液体加熱器および液体加熱方法

申请号 JP2008223396 申请日 2008-09-01 公开(公告)号 JP5610679B2 公开(公告)日 2014-10-22
申请人 栗田工業株式会社; ヒメジ理化株式会社; 发明人 内田 稔; 内田  稔; 丸山 剛; 剛 丸山;
摘要
权利要求
  • 過硫酸を含み濃度65〜96質量%の硫酸溶液からなる液体を通液する流路厚み10mm以下の流路を形成 し、近赤外線を透過する材料 である石英からなる流路部材と、該流路の前記流路厚み方向で相対する流路面の少なくとも一方の外側に配置して前記流路内の前記液体を加熱する近赤外線ヒーターと、前記流路部材とは別体で構成され、前記流路の内部に導入されて前記流路の容量を減 じ、近赤外線を透過する材料 である石英からなり、前記流路内に通液方向に沿って配置された棒状のスペーサとを備えることを特徴とする液体加熱器。
  • 前記近赤外線ヒーターが前記流路面の両外側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の液体加熱器。
  • 前記流路が環状流路であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体加熱器。
  • 前記スペーサが複数個であることを特徴とする請求項1〜 のいずれかに記載の液体加熱器。
  • 前記スペーサが棒状体であり、前記流路内に通液方向に沿って並列に配置されていることを特徴とする請求項1〜 のいずれかに記載の液体加熱器。
  • 前記流路の液体入口部分および/または液体出口部分に、前記液体の均一分配を促進するように流路面積を拡張したオリフィスおよび/またはヘッダーを形成していることを特徴とする請求項1〜 のいずれかに記載の液体加熱器。
  • 請求項1〜 のいずれかの液体加熱器を用い、該液体加熱器内における前記液体の滞留時間を0.5〜5秒にしつつ該液体を加熱することを特徴とする液体加熱方法。
  • 前記液体加熱器の流路における液体入口部分と液体出口部分の液温の差が50℃以上であることを特徴とする請求項 記載の液体加熱方法。
  • 前記液体入口部分の液温が60〜80℃であり、前記液体出口部分の液温が120〜190℃であることを特徴とする請求項 記載の液体加熱方法。
  • 说明书全文

    本発明は、液体を高効率かつ短時間で加温することができる液体加熱器に関するものであり、特に半導体製造工程の一つであるレジスト剥離工程における洗浄液の急速加熱に好適に用いることができる液体加熱器および液体加熱方法に関するものである。

    半導体製造におけるレジスト剥離工程において、硫酸溶液を電気分解して過硫酸(ペルオキソ二硫酸;分子状過硫酸およびイオン状過硫酸)を生成し、過硫酸溶液を洗浄液として洗浄を行う硫酸電解法が知られている。 レジスト剥離工程では洗浄液が高温(120〜190℃程度)であるほどレジスト剥離が効率的に進行する。 これは硫酸電解法によって製造した洗浄液が所定の高温になると洗浄液中の過硫酸が自己分解して極めて酸化の強い硫酸ラジカルを生成して洗浄に寄与するためであると考えられる。
    ラジカルは寿命が短いため、洗浄液を早い段階で昇温してしまうと、洗浄液に含まれる過硫酸の自己分解が早すぎて洗浄に寄与することなく消費されてしまう。 過硫酸溶液を高温化すると過硫酸が自己分解して硫酸ラジカルを生じて硫酸ラジカル濃度が上がり、同時に生じた硫酸ラジカルが分解して硫酸ラジカル濃度を下げる。 液温にもよるが過硫酸溶液の高温化から0. 数秒〜数秒後に硫酸ラジカル濃度がピークとなる。 従って硫酸ラジカル濃度がピークとなった時にちょうど洗浄に寄与させるような高温化のタイミングにするのが最も効率が良く、最適なタイミングを適宜設定する必要がある。
    また洗浄液を長時間(例えば数分程度)かけてゆっくり加熱した場合、高温化の途中で過硫酸の自己分解とそれに伴う硫酸ラジカルの分解が進行してしまい、高温化した時点では既に過硫酸濃度が低くなってしまうという問題がある。 反応速度論とアレニウスの式に基づいて理論計算すると、図7のような結果となり、高温になると過硫酸の寿命は極めて短いことが分かる。

