Portable heat transfer unit

申请号 JP2006253643 申请日 2006-09-20 公开(公告)号 JP2007113908A 公开(公告)日 2007-05-10
申请人 Kenji Okayasu; 謙治 岡安; 发明人 OKAYASU KENJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To drive a liquid circulator by using electromotive force generated by incorporating a thermoelectric conversion element in a heater in addition to heating liquid by a heat generator of a portable heat transfer unit.
SOLUTION: This portable heat transfer unit comprises a gas supply device B including a LPG cylinder, a gas/air mixer C equipped with a gas ejection nozzle and a Venturi tube working with the gas and having a mixing ratio regulation mechanism for starting, a combustor D for flame-burning a mixture gas thus generated in a combustion chamber 12 and incorporating a porous solid radiation converting body 17 for partially transforming combustion exhaust gas energy generated through combustion in the combustion chamber into radiation energy, a heat collector E arranged around the combustor, the thermoelectric conversion element T having a high temperature side closely kept into contact with the heat collector, and a low temperature side closely kept into contact with a liquid circulator F, and the liquid circulator F driven with power generated from the thermoelectric conversion element T, and the heat generated in the combustor D is transferred to an external heat load H through a liquid circuit G.
COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT
权利要求
  • LPGボンベを含むガス供給装置と、このガスで働くガス噴出ノズル及びベンチュリー管とを備え、かつ始動のための混合比調整機構を有するガス・空気混合装置と、ここで発生した混合気を燃焼室内で火炎燃焼させるためのものであって、かつ燃焼室内で燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体を内蔵させた燃焼器と、これを囲んで設置した集熱体と、高温側を集熱体に低温側を液体循環装置にそれぞれ接合させた熱電変換素子と、該熱電変換素子で発生した電力で駆動する上記液体循環装置とからなり、燃焼器で発生した熱を液体回路を経て外部の熱負荷に伝えることを特徴とする携帯式熱伝達装置。
  • 燃焼器を取り囲み、かつ燃焼器との間に空間を構成するように集熱体を設けたことを特徴とする請求項1記載の携帯式熱伝達装置。
  • ガス・空気混合装置における吸気ダクトの吸気孔外方近傍位置に吸気孔防風板を設けると共に、燃焼部の下流に設けた排気ダストの排気孔外方近傍位置に排気孔防風板を設け、上記吸気孔及び排気孔は装置の同一方向で互いに離して設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の携帯式熱伝達装置。
  • 上記排気ダクト内に、液体循環装置における液体回路の一部を配設すると共に該部に熱交換機能を組込んだことを特徴とする請求項3記載の携帯式熱伝達装置。
  • 上記熱電変換素子の電力により駆動され集熱体の温度をモニターし、必要時にガス供給装置に働きかけてガスを遮断する制御装置を組込んだことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の携帯式熱伝達装置。
  • 上記制御装置を一時的に動かす電源を組込んだことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の携帯式熱伝達装置。
  • 上記制御装置により制御された燃焼の状態を表示する状態表示器を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の携帯式熱伝達装置。
  • 说明书全文

    本発明は、自らエネルギー源を有し、電やガスの供給が困難な屋外等でも利用可能な、暖房器や暖房衣服等の外部の熱負荷へ熱を供給するための携帯式熱伝達装置に関するものである。

    従来屋外等で使用する可搬式の暖房器として、ガスストーブ、懐炉等が広く普及している。 しかしこれらのものは、身体の一部分しか暖まらなかったり、暖かさのコントロールができなかったり不便なものであった。 またバッテリーを使い、そのバッテリーからの電気エネルギーによって発熱を行う電気抵抗体を内部に分散させた暖房服やマット等が実用化されている。 しかしこれらの装置は、現在でもバッテリーの質量エネルギー密度はあまり高くなく、暖房に必要なエネルギーを十分な時間供給できない面があった。

