Temperature measurement device of power semiconductor device

申请号 JP2011194942 申请日 2011-09-07 公开(公告)号 JP2013057550A 公开(公告)日 2013-03-28
申请人 Fuji Electric Co Ltd; 富士電機株式会社; 发明人 YOSHIMURA HIROYUKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a temperature measurement device of a power semiconductor device capable of easily and exactly detecting temperature when an inclination between characteristics on design and actually measured characteristics is different.SOLUTION: A chip temperature detection circuit includes: an A/D converter which outputs forward voltages on both sides of a diode for temperature detection as measurement values by performing digital conversion; and an arithmetic processing part which calculates a chip temperature on the basis of the measurement values of the A/D converter. The arithmetic processing part calculates an inclination of a segment connecting the measurement values of the A/D converter when a plurality of different known reference voltage values are applied, respectively instead of the diode for temperature detection in calibration, and stores the calculated inclination of the segment with an offset correction value which is one of the measurement values to be output from the A/D converter. The arithmetic processing part includes a chip temperature calculation part which calculates the forward voltage of the diode for temperature detection on the basis of the measurement values of the A/D converter, the inclination of the segment, and the offset correction values to calculate the chip temperature in temperature measurement.
权利要求
  • シリコンチップにパワースイッチング素子と温度検出用ダイオードとを設けたパワー半導体装置における前記パワースイッチング素子のチップ温度を検出するチップ温度検出回路を備えたパワー半導体装置の温度測定装置であって、
    前記チップ温度検出回路は、前記温度検出用ダイオードに定電流を供給する定電流源と、前記温度検出用ダイオードの両端の順方向電圧をデジタル変換して測定値として出力するA/D変換器と、該A/D変換器から出力される測定値が入力され、当該測定値に基づいて前記チップ温度を演算する演算処理部とを少なくとも備え、
    前記演算処理部は、前記チップ温度検出回路の誤差の校正時に、前記温度検出用ダイオードに代えて既知の異なる複数の基準電圧値を印加する基準電圧源を接続し、前記複数の基準電圧値をそれぞれ印加したときの前記A/D変換器から出力される測定値を結ぶ線分の傾きを演算し、演算した線分の傾きと、前記A/D変換器から出力される測定値のうちの1つであるオフセット補正値とを記憶部に記憶する校正処理部と、前記温度検出用ダイオードによる温度測定時に、前記A/D変換器から出力される測定値と、前記記憶部に記憶されている線分の傾き及びオフセット補正値とに基づいて補正測定値を演算し、当該補正測定値に基づいて前記チップ温度を演算するチップ温度演算部とを備えている ことを特徴とするパワー半導体装置の温度測定装置。
  • 前記校正処理部は、前記基準電圧を印加した時の前記A/D変換器から得られる測定値の測定を複数回行い、複数回の測定値の平均値を測定値としたことを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体素子の温度測定装置。
  • シリコンチップにパワースイッチング素子と温度検出用ダイオードとを設けたパワー半導体装置における前記パワースイッチング素子のチップ温度を検出するチップ温度検出回路を備えたパワー半導体装置の温度測定装置であって、
    前記チップ温度検出回路は、前記温度検出用ダイオードに定電流を供給する定電流源と、前記温度検出用ダイオードの両端の順方向電圧を入力信号としてパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路と、該パルス幅変調回路から出力されるパルス幅変調信号を電気的に絶縁して伝送させる絶縁伝送回路と、該絶縁伝送回路の出力信号を平滑化するローパスフィルタと、該ローパスフィルタのフィルタ出力をデジタル変換して測定値として出力するA/D変換器と、該A/D変換器から出力される測定値が入力され、当該測定値に基づいて前記チップ温度を演算する演算処理部とを少なくとも備え、
    前記演算処理部は、前記チップ温度検出回路の誤差の校正時に、前記温度検出用ダイオードに代えて既知の異なる複数の基準電圧値を印加する基準電圧源を接続し、前記複数の基準電圧値をそれぞれ印加したときの前記A/D変換器から出力される測定値を結ぶ線分の傾きを演算し、演算した線分の傾きと、前記A/D変換器から出力される測定値のうちの1つであるオフセット補正値とを記憶部に記憶する校正処理部と、前記温度検出用ダイオードによる温度測定時に、前記A/D変換器から出力される測定値と、前記記憶部に記憶されている線分の傾き及びオフセット補正値とに基づいて補正測定値を演算し、当該補正測定値に基づいて前記チップ温度を演算するチップ温度演算部とを備えている ことを特徴とするパワー半導体装置の温度測定装置。
  • 前記校正処理部は、基準電圧を印加した時の前記A/D変換器から出力される測定値に対して、前記パルス幅変調回路に含まれる三角波発生回路の発振周期の整数倍の期間においてサンプリングを行い、サンプリング値の平均値を測定値としたことを特徴とする請求項3に記載のパワー半導体素子の温度測定装置。
  • 前記記憶部は、前記演算処理部内に形成した不揮発性メモリ領域で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のパワー半導体装置の温度測定装置。
  • 前記校正処理部は、既知の異なる複数の基準電圧値を、チップ温度の測定範囲の最大及び最小温度における前記温度検出ダイオードの順方向電圧値の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のパワー半導体装置の温度測定装置。
  • 前記校正処理部は、既知の異なる複数の基準電圧値の両端の2点が、チップ温度の測定範囲の最大及び最小温度における前記温度検出ダイオードの順方向電圧値と同等の値又は近傍の値に設定されていることを特徴とする請求項6に記載のパワー半導体装置の温度測定装置。
  • 说明书全文

    本発明は、車両用の電圧コンバータ装置等に組み込まれるパワー半導体装置の温度測定装置に関する。

    近年、車両機器においては、高効率化、省エネルギー対策として、図11に示す駆動を生む電動機1104を有する車両駆動システム1100では、大別して電源1101と、昇降圧コンバータ1102と、インバータ1103とが含まれている。 但し、電動機1104は、車両の駆動時には3相のモータであるが、車両の制動時には発電機となる。 また、矢印Y1で車両駆動時に流れるエネルギーの方向を示し、矢印Y2で車両制動時に流れるエネルギーの方向を示す。

    電源1101は、架線からの給電電圧又は直列接続されたバッテリーから構成される。
    昇降圧コンバータ1102は、車両駆動時には電源1101の電圧V L (例:280V)を、モータ1104の駆動に適した電圧V H (例:750V)に昇圧し、車両の制動時には発電機となるモータ1104から生じる電圧V H (例:750V)を電源回路の電圧V L (例:280V)に降圧して電力の回生動作を行う。

    インバータ1103は、車両駆動時には昇降圧コンバータ1102により昇圧された電圧V Hから、3相モータ1104の各相に電流を流すように、インバータ1103内部のスイッチング素子をON/OFF制御し、このスイッチングの周波数により車両の速度を変化させる。 また、車両制動時には、モータ1104の各相に生じる電圧に同期してスイッチング素子をON/OFF制御し、いわゆる整流動作を行い、直流電圧に変換して回生を行う。

    次に、昇降圧コンバータ1102の詳細構成を図12に示し、その説明を行う。 昇降圧コンバータ1102は、大別してリアクトルRと、コンデンサCと、2つのスイッチング素子SW1,SW2と、これらスイッチング素子SW1,SW2を制御する制御回路1111,1112とを備えて構成されている。 最近の車両機器の駆動系のスイッチング素子SW1,SW2は、図12に示すように、IGBT1105(又は1106)と、このIGBT1105(又は1106)のエミッタ・コレクタ間に、並列にダイオードD1(又はD2)を接続して構成されている。 つまり、ダイオードD1(又はD2)は、IGBT1105(又は1106)に流れる電流とは逆方向で電流を流すように接続されている。

    この昇降圧コンバータ1102の昇降圧動作の原理を説明する。 また、昇圧時にリアクトルRに流れる電流波形を図13に示す。
    最初に、昇圧動作を説明する。 図13の時刻t0〜t1間、時刻t2〜t3間、時刻t4〜t5間に示すように、スイッチング素子SW1のIGBT1105がON(導通)すると、リアクトルRに電流Iが流れ、リアクトルR(インダクタンスL)にLI 2 /2のエネルギーが蓄積される。

