【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫の庫内温度制御方法に係り、特に、冷蔵室の庫内温度を感知するためのセンサに異常が発生した時、応急運転が可能な冷蔵庫の庫内温度の制御方法に関する。 より詳細には、少なくとも二つのセンサを利用して庫内温度を検出して制御する場合に、いずれか一つのセンサに異常が発生した時に、正常運転に近づいた応急運転を可能にするための冷蔵庫の庫内温度制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般の家庭で使用している冷蔵庫の構造は、上端に冷凍室が位置して下端に冷蔵室が位置して、 冷凍室および冷蔵室には、冷気供給のためのファンがそれぞれ設置されている。 また、冷凍室および冷蔵室の庫内温度は、それぞれに供給される冷気の量に依存し、冷気は、圧縮機によって圧縮された冷媒が循環される蒸発器との熱交換により生成されて、ファンの回転により冷凍室および冷蔵室それぞれに供給される。 このような冷蔵庫において、庫内温度を適切に維持するためには、冷凍室ファンおよび冷蔵室ファンが、それぞれの庫内温度により適定時期に作動される必要がある。 【0003】一方、大型冷蔵庫においては、冷蔵室全体を均一な温度で維持するために、冷気を所望する方向に誘導するかまたはもれなく広がるように冷気を揺動させるダンパ(Damper)が設置されるとともに、冷蔵室内の異なる位置に配置されて各温度を検出するための少なくとも二つ以上のセンサが使用される。 【0004】図2は、一般的な冷蔵庫の庫内温度制御方法に適用される制御回路を示すブロック図である。 図示されるように、一般的な冷蔵庫の制御回路は、庫内の温度制御のための冷凍室ファン3、冷蔵室ファン4、および圧縮機5等を有して構成されている。 【0005】また、一つの冷凍室センサ6および二つの冷蔵室センサ7a,7bから各々の庫内温度を瞬時的に検出して、この検出された信号をマイクロコンピュータ(Microcomputer)制御器9にそれぞれ送出する。 マイクロコンピュータ制御器9は、A/D変換部10、演算処理部11、および負荷制御部12から構成されている。 【0006】A/D変換部10は、センサ(Senso r)6,7a,7bの検出信号として提供されるアナログ(Analog)値をデジタルデータ(Digita lData)に変換する。 演算処理部11は、A/D変換部10で変換されたデジタルデータに基づいて演算及び負荷制御命令等の所定のプログラム(Prog−ra m)を実行して、それぞれ検出された庫内温度に基づき、冷凍室ファン(Fan)3、冷蔵室ファン4、および圧縮機5等の作動を命令する。 【0007】また、負荷制御部12は、演算処理部11 の命令によって冷凍室ファン3、冷蔵室ファン4、および圧縮機5等を作動させ、データ記憶部13は、演算処理部で処理された各種データを読み込んで記憶する。 データ記憶部としては、例えば、RAMが使用できる。 【0008】以下、前記のように構成された従来の制御回路を利用して庫内温度を制御する方法について説明する。 図3は、一般的な冷蔵室の庫内温度制御方法について説明したフローチャートである。 【0009】まず、二つの冷蔵室センサA、Bにより検出されたそれぞれの温度をサンプリング(Sampli ng)する(S1)。 二つのセンサのそれぞれに対して正常であるかを判断して(S2、S3)、両方が正常であるとS1でサンプリングした二つのセンサの平均値を求めて(S4)、前記平均値を使用者により調整された基準温度と比較する(S5)。 この結果、平均値が基準温度以上に上昇した時には、冷蔵室ファンを作動させて(S6)、基準温度範囲内にあるかまたはそれより低い時には、作動中である冷蔵室ファンの作動を中止させる(S7)。 【0010】一方、各センサA、Bが正常であるかを判断する段階(S2、S3)で、いずれか一つのセンサに異常が発生したと判断された場合には、正常な他のセンサによりサンプリングされた温度を基準温度と比較する。 即ち、センサAに異常が発生したと判断された場合には、センサBによりサンプリングされた値を基準温度と比較して(S8)、センサBに異常が発生したと判断された場合には、センサAによりサンプリングされた値を基準温度と比較する(S9)。 以後、比較結果に基づいて冷蔵室ファンを作動させるか、または停止させる。 【0011】このように従来では、二つのセンサの中でいずれか一つのセンサに異常が発生したと判断された場合に、異常があるセンサによりサンプリングされた値を捨てて、正常なセンサによりサンプリングされた値に基づいて応急運転を実施した。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のような従来の制御方法によると、二つのセンサの中で正常であるセンサの近くに熱い食品または大きい容積を持つ食品が位置する場合には、正常であるセンサによりサンプリングされた値に基づいて制御するから、異常が発生したセンサの近傍が弱冷または過冷になる現象がよく発生するという問題があった。 【0013】したがって、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、冷蔵室の庫内温度を少なくとも二つ以上のセンサで検出して制御する冷蔵庫において、いずれか一方のセンサに異常が発生した際に他方のセンサの周囲が弱冷または過冷にならず比較的均一に維持できるようにする応急運転が可能な冷蔵庫の庫内温度制御方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するための本発明の特徴によると、少なくとも二つのセンサで冷蔵庫の庫内温度を検出してそれぞれの検出温度をサンプリングする段階と、センサがそれぞれ正常である際のサンプリング値をそれぞれ記憶する段階と、センサの中で少なくとも一つのセンサに異常が発生した時、記憶されたサンプリング値を利用して正常である他のセンサに関連して非正規平均値を求める段階と、非正規平均値と基準温度とを比較する段階と、比較結果に応じて冷蔵室ファンを応急運転する段階とを有する。 