【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、航空機の飛行中に揺 動試験を行う方法及びとその揺動試験装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 固定翼航空機及びヘリコプター開発の試 験において、応答特性が許容制限内に確実に維持される 適切な修正がなされるために、振動加振周波数に対する胴体の動的応答特性を確認する揺動試験技術を用いることが今日行われている。 【0003】飛行揺動試験は固定翼航空機のフラッターを確認するための周知の試験方法である。 この様な方法は電気的に或は流体的に駆動される“ボルト締め”慣性装置を用いて行うことが出来、この様な方法と装置の幾つかの例が米国特許第3,074,385号、第3,55 2,192号、第4,470,121号、第4,809,5 53号明細書に記載されている。 一般的に、ヘリコプター胴体の揺動試験は地上にあるヘリコプターによって行われ、或る場合には、飛行状態に似せるようロータヘッドに取付けられた頭上支持体からヘリコプターが吊り下げられる。 この様な試験を行う1つの方法と装置は外シェーカーを取付け、不規則または正弦加振によって振動を与え 、機体における応答特性を測定することを含んでいる。 シェーカーと測定装置との位置を変えるために胴 体に接近し易いことは別の要因であるけれども、この方 法を用いる理由は主に経済的である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】この様な地上に設置した装置の欠点は、作用される力によって動的特性が変わり、特性自体に詳細な調査が要求される等の、胴体内の非線形性に主に関連している。 更に、作動中のヘリコプターにおいて、非常に高い負荷が主ロータトルクの釣り合いによって胴体の内に誘起され、地上設置試験では表<br>すことが出来ない。 同様に、重要な作動歯車箱取付負荷配分も表すことが出来ない。 これらの要因が、胴体の動 的特性の深い分析研究によりヘリコプターの作動特性を 重要視する要求を妨げていることを意味している。 【0005】従って、この発明の目的は、この様な課題を解決する航空機胴体の揺動を試験するための方法と装置を提供することにある。 この発明の別の目的は、航空機胴体の飛行中の揺動を試験するための方法と装置を提供することによって上記の目的を達成することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】従って、1つの形態に依れば、この発明は、 航空機構造体に接続され且つ構造体 の振動を減少するように構造体に制御された負荷を入力 する複数の力発生アク チュエータを備えた振動制御装置 を有する、航空機構造体の飛行中の揺動を試験する方法 において、少なくとも一つの前記アクチュエータを、振 動制御装置の制御から隔絶し、航空機構造体を加振する ために、予定された周波数で予定された負荷を航空機構 造体に入力するように、前記少なくとも一つのアクチュ エータを独立して操作し、この入力に対する航空機構造 体の振動を感知し、この振動を記録する方法を提供するものである。 【0007】 【0008】好適には、この発明の方法は、構造体の背後振動を減少し、 背後振動信号に対する応答信号の比率 を高くすることを達成できるように、前記複数のアクチ ュエータのうち、残りのアクチュエータを介して、振動 制御装置を作動し続けることができる。 【0009】 【0010】また、他の形態において、この発明は、 航 空機構造体に接続され且つ構造体の振動を減少するよう に構造体に制御された負荷を入力する複数の力発生アク チュエータを備えた振動制御装置を有する、航空機構造 体の飛行中の揺動を試験する装置において、振動制御装 置から、少なくとも1つの前記アクチュエータを、振動 制御装置の制御から隔絶し、且つ揺動を試験するため に、構造体に予定された揺動試験加振力を入力して、航 空機構造体を振動させる制御手段と、揺動試験加振力に 対する航空機構造体の振動を感知する感知手段と、この 振動を記録する記録手段とを備えた装置を提供するものである。 【0011】 制御手段は、予定された試験信号を発生す る装置と、試験信号を受けて試験信号をアクチュエータ制御信号に変えて、制御信号を隔絶されたアクチュエータに供給する電子アクチュエータ制御装置とを有することができる。 