Refrigerating system

申请号 JP24972199 申请日 1999-09-03 公开(公告)号 JP2001074322A 公开(公告)日 2001-03-23
申请人 Daikin Ind Ltd; ダイキン工業株式会社; 发明人 YOSHIMI MANABU; BOKU HARUSHIGE; SAKAMOTO RYUICHI; WATABE YUJI; YONEMOTO KAZUO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To achieve the miniaturization of an evaporator and the facilitation of extraction of cold out of the evaporator, in a refrigerating system utilizing the phase change of water.
SOLUTION: In a refrigerating system 10, an evaporator 11 and a condenser 15 are constituted of a vessel member. The inside of the vessel members is defined by permeable films 14, 18 into liquid side spaces 12, 16 and gas side spaces 13, 17. Both of the gas side spaces 13, 17 are maintained in a predetermined evacuated condition. Both of the liquid side spaces 12, 16 are maintained in an atmospheric pressure condition. When vapor, evaporated in the liquid side space 12 of the evaporator 11 is permeated through the permeable film 14 and is moved into the gas side space 13. The water vapor of the gas side space 13 is sucked by a compressor 21 and is sent into the gas side space 17 of the condenser 15. In the condenser 15, steam in the gas side space 17 is moved into the liquid side space 16 and is condensed.
COPYRIGHT: (C)2001,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 水蒸気を透過する透湿膜(14)によって液側空間(12)とガス側空間(13)とに内部が区画された容器部材(55)から成り、水又は水溶液である熱媒体が上記液側空間(12)に満たされた蒸発器(11)と、 上記蒸発器(11)の液側空間(12)の熱媒体から蒸発してガス側空間(13)へ移動した水蒸気を該ガス側空間(13)から排出し、該ガス側空間(13)を所定の減圧状態に維持する排気手段(20)とを備え、 上記蒸発器(11)で熱媒体の水分を蒸発させて該熱媒体を冷却する冷凍装置。
  • 【請求項2】 請求項1記載の冷凍装置において、 容器部材(55)から成り、排気手段(20)によって蒸発器(11)から排出された水蒸気がガス側空間(17)に導入され、該水蒸気をガス側空間(17)から液側空間(1
    6)に満たされた熱媒体へ移動させるように構成された凝縮器(15)を備えている冷凍装置。
  • 【請求項3】 水又は水溶液である熱媒体が内部に貯留する蒸発器(11)と、 上記蒸発器(11)の内部で熱媒体から蒸発した水蒸気を排出して該蒸発器(11)を所定の減圧状態に維持する排気手段(20)と、 水蒸気を透過する透湿膜(14)によって液側空間(12)
    とガス側空間(13)とに内部が区画された容器部材(5
    5)から成り、上記排気手段(20)によりガス側空間(1
    7)へ導入された水蒸気を液側空間(16)に満たされた熱媒体へ移動させるように構成された凝縮器(15)とを備えている冷凍装置。
  • 【請求項4】 請求項2又は3記載の冷凍装置において、 凝縮器(15)における水蒸気からの放熱を利用して熱媒体を加熱するヒートポンプ動作を行うように構成されている冷凍装置。
  • 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか1記載の冷凍装置において、 排気手段(20)は、蒸発器(11)から吸引した水蒸気を圧縮して凝縮器(15)へ送り込む圧縮機(21)により構成されている冷凍装置。
  • 【請求項6】 請求項1乃至4の何れか1記載の冷凍装置において、 排気手段(20)は、吸湿と放湿とを行う吸収媒体を備え、蒸発器(11)の水蒸気を吸収媒体に吸湿させ、且つ該吸収媒体から放湿させた水蒸気を凝縮器(15)へ送り込むように構成されている冷凍装置。
  • 【請求項7】 請求項1乃至4の何れか1記載の冷凍装置において、 排気手段(20)は、加熱により水蒸気を発生させる水蒸気発生手段(115)と、該水蒸気発生手段(115)で発生した水蒸気の噴流によって蒸発器(11)から水蒸気を排出するエゼクタ(110)とより構成されている冷凍装置。
  • 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか1記載の冷凍装置において、 容器部材(55)は、透湿膜(14,18)から成る透湿チューブ(60)が内部に多数収納され、上記透湿チューブ(60)の内部が液側空間(12,16)に構成され、且つ透湿チューブ(60)の外部がガス側空間(13,17)に構成されている冷凍装置。
  • 【請求項9】 請求項1乃至8の何れか1記載の冷凍装置において、 容器部材(55)の透湿膜(14,18)は、ガス側空間(13,
    17)に臨む表面が多孔膜(61)により覆われている冷凍装置。
  • 【請求項10】 請求項1乃至9の何れか1記載の冷凍装置において、 容器部材(55)の透湿膜(14,18)は、撥水性を有している冷凍装置。
  • 【請求項11】 請求項1乃至10の何れか1記載の冷凍装置において、 蒸発器(11)は、熱媒体を冷却してスラリー状の氷化物を生成するように構成されている冷凍装置。
  • 【請求項12】 請求項11記載の冷凍装置において、 蓄熱槽(67)を備え、蒸発器(11)で生成された氷化物を上記蓄熱槽(67)に貯留する蓄熱動作を行うように構成されている冷凍装置。
  • 【請求項13】 請求項2乃至10の何れか1記載の冷凍装置において、 蓄熱槽(67)を備え、蒸発器(11)で冷却された熱媒体を上記蓄熱槽(67)に蓄える蓄熱動作と、蒸発器(11)
    において熱媒体を冷却し、且つ上記蓄熱動作により蓄熱槽(67)に蓄えられた熱媒体を凝縮器(15)に供給して水蒸気を凝縮させる利用動作とを行うように構成されている冷凍装置。
  • 【請求項14】 請求項1乃至10の何れか1記載の冷凍装置において、 蒸発器(11)に対して該蒸発器(11)との間で熱媒体が循環可能に接続された蓄熱槽(67)と、上記蒸発器(1
    1)から熱媒体が供給される利用手段(32)とを備え、 上記蒸発器(11)で冷却された熱媒体を上記蓄熱槽(6
    7)に蓄える蓄熱動作と、上記蓄熱動作により蓄熱槽(6
    7)に蓄えられた熱媒体を蒸発器(11)に供給し、該熱媒体を冷却して生成したスラリー状の氷化物を上記利用手段(32)へ供給する利用動作とを行うように構成されている冷凍装置。
  • 【請求項15】 請求項2乃至10の何れか1記載の冷凍装置において、 熱媒体を冷却対象物と熱交換させる利用側熱交換器(3
    2)と、熱媒体を冷却する冷却塔(90)とを備え、 上記冷却塔(90)と凝縮器(15)との間で熱媒体を循環させ、且つ上記利用側熱交換器(32)と蒸発器(11)との間で熱媒体を循環させて排気手段(20)を運転する第1冷却動作と、上記冷却塔(90)と利用側熱交換器(3
    2)との間で熱媒体を循環させて排気手段(20)を停止する第2冷却動作とを行うように構成されている冷凍装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、の蒸発による冷却又は水蒸気の凝縮による加熱を行う冷凍装置に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】従来より、特開平6−257890号公報に開示されているように、水の蒸発及び凝縮を利用して冷房と暖房を行うヒートポンプが知られている。

    【0003】冷房時において、上記ヒートポンプは、減圧状態(例えば、4〜5mmHg程度)に保持された真空容器内に給水し、真空容器内に貯留する水が自己蒸発することによって冷水を生成する。 生成した冷水は、ポンプによって大気圧にまで昇圧されて真空容器から取り出され、冷房に利用される。

    【0004】また、暖房時において、上記ヒートポンプは、熱源水と熱交換させた水を真空容器に供給して蒸発させる。 真空容器の水蒸気は、圧縮機により圧縮されて凝縮器に送られる。 尚、水蒸気の圧は、圧縮後においても大気圧よりも低い。 一方、凝縮器の流通路には、水を流通させる。 そして、流通路内部の水と流通路外部の水蒸気とを熱交換させ、水蒸気の凝縮熱により流通路内の水を加熱する。 生成した温水は、暖房に利用される。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】ここで、単に給水されて真空容器内に貯留する水を蒸発させるのみでは、水の蒸発は、真空容器内における水面でしか行われない。 このため、真空容器内での蒸発を促進するには、真空容器を大型化して水面を拡大する必要がある。 しかしながら、真空容器には高い耐圧性が求められるため、これを大型化するのは製造コスト等の面から極めて不利である。 この問題に対し、上記ヒートポンプでは真空容器内に水を散布して蒸発の促進を図っているが、乱れによって水面が拡大されるに過ぎず、蒸発の促進は不充分である。

