センサ付きグロープラグ

申请号 JP2013544929 申请日 2013-04-26 公开(公告)号 JP5723461B2 公开(公告)日 2015-05-27
申请人 日本特殊陶業株式会社; 发明人 鈴木 啓之; 佐々 司光;
摘要
权利要求

軸線方向に延びる筒状のハウジングと、 後端部が前記ハウジング内に配置され、先端部が前記ハウジングの先端から突出し、前記軸線方向に沿って移動可能な棒状のヒータ部と、 一端が前記ハウジングに接続されるとともに、他端が前記ヒータに接続され、前記軸線方向に沿った前記ヒータ部の移動を可能としつつ、前記ヒータ部と前記ハウジングとを繋ぐ薄膜状の連結部材と、 前記ヒータ部を介して伝達される荷重に応じて、圧の検出を行う圧力センサと、を備える圧力センサ付きグロープラグであって、 前記連結部材は、 前記軸線方向に折り返された第1の屈曲部および第2の屈曲部と、 前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部とを接続し、前記ハウジングの後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部と、を有し、 前記第1の屈曲部は、前記軸線に直交する方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの近くに位置し、かつ、前記軸線方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの先端側に位置し、 前記第1の屈曲部の屈曲半径は、前記第2の屈曲部の屈曲半径より大きく、 前記連結部材は、更に、 前記ハウジングに接続され、第1の外径を有するとともに、前記軸線方向に沿った筒状に形成されている第1の筒部と、 前記ヒータに接続され、前記第1の外径よりも小さい第2の外径を有するとともに、前記軸線方向に沿った筒状に形成されている第2の筒部と、を有し、 前記軸線に直交する径方向において、前記軸線側を内側、前記軸線とは反対側を外側として、 前記第1の屈曲部は、前記第1の筒部における前記ハウジングが接続されている端部とは反対側の端部に接続され、前記径方向の内側に折り返されるように形成されており、 前記第2の屈曲部は、前記第2の筒部における前記ヒータ部が接続されている端部とは反対側の端部に接続され、前記径方向の外側に折り返されるように形成されていることを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。請求項1記載の圧力センサ付きグロープラグであって、 前記第1の屈曲部の厚さは、前記第2の屈曲部の厚さより大きいことを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。軸線方向に延びる筒状のハウジングと、 後端部が前記ハウジング内に配置され、先端部が前記ハウジングの先端から突出し、前記軸線方向に沿って移動可能な棒状のヒータ部と、 一端が前記ハウジングに接続されるとともに、他端が前記ヒータに接続され、前記軸線方向に沿った前記ヒータ部の移動を可能としつつ、前記ヒータ部と前記ハウジングとを繋ぐ薄膜状の連結部材と、 前記ヒータ部を介して伝達される荷重に応じて、圧力の検出を行う圧力センサと、を備える圧力センサ付きグロープラグであって、 前記連結部材は、 前記軸線方向に折り返された第1の屈曲部および第2の屈曲部と、 前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部とを接続し、前記ハウジングの後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部と、を有し、 前記第1の屈曲部は、前記軸線に直交する方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの近くに位置し、かつ、前記軸線方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの先端側に位置し、 前記第1の屈曲部の屈曲半径は、前記第2の屈曲部の屈曲半径より大きく、 前記第1の屈曲部の厚さは、前記第2の屈曲部の厚さより大きいことを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。請求項1ないし請求項3いずれかに記載の圧力センサ付きグロープラグであって、 前記第2の屈曲部は、前記第1の屈曲部の屈曲方向と反対向きに屈曲されていることを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。請求項1ないし請求項4いずれかに記載の圧力センサ付きグロープラグであって、 前記接続部は、前記第2の屈曲部に接するとともに前記軸線に直交する基準平面に対して、10度以上の傾きを有することを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。請求項5記載の圧力センサ付きグロープラグであって、 前記接続部は、前記基準平面に対して、35度以下の傾きを有することを特徴とする、 圧力センサ付きグロープラグ。請求項1ないし請求項6いずれかに記載の圧力センサ付きグロープラグであって、 前記連結部材は、絞り加工によって形成されていることを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。

说明书全文

本発明は、グロープラグに関し、特に、圧センサを内蔵するグロープラグに関する。

ディーゼルエンジン等の圧縮着火方式の内燃機関では、補助熱源としてグロープラグが使用される。グロープラグは、例えば、内燃機関の燃焼室を加熱するためのヒータと、燃焼室の圧力を測定する圧力センサと、ヒータとハウジングとに接合され、ヒータをグロープラグの軸線方向に変位可能に保持する薄膜形状の連結部材を有する。このようなグロープラグでは、圧力センサは、燃焼室内の圧力の変化に応じてヒータが変位することによって圧力センサに付与される荷重を検出している。

特開2005−331236号公報

燃焼圧計測時、周囲温度の変化に伴って連結部材が加熱され、連結部材が軸線方向に熱膨張することがある。ヒータは、連結部材によって保持されているので、連結部材の熱膨張による軸線方向の伸長がヒータを介して圧力センサに伝搬してしまう。この結果、燃焼圧の変化に応じてヒータが圧力センサに付与する荷重とは異なる荷重が圧力センサへ付与され、圧力センサの測定値に誤差が生じ、圧力センサの測定精度の低下という問題が生じる。

連結部材の熱膨張による軸線方向の伸長は、上述の燃焼圧計測時に限定されるものではなく、種々の環境変化に応じて生じるおそれがある。

本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、圧力センサ付きグロープラグにおいて、圧力計測時における連結部材の熱膨張による軸線方向の伸長を抑制し、圧力センサの測定精度を向上することを目的とする。

