Infrared flare

申请号 JP19173998 申请日 1998-07-07 公开(公告)号 JP4023571B2 公开(公告)日 2007-12-19
申请人 日油株式会社; 細谷火工株式会社; 发明人 幸男 滝下; 道則 瀧塚; 穆 角; 浩和 詫間;
摘要
权利要求
  • 前端壁と後端壁を有する筒状の収容ケースと、その収容ケース内に収容されるフレア剤と、フレア剤を点火するための点火装置と、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルと、収容ケースの周壁、側壁又は後端壁に貫設され安定した飛翔を図るためのスピン用ノズルとを備えた赤外線フレア。
  • 前端壁と後端壁を有する筒状の収容ケースと、その収容ケース内に収容されるフレア剤と、フレア剤を点火するための点火装置と、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルと、収容ケースの周壁、側壁又は後端壁に貫設され安定した飛翔を図るためのスピン用ノズルと、収容ケースに設けられフレア剤の燃焼により発生する火炎を放出する複数の火炎放出口とを備えた赤外線フレア。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    この発明は、航空機を追尾する対赤外線追尾型飛翔体を欺瞞誘導するためのデコイフレアとして有用な赤外線を発生する装置としての赤外線フレアに関するものである。 さらに詳しくは、航空機エンジンの排気ガスから生成する赤外線を模擬することが可能で、対赤外線追尾型飛翔体のデコイフレアとして有用な赤外線フレアに関するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    デコイフレアは、航空機から発射薬等の手段によって放出されると同時に点火される。 点火薬の点火によってフレア剤の表面全体が着火され、燃焼しながら落下して、赤外線追尾型飛翔体を航空機から引き離す。 従来、このような目的で開発されたデコイフレアにおいて、燃焼剤としてマグネシウムとテトラフルオロエチレンを組合せたものが開示されている(特開平6−50698号公報)。
    【0003】
    【発明が解決しようとする課題】
    ところが、上記のような従来構成の赤外線フレアは飛翔能を有しないため、航空機から放出された後には空気抵抗によって急激に減速するとともに、重力によって落下し、その動きは航空機の動きとは著しく異なるものになる。
    【0004】
    また、従来構成の赤外線フレアは燃焼剤の表面全体から燃焼するため、落下する赤外線フレアの燃焼火炎は火の玉状になり、ジェットエンジンから放出される細長い三形の高温排気ガス領域とは大きく異なる形状となる。 従って、目標の運動方向や発光体の形状を識別できる赤外線追尾型飛翔体に対して誤誘導させる効果、つまりデコイ効果が不充分になるという問題があった。
    【0005】
    この発明は、以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。 その目的とするところは、航空機から放出されたときの急激な減速を防止して航空機と同様の安定した飛翔を保持することができるとともに、ジェットエンジン排気に近い細長い形状の高温領域を形成することができて優れたデコイ効果を発揮することができる赤外線フレアを提供することにある。
    【0006】
    【課題を解決するための手段
    【0007】
    上記のような目的を達成するために、の発明の赤外線フレアは、前端壁と後端壁を有する筒状の収容ケースと、その収容ケース内に収容されるフレア剤と、フレア剤を点火するための点火装置と、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルと、収容ケースの周壁、側壁又は後端壁に貫設され安定した飛翔を図るためのスピン用ノズルとを備えたものである。
    【0008】