    【0006】また、上記ヒートポンプでは、生成した冷熱を利用するため、真空容器内の冷水をポンプで昇圧して取り出している。 しかしながら、上述のように真空容器内は極めて低圧であるため、低圧状態の真空容器から冷水を吸引すると、ポンプ内部でのキャビテーションが発生しやすくなる。 このため、キャビテーションによってポンプが損傷し、信頼性の低下を招くという問題があった。

    【0007】この問題に対しては、真空容器内に伝熱管等を設けて管内に水を流し、管外の冷水によって管内の水を冷却して冷熱を取り出すことも考えられる。 しかしながら、現実には管内の水を管外の冷水と同じ温度にまで冷却するのは困難で、冷熱を充分に取り出すことができないという問題があった。

    【0008】更に、上記の問題は、凝縮器において温熱の取り出しを行う際にも生じる。 つまり、上記ヒートポンプのように、凝縮器に流通路を設けて流通路外部の水蒸気により流通路内部の水を加熱する場合、熱交換の際のロスによって温熱を充分に取り出すことができないという問題があった。

    【0009】一方、従来より液体である水は透過させないが気体である水蒸気は透過可能な透湿膜が知られているが、この種の透湿膜を上記凝縮器に利用したものは見あたらず、この透湿膜を利用した新たな装置の出現が望まれていた。

    【0010】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水の相変化を利用する冷凍装置において、減圧下で水を蒸発させる蒸発器の小型化を図ると共に、蒸発器からの冷熱の取り出しを容易にして信頼性の向上を図り、併せて凝縮器に透湿膜を適用することにある。

    【0011】

    【課題を解決するための手段】−解決手段− 本発明が講じた第1の解決手段は、蒸発器(11)で熱媒体の水分を蒸発させて該熱媒体を冷却する冷凍装置を対象とする。 そして、水蒸気を透過する透湿膜(14)によって液側空間(12)とガス側空間(13)とに内部が区画された容器部材(55)から成り、水又は水溶液である熱媒体が上記液側空間(12)に満たされた蒸発器(11)
    と、上記蒸発器(11)の液側空間(12)の熱媒体から蒸発してガス側空間(13)へ移動した水蒸気を該ガス側空間(13)から排出し、該ガス側空間(13)を所定の減圧状態に維持する排気手段(20)とを設けるものである。

    【0012】本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、容器部材(55)から成り、排気手段(20)によって蒸発器(11)から排出された水蒸気がガス側空間(17)に導入され、該水蒸気をガス側空間(17)から液側空間(16)に満たされた熱媒体へ移動させるように構成された凝縮器(15)を設けるものである。

    【0013】本発明が講じた第3の解決手段は、冷凍装置を対象とし、水又は水溶液である熱媒体が内部に貯留する蒸発器(11)と、上記蒸発器(11)の内部で熱媒体から蒸発した水蒸気を排出して該蒸発器(11)を所定の減圧状態に維持する排気手段(20)と、水蒸気を透過する透湿膜(14)によって液側空間(12)とガス側空間(13)とに内部が区画された容器部材(55)から成り、
    上記排気手段(20)によりガス側空間(17)へ導入された水蒸気を液側空間(16)に満たされた熱媒体へ移動させるように構成された凝縮器(15)とを設けるものである。

    【0014】本発明が講じた第4の解決手段は、上記第2又は第3の解決手段において、凝縮器(15)における水蒸気からの放熱を利用して熱媒体を加熱するヒートポンプ動作を行うように構成するものである。

    【0015】本発明が講じた第5の解決手段は、上記第1〜第4の何れか1の解決手段において、排気手段(2
    0)は、蒸発器(11)から吸引した水蒸気を圧縮して凝縮器(15)へ送り込む圧縮機(21)により構成されるものである。

    【0016】本発明が講じた第6の解決手段は、上記第1〜第4の何れか1の解決手段において、排気手段(2
    0)は、吸湿と放湿とを行う吸収媒体を備え、蒸発器(1
    1)の水蒸気を吸収媒体に吸湿させ、且つ該吸収媒体から放湿させた水蒸気を凝縮器(15)へ送り込むように構成されるものである。

    【0017】本発明が講じた第7の解決手段は、上記第1〜第4の何れか1の解決手段において、排気手段(2
    0)は、加熱により水蒸気を発生させる水蒸気発生手段(115)と、該水蒸気発生手段(115)で発生した水蒸気の噴流によって蒸発器(11)から水蒸気を排出するエゼクタ(110)とより構成されるものである。

    【0018】本発明が講じた第8の解決手段は、上記第1〜第7の何れか1の解決手段において、容器部材(5
    5)は、透湿膜(14,18)から成る透湿チューブ(60)が内部に多数収納され、上記透湿チューブ(60)の内部が液側空間(12,16)に構成され、且つ透湿チューブ(6
    0)の外部がガス側空間(13,17)に構成されるものである。

    【0019】本発明が講じた第9の解決手段は、上記第1〜第8の何れか1の解決手段において、容器部材(5
    5)の透湿膜(14,18)は、ガス側空間(13,17)に臨む表面が多孔膜(61)により覆われるものである。

    【0020】本発明が講じた第10の解決手段は、上記第1〜第9の何れか1の解決手段において、容器部材(55)の透湿膜(14,18)は、撥水性を有するものである。

    【0021】本発明が講じた第11の解決手段は、上記第1〜第10の何れか1の解決手段において、蒸発器(11)は、熱媒体を冷却してスラリー状の氷化物を生成するように構成されるものである。

    【0022】本発明が講じた第12の解決手段は、上記第11の解決手段において、蓄熱槽(67)を備え、蒸発器(11)で生成された氷化物を上記蓄熱槽(67)に貯留する蓄熱動作を行うように構成されるものである。

    【0023】本発明が講じた第13の解決手段は、上記第2〜第10の何れか1の解決手段において、蓄熱槽(67)を備え、蒸発器(11)で冷却された熱媒体を上記蓄熱槽(67)に蓄える蓄熱動作と、蒸発器(11)において熱媒体を冷却し、且つ上記蓄熱動作により蓄熱槽(6
    7)に蓄えられた熱媒体を凝縮器(15)に供給して水蒸気を凝縮させる利用動作とを行うように構成されるものである。

    【0024】本発明が講じた第14の解決手段は、上記第1〜第10の何れか1の解決手段において、蒸発器(11)に対して該蒸発器(11)との間で熱媒体が循環可能に接続された蓄熱槽(67)と、上記蒸発器(11)から熱媒体が供給される利用手段(32)とを備え、上記蒸発器(11)で冷却された熱媒体を上記蓄熱槽(67)に蓄える蓄熱動作と、上記蓄熱動作により蓄熱槽(67)に蓄えられた熱媒体を蒸発器(11)に供給し、該熱媒体を冷却して生成したスラリー状の氷化物を上記利用手段(32)
    へ供給する利用動作とを行うように構成されるものである。

    【0025】本発明が講じた第15の解決手段は、上記第2〜第10の何れか1の解決手段において、熱媒体を冷却対象物と熱交換させる利用側熱交換器(32)と、熱媒体を冷却する冷却塔(90)とを備え、上記冷却塔(9
    0)と凝縮器(15)との間で熱媒体を循環させ、且つ上記利用側熱交換器(32)と蒸発器(11)との間で熱媒体を循環させて排気手段(20)を運転する第1冷却動作と、上記冷却塔(90)と利用側熱交換器(32)との間で熱媒体を循環させて排気手段(20)を停止する第2冷却動作とを行うように構成されるものである。