本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。

[適用例1] 軸線方向に延びる筒状のハウジングと、後端部が前記ハウジング内に配置され、先端部が前記ハウジングの先端から突出し、前記軸線方向に沿って移動可能な棒状のヒータ部と、一端が前記ハウジングに接続されるとともに、他端が前記ヒータに接続され、前記軸線方向に沿った前記ヒータ部の移動を可能としつつ、前記ヒータ部と前記ハウジングとを繋ぐ薄膜状の連結部材と、前記ヒータ部を介して伝達される荷重に応じて、圧力の検出を行う圧力センサと、を備える圧力センサ付きグロープラグであって、前記連結部材は、前記軸線方向に折り返された第1の屈曲部および第2の屈曲部と、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部とを接続し、前記ハウジングの後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部と、を有し、前記第1の屈曲部は、前記軸線に直交する方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの近くに位置し、かつ、前記軸線方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの先端側に位置し、前記第1の屈曲部の屈曲半径は、前記第2の屈曲部の屈曲半径より大きく、前記連結部材は、更に、前記ハウジングに接続され、第1の外径を有するとともに、前記軸線方向に沿った筒状に形成されている第1の筒部と、前記ヒータに接続され、前記第1の外径よりも小さい第2の外径を有するとともに、前記軸線方向に沿った筒状に形成されている第2の筒部と、を有し、前記軸線に直交する径方向において、前記軸線側を内側、前記軸線とは反対側を外側として、前記第1の屈曲部は、前記第1の筒部における前記ハウジングが接続されている端部とは反対側の端部に接続され、前記径方向の内側に折り返されるように形成されており、前記第2の屈曲部は、前記第2の筒部における前記ヒータ部が接続されている端部とは反対側の端部に接続され、前記径方向の外側に折り返されるように形成されていることを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。

適用例1の圧力センサ付きグロープラグによれば、連結部材は、軸線方向に折り返された第1の屈曲部および第2の屈曲部と、第1の屈曲部と第2の屈曲部とを接続し、ハウジングの後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部とを有する。従って、ハウジングとヒータとの間に形成される限られた空間において、軸線方向に折り返されている屈曲部を有しない場合に比して、連結部材の長さを長くすることができる。この結果、連結部材のバネ定数は低くなり、環境変化に応じて連結部材が熱膨張して軸線方向に伸長することが抑制される。よって、連結部材の軸線方向の伸長による不要な荷重が、ヒータを介して圧力センサへ付与されることを抑制でき、圧力センサの測定精度を向上できる。また、適用例1の圧力センサ付きグロープラグによれば、第1の屈曲部は、第2の屈曲部の屈曲半径より大きい屈曲半径を有するように形成されている。従って、第1の屈曲部と第2の屈曲部の屈曲半径に差が無いように形成されている連結部材に比して、連結部材、特に、第1の屈曲部に作用する応力を低減できる。よって、連結部材のバネ定数が低下することに伴う連結部材の耐久性低下を抑制でき、圧力センサの測定精度の向上とともに、連結部材の耐久性、ひいては圧力センサ付きグロープラグの耐久性を向上できる。 また、適用例1の圧力センサ付きグロープラグによれば、連結部材は、第1の外径を有するとともに、軸線方向に沿った筒状に形成されている第1の筒部と、第1の外径よりも小さい第2の外径を有するとともに、軸線方向に沿った筒状に形成されている第2の筒部と、を有する。従って、連結部材は、軸線方向に沿った断面が軸線に対して90度傾いたZ字状となるように形成される。よって、連結部材の大きさを比較的小さくすることができ、圧力センサ付きグロープラグにおける設計の自由度を増すことができる。 [適用例2] 適用例1記載の圧力センサ付きグロープラグであって、前記第1の屈曲部の厚さは、前記第2の屈曲部の厚さより大きいことを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。 適用例2の圧力センサ付きグロープラグによれば、ヒータ部が燃焼圧を受けて変位する際に、第1の屈曲部に集中する応力を軽減することができると共に、第1の屈曲部に発生する応力と第2の屈曲部に発生する応力とを最適化することができ、連結部材の耐久性を向上させることができる。 [適用例3] 軸線方向に延びる筒状のハウジングと、後端部が前記ハウジング内に配置され、先端部が前記ハウジングの先端から突出し、前記軸線方向に沿って移動可能な棒状のヒータ部と、一端が前記ハウジングに接続されるとともに、他端が前記ヒータに接続され、前記軸線方向に沿った前記ヒータ部の移動を可能としつつ、前記ヒータ部と前記ハウジングとを繋ぐ薄膜状の連結部材と、前記ヒータ部を介して伝達される荷重に応じて、圧力の検出を行う圧力センサと、を備える圧力センサ付きグロープラグであって、前記連結部材は、前記軸線方向に折り返された第1の屈曲部および第2の屈曲部と、前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部とを接続し、前記ハウジングの後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部と、を有し、前記第1の屈曲部は、前記軸線に直交する方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの近くに位置し、かつ、前記軸線方向において、前記第2の屈曲部よりも前記ハウジングの先端側に位置し、前記第1の屈曲部の屈曲半径は、前記第2の屈曲部の屈曲半径より大きく、前記第1の屈曲部の厚さは、前記第2の屈曲部の厚さより大きいことを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。 適用例3の圧力センサ付きグロープラグによれば、連結部材は、軸線方向に折り返された第1の屈曲部および第2の屈曲部と、第1の屈曲部と第2の屈曲部とを接続し、ハウジングの後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部とを有する。従って、ハウジングとヒータとの間に形成される限られた空間において、軸線方向に折り返されている屈曲部を有しない場合に比して、連結部材の長さを長くすることができる。この結果、連結部材のバネ定数は低くなり、環境変化に応じて連結部材が熱膨張して軸線方向に伸長することが抑制される。よって、連結部材の軸線方向の伸長による不要な荷重が、ヒータを介して圧力センサへ付与されることを抑制でき、圧力センサの測定精度を向上できる。また、適用例3の圧力センサ付きグロープラグによれば、第1の屈曲部は、第2の屈曲部の屈曲半径より大きい屈曲半径を有するように形成されている。従って、第1の屈曲部と第2の屈曲部の屈曲半径に差が無いように形成されている連結部材に比して、連結部材、特に、第1の屈曲部に作用する応力を低減できる。よって、連結部材のバネ定数が低下することに伴う連結部材の耐久性低下を抑制でき、圧力センサの測定精度の向上とともに、連結部材の耐久性、ひいては圧力センサ付きグロープラグの耐久性を向上できる。 また、適用例3の圧力センサ付きグロープラグによれば、ヒータ部が燃焼圧を受けて変位する際に、第1の屈曲部に集中する応力を軽減することができると共に、第1の屈曲部に発生する応力と第2の屈曲部に発生する応力とを最適化することができ、連結部材の耐久性を向上させることができる。

