ヒータおよびこれを備えたグロープラグ

申请号 JP2013536473 申请日 2012-09-29 公开(公告)号 JPWO2013047849A1 公开(公告)日 2015-03-30
申请人 京セラ株式会社; 发明人 健 岡村; 健 岡村;
摘要 【課題】導体線路に大電流が流れても、導体線路へのマイクロクラック等の発生が抑制されたヒータおよびこれを備えたグロープラグを提供する。【解決手段】本発明は、セラミックスからなる絶縁基体1と、絶縁基体1に埋設された導体線路2とを備えたヒータであって、導体線路2には導体粒子とセラミック粒子とが含まれていて、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径が絶縁基体1中のセラミック粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とするヒータである。【選択図】図1
权利要求
  • セラミックスからなる絶縁基体と、該絶縁基体に埋設された導体線路とを備え、前記導体線路には導体粒子とセラミック粒子とが含まれていて、前記導体線路に含まれているセラミック粒子の平均粒径が前記絶縁基体中のセラミック粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とするヒータ。
  • 前記導体線路に含まれているセラミック粒子の平均粒径は、前記絶縁基体との界面に近い表層部よりも内側のほうが小さいことを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
  • 前記導体線路に含まれているセラミック粒子の平均粒径は、前記導体線路に含まれている導体粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒータ。
  • 前記導体線路にCrが含まれていて、該Crの含有量が酸化物換算で1×10 −6質量%〜1×10 −1質量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のヒータ。
  • 請求項1に記載のヒータと、前記導体線路と電気的に接続されるとともに前記ヒータを保持する金属製保持部材とを備えたことを特徴とするグロープラグ。
  • 说明书全文

    本発明は、例えば燃焼式車載暖房装置における点火用若しくは炎検知用のヒータ、石油ファンヒータ等の各種燃焼機器の点火用のヒータ、自動車エンジンのグロープラグ用のヒータ、酸素センサ等の各種センサ用のヒータ、測定機器の加熱用のヒータ等に利用されるヒータおよびこれを備えたグロープラグに関するものである。

    自動車エンジンのグロープラグ等に用いられるヒータは、絶縁基体と絶縁基体中に埋設された導体線路とから構成されており、導体線路としては、発熱部を有する抵抗体と絶縁基体の表面に導出するためのリードとからなっている。 そして、リードの抵抗値が抵抗体の抵抗値より小さくなるように、これらの材料の選定や設計がされている(例えば、特許文献1を参照)。

    特開2002−334768号公報

    近年、急激に高い電がヒータに突入するようになってきたため、ヒータ温度が一定になるまでの過渡状態においてヒータ内部には次のような急激な温度変化が生じている。

    まず、導体線路の先端部に位置する抵抗体が発熱を開始し、続いて抵抗体からリードの終端に向かって導体線路の表層部を熱が伝播して導体線路は表層部から加熱される。 次に、導体線路よりも熱伝導度の低い絶縁基体が導体線路から伝わってきた熱によって加熱される。 このとき、導体線路よりも熱伝導度の低い絶縁基体の加熱が遅れるので、先に加熱された導体線路が熱膨張により軸方向に一直線に伸びようとする時に、遅れて加熱された絶縁基体は遅れて熱膨張して、導体線路と絶縁基体の軸方向の熱膨張にズレが生じて界面に応力が加わる。

    ここで、界面に応力が加わった状態でヒータの加熱が進行すると、導体線路の表層部にマイクロクラック等が生じ、抵抗値が変化する問題を生じることがあった。

    本発明は、上記従来の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、導体線路に大電流が流れても、導体線路へのマイクロクラック等の発生が抑制されたヒータおよびこれを備えたグロープラグを提供することである。

    本発明のヒータは、セラミックスからなる絶縁基体と、該絶縁基体に埋設された導体線路とを備えたヒータであって、前記導体線路には導体粒子とセラミック粒子とが含まれていて、前記導体線路に含まれているセラミック粒子の平均粒径が前記絶縁基体中のセラミック粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする。

