Heating medium flow rate estimation device, the heat source machine, and the heat transfer medium flow rate estimation method

申请号 JP2011081186 申请日 2011-03-31 公开(公告)号 JP5554277B2 公开(公告)日 2014-07-23
申请人 三菱重工業株式会社; 发明人 実 松尾; 憲治 上田; 利彦 新家; 仁意 小野;
摘要
权利要求
  • 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の熱媒の流量を推定する熱媒流量推定装置であって、
    熱媒の流量の計画値及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を算出し、該熱量から前記蒸発器を流れる冷媒の流量を算出する冷媒流量算出手段と、
    前記凝縮器と前記蒸発器の差圧の設定値と該差圧の計測値との比、及び前記冷媒流量算出部によって算出された冷媒の流量に基づいて、前記蒸発器を流れている冷媒の流量を逆算し、逆算した冷媒の流量から前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を逆算し、逆算した熱量及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、熱媒の流量を逆算する熱媒流量逆算手段と、
    を備えた熱媒流量推定装置。
  • 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、
    凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、
    前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、
    請求項1記載の熱媒流量推定装置と、
    を備え、
    前記熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量に基づいて、前記熱媒の流量の計画値を更新する更新処理を行い、更新した該計画値に基づいて前記冷媒流量算出手段によって冷媒の流量を算出し、算出した冷媒の流量に応じて前記膨張弁の開度を制御する熱源機。
  • 前記更新処理は、前記熱媒の流量の計画値と前記熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量との内分点に、前記熱媒の流量の計画値を更新する請求項2記載の熱源機。
  • 前記更新処理は、前記熱媒の流量の計画値と前記熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量とのずれの状態が、本機に生じている現象の状態と一致している場合に行われる請求項2又は請求項3記載の熱源機。
  • 前記更新処理は、前記熱源機の成績係数の理論値から求められる前記圧縮機の動力と前記圧縮機の動力の計測値との差が所定値以上の場合に行われる請求項2から請求項4の何れか1項記載の熱源機。
  • 前記更新処理は、熱媒負荷と前記圧縮機を駆動させる電動機に流れる電流から求められる負荷との差が所定値以上の場合に行われる請求項2から請求項4の何れか1項記載の熱源機。
  • 前記更新処理は、熱媒が前記蒸発器から流出する温度と前記蒸発器内の飽和温度との差、又は熱源媒体が前記凝縮器から流出する温度と前記凝縮器内の飽和温度との差が、予め定められた範囲内にない場合に行われる請求項2から請求項4の何れか1項記載の熱源機。
  • 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の熱媒の流量を推定する熱媒流量推定方法であって、
    熱媒の流量の計画値及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を算出し、該熱量から前記蒸発器を流れる冷媒の流量を算出する第1工程と、
    前記凝縮器と前記蒸発器の差圧の設定値と該差圧の計測値との比、及び前記第1工程によって算出された冷媒の流量に基づいて、前記蒸発器を流れている冷媒の流量を逆算し、逆算した冷媒の流量から前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を逆算し、逆算した熱量及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、熱媒の流量を逆算する第2工程と、
    を含む熱媒流量推定方法。
  • 说明书全文

    本発明は、熱媒流量推定装置、熱源機、及び熱媒流量推定方法に関するものである。

    熱源機、例えば冷凍機を設計値で運転させるためには、蒸発器へ流入する熱媒(冷)の流量の管理が必要であるが、流量を計測する流量計は高価である、部品点数を少なくする等の理由により、熱媒の流量を計測するための流量計が冷凍機に設置されない場合がある。
    熱媒の流量を計測するための流量計が設置されていない冷凍機において、例えば膨張弁の開度を制御するための演算に用いる熱媒の流量と実際の熱媒の流量とに乖離があり、演算により算出された膨張弁の開度と真に必要な膨張弁の開度とのずれによって、次のような不具合が生じる可能性がある。

    膨張弁の開度が過大である場合は、冷媒の流量が過大となり、冷凍機の動が過大となる結果、冷凍機の成績係数(COP(Coefficient Of Performance))が低下したり、圧縮機が液相の冷媒を巻き込む、所謂、液バックが生じたり、凝縮機での過冷却が不十分なため凝縮機において冷媒の一部が液相にならずに、気相のままで蒸発器へ流れるガスバイパスが生じる可能性がある。
    一方、膨張弁の開度が過少である場合は、凝縮器と蒸発器との圧力差が過大となり、冷凍機の動力が過大となる結果、COPが低下する可能性がある。

    そこで、流量を計測する技術として、特許文献1には、冷水出口温度、冷水入口温度及び冷水流量の計測値に基づいて冷凍負荷を算出し、冷却水入口温度及び冷凍負荷に基づいて熱交換係数を算出し、センサー群から送られてくる計測値と熱交換係数から冷却水流量を算出し、出力する冷却水流量推定方式が記載されている。
    また、特許文献2には、複数の空気調和機に対して、個々の空気調和機の冷温水入口出口間の差圧を計測する複数の差圧センサーと全体の冷温水流量を計測する流量センサーを備え、冷房運転前にバルブ切換え等により一つの差圧センサーのみ動作する流路を作って流量と差圧の関係を求めておき、冷房運転時には該差圧センサーにより冷温水の流量を求める技術が記載されている。

