【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の目的】 【0002】 【産業上の利用分野】本発明は、エアバツグ等の耐衝撃安全システムを作動させるインフレータ組立体に関するものである。 【0003】 【従来の技術】従来、この種のインフレータ組立体としては、実開平1−144154号公報にされるものや実開平3−85247号公報に示されるものが知られている。 この両者は、ガス発生物質が収容され中央部に凹部が形成されたインフレータケースと、凹部の底に配置されガス発生物質の燃焼基端となる雷管と、雷管を発火させる出力部材を有する衝撃感知機構が収容され凹部に挿入配置されるセンサケースと、インフレータケースに結合されセンサケースをインフレータケースに対して固定するサポートリングとを有するものであつて、前者のインフレータ組立体においては、サポートリングをインフレータケースに螺合させることでサポートリングとインフレータケースとを結合し、このサポートリングとインフレータケースとの結合によりサポートリングとセンサケースとを直に接合させることでセンサケースをサポートリングに保持してセンサケースをインフレータケースに固定していた。 後者のインフレータ組立体においては、サポートリングをインフレータケースに螺合させることでサポートリングとインフレータケースとを結合し、このサポートリングとインフレータケースとの結合によりサポートリングとセンサケースとをインフレータケースに回転止めされたリングを介して接合させることでセンサケースをサポートリングに保持してセンサケースをインフレータケースに固定していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来の前者のインフレータ組立体であると、インフレータケースに螺合されるサポートリングとセンサケースとを直に接合させてセンサケースをサポートリングに保持してセンサケースをインフレータケースに固定しているので、センサケースをインフレータケースにガタなく固定することができるが、サポートリングをインフレータケースに螺合させる際の回転がセンサケースとサポートリングとの接合を介してセンサケースに伝達されてセンサケースがサポートリングと共にインフレータケースに対して回転してしまい、結果、雷管と出力部材との相対位置関係にずれが生じる恐れがあつた。 【0005】又、上記した従来の後者のインフレータ組立体であると、インフレータケースに螺合されるサポートリングとセンサケースとをインフレータケースに回転止めされたリングを介して接合させてセンサケースをサポートリングに保持してセンサケースをインフレータケースに固定しているので、雷管と出力部材との相対位置関係がずれることはないが、リングの存在によりセンサケースをサポートリングでインフレータケースに対して強固に押え付けることができず、センサケースのインフレータケースに対する固定にガタが発生する恐れがあつた。 【0006】故に、本発明は、雷管と出力部材との相対位置関係にずれが生じず且つセンサケースをインフレータケースにガタなく固定されるようにすることを、その技術的課題とするものである。 【0007】 【発明の構成】 【0008】 【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、ガス発生物質が収容され中央部に凹部及び該凹部回りに突壁が形成されたインフレータケースと、前記凹部の底に配置され前記ガス発生物質の燃焼基端となる雷管と、前記雷管を発火させる出力部材を有する衝撃感知機構が収容され前記凹部に挿入配置される外周面にフランジ部が形成されたセンサケースと、前記インフレータケースに結合され前記センサケースを前記インフレータケースに対して固定する底壁及び周壁が形成されたサポートリングと、 前記突壁の内周面及び前記センサケースの外周面に形成され前記センサケースと前記インフレータケースとを凹凸係合させる係合部と、前記周壁と突壁との間に形成され前記インフレータケースと前記サポートリングとを結合させる螺合部と、前記フランジ部及び前記底壁に形成され前記サポートリングと前記インフレータケースとの結合により前記センサケースを前記サポートリングに保持させて前記センサケースを前記インフレータケースに固定する接合部とを有した、ことである。 【0009】 【作用】上記技術的手段によれば、係合部によつてサポートリングをインフレータケースに結合させる際に生じるセンサケースのインフレータケースに対する回転が規制され、接合部によつてセンサケースがサポートリングによりインフレータケースに対して強固に押さえ付けられることとなる。 結果、雷管と出力部材との相対位置関係にずれが生じず且つセンサケースをインフレータケースにガタなく固定し得る。 【0010】 【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。 【0011】図1及び図2に示されるように、インフレータケース1は、アツパケース1aとロアケース1bを溶接等によつて固着して構成した内部空間を有する円盤形状を呈するものであつて、中央部にはアツパケース1 aによつて開放端を持つ円形の凹部11が形成されている。 