    また本発明は、上記の構成のヒータと、前記導体線路と電気的に接続されて前記ヒータを保持する金属製保持部材とを備えたことを特徴とするグロープラグである。

    本発明のヒータによれば、導体線路には導体粒子とセラミック粒子とが含まれているので、導体線路の熱膨張係数を絶縁基体の熱膨張係数に近づけて、界面に加わる応力を低減させることができる。 さらに、導体線路中に含まれているセラミック粒子の粒径が絶縁基体中のセラミック粒子の粒径よりも小さいので、電力突入直後に絶縁基体より導体線路が先に加熱して導体線路に含まれているセラミック粒子が熱膨張を開始しても、絶縁基体に含まれるセラミック粒子よりも大きくなるのを抑制し、導体線路表層部のセラミック粒子と導体粒子との間に加わる力よりも、導体線路周囲の絶縁基体中のセラミック粒子に加わる力が大きくなる。 その結果、導体線路表層部のセラミック粒子と導体粒子の間にはマイクロクラック等が生じにくくなり、抵抗値は変化しにくくなる。 これにより、ヒータの信頼性および耐久性が向上する。

    本発明のヒータの実施の形態の一例を示す縦断面図である。

    本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す縦断面図である。

    本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す縦断面図である。

    本発明のグロープラグの実施の形態の一例を示す縦断面図である。

    以下、本発明のヒータについて実施の形態の例について図面を参照して詳細に説明する。

    図1は本発明のヒータの実施の形態の一例を示す縦断面図である。

    本実施の形態のヒータは、セラミックスからなる絶縁基体1と、絶縁基体1に埋設された導体線路2とを備えたヒータであって、導体線路2には導体粒子とセラミック粒子とが含まれていて、導体線路2に含まれているセラミック粒子の平均粒径が絶縁基体1中のセラミック粒子の平均粒径よりも小さくなっている。

    本実施の形態のヒータにおける絶縁基体1は、例えば棒状に形成されたものである。 この絶縁基体1は導体線路2を被覆しており、言い換えると、導体線路2が絶縁基体1に埋設されている。 ここで、絶縁基体1はセラミックスからなることが好ましく、これにより、金属よりも高温まで耐えることができるようになるので、急速昇温時の信頼性がより向上したヒータを提供することが可能になる。 具体的には、酸化物セラミックス,窒化物セラミックス,炭化物セラミックス等の電気的な絶縁性を有するセラミックスが挙げられる。 特に、絶縁基体1は、窒化珪素質セラミックスからなることが好適である。 窒化珪素質セラミックスは、主成分である窒化珪素が高強度、高靱性、高絶縁性および耐熱性の観点で優れているからである。 この窒化珪素質セラミックスは、例えば、主成分の窒化珪素に対して、焼結助剤として3〜12質量%のY ,Yb ,Er 等の希土類元素酸化物、0.5〜3質量%のAl 、さらに焼結体に含まれるSiO 量として1.5〜5質量%となるようにSiO を混合し、所定の形状に成形し、その後、例えば1650〜1780℃でホットプレス焼成することにより得ることができる。

    また、絶縁基体1として窒化珪素質セラミックスから成るものを用いる場合、MoSi ,WSi 等を混合し分散させることが好ましい。 この場合、母材である窒化珪素質セラミックスの熱膨張率を導体線路2の熱膨張率に近づけることができ、ヒータの耐久性を向上させることができる。

    導体線路2は、例えば折返し形状をなしている抵抗体3と、先端側で抵抗体3に接続されるとともに後端側で絶縁基体1の表面に導出された一対のリード4とで構成されている。

    抵抗体3は、特に発熱する領域である発熱部31を有しており、一部断面積を小さくした領域やらせん形状の領域を設けることで、この領域を発熱部とすることができる。 抵抗体3が図1に示すような折返し形状をなしている場合は、折返しの中間点付近が最も発熱する発熱部31となる。

    この抵抗体3としては、W,Mo,Tiなどの金属や炭化物、窒化物、珪化物などを主成分とするものを使用することができる。 絶縁基体1が上述の材料の場合、絶縁基体1との熱膨張率の差が小さい点、高い耐熱性を有する点および比抵抗が小さい点で、上記の材料のなかでも炭化タングステン(WC)が抵抗体3の材料として優れている。 さらに、絶縁基体1が窒化珪素質セラミックスからなる場合、抵抗体3は、無機導電体のWCを主成分とし、これに添加される窒化珪素の含有率が20質量%以上であるものが好ましい。 例えば、窒化珪素質セラミックスから成る絶縁基体1において、抵抗体3となる導体成分は窒化珪素と比較して熱膨張率が大きいため、通常は引張応力がかかった状態にある。 これに対して、抵抗体3中に窒化珪素を添加することにより、抵抗体3の熱膨張率を絶縁基体1の熱膨張率に近づけて、ヒータの昇温時および降温時の熱膨張率の差による応力を緩和することができる。