    特開平7−91764号公報

    特開2005−155973号公報

    しかしながら、特許文献1に記載の技術では、冷却水流量を算出するために、冷水流量を計測する流量計を用いている。 また、特許文献2に記載の技術では、個々の空気調和機の冷温水の流量を計測するために、全体の冷温水の流量を計測する流量センサー及び複数の差圧センサーを用いている。
    上記のように、特許文献1,2に記載の技術では、所定の流体の流量を算出するために、他の流体の流量を計測する流量計を用いたり、他の流体の差圧を計測する差圧計を用いたりしているため、低コストで流体の流量を把握することができない。

    本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、流量計を用いることなく、熱媒の流量を算出することができる熱媒流量推定装置、熱源機、及び熱媒流量推定方法を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するために、本発明の熱媒流量推定装置、熱源機、及び熱媒流量推定方法は以下の手段を採用する。

    すなわち、本発明に係る熱媒流量推定装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の熱媒の流量を推定する熱媒流量推定装置であって、熱媒の流量の計画値及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を算出し、該熱量から前記蒸発器を流れる冷媒の流量を算出する冷媒流量算出手段と、前記凝縮器と前記蒸発器の差圧の設定値と該差圧の計測値との比、及び前記冷媒流量算出部によって算出された冷媒の流量に基づいて、前記蒸発器を流れている冷媒の流量を逆算し、逆算した冷媒の流量から前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を逆算し、逆算した熱量及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、熱媒の流量を逆算する熱媒流量逆算手段と、を備える。

    本発明によれば、熱媒流量推定装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、を備えた熱源機の熱媒の流量を推定する装置である。

    熱媒流量推定装置が備える冷媒流量算出手段によって、熱媒の流量の計画値及び蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量が算出され、該熱量から蒸発器を流れる冷媒の流量が算出される。
    なお、冷媒流量算出手段で算出された冷媒の流量は、膨張弁の開度を制御するための指令値を算出するために用いられる。

    そして、熱媒流量逆算手段によって、凝縮器と蒸発器の差圧の設定値と該差圧の計測値との比、及び冷媒流量算出部で算出された冷媒の流量に基づいて、蒸発器を流れている冷媒の流量が逆算される。
    さらに、熱媒流量逆算手段によって、上記逆算された冷媒の流量から蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量が逆算され、逆算された熱量及び蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、熱媒の流量が逆算される。

    従って、本発明は、流量計を用いることなく、熱媒の流量を算出することができる。 また、本発明は、逆算により得られた熱媒の流量に基づいた熱媒の流量の計画値を用いることで、膨張弁の開度を制御するための指令値を適正な値とし、冷媒の流量を適正にすることができる。

    一方、本発明に係る熱源機は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、上記記載の熱媒流量推定装置と、を備え、前記熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量に基づいて、前記熱媒の流量の計画値を更新する更新処理を行い、更新した該計画値に基づいて前記冷媒流量算出手段によって冷媒の流量を算出し、算出した冷媒の流量に応じて前記膨張弁の開度を制御する。

    本発明によれば、熱源機は、熱媒流量推定装置が備える熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量に応じて、熱媒の流量の計画値を更新する更新処理を行い、更新した該計画値に基づいて冷媒流量算出手段によって冷媒の流量を算出し、算出した冷媒の流量に応じて膨張弁の開度を制御する。
    これにより、実際に循環する冷媒の流量を適正な値とすることができ、その結果高いCOPで運転することができる。

    また、本発明に係る熱源機は、前記更新処理を、前記熱媒の流量の計画値と前記熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量との内分点に、前記熱媒の流量の計画値を更新してもよい。

    本発明によれば、熱媒の流量の計画値と熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量との内分点に、新たな熱媒の流量の計画値が更新されるので、熱媒の流量を徐々に補正することとなり、熱媒の流量が急峻に変化することを防ぐことができる。

    また、本発明に係る熱源機は、前記更新処理を、前記熱媒の流量の計画値と前記熱媒流量逆算手段によって逆算された熱媒の流量とのずれの状態が、本機に生じている現象の状態と一致している場合に行ってもよい。

    熱媒の流量の計画値と逆算された熱媒の流量とのずれの状態が、熱源機に生じている現象の状態と一致していない場合とは、熱源媒体の流量に異常が生じていることが考えられる。 このような場合に、熱媒の流量の計画値を更新しても、熱源機を適正に運転できない。 そのため、本発明によれば、熱媒の流量の計画値を更新する更新処理が、熱媒の流量の計画値と逆算された熱媒の流量とのずれの状態が、熱源機に生じている現象の状態と一致している場合に行われるので、熱媒の流量の制御を効果的に行うことができる。

