センサー用圧電素子

申请号 JP2014518317 申请日 2013-03-27 公开(公告)号 JP5669985B2 公开(公告)日 2015-02-18
申请人 京セラ株式会社; 发明人 広章 中園; 広章 中園;
摘要
权利要求
  • 円形状の第1周縁を有する第1主面、円形状の第2周縁を有する、前記第1主面と反対側の第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間を貫通した円形状の貫通孔を備える圧電基体と、
    前記第1主面に接合した第1電極層と、
    前記第2主面に接合した第2電極層とを備え、
    前記第1主面と前記第2主面との間に加わる荷重によって前記圧電基体に生じる電荷を前記第1電極層および前記第2電極層を介して出力する圧力センサー用圧電素子であって、
    前記第1周縁を含む第1仮想平面と、前記第2周縁を含む前記第2仮想平面とはそれぞれ平行であり、
    前記貫通孔の中心軸は、前記第1周縁の中心と前記第2周縁の中心とを通って前記第1仮想平面および前記第2仮想平面に直交しており、
    前記第1主面は、前記貫通孔の開口を囲むように設けられた、前記第1周縁と同心円状の突部を備えており、
    前記中心軸を含む前記圧電基体の断面のうち、前記貫通孔を挟んで両側に配置された2つの部分領域のそれぞれにおける前記突部の断面線が、前記中心軸に平行な方向に前記圧電基体の外側に向けて凸な円弧状であることを特徴する圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第1電極層は、前記第1主面の前記突部の表面のみに接合していることを特徴とする請求項1記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第1電極層の前記圧電基体に接合した側と反対側の表面は、前記第1仮想平面と平行であることを特徴とする請求項1または2記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第1主面は、前記第1周縁を含んで前記突部に連なる、前記第1仮想平面と面一な外側平面部と、前記貫通孔の前記開口の周縁を含んで前記突部に連なる、前記第1仮想平面と面一な内側平面部とを備えることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第2主面は、前記貫通孔の開口を囲むように設けられた、前記第2周縁と同心円状の第2主面側突部を備えており、
    前記中心軸を含む前記圧電基体の断面のうち、前記貫通孔を挟んで両側に配置された2つの部分領域のそれぞれにおける前記第2主面側突部の断面線が、前記中心軸に平行な方向に前記圧電基体の外側に向けて凸な円弧状であることを特徴する請求項1〜4のいずれかに記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第2電極層は、前記第2主面側突部の表面のみに接合していることを特徴とする請求項5記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第2電極層の前記圧電基体に接合した側と反対側の表面は、前記第2仮想平面と平行であることを特徴とする請求項5または6記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 前記第2主面は、前記第2周縁を含んで前記第2主面側突部に連なる、前記第2仮想平面と面一な外側平面部と、前記貫通孔の前記開口の周縁を含んで前記突部に連なる、前記第1仮想平面と面一な内側平面部とを備えることを特徴する請求項5〜7のいずれかに記載の圧力センサー用圧電素子。
  • 说明书全文

    本発明は、例えば自動車等の内燃機関エンジンの燃焼室内の圧等を計測するために用いる圧力センサー用圧電素子に関する。

    従来より、圧電素子は圧力、力、加速度など様々な物理量の計測手段として用いられており、その応用分野も産業用、自動車用、医療用、および家電用等多岐にわたっている。

    例えば、自動車のディーゼルエンジンにおいて、ディーゼルエンジンのエミッションの改善や燃費(燃料消費率)の低減、騒音や振動の低減を目的として、ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室の燃焼圧を圧電素子を用いて計測し、計測した燃焼圧情報に基き、燃料噴射装置やEGR(Exhaust Gas Recirculation:排出ガス再循環装置)の動作をフィードバック制御する燃焼制御システムが提案されている。

    ディーゼルエンジンの燃焼圧を圧電素子を用いて計測するには、圧電素子に燃焼圧を伝える必要がある。 そこで、エンジン全体を大型化することなく、燃焼圧を正確に圧電素子に伝えるために、圧電素子を備えた圧力センサーをグロープラグに搭載した圧力センサー付きグロープラグが提案されている。