    一方、時刻t1〜t2間、時刻t3〜t4間、時刻t5以降に示すように、スイッチング素子SW1のIGBT1105がOFF(非導通)すると、スイッチング素子SW2のダイオードD2に電流Iが流れて、リアクトルRに蓄えられたエネルギーがコンデンサCに送られる。
    次に、降圧動作を説明する。 スイッチング素子SW2のIGBT1106がON(導通)すると、リアクトルRに電流Iが流れ、リアクトルRにLI 2 /2のエネルギーが蓄積される。
    一方、スイッチング素子SW2のIGBT1106がOFF(非導通)すると、スイッチング素子SW1のダイオードD1に電流が流れて、リアクトルRに蓄えられたエネルギーが電源1101へ回生される。

    このようにスイッチング素子SW1又はSW2のON時間(ONデューティ)を変更する事で、昇降圧の電圧を調整する事が可能であり、概略の値は次式にて求める事が出来る。
    L /V H =ONデューティ (%)
    L :電源電圧 V H :昇圧後の電圧 ONデューティ:スイッチング素子SW1又はSW2のスイッチング周期に対する導通期間の割合。
    しかし、実際には負荷の変動、電源電圧の変動などがあるので、昇降圧後の電圧V Hを監視し、目標値となるように、スイッチング素子SW1,SW2のON時間(ONデューティ)の制御を行う。

    図14は、昇降圧コンバータ用IPM2100のブロック図である。 IPM2100は、大きく分けて、下アームのスイッチング部2101と、上アームのスイッチング部2102と、制御部2103とを備えて構成されている。 高電圧回路側の各スイッチング部2101,2102と、低電圧回路側の制御部2103とは電気的に絶縁が必要であり、このためフォトカプラ2115,2116,2117,2118,2119や図示せぬパルストランスなどを用いて、信号の授受を行うようになっている。

    上アームのスイッチング部2102は、上述したスイッチング素子SW12と同一チップ内に埋め込まれた温度検出用ダイオードD12と、IGBT2112のエミッタとアース間に直列接続された2つの抵抗器R21,R22の間と温度検出用ダイオード2142のアノード側とに接続されたIGBT保護回路2122と、このIGBT保護回路2122の出力側とIGBT2112のゲート側との間に接続されたゲートドライバ2124と、温度検出用ダイオードD12のアノード側に接続されたIGBTチップ温度検出部2126とを備えている。

    下アームのスイッチング部2101は、上述したスイッチング素子SW11と同一チップ内に埋め込まれた温度検出用ダイオードD11と、IGBT2111のエミッタとアース間に直列接続された2つの抵抗器R11,R12同士の間と温度検出用ダイオード2141のアノード側とに接続されたIGBT保護回路2121と、このIGBT保護回路2121の出力側とIGBT2111のゲート側との間に接続されたゲートドライバ2123と、温度検出用ダイオード2141のアノード側に接続されたIGBTチップ温度検出部2125と、昇圧後の電圧V Hを検出するVH検出回路2150とを備えている。

    VH検出回路2150は、入力される電圧V Hを分圧する分圧回路2151と、この分圧回路2151で分圧された電圧のレベルを調整するレベル調整回路2152と、三波を生成する三角波生成器215359と、その三角波とレベル調整後の電圧を比較し、この比較結果で得られる「L」又は「H」レベルの電圧をフォトカプラ2119へ出力する比較器2154とを備えている。

    制御部2103は、フォトカプラ2119からの「L」に対応する「0」又は「H」に対応する「1」の信号を平滑化して直流レベルに変換するLPF(Low Pass Filter)2161と、このLPF2161からの直流レベルと昇降圧指令値とを比較するVH比較器2162と、このVH比較器2162の比較結果に応じて、昇圧後の電圧V Hが昇降圧指令値に応じた所定電圧値となるようにゲート信号をフォトカプラ2115,2117へ出力するゲート信号発生器2163とを備えている。

    このような構成のIPM2100において、本発明の対象となる部分は、システムとしてIPM2100の稼動状態を制御するために、スイッチング素子SW11,SW12と同一チップ内に埋め込まれた温度検出用ダイオード2141,2142のVF電圧により、IGBT2111,2112のチップ温度を測定するIGBTチップ温度検出部2125,2126である。

    これらIGBTチップ温度検出部2125,2126を、上アームのスイッチング部2102のIGBTチップ温度検出部2126を代表して図15に内部ブロック図を示し、その説明を行う。
    IGBTチップ温度検出部2126は、高電圧回路側に、温度検出用ダイオード2142のアノード側に接続された定電流源2170と、定電流源2170と温度検出用ダイオード2142との間に+入力が接続されたオペアンプによるバッファ回路(単に、バッファとも称す)2171と、レベル変換器2177と、三角波発生器2178と、三角波発生器2178及びレベル変換器2177の出力側に接続されたオペアンプによるコンパレータ2179と、このコンパレータ2179の出力側に抵抗器2180を介してゲートが接続され、ドレインが抵抗器2182を介してPWM・アナログ変換器2190のフォトカプラ2116に接続された電界効果トランジスタ2181とを備えている。

    レベル変換器2177は、バッファ回路2171の出力に抵抗器2172を介して−入力が接続されたオペアンプ2173、当該オペアンプ2173の入出力の間に接続された抵抗器2174、及び第1の電源Vcc1及びアース間並びにオペアンプ2173の+,−入力の間に接続された抵抗器2175,2176を備えている。
    PWM・アナログ変換器2190は、フォトカプラ2116と、2値化回路2191と、バッファ回路2192と、LPF回路(低域通過フィルタ)2193とを備えている。

    フォトカプラ2116は、第1の電源Vcc1とFET2181との間に接続されると共に抵抗2184が並列接続された発光ダイオード2185と、この発光ダイオード2185からの発光光を受光する受光ダイオード2187とを備えている。 そして、受光ダイオード2187が、トランジスタ2188のベースと第2の電源Vcc2との間に接続され、また、受光ダイオード2187のカソードとトランジスタ2188のコレクタとの間に抵抗器2189が接続されている。

    このフォトカプラ2116のトランジスタ2188のエミッタに2値化回路2191が接続され、この2値化回路2191の出力側に+入力が接続されると共に−入力と出力とが接続されたオペアンプによるバッファ回路2192が接続され、このバッファ回路2192の出力側にローパスフィルタ(LPF)回路2193が接続されている。

    このようなIGBTチップ温度検出部2126によってIGBT2112の温度を測定する場合、定電流源2170からIGBT2112と同一チップ内に埋め込まれた温度検出用ダイオード2142に定電流を供給する。 これによって、温度検出用ダイオード2142の両電圧VF(VF電圧信号とも称す)が、図16に示すように温度に比例した電圧値となる。 即ち、温度検出用ダイオード2142のチップ温度が165℃ではVF=1.5V、25℃ではVF=2.0Vとして得られ、実際にはVFの変化量500mVが温度信号のフルスパンとなる。

    図17は、上記のバッファ回路2171と、レベル変換器2177と、三角波発生器2178と、コンパレータ2179とを有して成るVF/PWM変換回路2180の詳細を示す。
    三角波発生器2178は、コンパレータ2201及びオペアンプ2202と、これら2201,2202の−,+入力端子と出力端子並びに電源Vcc1及びアースとの間に図示のように接続された抵抗器R21,R22、R23,R24,R25,R26と、コンデンサC11とを備えている。 図15と同じ構成については同じ符号を用いて説明する。

    三角波発生器2178からは三角波信号が所定の上限値と下限値との間で発生されている。
    温度検出用ダイオード2142の順方向降下電圧VFは、バッファ回路2171でインピーダンス変換された後、レベル変換器2177にて、三角波信号の上限値と高温(例:165℃)側VFとが合致、三角波信号の下限値と低温(例:25℃)側VFとが合致するように、増幅及びレベルの加減算が行われる。

    つまり、レベル変換器2177は、三角波信号の上限と下限との幅のレベル(振幅)に、VF電圧信号の幅のレベルが一致するようにVF電圧信号の幅を拡大する(ゲインの調整)と共に、この拡大したVF電圧信号のレベルの上下が三角波の上限と下限の位置に一致させる(オフセットの調整)。 ゲインとオフセットの調整は次のように行う。

    図17において、抵抗R11,R12にて電源Vcc1の電圧を分圧してオペアンプ2173の+入力とし、電源Vcc1とオペアンプ2173の−入力との間に接続した抵抗R13によってオフセット量を決定する。 また、バッファ回路2171の出力とオペアンプ2173の−入力との間に接続された抵抗R14とオペアンプ2173の−入力と出力との間に接続された抵抗R15とによってオペアンプ2173のゲインを決定する。

