Stable initiator composition and ignition device

申请号 JP2007527160 申请日 2004-05-20 公开(公告)号 JP2007537967A 公开(公告)日 2007-12-27
申请人 アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド; 发明人 デニス, ダブリュー. ソラス,; スーンホー ソン,; カーティス トム,; ロン, エル. ヘイル,; ヒラリー, エヌ. ペティット,; ミンツー レイ,;
摘要 電 力 量が抑制されたハイスパーク開始剤組成物(718)が開示される。 開始剤組成物は、金属含有 酸化 剤と、少なくとも1種の金属還元剤と、非爆発性バインダとを含む。 点火時に両方向の噴出を生じる低電圧点火装置も開示される。 これらの点火装置は、噴出の向きを定めるサポート(712)内の孔(713)を横切るように 位置 付けられた電気抵抗素子(716)を有する。 これらの点火装置及び組成物は、 固体 燃料 加熱ユニット、特に、密封加熱ユニットのアクチュエーションに有用である。
【選択図】 図1
权利要求
  • 高信頼性ハイスパーク開始剤組成物であって、
    a. i. 金属含有酸化剤、
    ii. 少なくとも1種の金属還元剤、及び、
    iii. 非爆発性バインダの混合物を含み、
    b. 前記混合物が、約20〜100ミクロンの間の組成物厚さで、アクチュエーション時の0.25J〜8.5Jの範囲の間の総エネルギー量の放出、及び、5〜30ミリ秒の範囲の間の爆燃時間によって特徴付けられる、
    高信頼性ハイスパーク開始剤組成物。
  • 前記爆燃時間が20ミリ秒未満である、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記爆燃時間が10ミリ秒未満である、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記少なくとも1種の金属還元剤が、アルミニウム、ジルコニウム、及び、ホウ素からなる群より選択される、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記金属含有酸化剤が、アルカリの塩素酸塩、アルカリ土類金属の塩素酸塩、アルカリ金属の過塩素酸塩、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、及び、金属の酸化物からなる群より選択される、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記酸化剤が、三酸化モリブデン、酸化銅、三酸化タングステン、塩素酸カリウム、及び、過塩素酸カリウムのうちの少なくとも一つから選択される、請求項5に記載の開始剤組成物。
  • 少なくとも2種の金属還元剤を含む、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記2種の金属還元剤のうちの少なくとも一方がホウ素である、請求項7に記載の開始剤組成物。
  • 前記ホウ素が前記混合物中の他の酸化剤及び還元剤に対して約7〜10重量%存在する、請求項8に記載の開始剤組成物。
  • 前記金属還元剤及び前記金属含有酸化剤が粉末を含む、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記粉末のうちの少なくとも一方がナノ粒子サイズである、請求項10に記載の開始剤組成物。
  • 前記金属還元剤及び前記金属含有酸化剤の両方がナノ粒子サイズの粉末である、請求項10に記載の開始剤組成物。
  • 25〜75重量%の前記酸化剤を含む、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 25〜75重量%の前記還元剤を含む、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 組成物の総乾燥重量に基づいて、約15重量パーセント未満のバインダを含有する、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 組成物の総乾燥重量に基づいて、5重量パーセント未満のバインダを含有する、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記バインダが不活性である、請求項15に記載の開始剤組成物。
  • 前記バインダがViton又はLaponiteからなる群から選択される、請求項17に記載の開始剤組成物。
  • 電気抵抗アクチュエーションメカニズムと共に使用される、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 衝撃式アクチュエーションと共に使用される、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 光学式アクチュエーションと共に使用される、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 前記光学式アクチュエーションがフラッシュバルブである、請求項22に記載の開始剤組成物。
  • アルミニウム、三酸化モリブデン、ホウ素、及び、Vitonを含む、請求項1に記載の開始剤組成物。
  • 組成物の総乾燥重量に基づいて、約26〜27%のアルミニウム、51〜52パーセントの三酸化モリブデン、7〜8パーセントのホウ素、及び、14〜15%のVitonを含む、高信頼性、ハイスパーク、低電圧、非爆発性開始剤組成物。
  • a. 孔が内部に包含されたサポートと、
    b. 前記サポートと接触した少なくとも2個の導体と、
    c. 少なくとも部分的に前記孔を横切るよう位置付けられ、前記導体に取り付けられた抵抗加熱素子と、
    d. 前記抵抗加熱素子の両側の少なくとも一部分に位置付けられ、前記孔を覆う開始剤組成物と、
    を備え、燃料に点火し、両方向に集中された噴出を形成する高信頼性電気式の点火装置。
  • 前記サポートが熱絶縁材料である、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記熱絶縁材料が、Kapton(登録商標)、フッ素ラミネート材料、又は、FR4エポキシ/ファイバーガラス印刷回路板からなる群から選択される、請求項26に記載の点火装置。
  • 前記導体が銅トレーシングである、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記抵抗加熱素子が金属又は合金から選択される、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記抵抗加熱素子が、ワイヤ、フィラメント、リボン、又は、箔の形である、請求項29に記載の点火装置。
  • 前記抵抗加熱素子がニクロムワイヤである、請求項30に記載の点火装置。
  • 前記ワイヤが約0.0006インチ〜約0.001インチの径を有する、請求項31に記載の点火装置。
  • 前記抵抗加熱素子が約2Ω〜4Ωの範囲の間の電気抵抗を有する、請求項31に記載の点火装置。
  • 前記導体が半田付けによって前記抵抗加熱素子に取り付けられている、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記開始剤組成物がスラリーである、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記開始剤組成物が非爆発性である、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記開始剤組成物が低ガス生成である、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記開始剤組成物が、
    a. 金属含有酸化剤、
    ii. 少なくとも1種の金属還元剤、及び、
    iii. 非爆発性バインダの混合物を含む、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記開始剤組成物が、乾燥固体の重量で、10〜20パーセントのバインダと、30〜40パーセントの還元剤と、40〜60パーセントの金属含有酸化剤とを含む、請求項25に記載の点火装置。
  • 前記開始剤組成物が、ホウ素、アルミニウム、三酸化モリブデン、及び、Vitonの混合物を含む、請求項25に記載の点火装置。
  • アクチュエーション時に50ミリ秒未満の爆燃の始まりによって特徴付けられる、請求項25に記載の点火装置。
  • アクチュエーション時に10ミリ秒未満の爆燃の始まりによって特徴付けられる、請求項25に記載の点火装置。
  • アクチュエーション時に6ミリ秒未満の爆燃の始まりによって特徴付けられる、請求項25に記載の点火装置。
  • 点火時に噴出を両方向に集中させる、高信頼性点火装置を製造する方法であって、
    a. 2個の導体を孔が内部に収容されたサポート上に堆積するステップと、
    b. 前記導体の間に前記孔を横切るよう位置付けられた抵抗加熱素子を取り付けるステップと、
    c. 前記サポート上の前記孔の少なくとも一部分を覆うように、前記抵抗加熱素子の一方側に開始剤組成物を分配するステップと、
    d. 前記分配された開始剤組成物を乾燥するステップと、
    e. 前記孔を覆うように、前記抵抗加熱素子の反対側と、1回目の分配からの前記孔に、前記開始剤組成物をもう一度分配するステップと、
    f. 2回目に分配された開始剤組成物を乾燥するステップと、
    を備える方法。
  • 前記サポートが熱絶縁材料である、請求項44に記載の方法。
  • 前記熱絶縁材料がKapton(登録商標)又はFR4エポキシ/ファイバーガラス印刷回路板からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
  • 前記導体が銅トレーシングである、請求項44に記載の方法。
  • 前記抵抗加熱素子が金属又は合金から選択される、請求項44に記載の方法。
  • 前記抵抗加熱素子が、ワイヤ、フィラメント、リボン、又は、箔の形である、請求項44に記載の方法。
  • 前記抵抗加熱素子がニクロムワイヤである、請求項44に記載の方法。
  • 前記ワイヤが約0.0006インチ〜約0.001インチの間の径を有する、請求項51に記載の方法。
  • 前記抵抗加熱素子が約2Ω〜4Ωの範囲の間の電気抵抗を有する、請求項51に記載の方法。
  • 前記乾燥が空気乾燥である、請求項44に記載の方法。
  • 前記取り付けが半田付けを含む、請求項44に記載の方法。
  • 前記開始剤組成物がスラリーを含む、請求項44に記載の方法。
  • 前記開始剤組成物が非爆発性である、請求項44に記載の方法。
  • 前記開始剤組成物が低ガス生成である、請求項44に記載の方法。
  • 前記分配が自動分配装置による、請求項44に記載の方法。
  • 前記開始剤組成物が、
    a. 金属含有酸化剤、
    b. 少なくとも1種の金属還元剤、及び、
    c. 非爆発性バインダの混合物を含む、請求項44に記載の方法。
  • 前記開始剤組成物が、ホウ素、アルミニウム、三酸化モリブデン、及び、Vitonの混合物を含む、請求項44に記載の方法。
  • 说明书全文

    分野

    [0001]本開示内容は、低ガス放出開始剤組成物及び噴出誘導式点火装置に関し、特に、固体燃料を加熱する密封加熱ユニットで使用される開始剤組成物及び点火装置に関する。

    序論

    [0002]内蔵式加熱ユニットは、食料及び飲料を加熱する食品産業から、手・足温器を提供する野外レクリエーション、吸入装置のための医療応用までの広範囲の産業で使用されている。 これらの内蔵式加熱ユニットは、発熱化学反応を含む種々の仕組みによって加熱される。 化学ベースの加熱ユニットは、エンクロージャ内に発熱金属酸化還元反応を受ける固体燃料を含むことがあり、このような加熱ユニットは、例えば、2004年5月20日に出願された、発明の名称が“Self−Contained Heating Unit and Drug−Supply Unit Employing Same”である米国特許出願に記載されている(この米国特許出願の内容全体はあらゆる目的において参照により本明細書に明確に組み込まれる)。

    [0003]固体燃料は自立酸化還元反応を生成するために点火される。 固体燃料の一部分が点火されると、酸化還元反応によって生成された熱は、燃料のすべてが化学反応のプロセスで消費されるまで、近接した未燃燃料に点火する。 発熱酸化還元反応は、固体燃料の少なくとも一部分にエネルギーを供給することによって開始される。 固体燃料、又は、固体燃料と接触した素子によって吸収されるエネルギーは熱に変換される。 固体燃料が反応の自然発火温度、例えば、燃焼源又は炎が無い場合に自立燃焼を開始又は誘起するため必要な最低温度を上回る温度まで加熱されたとき、酸化還元反応が始まり、燃料が消費されるまで自立反応において固体燃料を燃やす。

    [0004]エネルギーは、多数の方法を使用して、固体燃料に点火するために供給される。 例えば、電流が供給されたときに固体燃料を自然発火温度まで加熱することができる抵抗加熱素子が固体燃料と熱接触させて位置付けられる。 吸収されたときに固体燃料をその自然発火温度まで加熱することができる電磁放射源が固体燃料へ向けられる。 電磁放射源には、レーザー、ダイオード、フラッシュランプ、及び、マイクロ波源が含まれる。 RF又は誘導加熱は、固体燃料内にあるか、又は、固体燃料と熱接触している高透磁率を有する材料によって吸収される交番RF磁界を印加することにより固体燃料源を加熱する。 エネルギー源は、より高い局部温度を生じ、その結果、発火を促進するようにエネルギー密度を増大させるため吸収材料に集中される。 ある実施形態では、固体燃料は衝撃によって点火される。

    [0005]2004年5月20日に出願された、発明の名称が“Self−Contained Heating Unit and Drug−Supply Unit Employing Same”である米国特許出願に記載されているような金属還元剤及び金属含有酸化剤を含む固体燃料の自然発火温度は、400℃から500℃まで変動する。 このような高い自然発火温度は、例えば、携帯型医療用具として、多くの使用条件下で固体燃料の安全な加工と安全な使用を促進するが、同じ理由から、このような高温を達成するために、大量のエネルギーが自立反応を開始させるため固体燃料に供給されなければならない。 さらに、固体燃料によって表される熱質量は、非現実的な高温が固体燃料の温度を自然発火温度より上昇させるため加えられなければならないことを要求する。 固体燃料及び/又は固体燃料が配置されたサポートに熱が加えられているとき、熱は同時に伝導され排出される。 固体燃料を直接加熱することは、固体燃料及びサポートの熱質量のためにかなりの電力量を必要とする。