    グロープラグは、ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室もしくは副燃焼室内に配置されるヒータを備えており、始動開始前や始動時に、このヒーターで燃焼室や副燃焼室を加熱することにより、ディーゼルエンジンの始動を補助するものである。 このようなグロープラグは、従来からディーゼルエンジンのシリンダヘッドに配置されており、このグロープラグに圧電素子を有する圧力センサーを併設することで、エンジン全体を大型化することなく燃焼圧を圧電素子に伝え、ディーゼルエンジンの燃焼圧を計測することができる。

    例えば下記特許文献1には、圧力センサーが搭載されたグロープラグの一例が開示されている。

    図7は、特許文献1に開示されている圧力センサー付きグロープラグ100(以降、単にグロープラグ100ともいう)について説明する図であり、グロープラグ100に備えられた圧電素子101の近傍を拡大して示している。 グロープラグ100には、圧電素子101、圧電素子101の2つの主面と当接してこの圧電素子101を挟むように配置された電極板102および103、さらにその外側に配置された一対の絶縁基板104および105を備えている。 絶縁基板105の上側主面は固定板117と当接している。 圧電素子101、電極板102および103、さらに絶縁基板104および105には貫通孔が設けられており、この貫通孔に絶縁性円柱部材112が挿着されている。 圧電素子101と、燃焼室や副燃焼室を加熱するための図示しないヒーターに電力を供給するための電線114とは、円柱部材112によって隔てられており、圧電素子101と電線114とは電気的に絶縁されている。 グロープラグ100は、圧電素子101よりも図7の下側に配置された図示しない燃焼室内の燃焼圧を図7中の上側に伝達するための伝達部材115を備えている。 この伝達部材115と固定部材7との間に挟まれるように配置された圧電素子101には、この伝達部材115から燃焼圧が伝達される。 圧電素子101は、上側主面101Aおよび下側主面101Bの双方が平坦な面であり、これら上側主面101Aと下側主面101Bとは平行とされている。

    特開2008−2809号公報

    図7に示す例のように、圧電素子101の2つの主面101Aおよび101Bがいずれも平坦な場合は、上側主面101Aおよび下側主面101Bに対して、精度良く垂直に圧力が印加されると、上側主面101Aおよび下側主面101B全体に均等に分散するように圧力がかかる。 しなしながら、伝達部材115から印加される圧力の方向が微小に変化した場合には、圧力が集中してかかる部位が、この圧力の方向の微小変化に伴って不規則に変化してしまう。 圧力が集中してかかる部位が変化すると、圧電素子101内の応力分布も変化し、圧電素子101において発生する電荷量も変化する。 特許文献1に開示されているグロープラグ100では、圧電素子101に対して伝達部材115から同じ大きさの燃焼圧がかかった場合でも、圧力がかかる方向の微小な変化や、圧電素子101と電極板102および電極板103との接触状態の変化に伴い、出力される電圧が変化してしまうといった課題があった。 すなわち、特許文献1に記載されている従来の圧力センサー用圧電素子101は、圧電素子101にかかる圧力の方向が微小に変化した際に、圧電素子101から出力される電圧がばらついてしまうといった課題があった。

    上記課題を解決するために本発明は、円形状の第1周縁を有する第1主面、円形状の第2周縁を有する、前記第1主面と反対側の第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間を貫通した円形状の貫通孔を備える圧電基体と、前記第1主面に接合した第1電極層と、前記第2主面に接合した第2電極層とを備え、前記第1主面と前記第2主面との間に加わる荷重によって前記圧電基体に生じる電荷を前記第1電極層および前記第2電極層を介して出力する圧力センサー用圧電素子であって、前記第1周縁を含む第1仮想平面と、前記第2周縁を含む前記第2仮想平面とはそれぞれ平行であり、前記貫通孔の中心軸は、前記第1周縁の中心と前記第2周縁の中心とを通って前記第1仮想平面および前記第2仮想平面に直交しており、前記第1主面は、前記貫通孔の開口を囲むように設けられた、前記第1周縁と同心円状の突部を備えており、前記中心軸を含む前記圧電基体の断面のうち、前記貫通孔を挟んで両側に配置された2つの部分領域のそれぞれにおける前記突部の断面線が、前記中心軸に平行な方向に沿って前記圧電基体の外側に向けて凸な円弧状であることを特徴する圧力センサー用圧電素子を提供する。

