焼尽性材料

申请号 JP2014117013 申请日 2014-06-05 公开(公告)号 JP6411078B2 公开(公告)日 2018-10-24
申请人 日油技研工業株式会社; 发明人 鎌田 晃輔; 伊藤 旭人;
摘要
权利要求

ニトロセルロースの20〜90重量%と、 ロジン樹脂と、アルキルケテンダイマーと、アルケニル無コハク酸と、脂肪酸アミドと、スチレン‐マレイン酸共重合体、スチレン‐アクリル酸共重合体及び/又はオレフィン‐マレイン酸共重合体である共重合樹脂とから選ばれる少なくとも何れかを含む内添サイズ剤の0.05〜2重量%と、 尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、エピクロロヒドリン変成ポリアミドポリアミン樹脂から選ばれる少なくとも何れかを含む湿潤紙剤の0.75〜3重量%とを 含んで成形されていることを特徴とする焼尽性材料。焼尽性容器に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の焼尽性材料。前記焼尽性容器は、球状又は筒状でありその内部に火薬が充填され封入される焼尽性薬莢、下端が塞がれ火薬が充填され封入される筒状の容器本体とそれに嵌合してその開口を塞ぐ上蓋とを有する装薬用容器、及び玉皮で包んで火薬を内部に充填する花火玉用外殻から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項2に記載の焼尽性材料。無線タグを有する焼尽性基板に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の焼尽性材料。前記内添サイズ剤が、カチオン性であることを特徴とする請求項1に記載の焼尽性材料。天然又は合成繊維、バインダ、及び安定剤から選ばれる少なくとも何れかを含んで成形されていることを特徴とする請求項1に記載の焼尽性材料。前記天然又は合成繊維である繊維、前記バインダ、及び/又は前記安定剤がアニオン性であり、前記内添サイズ剤がカチオン性であることを特徴とする請求項6に記載の焼尽性材料。厚さが0.5〜4.0mmであり、密度が600〜1300kg/m3であることを特徴とする請求項1に記載の焼尽性材料。前記繊維が、平均径5〜40μmで平均長0.5〜12mmの植物由来パルプ、又は平均繊維径1.5μm以下の微細化セルロース繊維であることを特徴とする請求項7に記載の焼尽性材料。

说明书全文

本発明は、火薬を封入し砲弾射撃・礼砲等に使用される焼尽性容器や、無線通信用砲弾容器等が有し無線タグが付される焼尽性基板に成形されている焼尽性材料に関するものである。

砲弾射撃に用いられる焼尽性容器は、火砲を用いて、弾丸などを砲弾射撃したり礼砲・訓練で空包射撃したりする際、発射薬、点火薬などの火薬を収容しつつ、火砲砲身の薬室に装填するために使用される焼尽性材料である。その火薬を収容した焼尽性容器の上に弾丸を載置した状態で、点火薬に点火すると、発射薬の爆発的な燃焼を引き起こし、生じた燃焼ガスの圧により、弾丸が目標物に向かって発射される。

焼尽性容器は、常に外界に露出しているため、火炎、熱、火花、静電気、閃光、被弾、振動、衝撃、湿気、付着などの様々な外因の脅威に、真っ先に曝される。それら外因によって、それの火薬が、不意に発火してしまったり、逆に点火しても発火しなかったりする深刻な影響を受け易い。従って、この焼尽性容器は、弾薬にとって、外因に対し、言わば感度因子となる。そのため、この焼尽性容器は、輸送中、保管中、または装填中に、火炎、熱、火花などに耐え得る充分な耐熱性能と、被弾、振動、衝撃などに耐え得る充分な耐衝撃性能と、静電気に耐え得る充分な耐電性能と共に、湿気や水分に抵抗し得る充分な耐水性能とを、必要とする。

さらに、この焼尽性容器は、発射装薬ごと火薬を燃焼させて砲弾射撃したり空包射撃したりする際に砲身内で火薬並みの燃焼速度で燃焼できる燃焼性能と、その砲身内に燃焼残渣を残さない焼尽性能とを、兼ね備えていることを必要とする。

この焼尽性容器は、充分な燃焼性能と焼尽性能とを有するように、ニトロセルロースを燃焼性主成分として含有している。また、焼尽性容器は、充分な耐熱性能と耐衝撃性能とを有するために、多孔性のセルロース性パルプ繊維を補強性補助成分として含有している。この焼尽性容器は、表面未保護であると、これら燃焼性主成分や補強性補助成分の吸水膨潤作用や毛細管現象による吸水・保湿作用等の物性を有する所為で、雨や高温多湿の環境下での湿気や付着水分の外的要因により影響を受け易い。表面未保護の焼尽性容器は、湿気や付着水分と接触して、その水分を容易く吸収してしまう。その結果、湿気ってしまい燃焼し難くなって燃焼性能が大幅に低下し点火しても砲身内に燃焼残渣を生じ焼尽できなくなる危険性が高まる。