    このレベル合わせを行った後、後段のコンパレータ2179にてレベル変換器2177の出力電圧Vlevと、三角波発生器の出力電圧Vtriとを比較し、Vlev>Vtriの場合はコンパレータ2179の出力を「L」、Vlev<Vtriの場合は「H」とする。
    この動作によって生成されるコンパレータ2179の出力パルスのデューティは、VF電圧信号に比例する。 例えばデューティ0%は低温(例:25℃)側VF、100%は高温(例:165℃)側VFとして、次段のフォトカプラ2116,2118によるPWM信号の絶縁伝送回路を介して、上及び下アームのスイッチング部2101,2102から制御部2103の2値化回路2191へPWM信号として伝送される。

    このPWM信号は、2値化回路2191において、当該PWM信号のデューティが0%ではV1、100%ではV2なる電圧(2値化信号V1/V2)が形成されて出力される。 この2値化信号V1/V2をバッファ回路2192でインピーダンス変換した後、LPF回路2193にて平滑化して直流レベルに変換すると、温度検出用ダイオード2141,2142の両端電圧VFに相当する各アームと絶縁された出力電圧(IGBTチップ温度電圧信号)Voutを得る事が出来る。

    このようにして得られたIGBTチップ温度に比例した電圧信号Voutは、昇降圧コンバータ1102の上位のシステム(図示せず)に伝達され、そのシステムが常にIGBT2111,2111の温度を検出しながら、例えばIGBTチップ温度が所定の温度T1を超過すると、スイッチング周波数を1/2にし、更に所定の温度T2を超過するとスイッチング(昇降圧動作)を停止する保護機能を働かせる。

    この保護機能の作動は車両の駆動に影響を与えるので、IGBT2111,2112のチップ温度は正確に測定されなければならず、概ね±5%の精度が要求される。 チップ温度の測定の際の誤差要因は大別すると、IGBTチップに埋め込まれた温度検出用ダイオード2141,2142の順方向降下電圧VF値及び温度係数のバラツキと、バッファ回路2171、レベル変換器2177、三角波発生器2178、フォトカプラ(PWM信号の絶縁伝送回路)2116、2値化回路2191、バッファ回路2192及びLPF回路2193から成る回路系のバラツキとの2種類となる。

    温度検出用ダイオード2141,2142のVF値のバラツキは、半導体プロセスに起因する要因が主で有るので、全体の許容誤差±5%のうち、例えばその6割である±3%をVF値のバラツキとして見込むと、回路系では±2%の誤差に抑制する必要がある。 このため各々の回路では±0.5%の誤差に抑えた性能が求められる。
    このため、抵抗素子、定電圧素子、オペアンプ等の回路素子は高精度品を用いる必要があるが、車両の環境温度は−40〜+105℃と広範囲での動作保証、車両用としての高信頼性及びクレームを生じた場合の敏速な対応が求められる点から、国内の大手半導体メーカー等の車載対応ICから選択せざるを得ない。

    図17に示すVF/PWM変換回路2180において、定電流源2170(図17には不図示、図15参照)から供給される定電流IFにより、温度検出用ダイオード2142に生ずる温度に比例した順方向降下電圧(チップ温度が165℃ではVF=1.5V、25℃ではVF=2.0V)がバッファ回路2171でインピーダンス変換され、レベル変換器2177に供給される。
    レベル変換器2177のオペアンプ2173の+入力端子には、電源Vcc1の電位を抵抗器R11とR12で分圧した電位Vcc11に固定されているので、オペアンプ2173の出力電圧は下式(1)で表される。

    一方、三角波発生器2178からの三角波信号の上限値Vsuと下限値Vsdは下式(2)及び(3)で表される。 なお、コンパレータ2201の−入力端子には電源Vcc1を抵抗器R21とR22で分圧された電位Vcc12に固定されている。

    但し、V ic3LOWは、コンパレータ2201の「L」レベル出力である。 また、「//」はその前後に示す抵抗等を並列接続した際の合成値を簡易表記したものであり、例えば(3)式の「R 24 //R 25 」はR 24とR 25とを並列接続した時の合成抵抗値を示す。 以下においても同様である。
    このような三角波発生器2178の出力信号の上限値Vsuと下限値Vsdの三角波と、レベル変換器2177の出力とを、コンパレータ2179で比較して、下式(4)〜(6)で表される温度に比例したパルス幅のPWM信号を生成する。

    このPWM信号は、図18に詳細構成を示すPWM・アナログ変換器2190のフォトカプラ2116で絶縁された後、2値化回路2191、バッファ回路2192、LPF回路2193へ伝送される。 このPWM信号のデューティ(Duty)とLPF回路2193の出力(IGBTチップ温度電圧信号Vout)との関係は下式(7)で表される。

    但し、V ceは、Tr2250の飽和状態におけるコレクタ・エミッター間の電圧であり、概ね0.15Vである。 また、V LPFは、LPF回路2193の出力である。
    これらの式(1)〜(7)において、±0.1%の高精度抵抗器を用いれば、LPF回路2193の出力の誤差は電源Vcc1,Vcc2のバラツキに依存することになる。
    特に、Vcc1はフルスパンが500mVの信号を取り扱う回路に用いられるので高安定、高精度な電圧源が必要とされ、高精度なシャントレギュレータを用いる必要がある。
    また、Vcc2はフルスパンが4Vの信号を取り扱うので、Vcc1よりも高い精度は要求されない。

    図19に電源Vcc1にシャントレギュレータを用いた場合の電位Vcc1のバラツキ分布を、図20に電源Vcc2に標準レギュレータを用いた場合の電位Vcc2のバラツキ分布を示す。
    これらの基準電圧源の電圧バラツキは上式(1)〜(7)において、V cc1 ,V cc2の値が変わるので、温度に比例したLPF回路2193の出力において、温度幅が130℃で出力電圧幅が4Vに割り当てているスパン、及び温度25℃で出力が4.5Vに割り当てているオフセットが影響を受ける事になる。

    上記のV cc1を変動させた場合のLPF回路2193の出力への影響を図21及び図22に、V cc2を変動させた場合のLPF回路2193の出力への影響を図23及び図24に示す。
    cc1 ,V cc2の出力電圧のバラツキの分布が正規分布と仮定した場合、分布の中心値から3σまでの範囲において、IGBTチップ温度電圧信号(LPF出力)Voutに生じる誤差及び区間内累積分布割合を統計計算した。 この結果、1.2σ以下(母集団の77%)では、回路による温度計測は、最大±2.88%以下に抑制出来るが、残りの23%は±2.88%を超過してしまうので、図17に示したレベル変換器2177における抵抗器R13をオフセット調整用、R15をゲイン調整用として抵抗値を変更しなければならない。

    このため、抵抗器R13,R15に関しては、±5σ以内であれば調整出来るように、予め抵抗値の低い素子を実装しておき、これをレーザートリミング装置で抵抗パターンを部分的に切断することによって目標とする調整値に合致させる必要がある。
    この場合には、チップ温度測定回路の入力信号として既知の電圧(2点:VF1,VF2)を入力し、その時の出力電圧(2点:Vout1_m,Vout2_m)を測定し、目標電圧値(2点:Vout1_s,Vout2_s)からのずれを算出する。 そして、算出したずれに基づいて抵抗R13及びR15の目標抵抗値を決定し、各抵抗R13及びR15のトリミングを実施する。

    その後に、トリミング後のチップ温度測定回路に対して、再度、既知の電圧(2点:VF1,VF2)を入力し、その時の出力電圧2点:Vout1_m,Vout2_m)を測定し、目標電圧値(2点:Vout1_s,Vout2_s)に対して、許容誤差の範囲内であることを確認している。
    このような、調整方法では、高価なレーザートリミング装置を導入する必要があるとともに、抵抗調整工数がかかり、製造コスト高の要因となるという未解決の課題がある。 さらに、再調整ができないため、ある程度の不良率を考慮しなければならないという未解決の課題もある。

    このため、チップ温度測定回路の温度補正を電子的に行うことが考えられている。
    たとえば、特許文献1及び特許文献2に記載の従来例では、外部ツールを介して転送書込みされる制御プログラムと制御定数とを格納した不揮発メモリと、演算処理用RAMメモリとを有するマイクロプロセッサを備えた車載エンジン制御装置が開示されている。 この車載エンジン制御装置は、定電圧電源回路部と、温度センサと多チャンネルAD変換器とを備える。