    [0006]当分野において周知のように、例えば、花火産業では、スパークは燃料組成物を安全かつ効率的に発火させるため使用される。 スパークは、誘電媒体の電気破壊、又は、燃焼粒子の排出を指す。 第1の意味では、電気破壊は、例えば、電圧が印加された分離した電極の間に生成される。 スパークは、激しいレーザー照射場内で化合物をイオン化することによっても生成される。 燃焼粒子の例には、摩擦によって生成された粒子、及び、断続的な電流によって生成された断続スパークが含まれる。 固体燃料に入射した十分なエネルギーを持つスパークは、自立酸化還元反応を開始させる。

    [0007]典型的に、特に、花火の分野において固体燃料を格納する装置を作動するため使用される開始剤組成物は鉛化合物を含有する。 開始剤組成物中に鉛化合物が使用される理由は、鉛化合物が組成物に高い熱安定性を与え、スパーク又は抵抗加熱のような非常に弱いエネルギー刺激によって確実に開始するからである。 近年では、鉛を含まない開始剤組成物を有する点火装置が説明されている。 例えば、Naudらの国際公開公報第2004/011396号は、エネルギー材とバインダのナノ粒子を使用する電気マッチについて記載する。 しかし、Naudらに記載された電子マッチのため使用される開始剤組成物、及び、このような目的のためのその他の開始剤組成物は、典型的に、所望のスパーク感度、スパーク強度、及び、要求される強さを備えるため、異なる材料の複数の層を含む。 付加的に、最新の市販されている電気マッチ組成物は、例えば、ニトロセルロースのような爆発性材料を含有する。 さらに、これらの材料は発火時にかなりの量のガスを発生する傾向がある。

    [0008]これらの開始剤組成物が設置される点火装置は、一般に、銅箔被覆された電気絶縁性基板からなる。 基板のサイズは、一般に、およそ長さが0.4インチ、幅が0.1インチ、厚さが30ミルである。 マッチの先端には、マッチの縁を横切るように小径のニクロム線が半田付けされている。 マッチの土台に半田付けされた絶縁性リード線は、初期スパークを生成するため、ニクロム線を電気的に発火させる手段を提供する。 このような点火装置から発生されたスパーク噴出は、典型的に、マッチの炎のように、炎の形状であり、一方向へ向けられる。

    [0009]上記の開始剤組成物及び点火装置は、ハイスパーク噴出を生成することが可能である。 しかし、ハイスパークであるだけでなく、密封システムのため低ガス放出性でもあり、かつ、医療、食料、及び、その他のこのような装置で用いるため米国運輸省によって分類されているような爆発性材料を包含しない開始剤組成物が依然として必要とされる。 その上、両方向の噴出を与える点火装置の必要性がある。

    概要

    [0010]したがって、本発明の目的は、ハイスパークを生成することが可能であるが、低ガス放出性であり、電力量が規定された開始剤組成物を提供することである。 これらの組成物は、電気抵抗、衝撃、及び/又は、光学式点火によって着火されるようなものであることがさらに望ましい。

    [0011]本発明の別の目的は、点火時に両方向の噴出を生成する電気抵抗点火装置を提供することである。 ある実施形態では、点火装置はハイスパーク開始剤組成物で被覆される。

    [0012]一態様では、本発明は、金属含有酸化剤、少なくとも1種の金属還元剤、及び、バインダの混合物を含む、低ガス生産量が望まれる密封加熱ユニット又はその他のシステムのための爆燃開始剤組成物を提供する。 バインダは、典型的に非爆発性である。 電力は、固体燃料に点火するために十分であるが、しかし、表面上に薄層として塗られている場合に固体燃料表面を破損する程には強くないエネルギーを供給するように最適化されている。

    [0013]本発明の別の態様は、内部に孔を含むサポートと、孔を覆うために開始剤組成物が上に載せられ、孔を横切るように位置付けられ、サポートと接触した少なくとも2個の導体に接続された抵抗加熱素子とを備え、両方向に集中されたスパーク噴出を用いて燃料に点火する点火装置を提供する。

    [0014]本発明のさらに別の態様では、両方向の噴出を伴う点火装置を作成する方法が提供される。

    [0015]上記の一般的な記載と以下の詳細な記載の両方は、典型と説明のためだけであり、請求項に記載されているようなある実施形態を限定するものではないことが理解されるべきである。

    種々の実施形態の説明

    [0026]特に断らない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される含有物、反応条件などの量を表現するすべての数は、用語「約」によってすべての事例において修正されるものとして理解されるべきである。

    [0027]本願では、単数の使用は特に断らない限り複数を含む。 本願では、「又は」の使用は特に断らない限り「及び/又は」を含む。 さらに、用語「を含めて(including)」と、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」のようなその他の形式の使用は限定的ではない。 同様に、「素子」又は「成分」のような用語は、特に断らない限り、1個のユニットを備える素子及び成分と、2個以上のサブユニットを備える素子及び成分の両方を包含する。

    開始剤組成物
    [0028]燃料、特に、基板上に被覆された燃料に点火するため、点火装置は最適な電力を燃料に供給すべきである。 開始剤組成物に点火する際に放出される電力が不十分であるならば、燃料に供給される熱は、燃料が点火する前に熱伝導によって放散される。 電力が強力すぎるならば、点火組成物から発生されたスパークが燃料膜の表面を破壊し、燃料が被覆された表面の不均一な加熱を生じる。 圧縮エアゾールとしての薬の散布のための加熱ユニットのようなあるアプリケーションでは、この加熱の不均一性は結果として生じるエアゾールの純度に影響を与える。 その上、これらの加熱ユニットは、コスト的な理由と、加熱ユニット及びバッテリーを伴う薬散布装置のサイズが小さくなるように、可能であれば低電圧を使用して作動されることが望ましい。

    [0029]本発明の開始剤組成物は、爆燃し、固体燃料に容易かつ確実に点火するが、燃料の表面を破壊しない強烈なスパークを生成する。 開始剤組成物は、非常に信頼性が高く、金属含有酸化剤と少なくとも1種の金属還元剤の混合物を含む。

    [0030]ある実施形態では、金属還元剤は、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ビスマス、アルミニウム、及び、ケイ素を含むが、これらに限定されない。 ある実施形態では、金属還元剤は、アルミニウム、ジルコニウム、及び、チタンを含む。 ある実施形態では、金属還元剤は2種以上の金属還元剤を含む。

    [0031]ある実施形態では、酸化剤は、酸素、酸素ベースのガス、及び/又は、固体酸化剤を含む。 ある実施形態では、酸化剤は金属含有酸化剤を含む。 ある実施形態では、金属含有酸化剤は、過塩素酸塩及び遷移金属酸化物を含むが、これらに限定されない。 過塩素酸塩は、例えば、過塩素酸カリウム(KClO )、塩素酸カリウム(KClO )、過塩素酸リチウム(LiClO )、過塩素酸ナトリウム(NaClO )、及び、過塩素酸マグネシウム[Mg(ClO ]などの、しかし、これらに限定されないアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩を含む。 ある実施形態では、酸化剤として機能する遷移金属酸化物は、モリブデンの酸化物(例えば、MoO )、鉄の酸化物(例えば、Fe )、バナジウムの酸化物(V )、クロムの酸化物(CrO 、Cr )、マンガンの酸化物(MnO )、コバルトの酸化物(Co )、銀の酸化物(Ag O)、銅の酸化物(CuO)、タングステンの酸化物(WO )、マグネシウムの酸化物(MgO)、及び、ニオブの酸化物(Nb )を含むが、これらに限定されない。 ある実施形態では、金属含有酸化剤は、2種以上の金属含有酸化剤を含む。

    [0032]ある実施形態では、金属還元剤及び酸化剤は、粉末形態でもよい。 用語「粉末」は、粉末、粒子、小球、薄片、及び、自己伝播燃焼を維持するために適切なサイズ及び/又は表面領域を示すその他の微粒子を指す。 例えば、ある実施形態では、粉末は、0.01μmから200μmまで変動する平均径を示す粒子を含む。

    [0033]ある実施形態では、開始剤組成物中の酸化剤の量は燃料組成物の共融点又はその近くの酸化剤のモル量に関連付けられる。 ある実施形態では、酸化剤は主要成分であり、他の実施形態では、金属還元剤が主要成分である。 当分野において既知であるように、金属及び金属含有酸化剤の粒子サイズは燃焼率を決定するため変えられ、高速燃焼のためにはより小さい粒子サイズが選択される(例えば、PCT国際公開公報第2004/01396号を参照のこと)。 よって、高速燃焼が望まれる一部の実施形態では、粒子はナノサイズであることが好ましい。

    [0034]ある実施形態では、金属還元剤の量は、開始剤組成物の総乾燥重量の25重量%から75重量%まで変動する。 ある実施形態では、金属含有酸化剤の量は、開始剤組成物の総乾燥重量の25重量%から75重量パーセントまで変動する。

    [0035]ある実施形態では、開始剤組成物は、本明細書に記載されているような少なくとも1種の金属と、例えば、本明細書に記載されているような、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩素酸塩若しくは過塩素酸塩、又は、金属酸化物などのような少なくとも1種の酸化剤とを含む。

    [0036]ある実施形態では、開始剤組成物は、アルミニウム、ジルコニウム及びホウ素からなる群からの少なくとも1種の金属還元剤を含む。 ある実施形態では、開始剤組成物は、三酸化モリブデン、酸化銅、三酸化タングステン、塩素酸カリウム、及び、過塩素酸カリウムからなる群からの少なくとも1種の酸化剤を含む。

    [0037]取り扱いの容易さが好ましいある実施形態では、アルミニウムは好ましい金属還元剤である。 アルミニウムは、ナノ粒子のような種々のサイズで入手可能であること、及び、保護酸化被膜を容易に形成することをはじめとしていくつかの利点がある。 このように、アルミニウムは乾燥状態での購入と取り扱いが可能である。 その上、アルミニウムは、例えば、ジルコニウムのような他の金属酸化剤より自然発火性が少ないので、一層安全に取り扱われる。

    [0038]ある実施形態では、組成物は2種以上の金属還元剤を含む。 このような組成物では、少なくとも1種の還元剤は好ましくはホウ素である。 ホウ素はその他の開始剤組成物で使用されている(例えば、米国特許第4,484,960号及び第5,672,843号を参照のこと)。 ホウ素は、酸化剤の存在下でより多くの出熱を提供するために、起爆が起こる速度を高める。

    [0039]ある実施形態では、確実で、再現可能な、制御された固体燃料の点火は、金属含有酸化剤と、少なくとも1種の金属還元剤と、ゲル化剤及び/又はバインダのような少なくとも1種のバインダ及び/又は添加材料との混合物を含む開始剤組成物の使用によって促進される。 開始剤組成物は、固体燃料を含む組成物と同じ又は類似した反応剤を含む。

    [0040]ある実施形態では、開始剤組成物は、例えば、プロセシングを促進し、機械的完全性を高め、及び/又は、燃焼とスパークの生成特性を決定するために添加材料を含む。 不活性添加材料は、開始剤組成物の点火及び燃焼中に反応しないか、又は、最小限の程度しか反応しない。 これは、ガス蓄積の最小化が望まれる密封システムと共に働くときに特に有利である。 添加材料は無機材料でもよく、バインダ、接着剤、ゲル化剤、チキソトロピー剤、及び/又は、界面活性剤として機能する。 ゲル化剤の例には、Laponite(登録商標)のようなクレーと、モンモリロナイトと、Cloisite(登録商標)と、nが3若しくは4であり、MがTi、Zr、Al、B若しくはその他の材料であり、化学式R−Si(OR) 及びM(OR) によって表現されるような金属アルコキシドと、遷移金属酸化物若しくは酸化物に基づくコロイダル粒子とが含まれるが、これらに限定されない。 バインディング剤の例には、ケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウムのような可溶性ケイ酸塩と、ケイ酸アルミニウムと、金属アルコキシドと、無機ポリアニオンと、無機ポリカチオンと、アルミナ若しくはシリカベースのゾルのような無機ゾル・ゲル材料とが含まれるが、これらに限定されない。 その他の有用な添加材料には、ガラス玉と、珪藻土と、ニトロセルロースと、ポリビニルアルコールと、グアーガムと、エチルセルロースと、酢酸セルロースと、ポリビニールピロリドンと、フッ素ゴム(Viton)と、バインダとして機能するその他のポリマーとが含まれる。 ある実施形態では、開始剤組成物は、2種以上の添加材料を含む。

    [0041]ある実施形態では、添加材料は、開始剤組成物のあるプロセシング、点火、及び/又は、燃焼特性を決定する際に役立つ。 ある実施形態では、イニシエータの成分の粒子サイズは、当分野で既知であるような点火及び燃焼率特性に合わせて選択される(例えば、米国特許第5,739,460号を参照のこと)。

