インクカートリッジ及び記録装置

申请号 JP2011216321 申请日 2011-09-30 公开(公告)号 JP5842516B2 公开(公告)日 2016-01-13
申请人 ブラザー工業株式会社; 发明人 蔵 圭司;
摘要
权利要求

インクを収容するインク室と、 電気信号を出する焦電部と、 インクと上記焦電部とに熱を伝導する熱伝導部材と、 上記焦電部から出力された電気信号を出力するインターフェースと、 上記熱伝導部材を加熱する加熱部材と、を備えるインクカートリッジであって、 上記インク室は、底壁を有し、 上記加熱部材は、上記熱伝導部材に向けて赤外線を照射する赤外線発光ダイオードであり、 上記熱伝導部材の少なくとも一部は、上記底壁に接触または近接した位置に設けられており、上記熱伝導部材は、赤外線の照射により加熱されて上記焦電部に熱を伝導し、 上記焦電部は、上記熱伝導部材から伝導された熱量に応じて、上記電気信号を出力するインクカートリッジ。上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、 上記インク供給部は、上記インク室の側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記インク室のインク残量が上記インク供給部を介して上記インク室から流出不可能な程度にまで減少した時に、上記加熱部材により加熱された上記熱伝導部材の上記焦電部への熱伝導が最大になるように構成された請求項1に記載のインクカートリッジ。上記底壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記底壁の上記第1の面に設けられている請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。上記インク室の側壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記側壁の第1の面に設けられている請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、 上記インク供給部は、上記インク室の側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記熱伝導部材は、上記インク供給部に近接するように設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載のインクカートリッジ。インクを収容するインク室と、 電気信号を出力する焦電部と、 インクと上記焦電部とに熱を伝導する熱伝導部材と、 インク室側インターフェースと、 装置側インターフェースと、 上記熱伝導部材に向けて赤外線を照射する赤外線発光ダイオードと、 制御部と、を備え、 上記インク室は、底壁を有し、 上記熱伝導部材の少なくとも一部は、上記底壁に接触または近接した位置に設けられており、 上記熱伝導部材は、赤外線の照射により加熱されて上記焦電部に熱を伝導し、 上記焦電部は、上記熱伝導部材から上記焦電部に伝導された熱量に応じて、上記電気信号を出力し、 上記制御部は、上記赤外線発光ダイオードを起動して、上記インク室側インターフェースと上記装置側インターフェースとが電気的に接続された状態において、上記装置側インターフェースを介して上記焦電部から出力される上記電気信号に基づいて、上記インク室のインク量を検出する記録装置。上記焦電部は、所定の静電容量を有し、上記所定の静電容量を示す第2の電気信号を出力し、上記制御部は、上記装置側インターフェースを介して上記焦電部から出力される第2の電気信号に基づいて、上記インク室の種別を判定する請求項6に記載の記録装置。上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、 上記インク供給部は、上記インク室の側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記インク室のインク残量が上記インク供給部を介して上記インク室から流出不可能な程度にまで減少した時に、上記赤外線発光ダイオードにより加熱された上記熱伝導部材の上記焦電部への熱伝導が最大になるように構成された請求項6又は7に記載の記録装置。上記赤外線発光ダイオードと対向するように上記熱伝導部材に設けられ、上記赤外線発光ダイオードにより加熱された上記熱伝導部材の熱を受ける受熱領域を更に備える請求項6から8のいずれか一項に記載の記録装置。上記底壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記底壁の上記第1の面に設けられている請求項6から9のいずれか一項に記載の記録装置。上記インク室は、側壁を更に有し、上記側壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記側壁の第1の面に設けられている請求項6から9のいずれか一項に記載の記録装置。上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、上記インク室は、側壁を更に有し、上記インク供給部は、上記側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記熱伝導部材は、上記インク供給部に近接するように設けられている請求項6から11のいずれか一項に記載の記録装置。

说明书全文

本発明は、インクカートリッジ、及び、インクカートリッジを装着可能なカートリッジ装着部が設けられた記録装置に関する。

一般に、用紙などの被記録媒体にインクを吐出することで画像を記録するインクジェット記録装置と称されるような記録装置が提供されている。この種の記録装置には、インクが収容されたインクカートリッジを装着可能なカートリッジ装着部が設けられたものがある。

インクジェット記録装置は、インクカートリッジから記録ヘッドに供給されたインクを記録ヘッドから用紙などの被記録媒体に吐出することで、当該被記録媒体に画像を記録する。よって、インクジェット記録装置は、インクカートリッジに収容されたインクがなくなると被記録媒体に画像を記録できなくなる。このような事態を回避するために、インクジェット記録装置は、インクカートリッジに収容されたインクの残量を検出する機構を備え、インクカートリッジは、インクの残量の検出に適した構造とされている。

例えば、特許文献1には、インクの残量を検出する機構として、透明なインクタンクを有した構造のインクカートリッジを用いて、当該インクタンクに光を照射してインク量に基づいてシャッターが遮断するかどうかにより透過光の有無を検出する機構が記載されている。また、記録ヘッドからのインクの吐出回数からインクカートリッジに残留するインクの量を検出する機構も知られている。

インクジェット記録装置及びインクカートリッジが上述したような機構及び構造を備えることによって、インクジェット記録装置のユーザは、インクカートリッジのインク残量が少ないことを知ることができる。これにより、ユーザは、インクカートリッジのインク残量がゼロになる前に、インク残量が少ないインクカートリッジを新しいインクカートリッジと交換することができる。その結果、インクジェット記録装置に装着されたインクカートリッジ内のインクがなくなり、被記録媒体に画像が記録できなくなる事態が、回避可能である。

特開2005−125738号公報

しかしながら、上述したような残量検出の機構及び構造では、正確にインク量が検知できない。そのため、インクカートリッジ内にある程度のインクが残っている状態で交換させる必要があった。

本発明の目的は、インクカートリッジ内のインクができるだけ少なくなった状態をインクエンプティとして正確に報知でき、インクカートリッジ内のインクの使い切りを向上させることができる構造を提供することにある。

本発明は、インクを収容するインク室と、電気信号を出する焦電部と、インクと上記焦電部とに熱を伝導する熱伝導部材と、上記焦電部から出力された電気信号を出力するインターフェースと、を備えるインクカートリッジである。上記インク室は、底壁を有している。上記熱伝導部材の少なくとも一部は、上記底壁に接触または近接した位置に設けられている。

上述の構成の場合、熱伝導部材の少なくとも一部は、上記インク室を区画する底面に近接した位置に設けられている。このため、インク室にインクが少しでも残留している場合、熱伝導部材とインクとは接触している。この場合に、外部から熱が伝導されると、当該熱の多くが熱伝導部材を介してインクに伝導される。つまり、熱伝導部材から焦電部に伝導される熱量は少ない。これにより、焦電部の温度上昇は小さく抑えられる。

一方、熱伝導部材にインクが接しなくなると、熱伝導部材に熱が伝導されても、当該熱がインクに伝導されることはない。これにより、当該熱は、熱伝導部材から焦電部に伝導され、焦電部の温度は、インクがインク室に残留している場合に比べて、大きく上昇する。

ここで、焦電部は、伝熱による温度の変化が大きいと、所謂焦電効果によって、電流及び電圧の変化が大きい。つまり、焦電部からの信号の出力の変化が大きい。一方、焦電部の温度の変化が小さいと、電流及び電圧の変化が小さい。つまり、焦電部からの信号の出力の変化が小さい。

つまり、上述の構成の場合、熱伝導部材とインクとが接触している状態では、焦電部からの信号の出力の変化が小さく、熱伝導部材とインクとが接触していない状態では、焦電部からの信号の出力の変化が大きい。

以上より、焦電部からの信号の出力の変化によって、インク室のインク量がインクエンプティであるか否かが、正確に検出可能である。

上記熱伝導部材を加熱する加熱部材を更に備え、上記焦電部は、上記熱伝導部材から上記焦電部に伝導された熱量に応じて、上記電気信号を出力することが好ましい。

上記加熱部材は、電気抵抗であり、上記熱伝導部材は、上記電気抵抗により加熱されて上記焦電部に熱を伝導し、上記焦電部は、上記熱伝導部材から伝導された熱量に応じて、上記電気信号を出力することが好ましい。

上記加熱部材は、上記熱伝導部材に向けて赤外線を照射する赤外線発光ダイオードであり、上記熱伝導部材は、赤外線の照射により加熱されて上記焦電部に熱を伝導し、上記焦電部は、上記熱伝導部材から伝導された熱量に応じて、上記電気信号を出力することが好ましい。

上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、上記インク供給部は、上記インク室の側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記インク室のインク残量が上記インク供給部を介して上記インク室から流出不可能な程度にまで減少した時に、上記加熱部材により加熱された上記熱伝導部材の上記焦電部への熱伝導が最大になるように構成されることが好ましい。

上記底壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記底壁の上記第1の面に設けられていることが好ましい。

上記インク室の側壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記側壁の第1の面に設けられていることが好ましい。

上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、上記インク供給部は、上記インク室の側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記熱伝導部材は、上記インク供給部に近接するように設けられていることが好ましい。

