Gun body

申请号 JP5667088 申请日 1988-04-28 公开(公告)号 JPH0717973Y2 公开(公告)日 1995-04-26
申请人 株式会社日本製鋼所; 防衛庁技術研究本部長; 发明人 鉄平 富樫; 弘宣 小林; 正 水野; 幸蔵 若木; 政彦 高杉;
摘要
权利要求 【実用新案登録請求の範囲】
  • 【請求項1】砲身鋼からなり、内面に、内径が先端側から砲尾側に向かって段階的に大径となる複数の嵌合部が連続的に形成されている円筒状の外筒と、 その外筒の各嵌合部の内径に対応する外径とその各嵌合部の長さに等しい長さとをそれぞれ有し、先端が前記嵌合部間に形成される段部に係合するようにして前記外筒の内面に順次はめ込まれ、その外筒の各嵌合部において一体的に固定される複数個のライナと、により構成され、 前記各ライナの内径が、砲尾部に位置するライナを除いて等しい大きさとされるとともに、 砲尾部のライナには内径のより大きい薬室が形成されており、 これら各ライナの少なくとも内面が、セラミックスによって形成されていることを特徴とする、 砲身。
  • 【請求項2】前記各ライナの端面がセラミックスによって形成されている、 請求項1記載の砲身。
  • 【請求項3】前記各ライナ全体がセラミックスによって形成されている、 請求項1記載の砲身。
  • 【請求項4】前記砲尾部に位置するライナを除く各ライナの内面に、スプライン状の施条が形成されるとともに、 砲尾部に位置するライナの内面に、前記施条に一致する施条と、その施錠の起端とが、前記薬室から連続するように形成されている、 請求項1ないし3のいずれか記載の砲身。
  • 【請求項5】前記砲尾部に位置するライナを除く各ライナの内面が滑らかな砲腔内面として形成されるとともに、 砲尾部に位置するライナの内面に、前記砲腔内面に一致する砲腔内面と、その砲腔内面の起端とが、前記薬室から連続するように形成されている、 請求項1ないし3のいずれか記載の砲身。
  • 说明书全文

    【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、砲弾等の投射体あるいはロケット等の飛翔体を発射する銃砲類の砲身に関するものである。

    (従来の技術) 一般に、銃砲類の砲身は、長い円柱状の砲身鋼を中ぐりすることによって形成されている。 その砲身の後端部内面には薬室が形成され、その薬室の先端から砲身の先端までの内面に沿って砲弾等が移動するようにされている。 そして、施条砲の場合には、その砲弾等が移動する砲身内面に、ゆるやかな螺旋スプライン状の施条が施削されている。 その施条の起端は、薬室の先端に位置するものとなっている。 また、滑空砲の場合には、その砲身内面が、薬室の先端に起端を有する滑らかな砲腔内面とされている。

    ところで、砲身の内部には、砲弾等の発射の際に、推進薬の燃焼による高温高圧のガスが発生する。 そのガスは腐食性の強いものである。 そのために、砲身の内面には焼食が生じやすい。 また、砲弾等の発射時には、砲弾の外面、あるいはその砲弾の外面に取り付けられた導環の外周面と砲身内面とが摺接する。 したがって、砲身内面は摩耗しやすい。

    そこで、従来は、砲身の先端から後端にまでわたって、
    その内面にクロムめっきあるいは窒化処理等を施すようにしていた。

    (考案が解決しようとする課題) しかしながら、クロムめっきや窒化処理では、十分な耐熱性は得られない。 すなわち、砲弾等の発射時には、砲身内部のガス温度が瞬間的に2500〜3000℃程度にまで達する。 したがって、砲身の内面が非常な高温となり、その内面と砲身の肉厚内部との間に大きな温度差が生じることになる。 そのために、砲身の冷却過程において、砲身内面にヒートチェックが生じてしまう。 砲身内面にクロムめっきや窒化処理を施しただけでは、このようなヒートチェックが生じることは避けられない。 そして、そのようなヒートチェックが生じると、次弾の発射時に、
    そのヒートチェック部から高温高圧の腐食性ガスが侵入することになる。 その結果、砲身内面に剥離が生じてしまう。