    また、本発明に係る熱源機は、前記更新処理を、前記熱源機の成績係数の理論値から求められる前記圧縮機の動力と前記圧縮機の動力の計測値との差が所定値以上の場合に行ってもよい。

    熱源機の成績係数の理論値から求められる圧縮機の動力と圧縮機の動力の計測値とにずれが生じる場合は、冷媒の流量が適正でない、すなわち冷媒の流量を算出するために用いる熱媒の流量の計画値が適正でないことが考えられる。 そこで、本発明は、熱媒の流量の計画値を更新する更新処理を、熱源機の成績係数の理論値から求められる圧縮機の動力と圧縮機の動力の計測値との差が所定値以上の場合に行うので、より効果的なタイミングで熱媒の流量の更新処理を行うことができる。

    また、本発明に係る熱源機は、前記更新処理を、熱媒負荷と前記圧縮機を駆動させる電動機に流れる電流から求められる負荷との差が所定値以上の場合に行ってもよい。

    熱媒負荷と圧縮機を駆動させる電動機に流れる電流から求められる負荷とのずれは、冷媒の流量が適正でない、すなわち冷媒の流量を算出するために用いる熱媒の流量の計画値が適正でないために生じることが考えられる。 そこで、本発明は、熱媒の流量の計画値を更新する更新処理を、熱媒負荷と圧縮機を駆動させる電動機に流れる電流から求められる負荷との差が所定値以上の場合に行うので、より効果的なタイミングで熱媒の流量の更新処理を行うことができる。

    また、本発明に係る熱源機は、前記更新処理を、熱媒が前記蒸発器から流出する温度と前記蒸発器内の飽和温度との差、又は熱源媒体が前記凝縮器から流出する温度と前記凝縮器内の飽和温度との差が、予め定められた範囲内にない場合に行ってもよい。

    熱媒が蒸発器から流出する温度と蒸発器内の飽和温度との差、又は熱源媒体が凝縮器から流出する温度と凝縮器内の飽和温度との差が、過大であったり、過少であったりすると、熱源機の運転状態が適正でない、すなわち、冷媒の流量が適正でないと考えられる。 そこで、本発明は、熱媒の流量の計画値を更新する更新処理を、熱媒が蒸発器から流出する温度と蒸発器内の飽和温度との差、又は熱源媒体が凝縮器から流出する温度と凝縮器内の飽和温度との差が、予め定められた範囲内にない場合に行うので、より効果的なタイミングで熱媒の流量の更新処理を行うことができる。

    さらに、本発明に係る熱媒流量推定方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を熱源媒体によって凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒とを熱交換する蒸発器と、前記凝縮器に貯留された液相の冷媒を膨張させる膨張弁と、を備えた熱源機の熱媒の流量を推定する熱媒流量推定方法であって、熱媒の流量の計画値及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を算出し、該熱量から前記蒸発器を流れる冷媒の流量を算出する第1工程と、前記凝縮器と前記蒸発器の差圧の設定値と該差圧の計測値との比、及び前記第1工程によって算出された冷媒の流量に基づいて、前記蒸発器を流れている冷媒の流量を逆算し、逆算した冷媒の流量から前記蒸発器において冷媒と熱媒との間で交換される熱量を逆算し、逆算した熱量及び前記蒸発器を流れる熱媒の温度の計測値に基づいて、熱媒の流量を逆算する第2工程と、を含む。

    本発明によれば、流量計を用いることなく、熱媒の流量を算出することができる、という優れた効果を有する。

    本発明の第1実施形態に係るターボ冷凍機の構成図である。

    本発明の第1実施形態に係る冷水流量推算部の構成を示す機能ブロック図である。

    本発明の第1実施形態に係る蒸発器冷媒流量を算出するために用いるエンタルピの説明に要する図である。

    本発明の第1実施形態に係る冷凍機制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。

    本発明の第3実施形態に係る冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差と負荷割合との関係を示したグラフである。

    本発明の第3実施形態に係る冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差と負荷割合との関係を示したグラフである。

    エコノマイザを備えた冷凍機に係る蒸発器冷媒流量を算出するために用いるエンタルピの説明に要する図である。

    以下に、本発明に係る熱媒流量推定装置、熱源機、及び熱媒流量推定方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。

    〔第1実施形態〕
    以下、本発明の第1実施形態について説明する。

    図1に、本第1実施形態に係る熱源機の一例であるターボ冷凍機10の構成を示す。
    ターボ冷凍機10は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機12と、ターボ圧縮機12によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を熱源媒体(冷却水)によって凝縮する凝縮器14と、凝縮器14にて凝縮された液相の冷媒(液冷媒)に対して過冷却を与えるサブクーラ16と、サブクーラ16からの液冷媒を膨張させる高圧膨張弁18と、高圧膨張弁18に接続されるとともにターボ圧縮機12の中間段及び低圧膨張弁20に接続される中間冷却器22と、低圧膨張弁20によって膨張させられた液冷媒を蒸発させると共に該冷媒と熱媒(冷水)とを熱交換する蒸発器24を備えている。

