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交流回転機の制御装置及びこれを備えた電動パワ−ステアリング装置

申请号 JP2016515791 申请日 2014-04-29 公开(公告)号 JPWO2015166546A1 公开(公告)日 2017-04-20
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 俊介 中嶋; 俊介 中嶋; 祐也 土本; 祐也 土本; 勲 家造坊; 勲 家造坊; 金原 義彦; 義彦 金原;
摘要 推定回転 位置 によってセンサレス制御へ移行する時の逆トルクを軽減すること、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止する交流回転機の制御装置を提供する。回転位置センサ2が異常と判定された場合に交流回転機1の推定回転位置を算出する回転位置推定手段9と、交流回転機を駆動するために供給する駆動電 力 を制限する電力制限手段6と、センサ異常判定手段3が回転位置センサを異常と判定している場合には推定回転位置に基づいて、電力制限手段に制限された前記駆動電力に、回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を交流回転機に供給する電力供給手段10と、を備え、電力制限手段6は少なくともセンサ異常判定手段3が異常と判定してから推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、駆動電流を制限する。
权利要求

交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電を制限する電力制限手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は少なくとも前記センサ異常判定手段が異常と判定してから前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴とする交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴とする交流回転機の制御装置。前記交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は高周波電力であり、 前記回転位置推定手段は前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波成分とに基づいて、前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機は突極性を有し、 前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は高周波電力であり、 前記回転位置推定手段は前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて、前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線が磁気飽和するような電力であり、 前記回転位置推定手段は前記交流回転機の電圧と電流の関係に基づいて前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線を短絡させる電圧であり、 前記回転位置推定手段は前記検出電流に基づいて前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常と判定してから少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限する ことを特徴とする交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、 少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限する ことを特徴とする交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで急峻に減少するよう制限することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで時間と共に次第に減少するよう制限する ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は、前記駆動電力を制限する所定の値から時間と共に次第に増加するよう制限する ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が零となるように前記駆動電力を制限する ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記駆動電力を算出する駆動電力演算手段を備え、 前記駆動電力演算手段は前記交流回転機の回転速度に応じた状態量、または出力トルクに応じた状態量の少なくとも一方に基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の回転速度を算出する回転速度演算手段を備え、 前記駆動電力演算手段は前記回転速度に基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする請求項12に記載の交流回転機の制御装置。ハンドルに加えられた操トルクを検出するトルク検出手段と、 請求項13に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置であって、 前記駆動電力演算手段は前記操舵トルクに基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。請求項1から14のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が前記交流回転機の定格電流の10%以下となるように前記駆動電力を制限する ことを特徴とする請求項15または16に記載の電動パワーステアリング装置。

交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は少なくとも前記センサ異常判定手段が異常と判定してから前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴とする交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴とする交流回転機の制御装置。前記交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は高周波電力であり、 前記回転位置推定手段は前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波成分とに基づいて、前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機は突極性を有し、 前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は高周波電力であり、 前記回転位置推定手段は前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて、前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線が磁気飽和するような電力であり、 前記回転位置推定手段は前記交流回転機の電圧と電流の関係に基づいて前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線を短絡させる電圧であり、 前記回転位置推定手段は前記検出電流に基づいて前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常と判定してから少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限する ことを特徴とする交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、 少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限する ことを特徴とする交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで急峻に減少するよう制限することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで時間と共に次第に減少するよう制限する ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は、前記駆動電力を制限する所定の値から時間と共に次第に増加するよう制限する ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が零となるように前記駆動電力を制限する ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記駆動電力を算出する駆動電力演算手段を備え、 前記駆動電力演算手段は前記交流回転機の回転速度に応じた状態量、または出力トルクに応じた状態量の少なくとも一方に基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の回転速度を算出する回転速度演算手段を備え、 前記駆動電力演算手段は前記回転速度に基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする請求項13に記載の交流回転機の制御装置。ハンドルに加えられた操舵トルクを検出するトルク検出手段と、 請求項13に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置であって、 前記駆動電力演算手段は前記操舵トルクに基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。請求項1から14のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が前記交流回転機の定格電流の10%以下となるように前記駆動電力を制限する ことを特徴とする請求項15または16に記載の電動パワーステアリング装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する 回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は少なくとも前記センサ異常判定手段が異常と判定してから前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を所定の値で制限した後、前記駆動電力を制限する所定の値から増加するよう制限することを特徴とする交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を所定の値で制限した後、前記駆動電力を制限する所定の値から増加するよう制限することを特徴とする交流回転機の制御装置。前記交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は高周波電力であり、 前記回転位置推定手段は前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波成分とに基づいて、前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機は突極性を有し、 前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は高周波電力であり、 前記回転位置推定手段は前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて、前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線が磁気飽和するような電力であり、 前記回転位置推定手段は前記交流回転機の電圧と電流の関係に基づいて前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、 前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線を短絡させる電圧であり、 前記回転位置推定手段は前記検出電流に基づいて前記推定回転位置を算出する ことを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常と判定してから少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限する ことを特徴とする交流回転機の制御装置。交流回転機と、 前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、 前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常判定手段と、 前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、 前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、 前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、 前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、 前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、 少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限する ことを特徴とする交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで急峻に減少するよう制限することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで時間と共に次第に減少するよう制限する ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は、前記駆動電力を制限する所定の値から時間と共に次第に増加するよう制限する ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が零となるように前記駆動電力を制限する ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記駆動電力を算出する駆動電力演算手段を備え、 前記駆動電力演算手段は前記交流回転機の回転速度に応じた状態量、または出力トルクに応じた状態量の少なくとも一方に基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置。前記交流回転機の回転速度を算出する回転速度演算手段を備え、 前記駆動電力演算手段は前記回転速度に基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする請求項13に記載の交流回転機の制御装置。ハンドルに加えられた操舵トルクを検出するトルク検出手段と、 請求項13に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置であって、 前記駆動電力演算手段は前記操舵トルクに基づいて前記駆動電力を算出する ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。請求項1から14のいずれか1項に記載の交流回転機の制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が前記交流回転機の定格電流の10%以下となるように前記駆動電力を制限する ことを特徴とする請求項15または16に記載の電動パワーステアリング装置。

说明书全文

この発明は、回転位置センサ異常時に交流回転機の駆動を継続する交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御装置を備えた電動パワ−ステアリング装置に関するものである。

一般に、交流回転機を制御する際には、回転子の回転位置に対応した適切な位相で電流を供給するため、エンコ−ダ、レゾルバ、ホ−ル素子といった回転位置センサを必要とする。 従って、回転位置センサ異常時には交流回転機を制御することができないため、交流回転機を停止する必要があった。 この観点から、回転位置センサ異常時は回転位置センサを用いることなく回転子の回転位置を推定し、交流回転機を制御するための回転位置信号(以下、制御と呼ぶ)を推定した回転位置に切換えることにより、位置センサ異常時であっても交流回転機の制御を継続する手法が提案されている。

例えば、特許文献1に記載される従来の交流回転機の制御装置では、回転位置センサ異常時は回転位置推定のための高周波制限電圧を交流回転機の巻線に印加し、それに応じた交流回転機の電流検出値に基づいて、回転位置センサを用いることなく交流回転機を制御する。 また、回転位置の推定にある程度時間が必要であるがために、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御に移行する際に生じる回転位置不定期間には、センサレス制御に移行した直後の期間において、その直前に回転位置センサの出信号から得られた回転位置をセンサレス制御に用いることによってその問題を解決している。 ここで、回転位置センサの異常には回転位置センサ自身の異常、回転位置センサの信号線または給電線の断線異常が含まれる。

特開2013−59258号公報

特許文献1に記載の従来の交流回転機の制御装置では、回転位置推定用の電力を交流回転機に供給し、それに対する交流回転機の応答から推定回転位置を算出するため、回転位置の推定にある程度時間が必要であり、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御に移行する際に回転位置不定期間が生じる。 そのため、従来の発明によると、センサレス制御に移行した直後の期間において、その直前に回転位置センサの出力信号から得られた回転位置をセンサレス制御に用いている。 しかし、回転位置不定期間に交流回転機が回転する場合、回転位置センサ信号が異常となる直前の回転位置は交流回転機の実際の回転位置と異なるため、その間、交流回転機の制御に使用される制御角と実際の回転位置は不定の誤差があり、その誤差は最大180度となる。

また、回転位置センサの異常は不意に発生するため、異常発生時に交流回転機が回転していないと限定することはできない。 即ち、制御角に回転位置センサが異常となる直前の回転位置センサの出力信号から得られた回転位置を用いる場合であっても、交流回転機の制御装置が回転位置センサを異常と判定してから回転位置を推定するまでの間は回転位置不定期間であることに変わりはなく、その間適切な制御角により交流回転機を制御することができない。 さらに、実際に回転位置センサが異常となってから、交流回転機の制御装置が回転位置センサを異常と判定するまでには時間を要するため、回転位置不定期間はその分長くなる。

一方、回転位置センサの異常発生前後で、交流回転機の用途は変わらず、同様の機能が求められるため、特許文献1に記載の従来の交流回転機の制御装置に代表されるように、センサレス制御に移行する際に交流回転機に供給されるトルク軸上の電流はセンサレス制御に移行する直前と連続的である。 従って、回転位置センサが異常となる直前に交流回転機にトルク軸電流が給電されており、センサレス制御移行時に制御角と実際の回転位置の誤差が90度以上となる場合、所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクが発生する。 ここで、逆トルクの大きさは制御角と実際の回転位置の誤差が大きいほど、交流回転機の電流が大きいほど大きなものとなる。 また、逆トルクは上記回転位置不定期間に加え、回転位置の推定が開始されてから、誤差が少なくとも90度以下である推定回転位置が算出されるまでの時間継続される。 逆トルクは交流回転機を意図せぬ動作させるものとなるため、スムーズなセンサレス制御への移行の支障となる。

また、トルク軸電流指令が交流回転機の速度或いは出力トルクに応じた状態量によって、算出されるような交流回転機の制御装置の場合、逆トルクによる支障はさらに大きいものとなる。 例えば、一般的な電動パワーステアリング装置の場合、運転者の操トルクが大きくなれば交流回転機のトルク指令が大きくなり、その方向は操舵トルクと同一である。 従って、運転者がハンドルを切り増している状態でこのような逆トルクが発生した場合、逆トルクにより運転者のハンドルを切り増すための操舵トルクはさらに増大し、その結果さらにトルク指令が大きくなるため、逆トルクが増大して継続されるという負の連鎖を生む。従って、運転者の違和感が増大する。

さらに、センサレス制御移行時に制御角と実際の回転位置の誤差が大きい場合、回転二軸上の所望の電圧がそれぞれ実際の交流回転機の回転軸とは異なる誤った方向に印加されるため、交流回転機に意図せぬ電流が発生する。この電流は、回転二軸上の電圧が大きくなるほど大きい。 従って、制御角と実際の回転位置の誤差が大きく、交流回転機の電流が大きく、交流回転機の誘起電圧、即ち回転速度が大きい場合は過電流が発生し、交流回転機、及び交流回転機の駆動回路に故障が生じる場合がある。 交流回転機、或いは交流回転機の駆動回路に故障が生じた場合、交流回転機を停止せざるを得ず、センサレス制御に移行して交流回転機の駆動を継続することはできない。

この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、回転位置センサ異常時に推定回転位置によって交流回転機の駆動を継続する交流回転機の制御装置において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルクを軽減すること、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することを目的とするものである。

この発明に係る交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は少なくとも前記センサ異常判定手段が異常と判定してから前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限するようにしたものである。

或いは、交流回転機と、交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、回転位置センサが異常と判定された場合に交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、センサ異常判定手段が回転位置センサを異常と判定している場合には推定回転位置に基づいて、電力制限手段に制限された駆動電力に回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限するようにしたものである。

或いは、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常と判定してから少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限するようにしたものである。

或いは、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限するようにしたものである。

この発明によれば、回転位置センサ異常時に推定回転位置によって交流回転機の駆動を継続する交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御装置を備えた電動パワ−ステアリング装置において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する際に、少なくとも推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間が経過するまで交流回転機の駆動電力を制限するようにしたので、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消することができ、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することができるといった従来にない顕著な効果を奏する。

また、この発明によれば、回転位置センサ異常時に推定回転位置によって交流回転機の駆動を継続する交流回転機の制御装置及び交流回転機の制御装置を備えた電動パワ−ステアリング装置において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する際に、少なくとも交流回転機の誘起電圧が所定値以下となるまで交流回転機の駆動電力を制限するようにしたので、過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することができるといった従来にない顕著な効果を奏する。

本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態1における回転位置推定手段9の構成を示す図である。

本発明の実施の形態1におけるd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの合成ベクトルとd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqが供給される推定d−q軸、及び実際のd−q軸の位相関係を示す図である。

本発明の実施の形態1におけるd−q軸電流制限値idqlimの変化を示す図である。

本発明の実施の形態1におけるd−q軸電流制限値idqlimの変化を示す図である。

本発明の実施の形態1におけるd−q軸電流制限値idqlimの変化を示す図である。

本発明の実施の形態1におけるd−q軸電流制限値idqlimの変化を示す図である。

本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態2における電力変換器14aの構成を示す図である。

本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態3における電力変換器14bの構成を示す図である。

本発明の実施の形態4における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態5における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態5における回転位置推定手段9dの構成を示す図である。

本発明の実施の形態6における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態6における回転位置推定手段9eの構成を示す図である。

本発明の実施の形態7における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態8における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。

本発明の実施の形態8における回転位置推定手段9fの構成を示す図である。

本発明の実施の形態8における交流回転機1、ハンドル34、伝達軸37に加わるトルクの関係を機械的に等価な構造を示す図である。

本発明の実施の形態8における出力トルク高周波Tmhf0と高周波出力トルクTmhf、及びd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqが供給される推定d−q軸との位相関係を示す図である。