また、本発明は、装置側インターフェースが設けられたカートリッジ装着部と、制御部とを備え、上記カートリッジ装着部に所定の種別のインクカートリッジが装着可能な記録装置である。上記インクカートリッジは、インクを収容するインク室と、電気信号を出力する焦電部と、インクと上記焦電部とに熱を伝導する熱伝導部材と、カートリッジ側インターフェースと、を備えている。上記インク室は、底壁を有している。上記熱伝導部材の少なくとも一部は、上記底壁に接触または近接した位置に設けられている。上記カートリッジ側インターフェースは、上記装置側インターフェースに焦電部からの電気信号を出力するように上記インクカートリッジのカートリッジ装着部への装着時に上記装置側インターフェースと電気的に接続されている。上記制御部は、上記インクカートリッジの上記カートリッジ装着部への装着時に上記装置側インターフェースを介して上記焦電部から上記記録装置に出力される電気信号に基づいて、少なくとも上記インクカートリッジの種別と上記インク室のインク量のいずれか一方を検出する。

上述の構成の場合、記録装置は、出力部材を起動し、それに対して焦電部から入力される信号に基づいて、インク室のインク量がインクエンプティであるか否かを判定する。ここで、上述したように、インク室のインク量がインクエンプティであるか否かは、焦電部からの信号の出力の変化によって正確に検出可能である。よって、記録装置は、インク室のインク量がインクエンプティであるか否かを正確に判定することができる。

上記焦電部は、所定の静電容量を有し、上記所定の静電容量を示す第1の電気信号を出力し、上記制御部は、上記装置側インターフェースを介して上記焦電部から出力される第1の電気信号に基づいて、上記インクカートリッジの種別を判定することが好ましい。

上記インクカートリッジは、上記熱伝導部材を加熱する加熱部材をさらに備え、上記焦電部は、上記熱伝導部材から上記焦電部に伝導された熱量に応じて上記インク室のインク量を示す第2の電気信号を出力し、上記制御部は、上記加熱部材を起動し、上記制御部は、上記加熱部材を起動して、上記装置側インターフェースを介して上記焦電部から出力される上記第2の電気信号に基づいて、上記インク室のインク量がインクエンプティであるか否かを判定することが好ましい。

上記インクカートリッジは、上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、上記インク室は、上記インクカートリッジの上記カートリッジ装着部への装着方向奥側に配置される側壁を更に有し、上記インク供給部は、上記側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記インク室のインク残量が上記インク供給部を介して上記インク室から流出不可能な程度にまで減少した時に、上記加熱部材により加熱された上記熱伝導部材の上記焦電部への熱伝導が最大になるように構成されることが好ましい。

上記カートリッジ装着部は、上記熱伝導部材を加熱する加熱部材をさらに備え、上記焦電部は、上記熱伝導部材から上記焦電部に伝導された熱量に応じて上記インク室のインク量を示す第2の電気信号を出力し、上記制御部は、上記加熱部材を起動し、上記制御部は、上記加熱部材を起動して、上記装置側インターフェースを介して上記焦電部から出力される上記第2の電気信号に基づいて、上記インク室のインク量がインクエンプティであるか否かを判定することが好ましい。

上記インクカートリッジは、上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、上記インク室は、上記インクカートリッジの上記カートリッジ装着部への装着方向奥側に配置される側壁を更に有し、上記インク供給部は、上記側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記インク室のインク残量が上記インク供給部を介して上記インク室から流出不可能な程度にまで減少した時に、上記加熱部材により加熱された上記熱伝導部材の上記焦電部への熱伝導が最大になるように構成されることが好ましい。

上記インクカートリッジは、上記カートリッジ装着部に設けられた上記加熱部材と対向するように上記熱伝導部材に設けられ、上記加熱部材により加熱された上記熱伝導部材の熱を受ける受熱領域を更に備えることが好ましい。

上記底壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記底壁の上記第1の面に設けられていることが好ましい。

上記インク室は、上記インクカートリッジの上記カートリッジ装着部への装着方向奥側に配置される側壁を更に有し、上記側壁は、上記インク室の外側に配置される第1の面と、上記インク室の内側に配置される第2の面とを有し、上記焦電部は、上記側壁の第1の面に設けられていることが好ましい。

上記インクカートリッジは、上記インク室からインクを流出可能なインク供給部を更に備え、上記インク室は、上記インクカートリッジの上記カートリッジ装着部への装着方向奥側に配置される側壁を更に有し、上記インク供給部は、上記側壁であって、上記底壁の近傍に配置されており、上記熱伝導部材は、上記インク供給部に近接するように設けられていることが好ましい。

本発明によれば、インクカートリッジ内のインクができるだけ少なくなった状態をインクエンプティとして正確に報知することが可能である。

図1は、プリンタ部16の模式的な断面図である。

図2は、インクカートリッジ60の模式的な斜視図である。

図3は、センサチップ70の模式的な斜視図である。

図4は、記録装置10の検出部50の回路図である。

図5は、記録装置10の検出部50の他の回路図である。

図6は、記録装置10の制御回路80のブロック図である。

図7Aは、図4に示す検出部50の回路図を用いて行われるインクカートリッジ60の種別を判定するための処理を示すフローチャートである。

図7Bは、図7Aで焦電部71に蓄えられる電圧と時間との関係を示すグラフである。

図8Aは、図5に示す検出部50の回路図を用いて行われるインクカートリッジ60の種別を判定するための処理を示すフローチャートである。

図8Bは、図8Aで検出する静電容量とパルス波形との関係を示す図である。

図9は、インクカートリッジ60の残量を検出するための処理を示すフローチャートである。

図10は、変形例1のセンサチップ70の斜視図である。

図11は、変形例2のセンサチップ70の斜視図である。

図12は、変形例4のプリンタ部16の模式的な断面図である。

図13(a)、図13(b)、図13(c)、図13(d)は、インクカートリッジ60の構造の変形例を示す模式的な断面図である。

以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。

本実施形態では、図1に示されたインクジェット記録方式の記録装置10と、この記録装置10に着脱自在に装着されるインクカートリッジ60と、が説明される。

[記録装置10の概略構成] 記録装置10は、プリンタ筐体と、このプリンタ筐体の上面に載置されたスキャナ筐体と、このスキャナ筐体の上面に載置された原稿カバーとを備えた、いわゆる複合機である。プリンタ筐体には図1に示されたプリンタ部16が収容されている。

記録装置10は、記録装置10の様々な動作を制御する制御部81を備える(図6参照)。記録装置10は、後述するように、装着されたインクカートリッジ60の種別や残量(インクエンプティ)を検出する。ここで、「種別」とは、例えば、インクカートリッジ60のインクの色または色材を意味する。従って、本実施例においては、シアンのインクカートリッジ60は、ブラックのインクカートリッジ60とは異なる種類のインクカートリッジとして扱われる。また、ここで、「インクエンプティ」とは、「フルエンプティ」の状態、及び、「ニアエンプティ」の状態の双方を含むものとする。「フルエンプティ」とは、記録装置10に装着されたインクカートリッジ60にインクが全く残っていない状態を意味する。「ニアエンプティ」とは、記録装置10に装着されたインクカートリッジ60のインク残量がわずかであって、インクカートリッジ60から後述するインク供給部65を介してインクを流出させることができない状態を意味する。

[プリンタ部16] プリンタ部16は、図1に示されたように、被記録媒体14を搬送する搬送装置30と、搬送される被記録媒体14に画像を記録する記録ヘッド20と、この記録ヘッド20や搬送装置30などを駆動させる不図示の駆動部と、インクカートリッジ60が装着されるカートリッジ装着部40と、不図示のパージ機構と、を備えている。

駆動部は、複数個のモータ19(図6参照)と、このモータ19の駆動力を搬送装置30やパージ機構などに伝達する不図示の駆動伝達機構と、を備えている。モータ19は、制御部81により動作されるモータ駆動回路85(図6参照)により駆動される。

搬送装置30は、給紙トレイ15に載置された被記録媒体14に当接した状態で上述の駆動部により回転されることで被記録媒体14を搬送路31に送り出す給送ローラ32と、この給送ローラ32により送り出された被記録媒体14を搬送する搬送ローラ対33及び排紙ローラ対34と、この搬送ローラ対33及び排紙ローラ対34の間に配置されたプラテン35と、を備えている。

搬送ローラ対33は、上述の駆動部により回転される駆動ローラ33Aと、この駆動ローラ33Aに従動する従動ローラ33Bと、を備えている。排紙ローラ対34は、上述の駆動部により回転される駆動ローラ34Aと、この駆動ローラ34Aに従動する従動ローラ34Bと、を備えている。被記録媒体14は、搬送ローラ対33と排紙ローラ対34との少なくとも一方によりプラテン35上を搬送される。

[記録ヘッド20] 記録ヘッド20は、後述されるインクカートリッジ60から供給されたインクを貯留する複数個のサブタンク21(本実施例では、4つ)と、各サブタンク21に貯留されたインクがそれぞれ供給される複数個のノズル22と、各ノズル22をそれぞれ変形させる複数個の圧電素子23(図6参照)と、を備え、プラテン35の上方に配置されている。

