【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、遅延導火線に、更に特定すれば起爆装置の遅延導火線即ち信号伝達管の時間遅延ユニットの点火を制御するための点火緩衝素子に関する。 【0002】 【従来の技術】 発明の背景 複数の爆薬を起爆する場合、起爆のタイミングを正確に制御することが要求されることがしばしばある。 爆薬の間の連続した遅延をミリ秒の単位で制御することが採石爆発では必要である。 爆薬のタイミングを制御するために、伝達管が中央の始動点から配列されて信号を送り個々の爆薬を起爆する。 通常、これらの伝達管は複数の下方線に連結された1個又は2個以上の主幹線からなっている。 起爆装置のタイミングは、遅延導火線と爆発性出力装薬とを収容するハウジングからなる起爆装置に接続された、ショック管即ち爆燃管等の設定した長さの信号伝達管を使用して制御される。 別の遅延時間が必要な場合、米国特許第4,742,773号に開示されているように、伝達管端部の間に遅延装置を挿入する。 【0003】伝達管は、”ノネル”の商標で、時には” ショック管”と呼称されて販売されている米国特許第3,590,739号に開示された種類である。ここで、”信号伝達管”は、その内部に沿って起爆又は爆燃信号を運ぶ、柔軟な中空管を含む起爆、又は爆燃信号伝達管、又は線を意味する。尚、信号は管を破壊しない。 別の伝達装置は、起爆コード及び類似のものからなる。 信号の用語は、前述の伝達管との関連で使用されたとき、そこに含まれる反応性物質の燃焼により管の内部に沿って伝達される起爆衝撃波又は爆燃火炎前線の両方を意味する。 起爆装置は、先ず伝達管を始動することにより作動される。 伝達管は、温度/圧力反応をその長さにわたり前進させて起爆装置に到達させることにより信号を伝達する。 やって来る信号は、爆発性出力装薬と接触している、対向する端部に向かって直線状に制御された速度で燃焼する花火組成物を含有する遅延導火線を点火する。 遅延導火線を伝達管遅延装置に使用した場合、遅延導火線の対向する端部は、伝達管の第2セクションと接触している。 伝達管の第2セクションからの信号は、 起爆装置の別の遅延導火線を点火するために使用できる。 【0004】花火組成物が反応する速度と遅延導火線の長さが、遅延導火線が果たす設定した機能時間を与える。 花火組成物が燃焼する速度は、花火化学組成物と組成物が燃焼する温度と圧力との関数である。 遅延導火線の長さと化学組成の正しい選定により種々の機能時間を行うように遅延導火線を設けることもできる。 しかし、 伝達管からの反応圧力を変えて、遅延導火線の機能時間を変化させることもできる。 伝達管からの圧力を増大すると、燃焼の速度が増大し、それにより機能時間が所望の時間より短くなる。 同様に、伝達管からの圧力を低下すると、燃焼の速度が低下し、それにより機能時間が所望の時間より長くなる。 従来の遅延導火線に関連した別の問題は、伝達管が遅延導火線の花火を点火した後、クローズドシステムのため、起爆装置又は遅延ユニットハウジングの内部は非常に圧力が高くなる事である。 この高い圧力条件は、ハウジングからの伝達管の破裂又は射出を引起し、未反応の花火組成物から反応している花火組成物を分離する結果となる急速な減圧を来たし、それにより前進が失敗する。 減圧は過激で反応している花火組成物は、遅延導火線から吸い出される。 【0005】伝達管からの高い圧力のパルスは、遅延導火線の有効長さに変動をもたらす。 圧力パルスは、遅延導火線の花火組成物の部分を吹き飛ばし、又は花火組成物の密度に変化を引起し、点火速度と点火の花火組成物柱への深さを変えて、それにより所望の機能時間に変化を生じさせる。 現実の爆発条件における起爆装置と遅延装置の機能時間の変化は、連続から外れた穴起爆を引起し、それにより地面の振動を増大し、岩を飛ばし、破砕の制御を低下させる。 これは、生きた爆薬と失敗したが尚生きている起爆装置を含む石の掘り出し中に重大な安全問題を引き起こす。 【0006】本発明の目的は、起爆装置、又は信号伝達管遅延装置と共に使用する改良された信号遅延組立体を提供することである。 