    の発明の赤外線フレアは、前端壁と後端壁を有する筒状の収容ケースと、その収容ケース内に収容されるフレア剤と、フレア剤を点火するための点火装置と、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルと、収容ケースの周壁、側壁又は後端壁に貫設され安定した飛翔を図るためのスピン用ノズルと、収容ケースに設けられフレア剤の燃焼により発生する火炎を放出する複数の火炎放出口とを備えたものである。
    【0009】
    【発明の実施の形態】
    以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
    赤外線フレアは、前端壁と後端壁を有する筒状の収容ケースと、その収容ケース内に収容されるフレア剤と、フレア剤を点火するための点火装置と、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルと、収容ケースの周壁に設けられフレア剤の燃焼により発生する火炎を放出する複数の火炎放出口と、収容ケースの外側に配置されて安定した飛翔を図るための飛翔安定翼とを備えている。
    【0010】
    また、赤外線フレアは、前端壁と後端壁を有する筒状の収容ケースと、その収容ケース内に収容されるフレア剤と、フレア剤を点火するための点火装置と、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルと、収容ケースの周壁に貫設され安定した飛翔を図るためのスピン用ノズルとを備えている。
    【0011】
    前記収容ケースは点火装置とフレア剤とを収納する容器であるとともに、フレア剤の燃焼時に内部の圧力を外気圧よりも高く保つ圧力容器としての役割を果たす。 この収容ケースの材質には、薄い鋼板やアルミニウム板又は耐熱性に優れた繊維強化プラスチック板が使用できる。
    【0012】
    フレア剤燃焼時の収容ケースの耐熱性を向上させるために、収容ケース内面に耐熱性材料をライニングすることができる。 耐熱性材料としては、例えば耐熱性のゴムやプラスチック又はシリコーン樹脂が使用され、この材料が収容ケース内部にスプレー塗布やディッピング等の手段でライニングされる。 収容ケースの板厚とライニング剤の厚さは必要最小限に薄くし、フレア剤のサイズをなるべく大きくできるようにする。 収容ケースの寸法は任意であるが、既存のディスペンサー(発射筒)を使用するためには、従来の赤外線フレアと互換性を図ることが好ましい。 そのような収容ケースの一例としては、縦25mm、横52mm及び長さ205mm、又は縦52mm、横65mm及び高さ205mmの四角筒状あるいは直径36mm及び高さ148mmの円筒状が一般的である。
    【0013】
    前記点火装置は、一般的な固体推進薬ロケットに使用されている点火装置と同様の構造を有し、点火装置内にイニシエータと点火薬とを収容したものであり、フレア剤の近接位置に設置される。 イニシエータには、例えば点火玉や撃発火管が使用される。 点火薬には、例えばボロン硝石や黒色火薬、マグネシウムとポリテトラフルオロエチレンの混合物やテルミット組成物などの一般的な点火薬が使用可能である。 テルミット組成物は、一般的にはアルミニウム粉と酸化鉄粉の混合物であるが、アルミニウム粉のほかにマグネシウム粉やボロン粉等の可燃性金属が使用され、酸化鉄粉のほかに銅、マンガン、クロム等の酸化物の粉末が使用される。
    【0014】
    点火薬量は赤外線フレアの大きさによって最適量が異なるが、点火薬の燃焼によってフレア剤を短時間で点火するに充分な量、例えば2〜20gが使用される。 点火装置への着火は、収容ケース外面に設置された撃発火管を撃芯で叩き、その火炎で点火薬を発火させたり、あるいは点火装置内に設置した電気式点火器に電気を流して発火させたりすることにより行われる。
    【0015】