    以上のことから洗浄液の昇温は洗浄直前にごく短時間(数秒程度)で行う必要がある。
    一方、硫酸溶液の電解効率は低温ほど高く、過硫酸の自己分解速度は低温ほど小さいため、低温(20〜60℃程度)で硫酸溶液を電解することが好ましい。 低温で電解した硫酸溶液をレジスト剥離工程における洗浄液として用いるためには洗浄直前に低温から高温まで瞬時に昇温する必要がある。
    流体を加熱する加熱器として種々のものが提案されている。
    例えば、半導体製造における純等の加熱工程では、従来、図8に示すような流体加熱器40が用いられている。 該流体加熱器40は、筒状に形成された密閉型石英槽41の側壁に液入口41aと液出口41bとが斜交いの位置に設けられ、内部に赤外線ヒータ42が設置されており、密閉型石英槽41内に液入口41aを通して流入した純水等は、赤外線ヒータ42の外周部に接触して昇温しつつ液出口41bから排液される。
    また、この他に、図9に示すように、流体加熱器50を二重管で構成し、内管51に設けた被加熱液体入口51a、被加熱液体出口51bを通して、被加熱液体を流し、一方、内管51と外管52との間には、外管52に設けた熱媒油入口52a、熱媒油出口52bを通して熱媒油を流し、内管51の壁部を通してこれら流体間で熱交換することで被加熱液体を加熱するものが知られている。
    また、筒状としたセラミックヒータの内外周に被加熱流体の流路を設けて加熱効率を高めた流体加熱器も提案されている(特許文献1参照)。

    特開平5−79695号公報

    例えば、前記した流体加熱器50のように、熱媒油などの高温流体を加熱源とすると、油→石英壁→溶液という順序で伝導伝熱および強制対流伝熱により熱が伝わる。 この伝熱方式で短時間に大量の熱を伝えるためには熱媒油をできるだけ高温(例えば1000℃以上)にすることが望ましいが、工業的に用いられる熱媒油の最高使用温度は350℃〜400℃程度である。 熱媒油などを使う方法では加熱源の熱容量が大きいので急速加熱の開始・停止を瞬時に行うことが難しい。
    これに対して ハロゲンランプヒーターのように近赤外線を発する近赤外線ヒーターを用いた場合、光の輻射熱によって熱エネルギーが直接流体に伝わる。 波長0.8μm〜数μmの近赤外線は石英を透過し、数mm〜数10mmの厚さの水層には99%以上吸収されるという性質がある。 また、ランプヒーターは、スイッチの開閉で加熱を瞬時に開始・停止することができるし、ランプ出力によって加熱温度も自在に調節可能である。 従って高濃度硫酸水溶液の加熱には、従来から近赤外ランプヒーターが使われている。

    しかし、例えば、前記した流体加熱器40では、超純水や化学薬品溶液を数L/minの速度で加熱する。 この場合、ランプ出力とその寸法から石英槽の容量は数Lになり、液の滞留時間は1〜2分と長時間になってしまう。 化学薬品に過硫酸を用いると過硫酸の自己分解が進み過流酸の浪費につながる。
    従って上記流体加熱器40を用いるときは、伝熱面温度を著しく高温(構成部材の耐熱性にもよるが300〜500℃程度)に設定することが必要である。 しかし伝熱面を著しく高温に設定すると、伝熱面において局所的に過硫酸の自己分解速度が著しく大きくなり過硫酸の浪費につながるため、昇温後に過硫酸濃度が下がる原因となってしまう。 そこで、伝熱面を高温に設定しないことにより加熱器内での過硫酸の自己分解をできるだけ抑えつつ硫酸溶液を昇温し、硫酸溶液の温度が高温になることによって過硫酸の自己分解が活性化するようにする必要がある。
    ところが前記した公知の各加熱器で加熱しても、過硫酸濃度を維持したまま硫酸溶液を短時間で高温まで加熱することは困難である。 つまり、液流路の流路厚みが大きすぎると熱媒体を用いる場合はもちろんのこと、ランプを加熱器として用いる場合も光の輻射熱が奥の方の液に伝わらず液全体を均等に昇温できないからである。

