グロープラグ及びその製造方法

申请号 JP2012075297 申请日 2012-03-29 公开(公告)号 JP5965182B2 公开(公告)日 2016-08-03
申请人 日本特殊陶業株式会社; 发明人 江口 和隆; 石井 秀衛;
摘要
权利要求

軸線方向に延びる軸孔を有し、外周面に内燃機関の取付孔に螺合するためのねじ部を具備する筒状のハウジングと、 少なくとも自身の先端部が前記ハウジングの先端から突出した状態で、前記軸孔に挿設されるヒーター部材とを備えるグロープラグであって、 前記ハウジングは、 前記内燃機関の取付孔に前記ねじ部を螺合した際に、前記内燃機関の座面に対して圧接する圧接部と、 前記圧接部及び前記ねじ部間に設けられた筒状の先端側胴部とを有し、 前記先端側胴部の肉厚は、 前記ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下であり、 前記ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下であり、 前記先端側胴部には、前記軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす先端側補強部が、前記ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられ、 前記先端側胴部は、内周において前記ヒーター部材を保持する保持部を具備し、 前記先端側補強部は、前記保持部よりも後端側に設けられることを特徴とするグロープラグ。前記ハウジングは、 前記ねじ部よりも後端側に設けられ、前記内燃機関への取付時に工具が係合される工具係合部と、 前記工具係合部及び前記ねじ部間に設けられた筒状の後端側胴部とを有し、 前記後端側胴部の肉厚は、 前記ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下であり、 前記ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下であり、 前記後端側胴部には、前記軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす後端側補強部が、前記ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられることを特徴とする請求項1に記載のグロープラグ。軸線方向に延びる軸孔を有し、外周面に内燃機関の取付孔に螺合するためのねじ部を具備する筒状のハウジングと、 少なくとも自身の先端部が前記ハウジングの先端から突出した状態で、前記軸孔に挿設されるヒーター部材とを備えるグロープラグであって、 前記ハウジングは、 前記ねじ部よりも後端側に設けられ、前記内燃機関への取付時に工具が係合される工具係合部と、 前記工具係合部及び前記ねじ部間に設けられた筒状の後端側胴部とを有し、 前記後端側胴部の肉厚は、 前記ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下であり、 前記ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下であり、 前記後端側胴部には、前記軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす後端側補強部が、前記ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられることを特徴とするグロープラグ。請求項1乃至3のいずれか1項に記載のグロープラグの製造方法であって、 前記ハウジングを形成するハウジング形成工程を含み、 前記ハウジング形成工程は、板状の金属材に対して深絞り加工を施すことにより、前記ハウジングとなるべき筒状のハウジング中間体を形成する工程を含むことを特徴とするグロープラグの製造方法。

说明书全文

本発明は、ディーゼルエンジンの予熱などに使用するグロープラグ及びその製造方法に関する。

ディーゼルエンジン等の内燃機関における始動補助などに用いられるグロープラグは、筒状のハウジングや通電により発熱するヒーター部材等を備えている。また、前記ヒーター部材としては、導電性セラミックからなる発熱素子を有するセラミックヒータや、発熱コイルを有するシースヒータが採用される場合がある。

加えて、ハウジングは、内燃機関に対する取付用のねじ部と、内燃機関への取付時に所定の工具が係合される工具係合部と、内燃機関の取付孔に前記ねじ部を螺合した際に、内燃機関に設けられた座面に対して圧接し、燃焼室内の気密性を確保するための圧接部とを備えている。

また、ねじ部及び圧接部間には、筒状の先端側胴部が設けられ、グロープラグを内燃機関に取付けた状態においては、先端側胴部に対して軸線方向に沿った圧縮(軸力)が加わる。さらに、ねじ部及び工具係合部間には、筒状の後端側胴部が設けられることがあり、工具を用いてグロープラグを内燃機関に取付ける際に、後端側胴部には周方向に沿った力(ねじり応力)が加えられることとなる(例えば、特許文献1等参照)。

