【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、外部動力駆動方式機関砲の給弾方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の機関砲の給弾方法は、小口径の機関砲と中、大口径の機関砲とで異なつている。 すなわち、小口径の機関砲では、機関砲の動き、例えば遊底の作動を動力として給弾する方法が行われる。 一方、中、 大口径の機関砲では、外部動力によつて給弾機構、具体的には給弾スプロケット、給弾チェーン等を作動させることが一般に行われている。 【0003】この従来の外部動力駆動方式としては、次のものが知られている。 (1)機関砲において射撃され、弾薬が必要となる度にサーボモータ等からなる給弾モータをONにして給弾し、給弾後に給弾モータをOFFにする。 (2)給弾モータ等の動力をゼンマイ、ねじりばね等の機械的な蓄力機構で蓄力し、弾薬が必要なときに給弾機構が作動して給弾する方法で、蓄力が所定範囲に維持されるようにモータをON−OFF制御する。 (3)給弾モータによつて常時、給弾機構に力を加えておき、機関砲が発射して弾薬が必要になると給弾する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような中、大口径の機関砲に適用される従来の外部動力駆動方式機関砲の給弾方法にあつては、次のような技術的課題を有している。 【0005】すなわち、上記(1)の方法にあつては、 給弾モータは機関砲の発射速度に対応してON−OFF を繰り返すので、発射速度を低く抑える必要がある。 また、給弾モータの立ち上がりに際し、必要なトルクが得られるようになるまでに比較的長時間を要するため、この面でも短時間で頻繁に弾丸を発射する高発射速度が期待できない。 更に、給弾モータのON−OFFの頻繁な繰り返し作動は、接点等の関連部品の寿命を短くする。 【0006】上記(2)の方法にあつては、上記(1) の技術的課題は克服される。 すなわち、給弾モータの立ち上がり時間は心配なく、給弾開始当初から必要トルクで給弾でき、また、給弾モータのON−OFFの回数も低減できる。 【0007】しかしながら、発射速度を一定に設定する機関砲の場合には、蓄力機構の蓄力を発射速度に合わせて一定にすればよいが、外部動力駆動方式の機関砲では発射速度を変え得るので、蓄力機構の蓄力をその最大発射速度に常に合わせておく必要がある。 このため、低発射速度においても高速で給弾するようになり、弾薬を必要以上に高速で動かす分だけエネルギーを無駄に捨てることになる。 その結果、消費動力が大きくなる。 更に、 給弾スプロケット、給弾チェーン等の給弾部品の寿命を縮めることになる。 【0008】上記(3)の方法にあつては、上記(1) の方法の技術的課題である給弾モータの立ち上がり時間は(2)の方法と同様、事実上零にできる。 しかし、給弾モータには常時、トルクを掛けているため、その待機時間の長さに制限を受ける。 特に、機関砲に弾薬を装填した後、何時発射するか分からない単発射撃の場合、給弾モータに焼損を生ずる恐れがある。 このため、(3) の方法は、ごく限られた用途にのみ使用が可能である。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、 次の通りである。 請求項1の発明は、給弾モータ1と、 給弾モータ1の回転駆動力を蓄力する蓄力機構(2) と、蓄力機構(2)に蓄力された回転駆動力によつて駆動され、弾薬12を機関砲10に給弾する給弾機構6 と、蓄力機構(2)と給弾機構6との間に介装され、蓄力機構(2)に蓄力された回転駆動力を変速して給弾機構6に伝える変速機構3と、回転速度が段階的又は連続的に変動可能な機関砲モータ8とを有し、所定の回転速度を与えた機関砲モータ8によつて機関砲10を駆動し、機関砲10に所定の発射速度を与えた際、変速機構3の変速比の変更により、機関砲10の発射速度に適応させた給弾速度を給弾機構6に与えることを特徴とする外部動力駆動方式機関砲の給弾方法である。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 図1は、本発明に係る外部動力駆動方式機関砲の給弾方法に使用される機関砲の給弾装置の1実施の形態を示す。 図中において符号1は給弾モータを示し、給弾モータ1から順次に、蓄力機構であるばねモータ2、変速機構3、給弾機構6及び機関砲10が配置されている。 給弾モータ1とばねモータ2との間は、チェーン、回転軸等の伝動機構15によつて連結され、給弾モータ1の回転駆動力が、伝動機構15を介してばねモータ2に伝動され、ばねモータ2に内蔵されたゼンマイ、ねじりばね等を巻き込んで蓄力される。 給弾モータ1のON−OFFは、図外のコントローラによつて制御される。 【0011】また、ばねモータ2と変速機構3との間は、回転軸5によつて連結され、ばねモータ2に蓄力された回転駆動力が、回転軸5を介して変速機構3の入力軸に伝動され、変速機構3の出力軸16から所定の変速比によつて減速された回転駆動力が得られる。 この変速機構3の出力軸16は、給弾機構6の送り機構、具体的には給弾スクリュ6a(又は給弾チェーン、給弾スプロケット等)に連結されている。 なお、給弾スクリュ6a は一対が平行に備えられ、これらが歯車機構6bを介して同期して回転駆動される。 この一対の給弾スクリュ6 aは、給弾機構6内の弾薬12を機関砲10の後記する送弾ホイール7に向けて搬送する。 なお、給弾機構6には、図外の保弾装置からの弾薬12が適宜に供給される。 