測方法により概ね正確な予測値が得られる。 また、2発目のエッジパルスが出力された時点から予測値を決定することができる。 この場合、予測部212は、前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔を保持するフリップフロップを備え、保持している時間間隔を予測値として出力する。

    予測部212の他の例について、図5を参照して説明する。 図5は、本発明の一実施形態に係る予測部212の機能を示すブロック図である。 図示のとおり、本発明の一実施形態に係る予測部212は、フリップフロップ252と、フリップフロップ254と、乗算部256と、加算部258とを備える。

    フリップフロップ252は、前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔を示す値を保持しており、フリップフロップ254は、前々回のエッジパルスから前回のエッジパルスまでの時間間隔を示す値を保持している。 ホールエッジパルス生成部 202から次回のエッジパルスが出力されると、フリップフロップ252は、保持していた値(前回のエッジパルスから今回のエッジパルスまでの時間間隔)をフリップフロップ254及び乗算部256に出力するとともに、カウンタ208から入力される新たなカウント値(今回のエッジパルスから次回のエッジパルスまでの時間間隔)を新たに保持する。 ホールエッジパルス生成部 202から次回のエッジパルスが出力された場合、フリップフロップ254は、保持していた前回のカウント値(現在のカウント値よりも1回前にカウンタ208から出力された前回のカウント値であり、前々回のエッジパルスから前回のエッジパルスまでの時間間隔)を加算部258に出力する。 乗算部256は、フリップフロップ252から出力された現在のカウント値を2倍し、2倍された現在のカウント値を加算部258に出力する。 加算部258は、乗算部256からの入力値からフリップフロップ254からの入力値を減算して、その減算結果を次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値として出力する。 このようにして出力された次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値は、ダウンカウンタ214に入力される。 このように、予測部212は、過去に出力されたエッジパルスの出力間隔の計測値に基づいて、直近に出力された(現在の)エッジパルスの出力タイミングから将来(特に次回)出力されるエッジパルスの出力タイミングまでの時間間隔を予測することができる。

    ダウンカウンタ214は、自らのボロー信号(図3におけるCy端子出力) で、予測部212から次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値をロードし、ロードされた予測値をセットして、このセットされた値から基準クロックでダウンカウント動作を行う。 このダウンカウント動作により、カウンタ214がダウンフローすると、上述のボロー信号が出力され、カウンタ214 に予測値がロードされる。

    ダウンカウンタ214からのボロー信号は、ANDゲート216を介してカウンタ218にイネーブル信号として入力される。 カウンタ218は、カウンタ214からのボロー信号をイネーブル信号として、基準クロックでアップカウント動作し、そのカウント値を内挿位相信号として出力する。 また、カウンタ218は、エッジパルスでクリアされるように構成される。

    ダウンカウンタ214は、基準クロックを所定の分周比で分周した分周クロック信号をイネーブル信号として用いてカウンタ208によりカウントされたカウント値(エッジパルスの時間間隔)をセットし、このセットされたカウント値から基準クロックでダウンカウントするので、ダウンカウンタ214がボロー信号を出力する周波数、すなわちカウンタ218のイネーブル信号の周波数は、エッジパルスが出力される周波数(ホールエッジ周波数)の分周比倍となる。 例えば、分周部204が基準クロックを256分周する場合は、カウンタ218のイネーブル信号の周波数は、ホールエッジ周波数の256倍となる。 カウンタ218は、ホールエッジ周波数の分周比(=N)倍の周波数のイネーブル信号により基準クロックでカウント動作するので、カウンタ218のカウント値として出力される内挿位相信号は、エッジパルスを分周比と同じ逓倍比(=N)で逓倍したN逓倍信号となる。

    カウンタ218がオーバーフローした際に出力されるキャリー信号がNORゲート222を介してANDゲート216に入力されるので、カウンタ218がフルカウントされた後は、カウンタ218はフルカウントされた飽和状態のままカウントアップ動作を停止する。 カウンタ218は、次のエッジパルスがホールエッジパルス生成部202から入力されるまでカウントアップ動作を停止し、飽和状態に維持される。