特開2008−89233号公報

ところで、燃費性能の向上や製造コストの削減を図るという点では、ハウジングを薄肉とし、ハウジングの軽量化を図ることが好ましい。しかしながら、ハウジングを単に薄肉とすると、先端側胴部や後端側胴部の機械的強度が低下してしまうおそれがある。その結果、先端側胴部においては、前記軸力の印加による座屈変形が生じてしまい、後端側胴部においては、前記ねじり応力によるねじれ変形が生じてしまうおそれがある。

本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングを比較的薄肉とした場合であっても、先端側胴部や後端側胴部の変形をより確実に防止することができるグロープラグ及びその製造方法を提供することにある。

以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。

構成1.本構成のグロープラグは、軸線方向に延びる軸孔を有し、外周面に内燃機関の取付孔に螺合するためのねじ部を具備する筒状のハウジングと、 少なくとも自身の先端部が前記ハウジングの先端から突出した状態で、前記軸孔に挿設されるヒーター部材とを備えるグロープラグであって、 前記ハウジングは、 前記内燃機関の取付孔に前記ねじ部を螺合した際に、前記内燃機関の座面に対して圧接する圧接部と、 前記圧接部及び前記ねじ部間に設けられた筒状の先端側胴部とを有し、 前記先端側胴部の肉厚は、 前記ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下であり、 前記ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下であり、 前記先端側胴部には、前記軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす先端側補強部が、前記ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられ 前記先端側胴部は、内周において前記ヒーター部材を保持する保持部を具備し、 前記先端側補強部は、前記保持部よりも後端側に設けられることを特徴とする。

尚、「軸線方向に沿って延びる」とあるのは、厳密に先端側補強部が軸線方向に沿って延びる場合のみならず、先端側補強部が軸線に対して若干(例えば、筒状の先端側胴部を平面に展開したとき、展開された先端側胴部における先端側補強部の延出方向と、軸線とのなす度のうち鋭角の角度が5°以下となる程度)だけ斜めになっている場合も含む。

上記構成1によれば、先端側胴部の肉厚が、ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下とされ、ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下とされている。従って、先端側胴部ひいてはハウジングの軽量化を図ることができる。その結果、燃費性能の向上や製造コストの削減を図ることができる。

一方で、上述のように先端側胴部を薄肉とした場合には、軸力による先端側胴部の座屈変形が懸念される。この点、上記構成1によれば、先端側胴部には、軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす先端側補強部が、ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられている。従って、先端側胴部の機械的強度を著しく高めることができる。その結果、前記軸力による先端側胴部の変形をより確実に防止することができる。 さらに、上記構成1によれば、先端側補強部は、ヒーター部材を保持する保持部よりも後端側に設けられている。すなわち、先端側補強部は、保持部から外れた位置に設けられている。従って、ヒーター部材に対して保持部の内周をより確実に密着させることができ、両者間において優れた気密性を確保することができる。その結果、燃焼室内において良好な気密性を確保することができる。

構成2.本構成のグロープラグは、上記構成1において、前記ハウジングは、 前記ねじ部よりも後端側に設けられ、前記内燃機関への取付時に工具が係合される工具係合部と、 前記工具係合部及び前記ねじ部間に設けられた筒状の後端側胴部とを有し、 前記後端側胴部の肉厚は、 前記ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下であり、 前記ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下であり、 前記後端側胴部には、前記軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす後端側補強部が、前記ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられることを特徴とする。

尚、「軸線方向に沿って延びる」とあるのは、厳密に後端側補強部が軸線方向に沿って延びる場合のみならず、後端側補強部が軸線に対して若干(例えば、筒状の後端側胴部を平面に展開したとき、展開された後端側胴部における後端側補強部の延出方向と、軸線とのなす角度のうち鋭角の角度が5°以下となる程度)だけ斜めになっている場合も含む(後述する構成4においても同様)。