    さらに、上記不揮発メモリは、校正処理データと換算処理データとを格納している。 ここで、校正処理データは、車載エンジン制御装置の調整操作段階において、外部設置された計測装置による測定結果を外部ツールから転送書込したデータである。 この校正処理データは、調整操作時点における環境温度から推定される定電圧電源回路部の近傍温度と、調整操作時点における定電圧電源回路部の実際の出力電圧とに関する外部計測データとを含んでいる。

    換算処理データは、定電圧電源回路部の近傍温度対出力電圧の変動特性に関して予め多数の製品について実測測定して統計的に算出された平均的な電圧変動特性データを含んでいる。
    そして、温度検出センサの検出出力と校正処理データと換算処理データとを参照することによって、異なる温度環境下における定電圧電源回路部の出力電圧を推定し、推定した出力電圧を定電圧で除した値でなる補正係数をアナログ入力電圧に対するデジタル変換値掛け合わせて、補正されたデジタル変換値を得るようにしている。

    また、特許文献3に記載された従来例では、スイッチング素子の温度検出用のダイオードの出力値を、モータを組み付けた際の、モータ温度検出値とスイッチング温度検出値に基づくキャリブレーション値(温度補正値)によって補正するようにしている。 ここで、温度検出用ダイオードの温度特性及び上記キャリブレーション値(温度補正値)はメモリ等の記憶媒体に記憶されている。

    さらに、特許文献4に記載された従来例では、半導体スイッチング素子の動作温度を検出する温度検知手段と、この温度検出手段からの検知信号が不揮発メモリに記憶された規定のトリップレベルを上回ったとき、上記半導体スイッチング素子の動作を停止させる過温度保護手段と、前記トリップレベルの補正を行う特性補正手段とを備えた半導体装置が記載されている。

    さらに、特許文献5に記載された従来例では、半導体素子に温度測定用ダイオードを形成し、この温度測定用ダイオードの順方向電圧降下の温度特性から温度測定用ダイオードが設けられている位置の温度データを求めるようにしている。 一方、電流センス用エミッタから流れるセンス電流を電流検出回路で測定し、演算部でセンス電流の値に基づいて、補正温度を算出する。 そして、演算部は、温度データに補正温度を加算することにより、接合部温度を求めるようにしている。 そして、メモリには、電流検出回路で検出した電流値に対応する補正温度がテーブル形式で格納されており、電流検出回路で検出した電流値を受信するとテーブルを参照して補正温度を算出するようにしている。

    特許第4141444号公報

    特許第4229945号公報

    特開2008−116233号公報

    特開2005−333667号公報

    特開2004−117111号公報

    ところで、特許文献1及び2に記載の従来例にあっては、不揮発性メモリに記憶されている標準特性における温度−出力電圧特性を換算処理データとして記憶するとともに、車載エンジン制御装置の調整操作段階における校正温度と、この校正温度における出力電圧を校正処理データとして記憶して置く。 そして、実用温度を測定したときに、不揮発性メモリに記憶された校正処理データ及び換算処理データを参照して、実用計測温度における定電圧出力を所定の演算式に従って算出する。 算出した定電圧出力を基準電圧で除して補正係数を演算し、この補正係数をデジタル変換値に掛け合わせて補正されたデジタル変換値を得るようにしている。

    このため、不揮発性メモリに校正処理データ及び換算処理データを格納する必要があり、記憶容量が多くなるとともに、実用温度が変化する毎に、校正処理データと換算処理データを参照した演算処理を繰り返す必要があり、演算処理負荷が大きくなるという未解決の課題がある。

    同様に、特許文献3に記載の従来例にあっては、モータ駆動装置の組み付け時に、モータ温度算出部で算出したモータ温度とスイッチング素子温度算出部で算出したスイッチング素子の温度との差分をスイッチング素子温度算出部において算出結果を補正するキャリブレーション値(温度補正値)としてメモリ等の記憶媒体に記憶している。 そして、このキャリブレーション値でスイッチング素子温度検出用のダイオードの出力値の補正を行うことにより、オフセット補正を行うようにしている。 しかしながら、特許文献3に記載の従来例にあっては、単にキャリブレーション値をスイッチング素子温度検出用のダイオードの出力に加算するだけであり、温度−出力電圧特性の傾きが異なる場合には適用することができないという未解決の課題がある。

    また、特許文献4に記載の従来例にあっては、過温度の判断基準となるトリップレベルの補正を、EPROMに書込まれた特性補正信号に基づいて接続するコンデンサ数を選択することにより行うようにしているので、温度−出力電圧特性の傾きが異なる場合には適用することができないという未解決の課題がある。

    同様に、特許文献5に記載の従来例にあっては、半導体素子の電流センス用エミッタから流れるセンス電流の値に基づいてメモリに格納された電流値対補正温度のテーブルを参照して補正温度を算出し、この補正温度を温度検出回路から取得した温度データに加算して接合部温度を算出するようにしており、温度−出力電圧特性の傾きが異なる場合には適用することができないという未解決の課題がある。
    そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、設計上の特性と実測した特性との傾きが異なる場合に、容易に且つ正確に温度検出ができるパワー半導体装置の温度測定装置を提供することを目的としている。

    上記目的を達成するために、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第1の態様は、シリコンチップにパワースイッチング素子と温度検出用ダイオードとを設けたパワー半導体装置における前記パワースイッチング素子のチップ温度を検出するチップ温度検出回路を備えたパワー半導体装置の温度測定装置である。 そして、前記チップ温度検出回路は、前記温度検出用ダイオードに定電流を供給する定電流源と、前記温度検出用ダイオードの両端の順方向電圧をデジタル変換して測定値として出力するA/D変換器と、該A/D変換器から出力される測定値が入力され、当該測定値に基づいて前記チップ温度を演算する演算処理部とを少なくとも備えている。 ここで、前記演算処理部は、校正処理部とチップ温度演算部とを備えている。 校正処理部は、前記チップ温度検出回路の誤差の校正時に、前記温度検出用ダイオードに代えて既知の異なる複数の基準電圧値を印加する基準電圧源を接続し、前記複数の基準電圧値をそれぞれ印加したときの前記A/D変換器から出力される測定値を結ぶ線分の傾きを演算し、演算した線分の傾きと、前記A/D変換器から出力される測定値のうちの1つであるオフセット補正値とを記憶部に記憶する。 チップ温度演算部は、前記温度検出用ダイオードによる温度測定時に、前記A/D変換器から出力される測定値と、前記記憶部に記憶されている線分の傾き及びオフセット補正値とに基づいて補正測定値を演算し、当該補正測定値に基づいて前記チップ温度を演算する。

    また、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第2の態様は、前記校正処理部が、前記基準電圧を印加した時の前記A/D変換器から得られる測定値の測定を複数回行い、複数回の測定値の平均値を測定値としている。
    また、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第3の態様は、シリコンチップにパワースイッチング素子と温度検出用ダイオードとを設けたパワー半導体装置における前記パワースイッチング素子のチップ温度を検出するチップ温度検出回路を備えたパワー半導体装置の温度測定装置である。 前記チップ温度検出回路は、前記温度検出用ダイオードに定電流を供給する定電流源と、前記温度検出用ダイオードの両端の順方向電圧を入力信号としてパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路と、該パルス幅変調回路から出力されるパルス幅変調信号を電気的に絶縁して伝送させる絶縁伝送回路と、該絶縁伝送回路の出力信号を平滑化するローパスフィルタと、該ローパスフィルタのフィルタ出力をデジタル変換して測定値として出力するA/D変換器と、該A/D変換器から出力される測定値が入力され、当該測定値に基づいて前記チップ温度を演算する演算処理部とを少なくとも備えている。 ここで、前記演算処理部は、校正処理部とチップ温度演算部とを備えている。 校正処理部は、前記チップ温度検出回路の誤差の校正時に、前記温度検出用ダイオードに代えて既知の異なる複数の基準電圧値を印加する基準電圧源を接続し、前記複数の基準電圧値をそれぞれ印加したときの前記A/D変換器から出力される測定値を結ぶ線分の傾きを演算し、演算した線分の傾きと、前記A/D変換器から出力される測定値のうちの1つであるオフセット補正値とを記憶部に記憶する。 チップ温度演算部は、前記温度検出用ダイオードによる温度測定時に、前記A/D変換器から出力される測定値と、前記記憶部に記憶されている線分の傾き及びオフセット補正値とに基づいて補正測定値を演算し、当該補正測定値に基づいて前記チップ温度を演算する。