    フレア剤はロケット推進薬に使用されているものと同様の、コンポジット系推進薬や硝酸エステル等を使用した均質系推進薬のいずれもが使用できる。 例えば、コンポジット系推進薬は酸化剤と燃料成分とからなるものであり、酸化剤として過塩素酸アンモニウムや過塩素酸カリウムのような過塩素酸塩や、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムのような硝酸塩、トリメチレントリニトラミンやテトラメチレンテトラニトラミンのようなニトラミン、重クロム酸塩等が使用できる。 また、燃料成分としてはポリウレタンやポリブタジエン、グリシジルアジドポリマー、ポリエステル等のバインダー成分又はパラフィンのような炭化素系燃料が使用可能である。 さらに、燃焼温度を高めるために、補助燃料としてマグネシウムやアルミニウム等の金属燃料も使用できる。
    【0016】
    これら酸化剤、燃料及び補助燃料の配合割合は、例えば酸化剤40〜90重量%、燃料5〜60重量%、補助燃料0〜30重量%であり、好ましくは酸化剤60〜85重量%、燃料10〜40重量%、金属燃料0〜20重量%である。
    【0017】
    また、均質系推進薬にはニトロセルロースを主成分とするシングルベース系推進薬、ニトロセルロースとニトログリセリンを主成分とするダブルベース系推進薬、さらにこれにニトログアニジンやニトラミンのような固体成分を加えたトリプルベース系推進薬がある。
    【0018】
    シングルベース系推進薬の場合、例えば好ましくはニトロセルロース80〜98重量%、可塑剤や燃焼触媒2〜20重量%、さらに好ましくはニトロセルロース90〜95重量%、可塑剤や燃焼触媒5〜10重量%から構成される。
    【0019】
    ダブルベース系推進薬の場合、例えば好ましくはニトロセルロースが30〜70重量%、ニトログリセリンが20〜60重量%、可塑剤や燃焼触媒が3〜40重量%で、さらに好ましくはニトロセルロースが40〜60重量%、ニトログリセリンが30〜50重量%、可塑剤や燃焼触媒が8〜30重量%から構成ざれる。
    【0020】
    トリプルベース系推進薬の場合、ダブルベース系推進薬に例えばニトログアニジンやニトラミンを10〜30重量%加えた組成で構成される。
    ジェットエンジン排気からの赤外線放射は二酸化炭素と水蒸気の赤外発光が主となるため、上記フレア剤組成は燃焼時に水蒸気と二酸化炭素との高温ガスをなるべく多量に生成できるものが好ましく、このため炭素や水素を多く含む組成物が適当である。
    【0021】
    これらフレア剤の形状は、収容ケース内への充填容積がなるべく大きくなるようにすることが好ましく、例えば1辺が20〜100mm、長さ100〜300mmの角筒状や直径が20〜100mm、長さ100〜300mmの円筒状に成形される。 また、燃焼を通じて燃焼面積がほぼ一定になるように調整するために、例えば直径5〜20mmの内孔を1個又は複数個設けることもできる。
    【0022】
    推進ノズルはフレア剤の燃焼ガスを後方に向けて噴出させ、空気抵抗力に見合う大きさの推進力を得るためのものである。 推進ノズル形状は、断面積に変化のない単純な円筒状の音速ノズルだけでなく、スロート部の外に末広がり部分を有する超音速ノズルも使用できる。 推進ノズルは、収容ケース後端壁の中央部に1個設けるものが最も容易に製作できるが、各推進ノズルで発生する推進力の合力の方向が赤外線フレアの重心点を通るならば、複数個の推進ノズルを設けることができる。
    【0023】
    このためには、推進ノズルは赤外線フレアの中心軸に対して対称形に配置される。 また、推進ノズルの位置は収容ケース後端壁だけでなく、収容ケースの側壁又は周壁から斜め後方に向けて設けることができる。 推進ノズルの形状は、断面円形又は断面長方形のほか、細長いスリット形状でもよい。 これらの場合も、直進安定性を確保するためには各推進ノズルで発生する推進力の合力の方向が赤外線フレアの重心点を通るように推進ノズルを配置することが望ましい。
    【0024】