    本発明では、円形状の第1周縁を有する第1主面、円形状の第2周縁を有する第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間を貫通した円形状の貫通孔を備える圧電基体を備える圧力センサー用圧電素子において、貫通孔の中心軸を含む圧電基体の断面のうち、貫通孔を挟んで両側に配置された2つの部分領域のそれぞれにおける突部の断面線を、中心軸に平行な方向に沿って圧電基体の外側に向けて凸な円弧状としており、圧力が印加される方向が微小に変化したとしても、この突部に繰り返し集中して圧力がかかるので、圧力方向の微小変化に伴う計測結果のばらつきを抑制することができる。

    本発明の圧力センサー用圧電素子の一実施形態について説明する図であり、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図である。

    図1に示す圧電素子1が備える圧電基体の概略斜視図である。

    図1に示す圧電素子を備える圧力センサー付きグロープラグを、ディーゼルエンジンのエンジンヘッドに取り付けた状態を示す断面図である。

    図3に示す圧力センサー付きグロープラグの、圧力センサー部近傍を拡大して示す概略断面図である。

    図3に示す圧力センサー付きグロープラグにおいて、圧電素子に対し圧力が印加された状態を示す図であり、圧電素子の第1電極層近傍を拡大して示す概略断面図である。

    (a)〜(c)はそれぞれ、本発明の圧電素子の他の実施形態を示す概略断面図である。

    従来の圧力センサー付きグロープラグについて説明する概略断面図である。

    本発明の圧力センサー用圧電素子の実施形態について、図面を参照して説明する。

    図1は、本発明の圧力センサー用圧電素子の一実施形態である圧力センサー用圧電素子1(以降、単に圧電素子1ともいう)について説明する図であり、図1(a)は圧電素子1の概略斜視図、図1(b)は圧電素子1の概略断面図である。 図2は圧電素子1が備える圧電基体41の概略斜視図である。

    圧電素子1は、円形状の第1周縁42を有する第1主面41A(図1(b)参照)、円形状の第2周縁43を有する、第1主面41Aと反対側の第2主面41B(図1(b)参照)、および第1主面41Aと第2主面41Bとの間を貫通した円形状の貫通孔44を備える圧電基体41と、第1主面41Aに接合した第1電極層51と、第2主面41Bに接合した第2電極層52とを備える。 圧電素子1は、第1主面41Aと第2主面41Bとの間に加わる圧力によって圧電基体41に生じる電荷を、第1電極層51および第2電極層52から出力する。

    圧電基体41の組成は特に限定されないが、ビスマス層状化合物、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)およびチタン酸鉛などの圧電磁器を使用すればよい。 本実施形態では、高いキュリー温度を有するビスマス層状化合物を主成分とする圧電磁器を圧電基体41として用いている。 ビスマス層状化合物からなる圧電磁器は、作製が容易であり、酸化物であるため高温での信頼性が高く、高いキュリー温度を有し耐熱性も高い点で好ましい。

    第1電極層51および第2電極層52は、Ag、Au、Pt、Cu、Ni等の金属を用いることができる。 本実施形態の第1電極層51および第2電極層52は、比較的低価格で作製が容易であるとともに信頼性に優れるAgを主成分としている。 第1周縁42を含む第1仮想平面P1(図1(b)参照)と、第2周縁43(図1(b)参照)を含む第2仮想平面P2とはそれぞれ平行であり、貫通孔44の中心軸Sは、第1周縁42の中心42cと第2周縁43の中心43cとを通って、第1仮想平面P1および第2仮想平面P2に直交している。 圧電基体41は、中心軸Sに平行な方向に沿って分極されており、圧電基体41は、中心軸Sに平行な方向に沿って第1主面42と第2主面43との間に加わる圧力に応じた電荷を発生する。