    以上のことから本発明では、伝熱面を高温に設定することなく低温の被加熱液体を短時間で高温まで加熱することが可能な液体加熱器および液体加熱方法を提供することを目的とする。

    すなわち、本発明の液体加熱器のうち、第1の本発明は、 過硫酸を含み濃度65〜96質量%の硫酸溶液からなる液体を通液する流路厚み10mm以下の流路を形成し、近赤外線を透過する材料である石英からなる流路部材と、該流路の前記流路厚み方向で相対する流路面の少なくとも一方の外側に配置して前記流路内の前記液体を加熱する近赤外線ヒーターと、前記流路部材とは別体で構成され、前記流路の内部に導入されて前記流路の容量を減じ、近赤外線を透過する材料である石英からなり、前記流路内に通液方向に沿って配置された棒状のスペーサとを備えることを特徴とする。

    第2の本発明の液体加熱器は、前記第1の本発明において、前記近赤外線ヒーターが前記流路面の両外側に配置されていることを特徴とする。

    第3の本発明の液体加熱器は、前記第1または第2の本発明において、前記流路が環状流路であることを特徴とする。

    の本発明の液体加熱器は、前記第1〜第の本発明において、前記スペーサが複数個であることを特徴とする。

    の本発明の液体加熱器は、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記スペーサが棒状体であり、前記流路内に通液方向に沿って並列に配置されていることを特徴とする。

    の本発明の液体加熱器は、前記第1〜第の本発明のいずれかにおいて、前記流路の液体入口部分および/または液体出口部分に、前記液体の均一分配を促進するように流路面積を拡張したオリフィスおよび/またはヘッダーを形成していることを特徴とする。

    の本発明の液体加熱方法は、前記第1〜第の本発明のいずれかに記載の液体加熱器を用い、該液体加熱器内における前記液体の滞留時間を0.5〜5秒にしつつ該液体を加熱することを特徴とする。

    の本発明の液体加熱方法は、前記第の本発明において、前記液体加熱器の流路における液体入口部分と液体出口部分の液温の差が50℃以上であることを特徴とする。

    の本発明の液体加熱方法は、前記第の本発明において、前記液体入口部分の液温が60〜80℃であり、前記液体出口部分の液温が120〜190℃であることを特徴とする。

    すなわち、本発明の液体加熱器によれば、 過硫酸を含み濃度65〜96質量%の硫酸溶液からなる液体を通液する流路厚み10mm以下の流路を形成し、近赤外線を透過する材料である石英からなる流路部材と、該流路の前記流路厚み方向で相対する流路面の少なくとも一方の外側に配置して前記流路内の前記液体を加熱する近赤外線ヒーターと、前記流路部材とは別体で構成され、前記流路の内部に導入されて前記流路の容量を減じ、近赤外線を透過する材料である石英からなり、前記流路内に通液方向に沿って配置された棒状のスペーサとを備えるので、液体を瞬時に均一に加熱することができる。
    なお、液体を瞬時に均一に加熱するという観点からは流路厚みは5mm以下とするのが一層望ましい。 また、十分な通液を確保する上で流路厚みは1mm以上が望ましく、さらに2mm以上が一層望ましい。 また流路内に液体を均等に通液するために流路厚みは略一定であることが望ましい。

    また、近赤外線は石英を透過するので、流路部材やスペーサを石英製にすれば伝熱の妨げにならず、効率的に伝熱することができる。

    また、石英は細かい加工が難しいので流路が小容量となるほどの狭い流路面積の流路を形成することは難しかったが、スペーサを用いる本発明では、既製の石英管の流路内にスペーサを導入するという、簡易な作業により適切に狭い流路面積の流路を形成することができる。