    【0026】−作用− 上記第1の解決手段では、蒸発器(11)が容器部材(5
    5)により構成される。 蒸発器(11)である容器部材(5
    5)の液側空間(12)は、熱媒体で満たされている。 ガス側空間(13)は、排気手段(20)によって大気圧以下の所定圧力に維持される。 つまり、蒸発器(11)では、
    ガス側空間(13)だけが減圧され、液側空間(12)は大気圧とされる。 液側空間(12)の熱媒体からは水分が蒸発し、水蒸気が透湿膜(14)を通ってガス側空間(13)
    へ移動する。 ガス側空間(13)の水蒸気は排気手段(2
    0)によって排気され、ガス側空間(13)の圧力が維持される。 一方、液側空間(12)の熱媒体は、蒸発潜熱を奪われて冷却される。 そして、冷却された熱媒体を液側空間(12)から取り出すことによって、冷熱が取り出される。

    【0027】上記第2の解決手段では、凝縮器(15)が設けられる。 この凝縮器(15)は、排出手段が蒸発器(11)から排出した水蒸気を凝縮させる。 凝縮器(15)
    は、容器部材(55)により構成される。 凝縮器(15)である容器部材(55)のガス側空間(17)には、排出手段からの水蒸気が送り込まれる。 この水蒸気は、透湿膜(18)を通って液側空間(16)へ移動し、液側空間(1
    6)に満たされた熱媒体と接触して凝縮する。

    【0028】上記第3の解決手段では、蒸発器(11)の内部が減圧状態とされ、蒸発器(11)に貯留する熱媒体から水分が蒸発する。 また、凝縮器(15)は、容器部材(55)により構成される。 蒸発器(11)の水蒸気は、排出手段によって凝縮器(15)である容器部材(55)のガス側空間(17)に送り込まれる。 ガス側空間(17)の水蒸気は、透湿膜(18)を通って液側空間(16)へ移動し、液側空間(16)に満たされた熱媒体と接触して凝縮する。

    【0029】上記第4の解決手段では、ヒートポンプ動作が行われる。 つまり、凝縮器(15)において水蒸気が凝縮する際には、水蒸気が凝縮熱を放熱する。 そして、
    水蒸気から放熱された凝縮熱を利用して、熱媒体を加熱する。

    【0030】上記第5の解決手段では、排気手段(20)
    が圧縮機(21)により構成される。 蒸発器(11)の水蒸気は圧縮機(21)に吸引され、蒸発器(11)の内部が所定の圧力に維持される。 圧縮機(21)は、吸引した水蒸気を圧縮してから凝縮器(15)に送り込む。

    【0031】上記第6の解決手段では、排気手段(20)
    に吸収媒体が設けられる。 排出手段は、吸収媒体に水蒸気を吸湿させることによって、蒸発器(11)から水蒸気を吸引する。 これによって、蒸発器(11)の内部が所定の圧力に維持される。 また、排出手段は、吸収媒体から放湿させた水蒸気を凝縮器(15)に送り込む。 つまり、
    蒸発器(11)から排出された水蒸気は、吸収媒体を介して凝縮器(15)に送り込まれる。

    【0032】上記第7の解決手段では、排気手段(20)
    が水蒸気発生手段(115)とエゼクタ(110)で構成される。 水蒸気発生手段(115)で発生した比較的高圧の水蒸気は、エゼクタ(110)に送り込まれて高速で噴射される。 そして、エゼクタ(110)で生じる高速の水蒸気の噴流によって、蒸発器(11)の水蒸気がエゼクタ(11
    0)に吸引されて排出される。

    【0033】上記第8の解決手段では、多数の透湿チューブ(60)によって容器部材(55)の内部が液側空間(12,16)とガス側空間(13,17)とに区画される。 また、各透湿チューブ(60)の内部が液側空間(12,16)
    とされ、その外部がガス側空間(13,17)とされる。 このため、多数の透湿チューブ(60)の表面が、全て気液界面となって該表面から熱媒体の水分が蒸発する。

    【0034】上記第9の解決手段では、透湿膜(14,1
    8)の一方の表面が多孔膜(61)により覆われる。 例えば、容器部材(55)を蒸発器(11)として用いた場合、
    液側空間(12)の熱媒体から蒸発した水蒸気は、透湿膜(14)を透過してから更に多孔膜(61)の細孔を通ってガス側空間(13)へ移動する。

    【0035】ここで、容器部材(55)における液側空間(12,16)とガス側空間(13,17)とには圧力差があるため、透湿膜(14,18)には圧力差に見合った強度が要求される。 これに対し、本解決手段では、透湿膜(14,1
    8)と多孔膜(61)との二層構造としている。 このため、水蒸気を充分に透過させると同時に、液側空間(1
    2,16)とガス側空間(13,17)の圧力差に対応した強度が確保される。

    【0036】上記第10の解決手段では、透湿膜(14,1
    8)が撥水性を有するように構成される。 つまり、透湿膜(14,18)の表面で水がはじかれる。 従って、蒸発により熱媒体を冷却して氷化物を生成するような場合であっても、透湿膜(14)の表面に氷化物が付着することはない。

    【0037】上記第11の解決手段では、蒸発器(11)
    での水分の蒸発によって熱媒体を冷却し、氷化物を生成する。

    【0038】上記第12の解決手段では、蒸発器(11)
    で生成した氷化物を蓄熱槽(67)に貯留することによって、蓄熱槽(67)に冷熱が蓄えられる。

    【0039】上記第13の解決手段では、蒸発器(11)
    で冷却された熱媒体を蓄熱槽(67)に貯留して冷熱を蓄える。 利用動作時には、蒸発器(11)で水分を蒸発させて冷熱を生成する一方、蓄熱動作で蓄熱槽(67)に貯留された熱媒体を凝縮器(15)に供給する。 つまり、凝縮器(15)において水蒸気の凝縮を行うために蓄熱槽(6
    7)に蓄えた冷熱を利用する。

    【0040】上記第14の解決手段では、蒸発器(11)
    で冷却された熱媒体を蓄熱槽(67)に貯留して冷熱を蓄える。 利用動作時には、蓄熱動作で蓄熱槽(67)に貯留された熱媒体を蒸発器(11)へ供給し、更に冷却してスラリー状の氷化物を生成する。 生成したスラリー状の氷化物は、利用手段(32)へ供給されて冷却対象物の冷却等に利用される。 つまり、スラリー状の氷化物を蓄熱槽(67)に貯留しておくと、氷化物の粒子同士が固まってスラリー状に流動させることができなくなる。 これに対し、利用動作時に氷化物を生成することによって、流動可能なスラリー状の氷化物を利用することができる。

    【0041】上記第15の解決手段では、第1冷却動作と第2冷却動作とが行われる。 第1冷却動作は、冷却負荷の大きい場合に行われ、蒸発器(11)で冷却された比較的低温の熱媒体を利用側熱交換器(32)へ送り、冷却対象物を冷却する。 一方、第2冷却動作は、冷却負荷の小さい場合に行われ、冷却塔(90)のみで冷却した熱媒体を利用側熱交換器(32)へ送り、冷却対象物を冷却する。

    【0042】

    【発明の効果】上記第1の解決手段では、蒸発器(11)
    が容器部材(55)により構成される。 従って、蒸発器(11)においてガス側空間(13)のみが減圧されて液側空間(12)は大気圧状態であることから、液側空間(1
    2)から冷却された熱媒体を容易に取り出すことができる。 つまり、従来のものでは減圧状態の熱媒体を昇圧して取り出す必要があるのに対し、本解決手段では大気圧状態の熱媒体を蒸発器(11)から取り出せばよい。 このため、冷熱を取り出すために熱媒体を昇圧する構成は不要となり、装置を簡略化することができる。 また、熱媒体に搬送力を付与するためにポンプ等を用いる場合であっても、従来のようなキャビテーションに対する特別の配慮は不要となる。

    【0043】また、蒸発器(11)を容器部材(55)で構成しており、蒸発器(11)における気液界面は透湿膜(14)によって形成される。 このため、透湿膜(14)の形状を変更することによって、気液界面の形状を任意に設定することが可能となる。 そして、例えば透湿膜(1
    4)を蛇腹状に設定する等によって、気液界面の面積を容易に拡大することができる。 従って、蒸発器(11)を小型に維持しつつ気液界面を拡大することができ、熱媒体からの水分の蒸発を促進することが可能となる。

