蓄電装置の製造方法、製造装置、注液装置、及び注液方法

申请号 JP2015559109 申请日 2015-01-22 公开(公告)号 JPWO2015111665A1 公开(公告)日 2017-03-23
申请人 株式会社豊田自動織機; 发明人 晃嵩 山田; 晃嵩 山田; 陽平 濱口; 陽平 濱口; 木下 恭一; 恭一 木下; 祐良 山口; 祐良 山口;
摘要 本発明は、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる蓄電装置の製造方法、製造装置、注液装置、及び注液方法を提供する。本発明の蓄電装置の製造方法は、蓄電装置の電極組立体が収容されたケースを封缶し、封缶後に電解液をケース内に注液するものであって、ケースの封缶後、ケース内を昇圧または減圧する圧 力 操作と、ケース内を大気圧に対し高圧または低圧とした状態で行う処理と、を伴う工程を備え、ケース内の圧力操作によって生じるケース内の圧力の経時変化に基づいて、ケースの内部空間容量を測定する。
权利要求

蓄電装置の電極組立体が収容されたケースを封缶し、封缶後に電解液をケース内に注液する蓄電装置の製造方法であって、 前記ケースの封缶後、前記ケース内を昇圧または減圧する圧操作と、前記ケース内を大気圧に対し高圧または低圧とした状態で行う処理と、を伴う工程を備え、 前記ケース内の圧力操作によって生じる前記ケース内の圧力の経時変化に基づいて、前記ケースの内部空間容量を測定する、蓄電装置の製造方法。前記ケース内の圧力操作を伴う工程は、前記ケースの気密検査工程である、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。前記ケース内の圧力操作を伴う工程は、前記電解液の注液工程である、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。蓄電装置を収容するチャンバと、 前記蓄電装置のケース内にガスを供給するガス供給源と、 前記チャンバ内において前記ガスを検出するガス検出器と、 前記ケース内から前記ガスを吸引する吸引機と、 前記ガス供給源によって供給される前記ガスの流量または前記吸引機によって吸引される前記ガスの流量を一定にする流量調節器と、 前記ケース内の気圧を計測する圧力計と、 前記圧力計によって計測された気圧に基づいて、前記ケースの内部空間容量を演算する演算部と、を備える、蓄電装置の製造装置。前記ガスの供給時または吸引時の経過時間を計測する計時部を備え、 前記流量調節器は、前記ガス供給源によって供給される前記ガスの流量を一定にし、 前記演算部は、前記ガス供給源が前記ケース内に前記ガスを供給しているときに前記圧力計によって計測された複数の気圧と、前記気圧間の経過時間とに基づいて、前記ケースの内部空間容量を演算する、請求項4に記載の蓄電装置の製造装置。前記ガスの供給時または吸引時の経過時間を計測する計時部を備え、 前記流量調節器は、前記吸引機によって吸引される前記ガスの流量を一定にし、 前記演算部は、前記吸引機が前記ケース内からガスを吸引しているときに前記圧力計によって計測された複数の気圧と、前記気圧間の経過時間とに基づいて、前記ケースの内部空間容量を演算する、請求項4に記載の蓄電装置の製造装置。前記ガス供給源と前記吸引機とを切り替えて前記ケースに接続するバルブをさらに備える、請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造装置。蓄電装置の電極組立体が収容されたケース内を減圧することにより、前記ケース内の空隙容積を測定する測定部と、 前記測定部によって測定された空隙容積に基づいた量の電解液を、前記ケース内に注入する注液部と、を備える、蓄電装置の注液装置。蓄電装置の電極組立体が収容されたケース内を減圧することにより、前記ケース内の空隙容積を測定する測定工程と、 前記測定工程によって測定された空隙容積に基づいた量の電解液を、前記ケース内に注入する注液工程と、を備える、蓄電装置の注液方法。

蓄電装置の電極組立体が収容されたケースを封缶し、封缶後に電解液をケース内に注液する蓄電装置の製造方法であって、 前記ケースの封缶後、前記ケース内を昇圧または減圧する圧力操作と、前記ケース内を大気圧に対し高圧または低圧とした状態で行う処理と、を伴う工程を備え、 前記ケース内の圧力操作によって生じる前記ケース内の圧力の経時変化に基づいて、前記ケースの内部空間容量を測定する、蓄電装置の製造方法。前記ケース内の圧力操作を伴う工程は、前記ケースの気密検査工程である、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。前記ケース内の圧力操作を伴う工程は、前記電解液の注液工程である、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。前記圧力操作は、前記処理よりも前に行われる、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造方法。前記内部空間容量は、前記ケース内の圧力操作によって、前記ケース内の圧力が所定の圧力に到達するのに要した時間に基づいて、測定される、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造方法。蓄電装置を収容するチャンバと、 前記蓄電装置のケース内にガスを供給するガス供給源と、 前記チャンバ内において前記ガスを検出するガス検出器と、 前記ケース内から前記ガスを吸引する吸引機と、 前記ガス供給源によって供給される前記ガスの流量または前記吸引機によって吸引される前記ガスの流量を一定にする流量調節器と、 前記ケース内の気圧を計測する圧力計と、 前記圧力計によって計測された気圧に基づいて、前記ケースの内部空間容量を演算する演算部と、 を備える、蓄電装置の製造装置。前記ガスの供給時または吸引時の経過時間を計測する計時部を備え、 前記流量調節器は、前記ガス供給源によって供給される前記ガスの流量を一定にし、 前記演算部は、前記ガス供給源が前記ケース内に前記ガスを供給しているときに前記圧力計によって計測された複数の気圧と、前記気圧間の経過時間とに基づいて、前記ケースの内部空間容量を演算する、請求項6に記載の蓄電装置の製造装置。前記ガスの供給時または吸引時の経過時間を計測する計時部を備え、 前記流量調節器は、前記吸引機によって吸引される前記ガスの流量を一定にし、 前記演算部は、前記吸引機が前記ケース内からガスを吸引しているときに前記圧力計によって計測された複数の気圧と、前記気圧間の経過時間とに基づいて、前記ケースの内部空間容量を演算する、請求項6に記載の蓄電装置の製造装置。前記ガス供給源と前記吸引機とを切り替えて前記ケースに接続するバルブをさらに備える、請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造装置。蓄電装置の電極組立体が収容されたケース内を減圧することにより、前記ケース内の空隙容積を測定する測定部と、 前記測定部によって測定された空隙容積に基づいた量の電解液を、前記ケース内に注入する注液部と、 を備える、蓄電装置の注液装置。蓄電装置の電極組立体が収容されたケース内を減圧することにより、前記ケース内の空隙容積を測定する測定工程と、 前記測定工程によって測定された空隙容積に基づいた量の電解液を、前記ケース内に注入する注液工程と、 を備える、蓄電装置の注液方法。