    [0042]ある実施形態では、添加剤は不活性であることが望ましい。 エンクロージャ内に密封されるとき、開始剤組成物の発熱酸化還元反応は、選択された成分に応じて圧力増加を生じさせる。 携帯型医療装置内のようなあるアプリケーションでは、高温発熱材料と、発熱還元反応の生成物、及び、高温から得られるその他の化学反応の生成物とをエンクロージャ内に収容することは役に立つ。 発熱反応の収容が、固体燃料とイニシエータ成分の燃焼により生じる内圧に耐えるため、エンクロージャを適切に密封することによって実現される間に、加熱装置の安全性を保証し、装置製造を容易化するため、内圧を最小限に抑えることは有用である。 別の手段は、点火及び燃焼中に開始剤組成物によって生成される気相反応生成物の量を最小限に抑えることである。 このようにして、ある実施形態では、基板内の圧力は、固体燃料の点火のため使用される開始剤組成物の量を最小限に抑えることによって管理される。 同様に、圧力は、不活性であるか、及び/又は、点火時に大量のガスを形成する可能性が低い添加材料の選択によっても管理される。

    [0043]より好ましい実施形態、特に、加熱ユニットが医療応用で使用される実施形態では、添加剤は、米国運輸省によって分類されているように、例えば、ニトロセルロースのような爆発性をもたないことが望ましい。 好ましい実施形態では、添加剤は、Viton(登録商標)及びLaponite(登録商標)である。 これらの材料は、他の開始剤組成物に結合し、開始剤組成物に優れた機械安定性を与える。

    [0044]金属、金属含有酸化剤、及び/又は、添加材料、及び/又は、適当な水溶性若しくは有機可溶性バインダを含む開始剤組成物の成分は、有用なレベルの分散及び/又は均一性を実現するため、適当な物理的又は機械的方法によって混合される。 取り扱い、使用、及び/又は、被覆を簡単にするため、開始剤組成物は、有機溶媒又は水溶性溶媒中に液体懸濁又はスラリーとして調製される。

    [0045]金属還元剤の金属含有酸化剤に対する比は、適切な燃焼及びスパーク生成特性を決定するため選択される。 ある実施形態では、開始剤組成物は、固体燃料に点火するために十分なエネルギーを有するスパークの生成を最大化するため処方される。 開始剤組成物から放出されたスパークは、固体燃料の表面に影響を与え、自立発熱酸化還元反応において固体燃料を点火させる。 ある実施形態では、開始剤組成物によって放出されるエネルギーの総量は、組成物のアクチュエーション時に0.25Jと8.5Jの間で変動する。 これらの組成物は、組成物厚が約20ミクロン〜100ミクロンであるときに約5ミリ秒から30ミリ秒の間の爆燃時間で燃焼する。 ある実施形態では、組成物の爆燃時間は、組成物厚が約40〜100ミクロンであるときに約5ミリ秒から20ミリ秒まで変動する。 他の実施形態では、爆燃時間は組成物厚が約40〜80ミクロンであるときに約5〜10ミリ秒の範囲に入る。

    [0046]開始剤組成物のエネルギーは、開始剤組成物反応が完了まで進むならば、所定の処方で調製されたスターターの質量によって測定される。 開始剤組成物によって生成される電力とエネルギーとの間の相関関係は、開始剤組成物の化学組成と、例えば、質量当たりの厚さのような組成物の物理構造とによって決まる。 開始剤組成物の電力を測定する一つの方法は、生成されたスパークからの光の強度を監視することである。 光度は、スパークの数密度と、スパークの温度と、スパークの化学特性及び物理特性との関数である。 スパークの特性はイニシエータの化学組成によって決まるので、電力はスパークに関連付けられた数の増加及び温度の上昇と相関すると仮定される。 実施例3は光度を測定するため使用される方法について記載する。 この方法は図2に示されている。 図2に示されているように、点火装置600上に被覆された開始剤組成物601は、2個のA76電池3.13V(図示せず)を使用して作動された。 作動中に、スパーク602が放出され、光検出器603が光度を測定するため使用された。 強度対時間の記録がオシロスコープを用いて行われる。 光検出器603からの電圧出力信号は所定の波長での光度に比例する。 スターターのエネルギーは、
    エネルギー=電力×時間であるので、曲線の下の面積を積分することによってさらに測定される。 当業者は、化学反応の化学量論、望ましいエネルギーの既知の制限に基づいて、及び/又は、日常的な実験によって各成分の適切な量を決定することが可能である。 電力は、固体燃料に点火するため十分であるが、固体燃料が表面上に薄層として被覆されているならば、固体燃料表面を破壊する程には強くないエネルギーを供給するために最適化されている。

    [0047]図3A及び3Bは、2個の開始剤組成物の強度対時間の測定である。 強度は光検出器からの電圧を記録することにより測定された。 図3Aは、0.0008インチの厚さのニクロム線上にニトロセルロースバインダを含む、0.4μLのナノZr:ナノMoO (50:50)と、1μLのナノZr:ナノMoO (50:50)による結果を示す。 爆燃時間は約15ミリ秒である。 図3Bは、0.0008インチの厚さのニクロム線上にある(乾燥重量パーセントで)26.5%のAlと、51.5%のMoO と、7.8%のBと、14.2%のViton A500からなる1.9μLの混合物による結果を示す。 爆燃時間は約10ミリ秒である。

    [0048]固体燃料が基板上に被覆されている実施形態のようなある実施形態では、固体燃料コーティングの均一又はほぼ均一な厚さは、開始剤組成物からのスパークの衝突中に変えられたり、破壊されたりしないことが望ましいが、その理由は、固体燃料の薄層の厚さ及び固体燃料の組成が、固体燃料の燃焼によって生成される最大温度、及び、温度プロファイルの時空間的な動的性質を決定し得るからである。 0.001インチから0.005インチまで変動する厚さを有する薄い固体燃料層を使用する研究は、固体燃料が配置された基板によって到達される最高温度が層の厚さと燃料構成物質の組成とに依存することを明らかにした。 よって、固体燃料層の均一性を維持することは、基板上の固体燃料が配置された領域の全体に亘って温度の均一性を達成するために必要である。 あるアプリケーションでは、例えば、基板の均一加熱は、高純度の薬物又は医薬組成物を含むエアゾールの生産を促進し、基板成形中に堆積した薬物からのエアゾールの生産高を最大化することが可能である。 本発明の組成物は、燃料コーティングに衝突するスパークからの被害を防止又は最小限に抑えるような組成物である。 本発明の開始剤組成物は、表面領域の温度の均一性に影響を与えるように、表面領域を破壊することなく、約0.05〜1.5インチの距離から、固体燃料に点火するために十分な電力を生成する。 ある実施形態では、開始剤組成物は、燃料の点火中に表面領域の温度の均一性に影響を与えることなく、燃料組成物自体の上に直接載せることが可能である。

    [0049]本発明のある開始剤組成物の実施例は、乾燥重量パーセントで、10%のZrと、22.5%のBと、67.5%のKClO とを含む組成物、49. )%のZrと、49.0%のMoO と、2.0%のニトロセルロースとを含む組成物、33.9%のAlと、55.4%のMoO と、8.9%のBと、1.8のニトロセルロースとからなる組成物、26.5%のAlと、51.5%MoO と、7.8%のBと、14.2%のVitonとからなる組成物、及び、47.6%のZrと、47.6%のMoO と、4.8%のLaponiteとからなる組成物を含む。

    [0050]本発明の特に高いスパーク性があり、かつ、ガス生成が少ない開始剤組成物は、アルミニウム、三酸化モリブデン、ホウ素、及び、Vitonの混合物を含む。 ある実施形態では、これらの成分は、20〜30%のアルミニウム、40〜55%の三酸化モリブデン、6〜15%のホウ素、及び、5〜20%のVitonという乾燥重量に基づく混合で混合される。 ある実施形態では、組成物は、26〜27%のアルミニウム、51〜52%の三酸化モリブデン、7〜8%のホウ素、及び、14〜15%のVitonを含む。 より好ましい実施形態では、アルミニウム、ホウ素、及び、三酸化モリブデンは、ナノサイズの粒子を構成する。 他の実施形態では、VitonはViton A500である。

    [0051]実施例1及び2は、本発明の開始剤組成物の調製の代表的な実施例について記載する。

    [0052]開始剤組成物は燃料自体の上に直接置かれ、例えば、光学式又は衝撃式などを含む様々な手段で点火される。 或いは、開始剤組成物は、図1に示されているように、点火装置に塗布される。 点火装置は、物理的に小型であり、熱的に絶縁され、サポートに取り付けられた加熱素子を備えている。

    [0053]開始剤組成物を自然発火温度まで加熱するために十分なエネルギーは、開始剤組成物、及び/又は、開始剤組成物が配置されたサポートに印加される。 ある実施形態では、開始剤組成物の点火温度は200℃から500℃まで変動する。 エネルギー源は、抵抗加熱、放射加熱、誘導加熱、光加熱、及び、衝撃加熱のうちのいずれでもよい。 ある実施形態では、これらの開始剤組成物は、加熱ユニット及びアクチュエーションシステムを収容する小型装置が望ましいとき、コスト上の理由から、可能であれば低電圧を使用して作動される。 例えば、電池電源式携帯型医療装置に関するあるアプリケーションでは、このような考慮は特に役に立つ。 ある実施形態では、エネルギー源は、例えば、1.5Vアルカリ電池又はLR44電池のような1台以上の小型低コスト電池であることが有用である。

    点火装置
    [0054]本発明の別の態様では、電気抵抗材料を含む新しい点火装置が開示される。 これらの点火装置は、内部に孔を持つサポートに電気抵抗素子を適切に設置することにより、両方向に集中された噴出を生成する。 これは、スパークによって点火装置から散逸された電力が2個の固体燃料で被覆された密封加熱ユニットの平面に同時に向けられ、それによって両方の表面に点火することを可能にする。

    [0055]一実施形態では、点火装置は、内部に孔を含むサポートと、サポートに接触した少なくとも2個の導体と、少なくとも部分的に孔を横切り、導体に取り付けられた抵抗加熱素子と、抵抗加熱素子の両側の少なくとも一部分の上に設置され、孔を被覆する開始剤組成物とを含む。

    [0056]本明細書では抵抗加熱素子とも呼ばれる電気抵抗材料は、電流が供給されるときに熱を発生する能力がある材料を含む。 電気抵抗加熱素子は、点火装置組成物の自然発火温度で完全性を維持する材料を備えている。

    [0057]ある実施形態では、加熱素子は、タングステンのような元素金属、ニクロムのような合金、又は、炭素のようなその他の材料を含む。 抵抗加熱素子に適した材料は当分野において既知である。

    [0058]信頼性が高く、かつ、一貫性のある点火を確保するため、着火遅延時間は短く、再現可能であることが必要である。 着火時間遅延は、以下の式によって示されているように、電気抵抗加熱素子の温度上昇率とスターター燃料材料の点火温度の関数である。


    式中、xは電気抵抗加熱素子を示す。

    [0059]よって、電気抵抗加熱素子の加熱が速くなるほど、点火装置が早く着火する。 電気抵抗加熱素子が断熱的に加熱することを仮定すると、電気抵抗加熱素子の加熱率は、以下の通り熱力学的に計算される。


    式中、Xは電気抵抗加熱素子を示し、Iはブリッジワイヤの中を通る電流であり、A

    はブリッジワイヤの断面積であり、ρ

    は電気抵抗であり、ρは密度であり、cは比熱である。

    [0060]点火装置に点火するため電池が使用されるときのように、電流が制限されるならば、ρ /(ρc)が大きく、断面積が小さいほど、加熱率が増大する。 したがって、ある実施形態では、大きなρ /(ρc)を有する電気抵抗加熱素子が使用される。 ある実施形態では、ニクロムは3.92×10 −13 Ωm K/Jの大きなρ /(ρc)を有し、その上、高い融点1672°Kを有するので、ニクロムが使用される。

    [0061]ある実施形態では、電気抵抗加熱素子が同時に化学的に不活性であるか、又は、耐食性があり、かつ、電気接続を形成するため容易に半田付け又は溶接されることがさらに好ましい。

    [0062]抵抗加熱素子は適当な形を有する。 例えば、抵抗加熱素子は、ワイヤ、フィラメント、リボン、又は、箔の形をしている。 しかし、抵抗加熱素子の寸法は点火に影響を与える。 抵抗加熱素子の寸法の選択は、抵抗加熱素子が適用されるシステムによって左右される。 ある実施形態では、抵抗加熱素子は、約0.001インチ未満の径を有するワイヤであり、別の実施形態では、約0.0008インチ未満であり、さらに別の実施形態では、約0.0006インチ未満である。