    また、特に施条起端あるいは砲腔起端付近は、砲弾等の発射の際に、3000気圧以上もの高圧を受ける。 クロムめっきや窒化処理を施しただけでは摩擦係数が十分には低減されないので、このような高温高圧を受ける部分は摩擦抵抗が大きいものとなる。 その結果、その部分が溶融し、焼食が生じやすくなってしまう。

    このように砲身内面に剥離や焼食が生じると、砲弾の移動によってその内面が著しく摩耗し、砲弾の初速が低下して、命中精度が悪くなる。 そして、そのように摩耗した砲身は廃却せざるを得ない。 すなわち、従来のように内面にクロムめっきや窒化処理を施した砲身では、十分な寿命を得ることはできないものとなっていた。

    このような問題を解決するために、例えば実開昭59−16
    3797号公報に示されているように、砲身の内面全体にセラミックス層を被着結合させることが考えられている。
    しかしながら、そのようなものでは、セラミックス層の一部が損傷した場合、その損傷部のみに再度セラミックス層を被着結合させようとすると、その部分の結合度が不十分となってしまう。 したがって、部分補修は事実上不可能である。

    また、実開昭55−8520号公報に示されているように、砲身を構成する金属外筒の内面にセラミックスからなるライナを焼きばめあるいは鋳ぐるみなどの手段によって装着することも考えられている。 しかしながら、砲身の口径に比べてその長さが極めて長いので、一体のライナでは、はめ込み長さが長くなりすぎて、圧入作業が著しく困難となる。 一方、鋳ぐるむ方法では、凝固時にライナが収縮してその外径が小さくなるので、外筒との間にすきまが生じ、ライナの強度上不利になるという問題がある。

    本考案は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐熱性、耐焼食性、及び耐摩耗性に優れ、部分補修も容易で寿命の長い砲身を得ることである。

    (課題を解決するための手段) この目的を達成するために、本考案では、砲身鋼からなる円筒状の外筒の内面に、先端側から砲尾側に向かって内径が段階的に大径となる複数の嵌合部を連続的に形成し、その各嵌合部の内径に対応する外径を有する複数個のライナをそれらの嵌合部に順次はめ込んで、各嵌合部において外筒と一体的に結合するようにしている。 各ライナはそれがはめ込まれる嵌合部の長さと等しい長さを有するものとされ、その先端が隣接する嵌合部間に形成される段部に係合するようにされる。 また、各ライナの内径は、砲尾部に位置するものを除いてすべて等しい一定の大きさとされる。 したがって、各ライナの肉厚は、
    砲尾側のものほど厚くなっている。 砲尾部に位置するライナには、より内径の大きい薬室が設けられている。 そして、これらの各ライナは、少なくともその内面がセラミックスによって形成されている。

    (作用) このように構成することにより、砲腔内面、砲腔起端、
    及び薬室内面は、いずれもセラミックスによって形成されることになる。 施条砲の場合には、その施条及び施条起端もセラミックスによって形成される。 そして、セラミックスは、耐熱性、耐焼食性、及び耐摩耗性に極めて優れている。 したがって、この砲身は、推進薬の燃焼に伴って発生する高温高圧の腐食性ガスによっても剥離や焼食を生じることがなく、摩耗の極めて少ないものとなる。 また、砲身に加わるガス圧は、砲身鋼からなる外筒によっても支持される。 したがって、その強度が不足することもない。

    そして、比較的短くて外径の異なる複数個のライナを用いることにより、その外筒へのはめ込み作業が容易となるとともに、ライナが損傷したときにも、その損傷したライナのみを交換すればよいことになる。

    (実施例) 以下、図面を用いて本考案の実施例を説明する。

    図中、第1〜3図は本考案による砲身を施条砲に適用した一実施例を示すもので、第1図はその砲身の縦断面図であり、第2図はその砲身を砲尾側から見た背面図、第3図はその砲身の砲尾部分の拡大断面図である。

    第1,2図から明らかなように、砲身1は、外筒2と、その外筒2の内面にはめ込まれたライナ集合体3とにより構成されている。 外筒2は砲身鋼よりなる円筒状のもので、その後端部外周面には、砲身1を砲尾環(図示せず)に取り付けるためのねじ4が形成されている。