    本発明としてはスペーサの形状が特に限定されるものではないが、例えば、棒状体や粒状体により構成することができる。 これら棒状体や粒状体では、その径を流路厚みより多少小さくすることで流路とスペーサとの間に小隙間を形成して液体の通液が速やかになされる。

    さらに、本発明において、液体入口部分にヘッダーを設けたり、ヘッダーと加熱する流路との間にオリフィス等小孔を設けて圧力損失を持たせることにより、狭い流路、例えばスペーサを多く挿入した場合においても、流路内の流量分布を均一にすることができる。 なお液体出口部分のヘッダーは、容積を小さくすることにより高温液体の滞留時間を短くすることができる。

    また、本発明の液体加熱方法によれば、本発明の液体加熱器を用いて該液体加熱器内における前記液体の滞留時間を0.5〜5秒にしつつ該液体を加熱するので、液体の組成変化などを招くことなく液体を瞬時に加熱することができる。

    液体加熱器における液体の滞留時間(通液時間)は、瞬時の加熱を満たすため、5秒以下が望ましく、さらに、2秒以下が一層望ましい。 一方、滞留時間が0.5秒未満では流路厚みを1mm以下とするか、ヒーターの熱流速(heat flux)を30〜50W/cm 以上としなければならず、構造上の困難が生じるので、0.5秒以上が望ましい。 同様の理由で1秒以上が望ましい。

    (実施形態1)
    以下に、本発明の一実施形態の液体加熱器を説明する。
    図1は、該液体加熱器1を概略的に示したものである。
    環状流路4は、図に示すように径が近似した二重管構造によって形成されており、内管壁と外管壁との間で環状流路4が確保されており、その流路厚みは10mm以下になっている。 環状流路4は、望ましくは縦に設置され、該設置状態で下方(液体流入側)となる側で大容積の筒状ヘッダー3が連通している。 ヘッダー3には下部流入口2が設けられており、該下部流入口2から被加熱液体が流入し、ヘッダー3を通して環状流路4で環状流路4の軸方向に沿った上向流が生じるようになっている。 環状流路4は、上部側で次第に径が小さくなって中央に集合し、上方に向けた上部流出口5に連通している。 環状流路4を流れる被加熱液体は、上部流出口5から流出するようになっている。 環状流路4およびヘッダー3は、低溶出、耐酸化性、耐熱性の石英を用いており、該石英は、熱伝導度が1.0W/m/kで良好な伝熱性を有している。

    さらに、環状流路4では、流路厚みよりも小さな径を有する棒状スペーサ6が流路の内側に固定されずに全周に亘って並列配置されている。 該棒状スペーサ6は、環状流路4の流入口に近い高さの流路厚みを棒状スペーサ6の径より狭くすることで、該棒状スペーサ6は落下せず環状流路4内に留まることができる。 そして、これよりも上方では、棒状スペーサ6と環状流路4の内側内周面と外側内周面との間には小隙間が形成されている。 棒状スペーサ6、6間には隙間を有していてもよく、また互いに接するほどに多数の棒状スペーサ6…6を環状流路4内に配置してもよい。
    なお、この実施形態では、スペーサとして棒状スペーサ6を採用したが、本発明としてはこれに限定されるものではなく、環状流路の流路(断面積)を小さくして所定の加熱器内滞留時間を実現する機能があれば特に限定されない。 例えば球状のスペーサであっても弧面状のスペーサであっても構わない。 スペーサの材料としては流路部材と同じく低溶出、耐酸化性、耐熱性の石英を用いている。 ただし棒状スペーサ6は、被加熱液体を環状流路4の軸方向に案内することで被加熱液体を円滑に流す作用もあるのでより好ましい。

