Method for disinfecting soil and apparatus therefor

申请号 JP2003092909 申请日 2003-03-28 公开(公告)号 JP2004298026A 公开(公告)日 2004-10-28
申请人 National Agriculture & Bio-Oriented Research Organization; Serutekku Project Management Kk; セルテック・プロジェクト・マネージメント株式会社; 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構; 发明人 TANIWAKI KEN; KOBAYASHI YUICHI; IIJIMA WATARU; YAMASHITA MASATERU; KOTANI HAJIME;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for disinfecting soil by which the soil within a range of crop planting depth in a field can surely be disinfected in a short time and even economic efficiency and operating efficiency are good, and to provide an apparatus therefor.
SOLUTION: There are provided a field moving body (100) having an underground traveling part (A) and an above-ground traveling part (B), microwave radiators (21a to 21d) held by the underground traveling part (A) of the field moving body (100), microwave generating sources (31a to 31d) held by the above-ground traveling part (B) of the field moving body (100) and waveguides (41a to 41d) connecting the microwave generating sources (31a to 31d) held by the above-ground traveling part (B) to the microwave radiators (21a to 21d) held by the underground traveling part (A).
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • 地下所定深さを進行するマイクロ波放射器から地中へとマイクロ波を放射することにより、消毒対象となる土壌をマイクロ波放射器の進行軌跡に沿って誘電加熱により昇温させる土壌消毒方法。
  • マイクロ波放射器から地中へと放射されるマイクロ波の放射方向がほぼ水平方向とされ、それにより消毒対象となる土壌が所定の深さ範囲内において誘電加熱により昇温される請求項1に記載の土壌消毒方法。
  • マイクロ波放射器の地中進行が同一進行軌跡に沿って2回以上かつ深さを異ならせて行われ、それによりマイクロ波放射器の進行に伴い地面から所定深さに至る一連の土壌が誘電加熱により昇温される請求項2に記載の土壌消毒方法。
  • 複数台のマイクロ波照射器が進行方向と直交する方向へと適当な距離を隔てて配置され、それによりマイクロ波放射器の進行に伴い消毒対象となる土壌が地面に沿った所定幅に亘って誘電加熱により帯状に昇温される請求項2又は3に記載の土壌消毒方法。
  • 複数台のマイクロ波照射器のうちの相隣接する2台が互いに放射面を向かい合わせて配置され、それにより2台のマイクロ波照射器の間にマイクロ波の重畳電場が形成される請求項4に記載の土壌消毒方法。
  • マイクロ波の照射に先立ち、消毒対象となる土壌に塩類である肥料を混入する請求項1〜5のいずれかに記載の土壌消毒方法。
  • 昇温されるべき規定温度が線虫が数分程度で死滅する温度である60度以上とされる請求項1〜5のいずれかに記載の土壌消毒方法。
  • 昇温される土壌の深さ範囲が根菜類の植え付け深さ範囲である地面から20乃至30cm以内である請求項1〜5のいずれかに記載の土壌消毒方法。