    また、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第4の態様は、上記第3の態様において、前記校正処理部が、基準電圧を印加した時の前記A/D変換器から出力される測定値に対して、前記パルス幅変調回路に含まれる三角波発生回路の発振周期の整数倍の期間においてサンプリングを行い、サンプリング値の平均値を測定値としている。
    また、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第5の態様は、前記記憶部が、前記演算処理部内に形成した不揮発性メモリ領域で形成されている。

    また、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第6の態様は、前記校正処理部が、既知の異なる複数の基準電圧値を、チップ温度の測定範囲の最大及び最小温度における前記温度検出ダイオードの順方向電圧値の範囲内に設定している。
    また、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第7の態様は、前記校正処理部が、既知の異なる複数の基準電圧値の両端の2点が、チップ温度の測定範囲の最大及び最小温度における前記温度検出ダイオードの順方向電圧値と同等の値又は近傍の値に設定されている。

    本発明によれば、校正時に、温度検出用ダイオードに代えて基準電圧源を接続し、この基準電圧源で既知の複数の基準電圧を印加し、そのときの基準電圧毎のA/D変換器の測定値を結ぶ線分の傾きを演算し、この線分の傾きとA/D変換器の測定値の1つであるオフセット補正値とを記憶部に記憶する。 そして、温度検出用ダイオードによる温度測定時に、A/D変換器から出力される測定値に対して、記憶部に記憶されている線分の傾き及びオフセット補正値に基づいて補正演算を行う。 このため、校正処理部で、既知の複数の基準電圧を使用することにより、チップ温度検出回路の特性に基づく線分の傾きを容易に算出することができる。 そして、測定補正演算部では、記憶されている線分の傾き及びオフセット補正値と、A/D変換器から出力される測定値とに基づいて簡易な演算処理で補正された測定値を算出することができ、演算処理部での演算負荷を減少させることができる。

    本発明を適用し得る昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールの概略構成を示すブロック図である。

    温度検出用ダイオードの順方向電圧とシリコンチップ温度との関係を示すシリコンチップ温度算出マップの内容を示す特性線図である。

    本発明の第1の実施形態におけるチップ温度検出回路の具体的構成を示す回路図である。

    中央処理装置の機能ブロック図である。

    校正処理時のチップ温度検出回路の具体的構成を示す回路図である。

    定電圧源の印加電圧とA/D変換器で変換した測定値との関係を示す特性線図である。

    中央処理装置で実行する校正処理手順の一例を示すフローチャートである。

    中央処理装置で実行するチップ温度演算処理手順の一例を示すフローチャートである。

    A/D変換器に入力されるローパスフィルタ出力とA/D変換器のサンプリング期間の関係を示すタイミングチャートである。

    本発明の第2の実施形態を示すチップ温度検出回路の回路図である。

    車両駆動システムの構成を示すブロック図である。

    車両駆動システムにおける昇降圧コンバータの構成を示すブロック図である

    昇降圧コンバータの昇圧動作時にリアクトルに流れる電流波形図である。

    昇降圧コンバ−タ用IPMの構成を示すブロック図である。

    昇降圧コンバ−タ用IPMにおけるIGBTチップ温度検出部の構成を示すブロック図である。

    IGBTチップ温度検出部における定電流回路によるIGBTチップ温度検出ダイオードの順方向電圧の温度特性図である。

    従来のレベル変換器を用いたVF/PWM変換回路の構成を示す回路図である。

    昇降圧コンバ−タ用IPMにおけるPWM・アナログ変換器の構成を示す回路図である。

    従来の昇降圧コンバ−タ用IPMの第1の電源にシャントレギュレータを用いた場合の電源電圧のバラツキ分布を示す図である。

    従来の昇降圧コンバ−タ用IPMの第2の電源にシャントレギュレータを用いた場合の電源電圧のバラツキ分布を示す図である。

    上記の第1の電源の電圧を変動させた場合のIGBTチップ温度電圧信号のスパン変化を示す図である。

    上記の第1の電源の電圧を変動させた場合のIGBTチップ温度電圧信号のオフセット変化を示す図である。

    上記の第2の電源の電圧を変動させた場合のIGBTチップ温度電圧信号のスパン変化を示す図である。

    上記の第2の電源の電圧を変動させた場合のIGBTチップ温度電圧信号のオフセット変化を示す図である。

    以下、本発明に係るパワー半導体装置の温度測定装置の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
    図1は、本発明が適用されるインテリジェントパワーモジュール(IPM:Inteligent Power Module)の概略構成を示すブロック図である。
    図1において、インテリジェントパワーモジュールは、負荷へ流入する電流を制御する上アーム1および下アーム2を備えている。 これら上アーム1および下アーム2は、負荷へ流入する電流を通電および遮断するパワースイッチング素子SWU、SWDを有する。 これらパワースイッチング素子SWU、SWDの導通および非導通を指示する制御信号がそれぞれ制御回路3で生成される。 ここで、制御回路3は、CPUまたは論理IC、あるいは論理ICとCPUが搭載されたシステムLSIなどで構成することができる。

    また、上アーム1、下アーム2のパワースイッチング素子SWU、SWDは直列に接続されている。 上アーム1、下アーム2のパワースイッチング素子SWU、SWDの直列接続点を外部に導出する端子の図示は省略する。 このようなインテリジェントパワーモジュールを、図12に示すように、パワースイッチング素子SWU、SWDの直列接続点にリアクトルを接続すれば、昇降圧コンバータを構成することができる。 あるいは、このようなインテリジェントパワーモジュールを3組用い、パワースイッチング素子SWU、SWDの直列接続回路の両端に直流電源を接続し、パワースイッチング素子SWU、SWDの直列接続点を交流出力端子とすることで3相インバータを構成することができる。

    また、図1は、上アーム1、下アーム2のパワースイッチング素子SWU、SWDの直列回路の1組をパッケージしたいわゆる2in1構成のインテリジェントパワーモジュールであるが、上アーム1、下アーム2のパワースイッチング素子SWU、SWDの直列回路の3組をパッケージしたいわゆる6in1構成のインテリジェントパワーモジュールとして構成することもできる。

    そして、パワースイッチング素子SWUには、ゲート信号SU4に基づいてスイッチング動作を行うIGBT5が設けられ、IGBT5に流れる電流と逆方向に電流を流すフリーホイーリングダイオードDU1がIGBT5に並列に接続されている。 また、IGBT5が形成されたシリコンチップには、チップの温度変化に対応する順方向電圧が得られる温度検出用ダイオードDU2が設けられているとともに、エミッタ電流を分流してエミッタ電流値を検出するためにIGBT5に設けられた第2のエミッタ端子に接続された抵抗RU1、RU2により過電流を検出する過電流検出部11が設けられている。

    また、パワースイッチング素子SWDには、ゲート信号SD4に従ってスイッチング動作を行うIGBT6が設けられ、IGBT6に流れる電流と逆方向に電流を流すフリーホイーリングダイオードDD1がIGBT6に並列に接続されている。 また、IGBT6が形成されたシリコンチップには、チップの温度変化に対応する順方向電圧が得られる温度検出用ダイオードDD2が設けられているとともに、エミッタ電流を分流してエミッタ電流値を検出するためにIGBT6に設けられた第2のエミッタ端子に接続された抵抗RD1、RD2により過電流を検出する過電流検出部12が設けられている。

    温度検出用ダイオードDU2およびDD2は、図2に示すように、ダイオード1個では温度変化による順方向電圧がおおよそ0.5V〜0.7Vと低くて取り扱いにくいため、3個のダイオードを直列接続する構成を採用して温度変化による順方向電圧をチップ温度200℃で1.38V、−50℃で2.43Vとなるように設定してある。

    そして、上アーム1側には、IGBT5の制御端子を駆動するためのゲート信号SU4を生成するゲートドライバIC7が設けられている。 また、上アーム1側には、内蔵する定電流源から温度検出用ダイオードDU2に例えば200μAの定電流を供給し、このときの温度検出用ダイオードDU2の順方向電圧VFでなる過熱検知信号SU6を監視するチップ温度検出回路13が設けられている。 さらに、上アーム1側には、過電流検出部11からの過電流検知信号SU5を監視してIGBT保護信号を生成し、IGBT保護信号をゲートドライバIC7に供給するIGBT保護回路9が設けられている。