さらに焼尽性容器は、その水分の吸収により、ふやけてしまい、耐衝撃性能が大幅に低下し、自重や積み重ねた焼尽性容器の重量の所為で、その寸法及び形状が容易く変化し歪んだり潰れたりする。その結果、弾薬が薬室内で引っ掛かり砲弾として挿入し難くなったり、金属製又は樹脂製の組立部材を嵌合すべき特殊な弾薬を組立てる際に無理矢理押し込んで破裂したり、装填する際に破損したりする危険性が高まるばかりか、操用性が著しく低下する。

そのような悪影響をできるだけ軽減するために、従来、焼尽性容器を水と接触しないように防水シートで覆ったり、焼尽性容器を簡易的に耐水加工したりして、耐水性を付与して表面保護したりしていた。例えば、耐水性付与加工方法として、焼尽性容器の主成分であるニトロセルロース、繊維パルプ等を、水中でスラリー状にし、抄造、圧搾の工程を経て焼尽性容器を製造した後、特許文献1に記載されているように、フィルムを容器表面に貼付する方法や、特許文献2に記載されているように、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の塗料を塗布する方法により、焼尽性容器に耐水性を付与する表面保護が、行われている。

このような表面保護により焼尽性容器に耐水性を付与することは、個々の焼尽性容器ごとにフィルムの貼付や塗料の塗布を行う必要があるため、面倒で作業効率が悪い。しかも、フィルムを貼付したり塗料を塗布したりした焼尽性容器であっても、雨水に長時間晒されたり悪天候で水没したりすると、折、貼付した保護フィルムや塗布した塗料により保護しきれない部分より水分を吸収してしまい、使用不能に陥る恐れがある。

また、焼尽性容器は、弾薬の種別の表示のために着色インキで印字したり、無線受信のために無線タグ用導電パターンを導電性インキで印刷したりする際、吸水性であることに起因して滲まないようにするために、インキの種類が制約されてしまい、汎用性に欠ける。

また、水分の影響による耐水性の低下やインキの種類の制約は、焼尽性容器と同様に焼尽性基板に成形されている燃尽性材料にも、見受けられる。

特開2006−234297号公報

特開2010−78215号公報

本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、湿気や付着した水のような水分に対して充分な耐水性を奏しつつ、燃焼性能と焼尽性能とのみならず耐熱性能と耐衝撃性能とを有している汎用性の焼尽性容器や焼尽性基板に成形されている焼尽性材料を提供することを目的とする。

前記の目的を達成するためになされた本発明の焼尽性材料は ニトロセルロースの20〜90重量% ロジン樹脂と、アルキルケテンダイマーと、アルケニル無水コハク酸と、脂肪酸アミドと、スチレン‐マレイン酸共重合体、スチレン‐アクリル酸共重合体及び/又はオレフィン‐マレイン酸共重合体である共重合樹脂とから選ばれる少なくとも何れかを含む内添サイズ剤の0.05〜2重量%と、 尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、エピクロロヒドリン変成ポリアミドポリアミン樹脂から選ばれる少なくとも何れかを含む湿潤紙力剤の0.75〜3重量%とを 含んで成形されているものである。

この焼尽性材料は、焼尽性容器に成形されていてもよい。

この焼尽性材料は、前記焼尽性容器が、前記球状又は筒状でありその内部に火薬が充填され封入される焼尽性薬莢、下端が塞がれ火薬が充填され封入される筒状の容器本体とそれに嵌合してその開口を塞ぐ上蓋とを有する装薬用容器、及び玉皮で包んで火薬を内部に充填する花火玉用外殻から選ばれる何れかであることが好ましい。

この焼尽性材料は、無線タグを有する焼尽性基板に成形されていてもよい。

この焼尽性材料は、前記内添サイズ剤が、ロジン樹脂と、アルキルケテンダイマーと、アルケニル無水コハク酸と、脂肪酸アミドと、スチレン‐マレイン酸共重合体、スチレン‐アクリル酸共重合体及び/又はオレフィン‐マレイン酸共重合体である共重合樹脂とから選ばれる少なくとも何れかを含むものである。

この焼尽性材料は、前記内添サイズ剤を、0.05〜2重量%含んで成形されていることが好ましい。

この焼尽性材料は、前記内添サイズ剤が、カチオン性であると一層好ましい。

この焼尽性材料は、前記湿潤紙力剤が、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、エピクロロヒドリン変成ポリアミドポリアミン樹脂から選ばれる少なくとも何れかを含むものである。

この焼尽性材料は、前記湿潤紙力剤を、0.75〜3重量%含んで成形されていることが好ましい。

この焼尽性材料は、天然又は合成繊維、バインダ、及び安定剤から選ばれる少なくとも何れかを含んで成形されていてもよい。

この焼尽性材料は、前記天然又は合成繊維、前記バインダ、及び/又は前記安定剤がアニオン性であり、前記内添サイズ剤がカチオン性であると、一層好ましい。 この焼尽性材料は、例えば厚さが0.5〜4.0mmであり、密度が600〜1300kg/m3であるというものである。 この焼尽性材料は、例えば前記繊維が、平均径5〜40μmで平均長0.5〜12mmの植物由来パルプ、又は平均繊維径1.5μm以下の微細化セルロース繊維であるというものである。