上記構成2によれば、後端側胴部の肉厚が、ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下とされ、ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下とされている。従って、後端側胴部の軽量化を図ることができ、上記構成1により先端側胴部の軽量化が図られることと相俟って、ハウジングを一層軽量とすることができる。その結果、燃費性能の向上や製造コストの削減をより効果的に実現することができる。

一方で、後端側胴部が薄肉である場合には、ねじり応力による後端側胴部のねじれ変形が懸念される。この点、上記構成2によれば、後端側胴部には、軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす後端側補強部が、ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられている。従って、後端側胴部の機械的強度を顕著に高めることができ、後端側胴部は、前記ねじり応力に抗する十分なねじり耐力を有するものとなる。その結果、前記ねじり応力による後端側胴部の変形をより確実に防止することができる。

構成3.本構成のグロープラグは、軸線方向に延びる軸孔を有し、外周面に内燃機関の取付孔に螺合するためのねじ部を具備する筒状のハウジングと、 少なくとも自身の先端部が前記ハウジングの先端から突出した状態で、前記軸孔に挿設されるヒーター部材とを備えるグロープラグであって、 前記ハウジングは、 前記ねじ部よりも後端側に設けられ、前記内燃機関への取付時に工具が係合される工具係合部と、 前記工具係合部及び前記ねじ部間に設けられた筒状の後端側胴部とを有し、 前記後端側胴部の肉厚は、 前記ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下であり、 前記ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下であり、 前記後端側胴部には、前記軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす後端側補強部が、前記ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられることを特徴とする。

上記構成3によれば、後端側胴部の肉厚が、ねじ部のねじ径がM12である場合に1.6mm以下とされ、ねじ部のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下とされている。従って、後端側胴部ひいてはハウジングの軽量化を図ることができる。その結果、燃費性能の向上や製造コストの削減を図ることができる。

さらに、上記構成3によれば、後端側胴部には、軸線方向に沿って延びる凸状又は凹状をなす後端側補強部が、ハウジングの周方向に沿って間欠的に複数設けられている。従って、後端側胴部の機械的強度を顕著に高めることができ、ねじり応力による後端側胴部の変形をより確実に防止することができる。

構成4.本構成のグロープラグの製造方法は、上記構成1乃至3のいずれかに記載のグロープラグの製造方法であって、 前記ハウジングを形成するハウジング形成工程を含み、 前記ハウジング形成工程は、板状の金属材に対して深絞り加工を施すことにより、前記ハウジングとなるべき筒状のハウジング中間体を形成する工程を含むことを特徴とする。

上記構成4によれば、深絞り加工より、ハウジングとなるべきハウジング中間体が製造されるように構成されている。従って、全体的に薄肉とされた軽量のハウジングをより容易に製造することができ、生産性の向上を図ることができる。

また、ハウジングを全体的に薄肉とできるため、ハウジングの一層の軽量化を図ることができる。その結果、燃費性能の向上や製造コストの削減等の作用効果をさらに高めることができる。

グロープラグの正面図である。

グロープラグの一部破断正面図である。

(a)は、金属材の斜視図であり、(b)〜(d)は、深絞り加工による金属材の形状変化の遷移を示す正面図であり、(e)は、ハウジング中間体を示す正面図である。

(a)は、工具係合部を形成する際に用いられるダイスやパンチを示す一部破断正面図であり、(b)は、ハウジング中間体が配置されたダイス等を示す一部破断正面図である。

(a)は、工具係合部の形成工程の一過程を示す一部破断正面図であり、(b)は、工具係合部が形成されたハウジング中間体を示す正面図である。

別の実施形態における、グロープラグの構成を示す正面図である。

別の実施形態における、グロープラグの構成を示す正面図である。

別の実施形態における、グロープラグの構成を示す一部破断正面図である。

以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、グロープラグ1の正面図であり、図2は、グロープラグ1の一部破断正面図である。尚、図1等では、グロープラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をグロープラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。