【0012】 試験信号発生装置は、予定された試験信号 が予め記録されたオーデイオテープを含むカセットテープレコーダを有することができる。 【0013】 予定された試験信号は、掃引された正弦信号とすることができる。 【0014】 感知手段は、構造体の予定された位置に設 けられた複数個の加速度計を有することができる。 【0015】 記録手段は、前記加速度計によって出力さ れる信号を記録するために接続された少なくとも1つの振動記録装置を有することができる。 【0016】電子アクチュエータ制御装置は、 アクチュ エータを選択的に作動可能、作動不能にすると共に、ア クチュエータ力基準信号を前記記録手段に供給することができる。 【0017】構造体はヘリコプター胴体から成り、歯車箱と胴体を連結する支柱にアクチュエータを設けることができる。 【0018】この発明を添付図面に沿って例により以下に詳細に説明する 。 【0019】 【実施例】新規なヘリコプターの開発の計画において、 一般的な地上振動試験技術によって従来可能であるもの以上に、胴体の動的特性の一層奥深い検討を行うことを試みるよう本出願人は決定した。 開発していく上で現れ る、部分的に困難な振動特性の調査を改善することがで きるとともに、ヘリコプターの全体特性を明らかにし、 改善することができることが議論された。 【0020】正しく負荷がかけられて、正しい、真に代 表的なロータの動的特性をもった作動環境においては、 幾つかの形の飛行中に行う揺動試験は、ヘリコプター構 造のモード識別(modal identification)を行う唯一の 解決策であることが、急速に明らかに成っている。 【0021】先に述べた様に、飛行揺動試験は固定翼航空機の必要な試験であることが知られており、固定翼航空機に使用される装置と同様な慣性加振装置(シエーカー)を用いるヘリコプターの飛行揺動試験が行われている。 併し、シエーカー誘起される応答特性は、試験中に ヘリコプターの胴体に発生する高ロータ誘起応答によって埋没してしまい 、従って、その後の分析におけるシエーカー誘起応答の確認を非常に困難なものにする 。 【0022】 ヘリコプターには、本出願人によって開発された構造応答の活動制御(ACSR)として知られる 振動減少装置が取付けられている。 構造応答の活動制御(ACSR)は英国特許第2,160,840号明細書に記載されており、主要な振動力周波数にて相対運動ができる構造体上の点の間の場所に接続された複数個の力発生アクチュエータを有している。 振動が減少されるべき 胴体の主要場所で振動応答を多数のセンサーが測定し て、その結果の信号が、コンピュータ(制御器)に送ら れて、アクチュエータに最適な信号が作用され、胴体の センサー位置で、複雑な位相と大きさの特性を有する力 を生じ、これらの場所の振動を減少させる。 アクチュエータはパルス流体の供給、好適には流体供給によって作動される。 【0023】アクチュエータの位置は有用な振動制御のために重要で、振動源により生じられる振動が伝えられる負荷通路内に好適に配置される。 このために、開発中のヘリコプターにおいて、力発生アクチュエータは、歯車箱と胴体を連結する4つの外アングル支柱部材の各々に設けられており、これら支柱部材は、主上昇操縦負荷を伝達する目的と、振動を減少するよう胴体に必要な制御力負荷をアングルが入力するよう出来る目的とを二重に有している。 【0024】この目的のために支柱部材についての別の適宜な形が欧州特許第92301331.2号(EP− A−0501658)、第92309938.6号(E P−A−0542453)明細書に記載されている。 【0025】図1を参照するに、ヘリコプター11は、 ほゞ垂直な軸心15回りに主ロータ14を駆動する歯車装置13を支持する胴体12を備えている。 歯車装置1 3は、歯車装置13と胴体12との間に取付けられた少なくとも4つの支柱16(2つだけが図示されている) によって胴体12から支持されている。 歯車装置13 は、軸18を介して少なくとも1つのエンジン17により駆動される。 【0026】各支柱16は、歯車装置13から胴体12 に、主ロータ14によって生じられる主飛行および運動荷重を伝達するための主荷重通路を有している。 【0027】ヘリコプター11は先に述べた英国特許第2,160,840号明細書に記載される様に振動制御装置を有している。 