    [0063]加熱素子の抵抗の適切な選択は、電流源の電流、所望の自然発火温度、又は、所望の点火時間によって、少なくとも部分的に決定される。 電池が使用される場合、最大電力を電気抵抗加熱素子に供給するため、電気抵抗加熱素子の抵抗は電池の内部抵抗と同じであるべきである。 よって、LR44又は相当物のような2個の電池が点火装置を作動するため使用され、電池毎に2オームの内部抵抗と0.5アンペアの最大電流でそれぞれ約1.5Vを供給するある実施形態では、電気抵抗加熱素子抵抗は同様に約4オームであるべきである。 ある実施形態では、加熱素子の電気抵抗は2Ωから4Ωまで変動する。

    [0064]ワイヤ径が決定されると、ワイヤの長さは抵抗加熱素子の所定の抵抗によって自動的に固定される。 よって、例えば、電気抵抗加熱素子が2個の1.5VのLR44ボタン電池によって給電される0.0008インチ径を持つニクロムであるならば、ワイヤの長さは、使用される電池の内部抵抗に近い約3オームの抵抗を生じるため約0.030インチであるべきである。

    [0065]電気抵抗加熱素子は電気導体に接続される。 加熱素子は、サポート上に配置されたCu導体又はグラファイト/銀インクトレースのような導体に半田付け又は電気接続される。 サポートは、ポリイミド、ポリエステル、又は、フルオロポリマーのような電気絶縁基板でもよい。 導体は、フレキシブル又は剛性の印刷回路板材料のような電気絶縁材料の2枚の向かい合う層の間に配置される。 ある実施形態では、サポートは熱損失の可能性を最小限に抑えるため熱絶縁される。 このようにして、アセンブリとサポートの組み合わせに加えられた熱エネルギーの散逸は最小限に抑えられ、それによって、エネルギー源の電力所要量を低減し、物理的に小型であり、かつ、費用が抑えられた熱源の使用を容易化する。

    [0066]サポートは内部に孔又は開口を収容する。 抵抗加熱素子は少なくとも部分的に孔の上に配置される。 点火装置には1個の抵抗加熱装置しかないので、両方向の噴出又はスパークを生成するためには、抵抗加熱素子が取り付けられた側面に取り付けられたサポートのもう一方の側面からスパークが発生することを可能にするため孔が必要である。 これは、点火装置の両側面から来るスパークと接触する固定燃料の点火を可能にする。 ある実施形態では、サポート内の孔の径は抵抗加熱素子の長さによって決定される。

    [0067]本明細書で開示されているような開始剤組成物は、電気抵抗材料が開始剤組成物の点火温度まで加熱されたときに、開始剤組成物がスパークを生成するため点火するように、電気抵抗材料の表面に配置される。 開始剤組成物は、開始剤組成物を含むスラリーを堆積させ、乾燥させることにより電気抵抗加熱素子に塗布される。 ある実施形態では、開始剤組成物の自然発火温度は200℃から500℃まで変動する。

    [0068]抵抗加熱素子は、電源に電気接続された2個の電極の間に電気接続され、吊される。 電源が電池であるならば、システムの点火の信頼性を高めるために、コンデンサが付加される。 コンデンサは、コンデンサに蓄積されたエネルギーを放電することにより、加熱中の初期に付加的なエネルギーを電気抵抗素子に供給することを容易化し、点火遅延を短縮し、不点火を少なくする。 点火装置が抵抗で作動される加熱ユニット内で使用されるある実施形態では、コンデンサは電力系に追加される。

    [0069]ある実施形態では、爆燃の兆候は点火装置の作動後20ミリ秒未満に現れ、別の実施形態では、爆燃の兆候は10ミリ秒未満に現れ、さらに別の実施形態では、爆燃の兆候は6ミリ秒未満に現れ、なお別の実施形態では、爆燃の兆候は点火装置の作動後1ミリ秒以内に現れた。

    [0070]抵抗加熱素子を含む本発明の点火装置の実施形態は図1に示されている。 図1に示されるように、抵抗加熱素子716は電極714に電気接続される。 電極714は電池(図示せず)のような外部電源に電気接続される。 図1に示されるように、電極714は、印刷回路材料のようなラミネート材料に配置される。 このような材料と、このようなフレキシブル又は剛性の積層回路を製造する方法は当分野において周知である。 ある実施形態では、ラミネート材料712は、開始剤組成物718によって発生されたスパークをはじめとする発熱反応により抵抗加熱素子716が到達する温度、及び、固体燃料の燃焼中に到達する温度で劣化しない材料を含む。 例えば、ラミネート712は、Kapton(登録商標)、フッ素ラミネート材料又はFR4エポキシ/ファイバーガラス印刷回路板を含む。 抵抗加熱素子716はラミネート712内の開口713に配置される。 開口713は、熱散逸を最小限に抑え、抵抗加熱素子によって発生された熱の、開始剤組成物への移動を促進するため抵抗加熱素子716を熱絶縁し、開始剤組成物718から放出され、固体燃料(図示せず)に影響を与えるスパークのためのパスを提供する。

    [0071]図1に示されるように、開始剤組成物718は抵抗加熱素子716に配置される。

    [0072]以下の手順は開始剤組成物を抵抗加熱素子に塗布するため使用された。

    [0073]0.0008インチ径のニクロム線が、0.005インチ厚のFR4エポキシ/ファイバーガラス印刷回路板(Onanon)上に配置されたCu導体に半田付けされた。 点火装置回路板の寸法は1.82インチ×0.25インチであった。 導体リード線は接続のため印刷回路板から電源に延びる。 ある実施形態では、電気リード線は電気コネクタに接続される。

    [0074]点火装置印刷回路板は、DI水中で10分間に亘って超音波分解(Branson 8510R−MT)されて洗浄され、乾燥され、アセトンが噴霧され、空気乾燥された。

    [0075]開始剤組成物は、0.68グラムのナノアルミニウム(40〜70nm径; Argonaide Nanomaterial Technologies,Sanford,FL)と、1.32グラムのナノMoO (EM−NTO−U2; Climax Molybdenum,Henderson,CO)と、0.2グラムのナノホウ素(33,2445−25G; Aldrich)とを含む。 開始剤組成物を含むスラリーは、8.6mLの4.25%Viton A500(100mLの酢酸アミル(Mallinckrodt)中の4.25グラムViton)溶液を添加することにより調製された。

    [0076]1.1μL滴のスラリーが加熱素子に堆積され、20分間乾燥され、開始剤組成物を含む別の0.8μL滴のスラリーが加熱素子の反対側に堆積された。

    [0077]A76アルカリ電池から1000μFコンデンサを介してニクロム加熱素子に3.0Vを印加すると、1〜50ミリ秒内で、典型的には1〜6ミリ秒内でAl:MoO :B開始剤組成物に点火した。 例えば、76.16%Zr:19.04%MoO :4.8%Laponite(登録商標)RDSを含む燃料のような、金属還元剤と金属含有酸化剤とを含む固体燃料の表面の0.12平方インチ内に設置されたとき、開始剤組成物によって生成されたスパークが自立発熱反応を生成するため固体燃料に点火した。 ある実施形態では、開始剤組成物を含む1μL滴のスラリーが、固体燃料の点火を促進するため、抵抗加熱素子に配置された開始剤組成物に近接した固体燃料の表面上に堆積させられる。

    [0078]Al:MoO :Bを含む開始剤組成物は、ニクロム線に付着され、温度サイクリング(−25℃←→40℃)、落下試験、及び、衝撃試験を含む機械試験及び環境試験の後に物理的な完全性を維持した。 実施例3〜5は、点火装置に関して行われた一部の試験についてさらに説明する。

    [0079]本明細書で開示された点火装置及び/又は本明細書で開示された開始剤組成物は、加熱ユニット内の固体燃料に点火するため使用される。 それらは、特に、例えば、後述される加熱ユニットのような密封された加熱ユニットに応用がある。

    開始剤組成物を含む加熱ユニットと点火装置
    [0080]本発明の開始剤組成物が使用される加熱ユニットの実施形態は図4Aに示されている。 加熱ユニット10は熱伝導性材料から形成された基板12を備える。 熱伝導性材料は周知であり、典型的に、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス鋼などの金属と、合金と、セラミックと、充填ポリマーとを含むが、それに限定されるものではない。 基板は1種以上のこのような材料から形成され、ある実施形態では、多層構造を有する。 例えば、基板は、材料の1層以上の膜及び/又は被覆及び/又は多数のシート又は層を含む。 ある実施形態では、基板の一部は複数の区分から形成される。 ある実施形態では、加熱ユニットの基板を形成する複数の区分は異なる熱特性を有する。 基板は適切な形状であればよく、図4Aに示された長方形構造は単に典型である。 基板はさらに適切な厚さを持ち、基板の厚さはある特定の領域で異なることがある。 図4A及び4Bに示されているような基板12は、内面14及び外面16を有する。 熱は内面14から外面16へ伝導される。 外面16に近接して、又は、接触して設置された物又は物体は、固体又は液体物体の温暖化又は加熱、さらなる反応の誘起、或いは、相変化の誘起のような所望の作用を実現するため伝達された熱を受け取る。 ある実施形態では、伝導熱は、外面16と直接的又は間接的に接触した化合物の相変化を誘起する。

    [0081]加熱ユニット10は一面の固体燃料20をさらに含む。 固体燃料20は内面14と近接してもよく、ここでは、「近接」という用語は、直接的な接触を指す「隣接」とは区別されるような間接的な接触を指す。 図4Aに示されているように、固体燃料20は、内面14と固体燃料20とによって画成された介在する開放空間を介して内面14と近接してもよい。 ある実施形態では、図4Bに示されているように、固体燃料20は内面14と直接的に接触し、又は、隣接する。

    [0082]ある実施形態では、固体燃料は、金属還元剤と、例えば、金属含有酸化剤のような酸化剤を含む。

    [0083]ある実施形態では、金属還元剤は、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ビスマス、アルミニウム、及び、ケイ素を含むが、これらに限定されない。 ある実施形態では、金属還元剤は、アルミニウム、ジルコニウム、及び、チタニウムを含む。 ある実施形態では、金属還元剤は2種以上の金属還元剤を含む。

    [0084]ある実施形態では、酸化剤は、酸素、酸素ベースのガス、及び/又は、固体酸化剤を含む。 ある実施形態では、酸化剤は金属含有酸化剤を含む。 ある実施形態では、金属含有酸化剤は、過塩素酸塩及び遷移金属酸化物を含むが、これらに限定されない。 過塩素酸塩は、例えば、過塩素酸カリウム(KClO )、塩素酸カリウム(KClO )、過塩素酸リチウム(LiClO )、過塩素酸ナトリウム(NaClO )、及び、過塩素酸マグネシウム[Mg(ClO ]などの、しかし、これらに限定されないアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩を含む。 ある実施形態では、酸化剤として機能する遷移金属酸化物は、モリブデンの酸化物(例えば、MoO )、鉄の酸化物(例えば、Fe )、バナジウムの酸化物(V )、クロムの酸化物(CrO 、Cr )、マンガンの酸化物(MnO )、コバルトの酸化物(Co )、銀の酸化物(Ag O)、銅の酸化物(CuO)、タングステンの酸化物(WO )、マグネシウムの酸化物(MgO)、及び、ニオブの酸化物(Nb )を含むが、これらに限定されない。 ある実施形態では、金属含有酸化剤は、2種以上の金属含有酸化剤を含む。

    [0085]ある実施形態では、固体燃料を形成する金属還元剤は、ジルコニウムとアルミニウムから選択され、金属含有酸化剤はMoO とFe から選択される。

    [0086]金属還元剤の、金属含有酸化剤に対する比は、固体燃料の点火温度及び燃焼特性を決定するため選択される。 典型的な化学燃料は、重量ベースのパーセンテージで75%のジルコニウムと25%のMoO とを含む。 ある実施形態では、金属還元剤の量は、固体燃料の総乾燥重量の60重量%から90重量%まで変動する。 ある実施液体では、金属含有酸化剤の量は、固体燃料の総乾燥重量の10重量%から40重量%まで変動する。

    [0087]ある実施形態では、固体燃料は、例えば、固体燃料の点火中及び点火後にプロセッシングを促進し、及び/又は、加熱ユニットの熱特性及び時間特性を決定するため、添加材料を含む。 添加剤は、有機でも無機でもよく、バインダ、接着剤、ゲル化剤、チキソトロープ剤、及び/又は、界面活性剤として機能する。 ゲル化剤の例には、Laponite(登録商標)のようなクレーと、モンモリロナイトと、Cloisite(登録商標)と、nが3若しくは4であり、MがTi、Zr、Al、B若しくはその他の材料であり、化学式R−Si(OR) 及びM(OR) によって表現されるような金属アルコキシドと、遷移金属水酸化物若しくは酸化物に基づくコロイダル粒子とが含まれるが、これらに限定されない。 バインディング剤の例には、ケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウムのような可溶性ケイ酸塩と、ケイ酸アルミニウムと、金属アルコキシドと、無機ポリアニオンと、無機ポリカチオンと、アルミナ若しくはシリカベースのゾルのような無機ゾル・ゲル材料とが含まれるが、これらに限定されない。