    外筒2の内面には、先端の小径部5と、その小径部5から後端にまでわたり内径が段階的に変化する複数個の嵌合部、すなわち嵌合面6 1 ,6 2 ,…6 nとが設けられている。 その嵌合面6 1 ,6 2 ,…6 nは、後端側、すなわち砲尾側ほど内径が大きいものとされている。

    ライナ集合体3は、端面が互いに接触するようにして軸方向に配列される複数個のライナ7 1 ,7 2 ,…7 nによって形成されている。 これらのライナ7 1 ,7 2 ,…7 nは、全体がセラミックスからなる円筒状のもので、その外径は、
    外筒2の嵌合面6 1 ,6 2 ,…6 nの各内径にそれぞれ対応する大きさとされている。 また、ライナ7 1 ,7 2 ,…7 nの長さは、対応する各嵌合面6 1 ,6 2 ,…6 nの長さに等しいものとされている。 そして、各ライナ7 1 ,7 2 ,…7 nは、対応する嵌合面6 1 ,6 2 ,6 nに、その各嵌合面間に形成される段部に先端が係合するようにして焼きばめされ、外筒2に一体的に固定されている。

    砲尾部に位置するライナ7 nの後端部内面は比較的大径とされ、それによって薬室8が形成されている。 第3図に示されているように、この薬室8の先端部はテーパ面とされている。 そして、その薬室8の先端からライナ7 nの先端までの間の内面の内径は、薬室8の内径よりも小さい一定のものとなっている。

    一方、砲尾部のライナ7 nを除くライナ7 1 ,7 2 ,…7 n-1の内径は、いずれも等しい一定の大きさとされている。 しかも、その内径は、砲尾部のライナ7 nの先端側部分の内径に等しいものとされている。

    こうして、ライナ集合体3の内面は、薬室8の先端から最先端のライナ7 1の先端まで、一定の内径とされ、それによって、砲弾9が移動する砲腔10が形成されている。
    この砲腔10の内面には、第2図に示されているようなスプライン状の溝、すなわち施条11が形成されている。 第3図に示されているように、この施条11は、薬室8の先端に起端11aを有し、その起端11aから徐々に高さを増して、一定の高さとなるものとされている。 また、この施条11は、砲身1の軸方向に沿って徐々にねじれるゆるやかな螺旋状のものとされている。

    外筒2の先端小径部5の内径は、施条11の谷部の内径よりも大きく、最先端の嵌合面6 1の内径よりも小さいものとされている。 したがって、その小径部5と嵌合面6 1との間には、段部12が形成されている。

    このように構成された砲身1には、その砲尾側、すなわち薬室8側から、第3図に示されているように砲弾9が装填される。 その砲弾9には、定心部、すなわち重心位置の外面に銅合金からなる導環13が一体に取り付けられている。 その導環13の外径は、施条11の谷部の内径とほぼ等しいものとされている。 したがって、砲弾9を装填したときには、第3図に示されているように、砲弾9の外面が施条11の山部に接し、その導環13が施条起端11a
    に係合した状態となる。 そして、薬莢14が薬室8に嵌合された状態となる。

    この状態で、薬莢14に取り付けられた火管を打撃し、あるいはそれに通電して発火させると、薬莢14内の推進薬が燃焼し、薬室8内に高温高圧のガスが発生する。 そして、薬室8は導環13と薬莢14とによって密閉されているので、そのガス圧によって砲弾9は後面から押され、砲腔10内を高速で前方へと移動する。 この間において、導環13は施条11の山部によって削り取られ、その施条11に嵌合する形状となって、その施条11により案内される。
    したがって、砲弾9にはスピンが与えられる。

    ところで、このように推進薬が燃焼することによって発生するガスは、腐食性の強いものである。 しかも、そのガスは、砲弾9の発射とともに砲腔10内を吹き抜ける。
    したがって、砲身1の内面は、全体が高温高圧の腐食性ガスにさらされることになる。 しかしながら、この砲身1の場合には、砲身1の内面、すなわち施条11、施条起端11a、及び薬室8の内面がすべてセラミックスによって形成されている。 そして、セラミックスは、耐熱性、
    耐焼食性が極めて高い。 したがって、そのような高温高圧の腐食性ガスによっても、砲身1の内面に溶融や剥離が生ずることはない。 また、セラミックスは摩擦係数が小さいので、砲身1の内面は耐摩耗性にも優れたものとなる。