[適用例4] 適用例1ないし適用例3いずれかに記載の圧力センサ付きグロープラグであって、前記第2の屈曲部は、前記第1の屈曲部の屈曲方向と反対向きに屈曲されていることを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。

適用例4の圧力センサ付きグロープラグによれば、第2の屈曲部は、第1の屈曲部の屈曲方向と反対向きに屈曲されている。従って、簡略な構成で、連結部材の長さを長くすることができ、連結部材のバネ定数を低くすることができる。

[適用例5] 適用例1ないし適用例4いずれかに記載の圧力センサ付きグロープラグであって、前記接続部は、前記第2の屈曲部に接するとともに前記軸線に直交する基準平面に対して、10度以上の傾きを有することを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。

適用例5の圧力センサ付きグロープラグによれば、接続部は、第2の屈曲部に接するとともに軸線に直交する基準平面に対して、10度以上の傾きを有するように形成されている。従って、基準平面に対する接続部の傾きが10度未満である連結部材よりも、バネ定数を低くできる。よって、圧力センサの測定精度を向上できる。

[適用例6] 適用例5記載の圧力センサ付きグロープラグであって、前記接続部は、前記基準平面に対して、35度以下の傾きを有することを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。

適用例6の圧力センサ付きグロープラグによれば、接続部は、基準平面に対して、35度以下の傾きを有するように形成されている。従って、基準平面に対する接続部の傾きが35度より大きい連結部材よりも、バネ定数を低くできる。よって、圧力センサの測定精度を向上できる。

[適用例7] 適用例1ないし適用例6いずれか記載の圧力センサ付きグロープラグであって、前記連結部材は、絞り加工によって形成されていることを特徴とする、圧力センサ付きグロープラグ。

適用例7の圧力センサ付きグロープラグによれば、連結部材は、絞り加工によって形成されている。従って、連結部材のコストパフォーマンスを向上できるとともに、第1の屈曲部、第2の屈曲部や接続部の形状にバラツキの少ない品質の安定した連結部材を製造できる。

本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。

第1実施例におけるグロープラグ100の構成を示す説明図。

第1実施例におけるグロープラグ100の構成を示す説明図。

第1実施例におけるキャップ部120近傍の拡大断面図。

第1実施例における連結部材180の詳細構成について説明する模式断面図。

第1実施例における度−バネ定数グラフ500。

第2実施例におけるグロープラグ100aのキャップ部120近傍の拡大断面図。

第2実施例における連結部材180aの詳細構成について説明する模式断面図。

第2実施例における屈曲半径−バネ定数グラフ600。

第2実施例における屈曲半径−応力グラフ700。

従来例のグロープラグについて説明する断面図。

従来例のグロープラグについて説明する断面図。

机上モータリング試験における圧力センサの測定誤差について示す誤差グラフ900。

第2実施例におけるグロープラグ100a、従来例1,2のグロープラグ800,850のスス詰まりの状態を示す説明図。

第2実施例におけるグロープラグ100a、従来例1,2のグロープラグ800,850のスス詰まりの状態を示す説明図。

第2実施例におけるグロープラグ100a、従来例1,2のグロープラグ800,850のスス詰まりの状態を示す説明図。

圧力センサの感度比について示す感度比グラフ1000。

A.第1実施例: A1.グロープラグ概略構成: 図1Aおよび図1Bは、第1実施例のグロープラグ100の構成を示す説明図である。図1Aは、グロープラグ100の全体構成を示し、図1Bは、部分的な断面構成を示している。また、図2は、後述するキャップ部120近傍の拡大断面図である。以下では、図1A,1B,2におけるグロープラグ100の軸線Oの下方をグロープラグ100の先端側とし、上方を後端側として説明する。また、グロープラグ100の軸線Oに沿った下向きの方向を軸線方向ODとする。図1Aおよび図1Bに示すように、グロープラグ100は、主体金具110とキャップ部120とを有するハウジング130と、ヒータ部150と、を備えている。なお、主体金具110は、「胴部」とも呼ばれ、キャップ部120は「頭部」とも呼ばれる。

主体金具110は、炭素鋼やステンレス鋼によって形成された略円筒状の金属部材である。主体金具110の後端部には、グロープラグ100を内燃機関に取り付けるための工具が係合する工具係合部112が形成されている。また、工具係合部112よりも先端側には、グロープラグ100をシリンダヘッドに固定するためのネジ溝(図示せず)が形成されたネジ部114が備えられている。工具係合部112の後端部には、ハウジング130内の集積回路166(後述)や中軸170(後述)に電気的に接続される複数の配線116が挿入されている。