    【0044】上記第2〜第4の解決手段では、凝縮器(15)を容器部材(55)により構成している。 従って、
    透湿膜(18)を通じてガス側空間(17)の水蒸気を液側空間(16)へ移動でき、該水蒸気を液側空間(16)の熱媒体との直接接触により凝縮させることができる。 このため、従来のように水と水蒸気とを間接的に接触させて熱交換を行うのに比べ、熱交換によるロスを低減して効率の向上を図ることができる。 特に、第4の解決手段では、凝縮熱を利用したヒートポンプ動作が可能となる。

    【0045】上記第8の解決手段では、透湿チューブ(60)で液側空間(12,16)とガス側空間(13,17)とを区画している。 このため、容器部材(55)を蒸発器(1
    1)として用いた場合、蒸発器(11)を大型化させずに蒸発器(11)での気液界面の面積を大幅に拡大することができる。 この結果、熱媒体からの水分の蒸発を充分に促進することができ、蒸発器(11)を小型に維持しつつ充分な冷却能力を得ることができる。 また、容器部材(55)を凝縮器(15)として用いた場合も、凝縮の促進によって凝縮器(15)の小型化が図られる。

    【0046】上記第9の解決手段によれば、透湿膜(1
    4,18)と多孔膜(61)の二層構造とすることによって強度を確保することができる。 このため、透湿膜(14,1
    8)の破損によるトラブルを未然に防止でき、信頼性を向上させることができる。

    【0047】上記第10の解決手段によれば、撥水性の透湿膜(14,18)を用いることによって、特に氷化物を生成する蒸発器(11)として好適な容器部材(55)を構成することができる。 つまり、氷化物が透湿膜(14)に付着すると水蒸気の透過を阻害することとなるが、本解決手段によれば透湿膜(14)への氷化物の付着を防止できるため、熱媒体からの水分の蒸発を十分に確保することが可能となる。

    【0048】上記第11〜第15の解決手段によれば、
    氷化物の生成や蓄熱等の様々な運転を行うことができる。 特に、第15の解決手段によれば、冷却負荷が変動する場合であっても、蒸発器(11)での冷却と冷却塔(90)での冷却とを使い分けて、冷却負荷に見合った最適な運転を行うことができる。

    【0049】

    【発明の実施の形態1】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

    【0050】図1に示すように、本実施形態は、冷凍装置(10)によって生成した冷水を用いて冷房を行う空調機である。

    【0051】上記冷凍装置(10)は、蒸発器(11)と、
    凝縮器(15)と、排気手段(20)である圧縮機(21)とより構成されている。 蒸発器(11)及び凝縮器(15)
    は、共に容器部材(55)により構成されている。 容器部材(55)は中空容器状の本体部(56)を備え、該本体部(56)の内部は透湿膜(14,18)によって液側空間(12,
    16)とガス側空間(13,17)とに区画されている。 容器部材(55)の詳細については、後述する。

    【0052】上記圧縮機(21)の吸入側は、蒸発器(1
    1)のガス側空間(13)に接続されている。 また、圧縮機(21)の吐出側は、凝縮器(15)のガス側空間(17)
    に接続されている。 この圧縮機(21)は、蒸発器(11)
    のガス側空間(13)から水蒸気を吸入し、該水蒸気を圧縮して凝縮器(15)のガス側空間(17)へ送り込むように構成されている。

    【0053】上記蒸発器(11)の液側空間(12)は、熱媒体である熱媒水で満たされている。 従って、透湿膜(14)の液側空間(12)に臨む表面は、熱媒水と接触している。 蒸発器(11)では、ガス側空間(13)が減圧状態(例えば4mmHg程度)に保持され、液側空間(12)が大気圧状態とされている。 蒸発器(11)は、液側空間(12)の熱媒水の一部を蒸発させて残りの熱媒水を冷却する一方、生じた水蒸気をガス側空間(13)へ移動させるように構成されている。 つまり、透湿膜(14)を透過して水蒸気がガス側空間(13)へ移動する。

    【0054】上記蒸発器(11)の液側空間(12)には、
    利用側回路(30)が接続されている。 この利用側回路(30)は、循環ポンプ(31)と利用側熱交換器(32)とを備え、熱媒水を循環させるように構成されている。 循環ポンプ(31)は、吸入側が蒸発器(11)の液側空間(12)に接続され、吐出側が利用側熱交換器(32)の一端に接続されている。 利用側熱交換器(32)の他端は、
    蒸発器(11)の液側空間(12)に接続されている。 そして、蒸発器(11)の液側空間(12)で冷却された熱媒水を利用側熱交換器(32)へ送り込み、室内空気と熱交換させて該室内空気を冷却する。 また、上記利用側回路(30)には、利用側回路(30)と蒸発器(11)との間に給水管(33)が接続されている。 給水管(33)は、蒸発器(11)での蒸発分を補うため、水道水を利用側回路(30)に供給する。

    【0055】上記凝縮器(15)の液側空間(16)は、熱媒体である冷却水で満たされている。 従って、透湿膜(18)の液側空間(16)に臨む表面は、冷却水と接触している。 凝縮器(15)では、ガス側空間(17)が減圧状態(例えば20mmHg程度)に保持され、液側空間(16)
    が大気圧状態とされている。 凝縮器(15)のガス側空間(17)は、蒸発器(11)の液側空間(12)よりも高圧状態となっている。 凝縮器(15)は、圧縮機(21)によってガス側空間(17)に送り込まれた水蒸気を液側空間(16)へ移動させ、該水蒸気を液側空間(16)の冷却水と接触させて凝縮させるように構成されている。 つまり、透湿膜を透過して水蒸気が液側空間(16)へ移動する。

    【0056】上記蒸発器(11)の液側空間(12)には、
    排熱側回路(35)が接続されている。 この排熱側回路(35)は、循環ポンプ(36)と冷却塔(37)とを備え、
    冷却水を循環させるように構成されている。 循環ポンプ(36)は、吸入側が凝縮器(15)の液側空間(16)に接続され、吐出側が冷却塔(37)の一端に接続されている。 冷却塔(37)の他端は、凝縮器(15)の液側空間(16)に接続されている。 そして、凝縮器(15)の液側空間(16)で水蒸気の凝縮により加熱された冷却水を冷却塔(37)へ送り、冷却して再び上記液側空間(16)へ送り込む。 上記冷却塔(37)としては、一般的なものが用いられる。 従って、冷却塔(37)では、冷却水の一部が蒸発して残りの冷却水が冷却され、蒸発した水分は外気中へ放出される。

    【0057】次に、上記容器部材(55)の構成について、図2を参照しながら説明する。 尚、図2は、蒸発器(11)としての容器部材(55)を示している。

    【0058】容器部材(55)の本体部(56)は、横長の中空円筒状に形成されている。 本体部(56)には、一端に入口ヘッダ(57)が設けられ、他端に出口ヘッダ(5
    8)が設けられている。 本体部(56)には、透湿膜(14,
    18)から成る多数の透湿チューブ(60)が収納されている。 各透湿チューブ(60)は、一端側で入口ヘッダ(5
    7)に開口し、且つ他端側で出口ヘッダ(58)に開口しており、その軸方向が本体部(56)の長手方向に一致する姿勢で配置されている。 本体部(56)の内部は、透湿チューブ(60)によって液側空間(12,16)とガス側空間(13,17)とに区画されている。 つまり、本体部(5
    6)内において、透湿チューブ(60)の内部が液側空間(12,16)となり、透湿チューブ(60)の外側がガス側空間(13,17)となっている。

    【0059】上記容器部材(55)を蒸発器(11)とする場合、入口ヘッダ(57)及び出口ヘッダ(58)に利用側回路(30)が接続される。 具体的に、出口ヘッダ(58)
    は循環ポンプ(31)の吸入側と接続され、入口ヘッダ(57)は、利用側熱交換器(32)の出口端と接続される。 一方、容器部材(55)を凝縮器(15)とする場合、
    入口ヘッダ(57)及び出口ヘッダ(58)に排熱側回路(35)が接続される。 具体的に、出口ヘッダ(58)は循環ポンプ(36)の吸入側と接続され、入口ヘッダ(57)
    は、冷却塔(37)の出口端と接続される。