図1及び図2に示すように、グロープラグ1は、筒状のハウジング2と、ハウジング2に装着されたヒーター部材3とを備えている。

ハウジング2は、所定の金属(例えば、炭素鋼やステンレス鋼など)により形成されており、軸線CL1方向に貫通する軸孔4を有している。また、ハウジング2の外周面には、ディーゼルエンジン等の内燃機関の取付孔へと螺合するためのねじ部5と、内燃機関への取付時にトルクレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部6とが形成されている。尚、本実施形態において、ねじ部5のねじ径はM12とされている。また、工具係合部6の内周は、工具係合部6の外周形状に倣う断面六角形状とされている。

さらに、ハウジング2は、その先端部に、前記取付孔にねじ部5を螺合した際に、前記内燃機関の座面(図示せず)に対して圧接する圧接部7を備えている。当該圧接部7が前記座面に圧接することで、燃焼室において良好な気密性を確保することができる。

加えて、ハウジング2は、ねじ部5及び工具係合部6間に位置する筒状の後端側胴部8と、圧接部7及びねじ部5間に位置する筒状の先端側胴部9とを備えている。また、先端側胴部9は、軸孔4で最小の内径を有するとともに、内周面が全周に亘ってヒーター部材3に密着した状態で前記ヒーター部材3を保持する保持部20を具備している。本実施形態において、前記ヒーター部材3は、自身の先端部がハウジング2の先端から突出した状態で前記保持部20に圧入されることにより、ハウジング2に対して固定されている。また、本実施形態において、保持部20は、先端側胴部9における最小の外径を有するように構成されている。

さらに、本実施形態において、ハウジング2は全体的に薄肉で、かつ、ほぼ均一の肉厚を有するように構成されている。そして、後端側胴部8の肉厚及び先端側胴部9の肉厚は、それぞれ1.6mm以下とされている。尚、ねじ部5のねじ径がM8、M9、又は、M10である場合、後端側胴部8の肉厚及び先端側胴部9の肉厚はそれぞれ0.9mm以下とされる。但し、後端側胴部8や先端側胴部9の強度が過度に低下してしまうことを防止すべく、後端側胴部8や先端側胴部9の肉厚を所定値(例えば、0.2mm)以上とすることが好ましい。

ヒーター部材3は、チューブ10と、当該チューブ10の内部に配置される発熱コイル12及び制御コイル13とを備えており、所定の金属(例えば、鉄系合金など)からなる中軸11と直列的に接続されている。

チューブ10は、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)を主成分とする金属〔例えば、ニッケル基合金やステンレス合金等〕から形成され、先端部が閉じた筒状チューブである。また、当該チューブ10の内側には、自身の先端部がチューブ10の先端に接合された発熱コイル12と、当該発熱コイル12の後端部に対して直列接続された制御コイル13とが酸化マグネシウム粉末を含む絶縁粉末14とともに封入されている。尚、発熱コイル12は、その先端においてチューブ10と導通しているが、発熱コイル12及び制御コイル13の外周面とチューブ10の内周面とは、絶縁粉末14の介在により絶縁された状態となっている。

さらに、前記チューブ10の後端側内周と中軸11との間には、所定のゴム(例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等)からなる環状ゴム15が設けられており、チューブ10内は封止されている。

前記発熱コイル12は、所定の金属(例えば、Feを主成分とし、AlやCr等を含む合金など)からなる抵抗発熱線が螺旋状に巻回されることで構成されている。発熱コイル12は、中軸11を介して通電されることで発熱する。