本発明の焼尽性材料は、湿潤紙力剤や内添サイズ剤を含有して成形されていることにより湿気や付着した水のような水分に対して充分に耐水性が向上し、燃焼性能と焼尽性能とのみならず耐熱性能と耐衝撃性能とを維持でき、さらに寸法・形状安定性を向上させることができる。

焼尽性材料は、長期の降雨下や大雨下や極寒での輸送や保管時に、雨水・霧・露・霜・結露などの水分に晒されても、燃焼性能・焼尽性能・耐熱性能・耐衝撃性能が維持されるため、輸送や保管に面倒な工程や措置を必要としない。

そのため、焼尽性材料は、水分で劣化せず、暴風雨下での雨水や雨雪のような悪天候や高温多湿のような如何なる過酷な環境下での湿気や付着水分の外的要因に影響されずに、破損することなく安定して使用できる。

焼尽性容器に成形された焼尽性材料は、防水シートで覆ったり防水テント内で待機させたりする必要がなく、取扱い易い。しかもこの焼尽性容器は、砲身内への装填がスムーズであり、点火により砲身内で完全に焼尽し、操用性が高く、作業効率を向上させることができる。さらに、たとえ、湿気や水分に晒される状況下で火砲等に装填しても、燃焼残渣を残さずに完全燃焼するので、連続射撃を行うことができる。

さらに焼尽性容器や焼尽性基板に成形された焼尽性材料は、適度な耐水性のために、各種水溶性インキを用いても滲まずに、その表面に砲弾の種別や導電パターンを、インクジェットなどの任意の方法で印刷できるので、製造方法の制限が少なく、汎用性が高い。

また、この焼尽性材料自身が、湿潤紙力剤や内添サイズ剤により耐水性を発現するため、面倒な保護フィルムの貼付や保護被膜の塗装を個別に行う必要がない。そのため、焼尽性容器や焼尽性基板に成形された焼尽性材料は、成型するだけで、簡便に、均質に品質良く、製造できるものである。

本発明を適用する焼尽性容器の一形態を示す正面断面図である。

以下、本発明の焼尽性材料について、詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。焼尽性材料の一態様である焼尽性容器1について、図1を参照しながら説明する。

焼尽性容器1は、図1に示すように、砲身の薬室内に装填されて、砲弾射撃の際に弾丸や、礼砲の際に空包を発射するための発射装薬用容器として用いられるものである。

焼尽性容器1は、略円筒状の容器本体3と、容器本体3の上端に嵌合する上蓋2とを有する。容器本体3に上蓋2が嵌合して形成された内部に、発射薬となる火薬4が充填されている。

容器本体3と上蓋2とは、同様な組成のスラリーから形成される。容器本体3と上蓋2とは、ニトロセルロースと、内添サイズ剤や湿潤紙力剤と、必要に応じて適量のクラフトパルプ等のセルロース繊維のような天然繊維又はアクリル樹脂等のような合成繊維で例示される繊維と、合成樹脂のようなバインダと、安定剤とが含まれたスラリーを、抄造し、圧搾して、成型されたものである。

内添サイズ剤と湿潤紙力剤とは、焼尽性容器1の成型の際に、耐水性を付与し、水分に対してニトロセルロースや天然又は合成繊維を増強させるための成分である。

内添サイズ剤は、液体浸透性を調整して、焼尽性容器1へ印刷されたインキの滲みを防止したり、水に濡れたり吸水したりする湿潤の際に破れ難くするためのものである。

内添サイズ剤としては、 ニトロセルロースや天然又は合成繊維に付着するもので松脂の主成分であるロジンやそれの誘導体であるロジン樹脂、具体的にはハーサイズL‐50、ハーサイズNES‐500、ハーサイズNES‐680、ハーサイズNES‐748、ハーサイズNES‐745、ニューサイズ738(何れもハリマ化成株式会社製:商品名)、サイズパインN‐771、サイズパインN‐775、サイズパインN‐780、サイズパインN‐795、サイズパインN‐788、サイズパインN‐811、サイズパインN‐817、サイズパインN‐830、サイズパインN‐880、サイズパインNT‐78、サイズパインNT‐87(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名、サイズパインは登録商標); ニトロセルロースや天然又は合成繊維例えばセルロース繊維の水酸基とエステル結合するアルキルケテンダイマー(AKD)、具体的にはサイズパインK‐287、サイズパインK‐902、サイズパインK‐903‐20、サイズパインK‐934、サイズパインK‐921、サイズパインK‐922E、サイズパインK‐925(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名); ニトロセルロースや天然又は合成繊維の水酸基とエステル結合するアルケニル無水コハク酸(ASA)、具体的にはハーサイズAN‐300(ハリマ化成株式会社製:商品名)、サイズパインSA‐864、サイズパインSA‐865(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名); 共重合樹脂、具体的にはスチレン‐マレイン酸共重合体、より具体的にはポリマロン385、ポリマロン1318(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名、ポリマロンは登録商標)、又はスチレン‐アクリル酸共重合体、より具体的にはポリマロン360、ポリマロン1301(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名)、又はオレフィン‐マレイン酸共重合体、より具体的にはポリマロン482S、ポリマロン1329(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名); 脂肪酸アミド、より具体的にはサイズパインDL‐15、サイズパインDLFA‐20(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名); が挙げられる。前記の内添サイズ剤を単独で用いてもよく複数混合して用いてもよい。