    推進ノズルの大きさは、必要な推進力と収容ケース内圧の設定値によって変化するが、例えばコンポジット推進薬のフレア剤を収容ケース内圧3 kgf/cm 2で燃焼させる場合、推進ノズル面積を0.5cm 2にすれば約2kgの推進力が得られる。 この推進力により、赤外線フレアを高度5000mにおいて航空機と同等のマッハ0.8で飛翔させることができる。
    【0025】
    火炎放出口は、収容ケースの側壁、周壁又は後端壁に開口された燃焼ガスの放出口であり、収容ケース内に加圧されている高温の燃焼ガスを多数の小孔から噴出させることにより、飛翔する赤外線フレアの側方から後方にかけて高温ガスの大きな発光領域を形成するために設けられる。 この火炎放出口は、収容ケース表面に例えば直径又は幅3〜15mmの円孔又は角孔として数個〜数十個、好ましくは直径約5mmの円孔として10〜20個設けられる。
    【0026】
    これらの火炎放出口は、例えば収容ケースの側壁、周壁又は後端壁に均等に配置したり、収容ケースの側壁又は周壁に一定のパターンで並べたものである。 火炎放出口は、中心軸に対して反対側の面で発生する推力が等しくなるようにし、燃焼ガスの放出に伴う横方向の推力によって直進安定性が失われないように設定される。 孔の形状は断面円形、断面四角形のほか、細長いスリット形状でも良いが、製造性の点では単純な円穴が好ましい。
    【0027】
    火炎放出口を末広がり部を持つ超音速ノズルにすると推進ノズル出口のガス温度が低下するため、断面積の変化のない単純な円筒状の孔の方が好ましい。 火炎放出口の合計面積は、大きすぎると収容ケース内圧が低下するため、フレア剤のガス発生量と収容ケース内圧を考慮して決定される。 フレア剤の燃焼量が毎秒100gで収容ケース内圧を3 kgf/cm 2に設定する場合には、火炎放出口の合計面積は4cm 2程度が適切である。
    【0028】
    飛翔安定翼は収容ケースの後部に設置され、赤外線フレアの空力重心を質量重心よりも後方に位置させて、空気力学的に安定性を保たせるためのものである。 この飛翔安定翼は、例えば飛行機の翼のような板状のものが例えば2〜8枚、好ましくは3〜4枚が収容ケース後方に取付けられたものである。 また、飛翔安定翼は、収容ケースの後方に漏斗のような円錐形状のスカートを突き出して設置したものや、吹き流し状の羽根を設置したものであってもよい。 赤外線フレアの安定効果を高く保つためには、飛翔安定翼を赤外線フレアの軸線に対して対称形に配置することが好ましい。
    【0029】
    飛翔安定翼には大きな面積のものを使用する方が安定効果は高いが、質量増になるため必要最小限の寸法に抑えることが好ましい。 この飛翔安定翼の一例としては、縦横各50mm、長さ205mmの赤外線フレアに対して、縦横各3cmの飛翔安定翼を後部に4枚設置すれば充分な安定効果が得られる。 これらの飛翔安定翼は、赤外線フレアをディスペンサーに収納している間は邪魔にならないように折り畳み可能な構造とし、空中に放出後飛翔安定翼がばね等の力によって展開するものが好ましい。
    【0030】
    スピン用ノズルは、通常飛翔安定翼の代わりとなるものであり、収容ケース表面に設けた複数個のスピン用ノズルから燃焼ガスを噴出させることにより、赤外線フレアをスピンさせて直進安定性を保たせることができる。 この場合の収容ケースの形状は、角柱形状よりも円筒形状の方が回転時の空気抵抗を低減できる点で好ましい。 スピン効果を得るためだけであればスピン用ノズルの個数は数個で充分であるが、火炎放出口としての役割を兼ね備える場合は、スピン用ノズルを各面に均等に多数配置して赤外線フレア周囲の火炎の分布を一様にすることが好ましい。
    【0031】
    円筒形フレアにおいては、すべてのスピン用ノズルは収容ケースの直径方向から接線方向に傾むけた角度に設置されるが、その角度が0°に近いとスピン回転力が充分に得られず、角度が90°に近いと薄いケースにスピン用ノズルを設置することが難しくなる。 このため、好ましくは10〜80°好ましくは30〜60°の角度に設定される。 フレア剤から発生した燃焼ガスはスピン用ノズルを通ってやや傾いた角度に噴出し、この接線方向の力によって収容ケースを回転させ、そのスピン安定効果によって直進安定性が得られる。