    [0088]その他の有用な添加材料には、ガラス玉と、珪藻土と、ニトロセルロースと、ポリビニルアルコールと、バインダとして機能するその他のポリマーとが含まれる。 ある実施形態では、固体燃料は2種以上の添加剤を含む。 金属、酸化剤、及び/又は、添加材料、及び/又は、その他の適当な水溶性バインダ又は有機可溶性バインダを含む固体燃料の成分は、有用なレベルの分散又は均一性を実現するため、適当な物理的又は機械的方法によって混合される。 ある実施形態では、固体燃料は脱気される。

    [0089]加熱ユニット内の固体燃料は、適当な形状であり、適当な寸法を有する。 例えば、図4Aに示されているように、固体燃料20は、正方形又は長方形の加熱ユニットへ挿入するため成形される。 図4Bに示されているように、固体燃料20は、表面26と側面28、30とを含む。 図4Cは加熱ユニットの実施形態を示す。 図4Cに示されているように、加熱ユニット40は、外面44及び内面46を有する基板42を備える。 ある実施形態では、基板42の長さを延長するロッドの形をなす固体燃料48は、内面46によって画成された内容積を満たす。 ある実施形態では、内面46によって画成された内容積は、固体燃料48が内面46に隣接した円筒として配置されるように、及び/又は、内面46の径より小さい径を示すロッドとして配置されるように、介在空間又は層を含む。 フィン付き、又は、リブ付きの外面は、固体燃料から表面に接触した物又は組成物への熱移動を促進するために役立つ大きい表面積を提供することが理解される。

    [0090]ある実施形態では、固体燃料は、膜又は薄層として基板に配置され、ここで、固体燃料の薄層の厚さは、例えば、0.001インチから0.030インチまで変動する。 開始剤組成物は、燃料自体に直接的に設置され、例えば、光学式又は衝撃式などの様々な手段によって添加される。 図4Aに示されているように、加熱ユニット10は、固体燃料20の一部に点火する開始剤組成物50を含む。 ある実施液体では、図4A及び4Bに示されているように、開始剤組成物50は固体燃料20の中央領域54の近くに設置される。 開始剤組成物50は、例えば、エッジの方へ向かった固体燃料のその他の領域に設置してもよい。 ある実施形態では、加熱ユニットは、2種以上の開始剤組成物を含み、2種以上の開始剤組成物50が固体燃料20と同じ側又は異なる側に設置される。 ある実施形態では、開始剤組成物50は、基板12と一体的に形成された、及び/又は、基板12内の適当なサイズの開口内に固定された支え部材56に取り付けられる。 支え部材56及び基板12は、固体燃料20の点火及び燃焼中に反応物質及び反応生成物が加熱ユニット10の外部へ放出されることを阻止するため密封される。 ある実施形態では、開始剤組成物50と接触した電気リード線58a、58bは、開始剤組成物50を働かせるため構成された機構部(図示せず)への電気接続のため支え部材56から延びる。

    [0091]或いは、開始剤組成物は、燃料自体の上に直接的に設置され、例えば、光学式又は衝撃式を含む多種多様な手段によって点火される。

    [0092]図5Aは、本発明の開始剤組成物を組み込む加熱ユニットの別の実施形態の縦断面図を示す。 図5Aに示されているように、加熱ユニット60は、形状がほぼ円筒形であり、テーパー付きの先端部分64の一端で終端し、開口容器66の他端で終端する基板62を含む。 基板62は、内部領域72を画成する内面68及び外面70をそれぞれ有する。 内部バッキング部材74は、形状が円筒状であり、内部領域72内に位置付けられてもよい。 バッキング部材74の反対側の端76、78は開放でもよい。 ある実施形態では、バッキング部材74は、加熱ユニットの所望の熱的ダイナミクス及び時間的ダイナミクスに依存して、熱力学及び熱伝導性材料又は熱吸収材料を含む。 熱吸収材料で作られるとき、バッキング部材74は、固体燃料80の点火後に、基板62が到達する最高温度を下げる。

    [0093]ある実施形態では、例えば、本明細書に記載された固体燃料のいずれかを含む固体燃料80は、基板62とバッキング部材74との間に閉じ込められ、内部領域72を満たす。 固体燃料80は基板62の内面68に隣接する。

    [0094]ある実施形態では、本明細書に記載されているような開始剤組成物82は、基板62の開放容器66に設置され、固体燃料80に点火するように構成される。 ある実施形態では、支え部材84は、開口容器66に位置付けられ、例えば、接合又は溶接のような適切な仕組みを使用して所定の位置に固定される。 支え部材84及び基板62は、反応物質、又は、開始剤組成物82及び固体燃料80の点火及び燃焼中に生成された反応生成物の放出を阻止するため密封される。 支え部材84は、表面に対向する内部領域72内の凹部86を含む。 凹部86は開始剤組成物82を保持する。 ある実施形態では、電気刺激が、電池(図示せず)のような電源の正端子及び負端子に接続されたリード線88、90を介して、開始剤組成物82に直接加えられる。 リード線88、90は、開始剤組成物82(図示せず)と物理的に接触して設置された電気抵抗加熱素子に接続される。 ある実施形態では、リード線88、90は開始剤組成物82で被覆される。

    [0095]図5Aを参照すると、開始剤組成物82への刺激の印加は、バッキング部材74の開放端78から端76へ向けられるスパークの生成をもたらす。 端76へ向けられたスパークは、固体燃料80と接触し、固体燃料80の点火を引き起こす。 固体燃料80の点火は、点火された固体燃料80の自己伝播波を生成し、この波は、一端78から先端部64へ伝わり、基板62の容器端66に保持された支え部材84の方へ戻る。 点火された固体燃料80の自己伝播波は、基板62の内面68から外面70へ伝導される熱を発生する。

    [0096]本発明の開始剤組成物を使用し、異なる初期セットアップを持つ加熱ユニットの実施形態は、図5Bに示されている。 図5Bに示されているように、加熱ユニット60は、支え部材84内の凹部86に配置された第1の開始剤組成物82と、バッキング部材74の開放端76に配置された第2の開始剤組成物94とを含む。 内部領域72に位置するバッキング部材74は、開放領域96を画成する。 固体燃料80は基板62とバッキング部材74との間の内部領域内に配置される。 ある実施形態では、リード線88、90を介した、第1の開始剤組成物82への電気刺激の印加中に発生されたスパークは、開放領域96を通って第2の開始剤組成物94の方へ向けられ、第2の開始剤組成物94に点火させ、スパークを発生させる。 第2の開始剤組成物94によって発生されたスパークは、次に、固体燃料80に点火し、点火は最初に基板62の先端部へ向かって起こり、点火の自己伝播波で対向端へ伝わる。

    [0097]ある実施形態では、本発明の開始剤組成物を含み、説明され、図4A〜4C及び5A〜5Cに示された加熱ユニットは、急速加熱が有用であるアプリケーションで使用される。 一例として、実質的に図5Bに示されているような加熱ユニットは、本発明の開始剤組成物を使用して、固体燃料の点火にアクセスするため製造された。 図5Bを参照すると、円筒状基板62は、長さがおよそ1.5インチであり、開口容器66の径は0.6インチであった。 重量パーセントで75%のZr:25%のMoO を含む固体燃料80は、バッキング部材74と基板62の内面との間の空間内の内部領域に置かれた。 重量パーセントで10%のZr:22.5%のB:67.5%のKClO を含む5mgの第1の開始剤組成物82が支え部材の凹部に置かれ、重量パーセントで10%のZr:22.5%のB:67.5%のKClO を含む10mgの第2の開始剤組成物94が加熱ユニット60のテーパー部付近でバッキング部材74の開放端76に置かれた。 2個の1.5V電池からの電気リード線88、90は、第1の開始剤組成物82に点火し、したがって、第2の開始剤組成物94に点火するためにスパークを生成するため、0.3アンペアの電流を供給した。 両方のイニシエータは、電流の供給後、1〜20ミリ秒の範囲内で点火された。 第2の開始剤組成物94によって生成されたスパークは、円筒のテーパー付き先端部64内の固体燃料80に点火し、外部基板表面が100ミリ秒未満で400℃の最高温度に到達した。

    [0098]エンクロージャ内に密封されたとき、燃料及び/又は開始剤組成物の発熱酸化還元反応は、圧力の著しい増加を生じる。 ある実施形態では、加熱ユニットの内圧は、高温で最小限のガス生成物を生成する材料から基板、バッキング、及び、その他の内部成分を作ることによって管理又は低減される。 ある実施形態では、圧力は、イニシエータ及び固体燃料が燃焼されるときに、ガスが収集され、及び/又は、排出される内容積を設けることによって、管理又は低減される。 ある実施形態では、内容積は、大表面積と大きな間隙容量を有する多孔性又は繊維性の材料を含む。 ある実施形態では、固体燃料燃焼から生じる圧力の即時爆発は、衝撃吸収材料を設置するか、及び/又は、加熱ユニット内でコーティングすることによって削減される。 衝撃吸収材料は、文献、及び、2004年5月20日に出願され、発明の名称が“Self Contained Heating Unit and Drug Supply Unit Employing the same”である米国特許出願に記載されている。 衝撃吸収材料を含む加熱ユニットの実施形態は、図6A〜6B及び図7A〜7Bに概略的に示されている。

    [0099]例えば、図1に示されているような本発明の点火装置と、本発明の開始剤組成物とを使用する加熱ユニットの実施形態は、図6A〜6Bに示されている。 図6Aは斜視図であり、図6Bは加熱ユニット500の組立図である。 図6Aに示されているように、加熱ユニット530は、第1及び第2の基板510と、スペーサ518とを備える。

    [00100]第1及び第2の基板510は、内面に配置された固体燃料512を備えた領域を含む。 第1及び第2の基板510は、本明細書で記載されているような、例えば、金属、セラミック、及び、熱伝導性ポリマーのような熱伝導性材料を含む。 ある実施形態では、基板510は、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、又は、それらの合金のような金属を含むが、これらに限定されない。 基板510の厚さは、内面から外面への熱伝導を促進するため、及び/又は、装置の熱質量を最小限に抑えるため薄くてもよい。 ある実施形態では、薄い基板は、厚い基板より少ない量の固体燃料を用いて外面の急速かつ均一な加熱を促進する。 基板510は固体燃料512の構造的なサポートをさらに提供する。 ある実施形態では、基板510は金属箔を含む。 ある実施形態では、基板510の厚さは0.001インチから0.020インチまで変動し、ある実施形態では、0.001インチから0.010インチまで変動し、ある実施形態では、0.002インチから0.006インチまで変動し、ある実施形態では、0.002インチから0.005まで変動する。 より小量の固体燃料の使用は、加熱プロセスの制御を容易化し、ならびに、薬物供給ユニットの小型化を促進する。

    [00101]ある実施形態では、基板510の厚さは表面全体で変化する。 例えば、可変厚さは、熱伝導の時間的特性及び空間的特性を制御するため、及び/又は、基板510のエッジを例えば、スペーサ518、対向する基板510、又は、別のサポート(図示せず)に密封するため役に立つ。 ある実施形態では、基板510は、固体燃料512が配置された基板の領域全体で均一温度の達成を容易化するため、その固体燃料が配置された基板の領域で均一、又は、ほぼ均一な厚さを示す。

    [00102]基板510は、内面に配置された固体燃料512の領域、例えば、表面に対向する反対側の基板510を含む。 固体燃料512は適当な方法を使用して基板510に塗布される。 例えば、固体燃料512は、ブラッシング、浸漬塗装、スクリーン印刷、ローラー塗装、スプレー塗装、インクジェット印刷、スタンピング、スピン塗装などによって基板510に塗布される。 固体燃料512は、薄膜又は層として基板510の一部分に塗布されることがある。 固体燃料512の薄層の厚さ、固体燃料512の組成は、固体燃料の燃焼によって生成される最高温度、ならびに、温度プロファイルの時間的ダイナミクス及び空間的ダイナミクスを決定する。

    [00103]ある実施形態では、固体燃料512は、Zr/MoO 、Zr/Fe 、Al/MoO 、又は、Al/Fe の混合物を含む。 ある実施形態では、金属還元剤の量は60重量%から90重量%まで変動し、金属含有酸化剤の量は40重量%から10重量%まで変動する。