    また、下アーム2側には、IGBT6の制御端子を駆動するためのゲート信号SD4を生成するゲートドライバIC8が設けられている。 また、下アーム2側には、内蔵する定電流源から温度検出用ダイオードDD2に例えば200μAの定電流を供給し、このときの温度検出用ダイオードDD2の順方向電圧VFでなる過熱検知信号SD6を監視するチップ温度検出回路14が設けられている。 さらに、下アーム2側には、過電流検出部12からの過電流検知信号SD5を監視してIGBT保護信号を生成し、IGBT保護信号をゲートドライバIC8に供給する温度測定部を含むIGBT保護回路10が設けられている。

    そして、IGBT保護回路9および10は、過電流検知信号SD5,SU5の電流値が予め設定した所定電流値Iovを超えた場合に、ゲート信号の出力を停止するIGBT保護信号をゲートドライバIC7および8に出力する。
    チップ温度検出回路13および14は、共に同じ回路構成を有し、両者を代表してチップ温度検出回路13の構成を説明すると、図3に示すように構成されている。 すなわち、定電流源70から定電流IFを温度検出用ダイオードDU2に供給したときの温度検出用ダイオードDU2の順方向電圧VFを、バッファアンプIC1でインピーダンス変換した後、レベル変換器77に供給し、レベル変換器77からレベル調整された電圧Vlevを出力する。

    このレベル変換器77は、オペアンプIC2を有し、このオペアンプIC2の反転入力端子にバッファアンプIC1の出力が抵抗R14を介して入力されている。 また、オペアンプIC2の非反転入力端子には、直流電源Vcc1を抵抗R11およびR12で分圧した電位Vcc11が入力されている。 さらに、直流電源Vcc1が抵抗R13を介してオペアンプIC2の反転入力端子および抵抗R14との間に供給され、オペアンプIC2の反転入力端子と出力端子との間に抵抗R15が接続されている。
    このレベル変換器77の出力電圧Vlevは、下記(8)式で表わされる。

    なお、このレベル変換は線形変換である。
    また、チップ温度検出回路13は、パルス幅変調回路76を備えている。 このパルス幅変調回路76は、三角波信号Vtriを発生する三角波発生回路78とコンパレータIC5とを備えている。

    三角波発生回路78は、コンパレータIC3とこのコンパレータIC3の出力が入力される積分器を構成するオペアンプIC4とを備えている。 コンパレータIC3の反転入力側には、直流電源Vcc1を抵抗R21およびR22で分圧した電位Vcc12が入力され、非反転入力側にはオペアンプIC4の出力端子が抵抗R26を介して接続され、さらに、コンパレータIC3の非反転入力端子および出力端子間に抵抗R25が接続されている。

    また、コンパレータIC3の出力端子には、直流電源Vcc1が抵抗R23を介して接続され、さらにコンパレータIC3の出力端子が抵抗R24を介してオペアンプIC4の反転入力端子に接続されている。
    オペアンプIC4の反転入力端子および出力端子間には積分用コンデンサC11が接続されている。

    そして、レベル変換器77でレベル調整された出力電圧Vlevおよび三角波発生回路78から出力される三角波信号VtriがコンパレータIC5に入力されている。 このコンパレータIC5は、出力電圧Vlevおよび三角波信号Vtriを比較して、Vlev<Vtriであるときには高レベルとなり、Vlev≧Vtriであるときに低レベルとなるPWM信号を出力する。
    このコンパレータIC5から出力されるPWM信号は、次段のフォトカプラ90によるPWM信号の絶縁伝送回路を介して上アーム1および下アーム2から、制御回路3側に設けられているPWM−アナログ変換回路91に温度検出用のPWM信号として伝送される。

    このPWM−アナログ変換回路91では、フォトカプラ90から入力されるPWM信号を2値信号に変換する2値化回路92に供給し、この2値化回路92でデューティ比が0%では電圧V1、デューティ比が100%では電圧V2となる2値信号を生成する。 この2値信号をバッファ回路93でインピーダンス変換した後に、ローパスフィルタ回路94で平滑化して直流レベルに変換することにより、IGBTチップ温度に比例したIGBTチップ温度信号Voutを得ることができる。

    このIGBTチップ温度信号Voutが定電圧素子100から定電圧が供給されたA/D変換器101に入力され、このA/D変換器101でデジタル変換してデジタル値の測定値Vout_mとして出力される。
    そして、A/D変換器101から出力される測定値が演算処理部としてのマイクロコンピュータ102に入力される。

    このマイクロコンピュータ102は、A/D変換器101に接続されたインタフェース回路103と、このインタフェース回路103から入力される測定値を演算処理する中央処理装置(CPU)104とを備えている。 また、マイクロコンピュータ102は、中央処理装置104で実行するプログラグラムや実行結果等を記憶するROM及びRAMで構成される揮発性メモリ部105と、後述する校正処理部で算出した線分の傾き及びオフセット補正値を記憶する不揮発性メモリ部106とを備えている。

    そして、マイクロコンピュータ102の中央処理装置104は、機能ブロック図で表すと、図4に示すように、少なくとも校正処理部107とチップ温度演算部108とを備えている。
    校正処理部107では、調整操作段階で、図5に示すように、チップ温度検出回路14の温度測定用ダイオードDU2のアノード及びカソードの接続端子間に電圧印加指令に基づいて印加電圧を変更可能な定電圧源110を接続した状態で校正処理を行う。

    この校正処理は、先ず、定電圧源110で、既知の異なる2つ基準電圧値を印加する。 ここで、2つの基準電圧値としては、たとえばチップ温度155℃に相当する電圧値VF1=105298Vと、25℃に相当する電圧値VF2=2.0619Vとを設定する。
    そして、各電圧値VF1及びVF2の印加時におけるA/D変換器101から出力される測定値Vout1_m及びVout2_mを読込んで、両測定値Vout1_m及びVout2_mを結ぶ線分の傾きαを演算する。 演算した線分の傾きαと、両測定値Vout1_m及びVout2_mの一方であるオフセット補正値Vout1_mとを不揮発性メモリ部106に記憶する。

    また、チップ温度演算部108では、実際に温度検出用ダイオードDU2を接続した状態で、A/D変換器101から出力される測定値Vout_mを読込み、この測定値Vout_mと不揮発性メモリ部106に記憶されている線分の傾きα及びオフセット補正値Vout1_mとに基づいて後述する演算を行って温度検出用ダイオードDU2の順方向電圧VFを算出する。 そして、チップ温度演算部108では、算出した順方向電圧VFをもとに、図2(b)に示す温度検出用ダイオードDU2の温度と順方向電圧の関係を表す特性線図を参照してチップ温度Tcを算出する。

    このとき、A/D変換値は、本来はHexコードで表示しなければならないが、汎用性を持たせるため及び説明を分かりやすくするために、0〜5Vの電圧値で表現する。 そして、PWM−アナログ変換回路91の出力は、入力であるパルス幅変調回路76のパルス幅変調信号のオンデューティ:0〜100%に対して、設計値として概ね4.5〜0.5Vとなるように設定されている。

    そして、定電圧源110による印加電圧VF1及びVF2とA/D変換器101の測定値との関係は図6に示すようになる。 両者の関係がリニアな関係である範囲を、設計上はチップ温度+15〜+165℃に相当する電圧1.489〜2.103Vとし、A/D変換器101から出力される測定値を4.5〜0.5Vとする。 この場合には、チップ温度155℃に相当する電圧VF1=1.5298V及びチップ温度25℃に相当する電圧値VF2=2.0619Vを印加した場合に、A/D変換器101から得られる測定値は、設計上はVF1=1.5298Vの時には、Vout1_s=4.233V、VF2=2.0619の時にはVout2_s=0.7667Vとなる。

    これら測定値Vout1_s及びVout2_sを結ぶ実線図示の線分S1−S2に基づいて、得られたAD変換器101の測定値Vout_sから入力値である電圧VFを逆算によって算出することができる。
    このときの測定値Vout_sは、下記(9)式によって算出される。