ノズル22は、下方のプラテン35に臨む不図示の吐出口を備え、圧電素子23の変形によって、プラテン35上を搬送される被記録媒体14に向かってインクを吐出する。圧電素子23への給電は制御部81により制御される。なお、圧電素子23によるインクの吐出は一例であって、ノズル22内のインクの一部を制御部81により通電が制御されたヒータで加熱することでインクを突沸させてインクを吐出させる構成が採用されてもよい。

記録ヘッド20は、不図示のキャリッジに保持されている。このキャリッジは、ガイドレールなどによって被記録媒体14の搬送方向と記録装置10の高さ方向とに直交する方向に沿って移動可能であって、上述の駆動部により当該方向に沿って移動される。記録ヘッド20の移動と被記録媒体14の搬送とにより、記録ヘッド20は、被記録媒体14のほぼ全面に画像を記録することができる。キャリッジ及び記録ヘッド20の移動は制御部81により制御される。

制御部81は、記録ヘッド20とキャッリッジの動作を制御する。制御部81は、プラテン35上において被記録媒体14を断続的に移動させ、被記録媒体14の移動の停止期間中に記録ヘッド20にインクを吐出させて被記録媒体14に画像を記録させる。制御部81は、駆動部のモータ19(図5参照)の駆動を制御して排紙ローラ対34を回転させ、画像記録後の被記録媒体14を排紙トレイ17に排出する。

[カートリッジ装着部40] カートリッジ装着部40には、インクカートリッジ60が装着される。カートリッジ装着部40は、図1に示されたように、開口46を有する矩形箱状のケース41に設けられている。このケース41の内部空間は、内壁面から突出する3個の仕切板(不図示)により4つの空間に仕切られており、当該4つの空間にインクカートリッジ60がそれぞれ装着される。つまり、ケース41に4つのカートリッジ装着部40が設けられている。各カートリッジ装着部40には、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのいずれかのインクがそれぞれ収容されたインクカートリッジ60がそれぞれ装着される。さらに、ケース41は、開口46を開閉するためのカバー(不図示)が設けられている。カバーを開いて、開口46から、インクカートリッジ60を、カートリッジ装着部40に装着、あるいは、カートリッジ装着部40から取り出す。

また、カートリッジ装着部40は、インクチューブ43と、インクカートリッジ60が装着されると後述の第2インターフェース(接点)75(図3参照)と当接する一対の第1インターフェース(接点)44と、インクカートリッジ60が装着された際に後述の第4インターフェース(接点)77(図3参照)と当接する一対の第3インターフェース(接点)45と、を備えている。インクチューブ43は、記録ヘッド20にインクカートリッジ60の後述のインク室90に収容されたインクを供給する。第1インターフェース44及び第3インターフェース45は、インクカートリッジ60とカートリッジ装着部40とを電気的に接続する。

[インクカートリッジ60] インクカートリッジ60について、図1及び図2を参照して以下説明する。 図1及び図2に示されるように、インクカートリッジ60は、カートリッジ筐体61と、センサチップ70と、を備えている。カートリッジ筐体61には、インクを収容するインク室90(図1参照)が内部に設けられている。センサチップ70の出力は、インクカートリッジ60の色(種別)及び残量(インクエンプティ)を検出するために用いられる。

[カートリッジ筐体61] カートリッジ筐体61は、幅方向7に細く、高さ方向9と奥行き方向8が幅方向7よりも大きい略扁平形状をなしている。なお、本実施例においては、インクカートリッジ60の記録装置10への装着向きは、奥行き方向8と平行であり、幅方向7が平方向に相当し、高さ方向9が重力方向に相当する。カートリッジ筐体61は、上壁61C、下壁61D、後壁61A、前壁61B、右側壁61E及び左側壁61Fで構成されている。インクカートリッジ60がカートリッジ装着部40へ装着されるときに装着向きの先端側(換言すると記録装置10の奥側)となる壁が前壁61Bであり、後端側(換言すると記録装置10の手前側)となる筐体61の壁が後壁61Aである。前壁61Bと後壁61Aとは、奥行き方向8において所定距離を介して対向している。一対の側壁61E、61Fは、奥行き方向8に延びており、それぞれ、前壁61B及び後壁61Aに接続している。上壁61C(図1参照)は、側壁61E、61F、前壁61B及び後壁61Aの上端をそれぞれ接続しており、前壁61Bの上端から後壁61Aの上端まで、奥行き方向8に延びている。下壁61Dは、側壁61E、61F、前壁61B及び後壁61Aの下端をそれぞれ接続しており、前壁61Bの下端から後壁61Aの下端まで、奥行き方向8に延びている。

そして、インク室90は、上壁61C、下壁61D、後壁61A、前壁61B、右側壁61E及び左側壁61Fで囲まれる空間である。

カートリッジ筐体61は、例えば、フレームとフレームに貼り付けられたフィルムとで形成される。

カートリッジ筐体61がカートリッジ装着部40に装着されると、上述のインクチューブ43が前壁61Bに設けられたインク供給部65と接続する。インク供給部65は、内部が空洞の円筒形状の外形をなしており、その一の開口端が、カートリッジ筐体61の前壁61Bを貫通し、他の開口端が、前壁61Bから装着向きの前方に向けて突出している。インク供給部65は、インクカートリッジ60がカートリッジ装着部40に装着されると、インクチューブ43に接続される。詳細には、インク供給部65は、カートリッジ筐体61の前壁61Bに位置し、高さ方向9において、下壁61Dに近接する側に設けられている。つまり、インク供給部65は、カートリッジ筐体61の前壁61Bの下側に設けられている。インクカートリッジ60がカートリッジ装着部40に装着されると、インク室90に収容されたインクは、インク供給部65及びインクチューブ43を介して、サブタンク21に流入する。つまり、インク供給部65は、インク室90からインクを流出可能に構成されている。

カートリッジ筐体61の下壁61Dには、センサ基板74(図3参照)を保持する一対の鉤爪63及び一対の係止爪64が設けられている。一対の鉤爪63は、幅方向7において間隔をあけて配置されている。一対の係止爪64は、インクカートリッジ60の幅方向7において互いに離間すると共に、奥行き方向8において鉤爪63から離間する位置にそれぞれ配置されている。鉤爪63の爪部63Aは、当該鉤爪63と対向する位置に配置される係止爪64に向かって突出して形成されている。また、係止爪64の爪部64Aは、当該係止爪64と対向する位置に配置される鉤爪63に向かって突出して形成されている。係止爪64は、可撓性の合成樹脂材料で形成されている。センサ基板74をカートリッジ筐体61に固定する場合に、係止爪64が撓むことにより、係止爪64と鉤爪63とで囲まれた空間にセンサ基板74が嵌め込められる。なお、センサ基板74は、溶着によりカートリッジ筐体61に固定してもよいし、接着剤などを用いてカートリッジ筐体61に固定してもよい。

[センサチップ70] 図2に示されたように、センサチップ70は、センサ基板74と熱伝導部材78とを備える。センサ基板74には、焦電部71、抵抗(電気抵抗)76、第2インターフェース75(図3参照)、第4インターフェース77(図3参照)、回路パターンP1、P2(図3参照)が設けられている。

[センサ基板74] センサ基板74は、ガラスエポキシやセラミックスなどの絶縁材料からなる矩形板状に形成されている。センサ基板74は、高さ方向9、すなわち、センサ基板74の厚み方向91において互いに対向する一対の面74A、74Bを有している。センサ基板74は、カートリッジ筐体61の下壁61Dの下面(外面)に、一対の鉤爪63及び一対の係止爪64の間に嵌め込まれ、一対の鉤爪63及び一対の係止爪64により保持される。このとき、面74Bは、下壁61Dの下面に対向して当接しており、当該面の長手方向92が奥行き方向8(図2参照)に一致する。以下、センサ基板74の厚み方向91において互いに対向する一対の面74A、74Bのうち、カートリッジ筐体61の下壁61Dに当接する方の面を当接面74B、当接面74Bの反対側の面、つまり、焦電部71が実装される側の面を実装面74Aとして説明がされる。

[抵抗76] 抵抗76(加熱部材)は、センサ基板74の実装面74Aにおけるほぼ中央部に実装される。抵抗76は、センサ基板74への熱伝導を良くするために、例えば、面実装タイプの抵抗が用いられる。抵抗76の短手方向93(幅方向7に相当)における両端は、センサ基板74の回路パターンであるパターンP2により一対の第4インターフェース77と接続されている。本実施形態では抵抗76が加熱部材として用いられたが、抵抗76の他、通電されることにより熱を生じるものや、赤外線発光ダイオードなどを加熱部材として用いることができる。

[焦電部71] 焦電部71は、センサ基板74の実装面74Aに設けられている。すなわち、焦電部71は、下壁61Dの下面(外面)に設けられている。図3に示されたように、焦電部71は、焦電体72(誘電体)と、この焦電体72の表面に形成される薄膜電極73(73A、73B)とからなり、三層構造としている。焦電部71は、所定の静電容量を有している。センサ基板74及び熱伝導部材78は、カートリッジ筐体61(インク室90)に収容されたインクと焦電部71との間に熱伝導経路を形成し、インクと焦電部71に抵抗76からの熱を伝達する。