    【0032】
    赤外線フレアを軸線を中心に回転させるには、各スピン用ノズルで発生するスピン力の合力が赤外線フレアの回転軸上にあるよう、各スピン用ノズルのスピン力と傾斜角を設定する必要がある。 収容ケースをスピンさせるに必要なスピン用ノズルの個数は例えば2〜16個、好ましくは3〜8個であるが、火炎放出口を兼ねる場合には20個程度のスピン用ノズルを設置することが好ましい。
    【0033】
    スピン用ノズルは収容ケースの周壁又は側壁に設置する以外に、後端壁に設置することもできる。 この場合はスピン用ノズルで発生する力の一部がスピン力になり、その他の力が推進力となることから、スピン用ノズルで推進ノズルを兼ねることができる。 スピン用ノズルを収容ケース後端壁に設置した場合は、赤外線フレア後部にのみ火炎が発生することから、別途火炎放出口を収容ケース側壁に設置することが好ましい。
    【0034】
    角筒型フレアの場合、スピン用ノズルを収容ケース側壁の中央線からずれた位置に設置することにより、収容ケース側壁に垂直のノズルであってもスピン力が得られる。 スピン用ノズルを収容ケース側壁の中央線上に設置する場合は、ノズル軸を収容ケース側壁の垂直面からやや傾いた角度に設置しないとスピン力が得られない。 スピン用ノズルを設置する面は回転軸に対称の位置にある2面以上であればよいが、各スピン用ノズルで発生するスピン力の合力が赤外線フレアの回転軸上にあるように各スピン用ノズルの配置を決定する必要がある。
    【0035】
    角筒型フレアでのスピン用ノズルは例えば2〜16個、好ましくは2〜8個を各側壁の端の部分に垂直に設けるが、火炎放出口を兼ねる場合は20個程度設置することが好ましい。
    【0036】
    円筒型フレア及び角筒型フレアでのスピン用ノズルの孔形状は断面円形又は断面四角形、あるいは細長いスリット形状でもよいが、製造性の点では単純な円孔が好ましい。 スピン用ノズルを末広がり部を持つ超音速ノズルにするとスピン力は大きくなるが、安定飛翔に必要なスピン力は比較的小さいため、加工費用の安い単純な音速ノズルで充分である。 スピン用ノズルの合計面積は大きすぎると収容ケース内圧が低下するため、フレア剤のガス発生量と収容ケース内圧を考慮して決定されるが、フレア剤の燃焼量が毎秒100gで収容ケース内圧を3 kgf/cm 2に設定する場合には、4cm 2程度が適切である。
    【0037】
    以上のような実施形態により発揮される効果について以下に記載する。
    ・ 実施形態の赤外線フレアによれば、フレア剤の燃焼により発生するガスにより、収容ケースの後部を貫通して開口する推進ノズルを介して、空気抵抗力に見合う推力を発生することができる。 このため、航空機から放出されたときの急激な減速を防止して、赤外線フレアを所定の速度で飛翔させることができる。
    【0038】
    ・ 実施形態の赤外線フレアによれば、収容ケースの外側に飛翔安定翼を備えたことから、赤外線フレアを航空機と同様に安定した状態で飛翔させることができる。
    【0039】
    ・ 実施形態の赤外線フレアによれば、収容ケースの周壁又は後端壁に複数の火炎放出口を備えたことから、それらの火炎放出口からフレア剤の燃焼により発生する火炎を放出することができ、ジェットエンジン排気に近い細長い形状の高温領域を形成することができ、優れたデコイ効果を発揮することができる。
    【0040】
    ・ 実施形態の赤外線フレアによれば、収容ケースの周壁又は後端壁に貫設されたスピン用ノズルを設けたことから、赤外線フレアをスピン(回転)させながら、航空機と同様に安定した状態で飛翔させることができる。
    【0041】
    【実施例】
    以下、前記実施形態を具体化した実施例について説明する。
    参考例1