    また、抵抗体3に含まれる窒化珪素の含有量が40質量%以下であるときには、抵抗体3の抵抗値を比較的小さくして安定させることができる。 従って、抵抗体3に含まれる窒化珪素の含有量は20質量%〜40質量%であることが好ましい。 より好ましくは、窒化珪素の含有量は25質量%〜35質量%がよい。 また、抵抗体3への同様の添加物として、窒化珪素の代わりに窒化素を4質量%〜12質量%添加することもできる。

    また、抵抗体3の厚みは例えば0.5mm〜1.5mmがよく、抵抗体3の幅は例えば0.3mm〜1.3mmがよい。 この範囲内とすることにより、抵抗体3の抵抗が小さくなって効率良く発熱するものとなり、また、積層構造の絶縁基体1の積層界面の密着性を保持することができる。

    抵抗体3の端部に先端側が接続されたリード4は、W,Mo,Tiなどの金属や炭化物、窒化物、珪化物などを主成分とする抵抗体3と同様の材料を使用することができる。 特に、WCが、絶縁基体1との熱膨張率の差が小さい点、高い耐熱性を有する点および比抵抗が小さい点で、リード4の材料として好適である。 また、絶縁基体1が窒化珪素質セラミックスからなる場合、リード4は、無機導電体であるWCを主成分とし、これに窒化珪素を含有量が15質量%以上となるように添加することが好ましい。 窒化珪素の含有量が増すにつれてリード4の熱膨張率を絶縁基体1の熱膨張率に近づけることができる。 また、窒化珪素の含有量が40質量%以下であるときには、リード4の抵抗値が小さくなるとともに安定する。 従って、窒化珪素の含有量は15質量%〜40質量%が好ましい。 より好ましくは、窒化珪素の含有量は20質量%〜35質量%とするのがよい。 なお、リード4は、絶縁基体1の形成材料の含有量を抵抗体3よりも少なくすることによって抵抗体3よりも単位長さ当たりの抵抗値が低くなっていてもよく、抵抗体3よりも断面積を大きくすることによって抵抗体3よりも単位長さ当たりの抵抗値が低くなっていてもよい。

    そして、導体線路2には導体粒子とセラミック粒子とが含まれていて、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径が絶縁基体1中のセラミック粒子の平均粒径よりも小さくなっている。

    ここで、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径は、絶縁基体1中のセラミック粒子の平均粒径の10%以上80%以下、好ましくは30%以上60%以下であるのがよい。 10%以上であることで、導体線路2に含まれるセラミック粒子と絶縁基体1中のセラミック粒子が直接接触するような箇所でも、応力印加時に粒径が小さいセラミック粒子に亀裂が生じるのを抑制でき、80%以下であることで、後述するように導体線路2の内部に高周波が侵入するのを抑制できる。

    このセラミック粒子の平均粒径は、次のようにして測定すればよい。 ヒータを導体線路2が埋設された任意の場所で切断して、断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)または金属顕微鏡で観察して得られた観察像に、任意の5本の直線を引き、その直線を横切った粒子50個分の距離の平均値から平均粒径を求める。 また、上記のようなコード法の代わりに、ニレコ社製画像解析装置LUZEX−FSにて、平均粒径を求めることもできる。

    このような構成とすることで、導体線路2には導体粒子とセラミック粒子とが含まれているので、導体線路2の熱膨張係数を絶縁基体1の熱膨張係数に近づけて、界面に加わる力を低減させることができる。

    また、以下の問題点が解消できる。 すなわち、界面に応力が加わった状態でもヒータの加熱は進行し、導体線路2の内部のセラミック粒子が周囲の導体粒子の加熱に応じて熱膨張を開始するので、先に加熱されている導体線路2の表層部のセラミック粒子が熱膨張により他の領域のセラミック粒子よりも大きくなることで、導体線路2と絶縁基体1との界面に生じた応力は、導体線路2の表層部のセラミック粒子と導体粒子の間に集中し、セラミック粒子と導体粒子との間にマイクロクラック等が生じ、抵抗値が変化する問題を生じるおそれがあった。