本発明の別の目的は、遅延導火線花火組成物に作用される圧力の速度を制御することである。 本発明の別の目的は、信号遅延組立体に正確に予測できる機能時間を付与することである。 本発明の別の目的は、改善した信頼性を有する信号遅延組立体を提供することである。 本発明の別の目的は、確実に反応する遅延導火線花火組成物を保留する信号遅延組立体を提供することである。 【0007】発明の概要 本発明に係る信号遅延組立体は、信号伝達管の出力端部と、起爆装置ハウジング又は信号伝達管遅延装置ハウジングに収容された遅延導火線との間に位置する非燃焼性緩衝素子を備え、緩衝素子は十分な開口空間を有するパターンに複数の穴を有して、伝達管からの温度/圧力パルスを通過させ、かつ遅延導火線の花火組成物面に点火し、緩衝穴パターンは、十分に小さい穴寸法を有して遅延導火線花火組成物を保留し、未反応の遅延導火線花火組成物から反応遅延導火線花火組成物の分離を阻止し、 それにより起爆装置誤作動を防止し、遅延導火線長さ、 点火温度、及び機能時間を制御する。 本発明では、緩衝素子は、耐蝕性を必要とし、信号伝達特性の変動に耐え、花火感度を変えるため遅延導火線花火と相互反応してはならない。 更に、十分に高い耐温性を有して伝達管での燃焼を防止しなければならない。 本発明の緩衝素子は、遅延導火線花火表面に作用される伝達管温度/圧力パルスの速度を制御する。 それにより、点火速度に対する強いパルスの破壊的効果を相当に軽減する。 更に、本発明の緩衝素子は、点火パルスの強さに無関係に遅延導火線花火の表面に点火を引起して、伝達管圧力パルス形状が遅延導火線から花火組成物を吹き飛ばすのを防止し、それにより遅延導火線柱長さを制御する。 遅延導火線柱長さと、点火圧力が遅延導火線に作用される速度とを制御することにより、遅延導火線機能時間を正確に予測することができる。 本発明の別の利点は、緩衝素子が、伝達管破裂、又は射出、又はたの突然の減圧による遅延導火線の表面での突然の減圧の場合遅延導火線花火組成物の分離を防止して、それによりほぼ誤動作を排除する。 【0008】 【実施例】 好適実施例の詳細な説明 図1に示すように、起爆装置10は、起爆装置ハウジング15の開放端部12に受容された、ショック管(伝達管)等の信号伝達装置11を備えている。 起爆装置ハウジング15は、中空内部と開放端部12に対向する閉塞端部16とが形成されたほぼ円筒体である。 起爆装置ハウジング15は、信号移行組成物の燃焼中の内部起爆及び爆燃反応力と現場での使用により作用される外部力とに耐えるに十分な強度を有する必要がある。 好適材料は、アルミニウム管である。 【0009】伝達管17の端部には、開放端部18近傍のハウジングに襞を作ることによりハウジングが強固に固定されている。 この襞作用は、伝達管外部に対してハウジングを固定して伝達管の中の信号前進を潰すことなく、又は干渉することなく伝達管を適所に保持する。 襞領域のハウジングと伝達管との間のベアリング19として弾性材料を使用することができる。 起爆装置ハウジング15の内部は、信号遅延組立体(遅延導火線)25が装着されるチャンバー20を形成する。 遅延導火線25 とチャンバー20は、双方とも好適には円筒形で、相互に嵌合するような形状になっている。 嵌め合いは、遅延導火線25の対向する端部の間での直接の信号のやりとりを防止する。 遅延導火線25は、移行素子26と遅延素子27とからなる。 【0010】遅延素子27は、鉛等の金属管31の内部に成形された遅延組成物30を含有する。 遅延組成物は、既知のものでよく例えば珪素と2酸化鉛(Pb O)、珪素と鉛丹(PbO)、珪素と鉛丹(PbO)と硫酸バリウム(BaSO)、タングステンと過塩素酸カリウム(KClO)とクロム酸バリウム(BaCr O)、モリブデンと過塩素酸カリウム(KClO)、の混合物、及びその混合物である。 遅延素子27は、遅延素子27の一方の側から他方の側への燃焼の速度を制御する機能を有する。 遅延素子27の一方の側から他方の側へ燃焼が前進するに要する時間は、使用者により予め選定され、使用する遅延組成物に応じて9ミリセコンドから10秒又はそれ以上の範囲にできる。 