    さらに環状流路4の外周側には外部ヒーター7が配置され、環状流路4の内周側には内部ヒーター8が配置されており、上記構成によって本発明の液体加熱器1が構成されている。 なお、ヒーターは、環状流路4の外周面または/および内周面を一様に加熱するものが望ましい。
    図2は、上記液体加熱器1をより具体的かつ詳細に示したものである。
    図2では、環状流路4の内周側中央部には内部ヒーター8として直管型のハロゲンヒーターを2本差し込んだ状態に配置している。 また環状流路4の外周側には外部ヒーター7としてハロゲンヒーターを配置している。 なお熱源については目的に応じて適宜選択することができる。 外部ヒーターとしては、流路部材を取り巻くようにスパイラル形状のヒーターを配置してもよい。 上記内部ヒーター 、外部ヒーターは、本発明の近赤外線ヒーターに相当し、ハロゲンヒーターで構成することにより近赤外線(波長0.8〜2.5μm)を放射する。

    なお液体加熱器1を構成する各部品は、図2に示す配置になるように固定されれば、特にその方法は限定されない。 最も簡易な方法としては、別途用意した支持柱に取り付けたクランプなどで環状流路4における石英管本体の下部および上部流出口5を有する上部ノズルを保持することなどが考えられる。 外部ヒーター7がスパイラル形状の場合はいくつかに分割されているので、それぞれをクランプなどで保持する。 ただしハロゲンヒーターの外表面には反射性の物質が塗布してあるので、擦れてこれが脱落しないように、固定時に注意が必要である。 同様に内部ヒーターについても下から支持する。
    液体加熱器1の固定に際して重要なことは、液が上向流で流れるように、垂直に設置することである。 これにより、沸騰などによる気泡が流路内部に溜まり熱伝達効率が下がるなどのトラブルを避けることができる。 また、液の均一流れを期待することができる。

    本発明の実施形態における液体加熱器1によれば、液体の滞留時間を0.5〜5秒にして通液しつつ確実に加熱することができる。 例えば60℃の溶液2L/minを150℃まで加熱するのに要する液滞留時間は1.5秒である。 これは、環状流路4の中に多数の棒状スペーサ6を設置してあり、流路面積を小さくするとともに、ヒーターに面した加熱面に接して流れるようにしてあるためである。 また、接液加熱表面の温度が200℃以下なので、被加熱液体として硫酸溶液を使用する場合、硫酸溶液が沸騰したり、過硫酸(ペルオキソ二硫酸)が急速に自己分解することを避けることができる。

    本発明の液体加熱器をレジスト剥離用途に用いる場合は、例えば図3のような枚葉式レジスト剥離システムに組み込むことで使用することができる。
    該システムは、過硫酸(ペルオキソ二硫酸)を含む硫酸溶液(以下、過硫酸溶液という)を収容する貯留槽10と硫酸イオンを電解して過硫酸イオンを生成する電解装置13と洗浄装置15とを備えている。 貯留槽10の過硫酸溶液は60〜80℃に保持され、ポンプ11で送液されつつ熱交換器12で電解に好適な液温(40〜60℃)に冷却されて電解装置13に供給される。 電解装置13では、電解によって硫酸イオンから過硫酸イオンを生成し、例えば5〜10L/minの流量で貯留槽10との間で循環させる。 また、貯留槽10内の過硫酸溶液はポンプ14で例えば1〜2L/minの流量で抜き出され、上記した液体加熱器1で短時間で高温(例えば120〜190℃、好ましくは140〜160℃)に加熱され、洗浄装置15に収めた被洗浄体(例えば半導体ウェハ)に流下して被洗浄体の洗浄に供される。 この際に、過硫酸溶液は、液体加熱器1で速やかに高温に加熱されており、過硫酸が過剰に自己分解することなく高い洗浄力を維持したままで洗浄装置15に供給される。 洗浄装置15で使用された溶液は、ポンプ16で抜き出され、熱交換器17で冷却されて貯留槽10に返送される。