また、制御コイル13は、発熱コイル12の材質よりも電気比抵抗の温度係数が大きい材質、例えばコバルト(Co)−Ni−Fe系合金等に代表されるCo又はNiを主成分とする抵抗発熱線により構成されている。これにより、制御コイル13は、自身の発熱及び発熱コイル12からの発熱を受けることにより電気抵抗値を増大させ、発熱コイル12に対する供給電力を制御する。具体的には、通電初期においては発熱コイル12に対して比較的大きな電力が供給され、発熱コイル12の温度は急速に上昇する。すると、その発熱により制御コイル13が加熱され、制御コイル13の電気抵抗値が増大し、発熱コイル12への供給電力が減少する。これにより、ヒーター部材3の昇温特性は、通電初期に急速昇温した後、以降は制御コイル13の働きにより供給電力が抑制されて温度が飽和する形となる。つまり、制御コイル13の存在により、急速昇温性を高めつつ、発熱コイル12の過昇温(オーバーシュート)が生じにくくなるように構成されている。

中軸11は、中実の棒状をなし、自身の先端部がチューブ10内に挿入されている。そして、中軸11の最先端部が、前記制御コイル13の後端部に挿通された状態で、中軸11及び制御コイル13が抵抗溶接されることにより、中軸11及び制御コイル13が接続されている。

さらに、中軸11の後端部には、有底筒状をなすケーブル接続用の端子ピン17が加締め固定されている。また、端子ピン17の先端部とハウジング2の後端部との間には、両者間における直接的な通電(短絡)を防止すべく、絶縁性素材からなる絶縁ブッシュ18が設けられている。加えて、軸孔4内の気密性の向上等を図るべく、ハウジング2及び中軸11の間には、絶縁ブッシュ18の先端部に接触するようにして絶縁性素材からなる環状のシール部材19が設けられている。

ところで、本実施形態では、上述の通り、後端側胴部8の肉厚が1.6mm以下又は0.9mm以下とされている。そのため、グロープラグ1を内燃機関に取付ける際において、工具係合部6に対して周方向に沿った力が加えられたときに、後端側胴部8においてねじれ変形が生じてしまうおそれがある。また、先端側胴部9の肉厚が1.6mm以下又は0.9mm以下とされているため、内燃機関に対するグロープラグ1(ハウジング2)の取付に伴い、先端側胴部9に軸力が加えられたときに、先端側胴部9において座屈変形が生じてしまうおそれがある。

この点を考慮して、本実施形態では、後端側胴部8及び先端側胴部9の変形を防止すべく、後端側胴部8及び先端側胴部9が、それぞれ次のように構成されている。

すなわち、先端側胴部9には、軸線CL1方向に沿って延びる凸状をなす先端側補強部9Aが、ハウジング2の周方向に沿って間欠的に複数(本実施形態では、等間隔に12本)設けられている。また、先端側補強部9Aの高さは、先端側補強部9Aの数に対応して設定されており、本実施形態では、0.1mm以上とされている。さらに、軸線CL1に沿った先端側補強部9Aの長さは、所定値(例えば、軸線CL1に沿った先端側胴部9の長さの30%)以上とされている。

加えて、後端側胴部8には、軸線CL1方向に沿って延びる凸状をなす後端側補強部8Aが、ハウジング2の周方向に沿って間欠的に複数(本実施形態では、等間隔に12本)設けられている。尚、後端側補強部8Aの高さは、後端側補強部8Aの数に対応して設定されており、本実施形態では、0.1mm以上とされている。また、軸線CL1に沿った後端側補強部8Aの長さは、所定値(例えば、軸線CL1に沿った後端側胴部8の長さの30%)以上とされている。

さらに、本実施形態において、先端側補強部9Aは、前記保持部20よりも後端側に設けられており、保持部20へと先端側補強部9Aが至らないように構成されている。

次に上記のように構成されてなるグロープラグ1の製造方法について説明する。尚、特に明記しない部位については、従来公知の方法が採用される。

まず、Feを主成分とし、CrやAlを含有する抵抗発熱線をコイル形状に加工し、発熱コイル12を得る。また、アーク溶接等によって、発熱コイル12の後端部分と、Co−Ni−Fe系合金等の抵抗発熱線をコイル形状に加工した制御コイル13の先端部分とを接合する。