主体金具110の先端には、キャップ部120が配置されている。キャップ部120は、炭素鋼やステンレス鋼によって形成された環状の金属部材である。図2に示すように、キャップ部120の後端側には、外径がほぼ一定の円筒部122が形成され、先端側には、先端に向かって縮径するテーパ部124が形成されている。

ヒータ部150は、シース管152と発熱コイル154と絶縁粉末155とを備えている。シース管152は、耐熱・耐食性に優れたステンレス鋼等によって形成されており、先端部が半球状に閉塞し、後端が主体金具110内において開口している。発熱コイル154は、巻線型抵抗であり、シース管152の先端側内部に配置されている。ヒータ部150には、金属製の棒状部材である中軸170が挿入され、発熱コイル154の後端は、この中軸170の先端に固定される。発熱コイル154には、配線116および中軸170を通じて、外部から電力が供給される。シース管152内には、発熱コイル154との隙間に、耐熱性を有する酸化マグネシウム等の絶縁粉末155が充填されている。シース管152の開口された後端と中軸170との間には、絶縁粉末155をシース管152内に密封するためのシール部材156が挿入されている。シース管152には、スウェージング加工が施されており、これにより、内部に充填された絶縁粉末155の緻密性が高められ、熱伝導効率を向上させている。このような構成のヒータ部150は、後端側が主体金具110内に配置され、先端側が、キャップ部120の開口部125から軸線方向ODに向かって突出するように配置されている。

ハウジング130内には、ヒータ部150よりも後端側に配置された環状の圧力センサ160(図1B参照)と、圧力センサ160をハウジング130内に固定するためのセンサ固定部材132と、軸線Oに沿ったヒータ部150の変位を圧力センサ160に伝達するための伝達スリーブ134と、ヒータ部150の外周をハウジング130の内部に連結するための連結部材180と、が設けられている。

センサ固定部材132は、ステンレス鋼等によって形成された略円筒形状の部材である。センサ固定部材132は、主体金具110の内周に沿って配置されており、その先端近傍には、鍔状のフランジ部133が形成されている。このフランジ部133は、主体金具110の先端面およびキャップ部120の後端面に溶接されている。また、センサ固定部材132の後端には、圧力センサ160の外周部が溶接されている。本実施形態では、このセンサ固定部材132によって、圧力センサ160がハウジング130内の中央部付近に固定されている。

伝達スリーブ134は、ステンレス鋼等によって形成された略円筒状の部材である。伝達スリーブ134は、センサ固定部材132とヒータ部150との間に配置されている。伝達スリーブ134の先端は、センサ固定部材132のフランジ部133が形成されている位置付近において、ヒータ部150の外周に溶接されている。また、伝達スリーブ134の後端は、環状の圧力センサ160の内周部に溶接されている。ヒータ部150の軸線Oに沿った変位は、この伝達スリーブ134によって圧力センサ160の内周部に伝達される。

連結部材180は、端部186においてハウジング130に接続されるとともに、端部186とは異なる端部188においてヒータ部150に接続され、軸線Oに沿ったヒータ部150の移動を可能としつつ、ヒータ部150とハウジング130とを繋ぐ。連結部材180は、ステンレス鋼やニッケル合金等によって薄膜状に形成され、弾性を有する。

一般的に、燃焼圧測定時に、燃焼室内の温度上昇に伴い、連結部材180は熱膨張する。連結部材180は熱膨張に伴って軸線O方向に伸長する。この軸線O方向への伸長は、連結されているヒータ部150に対して不要な荷重、すなわち、燃焼圧の変化に対応してヒータ部150が変位することにより圧力センサに伝達する荷重以外の荷重として伝達されてしまい、結果として、圧力センサ160の測定精度の低下を招くおそれがある。連結部材180のバネ定数kを低くすることにより、燃焼圧測定時に連結部材180に生じる軸線O方向への伸長が抑制され、連結部材180の軸線O方向への伸長による不要な荷重が圧力センサへ付与されることを抑制でき、圧力センサの測定精度を向上できる。第1実施例では、連結部材180に、軸線方向ODに折り返された2つの屈曲部を形成することにより、連結部材180のバネ定数を低くしている。連結部材180の詳細な構成について、図3を参照して説明する。

図3は、第1実施例における連結部材180の詳細構成について説明する模式断面図である。図3では、図2における軸線Oから図面左側部分の連結部材180を部分的に拡大して示されている。連結部材180は、第1の筒部181、第2の筒部182、第1の屈曲部183、第2の屈曲部184および接続部185を備える。なお、本明細書において、径方向とは、主体金具110の径方向であり、軸線Oに垂直な方向を示す。また、径方向において、軸線Oに近い側を内側、軸線Oに遠い側を外側として説明する。

第1の筒部181は、端部186においてハウジング130と溶接接続されるとともに、端部187において第1の屈曲部183と接続されており、第1の外径d1を有するとともに、軸線Oに沿った筒状に形成されている。第2の筒部182は、端部188においてヒータ部150に溶接接続されるとともに、端部189において第2の屈曲部184と接続されており、第1の外径d1よりも小さい第2の外径d2を有するとともに、軸線Oに沿った筒状に形成されている。実施例において、「軸線Oに沿った」とは、公差を含み、軸線Oに平行であることを意味する。なお、端部187と第1の屈曲部183との接続、および、端部189と第2の屈曲部184との接続、とは、当該部分が各構成部品の境界部分であることを意味しており、接合や接着を意味するものではない。