    図1は一実施形態の赤外線フレアを示す部分破断正面図、図2は図1の右側面図である。 これらの図に示すように、収容ケース11は前端壁11aと後端壁11bとによって前後両端が密閉された四角筒状に形成されている。 この参考例1では、収容ケース11は横25mm、縦50mm及び長さ200mmの鉄製容器である。 点火装置12は収容ケース11の前端壁11a内面中央に設けられ、内部に点火玉13と点火薬14が装填されている。 点火玉13は電気信号によって着火する電気式であり、点火薬14はボロン硝石である。 そして、点火玉13の着火により点火薬14が点火されるようになっている。
    【0042】
    フレア剤15は収容ケース11の内部に配置できる形状に成形され、その前端部が点火装置12に近接した状態で収容ケース11内の周囲に配設される。 このフレア剤15の外周面と収容ケース11の側壁11cとの間には、フレア剤15の燃焼による火炎が火炎放出口19から放出されるような隙間が形成されている。 実施例1では、フレア剤15の形状は外寸が横20mm、縦45mm及び長さ190mmで、内寸が横5mm、縦30mm及び長さ190mmである。 また、フレア剤15は、過塩素酸アンモニウム85重量%及びポリブタジエン系バインダー15重量%からなるコンポジット系推進薬である。
    【0043】
    円筒状の排気筒16は、収容ケース11内の中心に軸線方向に延びるように配設されている。 ガス通過孔17は排気筒16の周壁に多数設けられ、フレア剤15の燃焼によるガスを排気筒16内に導くようになっている。 推進ノズル18は断面円形状で中央が括れた形状をなして収容ケース11の後端壁11b中央に設けられ、排気筒16内に導かれた燃焼ガスを外部へ排出して推進力を得るようになっている。 参考例1では、推進ノズル18の開口端の直径が8mmに形成されている。
    【0044】
    円孔状をなす複数の火炎放出口19は収容ケース11の側壁11cに開口され、フレア剤15の燃焼による火炎を外部へ放出するようになっている。 参考例1では、火炎放出口19は直径9mmで16個設けられている。 飛翔安定翼20は収容ケース11後端部の四隅に設けられ、図2に二点鎖線で示すディスペンサー内での収納状態からディスペンサー外へ出たときコイルスプリング21の付勢力によって実線で示す展開状態に配置されるようになっている。 この飛翔安定翼20は赤外線フレアが動作されるときに展開され、図示しないストッパにより所定角度で展開状態に保持される。 参考例1では、飛翔安定翼20は縦横25mmの四角板状に形成されている。 以上のような赤外線フレアは、航空機のディスペンサー内に収納されている。
    【0045】
    さて、赤外線フレアは、航空機のディスペンサーから射出される際に点火装置12に点火電流が流されて点火玉13が着火され、その火炎により点火薬14が点火される。 さらに、その点火薬14が点火により、点火薬14に近接するフレア剤15が着火燃焼する。 また、ディスペンサーからの赤外線フレアの射出時において、4枚の飛翔安定翼20が図2に二点鎖線で示す位置から開放され、コイルスプリング21の付勢力によって図2に実線で示す位置まで展開する。
    【0046】
    この飛翔安定翼20の展開により、赤外線フレアの飛翔方向が航空機の飛翔方向に向くように設定される。 その状態で、フレア剤15からの燃焼ガスが推進ノズル18から噴出され、赤外線フレアが航空機と同等の速度で飛翔する。 さらに、火炎放出口19からもフレア剤15の燃焼による火炎が放出され、収容ケース11の側壁11cから後方に大きな火炎領域が形成され、強い赤外線が放出される。
    【0047】
    この赤外線フレアを推力計測装置に推進ノズル18を上向きにして固定し、燃焼時の推進力を計測したところ、推進ノズル18から噴出されるガスにより約2kgf の推力が計測された。 この力は、赤外線フレアがマッハ0.8で飛翔する際に発生する空気抵抗力と同等であり、マッハ0.8の速度で飛翔できる能力を示すものであった。
    【0048】
    また、側壁11cの火炎放出口19から赤外線フレア周囲に多量の火炎が噴出し、約1m四方(1m 2 )の高温火炎領域が形成された。 これは、後述する比較例1に示す従来型フレアによる火炎発生領域0.3m 2の3倍以上であり、発光面積の増大によって赤外線放射強度の大幅な増加が達成された。