次に、最終寸法より加工代分だけ大径に形成され、かつ、先端の閉じていない筒状のチューブ10内に、中軸11の先端と、当該中軸11と一体となった発熱コイル12及び制御コイル13とが配置される。そして、アーク溶接によって、チューブ10の先端部分を閉塞させるとともに、当該チューブ10の先端部分と発熱コイル12の先端部分とを接合する。

その後、チューブ10内に絶縁粉末14を充填した後、チューブ10にスウェージング加工を施すことで、チューブ10及び中軸11と一体とされたヒーター部材3が得られる。

次いで、ハウジング形成工程において、ハウジング2を製造する。まず、図3(a)に示すように、所定の鉄系素材からなる円板状の金属材MBを用意するとともに、当該金属材MBに対して深絞り加工を施し、ハウジング2となるべき筒状のハウジング中間体を得る。具体的には、外径が徐々に小さくなる複数の棒状のパンチ(図示せず)と、各パンチの外径に対応する内径を有する複数の有底筒状をなすダイス(図示せず)とがそれぞれ並んで取付けられたトランスファープレス(図示せず)に、前記金属材MBを供給する。そして、前記パンチ及び前記ダイスを用いて、前記金属材MBに対して多段階に亘ってプレス加工を施すことで、図3(b)〜(d)に示すように、金属材MBを筒状に形成するとともに、筒状部分の深さを徐々に増大させていく。そして最後に、金属材MBの両端部を切除することで、図3(e)に示すように、工具係合部6に対応する比較的大径の係合部対応部32を一端部に有する筒状のハウジング中間体31が得られる。尚、ハウジング中間体31のうち係合部対応部32よりも先端側の部位は、ハウジング2の最終寸法よりも若干大径に形成されている。

次いで、図4(a)に示すように、工具係合部6の外周形状に対応する形状の外周成形部OMを内周に有するダイスD1と、上下動可能なパンチP1とを用いて、工具係合部6を形成する。詳述すると、まず、図4(b)に示すように、ダイスD1の内周にハウジング中間体31を配置する。その上で、図5(a)に示すように、パンチP1を下動させてパンチP1により係合部対応部32をダイスD1の外周成形部OMに押込む。これにより、係合部対応部32の外周及び内周の双方が断面六角形状に成形され、図5(b)に示すように、工具係合部6が形成される。

次いで、ハウジング中間体31の先端側外周に径方向内側に向けてプレスを加えることで、前記先端側胴部9に対応する部位を変形させ、前記保持部20を形成する。

また、ハウジング中間体31に対して、先端側補強部9Aの内周形状に対応する凸部を外周に有する棒状のパンチ(図示せず)を挿通した上で、先端側補強部9Aの外周形状に対応する凹部を内周に有するダイス(図示せず)に対してハウジング中間体31を押込むことにより、先端側補強部9Aを形成する。さらに、ハウジング中間体31に対して、後端側補強部8Aの内周形状に対応する凸部を外周に有する棒状のパンチ(図示せず)を挿通した上で、後端側補強部8Aの外周形状に対応する凹部を内周に有するダイス(図示せず)に対してハウジング中間体31を押込むことにより、後端側補強部8Aを形成する。尚、後端側補強部8Aや先端側補強部9Aを、上記以外の手法により形成してもよい。

次に、転造加工により、ハウジング中間体31の所定部位にねじ部5を形成する。さらに、ハウジング中間体31の先端部にプレス加工を施し、ハウジング中間体31の先端部に圧接部7を形成することで、ハウジング2が得られる。