【0015】好ましくは、非正規平均値を求める段階は、一つのセンサの記憶されたサンプリング値から記憶平均値を求める段階と、一つのセンサの記憶平均値と他のセンサのサンプリング値とを平均する段階とを有する。 【0016】また、好ましくは応急運転段階で非正規平均値が基準温度より高い場合には冷蔵室ファンを作動させて、非正規平均値が基準温度より低い場合には冷蔵室ファンの作動を中止させる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。 但し、本発明の説明において、制御回路は従来の一般的な制御回路と同一であるから重複説明は省略し、制御方法についてだけ説明する。 【0018】図1は、図2のマイクロコンピュータ制御器に適用された本発明による冷蔵庫の庫内温度制御方法を説明したフローチャートである。 図示されるように、 二つの冷蔵室センサ7a、7bにより検出された温度をそれぞれサンプリングした後(S11)、センサA(7 a)に対して正常であるかを判断して(S12)、正常である場合には、S11でのサンプリング値を図2のデータ記憶部13に記憶する(S13)。 同様に、センサB(7a)に対して正常であるかを判断して(S1 4)、正常である場合には、S11でのサンプリング値を記憶する(S15)。 【0019】この時、二つのセンサA、B(7a、7 b)が全て正常である条件では、S11で各センサにより検出された温度をサンプリングしたサンプリング値の平均値R avg (以下正規平均値と称する)を求めて(S 16)、前記正規平均値R avgを冷蔵庫の庫内の温度調節器により調整された基準温度と比較する(S17)。 比較結果から、正規平均値が基準温度より高い際には冷蔵室ファンの作動を命令して(S18)、正規平均値が基準温度より低い際には冷蔵室ファンの作動の中止を命令する(S19)。 【0020】一方、例えば、センサA(7a)に異常が発生してセンサB(7b)は正常であると判断された場合には、センサA(7a)が正常状態にある際にデータ記憶部13に記憶された値を読み込んで平均値A avg (以下、記憶平均値と称する)を求めて(S21)、センサAの記憶平均値A avgとセンサBのサンプリング値との平均値R avg ′(以下、非正規平均値と称する)を求める(S22)。 以後、非正規平均値R avg ′を冷蔵庫の庫内の温度調節器により調整された基準温度と比較する(S17)。 比較結果から、非正規平均値が基準温度より高い際には冷蔵室ファンの作動を命令して(S1 8)、非正規平均値が基準温度より低い際には冷蔵室ファンの作動の中止を命令する(S19)。 【0021】また、センサB(7b)に異常が発生してセンサA(7a)は正常であると判断された場合にも、 前記のような手順によりS21′,S22′を経て、非正規平均値R avg ′が基準温度より高い際には冷蔵室ファンの作動を命令して(S18)、基準温度より低い際には冷蔵室ファンの作動の中止を命令する(S19)。 【0022】一方、センサA(7a)とセンサB(7 b)とが全て正常ではないと判断された場合には(S1 4′)、それぞれのセンサに対する記憶平均値を求めて(S21,S21′′)、その後これらの記憶平均値から非正規平均値R avg ′ を求める(S22′′)。 以後、非正規平均値R avg ′が基準温度より高い際には冷蔵室ファンの作動を命令して(S18)、非正規平均値R avg ′が基準温度より低い際には冷蔵室ファンの作動の中止を命令する(S19)。 【0023】即ち、本発明では少なくとも二つのセンサの中でいずれか一つのセンサに異常が発生したと判断された場合に、このセンサに異常が発生する前までに検出され記憶された温度に対する記憶平均値を利用する。 この時、冷蔵室の庫内温度は全体的に急激に変動することはあまりなく大抵は緩慢に変化するから、おおよそ正常運転に近接した応急運転が可能になる。 【0024】以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に記述したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つものであれば、本発明の精神及び範囲を離脱することなく、本発明を多様に変形または変更して実施できる。 例えば、本実施の形態においては、センサが二つ使用された場合を説明しているが、それ以上に設置された場合にも各センサに対して同一の方式の処理工程を適用することが可能である。 また、本発明は冷蔵室だけではなく、冷凍室の温度制御にも応用が可能である。 【0025】 【発明の効果】前述のように本発明によると、少なくとも二つのセンサで庫内温度を検出して制御する場合において、その中でいずれか一つのセンサに異常が発生した場合にも正常運転に近接した応急運転を可能とすることにより、冷蔵室が局部的に弱冷または過冷になる現象を防止して、食品をより安心に保管できるだけではなく、 製品の信頼度も大きく向上させることができるという利点がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明による冷蔵庫の庫内温度制御方法を示すフローチャートである。 【図2】 通常の冷蔵庫の庫内温度制御方法に適用される制御回路を示すブロック図である。 【図3】 従来の冷蔵庫の庫内温度制御方法を示すフローチャートである。 【符号の説明】 3 冷凍室ファン 4 冷蔵室ファン 5 圧縮機 6 冷凍室センサ 7a,7b 冷蔵室センサ 9 マイクロコンピュータ制御器 10 A/D変換部 11 演算処理部 12 負荷制御部 13 データ記憶部 |