    これらの問題を解決すべく、LPGをエネルギー源とし触媒でLPGを燃焼させて熱を取出し、これを空気の対流によって暖房させる衣服が知られている。 (例えば特許文献2参照。)
    しかしながら空気の対流だけでは、熱を隅々まで運ぶことが難しいため、上記燃焼装置に熱電変換素子を組込み、この起電力により熱媒の循環ポンプを駆動する暖房装置も知られている。 (例えば特許文献3参照。)
    一方本発明者も触媒燃焼装置に熱駆動ポンプを組込み、加熱液体を循環させる携帯式熱伝達装置について既に提案している。 (特許文献1参照。)

    ところで、上記特許文献に開示された装置においてもっぱら採用されている燃焼器の触媒燃焼は、風が吹いたり、燃料と空気の混合比が少し変化しても途切れることがないタフな燃焼反応であり、また火炎燃焼よりも低温で燃焼できるという特徴を有している。 しかしながら、理論混合比付近で長時間反応させると、燃焼温度が触媒にとって高くなり過ぎて次第に劣化してしまう問題が存在する。
    これを防ぐため、理論混合比を外して反応させているが、燃料を濃くする方向に外すと着火性は向上し扱い易くなるものの、不完全燃焼となり燃料の無駄使いとなると共に、悪臭のする排気ガスを排出することになる。 一方燃料を薄くする方向に外すと完全燃焼となり燃料の無駄がなくなり、排気ガスもきれいになるが、相対的に増大する空気量を賄うには非力なベンチュリー管による空気吸引では限界がある。 特に触媒は、混合気との接触面積が大きくなくてはならず、このため流路抵抗が大きくなりガスの噴出力以外に外部の動力例えばバッテリーでファンを回し空気を導入する等の手段が必要となり、携帯式装置にあっては、複雑で大掛かりになるうらみがあった。

    特許第3088127号明細書

    特開平9―126423号公報

    特開2001―116265号公報

    そこで本発明者は、燃焼方式としては触媒燃焼の代わりに火炎燃焼を採用し、しかも燃焼器内に火炎を留ませる配慮を施して、火炎燃焼による高温の熱発生を可能とすると共に、燃焼器と液体循環装置との間に熱電変換素子を組込むことで、ここを通過する熱により電気を起こし、これで液体循環装置を駆動させることに着目し、本発明を完成したものである。

    すなわち本発明は、LPGボンベを含むガス供給装置と、このガスで働くガス噴出ノズル及びベンチュリー管とを備え、かつ始動のための混合比調整機構を有するガス・空気混合装置と、ここで発生した混合気を燃焼室内で火炎燃焼させるためのものであって、かつ燃焼室内で燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体を内蔵させた燃焼器と、これを囲んで設置した集熱体と、高温側を集熱体に低温側を液体循環装置にそれぞれ接合させた熱電変換素子と、該熱電変換素子で発生した電力で駆動する上記液体循環装置とからなり、燃焼器で発生した熱を液体回路を経て外部の熱負荷に伝えることを特徴とする携帯式熱伝達装置を要旨とするものである。

    また本発明は、燃焼器を取り囲み、かつ燃焼器との間に空間を構成するように集熱体を設けたことを特徴とするものであり、さらに本発明は、ガス・空気混合装置における吸気ダクトの吸気孔外方近傍位置に吸気孔防風板を設けると共に、燃焼部の下流に設けた排気ダストの排気孔外方近傍位置に排気孔防風板を設け、吸気孔及び排気孔は装置の同一方向で互いに離して設置されていることを特徴とするものである。
    さらにまた本発明は、上記熱電変換素子の電力により駆動され集熱器の温度をモニターし、必要時にガス供給装置に働きかけてガスを遮断する制御装置を組込んだことを特徴とするものである。 そして本発明は、上記制御装置を一時的に動かす電源を組込んだことも特徴とするものであり、さらに上記制御装置により制御された燃焼の状態を表示する状態表示器を備えたことをも特徴とするものである。