    これに対し、本発明は導体線路2中に含まれるセラミック粒子の粒径が絶縁基体1中のセラミック粒子の粒径よりも小さいので、電力突入直後に絶縁基体1より導体線路2が先に加熱して導体線路2に含まれるセラミック粒子が熱膨張を開始しても、絶縁基体1に含まれるセラミック粒子よりも大きくなるのを抑制し、導体線路2表層部のセラミック粒子と導体粒子との間に加わる力よりも、導体線路2周囲の絶縁基体1中のセラミック粒子に加わる力が大きくなる。 その結果、導体線路2表層部のセラミック粒子と導体粒子の間にはマイクロクラック等が生じにくくなり、抵抗値は変化しにくくなる。 さらに、セラミック粒子の焼結体で構成された絶縁基体1の方が導体線路2よりも強度が強いので導体線路2周囲のセラミック粒子にもマイクロクラック等が生じにくくなる。

    さらに、以下のような問題点も解消できる。 すなわち、エンジンの燃焼状態を最適化するために、ヒータの駆動方法としてECUからの制御信号がパルス化された駆動方法がとられるようになってきている。 そして、パルス駆動としては矩形波を用いることが多く、パルスの立ち上がり部分には高周波成分が含まれるため、この高周波成分がヒータに埋設された導体線路の表面部で伝送する特徴がある。 ところが、導体線路中に含まれるセラミック粒子の粒径が、絶縁基体のセラミック粒子の粒径と同じかまたは大きい場合は、伝送する高周波成分が導体線路の表面だけを伝送せずに、導体線路中のセラミック粒子と導体粒子との境界面も導体線路の表面と認識して導体線路の内部に伝送しようとする。 したがって、伝送ロスが多くなり、高周波成分が迷いこむ領域である導体線路の表層部のセラミック粒子と導体粒子との間が加熱し、セラミック粒子と導体粒子との境界面に沿ってマイクロクラック等が発生して、抵抗値が変化する問題を生じることがあった。

    これに対し、本発明は上述の構成であることで、パルス駆動として矩形波を用いた場合でも、パルスの立ち上がり部分に含まれる高周波成分は、導体線路2中のセラミック粒子と導体粒子との境界面を導体線路2表面とは認識せずに導体線路2表面だけを伝送するようになる。 特に、導体線路2中に含まれるセラミック粒子の粒径が、絶縁基体1のセラミック粒子の粒径の80%以下であると導体線路2内部に高周波が迷いこまないようになる。 その結果、導体線路2の表層部のセラミック粒子と導体粒子との間が加熱したり、セラミック粒子と導体粒子との境界面に沿ってマイクロクラック等が発生したりすることが抑制され、抵抗値は変化しにくくなる。

    したがって、パルス駆動、DC駆動にかかわらず、電力突入の立ち上がりが急峻になっても、導体線路2表層部のセラミック粒子と導体粒子の間にはマイクロクラック等が生じず、長期間抵抗が安定する。 これにより、ヒータの信頼性および耐久性が向上する。

    ここで、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径は、絶縁基体1との界面に近い表層部よりも内側のほうが小さいのが好ましい。 このような構成とすることで、電力突入直後に、導体線路2と絶縁基体1との界面に力が加わっても、表面積も体積もともに小さい粒子の方が粒子を通過する応力の伝播時間が短いため、より短時間に格子振動を介して応力を粒子の外側のあらゆる方向に分散できることから、導体線路2の横断面で見た中央に向けて応力が分散でき、導体線路2の表層部のセラミック粒子と導体粒子の間にはよりマイクロクラック等が生じにくく、抵抗値はより変化しにくくなる。 なお、導体線路2の横断面が円形の場合、導体線路2の直径は例えば10μm〜2mmであり、表層部は例えば1μm〜100μmの厚みであって表面から直径の0.5〜10%の距離までの厚みとなる。

    また、導体線路2に含まれるセラミックの結晶粒子の平均粒径は、絶縁基体1との界面に近い表層部では0.2〜10μmであり、これよりも内側では表層部よりも70〜80%の大きさに小さくなっているのが効果的である。