    【0060】また、図3に示すように、上記透湿チューブ(60)は、透湿膜(14,18)と多孔膜(61)の二層構造となっている。 つまり、チューブ状に形成した透湿膜(14,18)の外側を多孔膜(61)で覆っている。 透湿膜(14,18)は、膜内への気体分子の拡散により水蒸気を透過させる、いわゆる気体分子拡散型の透湿膜に構成されている。 具体例を示すと、フッ素樹脂やポリイミド樹脂により透湿膜(14,18)が構成されている。 多孔膜(6
    1)には、水蒸気が通過可能な小孔が多数形成されている。 そして、多孔膜(61)は、透湿性を損なうことなく透湿膜(14,18)を補強し、透湿チューブ(60)の耐圧性を向上させている。

    【0061】−運転動作− 蒸発器(11)の液側空間(12)では、熱媒水の一部が蒸発して残りの熱媒水から蒸発潜熱を奪い、残りの熱媒水が冷却される。 冷却された熱媒水は、利用側回路(30)
    の循環ポンプ(31)によって利用側熱交換器(32)へ送られる。 利用側熱交換器(32)では、送られた熱媒水と室内空気とを熱交換させて室内空気を冷却する。 その後、熱媒水は、利用側熱交換器(32)から上記液側空間(12)に送られて再び冷却され、この循環を繰り返す。
    その間、給水管(33)から水道水を利用側回路(30)へ供給し、蒸発器(11)での熱媒水の蒸発による熱媒水量の減少を補う。

    【0062】蒸発器(11)の液側空間(12)での蒸発により生じた水蒸気は、透湿チューブ(60)の透過膜1を透過してガス側空間(13)へ移動する。 ガス側空間(1
    3)へ移動した水蒸気は、圧縮機(21)に吸引されてガス側空間(13)から排出される。 従って、ガス側空間(13)の圧力は、所定値に保持される。 圧縮機(21)に吸入された水蒸気は、圧縮された後に凝縮器(15)に送られる。

    【0063】凝縮器(15)のガス側空間(17)には、圧縮機(21)によって水蒸気が送り込まれる。 ガス側空間(17)の水蒸気は、透湿チューブ(60)の透過膜2を透過して液側空間(16)へ移動する。 液側空間(16)では、透湿膜(18)を透過した水蒸気が冷却水と接触して凝縮する。 液側空間(16)の冷却水は、水蒸気の凝縮熱を吸熱して温度上昇する。 温度上昇した冷却水は、排熱側回路(35)の循環ポンプ(36)によって冷却塔(37)
    に送られ、冷却された後に再び上記液側空間(16)に供給され、この循環を繰り返す。

    【0064】−実施形態1の効果− 本実施形態1では、蒸発器(11)が容器部材(55)により構成される。 従って、蒸発器(11)においてガス側空間(13)のみが減圧されて液側空間(12)は大気圧状態であることから、液側空間(12)から冷却された熱媒水を容易に取り出すことができる。 つまり、従来のものでは減圧状態の熱媒水を昇圧して取り出す必要があるのに対し、本解決手段では大気圧状態の熱媒水を蒸発器(1
    1)の液側空間(12)から取り出せばよい。 従って、利用側回路(30)の循環ポンプ(31)は、大気圧状態の液側空間(12)から熱媒水を吸引すればよい。 このため循環ポンプ(31)におけるキャビテーションの発生を回避することができ、信頼性の向上を図ることができる。

    【0065】また、容器部材(55)の液側空間(12,1
    6)とガス側空間(13,17)とを透湿チューブ(60)によって区画し、この容器部材(55)によって蒸発器(11)
    及び凝縮器(15)を容器部材(55)を構成している。 従って、蒸発器(11)及び凝縮器(15)における気液界面を拡大することができ、蒸発器(11)における熱媒水からの蒸発と凝縮器(15)における冷却水への凝縮とを促進することができる。 このため、蒸発器(11)及び凝縮器(15)を小型に維持しつつ、充分な性能を確保することができる。

    【0066】また、透湿チューブ(60)を透湿膜(14,1
    8)と多孔膜(61)の二層構造としているため、透湿チューブ(60)の耐圧強度を確保することができる。 このため、透湿チューブ(60)の破損によるトラブルを未然に防止でき、信頼性を向上させることができる。

    【0067】−実施形態1の変形例− 上記実施形態1では、凝縮器(15)に排熱側回路(35)
    を接続し、排熱側回路(35)を循環する冷却水によって水蒸気の凝縮熱を処理しているが、これに代えて、河川水や海水を利用して水蒸気の凝縮熱を処理するようにしてもよい。 つまり、河川水や海水を取り込んで凝縮器(15)の液側空間(16)へ導入して凝縮熱を吸熱させ、
    吸熱後に再び河川や海に戻す。 ここでは、金属製の伝熱管ではなく、樹脂製の透湿膜を凝縮器(15)に用いている。 このため、伝熱管等の腐蝕の問題を回避しつつ河川水や海水を利用することができる。

    【0068】

    【発明の実施の形態2】本発明の実施形態2は、上記実施形態1において、排気手段(20)の構成を変更するものである。 以下、実施形態1と異なる構成について、図4を参照しながら説明する。 尚、図4では、排熱側回路(35)の一部のみを図示している。

    【0069】本実施形態2の排気手段(20)は、吸収側回路(40)により構成されている。 吸収側回路(40)
    は、吸収器(41)と、溶液ポンプ(49)と、再生器(4
    5)とを順に配管接続して構成されている。 吸収回路では、溶液ポンプ(49)によって吸収溶液が循環する。 吸収溶液としては、臭化リチウム水溶液や塩化リチウム水溶液が例示される。 また、吸収側回路(40)には溶液熱交換器(50)が設けられ、吸収器(41)から再生器(4
    5)へ送られる吸収溶液と再生器(45)から吸収器(4
    1)へ送られる吸収溶液とを熱交換させる。 一方、吸収器(41)及び再生器(45)は、蒸発器(11)及び凝縮器(15)と同様に、容器部材(55)により構成されている。

    【0070】上記吸収器(41)の液側空間(42)は、吸収側回路(40)が接続されて吸収溶液によって満たされている。 また、吸収器(41)の液側空間(42)には、冷却熱交換器(38)が設けられている。 冷却熱交換器(3
    8)は、排熱側回路(35)に接続されており、排熱側回路(35)の冷却水によって液側空間(42)内の吸収溶液を冷却する。 吸収器(41)のガス側空間(43)は、蒸発器(11)のガス側空間(13)と接続されている。 蒸発器(11)のガス側空間(13)の水蒸気は、吸収器(41)のガス側空間(43)に送り込まれ、吸収器(41)の透湿膜(44)を透過して液側空間(42)の吸収溶液に吸収される。

    【0071】上記再生器(45)の液側空間(46)は、吸収側回路(40)が接続されて吸収溶液によって満たされている。 再生器(45)は、液側空間(46)の吸収溶液を加熱して該吸収溶液を再生するように構成されている。
    再生器(45)のガス側空間(47)は、凝縮器(15)のガス側空間(17)と接続されている。 再生器(45)では、
    液側空間(46)の吸収溶液が加熱され、該吸収溶液から蒸発した水蒸気が透湿膜(48)を透過してガス側空間(47)へ移動する。 このガス側空間(47)の水蒸気は、
    凝縮器(15)のガス側空間(17)へ送り込まれる。

    【0072】−運転動作− 以下、吸収側回路(40)の動作について説明する。 その他の動作については、上記実施形態1と同様である。

    【0073】蒸発器(11)のガス側空間(13)の水蒸気は、吸収器(41)のガス側空間(43)に吸引される。 これによって、蒸発器(11)のガス側空間(13)が所定圧力に維持される。 吸収器(41)のガス側空間(43)へ送り込まれた水蒸気は、透湿膜(44)を透過して液側空間(42)の吸収溶液に吸収される。 水蒸気を吸収して濃度低下した吸収溶液は、溶液ポンプ(49)によって再生器(45)の液側空間(46)に送られる。 その間、該吸収溶液は、溶液熱交換器(50)において再生器(45)からの吸収溶液と熱交換して予熱され、その後に再生器(45)
    へ導入される。