中でも、内添サイズ剤は、カチオン性であることが好ましい。

焼尽性容器1は、内添サイズ剤を含有していると、ニトロセルロースや天然又は合成繊維の表面に内添サイズ剤分子が付着したり、内添サイズ剤分子とニトロセルロースや天然又は合成繊維の水酸基とがエステル結合したりして、内添サイズ剤の疎水基が露出することにより疎水化する結果、撥水性が向上する。

湿潤紙力剤は、焼尽性容器1が水に濡れたり吸水したりする湿潤の際に、破れ難くするためのものである。

湿潤紙力剤としては、 尿素樹脂とも称されるもので尿素とホルムアルデヒドとの重合反応によって得られる尿素−ホルムアルデヒド樹脂、具体的にはユーラミンP‐1500(三井化学株式会社製:商品名、ユーラミンは登録商標); メラミン樹脂とも称されるものでメラミンとホルムアルデヒドとの重縮合反応によって得られるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、具体的にはユーラミンP‐6300(三井化学株式会社製:商品名); ポリアミドポリアミン樹脂のアミノ基へエピクロロヒドリンを反応させて変性しカチオン性を制御したエピクロロヒドリン変成ポリアミドポリアミン樹脂、具体的にはアラフィックス100、アラフィックス251S、アラフィックス255、アラフィックス255LOX(何れも荒川化学工業株式会社製:商品名、アラフィックスは登録商標)、WS4030(星光PMC株式会社製:商品名); が挙げられる。前記の湿潤紙力剤を単独で用いてもよく複数混合して用いてもよい。

焼尽性容器1は、湿潤紙力剤を含有していると、湿潤紙力剤の樹脂成分の網目状の自己架橋により、ニトロセルロースや天然又は合成繊維のような繊維同士の水素結合を付着水や吸収水から保護したり、湿潤紙力剤の樹脂成分とニトロセルロースや天然又は合成繊維のようなセルロース繊維との架橋や相互作用により耐水性の化学結合を形成したりするので、湿潤時や吸水後の強度を向上させることができる。

焼尽性容器1は、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との何れか一方のみ含有するものであってもよく、両方含有するものであってもよい。

焼尽性容器1中、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との内、内添サイズ剤だけを用いる場合、0.05〜2.0重量%含有されることが好ましい。この範囲未満であると、吸水率が高くなり耐水性に欠き、この範囲を越えると、乾燥強度が弱くなり過ぎてしまう。好ましくは0.2〜1.5重量%、より好ましくは0.4〜1.0重量%である。

焼尽性容器1中、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との内、湿潤紙力剤だけを用いる場合、0.75〜3.0重量%含有されていることが好ましい。湿潤紙力剤は本来含有量にかかわらず撥水性は発現しないとされているが、幾分多めに0.75〜3.0重量%含有することにより、吸水性を充分に抑制して撥水性を発現しつつ吸水後の強度を充分に維持できる。そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、焼尽性容器1に含有されるニトロセルロースやバインダ(合成樹脂)との相互作用によるものと推察される。湿潤紙力剤の量が少な過ぎると、湿潤時の強度の向上効果を発揮できないうえに、撥水性も発現しない状況となり、多過ぎると、湿潤時の強度に加え、乾燥時の強度が低下する状況となってしまう。好ましくは0.9〜2.5重量%、より好ましくは1.0〜2.0重量%である。

焼尽性容器1中、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との両方含有する場合、それらの量が少なくても、吸水性を充分に抑制しつつ吸水後の強度を充分に維持でき、内添サイズ剤及び湿潤紙力剤が、0.05〜2.0重量%:0.1〜3.0重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%:0.5〜1.0重量%含有されている。これにより吸水性を充分に抑制しつつ吸水後の強度を充分に維持できる。そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、焼尽性容器1に内添させてニトロセルロースや天然又は合成繊維の繊維間に介在させて相互作用させて、ニトロセルロースやバインダ(合成樹脂)との相互作用によるものと推察される。焼尽性容器1中、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との両方が含有されていると、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との一方を含有される場合に比べて、より少量で同等以上の効果を得ることができる。これにより、吸水性を一層抑制して、吸水後の焼尽性容器1の強度を向上させる。

バインダは、焼尽性容器1中の非接着成分であるセルロースや天然又は合成繊維を固着させて強度を増強するためのものである。

バインダとしては、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴムや溶液重合スチレンブタジエンゴムのような合成樹脂が挙げられる。

焼尽性容器1中、バインダは、一般的に3.0〜15.0重量%で含有されるが、成形されている焼尽性材料の要求仕様や用途に応じて必要とされる強度や燃焼性に合わせ、含有量を増減できる。