    (作用)
    本発明は、LPGをガス・空気混合装置によって混合気とし、これを燃焼室内で燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体を備えた燃焼器で火炎燃焼させるが、燃焼器を囲んで設けられた集熱体には高温側を集熱体に低温側を液体循環装置に接合させた熱電変換素子を配置しているため、加熱により液体循環装置内の液体を昇温させると共に、上記熱電変換素子により電力を発生することができ、これによって上記液体循環装置を駆動させて外部の熱負荷に対して液体を循環させることができる。

    図1は本発明携帯式熱伝達装置の第一の実施例を示し、その構成をブロック図で示したものである。
    図において大きな長方形の枠が携帯式熱伝達装置Aの本体全体を示し、この中のブロックが本発明を構成するそれぞれの装置を示しており、各ブロック間は使用するガス、空気、液体等の物質、熱、電気の流れを示す矢印でつながっている。

    本発明の携帯式熱伝達装置Aのうちのガス供給装置Bは、ガスボンベとその着脱装置、ガス開閉レバー、圧力レギュレーター、ガス開閉弁、ガス配管等からなっており、LPGをガス・空気混合装置Cへ一定圧力で供給するようになっている。 そして始動のための混合比調整機構を有するガス・空気混合装置Cは、ガス噴出ノズル、ベンチュリー管、吸気ダクト、絞り弁、ディフューザー等からなり、供給されたガスをノズルからベンチュリー管に吹込み、発生した負圧で外気を吸気ダクト、絞り弁を通しエゼクターに導入し、ガスと空気をディフューザーヘ送るようになっていて、ディフューザーでガスと空気は速度を落としながら混合していくようになっている。
    このようにして得られた混合気の圧力は、ディフューザーの中で速度のエネルギーが圧力のエネルギーに変換され、大気圧より僅かに高くなる。 この圧力差が混合気を、燃焼器、排気ダクトを通り排出させる原動力となる。

    次の燃焼器Dは、燃焼室内で燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体を内蔵したもので構成されている。 燃焼器Dは、例えばセラミックス等の耐熱性、断熱性が高くかつ熱線輻射能の高い材質で作られている。 そして燃焼器上面には、多数の孔が設けてあり燃焼室まで貫通している。 燃焼室は、一部又は全体が平坦で構成されていて、その面に上述の孔が貫通して設けられ、これが炎孔となっている。 この炎孔の少し下流に火炎が形成され、火炎のさらに下流に多孔性輻射変換体が設置されている。 このように構成されているため、高温の排気ガスはエネルギーの一部を燃焼室内部へ戻すことで混合気の燃焼を促進し、火炎を燃焼室内に保持させることができる。 以上の構成にすることにより、今まで触媒燃焼でしかできなかった大気圧バーナーでの容器内燃焼が可能になると共に、触媒燃焼よりずっと高温でしかもより薄い混合気でも持続的に燃焼させることが可能になった。
    なお多孔性固体輻射変換体によって、排気ガスは熱エネルギーの一部を取られてしまうので排気ガスの温度は少し低下するが、その分は燃焼器内部に戻されているので、燃焼器自体がより高温になる。
    この燃焼器を囲んで設置された集熱体Eは、燃焼器Dからの熱を集めるもので、一般にアルミ、銅等の熱良導体で作られている。

    また熱電変換素子Tは、高温側が上記集熱体Eに接合し、低温側が後述する液体循環装置Fの液体循環回路Gに接合して配置されている。 高温の燃焼器Dで発生した熱は、集熱体Eで集められ、熱電変換素子T内部を通り、低温の液体循環装置Fに伝えられるが、このとき熱電変換素子Tに起電力が生じる。 このときの熱電変換素子Tの接合は、それぞれの側が相手方の機器に密着していることが好ましい。