そして最後に、ヒーター部材3をハウジング2の保持部20に圧入するとともに、前記絶縁ブッシュ18やシール部材19を中軸11の後端部外周に配置した上で、中軸11の後端部に端子ピン17を加締め固定することにより、上述のグロープラグ1が得られる。

以上詳述したように、本実施形態によれば、先端側胴部9及び後端側胴部8の肉厚が、ねじ部5のねじ径がM12である場合に1.6mm以下とされ、ねじ部5のねじ径がM10、M9、又は、M8である場合に0.9mm以下とされている。従って、ハウジング2の軽量化を効果的に図ることができる。その結果、燃費性能の向上や製造コストの削減を図ることができる。

一方で、上述のように先端側胴部9や後端側胴部8を薄肉とした場合には、軸力による先端側胴部9の変形や、ねじり応力による後端側胴部8の変形が懸念される。この点、本実施形態では、先端側胴部9には、先端側補強部9Aが複数設けられ、後端側胴部8には、後端側補強部8Aが複数設けられている。従って、先端側胴部9及び後端側胴部8のそれぞれにおいて機械的強度を著しく高めることができる。その結果、前記軸力による先端側胴部9の変形や、前記ねじり応力による後端側胴部8の変形をより確実に防止することができる。

また、本実施形態では、先端側補強部9Aが、ヒーター部材3を保持する保持部20よりも後端側に設けられている。従って、ヒーター部材3に対して保持部20の内周面をより確実に密着させることができ、両者間において優れた気密性を確保することができる。その結果、燃焼室内において良好な気密性を確保することができる。

加えて、ハウジング2が全体的に薄肉とされているため、ハウジング2の一層の軽量化を図ることができる。その結果、燃費性能の向上や製造コストの削減等の作用効果をさらに高めることができる。

また、本実施形態において、保持部20は、先端側胴部9における最小の外径を有するように構成されている。従って、内燃機関に対するグロープラグ1の取付に伴い、先端側胴部9に対して軸力が加わった際には、ヒーター部材3側に向けて軸力が分解されることとなる。そのため、本実施形態のように、ハウジング2(先端側胴部9)が薄肉とされていても、保持部20によるヒーター部材3の保持力が低下してしまうことをより確実に防止できる。

さらに、深絞り加工より、ハウジング2となるべきハウジング中間体31が製造されるように構成されている。従って、全体的に薄肉とされた軽量のハウジング2をより容易に製造することができ、生産性の向上を図ることができる。

尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。

(a)上記実施形態において、ハウジング2は、先端側補強部9A及び後端側補強部8Aの双方を具備するように構成されている。これに対して、図6及び図7に示すように、ハウジング2が、先端側補強部9A及び後端側補強部8Aのうちの一方のみを具備するように構成してもよい。

(b)上記実施形態において、先端側補強部9A及び後端側補強部8Aは、凸状をなすように構成されているが、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aが凹状(溝状)をなすように構成してもよい。また、凸状の先端側補強部と凹状の先端側補強部とが混在するように構成してもよいし、凸状の後端側補強部と凹状の後端側補強部とが混在するように構成してもよいし、 (c)上記実施形態における、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aの数は例示であって、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aの数は種々変更してもよい。また、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aの数に応じて、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aの高さ(先端側補強部9A等を凹状とする場合には、先端側補強部9A等の深さ)を変更してもよい。従って、例えば、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aを、ハウジング2の周方向に沿って等間隔に4つ設けた場合には、先端側補強部9Aや後端側補強部8Aの高さ(深さ)を0.2mm以上としてもよい。

(d)上記実施形態では、工具係合部6及びねじ部5間に後端側胴部8が設けられているが、工具係合部6とねじ部5とが隣接するように構成し、後端側胴部を省略してもよい。

(e)上記実施形態では、発熱コイル12の過昇温を防止すべく、発熱コイル12及び中軸11間に制御コイル13が介在されているが、発熱コイル12に中軸11を直接接触させ、制御コイル13を省略してもよい。