実施の形態1. 図1は本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図である。 交流回転機1の回転二軸上の第1軸を交流回転機1の回転子磁束と同位相方向とし、回転二軸上の第2軸を回転二軸上の第1軸と直交する方向として、第1軸をd軸、第2軸をq軸とそれぞれ表す。 図において、交流回転機1は三相巻線(U相、V相、W相)を有し、各巻線に印加される交流電圧によって駆動する。 尚、交流回転機1は三相巻線により構成されているが、三相巻線とは異なる巻線数により構成されるようにしてもよい。

回転位置センサ2は交流回転機1の回転位置を検出し、回転位置情報を含む回転位置信号を信号線2aを介してセンサ異常判定手段3、回転位置演算手段4に出力する。 センサ異常判定手段3は回転位置信号に基づき、回転位置センサ2の異常を検出し、異常が予め設定された所定時間継続して検出された場合に回転位置センサ2を異常と判定する。センサ異常判定手段3は回転位置センサ2の異常検出状態、並びに異常判定結果を異常判定信号に格納し、異常判定信号を切換器5、電流制限手段6、回転位置推定電力発生器8、回転位置推定手段9に出力する。 異常判定信号は回転位置センサ2が異常であると判定されていない場合は正常、異常であると判定された場合は異常のいずれかを示す信号である。

尚、センサ異常判定手段3が回転位置センサ2を異常と判定するための所定時間は、回転位置センサ2が正常であるにも関わらず、回転位置信号のノイズ等が原因で回転位置センサを異常であると誤判定することを防止するために設けられており、回転位置センサ2の異常を誤判定せずに異常を確定することできる十分長い時間、かつ、実際に回転位置センサ2に異常が発生した場合にその異常による影響が許容範囲内に収まる十分短い時間に設定される。

ここで、センサ異常判定手段は異常を検出した累積回数が予め設定された所定回数以上の場合に回転位置センサ2を異常と判定する構成としてもよく、異常を検出した場合に回転位置センサ2を異常と判定する方法は問わない。 例えば、回転位置センサ2の異常が検出されてから異常と判定されるまでの間を示す信号を含んでもよいし、回転位置センサ2の異常が検出された時間を示す信号を含んでもよい。 尚、センサ異常判定手段3は公知の方法により回転位置センサ2の異常を判定すればよい。例えば、回転位置センサ2がレゾルバである場合、レゾルバの信号線に導出される信号を監視することによって、レゾルバの異常、信号線の断線異常、信号線の接地異常を検出することができる。

より具体的には、レゾルバと交流回転機の制御装置との間の信号線2aをプルアップ抵抗を介して電源電位に接続したり、プルダウン抵抗を介して接地電位に接続したりする構成をとることができる。 この場合、信号線2aが断線すると、当該信号線2aには、レゾルバからの信号(正弦信号または余弦信号)が導出されなくなり、代わりに、当該信号線2aは、電源電位または接地電位に固定される。 そこで、センサ異常判定手段3は、信号線2aが電源電位または接地電位に固定されているかどうかを判定することで、レゾルバの異常(信号線の異常を含む)の有無を判定することができる。 ここで、回転位置センサ2の異常の判定には他の方法を用いてもよく、回転位置センサ2がレゾルバ以外であってもよい。

回転位置演算手段4は回転位置センサ2が出力する回転位置信号に基づき、回転位置θを算出する。 切換器5は異常判定信号に基づき、異常判定信号が異常を示している場合は推定回転位置θeを、異常判定信号が正常を示している場合は回転位置θを選択し、制御角θcとして出力する。

電流制限手段6はd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2が異常となり、推定回転位置によって交流回転機1を制御するセンサレス制御へ移行する際の逆トルクを解消し、過電流を防止する。 具体的には、電流制限手段6は異常判定信号に基づき交流回転機1を駆動させるための電流指令であるd−q軸上の電流指令id1*、iq1*(以下、纏めてidq1*と呼ぶ)を正または零の値に設定されたd−q軸電流制限値idqlimによってその大きさを制限し、d−q軸上の電流指令id2*、iq2*(以下、纏めてidq2*と呼ぶ)として出力する。

具体的には、d軸上の電流指令id1*の絶対値がd−q軸電流制限値idqlimより大きな場合は、d軸上の電流指令id2*は、符号はd軸上の電流指令id1*と同一で、大きさをd−q軸電流制限値idqlimとした値とする。 反対に、d軸上の電流指令id1*の絶対値がd−q軸電流制限値idqlim以下である場合は、d軸上の電流指令id2*はd軸上の電流指令id1*と同一とする。 q軸上の電流指令iq2*はd軸上の電流指令id2*と同様にq軸上の電流指令iq1*、d−q軸電流制限値idqlimに基づいて算出する。 制限が不要である場合はd−q軸電流制限値idqlimは交流回転機1の定格電流よりも大きな値に設定される。 電流制限手段6によるd−q軸上の電流指令idq1*を制限する手法、即ちd−q軸電流制限値idqlimの設定する手法については後述する。 ここで、d−q軸上の電流指令id1*、iq1*は正または零の値に設定されたd−q軸電流制限値idqlimによってその大きさを制限しているが、正または負の値に設定された電流制限値によって制限するようにしてもよく、d−q軸上の電流指令id1*、iq1*を制限する方法は問わない。

トルク検出手段7は交流回転機1の出力トルクTmを検出し、回転位置推定手段9に出力する。 回転位置推定電力発生器8は異常判定信号が異常を示している場合はd−q軸上の高周波電流Aid、Aiq(以下、纏めてAidqと呼ぶ)を生成し、回転位置推定手段9、電力供給手段10に出力する。 異常判定信号が正常を示している場合はd−q軸上の高周波電流Aidqは零とする。 ただし、回転位置センサ2に異常がない場合の高周波電流重畳による音、振動などが許容される場合は、回転位置センサ2が異常を示していない場合であても高周波電流を出力してもよい。

ここで、d−q軸上の高周波電流Aidqは同一振幅、周波数の互いに直交した正弦波とし、数1のように表すものとする。 数1におけるAは高周波振幅を、whは高周波の角周波数を表し、tは時刻である。

d−q軸上の高周波電流Aidqは回転位置推定手段9において推定回転位置θeを算出するために供給するためのものであり、高周波振幅Aはd−q軸上の電流指令idq1*による交流回転機1の動作に与える影響が十分に小さなものとする。 また、出力トルクTmの高周波成分、即ち角周波数wh成分である出力トルク高周波Tmhfは重畳されるd−q軸上の高周波電流Aidqのみに基づくものとなるよう、角周波数whは高周波加算前のd−q軸上の電流指令idq1*が含む周波数成分より十分大きい値とする。 尚、本実施の形態1ではd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqを互いに直交した正弦波としたが、d−q軸上の高周波電流Aidqを台形波、矩形波、三角波、ノコギリ波といった異なる形状の波動としてもよく、その種類は問わない。 回転位置推定手段9は異常判定信号が異常を示している場合は、d−q軸上の高周波電流Aidqの出力トルクTmに対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出する。

電力供給手段10は、高周波重畳器11、電流制御器12、座標変換器13、電力変換器14、電流検出器15より構成され、d−q軸上の電流指令idq2* 、d−q軸上の高周波電流aidqh*、制御角θcに基づき、交流回転機1に供給されるd軸電流、q軸電流がそれぞれd−q軸上の電流指令idq2*にd−q軸上の高周波電流Aidqを加えたものと一致するような三相交流電圧を交流回転機1に印加する。

次に、電力供給手段10の内部構成について説明する。 高周波重畳器11はd−q軸上の電流指令id2*、iq2*にそれぞれd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqを加算し、d−q軸上の高周波重畳電流指令id3*、iq3*(以下、纏めてidq3*と呼ぶ)として出力する。 電流制御器12は、d−q軸上の高周波重畳電流指令id3*、iq3*、及びd−q軸上の検出電流id、iqに基づき、d−q軸上の検出電流id、iqがそれぞれd−q軸上の高周波重畳電流指令id3*、iq3*と一致するようなd−q軸上の電圧指令vd*、vq*(以下、纏めてvdq*と呼ぶ)を演算する。

座標変換器13は三相検出電流iu、iv、iw(以下、纏めてiuvwと呼ぶ)を制御角θcに基づいてd−q軸上の検出電流idqに座標変換して電流制御器12に出力し、また、d−q軸上の電圧指令vdq*を制御角θcに基づいて三相電圧指令vu*、vv*、vw*(以下、纏めてvuvw*と呼ぶ)に変換して電力変換器14に出力する。 電力変換器14は三相交流電圧指令vuvw*に基づいた三相交流電圧を交流回転機1に印加する。 電流検出器15は電力変換器14が交流回転機1に供給する三相検出電流iuvwを検出する。

このように、電力供給手段10はd−q軸上の電流指令idq2*、d−q軸上の高周波電流Aidq、制御角θcに基づき、交流回転機1にd−q軸上の高周波重畳電流指令idq3*を供給すべく三相交流電圧vuvw*を交流回転機1に印加する。 ここで、制御角θcに交流回転機1の回転位置に対する誤差がある場合、座標変換に誤差が生じるため、d−q軸上の高周波重畳電流指令idq3*は交流回転機1の実際のd−q軸から制御角θcの誤差分回転した直行座標軸上に供給されることとなる。

図2は回転位置推定手段9の構成を示す図である。続いて、回転位置推定手段9の内部構成について説明する。 バンドパスフィルタ16はトルク検出手段7が出力する出力トルクTmからd−q軸上の高周波電流Aidqの周波数近傍の信号のみを抽出し、出力トルク高周波Tmhfとして出力する。 推定誤差演算手段17はd−q軸上の高周波電流Aidq、出力トルク高周波Tmhfに基づき、実際の交流回転機1の回転位置に基づく実際のd−q軸と推定回転位置θeに基づく推定d−q軸との位置差である回転位置推定誤差Δθを算出する。 ここで、推定誤差演算手段17は乗算器19、積分器20、位置誤差推定器21から構成されており、乗算器19はd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqそれぞれに出力トルク高周波Tmhfを乗算してd−q軸上の積Pd、Pqを出力し、積分器20はd−q軸上の積Pd、Pqをd−q軸上の高周波電流Aidqの一周期分に相当する区間それぞれ時間積分してd−q軸上の相関値Zd、Zqを出力し、位置誤差推定器21はd軸上の相関値Zdをq軸上の相関値Zqで除算したものの逆正接を演算して回転位置推定誤差Δθとして出力する。

また、推定誤差制御手段18はPI制御器22より構成され、回転位置推定誤差Δθが零となるような推定回転位置θeを演算する。 尚、推定誤差制御手段18はPI制御器22により推定回転位置θeを演算したが、例えば推定回転位置の前回演算値に回転位置推定誤差Δθを加算して補正することによって推定回転位置を演算してもよく、その方法は問わない。 このように、回転位置推定手段9はトルク検出手段7が出力する出力トルクTm、電力供給手段10によって交流回転機1に供給されるd−q軸上の高周波電流Aidqに基づき、交流回転機1の推定回転位置θeを演算する。

以上のような構成によって、該交流回転機の制御装置は回転位置センサ異常時は交流回転機に高周波電力を供給し、交流回転機の出力トルクに含まれる高周波成分、及び高周波電力に対応する高周波成分に基づいて交流回転機の回転位置を推定し、該回転位置に基づいて交流回転機を制御する構成において、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサに異常が発生し、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルク或いは過電流を解消する。

以下に、上記構成にて異常判定信号が異常を示している場合に回転位置推定手段9が交流回転機1の回転位置を推定する原理を説明する。 前述の通り、電力供給手段10は異常判定信号が異常を示している場合、回転位置推定手段9が推定する推定回転位置θeに基づき、電力を交流回転機1に供給するので、d−q軸上の高周波電流Aidqは交流回転機1の推定d−q軸にそれぞれを供給されることとなる。

図3は推定d−q軸に供給されるd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの合成ベクトルとd−q軸上の高周波電流Aidqが供給される推定d−q軸、及び実際の交流回転機1の回転位置に基づく実際のd−q軸の位相関係を表したものであり、推定d−q軸と実際のd−q軸との位相差を回転位置誤差Δθeとしている。 図2から判るように実際のd−q軸上に供給される高周波電流Aidr、Aiqr(以下、纏めてAidqrと呼ぶ)は数2となる。

従って、d−q軸上の高周波電流Aidqに基づく交流回転機1の出力トルクTm′は数3となる。 ここで、数3におけるPm、φ、Ld、Lqは交流回転機1の特性を表す値であり、Pmは極対数を、φは誘起電圧定数を、Ld、Lqはそれぞれインダクタンスのd軸成分、q軸成分を表す。

d−q軸上の高周波電流Aidqの角周波数whは高周波加算前のd−q軸上の電流指令id1*、iq1*が含む周波数成分より十分大きいものであるので、バンドパスフィルタ16が算出する出力トルク高周波Tmhfはd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqのみに基づくものである。 従って、出力トルクTmからd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの周波数、即ち角周波数wh近傍の成分を抽出したバンドパスフィルタ16が出力する出力トルク高周波Tmhfは数4のように表される。

数1、数4から判るようにq軸上の高周波電流Aiqと出力トルク高周波Tmhfとの位相差は回転位置誤差Δθeである。 つまり、推定d−q軸にd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqを重畳し、q軸上の高周波電流Aiqと出力トルク高周波Tmhfとの位相差を算出することによって回転位置推定誤差Δθeを算出することができる。