    液体循環装置Fは、モーター等を備えており、熱電変換素子Tの内部を通った熱を液体循環回路G内部の液体に作用して昇温させると共に、上記熱電変換素子Tで発生した電力でモーターを駆動して液体循環装置Fを起動し、液体を外部の熱負荷Hまで移送、循環させるようになっている。

    以上説明したように本発明は、LPGを多孔性固体輻射変換体を内蔵した燃焼器によって燃焼させることにより、高温状態で安定した熱を発生させ、この熱を集熱体Eで集めて熱電変換素子Tにより電力を発生させると共に、液体循環装置F内の液体を昇温させるようにした携帯式熱伝達装置であるから、発生した電気により液体循環装置の循環機関を駆動させて、液体を外部熱負荷に伝達させることができる利点がある。 また、このような構成を採用したことにより、熱エネルギーを液体加熱と起電力の発生に使用できると共に、装置全体を小型化でき、取扱性にも優れ、携帯性にも富んだ特徴を有している。

    図1に示した第一実施例においては、さらに上記熱電変換素子Tで発生した電力の一部を用いて安全機能を組込んでいる。 すなわち熱電変換素子Tの電力により駆動される温度センサーJは、集熱体Eの温度をモニターし、必要時にガス供給装置Bに働きかけてガスを遮断する制御装置Iを組込んでいる。 この制御装置Iは、集熱体Eに取付けた温度センサーJでこの部分の温度をモニターし、集熱体Eの温度が設定温度以上になったとき、ガス供給装置Bに働きかけてガスの供給を遮断する。 また、燃焼器Dの炎が何等かの要因で立消えしたときも、集熱体Eの温度が別の設定温度以下になることにより、ガスを遮断するようになっている。
    このような制御装置Iを組込むことにより、燃焼異常による障害を未然に防止し、安全を確保できることとなる。

    さらに同図においては、制御装置Iにつながる液晶表示器等の状態表示装置Kを設けており、上記の制御装置Iにおける制御状態、さらには携帯用熱伝達装置Aの作動状態を表示することができるため、熱伝達装置の利便性を向上させることができ、さらには異常表示等の表示も可能で、安全性の確保にも寄与する。

    また上記実施例においては、上記制御装置Iにバッテリーによる電源Lを組込んでいるが、これは熱伝達装置を起動する際に、制御装置Iに電気を一時的に供給するためのもので、熱電変換素子Tが十分な起電力を発生させるまでの繋ぎの役目を果たす効果がある。

    図2は本発明携帯式熱伝達装置の第二の実施例を示すものである。 この装置は基本的には上記の実施例と同様、LPGボンベを含むガス供給装置Bと、ノズル及びベンチュリー管を備え、かつ始動のための混合比調整機構を有するガス・空気混合装置Cと、燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体を内蔵した燃焼器Dと、集熱体Eと、熱電変換素子Tと、液体循環装置Fとからなっている。
    このうちガス供給装置Bは、頂部にツマミ10を有する圧力レギュレーター9と、内部にLPGが充填され、ガス開閉レバー6とガス開閉弁7とを介して連結されたガスボンベ8とからなっており、さらにこの出口と後述するガス・空気混合装置Cとの間の通路には、ガス遮断バルブ24及びその操作用のボタン25が設けられている。

    一方ガス・空気混合装置Cは、後述する燃焼器Dと一体型になっているが、吸気孔1'を設けた吸気ダクト1と、この吸気ダクト1に貫通して設けられたガス噴出ノズル2とを備えていて、この下流側にはベンチュリー管3及びディフューザー11がそれぞれ連設され、下流端は燃焼器の入口に臨むようになっている。 なお図中4は空気の吸入量を調節するための絞り弁であり、5はこれを作動させるレバーである。