基本的に、振動制御装置は、胴体12 の戦略的に必要な位置に設けられ、且つ先の英国特許第2,160,840号明細書に記載される様に胴体12への動力負荷を入力するために各支柱16に一体的に設けられた軸方向に伸長自在な電磁アクチュエータ22に信号21を送るコンピュータ制御装置20に連結された複数個の振動センサー19、例えば加速度計を有している。 【0028】ヘリコプター胴体の飛行中の揺動試験の要件を考慮すると、機体内の動力機構によって加振が生じて、振動制御装置の胴体内の位置と胴体内に故意的に力 を入力することが 、揺動試験の目的のための加振力の入力に適していることを本発明者はわかった 。 【0029】ヘリコプターに設置されたこの様な装置に関連して同様に起こり得る問題は、データ分析に関係しており、特に通常のシェーカーの使用による上述した経験に照らして、背後の振動レベルを超える、構造的応答を得るのに十分な力の形成と、主ロータ動力周波数によって支配される振動信号の加振応答の識別に関係している。 特定の振動制御装置の動力アクチュエータが5〜3 0ヘルツの所要の周波数範囲内で作動でき、胴体内に 3 0KNまで力を入力できることを調査は示している。 これは、先ず第1に、振動制御装置アクチュエータが飛行 中の揺動試験加 振力を胴体内に直接与えるための適切な装置であること、第2には、加振に対する必要な大きな胴体応答を生じるためにアクチュエータ出力レベルが適 切であること等を発明者に示しており、この発明に従った飛行中の揺動試験のための方法と装置を設計、開発するように発明者に奨励している。 【0030】従って、 加振応答が隠れないほど背後振動レベルが十分低い場合に、適用するための幅広い実施例 において、この発明は、加振周波数における相対運動が可能な構造体または構造体上の交点で力発生アクチュエータを接続し、構造体に予定された周波数で予定の負荷を入力するようアクチュエータを作動し、構造体の応答を測定することから成る航空機構造体の飛行中の振動を試験するための方法と装置を提供するものである。 【0031】上述した実施例の振動制御装置において、 個々のアクチュエータは、1つのアクチュエータの故障の場合に、効率がより劣るレベルであっても、振動減少装置を維持するために振動制御装置から選択的に隔絶出来る。 振動制御装置の作用的アクチュエータが振動制御装置から隔絶されて揺動試験加振入力を提供するよう個別に制御されゝば、残りの3つのアクチュエータが振動制御装置の一部としてロータに誘起される振動を減少するよう作動し続けられ、従って、 高いSN比率(a high signal to noise ratio)が得られ、ヘリコプター適用 において、揺動試験加振応答を識別することの残ってい る問題を解決すると、発明者は考えた。 【0032】この発明に従えば、電子アクチュエータ制御装置23が胴体12に取付けられて、電源(図示しない)に接続される。 歯車装置13と胴体12を接続する支柱16の予め選ばれた1つのアクチュエータ22に接続部材24を介して出力信号が流れる。 アクチュエータの選択は取付けの前に決められる。 【0033】カセットテープレコーダ25を有する制御装置が、 必要な試験信号を供給するために、電子アクチュエータ制御装置23に接続されて、 その目的を達成す るために、掃引されたあるいは、段階的な正弦波でラン ダム周波数パターンの予め録音された信号を含むオーデイオテープが取付けられている。 【0034】また、電子アクチュエータ制御装置23 は、振動レコーダ30に接続された加速度計29の様な複数個の振動センサに接続されている。 【0035】 動作においては、 どの特定の試験がなされ るかがまず決められ、予め録音されたオーデイオテープを適切に位置決めするようカセットテープレコーダ25 が調節される。 3つの基本的機能を行うために、適切な 電子カードを有する電子アクチュエータ制御装置23ま で試験信号が送られる。 第1に、アクチュエータ22の 選ばれた1つを作動可能/不能にでき、第2に、カセッ トテープレコーダ25からの試験信号を出力信号に変換 し、必要な加振力を入力するように、選ばれたアクチュ エータ22を操作し、第3に、アクチュエータ力基準信 号を振動レコーダ30に供給する。 【0036】カセットテープレコーダ25内にオーデイオテープを適宜に再位置決めすることによって種々な試 験が連続的になされる 。 【0037】加振力に対する構造的応答は振動センサー29によって感知され、 その後の分析のために振動レコーダ30によって記録される。 【0038】図2は時間(T)に対する振幅(A)を示しており、 特にヘリコプターの飛行揺動試験において、 ACSRのような振動制御装置とこの発明を組合わせ た、上述した利点を示している。 