    ターボ圧縮機12は、遠心式の2段圧縮機であり、不図示のインバータにより回転数制御された電動モータ28によって駆動されている。 ターボ圧縮機12の冷媒吸入口には、吸入冷媒流量を制御する圧縮機入口ベーン(IGV)32が設けられており、ターボ冷凍機10の容量制御が可能となっている。

    凝縮器14には、凝縮器14内の圧力(以下、「凝縮器圧力」という。)を計測するための凝縮器圧力センサー50が設けられている。

    サブクーラ16は、凝縮器14の冷媒流れ下流側に、凝縮された冷媒に対して過冷却を与えるように設けられている。 サブクーラ16の冷媒流れ下流側直後には、過冷却後の冷媒温度を計測する冷媒温度センサー52が設けられている。

    凝縮器14及びサブクーラ16には、これらを冷却するための冷却伝熱管34が挿通されている。 冷却伝熱管34内の凝縮器14から流出する冷却水の温度(以下、「冷却水出口温度」という。)は冷却水出口温度センサー54によって計測される。 また、冷却伝熱管34内の凝縮器14へ流入する冷却水の温度(以下、「冷却水入口温度」という。)はは冷却水入口温度センサー56により計測される。 なお、冷却水は、不図示の冷却塔において外部へと排熱された後に、再び凝縮器14及びサブクーラ16へと導かれる。

    中間冷却器22には、中間圧力を計測するための中間圧力センサー58が設けられている。

    また、熱交換器である蒸発器24には、蒸発器24内の圧力(以下、「蒸発器圧力」という。)を計測するための蒸発器圧力センサー60が設けられている。 蒸発器24において吸熱されることによって定格温度(例えば7℃)の冷媒が得られる。 蒸発器24には、外部負荷へ供給される冷水を冷却するための冷水伝熱管36が挿通されている。 なお、冷水伝熱管36内の蒸発器24から流出する冷水の温度(以下、「冷水出口温度」という。)は冷水出口温度センサー62により計測され、冷水伝熱管36内の蒸発器24へ流入する冷水の温度(以下、「冷水入口温度」という。)は冷水入口温度センサー64により計測される。

    また、凝縮器14の気相部と蒸発器24の気相部との間には、ホットガスバイパス管38が設けられている。 そして、ホットガスバイパス管38には、ホットガスバイパス管38内を流れる冷媒の流量を制御するためのホットガスバイパス弁40が設けられている。 ホットガスバイパス弁40によってホットガスバイパス流量を調整することにより、圧縮機入口ベーン32では制御が十分でない非常に小さな領域の容量制御が可能となっている。

    また、ターボ冷凍機10は、制御装置30を備えている。
    制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び外部インタフェース等を備え、各々システムバスによって接続され、各種情報の送受信が可能とされている。

    制御装置30は、外部インタフェースを介して各温度センサーや圧力センサー等で計測された信号が入力され、該信号等に基づいてCPUでターボ圧縮機12や各種弁を制御するための制御信号を生成する。 そして、制御装置30は、生成した制御信号をターボ圧縮機12や各種弁へ外部インタフェースを介して出力することによって、ターボ冷凍機10全体の制御を実行する。

    ここで、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、流量を計測する流量計は高価である、部品点数を少なくする等の理由により、冷水や冷却水の流量を計測する流量センサーを備えていない。 しかしながら、冷凍機を設計値で運転させるためには、冷水の流量の管理が必要である。

    そこで、本第1実施形態に係る制御装置30は、冷水の流量を適正な値とするための冷水流量推算処理を行う。

    図2は、本第1実施形態に係る制御装置30で行われる冷水流量推算処理を行う冷水流量推算部70の構成を示す機能ブロック図である。

    冷水流量推算部70は、差圧設定部72、要求冷媒循環流量算出部74、膨張弁開度指令算出部76、及び冷水循環流量逆算部78を備える。

    差圧設定部72は、冷却水の温度に応じて設定される凝縮器圧力設定値と冷水の温度に応じて設定される蒸発器圧力設定値との差圧を算出する。

    差圧設定部72は、凝縮器圧力設定値を算出するために、凝縮器飽和温度T '[℃]を算出する。

    ここで、T

    cliは冷却水入口温度[℃]であり、Q

    は冷水負荷[kW]であり、Q

    stdは定格冷凍能力[kW]であり、ΔT

    clは冷却水定格温度差[℃]であり、ΔT

    は凝縮器定格温度差[℃]である。 冷水負荷Q

    は、冷水入口温度と冷水出口温度との差、及びターボ冷凍機10の制御演算に使用する冷水の流量の計画値(以下、「冷水流量計画値」という。)に基づいて算出される。

    また、P(T)は、飽和温度T(℃)の場合の飽和圧力[MPaabs]であり、差圧設定部72は、凝縮器圧力設定値P '[MPaabs]を(1)式で算出した凝縮器飽和温度T 'を用いて、下記(2)式から算出する。