従って、回転位置推定手段9では、バンドパスフィルタ16によって出力トルクの角周波数wh近傍成分のみを抽出して出力トルク高周波Tmhfを算出し、推定誤差演算手段17によって出力トルク高周波Tmhfと推定d−q軸に重畳しているd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqそれぞれとの相互相関関数に基づき出力トルク高周波Tmhfとq軸上の高周波電流Aiqの位相差を算出して、回転位置推定誤差Δθとして出力する。

以下に推定誤差演算手段17における回転位置推定誤差Δθの算出過程を示す。 まず、数5に示すように乗算器19により数4が表す出力トルク高周波Tmfhと数1が表すd軸上の高周波電流Aidの積を演算し、積分器20により時間積分することによって、出力トルク高周波Tmfhとd軸上の高周波電流Aidとの相互相関関数を演算し、d軸上の相関値Zdを算出する。 ただし、数1、4における回転位置誤差Δθeは回転位置推定手段9では回転位置推定誤差Δθとして扱うこととし、数1、4の回転位置誤差Δθeを回転位置推定誤差Δθと置き換えている。

尚、出力トルク高周波Tmfhとd軸上の高周波電流Aidの相関を適切に算出するため、積分器20における積分区間はd−q軸上の高周波電流Aid、Aiq周期の整数倍である必要があるが、本実施の形態1では出力トルク高周波Tmfhの変動に対するd軸上の相関値Zdの応答性を向上するため、積分区間をd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの一周期分とし、数5におけるt2を積分演算時点での現在時刻として、t1を数6に示すものとする。

同様に、数7に示すように乗算器19、積分器20によって出力トルク高周波Tmfhとq軸上の高周波電流Aiqとの相互相関関数を演算し、q軸上の相関値Zqを算出する。

続いて、数8に示すように、位置誤差推定器21によってd軸の相関値Zdをq軸相関値Zqで除算し、逆正接を演算することによって回転位置推定誤差Δθを算出することができる。

このような原理によって、推定誤差演算手段17は出力トルク高周波Tmhfとd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqに基づき出力トルク高周波Tmhfとq軸上の高周波電流Aiqの位相差を算出して、回転位置推定誤差Δθとして出力する。

さらに、回転位置推定手段9では推定誤差制御手段18におけるPI制御器22によって推定誤差演算手段17が出力する回転位置推定誤差Δθに対し数9に示す演算を行い、推定回転位置θeとして切換器5を介して電力供給手段10に出力する。 ここで、数9におけるsはラプラス演算子、KP、KIは定数であり、KP、KIはPI制御器22が回転位置推定誤差Δθが零となるような推定回転位置θeを算出するように設定する必要がある。

このように、該回転位置推定手段9によると、交流回転機1の推定d−q軸にd−q軸上の高周波電流Aidqを供給することによって発生する出力トルク高周波Tmhfとd−q軸上の高周波電流Aidqに基づいて位置センサを用いることなく回転子の回転位置を推定することができる。

ここで、d−q軸上の高周波電流Aidqに応じた交流回転機1の出力トルク高周波Tmhfは交流回転機1の回転数の影響を受けることなく発生するので、回転位置推定手段9は交流回転機1の回転数に関わらず交流回転機1の回転位置を推定することが可能となり、特に低回転時、停止時にはより高精度な回転位置θを推定することができる。 また、交流回転機1が非突極、即ち交流回転機1のインダクタンスLdとLqが一致する場合であっても、数3が表す出力トルクTm′から導き出される出力トルク高周波Tmhfは数4と同一のものとなることは明らかである。 従って、回転位置推定手段9は交流回転機1の突極性の有無に関わらず交流回転機1の回転位置を推定することができる。 さらに、d−q軸上の高周波電流Aidqに応じた交流回転機1の出力トルク高周波Tmhfは交流回転機1の磁気飽和の発生有無に関わらず発生するので、回転位置推定手段9は交流回転機1の磁気飽和の有無に関わらず交流回転機1の回転位置を推定することができる。

尚、電流制御器12はd−q軸上の検出電流id、iqがそれぞれd−q軸上の高周波重畳電流指令id3*、iq3*と一致するように動作するため、d−q軸上の高周波重畳電流指令id3*、iq3*とd−q軸上の検出電流id、iqは同等である。 従って、回転位置推定手段9は電流指令であるd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqに基づいて推定回転位置θeを算出したが、検出電流であるd−q軸上の検出電流idqから角周波数wh成分を抽出してd−q軸上の高周波検出電流を算出し、該d−q軸上の高周波検出電流に基づいて推定回転位置θeを算出しても良く、同様の効果を得ることができる。 ただし、d−q軸上の検出電流id、iqの角周波数wh成分を算出する分、演算量は増大するため、本実施の形態1に示すように回転位置推定手段9は電流指令であるd−q軸上の高周波電流Aidqに基づいて回転位置θを算出する方が演算処理負荷の面で有利である。

また、電力供給手段10において重畳する高周波電力、及び回転位置推定手段9において演算で使用する高周波電力を電流としているが、これらを電圧としても良い。 この場合、電力供給手段10はd−q軸上の電流指令id2*、iq2*に対しd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqを加算する代わりに、d−q軸上の電圧指令vd*、vq*に対しd−q軸上の高周波電圧Avd、Avqを加算するように構成し、回転位置推定手段9はd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの代わりにd−q軸上の高周波電圧Avd、Avqに基づいて回転位置θを算出するようにすればよい。 ただし、q軸上の高周波電流の位相が出力トルク高周波の位相と常に一致するのに対し、q軸上の電圧は交流回転機1の回転数が増加するほどd軸方向鎖交磁束に起因する電圧成分が増加するので、交流回転機1の回転数が増加するほどq軸上の高周波電圧と出力トルク高周波の位相差が増大し、回転位置推定手段9が算出する回転位置θには該位相差に基づく誤差が生じる。 従って、本実施の形態1に示すように、電力変換器14において重畳する高周波電力、及び回転位置推定手段において演算で使用する高周波電力を電流とする方がより精度の高い回転位置θを算出することができ、効果的である。

また、電力供給手段10において重畳する高周波電力、回転位置推定手段9の演算で使用する高周波はそれぞれd軸方向およびq軸方向の電力であるが、任意の座標系に対応する電力を用いることにより、推定回転位置θeを演算してもよい。 すなわち、例えば、電力供給手段10が、交流回転機1に対して静止した座標系であるα−β軸上にα軸方向に対応するα軸高周波電流Aiαおよびβ軸方向に対応するβ軸高周波電流Aiβを重畳するように構成してもよい。 そして、回転位置推定手段9は、出力トルクTmと、α軸高周波電流Aiα、β軸高周波電流Aiβと、に基づいて、推定回転位置θeを演算することができる。 この場合に、回転位置推定電力発生器8は同一振幅A、周波数whの互いに直交した正弦波であるα−β軸高周波電流Aiα、Aiβを発生し、電力供給手段10は、切換器5が出力する制御角θcを用いてα−β軸高周波電流Aiα、Aiβをd−q軸上高周波電流Aid、Aiqに座標変換し、高周波重畳器11においてd−q軸上の電流指令id2*、iq2*それぞれに対し加算する。

また、回転位置推定手段9では、推定誤差演算手段17と同様の演算を行うことにより、静止座標系α−β軸と実際のd−q軸との位相差を算出することが可能である。 ここで、静止座標系α−β軸と実際のd−q軸との位相差は推定回転位置θeそのものに他ならない。 すなわち、この場合、推定誤差制御手段18相当の演算は不要であり、推定誤差演算手段17と同様の演算のみによって推定回転位置θeを算出することが可能である。 また、例えば、電力供給手段10が、交流回転機1に対して静止した座標系上のu相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*に、それぞれの位相差が120度であるu相高周波電圧Avu、v相高周波電圧Avvおよびw相高周波電圧Avwを重畳するように構成してもよい。

そして、回転位置推定手段9は、出力トルクTmと、u相高周波電圧Avu、v相高周波電圧Avvおよびw相高周波電圧Avwと、に基づいて、同様に推定回転位置θeを演算することができる。 この場合に、推定誤差演算手段17は、上記数5に示したd軸相関値Zdと同様に、u相高周波電圧Avu、v相高周波電圧Avvおよびw相高周波電圧Avwのそれぞれと、出力トルク高周波Tmhfと、の相互相関関数を演算することにより、u相相関値Zu、v相相関値Zvおよびw相相関値Zwを演算する。 さらに、u相相関値Zu、v相相関値Zvおよびw相相関値Zwを直交した静止座標系であるα−β軸上に対応するα軸相関値Zα、β軸相関値Zβに変換し、α軸相関値Zα、β軸相関値Zβで除算し、除算値(Zα/Zβ)の逆正接を演算することにより静止座標系α−β軸と実際のd−q軸との位相差である推定回転位置θeを算出することが可能である。

また、回転位置推定手段9は角周波数whであるd−q軸上の高周波電流Aidq及び出力トルク高周波Tmhfに基づいて回転位置推定誤差Δθを算出しているが、数3から判るように、出力トルクTm′の角周波数whの2倍の周波数成分と角周波数whの2倍の周波数の直交した二つの正弦波との相関によって回転位置推定誤差Δθを算出しても良い。 この場合、バンドパスフィルタ16は出力トルクから角周波数whの2倍の周波数成分を抽出し、推定誤差演算手段17が出力トルク高周波Tmhfとd−q軸上の高周波電流Aidqの代わりに出力トルクの角周波数whの2倍の角周波数成分と角周波数whの2倍の周波数である直交した二つの正弦波に基づいて回転位置推定誤差Δθを算出するようにするとよい。

続いて、上記構成にて電流制限手段6がd−q軸上の電流指令idq1*を制限する手法を説明する。 前述の通り、センサ異常判定手段3は回転位置信号に基づき、回転位置センサ2の異常を検出し、異常が予め設定された所定時間継続して検出された場合に回転位置センサ2を異常と判定する。 また、センサ異常反転手段3が回転位置センサ2を異常と判定してから、回転位置推定手段9が推定回転位置θeを算出するまでには、電力供給手段10によってd−q軸上の高周波電流Aidqを交流回転機1に供給し、それに応じた交流回転機1の出力トルクをトルク検出手段7で検出し、それに基づいて演算を行うという一連の処理が必要となる。

従って、回転位置センサ2に異常が発生してから、回転位置推定手段9が推定回転位置θeを算出するまでの間は回転位置不定期間であり、その間制御角θcの実際の交流回転機1の回転位置に対する誤差は最大180度となる。 また、回転位置推定手段9が推定回転位置θeを算出するためには、バンドパスフィルタ16によって、出力トルクTmからd−q軸上の高周波電流Aidqの周波数成分である角周波数wh近傍の成分を抽出する必要がある。 電力供給手段10によってd−q軸上の高周波電流Aidqが交流回転機1に供給された直後、即ち、高周波トルク発生直後は、バンドパスフィルタ16が出力トルクから角周波数wh成分を精度よく抽出するまでに時間を要する。 従って、電力供給手段10がd−q軸上の高周波電流Aidqの供給を開始してから、回転位置推定手段9が精度の高い推定回転位置θeを算出するまでにバンドパスフィルタ16の特性に応じた所定の時間を要する。

さらに、回転位置推定手段9は推定誤差制御手段18におけるPI制御器22によって回転位置推定誤差Δθが零となるような推定回転位置θeを算出するので、PI制御器22の特性に応じて回転位置推定誤差Δθを零に収束させるための時間を要する。 この時間は回転位置推定手段9が推定回転位置θeの演算を開始した時点の制御角θcの実際の交流回転機1の回転位置に対する誤差が大きいほど長くなる。 回転位置推定手段9が推定回転位置θeの演算を開始した時点においては回転位置が不定であるため、最大で180度誤差を収束させるための時間を要する。 即ち、回転位置推定手段9が推定回転位置θeの算出を開始した後、回転位置推定手段9が実際の回転位置との誤差が90度以下の逆トルクとなることがない推定回転位置θeを算出するまでに回転位置推定手段9の特性に応じた所定の時間を要する。

従って、回転位置センサ2に異常が発生してから、回転位置推定手段9が実際の回転位置との誤差が90度以下である推定回転位置θeを算出するまでの間に、零でないd−q軸上の電流指令idq1*が交流回転機1に供給される場合、逆トルクが発生しうる。 さらに、この間のd−q軸上の電流指令idq1*が大きく、誘起電圧、即ち交流回転機1の回転速度が大きい場合、過電流が発生しうる。 そこで、以下に示すように、電流制限手段6においてd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、センサレス制御移行時の逆トルクを解消し、過電流を防止する。 d−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図4に示す。 図4における横軸は時間を表しており、縦軸はd−q軸電流制限値idqlimである。 また、センサ異常判定手段3が回転位置センサ2の異常を検出した時刻をt0、センサ異常判定手段3が回転位置センサ2を異常であると判定した時刻、即ち、異常判定信号が正常から異常に切り換わる時刻をt1、回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下に収まるために十分な時間が経過した時刻をt2として表す。

図4から判るように、d−q軸電流制限値idqlimは時刻t1まで定格電流に設定される。 すなわち、時刻t1まではd−q軸上の電流指令idq1*は制限されることはない。 ここで、時刻t0からt1の間は、センサ異常判定手段3は回転位置センサ2の異常を検出しているが、異常であると判定はしていない、即ち回転位置センサ2の異常は確定していない期間である。 つまり、センサ異常判定手段3は回転位置センサ2の異常を検出しているが、実際に回転位置センサ2が異常であるとは確定できない場合が存在する。 このような場合に時刻t0からt1の間にd−q軸上の電流指令idq1*を制限するように設定していると、回転位置センサ2に異常がないにも関わらず、交流回転機1に供給される電流が変動し、トルク変動を生む。 従って、本実施の形態1における交流回転機の制御装置では、時刻t0からt1の間はd−q軸上の電流指令idq1*を制限しない。