なお、焦電部71は、絶縁性薄膜、例えば、ポリイミド系樹脂薄膜のような有機絶縁性薄膜またはSiO2薄膜やSi3N4のような無機絶縁性薄膜によりセンサ基板74(実装面74A)に保持されている。

焦電体72は、チタン酸ジルコン酸鉛などで長方形の膜状に形成されおり、温度変化により応じて自発分極をもつ焦電効果を有している。なお、焦電体72には、チタン酸ジルコン酸鉛の他、チタン酸リチウム、その他チタン酸鉛、電気石(ほう素を含むシクロ珪酸塩鉱物)、タンタル酸リチウムなどの無機材料、三流化グリシン(TGS)、ポリビニリデンジフロライド(PVDF)などの有機材料などの種々の焦電体を用いることができる。

焦電部71の一対の薄膜電極73(73A、73B)は、センサ基板74の回路パターンである第1パターンP1により一対の第2インターフェース75と接続されている。

図3に示されたように、一対の電極73(73A、73B)は、それぞれ長方形の膜状に形成され、焦電体72の表裏両面にそれぞれ蒸着されている。ここで、一対の薄膜電極73A、73Bのうち、センサ基板74の実装面74Aに当接する方の電極を73Bとし、焦電部71の底面(下面)を構成する方の電極を73Aとする。

焦電部71は、センサ基板74の実装面74Aの長手方向92(奥行き方向8)の一端部である係止爪64により保持された側に配置される。すなわち、焦電部71は、実装面74Aの後端部に設けられている。焦電部71の薄膜電極73A、73Bは、ワイヤボンディングなどにより、センサ基板74に設けられた第1パターンP1に接合するように実装されている。

なお、一対の電極73A、73Bは、蒸着以外の方法で焦電部71上に形成されてもよい。例えば、一対の電極73A,73Bは、第1パターンP1と一体に形成されてもよく、ワイヤボンディング、あるいは、導電性接着剤によって、焦電体72に接着されてもよい。

一対の電極73のうちのいずれか一方の電極73、本実施例においては、電極73Aは、図4及び図5の回路図に示されたように、仮想接地されている。

焦電部71の静電容量は、焦電体72の誘電率、一対の電極73A、73B間の距離(焦電体72の厚み寸法)、または厚み方向から見た場合における電極73の面積などにより決まる。すなわち、焦電体72の厚みや、電極73A、73Bの上記面積を変えることにより、焦電部71の静電容量を変えることができる。焦電部71の静電容量は、インクカートリッジ60に貯留される色や色材等の種別等に応じて、それぞれ異なる値に設定され、固有値を有する。制御部81は、焦電部71の静電容量を検出部50により検出することにより、インクカートリッジ60の種別を判定してもよい。

[第2インターフェース75] 図3に示されたように、第2インターフェース75は、センサ基板74の実装面74Aにおける焦電部71の配置された一端部とは反対側の端部であって、短手方向93に並び且つ鉤爪63(図2参照)を避けた位置にそれぞれ設けられている。すなわち、第2インターフェース75は、カートリッジ筐体61の下壁61D側に設けられている。各第2インターフェース75は、センサ基板74の実装面74Aに設けられた第1パターンP1により焦電部71の一対の電極73A、73Bの一方にそれぞれ接続されている。第1パターンP1は、センサ基板74の表面の長手方向92の一辺に一部が沿うように設けられている。第2インターフェース75は、インクカートリッジ60をカートリッジ装着部40に装着した際に、カートリッジ装着部40に設けられた上述の第1インターフェース44に当接する。

[第4インターフェース77] 第4インターフェース77は、短手方向93に並ぶ一対の第2インターフェース75の間において、上記短手方向93に並び且つ鉤爪63を避ける位置に配置されている。すなわち、第4インターフェース77は、カートリッジ筐体61の下壁61D側に設けられている。各第4インターフェース77は、センサ基板74の実装面74Aに設けられた第2パターンP2により抵抗76の両端の一方にそれぞれ接続されている。第2パターンP2は、第1パターンP1に一部が沿うように設けられている。第4インターフェース77は、インクカートリッジ60をカートリッジ装着部40に装着した際に、カートリッジ装着部40に設けられた上述の第2インターフェース45に当接する。

[熱伝導部材78] 熱伝導部材78は、インク室90に収容されたインクに抵抗76からの熱を伝導するように構成されている。図1及び図2に示されたように、熱伝導部材78は、カートリッジ筐体61の下部であって、インク供給部65の近傍に設けられている。熱伝導部材78は、略板状に形成されており、本体部78Aと、カートリッジ筐体61の下壁61Dを貫通する貫通部78Bとを有している。本体部78Aが、インク室90内に収容されているのに対し、貫通部78Bは、抵抗76と焦電部71(焦電体72)との間においてセンサ基板74に当接するように、下壁61Dを貫通している。貫通部78Bは、センサ基板74に近接するように設けられていてもよい。これにより、熱伝導部材78は、センサ基板74とインク室90に収容されたインクとの間に熱伝導経路を形成し、抵抗76からの熱をインク室90のインクに伝導する。

熱伝導部材78の本体部78Aの下面は、下壁61Dのインク室90側の面、すなわち、上面(内面)に対向している。熱伝導部材78の本体部78Aの下面は、下壁61D上面全体に拡がっている。換言すると、本体部78Aの下面は、インク室90の底部を画定する下壁61Dの上面に、接触している。本体部78Aがインク室90の底部に位置するので、インク室90にインクがあるときは、本体部78Aの上面は、インク室90に収容されたインクに触れている。熱伝導部材78の少なくとも一部は、下壁61Dに当接する位置に設けられている。あるいは、熱伝導部材78の少なくとも一部は、下壁61Dに近接した位置に設けられていてもよい。

貫通部78Bは、本体部78Aに対して、インク室90の反対側に設けられており、下壁61Dを貫通している。これにより、貫通部78Bは、下壁61Dの下側、つまりインク室90の底部の下側に設けられている焦電部71に近い位置に配置されることができる。貫通部78Bは、このように、焦電部71の一部を構成する焦電体72に近接するように設けられている。

上述の構成により、インク室90にインクが少しでも残っている場合、熱伝導部材78はインクに触れる一方、インク室90にインクが全く残っていない場合、熱伝導部材78はインクに触れない。

なお、熱伝導部材78としては、銅箔、アルミ箔などの熱伝導率の高い部材が用いられる。

熱伝導部材78は、抵抗76からセンサ基板74に伝達された熱をカートリッジ筐体61のインク室90に収容されたインクに伝導する。

より詳細には、抵抗76からの熱は、センサ基板74を介して熱伝導部材78及び焦電部71に伝導される。インク室90内にインクがある場合には、熱伝導部材78はインクに触れているため、センサ基板74からの熱は熱伝導部材78を介してインクに吸収される。このとき、焦電部71にも、センサ基板74を介して抵抗76からの熱が伝導される。しかし、焦電部71の温度は、実質的には変化しない。インク室90内のインクが、熱伝導部材78からの熱だけでなく、焦電部71に伝導された熱も吸収するためである。従って、焦電部71の温度はほとんど変化しない。

つまり、インク室にインクがある時は、抵抗76からの熱は、最終的にインクへ放熱されるので、焦電部71への熱の伝導が抑制される。インク室にインクがある時に、抵抗76に通電を行うと、焦電部71に伝わる熱量は、インクに伝わる熱量よりも小さい。インクへは熱伝導部材78から直接的に伝導される熱と、センサ基板74及び熱伝導部材78を介して焦電部71から伝導される熱と、が伝導されるからである。よって、焦電部71に伝導される熱量はわずかであるため、電極73A、73B間に電位差がほとんど生じない。

一方、インク室90のインク残量が、熱伝導部材78がインクから露出する程度にまで減少すると、熱伝導部材78は、抵抗76からの熱をインクへ放熱できなくなる。その結果、熱伝導部材78に伝導された熱は、センサ基板74を介して焦電部71に伝導されることになる。また、焦電部71に伝導された熱が、インクに吸収されることもなくなる。従って、センサ基板74を介して抵抗76から伝導される熱とセンサ基板74を介して熱伝導部材78から伝導される熱とにより、焦電部71の温度が上昇し始める。

インク室90にインクがない場合、つまり、熱伝導部材78がインクに触れていない場合、熱伝導部材78よりも焦電部71に熱が多く伝わるので、焦電部71の温度が大きく上昇する。焦電部71の温度変化が大きくなるため、焦電体72の焦電効果により、一対の電極73A、73B間の電位差が生じる。この電位差が、焦電部71から出力電圧として出力される。焦電部71から出力される電圧は、制御部81に出力され、カートリッジ60のインク室90のインク量がインクエンプティであるか否かが検出される。

このように、熱伝導部材78が、インク室90の底部に設けられているので、記録装置10は、焦電部71からの出力電圧を検出することにより、インク室90のインク量がインクエンプティであるか否かを検出することができる。