このインフレータケース1の内部空間は凹部11の形成によつて輪形状とされこの内部空間にガス発生物質2が収容されている。 【0012】凹部11の底には伝火材3が収容されており、この伝火材3より上方には雷管41がその上面より露出する形で収容されたピース4がアツパケース1aに圧入固着されて配置されている。 この構成において雷管41が発火されると伝火材3を介して雷管41により生じた炎がガス発生物質に伝播されこの伝播された炎によつてガス発生物質2がガスを発生することとなる。 又、 アツパケース1aには、外方に突出する突壁12が凹部11回りに配置されるように形成されている。 この突壁12の内周面には不等間隔で3か所に係合凹部13が形成されており、外周面にはオネジ部14が形成されている。 【0013】センサケース5は、凹部11と略同径の円柱形状を呈するものであつて、揺動自在な矩形形状のウエイト61及び回動自在なピン部分を持つレバー形状の出力部材62を主要構成とする衝撃感知機構6が収容されている。 このセンサケース5は凹部11にその開放端から挿入され雷管41と出力部材62が打ち出されるセンサケース5の穴5aとが対向するようにピース4より上方に配置される。 この穴5aの雷管41に対する位置決め(センサケース5のピース4に対する位置決め) は、図3及び図4に示されるように、センサケース5の底面に形成された対の突部5bとピース4に形成された対の穴部4aとの嵌挿によつて行われる。 【0014】この構成において衝撃感知機構6が作動して出力部材62が穴5aより打ち出されると出力部材6 2と雷管41とが衝突して雷管41が発火する。 センサケース5の底面周縁にはテーパ面5cが形成されており、ピース4及びセンサケース5の凹部11への配置状態でテーパ面5c,ピース4の上面及び凹部11の内周面とで形成される空間内にアツパケース1a,ピース4 及びセンサケース5との間をシールして湿気の侵入を防ぎ、雷管41の劣化及びセンサケース5内部の腐食による性能の劣化を防止するOリング7が配設されている。 このように、テーパ面5cを形成することで、センサケース5を凹部11に配置する前にOリング7を凹部11 内に入れこの後センサケース5を凹部11内に配置することで自動的にOリング7が所定位置に配置されてアツパケース1a,ピース4及びセンサケース5との間を確実にシールするものとされ、よつて、Oリング7の組付け工数が低減される。 又、センサケース5の外周面には、係合凸部51が係合凹部13と同様に不等間隔で3 か所に形成されており、更に、突壁12の外周面と略同等又は若干小さめの径方向に突出するフランジ部52が形成されており、このフランジ部52には平面53が形成されている。 【0015】サポートリング8は、底壁81及び周壁8 2よりなる円形箱形状を呈するものであつて、凹部11 の開放端を塞ぐようにアツパケース1aに結合される。 周壁81aの内周面は突壁12の外周面と略同等とされており、オネジ部14と螺合可能なメネジ部83が形成されている。 又、底壁81には平面53と接合可能な平面84が形成されている。 更に、サポートリング8の外周面には、図5に示されるように、サポートリング8をアツパケース1aに結合させるための専用工具(図示せず)のみが取付け可能とされる取付穴85が形成されている。 【0016】次に本実施例の組付けについて説明する。 【0017】ガス発生物質2が収容されると共に凹部1 1内に伝火材3及びピース4が配置且つOリング7が入れられたアツパケース1a(以下、インフレータケース1として説明する)の凹部11に衝撃感知機構6が収容されたセンサケース5を各係合凸部51と各係合凹部1 3とが合致する状態で開放端から挿入して配置する。 【0018】この際、係合凸部51と係合凹部13が不等間隔とされているので、この各係合凸部51と各係合凹部13との合致によつてセンサケース5とインフレータケース1との位置決めがなされる。 又、この時、前述したように、Oリング7が所定位置に配置されると共に突部5bと穴部4aとが嵌挿されてセンサケース5とピース4との位置決めがなされる。 この後、サポートリング8を取付穴85に取り付けられる専用工具で操作してメネジ部83とオネジ部14とを螺合させることでサポートリング8をインフレータケース1に結合させる。 このように、サポートリング8のインフレータケース1への結合は専用工具にて行われるので、専用工具を持たない一般ユーザーによる分解が防止される。 この時、メネジ部83とオネジ部14とが螺合されていくことにより平面84が平面53と接合してセンサケース5がインフレータケース1に対して強固に押付けられることとなり、これにより、センサケース5がサポートリング8に保持されてインフレータケース1にガタなく固定される。 結果、インフレータ組立体が完成する。 尚、このインフレータ組立体は、この後、車両のステアリングホイール(図示せず)に組付けられる。 