    上記ガス供給装置Bとガス・空気混合装置Cの作用について説明すると、ガス開閉レバー6を操作してガス開閉弁7を開くと、ガスボンベ8からのLPGが圧力レギュレーター9で一定圧にされた後、ガス噴出ノズル2に供給される。 ガス供給ノズル2の内径は、例えば直径40マイクロメートル〜直径60マイクロメートル程度で、ノズルに加わる圧力は2.9×10 Pa〜19.6×10 Paゲージ圧位が適当で、圧力レギュレーターつまみ10を回して調圧される。 ガスはベンチューリー管3のエゼクターで吸気ダクト1から空気を吸引し、ディフューザー11で速度を弱めながら空気と混合する。 こうしてできる混合気は、レバー5を操作して絞り弁4の開度を調整することにより混合比を変えることができる。 着火時は濃い混合比が必要であるが、定常運転時には理論混合比より少し薄い混合比が不完全燃焼もなく好ましい。
    本発明における混合比調整機構は、上述した例のように空気量を制限して行う方法が簡便で好都合であるが、空気量はそのままでガスの供給量を増すことでも混合比を濃くすることができる。 この場合はもう1個のガスノズルをディフュザー内に設けて圧力レギュレーターと配管で繋ぎ、間にガス開閉バルブを設置すれば良い。 そして混合比を濃くする場合は、このバルブを開にすれば良い。 この場合のガスノズルは、ディフューザーの下流部分で、流れに対し略直交するような方向に噴出するよう設置すれば空気吸引には影響を及ぼすことなく、ガスと空気の混合に寄与することとなる。

    燃焼部は、燃焼室12を備えた燃焼器Dと、これを取り囲むアルミ等の熱良導体で作られた集熱体Eを含んでいる。 燃焼器Dは、燃焼室12の上流側に、平坦面13まで開孔して炎孔14として機能する多数の間隔を隔てた孔15を有する。 燃焼室12は内容積が例えば10cc以下の大変小さいものである。 点火用に燃焼室12内に延びる点火プラグ16が設けられている。

    また燃焼器Dには、燃焼室12の出口に燃焼室内で燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体17が設けられ、この実施例における多孔性固体輻射変換体17としては、例えば直径0.1mm〜0.3mm程度の耐熱金属の針金を網目に編んだ金網を用いている。

    先ず着火のために、レバー5により絞り弁4を調整して空気量を少なくすることで濃い目に設定された混合気が燃焼器Dの多数の孔15から燃焼室12内へ噴出する。 孔15から噴出した混合気は、急激に拡大した平坦面13のために出口近くに渦を作る。 次に点火プラグ16の火花で混合気が爆発し、渦にも着火して炎孔14からの炎が合体し一つの火炎面18が形成され、そして平坦面13近くで安定する。 燃焼により燃焼室12の壁面温度は上昇し、この熱は炎孔14上部も暖めこれにより混合気は予熱され、これにより混合気の燃焼速度が上昇する。 一方燃焼による高温の排気ガスは、上記の多孔性固体輻射変換体17を構成する金網の針金の直径が細いので、熱容量が小さく直ぐに昇温し、数百度になり電磁波として輻射エネルギーを四方八方へ放射するようになる。 輻射エネルギーの一部は、上流側すなわち火炎面を加熱して燃焼が大幅に促進される。 また上記多孔性固体輻射変換体17の位置も重要で、火炎面から離れ過ぎると熱輻射の効果が小さくなり、逆に火炎面18に近過ぎると、着火時の火炎形成ができなくなることが分かった。 このことから、多孔性固体輻射変換体17を燃焼室12の平坦面13から5mm〜15mm程度の距離に設置するのが適当である。 このように排気ガスのもつ熱エネルギーを輻射エネルギーという形で火炎へ熱還流させることができる。 混合気は強く熱せられているため、燃焼速度はしだいに速くなってくる。 この状態をしばらく時間的に維持する必要があるが、これは、多孔性固体輻射変換体17や燃焼器Dの温度が上昇し、燃焼促進機能を発揮するまでの加熱時間である。 その後、レバー5を動かし絞り弁4の開度を大きくして空気を導入すると、混合気の流量が増加し燃焼室12内の流速も早くなる。 通常の燃焼室であればここで火炎面下流に吹き飛んでしまうこととなる。 しかし予熱と熱還流で加熱された混合気は、この流速に対応する燃焼速度をもつため、吹き飛ぶことなく安定した状態で燃焼室内に保持され、保炎が達成される。 混合気は理論混合比より少し空気過剰になっているため、燃焼は完全燃焼で多くの熱エネルギーが発生し還流、予熱に回るため火炎の安定度はどんどん高まっていく。 このように火炎の燃焼速度を高めることにより、小さな燃焼室12で大量のガスを燃やすことができるため、同出力の触媒燃焼器よりも小型化でき、携帯式の熱伝達装置の燃焼器としては最適のものといえる。