【0011】移行素子26は、鉛等の金属管36の内部に充填された成形移行組成物35を含有する。 伝達素子26は、遅延素子27に直接隣接してかつそれに当接して配置されて、伝達管17の端部と遅延素子27との間の爆発始動信号を受容し伝達する。 移行組成物35は、 酸化剤と還元剤との混合物で、それは伝達管からの信号により点火されて発熱反応を行い十分な熱エネルギーを発生して遅延組成物30を点火する。 前述の遅延組成物は、移行組成物と同じ機能ではない。 適当な移行組成物は、珪素と鉛丹(PbO)、ジルコニウムと過塩素酸カリウム(KClO)、チタンと過塩素酸カリウム(KC lO)、ホウ素と鉛丹(PbO)、ジルコニウムと酸化鉄(III )(FeO)、ジルコニウムと塩素酸カリウム(KClO)、ジルコニウムとクロム酸鉛(PbCr O)、チタンとクロム酸鉛(PbCrO)、マグネシウムとクロム酸バリウム(BaCrO)、ホウ素と硝酸カリウム(KNO)、の混合物、及びその混合物である。 位置合わせカップ40を伝達管端部17に使用して伝達管信号を伝達管と移行素子との間に指向させることができる。 点火緩衝部材45は、位置合わせカップ40と起爆装置ハウジング15の中に移行素子26を有する遅延導火線25の入力端部との間に位置する。 緩衝部材45 は、好適には遅延導火線25の端部に押圧される。 緩衝部材は図2に示すワイヤークロススクリーン又は焼結金属、多孔性セラミック、又は多孔金属等の非燃焼材料から構成される。 緩衝部材材料は耐蝕性と信号伝達特性の変化に対する抵抗性とを有する必要がある。 更に緩衝部材材料は、点火失敗を引き起こす感度を軽減するか静電気的荷電又は衝撃により点火する感度を増大させるような、移行組成物と化学的に非反応性であってはならない。 緩衝部材は十分に高い耐温性を有して伝達管衝撃又は移行組成物の点火からの予備的反応熱から来る燃焼を防止しなければならない。 緩衝部材材料は、そのパターンに十分な開放空間を有して伝達管11からの温度/圧力パルスが移行組成物35に通過して到達しなければならない。 加えて、材料はそのパターンに十分に小さい空間を有して遅延導火線の組成物を保持し、かつ伝達管破裂又は射出に因る急激な減圧の場合組成物の分離を防止しなければならない。 緩衝部材は濾過装置として作用して、移行組成物に作用して点火させる圧力の割合を制御して破壊を最小限にしかつ表面点火のみを許容する。 実験の結果、60から120メッシュの範囲のメッシュサイズのワイヤークロススクリーンは緩衝部材としの使用に特に好適であることが判った。 20メッシュ以下のメッシュサイズは十分な機械的一体性に欠けるのでその形状を保持しえなくて、そのワイヤークロススクリーン端部はぼろぼろになる。 325より細かいメッシュサイズのワイヤークロススクリーンは、望ましい信号伝達特性を有しない。 【0012】爆薬部50は遅延素子27に隣接してそれに当接して位置している。 爆薬部50は、主装薬51とベース装薬52とからなる。 主装薬51は遅延組成物3 0からの信号伝達を確実にし、かつベース装薬52を点火するために温度/圧力信号を起爆信号に変換する。 主装薬51は、アジ化鉛等の主爆薬からできており、信号伝達と起爆を保証する。 ベース装薬52は、主装薬51 の起爆に応答して起爆信号を与え、ボアホール装薬又はたの爆薬装置の起爆と爆発を始動する。 ベース装薬52 はペンタエリトールテトラネトラート(PETN)等の高速爆薬からなる。 爆薬部50と遅延導火線25との起爆装置ハウジング15への装入の後、爆発キャップ組立体55は、移行素子の内部位置に応じる場所56のハウジングに襞を作ることによりハウジング15に強固に固定される。 この襞作用は、移行素子鉛管36にハウジングを固定して移行組成物の点火及び燃焼を阻害する又は干渉することなく爆発組立体55を適所に保持する。 【0013】通常の操作では、到来する信号は、伝達管11から位置合わせカップ40と点火緩衝部材45とを介して移行素子26に伝達される。 信号は、パルス状ショック波及び/又は火炎前線の形を取り、位置合わせカップにより移行組成物に照準される。 