    (実施例
    次に、前記実施形態を具体化した実施例について説明する。 なお、この実施例では主に参考例1と異なる部分について説明する。
    【0049】
    図3は実施例の赤外線フレアを示す部分破断正面図、図4は図3の4−4線における断面図である。 これらの図に示すように、収容ケース11は前端壁11aと後端壁11bとによって前後両端が密閉された円筒状に形成されている。 この実施例1では、収容ケース11は直径50mm、長さ200mmの鉄製容器である。 また、点火装置12における点火薬14としてボロン硝石8gを用いた。
    【0050】
    フレア剤15は収容ケース11内の両端部を除く中間部の周囲に配置できる円筒形状に成形され、その前端部が点火装置12に近接した状態で収容ケース11内の周囲に配設される。 実施例では、フレア剤15は外径45mm、内径15mm、長さ180mmの円筒形である。 また、フレア剤15は、ニトロセルロース50重量%、ニトログリセリン35%、可塑剤と燃焼触媒15重量%を原料とするダブルベース系推進薬である。
    【0051】
    実施例においては、 参考例1の円筒状の排気筒16は設けられていない。
    複数のスピン用ノズル22は収容ケース11の周壁11dに周方向に90°間隔で、軸線方向に所定距離をおいて開口されている。 このスピン用ノズル22は、収容ケース11の直径方向から周方向に対して45°の角度をもって穿設され、フレア剤15の燃焼によるガスが吹き出されることにより赤外線フレアを回転させて安定した状態で飛翔させることができるようになっている。 また、このスピン用ノズル22は火炎放出口を兼ねている。 実施例では、スピン用ノズル22は直径7mmに形成され、20箇所設置されている。
    【0052】
    さて、赤外線フレアは、航空機のディスペンサーから射出される際に点火装置12が点火されると、フレア剤15が着火燃焼する。 そのフレア剤15からの燃焼ガスが推進ノズル18から噴出され、赤外線フレアが航空機と同等の速度で飛翔される。
    【0053】
    それと同時に、スピン用ノズル22からフレア剤15の燃焼ガス及び火炎が吹き出されることにより、赤外線フレアがスピンして安定した状態で飛翔する。 しかも、スピン用ノズル22から吹き出される火炎により、収容ケース11の周壁11dから後方に高温の大きな火炎領域が形成され、強い赤外線が放出される。
    【0054】
    以上のような赤外線フレアを回転式燃焼スタンドに推進ノズル18を上向きにして固定し、燃焼時の推進力と回転速度を計測したところ、推進ノズル18から噴出するガスによる約2kgf の推力と、スピン用ノズル22から噴出されるガスによる約3000rpmの回転速度が計測された。 この推進力はこの赤外線フレアがマッハ0.8で飛翔する際に発生する空気抵抗力と同等であり、またこの回転速度はこの赤外線フレアをスピン安定させるに充分な速度であることから、マッハ0.8の速度で直進安定性を維持して飛翔できる能力を示すものである。
    【0055】
    また、周壁11dのスピン用ノズル22から赤外線フレア周囲に多量の火炎が噴出し、約1m四方(1m 2 )の高温ガス領域が形成された。 これは、下記の比較例1に示す従来型フレアによる火炎発生領域0.3m 2の3倍以上であり、赤外線放射強度の大幅な増加が達成された。
    (比較例1)
    現在一般的に使用されている赤外線フレアを模擬するため、直径50mm、長さ200mmの円柱状をなすマグネシウムとポリテトラフルオロエチレンの混合燃焼剤を使用し、これを床面に置いて点火し、燃焼状態を観察した。 この燃焼剤は高温の火炎を出しながら燃焼するものの、燃焼ガスの噴出力で動くことはなく、推進力は非常に少ないと判断された。 また、燃焼ガスのガス圧はほぼ大気圧であることからガスの周囲への広がりは少なく、発光領域は0.3m 2程度と小さかった。