    第1主面41Aは、貫通孔44の開口44aを囲むように設けられた、第1周縁42と同心円状の突部46Aを備えており、中心軸Sを含む圧電基体41の断面のうち、貫通孔44を挟んで両側に配置された2つの部分領域41α(図1(b)参照)および41β(図1(b)参照)のそれぞれにおける突部46Aの断面線が、中心軸Sに平行な方向に圧電基体41の外側に向けて凸な円弧状とされている。

    本実施形態の圧電素子1では、第1主面41Aに加えて第2主面41Bも、貫通孔44の開口44bを囲むように設けられた、第2周縁43と同心円状の第2主面側突部46B(以降、単に突部46Bともいう)を備えており、中心軸Sを含む圧電基体41の断面のうち、貫通孔44を挟んで両側に配置された2つの部分領域41αおよび41βのそれぞれにおける突部46Bの断面線が、中心軸Sに平行な方向に圧電基体41の外側に向けて凸な円弧状とされている。

    圧電素子1では、第1電極層51は、第1主面41Aの突部46Aの表面のみに配置されている。 また、第1電極層51の圧電基体41に接合した側と反対側の表面51Aは、第1仮想平面P1と平行である。 また、第1主面41Aは、第1周縁42を含んで突部46Aに連なる、第1仮想平面P1と面一な外側平面部47Aと、貫通孔44の開口44aの周縁を含んで突部46Aに連なる、第1仮想平面P1と面一な内側平面部48Aとを備えている。

    第2主面41Bの側も同様に、第2電極層52は、第2主面41Bの突部46Bの表面のみに接合している。 また、第2電極層52の圧電基体41に接合した側と反対側の表面52Bは、第2仮想平面P2と平行である。 また、第2主面41Bは、第2周縁43を含んで突部46Bに連なる、第2仮想平面P2と面一な外側平面部47Bと、貫通孔44の開口44bの周縁を含んで突部46Bに連なる、第2仮想平面P2と面一な内側平面部48Bとを備えている。

    本実施形態では、第1主面41Aおよび第2主面41Bの外径は、例えば3.5mm〜20mm程度であり、第1電極層51の表面51Aから第2電極層52の表面52Bまでの中心軸Sに沿った長さ(すなわち、圧電素子1の高さ)は、0.5mm〜18mm程度である。 また、貫通孔44の直径は、例えば1〜5.5mm程度であり、第1電極層51および第2電極層52の厚みは、例えば2〜200μm程度である。 突部46Aの仮想平面P1からの突出高さ、および突部46Bの仮想平面P2からの突出高さは、いずれも50〜200μm程度である。 また、外側平面部47Aおよび内側平面部48Aの第1周縁42の径方向に沿った長さ、外側平面部47Bおよび内側平面部48Bの第2周縁43の径方向に沿った長さは、いずれも20〜60μm程度である。

    圧電素子1は、例えばディーゼルエンジンの燃焼室内の温度を測定する圧力センサーに搭載されて用いられる。 以下、圧電素子1を備えて構成される圧力センサーの一実施形態について説明するとともに、圧電素子1の機能について説明する。

    図3は、圧電素子1を備える圧力センサー付きグロープラグ10(以降、単にグロープラグ10ともいう)について説明する図であり、グロープラグ10をディーゼルエンジンのエンジンヘッド110に取り付けた状態を示す断面図である。

    ディーゼルエンジンのエンジンヘッド110には、エンジンヘッド110内の燃焼室12に通じる貫通孔11が設けられている。 貫通孔11の内面には、図3の上側の端部近傍にねじ部14が設けられており、図3の下側の端部近傍に、図3の下側に近づくにしたがって縮径したテーパー状の段部13が設けられている。