また、d−q軸電流制限値idqlimは時刻t1において零に設定される。 時刻t1は異常判定信号が正常から異常に切り換わる時刻がt1であるため、異常判定信号より認識可能である。 時刻t1においてd−q軸電流制限値idqlimを定格電流から零に急峻に減少させることによって、逆アシスト、並びに過電流を迅速に低減するようにしている。 d−q軸電流制限値idqlimは時刻t1からt2まで零に設定される。 ここで、時刻t2は時刻t1から所定時間Δt12が経過した時刻として認識する。 時刻t2は回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下に収まるために十分な時刻であるので、所定時間Δt12は数10に示す演算式によって算出した値に予め設定しておくことが可能である。

本実施の形態1における交流回転機の制御装置の場合、(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)は電力供給手段10によってd−q軸上の高周波電流Aidqを交流回転機1に供給し、それに応じた交流回転機1の出力トルクをトルク検出手段7で検出し、回転位置推定手段9が推定回転位置θeを算出するまでの最長時間である。 各演算時間、d−q軸上の高周波電流Aidqを交流回転機1に供給してからトルク検出手段7で検出される時間は予め測定、或いは算出しておけばよい。 さらに、最長時間としてトルク検出手段7の個体差、特性、経年変化による検出時間バラつきなどハードウェアのバラつきを考慮した値に設定してもよい。

また、(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる時間)は回転位置推定手段9が回転位置信号に基づき推定回転位置θeの演算を開始してから推定回転位置θeと回転位置との誤差が90度以内に収束するために必要な最長時間であり、主にバンドパスフィルタ16の高周波抽出の応答時間、及びPI制御器22の回転位置推定誤差の収束応答性に依存する。 この場合、回転位置推定手段9が推定回転位置θeの演算を開始する時の推定回転位置θeと実際の交流回転機の回転位置誤差が180度である最悪のケースを想定して、推定回転位置θeの誤差が90度まで低下する時間を予め測定、あるいは算出しておけばよい。

d−q軸電流制限値idqlimは時刻t2から時間と共に次第に増加するように設定され、最終的には定格電流に到達する。 従って、交流回転機1のトルク急変が発生することはなく、トルク急変による交流回転機1の負荷装置への衝撃、交流回転機1及び負荷装置の共振、ハンチングといった問題を防ぐことができる。 ただし、その傾きが緩やかな場合、交流回転機1に本来要求されるトルクへの復帰が遅れるため、傾きは交流回転機1の用途に応じて設計するとよい。

以上のように、電流制限手段6を備えた交流回転機の制御装置によると、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10が推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。

即ち、本発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としている。

そのため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消することができ、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することができるといった従来にない顕著な効果を奏する。さらに、前記交流回転機の制御装置は前記交流回転機の出力トルクを検出するトルク検出手段を備え、前記回転位置推定電力は高周波電力であり、前記回転位置推定手段は前記出力トルクに含まれる高周波成分と、前記高周波電力に対応する高周波成分とに基づいて、前記推定回転位置を算出するように構成しており、前記回転位置推定電力の供給を開始してから、前記回転位置推定手段が逆トルク、過電流とならないような誤差の小さい推定回転位置を算出するまでに時間を要するため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消し、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することは、より顕著な効果を奏する。

さらに、前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値まで急峻に減少するよう制限するように構成したので、誤差の大きな推定位置と大きな電流による逆トルクおよび過電流を迅速に低減できる。 さらに、前記電力制限手段は前記駆動電力を制限する所定の値から時間と共に次第に増加するよう制限するように構成したので、逆トルクの解消、或いは過電流の防止のために制限した駆動電力を復帰させる際のトルク急変による交流回転機の負荷装置への衝撃、交流回転機及び負荷装置の共振、ハンチングといった問題を防ぐことができる。

尚、本実施の形態1では、センサ異常判定手段3は回転位置信号に基づき、回転位置センサ2の異常を検出し、異常が予め設定された所定時間継続して検出された場合に回転位置センサ2を異常と判定するようにしたが、回転位置信号に基づき、回転位置センサの異常を検出した場合に即座に回転位置センサ2を異常と判定する構成としてもよい。 即ち、該交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は少なくとも前記センサ異常判定手段が異常と判定してから前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としており、この場合も本実施の形態1における交流回転機の制御装置と同様に、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消することができ、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することができるといった従来にない顕著な効果を奏する。

また、回転位置推定手段9は交流回転機1に高周波電流を供給した際の出力トルクTmに対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出したが、他の回転位置推定用電力を供給し、他の手法によって推定回転位置θeを算出するようにしてもよく、その方法は問わない。 また、時刻t2は回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる時間)より構成したが、時刻t2を回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が任意の所定誤差以下に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから任意の所定誤差以内に収束させる時間)より構成してもよい。

交流回転機1のトルクは制御角θcの誤差が90度以下の場合はその誤差が大きくなればなるほど所望のトルクより小さくなり、誤差が90〜180度の場合はその誤差が大きくなればなるほど所望のトルクと反対方向の逆トルクが大きくなる。 従って、逆トルクのみならず、トルクの減少も許容できない場合は、許容できないトルクとなる制御角θcと実際の回転位置の誤差に応じて所定誤差を定めればよい。 また、ある程度の逆トルクが許容される場合は、許容可能な逆トルクとなる制御角θcと実際の回転位置の誤差に応じて所定誤差を定めればよい。 この場合、(回転位置推定を開始してから所定誤差以内に収束させる時間)は回転位置推定手段9が回転位置信号に基づき推定回転位置θeの演算を開始してから推定回転位置θeと回転位置との誤差が所定誤差以内に収束するために必要な最長時間であり、回転位置推定手段9が推定回転位置θeの演算を開始する時の推定回転位置θeと実際の交流回転機の回転位置誤差が180度である最悪のケースを想定して、推定回転位置θeの誤差が所定誤差まで低下する時間を予め測定、あるいは算出しておけばよい。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを時刻t2から時間と共に次第に増加するように設定したが、トルク急変による影響が問題とならず、トルクをできるだけ早く復帰させたいような場合はd−q軸電流制限値idqlimを時刻t2から急峻に増加するように設定してもよい。 また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを零とする所定時間Δt12を構成する(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)、及び(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる時間)はそれぞれ取りうる最長時間を設定したが、条件に応じて該条件における最長時間を設定時間として切り替えるように構成してもよい。

本実施の形態1におけるd−q軸電流制限値idqlimを零とする所定時間Δt12の場合、所定時間Δt12を構成する(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)は、例えばトルク検出手段の温度特性に応じて変動しうる。 従って、例えばトルク検出手段の温度を検出し、温度に応じて該温度における(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)の最長時間を設定時間として切り替えるとよい。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図4に示す設定としたが、図5に示すように、時刻t0からt1の間に零に制限するような設定としてもよい。 この場合、センサ異常判定手段3は回転位置センサ2の異常有無だけでなく、回転位置センサ2の異常検出状態、具体的には回転位置センサ2の異常検出の継続時間を出力する必要がある。

このように、時刻t0からt1の間に零に制限することによって、実際に回転位置センサに異常が発生してから、センサ異常反転手段が回転位置センサを異常と判定するまでの期間の逆トルク、及び過電流を解消することができる。 ただし、センサ異常判定手段は回転位置センサの異常を検出しているが、実際に回転位置センサは異常ではなく誤検出している場合には、回転位置センサが正常であるにも関わらず、交流回転機に供給される電流が変動し、トルク変動を生むこととなる。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図6に示すように制限開始時に時間とともに次第に減少していくように設定してもよい。 即ち、該電力制限手段は駆動電力を制限する所定の値まで時間と共に次第に減少するよう制限するように構成してもよく、この場合、交流回転機1のトルク急変を抑制することができるので、トルク急変による交流回転機1の負荷装置への衝撃、交流回転機1及び負荷装置の共振、ハンチングといった問題を防ぐことができる。 ただし、制御角の実際の交流回転機1の回転位置に対する誤差が大きい場合は、減少させる傾きが緩やかであるほど逆トルク、及び過電流が大きくなる。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図7に示すように零以外の値に制限されるように設定してもよい。 回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10が推定回転位置θeによって交流回転機1に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時に交流回転機1に供給する電力を制限することは、その間の制御角の実際の交流回転機1の回転位置に対する誤差が大きい場合は、逆トルクを低減し、過電流を防止できる一方で、制御角の誤差が小さい場合は、本来交流回転機1に供給されるべき電力が制限されるため、機能性が低下するといったトレードオフの関係を持つ。 従って、交流回転機1の用途及び性能に応じて、許容可能な逆トルク、電流の範囲内で任意に制限値を設定すればよい。

また、電流制限手段6によりd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、交流回転機1の逆トルク及び過電流を防止するようにしたが、交流回転機に対して回転、或いは静止した任意の座標軸の電流指令を制限するようにしてもよいし、或いは交流回転機に対して静止した座標系上のU、V、W各相の電流指令をそれぞれ制限するようにしてもよく、背電流制限手段において制限する電流指令がどの座標軸のものであるかは問わない。 この場合、本実施の形態1における電流制限手段6による電流指令制限手法と同様に各座標軸上の電流を制限することによって、どの座標軸上の電流指令を制限した場合であっても逆トルク及び過電流を防止することができ、同様の効果を得ることができる。 ただし、回転位置推定電力は電流制限手段により制限された電流に対して加算する必要がある。

実施の形態2. 実施の形態1では、回転位置推定手段9は交流回転機1に高周波電流を供給した際の出力トルクTmに対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出したが、推定回転位置θeは他の手法によって算出するようにしてもよい。 具体的には、交流回転機に高周波電力を供給し、交流回転機の前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて推定回転位置θeを算出するようにしてもよい。 そこで、本実施の形態2では、突極性を有する交流回転機に高周波電流を供給した場合の、交流回転機のインダクタンスの回転二軸上各成分に差異による電流に対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出する回転位置推定手段9とは異なる公知の回転位置推定手段(例えば、特許第5069306号公報に記載)を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。

図8は本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図であり、 実施の形態1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 回転位置推定電力発生器8aは、スイッチング周期Tcの値を電力変換器14aに、三相高周波電圧Avu,Avv,Avw(以下、纏めてAvuvwと呼ぶ)を電力変換器14aに出力する。 ここで、スイッチング周期Tcは、例えば特許第5069306号公報に記載のように、交流回転機1を駆動させるための電流指令であるd−q軸上の電流指令idq1*に基づく三相交流電圧指令vuvw*の周期よりも十分に短い周期をもって、このスイッチング周期Tcは交流回転機1の電気的特性やインバータ駆動により発生する電磁騒音の周波数等を考慮して予め最適な値に設定される。 また、三相高周波電圧Avuvwは回転位置推定手段9aが回転位置を推定するためのものであって、スイッチング周期Tcのm倍(mは3以上の整数、3以上とする理由は後述)と等しい周期m・Tc、かつ位相の異なるものとする。

回転位置推定手段9aは異常判定信号が異常を示している場合は、三相高周波電圧Avuvwの印加による交流回転機1の電流に対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出する。 電力供給手段10aは、高周波重畳器11a、電流制御器12、座標変換器13、電力変換器14a、電流検出器15より構成され、d−q軸上の電流指令idq2*、三相高周波電圧Avuvw、制御角θcに基づき、交流回転機1に供給されるd軸電流、q軸電流がそれぞれd−q軸上の電流指令idq2*に一致するような三相交流電圧に三相高周波電圧Avuvw加えた電圧を交流回転機1に印加する。

以下に、電力供給手段10aの内部構成について説明する。 高周波重畳器11aは三相電圧指令vu*、vv*、vw*にそれぞれ三相高周波電圧Avu,Avv,Avwを加算し、三相電圧指令vu2*、vv2*、vw2*(以下、纏めてvuvw2*と呼ぶ)として電力変換器14aに出力する。 ここで、上述のようにmを3以上の整数とする理由は、mが1あるいは2のときは、スイッチング周期Tcのm倍の周期m・Tcと等しい三相高周波電圧Avu,Avv,Avwの各相に、位相差を持たせることができず、ひいては回転位置推定手段9aによる推定回転位置θeを精度良く求めることができないからである。

このように、高周波重畳器11aによって三相電圧指令vu*、vv*、vw*にそれぞれ個別に三相高周波電圧Avu,Avv,Avwを重畳して交流回転機1に印加する。 この場合、三相高周波電圧Avu,Avv,Avwのベクトル和である電圧ベクトルは交番電圧ではなく回転電圧となる。 なお、交番電圧とは、三相交流電圧1周期のうちに、三相交流電圧の各相のベクトル和である電圧ベクトルを2方向以下に印加するものをいう。 また、回転電圧とは三相交流電圧1周期のうちに、三相交流電圧の各相のベクトル和である電圧ベクトルを3方向以上に印加するものをいう。

電流制御器12aは、d−q軸上の高周波重畳電流指令id2*、iq2*、及びd−q軸上の検出電流id、iqに基づき、d−q軸上の検出電流id、iqがそれぞれd−q軸上の高周波重畳電流指令id2*、iq2*と一致するようなd−q軸上の電圧指令vd*、vq*(以下、纏めてvdq*と呼ぶ)を演算し、高周波重畳器11aに出力する。