第1の屈曲部183は、第1の筒部181の端部187に接続され、径方向Yの内側に折り返され、点O1を中心とし、屈曲半径R1を有する曲面状に形成されている。また、第1の屈曲部183は、径方向Yにおいて、第2の屈曲部184よりもハウジング130の近くに位置し、かつ、軸線方向ODにおいて、第2の屈曲部184よりもハウジング130の先端側に位置する。

第2の屈曲部184は、第1の屈曲部183の端部189に接続され、径方向Yの外側に折り返され、点O2を中心とし、屈曲半径R2を有する曲面状に形成されている。また、第2の屈曲部184は、径方向Yにおいて、第1の屈曲部183よりもヒータ部150の近くに位置し、かつ、軸線方向ODにおいて、第2の屈曲部184よりもハウジング130の後端側に位置する。第2の屈曲部184は、第1の屈曲部183の屈曲方向と反対向きに突状となるように屈曲されている。

第1の屈曲部183と第2の屈曲部184とは、接続部185によって接続されている。第1の屈曲部183と第2の屈曲部184とを軸線方向ODに対して反対向きに折り返すことにより、径方向Yにおいて重複する部分に応じた長さ分だけ、連結部材180の長さは長くなるので、連結部材180のバネ定数kを低くすることができる。

接続部185は、主体金具110の後端側に向けて縮径するテーパ状に形成されている、換言すれば、第2の屈曲部184に接するとともに軸線Oに直交する平面(以降、基準平面Sと呼ぶ)に対して、所定の角度r1の傾きを有するように形成されている。接続部185の角度r1によって、連結部材180のバネ定数kは変化する。基準平面Sに対する接続部185の角度r1とバネ定数kとの関連について、図4を参照して説明する。

図4は、第1実施例における角度−バネ定数グラフ500である。角度−バネ定数グラフ500は、第1実施例における基準平面Sに対する接続部185の角度r1と、連結部材180のバネ定数kとの関係を示している。角度−バネ定数グラフ500において、縦軸はバネ定数k(単位:kN/mm)を示し、横軸は基準平面Sに対する接続部185の角度r1(単位:deg)を示している。第1実施例において、基準平面Sと第2の屈曲部184との接点を中心とし、基準平面Sに対して左回り方向への傾きを正の符号(+)で示し、基準平面Sに対して右回り方向への傾きを負の符号(−)で示す。

角度−バネ定数グラフ500に示されるように、接続部185の基準平面Sに対する角度r1が、以下の式1の範囲内のとき、連結部材180のバネ定数kは、8kN/mm以下の範囲に含まれ、接続部185の角度r1が式1の範囲外の場合のバネ定数kに対して相対的に低くなる。従って、接続部185の角度r1が式1の範囲内に含まれるように、第1の屈曲部183や第2の屈曲部184が規定され、連結部材180が形成される。第1実施例では、角度r1=30°となるように連結部材180が形成されている。 10°≦r1≦35°…(式1)

本実施例のグロープラグ100では、連結部材180の第1の屈曲部183の厚さ(板厚)T1(図2参照)は、第2の屈曲部184の厚さ(板厚)T2より大きい。そのため、ヒータ部150が燃焼圧を受けて変位する際に、第1の屈曲部183に集中する応力を軽減することができると共に、第1の屈曲部183に発生する応力と第2の屈曲部184に発生する応力とを最適化することができ、連結部材180の耐久性を向上させることができる。例えば、上記観点から、第1の屈曲部183の厚さT1を第2の屈曲部184の厚さT2の1.15〜1.35倍とするのが好ましく、厚さT1を厚さT2の1.2〜1.3倍とするのがより好ましく、厚さT1を厚さT2の1.25倍とするのがさらに好ましい。

連結部材180は、絞り加工や切削、鋳造など種々の方法によって作製可能であるが、第1実施例では、絞り加工(深絞り加工)によって作製されている。連結部材180の作製において、絞り加工は、切削加工や鋳造などの他の方法に比して、短時間で作製できる、第1の屈曲部183、第2の屈曲部184の形状のバラツキを低減できる、余剰部材(作製後に屑となる部分)が少なく、コストパフォーマンスが高い、などの利点がある。

第1実施例では、連結部材180は、キャップ部120内に配置されている。ヒータ部150は、連結部材180の弾性力によって、軸線Oに沿った変位が許容されている。なお、連結部材180は、ヒータ部150とハウジング130とを連結することで、燃焼室から主体金具110内への気密を確保する役割も果たす。

圧力センサ160(図1B参照)は、中軸170が通る開口部161が中央に設けられた環状の金属ダイアフラム162と、金属ダイアフラム162の上面(後端側の面)に接合されたピエゾ抵抗素子164と、を備えている。金属ダイアフラム162は、例えば、ステンレス鋼等によって形成されている。ピエゾ抵抗素子164には、ハウジング130内の所定の部位に設けられた集積回路166が電気的に接続されている。前述のように、金属ダイアフラム162の内周には、ヒータ部150に接続された伝達スリーブ134の後端が接合されている。そのため、燃焼圧の受圧によってヒータ部150が軸線Oに沿って変位すると、伝達スリーブ134によって、その変位量が金属ダイアフラム162に伝達され、金属ダイアフラム162を撓らせる。集積回路166は、この金属ダイアフラム162の変形をピエゾ抵抗素子164を用いて検出することで、内燃機関の燃焼圧を検出する。集積回路166は、こうして検出された燃焼圧を示す電気信号を、主体金具110の後端に挿入された配線116を通じて外部のECU等に出力する。