    燃焼室12で発生した熱は、燃焼器Dを取り囲む集熱体Eで集められ、これに密着した熱電変換素子Tの高温側に伝えられる。 一方熱電変換素子Tの低温側には、熱良導体の銅、アルミ等で作られた排熱板19が密着され、内部を同じく熱良導体で作られたパイプ20が貫通するようになっている。 パイプ20は、排熱板19、外部の熱負荷H、循環ポンプ21を通り、排熱板19に戻る回路を形成し、内部は液体で満たされている。 熱は熱電変換素子Tの高温側から低温側へ伝わっていき、これに密着している排熱板19に伝わっていくことになる。 このとき熱が熱電変換素子Tを通過することで熱起電力が発生し、これをリード線22でモーター23へ導入することにより、モーター23に連結された循環ポンプ21を回し、パイプ20内の液体を循環させることができる。
    ここでは、排熱板19と循環ポンプ23を両者をつなぐパイプ20、モーター23が、液体循環装置Fを構成している。 このように燃焼器Dで発生した熱は、集熱器E、熱電変換素子T、排熱板19、パイプ20、液体へと伝えられ、外部の熱負荷Hまで移送される。
    なお光電変換素子Tの低温側は、上記のように排熱板を介しパイプ20に接合させることが、高温側との温度勾配を大きくとることができて好ましいが、これを例えば液体循環装置Fにおける循環ポンプ21に接合させることも可能である。

    本発明の多孔性固体輻射変換体17として使われる金網は、一層でも効果があり、複数枚重ねるとより効果的になるが、あまり多くなると流路抵抗が増加してしまうため、非力な大気圧バーナーでは吸込み空気量とのかねあいで決める必要がある。 また金網の目の粗さも同様で、80番〜40番程度が好ましい。 さらに金属にセラミクスコーティングすることで熱による損耗を防ぐと共にセラミクスが良好な輻射能をもつため金網にとって効果的である。 さらに金網の代わりに発泡セラミクスを使用しても良い。

    また本発明に使用される熱電変換素子Tは、熱によって異種金属の接合面に生ずる熱起電力いわゆるジーベック効果を利用して熱エネルギーの一部を電気エネルギーに変換する素子のことで、異種金属でループを作り、2ヵ所の接合面をそれぞれ一方は熱し他方は冷却すると、それぞれの接合面に起電力が発生してループ内に電流が流れる現象を利用するものである。 例えば金属としてテルル・鉛合金に他の金属を加え、P型、N型半導体を形成し、これらの接合面で高い熱起電力が発生することが知られているので、これらを多数並べて、それぞれを板状の電極で結ぶと接合面が得られる。 そしてこの多数の接合面を直列に繋いだ一方の面を高温側、他方の面を低温側にして用いればよい。 なお絶縁のため接合面を覆うように、薄いセラミクスでカバーすることが一般に行われている。