    予測部212から出力された次のエッジパルスまでの時間間隔の予測値よりも実際の時間間隔の方が長い場合に、フルカウント後もイネーブル信号を継続してカウンタ218に入力すると、フルカウント後にカウンタ218がオーバーフローしてゼロに戻ってしまうので内挿位相信号が不連続的に変化し、その結果、後段で生成される駆動基準波形にも不連続な変化が生じてしまい、大きな振動や騒音の原因となってしまう。 例えば、カウンタ218がフルカウント後にゼロに戻ると、図9(a)に示すように、フェーズ1においてカウンタ218のオーバーフロー時に起こる内挿位相信号の不連続な変化により、連続位相信号にも不連続な変化が生じてしまう。 これに対し、カウンタ218をフルカウントで飽和した状態に維持することにより、 内挿位相信号はフルカウント値のまま維持されるので、図9(b)に示すように、連続位相信号に不連続区間が生じないようにすることができる。

    また、カウンタ218からは、カウント値の最上位ビットMSBがANDゲート220に出力される。 ANDゲート220は、カウンタ218からの最上位ビットMSBとカウンタ208からのキャリー出力の論理積を生成し、生成した論理積をNORゲート222経由でANDゲート216に出力する。 これにより、カウンタ208からキャリー出力が出力されるモータ105の低速回転状態においては、カウンタ218がハーフカウントされたとき(最上位ビットが「1」になったとき)に、カウンタ218へのイネーブル信号の供給が停止されるので、カウンタ218はハーフカウントに維持されたままカウントアップ動作を停止する。 モータ105の低速回転状態においては、次のエッジパルスが出力されるまで、ロータの回転電気角の予測が極めて困難となり、ロータが0°から60°のどの角度にあるか不明となる。 このようなモータ105の低速回転状態において、カウンタ218のアップカウント動作をハーフカウントで停止することにより、ロータの回転電気角の予測位置と実際の位置との誤差を±30°以内にすることができる。 例えば、フェーズ1の周期が極めて長くなった場合には、このフェーズ1においてカウンタ218がハーフカウントされたときに、すなわちロータの回転電気角30°相当でアップカウント動作を停止することにより、図10に示すような連続位相信号が生成され、実際のロータの回転電気角との誤差を±30°以内にすることができる。 仮にフルカウントまでカウントアップしてしまうと、ロータの回転電気角が電気角0°付近に長時間留まっている場合には最大で60°近い誤差が生じてしまう。 このように、ハーフカウントでカウンタ218のカウント動作を停止することにより、ロータの回転電気角の誤差を小さくすることができる。

    以上説明したように、図3のように構成された内挿位相信号生成部130により、エッジパルスの時間間隔に対応する電気角よりも分周比倍(N倍)の分解能を有する内挿位相信号を生成することができる。 また、内挿位相信号をカウント値として出力するカウンタ218は、フルカウントされた飽和状態のままカウントアップ動作を停止するように構成されているので、次のエッジパルスまでの予測時間が短すぎた場合であても、連続位相信号(または駆動基準波形)が不連続となることを防止することができる。 また、モータ105の低速回転状態においては、カウンタ218のカウント動作をハーフカウントで停止するので、ロータの回転電気角の推定値の誤差を30°以内にすることができる。

    次に、図4及び図7を参照して、各相の駆動基準波形を生成する波形生成部の構成をさらに説明する。 図4は、V相の駆動基準波形を生成するV相波形生成部140vの機能を示すブロック図である。 V相以外の各相の駆動基準波形もV相の駆動基準波形と同様にして生成されるので、ここでは主にV相の駆動基準波形の生成方法について説明する。

    図4に示すとおり、本発明の一実施形態に係るV相波形生成部140vは、オフセット角加算部232と、モジュロ演算部234と、2sC変換部235と、位相加算部236と、2乗演算部238aと、2乗演算部238bと、加算部240aと、加算部240bと、比較部242と、ゼロクリップ部244と、を備える。

    オフセット角加算部232は、上位ビット位相信号と内挿位相信号とを加算して生成された、上下位ビット加算部135からの連続位相信号に対して、各相について設定されたオフセット角を加算する。 例えば、U相については30°のオフセット角が設定され、V相については150°のオフセット角(U相のオフセット角+120°)、W相については270°(V相のオフセット角+120°)のオフセット角が設定される。