安定剤は、無煙火薬の安定剤として用いられるもので、ニトロセルロースの自然発火を抑制するものである。

安定剤としては、例えば、エチルセントラリット(ECL);メチルジフェニルウレアであるアカルダイトII(AKII);ジフェミルアミン(DPA);2−ニトロジメニルアミン(2NO2DPA);フェノール系酸化防止剤アデカスタブAO−80、又はアデカスタブAO−50(何れも株式会社ADEKA製:商品名、アデカスタブは登録商標);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT);ヒドロキノン(HQ)などが挙げられる。

安定剤は、成形されている焼尽性材料の要求仕様や用途に応じ、適宜添加する。

本発明の焼尽性容器1の成型に用いられるニトロセルロースとしては、JIS規格に無いものを各省庁で要求事項や試験方法について標準化して定めたものである防衛省規格(NDS)K−4013C(ニトロセルロース弾薬用)で定められた等級I(窒素含有量12.45〜12.75%)や等級II(窒素含有量13.35重量%以上)や等級III(窒素含有量13.10〜13.30重量%)であるニトロセルロースを用いることができる。その総量中の窒素含有率を12.45〜14.14重量%とすることが好ましい。

焼尽性容器1中、ニトロセルロースは、一般的に20〜90重量%含有されるが、成形されている焼尽性材料の要求仕様や用途に応じて必要とされる強度や燃焼性に合わせ、含有量を増減できる。

本発明の焼尽性容器1の成型に用いられる天然又は合成繊維としては、セルロース、繊維例えばクラフトパルプのようなケミカルパルプであることが好ましいが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチル、エチルセルロースのようなセルロースからなる繊維であってもよく、草本植物、灌木植物、喬木植物の少なくとも何れかに由来する繊維であってもよく、古紙であってもよく、アクリル繊維であってもよく、微細化セルロース繊維であってもよい。これらのうち、耐衝撃性能の強度をより必要とする場合は、微細化セルロース繊維や非木材パルプを用いるのが好ましい。

草本植物として、ケナフ、アサ、アマ、アバカ、タケ、ワタ、イネ、ムギ、バショウ、及びジュートが挙げられ、灌木植物として、コウゾ、ミツマタ、及びガンピが挙げられ、喬木植物として、パルプの原木となる針葉樹、広葉樹が挙げられる。

草本植物の内、ケナフはアオイ科植物、アサは麻とも称されるアサ科植物、アマは亜麻とも称されるアマ科植物、アバカはマニラ麻とも称されるバナナ科植物であって、いずれの乾燥した茎の靭皮部からも、繊維を含有した組織が採取される。またタケは竹とも称されるイネ科植物であって、乾燥した中空木本状茎から、繊維を含有した組織が採取される。ワタは綿とも称されるアオイ科植物で、綿花から繊維を含有した組織が採取される。イネはイネ科イネ属植物であり、ムギは、小麦、大麦、ライ麦、燕麦などのイネ科植物であり、その茎を乾燥して、繊維を含有した組織である藁が採取される。バショウは、バショウ科植物であり、仮茎・葉鞘から、繊維を含有した組織が採取される。ジュートは、黄麻、インド麻、綱麻とも称されるシナノキ科植物で、靱皮から、繊維を含有した組織が採取される。

灌木植物の内、コウゾは楮とも称されるクワ科低木植物、ミツマタは三椏とも称されるジンチョウゲ科低木植物、ガンピは雁皮とも称されるジンチョウゲ科低木植物で、いずれの乾燥した樹皮から、繊維を含有した組織が採取される。

喬木植物は、針葉樹であっても広葉樹であってもよいが、クラフトパルプの原材であることが好ましい。得られた繊維は、晒し品でも未晒し品でもよく、未晒し品であることが好ましい。

古紙は、段ボール古紙や新聞古紙や裁落紙が挙げられ、繊維に解し必要に応じインキ抜きなどの処理を経て抄紙されるものである。

アクリル繊維は、アクリロニトリルを主成分とする合成高分子からなる繊維であることが好ましい。

植物から採取されたり古紙から回収されたりした組織は、乾燥されてから、裂かれたり解されたり必要に応じ切断されたり、化学的パルプ化処理されたりした後、またアクリル繊維は、適宜裁断された後、平均径5〜40μmで平均長0.5〜12mmの繊維となる。脱脂綿のように脱脂されてもよい。特に、このような植物に由来するパルプは、水酸基を有し、同じく水酸基を有するニトロセルロースとの相性が良い。そのため、これらが混在しても、互いの馴染みが良く、乾燥時に水酸基同士が脱水し結合するため、その成型品が強い強度を有することができる。一方、水酸基を有しない化学繊維においては、ニトロセルロースと馴染まず、乾燥時に脱水結合せず、強度が見込めない。