次に、インクカートリッジ60が記録装置1に装着されたときに構成される検出部50について、図4及び図5を参照しながら説明する。

[検出部50] 検出部50は第1検出回路51と、第2検出回路52と、トグルスイッチ53から構成されている。第1検出回路51は焦電部71の静電容量を検出するためのものであり、検出した静電容量によりインクカートリッジ60の種別(色)を特定するものである。なお、焦電部71は電気的にはコンデンサと等価であるため、図4及び図5に示されている回路を説明するに際し、焦電部71をコンデンサ71として説明する場合がある。第2検出回路52は焦電効果により焦電部71に生じる電圧を検出するためのものであり、検出した電圧によりインクカートリッジ60内のインク残量を求める。

[スイッチ53] トグルスイッチ53は、第1検出回路側固定接点と、第2検出側固定接点と、これら二つの固定接点間を移動可能な可動接点から構成されている。スイッチ53の切り替えにより選択された第1検出回路51若しくは第2検出回路52のいずれにも焦電部71(コンデンサ71)が接続された構成になっている。スイッチ53は、制御部81からの信号に応答して切り替わる。スイッチ53には、電磁式のスイッチや半導体スイッチ等を適用することができる。

スイッチ53の可動接点が第1検出回路側固定接点側に切り替わると、第1検出回路51が閉じ、動作可能となる。第1検出回路51はコンデンサ71と抵抗R1とで構成されており、抵抗R1の一端はコンデンサ71の非接地側電極73Bに接続されており、他端は第1駆動回路82に接続されている。図6を参照しながら後に説明するように、第1駆動回路82は制御回路80の一部であり、制御部81による制御下で、パルス信号を出力する。当該パルス信号は、所定期間ハイレベルを維持し、その際の電圧はVINである。周知のトーテムポール出力回路により第1駆動回路82を構成することができる。第1検出回路51からの出力は、出力端子V1OUTから取り出される。出力端子V1OUTは、抵抗R1と焦電部71の非接地側電極73B間から引き出されている。

[第1検出回路51] 第1検出回路51はRC回路として動作し、コンデンサたる焦電部71は第1駆動回路82からのパルス信号に応答して徐々に充電されていく。焦電部71に生じる電圧は所定の時刻t1で検出される。この時刻t1は、焦電部71が満充電になる前の期間内に選定されている。時刻t1で検出された焦電部71に生じた電圧は、出力端子V1OUTを介して制御部81内の後述するA/D変換器89に出力される。コンデンサとして機能する焦電部71が満充電状態になる前の期間において、焦電部71に生じる電圧は焦電部71の静電容量により異なる。焦電部71の電圧と静電容量とは反比例の関係にある。即ち、静電容量が小さければ小さいほど、焦電部71に生じる電圧は高くなり、逆に静電容量が大きければ大きいほど、焦電部71に生じる電圧は低くなる。図7Bに示されているように、静電容量が異なる複数の焦電体の中で、静電容量が最も小さい焦電体(C1)に生じる電圧は最も高くなり、二番目に静電容量が小さい焦電体(C2)に生じる電圧は二番目に高くなる。時刻t1で測定した電圧値についても同様である。この最も高い電圧と二番目に高い電圧との間に差分ΔVがあるため、静電容量が異なる2つの焦電体を差別化することができる。上述した電圧と静電容量の関係は、図7Bに示されている静電容量がC3とC4である残りの二つの焦電体についても同様である。従って、時刻t1で検出した焦電部71に生じた電圧に基づいて、インクカートリッジ60の種別(色)を特定することができる。

図5は、発振回路で構成された第1検出回路51の他の例(以下、第1検出回路54あるいは発振回路54と称す)を示したものである。この第1検出回路54からスイッチ53により切り替えられる第2検出回路52の構成は、図4に示したものと同じである。図5に示される第1検出回路54は、コンデンサと等価な焦電部71と、抵抗R4と、インバータINVにより構成されている。抵抗R4とインバータは並列接続されており、この並列接続された回路は焦電部71の非接地側電極73Bに接続されている。インバータの出力が第1検出回路54の出力となる。第1検出回路54は焦電部71の静電容量に応じた周波数を有するパルス列を生成する。従って、パルス列の周波数によりインクカートリッジ60の種別(色)を判定することが可能となる。

インバータは2つの閾値VT+とVT−を有している(VT+>VT−)。図示しない電源をオンする前は、焦電部71には電荷は蓄積されておらず、そのため焦電部71の両電極73A、73B間の電圧はゼロである。この場合、インバータへの入力はLowレベルと見なされ、よってインバータの出力はHighレベルとなる。焦電部71が徐々に充電され、焦電部71の両電極73A、73B間の電圧が高い方の閾値VT+に達すると、インバータへの入力はLowレベルからHighレベルに変化したことになり、その結果、インバータの出力はHighレベルからLowレベルに変化する。焦電部71に蓄積されていた電化は抵抗R4を介して放電され、焦電部71の両電極73A、73B間の電圧は徐々に低下することになる。焦電部71の両電極73A、73B間の電圧が低い方の閾値VT−に達すると、インバータへの入力はHighレベルからLowレベルに変化したことになり、その結果、インバータの出力はLowレベルからHighレベルに変化する。このように、出力端子V1OUTを介してA/D変換器89へパルス列が出力される。このパルス列の周波数は焦電部71の静電容量に応じて変化するため、固有の静電容量を有する焦電部71を備えたインクカートリッジ60の種別(色)をパルス列の周波数により特定することができる。

[第2検出回路52] スイッチ53の可動接点が第2検出回路側固定端子に接している状態で、第2検出回路52は閉じ、動作可能となる。第2検出回路52はDC電源Eと、抵抗R2、R3とN型の電解効果トランジスタ(FET)により構成されている。第2検出回路52は焦電部71に生じた電圧を検出すると共に、検出電圧を増幅して出力する。FETのゲートには抵抗R2間の電圧が印加され、ドレインは抵抗R3の一端に接続されている。また、FETのソースはDC電源Eの負極側端子に接続されている。抵抗R3はDC電源Eの正極側端子とFETのドレイン間に接続されている。第2検出回路52の出力端子V2OUTは、抵抗R3とFETのドレインの接続点から引き出されている。

このように構成された第2検出回路52において、FETのゲートに電圧が印加されるとFETが導通してそのオン抵抗がゲート電圧に応じて変化し、出力端子V2OUTから出力される電圧は、コンデンサ71に生じた電圧、即ちFETのゲート電圧を増幅したものとなる。このように、抵抗76で発生した熱を焦電部71が吸収することにより、焦電部71の両電極73A、73B間に電圧が生じ、その電圧が増幅機能を有する第2検出回路52により増幅されて制御部81に出力される。制御部81では入力した電圧値に基づいてインクカートリッジ60のインク残量を求める。

次に、記録装置1の内部制御系について図6を参照して説明する。

[制御回路80] 記録装置10は制御回路80を備えており、制御回路80は、第1検出回路51、抵抗76、モータ19、及び圧電素子23への通電を制御している。

制御回路80は、図6に示されたように、制御部81と、上述の駆動部のモータ19を駆動させるモータ駆動回路85と、圧電素子23を駆動させる圧電素子駆動回路86と、第1検知回路51を駆動させる第1駆動回路82と、抵抗76への通電を行う第2駆動回路83と、を備えている。各駆動回路は制御部81により制御される。

[制御部81] 制御部81は、記憶部84、タイマー87、カウンター88、及び、A/D変換器89を備えている。記憶部84は、インクカートリッジ60の種別を判断するための第1判定テーブルの各所定値(以下、第1所定値という)と、インク残量を判断するための第2判定テーブルの各所定値(以下、第2所定値という)と、を記憶している。

タイマー87及びカウンター88は、装着されたインクカートリッジ60の種別及び残量(インクエンプティ)を記録装置10が検出する際に用いられる。A/D変換器89は、第1検出回路51から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。

[種別判断工程] 次に、記録装置10のインクカートリッジ60の種別を判定する処理(以下、種別判断工程という)について、図7A及び図7Bに基づいて説明する。本実施形態では、焦電部71の静電容量は、図4に示す第1検出回路51によって検出される。また、上述したように、図5に示す発振回路54(第1検出回路54)を用いてもよい。図5に示す発振回路54を用いた種別判断工程について、図8A及び図8Bに基づいて後述する。

図7Aに示すように、種別判断工程は、インクカートリッジ60交換のためにカートリッジ装着部40の図示せぬカバーが開けられたときに開始する。カバーが閉じられていない時は(S1:NO)、開始まで戻る。カバーが閉じられた時(S1:YES)、スイッチ53によって第1検出回路51が閉回路となり、第1駆動回路82によってステップ電圧VINが第1検出回路51に供給される(S2)。これにより、焦電部71に電圧VINがかかる。