    モジュロ演算部234は、オフセット角加算部232にて各相ごとのオフセット角が加算された連続位相信号のカウンタ上位桁データ(上位ビット位相信号生成部120からの上位ビット位相信号に由来するデータ)に対してモジュロ演算を行い、オフセット角加算部232からの連続位相信号を電気角0°〜360°の範囲の信号に変換して出力する。 上述のように、上位ビット位相信号が0〜5の値を取る場合には、上位ビット位相信号の6が360°となるため、モジュロ演算部234はモジュロ6演算を行う。

    2sC変換部235は、モジュロ演算部234から出力された0°〜360°範囲の連続位相信号を2の補数表現で取り得る−180°〜+180°の値域にシフトさせる。

    図7(d)に、図6(g)に示した連続位相信号にオフセット角加算部232において各相について設定されたオフセット角を加算し、そのオフセット角加算後の信号をモジュロ演算部234にて電気角0°〜360°の範囲に変換し、さらに2sC変換部235で−180°〜+180°の値域にシフトさせた各相の連続位相信号を示す。 図7(d)においては、U相の連続位相信号はPSu、V相の連続位相信号はPSv、W相の連続位相信号はPSwで表されている。 図7(d)の例では、各相のオフセット角は、U相について30°、V相について150°、W相について270°とされている。

    位相加算部236は、2sC変換部235から出力された−180°〜+180°の範囲にある連続位相信号PSv1に−60°のオフセット角を加算し、このオフセット後の連続位相信号PSv2に再びモジュロ演算を行って−180°〜+180°の値域にシフトさせる(図7(e))

    2乗演算部238aは、位相加算部236から出力された−180°〜+180°の範囲の連続位相信号PSv2を2乗し放物線を生成する。 そして、加算部240aにおいて、頂点位置を示す定数から2乗演算部238aで生成された放物線を減算することにより、図7(f)に示すように、上に凸の放物線PB2を生成する。 また、2乗演算部238bは、モジュロ演算部234から出力された−180°〜+180°の範囲の連続位相信号PSv1を2乗して放物線を生成し、 加算部240bにおいて、上記の頂点位置を示す定数から2乗演算部238bで生成された放物線を減算することにより、図7(f)に示すように、上に凸の放物線PB1を生成する。

    比較部242は、放物線PB1の各位相における値と放物線PB2の各位相における値とを比較してその大きい方を選択して出力する。 ゼロクリップ部244は、比較部242の出力信号が負になった部分をゼロクリップすることにより、図7(g)に例示する駆動基準波形を生成する。

    V相の駆動基準波形は以上のようにして生成される。 U相の駆動基準波形及びW相の駆動基準波形も、V相の駆動基準波形と同様にして生成される。 U相の駆動基準波形は、例えばV相の駆動基準波形から電気角−120°だけシフトしており、W相の駆動基準波形は、例えばV相の駆動基準波形から電気角+120°だけシフトしている。 図8(g)ないし図8(i)には、各相の駆動基準波形の例を示している。 図示のように、各相の駆動基準波形は、図8(d)ないし図8(f)に示されている対応する相の逆起電力と概ね相似な形状を有している。

    このようにして生成された各相の駆動基準波形に、上述したように、所定の駆動電圧コードを乗じることにより、PWM変調のデューティ比に相当するPWMコードを生成し、当該PWMコードに基づいてインバータ回路のスイッチング素子がPWM駆動される。 ここで、各相の駆動基準波形が対応する相の逆起電力と相似な形状を有しているため、高効率でモータ105を駆動することができる。 また、駆動基準波形に不連続な部分が存在しないため、モータ105の振動及び騒音を抑制することができる。 また、本実施形態においては、各相の逆起電力とほぼ相似な形状を有する駆動基準波形は、高価な電流センサやロータリエンコーダを用いずに安価なホールICからのセンサ信号に対する信号処理により得られるので、高精度の正弦波駆動を高価な素子を用いることなく実現できる。

    次に、図11及び図12を参照して、本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置を説明する。 本実施形態に係るモータ駆動制御装置は、モータ105を間欠通電駆動することができるように構成されている。