    【0074】再生器(45)の液側空間(46)では、吸収溶液が加熱される。 加熱された吸収溶液からは水分が蒸発し、該吸収溶液が再生される。 再生されて濃度上昇した吸収溶液は、吸収器(41)の液側空間(42)へと送り返される。 一方、吸収溶液から蒸発した水蒸気は、透湿膜(48)を透過してガス側空間(47)へ移動する。 再生器(45)のガス側空間(47)の水蒸気は、その後、凝縮器(15)のガス側空間(17)へ送り込まれる。 つまり、
    蒸発器(11)のガス側空間(13)の水蒸気は、吸収溶液によって吸収器(41)から再生器(45)へ送られ、再生器(45)から凝縮器(15)のガス側空間(17)へと送り込まれる。

    【0075】

    【発明の実施の形態3】本発明の実施形態3は、上記実施形態1において蒸発器(11)で製氷を行うようにしたものである。 以下、実施形態1と異なる構成について、
    図5を参照しながら説明する。 尚、図5では、模式的に透湿チューブ(60)を一本だけ示し、入口ヘッダ(57)
    及び出口ヘッダ(58)は省略している。

    【0076】本実施形態の蒸発器(11)に用いられる容器部材(55)では、透湿膜が撥水性の材料により構成される。 このため、透湿チューブ(60)の内面で熱媒水がはじかれて粒子状の氷が生成する。 つまり、透湿チューブ(60)の内面に氷は付着せず、透湿チューブ(60)の外部への水蒸気の移動が妨げられることはない。 また、
    蒸発器(11)は、熱媒水の循環量の約4%を蒸発させるように構成される。 ここで、水の蒸発熱と凝固熱との相違により、1kgの水を蒸発させると約7.5kgの氷が生成する。 従って、蒸発器(11)では、氷を約30%含む氷−水スラリーが生成する。

    【0077】蒸発器(11)で生成した氷−水スラリーは、利用側回路(30)の利用側熱交換器(32)に送られ、室内空気の冷却に利用される。 尚、本実施形態の利用側回路(30)では、蒸発器(11)の上流側に循環ポンプ(31)が設けられる。 そして、本実施形態によれば、
    冷水ではなく氷−水スラリーによって冷熱を搬送でき、
    循環量を増やすことなく冷熱の搬送量を増大させることができる。

    【0078】−実施形態3の変形例− 上記実施形態3では、冷凍装置(10)を用いて空調機を構成し、生成した氷−水スラリーによって冷熱を搬送して冷房を行うようにしている。 これに対し、冷凍装置(10)を用いて製氷機を構成し、食品冷蔵用のフレーク・アイスを製造するようにしてもよい。 この場合、蒸発器(11)には外部から連続的に給水し、生成した氷−水スラリーから氷粒子を分離してフレーク・アイスとして利用する。

    【0079】

    【発明の実施の形態4】本発明の実施形態4は、上記実施形態1において、氷蓄熱を行うようにしたものである。 以下、実施形態1と異なる構成について、図6を参照しながら説明する。

    【0080】本実施形態の蒸発器(11)は、上記実施形態3と同様に構成されている。 つまり、上記蒸発器(1
    1)では、透湿膜(14)が撥水性の材料により形成されている。 そして、蒸発器(11)は、スラリー氷を生成するように構成されている。

    【0081】次に、利用側回路(30)の構成について説明する。 本実施形態の利用側回路(30)には、蓄熱槽(67)が設けられている。 蓄熱槽(67)と蒸発器(11)
    の液側空間(12)とが接続され、両者の間で熱媒水が循環する。 また、蓄熱槽(67)と蒸発器(11)の間には、
    蓄熱槽(67)から熱媒水を吸引する循環ポンプ(31)
    と、第1開閉弁(65)とが順に設けられている。 利用側熱交換器(32)の入口端は、第2開閉弁(66)を介して、上記循環ポンプ(31)と第1開閉弁(65)との間に接続されている。 利用側熱交換器(32)の出口端は、蓄熱槽(67)に接続されている。

    【0082】夜間には、蓄熱動作を行う。 蓄熱動作時には、第1開閉弁(65)を開放し、第2開閉弁(66)を閉鎖する。 この状態で循環ポンプ(31)を運転し、蓄熱槽(67)と蒸発器(11)との間で熱媒水を循環させる。 そして、蒸発器(11)で生成した水−氷スラリーを蓄熱槽(67)へ送り、氷を蓄熱槽(67)に貯留して蓄熱を行う。

    【0083】一方、昼間には、利用動作を行う。 利用動作時には、第1開閉弁(65)を閉鎖し、第2開閉弁(6
    6)を開放する。 この状態で循環ポンプ(31)を運転し、蓄熱槽(67)と利用側熱交換器(32)との間で熱媒水を循環させる。 そして、蓄熱動作により蓄えた冷熱を利用して室内空気を冷却し、冷房を行う。

    【0084】

    【発明の実施の形態5】本発明の実施形態5は、上記実施形態1において、蓄熱槽(67)を設けて冷蓄熱を行うものである。 本実施形態では、蒸発器(11)で冷却した熱媒水を蓄熱槽(67)に貯留する蓄熱動作を行う一方、
    蓄熱槽(67)の熱媒水を凝縮器(15)に送って蓄えた冷熱を凝縮器(15)での冷却に利用する第1の利用動作と、蓄熱槽(67)の熱媒水を蒸発器(11)に送って更に冷却してスラリー氷を生成する第2の利用動作とを行う。

    【0085】図7に示すように、本実施形態の利用側回路(30)は、蓄熱槽(67)、循環ポンプ(31)、開閉弁(75)、蒸発器(11)及び利用側熱交換器(32)を順に接続して構成されている。 利用側回路(30)には、第1
    バイパス管(71)及び第2バイパス管(72)と、送り管(73)及び戻り管(74)とが設けられている。 尚、本実施形態の利用側熱交換器(32)は、利用手段に構成されている。

    【0086】第1バイパス管(71)は、利用側熱交換器(32)をバイパスするように接続されている。 具体的に、第1バイパス管(71)の一端は、第1三方弁(76)
    を介して利用側熱交換器(32)の上流側に接続され、その他端は利用側熱交換器(32)の下流側に接続されている。 第1三方弁(76)は、蒸発器(11)からの熱媒水を利用側熱交換器(32)へ流す状態と、該熱媒水を第1バイパス管(71)へ流す状態とに切り換わる。

    【0087】第2バイパス管(72)は、蓄熱槽(67)、
    循環ポンプ(31)及び開閉弁(75)をバイパスするように接続されている。 具体的に、第2バイパス管(72)の一端は、第2三方弁(77)を介して、利用側熱交換器(32)と蓄熱槽(67)の間における第バイパス管の接続箇所よりも下流に接続されている。 第2バイパス管(7
    2)の他端は、開閉弁(75)と蒸発器(11)との間に接続されている。 また、第2バイパス管(72)には、該第2バイパス管(72)の一端側から他端側へ熱媒水を送るバイパス用ポンプ(80)が設置されている。 第2三方弁(77)は、利用側熱交換器(32)からの熱媒水を蓄熱槽(67)へ流す状態と、該熱媒水を蒸発器(11)へ流す状態とに切り換わる。

    【0088】送り管(73)は、一端が循環ポンプ(31)
    と開閉弁(75)の間に接続されている。 また、送り管(73)の他端は、第3三方弁(78)を介して、排熱側回路(35)における冷却塔(37)と凝縮器(15)の間に接続されている。 第3三方弁(78)は、送り管(73)からの熱媒水を冷却水として凝縮器(15)へ流す状態と、冷却塔(37)からの冷却水を凝縮器(15)へ流す状態とに切り換わる。

    【0089】戻り管(74)の一端は、第4三方弁(79)
    を介して、排熱側回路(35)における凝縮器(15)と循環ポンプ(36)の間に接続されている。 また、戻り管(74)の他端は、蓄熱槽(67)に接続されている。 第4
    三方弁(79)は、凝縮器(15)からの冷却水を冷却塔(37)へ流す状態と、該冷却水を戻り管(74)へ流す状態とに切り換わる。

    【0090】また、蒸発器(11)の液側空間(12)には、給水管(33)が接続されている。 この給水管(33)
    は、蒸発器(11)の液側空間(12)に水道水を供給する。