    またこの実施例では、熱電変換素子Tから発生した電力の一部をリード線22で取出す際に分枝して制御装置Iにも供給している。 この制御装置Iは、温度センサーJにより集熱体Eの温度をモニターして設定値以上になると過熱と判断し、ガス供給装置Bに設けたガス遮断バルブ24への電気供給を止めるようになっている。 ガス遮断バルブ24は、電磁石により通電時のみガスを通過させる弁で、本装置I動作中は常に通電されている。 そしてボタン25を矢印方向に押すことで、弁が電磁石に吸着され弁が開くようになっている。
    次に火炎が何等かの理由で立消えた場合、燃焼状態からの立消えでは集熱体Eの温度が、もう一つの設定値以下になること及び温度が下がり続けていると立消えと判断し、制御装置Iはガス遮断バルブ24への通過を遮断する。 また点火ミスによる場合は、電源スイッチ26がONになってからある一定時間(30秒〜60秒)以内に集熱体Eの温度上昇がないとき点火ミスと判断し、ガス遮断バルブ24への通電も止められる。
    電源Lは、バッテリーでスイッチ26をONにすると制御装置Iに電気を供給するようになっている。 スイッチ26は、リンク機構でガス開閉レバー6と機械的に連結されていて、ガス開閉弁7が開かれるとスイッチ26がONになるようになっている。
    以上のように、制御装置I、状態表示器K及び電源Lをを組込むと、燃焼異状による障害を未然に防止して異状表示もできるため、装置の安全性を高めることができ、さらにはこれら制御および表示を安定的に行える効果がある。

    図3は本発明の第三の実施例の一部を示しており、例えば図2に示した第二の実施例の燃焼部を中心にした構成を図3の構成に置き換えた別の例を示すものである。 この実施例では、集熱体Eがアルミ等の熱良導体で作られ、そして燃焼器Dを完全に取り囲み、かつ燃焼器Dとの間に空間を構成するような寸法形状になっている。 両者の結合は、混合気が入ってくる燃焼器Dの上部を取り囲むように配置された断熱材シール31のみで行われている。 集熱体Eには、上流側熱交換部32と下流側熱交換部33を構成する多数の孔34、35がそれぞれ明けられている。 上流側熱交換部32は、断熱シール36でベンチュリー管3と結合されている。
    そして燃焼室12には、上記図2の実施例と同様、出口部分に燃焼室内で燃焼によって生じた燃焼排気エネルギーを輻射エネルギーに一部変換するための多孔性固体輻射変換体17が設置されている。

    上記実施例では、燃焼器Dと集熱体Eとの間が空気の断熱層となっているため、燃焼器Dの熱は、もっぱら下流側熱交換部33及び上流側熱交換部32で集熱体Eに伝えられ、燃焼状態では燃焼室12で発生した熱は燃焼器Dの壁を通して伝熱では集熱体Eには伝わらない。 よって、燃焼器D自体が図2の第二の実施例より高温になることで、燃焼がより促進される。 しかも混合気予熱は、上流側熱交換部32が加わり2段となって燃焼室12内の火炎はより吹飛びにくく安定する。 また高温の排気は、下流側熱交換部33で熱が回収されて熱電変換素子Tに吸収されるため、第二の実施例よりも低くなり結果として多くの熱を無駄なく熱電変換素子Tに供給し得ると共に火炎の一層の安定化も達成することができる利点がある。
    なお第三の実施例で使われる燃焼器Dは、輻射能に優れた耐熱性のセラミクスで形成するのが良いが、ステンレス等の耐熱性金属でも十分に使用可能である。

    図4は本発明携帯式熱伝達装置の第四の実施例を示すものである。 この実施例では、燃焼部として第三の実施例と同様な構成を採用し、さらに下流側熱交換部33から出る排気ガスを装置外に排出するための排気ダクト40と、その排気孔41の外方近傍に設けられた風よけ用の排気孔防風板42とを備えている。 一方吸気ダクト1の吸気孔1'の外方近傍にも吸気孔防風板43が設けられている。 そして吸気孔1'及び排気孔41は、装置の同一方向で互いに離して設置されている。