以上で説明した本実施形態では、グロープラグ100の工具係合部112に工具を係合させ、内燃機関のプラグ取り付け孔200にネジ部114を螺合させることで、キャップ部120が内燃機関のプラグ取付け孔200の座面210に接触し、グロープラグ100が内燃機関に固定される。

A2.連結部材180の製造方法: 第1実施例のグロープラグ100は、グロープラグ100を構成する各部材(主体金具110、キャップ部120、ヒータ部150、圧力センサ160および連結部材180)がそれぞれ作製され、組み付けられることにより製造される。なお、第1実施例における連結部材180は、多段階の絞り工程を経る深絞り加工によって作製される。

以上説明した第1実施例のグロープラグ100によれば、連結部材180は、軸線方向ODに折り返された第1の屈曲部183および第2の屈曲部184と、第1の屈曲部183と第2の屈曲部184とを接続し、胴部の後端側に向けて縮径するテーパ状の接続部185を有する。従って、ハウジング130とヒータ部150との間に形成される限られた空間において、軸線方向ODに折り返されている屈曲部を有しない場合に比して、連結部材180の長さを長くすることができる。この結果、連結部材180のバネ定数kは低くなり、連結部材180が熱膨張して軸線方向に伸長することが抑制される。よって、連結部材180の軸線方向の伸長による不要な荷重が、ヒータ部150を介して圧力センサ160へ付与されることを抑制でき、圧力センサ160の測定精度を向上できる。

また、第1実施例のグロープラグ100によれば、第2の屈曲部184は、第1の屈曲部183の屈曲方向と反対向きに屈曲されている。従って、簡略な構成で、連結部材180の長さを長くすることができ、連結部材180のバネ定数kを低くすることができる。

また、第1実施例のグロープラグ100によれば、連結部材180は、第1の外径を有するとともに、軸線方向ODに沿った筒状に形成されている第1の筒部と、第1の外径よりも小さい第2の外径を有するとともに、軸線方向ODに沿った筒状に形成されている第2の筒部と、を有する。従って、連結部材180は、軸線方向ODに沿った断面が軸線Oに対して90度傾いたZ字状となるように形成される。よって、連結部材180の大きさを比較的小さくすることができ、圧力センサ付きグロープラグにおける設計の自由度が増す。

また、第1実施例のグロープラグ100によれば、接続部185は、第2の屈曲部184に接するとともに軸線Oに直交する基準平面に対して、10度以上、かつ、35度未満の傾きを有するように形成されている。従って、基準平面Sに対する接続部185の角度が10度未満、もしくは、35度以上である連結部材180よりも、連結部材180のバネ定数kを低くすることができる。よって、圧力センサ160の測定精度を向上できる。

また、第1実施例のグロープラグ100によれば、連結部材180は、絞り加工によって形成されている。従って、連結部材180の作製におけるコストパフォーマンスを向上できるとともに、第1の屈曲部183、第2の屈曲部184や接続部185の形状にバラツキの少ない品質の安定した連結部材180を製造できる。

B.第2実施例: 第2実施例では、連結部材は、第1の屈曲部の屈曲半径が第2の屈曲部の屈曲半径より大きくなるように形成されている。第2実施例のグロープラグ100aにおいて、連結部材180a以外の構成部品は第1実施例と同様であるため、第1実施例の符号を用いて示すとともに、詳細な説明を省略する。

B1.連結部材の構成: 図5は、第2実施例におけるグロープラグ100aのキャップ部120近傍の拡大断面図である。連結部材180aは、第1の筒部181a、第2の筒部182a、第1の屈曲部183a、第2の屈曲部184aおよび接続部185aを備える。連結部材180aは、端部186aにおいてハウジング130に接続されるとともに、端部186aとは異なる端部188aにおいてヒータ部150に接続され、軸線Oに沿ったヒータ部150の移動を可能としつつ、ヒータ部150とハウジング130とを繋ぐ。連結部材180aは、ステンレス鋼やニッケル合金等によって薄膜状に形成され、弾性を有する。

図6は、第2実施例における連結部材180aの詳細構成について説明する模式断面図である。図6において、第1の屈曲部183a、第2の屈曲部184aを太実線で示すとともに、第1の屈曲部183aの屈曲中心を点O3,第2の屈曲部184aの屈曲中心を点O4として示す。連結部材180aは、第1の屈曲部183aと第2の屈曲部184aの屈曲半径が異なること以外は、第1実施例の連結部材180と同様の構成・作用を有する。

第1の屈曲部183aは、点O3を中心とし、屈曲半径R10を有する球面状に形成されている。第2の屈曲部184aは、屈曲半径R20を有する球面状に形成されている。第1の屈曲部183aの屈曲半径R10は、第2の屈曲部184aの屈曲半径R20よりも大きい。第2実施例では、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10は0.5mmであり、第2の屈曲部184aの屈曲半径R20は0.2mmである。

接続部185aは、基準平面Sに対して、角度r10傾いている。なお、角度r10は、第1実施例における式1の範囲に含まれていればよく、第2実施例では、角度r10=30°である。

第1実施例の連結部材180では、第1の屈曲部183と第2の屈曲部184を軸線方向ODに折り返して形成することにより、連結部材180のバネ定数kを低下させることができるが、バネ定数の低下に伴い、耐久性が低下するという問題が生じる。第1実施例の連結部材180では、径方向外側に位置する第1の屈曲部183に作用する応力、特に圧縮応力が高くなることが実験的に知られている。