図9は電力変換器14aの構成を示す図である。 電力変換器14aはパルス幅変調制御器23とインバータ24から構成される。 パルス幅変調制御器は、高周波重畳器11aが出力する三相電圧指令vu2*、vv2*、vw2*と回転位置推定電力発生器8aが出力するスイッチング周期Tcの値に基づいて、パルス幅変調されたロジック信号Du、Dv、Dwを発生する。 インバータ24はパルス幅変調制御器23が出力するロジック信号Du、Dv、Dwに基づき、交流回転機1の各巻線に電圧を印加する。 ここで、パルス幅変調制御法としては、例えば、キャリア信号としての三角波による公知のパルス幅変調制御法を用いてもよい。 この場合、例えば、三角波の周期を回転位置推定電力発生器8aが出力するスイッチング周期Tcの2倍に設定する。 このように、電力変換器14aは三相電圧指令vu2*、vv2*、vw2*と、スイッチング周期Tcに基づいて三相電圧指令vu2*、vv2*、vw2*を交流回転機1に印加する。 ここで、パルス幅変調制御器23によるロジック信号Du、Dv、Dwは他の公知の手法により算出するようにしてもよい。

以上のような構成によって、該交流回転機の制御装置は回転位置センサ異常時は交流回転機に高周波電力を供給し、交流回転機の前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて交流回転機の回転位置を推定し、該回転位置に基づいて交流回転機を制御する構成において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルク或いは過電流を解消する。 ここで、回転位置推定手段9aが交流回転機に高周波電力を供給し、交流回転機の前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて推定回転位置θeを演算する手法について説明する。 回転位置推定手段9aは、特許第5069306号公報に記載される公知の手法によって、突極性を有する交流回転機に高周波電流を供給した場合の、交流回転機のインダクタンスの回転二軸上各成分に差異による電流に対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出するとよい。 尚、回転位置推定手段9aは、回転位置推定電力発生器8aが三相高周波電圧Avuvwは回転位置推定手段9aが回転位置を推定するためのものであって、スイッチング周期Tcのm倍(mは3以上の整数、3以上とする理由は後述)と等しい周期m・Tc、かつ位相の異なるものを出力し、電力供給手段10aにより印加した場合の電流に対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出したが、突極性を有した交流回転機1に高周波電力を供給した場合に、インダクタンスの回転二軸上各成分に差異による電流に対する応答に基づいた他の方法によって算出するようにしてもよい。

続いて、上記構成にて電流制限手段6がd−q軸上の電流指令idq1*を制限する手法を説明する。 電流制限手段6は本発明の実施の形態1における電流制限手段6と同様の手法によって、d−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、センサレス制御移行時の逆トルクを解消し、過電流を防止することができる。 本実施の形態2における交流回転機の制御装置の場合、数10における(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)に電力供給手段10aによって三相高周波電圧Avu,Avv,Avwを交流回転機1に印加し、それに応じた交流回転機1の三相検出電流iuvwを電流検出器15で検出し、回転位置推定手段9aが推定回転位置θeを算出するまでの最長時間を設定するとよい。 また、(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる最長時間)に回転位置推定手段9aにより算出される推定回転位置θeの誤差が90度まで低下するまでの最長時間を設定するとよい。

以上のように、電流制限手段6を備えた交流回転機の制御装置によると、交流回転機に高周波電力を供給し、交流回転機の前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて推定回転位置θeを算出する場合であっても、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10aが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。

即ち、本発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としており、前記交流回転機は突極性を有し、前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、前記回転位置推定電力は高周波電力であり、前記回転位置推定手段は前記検出電流に含まれる高周波成分に基づいて、前記推定回転位置を算出するように構成しており、前記回転位置推定電力の供給を開始してから、前記回転位置推定手段が逆トルク、過電流とならないような誤差の小さい推定回転位置を算出するまでに時間を要するため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消し、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することは、より顕著な効果を奏する。

実施の形態3. 実施の形態1では、回転位置推定手段9は交流回転機1に高周波電流を供給した際の出力トルクTmに対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出したが、他の手法によって推定回転位置を算出するようにしてもよい。 具体的には、交流回転機の巻線を短絡させるような電圧を供給し、交流回転機の検出電流に基づいて推定回転位置θeを算出するようにしてもよい。 また、回転位置推定手段が算出する推定回転位置θeの初期値、即ちセンサレス制御切り替え直後に使用する値を算出する初期推定回転位置推定手段を備えた構成とし、それぞれの回転位置推定手段に応じて交流回転機の駆動電力を制限することによって、センサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止してもよい。 この場合、回転位置推定手段9が誤差の小さい推定回転位置θeを算出する時間に比べて、短い時間で誤差の小さい回転位置を初期回転推定手段が算出するため、逆トルクを解消、或いは過電流を防止するために駆動電力を制限する時間を短く設定することが可能となり、より早く交流回転機が所望のトルクを出力することができる。

そこで、本実施の形態3では、実施の形態1における回転位置推定手段9に加えて、回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの初期値を算出する初期推定回転位置推定手段を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。 さらに、交流回転機の巻線を短絡させるような回転位置推定電力である電圧を印加し、この時の交流回転機の電流から、交流回転機の巻線が短絡した場合の交流回転機の電圧と電流の関係に基づいて推定回転位置を算出する回転位置推定手段9とは異なる公知の回転位置推定手段(例えば、特許第3636340公報に記載)を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。

図10は本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図であり、実施の形態1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 電流制限手段6bは電流制限手段6と同様にd−q軸上の電流指令idq1*をd−q軸電流制限値idqlimによって制限し、d−q軸上の電流指令idq2*として出力する。 d−q軸電流制限値idqlimの設定する手法については後述する。

次に電力供給手段10bの内部構成について説明する。 電力変換器14bは交流回転機1の各相に対して、入力されたゲート信号Gに基づいて電圧を印加する。 図11は電力変換器14bの内部構成を示す図である。 電力変換器14bは、半導体スイッチ38〜43を有し、半導体スイッチ38、41、39、42、40、43の各対は、それぞれ直列接続され、直列接続された半導体スイッチ38、41、39、42、40、43の各対は、電位差Edを生成する直流電圧源44に並列接続される。 半導体スイッチ38、41を接続する中点Puは、交流回転機1のU相に接続され、半導体スイッチ39、42を接続する中点Pvは、交流回転機1のV相に接続され、半導体スイッチ40、43を接続する中点Pwは、交流回転機1のW相に接続される。 また、各半導体スイッチ38〜43は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)Q1〜Q6とダイオードD1〜D6とがそれぞれ対応して並列接続され、ダイオードの順方向は、直流電圧源44のプラス側に向けられている。 このIGBTQ1〜Q6のゲートに印加されるゲート信号は、各IGBTQ1〜Q6をオン/オフする。 ゲート信号生成器27は交流回転機1に三相電圧指令vuvw*を印加するような駆動用ゲート信号Gdを出力する。 ここで、駆動用ゲート信号Gdは、例えば、本発明の実施の形態2におけるパルス幅変調制御器23と同様に三相電圧指令vuvw*をパルス幅変調したロジック信号Duvwを算出し、ロジック信号Duvwに基づいて交流回転機1の各相に対応した半導体スイッチ38〜43をオン/オフするためのゲート信号を算出するような公知の手法により算出するとよい。

電力制限手段28は駆動用ゲート信号Gdを制限することによって、回転位置センサ2が異常となり、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する際の逆トルクを解消し、過電流を防止する。 具体的には、異常判定信号が異常を示してから、初期回転位置推定手段26が初期推定回転位置θe0を算出するまでの所定時間Δt120は駆動用ゲート信号Gdを遮断し、推定用ゲート信号Geを出力する。その後、推定用ゲート信号Geを遮断し、駆動用ゲート信号Gdを出力する。 初期回転位置推定電力発生器25は異常判定信号が異常を示した場合に初期回転位置推定手段26が回転位置を推定するための推定用ゲート信号Geを電力供給手段10bに出力する。 初期回転位置推定手段26は三相検出電流iuvwに基づいて初期推定回転位置θe0を演算し、回転位置推定手段9bに出力する。 回転位置推定手段9bは算出する推定回転位置θeの初期値に初期回転位置推定手段26が出力する初期推定回転位置θeを用いるという点でのみ回転位置推定手段9と異なる。

以上のような構成によって、該交流回転機の制御装置は回転位置センサ異常時は交流回転機の巻線を短絡させるような電圧を供給し、交流回転機の検出電流に基づいて交流回転機の回転位置を推定し、該回転位置に基づいて交流回転機を制御する構成において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルク或いは過電流を解消する。

ここで、初期回転位置推定電力発生器25が推定用ゲート信号Geを出力し、初期回転位置推定手段26が初期推定回転位置θe0を演算する手法について説明する。 該手法には特許第3636340公報に記載される公知の手法を用いるとよい。 初期回転位置推定電力発生器25は異常判定信号が異常を示した場合に電力変換器14bの半導体スイッチ38〜43を全てオンさせることにより交流回転機1の全相の固定子巻線を短絡させる。 即ち、初期回転位置推定電力発生器25は交流回転機を短絡させる電力を、電力供給手段10bを介して交流回転機1に供給する。 また、初期回転位置推定手段26は交流回転機1の全相の固定子巻線を短絡させた後、所定時間t0経過後の誘起電圧により流れる三相検出電流iuvwに基づいて交流回転機1の回転速度、及び初期推定回転位置θe0を算出することができる。 このように、初期回転位置推定手段26は交流回転機の巻線を短絡させるような回転位置推定電力である電圧を印加し、この時の交流回転機の検出電流に基づいて初期推定回転位置θe0を算出する。 尚、初期回転位置推定手段26は、特許第3636340公報に記載されるような公知の手法によって初期推定回転位置θe0を演算したが、これに限定されず、その他の手法により交流回転機の巻線が短絡した場合の交流回転機の電圧と電流の関係に基づいて初期推定回転位置θe0を演算してもよい。

続いて、上記構成にて電流制限手段6b、及び電力制限手段28が交流回転機の駆動電力を制限する手法について説明する。 電力制限手段28は上述の通り、異常判定信号が異常を示してから、所定時間Δt120が経過するまでの期間は駆動用ゲート信号Gdを遮断し、推定用ゲート信号Geを出力する。 その後、推定用ゲート信号Geを遮断し、駆動用ゲート信号Gdを出力する。ここで、初期回転位置推定手段26は所定時間t0経過後の三相検出電流iuvwに基づいて初期推定回転位置θe0を算出するので、即ち、所定時間Δt120は異常判定信号が異常を示してから、初期回転位置推定電力発生器25が交流回転機を短絡させる電力を供給し、所定時間t0経過するまでの既知の時間である。 また、電流制限手段6bは本発明の実施の形態1における電流制限手段6と同様の手法によってd−q軸上の電流指令idq1*を制限すればよい。 初期回転位置推定手段26が算出する初期推定回転位置θeは原理上、推定精度が限られる。 換言すると、初期推定回転位置θeと実際の回転位置の誤差は所定誤差Δθ0以下であり、原理上、所定誤差Δθ0は90度以下の値となる。 従って、回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差は初めから90度以下であり、所定誤差Δθ0以下である。 即ち、回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下に収まるために十分な時間が経過した時刻であるt2を初期回転位置推定手段26が初期推定回転位置θeを算出する時刻とし、所定時間Δt12は所定時間Δt120と同じ値に設定すればよい。

以上のように、電流制限手段6b及び電力制限手段28を備えた交流回転機の制御装置によると、交流回転機の巻線の巻線を短絡させるような電圧を供給し、交流回転機の検出電流に基づいて推定回転位置θeを算出する場合であっても、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10bが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。 また、回転位置推定手段が算出する推定回転位置θeの初期値、即ちセンサレス制御切り替え直後に使用する値を算出する初期推定回転位置推定手段を備えたであっても、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10aが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。

即ち、本発明の実施の形態3における交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としており、前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、前記回転位置取得推定電力は前記交流回転機の巻線を短絡させる電圧であり、前記回転位置推定手段は前記検出電流に基づいて前記推定回転位置を算出するように構成しているため、短い時間で誤差の小さい回転位置を初期回転推定手段が算出するため、逆トルクを解消、或いは過電流を防止するために駆動電力を制限する時間を短く設定することが可能となり、より早く交流回転機が所望のトルクを出力することができる。

尚、本実施の形態3では、時刻t2は回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下である所定誤差Δθ0に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから誤差90度以内である所定誤差Δθ0に収束させる時間)より構成したが、時刻t2を回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が所定誤差Δθ0より小さい任意の所定誤差以下に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから所定誤差Δθ0より小さい任意の所定誤差以内に収束させる時間)より構成してもよい。この場合、時刻t2は初期回転位置推定手段26が初期推定回転位置θeを算出した時刻から、回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が所定誤差Δθ0の状態から任意の所定誤差に収束するために必要な最長時間経過した時刻として、回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの誤差が任意の所定誤差まで低下する時間を予め測定、あるいは算出することにより時刻t2、及び所定時間Δt12を定めておけばよい。

実施の形態4. 実施の形態3では、初期回転位置推定手段26は交流回転機1の巻線を短絡させるような電圧を供給した際の、交流回転機の検出電流に基づいて初期推定回転位置θe0を算出したが、交流回転機の回転速度が低い場合は、交流回転機の誘起電圧が小さくなるため、原理上回転位置の推定精度が低下する。 そこで、本実施の形態4では、交流回転機に磁気飽和するような電圧を供給した場合の、交流回転機に供給する電圧と電流の関係に基づいて、交流回転機の回転速度が低い場合に精度の高い初期推定回転位置θe0を算出することができる公知の回転位置推定手段(例えば、特許第4271397号公報に記載)を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。

図12は本発明の実施の形態4における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図であり、実施の形態1乃至3と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 電流制限手段6cは電流制限手段6bと同様にd−q軸上の電流指令idq1*をd−q軸電流制限値idqlimによって制限し、d−q軸上の電流指令idq2*として出力する。 d−q軸電流制限値idqlimの設定する手法については後述する。