    このように砲弾9が砲腔10を移動するとき、ライナ7 1
    7 2 ,…7 nには、その砲弾9及び導環13との摩擦と砲腔10
    内のガス圧力とによって、砲身1の軸方向へ移動させようとする力が働く。 しかしながら、最先端のライナ7 1が外筒2の先端部に設けられた段部12に係合し、以下のライナ7 2 ,7 3 ,…7 nが隣接する嵌合面6 1 ,6 2 ,…6 n間の段部に係合しているので、それらのライナ7 1 ,7 2 ,…7 nがずれたり外筒2から脱落したりするようなことはない。

    また、これらのライナ7 1 ,7 2 ,…7 nには、砲腔10内に発生する高圧のガス圧力が加えられるが、そのガス圧力は、セラミックス製のライナ7 1 ,7 2 ,…7 nのみでなく、
    砲身鋼よりなる外筒2によっても支持される。 したがって、砲身1の強度は十分に確保される。 しかも、高温高圧が加えられる砲尾側ほどライナ7 1 ,7 2 ,…7 nの肉厚が厚いものとなっているので、それらのライナ7 1 ,7 2 ,…
    7 nが破壊することも軽減される。

    このような砲身1を形成するときには、あらかじめ嵌合面6 1 ,6 2 ,…6 nが形成された外筒2に、ライナ7 1 ,7 2
    …7 nを、その施条11が合致するようにして、外径の小さいものから順に圧入していけばよい。 その場合、それぞれの圧入長さは小さいので、その圧入作業は容易となる。

    また、使用中、ライナ7 1 ,7 2 ,…7 nのいずれかが損傷した場合には、その損傷したライナのみを交換すればよい。 ライナ7 1 ,7 2 ,…7 nは比較的短く着脱が容易であるので、その場合の交換作業も容易に行うことができる。

    第4,5図は本考案による砲身を滑空砲に適用した実施例を示すもので、第4図はその砲身の縦断面図であり、第5図はその砲身を砲尾側から見た背面図である。

    この砲身21の場合にも、砲身鋼からなる円筒状の外筒22
    の内面に、ライナ集合体23がはめ込まれている。 外筒22
    の後端部外周面には、砲身21を砲尾環に取り付けるためのねじ24が形成されている。

    外筒22の内面には、先端の小径部25と、その小径部25から砲尾側に向かって内径が段階的に大きくなる嵌合面26
    1 ,26 2 ,…26 nとが設けられている。

    一方、ライナ集合体23は、複数個の円筒状のセラミックス製ライナ27 1 ,27 2 ,…27 nによって形成されている。
    これらのライナ27 1 ,27 2 ,…27 nは、外径が外筒22の各嵌合面26 1 ,26 2 ,…26 nの内径に対応する大きさとされるとともに、その長さが各嵌合面26 1 ,26 2 ,…26 nの長さにそれぞれ等しいものとされている。 そして、これらのライナ27 1 ,27 2 ,…27 nが、その端面が互いに接触するようにして、対応する嵌合面26 1 ,26 2 ,…26 nにそれぞれ焼きばめされ、外筒22に一体的に固定されている。

    砲尾部に位置するライナ27 nの後端部内面には、比較的大径の薬室28が形成されている。 また、そのライナ27 n
    の薬室28より先端側の部分の内径は、薬室28の内径より小さい一定の大きさとされている。 そして、砲尾部のライナ27 nを除くライナ27 1 ,27 2 ,…27 n-1の内径は、砲尾部のライナ27 nの先端側部分の内径に等しい一定の大きさとされている。

    こうして、ライナ集合体23の内面には、薬室28の先端から最先端のライナ27 1の先端までの間に、砲弾29が移動する一定内径の砲腔30が形成されている。 この砲身21の場合には、その砲腔30の内面、すなわち砲腔内面31は滑らかな円筒面とされている。 その砲腔内面31の起端、すなわち砲腔起端31aは、薬室28の先端に一致するものとなっている。