    【0091】−運転動作− 夜間には、蓄熱動作を行う。 蓄熱動作時には、開閉弁(75)を開放し、第1三方弁(76)を第1バイパス管(71)側へ切り換え、第2三方弁(77)を蓄熱槽(67)
    側へ切り換える。 また、第3三方弁(78)を冷却塔(3
    7)側へ切り換え、第4三方弁(79)を循環ポンプ(3
    6)側へ切り換える。 この状態で、利用側回路(30)では循環ポンプ(31)を運転し、蓄熱槽(67)と蒸発器(11)との間で熱媒水を循環させる。 そして、蒸発器(11)で冷却された熱媒水が蓄熱槽(67)に貯留され、
    蓄熱槽(67)に冷熱が蓄えられる。 一方、排熱側回路(35)では循環ポンプ(36)を運転し、凝縮器(15)と冷却塔(37)との間で冷却水を循環させる。

    【0092】昼間には、第1の利用動作と第2の利用動作とが切り換えて行われる。 両利用動作は、空調負荷等の運転条件に合わせて適宜切り換えられる。

    【0093】第1の利用動作時には、開閉弁(75)を閉鎖し、第1三方弁(76)を利用側熱交換器(32)側へ切り換え、第2三方弁(77)を第2バイパス路側へと切り換える。 また、第3三方弁(78)を送り管(73)側へ切り換え、第4三方弁(79)を戻り管(74)側へ切り換える。 この状態で、利用側回路(30)ではバイパス用ポンプ(80)を運転し、蒸発器(11)と利用側熱交換器(3
    2)との間で熱媒水を循環させる。 更に、利用側回路(3
    0)では、循環ポンプ(31)を運転し、蓄熱槽(67)と凝縮器(15)との間で熱媒水を循環させる。 つまり、蓄熱動作により蓄熱槽(67)に蓄えた低温の熱媒水を凝縮器(15)へ供給し、凝縮熱の処理を行う。 凝縮器(15)
    へは低温の熱媒水が供給されるため、圧縮機(21)での昇圧幅を縮小することができ、圧縮機(21)への入力が削減される。

    【0094】第2の利用動作時には、開閉弁(75)を開放し、第1三方弁(76)を利用側熱交換器(32)側へ切り換え、第2三方弁(77)を蓄熱槽(67)側へと切り換える。 また、第3三方弁(78)を冷却塔(37)側へ切り換え、第4三方弁(79)を循環ポンプ(36)側へ切り換える。 この状態で、利用側回路(30)では循環ポンプ(31)を運転し、蓄熱槽(67)内の低温の熱媒水を蒸発器(11)へ供給し、該熱媒水を更に冷却して生成した水−氷スラリーを利用側熱交換器(32)へ送る。 利用側熱交換器(32)からの熱媒水は、蓄熱槽(67)へと送られる。 また、排熱側回路(35)では循環ポンプ(36)を運転し、冷却塔(37)と凝縮器(15)との間で冷却水を循環させて凝縮熱を処理する。

    【0095】−実施形態5の変形例− 上記実施形態5では、利用手段を利用側熱交換器(32)
    で構成し、第2の利用動作で生成したスラリー状の氷を利用側熱交換器(32)における室内空気の冷却に利用している。 これに対し、上記利用手段を水−氷スラリーから氷粒子を分離するように構成し、分離した氷をフレーク・アイスとして食品の冷蔵等に利用してもよい。

    【0096】

    【発明の実施の形態6】本発明の実施形態6は、上記実施形態1において、第1配管(81)及び第2配管(82)
    を設けると共に、冷却塔(90)の構成を変更するものである。 そして、本実施形態では、夏期には蒸発器(11)
    で冷却した熱媒水を利用側熱交換器(32)へ供給して第1冷却動作を行う一方、春期や秋期の中間期には冷却塔(90)で冷却した熱媒水を利用側熱交換器(32)へ供給する第2冷却動作を行う。 以下、実施形態1と異なる構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。

    【0097】本実施形態では、排熱側回路(35)において、循環ポンプ(36)は冷却塔(90)の出口側に設けられている。 つまり、循環ポンプ(36)は、冷却塔(90)
    の下流側で且つ凝縮器(15)の上流側に配置されている。

    【0098】第1配管(81)の一端は、排熱側三方弁(83)を介して、排熱側回路(35)における循環ポンプ(36)と凝縮器(15)の間に接続されている。 排熱側三方弁(83)は、凝縮器(15)側と第1配管(81)側とに切り換わるように構成されている。 また、第1配管(8
    1)の他端は、第1利用側三方弁(84)を介して、利用側回路(30)における循環ポンプ(31)と利用側熱交換器(32)との間に接続されている。 第1利用側三方弁(84)は、蒸発器(11)側と第1配管(81)側とに切り換わるように構成されている。

    【0099】第2配管(82)の一端は、第2利用側三方弁(85)を介して、利用側回路(30)における利用側熱交換器(32)と蒸発器(11)の間に接続されている。 第2利用側三方弁(85)は、蒸発器(11)側と第2配管(82)側とに切り換わるように構成されている。 第2配管(82)の他端は、排熱側回路(35)における凝縮器(15)と冷却塔(90)の間に接続されている。 つまり、
    第2配管(82)の他端は、冷却塔(90)の入口側に接続されている。

    【0100】図9に示すように、本実施形態の冷却塔(90)は、ケーシング(91)内に冷却部(93)とファン(96)とを収納して構成されている。 ファン(96)は、
    ファンモータ(97)によって回転駆動され、ケーシング(91)の開口部(92)から室外空気をケーシング(91)
    内に吸引する。 冷却部(93)は、透湿膜から成るチューブ部材(94)を多数備え、各チューブ部材(94)の各端に一対のヘッダ部材(95)を配置して構成されている。
    排熱側回路(35)の熱媒水は、冷却部(93)のチューブ部材(94)の内部に導入され、その一部が蒸発潜熱を奪って蒸発することにより冷却された後に冷却部(93)から送り出される。 蒸発した水蒸気は、チューブ部材(9
    4)を透過し、ファン(96)によって取り込まれた室外空気に放出される。

    【0101】−運転動作− 第1冷却動作は、冷房負荷の比較的大きい夏期に行われる。 第1冷却動作では、排熱側三方弁(83)が凝縮器(15)側に、第1利用側三方弁(84)が蒸発器(11)側に、第2利用側三方弁(85)が蒸発器(11)側にそれぞれ切り換えられる。 この状態で、利用側回路(30)では、循環ポンプ(31)を運転して蒸発器(11)と利用側熱交換器(32)との間で熱媒水を循環させる。 そして、
    蒸発器(11)で冷却した熱媒水を利用側熱交換器(32)
    へ供給し、室内空気を冷却する。 つまり、蒸発器(11)
    で冷却された比較的低温(例えば7℃程度)の熱媒水によって室内空気を冷却する。 一方、排熱側回路(35)では、循環ポンプ(36)を運転して凝縮器(15)と冷却塔(90)との間で冷却水を循環させる。 そして、冷却塔(90)で冷却した冷却水を凝縮器(15)へ供給し、水蒸気の凝縮熱を処理する。

    【0102】第2冷却動作は、冷房負荷の比較的小さい中間期に行われる。 第2冷却動作では、排熱側三方弁(83)が第1配管(81)側に、第1利用側三方弁(84)
    が第1配管(81)側に、第2利用側三方弁(85)が第2
    配管(82)側にそれぞれ切り換えられる。 この状態で、
    循環ポンプ(36)を運転して冷却塔(90)と利用側熱交換器(32)との間で熱媒水を循環させる。 循環ポンプ(31)と圧縮機(21)とは、運転しない。 冷却塔(90)
    で冷却された熱媒水は、循環ポンプ(36)で循環力を付与され、第1配管(81)を通って利用側熱交換器(32)
    へ送られる。 利用側熱交換器(32)では、冷却塔(90)
    からの熱媒水によって室内空気を冷却する。 利用側熱交換器(32)で室内空気と熱交換した熱媒水は、その後に冷却塔(90)へ送られて再び冷却され、この循環を繰り返す。 つまり、中間期には冷房負荷が比較的小さく、外気温もさほど高くないことから、冷却塔(90)のみで熱媒水を冷却することによって充分な冷房が可能である。