微細化セルロース繊維は、木材、非木材、木材や非木材を主原料とするパルプ、コットンや麻などの天然繊維、穀物や果実由来の食物繊維などの植物、海藻類のバロニア、脊索動物のホヤ、及び/またはセルロースを生成するバクテリアなどから選ばれる何れかの原料を由来として得られるものである。

微細化セルロース繊維は、その製造方法や解繊方法に限定されず、公知の方法を用いることができ、前記原料を元に化学的解繊、物理的解繊、またはこれらを組み合わせた複合的解繊により得られるものである。例えば、一般的に公知の方法であって、セルロースをリファイナー、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダーなどにより磨砕したり、叩解したりすることによって解繊や微細化して製造する方法で得ることができる。化学的解繊としては、例えば、酸処理後洗浄したセルロース系原料をN−オキシル化合物で酸化することで、酸化されたセルロースを解繊処理してナノファイバー化する方法が、挙げられる。物理的解繊としては、例えば、ナノファイバー前駆体を機械的に解繊することにより製造する方法が、挙げられる。複合的解繊としては、例えば、N−オキシル化合物、及び臭化物、ヨウ化物又はこれらの混合物の存在下で、酸化剤を用いて粉末セルロースを酸化し、超高圧ホモジナイザーを用いて圧力で湿式微粒化処理することによりナノファイバー化させる方法が挙げられる。また、微細化セルロース繊維は、一般に市販されているものであってもよい。

微細化セルロース繊維は、平均繊維径が1.5μm以下で、その平均繊維長を前記平均繊維径で除して得られるアスペクト比が10以上であればよく、例えば、セルロースナノファイバー、微小セルロース繊維、セルロースナノ繊維、ミクロフィブリル化セルロース、微細セルロース、セルロース繊維、微細セルロース繊維、微細繊維状セルロースと指称されるものであってもよい。

微細化セルロース繊維として、具体的に、セリッシュKY−100G、セリッシュKY−100S、セリッシュFD−100F、セリッシュFD−100G、セリッシュFD−100S、セリッシュFD−100M、セリッシュFD−200L、セリッシュPC−110S(何れもダイセルファインケム株式会社製:商品名、セリッシュは登録商標)やビンフィス(株式会社スギノマシン製:商品名、ビンフィスは登録商標)が挙げられる。

微細化セルロース繊維は、その平均繊維径が4nm〜1.5μmであると好ましく、平均繊維長が40nm〜1000μm、アスペクト比が10〜1000であると好ましい。

焼尽性容器1中、天然又は合成繊維は、一般的に9〜70重量%含有されるが、成形されている焼尽性材料の要求仕様や用途に応じて必要とされる強度や燃焼性に合わせ、含有量を増減できる。

焼尽性容器1は、湿潤紙力剤や内添サイズ剤が含有されることによりニトロセルロースや天然又は合成繊維の繊維間に入り込んでいることにより、焼尽性容器自身の耐水性や撥水性を向上させ、さらに湿潤時や吸水後の物理的強度を増強させ向上させている。そのため如何なる形状に成形しても、水分による影響を及ぼされることなく、寸法・形状安定性の向上により、型崩れが起きない。

また、この焼尽性容器1は、ニトロセルロースのような焼尽性成分や天然又は合成繊維のような補強成分の組成比率を従来の既成製品と変える必要がなく、従来の製造装置を用いて製造でき、充分な耐衝撃性能、燃焼性能、及び焼尽性能を発現する。

さらに、焼尽性容器内に浸透してしまうため使用が難しかった水溶性インキのような低粘性の様々なインキでも滲まないので、砲弾の種別を印字したり、無線受信の無線タグ用導電パターンを印刷したりすることが可能である。

焼尽性容器1は、発射装薬用容器の例を示したが、その他の装薬用容器であってもよく、内部に火薬が充填され封入される小銃用の焼尽性薬莢、又は玉皮で包んで火薬を内部に充填する花火玉用外殻であってもよい。

焼尽性容器1の形状は、特に限定されず、表面処理では未塗装部分を生じ易い形状であっても、その要求仕様や用途に応じて適宜選択できる。例えば、板状、球状、円筒状、角筒状、外周が波打った円筒状あってもよく、中空を有するドーナツ状であってもよい。焼尽性容器1は、このような複雑な形状であっても、均質であるから、耐水性にむらがない。焼尽性容器1は、例えば、厚さが0.5〜4.0mmであり、密度が600〜1300kg/m3である。

焼尽性材料として、焼尽性容器1について説明したが、焼尽性容器に代え又は焼尽性容器と共に用いる焼尽性基板であってもよい。焼尽性基板は、焼尽性容器1と同様の組成で板状に成型して製造することができ、焼尽性容器1と同様に要求仕様や用途に応じて形状を適宜選択できる。また、焼尽性基板の厚さを0.1〜4.0mmにすることが好ましい。この焼尽性基板は、焼尽性容器に貼付、一体成形又は内蔵している焼尽性材料にしてもよい。