说明书全文

本発明は、蓄電装置の製造方法、製造装置、注液装置、及び注液方法に関する。

従来から、蓄電装置の一種である二次電池としては、例えばリチウムイオン二次電池及びニッケル素二次電池などがよく知られている。蓄電装置の製造工程には、蓄電装置のケース内に電極組立体を収容した後、ケースを封缶する工程、ケースに電解液を注入する工程が存在する。さらに、電解液の注液前に、ケースの気密性を検査する工程が存在することがある。例えば、特許文献1には、筐体の内部に気体を圧送しつつ、気体の漏れの有無を検出する気密検査が開示されている。

また、電解液を注入する際には、例えば、特許文献2−5には、注液前に容器内を減圧し、容器の内側と外側との間の差圧を利用して注液する技術が開示されている。一般的に、電池ケースの内部に注入する電解液の量は、予め決められた一定の量(規定量)であり、その量を電池ケース毎に変えない。注入された電解液の量を精度良く検証する技術としては、例えば特許文献2,3,6に記載されているように、注入の前後において電池ケースの重量を測定する技術が知られている。

しかしながら、電極組立体が収容された電池ケース内部の空隙は、厳密には各電池毎に異なるので、各電池に対して適切な量の電解液を注入することが好ましい。そこで、リチウムイオン電池などの電解液を用いる蓄電装置の製造工程では、蓄電装置のケースを封缶した後、ケースに電解液を注入する前にケースの内部空間の容量が測定されることが検討されている。例えば、リチウムイオン電池においては、電極組立体に含浸されない液体状態の電解液がケース内部に溜まると、電解液に無駄が生じることになる。また、さらに電解液が過剰になると、ガス発生の一因となる。一方、電解液の量が不十分の場合、積層された正負極電極の活物質層及びセパレータ(以後、電極組立体と称す)中に、電解液が十分に含浸されていない部位が生じ、電池の性能を低下させる。よって、電解液は、各電池に最適な量だけ注液されることが望まれる。ケース及び電極組立体の製造上のばらつきに対し、各電池に最適な注液量を得る手段の一つとして、内部空間の容量の測定が考えられる。例えば、特許文献4には、ボイルの法則を用いて電池缶の内部の空隙量を求める空隙量測定装置が開示されている。

特開2010−244898号公報

特開平11−096992号公報

特開2004−022502号公報

特開2000−090957号公報

特開平05−325944号公報

特開2004−31239号公報

しかしながら、内部空間容量の測定を製造ラインにおいて行う場合、製造効率を低下させる問題がある。例えば、圧変化を検出する場合、十分な気密が得られる取付、及び、安定した状態での圧力検出が求められるために、工程における作業時間の短縮が難しい。つまり、特許文献4の技術を用いた場合、注入する電解液の量を適量とすることはできるが、注入前に内部の空隙量を検出する工程が必要となるので、注液に要する作業時間が長くなり、作業効率を悪化させる。このため、内部空間容量の測定を行うと、製造効率は大きく低下する。

本発明は、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる蓄電装置の製造方法、製造装置、注液装置、及び注液方法を提供する。

本発明の一側面に係る蓄電装置の製造方法は、蓄電装置の電極組立体が収容されたケースを封缶し、封缶後に電解液をケース内に注液する蓄電装置の製造方法である。この蓄電装置の製造方法は、ケースの封缶後、ケース内を昇圧または減圧する圧力操作と、ケース内を大気圧に対し高圧または低圧とした状態で行う処理と、を伴う工程を備え、ケース内の圧力操作によって生じるケース内の圧力の経時変化に基づいて、ケースの内部空間容量を測定する。

この蓄電装置の製造方法では、ケース内を昇圧または減圧する圧力操作と、ケース内を大気圧に対し高圧または低圧とした状態で行う処理と、を伴う工程がある。圧力操作によってケース内の圧力が変化するが、このとき、内部空間容量は圧力の経時的な変化に影響を与える。この圧力変化に基づいて内部空間容量が測定される。このため、内部空間容量の測定は、ケース内を高圧または低圧とした状態で行う処理の、例えば前準備にあたる圧力操作と並行して行うことができる。その結果、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

ケース内の圧力操作を伴う工程は、ケースの気密検査工程であってもよい。この場合、ケース内の圧力操作は、ケースの気密検査工程において実施される。このため、蓄電装置のケースの気密検査と、蓄電装置のケースの内部空間容量の測定と、を並行して行うことができる。その結果、蓄電装置のケースの気密検査と蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