    [00104]図6A〜6Bに示されているように、加熱ユニットは、点火アセンブリすなわち点火装置520を含む。 ある実施形態では、点火装置520は、加熱され、絶縁材料(図示せず)の2個のストリップの間に配置された電気リード線に接続された電気抵抗加熱素子上に配置されたときに、スパークを生成可能である開始剤組成物522を含む。 開始剤組成物が配置された加熱素子は、点火アセンブリ520の端にある開口を通して露出される。 電気リード線は電源(図示せず)に接続される。

    [00105]開始剤組成物522は、本明細書で記載された開始剤組成物又は組成物のいずれかを含む。

    [00106]点火装置520は、開始剤組成物522によって生成されたスパークが固体燃料領域512へ向けられ、固体燃料512の点火と燃焼を誘起するように、固体燃料512に関して配置される。 開始剤組成物522は、イニシエータによって生成されたスパークが固体燃料512の点火を誘起することができるような位置であればどこに置かれてもよい。 固体燃料512に関する開始剤組成物522の位置は、固体燃料512が燃焼する方向を決定する。 点火装置520は、好ましくは、点火装置から発生された噴出が固体燃料の表面へ向けられ、燃料で被覆された両方の基板が点火するように配置される。

    [00107]ある実施形態では、加熱ユニット500は2個以上の点火装置520を備え、及び/又は、各点火装置520は2個以上の開始剤組成物522を含む。

    [00108]図6Aに示されているように、加熱ユニット500はスペーサ518を有する。 スペーサ518は点火装置520を保持する。 ある実施形態では、スペーサ518は、固体燃料512の燃焼中に発生されたガス及び副生成物を収集するため、薄膜加熱ユニット500の内部に容積又は空間を提供する。 スペーサ518によって作られる容積は、燃料の点火中に加熱ユニット500内の内圧を低下させる。 ある実施形態では、この容積は、セラミックのような多孔性又は繊維性材料、又は、固体マトリックス成分が満たされていない容積の小部分であるファイバーマットを含む。 多孔性又は繊維性材料は、開始剤組成物及び固体燃料の燃焼中に発生された反応生成物が吸収され、吸着され、又は、反応させられる大面積を提供する。 燃焼中に生成された圧力は、使用された開始剤組成物及び固体燃料の組成と量とに部分的に依存する。 ある実施形態では、スペーサは0.3インチ未満の厚さであり、ある実施形態では、0.2インチ未満の厚さである。 ある実施形態では、燃焼中及び燃焼後の最大内圧は50psig未満であり、ある実施形態では、20psig未満であり、ある実施形態では、10psig未満であり、その他の実施形態では、6psig未満である。 ある実施形態では、スペーサは固体燃料燃焼によって生成された温度で構造的特性及び化学的特性を維持し得る材料でもよい。 ある実施形態では、スペーサは、約100℃の温度まで構造的特性及び化学的特性を維持する能力を持つ材料である。 スペーサを形成する材料は、加熱ユニットによってその材料に与えられる温度で、ガス及び/又は反応生成物を生成及び/又は放出しないか、又は、最低限の量のガス及び/又は反応生成物だけを生成することが好都合である。 ある実施形態では、スペーサ518は、オプションとしてフィラーが含まれている、金属、例えば、ポリイミドと、フルオロポリマーと、ポリエーテルイミドと、ポリエーテルケトンと、ポリエーテルスルホンと、ポリカーボネートと、その他の耐高温性熱可塑性ポリマーのような、しかし、これらに限定されない熱可塑性物質、又は、熱硬化性物質を含む。

    [00109]ある実施形態では、スペーサ518は、スペーサが薄膜薬物供給ユニットの熱質量に寄与せず、それによって、薬物514が配置された基板への熱伝達が促進されるように熱絶縁体を含む。 ガラス、シリカ、セラミック、カーボン、又は、耐高温ポリマーファイバーのマットのような熱絶縁体又は衝撃吸収材料が使用される。 ある実施形態では、スペーサ518は、スペーサが基板の温度を制御するため熱分路として機能するように熱導体でもよい。

    [00110]基板510、スペーサ518、及び、点火装置520は密封される。 密封は、固体燃料514の燃焼によって放出された反応物質及び反応生成物を保持し、内蔵型ユニットを提供する。 図6Aに示されているように、基板510は接着剤516を使用してスペーサ518に密封される。 接着剤516は、熱と圧力の印加時に、基板510とスペーサ518を接合する能力を持つ感熱膜でもよい。 ある実施形態では、基板510とスペーサ518は、接合されるべき表面と、組み立てられる部品と、硬化する接着剤のうちの少なくとも一つに塗布された接着剤を使用して接合される。 点火装置520が挿入されたスペース518内の通路もまた接着剤を使用して密封される。 ある実施形態では、例えば、溶接、半田付け、又は、締め付けのような、密封を形成するその他の方法が使用される。

    [00111]ある実施形態では、加熱ユニット500を形成する素子は、組み立てられ、インサート成形及びトランスファー成形のような熱可塑性又は熱硬化性成形方法を使用して密封される。

    [00112]適当な密封方法は、基板518を形成する材料及びスペーサ518を形成する材料によって少なくとも部分的に決定される。 ある実施形態では、加熱ユニット500は、50psig未満の最大圧力に耐えるように密封される。 ある実施形態では、20psig未満であり、ある実施形態では、10psig未満である。

    [00113]実施例8は、本発明の開始剤組成物によって被覆された本発明の熱抵抗点火装置を備える加熱ユニットの調製について説明する。

    [00114]本発明の開始剤組成物を含む加熱ユニットの別の実施形態では、光学式点火システムが同様に加熱ユニットに点火するために使用される。 光学式点火は、感光材料又は開始剤組成物の何れか、感光材料又は開始剤組成物のアクチュエーションのための光源、又は、超高強度光源、例えば、レーザーの使用を必要とする。

    [00115]上記のような様々な開始剤組成物が使用される。 ある実施形態では、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、及び、チタンのような金属と、塩素酸カリウム、過塩素酸化リム、酸化銅、三酸化タングステン、及び、三酸化モリブデンのような酸化剤とが使用される。 典型的に、1種以上の開始剤組成物材料は、光吸収性であるか、又は、光吸収性化学物質で被覆される。 例えば、電磁スペクトル中の紫外線域で高い吸収性がある組成物のような、特定の波長、又は、波長域に対する感度がある開始剤組成物を含有する金属及び酸化剤が同様に使用される。 開始剤組成物中の固体材料の比を変更することにより、必要に応じて、最終的な開始剤組成物が放出するエネルギーを増減させ、光パルスに対する感度を増減させることが可能である。

    [00116]開始剤組成物は、本明細書で開示されているように、基板上、点火装置上の燃料に直接的に塗布され、又は、光を開始剤組成物又は材料へ向ける透明な光窓が存在する限り、加熱ユニット内のどこかに設置され、作動中に開始剤組成物は加熱ユニット内の燃料に点火する。 ある実施形態では、開始剤組成物は、被覆された燃料の表面に近接して配置されたガラスファイバーフィルタ内の孔に設置される。

    [00117]熱パッケージ内の燃料の点火は、透明な光窓を介して開始剤組成物へ光パルスを伝達することによって作動される。 光窓は、例えば、ガラス、アクリル、又は、ポリカーボネートのような光パルスを容易に伝達する何れかの材料で作られる。 窓は光をイニシエータへ伝達する場所に配置される。 ある実施形態では、窓は加熱ユニットのエンクロージャの一部を形成する。 他の実施形態では、窓はシステム内に完全に収容される。 ある実施形態では、窓は光ガイドアセンブリの一部である。 光ガイドアセンブリはまたビームスプリッタで構成されてもよい。 光源から到来する光はビームスプリッタを通過し、2枚以上の燃料で被覆された基板を同時に、又は、順番に点火するため、加熱ユニット内に位置する2個以上の開始剤組成物へ向けられる。 場合によって、光ファイバーが複数の加熱ユニットに同時に点火するため使用される。 他の実施形態では、窓は、窓が放出する光の波長を窓が受ける光とは異なるようにさせる材料によって覆われる。 例えば、照射光源は紫外線光を放出し、コーティングは紫外線光に応答して可視波長を放出するため使用される。

    [00118]光学式点火を作動する様々な手段が使用される。 ある実施形態では、スレッショルドの達成時に光パルスを発生する導電手段が設けられる。 導電手段は、加熱ユニット自体の一部でもよく、例えば、加熱ユニットのスペーサに収容され、又は、加熱ユニットから分離する。 光パルスを発生する導電手段は、例えば、キセノンフラッシュランプ、発光ダイオード、及び、レーザーを含む。

    [00119]光学式点火システムを含む加熱ユニット900の複数の実施形態は図7A〜Bに示されている。 図示されるように、開始剤組成物904は、開始剤組成物904が燃料コーティングに近接するように、衝撃吸収材料903の孔908内に収容される。 点火された開始剤組成物と固体燃料との間の接触を妨げる衝撃吸収材料による障害がない限り、1個以上の衝撃吸収材料903が加熱ユニットに追加される。 孔又はスペース908は、そのような接触のための開口を設けるため、衝撃吸収材料903に切り込まれる。 2個以上の開始剤組成物904が、図7Bに示されるように、2箇所以上の固体燃料コーティングの燃焼を同時に開始するため、単一の加熱ユニット900に設置される。 衝撃吸収材料は、図7A〜7Bに示されるようにスペーサ902に収められる。

    [00120]図7Aに示されるように、光窓901は加熱ユニットのエンクロージャの一部を形成する。 ある実施形態では、光窓901は、図7Bに示されるように、ビームスプリッタ907を含むウェイブガイドシステム(図示せず)の一部を形成する。 ビームスプリッタ907は、両方の固体燃料被覆された基板に一緒に点火するように、1個の光源を2個の開始剤組成物へ向けるため使用される。

    [00121]様々な手段が加熱ユニットを密封するため使用される。 シーラント906は、両面テープ又はエポキシのような接着剤でもよく、或いは、例えば、溶接、半田付け、締め付け、又は、圧着のようなシールを形成するその他の方法でもよい。

    [00122]ある実施形態では、光源(図示せず)は加熱ユニットの一部でもよく、加熱ユニット900に収容されたスペーサ902内に格納される。 光源は電池(図示せず)によって給電してもよい。

    [00123]光学式点火を使用する単一の加熱ユニットの調製の実施例は、実施例9に記載されている。

    [00124]衝撃式点火装置は同様に、加熱ユニット内で本発明の組成物に点火するために使用される。 衝撃式点火装置は、一般に、開始剤組成物で被覆されたアンビルが内部にある変形可能な点火管を含む。 この点火装置は機械衝撃又は力によって作動される。

    [00125]作動されたときに開始剤組成物が満足に動作するため、材料は、適切な点火感度を示すと共に、固体燃料に適切に点火しなければならない。 本明細書で開示されているような種々の開始剤組成物が使用される。 典型的に、開始剤組成物は、アンビルを被覆するため有機溶媒又は水溶性溶媒中に液体懸濁として調製され、コーティングをアンビルに接着するため可溶性バインダが一般に含有される。

    [00126]開始剤組成物中の固体材料の比を変更することにより、必要に応じて、最終的な開始剤組成物が放出するエネルギーを増減させ、空気又は酸素と衝撃に対する感度を増減することが可能である。

    [00127]イニシエータ材料のコーティングは様々な従来の方法でアンビルに塗布される。 例えば、アンビルは、開始剤組成物のスラリーに浸漬され、続いて、液体を除去して、既に説明した所望の特性を有する固体粘着コーティングを生成するため、空気乾燥されるか、又は、加熱される。 或いは、スラリーは、アンビル上にスプレー塗装又はスピン塗装され、その後、固体コーティングを生じるため処理される。 アンビル上の開始剤組成物のコーティングの厚さは、アンビルが点火管に置かれたときに、開始剤組成物が、点火管の内壁に対して、およそ千分の数インチ、例えば、0.004インチの僅かな距離になるような厚さにされるべきである。

    [00128]開始剤組成物が配置されたアンビルは、典型的に、金属ワイヤ又はロッドである。 アンビルは、耐高温性、及び、低熱伝導性を示すように、例えば、ステンレス鋼のような適当な金属組成物からなるべきである。 アンビルは金属点火管内に配置され、実質的に同軸上に広がる。 したがって、アンビルは、点火管の内壁から僅かな距離、例えば、約0.05インチ位離されるように、点火管の内径より僅かに小さい径からなるべきである。