焼尽性容器1又は焼尽性基板に成形されている焼尽性材料は、その表面に直に、砲弾の種別を表示するために着色インキで印字されていたり、無線回路導電パターンを導電性インキで印刷されたりしていてもよい。このような焼尽性材料は、インキ例えば水溶性インキをインクジェット印刷等の任意の印刷方法により、インキを滲ませずに確りと印字や導電性パターンをその表面に形成できる。一旦形成された印字や導電性パターンは、湿潤紙力剤や内添サイズ剤でニトロセルロースや天然又は合成繊維中の繊維間にインキ成分を閉じ込めたりこれら繊維内に含浸させたりしているので、湿気や水分に晒されても、滲まない。そのため、インキの種類や印刷又は塗布方法は、特に限定されず、汎用性が高い。

図1に示す焼尽性容器1は、以下のように製造される。

先ず、ニトロセルロースと、内添サイズ剤や湿潤紙力剤と、必要に応じて繊維と、バインダと、安定剤とを、水と混練して、スラリーを得る。公知の製法、具体的には、このスラリーを漉簀で吸引抄造した後、図1で示す容器本体3のためのもので略円筒形の金型に押し付けて、加熱しながら圧搾して脱水固化させ、円筒状で下端近傍がやや細まった容器本体3を成型する。同様にして、上蓋2を成型する。

成型した容器本体3に火薬4を充填し、容器本体3の上端近傍の外周に、接着剤を塗った後、容器本体3の上端に上蓋2を嵌合し、焼尽性容器1を得る。

本発明の焼尽性容器1は、以下のように使用される。

図1に示すように、砲身5の薬室内の砲尾6側に、焼尽性容器1と、その上に砲弾(不図示)とを装填し、砲尾6に付設されている閉鎖機7により、砲尾6を閉鎖する。砲尾6に設けられた火管(不図示)を発火させると、砲尾6側の焼尽性容器1内にある火薬4の燃焼を誘起する。火薬4の燃焼が開始した部位は非常に迅速に逐次、周りの火薬4の燃焼を誘発する。その結果、火薬4の燃焼は瞬時に爆発的な燃焼となって進行し、燃焼ガスの圧力により、砲弾が押し出され、発射される。焼尽性容器1は、その焼尽性により燃焼残渣を残さずに完全燃焼する。そして、必要がある場合には、砲弾発射後に閉鎖機7を開け、同様の操作を繰り返す。

以下、本発明を適用する焼尽性容器の性能を評価するためのディスク状試験片を調製した例を調製例に、本発明を適用外の焼尽性容器の性能を評価するためのディスク状試験片を調製した例を比較調製例に示す。また焼尽性容器を試作した例を実施例に示す。

(調製例1〜33) 本発明の焼尽性容器の原料として、ニトロセルロース((NDS)K−4013C準拠品)、クラフトパルプ(針葉樹晒しパルプ)、非木材パルプ(アバカパルプ)、微細化セルロース繊維(セリッシュKY‐100G、ダイセルファインケム株式会社製)、安定剤であるエチルセントラリット((NDS)K−4004B準拠品)、バインダである合成樹脂の乳化重合スチレンブタジエンゴム、内添サイズ剤であるカチオン性のアルキルケテンダイマー系(AKD系)サイズ剤のサイズパインK‐287(荒川化学工業株式会社製)又はカチオン性のスチレン‐アクリル酸共重合体(PS系)サイズ剤のポリマロン360(荒川化学工業株式会社製)、湿潤紙力剤であるエピクロロヒドリン変成ポリアミドポリアミン樹脂のWS4030(星光PMC株式会社製)を用いた。ニトロセルロース、天然又は合成繊維(クラフトパルプ、非木材パルプ又は微細化セルロース繊維)、安定剤、合成樹脂の混合比は一定とし、内添サイズ剤、湿潤紙力剤を表1〜6に示す組成及び組成比で混合して、水に懸濁させたスラリーを調製した。このスラリーを、抄造し、金型加熱圧搾により、φ145mmディスク状で密度約900kg/m3のディスク状試験片を作製した。

(比較調製例1) 内添サイズ剤及び湿潤紙力増強剤を添加しないこと以外は、調製例1と同様の方法で、比較調製例1のディスク状試験片を作製した。

(物性評価) 調製例1〜33及び比較調製例1のディスク状試験片の物性評価を、以下のようにして行った。その評価結果を下記表1〜表6にまとめて示す。

(1)水分に対する寸法安定性評価試験1及び2 調製例1〜33及び比較調製例1の各ディスク状試験片を、60mm×20mmに裁断したものを試料とした。まず、試料を温度120℃の状況に5分間置いて乾燥させた後、常温常湿下で乾燥質量及び乾燥肉厚を測定した。その後、水中(水温20℃、水量500ml)に沈め、15分経過した後、試料を取り出し表面の水分を拭き取ってから湿潤質量及び湿潤肉厚を測定した。測定結果より、調製例1〜33及び比較調製例1の吸水率と吸水時の肉厚増加率とを、下記のようにして算出した。 吸水率(%)=(湿潤質量−乾燥質量)/乾燥質量×100 肉厚増加率(%)=(湿潤肉厚−乾燥肉厚)/乾燥肉厚×100