ケース内の圧力操作を伴う工程は、電解液の注液工程であってもよい。この場合、ケース内の圧力操作は、電解液の注液のために実施される。このため、電解液の注液と、蓄電装置のケースの内部空間容量の測定と、を並行して行うことができる。その結果、電解液の注液と蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

本発明の別の側面に係る蓄電装置の製造装置は、蓄電装置を収容するチャンバと、蓄電装置のケース内にガスを供給するガス供給源と、チャンバ内においてガスを検出するガス検出器と、ケース内からガスを吸引する吸引機と、ガス供給源によって供給されるガスの流量または吸引機によって吸引されるガスの流量を一定にする流量調節器と、ケース内の気圧を計測する圧力計と、圧力計によって計測された気圧に基づいて、ケースの内部空間容量を演算する演算部と、を備える。

この蓄電装置の製造装置では、ケース内に供給されるガスの流量またはケース内から吸引されるガスの流量を一定にしている。このため、例えばケース内に供給されるガスの流量を一定にしている場合には、気密検査のためにケース内にガスを供給しているときのケース内の気圧によって、ケースの内部空間容量を演算できる。また、ケース内から吸引されるガスの流量を一定にしている場合には、気密検査のためにケース内に供給されたガスをケース内から吸引しているときのケース内の気圧によって、ケースの内部空間容量を演算できる。したがって、蓄電装置のケースの気密検査と、蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とを並行して行うことができる。その結果、蓄電装置のケースの気密検査と蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

本発明のさらに別の側面に係る蓄電装置の製造装置は、ガスの供給時または吸引時の経過時間を計測する計時部を備えてもよい。流量調節器は、ガス供給源によって供給されるガスの流量を一定にしてもよく、演算部は、ガス供給源がケース内にガスを供給しているときに圧力計によって計測された複数の気圧と、気圧間の経過時間とに基づいて、ケースの内部空間容量を演算してもよい。この場合、気密検査のためにケース内にガスを供給しているときのケース内の気圧によって、ケースの内部空間容量を演算できる。このため、蓄電装置のケースの気密検査と、蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とを並行して行うことができる。その結果、蓄電装置のケースの気密検査と蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

本発明のさらに別の側面に係る蓄電装置の製造装置は、ガスの供給時または吸引時の経過時間を計測する計時部を備えてもよい。流量調節器は、吸引機によって吸引されるガスの流量を一定にしてもよく、演算部は、吸引機がケース内からガスを吸引しているときに圧力計によって計測された複数の気圧と、気圧間の経過時間とに基づいて、ケースの内部空間容量を演算してもよい。この場合、気密検査のためにケース内に供給されたガスをケース内から吸引しているときのケース内の気圧によって、ケースの内部空間容量を演算できる。このため、蓄電装置のケースの気密検査と、蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とを並行して行うことができる。その結果、蓄電装置のケースの気密検査と蓄電装置のケースの内部空間容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

本発明のさらに別の側面に係る蓄電装置の製造装置は、ガス供給源と吸引機とを切り替えてケースに接続するバルブをさらに備えてもよい。この場合、ガス供給源及び吸引機をケースにそれぞれ接続する必要がなく、ガス供給源及び吸引機をバルブに接続するだけの簡単な構造とすることができる。このため、例えば、ケースの注液口を利用して、ガス供給源及び吸引機を接続することができる。そして、バルブを用いてガス供給源と吸引機とを切り替えることにより、ケースへのガスの供給及びケースからのガスの吸引の切り替えを容易化できる。

本発明のさらに別の側面に係る蓄電装置の注液装置は、蓄電装置の電極組立体が収容されたケース内を減圧することにより、ケース内の空隙容積を測定する測定部と、測定部によって測定された空隙容積に基づいた量の電解液を、ケース内に注入する注液部と、を備える。

上記蓄電装置の注液装置においては、測定部が、ケース内の減圧と空隙容積の測定の両方を行う。それにより、注液部は、測定された空隙容積に基づいた適切な量の電解液を、減圧されたケース内に注入することができる。すなわち、注液に先立ち、ケース内の減圧と空隙容積の測定とを測定部により同時に行うため、効率よく電解液を注入することができる。

本発明のさらに別の側面に係る蓄電装置の注液方法は、蓄電装置の電極組立体が収容されたケース内を減圧することにより、ケース内の空隙容積を測定する測定工程と、測定工程によって測定された空隙容積に基づいた量の電解液を、ケース内に注入する注液工程とを備える。

上記蓄電装置の注液方法においては、測定工程において、ケース内の減圧と空隙容積の測定の両方が行われる。その後、注液工程において、測定された空隙容積に基づいた適切な量の電解液を、減圧されたケース内に注入する。すなわち、注液工程に先立ち、測定工程においてケース内の減圧と空隙容積の測定とが同時に行われるため、効率よく電解液を注入することができる。

本発明によれば、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

図1は、第1実施形態に係る蓄電装置の製造装置を模式的に示す概略構成図である。

図2は、図1の製造装置を用いた蓄電装置の製造工程を概略的に示すフローチャートである。

図3は、第2実施形態に係る蓄電装置の製造装置を模式的に示す概略構成図である。

図4は、実施形態の一態様に係る電解液の注入装置を示す概略構成図である。

図5は、図4の注入装置の各ユニットの構成を示す図である。

図6は、実施形態の一態様に係る電解液の注入方法を示すフローチャートである。

以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一または同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。