  • 地中潜行部と地上進行部とを有する圃場移動体と、圃場移動体の地中潜行部に保持されたマイクロ波放射器と、圃場移動体の地上進行部に保持されたマイクロ波発生源と、地上進行部に保持されたマイクロ波発生源と地中潜行部に保持されたマイクロ波放射器とを繋ぐ導波管と、を具備する土壌消毒装置。
  • 圃場移動体が、進行方向と直交する方向へと適当な距離を隔てて配置された複数個の地中潜行部を有し、マイクロ波照射器は各地中潜行部のそれぞれに保持されている請求項9に記載の土壌消毒装置。
  • マイクロ波放射器の放射中心軸が進行方向と直交する方向においてほぼ水平方向に向けられている請求項9又は10のいずれかに記載の土壌消毒装置。
  • 相隣接する地中潜行部のそれぞれに保持されたマイクロ波送波器が互いに対向している請求項11に記載の土壌消毒装置。
  • 地中潜行部の潜行深さを調整するための潜行深さ調整具を有する請求項9〜12のいずれかに記載の土壌消毒装置。
  • 地中潜行部に保持されたマイクロ波送波器から送波されたマイクロ波が地上へと漏洩することを防止するための遮蔽体を有する請求項9〜12のいずれかに記載の土壌消毒装置。
  • 圃場移動体が牽引式とされた請求項9〜14のいずれかに記載の土壌消毒装置。
  • 圃場移動体が自走式とされた請求項9〜14のいずれかに記載の土壌消毒装置。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    この発明は、圃場の線虫駆除等の目的で使用される農業用の土壌消毒方法及び装置に係り、特に、マイクロ波を利用した土壌消毒方法及び装置に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    従来、野菜類、花卉類の床土消毒、葉菜類の苗床消毒、施設野菜の土壌消毒については、廉価で使用方法が簡単かつ効果の高い薬剤である『臭化メチル』が広く利用されてきた。 しかし、この臭化メチルは、1987年にウイーン条約締結国によって採択された『オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書』によってその使用制限が合意され、その後数回の改訂を経て、2005年1月1日を以て全面使用禁止が決定された。
    【0003】
    こうした状況を受けて、臭化メチルに代わる土壌消毒技術の開発が試みられており、その代表的なものとして、土壌燻蒸による消毒、太陽熱消毒、温湯消毒、燻蒸消毒等が挙げられるが、いずれも有効性、経済性、作業性において問題を残しており、代替案が確立したとは言い難い。 タイムリミットとなる2005年の年頭まで余すところ2年弱であり、有効な技法の確立が急務とされている。
    【0004】
    マイクロ波を利用した殺菌、殺虫、除草等はかつて欧州で試みられたが、安定した技法としての認知はなされていないのが現状である。 なお、マイクロ波を照射することにより、誘電加熱作用を利用して含有分を加熱膨張させることにより、岩盤や地盤を破壊させる土木技術は従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
    【0005】
    【特許文献1】
    特開平07−91181号【0006】
    【発明が解決しようとする課題】
    圃場に植え付けられた作物が土壌中の線虫から受ける影響(所謂、連作障害)を、土壌の加熱殺菌消毒により防止するためには、圃場における通常の作物(例えば、根菜類等)の植え付け深さである地面から20乃至30cm程度に至る範囲に存在する土壌の温度を、少なくとも数分程度の間、所定温度(例えば摂氏60度)以上に維持することが条件とされている。
    【0007】
    このような加熱殺菌消毒のための温度条件を圃場に対する熱湯散布により実現しようとすると、大量の熱湯の供給、その散布、散布後の保温用シートによる被覆、それらの作業の繰り返し、等々のために多大なる手間と費用が掛かることに加えて、地中浸透に際して熱湯の温度は急激に低下するため、目的とする深さの土壌中の線虫を確実に死滅させるためには、長期間(例えば、1週間程度)を要する。
    【0008】
    そこで、本発明者等は、上述の温度条件を圃場に対するマイクロ波照射により達成することを試みた。 しかし、圃場の地面に対して真上からマイクロ波を照射したところでは、地面下10cm程度の深さまでが精々であって、目的とする深さ(例えば、地面下20乃至30cm程度)まで上述の温度条件を達成することはできないとの知見が得られた。
    【0009】