    外筒22の先端小径部25の内径は、砲腔30の内径よりも大きく、最先端の嵌合面26 1の内径よりも小さいものとされている。 したがって、その小径部25と嵌合面26 1との間には段部32が形成されている。

    この砲身21に装填される砲弾29にも、その外面に導環33
    が取り付けられている。 この導環33は砲腔30の内径とほぼ等しい外径を有するもので、砲弾29の移動時、砲腔内面31と摺接するようになっている。 そして、砲身21から発射された後、砲弾29から外れるようになっている。 砲弾29の後部には翼が取り付けられており、空中において、空気流により砲弾29にスピンが与えられるようになっている。

    このように構成された砲身21においても、砲弾29を装填して、薬莢34内の推進薬を燃焼させると、薬室28内に高温高圧のガスが発生し、そのガス圧力によって砲弾29が発射される。 そして、そのガスは、砲弾29の発射とともに砲腔30内を吹き抜ける。 したがって、砲身21の内面全体が高温高圧の腐食性ガスにさらされることになるが、
    その砲身21の内面、すなわち砲腔内面31、砲腔起端31
    a、及び薬室28の内面はすべてセラミックスによって形成されているので、耐熱性、耐焼食性、及び耐摩耗性が高く、溶融摩耗や剥離摩耗等が生ずることはない。

    また、砲弾29の発射時には、その導環33の外周面が砲腔内面31を摺動することになるが、その砲腔内面31を形成するライナ27 1 ,27 2 ,…27 nは、外筒22の先端部に設けられている段部32及び隣接する嵌合面26 1 ,26 2 ,…26 n
    間の段部にそれぞれ係合しているので、それらのライナ
    27 1 ,27 2 ,…27 nが軸方向にずれるようなことはない。
    更に、砲腔30内に発生するガスの圧力は外筒22によっても支持されるので、ライナ27 1 ,27 2 ,…27 nが破損することも軽減される。

    そして、各ライナ27 1 ,27 2 ,…27 nは比較的短いものとなり、しかもそれらの外径がそれぞれ異なっているので、その圧入作業及び損傷したときの交換作業も容易となる。

    第6図は、本考案による砲身の更に異なる実施例を示す縦断面図である。 なお、この実施例において、砲身の基本的構造は上述した第1〜3図の実施例と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付すことにより、その説明は省略する。

    この実施例の場合には、ライナ37 1 ,37 2 ,…37 nとして、円筒状の金属材に、その内周面及び両端面にのみコーティングによりセラミックス層37aを形成した、金属とセラミックスとの複合材からなるライナを用いるようにしている。 施条11及び施条起端11aは、その内周面側のセラミックス層37aによって形成されている。 その他の構成は、第1〜3図のものと全く同様である。

    このように構成された砲身1においても、その内面をなす施条11、施条起端11a、及び薬室8の内面は、いずれもセラミックスによって形成されるので、第1〜3図の実施例と同様の効果を得ることができる。

    そして、この砲身1の場合には、外筒2にライナ37 1 ,3
    7 2 ,…37 nを焼きばめしたとき、それらが金属どうしで接触することになる。 したがって、その間の焼きばめ応力を十分に大きくすることができ、それによる自緊作用を働かせて、砲身1の強度の向上を図ることが可能となる。

    また、このように端面にもセラミックス層37aが設けられているライナ37 1 ,37 2 ,…37 nを用いることにより、
    隣接するライナ37 1 ,37 2 ,…37 nはそのセラミックス層3
    7aを介して互いに接触することになるので、ライナ3
    7 1 ,37 2 ,…37 n相互間の接触面に焼食や摩耗が生ずることも防止される。

    この第6図の実施例は、施条砲に適用した例を示すものであるが、同様に円筒状金属材の内周面及び両端面にセラミックスをコーティングした複合材からなるライナを、第4,5図のような滑空砲に用いることもできる。