(第1実施形態) 図1は、第1実施形態に係る蓄電装置の製造装置を模式的に示す概略構成図である。図1に示されるように、製造装置1は、蓄電装置2のケース21の気密性を検査するとともに、ケース21の内部の空間Sの容量を測定するための装置である。蓄電装置2は電解液を用いる電池であり、本実施形態においては、リチウムイオン二次電池である。ただし、蓄電装置2は、リチウムイオン二次電池に限られず、ニッケル水素二次電池などの他の二次電池、または、その他の電解液を用いる蓄電装置(例えば、電気二重層キャパシタなど)であってもよい。蓄電装置2は、製造工程において、蓋部材をケース本体に取付けた後、電解液の注液前の蓄電装置であって、ケース21内に電極組立体などの部品を収容している。電極組立体は、金属箔に各々の活物質層を有する正極及び負極電極と、多孔質な樹脂からなるセパレータと、を積層してなる。

ケース21は、略直方体の形状を呈している。ケース21は、蓋部材と上方開口部を有する箱状のケース本体とからなり、電極組立体などの部品をケース本体内に収容した後、蓋部材をレーザー溶接などの手段でケース本体に固定し、一体化される。ケース21の材質は、例えばアルミニウムである。ケース21の内部には、空間Sが形成されている。空間Sは、ケース21の内部に形成された空間のうち、ケース21に収容されている電極組立体などの部品を除いた空間と、電極組立体中の活物質層及びセパレータ中の空隙と、からなる。この空間Sのうち、活物質層及びセパレータ中の空隙が、後工程において電解液によって充填される。

電極組立体の基本的な積層構造は、以下のとおりである。正極は、正極側集電体をなす金属箔(アルミニウム箔)の表面上に正極活物質層が形成されている。正極活物質層は、活物質粒子と、活物質粒子間を結着するバインダとからなり、多孔質である。負極は、負極側集電体をなす金属箔(銅箔)の表面上に負極活物質層が形成されている。負極活物質層は、活物質粒子と活物質粒子間を結着するバインダとからなり、多孔質である。この正極活物質層と負極活物質層とが、間に多孔質で絶縁性の樹脂からなるセパレータを挟む形態で積層される。そして、各活物質層及びセパレータの孔内(空隙内)が電解液で満たされることで、イオンが正極及び負極間を移動可能となり、電池としての機能を発揮する。一方で、この空隙内に含まれない、すなわち電極組立体に含浸されない電解液は、電池の性能に寄与しない。したがって、理想的には、この空隙の容量に相当する電解液が注液され、その全量が電極組立体に含浸されることが好ましい。

正極及び負極活物質層の製造工程の一例を以下に述べる。負極活物質とバインダと溶媒とを混合し、負極スラリーを作成する。この負極スラリーを、グラビア塗工などの既知の塗工方法で金属箔上に塗工した後、乾燥機で溶媒を除去し、ロールプレスで所定の厚みに圧縮することで負極活物質層が形成される。正極活物質層も、材質は異なるが、同様の方法で形成される。正極または負極スラリーを金属箔に塗工するときに、スラリーの厚み(目付け量)には、バラツキが生じる。このスラリーの厚みのバラツキは、ロールプレスによる圧縮により、活物質層の密度のバラツキとなり、活物質層内の空隙の容量がばらつくこととなる。このため、各電極組立体の外寸は同寸法とするが、内部の空隙にはバラツキが生じる。空間Sのうち、ケース21に収容されている電極組立体などの部品を除いた空間は、電極組立体の外寸を同寸法とすることで一定となる。すなわち、空間Sの容積を検出することで、電極組立体の内部の空隙を求めることができる。

ケース21の上面には、正極及び負極の一対の電極端子22が突出して設けられており、一対の電極端子22の間に注液口23が設けられている。電極端子22は、蓄電装置2によって蓄積される電気を外部に取り出すための端子である。注液口23は、ケース21の内部に電解液を注ぐために用いられる開口である。

ケース21において、蓋部材とケース本体との間は、前述したレーザー溶接により密封される。また、電極端子22とケースとの間は、明記しないシール部材で密封される。注液口23も、電解液の注液後に行われる既知のエージングなどの工程を経た後、封止栓により密封されるが、ここでは詳細な説明は省略する。

製造装置1は、例えば、チャンバ11と、ガス供給源12と、圧力計13と、ガス検出器14と、流量調節器15と、演算装置16(演算部)と、吸引機17と、切替バルブ18(バルブ)と、を備えている。

製造装置1には、さらに配管L1、配管L2及び配管L3が設けられている。配管L1は、ガス供給源12と切替バルブ18とを接続するための管状部材である。配管L2は、吸引機17と切替バルブ18とを接続するための管状部材である。配管L3は、切替バルブ18とケース21とを接続するための管状部材である。配管L3は、例えばケース21の気密を保つようにして注液口23に接続される。

チャンバ11は、密閉されており、蓄電装置2を収容するための空間を形成している。動作前におけるチャンバ11内の気圧は例えば大気圧である。

ガス供給源12は、ケース21の内部に所定のガスGsを供給するための装置である。つまり、ガス供給源12は、ケース21内の空間SにガスGsを供給する。ガス供給源12によって供給されるガスGsとしては、例えば、ヘリウム(He)、水素(H2)など、大気中に存在する割合が少なく、濃度変化の検出が容易な気体が用いられる。

圧力計13は、ケース21の内部の気圧を計測するための装置である。圧力計13は、計測した気圧を示す気圧情報を演算装置16に送信する。圧力計13は、例えば配管L3に設けられている。

ガス検出器14は、チャンバ11の内部においてガスGsを検出するための装置である。つまり、ガス検出器14は、ガス供給源12によってケース21の内部の空間Sに供給されたガスGsのうち、ケース21から漏れ出したガスGsを検出する。ガス検出器14は、例えば、チャンバ11内におけるガスGsの濃度を測定することによって、ケース21から漏れ出したガスGsを検出する。このガスGsの検出は、ケース21内の気圧を予め定められた気圧Ps(例えば、0.2MPa)にして行われる。