    グロープラグ10は、ハウジング2と、伝達部材3と、シール部材8と、発熱体26と電線27と、圧電素子1を備えて構成された圧力センサー部(圧力センサー)6とを備えている。

    ハウジング2は、エンジンヘッド110の貫通孔11内に挿入された挿入部29と、エンジンヘッド110の外側(燃焼室12と反対、すなわち図3における上側)に配置された、圧電素子1が搭載された搭載部25とを有する。 ハウジング2の挿入部29は、断面が円形状の中空部21を有する略円筒形状であり、図3の下側(燃焼室12に近い側)の先端部は、エンジンヘッド110のテーパ部13と密着するテーパ部22が設けられている。 また、挿入部29の図3の上側端部の外周には、貫通孔11のねじ部14と螺合するねじ部23が設けられている。

    ハウジング2とエンジンヘッド110とは、ねじ部14とねじ部23との螺合による軸力によって、ハウジング2のテーパ部22とエンジンヘッド110のテーパ部13とが押し合わされて密着し、燃焼室12で発生する高圧の燃焼ガスが、エンジンヘッド110の貫通孔11の内周とハウジング2の外周との間隙に漏れないようになっている。

    ハウジング2の中空部21内には、図3中の上側から下側に延びる、ステンレス等の耐熱金属からなる伝達部材3が配置されている。 伝達部材3は、図3における上下方向に沿って延びた、断面が円形状の中空部33が設けられている。 伝達部材3は、シール部材8と接合して保持され、図3における上下方向に沿って移動可能に保持されている。

    シール部材8は、ステンレス等の金属からなり、ハウジング2の先端と伝達部材3の受圧部31とにレーザ溶接等によって気密に固定されており、燃焼室12内の燃焼ガスがハウジング3の中空部21内に侵入するのを防止している。 シール部材8は蛇腹状であり図3における上下方向に沿って変形することができる。 シール部材8が図3における上下方向に沿って変形することで、伝達部材3は図3における上下方向に沿って位置変動することができる。

    エンジンヘッド110の貫通孔11、ハウジング2の中空部21、伝達部材3の中空部33は、それぞれの中心軸(図3に中心軸Sで示す軸)が一致するように配置されている。 伝達部材3の中空部33は下側端部で閉塞されており、伝達部材3の下側の先端部が受圧部31として燃焼室12内に露出している。 伝達部材3の上側の端部には、ハウジング2の搭載部25に配置される円盤状の鍔部32が設けられており、中空部33の上側は開放されている。 鍔部32の上方主面32Aは、中心軸Sに対して垂直な平面となっている。

    また、伝達部材3の中空部33の下側端部近傍(すなわち、受圧部31近傍)には発熱体26が配置されており、この発熱体26に電力を供給するための電線27が、伝達部材3の上側の開口を通じて中空部33内に挿通され、電線27が発熱体26と接続されている。

    発熱体26は、例えば公知のニクロム線等からなり、電線27を介して電流が流れることで発熱する。 発熱体26が発熱することで、エンジンヘッド110の燃焼室12内が加熱され、燃焼室12内の温度が上昇する。 これら発熱体26と電線27が伝達部材3に配置されたグロープラグ10は、例えばディーゼルエンジンの低温始動時に、エンジンヘッド110の燃焼室12内を暖める機能を有する。 圧力センサー部6の圧電素子1は燃焼室12内の圧力(燃焼圧)の大きさを計測することができる。 本実施形態のグロープラグ10は、燃焼室を暖めるのみでなく、燃焼室12内の圧力を計測する機能も有する。

    図4は、図3に示すグロープラグ10の、圧力センサー部6近傍を拡大して示す概略断面図である。 圧力センサー部6は、圧電素子1、圧電素子1から出力される電気信号を取り出すための電極板62および電極板63、電極板62および電極板63を挟む一対の絶縁基板64および絶縁基板65、ならびに固定基板7を有して構成されている。