    [00129]アンビルは金属点火管内に配置される。 点火管は、容易に変形可能な材料から作られるべきであり、例えば、アルミニウム、ニッケル・クロム鉄合金、真鍮、又は、鋼のような適当な金属組成物からなる薄壁管(例えば、0.003インチの壁厚)を含む。 アンビルは、圧着又は典型的に使用されるその他の方法によって、その外側端の近傍で点火管内の所定の位置に保持又は締め付けられる。

    [00130]燃料の点火は、アンビル上のイニシエータ材料のコーティングに対して内側に変形させるため金属点火管の側面に加えられた強制的な機械衝撃又は打撃によって作動され、点火管を通って燃料被覆された加熱ユニットの中までイニシエータ材料の爆燃を生じる。 機械衝撃を加える種々の手段が使用される。 ある実施形態では、バネ式インピンジャー又はストライカーが点火を作動するため使用される。

    [00131]衝撃式点火装置を備える加熱ユニット800の実施形態は図8に示されている。 図8に示されているように、開始剤組成物で被覆されたアンビル803を内部に収容する変形可能な点火管805は、固体燃料802で被覆された2枚の基板801の間に設置され、点火管の開放端は加熱ユニット800内に配置されている。

    [00132]衝撃式点火を使用する加熱ユニットの調製の実施例は実施例10に記載されている。

    [00133]その他の実施形態は、本明細書に開示された発明の考慮及び実施から当業者に明白である。 明細書及び実施例は単に典型であるとみなされることが意図されている。

    [00134]後述の実施例では、次の略語は以下の意味を持つ。 略語が定義されていないならば、その略語は一般的に認められた意味を有する。

    [00135]wt% 重量%

    [00136]psig ポンド毎平方インチ、ゲージ

    [00137]DI 脱イオン化

    [00138]mL ミリリットル

    [00139]m秒 ミリ秒

    [00140]L/分 リットル毎分

    [00141]μm マイクロメートル

    [実施例1]
    開始剤組成物実施形態
    [0142]次の手順が、23.7%のZr:23.7%のMoO :2.4%のLaponite(登録商標)RDS:50.2%の水を含む開始剤組成物のスラリーを調製するため使用された。

    [00143]湿潤ジルコニウム(Zr)を調製するため、DI水(Chemetall、ドイツ)中のZrの得られたままの懸濁液が30分間に亘り回転ミキサ上で撹拌された。 10〜40mLの湿潤Zrが50mL遠心分離管に分配され、3200回転で30分間に亘って遠心分離された(Sorvall 6200RT)。 DI水は湿潤Zrのペレットを残すため除去された。

    [00144]15%のLaponite(登録商標)RDS溶液を調製するため、85グラムのDI水がビーカーに加えられた。 撹拌中に、15グラムのLaponite(登録商標)RDS(Southern Clay Products,Gonzalez,TX)が加えられ、懸濁液が30分間撹拌された。

    [00145]反応スラリーは、最初に、先に調製されたような湿潤Zrペレットを遠心分離管から除去し、それをビーカーに入れることにより調製された。 湿潤Zrペレットの計量後、乾燥Zrの重量が、次式:
    乾燥Zr(g)=0.8234(湿潤Zr(g))−0.1059
    から決定された。 Zrの乾燥重量は2.701gであることが決定された。

    [00146]湿潤Zrには、Zr:MoO が重量で50:50のスラリーを形成するため、2.701gのMoO が添加される。 50.2%のDI水を含む反応スラリーを獲得するため、過剰な水が湿潤ZrとMoO のスラリーに添加された。 反応スラリーは、S25N−8G分散ヘッド(セッティング4)を伴うIKA Ultra−Turrax ミキシングモーターを使用して5分間混合された。 スラリーには、15%のLaponite(登録商標)RDS(2.4%のLaponiteからなる燃料、水、及び、Laponaiteの最終的な混合物を提供するために1.816g)が添加された。 スラリーはIKA Ultra−Turraxミキサを使用してさらに5分間混合された。

    [実施例2]
    開始剤組成物の実施形態
    [00147]開始剤組成物は、8.6mLの一様な4.25%Viton A500(Dupont)/酢酸アミル溶液を、0.680gのAl(40〜70nm、Argonide)と、1.320gのMoO (ナノサイズ型、Climax Molybenum)と、0.200gのホウ素(ナノサイズ型、Aldrich)の混合物に添加し、ホモジナイザブレードでよく混合することにより調製された。 30秒間速度1で、次いで4分間速度2で、混合物は均一化される。

    [実施例3]
    点火装置の製造
    [00148]点火装置アセンブリは、回路板の縦に沿って印刷され、一端に0.03インチ径の開口を有し、それぞれが0.35インチ×1.764インチの2個の銅トレーシングを孔の片側に1個ずつ有する、清潔にされた0.005インチ厚のFR−4印刷回路板(1.820インチ×0.25インチ)と、開口を横切るよう設置され、印刷回路板上の金メッキ銅トレーシングに半田付けされた0.0008インチ径のニクロム線とにより構成された。

    [00149]開始剤組成物は、8.6mLの一様な4.25%Viton A500/酢酸アミル溶液を、0.680gのAl(40〜70nm、Argonide)と、1.320gのMoO (ナノサイズ型、Climax Molybenum)と、0.200gのホウ素(ナノサイズ型、Aldrich)の混合物に添加し、ホモジナイザブレードでよく混合することにより調製された。 開始剤組成物の1.1μL滴は、Cavroシリンジポンプを使用して、孔の上にあるニクロム線に落とされた。 開始剤組成物は10分間空気乾燥された。 点火装置は反転され、開始剤組成物のさらなる0.8μL滴が線の反対側に落とされた。 組成物は少なくとも10分間空気乾燥された。

    [実施例4]
    点火装置の熱安定性
    [00150]実施例3で調製された29個の点火装置が4時間に亘って100℃で加熱され、実施例3で調製された32個の点火装置が6時間に亘って100℃で加熱された。 4時間加熱された点火装置は、100℃で30分間加熱され、次に、室温で乾燥した外気に晒され、再度100℃で30分間加熱され、再度室温で乾燥した外気に晒され、最後に100℃で3時間加熱された。 点火装置は火がつけられ、後述の実施例7に記載されているように点火装置毎の光度(V−sec)が測定され、加熱されなかった63個の対照と比較された。 加熱処理された点火装置と加熱処理されていない点火装置との間に測定可能な差は観察されなかった。

    [実施例5]
    点火装置の凍結安定性
    [00151]実施例3で調製された18個の点火装置がシンチレーションガラス瓶に入れられ、次に、凝結を防ぐため、しっかり蓋を被せられた。 ガラス瓶はアルミ箔でラップされ、48時間に亘って−20℃のフリーザに置かれた。 点火装置は火がつけられ、後述の実施例7に記載されているように点火装置毎の光度(V−sec)が測定され、凍結されなかった63個の対照と比較された。 凍結した点火装置と凍結していない点火装置との間に測定可能な差は観察されなかった。

    [実施例6]
    点火装置の機械安定性
    [00152]実施例3などで調製された6個の点火装置は24時間に亘ってvortex撹拌され、実施例3などで調製された8個の点火装置は高速で48時間に亘ってvortex撹拌された(速度7、VWR 22830)。 点火装置は、vortex撹拌の前後に顕微鏡で分析され、形態、亀裂、及び/又は、剥離の変化が評価された。 vortex撹拌された点火装置と処理されていない点火装置との間に差は観察されなかった。

    [実施例7]
    点火装置からの光度の測定
    [00153]開始剤組成物が働かされ、光度は、開始剤組成物のアクチュエーションから放出されたエネルギーの時間履歴を監視することにより測定された。

    [00154]点火装置は、本発明の種々の組成物を使用して、原則として実施例3で説明されたように調製された。

    [00155]点火装置のアクチュエーションから光度を測定するため、光検出器(Newport、818−IR)が図2に示されるように使用され、光度の時間履歴はオシロスコープ(Tektronix、TDS3014B)によって記録された。 光検出器からの電圧出力信号は所定の波長における光度に比例する。

    [00156]点火装置は、2個のA76電池(合計で3.13V)を使用して火をつけられた。 強度対時間(ms)の代表的なグラフは、本発明の開始剤組成物に関する図3A及び3Bに示されている。 図3Aは、ニトロセルロースバインダを用いた、0.4μLのナノZr:ナノMoO (50:50)と、1μLのナノZr:マイクロMoO (50:50)との混合物を含む開始剤組成物からのグラフであり、図3Bは実施例2で調製されたような開始剤組成物からのグラフである。

    [実施例8]
    抵抗点火装置を伴う加熱ユニット実施形態
    [00157]図6A〜6Bによる加熱ユニットが製造され、性能が評価された。

    [00158]次の手順が、76.16%のZr:19.04%のMoO :4.8%のLaponite(登録商標)RDSを含む固体燃料コーティングを調製するため使用された。

    [00159]湿潤ジルコニウム(Zr)を調製するため、DI水(Chemetall、ドイツ)中のZrの得られたままの懸濁液が30分間に亘り回転ミキサ上で撹拌された。 10〜40mLの湿潤Zrが50mL遠心分離管に分配され、3200回転で30分間に亘って遠心分離された(Sorvall 6200RT)。 DI水は湿潤Zrのペレットを残すため除去された。

    [00160]15%のLaponite(登録商標)RDS溶液を調製するため、85グラムのDI水がビーカーに加えられた。 撹拌中に、15グラムのLaponite(登録商標)RDS(Southern Clay Products,Gonzalez,TX)が加えられ、懸濁液が30分間撹拌された。

    [00161]反応スラリーは、最初に、先に調製されたような湿潤Zrペレットを遠心分離管から除去し、それをビーカーに入れることにより調製された。 湿潤Zrペレットの計量後、乾燥Zrの重量が、次式:
    乾燥Zr(g)=0.8234(湿潤Zr(g))−0.1059
    から決定された。

    [00162]80:20のZr対MoO の比を得るための三酸化モリブデンの量、例えば、MoO =乾燥Zr(g)/4が次に決定され、適切な量のMoO 粉末(Accumet,NY)が、湿潤Zr:MoO スラリーを生成するため、湿潤Zrを格納するビーカーに加えられた。 76.16%のZr:19.04%のMoO :4.80%のLaponite(登録商標)RDSという最終的な乾燥成分の重量パーセント比を得るために、Laponite(登録商標)RDSの量が決定された。 40%DI水を含む反応スラリーを獲得するため、過剰な水が湿潤ZrとMoO のスラリーに添加された。 反応スラリーは、S25N−8G分散ヘッド(セッティング4)を伴うIKA Ultra−Turrax ミキシングモーターを使用して5分間混合された。 先に決定された量の15%Laponite(登録商標)RDSが、次に、反応スラリーに添加され、IKA Ultra−Turraxミキサを使用してさらに5分間混合された。 反応スラリーはシリンジへ移され、コーティング前に少なくとも30分間蓄積される。

    [00163]Zr:MoO :Laponite(登録商標)RDSの反応スラリーは、次に、ステンレス鋼箔の上に被覆された。 ステンレス鋼箔は、最初に、60℃でDI水中のRidoline 298の3.2%bv溶液で5分間の超音波処理によって洗浄された。 ステンレス鋼箔は、0.004インチ厚の304ステンレス鋼箔毎の中心部が露出されるように、0.215インチ幅のMylar(登録商標)でマスクされた。 箔は縁に0.008インチ厚のシムを有する真空チャックに設置された。 2mLの反応スラリーは箔の一方の縁に置かれた。 Sheen Auto−Draw Automatic Film Applicator 1137(Sheen Instruments)を使用して、反応スラリーは、Zr:MoO :Laponite(登録商標)RDS反応スラリーの約0.006インチ厚の層を堆積させるため、箔の表面全域において最大50mm/秒までの自動ドローコーティング速度で#12コーティングロッドを引くことにより、箔の上に被覆された。 被覆された箔は、次に、40℃の強制空気対流オーブン内に置かれ、少なくとも2時間に亘り乾燥された。 マスクは、次に、固体燃料のコーティングを各箔の中央部に残すため、箔から取り除かれる。

    [00164]スペーサは、ポリカーボネート(Makronlon)の0.24インチ厚の部分により構成される。

    [00165]点火装置アセンブリは、スペーサと基板とにより画成されたエンクロージャ内に配置されるべき端に0.03インチ径の開口を有するFR−4印刷回路板により構成された。 0.0008インチ径のニクロム線は印刷回路板上の導電体に半田付けされ、開口を横切るよう設置された。 乾燥重量パーセントで26.5%のAl、51.4%のMoO 、7.7%のB、及び、14.3%のViton A500を含む開始剤組成物は、ニクロム線上に堆積され乾燥された。