    このような複合材からなるライナとしては、そのほか、
    第7図に示されているように、円筒状の金属材の内周面にのみセラミックス層47aをコーティングした複合材ライナ47や、第8図に示されているように、円筒状金属材の全表面にセラミックス層57aをコーティングした複合材ライナ57を用いることもできる。 そのような場合にも、施条砲であれば、その施条及び施条起端がセラミックス層47aあるいは57aによって形成されるようにする。

    このようなライナ47,57を用いた場合にも、上述の第1
    〜3図あるいは第4,5図で説明した実施例と同様の作用効果を得ることができる。 また、そのライナ47,57を外筒2,22に圧入したとき、その間に焼きばめ応力による自緊作用を働かせることもできる。 第7図に示されているようなライナ47とすれば、焼きばめ応力を十分大きくすることができるとともに、ライナを安価なものとすることができる。

    なお、上記実施例においては、いずれも、ライナを外筒の先端部から砲尾部までにわたって全体にはめ込むものとしているが、このライナを、特に焼食の著しい砲尾側の部分にのみ取り付けるようにすることもできる。

    また、上記実施例においては、各ライナの外径が個々には一定であるものとしているが、各ライナの外周面を、
    砲尾側に向かって径が拡大するテーパ面とすることもできる。 その場合には、それらのライナが嵌合される外筒の嵌合面も、それに対応するテーパ面とする。 そのようにすれば、ライナの圧入や交換作業がより容易となる。
    その場合、ライナのテーパを大きくしすぎると、ライナに加わる圧力によってライナが破損する恐れが生じる。
    実験の結果、そのテーパを3/1000程度とすれば、ライナの破損が防止され、その圧入及び引き抜きも容易となることが確認された。

    (考案の効果) 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、砲身の内面をセラミックスによって形成するようにしているので、砲弾の発射時に生ずる高温高圧の腐食性ガスによっても、砲腔内面や砲腔起端、施条、施条起端等に焼食や摩耗が生ずることはなくなる。 したがって、耐久性の高い砲身とすることができる。

    また、そのように高温高圧に耐え得るものとなるので、
    発射ガスをより高温高圧化することができ、砲弾の初速を一層高速化して、飛距離の増大を図ることも可能となる。

    更に、少なくとも内面がセラミックスによって形成された外径の異なる複数個のライナを用いるようにしているので、それらのライナを外筒にはめ込むことによって容易に砲身の内面にセラミックス層を形成することができるとともに、そのライナのはめ込み作業も容易に行うことができるようになる。

    【図面の簡単な説明】

    第1図は、本考案による砲身の、施条砲に適用した一実施例を示す縦断面図、 第2図は、その砲身を砲尾側から見た背面図、 第3図は、その砲身の砲尾部分の拡大縦断面図、 第4図は、本考案による砲身の、滑空砲に適用した他の実施例を示す縦断面図、 第5図は、第4図の砲身を砲尾側から見た背面図、 第6図は、本考案による砲身の更に異なる実施例を示す縦断面図、 第7図は、本考案による砲身に用いられるライナの他の例を示す縦断面図、 第8図は、本考案による砲身に用いられるライナの更に異なる例を示す縦断面図である。 1…砲身、2…外筒 3…ライナ集合体 6 1 〜6 n …嵌合面 7 1 〜7 n …ライナ 8…薬室、9…砲弾 11…施条、11a…施条起端 21…砲身、22…外筒 23…ライナ集合体 26 1 〜26 n …嵌合面 27 2 〜27 n …ライナ 28…薬室、29…砲弾 31…砲腔内面、31a…砲腔起端 37 1 〜37 n …ライナ 37a…セラミックス層 47…ライナ、47a…セラミックス層 57…ライナ、57a…セラミックス層

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 高杉 政彦 神奈川県相模原市淵野辺1丁目18番32号 防衛庁合同宿舎B―405 (72)考案者 小林 弘宣 広島県広島市安芸区船越南1丁目6番1号 株式会社日本製鋼所内 (72)考案者 若木 幸蔵 広島県広島市安芸区船越南1丁目6番1号 株式会社日本製鋼所内 (56)参考文献 特開 昭60−238475(JP,A) 特開 昭55−8520(JP,A) 実開 昭59−163797(JP,U)

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