    また、差圧設定部72は、蒸発器圧力設定値を算出するために蒸発器飽和温度T '[℃]を算出する。

    ここで、T

    setは冷水出口温度設定値[℃]であり、ΔT

    は蒸発器定格温度差[℃]である。

    そして、差圧設定部72は、蒸発器圧力設定値P '[MPaabs]を(3)式で算出した蒸発器飽和温度T 'を用いて下記(4)式から算出する。

    差圧設定部72は、異常のようにして算出した凝縮器圧力設定値と蒸発器圧力設定値との差(P '−P ')を差圧設定値として冷水循環流量逆算部78へ出力する。

    要求冷媒循環流量算出部74は、冷水流量計画値及び蒸発器24を流れる冷水の温度の計測値に基づいて、蒸発器24において冷媒と冷水との間で交換される熱量(以下、「蒸発器交換熱量」という。)を算出し、蒸発器交換熱量に基づいて蒸発器24を流れる冷媒の流量(以下、「蒸発器冷媒流量」という。)を算出する。

    具体的には、まず、要求冷媒循環流量算出部74は、制御演算に使用する冷水流量計画値G ew [m 3 /sec]を用いて、蒸発器交換熱量Q を算出する。

    ここで、c

    は水の比熱[kJ/(kg・℃)]であり、ρは水の密度[kg/m

    3 ]であり、T

    wiは冷水入口温度センサー64で計測された冷水入口温度[℃]であり、T

    woは冷水出口温度センサー62で計測された冷水出口温度[℃]である。

    次に、要求冷媒循環流量算出部74は、(5)式で算出した蒸発器交換熱量Q を用いて、蒸発器冷媒流量G を算出する。

    ここで、h1は蒸発器24の出口におけるエンタルピであり、h5は蒸発器24の入口におけるエンタルピであり、エンタルピh1,h5は、冷媒の圧力及び温度から算出される。


    図3(A)は、中間冷却器22を備えるターボ冷凍機10の冷媒回路図であり、図3(A)における「1」に相当する蒸発器24の出口におけるエンタルピh1は、図3(B)に示すサイクル線図(p−h線図)における「1」である。 一方、図3(A)における「5」に相当する蒸発器24の入口におけるエンタルピh5は、図3(B)に示すサイクル線図における「5」である。

    膨張弁開度指令算出部76は、要求冷媒循環流量算出部74で算出した蒸発器冷媒流量G に応じた膨張弁のCv値を算出する。

    ここで、P

    は凝縮器圧力センサー50で計測された凝縮器圧力であり、P

    は蒸発器圧力センサー60で計測された蒸発器圧力である。

    (7)式によって算出されたCv値は、高圧膨張弁18及び低圧膨張弁20の開度を制御するための指令値(以下、「膨張弁開度指令値」という。)を算出するために用いられる。 なお、膨張弁開度指令値は、Cv値の大きさに応じて大きい値とされる。 なお、以下の説明において、高圧膨張弁18及び低圧膨張弁20を区別しない場合は、単に膨張弁という。

    冷水循環流量逆算部78は、差圧設定部72で算出された差圧設定値、要求冷媒循環流量算出部74によって算出された蒸発器冷媒流量、各種センサーによる計測結果に基づいて、冷水の流量を逆算する。

    具体的には、まず、冷水循環流量逆算部78は、差圧設定部72で算出された差圧設定値と、凝縮器圧力と蒸発器圧力の差圧の計測値(以下、「差圧計測値」という。)との比、及び要求冷媒循環流量算出部74によって算出された蒸発器冷媒流量G eに基づいて、蒸発器24を流れている冷水の流量である蒸発器冷媒流量G e 'を逆算する。

    次に、冷水循環流量逆算部78は、(8)式で逆算した蒸発器冷媒流量G 'から蒸発器24において冷媒と冷水との間で交換される蒸発器交換熱量Q 'を逆算する。

    そして、冷水循環流量逆算部78は、(9)式で逆算した蒸発器交換熱量Q '及び蒸発器24を流れる冷水の温度の計測値に基づいて、冷水流量G ew '[m 3 /sec]を逆算する。

    すなわち、(8)式からも分かるように、差圧設定値と差圧計測値とが一致すると、冷水流量計画値と逆算により求められた冷水流量の推算値(以下、「冷水流量推算値」という。)とが一致することとなり、冷水流量計画値は、適正であることが分かる。

    一方、差圧設定値と差圧計測値とが異なっていると、冷水流量計画値と冷水流量推算値とが異なり、冷水流量計画値が適正でないことが分かる。
    このような場合、制御装置30は、差圧設定値と差圧計測値とを一致させるために、冷媒の流量を適正な値とするために、膨張弁開度指令値を算出するために用いる冷水流量計画値を更新(変更)する更新処理を行う。

    図4は、冷水流量計画値を更新する更新処理を含む冷凍機制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、冷凍機制御プログラムは制御装置30が備える不図示の記憶手段の所定領域に予め記憶されている。 なお、本プログラムは、制御装置30が備えるCPUによって実行され、ターボ冷凍機10の運転の開始が指示されると共に開始し、ターボ冷凍機10の運転の終了が指示されると共に終了する。