流量調節器15は、ガス供給源12によってケース21に供給されるガスGsの流量を一定にするための装置である。流量調節器15は、例えば定流量弁であって、ケース21に供給されるガスGsの流量が予め定められた流量となるようにその開度を調整する。流量調節器15は、例えば配管L1上に設けられている。

演算装置16は、圧力計13によって計測された気圧に基づいて、ケース21内の空間Sの容量を演算するための装置である。演算装置16は、例えば、プロセッサ及びメモリなどを備えたコンピュータである。ケース21内の空間Sの容量とは、ケース21に収容されている電極組立体などの部品を除いた空間の容量と、電極組立体内部の空隙量の和である。前述した如く、電極組立体などの部品を除いた空間の容量は一定である為、空間Sの容量を求めることは、言い換えれば、ケース21内の電極組立体内部の空隙量を求めることとなる。演算装置16は、ガス供給源12がケース21内の空間SにガスGsを供給しているときに、圧力計13によって計測された気圧に基づいて、ケース21内の空間Sの容量を演算する。

具体的に説明すると、演算装置16は、ガスGsの供給時の経過時間を計測するタイマーなどの計時部を備え、圧力計13によって送信された気圧情報が示す気圧が気圧P1から気圧P2に達するまでに掛かった時間を測定する。ここで、気圧P1及び気圧P2は、予め定められた気圧であって、気圧P1は気圧P2よりも小さい。演算装置16は、ガスGsを供給する空間の容量と、ガスGsの流量を一定にしたときにその空間の気圧が気圧P1から気圧P2に達するまでに掛かった時間と、の関係を示す気圧上昇時間データを予め記憶している。この気圧上昇時間データは、テーブル、関数などの形式で提供され得る。演算装置16は、気圧上昇時間データを参照して、測定した時間に対応する容量を取得し、空間Sの容量とする。

例えば、気圧P1は、大気圧であってもよく、気圧P2は気密検査のための気圧Psであってもよい。この場合、演算装置16は、ガス供給源12によってケース21の空間SにガスGsの供給が開始されたときから、ケース21内の気圧が気圧Psに達するまでに要した時間を測定する。このとき、空隙量が大きいほど、気圧Psに達するまでの時間が長くなる。

吸引機17は、ケース21の内部からガスGsを含むガスGvを吸引するための装置である。吸引機17は、例えば真空ポンプである。

切替バルブ18は、ガス供給源12と吸引機17とを切り替えてケース21に接続するための装置である。切替バルブ18は、例えばエアーオペレーションバルブである。具体的には、切替バルブ18は、配管L1及び配管L2のいずれか一方と配管L3との間を遮断し、配管L1及び配管L2の他方と配管L3との間を開放する。切替バルブ18は、例えば、ケース21内の気圧が気圧Psに達したことに応じて、ガス供給源12から吸引機17に切り替えてケース21に接続する。

図2は、製造装置1を用いた蓄電装置の製造工程を概略的に示すフローチャートである。このフローチャートは、蓄電装置の製造工程のうち、蓄電装置2の組立から注液までを示している。

図2に示されるように、まず、工程S01では、蓄電装置2の組立を行う。この工程S01では、ケース本体内に電極組立体などを収容し、蓋部材をレーザー溶接などによってケース本体に固定(封缶)し、一体化することで、蓄電装置2を組み立てる。

次に、工程S02では、工程S01において組み立てられたケース21の気密性を検査するとともに、ケース21内の空間Sの容量を測定する。具体的には、蓄電装置2をチャンバ11内に収容し、配管L3の一端を蓄電装置2の注液口23に接続する。次に、切替バルブ18はガス供給源12とケース21とを接続し、ガス供給源12はケース21の内部にガスGsの供給を開始する。このとき、ガス供給源12から供給されるガスGsの流量は流量調節器15によって一定になるよう調節される。

圧力計13は、ガスGsの供給中にわたってケース21の内部の気圧を計測し、ケース21内の気圧が気圧Psに達したか否かが判定される。ガス供給源12は、ケース21内の気圧が気圧Psに達するまで、ケース21内にガスGsを供給し続ける。そして、ケース21内の気圧が気圧Psに達したことに応じて、ガス供給源12はガスGsの供給を停止する。このとき、演算装置16は、ケース21内の気圧が気圧P1から気圧P2に達するまでに要した時間を計測する。例えば、演算装置16は、ケース21内の気圧が大気圧から気圧Psに達するまでに要した時間を計測する。

続いて、ガス検出器14は、例えば、チャンバ11内におけるガスGsの濃度を測定することによって、ケース21から漏れ出したガスGsを検出する。ガスGsが検出された場合、ケース21の気密性が十分でないので、その蓄電装置2は不良品と判定される。一方、ガスGsが検出されなかった場合は、ケース21の気密性は十分であるので、その蓄電装置2は良品と判定される。

ガス検出器14によって気密検査を行うとともに、演算装置16は、気圧上昇時間データを参照して、ケース21内の気圧が気圧P1から気圧P2に達するまでに要した時間に対応する容量を取得し、ケース21の空間Sの容量とする。そして、演算装置16は、空間Sの容量からケース21内の電極組立体内部の空隙量を算出する。

次に、切替バルブ18は吸引機17とケース21とを接続し、吸引機17はケース21内の気圧が規定の気圧(例えば0.1MPa)になるまでケース21内からガスGsを含むガスGvを吸引する。これにより、ケース21内からガスGvが回収される。ガスGvの回収後、注液口23から配管L3が取り外される。