次に電力供給手段10cを構成する電流検出器15cは初期回転位置推定電力発生器25cが出力するトリガ信号Trの立ち上がりタイミングで交流回転機1の各相の電流を検出し、座標変換器13、初期回転位置推定手段26cに出力する。 電力制限手段28cは、本発明の実施の形態3における電力制限手段28と同様に駆動用ゲート信号Gdを制限することによって、回転位置センサ2が異常となり、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する際の逆トルクを解消し、過電流を防止する。 具体的には、異常判定信号が異常を示してから、初期回転位置推定手段26cが初期推定回転位置θe0を算出するまでの所定時間Δt120は駆動用ゲート信号Gdを遮断し、推定用ゲート信号Geを出力する。 その後、推定用ゲート信号Geを遮断し、駆動用ゲート信号Gdを出力する。 初期回転位置推定電力発生器25cは異常判定信号が異常を示した場合に初期回転位置推定手段26cが回転位置を推定するための電圧ベクトル指令Vに応じた推定用ゲート信号Geを電力供給手段10cに出力するとともに、電力供給手段10cにトリガ信号Trを出力する。 初期回転位置推定手段26は三相検出電流iuvwに基づいて初期推定回転位置θe0を演算し、回転位置推定手段9bに出力する。

以上のような構成によって、該交流回転機の制御装置は回転位置センサ異常時は交流回転機に磁気飽和するような電圧を供給した場合の、交流回転機に供給する電圧と電流の関係に基づいて交流回転機の回転位置を推定し、該回転位置に基づいて交流回転機を制御する構成において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルク或いは過電流を解消する。 ここで、初期回転位置推定電力発生器25cが推定用ゲート信号Geを出力し、初期回転位置推定手段26cが初期推定回転位置θe0を演算する手法について説明する。 該手法には特許第4271397公報に記載される公知の手法を用いるとよい。 前述の通り、初期回転位置推定電力発生器25は異常判定信号が異常を示した場合に電圧ベクトル指令Vに応じた推定用ゲート信号Geを電力供給手段10cに出力する。

ここで、電圧ベクトル指令Vは、9つのスイッチングモード「0」〜「8」を有しており、各スイッチングモード「0」〜「8」は、オンするIGBTQ1〜Q6の組み合わせによって、つぎのように定義され、出力する推定用ゲート信号Geと対応している。 スイッチングモード : オンするIGBTQ1〜Q6の組み合わせ 「0」 : なし 「1」 : Q1、Q5、Q6 「2」 : Q1、Q2、Q6 「3」 : Q4、Q2、Q6 「4」 : Q4、Q2、Q3 「5」 : Q4、Q5、Q3 「6」 : Q1、Q5、Q3 「7」 : Q1、Q2、Q3 「8」 : Q4、Q5、Q6 各スイッチングモード「1」〜「8」にそれぞれ対応する電圧ベクトルV1〜V8は、それぞれ60度ずつの位相差をもち、大きさが等しい電圧ベクトルとなる。

初期回転位置推定電力発生器25は公知の手法によって、磁気飽和しない範囲の十分短い時間所定の電圧ベクトルVに対応する所定の推定用ゲート信号Geを順次電力制限手段28に、各電圧ベクトルの印加終了後にトリガ信号Trを電流検出器15cに出力し、電流検出器15cがトリガ信号Trの立ち上がりタイミングで三相検出電流iuvwをサンプリングし、初期回転位置推定手段26cに出力することによって、初期回転位置推定手段26cは三相検出電流iuvwに基づいて0〜180度までの間の回転位置を算出する。さらに、三相検出電流iuvwに応じた電圧ベクトルを、磁気飽和させる印加時間をもって印加し、その電圧ベクトルの絶対値の大小関係を用いて180度の回転位置関係を判定することにより、全角にわたって一意に回転位置を特定した初期推定回転位置θe0を算出する。 尚、初期回転位置推定手段26cは、特許第4271397号公報に記載されるような公知の手法によって初期推定回転位置θe0を演算したが、これに限定されず、その他の手法により交流回転機に磁気飽和するような電圧を供給した場合の、交流回転機に供給する電圧と電流の関係に基づいて初期推定回転位置θe0を演算してもよい。

続いて、上記構成にて電流制限手段6c、及び電力制限手段28が交流回転機の駆動電力を制限する手法について説明する。 電力制限手段28cは上述の通り、異常判定信号が異常を示してから、所定時間Δt120が経過するまでの期間は駆動用ゲート信号Gdを遮断し、推定用ゲート信号Geを出力する。その後、推定用ゲート信号Geを遮断し、駆動用ゲート信号Gdを出力する。 ここで、初期回転位置推定手段26cは所定のタイミングで所定の電圧ベクトル指令Vを印加し、所定のタイミングでサンプリングした三相検出電流iuvwに基づいて初期推定回転位置θe0を算出するので、即ち、所定時間Δt120は異常判定信号が異常を示してから、初期回転位置推定手段26cが初期推定回転位置θe0を算出するまでの既知の時間である。 また、電流制限手段6bは本発明の実施の形態3における電流制限手段6bと同様の手法によってd−q軸上の電流指令idq1*を制限すればよい。初期回転位置推定手段26cが算出する初期推定回転位置θeは原理上、推定精度が限られる。換言すると、初期推定回転位置θeと実際の回転位置の誤差は所定誤差Δθ0以下であり、原理上、所定誤差Δθ0は90度以下の値となる。 従って、回転位置推定手段9cが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差は初めから90度以下であり、所定誤差Δθ0以下である。即ち、回転位置推定手段9cが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下に収まるために十分な時間が経過した時刻であるt2を初期回転位置推定手段26cが初期推定回転位置θe0を算出する時刻とし、所定時間Δt12は所定時間Δt120と同じ値に設定すればよい。

以上のように、電流制限手段6c及び電力制限手段28cを備えた交流回転機の制御装置によると、交流回転機に磁気飽和するような電圧を供給し、交流回転機に供給する電圧と電流の関係に基づいて推定回転位置θeを算出する場合であっても、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10cが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。

即ち、本発明の実施の形態4における交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としており、前記交流回転機の検出電流を取得する電流検出手段を備え、前記電力制限手段は前記交流回転機の巻線が磁気飽和するような回転位置推定電力を供給し、前記回転位置推定電力は前記交流回転機の巻線が磁気飽和するような電力であり、前記回転位置推定手段は前記交流回転機の電圧と電流の関係に基づいて前記推定回転位置を算出するように構成しているため、交流回転機の回転速度が低い場合であっても、短い時間で誤差の小さい回転位置を初期回転推定手段が算出するため、逆トルクを解消、或いは過電流を防止するために駆動電力を制限する時間を短く設定することが可能となり、より早く交流回転機が所望のトルクを出力することができる。

尚、本実施の形態4では、時刻t2は回転位置推定手段9cが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下である所定誤差Δθ0に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから誤差90度以内である所定誤差Δθ0に収束させる時間)より構成したが、時刻t2を回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が所定誤差Δθ0より小さい任意の所定誤差以下に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから所定誤差Δθ0より小さい任意の所定誤差以内に収束させる時間)より構成してもよい。この場合、時刻t2は初期回転位置推定手段26cが初期推定回転位置θeを算出した時刻から、回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が所定誤差Δθ0の状態から任意の所定誤差に収束するために必要な最長時間経過した時刻として、回転位置推定手段9bが算出する推定回転位置θeの誤差が任意の所定誤差まで低下する時間を予め測定、あるいは算出することにより時刻t2、及び所定時間Δt12を定めておけばよい。

実施の形態5. 実施の形態1では、回転位置推定手段9は交流回転機1に高周波電流を供給した際の出力トルクTmに対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出したが、交流回転機の回転速度がd−q軸上の高周波電流Aidqの周波数よりも大きくなるような場合は、回転位置の推定精度が低下する。 そこで、本実施の形態4では、交流回転機の回転速度が低い場合には交流回転機1に高周波電流を供給した際の出力トルクTmに対する応答に基づいて算出する推定回転位置θe出力し、回転速度が高い場合には高回転時に精度が高い推定回転位置を算出することが可能な他の手法により算出する推定回転位置θeを出力するような交流回転機の制御装置交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。

即ち、複数の手法により回転位置を推定する回転位置推定手段を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。 図13は本発明の実施の形態5における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図であり、実施の形態1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 電流制限手段6dは電流制限手段6と同様にd−q軸上の電流指令idq1*をd−q軸電流制限値idqlimによって制限し、d−q軸上の電流指令idq2*として出力する。 d−q軸電流制限値idqlimの設定する手法については後述する。

次に図14に示す回転位置推定手段9bの内部構成について説明する。 推定誤差制御手段18dは本発明の実施の形態1における推定誤差制御手段18と同様に推定回転位置を演算し、第一の推定回転位置θe1として出力する。 誘起電圧推定手段29は、電力供給手段10が出力したd−q軸上の電圧指令vdq*と、d−q軸上の検出電流idqに基づいて、適応オブザーバおよび積分器を用いた公知の方法(例えば、特許第4672236号公報に記載)によって、交流回転機1が発生させる誘起電圧を推定し、第2の推定回転位置θe2を演算する。 ここで、回転速度が高いほど交流回転機の誘起電圧は大きな値となるので電圧誤差に対する誘起電圧への影響が小さくなる。 従って、誘起電圧推定手段29が算出する第2の推定回転位置θe2は回転速度が高い場合に高い精度を持つ。

位置切換器30は、推定誤差制御手段18dが出力した第1の推定回転位置θe1と、誘起電圧推定手段29が出力した第2の推定回転位置θe2と、後述する速度推定器31が出力した推定回転速度weと、に基づいて、推定回転位置θeを出力する。 すなわち、位置切換器30は、推定回転速度weが所定値未満の場合には、第1の推定回転位置θe1を選択し、推定回転速度weが所定値以上の場合には、第2の推定回転位置θe2を選択し、選択した回転位置を推定回転位置θeとして出力する。 なお、この所定値は、第1の推定回転位置θe1及び第2の推定回転位置θe2の回転速度に対する精度を勘案し、あらかじめ規定しておけばよい。 速度推定器31は、位置切換器30が出力した推定回転位置θeを微分することにより、交流回転機1の推定回転速度weを演算し、位置切換器30に出力する。

以上のような構成によって、該交流回転機の制御装置は回転位置センサ異常時は複数の手法により交流回転機の回転位置を推定し、該回転位置に基づいて交流回転機を制御する構成において、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルク或いは過電流を解消する。 尚、誘起電圧推定手段29は、適応オブザーバおよび積分器を用いた特許第4672236号公報に記載されるような公知の手法によって第2の推定回転位置θe2を演算したが、これに限定されず、その他の手法により誘起電圧推定に基づいて、第2の推定回転位置θe2を演算してもよい。

続いて、上記構成にて電流制限手段6dが交流回転機の駆動電力を制限する手法について説明する。 電流制限手段6dは本発明の実施の形態1における電流制限手段6と同様の手法によって、d−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、センサレス制御移行時の逆トルクを解消し、過電流を防止することができる。 本実施の形態5おける交流回転機の制御装置の場合、数(10)における(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)は、本発明の実施の形態1における電流制限手段6と同様に、電力供給手段10によってd−q軸上の高周波電流Aidqを交流回転機1に供給し、それに応じた交流回転機1の出力トルクをトルク検出手段7で検出し、回転位置推定手段9dにおける推定誤差制御手段18dが第1の推定回転位置θe1を算出するまでの最長時間に設定するとよい。 また、(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる最長時間)に回転位置推定手段9dにおける推定誤差制御手段18dにより算出される第1の推定回転位置θe1の誤差が90度まで低下するまでの最長時間と、回転位置推定手段9dにおける誘起電圧推定手段29により算出される第2の推定回転位置θe2の誤差が90度まで低下するまでの最長時間のうち長い時間を設定するとよい。

ここで、誘起電圧推定手段29により算出される第2の推定回転位置θe2の誤差が90度まで低下するまでの最長時間は誘起電圧推定手段29を構成する適応オブザーバ、積分器の収束特性に応じて、第2の推定回転位置θe2の演算を開始する時の第2の推定回転位置θe2と実際の交流回転機の回転位置誤差が180度である最悪のケースを想定して、第2の推定回転位置θe2の誤差が90度まで低下する時間を予め測定、あるいは算出しておけばよい。 さらに、最長時間として、交流回転機に印加する電圧が交流回転機に供給される電源電圧に対して飽和するような場合を想定した値に設定してもよい。

以上のように、電流制限手段6dを備えた交流回転機の制御装置によると、複数の手法により交流回転機の推定回転位置θeを算出する場合であっても、交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10cが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。

実施の形態6. 実施の形態1では、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimは時刻t1から所定時間Δt12経過するまで零に設定することによって、センサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止するようにしたが、センサレス制御移行時の逆トルクが用途上問題とならないような交流回転機の制御装置の場合、交流回転機の誘起電圧が所定値以下、即ち交流回転機の回転速度が所定値以下となるまで零に設定することによって、過電流を防止するようにしてもよい。 そこで、本実施の形態4では、d−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを誘起電圧が所定値以下、即ち交流回転機の回転速度が所定値以下となるまで零に設定するような電流制限手段を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の過電流を防止する手法について説明する。 図15は本発明の実施の形態6における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図であり、実施の形態1乃至5と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 電流制限手段6eは異常判定信号が異常を示す場合に、回転位置推定手段9eが出力する推定回転速度weに基づいてd−q軸上の電流指令idq1*をd−q軸電流制限値idqlimによって制限し、d−q軸上の電流指令idq2*として出力する。 d−q軸電流制限値idqlimの設定する手法については後述する。

次に図16に示す回転位置推定手段9eの内部構成について説明する。 回転位置推定手段9eは回転位置推定手段9dと速度推定器31eが推定速度weを回転位置推定手段9eの外部に出力するという点でのみ回転位置推定手段9dと異なる。