よって、第2実施例では、連結部材180aにおいて、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10を拡大することにより、第1の屈曲部183aに作用する応力を分散・低減することにより、連結部材180aの耐久性を向上する。なお、圧縮応力は、第1の屈曲部183の内周側183b、第2の屈曲部184aの内周側184bに働き、引張応力は、第1の屈曲部183aの外周側183c、第2の屈曲部184aの外周側184cに働く。以下に、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10とバネ定数kとの相関、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10と連結部材180aへ作用する応力との相関、および、第2実施例における連結部材180aを用いたグロープラグ100aと従来例の連結部材を用いたグロープラグとの圧力センサの測定性能の比較について説明する。

B2.屈曲半径R10とバネ定数kとの相関について: 図7は、第2実施例における屈曲半径−バネ定数グラフ600である。屈曲半径−バネ定数グラフ600は、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10と、連結部材180aのバネ定数kとの関係について示している。屈曲半径−バネ定数グラフ600において、縦軸はバネ定数k(単位:kN/mm)を示し、横軸は第1の屈曲部183aの屈曲半径R10(単位:mm)を示している。

グロープラグ100aにおける連結部材180aのバネ定数kは、15kN/mm以下であれば、圧力センサ160において十分な測定精度を得られることが実験的に知られている。屈曲半径−バネ定数グラフ600に示されるように、屈曲半径R10が拡大することに伴い、バネ定数kは増加する傾向にあるが、屈曲半径R10=0.5mmのときの連結部材180aのバネ定数kは10kN/mm以下であり、測定精度に影響を与えない、比較的低い値となる。

B3.屈曲半径R10と連結部材180aへ作用する応力との相関: 図8は、第2実施例における屈曲半径−応力グラフ700である。屈曲半径−応力グラフ700は、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10と、第1の屈曲部183a、第2の屈曲部184aに作用する応力の相関について示している。屈曲半径−応力グラフ700において、縦軸は相当応力(単位:MPa)を示し、横軸は第1の屈曲部183aの屈曲半径R10(単位:mm)を示している。屈曲半径−応力グラフ700において、折れ線グラフS1は、第1の屈曲部183aに作用する相当応力の変化を示しており、折れ線グラフS2は、第2の屈曲部184aに作用する相当応力の変化を示している。

軸線方向に折り返された第1の屈曲部、第2の屈曲部を有する連結部材(第1実施例の連結部材180や第2実施例の連結部材180a)は、連結部材180に作用する相当応力が600MPa以下であれば、燃焼圧に対して十分な耐久性を有することが実験的に知られている。屈曲半径−応力グラフ700の折れ線グラフS2に示されるように、屈曲半径R10≦0.5mmのとき、第2の屈曲部184aに作用する相当応力は600MPa以下となる。一方、折れ線グラフS1に示されるように、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10の径大化に伴い、第1の屈曲部183aに作用する相当応力は低下するものの、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10<0.4mmの範囲では、第1の屈曲部183aに作用する相当応力は600MPa以上となっている。このため、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10<0.4mmの場合、燃焼圧に対する連結部材180の耐久性能は低く、連結部材180が損傷するおそれがある。

従って、第2実施例では、第1の屈曲部183aおよび第2の屈曲部184aに作用する相当応力が600MPa以下となるように、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10は0.5mmとし、第2の屈曲部184aの屈曲半径R20は0.2mmとされている。

なお、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10の径大化に伴い、第2の屈曲部184aに作用する相当応力が増加する傾向にあるが、第1の屈曲部183aの屈曲半径R10≦0.5mmの範囲内であれば、第2の屈曲部184aに作用する圧縮応力は600MPa以下であり、連結部材180の耐久性は担保される。

B4.圧力センサの測定性能の比較: 第2実施例における連結部材180aを用いたグロープラグ100aと従来例の連結部材を用いたグロープラグとの圧力センサの測定性能の比較結果について、図9A〜図12を参照して説明する。

図9Aおよび9Bは、従来例のグロープラグについて説明する断面図である。図9Aは、従来例1のグロープラグ800の連結部材810周囲を示す部分拡大図である。図9Bは、従来例2のグロープラグ850の連結部材860周囲を示す部分拡大図である。

図9Aに示されるように、従来例1の連結部材810は、第1の屈曲部813、第2の屈曲部814、および、第1の屈曲部813と第2の屈曲部814とを接続する接続部815を備える。連結部材810の接続部815は、基準平面Sと平行、すなわち、基準平面Sに対する角度が0°(傾きを有さない)である。

また、図9Bに示されるように、従来例2の連結部材860は、第1の屈曲部863、第2の屈曲部864、および、第1の屈曲部863と第2の屈曲部864とを接続する接続部865を備える。接続部865は、基準平面Sに対して角度(傾き)r2が−20°となるように形成されている。すなわち、第1の屈曲部863、第2の屈曲部864は、軸線方向ODに折り返されておらず、接続部865は、グロープラグ850の先端に向けて縮径するテーパ形状となるように形成されている。

図10は、エンジン試験における圧力センサの測定誤差について示す誤差グラフ900である。当該エンジン試験では、試験用単気筒エンジンが利用された。誤差グラフ900において、縦軸は測定圧力の誤差(単位:bar)を示し、横軸は単気筒エンジンのクランク角(単位:deg)を示している。また、誤差グラフ900において、実線で示す誤差曲線902は、第2実施例における連結部材180aを利用したグロープラグ100aにおける圧力センサの燃焼圧測定誤差について示しており、破線で示す誤差曲線904は、図9Aに示すグロープラグ800における圧力センサの燃焼圧測定誤差について示しており、一点鎖線で示す誤差曲線906は、図9Bに示すグロープラグ850における圧力センサの燃焼圧測定誤差について示している。

誤差グラフ900に示されるように、第2実施例のグロープラグ100aおよび従来例1のグロープラグ800の測定誤差は、ほぼ±0.1barという比較的誤差の小さい範囲内に収まる。