    加えて、マイクロ波の送信出を増加させても、マイクロ波の地中浸透深さはあまり変わらないらしく、実際、比較的に浅い領域(例えば、地面から10cm程度までの深さ領域)の土壌に関する到達温度は送信出力に応じて上昇するものの、それ以上の深さ領域については送信出力を増大させても、なかなか目的とする温度にまで到達しないとの知見も得られた。
    【0010】
    この発明は、上述の知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、圃場における作物植え付け深さ範囲の土壌を確実かつ短時間に消毒することができ、しかも経済性並びに作業性も良好な土壌の消毒方法及び装置を提供することにある。
    【0011】
    この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
    【0012】
    【課題を解決するための手段】
    上記の目的を達成するために、本発明の土壌消毒方法は、地下所定深さを進行するマイクロ波放射器から地中へとマイクロ波を放射することにより、消毒対象となる土壌をマイクロ波放射器の進行軌跡に沿って誘電加熱により昇温させるものである。 つまり、圃場の表面に真上からマイクロ波を照射するのではなく、マイクロ波送波器それ自体を地中に潜行させることで、その潜行深さの位置からマイクロ波を地中へと任意の度で放射するのである。
    【0013】
    このような構成によれば、マイクロ波送波器それ自体を地中に位置させることで、圃場の地面への垂直照射ではマイクロ波が十分に届かない深さの土壌であっても、これに十分な強度を有するマイクロ波を照射し、誘電加熱作用により消毒対象となる土壌の温度を消毒必要温度にまで確実に上昇させ、消毒目的とする生物(線虫等)を死滅させることができる。
    【0014】
    このとき、マイクロ波放射器から地中へと放射されるマイクロ波の放射中心軸の方向をほぼ水平方向とすれば、土壌は所定の深さ範囲内においてのみ誘電加熱により層状に昇温されるから、土壌中の一定の深さ範囲に生息する線虫等の微生物を集中的に死滅させることができる。
    【0015】
    また、マイクロ波放射器の地中進行を同一進行軌跡に沿って2回以上かつ深さを異ならせて行わせれば、地面から所定深さに至る一連の土壌が各回の既加熱層を重ねるようにして全体的に加熱され、その結果、作物植え付け深さ範囲の土壌を均一に消毒することができる。
    【0016】
    また、複数台のマイクロ波照射器を進行方向と直交する方向へと適当な距離を隔てて配置すれば、それら複数のマイクロ波放射器の進行に伴い消毒対象となる土壌を地面に沿った所定幅に亘って誘電加熱により帯状に昇温させ、それにより任意の幅に亘って圃場を帯状に消毒することができる。
    【0017】
    さらに、複数台のマイクロ波照射器のうちの相隣接する2台が互いに放射面を向かい合わせて配置されていれば、それにより2台のマイクロ波照射器の間にマイクロ波の重畳電場が形成されて、土壌をより強力に加熱することでがきる。
    【0018】
    本発明方法の実施にあたっては、マイクロ波の照射に先立ち、消毒対象となる土壌に塩類である肥料(例えば、窒素、リン酸、カリウムを含む化成肥料等)を混入すれば、その分だけ土壌の複素誘電率が高くなり、マイクロ波照射による加熱効率が向上する。 また、土壌中の線虫を対象として加熱消毒を行う場合、土壌の昇温目標温度としては摂氏60度以上とすることが好ましい。 さらに、植え付け対象となる作物が根菜類である場合には、昇温されるべき土壌の深さ範囲は地面から20乃至30cm程度の範囲内であることが好ましい。
    【0019】
    次に、本発明の土壌消毒装置は、地中潜行部と地上進行部とを有する圃場移動体と、圃場移動体の地中潜行部に保持されたマイクロ波放射器と、圃場移動体の地上進行部に保持されたマイクロ波発生源と、地上進行部に保持されたマイクロ波発生源と地中潜行部に保持されたマイクロ波放射器とを繋ぐ導波管と、を具備するものである。 ここで、『地中潜行部』とは、進行に伴い地中に潜り込んでほぼ一定の深さを進行する作用を有する部分であり、チゼルやサブソイラ等の農機具における地中潜行部がこれに近似する概念と言えるであろう。
    【0020】
    このような構成によれば、マイクロ波送波器は地中潜行部に保持されて地中を進行する一方、地上進行部に保持されたマイクロ波発生源(例えば、マグネトロン等)から発生したマイクロ波は導波管を通じて地中のマイクロ波発生器へと導かれるから、マイクロ波送波器それ自体を地中に位置させることで、圃場の地面への垂直照射ではマイクロ波が十分に届かない深さの土壌であっても、これに十分な強度を有するマイクロ波を照射し、誘電加熱作用により消毒対象となる土壌の温度を消毒必要温度にまで確実に上昇させ、消毒目的とする微生物(線虫等)を死滅させることができる。 しかも、マイクロ波発生源は地上に位置するから、冷却等に支障を来すこともない。