【0039】図2は、試験中のヘリコプターにおいて、 振動制御装置が作動していない 、ブレード通過周波数5 R(5ブレード主ロータにおける)の振動信号26の相対的振幅と、この発明に従った飛行揺動試験の作動に基づく代表的な振動応答信号27とを示している。 応答信号27と背後振動信号26の間の低い比率は上述した様に、背後振動信号26の高振幅に支配されるため、振動 応答信号27の識別についての問題を生じる。 【0040】併し、各支柱16の残りの3つのアクチュエータ22を介した振動制御装置の作動によって、5R 振動信号は滑らかで、図2に点線28により示される様に一層減少される。 これは背後信号に対する応答信号2 7の比率を明確に改良して応答信号の識別を容易にし、 応答信号の分析の精度を十分に改善する。 【0041】従って、この発明の方法と装置は、正しく負荷されてロータの動的特性を真に示す作動状態におけるヘリコプター胴体のモード識別を行う飛行揺動試験を行う。 【0042】更に、 開発試験における恩恵とは別に 、航空機へこの発明を搭載して恒久的に利用することは、容易で、有効な、異常監視装置を提供することによる重要な恩恵を与えるものである。 【0043】従って、 装置は定期的に飛行中に動作で き、また、前の試験と比較した応答特性が、その場で即 座にあるいはその後地上において得られ、応答特性にお ける重要な変化がすぐにわかるようになっている。 次 に、調査手続が原因を調べるために始められ、もし必要 ならば故障を直すよう修理が行われる。 この様な恒久的 な異常監視装置により、航空機とその利用者の安全は大いに強化される。 【0044】こゝに説明した様に、特に、振動制御装置がヘリコプターに取付けられると、ヘリコプターの胴体 の飛行揺動試験に関して特別な利点があるが、背後振動 レベルが十分低い場合は、揺動試験加振周波数に対する 応答を隠さないようにするために、ヘリコプターや固定 翼航空機に適用するに有効である。 また、上述した振動 制御装置の様な困難な背後振動を減少するのに適した装 置の組合わせとして、ヘリコプターや固定翼航空機に適 用するのに有効である。 【0045】この発明の一実施例が図示説明されたが、 この発明の範囲を逸脱することなく多くの変更が出来ることが理解されよう。 アクチュエータが実際の航空機構造の2点の間、例えば歯車箱と胴体の間に接続された説明した実施例の作動装置の代わりに、必要な加振負荷を 発生するためにアクチュエータ負荷に反応する地震質量 (seismic mass)に構造の一点が接続されたアクチュエータ装置に、この発明が利用できる。 予定された試験信号を生じる別の装置は、アナログ信号発生器や適切なイ<br>ンターフェースを持ったコンピュータを備えている。 制御装置は、揺動試験のための複数個のアクチュエータの1つを隔絶して作動するよう構成でき、また予定された順序でアクチュエータを作動するよう構成できる。 複数個のアクチュエータの1つ以上のアクチュエータを揺動試験において同時に作動できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 ヘリコプターに取付けられたこの発明の一実施例の概要図である。 【図2】 図1の実施例の作動特性を示すグラフである。 【符号の説明】 11 ヘリコプター、12 胴体、13 歯車箱、14 ロータ、16 支柱、17 エンジン、18 軸、1 9 センサー、22 アクチュエータ、23電子アクチュエータ制御装置、25 カセットテープレコーダ、2 9 加速度計、30 振動レコーダ。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 591058530 WESTLAND WORKS,YEO VIL,SOMERSET BA20 2 YB,UNITED KINGDOM (72)発明者 ダニエル・マレイ・ウェルズ イギリス国、サマーセット、ヨウビル、 コピッツ・ヒル、ザ・ヤード 2 (72)発明者 アンドリュー・レスリー・ジョーダン イギリス国、サマーセット、ラングポー ト、カリー・リベル、ストーニーハース ト・ドライブ 32 (56)参考文献 特開 平4−354006(JP,A) 米国特許3074385(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) G01M 7/02 B64F 5/00 JICSTファイル(JOIS) |