    図11は、本発明の他の実施形態に係るモータ駆動制御装置の機能ブロック図である。 図11のモータ駆動制御装置の構成要素うち、図2のモータ駆動制御装置と実質的に同じものについては、同じ参照符号を付して説明を省略する。 図11に示すモータ駆動制御装置302の駆動制御部310は、図2の駆動制御部110と同様に、上位ビット位相信号と前記内挿位相信号とを加算してロータの回転電気角に対応する連続位相信号を生成し、当該連続位相信号に進角値を加算して進角値加算位相信号を生成する。

    図11に示す駆動制御部310は、モジュロ演算部312と、間欠駆動デコーダ314と、PWM変調部316と、各相ごとに設けられたANDゲート318u、ANDゲート318v、ANDゲート318wと、駆動回路320とを備える。

    モジュロ演算部312は、進角値加算部136からの進角値加算位相信号のカウンタ上位桁データに対してモジュロ演算を行い、進角値加算位相信号を電気角0°〜360°の範囲の信号に変換して出力する。

    間欠駆動デコーダ314は、電気角0°〜360°の範囲に変換された進角値加算位相信号を3ビットの相番号にコード化する。 この相番号は、進角値が加算された連続位相信号(進角値加算位相信号)をコード化して算出しているため、ホール出力信号Hu、Hv、Hwが示す60°ごとの電気角を順に定められる相番号(図12(d)参照)と比べて、進角調整が成された相番号(図12(e)参照)が得られる。

    間欠駆動デコーダ314は、進角調整後の相番号に基づいて、各相の巻線における通電時間を制御する通電角信号を生成する。 図12(f)及び図12(g)に示すように、U相の通電角信号U+は進角後相番号「0」及び「1」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなり、U相の通電角信号U120は進角後相番号「0」、「1」、「3」及び「4」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなる。 また、図12(h)及び図12(i)に示すように、V相の通電角信号V+は進角後相番号「2」及び「3」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなり、V相の通電角信号V120は進角後相番号「0」、「2」、「3」及び「5」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなる。 また、図12(j)及び図12(k)に示すように、W相の通電角信号W+は進角後相番号「4」及び「5」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなり、W相の通電角信号W120は進角後相番号「1」、「2」、「4」及び「5」の区間でハイレベルで残りの区間でローレベルとなる。 通電角信号U+、通電角信号V+、及び通電角信号W+はそれぞれANDゲート318u、ANDゲート318v、及びANDゲート318wに出力される。 通電角信号U120、通電角信号V120、及び通電角信号W120はそれぞれ駆動回路120に出力される。

    ANDゲート318uは、PWM変調部31 からのPWM信号と通電角信号U+との論理積を生成し、生成した値を駆動回路320に出力する。 同様に、ANDゲート318v及びANDゲート318wは、PWM変調部31 からのPWM信号と、対応する通電角信号V+又は通電角信号W+との論理積を生成し、生成した値を駆動回路320に出力する。

    駆動回路320は、ANDゲート318uからの出力及び間欠駆動デコーダ314からの通電角信号U120に基づいて、U相用のスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をFET(S uh )及びFET(S ul )に対して出力する。 具体的には、図12(l)に示すU_HSをFET(S uh )に対するスイッチング信号として生成し、図12(m)に示すU_LSをFET(S ul )に対するスイッチング信号として生成し、生成したスイッチング信号を対応するFET(S uh )及びFET(S ul )に対して出力する。 なお、図12において、PWM及び「/PWM」は、PWMコードに応じたデューティー比でオン/オフする期間を表しており、コンプリメンタリ型であるからPWMがオンであれば/PWMはオフとなり、PWMがオフであれば/PWMはオンとなる。 「OFF」の区間では、対応するFETがハイインピーダンス状態に制御される。 駆動回路320は、V相用のスイッチング信号及びW相用のスイッチング信号についても、U相用のスイッチング信号と同様にして生成する。 図12(n)に示すV_HSは、FET(S vh )に出力されるスイッチング信号を表し、図12(o)に示すV_LSはFET(S vl )に出力されるスイッチング信号を表す。 また、図12(p)に示すW_HSは、FET(S wh )に出力されるスイッチング信号を表し、図12(q)に示すW_LSはFET(S wl )に出力されるスイッチング信号を表す。