    固定基板7は側面にねじ部71を有し、この側面のねじ部71が、搭載部25の内周面に設けられたねじ部76に螺合され、固定基板7がハウジング2に固定されている。 固定基板7の下方主面7Bは、鍔部32の上方主面32Aと平行に配置されている。

    固定基板7の下方主面7Bに、絶縁基板64の上方主面64Aが当接し、絶縁基板64の下方主面64Bに、電極板62の上方主面62Aが当接している。

    鍔部32の上方主面32Aには、絶縁基板65の下方主面65Bが当接し、絶縁基板65の上方主面65Aには、電極板63の下方主面63Bが当接している。

    固定基板7の下方主面7B、絶縁基板64の上方主面64Aおよび下方主面64B、電極板62の上方主面62Aおよび下方主面62B、電極板63の上方主面63Aおよび下方主面63B、絶縁基板65の上方主面65Aおよび下方主面65Bはいずれも平行となっており、互いに平行な下方主面62Bと上方主面63Aとの間に、圧電素子1が配置されている。

    また、固定基板7、絶縁基板64、電極板62、電極板63および絶縁基板65には、いずれも貫通孔が設けられており、これら貫通孔は、圧電素子1の貫通孔44に連なり、これら貫通孔が連なった孔部に、円筒状の絶縁体72が挿入されている。 この絶縁体72によって、固定基板7、絶縁基板64、電極板62、電極板63、絶縁基板65および圧電素子1の相対位置が設定されるとともに、電線27とこれら各部材との絶縁を確保している。

    なお、圧電素子1には、固定基板7がねじ込まれることで、図中の上下方向に沿って圧電素子1を圧縮する方向の予備圧力が予め印加されている。

    ディーゼルエンジンのエンジンヘッド110に取り付けられたグロープラグ10では、伝達部材3の受圧部31が、エンジンヘッド110の燃焼室12内の圧力を受けることで、この圧力が伝達部材3を介して、圧力センサー部6の圧電素子1に伝わる。 すなわち、受圧部31にかかった圧力は、伝達部材3の鍔部32、絶縁基板65および電極板63を介して、圧電素子1を図3および図4の下側から上側に押し上げるように伝わる。 圧電素子1の図3および図4の上側は、固定基板7によって上下方向の位置が固定されており、圧電素子1には、上下方向に沿って圧電素子1を圧縮する方向に燃焼室12内の圧力が加わる。

    図1に示すように、本実施形態の圧電素子1は、圧電基体41の、貫通孔44を挟んで両側に配置された2つの部分領域41αおよび41βのそれぞれにおける突部46Aの断面線が、中心軸Sに平行な方向に圧電基体41の外側に向けて凸な円弧状とされている。 これにより、伝達部材3から印加される圧力の方向が微小に変化した場合であっても、圧力が集中してかかる部位が大きく変動することを抑制して、圧電素子41内の応力分布の変化を抑制し、圧電素子41における、圧力方向の微小変化に伴う発生電圧の変化を抑制する。

    図5は、図3に示すグロープラグ10において、圧電素子1に対して圧力が印加された状態を示す図であり、圧電素子1の第1電極層51近傍を拡大して示す概略断面図である。 図5に示すように、圧電素子1に伝達部材3(図5では図示せず)を介して圧力が加わった場合に、圧電素子1は電極層51が電極板62に押し付けられるように上昇する。 電極層51はAgからなる金属層であり、比較的高い展延性を有しており、伝達部材3を介して加わる圧力によって、電極板62と圧電基体41とによって押し広げられるように変形していくとともに、電極板62からの反力が圧電基体41にかかる。