    [00166]加熱ユニットを組み立てるため、開始剤組成物を含むニクロム線は固体燃料領域の一端に置かれた。 エポキシのビード(Epo−Tek 353ND、Epoxy Technology)はスペーサの両面に塗布され、スペーサ、基板、及び、点火装置アセンブリが配置され、押し付けられた。 エポキシは3時間に亘る100℃の温度で硬化した。

    [00167]固体燃料に点火するため、0.4アンペアの電流がニクロム線に接続された導電体に供給された。

    [00168]このような加熱ユニットに関する測定は、基板の外面がイニシエータの作動後150ミリ秒未満で400℃を超える温度に到達することを実証した。 エンクロージャ内の最大圧力は10psig未満である。 別個の測定では、エンクロージャが室温で60psigを超える静圧に耐え得ることが実証された。 固体燃料の一面に亘る燃焼伝播速度は、25cm/秒であることが測定された。

    [実施例9]
    開始剤組成物を使用する光学式点火装置を伴う加熱ユニット実施形態
    [00169]図7Aによる加熱ユニットが製作され、性能が評価された。

    [00170]次の手順が、76.16%のZr:19.04%のMoO :4.8%のLaponite(登録商標)RDSを含む固体燃料コーティングを調製するため使用された。

    [00171]湿潤ジルコニウム(Zr)を調製するため、DI水(Chemetall、ドイツ)中のZrの得られたままの懸濁液が30分間に亘り回転ミキサ上で撹拌された。 10〜40mLの湿潤Zrが50mL遠心分離管に分配され、3200回転で30分間に亘って遠心分離された(Sorvall 6200RT)。 DI水は湿潤Zrのペレットを残すため除去された。

    [00172]15%のLaponite(登録商標)RDS溶液を調製するため、85グラムのDI水がビーカーに加えられた。 撹拌中に、15グラムのLaponite(登録商標)RDS(Southern Clay Products,Gonzalez,TX)が加えられ、懸濁液が30分間撹拌された。

    [00173]反応スラリーは、最初に、先に調製されたような湿潤Zrペレットを遠心分離管から除去し、それをビーカーに入れることにより調製された。 湿潤Zrペレットの計量後、乾燥Zrの重量が、次式:
    乾燥Zr(g)=0.8234(湿潤Zr(g))−0.1059
    から決定された。

    [00174]80:20のZr対MoO の比を得るための三酸化モリブデンの量、例えば、MoO =乾燥Zr(g)/4が次に決定され、適切な量のMoO 粉末(Accumet,NY)が、湿潤Zr:MoO スラリーを生成するため、湿潤Zrを格納するビーカーに加えられた。 76.16%のZr:19.04%のMoO :4.80%のLaponite(登録商標)RDSという最終的な乾燥成分の重量パーセント比を得るために、Laponite(登録商標)RDSの量が決定された。 40%DI水を含む反応スラリーを獲得するため、過剰な水が湿潤ZrとMoO のスラリーに添加された。 反応スラリーは、S25N−8G分散ヘッド(セッティング4)を伴うIKA Ultra−Turrax ミキシングモーターを使用して5分間混合された。 先に決定された量の15%Laponite(登録商標)RDSが、次に、反応スラリーに添加され、IKA Ultra−Turraxミキサを使用してさらに5分間混合された。 反応スラリーはシリンジへ移され、コーティング前に少なくとも30分間蓄積される。

    [00175]Zr:MoO :Laponite(登録商標)RDSの反応スラリーは、次に、ステンレス鋼箔の上に被覆された。 ステンレス鋼箔は、最初に、60℃でDI水中のRidoline 298の3.2%bv溶液で5分間の超音波処理によって洗浄された。 ステンレス鋼箔は、0.004インチ厚の304ステンレス鋼箔毎の中心部が露出されるように、0.215インチ幅のMylar(登録商標)でマスクされた。 箔は縁に0.008インチ厚のシムを有する真空チャックに設置された。 2mLの反応スラリーは箔の一方の縁に置かれた。 Sheen Auto−Draw Automatic Film Applicator 1137(Sheen Instruments)を使用して、反応スラリーは、Zr:MoO :Laponite(登録商標)RDS反応スラリーの約0.006インチ厚の層を堆積させるため、箔の表面全域において最大50mm/秒までの自動ドローコーティング速度で#12コーティングロッドを引くことにより、箔の上に被覆された。 被覆された箔は、次に、40℃の強制空気対流オーブン内に置かれ、少なくとも2時間に亘り乾燥された。 マスクは、次に、固体燃料のコーティングを各箔の中央部に残すため、箔から取り除かれる。

    [00176]開始剤組成物は、8.6mLの4.25%Viton A500/酢酸アミル溶液を、0.680gのAl(40〜70nm)と、1.320gのMoO (ナノ)と、0.200gのホウ素(ナノ)の混合物に添加し、よく混合することにより調製された。 開始剤組成物の1.1μL滴は、1.5インチ×1.75インチのファイバーガラスマット(0.04インチの厚さ、直射光)内の0.06インチ径の孔に入れられた。 1滴の開始剤組成物が、ファイバーガラスマットの各々の側から孔に入れられた。

    [00177]加熱ユニットを組み立てるため、両面テープ(2インチ×2.25インチ×0.375インチ幅、Saint−Gobain Performance Plastics)が燃料被覆箔(2インチ×2インチ)に取り付けられた。 スペーサ(2インチ×2.25インチ×0.1インチ厚、Maakrolon)が両面テープに取り付けられた。 最初に、イニシエータを伴うファイバーガラスマット、次に、孔(0.1インチ径)を伴う2枚の別のファイバーガラスマットがスペーサに設置され、ファイバーガラスマットの孔が揃えられるように位置付けられた。 スペーサのもう一方側には、両面テープが取り付けられた。 これは、次に、透明プラスチック(1/16インチのポリカーボネートシート、McMaster−Carr)で作られた2インチ×2.25インチの窓で覆われた。

    [00178]加熱ユニットは、電子回路と結び付けられた1個のAA電池によって給電されたキセノンランプからのパルス状フラッシュ光によって点火された。

    [実施例10]
    開始剤組成物を使用する衝撃式点火装置を伴う加熱ユニット実施形態
    [00179]衝突式点火を使用する図8による加熱ユニットの調製について後述する。

    [00180]次の手順は、76.16%のZr:19.04%のMoO :4.8%のLaponite(登録商標)RDSを含む液体燃料コーティングを調製するため使用される。

    [00181]湿潤ジルコニウム(Zr)を調製するため、DI水(Chemetall、ドイツ)中のZrの得られたままの懸濁液が30分間に亘り回転ミキサ上で撹拌された。 10〜40mLの湿潤Zrが50mL遠心分離管に分配され、3200回転で30分間に亘って遠心分離された(Sorvall 6200RT)。 DI水は湿潤Zrのペレットを残すため除去された。

    [00182]15%のLaponite(登録商標)RDS溶液を調製するため、85グラムのDI水がビーカーに加えられた。 撹拌中に、15グラムのLaponite(登録商標)RDS(Southern Clay Products,Gonzalez,TX)が加えられ、懸濁液が30分間撹拌された。

    [00183]反応スラリーは、最初に、先に調製されたような湿潤Zrペレットを遠心分離管から除去し、それをビーカーに入れることにより調製された。 湿潤Zrペレットの計量後、乾燥Zrの重量が、次式:
    乾燥Zr(g)=0.8234(湿潤Zr(g))−0.1059
    から決定された。

    [00184]80:20のZr対MoO の比を得るための三酸化モリブデンの量、例えば、MoO =乾燥Zr(g)/4が次に決定され、適切な量のMoO 粉末(Accumet,NY)が、湿潤Zr:MoO スラリーを生成するため、湿潤Zrを格納するビーカーに加えられた。 76.16%のZr:19.04%のMoO :4.80%のLaponite(登録商標)RDSという最終的な乾燥成分の重量パーセント比を得るために、Laponite(登録商標)RDSの量が決定された。 40%DI水を含む反応スラリーを獲得するため、過剰な水が湿潤ZrとMoO のスラリーに添加された。 反応スラリーは、S25N−8G分散ヘッド(セッティング4)を伴うIKA Ultra−Turrax ミキシングモーターを使用して5分間混合された。 先に決定された量の15%Laponite(登録商標)RDSが、次に、反応スラリーに添加され、IKA Ultra−Turraxミキサを使用してさらに5分間混合された。 反応スラリーはシリンジへ移され、コーティング前に少なくとも30分間蓄積される。

    [00185]Zr:MoO :Laponite(登録商標)RDSの反応スラリーは、次に、ステンレス鋼箔の上に被覆された。 ステンレス鋼箔は、最初に、60℃でDI水中のRidoline 298の3.2%bv溶液で5分間の超音波処理によって洗浄された。 ステンレス鋼箔は、0.004インチ厚の304ステンレス鋼箔毎の中心部が露出されるように、0.215インチ幅のMylar(登録商標)でマスクされた。 箔は縁に0.008インチ厚のシムを有する真空チャックに設置された。 2mLの反応スラリーは箔の一方の縁に置かれた。 Sheen Auto−Draw Automatic Film Applicator 1137(Sheen Instruments)を使用して、反応スラリーは、Zr:MoO :Laponite(登録商標)RDS反応スラリーの約0.006インチ厚の層を堆積させるため、箔の表面全域において最大50mm/秒までの自動ドローコーティング速度で#12コーティングロッドを引くことにより、箔の上に被覆された。 被覆された箔は、次に、40℃の強制空気対流オーブン内に置かれ、少なくとも2時間に亘り乾燥された。 マスクは、次に、固体燃料のコーティングを各箔の中央部に残すため、箔から取り除かれる。

    [00186]薄いステンレス鋼ワイヤ(ワイヤアンビル)を含む点火装置アセンブリは、乾燥重量に基づく重量パーセントで26.5%のAl、51.4%のMoO 、7.7%のB、及び、14.3%のViton A500を含む酢酸アミル中の開始剤組成物に1/4だけ浸漬塗装される。 被覆されたワイヤは次に1時間に亘り約40〜50℃で乾燥される。 乾燥された被覆されたワイヤは、点火管(柔らかい壁のアルミニウム管、0.003インチの壁厚)に入れられ、一端がワイヤを所定の位置に保つため圧着された。

    [00187]加熱ユニットを組み立てるため、点火管は、2枚の燃料被覆箔基板(燃料チップ)の間に置かれ、点火管の開放端は燃料チップ上で燃料コーティングの縁と揃えられた。 燃料チップはアルミニウム接着テープで密封された。

    [00188]固体燃料に点火するため、燃料管は真鍮ロッドで打たれる。

    [00189]本実施例10の代替的な実施形態では、点火装置アセンブリは、620重量部のチタニウム(20μm未満のサイズ)と、100重量部の塩素酸カリウムと、180重量部の赤リンと、100重量部の塩素酸ナトリウムと、2%のポリビニルアルコールバインダを伴う620重量部の水とを含む開始剤組成物に1/4だけ浸漬塗装された薄いステンレス鋼ワイヤ(ワイヤアンビル)により構成された。 被覆されたワイヤは次に1時間に亘って40〜50℃で乾燥される。 乾燥された被覆されたワイヤは、点火管(柔らかい壁のアルミニウム管、0.003インチの壁厚)に入れられ、一端がワイヤを所定の位置に保つため圧着された。

    [00190]本発明は、特定の実施形態に関して、医療装置で使用する加熱ユニットの状況の範囲内で説明されたが、これらの開始剤組成物及び点火装置を、低ガス放出組成物及び/又は低電圧点火装置のどちらかを必要とする様々な他のシステムへ応用するといった、種々の変更と修正が本発明から逸脱することなく行われ得ることは当業者に明らかである。

    電気抵抗加熱素子に配置された開始剤組成物を備える点火装置の概略図である。

    点火装置及び開始剤組成物の光度を測定するため使用される光検出器システムの概略図である。

    2種類の組成物の混合物の一方の光度対時間のグラフである。

    2種類の組成物の混合物の他方の光度対時間のグラフである。

    ある実施形態による加熱ユニットの断面図である。

    ある実施形態による加熱ユニットの断面図である。

    ある実施形態による加熱ユニットの斜視図である。

    ある実施形態による円筒形状を有する加熱ユニットの断面図である。

    ある実施形態による変更された点火装置設計も有する、図5Aの加熱ユニットに類似した円筒型加熱ユニットの断面図である。

    電気抵抗によって作動されるある実施形態による加熱ユニットの斜視図である。

    電気抵抗によって作動されるある実施形態による加熱ユニットの組立図である。

    光学式点火によって作動されるある実施形態による加熱ユニットの斜視図である。

    光学式点火によって作動されるある実施形態による加熱ユニットの斜視図である。

    衝撃式点火によって作動されるある実施形態による加熱ユニットの概略図である。

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