図11Aないし11Bは、第2実施例におけるグロープラグ100a、従来例1,2のグロープラグ800,850のスス詰まりの状態を示す説明図である。図11Aは、グロープラグ100aのスス詰まりを示しており、図11Bは、グロープラグ800のスス詰まりを示しており、図11Cは、グロープラグ850のスス詰まりを示している。グロープラグ100a、800、850のいずれにおいても、内燃機関において燃焼が開始されると、燃焼室内のススが、開口部125を介してキャップ部120の内側に侵入し、図11A〜11Cのそれぞれに示すように、連結部材180a、810、850とキャップ部120との間にスス詰まり190、840、880が生じる。スス詰まりは、連結部材の弾性を阻害し、圧力センサの感度を悪化させる原因の一つとなる。

図12は、圧力センサの感度比について示す感度比グラフ1000である。感度比グラフ1000は、第2実施例のグロープラグ100a、従来例におけるグロープラグ800,850のスス詰まり時における圧力センサの感度比について示している。感度比グラフ1000において、縦軸は、スス詰まり未発生時における圧力センサの感度を100%としたときの感度比(単位:%)を示している。また、感度比グラフ1000において、棒グラフAは、従来例1のグロープラグ800の感度比を示し、棒グラフBは、従来例2のグロープラグ850の感度比を示し、棒グラフCは、第2実施例のグロープラグ100aの感度比を示している。また、棒グラフDは、第2実施例におけるグロープラグ100aの第2の屈曲部184aの窪みにのみスス詰まり190a(図11A参照)が生じた場合の感度比を示し、棒グラフEは、グロープラグ100aにスス詰まり190およびスス詰まり190aが生じた場合の感度比を示している。

感度比グラフ1000の棒グラフA、B、Cにより示されるように、第2実施例のグロープラグ100aは、従来例のグロープラグ800、850に比して、スス詰まりが生じた場合における感度比が低い(感度の変動が小さい)。従って、圧力センサの測定誤差が小さくなるので、測定性能が向上される。

また、第2実施例のグロープラグ100aは、感度比グラフ1000の棒グラフD、Eに示すように、スス詰まり190aのみが生じている場合、および、スス詰まり190とスス詰まり190aの双方が生じている場合、のいずれの場合においても、圧力センサの感度比は110%未満(換言すれば、感度変動が+10%未満)である。すなわち、グロープラグ100aは、スス詰まりの位置や量による感度への影響が比較的小さいので、長期に亘り、圧力センサの測定性能を高く維持できる。

以上説明した第2実施例のグロープラグ100aによれば、第1の屈曲部183aは、第2の屈曲部184aの屈曲半径R20より大きい屈曲半径R10を有するように形成されている。従って、第1の屈曲部183aと第2の屈曲部184aの屈曲半径に差が無いように形成されている連結部材、もしくは、第1の屈曲部の屈曲半径が、第2の屈曲部の屈曲半径より小さく形成されている連結部材に比して、連結部材に作用する応力を低減できる。よって、連結部材のバネ定数が低下することに伴う連結部材の耐久性低下を抑制でき、圧力センサの測定精度の向上とともに、連結部材の耐久性、ひいては圧力センサの耐久性を向上できる。

C.変形例: 第1実施例の連結部材180の第1の筒部181、第2の筒部182、および、第2実施例の連結部材180aの第1の筒部181a、第2の筒部182aは、軸線Oに平行となるように形成されているが、第1の屈曲部183、183aと、第2の屈曲部184、184aが軸線方向に折り返されるように形成されていれば、第1の筒部181、181a、第2の筒部182、182aは、軸線Oに対して傾いて形成されていてもよい。

以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。例えば、上記実施例では、ヒータ部150として、シース管152と発熱コイル154と絶縁粉末155とを備えるヒータが用いられているが、ヒータとして、セラミックヒータを用いることも可能である。この場合、セラミックヒータとセラミックヒータの外周面に固定された筒状の金属製外筒との組立体をヒータ部150とすることができ、連結部材180は外筒に接続される。また、上記実施例では、ピエゾ抵抗素子164を用いて燃焼圧を検出しているが、燃焼圧は他のセンサによって検出してもよい。例えば、圧電素子を用いて燃焼圧を検出してもよい。この場合、圧電素子がセンサ固定部材132と伝達スリーブ134との間に軸方向に挟持された構成を採用してもよい。

100…グロープラグ 100a…グロープラグ 110…主体金具 112…工具係合部 114…ネジ部 116…配線 120…キャップ部 122…円筒部 124…テーパ部 125…開口部 130…ハウジング 132…センサ固定部材 133…フランジ部 134…伝達スリーブ 150…ヒータ部 152…シース管 154…発熱コイル 155…絶縁粉末 156…シール部材 160…圧力センサ 161…開口部 162…金属ダイアフラム 164…ピエゾ抵抗素子 166…集積回路 170…中軸 180…連結部材 180a…連結部材 181…第1の筒部 181a…第1の筒部 182…第2の筒部 182a…第2の筒部 183…第1の屈曲部 183a…第1の屈曲部 184…第2の屈曲部 184a…第2の屈曲部 185…接続部 185a…接続部 186…端部 186a…端部 187…端部 188…端部 188a…端部 189…端部 200…孔 210…座面 800…グロープラグ 810…連結部材 813…第1の屈曲部 814…第2の屈曲部 815…接続部 850…グロープラグ 860…連結部材 863…第1の屈曲部 864…第2の屈曲部 865…接続部 900…誤差グラフ 902…誤差曲線 904…誤差曲線 906…誤差曲線 1000…感度比グラフ

QQ群二维码
意见反馈