    また、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径は、導体線路2に含まれる導体粒子の平均粒径よりも小さいのが好ましい。 このような構成とすることで、電力突入直後に、導体線路2と絶縁基体1との界面に力が加わっても、導体線路2内部の導体粒子同士が応力を伝播するので、導体線路2の表層部のセラミック粒子と導体粒子の間には応力が伝播せず、マイクロクラック等が生じず、抵抗値は変化しない。 結晶粒子内の格子振動は導体粒子の方がセラミック粒子よりも激しく振動するので、導体粒子同士の方が応力を速く伝播できるからである。

    特に、導体線路2中に含まれるセラミック粒子同士が離隔して分散した場合、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径が導体粒子の平均粒径の70%以下であると、導体線路2の表面はほとんど導体粒子で被覆することができるので、内部に高周波が迷いこまないようになる。 その結果、導体線路2の表層部のセラミック粒子と導体粒子との間が加熱したり、セラミック粒子と導体粒子との境界面に沿ってマイクロクラック等が発生したりすることがより抑制され、抵抗値はより変化しにくくなる。

    さらに、導体線路2にCrが含まれていて、Crの含有量が酸化物換算で1×10 −6質量%〜1×10 −1質量%であることが好ましい。 これはマイクロクラックが生じる温度まで導体線路2が局部的に加熱されると、Crはイオン化して導体粒子の焼結助材として機能する。 特に、亀裂のエネルギーが加わり、加熱が集中しやすいクラック先端部は導体粒子の焼結が進行しやすくなるので、クラック伸展を抑止できる。 Crの含有量が酸化物換算で1×10 −6質量%未満であるとクラック先端部の導体粒子の焼結がほとんど進行しないので、1×10 −6質量%以上であることが好ましい。 また、Crの含有量が酸化物換算で1×10 −1質量%を超えると、ヒータを焼結させる工程で導体線路2中に含まれるセラミック粒子の粒成長が促されてしまい、絶縁基体1のセラミック粒子以上の大きさになるので、1×10 −1質量%以下であることが好ましい。

    特に、1×10 −6質量%〜1×10 −2質量%であると、長期間ヒータを使用してもCrイオンが陰極側へ移動開始しないので非常に安定したヒータとなる。

    なお、図2のように抵抗体3が金属ワイヤーで構成された場合や図3のようにリード4の一部が金属ワイヤーで構成された場合でも、これまで述べたような効果が生じるが、ヒータ加熱中に外部から強い衝撃を加えると金属ワイヤーと絶縁基体1との界面では、金属ワイヤーのすべり変形の応力が加わり、金属ワイヤーと絶縁基体1との界面にせん断応力が加わるので、図1のように導体線路2を構成する抵抗体3、リード4がともに導体粒子とセラミックの結晶粒子とを含む場合が最も応力緩和効果が大きく好ましい。

    本実施の形態のヒータは、上記の構成のいずれかに記載のヒータと、導体線路2(リード4)と電気的に接続されるとともにヒータを保持する金属製保持部材とを備えたグロープラグとして使用することが好ましい。

    具体的には、図4に示すように、ヒータは、棒状の絶縁基体1の内部に、折返し形状をなした抵抗体3が埋設されているとともに一対のリード4が抵抗体3の両端部にそれぞれ電気的に接続されて埋設されていて、一方のリード4に電気的に接続された金属製保持部材5(シース金具)と、他方のリード4に電気的に接続されたワイヤーとを備えたグロープラグとして使用することが好ましい。

    なお、金属製保持部材5(シース金具)は、ヒータを保持する金属製の筒状体であり、絶縁基体1の側面に引き出された一方のリード4にロウ材などで接合される。 また、ワイヤーは、他方のリード4にロウ材などで接合される。 これにより、高温のエンジン中でON/OFFが繰り返されながら長期使用しても、ヒータの抵抗が変化しないので、どんなときでも着火性に優れたグロープラグを提供できる。

    次に、本実施の形態のヒータの製造方法について説明する。

    本実施の形態のヒータは、例えば、導体線路2を構成する抵抗体3とリード4および絶縁基体1の形状の金型を用いた射出成形法等によって形成することができる。

    まず、導電性セラミック粉末,樹脂バインダー等を含む、抵抗体3およびリード4となる導電性ペーストを作製するとともに、絶縁性セラミック粉末,樹脂バインダー等を含む絶縁基体1となるセラミックペーストを作製する。