    本実施形態では、圧電基体41の突部46Aの断面線が、圧電基体41の外側に向けて凸な円弧状とされており、電極板62からの反力が、この突部46Aの頂部に集中してかかることになる。 このため、繰り返し圧力がかかった場合に、圧力が印加される方向が微小に変化したとしても、この頂部に圧力が繰り返し集中してかかることになる。 すなわち、本実施形態の圧電素子1では、圧力が加わる方向が微小に変化した場合も、図5に示すように、突部46Aの頂部近傍を通り、中心軸Sにほぼ平行な方向の圧力が繰り返し印加される。

    一方、圧電基体41の一方主面41Aが、突部46Aを有さず平坦な場合は、圧力が印加される方向が微小に変化すると、圧力が集中してかかる部位が変化し、圧電基体41における圧力分布が、圧力が印加されるたびに変化してしまう。 本実施形態の圧電素子1は、このような圧力分布のばらつきを低減し、燃焼室12内の圧力を繰り返し再現性よく高精度に計測することができる。

    本実施形態の圧電素子1は、第2主面41Bの側でも、突部46Bの断面線が、中心軸Sに平行な方向に沿って圧電基体41の外側に向けて凸な円弧状とされている。 これにより、伝達部材3側から繰り返し圧力がかかった場合に、圧力が印加される方向が微小に変化したとしても、突部46Bの頂部に圧力が繰り返し集中してかかるので、高精度に燃焼室12内の圧力を計測することができる。

    本実施形態の圧電素子1はビスマス層状化合物からなり、高いキュリー温度を有し比較的高温でも使用可能となっているが、いわゆるPZT系の圧電素子と比較すると、入力される圧力の大きさに対する出力電圧の大きさの割合(いわゆる感度)が比較的低い。 このため、ビスマス層状化合物を主成分とする圧電素子を使用する場合は、圧電素子の応力分布の変化に伴って発生するノイズ成分をなるべく低減しておくことが好ましい。 本実施形態の圧電素子1は、ビスマス層状化合物を主成分としており、エンジン等の高温環境下で使用できるとともに、圧力の印加方向の微小な変化に伴う圧電基体41内の応力分布のばらつきによるノイズ成分が少ない。 圧電素子1は、例えばグロープラグに搭載される圧力センサーなど、比較的高温環境下の圧力を計測するための圧力センサーに好適に用いられる。

    また、圧電素子1は図1(b)に示すように、第1電極層51が、第1主面41Aの突部46Aの表面のみに接合しているので、圧力が印加された際、図5に示すように第1電極層51が変形して押し広げられた場合も、第1電極層51が、圧電基体41の側面まではみ出すことが少ない。 同様に、第2電極層52が、第2主面41Bの突部46Bの表面のみに接合しているので、圧力が印加された際に第2電極層52が変形して押し広げられた場合も、第2電極層52が突部46Bの範囲に留まりやすく、圧電基体41の側面まではみ出すことが少ない。

    また図1(b)に示すように、第1電極層51の圧電基体41に接合した側と反対側の表面51A(図1(b)中の上側の表面)は、第1仮想平面P1と平行となっているので、第1電極層51の表面51Aは、電極板62と比較的広い面積で接触することができる。 例えば、第1電極層51の表面51Aが、突部46Aに沿って断面が円弧状の表面であると、特に圧電基体41が傾いた場合、第1電極層51と電極板62とが部分的に大きく離れることもあり、この場合、圧電基体41において発生した電圧を、高精度に計測できない場合もある。 これに対し、本実施形態の圧電素子1は、図1(b)に示すように、第1電極層51の圧電基体41に接合した側と反対側の表面51A(図1(b)中の上側の表面)は、第1仮想平面P1と平行であり、図5に示すように圧電基体41が多少傾いた場合も、第1電極層51が圧力に応じて変形することで、第1電極層51と電極板62とが比較的広い接触面積を確保することができるので、圧電基体41における発生電圧を繰り返し高精度に計測することができる。 同様に、図1(b)に示すように、第2電極層52の圧電基体41に接合した側と反対側の表面5 B(図1(b)中の下側の表面)は、第2仮想平面P2と平行であり、第2電極層52の表面52Bは電極板63と比較的広い接触面積を確保している。