(f)上記実施形態において、ヒーター部材3は、チューブ10と当該チューブ10の内部に配置された発熱コイル12等により構成されており、本発明の技術思想が、いわゆるメタルグロープラグに対して適用されている。これに対して、ヒーター部材を、絶縁性セラミックからなる筒状の基体と、当該基体内に設けられるとともに、導電性セラミックにより形成され、中軸11からの通電により発熱する発熱素子とにより構成し、本発明の技術思想を、いわゆるセラミックグロープラグに対して適用してもよい。また、この場合には、基体の外表面に発熱素子となる導電性の被膜が設けられてなるヒーター部材(いわゆる表面発熱タイプのヒーター)を用いてもよい。さらに、発熱素子の少なくとも一部を耐熱性に優れる導電性金属(例えば、タングステンを主成分とする合金等)により形成することとしてもよい。

(g)上記実施形態において、グロープラグ1の後端部(ケーブルの接続部分)は、中軸11の後端部に対して端子ピン17が加締め固定される構成とされているが、グロープラグ1の後端部の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、中軸11のうちハウジング2の後端から突出する部位の外周に雄ねじを設けるとともに、内周に雌ねじを有するナットを、絶縁ブッシュ18に接触した状態で前記雄ねじに螺合し、ナットから前記中軸の後端部が突出するように構成してもよい。すなわち、中軸の後端部がケーブルの接続箇所となるように構成してもよい。

(h)上記実施形態において、中軸11は中実の棒状をなしているが、図8に示すように、中軸11の内部に中空部22を設け、中軸11を筒状としてもよい。この場合には、グロープラグ1のより一層の軽量化を図ることができ、燃費性能の更なる向上を図ることができる。また、中軸11によりヒーター部材3(発熱コイル12)から引かれる熱を低減することができるため、ヒーター部材3(発熱コイル12)を速やかに所定温度に到達させることができるとともに、ヒーター部材3を所定温度に到達させるために必要な電力を少なくすることができる。さらに、中軸11により制御コイル13の熱が引かれてしまうことを効果的に防止でき、制御コイル13の温度ひいては抵抗値を速やかに増大させることができる。その結果、制御コイル13の本来的な機能を速やかに発揮させることができるとともに、更なる省電力化を図ることができる。

(i)上記実施形態では、深絞り加工によりハウジング中間体31が形成されているが、ハウジング中間体31の製造手法は、これに限定されるものではない。従って、例えば、所定の金属材料に対して鍛造加工を施すことにより、ハウジング中間体を得ることとしてもよい。

(j)上記実施形態において、ハウジング2は全体的にほぼ均一の肉厚を有するように構成されているが、ハウジング2の肉厚を局所的に増減させることとしてもよい。従って、例えば、保持部20を先端側胴部9の他の部位よりも厚肉とし、厚肉に形成された保持部20によりヒーター部材3を保持してもよい。

(k)上記実施形態において、工具係合部6は断面六角形状とされているが、工具係合部6の形状は、このような形状に限定されるものではない。従って例えば、工具係合部6を、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等としてもよい。

(l)ヒーター部材3の形状は特に限定されるものではなく、例えば、断面楕円形状や断面長円形状、断面多角形状であってもよい。また、ヒーター部材として、絶縁性の基体を板状に複数形成して、その間に発熱体を挟み込んだいわゆる板状ヒーターを用いることとしてもよい。

(m)上記実施形態における発熱コイル12や制御コイル13の構成材料は例示であって、発熱コイル12等の構成材料は特に限定されるものではない。

1…グロープラグ、2…ハウジング、3…ヒーター部材、4…軸孔、5…ねじ部、6…工具係合部、7…圧接部、8…後端側胴部、8A…後端側補強部、9…先端側胴部、9A…先端側補強部、20…保持部、31…ハウジング中間体、CL1…軸線、MB…金属材。

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