    このとき、導体線路2を構成する抵抗体3とリード4となる導電性ペーストに加える絶縁性セラミック粉末の粒径を、絶縁基体1を構成するペーストに加える絶縁性セラミック粉末の粒径よりも小さくする。

    または、導体線路2を構成する抵抗体3とリード4となる導電性ペーストに加える絶縁性セラミック粉末の粒径と、絶縁基体1を構成するペーストに加える絶縁性セラミック粉末の粒径とが同じ粒径であるものを使用する場合は、導体線路2の焼結工程の時に導体線路2に含まれるセラミック粒子の粒成長を抑止しながら、導体粒子の粒成長を促進するための焼結助剤を加える。 例えばCrを焼結助剤として用いる場合は、含有量が酸化物換算で1×10 −6質量%〜1×10 −1質量%であることが好ましい。

    なお、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径が、導体線路2における絶縁基体1との界面に近い表層部よりも内側のほうが小さい構成とするには、絶縁基体1を構成する絶縁性セラミック粉末の焼結開始温度が導体線路2を構成する絶縁性セラミック粉末の焼結開始温度よりも低温になるようにして、導体線路2よりも絶縁基体1を構成する絶縁性セラミック粉末を先に焼結開始させれば良い。

    そのためには、絶縁基体1を構成する絶縁性セラミック粉末の焼結助剤の添加量を、導体線路2に含まれる絶縁性セラミック粉末の焼結助剤の添加量よりも多くしたり、導体線路2の焼結工程の時に導体線路2に含まれるセラミック粒子の粒成長を抑止しながら、導体粒子の粒成長を促進する、例えばCrを焼結助剤として用いたりするのがよい。

    これにより、絶縁基体1を構成する絶縁性セラミック粉末が焼結する時に形成される液相成分が導体線路2に拡散して、導体線路2の内側にある絶縁性セラミック粉末が焼結できない温度でも、液相成分に触れた表層部の絶縁性セラミック粉末は焼結を開始し、その結果、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径は、絶縁基体1との界面に近い表層部よりも内側のほうが小さい構成となる。

    また、導体線路2に含まれるセラミック粒子の平均粒径が、導体線路2に含まれる導体粒子の平均粒径よりも小さい構成とするには、はじめから導体粒子の平均粒径が大きいものを使うほかに、導体線路2の焼結工程の時に導体線路2に含まれるセラミック粒子の粒成長を抑止しながら、導体粒子の粒成長を促進する、例えばCrを焼結助剤として用いればよい。 導体線路2に含まれるセラミック粒子同士が焼結するよりも先に導体粒子の焼結が先行することで、導体線路2に含まれるセラミック粒子同士の間に導体粒子が大きく成長して、セラミック粒子同士が結合する距離が大きくなって粒成長を阻害するからである。

    次に、導電性ペーストを用いて射出成形法等によって抵抗体3となる所定パターンの導電性ペーストの成形体(成形体a)を形成する。 そして、成形体aを金型内に保持した状態で、導電性ペーストを金型内に充填してリード4となる所定パターンの導電性ペーストの成形体(成形体b)を形成する。 これにより、成形体aと、この成形体aに接続された成形体bとが、金型内に保持された状態となる。

    次に、金型内に成形体aおよび成形体bを保持した状態で、金型の一部を絶縁基体1の成形用のものに取り替えた後、金型内に絶縁基体1となるセラミックペーストを充填する。 これにより、成形体aおよび成形体bがセラミックペーストの成形体(成形体c)で覆われたヒータの成形体(成形体d)が得られる。

    次に、得られた成形体dを例えば1650℃〜1780℃の温度、30MPa〜50MPaの圧力で焼成することにより、ヒータを作製することができる。 なお、焼成は素ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。

    本発明の実施例のヒータを図1の形状となるように、以下のようにして作製した。

    まず、試料番号1には炭化タングステン(WC)粉末を50質量%、試料番号2,3にはCrを酸化物換算で1×10 −3質量%となるように添加した炭化タングステン(WC)粉末を50質量%、さらに3種類の粒径の窒化珪素(Si )粉末を準備して、それを35質量%、樹脂バインダーを15質量%含む導電性ペーストを、金型内に射出成形して抵抗体となる成形体aを作製した。