    【0021】
    このとき、圃場移動体が、進行方向と直交する方向へと適当な距離を隔てて配置された複数個の地中潜行部を有し、マイクロ波照射器は各地中潜行部のそれぞれに保持されていれば、それら複数のマイクロ波放射器の進行に伴い消毒対象となる土壌を地面に沿った所定幅に亘って誘電加熱により帯状に昇温させ、それにより任意の幅に亘って圃場を帯状に消毒することができる。
    【0022】
    また、マイクロ波放射器の放射中心軸が進行方向と直交する方向においてほぼ水平方向に向けられていれば、土壌は所定の深さ範囲内においてのみ誘電加熱により層状に昇温されるから、土壌中の一定の深さ範囲に生息する線虫等の微生物を集中的に死滅させることができる。
    【0023】
    また、相隣接する地中潜行部のそれぞれに保持されたマイクロ波送波器が互いに対向していれば、それにより2台のマイクロ波照射器の間にマイクロ波の重畳電場が形成されて、土壌をより強力に加熱することでがきる。
    【0024】
    また、地中潜行部の潜行深さを調整するための潜行深さ調整具を有していれば、潜行深さを任意に変更して所望深さの土壌を選択的に消毒することができると共に、同一の圃場を2乃至3回に分けて深さを異ならせて消毒することにより、圃場を深く掘り下げるようにして、地面から所定深さに至る一連の土壌を連続的に消毒することができる。
    【0025】
    また、地中潜行部に保持されたマイクロ波送波器から送波されたマイクロ波が地上へと漏洩することを防止するための遮蔽体を有していれば、作業者が不用意にマイクロ波を浴びる危険を未然に防止することができる。
    【0026】
    以上説明した圃場移動体は、牽引式としても、自走式としてもよい。 ここで、牽引式とした場合には、例えば耕耘機の後部に取り付ける等して牽引移動すればよく、又自走式とした場合には、所謂ミッドマウント方式の農作業車に取り付ければ良いであろう。
    【0027】
    【発明の実施の形態】
    以下に、この発明に係る土壌消毒方法並びにそれを実施するための土壌消毒装置の好適な実施の一形態を添附図面を参照しつつ詳細に説明する。 図1は本発明装置の使用状態における概略的側断面図、図2は本発明装置の概略的平面図、図3は本発明装置の概略的正面図、図4はマイクロ波送波器の配置を示す本発明装置の平断面図である。
    【0028】
    図1に示されるように、本発明に係る圃場移動体100は、地中潜行部Aと地上進行部Bとを有する。 地中潜行部Aにはマイクロ波送波器21a〜21dが保持されている。 地上進行部Bにはマイクロ波発生源であるマグネトロン31a〜31dが保持されている。 地上進行部Bに保持されたマグネトロン31a〜31dと地中潜行部Aに保持されたマイクロ波送波器21a〜21dとは導波管41a〜41dを介して結ばれている。 そのため、マイクロ波送波器21a〜21dは地中潜行部Aに保持されて地中を進行する一方、地上進行部Bに保持されたマグネトロン31a〜31dから発生したマイクロ波は導波管41a〜41dを通じて地中のマイクロ波発生器21a〜21dへと導かれるから、マイクロ波送波器21a〜21dそれ自体を地中に位置させることで、圃場の地面への垂直照射ではマイクロ波が十分に届かない深さの土壌8であっても、これに十分な強度を有するマイクロ波を照射し、誘電加熱作用により消毒対象となる土壌の温度を消毒必要温度にまで確実に上昇させ、消毒目的とする微生物(線虫等)を死滅させることができる。
    【0029】
    より詳細に説明すると、図4に示されるように、圃場移動体100は、ベースフレーム1を主体として構成されている。 ベースフレーム1は、前部支持バー11と、後部支持バー12と、左側部支持バー13と、右側部支持バー14とからなる矩形フレーム内に、8本の縦方向リブ15と、4本の横方向リブ16とを組み込んで一体化したものである。
    【0030】