    【0056】
    従って、従来型の赤外線フレアは、強い可視光から赤外光の間の光を発生させることを目的としていて燃焼時の発生ガス量は少ない。 また、フレア剤はケースに入っておらず大気圧下で燃焼するため、赤外線フレアに推進力を与えたり、燃焼ガスを噴出させて大きな発光領域を形成することには適していないことが明らかになった。
    【0057】
    なお、前記実施形態を以下のように変更して構成することも可能である。
    ・ 図1及び図2に示す参考例1において収容ケース11を円筒状等の四角筒状以外の形状に形成したり、図3及び図4に示す実施例において収容ケース11を四角筒状等の円筒状以外の形状に形成すること。
    【0058】
    参考例1において排気筒16を省略したり、実施例において排気筒16を設けたりすること。
    参考例1又は実施例において、収容ケース11の前端壁11aを砲弾型や円錐状に形成すること。
    【0059】
    このように構成することにより、赤外線フレアの飛翔安定性と直進安定性をより向上させることができる。
    参考例1及び実施例において、フレア剤15の外周面と収容ケース11の側壁11c又は周壁11dとの間の隙間を、例えば火炎放出口19の近傍において形成し、その他の部分において形成しないこと。
    【0060】
    このように構成した場合でも、フレア剤15の燃焼による火炎を火炎放出口19から支障なく放出することができる。
    さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
    【0061】
    ・ 前記推進ノズルで発生する推進力の方向が重心点を通るものである請求項1 又は請求項2に記載の赤外線フレア。
    このように構成した場合、赤外線フレアの飛翔を安定化させることができ、直進安定性を向上させることができる。
    【0062】
    ・ 前記収容ケース内に推進ノズルに連通する排気筒を設け、その排気筒にはフレア剤による燃焼ガスを排気筒内に導入するガス通過孔を穿設した請求項1 又は請求項2に記載の赤外線フレア。
    【0063】
    このように構成した場合、フレア剤による燃焼ガスをガス通過孔から排気筒を介して推進ノズルに導くことができ、赤外線フレアの効果的な推進力を得ることができる。
    【0064】
    ・ 前記収容ケースは、密閉状の圧力容器である請求項1 又は請求項2に記載の赤外線フレア。
    このように構成した場合、フレア剤の燃焼ガスによる圧力を維持して、赤外線フレアを安定状態で推進させることができる。
    【0065】
    【発明の効果】
    以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
    第1の発明の赤外線フレアによれば、航空機から放出されたときの急激な減速を防止して航空機と同様の安定した飛翔を保持することができるとともに、ジェットエンジン排気に近い細長い形状の高温領域を形成することができて優れたデコイ効果を発揮することができる。
    【0066】
    上記の効果に加え、構成を簡易にして製造コストの低減を図ることができる。
    の発明の赤外線フレアによれば、安定した飛翔効果と細長い形状の高温領域の形成効果とをバランス良く発揮させることができる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】 参考例1の赤外線フレアを示す部分破断正面図。
    【図2】 図1の右側面図。
    【図3】 実施例の赤外線フレアを示す部分破断正面図。
    【図4】 図3の4−4線における断面図。
    【符号の説明】
    11…収容ケース、11a…前端壁、11b…後端壁、11c…側壁、11d…周壁、12…点火装置、15…フレア剤、19…火炎放出口、20…飛翔安定翼、22…スピン用ノズル。

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