    【0103】−実施形態6の効果− 本実施形態6では、冷房負荷の変動に対応して第1冷却運転と第2冷却運転とを切り換えて行う。 従って、冷房負荷に見合った最適な運転を行うことができ、在室者の快適性を確保しつつエネルギ効率を向上させることができる。

    【0104】また、本実施形態では、冷却塔(90)において透湿膜から成るチューブ部材(94)を介して水蒸気の放出を行っている。 このため、いわゆる開放式の一般的な冷却塔(90)のように熱媒水と室外空気とが直接に接触することは無く、熱媒水の汚染を防止することができる。 この結果、保守作業を軽減することができると共に、配管や利用側熱交換器(32)等の汚染による能力低下を回避することができる。

    【0105】

    【発明の実施の形態7】本発明の実施形態7は、本発明に係る冷凍装置(10)をヒートポンプとして利用するものである。

    【0106】図10に示すように、本実施形態の冷凍装置(10)は、蒸発器(11)と凝縮器(15)と圧縮機(2
    1)とを備えて実施形態1と同様に構成されている。 また、蒸発器(11)及び凝縮器(15)も、実施形態1と同様に容器部材(55)で構成されている。

    【0107】蒸発器(11)の液側空間(12)には、熱源水としての河川水又は海水が供給される。 蒸発器(11)
    で熱源水から蒸発した水蒸気は、圧縮機(21)によって凝縮器(15)へ送られる。 一方、蒸発器(11)で蒸発潜熱を奪われた熱源水は、低温となって蒸発器(11)から排出される。

    【0108】凝縮器(15)の液側空間(16)には、熱媒水としての水道水が給水される。 凝縮器(15)の熱媒水は、蒸発器(11)から送られた水蒸気の凝縮熱を吸熱して加熱される。 加熱されて温水となった熱媒水は、凝縮器(15)から排出されて暖房等に利用される。

    【0109】本実施形態では、凝縮器(15)において透湿膜(18)を用いて液側空間(16)の熱媒水に水蒸気を直接接触させている。 従って、従来のように伝熱管等を介して熱媒水と水蒸気とを熱交換させるのに比べ、熱交換時のロスを削減してエネルギ効率を向上させることができる。

    【0110】また、本実施形態では、金属製の伝熱管ではなく、樹脂製の透湿膜(14)を蒸発器(11)に用いている。 このため、伝熱管等の腐蝕の問題を回避しつつ河川水や海水を熱源水として利用することができる。

    【0111】−実施形態7の変形例− 上記実施形態7では、蒸発器(11)と凝縮器(15)の両方を容器部材(55)で構成しているが、これに代えて、
    図11に示すように、凝縮器(15)のみを容器部材(5
    5)で構成してもよい。 この場合、熱源水として水道水を用い、該熱源水を河川水や海水と熱交換させてから蒸発器(11)内に散布する。 熱源水から蒸発した水蒸気は凝縮器(15)へ送られる一方、蒸発潜熱を奪われた熱源水は、図外のポンプで昇圧されて外部へ排出される。

    【0112】

    【発明のその他の実施の形態】−第1変形例− 上記実施形態1では、蒸発器(11)と凝縮器(15)の両方を容器部材(55)で構成しているが、これに代えて、
    図12に示すように、蒸発器(11)のみを容器部材(5
    5)で構成してもよい。 この場合、凝縮器(15)内に伝熱管(19)を設け、管内に冷却水を流して管外で水蒸気を凝縮させる。 凝縮器(15)での凝縮により生じた水は、排水ポンプ(99)により昇圧されて排出される。
    尚、凝縮器(15)から排出した水を再び蒸発器(11)の液側空間(12)へ戻し、蒸発器(11)への吸水量を削減するようにしてもよい。

    【0113】−第2変形例− 上記実施形態1では、凝縮器(15)に排熱側回路(35)
    を接続し、水蒸気の凝縮熱の処理に冷却水を利用しているが、これに代えて、図13に示すように、凝縮器(1
    5)の液側空間(16)に河川水又は海水を流通させ、水蒸気の凝縮熱を河川水又は海水に放熱するようにしてもよい。

    【0114】−第3変形例− 上記の各実施形態では、排気手段(20)を圧縮機(21)
    や吸収側回路(40)により構成しているが、これに代えて、水蒸気発生手段であるボイラ(115)とエゼクタ(1
    10)とによって排気手段(20)を構成してもよい。 以下、本変形例における昇圧手段の構成について、図14
    及び図15を参照しながら説明する。 尚、図14は、本変形例に係る昇圧手段を上記実施形態1(図1参照)に適用した場合を例示している。

    【0115】上記ボイラ(115)は、水を加熱して水蒸気を発生させるように構成されている。 このボイラ(11
    5)は、エゼクタ(110)に水蒸気を供給している。 尚、
    ボイラ(115)で生成される水蒸気の圧力は、凝縮器(1
    5)のガス側空間(17)における水蒸気の圧力よりも高く設定されている。

    【0116】上記エゼクタ(110)は、図15に示すように、管状に構成されている。 エゼクタ(110)には、
    一端側における端面に導入口(111)が形成され、側面に吸引口(112)が形成されている。 また、エゼクタ(1
    10)は、他端面に排出口(113)が開口している。 更に、エゼクタ(110)は、一端側から他端側に向かって、直径が縮小した後に拡大する形状に形成されている。

    【0117】上記エゼクタ(110)は、導入口(111)が上記ボイラ(115)と接続され、吸引口(112)が蒸発器(11)のガス側空間(13)と接続され、排出口(113)
    が凝縮器(15)のガス側空間(17)と接続されている。
    そして、エゼクタ(110)は、導入口(111)から送り込まれた水蒸気を高速で噴出させ、この噴流によって吸引口(112)から水蒸気を吸引する。 また、エゼクタ(11
    0)内では蒸発器(11)のガス側空間(13)から吸引された水蒸気とボイラ(115)から供給された水蒸気とが合流し、合流後の水蒸気が排出口(113)から凝縮器(1
    5)のガス側空間(17)に送り込まれる。

    【0118】以上の構成により、本変形例によれば、ボイラ(115)で水蒸気を発生させることによって冷凍装置(10)を運転することができる。 つまり、電力を用いることなく、熱のみによって冷凍装置(10)を駆動することが可能となる。

    【0119】−第4変形例− 上記実施形態1〜6では、冷凍装置(10)の冷却対象物を室内空気として空調機を構成しているが、冷却対象物は室内空気に限らず、各種の機器冷却等に利用することも可能である。

    【0120】−第5変形例− 上記の各実施形態では、熱媒水として水道水を用いているが、これに代えて、不凍液等の水溶液を用いてもよい。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】実施形態1に係る空調機の概略構成図である。

    【図2】実施形態1に係る容器部材(蒸発器)の概略構成図である。

    【図3】実施形態1に係る透湿チューブの概略斜視図である。

    【図4】実施形態2に係る空調機の概略構成図である。

    【図5】実施形態3に係る冷凍装置の要部拡大図である。

    【図6】実施形態4に係る空調機の概略構成図である。

    【図7】実施形態5に係る空調機の概略構成図である。

    【図8】実施形態6に係る空調機の概略構成図である。

    【図9】実施形態6に係る冷却塔の概略構成図である。

    【図10】実施形態7に係る冷凍装置の概略構成図である。

    【図11】実施形態7の変形例に係る冷凍装置の概略構成図である。

    【図12】その他の実施形態(第1変形例)に係る空調機の概略構成図である。

    【図13】その他の実施形態(第2変形例)に係る空調機の概略構成図である。

    【図14】その他の実施形態(第3変形例)に係る空調機の概略構成図である。

    【図15】その他の実施形態(第3変形例)に係るエゼクタの概略構成図である。

    【符号の説明】

    (10) 冷凍装置 (11) 蒸発器 (12) 液側空間 (13) ガス側空間 (14) 透湿膜 (15) 凝縮器 (16) 液側空間 (17) ガス側空間 (18) 透湿膜 (20) 排気手段 (32) 利用側熱交換器 (55) 容器部材 (60) 透湿チューブ (67) 蓄熱槽 (90) 冷却塔 (110) エゼクタ (115) ボイラ(水蒸気発生手段)

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 隆一 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内 (72)発明者 渡部 裕司 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内 (72)発明者 米本 和生 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内

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