    このベースフレーム1には、4個の地中潜行体21,22,23,24が垂直下向きに取り付けられている。 地中潜行体21,22,23,24のそれぞれは、鋼板よりなるの左右の側壁板25,26を図示しないスペーサを介して対向一体化してなるものであり、それら左右の側壁板25,26で囲まれる空所は上下方向へと連通すると共に、前部は後述する先き金(図1参照)27にて塞がれている。 図1に示されるように、先き金27の先端部には、地中に潜り込ませるための前下がりのテーパ面を有する爪28が設けられている。 したがって、圃場移動体100が前方へと進行すると、先き金27の先端に設けられた爪28に案内されて、地中潜行体21,22,23,24は地中に潜り込み、それによりマイクロ波送波器21a〜21d、22a〜22d、23a〜23d、24a〜24dについても、地中潜行体に保護されつつ地中を潜行することとなる。 なお、図1は、図2に示される圃場移動体100を、左側壁板26を取り外して左側面より見た状態を示している。
    【0031】
    図4に示されるように、地中潜行体21内の下部に水平一列に収容された4個のマイクロ波送波器21a〜21dのうちで、進行方向後部に配置された2個のマイクロ波送波器21a,21bは進行方向に向かって水平右向きに取り付けられており、進行方向前部に配置された2個のマイクロ波送波器21c,21dは進行方向に向かって水平左向きに取り付けられている。 同様にして、地中潜行体22内の下部に水平一列に収容された4個のマイクロ波送波器22a〜22dのうちで、進行方向後部に配置された2個のマイクロ波送波器22a,22bは進行方向に向かって水平左向きに取り付けられており、進行方向前部に配置された2個のマイクロ波送波器22c,22dは進行方向に向かって水平右向きに取り付けられている。 同様にして、地中潜行体23内の下部に水平一列に収容された4個のマイクロ波送波器23a〜23dのうちで、進行方向後部に配置された2個のマイクロ波送波器23a,23bは進行方向に向かって水平右向きに取り付けられており、進行方向前部に配置された2個のマイクロ波送波器23c,23dは進行方向に向かって水平左向きに取り付けられている。 同様にして、地中潜行体24内の下部に水平一列に収容された4個のマイクロ波送波器24a〜24dのうちで、進行方向後部に配置された2個のマイクロ波送波器24a,24bは進行方向に向かって水平左向きに取り付けられており、進行方向前部に配置された2個のマイクロ波送波器24c,24dは進行方向に向かって水平右向きに取り付けられている。
    【0032】
    そのため、図4から明らかなように、地中潜行体21に設けられた2個のマイクロ波送波器21a,21bと隣接する地中潜行体22に設けられた2個のマイクロ波送波器22a,22bとは互いに向かい合わせに配置されることとなり、それらのマイクロ波送波器間にはマイクロ波の重畳電場が形成される。 同様にして、地中潜行体22に設けられた2個のマイクロ波送波器22c,22dと隣接する地中潜行体23に設けられた2個のマイクロ波送波器23c,23dとは互いに向かい合わせに配置されることとなり、それらのマイクロ波送波器間にはマイクロ波の重畳電場が形成される。 同様にして、地中潜行体23に設けられた2個のマイクロ波送波器23a,23bと隣接する地中潜行体24に設けられた2個のマイクロ波送波器24a,24bとは互いに向かい合わせに配置されることとなり、それらのマイクロ波送波器間にはマイクロ波の重畳電場が形成される。 これにより、圃場移動体100の移動に連れて、4個の地中潜行体21〜24の間の土壌には、強力なマイクロ波が放射され、誘電加熱作用により土壌8の加熱がなされることとなる。
    【0033】
    図1に戻って、マイクロ波発生源であるマグネトロン(例えば、2.45GHz)31a〜31dは、図では中に浮いた状態に示されているが、実際には、図示しない支持機構を介してベースフレーム1上に支持固定され、それには図示しないが冷却用のブロワが付設されている。 すなわち、図2に示されるように、4個の地中潜行体21〜24のそれぞれには、マイクロ波放射器に結合される4本の導波管41a〜41d,42a〜42d,43a〜43d,44a〜44dが垂直方向に向けて収容されており、それらの導波管の上端部のそれぞれ毎にマグネトロンが設けられているのである。 そのため、マグネトロンから発せされたマイクロ波は導波管を伝ってマイクロ波放射器へと至り、ここで水平方向右側又は左側へと向きを変えて地中へ放出されることとなる。 なお、地中潜行体21〜24を構成する左右の側壁板25,26には、図示しないが、マイクロ波放射器の放射口に対応して円形の開口が形成されており、この開口を介してマイクロ波は地中へと放射される。
    【0034】