    本発明の液体加熱器を用いて図3に示すシステムのように過硫酸溶液による枚様式洗浄をする場合、液体加熱器1によって過硫酸を含む硫酸水溶液を瞬時に150℃程度にまで加熱しなければならない。 従って、前段において適切な液温を保持しておくことが必要である。 そこで図3に示すシステムのように、システムにおいて液体加熱器1の前段に貯留槽10を設けて槽内温度が60〜80℃に保持されるようにすることが好ましい。 槽内温度が60℃未満では本発明の液体加熱器1への負荷が大きくなりすぎ、逆に80℃を超過すると過硫酸の自己分解速度が大きすぎるため貯留槽10の過硫酸濃度を高い状態で維持できないからである。 (図4[過硫酸溶液温度vs過硫酸自己分解]のグラフを参照)。
    ここで図3に示すシステムでは貯留槽10から引き抜いた硫酸溶液を冷却して電解した後に貯留槽10に返送している。 電解に適した温度は40〜60℃であり、電解すると温度が20℃程度上昇して60〜80℃となるので、電解前に硫酸溶液を40〜60℃に冷却すれば貯留槽10内の硫酸溶液の温度を別途調整する必要がないため当該構成となっている。
    特に本システムにおいて電解に供される硫酸溶液は、75〜96質量%の濃度が望ましい。 レジスト剥離には、レジストとシリコン基板との間に浸透する力(浸透力)と、レジストを酸化する力(酸化力)の両者が必要である。 硫酸濃度が低い方が、酸化力を有する過硫酸の生成効率が高く、また、硫酸濃度が高い方が、浸透力が高い。 このため、レジストの種類やシリコン基板上に形成されたパターン形状などにより、上記の範囲内で最適な硫酸濃度を選択する。

    液体加熱器1では、上記のように60〜80℃の硫酸溶液を好適には、120〜190℃、より好適には140〜160℃に加熱する。 該温度の過硫酸を含む硫酸溶液は、過硫酸による酸化力によって優れた洗浄力を発揮する。 また、高温の過硫酸は、前記したように自己分解が速いので、該液体加熱器での滞留時間を5秒以下(望ましくは2秒以下)にすることで、過硫酸の自己分解が進む前に洗浄に供することが可能になる。

    (実施形態2)
    上記実施形態1の液体加熱器1では、環状流路4が上部側で次第に径が小さくなって集合する形状を有していたが、環状流路4が端部で集合して集液する構成とせず、流路が環状のまま伸長したものであってもよい。 以下に、本発明の液体加熱器の他の実施形態を図5に基づいて説明する。

    この実施形態の液体加熱器20は、石英の二重管からなる環状流路21を有しており、該環状流路21の流路厚みは10mm以下になっている。 環状流路21の両端部には、流路厚みを部分的に大きくした筒状のヘッダー22、23が前記環状流路21に連続するように設けられている。 一端側のヘッダー22は、液体入口部分に設けられており、該ヘッダー22に環状流路21の長手方向に沿った流入管24が接続されている。 一方、他端側のヘッダー23は、液体出口部分に設けられており、該ヘッダー23に環状流路21の径方向に沿った流出管25が接続されている。 また、環状流路21には、該環状流路21の長手方向に沿った棒状の多数のスペーサ26が全周に亘って並列されている。 該スペーサ26は、石英からなり、環状流路21の内周面と僅かに隙間が確保される径(流路厚みよりも小さい径)で構成されている。 なお、図示されていないが、環状流路21の内部を通液方向に貫通するように近赤外線ヒーター複数本を配置し、環状流路の外部を覆うように近赤外線ヒーターを配置する。

    上記液体加熱器20では、流入管24から導入される液体は、ヘッダー22を介して環状流路21に均一に分配され、液体は環状流路21の長手方向に通液される。 環状流路21では、流路がスペーサ26で制限されており、ヒーターに面した加熱面に接して液体が円滑に流れ、近赤外線ヒーターによって均一かつ瞬時に加熱される。 加熱された液体は、ヘッダー23を介して流出管25によって液体加熱器20外に流出する。 この実施形態の液体加熱器20も、前記システムに液体加熱器1と同様に適用することができる。