    次に、この成形体aを金型内に保持した状態で、リードとなる上記の導電性ペーストを金型内に充填することにより、成形体aと接続させてリードとなる成形体bを形成した。

    次に、成形体aおよび成形体bを金型内に保持した状態で、窒化珪素(Si )粉末を85質量%、焼結助剤としてのイッテリビウム(Yb)の酸化物(Yb )を10質量%、抵抗体およびリードに熱膨張率を近づけるための炭化タングステン(WC)を5質量%含むセラミックペーストを、金型内に射出成形した。 これにより、絶縁基体となる成形体c中に成形体aおよび成形体bが埋設された構成の成形体dを形成した。

    次に、得られた成形体dを円筒状の炭素製の型に入れた後、窒素ガスから成る非酸化性ガス雰囲気中で、1700℃、35MPaの圧力でホットプレスを行ない焼結して、ヒータを作製した。 得られた焼結体の表面に露出したリードの端部(端子部)に筒状の金属製保持部材(シース金具)をロウ付けしてグロープラグを作製した。

    なお、絶縁基体の横断面外周形状は円形で、抵抗体およびリードの横断面形状は楕円形であった。 そして、絶縁基体の直径は3.5mm、抵抗体およびリードの長軸は1.3mm、短軸は0.6mmであった。

    このグロープラグの電極にパルスパターンジェネレータを接続し、印加電圧7V、パルス幅10μs、パルス間隔1μsの矩形パルスを連続通電した。 1000時間経過後、通電前後の抵抗値の変化率((通電後の抵抗値−通電前の抵抗値)/通電前の抵抗値)を測定した。 その結果を表1に示す。

    表1に示すように、試料番号1は、最も発熱した箇所がリードと抵抗体との境界面であった。 そして、通電状態を確認するために、オシロスコープを用いて試料番号1のヒータに流れるパルス波形を確認したところ、入力波形と異なり、パルスの立ち上がりが急峻にならず、7Vに到達するまで1μs要し、オーバーシュートしながら波打っていた。

    これは、試料番号1のヒータでは、パルスの立ち上がり部分に含まれる高周波成分の伝送が乱れたことが考えられる。 また、ヒータの最も発熱した箇所が、リードと抵抗体との境界面となっていた。

    さらに、試料番号1の通電前後の抵抗変化は55%と非常に大きくなったため、パルス通電後、走査型電子顕微鏡で試料番号1のリードと抵抗体との境界面を観察したところ、導体線路と絶縁基体との界面のうち、導体線路の表層部分のセラミック粒子と導体粒子との界面にマイクロクラックを確認した。 この位置で局所的な発熱が生じたことがわかった。

    一方、試料番号2、3については、最も発熱した箇所はヒータ先端の抵抗体発熱部であった。 そして、通電状態を確認するために、オシロスコープを用いてヒータに流れるパルス波形を確認したところ、入力波形とほぼ同じ波形であった。 これは、高周波成分が迷走せず、伝送に乱れなく通電できたことを示している。

    また、試料番号2、3の通電前後の抵抗変化は5%以下と小さく、パルス通電後、走査型電子顕微鏡でこれらの試料番号のリードと抵抗体との境界面を観察したところ、マイクロクラックは無かった。

    次に、上記のグロープラグにDC電源を接続して抵抗体の温度が1400℃になるように印加電圧を設定し、1)5分間通電、2)2分間非通電の1),2)を1サイクルとし、1万サイクル繰り返した。 通電前後のヒータの抵抗値の変化率を測定した。

    その結果、試料番号1の通電前後の抵抗変化は55%と非常に大きくなったため、通電後、走査型電子顕微鏡で試料番号1のリードと抵抗体との境界面を観察したところ、導体線路と絶縁基体との界面のうち、導体線路の表層部分のセラミック粒子と導体粒子との界面にマイクロクラックを確認した。 この位置で局所的な発熱が生じたことがわかった。

    一方、試料番号2、3については、通電前後の抵抗変化は5%以下と小さく、DC通電後に走査型電子顕微鏡でこれらの試料番号のリードと抵抗体との境界面を観察したところ、マイクロクラックは無かった。

    1:絶縁基体2:導体線路3:抵抗体
    31:発熱部4:リード5:金属製保持部材

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