このように、インフレータケース1側のオネジ部51とサポートリング8側のメネジ部83との螺合によりサポートリング8がインフレータケース1に結合されてセンサケース5がサポートリング8でインフレータケース1に固定されるので、 雷管41の発火による圧が凹部11の内周面に作用したとしてもインフレータケース1に生じる変形はオネジ部51とメネジ部83との螺合を強固なものとする方向となるので、サポートリング8とインフレータケース1との結合が緩みセンサケース5が雷管41の発火による圧によつて凹部11より飛び出したりする等の危険性が回避される。 この時、サポートリング8をインフレータケース1に結合するつまりオネジ部14とメネジ部83とを螺合させていくためのサポートリング8のインフレータケース1に対する回転は、平面84と平面53との接合によつてセンサケース5にも伝達されてセンサケース5がサポートリング8と共に回転しようとするが、このセンサケース5の回転は係合凸部51と係合凹部13との係合によつて規制される。 これにより、雷管41と衝撃感知機構6の出力部材62との相対位置関係が常に正常位置で確保される。 尚、係合凹部13と係合凸部51 との間にガタが存在すると、このガタ分だけセンサケース5がインフレータケース1に対して回転して、突部5 bと穴部4aとの嵌挿により突部5bに剪断力となつて作用し、結果、センサケース5とピース4との間にずれが生じることとなる恐れがあるが、ピース4がインフレータケース1に対して圧入固着されているのみであるので、ピース4はセンサケース5と共に回転することとなつて突部5bに剪断力が働くのを防止する。 これにより、センサケース5とピース4との正しい位置決めが確保される。 【0019】尚、図1中、符号9は、インフレータ組立体を構成する際の組付け時やインフレータ組立体のステアリングホイールへの組付け時等において衝撃感知機構6が不用意に作動するのを防ぐための安全装置10の保護カバーであつて、インフレータ組立体を構成する最終段階で係合爪91によつてサポートリング8に係止されることでインフレータケース1に嵌合固定される。 これにより、インフレータ組立体のステアリングホイールへの組付け時において安全装置10の操作レバー11が不用意に操作されるのが防止される。 【0020】上記したように、係合凸部51と係合凹部13との係合によつてサポートリング8をインフレータケース1に結合させる際に生じるセンサケース5のインフレータケース1に対する回転が規制され、平面53と平面84との接合によつてセンサケース5がサポートリング8によりインフレータケース1に対して強固に押さえ付けられるので、センサケース5をインフレータケース1に固定する組付け作業時において雷管41と出力部材62との相対位置関係にずれが生じたりすることもなく、センサケース5がインフレータケース1にガタなく固定される。 【0021】 【発明の効果】本発明によれば、インフレータケースの突壁の内周面とセンサケースの外周面にセンサケースとインフレータケースとを凹凸係合させる係合部が形成され、センサケースのフランジ部とサポートリングの底壁にセンサケースをサポートリングに保持させる接合部が形成されているので、係合部によつてサポートリングをインフレータケースに結合させる際に生じるセンサケースのインフレータケースに対する回転が規制され、接合部によつてセンサケースがサポートリングによりインフレータケースに対して強固に押さえ付けられることとなる。 これにより、雷管と出力部材との相対位置関係にずれを生じさせることなくセンサケースをインフレータケースにガタなく固定することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るインフレータ組立体の部分断面図である。 【図2】図1の分解図である。 【図3】図2のA方向矢視図である。 【図4】図2のB方向矢視図である。 【図5】図2のC方向矢視図である。 【符号の説明】 1 インフレータケース 2 ガス発生物質 5 センサケース 6 衝撃感知機構 8 サポートリング 11 凹部 12 突壁 13 係合凹部(係合部) 14 オネジ部(螺合部) 41 雷管 51 係合凸部(係合部) 52 フランジ部 53 平面(接合部) 62 出力部材 81 底壁 82 周壁 83 メネジ部(螺合部) 84 平面(接合部) ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石 川 雅 信 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 坂 本 和 教 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 竹 内 務 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 川 村 健 貴 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 小野田 敦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 岩 井 保 範 大阪府四條畷市南野4−2−9 メゾンミ ナミノ303 (72)発明者 勝 田 信 行 東京都世田谷区深沢8−17−1 (72)発明者 志 賀 一 三 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内 |