以上のような構成によって、該交流回転機の制御装置は交流回転機の誘起電圧に基づいて交流回転機の駆動電力であるd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサに異常が発生し、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の過電流を防止する。

続いて、上記構成にて電流制限手段6eが推定回転速度weに基づいて交流回転機の駆動電力を制限する手法について説明する。 過電流は制御角と実際の回転位置の誤差が大きく、交流回転機の電流が大きく、交流回転機の誘起電圧が大きい場合、換言すると回転速度が大きい場合に発生する。 従って、過電流とならないような交流回転機の誘起電圧の最大値、即ち回転位置の誤差が最大でありd−q軸上の電流指令idq1*が最大である場合に、過電流とならないような回転速度の最大値である所定値を予め算出し、異常判定信号が正常から異常に切り換わる時刻をt1から推定回転速度weが所定値以上である場合に限ってd−q軸電流制限値idqlimを零とし、推定回転速度weが所定値以下となった場合にd−q軸電流制限値idqlimを時間と共に次第に増加するような構成とすればよい。 ただし、誘起電圧が所定値以下となる前に推定回転位置θeの誤差が90度以下に収まるために十分な時間である本発明の実施の形態1に示す所定時間Δt12が先に経過することも考えられる。従って、時刻t1から交流回転機の誘起電圧が所定値以上であり、かつ所定時間Δt12はd−q軸電流制限値idqlimを零に設定し、交流回転機の誘起電圧が所定値以下であるか、或いは所定時間Δt12が経過した場合にd−q軸電流制限値idqlimを時間と共に次第に増加するようにしてもよく、過電流を防止するためのd−q軸電流制限値idqlimを零とする時間を必要最小限とすることができる。

以上のように、電流制限手段6eを備えた交流回転機の制御装置によると、交流回転機の誘起電圧に基づいて交流回転機の駆動電力を制限することによって、回転位置センサに異常が発生し、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の過電流を防止することができる。 即ち、本発明の実施の形態6における交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限することを特徴としている。 そのため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することができるといった従来にない顕著な効果を奏する。

尚、本実施の形態6では、センサ異常判定手段3は回転位置信号に基づき、回転位置センサ2の異常を検出し、異常が予め設定された所定時間継続して検出された場合に回転位置センサ2を異常と判定するようにしたが、回転位置信号に基づき、回転位置センサの異常を検出した場合に即座に回転位置センサ2を異常と判定する構成としてもよい。 即ち、該交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常を判定するセンサ異常判定手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記交流回転機の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常と判定してから少なくとも前記交流回転機の前記誘起電圧が所定値以下となるまで前記駆動電力を制限することを特徴としており、この場合も本実施の形態6における交流回転機の制御装置と同様に、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することができるといった従来にない顕著な効果を奏する。

実施の形態7. 実施の形態1では、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimは時刻t1から所定時間Δt12経過するまで零に設定することによって、センサレス制御に切り換わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止するようにした。 交流回転機の回転速度に基づいて所望の回転速度指令と回転速度の偏差が零となるような交流回転機の駆動電力を算出するような構成の場合、推定回転位置が回転位置と90度以上の誤差である時に算出される駆動電力は所望の駆動電力と逆符号となり収束せず、逆トルクが継続される結果となる。 従って、このような場合に駆動電力を制限することによって、逆トルクを解消することは、逆トルクを継続する要因である正帰還を断ち切ることとなり、さらなる効果を有する。 そこで、本実施の形態7では、推定回転速度に基づいて交流回転機の駆動電流を算出する駆動電流演算手段を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止する手法について説明する。

図17は本発明の実施の形態7における交流回転機の制御装置の全体構成を示す図であり、実施の形態1乃至6と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 回転速度演算手段32は制御角θcを微分し、制御速度wcとして駆動電流演算手段33に出力する。 即ち、異常判定信号が正常を示している場合は、制御速度wcは回転位置センサ2が出力する回転位置信号に基づく速度であり、異常判定信号が異常を示している場合は、回転位置推定手段9が出力する推定回転位置θeに基づく推定速度であり、制御速度wcは交流回転機1の回転速度を表す。 駆動電流演算手段33は回転速度指令w*と制御速度wcに基づいて、制御速度wcが回転速度指令w*と一致するようなd−q軸上の電流指令idq1*を算出する。 具体的には、回転速度指令w*と制御速度wcの偏差に所定のゲインを乗算し、積分した値をd−q軸上の電流指令idq1*とする公知の積分制御を適用する。 尚、制御速度wcが回転速度指令w*と一致するようなd−q軸上の電流指令idq1*の演算に他の手法を適用してもよい。

以上のように、推定回転速度に基づいて交流回転機の駆動電流を算出する駆動電流演算手段を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消し、或いは過電流を防止することができる。 ここで、センサレス制御に切り替わった直度に、推定回転位置と交流回転機の実際の回転位置との誤差が90度以上である場合、駆動電流演算手段によって算出されたd−q軸上の電流指令idq1*は実際の交流回転機のd−q軸に対して所望の方向と逆方向に供給され、逆トルクが生じる。 即ち、制御速度wcは回転速度指令w*と逆方向となり、回転速度指令w*と制御速度wcの偏差は大きくなる。 その結果、駆動電流演算手段33が演算するd−q軸上の電流指令idq1*はさらに大きな値となり、逆トルクがさらに増幅する。 以下同様に、逆トルクが大きくなることによって回転速度指令w*と制御速度wcの偏差はより大きく、逆トルクはより増大するといった負の連鎖が生じる。 従って、推定回転速度に基づいて交流回転機の駆動電流を算出する駆動電流演算手段を備えた交流回転機の制御装置において、センサレス制御に切り替わる時の逆トルクを解消することは、センサレス制御に切り替わった直度に、推定回転位置と交流回転機の実際の回転位置との誤差が90度以上である場合の、駆動電流演算手段33による逆トルクの増幅を解消することができ、より顕著な効果を有する。

本発明の実施の形態7における交流回転機の制御装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備え、前記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としており、前記交流回転機の制御装置は前記駆動電力を算出する駆動電力演算手段と、前記交流回転機の回転速度を算出する回転速度演算手段を備え、前記駆動電力演算手段は前記回転速度に基づいて前記駆動電力を算出するよう構成しており、センサレス制御に切り替わった直度に、推定回転位置と交流回転機の実際の回転位置との誤差が90度以上である場合、駆動電流演算手段により交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクはさらに増幅されるため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消し、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することは、より顕著な効果を奏する。

尚、本実施の形態7では、推定回転速度に基づいて交流回転機の駆動電流を算出する駆動電流演算手段を備えた構成としたが、回転速度に応じた他の状態量に基づいて駆動電流を算出するように構成してもよい。 即ち、駆動電力演算手段は前記交流回転機の回転速度に応じた状態量に基づいて前記駆動電力を算出するよう構成してもよく、同様の効果を得ることができる。 例えば、交流回転機1の出力トルクをギア・伝達軸を介して負荷装置に伝達するような構成において、負荷装置側の回転速度wLを検出し、駆動電流演算手段は回転速度指令wL*と回転速度wLに基づいて、回転速度wLが回転速度指令wL*と一致するようなd−q軸上の電流指令idq1*を算出する構成としてもよい。

実施の形態8. 前記実施の形態では交流回転機の制御装置について説明したが、該交流回転機の制御装置によって操舵トルクを補助するトルクを発生させるようにして電動パワーステアリング装置を構成するようにしてもよい。 電動パワーステアリング装置は、その用途から高い安全性・信頼性が要求される。 近年、電動パワーステアリング装置が備える交流回転機の高出力化が進み、小型・中型車両のみならず、重量の大きい大型車両においても電動パワーステアリング装置の搭載が促進されており、電動パワーステアリング装置の交流回転機の出力トルクは増大傾向にある。 大型車両に搭載された電動パワーステアリング装置において交流回転機が急停止したり、或いは高出力の交流回転機を搭載した場合において所望の補助トルクと逆方向に作用する逆トルクとなった場合、そのトルクが大きいために運転者の違和感はさらに増大し、その機能性は著しく低下する。

さらに、一般的な電動パワーステアリング装置の場合、交流回転機の補助トルクは、その方向は操舵トルクと同一であり、運転者の操舵トルクが大きいほど大きくなるので、運転者がハンドルを切り増している場合にこのような逆トルクが発生した場合、逆トルクにより運転者のハンドルを切り増すための操舵トルクはさらに増大し、その結果さらに補助トルクが大きくなるため、逆トルクが増大して運転者が違和感を覚えるような状態が継続されるという負の連鎖を生む。 従って、回転位置センサに異常が発生し、推定回転位置によって交流回転機を制御するセンサレス制御へ移行する時の逆トルクを軽減する、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止して交流回転機の駆動を継続する実施の形態1に示した交流回転機の制御装置を電動パワーステアリング装置に適用した場合、その効果はより顕著なものとなる。

図18は本発明の実施の形態8における電動パワーステアリング装置の全体構成を示す図であり、前記実施の形態1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。 運転手は、ハンドル34を左右に回転させて前輪35の操舵を行う。 ギア36は交流回転機1の出力トルクを伝達軸37に伝達する。 伝達軸37は伝達された交流回転機1の出力トルクをハンドル34及び前輪35に伝達し、運転者の操舵を補助する。 トルク検出手段7fはハンドル34とギア36の間の伝達軸37に作用する軸トルクを出力トルクTmとして検出し、出力トルクTmを回転位置推定手段9f、駆動電流演算手段33fに出力する。

駆動電流演算手段33fは出力トルクTmに基づいて、運転者の操舵を補助するような交流回転機1に供給されるd−q軸上の電流指令idq1*を算出する。 図19に回転位置推定手段9fの内部構成を示す。 回転位置推定手段9fの推定誤差演算手段17fにおける位置誤差推定器21fは積分器20が出力する前記積分値Zdを前記積分値Zqで除算したものの逆正接より演算した位置から所定値θ0を減算し、回転位置推定誤差Δθとして出力する。 回転位置推定手段9fは本発明の実施の形態1における回転位置推定手段9と所定値θ0を減算するという点でのみ異なる。 ここで、前記実施の形態1における交流回転機の制御装置では、トルク検出手段7は交流回転機1の出力軸上で直接出力トルクを検出していたが、本実施の形態3における電動パワーステアリング装置の構成によると、トルク検出手段7fが検出する出力トルクは交流回転機の出力軸上のトルクとトルクの周波数に依存した所定の位相差が存在するといった問題がある。 従って、位置誤差推定器21fにおいて該位相差に相当する所定値θ0として減算することによって、該位相差を加味した推定回転位置θeを算出している。 尚、電力供給手段10において重畳する前記d−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの周波数は運転手の操舵トルクThの周波数よりも十分高い所定値とする。

このような構成によって、回転位置推定手段9fはトルク検出手段7fが検出する出力トルクTmに基づいて回転位置θを算出することが可能となり、電動パワーステアリング装置は位置センサを用いることなく交流回転機1の全動作域で安定した運転手の操舵補助を行うことができる。

以下に上記構成にて回転位置推定手段9fにおける推定誤差演算手段17fが回転位置推定誤差Δθを算出する原理を説明する。 図20は、交流回転機1、ハンドル34、伝達軸37に加わるトルクの関係を機械的に等価な構造によって表したものであり、図におけるJm、Jhはそれぞれ交流回転機1、ハンドル34の慣性モーメントを、C、Kは伝達軸37の減衰係数、バネ定数を、Tm0、Thはそれぞれ交流回転機1の出力軸上の交流回転機1の出力トルク、運転者の操舵トルクを、Gはギア36のギア比を表す。 図が示すように、出力トルクTm、Tm0、操舵トルクThの関係は数11となる。

ここで、電力供給手段10aにて重畳するd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの周波数は操舵トルクThの周波数よりも十分高い値であるので、出力トルクTm0の角周波数wh成分を出力トルク高周波Tmhf0として、数11を角周波数wh成分についてのみ表すと数12となる。

数12におけるG、Jm、C、Kはギア36、交流回転機1、伝達軸37の機械的特性を表す定数であるので、出力トルク高周波Tmhf0とTmhfの位相差はd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの周波数のみに依存することが判る。 ここで、d−q軸上の高周波電流Aid、Aiqの周波数は所定値であるので、出力トルク高周波Tmhf0とTmhfは所定の位相差θ0となる。 つまり、交流回転機1の出力軸、即ち交流回転機1の実際のd−q軸を表す前記出力トルク高周波Tmhf0とトルク検出手段7fが検出する出力トルクTmの高周波成分である高周波出力トルクTmhf、及びd−q軸上の高周波電流Aid、Aiqが供給される推定d−q軸との位相関係は図21のように表すことができる。 従って、推定誤差演算手段17fにおける位置誤差推定器21fでは、まず前記実施の形態における位置誤差推定器21と同様の手法によって、高周波出力トルクTmhfと前記q軸上の高周波電流Aiqとの位相差を演算し、所定の位相差θ0を減算することによって実際のd−q軸と推定d−q軸との位相差である回転位置推定誤差Δθを得ることができる。

このように、トルク検出手段7fが検出する出力トルクが交流回転機1の出力軸上の出力トルクと所定の位相差がある場合であっても、回転位置推定手段9fは位置誤差推定器21により積分器20の出力それぞれの関係から逆正接関数により算出した位置に所定の位相差を減算することによって回転位置推定誤差Δθを算出することができ、推定回転位置θeを算出することが可能となる。