工程S03では、工程S02において良品と判定された蓄電装置2に電解液の注液を行う。この工程S03では、注液用の配管が注液口23に接続される。また、工程S02において算出した電極組立体内部の空隙量に基づいて、電解液の注液量が算出される。そして、算出された注液量に従って、電解液がケース21の内部に注液される。以上のようにして、製造装置1を用いた製造工程中の注液工程までを終了し、次の工程へと進む。

上述のように、製造装置1では、気密検査のためにケース21内にガスGsを供給しているときのケース21内の気圧の上昇に要する時間によって、ケース21の空間Sの容量(つまり、電極組立体内部の空隙量)を演算できる。このため、ケース21の気密検査と、ケース21の空間Sの容量の測定とを並行して行うことができる。その結果、ケース21の気密検査とケース21の空間Sの容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

また、製造装置1は切替バルブ18を備えることにより、ガス供給源12及び吸引機17をケース21にそれぞれ接続する必要がなく、ガス供給源12及び吸引機17を切替バルブ18に接続するだけの簡単な構造とすることができる。このため、ケース21の注液口23を利用して、ガス供給源12及び吸引機17を接続することができる。そして、切替バルブ18を用いて、ガス供給源12と吸引機17とを切り替えることによって、ケース21へのガスGsの供給及びケース21からのガスGvの吸引の切り替えを容易化できる。

(第2実施形態) 図3は、第2実施形態に係る蓄電装置の製造装置を模式的に示す概略構成図である。製造装置1Aは、蓄電装置2のケース21内のガスGvを回収するために吸引する際にケース21の内部空間容量を測定する点で製造装置1と相違する。図3に示されるように、製造装置1Aは、流量調節器15及び演算装置16に代えて、流量調節器15A及び演算装置16Aを備えている。

流量調節器15Aは、吸引機17によってケース21の内部から吸引されるガスGvの流量を一定にするための装置である。流量調節器15Aは、例えば定流量弁であって、ケース21の内部から吸引されるガスGvの流量が予め定められた流量となるようにその開度を調整する。流量調節器15Aは、例えば配管L2上に設けられている。

演算装置16Aは、演算装置16と同様に、圧力計13によって計測された気圧に基づいて、ケース21内の空間Sの容量を演算するための装置である。演算装置16Aは、吸引機17がケース21内の空間SからガスGvを吸引しているときに、圧力計13によって計測された気圧に基づいて、ケース21内の空間Sの容量を演算する。

具体的に説明すると、演算装置16Aは、ガスGvの吸引時の経過時間を計測する計時部を備え、圧力計13によって送信された気圧情報が示す気圧が気圧P3から気圧P4に達するまでに掛かった時間を測定する。ここで、気圧P3及び気圧P4は、予め定められた気圧であって、気圧P3は気圧P4よりも大きい。演算装置16Aは、ガスGvを吸引する空間の容量と、吸引するガスGvの流量を一定にしたときにその空間の気圧が気圧P3から気圧P4に達するまでに掛かった時間と、の関係を示す気圧下降時間データを予め記憶している。この気圧下降時間データは、テーブル、関数などの形式で提供され得る。演算装置16Aは、気圧下降時間データを参照して、測定した時間に対応する容量を取得し、空間Sの容量とする。

例えば、気圧P3は気圧Psであってもよい。この場合、演算装置16Aは、吸引機17によってケース21の空間SからのガスGvの吸引が開始されたときから、ケース21内の気圧が気圧P4に達するまでに要した時間を測定する。

次に、製造装置1Aを用いた蓄電装置の製造工程を説明する。製造装置1Aを用いた蓄電装置の製造工程は、製造装置1を用いた蓄電装置の製造工程に対して工程S02のみ異なる。以下に、工程S02を説明する。

工程S02では、工程S01において組み立てられたケース21の気密性を検査するとともに、ケース21内の空間Sの容量を測定する。具体的には、蓄電装置2をチャンバ11内に収容し、配管L3の一端を蓄電装置2の注液口23に接続する。次に、切替バルブ18はガス供給源12とケース21とを接続し、ガス供給源12はケース21の内部にガスGsの供給を開始する。

そして、圧力計13はケース21の内部の気圧を計測し、ケース21内の気圧が気圧Psに達したか否かが判定される。ガス供給源12は、ケース21内の気圧が気圧Psに達するまで、ケース21内にガスGsを供給し続ける。そして、ケース21内の気圧が気圧Psに達したことに応じて、ガス供給源12はガスGsの供給を停止する。

続いて、ガス検出器14は、例えば、チャンバ11内におけるガスGsの濃度を測定することによって、ケース21から漏れ出したガスGsを検出する。ガスGsが検出された場合、ケース21の気密性が十分でないので、その蓄電装置2は不良品と判定される。一方、ガスGsが検出されなかった場合は、ケース21の気密性は十分であるので、その蓄電装置2は良品と判定される。

ガス検出器14によって気密検査を行った後、切替バルブ18は吸引機17とケース21とを接続し、吸引機17はケース21内の気圧が規定の気圧になるまでケース21内からガスGsを含むガスGvを吸引する。このとき、吸引機17によって吸引されるガスGvの流量は流量調節器15Aによって一定になるよう調節される。

圧力計13はガスGvの吸引中にわたってケース21の内部の気圧を計測し、ケース21内の気圧が規定の気圧(例えば0.1MPa)に達したか否かが判定される。吸引機17は、ケース21内の気圧が規定の気圧に達するまで、ケース21内からガスGvを吸引し続ける。そして、ケース21内の気圧が規定の気圧に達したことに応じて、吸引機17はガスGvの吸引を停止する。このとき、演算装置16Aは、ケース21内の気圧が気圧P3から気圧P4に達するまでに要した時間を計測する。例えば、演算装置16Aは、ケース21内の気圧が気圧Psから大気圧に達するまでに要した時間を計測する。