【0012】変速機構3は、無段変速機又は多段変速機によつて構成される。 無段変速機としては、例えば車両用のVベルト式無段変速機が使用でき、多段変速機としては、例えば車両用の通常の自動変速機が使用できる。 4はアクチュエータであり、アクチュエータ4による駆動により、変速機構3の変速比を所要に切り換えることができる。 【0013】機関砲10は、基端部に間欠制御部11を備え、先端部に砲身10aを備え、また、内部には送弾ホイール7、図外の遊底等を備える。 機関砲モータ8 は、段階的又は連続的に変動する回転速度を生じ、その回転駆動力が間欠制御部11を介して間欠回転運動に変換され、送弾ホイール7を間欠駆動する。 更に、機関砲モータ8は、間欠制御部11を介して機関砲10内の図外の遊底を往復駆動することにより、送弾ホイール7に給弾された弾薬12を砲身10aに次々に送り込み、射撃を継続させる。 かくして、送弾ホイール7は、機関砲モータ8により、弾丸の発射速度に応じて駆動される。 【0014】9はコントローラであり、ケーブル13を介してアクチュエータ4を制御し、また、ケーブル14 を介して機関砲モータ8を制御する。 コントローラ9 は、機関砲モータ8の回転速度、つまり機関砲10の発射速度を設定すると共に、機関砲10の発射速度に応じた給弾速度が得られるようにアクチュエータ4を駆動する。 いま、コントローラ9によつて機関砲モータ8の回転速度を所定に設定すれば、同時に、コントローラ9からの信号によつてアクチュエータ4が駆動され、変速機構3の減速比が設定される。 これにより、ばねモータ2 に蓄力された回転駆動力が、変速機構3の変速比に基づいて給弾機構6に伝えられることになり、機関砲モータ8の回転速度に適応した適切な給弾速度を与えることが可能となる。 【0015】次に作用について説明する。 先ず、図外のコントローラによつて給弾モータ1を所定の速度で回転させ、ばねモータ2内のゼンマイ、ねじりばね等を巻き込む。 給弾モータ1は、ばねモータ2内のゼンマイ、ねじりばね等が規定トルクの上限にまで巻き込まれたらなら、OFFにされる。 ばねモータ2の蓄力は、機関砲1 0の最大発射速度に合わせておく。 ばねモータ2内に所定の蓄力がされた状態で、コントローラ9を操作し、機関砲モータ8の回転速度を所定値に設定して機関砲10 の発射速度を設定する。 このコントローラ9の操作により、コントローラ9からの信号がケーブル13を介してアクチュエータ4に印加され、アクチュエータ4によつて変速機構3が駆動される。 これにより、変速機構3の変速比が発射速度に最適な給弾速度が得られるように変換され、ばねモータ2に蓄力された回転駆動力により、 給弾機構6の給弾スクリュ6aが所定速度で回転駆動される。 【0016】この給弾速度の変換は、変速機構3の種類により、段階的又は連続的に得られる。 一般的には、機関砲モータ8の回転速度が段階的に制御される場合には、段階的に変速可能な変速機構3とし、また、機関砲モータ8の回転速度が連続的に制御される場合には、無段に変速可能な変速機構3とし、変速機構3の変速比を発射速度に適応させることが望ましい。 しかし、変速機構3は、機関砲モータ8の回転速度の制御方式の如何を問わず、無段変速機又は多段変速機のいずれかを自由に選択することが可能である。 【0017】このようにして、機関砲10の発射速度に適する給弾速度が得られた状態で、機関砲10の砲身1 0aから弾丸が発射される。 すなわち、ばねモータ2の蓄力が変速機構3の変速比に応じて給弾機構6に伝動されているので、弾薬12の消費に伴い、給弾機構6の給弾スクリュ6aが最適な給弾トルクによつて回転駆動され、給弾機構6内の弾薬12が発射速度に応じた給弾速度により、機関砲10の送弾ホイール7に給弾される。 弾丸の発射により、ばねモータ2内のゼンマイ、ねじりばね等による蓄力が規定トルクの下限以下になつた場合には、図外のコントローラからの信号によつて給弾モータ1をONにし、規定トルクの上限にまで巻き込むように制御される。 【0018】 【発明の効果】以上の説明によつて理解されるように、 本発明に係る外部動力駆動方式機関砲の給弾方法によれば、下記の効果を奏することができる。 (1)蓄力機構と給弾機構との間に介装した変速機構の機能により、機関砲の発射速度に適する給弾トルクを給弾機構に伝動するようにして、好適な給弾速度を与えることができる。 その結果、給弾モータの消費動力を最小限に抑制することができ、給弾モータの耐久性の向上を図ることができる。 【0019】(2)機関砲が低・中発射速度を採る状態において、高速給弾を避けることができるため、高速給弾に伴う振動を抑えることができる。 加えて、給弾に関与する部品、例えば給弾機構の給弾スプロケット、給弾チェーン等又は機関砲内の送弾ホイールの負荷が軽減されるので、これらの部品の寿命を延ばすことができる。 【0020】(3)蓄力機構の使用により、給弾モータによつて常時、給弾機構に力を加えておくことなく、給弾トルクを瞬発的に発揮することが可能であると共に、 給弾モータのON−OFF回数を低く抑えながら、低・ 中発射速度のみならず高発射速度にも対応することができる。 その結果、給弾モータの焼損を防止できるのみならず、接点等の関連部品の延命を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の1実施の形態に係る外部動力駆動方式機関砲の給弾装置を示す概略図。 【符号の説明】 1:給弾モータ、2:ばねモータ(蓄力機構)、3:変速機構、6:給弾機構、8:機関砲モータ、10:機関砲、12:弾薬。 |