図7Bに、各色ごとの焦電部71の静電容量に基づいた焦電部71にかかる電圧と時間との関係性を表すグラフを示す。静電容量C1、C2、C3、C4は、それぞれのインクの色に対応していて、静電容量C4が最大、静電容量C1が最小となる。静電容量C1はインクカートリッジ60のブラックに、静電容量C2はイエローに、静電容量C3はシアンに、静電容量C4はマゼンダに、それぞれ対応している。上述したように、焦電部71に電圧VINが負荷されてからt1時間経過後に出力端子V1OUTから出力される出力電圧VC1−C4は、静電容量ごとに異なる。制御部81は、t1時間経過後のV1OUTから出力される出力電圧VC1−C4を検出し(S3)、検出した電圧VC1−C4と第1判定テーブルの第1所定値とを比較する(S4)。その比較結果に基づいて、制御部81は、カートリッジ装着部40に装着されているインクカートリッジ60の種別(色)が正しいか否かを判断する(S5)。

出力電圧VC1−C4が第1判定テーブルの第1所定値のいずれとも適合しなかった場合(S5:NO)、例えば、誤った色のインクカートリッジ60が装着されたことを表示部に表示してユーザに警告する(S7)。出力電圧VC1−C4が第1判定テーブルの第1所定値と適合した場合(S5:YES)、記録装置10が印刷処理を行うために必要な準備、例えば、キャリッジの位置決めや吐出口のパージ処理を行う。同時に、装着されたインクカートリッジ60のインク残量を検知する処理(以下、残量検知工程という)へと進む(S6)。

次に、図5に示す発振回路54を用いて焦電部71の静電容量を検知する種別判断工程について、図8A及び図8Bを参照して説明する。

図7Aに示す種別見地工程の場合と同様に、カートリッジ装着部40の図示せぬカバーが開けられた時、種別判断工程が開始される。カバーが閉じられていない場合(S101:NO)、開始まで戻る。カバーが閉じられた時(S101:YES)、スイッチ53によって発振回路54が閉回路となり、電圧VINが発振回路54にかかる。そして、発振回路54が安定するまで待つ(S102)。発振回路54が安定すると、タイマー87が計測を開始しカウンター88がリセットされる(S103)。カウンター88は、出力端子V1OUTから出力されるパルスの立ち上がりの検出数をカウントする(S104:YES、S105)。タイマー87が計測開始から時間t2が経過していない場合は(S106:NO)、S104まで戻り再びパルスのカウントを行う(S105)。このように、タイマー87の計測開始から時間t2が経過するまでは、S104からS106までを繰返す。

計測開始から時間t2が経過したら(S106:YES)、時間t2とパルスの立ち上がりの検出数(カウンター88の数値)からパルスの周波数を算出する(S107)。

図8Bに、焦電部71の静電容量(1)、(2)、(3)、(4)に対応した4種類の出力の周波数(波形)を示す。上述したように、各パルスの波形は焦電部71の静電容量ごとに異なるため、検出したパルス周波数(波形)に基づいて、インクカートリッジ60の種別(色)を判断する。

第1判定テーブルに記憶される第1所定値は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンダ、の各色に関連付けられた周波数(波形)に対応する。例えば、出力端子V1OUTから検出された波形の周波数が図8Bの(3)であった場合、第1判定テーブルに保存された第1所定値と出力されたパルスの周波数とを比較して両者が一致すればインクカートリッジ60の色はシアンと判断される。

このように、S108で検出した周波数(カウンター88の数値)と第1所定値とを比較してインクカートリッジ60の種別(色)が判断される(S109)。具体的には、本来はシアンを装着するべきカートリッジ装着部40で(1)の波形(ブラック)が検出された場合はインクカートリッジ60の色が間違っていると判断し、検出された波形が(1)から(4)のいずれとも合致しなかった場合は装着されたインクカートリッジ60の種別が間違っていると判断する(S109:NO)。このとき、エラー表示などを行い、語装着であることをユーザに警告する(S112)。インクカートリッジ60の種別(色)が正しいと判断されたとき(S109:YES)、記録装置10が印刷処理を行うために必要な準備、例えば、キャリッジの位置決めや吐出口のパージ処理を行う。同時に、装着されたインクカートリッジ60のインク残量を検知する残量検知工程へと進む(S110)。

他方、S104で出力パルスの立ち上がりが検出されなかった場合(S104:NO)、タイマー87が計測開始から時間t2が経過したかを判断する(S111)。まだ、時間t2が経過していない場合(S111:NO)、S104まで戻って再び出力パルスの立ち上がりを検出する。時間t2が経過しても出力パルスの立ち上がりを検出できなかった場合は(S111:YES)、S107に進み、パルスの周波数を算出する。

カートリッジ装着部40に装着されたインクカートリッジ60が正しいと判断された後(S6,S111の後)、又はユーザが印刷処理を実行する際に、残量検知工程が開始される。以下、図9を参照しながら、残量検知工程について説明する。

[残量検知工程] 残量検知工程が開始されると、スイッチ53は第2検出回路52側に切替えられて、焦電部71は第2検出回路52に接続される(S201)。さらに、第2駆動回路83に通電されて抵抗76に電流が流れると(S202)、タイマー87が計測を開始する(S203)。そして、出力端子V2OUTからの出力電圧VNを一定時間毎に検出し電圧の合計電圧VSUMを算出する。合計電圧VSUMは、出力電圧VNと出力電圧VNの直前に計測された出力電圧VN−1との合計値である。

タイマー87の計測開始から時間t3が経過すると(S205:YES)、合計電圧VSUMと第2判定テーブルに記憶された第2所定値とを比較して(S206)、インクカートリッジ60のインク室90のインク量がインクエンプティか否かを判断する(S207)。インクカートリッジ60のインク室90のインク量がインクエンプティである場合は、合計電圧VSUMが第2所定値よりも大きくなる。このとき、熱伝導部材78はインクに触れていないため、抵抗76からの熱は、熱伝導部材78からインクに放熱されずにセンサ基板74を介して焦電部71に伝達される。

合計電圧VSUMが第2所定値以下である場合(S207:NO)、インクカートリッジ60にはインクがまだ残っていると判断される。これにより、記録装置10は、入力ボタンからの印刷指示又はPCなどの外部端末からの印刷指示に基づいて、印刷処理を行うことができる(S208)。

他方、合計電圧VSUMが第2所定値より大きい場合(S207:YES)、インクカートリッジ60のインク室90のインク量はインクエンプティであると判断される。そして、インクカートリッジ60のインクが無くなりつつあり、インクカートリッジ60を交換する必要がある旨のメッセージを表示するなどして、ユーザに警告する(S209)。

[本実施形態の効果] 本実施形態のインクカートリッジ60は、センサ基板74及び熱伝導部材78の少なくとも一部は、カートリッジ筐体61の下壁61Dに当接あるいは近接した位置に設けられている。このため、インク室90にインクが少しでも残留している場合、熱伝導部材78とインクとは接触している。この場合に、外部から熱が伝導されると、当該熱の多くが熱伝導部材78を介してインクに伝導される。つまり、熱伝導部材78から焦電部71に伝導される熱量は少ない。これにより、焦電部71の温度上昇は小さく抑えられる。

一方、熱伝導部材78にインクが接しなくなると、熱伝導部材78に熱が伝導されても、当該熱がインクに伝導されることはない。これにより、当該熱は、センサ基板74を介して熱伝導部材78から焦電部71に伝導され、焦電部71の温度は、インクがインク室90に残留している場合に比べて、大きく上昇する。

ここで、焦電部71は、伝熱による温度の変化が大きいと、所謂焦電効果によって、電流及び電圧の変化が大きい。つまり、焦電部71からの信号の出力の変化が大きい。一方、焦電部71の温度の変化が小さいと、電流及び電圧の変化が小さい。つまり、焦電部71からの信号の出力の変化が小さい。

つまり、上述の実施形態の場合、熱伝導部材78とインクとが接触している状態では、焦電部71からの信号の出力の変化が小さく、熱伝導部材78とインクとが接触していない状態では、焦電部71からの信号の出力の変化が大きい。

以上より、焦電部71からの信号の出力の変化によって、カートリッジ60(インク室90)のインクがインクエンプティであるか否かが、正確に検出可能である。

また、本実施形態のインクカートリッジ60は、抵抗76を備えているため、当該抵抗76の通電によって容易に熱を熱伝導部材78に伝導させることができる。

また、本実施形態の記録装置10は、抵抗76に通電を行うことによって抵抗76を加熱させ、それに対して焦電部71から入力される信号に基づいて、インク室90のインク量がインクエンプティであることを判定する。ここで、上述したように、インク室90のインク量がインクエンプエティであるか否かは、焦電部71からの信号の出力の変化によって正確に検出可能である。よって、記録装置10は、インク室90のインク量がインクエンプティであるか否かを正確に判定することができる。また、記録装置10は、カートリッジ装着部40に装着されたインクカートリッジ60が、インクエンプティであることをユーザに通知することができる。

また、本実施形態の記録装置10は、検出部50及び制御部81を備えることにより、インクカートリッジ60のインク室90のインク量がインクエンプティであるか否かだけではなく、インクカートリッジ60の種別も判定することができる。つまり、インクカートリッジの誤装着を検知して、ユーザにインクカートリッジ60の交換を促すことができる。