(2)強度評価試験 (2-1)乾燥状態における強度評価試験1 乾燥状態における耐衝撃性能を測定するために、先ず調製例1〜33及び比較調製例1の各ディスク状試験片を75mm×12.5mmに裁断し、ダンベル試料とした。各ダンベル試料を温度120℃の状況に5分間置いて乾燥させた後、常温常湿下で、JIS K6251に準じ、引っ張り試験を行い、乾燥強度を測定した。比較調製例1のダンベル試料を基準に、乾燥強度の増減率を算出した。

(2-2)吸水後の強度評価試験2 吸水後における耐衝撃性能を測定するために、先ず調製例1〜33及び比較調製例1の各ディスク状試験片を75mm×12.5mmに裁断し、ダンベル試料とした。各ダンベル試料片を温度120℃の状況に5分間置いて乾燥させた後、常温常湿下で、JIS K6251に準じ、引っ張り試験を行い、乾燥強度を測定した。乾燥した別なダンベル試料を水中(水温20℃、水量500ml)に沈め、15分経過した後、試料を取り出し表面の水分を拭き取ってから、同様に、引っ張り試験を行い、吸水後の強度を測定した。乾燥後の各ダンベル試料の乾燥強度を基準にして、吸水後の自己強度の低下率を算出した。

(2-3)吸水後の強度評価試験3 比較調製例1のダンベル試料の吸水後の強度を基準に、調製例1〜33の各ダンベル試料の吸水後の相対的強度を算出した。

(3)燃焼性能評価試験 容積100ccの密閉ボンブ熱量計を使用し、燃焼性能を評価した。調製例1〜33及び比較調製例1の各ディスク状試験片を、装填密度0.2g/ccで装填し、点火薬で着火し、圧力プロファイルを取得した。得られたデータより、圧力プロファイルの傾きを算出し、燃焼性能結果として評価した。比較調製例1の基準にして、燃焼性能が同等か否かの二段階で評価した。

(4)焼尽性能評価試験 燃焼残渣について、燃焼性能評価試験後の密閉ボンブ内を目視し、未燃の残渣物の有無を確認することにより、焼尽性能を評価した。

表1〜表6から明らかな通り、本発明の焼尽性材料に用いられる調製例1〜33の試験片は、比較調製例1の試験片と比較して、吸水率や肉厚増加率の増加を抑えて、耐水性が向上して、寸法安定性に優れている。また、吸水後も強度が然程低下せず、燃焼性評価・焼尽性評価ともに優れていた。調製例1〜14のように、乾燥強度増減率は、AKD系内添サイズ剤を用いた場合よりもPS系内添サイズ剤を用いた場合の方が、減少が抑制されていた。また調製例15〜16のように、湿潤紙力剤は本来含有量にかかわらず撥水性は発現しないとされるが、調製例17〜24のように幾分多めに含有させると、吸水性を充分に抑制して撥水性を発現しつつ吸水後の強度を充分に維持できる。調製例27〜31のように、内添サイズ剤と湿潤紙力剤との両方を用いると、吸水率が抑制され撥水性が発現するようになると共に、吸水後の強度低下率の減少が抑制される。また、調製例5では、吸水率、吸水後の寸法変化が良好であったものの、乾燥強度が低下する傾向にある。しかし、調製例32〜33に示すように、クラフトパルプに代えて非木材パルプを使用したり、クラフトパルプと共に微細化セルロース繊維を使用したりして、乾燥強度を維持しながら、耐水性を付与されている。

表1〜6から明らかな通り、本発明を適用する焼尽性容器に用いられる調製例1〜33の試験片は、内添サイズ剤が0.05〜2.0重量%で湿潤紙力剤を含まないか、湿潤紙力剤が0.75〜3.00重量%で内添サイズ剤を含まないか、内添サイズ剤:湿潤紙力剤を0.05〜2.0重量%:0.1〜3.0重量%で含まれているかで、吸水率が抑制され撥水性が発現するようになると共に、吸水後の強度低下率の減少が抑制される。

(実施例1) 調製例1〜33でディスク状試験片を作製した際に調製したスラリーを用いて、吸引抄造法により、図1に示す焼尽性容器1を作製した。この焼尽性容器1は、これら調製例のディスク状試験片と同様な物性を示した。なお、無線タグを有する焼尽性基板を同様に作製したが、これら調製例のディスク状試験片と同様な物性を示した。

本発明の焼尽性容器は、充分な耐水性を有するので、雨水に晒され得る屋外で使用され、火薬を重火器の砲身に安全かつ簡便に装填して、砲弾射撃の際や、儀礼用または訓練用の空包射撃の際に、用いられる。この焼尽性容器は、水で濡れても充分な強度を有するので、悪天候下でも操用性を損なわない。また、この焼尽性容器は、水で濡れても完全に燃え尽き、射撃後のたびに砲身内を清浄する必要が無いので、迅速に連続して射撃するのに有用である。

1は焼尽性容器、2は上蓋、3は容器本体、4は火薬、5は砲身、6は砲尾、7は閉鎖機である。

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