    まず、ステップ100では、ターボ圧縮機12の運転を開始する。

    次のステップ102では、所定時間経過するまで待ち状態となり、所定時間経過するとステップ104へ移行する。 なお、所定時間とは、冷媒の循環が落ち着くまでの時間であり、例えば3分である。

    ステップ104では、ターボ冷凍機10の自動制御を開始する。 なお、自動制御では、各種演算に用いる温度及び圧力が一定として扱えるように、変動がある温度及び圧力に対しては平均値を用いて各種演算を行う。

    次のステップ106では、冷却水入口温度センサー56で計測された冷却水入口温度の変動幅が所定幅内であるか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ108へ移行し、否定判定となった場合は、ステップ112へ移行する。 なお、所定幅とは、例えば±2℃である。

    ステップ108では、冷却水出口温度センサー54で計測された冷却水出口温度の変動幅が所定幅内であるか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ110へ移行し、否定判定となった場合は、ステップ112へ移行する。 なお、所定幅とは、例えば±2℃である。

    ステップ110では、冷水流量計画値更新条件を満たしたか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ114へ移行し、否定判定となった場合は、ステップ106へ戻る。
    なお、本第1実施形態に係る冷水流量計画値更新条件を満たす場合とは、ターボ冷凍機10の成績係数の理論値(理論COP)から求められるターボ圧縮機22の動力とターボ圧縮機22の動力の計測値との差が所定値(例えば5%)以上となった場合である。 理論COPから求められるターボ圧縮機22の動力とターボ圧縮機22の動力の計測値とにずれが生じる場合は、冷媒の流量が適正でない、すなわち冷媒の流量を算出するために用いる冷水流量計画値が適正でないことが考えられるためである。

    そこで、ターボ冷凍機10の理論COP(COP cal )を用いた下記(11)式を用いてターボ圧縮機22の動力Wが算出される。

    一方、ターボ圧縮機22の動力の計測値は、ターボ圧縮機22を駆動させるための電動モータ28に供給する電力から算出される。

    なお、理論COPは、ターボ冷凍機10の機器特性に基づいて導出され、基準運転点として設定された所定の冷却水入口温度における所定の負荷率に対する現在の冷却水入口温度における現在の負荷率を相対的に表わした相対負荷率Qf を算定するための第1演算式、相対負荷率Qf と補正係数Cfとの関係を表した第2演算式、及び逆カルノーサイクルから導出されたCOP算定式を上記補正係数Cfで補正する第3演算式で算出される。

    より具体的には、まず、逆カルノーサイクルから導出されるCOP算定式は、例えば、以下の(A)式で表わされる。
    COP carnot =(T LO +273.15)/(T HO −T LO ) (A)
    上記(A)式において、T LOは冷水出口温度[℃]、T HO冷却水出口温度[℃]である。

    そして、第1演算式、第2演算式、及び第3演算式は、以下に示される。

    第1演算式:Q =0.1×(H ad /19.4) 1/2 (B)
    :Qf =Qf/Q (C)

    第2演算式:Cf=Ff(Qf r ) (D)

    第3演算式:COP cal ={(T L0 +273.15)/(T HO −T LO )}/Cf (E)

    (C)式に示されるように、相対負荷率Qf は、実際の負荷率Qf、及びターボ圧縮機22の機器特性である(B)式に示される相対設計風量係数Q を用いて導出される。 また、(B)式における圧縮機断熱ヘッドH adは、熱力学の特性から以下の(F)式で与えられる。
    H ad =(-2.7254×10 -4 T LO 2 -9.0244×10 -3 T LO +47.941)×{log 10 P c -log 10 P e }×1000/9.8067 (F)
    (F)式における、P は凝縮器の飽和圧力[MPa]、P は蒸発器の飽和圧力[MPa]、T は凝縮器の飽和温度[℃]、T は蒸発器の飽和温度[℃]である。

    ステップ112では、冷却塔周りの制御異常に関するアラームを出力し、ステップ106へ移行する。 なお、本アラームが出力された場合、ターボ冷凍機10のオペレータは、該アラームが出力された場合における対応を行い、冷却塔周りの制御異常を解消させる。

    ステップ114では、冷水流量推算部70によって冷水流量を推算する。

    次のステップ116では、冷水流量計画値と冷水流量推算値との差が所定値内であるか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ120へ移行し、否定判定となった場合は、ステップ118へ移行する。

    なお、本第1実施形態では、冷水流量計画値G ewと冷水流量推算値G ew 'との差が所定値内であるか否かは、例えば下記(12)式を用いて判定される。

    ここで、kは、予め定められた定数であり、例えば0.2である。


    すなわち、ステップ116では、(12)式を満たす場合、肯定判定となりステップ120へ移行し、(12)式を満たさない場合、否定判定と判定なりステップ118へ移行する。