    この(9)式において、右辺第2項の+Vout1_sがオフセット補正値となる。
    この(9)式において、線分S1−S2の傾きをα12_sとすると、この傾きα12_sは、下記(10)式で表される。
    α12_s={Vout2_s−Vout1_s}/(VF2−VF1)……(10)
    したがって、上記(9)式を変形することにより、下記(11)式に示すように、得られた測定値Vout_sから入力値である電圧VFを算出することができる。

    この逆算によって求められた電圧VFかからチップ温度を算出するには、図2(b)に示す温度検出用ダイオードの温度と順方向電圧VFの関係を示す特性線図から求めることができる。 すなわち、電圧VF=2.0619Vの時には、チップ温度Tc=25℃、電圧VF=1.5298Vの時には、チップ温度Tc=155℃となって、任意の電圧VFからチップ温度Tcを求めることができる。

    上記の説明は、回路定数が設計値そのもので、理想的な場合について行ったが、実際には、図3の電圧源Vcc1,Vcc2、A/D変換器101の基準電圧、抵抗値などのバラツキがあるので、図6に示す線分S1−S2にはならず、図6で一点鎖線図示のような線分S1−S2に対して偏移した線分M1−M2となる。

    すなわち、図5に示す定電圧源110からチップ温度155℃に相当する電圧値VF1及び25℃に相当する電圧値VF2を印加した時に、入力電圧VF1に対するA/D変換器101の設計上の測定値Vout1_s及び設計上の測定値Vout2_sを結ぶ線分S1−S2と、入力電圧VF1に対する実測の測定値Vout1_m及び実測の測定値Vout2_mを結ぶ線分M1−M2とに着目する。

    線分S1−S2と線分M1−M2とは、傾きとオフセット量が異なるので、測定された測定値Vout_mから、順方向電圧VFを逆算によって求める際に、線分S1−S2を用いると、得られた順方向電圧VFには、線分S1−S2及び線分M1−M2の相違による誤差を含んでしまう問題がある。 このため、測定された測定値Vout_mから、順方向電圧VFを逆算によって算出する際に適用する線分をM1−M2になるように傾きとオフセット補正を行う必要がある。
    そこで、実際のチップ温度検出回路13によって得られる線分M1−M2の特性を用いて、温度検出ダイオードDU2の任意の順方向電圧VFに対する測定値Vout_mは下記(12)式で表現される。

    この(12)式において、傾きα12_mを下記(13)式のように設定すると、測定値Vout_mから温度検出用ダイオードDU2の順方向電圧VFは下記(14)式によって求められ、チップ温度検出回路の回路素子のバラツキを軽減した値が得られることになる。
    α12_m={Vout2_m−Vout1_m}/(VF2−VF1)……(13)

    この(14)式で求められるチップ温度検出回路の回路素子のバラツキを軽減した温度検出用ダイオードの温度と順方向電圧VFから図2(b)の温度検出ダイオードの温度と順方向電圧の関係を表す特性線図から正確なチップ温度を求めることができる。
    このようにして、設計に基づく(9)式及び(11)式を、実測値に基づく式(12)式及び(14)式に置換することは、線分S1−S2を線分M1−M2とすることであり、線分S1−S2に対して傾き補正及びオフセット補正を行ったこととなる。

    このため、校正処理部107で、定電圧源110からチップ温度155℃に相当する電圧値VF1及び25℃に相当する電圧値VF2を印加して、A/D変換器101から出力される測定値Vout1_m及びVout2_mを読込み、前記(13)式の演算を行って線分M1−M2の傾きα12_mを算出し、この傾きα12_mとオフセット補正値Vout1_mとを不揮発性メモリ部106に記憶する。

    そして、チップ温度演算部108で、温度検出用ダイオードDU2を接続した状態でのA/D変換器101から出力される測定値Vout_mを読込み、この測定値Vout_mと不揮発性メモリ部106に記憶されている線分M1−M2の傾きα12_m及びオフセット補正値Vout1_mとを前記(14)式に代入して、温度検出用ダイオードDU2の順方向電圧VFを算出する。 さらに、チップ温度演算部108で、算出した順方向電圧VFに基づいて図2(b)に示す特性線図を参照してチップ温度Tcを算出する。

    そして、マイクロコンピュータ102の中央処理装置104では、図7に示す演算処理を実行する。
    この演算処理は、図7に示すように、先ず、ステップS1で中央処理装置104に接続された例えばモーメンタリ式の校正処理開始スイッチ109がオン状態となったか否かを判定し、校正処理開始スイッチ109がオフ状態であるときにはオン状態となるまで待機し、校正処理開始スイッチ109がオン状態となると、ステップS2に移行する。

    このステップS2では、定電圧源110に対して、チップ温度155℃に相当する電圧値VF1を印加する印加指令を出力してからステップS3に移行する。 このステップS3では、印加した電圧VF1に相当する測定値がA/D変換器101から出力されるまでの所定時間が経過した後にA/D変換器101から出力される測定値Vout1_mを読込む。

    次いで、ステップS4に移行して、定電圧源110に対して、チップ温度25℃に相当する電圧値VF2を印加する印加指令を出力してからステップS5に移行する。 このステップS5では、印加した電圧VF2に相当する測定値がA/D変換器101から出力されるまでの所定時間が経過した後にA/D変換器101から出力される測定値Vout2_mを読込んでからステップS6に移行する。

    このステップS6では、読込んだ測定値Vout1_m及びVour2_mと、既知である電圧値VF1及びVF2とに基づいて前記(13)式の演算を行って線分M1−M2の傾きα12_mを算出してからステップS7に移行する。
    このステップS7では、算出した線分M1−M2の傾きα12_mとオフセット補正値Vout1_mを不揮発性メモリ部106に格納してから校正処理を終了する。

    チップ温度演算処理は、図8に示すように、所定時間毎のタイマ割込処理として実行される。 このチップ温度演算処理では、先ず、ステップS11で、不揮発性メモリ部106に線分M1−M2の傾きα12_mとオフセット補正値Vout1_mとが格納されているか否かを判定する。 この判定結果が、不揮発性メモリ部106に傾きα12_m及び測定値Vout1_mが格納されていないときには、そのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。

    ステップS11の判定結果が、不揮発性メモリ部106に傾きα12_m及び測定値Vout1_mが格納されているものであるときにはステップS12に移行して、A/D変換器101から出力される測定値Vout_mを読込む。
    次いで、ステップS13に移行して、不揮発性メモリ部106に記憶されている線分M1−M2の傾きα12_mとオフセット補正値Vout1_mと、上記ステップS12で読込んだ測定値Vout_mとを前述した(14)式に代入して温度検出用ダイオードDU2の順方向電圧VFを算出する。

    次いで、ステップS14に移行して、ステップS13で算出した順方向電圧VFをもとにROM等に記憶された図2(b)の温度と順方向電圧との関係を表すチップ温度算出テーブルを参照してチップ温度Tcを算出してからステップS15に移行する。
    このステップS15では、ステップS14で算出したチップ温度Tcの表示情報を中央処理装置104に接続された液晶等の表示装置に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
    ここで、図7の校正処理が図4における校正処理部107に対応し、図8のチップ温度算出処理が図4におけるチップ温度演算部108に対応している。

    次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
    インテリジェントパワーモジュールの調整操作段階で、チップ温度検出回路13(又は14)の校正処理を行うには、先ず、図5に示すように、温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)に代えて、電圧印加指令によって電圧値VF1及びVF2を出力可能な定電圧源110を接続する。
    この状態で、マイクロコンピュータ102の校正処理開始スイッチ109をオン状態とすることにより、中央処理装置104で、図7に示す校正処理を実行開始させる。
    この校正処理では、校正処理開始スイッチ109がオン状態となることにより、ステップS1からステップS2に移行して、定電圧源110に155℃に相当する電圧値VF1を印加する印加指令値を出力する。

    これにより、定電圧源110で電圧値VF1が温度検出用ダイオードDU2(又はDU19の接続端子に印加され、この電圧値VF1がパルス幅変調回路76のレベル変換器77でレベル変換されたレベル変換電圧VlevがコンパレータIC5に入力される。このコンパレータIC5には三角波発生器78から出力される三角波電圧Vtriが入力されているので、このコンパレータIC5からレベル変換電圧Vlevの電圧値に応じたデューティ比のパルス幅変調信号が出力される。このパルス幅変調信号が電界効果トランジスタ81を介し、フォトカプラ90を介してPWM−アナログ変換回路91に供給される。