[変形例1] 上述では、センサ基板74に抵抗76が実装された構成が説明されたが、本変形例では、抵抗176が記録装置110のカートリッジ装着部140に設けられた構成が説明される。

図10に示されたように、センサ基板174は、抵抗176が実装される代わりに、カートリッジ装着部140に設けられた不図示の抵抗が当接する受熱領域179を中央部に備える。なお、上述の抵抗が受熱領域179に直接当接する構成の代わりに、当該抵抗から熱が伝達された部材が受熱領域179に当接する構成が採用されてもよい。

本変形例では、センサ基板174に抵抗76及び第4インターフェース77(図3参照)を設けないから、センサチップ170の構成が上述の実施形態よりも簡単になり、その結果、インクカートリッジ160の構成をより簡単にすることができる。

なお、抵抗176の代わりに、赤外線発光ダイオードをカートリッジ装着部140に設けてもよい。

[変形例2] 上述では、インクがインク室90に残っているときは抵抗76(図3参照)からの熱をインクに伝え、インクがインク室90に残っていないときは抵抗76からの熱を焦電部71に伝える構成が説明されたが、本変形例では、図7に示されたように、センサチップ270が、抵抗76の代わりにセンサ基板274に赤外線を照射する赤外線発光ダイオード294を備えた構成が説明される。制御回路280は、第2駆動回路83(図6参照)の代わりに、不図示のダイオード駆動回路を備えている。ダイオード駆動回路は、例えば、定電圧回路又は定電流回路である。

制御部81は、インク残量(インクエンプティ)の判定を行う場合は、ダイオード駆動回路を制御して赤外線発光ダイオード294を駆動し、センサ基板274を加熱する。インクがインク室90に残っており熱伝導部材78がインクに接触している場合は、焦電部71はあまり温度が変化せず、焦電部71にはほとんど出力電圧が生じない。インクがインク室90に残っておらず熱伝導部材78がインクに接触していない場合は、焦電部71に熱が伝わり、焦電部71の一対の電極73A、73B間に電位差が生じる。したがって、インク残量の有無により焦電部71の出力電圧に差が生じる。制御部81は、第2検出回路52により焦電部71の出力電圧を検出し、インク室90内のインク残量の判定を行う。なお、インクカートリッジ260の種別の判定は、上述と同様にして行われる。

[変形例3] 上述の変形例2では、赤外線発光ダイオード294によりセンサ基板274を加熱し、センサ基板274の熱がインク又は焦電部71に伝達される構成が説明されたが、本変形例では、熱伝導部材78が別途設けられる代わりに、不図示のカートリッジ筐体361の壁(例えば、不図示の下壁361D)を熱伝導部材として機能させてもよい。焦電部71(不図示)がセンサ基板374(不図示)の当接面374B(不図示)に実装されて下壁361Dに当接し、赤外線発光ダイオード394(不図示)がセンサ基板374の当接面374Bに実装されて下壁361Dに向かって赤外線を照射する構成が説明される。

赤外線が照射されることにより加熱されたカートリッジ筐体361の下壁361Dは、インクがインク室90に残っている場合は、温度があまり上がらず、焦電部71にはほとんど出力が生じない。インクがインク室90に残っていない場合は、カートリッジ筐体361の壁の温度が上がり、焦電部71に出力が生じる。

制御部81は、ダイオード駆動回路を制御して赤外線発光ダイオード394を駆動した後、第2検出回路52で焦電部71の出力電圧又は出力電圧の変化率を検出し、インクカートリッジ360(不図示)のインク室90のインク量がインクエンプティであるか否かを判定する。

[変形例4] 上述では、図1及び図2に示されたように、熱伝導部材78は、カートリッジ筐体61の下部に設けられており、本体部78Aの下面が、下壁61Dの上面に当接している場合について説明された。しかし、熱伝導部材78の少なくとも一部が、下壁61Dの上面に当接または近接した位置に設けられる限り、図1及び図2に示されたような構成に限らない。

例えば、センサチップ470は、図12に示されたように、カートリッジ筐体461の前壁461Bに取り付けられていてもよい。以下に詳述する。変形例4においては、一対の鉤爪463(不図示)及び一対の係止爪464(不図示)は、カートリッジ筐体461の前壁461Bから前側へ突出するように取り付けられている。そして、センサ基板474は、カートリッジ筐体461の前壁461Bにおいて、一対の鉤爪463及び一対の係止爪464の間に嵌め込まれ、一対の鉤爪463及び一対の係止爪464により保持されている。

また、カートリッジ装着部440には、インクカートリッジ460が装着された際にセンサ基板474に実装された一対の第2インターフェース475(不図示)と一対の第4インターフェース477(不図示)とにそれぞれ当接するように、一対の第1インターフェース444と当接する一対の第3インターフェース445とが設けられている。

また、センサチップ470は、焦電部471(不図示)と抵抗476(不図示)とを実装するセンサ基板474、及び、熱伝導部材478を備えている。熱伝導部材478は、カートリッジ筐体461内に設けられている。熱伝導部材478は、略L字型の板状をなしている。あるいは、熱伝導部材478は、略L字型であれば、棒状に形成されていてもよい。熱伝導部材478は、前壁461Bを貫通する貫通部478Bと、貫通部478Bから下方に突出する突出部478Aとを有している。

貫通部478Bは、センサ基板474に当接している。あるいは、貫通部478Bは、センサ基板474に近接していてもよい。突出部478Aは、カートリッジ筐体461内のインク室490に収容された構成を有している。貫通部478Bは、インクカートリッジ460のカートリッジ装着部440への装着姿勢において、センサ基板474から水平方向に後方に延びている。突出部478Aは、下壁461Dの上面(内面)に突出部478Aの最下端が当接するように貫通部478Bから下方に延びている。つまり、突出部478Aは、インク室490の底部に当接している。これにより、インク室490のインク量がインクエンプティであるか否かを上記実施例と同様に検出することができる。

熱伝導部材478は、インク供給部65の近傍に配置されていることが好ましい。例えば、熱伝導部材478は、図12に示されるように、インク室490において、インクカートリッジ460の装着向きの先端である前壁461Bの近傍、かつ下壁461Dの近傍に設けられている。つまり、熱伝導部材478は、前壁461Bの下部に設けられているインク供給部65の近傍に配置される。

センサ基板474及び熱伝導部材478は、カートリッジ筐体461(インク室490)に収容されたインクと焦電部471との間に熱伝導経路を形成し、インクと焦電部471に抵抗476からの熱を伝導する。

なお、本変形例において、センサ基板474には、抵抗476が設けられているが、このかわりに、赤外線発光ダイオードを用いてもよい。またさらに、抵抗476は、センサ基板474ではなく、カートリッジ装着部440に設けられていてもよい。

[変形例5] 上述では、図1及び図2に示されたように、熱伝導部材78(本体部78A)の上面が水平である場合について説明したが、熱伝導部材78の少なくとも一部がカートリッジ筐体61の下壁61Dに当接あるいは近接した位置に設けられる限り、熱伝導部材78の上面は水平に限らない。例えば、熱伝導部材578の上面は、インクカートリッジ560の装着向き側(インク供給部65に近接する側)が低くなるように傾斜していてもよい。なお、上述のように傾斜させる目的は、カートリッジ筐体561のインク室590に収容されたインクの使い切りの向上である。

[インクカートリッジ60の構造の変形例] インクカートリッジ60の構造的な変形例について、図13(a)、(b)、(c)、(d)を参照して、上述の実施例と異なる部分について、以下説明する。

[第1の変形例] 図13(a)に示されるインクカートリッジ60−aは、上述の実施例で説明されたインクカートリッジ60と同一の構造を有している。インクカートリッジ60−aは、インクを収容するインク室90−aが内部に設けられているカートリッジ筐体61−aを有している。インク室90−aは、上壁61C−a、下壁61D−a、後壁61A−a、前壁61B−a、右側壁61E−a(不図示)及び左側壁61F−a(不図示)により画定される。インクカートリッジ筐体61−aには、インク供給部65−aが設けられている。インク供給部65−aは、前壁61B−aの下端に位置している。より詳細には、インク供給部65−aは、インク室90−aに収容されているインクを完全に使い切るまで、インク室90−aからインクを流出させることができるように、前壁61B−aに配置されている。

インクカートリッジ60−aには、センサ基板74−a及び熱伝導部材78−aが設けられている。熱伝導部材78−aは、インク室90−aの底部に設けられている。このように、インク室90−aにインクが少しでも残っている場合、熱伝導部材78−aは、インク室90−aのインクに触れる一方で、インク室90にインクが全く残っていない場合、熱伝導部材78−aは、インクに触れない。このような構造により、インク室90−aのインク量がインクエンプティになるまで減少したとき(この変形例の場合は、フルエンプティ)、抵抗76−a(不図示)から焦電部71−a(不図示)に伝導される熱量は、最大になり、焦電部71−aの温度が大きく上昇する。従って、制御部81は、インクカートリッジ60−aのインク室90−aのインク量がインクエンプティであることを検出できる。