    こうして地中に放出されたマイクロ波は土壌の加熱に供されるのであるが、地中潜行体21〜24の左右側面とそれに接する土壌との間は密に接してはいないから、それらの隙間よりマイクロ波が地上へと漏洩することが考えられる。 そのため、図2に示されるように、相隣接する地中潜行体21〜24の間の空所は鋼板等よりなるシールド板9にて塞がれている。 これにより、土壌消毒作業中に作業者が漏洩マイクロ波を浴びると言った危険が排除される。
    【0035】
    図1に戻って、ベースフレーム1の後部にはブラケット51が設けられ、このブラケット51には左右2個の定規輪65,65が支持されている(図2参照)。 すなわち、図において、64は定規輪のシャフト、63は定規輪のシャフトを支える二股状のヨーク、61はヨーク63に固定された支持ロッド、62は支持ロッド61の長さを調整するためのストッパであり、このストッパ62の位置を上下することで支持ロッド61の突出長さを変更して、定規輪65の高さ(すなわち、潜行深さD1)を任意に調整可能となされている。 同様にして、ベースフレーム1の前部にもブラケット52が設けられ、このブラケット52にも左右2個の定規輪65,65が支持されている(図2参照)。 すなわち、図において、64は定規輪のシャフト、63は定規輪のシャフトを支える二股状のヨーク、61はヨーク63に固定された支持ロッド、62は支持ロッド61の長さを調整するためのストッパであり、このストッパ62の位置を上下することで支持ロッド61の突出長さを変更して、定規輪65の高さ(すなわち、潜行深さD1)を任意に調整可能となされている。
    【0036】
    さらに、図2に示されるように、ベースフレーム1の前端部には、前部ベース板73が一体的に固定されている。 この前部ベース板73には、牽引作業の際に用いるための引き手71並びに引き棒73が取り付けられている。
    【0037】
    本発明装置の作用を説明するための側面図並びに正面図が図7及び図8に示されている。 それらの図を参照しながら、本発明装置を使用した土壌消毒方法を以下に詳細に説明する。
    【0038】
    圃場移動体100の使用にあたっては、先ず、これを図7に示されるように、耕耘機200の後部に取り付けて牽引させる。 このとき、定規輪65の高さを調整することにより、地中潜行体21〜24の潜行深さD1(図1参照)を適切に設定する。 根菜類等の植え付けが予定される圃場の場合、例えば地面から20乃至30cmの深さ範囲に存在する土壌を消毒する。 この場合、例えば、1回目は30cmから15cmの深さ範囲、2回目は15cmから地表面までの深さ範囲と言ったように2回に分けて消毒を行うとすれば、定規輪65の高さをそのような深さD1に合わせて設定する。 次に、土壌消毒に先立って、対象土壌の複素誘電率を高めるために、圃場の消毒予定領域に塩類である肥料(例えば、窒素、リン酸、カリウムを含む化成肥料等)を混入する。 次に、耕耘機200に牽引させながら、圃場移動体100を圃場の消毒予定領域に走行させる。 1回目の走行が完了したならば、定規輪65の高さを変えて、2回目の走行を行わせる。 すると、各走行の毎に、地中潜行体21〜24に挟まれる領域に存在する土壌は、図8に示されるように、水平方向両側からのマイクロ波照射による誘電加熱作用によって加熱昇温される。 このとき、マイクロ波のパワー並びに圃場移動体の移動速度を適切に設定しておけば、消毒対象となる土壌の温度は摂氏60度以上となり、しかもその状態は少なくとも数分程度は維持されるから、目的とする線虫を圃場移動体100の全幅並びに予定深さ(地表から30cm程度)に亘って確実に死滅させることができる。
    【0039】
    なお、以上の実施形態においては、本発明の圃場移動体を牽引式に構成したが、それに替えて、ミッドマウント式農作業機に装着する等して、自走式に構成することもできることは勿論である。 また、以上の実施形態においては、地中潜行体を圃場移動体に4列設け、それぞれにマイクロ波放射器を内蔵させたが、地中潜行体の配列並びにそれに内蔵されるマイクロ波放射器の個数並びに向きはこれに限定されるものではない。 また、以上の実施形態においては、マイクロ波発生源として2.45GHzのマグネトロンを採用したが、マイクロ波発生源の構成並びに周波数もこれに限定されるものではない。 さらに、以上の実施形態においては、潜行深さ調整具として定規輪を示したが、例えば引き手71と耕耘機200とのジョイント部で高さ調整できるような構造を採用してもよい。
    【0040】