    このPWM−アナログ変換回路91では、フォトカプラ90から入力されパルス幅変調信号に基づいて2値化回路で2値化信号を生成し、バッファ回路93でインピーダンス変換した後、ローパスフィルタ回路94で平滑化して直流レベルに変換される。
    この直流レベル信号がA/D変換器101に入力されてデジタル変換されて測定値として出力される。

    この電圧値VF1に対応する測定値Vout1_mが中央処理装置104に読込まれ(ステップS3)、次いで定電圧源110に対して25℃に相当する電圧値VF2を印加する電圧印加指令が出力される。
    このため、定電圧源110から電圧値VF2が温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)の接続端子に印加される。 この印加された電圧VF2が上記と同様にしてパルス幅変調信号に変換されてからPWM−アナログ変換回路91で直流レベルに変換されてA/D変換器101から測定値Vout2_mとして出力され、これが中央処理装置104に読込まれる(ステップS5)。

    そして、読込まれた測定値Vout1_m及びVout2_mと、既知の電圧値VF1及びVF2とに基づいて前記(13)式の演算を行って図6で一点鎖線図示の線分M1−M2の傾きα12_mを算出する(ステップS6)。
    次いで、算出した線分M1−M2の傾きα12_mと測定値Vout1_m及びVout2_mの1つであるオフセット補正値Vout1_mとが不揮発性メモリ部106に格納され(ステップS7)、校正処理を終了する。

    このように、校正処理によって不揮発性メモリ部106に、線分M1−M2の傾きα12_mとオフセット補正値Vout_mとが格納されると、定電圧源110を取り外して温度測定用ダイオードDU2(又はDD2)を接続してマイクロコンピュータ102を再起動する。
    これによって、中央処理装置104で図8のチップ温度演算処理が実行され、不揮発性メモリ部106に線分M1−M2の傾きα12_m及びオフセット補正値Vout1_mが格納されているので、ステップS11からステップS12に移行して、A/D変換器101から出力される温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)の順方向電圧VFに応じた測定値Vout_mを読込む。

    次いで、読込んだ測定値Vout_mと、不揮発性メモリ部106に記憶されている線分M1−M2の傾きα12_m及びオフセット補正値Vout1_m、既知の電圧値VF1とを前記(14)式に代入して、温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)の順方向電圧VFを算出する(ステップS13)。
    次いで、算出した順方向電圧VFをもとに、図2(b)に示す順方向電圧算出テーブルを参照して、チップ温度Tcを算出し(ステップS14)、算出したチップ温度Tcを表示装置に表示し(ステップS15)、タイマ割込処理を終了する。

    このように、上記第1の実施形態によると、調整操作段階で、温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)に代えて、定電圧源110を接続した状態で校正処理を行って、線分M1−M2の傾きα12_mを算出し、算出した傾きα12_mとオフセット補正値Vout1_mとを不揮発性メモリ部106に記憶する。
    その後、温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)を正規に接続した状態で、チップ温度演算処理を行うことにより、チップ温度検出回路13(又は14)の回路素子のバラツキを軽減したすなわち設計上の線分S1−S2に対して、傾き補正及びオフセット補正を行った正確なチップ温度Tcを得ることができる。

    しかも、不揮発性メモリ部106に線分M1−M2の傾きα12_mを演算してオフセット補正値Vout1_mとともに格納するようにしたので、チップ温度Tcの演算処理を容易に行うことができ、中央処理装置104の演算負荷を軽減することができる。
    なお、上記第1の実施形態においては、A/D変換器101から出力される測定値Vout1_m、Vout2_m及びVout_mをそのまま演算処理に使用した場合について説明した。 しかしながら、A/D変換器101から出力される測定値を取り込む際に、ノイズの影響を受ける場合がある。 この場合には、A/D変換器101から出力される測定値のサンプリングを多数回行い、多数回のサンプリング値を加算平均処理して加算平均値を測定値Vout1_m、Vout2_m及びVout_mとして使用することにより、ノイズの影響を軽減することができる。

    また、A/D変換器101の入力信号は、パルス幅変調(PEM)信号をローパスフィルタ回路94で平滑化された直流レベル信号であるが、微視的に見ると図9に示すように、数10mV程度の変動がある。 このため、A/D変換器101で、図9に示すように、変動周期(パルス幅変調回路76における三角波発生器78の周波数)の任意の整数n倍のサンプリング期間でサンプリングを行い、サンプリング値の加算平均値を測定値Vout1_m、Vout2_m及びVout_mとして使用することにより、A/D変換器101の入力信号の変動の影響を軽減することができる。

    次に、本発明の第2の実施形態を図10について説明する。
    この第2の実施形態では、A/D変換器をマイクロコンピュータ102側に設ける場合に代えて温度検出用ダイオードの順方向電圧を直接デジタル変換するようにしたものである。
    すなわち、第2の実施形態では、図10に示すように、温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)の順方向電圧VFをA/D変換器120で直接デジタル変換して測定値を出力し、このA/D変換器120から出力される測定値を、低機能のマイクロコンピュータに搭載されるシリアル伝送ユニット130を介して電界効果トランジスタ81のゲートに供給するようにしている。

    これに応じて、PWM−アナログ変換回路91が省略されて、2値化回路92のみが設けられ、この2値化回路92から出力される2値化信号が直接マイクロコンピュータ102のインタフェース回路103に入力されている。 ここで、マイクロコンピュータ102の中央処理装置104で実行する校正処理及びチップ演算処理については、前述した第1の実施形態における図7及び図8の処理と同様の処理を行い、校正処理時に温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)に代えて定電圧源110を温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)の接続端子に接続して、校正処理を行う。

    この第2の実施形態によると、温度検出用ダイオードDU2(又はDD2)の順方向電圧VFが直接A/D変換器120で測定値に変換されるので、この測定値をシリアル伝送ユニット130、電界効果トランジスタ81及びフォトカプラ90を介して2値化回路92で2値化信号に変換してマイクロコンピュータ102に供給するだけでよく、低機能のマイクロコンピュータに搭載されるシリアル伝送ユニット130をアーム側に搭載する必要はあるが、チップ温度検出回路13(又は14)の構成を簡略化することができる。

    なお、上記第1及び第2の実施形態においては、説明を省略したが、チップ温度検出回路13及び14の校正処理を行う場合に、制御回路3と各アーム1及び2のパワースイッチング素子SWU及びSWDとを接続する前に、チップ温度検出回路13及び14の温度検出用ダイオードDU2及びDD2を接続する接続端子に定電圧源110を接続して校正処理を行い、その後に制御回路3とパワースイッチング素子SWU及びSWDとを接続して、チップ温度の検出を行うようにすることが好ましい。

    また、上記第1及び第2の実施形態においては、校正処理で、不揮発性メモリ部106に線分M1−M2の傾きα12_m及びオフセット補正値Vout1_mを記憶する場合について説明した。 本発明における不揮発性メモリ部106としてはフラッシュメモリ、EPROM、ROM等の任意の不揮発性記憶媒体を適用することができる他、常時電源を供給するRAM等を適用することもできる。 要は、校正処理で算出した線分M1−M2の傾きα12_m及びオフセット補正値Vout1_mを読み出し可能に記憶していればよいものである。
    また、上記第1及び第2の実施形態においては、オフセット補正値として測定値Vout1_mを適用したが、これに代えて測定値Vout2_mをオフセット補正値としてもよい。

    1…上アーム、2…下アーム、3…制御回路、5,6…IGBT、7,8…ゲートドライバIC、9,10…IGBT保護回路、11,12…過電流検出部、SWU,SWD…パワースイッチング素子、DD2,DU2…温度検出用ダイオード、13,14…温度測定回路、70…定電流源、IC1…バッファアンプ、76…パルス幅変調回路、77…レベル変換器、78…三角波発生回路、IC3…コンパレータ、IC4…オペアンプ、IC5…コンパレータ、90…フォトカプラ、91…PWM−アナログ変換回路、92…2値化回路、93…バッファ回路、94…ローパスフィルタ回路、100…定電圧素子、101…A/D変換器、102…マイクロコンピュータ、103…インタフェース回路、104…中央処理装置、105…揮発性メモリ部、106…不揮発性メモリ部、107…校正処理部、108…チップ温度演算部、109…校正処理開始スイッチ、110…定電圧源、120…A/D変換器、130…シリアル伝送ユニット

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