点火緩衝部材45 は、圧力が移行素子に加わる速度を制御し、かつ移行素子の点火を表面点火に制限する。 伝達管破裂又は射出の場合、即ち急激な減圧の場合、緩衝部材は移行組成物と遅延組成物とを保持して起爆の失敗を防止する。 伝達管側から移行素子の遅延素子側への移行組成物35の燃焼は、好適には約80ミリ秒より短い時間で起こる。 移行組成物35の燃焼は、次いで遅延組成物30を点火する。 遅延素子の一方の側から他方の側への遅延組成物3 0の燃焼に要する時間は、使用される遅延素子と組成物に応じて約150ミリ秒から10秒に範囲に設定する。 【0014】設定遅延素子燃焼時間の終了時に主装薬5 1が点火される。 高い活性主装薬は急速に起爆し、ベース装薬52を起爆する。 ベース装薬は、今度急速に起爆し、ボアホール爆薬装薬を起爆する。 緩衝部材は起爆装置として使用されるように図示されているが、緩衝部材は米国特許第4、742、773号に開示されている遅延装置等の信号伝達管遅延装置において使用しても同じように働く。 更に、点火緩衝部材は好適には遅延導火線に押圧されて装入されているとして記載されているが、 本発明の利点は起爆装置ハウジングの内部壁に取付けられ、位置合わせカップに、又は他の適当な取付け及び保持機構に固定された点火緩衝部材により実現される。 本発明の利点は、緩衝部材が位置合わせカップと移行素子との間に単に配置されるだけで実現される。 位置合わせカップを使用しない場合には、緩衝部材は伝達管端部と移行素子との間に位置する。 【0015】移行素子は全ての起爆装置及び信号伝達管遅延装置には必要でない。 移行素子の機能は、伝達管から直接点火できる程には十分に感度がよくない遅延導火線の次の素子を点火することである。 機能時間が非常に短い遅延導火線は伝達管から点火できる程十分感度がよい急速燃焼遅延組成物を通常使用しており、それにより図3に示すように移行素子の必要性を排除している。 急速燃焼組成物を使用している場合、典型的遅延は、約9 ミリ秒から150ミリ秒である。 しかし、遅延導火線所要機能時間が長くなるにつれて、起爆装置又は遅延装置ハウジングに嵌合できるより大きい急速型遅延組成物の長さが必要となる。 この点で、遅延組成物は、短い遅延素子を許容するより遅く燃焼する組成物に変更される。 新しい遅延組成物の軽減された反応性のため、伝達管からの信頼できる直接の点火を許容するその点火感度は、 失われて、その結果移行素子が必要となる。 ある例では、始動素子が移行素子と遅延素子との間に必要となる。 始動素子は、遅延素子の点火を引き起こすに十分な熱を発生する高い発熱性である。 【0016】移行素子を使用しない起爆装置では、点火緩衝部材は、遅延素子と位置合わせカップとの間に配置される。 既に記載した如く、緩衝部材は、押圧されて遅延素子に装入され、位置合わせカップに取りつけられ、 起爆装置ハウジングに取りつけられ、又は単に位置合わせカップと遅延素子との間に配置される。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明に係る遅延導火線点火緩衝部材を有する起爆装置の長手方向断面図である。 【図2】図2は、図1の線A−Aの点火緩衝部材の拡大断面図である。 【図3】図3は、図1の起爆装置の別の実施例の長手方向断面図である。 【符号の説明】 10 起爆装置 11 信号伝達装置 12 開放端部 15 起爆装置ハウジング 16 閉塞端部 17 伝達管 18 襞 19 ベアリング 20 チャンバー 25 遅延導火線 26 移行素子 27 遅延素子 30 成形遅延組成物 31 金属管 35 成形移行組成物 45 緩衝部材 50 爆薬部 51 主装薬 52 ベース装薬 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アーネスト エル グラツデン アメリカ合衆国 コネチカツト州 06035 グランビイ イベンジエリン プレイス 14 (72)発明者 ロバート ジー パランク アメリカ合衆国 コネチカツト州 06095 ウインザー サマセツト ドライブ35 |