    次に、本発明装置に好適なマイクロ波送波器付の導波管について図5〜図7を参照して説明する。 図5及び図6に示されるように、この導波管は、断面長方形状を有する所定長さの角筒状導波管91と、この角筒状導波管91の先端部に取り付けられる底の平坦な円形腕状放射器92とから構成されている。 角筒状導波管91並びに円形腕状放射器92の素材としてはステンレス(SUS)が使用される。 角筒状導波管91は幅W並びに高さHからなる長方形状の断面形状を有する。 円形腕状放射器92は深さD2を有しかつ底部92aの平坦な腕状外形を有する。 また、円形腕状放射器92の直径は、角筒状導波管91の幅Wよりも大径とされている。 円形腕状放射器92の内周の一部は角筒状導波管91との接続のために切り欠かれる。 角筒状導波管91の先端部は、接続対象となる腕状放射器92の周側面の曲率に合わせて切断される。 こうして予備加工された角筒状導波管91と円形腕状放射器92とは切り口91a,91bを整合させて溶接により結合される。 なお、図において、91cは取付け用のブラケットである。
    【0041】
    こうして得られたマイクロ波送波器付き導波管によれば、導波管に沿って伝播されたマイクロ波を、導波管の先端部から直角方向に曲げて外部に放射することができ、しかも導波管先端で反射して戻るマイクロ波が極めて少なく、マイクロ波を効率よく地中へと放射することができる。 対向するマイクロ波送波器間における加熱エネルギ分布を示すコンピュータシミュレーション結果が図9に示されている。 同図に示されるように、図5及び図6に示される構造のマイクロ波送波器付きの導波管を使用したところでは、両マイクロ波放射器間に高密度の加熱エネルギ分布が得られることが確認された。
    【0042】
    また、角筒状導波管91の高さHと円形腕状放射器92の深さD2とはほぼ同等であるため、地中潜行体21〜24を構成する左右の側壁板25,26の間にコンパクトに収容することができる。 加えて、角筒状導波管91と円形腕状放射器92とを溶接一体化すると言う加工方法を採用しているため、素材として曲げ加工が難しい硬質素材(SUS)を使用しつつも、製作が容易であると言う利点もある。 すなわち、角筒状導波管それ自体をプレスで曲げ加工して、角筒状導波管の先端部を直角に曲げることも考えられるが、その場合には著しく加工が困難であるのに対して、この例のように、放射器部分はプレスで成形しつつも、これと導波管部分とを溶接するようにすれば、曲げ加工が不要であるから製作が著しく容易となる。
    【0043】
    最後に、マイクロ波式土壌消毒方法と熱湯式土壌消毒方法とで経済性を比較して示すグラフが図10に示されている。 同図から明らかなように、本発明者等による試算によれば、処理面積が180ヘクタールを越える領域においては、熱湯散布方式よりも、本発明方法の採用が有利であることが判明した。
    【0044】
    【発明の効果】
    以上の説明で明らかなように、本発明によれば、経済性並びに作業性を良好に維持しつつ、圃場における作物植え付け深さ範囲の土壌を確実かつ短時間に消毒することができる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明装置の使用状態における概略的側断面図である。
    【図2】本発明装置の概略的平面図である。
    【図3】本発明装置の概略的正面図である。
    【図4】マイクロ波送波器の配置を中心として示す本発明装置の平断面図である。
    【図5】マイクロ波送波器付き導波管の一例を示す構成図である。
    【図6】マイクロ波付き導波管の斜視図である。
    【図7】本発明装置の作用を説明するための側断面図である。
    【図8】本発明装置の作用を説明するための正面図である。
    【図9】対向するマイクロ波送波器間における加熱エネルギー分布を示すコンピュータシミュレーション結果を示す図である。
    【図10】マイクロ波式土壌消毒方法と熱湯式土壌消毒方法とで経済性を比較して示すグラフである。
    【符号の説明】
    1 ベースフレーム11 全部支持バー12 後部支持バー13 左側部支持バー14 右側部支持バー15 縦方向リブ16 横方向リブ21〜24 地中潜行体21a〜21d、22a〜22d、23a〜23d、24a〜24d マイクロ波送波器25 左側壁板26 右側壁板31a〜31d マグネトロン(マイクロ波発生源)
    41a〜41d、42a〜42d、43a〜43d、44a〜44d 導波管51,52 ブラケット61 支持ロッド62 ストッパ63 ヨーク64 シャフト65 定規輪71 引き手72 引き棒73 前部ベース板8 土壌9 シールド板91 角筒状導波管92 円形腕状放射体100 圃場移動体200 耕耘機A 地中潜行部B 地上進行部

    QQ群二维码
    意见反馈