    (実施形態3)
    また、上記実施形態2では、環状流路の内外周側にそれぞれ近赤外線ヒーターを配置しているが、本発明では、流路の相対する流路面の一方の外側にのみ近赤外線ヒーターを配置するものであってもよい。
    図6に示す液体加熱器30では、石英で構成され、流路厚み10mm以下とした環状流路31を有し、該環状流路31の両端部には、流路厚みを大きくした筒状のヘッダー32、33が連続している。 一端側のヘッダー32は、液体入口部分に設けられており、該ヘッダー32に流入管34が接続されている。 他端側のヘッダー33は、液体出口部分に設けられており、該ヘッダー33に流出管35が接続されている。 また、環状流路31には、該流路の長手方向に沿った棒状の多数のスペーサ36が全周に亘って並列されている。 該スペーサ36は、石英からなり、環状流路31と僅かに隙間が確保される径で構成されている。

    環状流路31の内周側外部には、4本の棒状の近赤外線ヒーター37が環状流路31の長手方向に沿って配置されている。 一方、環状流路31の外周側外部には近赤外線ヒーターを配置する替わりに、外周側外面を金またはアルミなどの反射材38で覆っている。 これにより環状流路31の外周側外部に近赤外線ヒーターを配置しなくても、近赤外線ヒーター37から放射された近赤外線が反射材38によって外周面で反射され、この反射熱によって内外周から液体を均一に加熱することが可能になる。 なお、本発明としては、環状流路31の外周側外部に近赤外線ヒーターを配置して、環状流路31の内周側外面を反射材で覆うようにしてもよいが、内周側外部に近赤外線ヒーターを配置する方が効果的に被加熱液体を加熱することができる。

    以上、本発明の液体加熱器について上記実施形態のように製造が容易であるという理由から二重管型環状流路を例に挙げて説明をしたが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、例えば、相対する流路面が共に平面又は曲面を成す帯状流路を構成するものであってもよい。

    [実施例1]
    図2に示す環状流路を有する液体加熱器を用いて硫酸溶液を加熱した。
    なお液体加熱器の仕様は以下の通りである。
    (寸法)
    ・環状流路内側接液面直径 40mmφ
    ・環状流路外側接液面直径 45mmφ
    ・スペーサ直径 2mmφ
    ・加熱部流路長さ 320mm
    ・全長 400mm
    (ヒーター容量)
    ・外部ヒーター 2kW×5本=10kW
    ・内部ヒーター 3.2kW×l本=3.2kW
    (合計) 13.2kW

    液温度65℃、硫酸濃度85質量%、過硫酸濃度=20g/Lの硫酸溶液2L/minを液体加熱器1に流し加熱した。 加熱部および出口側チューブ内(図2の5の部分の出口側接続管)の滞留時間は3.5秒であった。 このとき、液体は150度まで昇温し、出口での過硫酸濃度=16.2g/Lであった。
    [比較例1]
    図8に示す密閉容器型の液体加熱器40を用いて硫酸溶液を加熱した。
    すなわち、液温度65℃、過硫酸濃度=20g/Lの溶液2L/minを、液体加熱器40で150℃まで昇温したところ、出口での過硫酸濃度=0.5g/Lであった。

    本発明の一実施形態の液体加熱器の長手方向概略断面図(a)および該図のb−b線断面図(b)である。

    同じく、長手方向詳細断面図(a)および該図のb−b線断面図(b)である。

    同じく、実施形態の液体加熱器を応用した枚葉式レジスト剥離システムを示す図である。

    過硫酸溶液の温度(60〜110℃)と過硫酸半減期との関係を示す図である。

    本発明の他の実施形態の液体加熱器の長手方向概略断面図(a)および該図のb−b線断面図(b)である。

    本発明のさらに他の実施形態の液体加熱器の長手方向概略断面図(a)および該図のb−b線断面図(b)である。

    過硫酸溶液の温度(120〜170℃)と寿命の関係を示す図である。

    従来の流体加熱器の例を示す概略図である。

    同じく、他例を示す概略図である。

    符号の説明

    1 液体加熱器 3 ヘッダー 4 環状流路 6 棒状スペーサ 7 外部ヒーター 8 内部ヒーター20 液体加熱器21 環状流路22 ヘッダー23 ヘッダー26 棒状スペーサ30 液体加熱器31 環状流路32 ヘッダー33 ヘッダー36 棒状スペーサ37 近赤外線ヒーター38 反射材

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