    このように、本実施形態に係るモータ駆動制御装置によれば、進角値が加算された連続位相信号に基づいて、進角調整がなされた相番号を生成し、当該相番号に基づいて通電角信号を生成している。 そして、当該通電角信号に基づいて間欠通電駆動用のスイッチング信号が生成され、インバータ回路170の各FETに供給される。 これにより、本実施形態に係るモータ駆動制御装置を用いることにより、間欠通電駆動方式によりモータを駆動する場合でも、進角調整を行うことができるため、速度やトルクに応じて適切な進角を選ぶことにより当該モータを高効率で静粛に駆動することができる。

    以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。 上で述べた機能を実現する具体的な演算手法は複数存在しており、いずれを採用しても良い。 例えば、上記の実施形態では、分周部204で分周したクロックでエッジ間隔周期計測したが、上記の実施形態に代えて、または、上記の実施形態に加えて(上記の実施形態と組み合わせて)、分周したクロックでなく元の基準クロックで計測し、その計測結果を所定数で割ったり、計測結果を下へ所定桁シフトして使用しても、同様の効果を実現することができる。 例えば、基準クロックを8ビット下へシフトして使用することにより、分周部204で256分周した場合と同様の処理を行うことが可能となる。 また、内挿位相信号を出力するカウンタの代わりに、アキュムレータを使用し、予測周期の逆数に比例した数をアキュムレータに入力することでも同様の結果が得られる。 また、駆動制御部110で実行される機能の少なくとも一部は専用の回路で実現されてもよく、コンピュータプロセッサによってプログラムを実行することにより上述した各機能を実現してもよい。

    本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置やソフトウェアによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理または手順は複数の装置、複数のソフトウェアによって実行され得る。 本明細書において説明された機能ブロックは、それらをより少ない機能ブロックに統合して、またはより多くの機能ブロックに分解することによって説明することも可能である。

    上記実施形態の他に、モータ制御装置(102)が信号を生成する方法として下記手法であってもよい。

    センサ信に応じてロータの回転角をコード化して上位ビット位相信号を生成し、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期を計測し、
    前記周期に基づいて次回の周期を予測し、
    前記センサ信号の信号レベルが変化した時点でリセットして前記センサ信号の信号レベルが変化しない間は前記予測により得られた周期に基づく速度で変化させ、周期が前記予測所定数分の1となるノコギリ波状に変化する下位ビット位相信号を生成し、
    前記上位ビット位相信号と前記下位ビット位相信号とを加算して前記ロータの回転角に対応する連続位相信号を生成することを特徴とする信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記予測に基づく分周数で一定周波数のクロックを分周し、
    前記分周からの出力をカウントして前記下位ビット位相信号を生成することを特徴とした信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記予測により得られた周期の逆数に比例する値を生成し、
    前記逆数に比例する値を累積することで前記下位ビット位相信号を生成することを特徴とした信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記下位ビット位相信号がフルレンジ出力値で飽和し増加を停止することを特徴とした信号生成方法。

    前記下位ビット位相信号の生成が、
    前記ブラシレスモータが低回転状態にある場合に前記下位ビット位相信号がフルレンジの略半分の出力値で飽和し増加を停止することを特徴とする信号生成方法。

    前記予測が、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期がフルカウントであれば低速回転状態と判断することを特徴とした号生成方法。

    前記予測が、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期を予測した周期として出力することを特徴とした信号生成方法。

    前記予測が、
    前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期、および、過去に前記センサ信号の信号が変化するタイミング間の周期に基づいて予測した周期として出力することを特徴とした信号生成方法。

    102、302 モータ駆動制御装置103 モータ110、310 駆動制御部120 上位ビット位相信号生成部130 内挿位相信号生成部135 上下位ビット加算部140u U相波形生成部140v V相波形生成部140w W相波形生成部160u U相PWM変調部160v V相PWM変調部160w W相PWM変調部202 ホールエッジパルス生成部204 分周部206、216、220 ANDゲート210 ORゲート222 NORゲート208 カウンタ212 予測部214 ダウンカウンタ218 カウンタ

    QQ群二维码
    意见反馈