インクカートリッジ60−aは、フルエンプティの検出に適した構造を有しているので、制御部81は、インクカートリッジ60−aのインク室90-aのインク量がインクエンプティ(フルエンプティ)であることを正確に検出することができる。つまり、制御部81は、インク室90−aにインクが残っておらず記録ヘッド20にインクを供給することができない状態を正確に検出できる。

[第2の変形例] 図13(b)に示されるインクカートリッジ60−bは、上述のインクカートリッジ60−aと、インク供給部65−aの位置を除き、同一の構造を有している。

インクカートリッジ60−bは、インクを収容するインク室90−bが内部に設けられているカートリッジ筐体61−bを有している。インク室90−bは、上壁61C−b、下壁61D−b、後壁61A−b、前壁61B−b、右側壁61E−b(不図示)及び左側壁61F−b(不図示)により画定される。インクカートリッジ筐体61−bには、インク供給部65−bが設けられている。インク供給部65−bは、前壁61B−bの下端に位置している。インク供給部65−aと比較して、インク供給部65−bは、高さ方向9において、やや上方に配置されている。より詳細には、インク供給部65−bは、インク室90−bのインク残量がわずかである場合にはインク室90−bからインクが流出不可能な位置において、前壁61B−bに設けられている。

インクカートリッジ60−bには、センサ基板74−b及び熱伝導部材78−bが設けられている。熱伝導部材78−bは、インク室90−bの底部に設けられている。このように、インク室90−bにインクが少しでも残っている場合、熱伝導部材78−bは、インク室90−bのインクに触れる。インク供給部65−bが設けられている位置のために、熱伝導部材78−bは、インクから露出することがない。しかしながら、インク室90のインクの残量により、抵抗76−b(不図示)から焦電部71−b(不図示)に伝達される熱量が変化する。インク室90−bのインク残量が少なくなれば、抵抗76−bから焦電部71-bに伝達される熱量は多くなる。インク室90−bのインク量がインクエンプティになるまで減少したとき(この変形例の場合は、ニアエンプティ)、抵抗76−bから焦電部71−bに伝導される熱量は、最大になり、焦電部71−bの温度が大きく上昇する。従って、制御部81は、インクカートリッジ60−bのインク室90−bのインク量がインクエンプティであることを検出できる。

インクカートリッジ60−bは、ニアエンプティの検出に適した構造を有しているので、制御部81は、インクカートリッジ60−bのインク室90−bのインク量がインクエンプティ(ニアエンプティ)であることを正確に検出することができる。つまり、制御部81は、インク供給部65−bを介してインク室90—bからインクを流出可能な程にはインク室90−bにインクが残っておらず、記録ヘッド20にインクを供給することができない状態を正確に検出できる。

[第3の変形例] 図13(c)に示されるインクカートリッジ60−cは、上述の第4変形例で説明されたインクカートリッジ460と同一の構造を有している。インクカートリッジ60−cは、インクを収容するインク室90−cが内部に設けられているカートリッジ筐体61−cを有している。インク室90−cは、上壁61C−c、下壁61D−c、後壁61A−c、前壁61B−c、右側壁61E−c(不図示)及び左側壁61F−c(不図示)により画定される。インクカートリッジ筐体61−cには、インク供給部65−cが設けられている。インク供給部65−cは、前壁61B−cの最下端に位置している。より詳細には、インク供給部65−cは、インク室90−cに収容されているインクを完全に使い切るまで、インク室90−cからインクを流出させることができるように、前壁61B−cに設けられている。

インクカートリッジ60−cには、センサ基板74−c及び熱伝導部材78−cが設けられている。熱伝導部材78−cは、その最下端が、インク室90−cの底部に当接するように設けられている。このように、インク室90−cにインクが少しでも残っている場合、熱伝導部材78−cは、インク室90−cのインクに触れる一方で、インク室90にインクが全く残っていない場合、熱伝導部材78−cは、インクに触れない。このような構造により、インク室90−cのインク量がインクエンプティになるまで減少したとき(この変形例の場合は、フルエンプティ)、抵抗76−c(不図示)から焦電部71−c(不図示)に伝導される熱量は、最大になり、焦電部71−cの温度が大きく上昇する。従って、制御部81は、インクカートリッジ60−cのインク室90−cのインク量がインクエンプティであることを検出できる。

インクカートリッジ60−cは、フルエンプティの検出に適した構造を有しているので、制御部81は、インクカートリッジ60−cのインク室90−cのインク量がインクエンプティ(フルエンプティ)であることを正確に検出することができる。つまり、制御部81は、インク室90−cにインクが残っておらず記録ヘッド20にインクを供給することができない状態を正確に検出できる。

[第4の変形例] 図13(d)に示されるインクカートリッジ60−dは、上述のインクカートリッジ60−cと、熱伝導部材78−c、センサ基板74−c、及び、インク供給部65−cの位置を除き、同一の構造を有している。

インクカートリッジ60−dは、インクを収容するインク室90−dが内部に設けられているカートリッジ筐体61−dを有している。インク室90−dは、上壁61C−d、下壁61D−d、後壁61A−d、前壁61B−d、右側壁61E−d(不図示)及び左側壁61F−d(不図示)により画定される。インクカートリッジ筐体61−dには、インク供給部65−dが設けられている。インク供給部65−dは、前壁61B−dの下端に位置している。インク供給部65−cと比較して、インク供給部65−dは、高さ方向9において、やや上方に配置されている。より詳細には、インク供給部65−dは、インク室90−dのインク残量がわずかである場合にはインク室90−dからインクが流出不可能な位置において、前壁61B−dに設けられている。

インクカートリッジ60−dには、センサ基板74−d及び熱伝導部材78−dが設けられている。熱伝導部材78−dは、その最下端が、インク室90−dの底部に接してはいないが、近接した位置に設けられている。熱伝導部材78−cと比較して、熱伝導部材78−dは、高さ方向9において、やや上方に配置されている。あるいは、例えば、熱伝導部材78−dの垂直方向の長さを、熱伝導部材78−cのその長さよりも短くすることにより、熱伝導部材78−dの最下端の位置を、インク室90−dの底部に接しないように変えてもよい。

インク室90−dにインクが残っている場合、熱伝導部材78−dは、インク室90−dのインクに触れる。インク供給部65−dが設けられている位置のために、熱伝導部材78−dは、インクから露出することがない。しかしながら、インク室90のインクの残量により、抵抗76−d(不図示)から焦電部71−d(不図示)に伝達される熱量が変化する。インク室90−dのインク残量が少なくなれば、抵抗76−dから焦電部71−dに伝達される熱量は多くなる。インク室90−dのインク量がインクエンプティになるまで減少したとき(この変形例の場合は、ニアエンプティ)、抵抗76−dから焦電部71−dに伝導される熱量は、最大になり、焦電部71−dの温度が大きく上昇する。従って、制御部81は、インクカートリッジ60−dのインク室90−dのインク量がインクエンプティであることを検出できる。

インクカートリッジ60−dは、ニアエンプティの検出に適した構造を有しているので、制御部81は、インクカートリッジ60−dのインク室90−dのインク量がインクエンプティ(ニアエンプティ)であることを正確に検出することができる。つまり、制御部81は、インク供給部65−dを介してインク室90−dからインクを流出可能な程にはインク室90−dにインクが残っておらず、記録ヘッド20にインクを供給することができない状態を正確に検出できる。

なお、インクカートリッジ60−a及び60−cは、フルエンプティを検出するのに最も効果的な構造を有している。しかしながら、例えば、記憶部84に記憶されている第2判定テーブルに、インクカートリッジ60−a、60−dのインク室90−a、90−dのインク量の複数のレベルに基づく所定値を予め記憶させておくことにより、ニアエンプティの検出も可能である。

記録装置10は、請求項に記載の記録装置に相当する。インクカートリッジ60は、請求項に記載のインクカートリッジに相当する。カートリッジ装着部40は、請求項に記載のカートリッジ装着部に相当する。第1インターフェース44は、請求項に記載の装置側インターフェースに相当する。インク室90は請求項に記載のインク室に相当する。抵抗76は、請求項に記載の加熱部材に相当する。焦電部71は請求項に記載の焦電部に相当する。センサ基板74及び熱伝導部材78は、請求項に記載の熱伝導部材に相当する。第2インターフェース75は、請求項に記載のインターフェース又はカートリッジ側インターフェースに相当する。赤外線発光ダイオード294は、請求項に記載の加熱部材に相当する。センサ基板474及び熱伝導部材478は、請求項に記載の熱伝導部材に相当する。

10・・・記録装置 51・・・第1検出回路(RC回路) 52・・・第2検出回路 53・・・スイッチ 54・・・第1検出回路(発振回路) 60・・・インクカートリッジ 61・・・カートリッジ筐体 71・・・焦電部 72・・・焦電体 73・・・電極 74・・・センサ基板 75・・・第2インターフェース 76・・・抵抗 77・・・第4インターフェース 78・・・熱伝導部材 80・・・制御回路 81・・・制御部 82・・・第1駆動回路 83・・・第2駆動回路 84・・・記憶部 90・・・インク室 294・・赤外線発光ダイオード

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