次に、演算装置16Aは、気圧下降時間データを参照して、ケース21内の気圧が気圧P3から気圧P4に達するまでに要した時間に対応する容量を取得し、ケース21の空間Sの容量とする。そして、演算装置16Aは、空間Sの容量からケース21内の電極組立体内部の空隙量を算出する。そして、工程S03へと進む。

上述のように、製造装置1Aは、気密検査のためにケース21内に供給されたガスGsを含むガスGvをケース21内から吸引しているときのケース21内の気圧の下降に要する時間を測定している。そして、製造装置1Aは、このケース21内の気圧の下降に要する時間によって、ケース21の空間Sの容量(つまり、電極組立体内部の空隙量)を演算している。このため、ケース21の気密検査と、ケース21の空間Sの容量の測定とを並行して行うことができる。その結果、ケース21の気密検査とケース21の空間Sの容量の測定とに要する時間を短縮でき、内部空間容量の測定を採用しながら、蓄電装置の製造効率の低下を抑制できる。

(第3実施形態) 続いて、蓄電装置の一種である二次電池のセル10(第1実施形態及び第2実施形態のケース21に相当)に、電解液を注入する注液工程にて、内部空間容量の測定を行う態様について説明する。以下の実施形態においては、二次電池はリチウムイオン二次電池とする。ただし、蓄電装置は、リチウムイオン二次電池に限られず、ニッケル水素二次電池などの他の二次電池、または、その他の電解液を用いる蓄電装置(例えば、電気二重層キャパシタなど)であってもよい。

図4及び図5に示されるように、二次電池の注液装置5において、二次電池のセル(ケース)10には、注液ユニット(注液部)30及び内部空間測定ユニット(測定部)40が取り付けられている。

セル10には、その内部に図示しない電極組立体が収容されており、セル10内には電極組立体の内部及び外部に空隙が形成されている。電極組立体内部の空隙とは、電極組立体の構成中、多孔性の活物質及びセパレータの内部の孔内空間であり、電解液が注入された後、イオンの通路となる。電極組立体内部の空隙量は、活物質層の密度のバラツキの影響を受けるため、外観及び寸法から求めることはできない。セル10内における電極組立体外部の空隙量は、セル10の内部容積と、電極組立体及び導電部材などの内部部品の体積との差分で求めることができる。これらの値は測定が容易であり、したがって、電極組立体外部の空隙量の製造上のバラツキは相対的に小さく、設計により定まる定数とみなすことができる。

注液ユニット30は、セル10の上蓋に設けられた開口に挿入されたノズルを介して、セル10の内部に電解液を注入する。注液ユニット30は、主に、電解液を貯留する電解液タンク31と、電解液タンク31を加圧する加圧タンク32と、加圧タンク32の圧力を測定する圧力計33とを備えている。注液ユニット30からセル10内に注入される電解液の量は、後述するように、内部空間測定ユニット40から空隙容積として伝達される。

内部空間測定ユニット40は、セル10内を減圧することにより、セル10内の空隙容積を測定する。内部空間測定ユニット40は、主に、セル10内を減圧する真空ポンプ41と、セル10内の圧力を測定して空隙容積を算出する圧力計測部42とを備えている。圧力計測部42は、少なくとも圧力計とタイマーとを有しており、真空ポンプ41が減圧を開始してから所定の圧力に到達するまでの時間を計算(計測)し、計算された時間から空隙容積を算出する。算出された空隙容積に対し、電極組立体外部の空隙量(定数)との差分を取ることで、電極組立体内部の空隙量を求めることができる。

図5に示されるように、注液装置5はさらに制御部50を備えている。制御部50は、内部空間測定ユニット40において測定されたセル10内の空隙容積に関する情報を、注液ユニット30に伝達する。なお、内部空間測定ユニット40から注液ユニット30に空隙容積に関する情報を直接伝達する構成とする場合には、制御部50は適宜省略することができる。

次に、上述した注液装置5を用いて、二次電池のセル10内に電解液を注入する注液方法について、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。

セル10内に電解液を注入する際には、まず、内部空間測定ユニット40の真空ポンプ41により、セル10内を減圧するために、真空引きを行う(処理S10)。この処理S10は、注液工程において注入される電解液の、電極組立体への含浸を促進するための処理である。電極組立体内部の孔内空間は微小な細孔からなるので、電解液を注入しただけでは、孔内空間の空気は抜けづらく、電解液の含浸に多くの時間を要する。このため、電解液の注入に先立ち、処理S10を行うことによって、孔内空間から予め空気を取り除く。そして、圧力計測部42を用いて、設定圧力に到達したか否かを判定し(処理S11)、セル10内の圧力が設定圧力に到達しなかった場合には大気解放して(処理S12)大気圧に戻した後、改めて真空引きを行う。

セル10内の圧力が設定圧力に達した場合には、その設定圧力に維持しつつ、圧力計測部42が減圧開始から設定圧力到達までの時間を計算する(処理S13)。さらに、圧力計測部42は、計算した時間から、セル10内の空隙容積を算出する(処理S14)。このようにして算出された空隙容積により、上述した電極組立体内部の空隙量を算出し、この電極組立体内部の空隙量に若干量を加えた値が、セル10内に注入される電解液の適切な量である。なお、セル10内部の空隙を、全て電解液で満たさない理由は、電極端子、及び、電極端子と電極組立体とを電気的に接続する導電部材が電解液に浸されていると、短絡の一因になるためである。