    ステップ118では、冷水流量計画値の更新処理による冷水流量の適正化はできないほど、冷水流量計画値と冷水流量推算値とがずれているため、冷水流量の調整異常に関するアラームを出力し、ステップ116へ戻る。 なお、本アラームが出力された場合、ターボ冷凍機10のオペレータは、該アラームが出力された場合における対応を行い、冷水流量の調整異常を解消させる。

    ステップ120では、冷水流量計画値と冷水流量推定値とのずれの状態が、ターボ冷凍機10に生じている現象の状態と一致しているか否かを判定し、肯定判定となった場合は、ステップ122へ移行し、否定判定となった場合は、ステップ124へ移行する。
    なお、冷水流量計画値G ewと冷水流量推定値G ew 'とのずれの状態がターボ冷凍機10に生じている現象の状態と一致している場合とは、G ew '>G ewでは冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差が定格値よりも大きくなっている場合であり、G ew '<G ewではCOPの理論値に対してCOPの計測値が所定値(例えば10%)以上小さい場合である。

    ステップ122では、冷水流量計画値を更新し、ステップ106へ戻る。 なお、本第1実施形態では、冷水流量計画値と冷水流量推算値との内分点に冷水流量計画値を更新することによって、冷水流量計画値を更新する。
    より具体的には、下記(13)式を用いて冷水流量計画値G ewを算出し、該算出した冷水流量計画値G ewに更新する。

    なお、kは予め定められた定数である。

    そして、要求冷媒循環流量算出部74は、ステップ122によって更新された冷水流量計画値を用いて蒸発器冷媒流量を算出する。 膨張弁開度指令算出部76は、算出された蒸発器冷媒流量を用いてCv値を算出し、該Cv値に応じた新たな膨張弁開度指令値を算出する。 膨張弁は、新たな膨張弁開度指令値が入力されると、該膨張弁開度指令値に応じて弁の開度を制御し、更新された冷水流量計画値に応じた流量の冷媒を蒸発器24へ流すこととなる。

    ステップ124では、冷水流量計画値と冷水流量推定値とのずれの原因が、冷却水流量の調整異常にあると考えられるため、冷却水流量の調整異常に関するアラームを出力し、ステップ106へ戻る。 なお、本アラームが出力された場合、ターボ冷凍機10のオペレータは、該アラームが出力された場合における対応を行い、冷却水流量の調整異常を解消させる。

    以上説明したように、本第1実施形態に係る冷水流量推算部70は、冷水流量計画値G ew及び蒸発器24を流れる冷水の温度の計測値に基づいて、蒸発器24における蒸発器交換熱量Q を算出し、蒸発器交換熱量Q に基づいて蒸発器冷媒流量G を算出する。 そして、冷水流量推算部70は、差圧設定値と差圧計測値との比、及び算出した蒸発器冷媒流量G に基づいて蒸発器冷媒流量G 'を逆算し、逆算した蒸発器冷媒流量G 'から蒸発器交換熱量Q 'を逆算し、逆算した蒸発器交換熱量Q '及び蒸発器24を流れる冷水の温度の計測値に基づいて、冷水流量推算値G ew 'を逆算する。
    従って、本第1実施形態に係る制御装置30は、流量計を用いることなく、冷水の流量を算出することができる。

    また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、逆算された冷水流量推算値に応じて、冷水流量計画値を更新する更新処理を行い、更新した冷水流量計画値に基づいて冷媒の流量を算出し、算出した冷媒の流量に応じて膨張弁の開度を制御する。
    これにより、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、実際に循環する冷媒の流量を適正な値とすることができ、その結果高いCOPで運転することができる。

    また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷水流量計画値と逆算された冷水流量推算値との内分点に、新たな冷水流量計画値を更新するので、冷水流量を徐々に補正することとなり、冷水流量が急峻に変化することを防ぐことができる。

    また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷水流量計画値を更新する更新処理を、冷水流量計画値と逆算された冷水流量推算値とのずれの状態が、ターボ冷凍機10に生じている現象の状態と一致している場合に行うので、冷水流量の制御を効果的に行うことができる。

    また、本第1実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷水流量計画値を更新する更新処理を、COPの理論値から求められるターボ圧縮機22の動力とターボ圧縮機22の動力の計測値との差が所定値以上の場合に行うので、より効果的なタイミングで冷水流量計画値の更新処理を行うことができる。

    〔第2実施形態〕
    以下、本発明の第2実施形態について説明する。

    なお、本第2実施形態に係るターボ冷凍機10の構成は、図1,2に示す第1実施形態に係るターボ冷凍機10の構成と同様であるので説明を省略する。 また、本第2実施形態に係る冷凍機制御プログラムの処理の流れは、図4に示す第1実施形態に係る冷凍機制御プログラムの処理の流れと同様である。

    しかし、本第2実施形態に係る冷水流量計画値変更条件は、第1実施形態に係る冷水流量計画値変更条件と異なる。
    本第2実施形態に係る冷水流量計画値変更条件は、冷水負荷とターボ圧縮機22を駆動させる電動モータ28に流れる電流から求められる負荷との差が所定値(例えば5%)以上の場合とする。