続いて、駆動電流演算手段33fが、運転者の操舵を補助するような交流回転機1に供給されるd−q軸上の電流指令idq1*を算出する方法について説明する。 一般的な電動パワーステアリング装置では運転者の操舵トルクが大きいほど、交流回転機1の補助トルクが大きくなるように設定される。 即ち、運転者の操舵トルクThは数13に示すように表すことができる。 ここで、数13における、Kaは電動パワーステアリング装置に要求される補助トルクに基づいて設定される所定値である。

数13を数11に代入すると、数14となる。

即ち、トルク検出手段7fが出力する出力トルクTmは操舵トルクThと相関のある値とみなすことができる。 従って、駆動電流演算手段33は交流回転機1の出力トルクが数15となるように、数16に示すようなd−q軸上の電流指令idq1*を算出する。 ここで、数15におけるKa’はKaと電動パワーステアリング装置に要求される補助トルクに基づいて設定される所定値であり、数16におけるKtは交流回転機1のトルク定数を表す。

このように、駆動電流演算手段33fは、交流回転機1の出力トルクが、方向は操舵トルクと同一であり、運転者の操舵トルクが大きいほど大きくなるような、電動パワーステアリング装置に適したd−q軸上の電流指令idq1*を算出することができる。 また、電流制限手段6は実施の形態1における電流制限手段6と同様の構成によって、d−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、センサレス制御移行時の逆トルクを解消し、過電流を防止することができる。 d−q軸電流制限値idqlimは、時間と共に次第に増加するように設定され、最終的には定格電流に到達する。 従って、交流回転機1のトルク急変が発生することはなく、トルク急変による交流回転機の負荷装置への衝撃、交流回転機1及び負荷装置の共振、ハンチングといった問題を防ぐことができる。 ただし、その傾きが緩やかな場合、交流回転機1に本来要求されるトルクへの復帰が遅れるため、傾きは交流回転機1の用途に応じて設計するとよい。

このように、該電流制限手段6によると、d−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10aが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを軽減し、或いは過電流を防止することができる。 つまり、電流制限手段6によってd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生し、電力供給手段10aが推定回転位置θeによって交流回転機に電力を供給するセンサレス制御に切り換わる時の逆トルクを軽減し、或いは過電流を防止した電動パワーステアリング装置を得ることが可能である。

即ち、本実施の形態8における電動パワーステアリング装置は、交流回転機と、前記交流回転機の回転位置を検出する回転位置センサと、前記回転位置センサの異常が所定の判定時間継続して検出された場合に前記回転位置センサを異常と判定するセンサ異常検出手段と、前記回転位置センサが異常と判定された場合に前記交流回転機の推定回転位置を算出する回転位置推定手段と、前記交流回転機を駆動するために供給する駆動電力を制限する電力制限手段と、前記センサ異常判定手段が前記回転位置センサを異常と判定している場合には前記推定回転位置に基づいて、前記電力制限手段に制限された前記駆動電力に前記回転位置推定手段が回転位置を推定するために供給する回転位置推定電力を加えた電力を前記交流回転機に供給する電力供給手段と、を備えた交流回転機の制御装置により構成され、記電力制限手段は前記センサ異常判定手段が異常を検出してから異常と判定するまでに前記駆動電力の制限を開始し、少なくとも前記推定回転位置の推定誤差が所定範囲内に収まるための所定時間、前記駆動電力を制限することを特徴としている。

電動パワーステアリング装置では、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクは運転者に違和感を与え、その機能性を著しく低下させるため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消することができ、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することはより顕著な効果を奏する。 さらに、前記電力制限手段は交流回転機に供給される電流が零となるように前記駆動電力を制限するよう構成したので、誤差の大きな推定位置と大きな電流による逆トルクおよび過電流となるような大電流を最小限に抑制することができる。

さらに、電動パワーステアリング装置の場合、交流回転機1が出力するトルクは数15に示すように、その方向は操舵トルクと同一であり、運転者の操舵トルクが大きいほど大きくなるように設定されるので、運転者がハンドル34を切り増している場合にこのような逆トルクが発生した場合、逆トルクにより運転者のハンドル34を切り増すための操舵トルクはさらに増幅し、その結果さらに補助トルクが大きくなるため、逆トルクが増大して運転者が違和感が大きくなり、その状態が継続されるという負の連鎖を生む。 電流制御手段6によって、逆トルクを軽減するようにd−q軸上の電流指令idq1*を制限した場合、その効果はより顕著なものとなる。

即ち、該電動パワーステアリング装置は、前記駆動電力を算出する駆動電力演算手段を備えた前記交流回転機の制御装置と、ハンドルに加えられた操舵トルクを検出するトルク検出手段を備え、前記駆動電力演算手段は前記交流回転機の出力トルクに応じた状態量である前記操舵トルクに基づいて、前記駆動電力を算出するよう構成しており、センサレス制御に切り替わった直度に、推定回転位置と交流回転機の実際の回転位置との誤差が90度以上である場合、駆動電流演算手段により交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクはさらに増幅されるため、異常発生前後で交流回転機に同様に求められるトルクの大きさを敢えて減少させながらも、その減少させる期間を最短にしつつ、交流回転機の所望のトルクとは逆方向に作用する逆トルクを解消し、或いは過電流による交流回転機、及び交流回転機の駆動回路の故障を防止することは、より顕著な効果を奏する。

さらに、電動パワーステアリング装置の場合、交流回転機1の出力トルクが急増すると、加えていた操舵トルクが突然減少する。 このような操舵トルクの突然の減少が走行中に発生した場合、運転者が車両を意図した操舵する際の妨げとなり、運転者は違和感を覚える。 従って、電流制限手段6においてd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを時刻t2から時間と共に次第に増加するように設定した場合、電動パワーステアリング装置においてその効果はより顕著なものとなる。

尚、本実施の形態8では、回転位置推定手段9fは交流回転機1に高周波電流を供給した際の出力トルクTmに対する応答に基づいて推定回転位置θeを算出したが、推定回転位置θeは他の手法によって算出するようにしてもよく、その方法は問わない。 また、時刻t2は回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が90度以下に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる時間)より構成したが、時刻t2を回転位置推定手段9が算出する推定回転位置θeの実際の回転位置との誤差が任意の所定誤差以下に収まるために十分な時刻とし、所定時間Δt12を(回転位置推定を開始してから任意の所定誤差以内に収束させる時間)より構成してもよい。

交流回転機1のトルクは制御角θcの誤差が90度以下の場合はその誤差が大きくなればなるほど所望のトルクより小さくなり、誤差が90〜180度の場合はその誤差が大きくなればなるほど所望のトルクと反対方向の逆トルクが大きくなる。 従って、逆トルクのみならず、トルクの減少も許容できない場合は、許容できないトルクとなる制御角θcと実際の回転位置の誤差に応じて所定誤差を定めればよい。 また、ある程度の逆トルクが許容される場合は、許容可能な逆トルクとなる制御角θcと実際の回転位置の誤差に応じて所定誤差を定めればよい。 この場合、(回転位置推定を開始してから所定誤差以内に収束させる時間)は回転位置推定手段9fが回転位置信号に基づき推定回転位置θeの演算を開始してから推定回転位置θeと回転位置との誤差が所定誤差以内に収束するために必要な最長時間であり、回転位置推定手段9fが推定回転位置θeの演算を開始する時の推定回転位置θeと実際の交流回転機の回転位置誤差が180度である最悪のケースを想定して、推定回転位置θeの誤差が所定誤差まで低下する時間を予め測定、あるいは算出しておけばよい。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを時刻t2から時間と共に次第に増加するように設定したが、トルク急変による影響が問題とならず、トルクをできるだけ早く復帰させたいような場合はd−q軸電流制限値idqlimを時刻t2から急峻に増加するように設定してもよい。 また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを零とする所定時間Δt12を構成する(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)、及び(回転位置推定を開始してから誤差90度以内に収束させる時間)はそれぞれ取りうる最長時間を設定したが、条件に応じて該条件における最長時間を設定時間として切り替えるように構成してもよい。本実施の形態8におけるd−q軸電流制限値idqlimを零とする所定時間Δt12の場合、所定時間Δt12を構成する(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)は、例えばトルク検出手段の温度特性に応じて変動しうる。 従って、例えばトルク検出手段の温度を検出し、温度に応じて該温度における(回転位置推定電力を供給してから推定回転位置算出までの時間)の最長時間を設定時間として切り替えるとよい。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図4に示す設定としたが、図5に示すように、時刻t0からt1の間に零に制限するような設定としてもよい。 この場合、センサ異常判定手段3は回転位置センサの異常有無だけでなく、回転位置センサ2の異常検出状態、具体的には回転位置センサ2の異常検出の継続時間を出力する必要がある。このように、時刻t0からt1の間に零に制限することによって、回転位置センサ2に異常が発生してから、センサ異常反転手段が回転位置センサ2を異常と判定するまでの期間の逆トルク、及び過電流を軽減することができる。 ただし、前述の通りセンサ異常判定手段3は回転位置センサ2の異常を検出しているが、実際に回転位置センサ2は異常ではない場合には、回転位置センサ2に異常がないにも関わらず、交流回転機に供給される電流が変動し、トルク変動を生むこととなる。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図6に示すように制限開始時に時間とともに次第に減少していくように設定してもよい。 電動パワーステアリング装置の場合、交流回転機1の出力トルクが急減すると、加えていた操舵トルクが突然増加する。 このような操舵トルクの突然の増加が走行中に発生した場合、運転者が車両を意図した操舵する際の妨げとなり、運転者の覚える違和感は増々大きなものとなる。 従って、電流制限手段6においてd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを時刻t2から時間と共に次第に減少するように設定した場合、電動パワーステアリング装置においてその効果はより顕著なものとなる。ただし、制御角の実際の交流回転機の回転位置に対する誤差が大きい場合は、減少させる傾きが緩やかであるほど逆トルクが大きくなる。

また、電流制限手段6におけるd−q軸上の電流指令idq1*を制限するための制限値であるd−q軸電流制限値idqlimを図7に示すように零以外の値に制限されるように設定してもよい。 例えば、センサレス制御移行時の大電流により故障に至ることがないような性能を有する交流回転機、及び交流回転機の駆動装置を備えた電動パワーステアリング装置の場合、d−q軸電流制限値idqlimの下限値を交流回転機の定格電流の10%以下に設定してもよい。 即ち、該電力制限手段は交流回転機に供給される電流が交流回転機の定格電流の10%以下となるように前記駆動電力を制限するように構成してもよい。 一般的な電動パワーステアリング装置では、前述の通り操舵トルクが増大するほど交流回転機が出力する補助トルクは増大し、操舵トルクが5Nm程度で交流回転機の定格トルクに達し、補助トルクが上限値に達する。 即ち、操舵トルク5Nmにおいて交流回転機の定格電流に相当する補助トルクが必要であるということであり、換言すると、操舵トルク5Nmは人間が快適に操舵可能な上限値であるといえる。 従って、5Nm以下の逆トルクであれば、人間は走行に支障なく意図した通りに車両を操舵すること可能であり、この値は一般的な電動パワーステアリング装置における交流回転機の定格トルクの10%以下に相当する。

センサレス制御への移行時に交流回転機に供給する電力を制限することは、その間の制御角の実際の交流回転機の回転位置に対する誤差が大きい場合は、逆トルクを低減し、過電流を防止できる一方で、制御角の誤差が小さい場合は、本来交流回転機に供給されるべき電力が制限されるため、その機能性が低下するといったトレードオフの関係を持つ。 従って、電動パワーステアリング装置において、d−q軸電流制限値idqlimの下限値を交流回転機の定格電流の10%に設定することによって、センサレス制御への移行時に、制御角の実際の交流回転機の回転位置に対する誤差が大きい場合の逆トルクを許容範囲内に抑えることができ、かつ制御角の誤差が小さい場合の、補助トルクの低下を最低限に抑えることができるという最適な機能性を得ることができる。

また、電流制限手段6によりd−q軸上の電流指令idq1*を制限することによって、交流回転機1の逆トルク及び過電流を防止するようにしたが、交流回転機に対して回転、或いは静止した任意の座標軸の電流指令を制限するようにしてもよいし、或いは交流回転機に対して静止した座標系上のU、V、W各相の電流指令をそれぞれ制限するようにしてもよく、背電流制限手段において制限する電流指令がどの座標軸のものであるかは問わない。この場合、本実施の形態1における電流制限手段6による電流指令制限手法と同様に各座標軸上の電流を制限することによって、どの座標軸上の電流指令を制限した場合であっても逆トルク及び過電流を防止することができ、同様の効果を得ることができる。ただし、回転位置推定電力は電流制限手段により制限された電流に対して加算する必要がある。

また、図18について電動パワーステアリングを例に説明したが、ハンドル34は、ハンドル以外の慣性モーメントに置き換えても良く、電動パワーステアリング以外の所謂2慣性系として知られている制御装置であっても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。

なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

1 交流回転機、2 回転位置センサ、2a 信号線、 3 センサ異常判定手段、4 回転位置演算手段、5 切換器、 6 電流制限手段、7 トルク検出手段、 8回転位置推定電力発生器、9 回転位置推定手段、 10 電力供給手段、11 高周波重畳器、12 電流制御器、 13 座標変換器、14 電力変換器、15 電流検出器、 16 バンドパスフィルタ、17 推定誤差演算手段、 18 推定誤差制御手段、19 乗算器、20 積分器、 21 位置誤差推定器、22 PI制御器、23 パルス幅変調制御器、 24 インバータ、25 初期回転位置推定電力発生器、 26 初期回転位置推定手段、27 ゲート信号生成器、 28 電力制限手段、29 誘起電圧推定手段、30 位置切換器、 31 速度推定器、32 回転速度演算手段、 33 駆動電流演算手段、34 ハンドル、35 前輪、36 ギア、 37 伝達軸、38〜43 半導体スイッチ、44 直流電圧源。

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