圧力計測部42において算出された空隙容積に関する情報は、制御部50を介して、注液ユニット30に伝達される。注液ユニット30は、伝達された空隙容積に基づく量(例えば、電極組立体内部の空隙量に若干量を加えた値)の電解液を、電解液タンク31からセル10にノズルを介して注入する(処理S15)。このとき、セル10内の圧力は、処理S10において真空引きされた設定圧力に維持された状態であるため、セル10の内部と外部(電解液タンク)との差圧により、電解液の注入が行われる。

最後に、適切な量の電解液が注入されたことを確認するために、セル10の重量を測定してもよい(処理S16)。この処理を加えると、電解液が注入中に溢れた場合、あるいは電解液の供給経路中の詰まりが生じていた場合など、例えば製造装置の異状により、意図した電解液の量が注入されていなかったケースを検出することができる。もし、電解液が注入されたセル10の重量が所定範囲外である場合には、ライン外にて電解液を追加注入する手直しを行い(処理S17)、再度セルの重量を測定する。

以上で説明したように、二次電池の注液装置5を用いた注液方法においては、測定処理(処理S10〜14)において、内部空間測定ユニット40が、セル10内の減圧と空隙容積の測定の両方を行う。それにより、注液ユニット30は、注液処理(処理S15)において、測定処理で測定された空隙容積に基づいた適切な量の電解液を、減圧されたセル10内に注入することができる。すなわち、注液に先立ち、セル10内の減圧と空隙容積の測定とを内部空間測定ユニット40により同時に行うため、効率よく電解液を注入することができる。

加えて、上述した注液装置5による注液方法では、セル10の空隙容積を直接測定するため、従来技術のように重量によって空隙容積を類推する場合に比べて、適切な注液量を高い精度で求めることができる。

なお、本発明に係る蓄電装置の製造方法、製造装置、注液装置、及び注液方法は上記実施形態に限定されない。例えば、蓄電装置のケースの内部空間容量の測定と並行して行われる工程は、ケースの気密検査工程、電解液の注液工程に限らず、ケースの封缶後、電解液の注液前におけるケース内の圧力操作及び圧力操作によって生じるケース内の圧力の変化を用いた処理を行う工程であればよい。

また、製造装置1は、吸引機17及び切替バルブ18を備えていなくてもよい。

製造装置1,1Aでは、切替バルブ18によってガス供給源12と吸引機17とを切り替えてケース21に接続しているが、これに限られない。例えば、ガス供給源12及び吸引機17はそれぞれケース21に接続されてもよい。

製造装置1,1Aは、流量調節器15または流量調節器15Aを備えることにより、ガス供給源12によって供給されるガスGsの流量または吸引機17によって吸引されるガスGvの流量を一定にしているが、これに限られない。製造装置1,1Aは、流量調節器15及び流量調節器15Aの両方を備えてもよく、ガス供給源12によって供給されるガスGsの流量及び吸引機17によって吸引されるガスGvの流量を一定にしてもよい。

演算装置16は、さまざまな流量に対してそれぞれ気圧上昇時間データを記憶していてもよい。また、演算装置16は、さまざまな気圧P1とさまざまな気圧P2との組み合わせに対してそれぞれ気圧上昇時間データを記憶していてもよい。

演算装置16Aは、さまざまな流量に対してそれぞれ気圧下降時間データを記憶していてもよい。また、演算装置16Aは、さまざまな気圧P3とさまざまな気圧P4との組み合わせに対してそれぞれ気圧下降時間データを記憶していてもよい。

演算装置16Aは、一定の流量に対して単位時間当たりの気圧のデータを記憶していてもよい。例えば、第1実施形態においては、空隙量が大きいほど、気圧の上昇が緩やかになり、単位時間経過後の気圧は低くなる。

製造装置1,1Aは、例えば、スペーサを用いた蓄電装置に適用することもできる。正極または負極スラリーの塗工時のバラツキに対し、ロールプレス時の圧力は一定として正極または負極活物質層を形成することもできる。このような正極または負極を積層し、製造された電極組立体は、厚みのバラツキが大きくなるため、例えば樹脂製などのスペーサを用い、厚みを調整して、ケース内に隙間無く収納することが提案されている。前述の電極組立体は、正極または負極活物質層の密度は一定であるが、内部の空隙量にはバラツキがあるので、電解液の最適な注液量を得るには、内部空間測定が有効である。

製造装置1,1Aは、さらに制御装置を備えてもよい。制御装置は、例えば、プロセッサ及びメモリなどを備えたコンピュータである。制御装置は、ガス供給源12を制御してガスGsの供給の開始及び停止を行わせてもよい。制御装置は、ガス検出器14を制御してチャンバ11内のガスGsの検出を行わせてもよい。制御装置は、演算装置16,16Aを制御して、圧力計13によって測定された気圧に基づく空間Sの容量を演算させてもよい。制御装置は、吸引機17を制御してガスGvの吸引の開始及び停止を行わせてもよい。制御装置は、切替バルブ18を制御して、ガス供給源12及び吸引機17を切り替えてケース21に接続してもよい。このガス供給源12、吸引機17、切替バルブ18の操作は、例えばアクチュエータを用いて行うことができる。この場合、制御装置が製造装置1,1Aの各部を制御することにより、製造装置1,1Aを用いた蓄電装置の製造工程の自動化が可能となる。

1,1A…製造装置、5…注液装置、2…蓄電装置、10…セル、11…チャンバ、12…ガス供給源、13…圧力計、14…ガス検出器、15,15A…流量調節器、16,16A…演算装置(演算部)、17…吸引機、18…切替バルブ(バルブ)、21…ケース、30…注液ユニット、40…内部空間測定ユニット、S…空間。

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