    冷水負荷と電動モータ28に流れる電流から求められる負荷とのずれは、冷媒の流量が適正でない、すなわち冷媒の流量を算出するために用いる冷水流量計画値が適正でないために生じることが考えられる。

    電動モータ28に流れる電流から求められる負荷とは、電動モータ28の定格電流に対する計測された電流の割り合いに、定格負荷を積算することによって算出される。

    このように、本第2実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷水流量計画値を更新する更新処理を、冷水負荷とターボ圧縮機22を駆動させる電動モータ28に流れる電流から求められる負荷との差が所定値以上の場合に行うので、より効果的なタイミングで冷水流量計画値の更新処理を行うことができる。

    〔第3実施形態〕
    以下、本発明の第3実施形態について説明する。

    なお、本第3実施形態に係るターボ冷凍機10の構成は、図1,2に示す第1実施形態に係るターボ冷凍機10の構成と同様であるので説明を省略する。 また、本第3実施形態に係る冷凍機制御プログラムの処理の流れは、図4に示す第1実施形態に係る冷凍機制御プログラムの処理の流れと同様である。

    しかし、本第3実施形態に係る冷水流量計画値変更条件は、第1実施形態に係る冷水流量計画値変更条件と異なる。
    本第2実施形態に係る冷水流量計画値変更条件は、冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差、又は冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差が、予め定められた範囲内にない場合とする。

    冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差又は冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差が、過大であったり、過少であったりすると、ターボ冷凍機10の運転状態が適正でない、すなわち、冷媒の流量が適正でないと考えられる。

    図5は、冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差と負荷割合との関係を示したグラフである。 なお、冷水出口温度は、計測値又は設定値とする。 負荷割合とは、定格負荷に対する冷水負荷の割り合いであり、100%のときが定格負荷である。
    そして、本第3実施形態では、冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差が設定値ΔTe以上となった場合に、冷水流量計画値変更条件を満たしたと判定し、冷水流量計画値の更新処理を行う。 また、設定値ΔTeは、負荷割合が大きいほど大きくされている。

    なお、冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差が小さすぎるか否かの判定を行ってもよい、すなわち設定値ΔTeに下限値を設けてもよいが、このような場合は発生しがたいため、本第3実施形態では、冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差の設定値ΔTeとして上限値のみを設定する。

    図6は、冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差と負荷割合との関係を示したグラフである。 なお、冷却水出口温度は、計測値又は設定値とする。
    そして、本第3実施形態では、冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差が設定値ΔTc以上となった場合に、冷水流量計画値変更条件を満たしたと判定し、冷水流量計画値の更新処理を行う。 また、設定値ΔTcは、負荷割合が大きいほど大きくされている。

    なお、冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差が小さすぎるか否かの判定を行ってもよい、すなわち設定値ΔTcに下限値を設けてもよいが、このような場合は発生しがたいため、本第3実施形態では、冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差の設定値ΔTcとして上限値のみを設定する。

    このように、本第2実施形態に係るターボ冷凍機10は、冷水出口温度と蒸発器飽和温度との差、又は冷却水出口温度と凝縮器飽和温度との差が、予め定められた範囲内にない場合に行うので、より効果的なタイミングで冷水流量計画値の更新処理を行うことができる。

    以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。 発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。

    例えば、上記各実施形態では、ターボ冷凍機10が中間冷却器22を備える形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ターボ冷凍機10が中間冷却器を備えない形態や、エコノマイザを備える形態としてもよい。

    ターボ冷凍機10がエコノマイザを備える形態において、上述した(6)式によって蒸発器冷媒流量G を算出するために用いるエンタルピh1,h5を図7に示す。
    図7(A)は、エコノマイザを備えるターボ冷凍機10の冷媒回路図であり、図7(A)における「1」に相当する蒸発器24の出口におけるエンタルピh1は、図7(B)に示すサイクル線図(p−h線図)における「1」である。 一方、図7(A)における「5」に相当する蒸発器24の入口におけるエンタルピh5は、図7(B)に示すサイクル線図における「5」である。

    また、上記各実施形態では、凝縮器14に挿通される冷却伝熱管34内を流れる熱源媒体を冷却水とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、熱源媒体を気体(外気)とし、凝縮器を空気熱交換器とする形態としてもよい。

    また、上記各実施形態では、冷凍運転を行うターボ冷凍機10に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明をヒートポンプ運転も可能なヒートポンプ式ターボ冷凍機に適用してもよい。

    また、上記各実施形態では、ターボ冷凍機10を、遠心圧縮機を用いる形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の圧縮形式であっても適用することができ、例えばスクリュー圧縮機を用いたスクリューヒートポンプであってもよい。

    また、上記各実施形態で説明した冷凍機制御プログラムの処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。

    10 ターボ冷凍機 12 ターボ圧縮機 14 凝縮器 24 蒸発器 28 電動モータ 30 制御装置 72 差圧設定部 74 要求冷媒循環流量算出部 78 冷水循環流量逆算部

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