    これは、外部から風を受けたとき吸気孔1'及び排気孔41に同一の風圧が加わるようにして、火炎の吹き消えが起こらないようにするためで、大気圧バーナー式の風呂釜等で実用化されている。 風呂釜の場合には、吸気孔・排気孔が一体で作られ互いに熱交換することで排気損失を少なくするようになっている。 この実施例でもこのようにすることで損失を減少することができる。 しかしながら本発明の燃焼室12は、風呂釜等の場合の数百分の一程度の内容積しかなく燃焼室負荷(燃焼室発熱量/燃焼室内容積cc)が高い。 これは燃焼室温度が高くなり、火炎が安定する反面、燃焼騒音が大きくなる。 この騒音はディフューザー11、ベンチュリー管3、吸気孔1'へと向うものと排気ダクト40に向うものとに分かれ、そして大気に解放され減衰、消滅してしまう。 ここでもし吸気孔1'と排気孔41とが近接していると、吸気孔及び排気孔が音響学的に結合して、ある特定の周波数が強められる共振が発生し易くなり、騒音が圧力変動へ変化していき火炎は消されてしまう。 これを防止するため、燃焼室、排気孔と燃焼室の気体の通る道の距離をできるだけ短くすると共に互いにある距離を離して設置する必要がある。 どうしても近接させなければならない場合、両者の間に壁を設けて音響学的結合を遮断する必要がある。 防風板42,43は、吸気孔1'及び排気孔41に直接風圧が加わらないように孔を完全に覆う大きさにすることが好ましい。 防風板は、吸気孔1'及び排気孔41の面より間隔をあけて設置して、その間隔から吸気、排気が行われる。 なお吸気孔1'及び排気孔41に設ける防風板42,43は、図示したように互いが同一平面となるようにすることが風圧の差がなくより好ましいが、平面位置が若干ずれていても構わない。

    さらにこの実施例では、排気ダクト40の中に図示するように熱交換器44を設置している。 液体は熱電変換素子Tの起電力で駆動する循環ポンプ21により、排熱板19、熱交換器44、外部の熱負荷Hの順に廻り、また循環ポンプ21に戻るようになっている。 これにより排気ガスの熱エネルギーの一部を熱交換器44で回収し、外部の熱負荷Hに供給することで熱効率が向上する。

    本発明の携帯式熱伝達装置の第一の実施例を示すブロック図である。

    本発明の携帯式熱伝達装置の第二の実施例を示す一部切断正面図である。

    本発明の携帯式熱伝達装置の第三の実施例を示す部分的な断面図である。

    本発明の携帯式熱伝達装置の第四の実施例を示す一部切断正面図である。

    符号の説明

    A 携帯式熱伝達装置本体 B ガス供給装置 C 空気吸引・ガス・空気混合装置 D 燃焼器 E 集熱体 F 液体循環装置 G 液体循環回路 H 外部の熱負荷 I 制御装置 J 温度センサー K 状態表示器 L 電源 T 熱電変換素子 1 吸気ダクト 1'吸気孔 2 ガス噴出ノズル 3 ベンチュリー管 4 絞り弁 5 レバー 6 ガス開閉レバー 7 ガス開閉弁 8 ボンベ 9 圧力レギュレーター 10 圧力レギュレーターツマミ 11 ディフューザー 12 燃焼室 13 平坦面 14 炎孔 15 穴 16 点火プラグ 17 多孔性固体輻射交換体 18 火炎面 19 排熱板 20 パイプ 21 循環ポンプ 22 リード線 23 モーター 24 ガス遮断バルブ 25 ボタン 26 スイッチ 31 断熱材シール 32 上流側熱交換部 33 下流側熱交換部 34 孔 35 孔 36 断熱シール 40 排気ダクト41 排気孔42 排気孔防風板 43 排気孔防風板 44 熱交換器

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