    また、図1(a)および(b)に示すように、第1主面41Aは、第1周縁42を含んで突部46Aに連なる、第1仮想平面P1と面一な外側平面部47Aと、貫通孔44の開口44aの周縁を含んで突部46Aに連なる、第1仮想平面P1と面一な内側平面部48Aとを備えている。 このような外側平面部47Aと内側平面部48Aとを有することで、例えば図5に示すように、圧力が印加された際に第1電極層51が変形して押し広げられた場合でも、これら外側平面部47Aや内側平面部48Aによって第1電極層51の広がりが堰き止められ、圧電基体41の側面への電極のたれ等が抑制される。 図5では、第1電極層51の広がりが、外側平面部47Aによって堰き止められている。 同様に、第2主面41Bが、第2周縁43を含んで突部46Bに連なる、第2仮想平面P2と面一な外側平面部47Bと、貫通孔44の開口44aの周縁を含んで突部46Bに連なる、第2仮想平面P2と面一な内側平面部48Bとを備えている。 このような外側平面部47Bと内側平面部48Bとにより、仮に第2電極層が変形して押し広げられた場合も(図示せず)、変形による第2電極層52の広がりが堰き止められ、圧電基体41の側面への第2電極層52のたれ等が抑制される。

    このような圧電素子1は、例えば以下のように作製することができる。 出発原料として純度99.9%以上のSrCO 粉末、BaCO 粉末、Bi 粉末およびTiO 粉末を、組成式Bi Ti 12・0.47(Sr 0.5 Ba 0.5 TiO )の比率となるように秤量する。

    この主成分100質量部に対して、0.5質量部のMnO 粉末を秤量して混合し、純度99.9%のZrO ボールと、あるいはイソプロピルアルコール(IPA)とともに500mlの樹脂製ポットに投入し、その樹脂製ポットを回転台に置き、16時間混合する。

    混合後のスラリーを大気中で乾燥した後、#40メッシュを通し、その後、大気中で950℃に3時間保持して仮焼し、この合成粉末を純度99.9%のZrO ボールと水あるいはイソプロピルアルコール(IPA)とともに500mlの樹脂製ポットに投入し、その樹脂製ポットを回転台に置き20時間粉砕する。

    この粉砕した粉末に適量の有機バインダを添加して顆粒を造粒し、この顆粒を例えば一軸加圧成型法により成形し、圧電基体41に対応する形状の生成形体を得る。 この生成形体について脱バインダ処理を行なった後に、大気雰囲気中にて約1150℃で3時間かけて焼成を行ない、圧電基体41を得る。

    次に、圧電基体41の第1主面41Aおよび第2主面41Bに、印刷機を用いて、いわゆるAgペーストを印刷(塗布)して全体を焼成し、第1主面41Aおよび第2主面41Bに、Agを主成分とする電極層(第1電極層51および第2電極層52)を形成する。 この際Agペーストは、第1主面41Aについては突部46Aのみに印刷(塗布)し、第2主面41Bについては突部46Bのみに印刷(塗布)する。

    印刷したAgペーストを焼成した後、必要に応じて、焼成によって形成されたAg電極の表面を研磨して、第1電極層51および第2電極層52を形成した後、第1電極層51と第2電極層52との間に所定の電圧を印加して分極処理を行なう。 本実施形態の圧電素子1は、このようにして形成することができる。

    図6(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の圧電素子の他の実施形態を示す概略断面図である。 図6の各実施形態では、圧電素子1に対応する構成については、図1〜図5と同じ符号を使って示している。 本発明の圧電素子は、図6(a)に示す実施形態のように、第1主面41Aや第2主面41Bが外側平面部や内側平面部を備えず、凸部46Aのみが第1主面41Aを構成してもよく、同様に凸部46Bのみで第2主面41Bを構成してもよい。 ただし、第1電極層51や第2電極層52の変形に伴う、これら電極層の圧電基体41からのはみ出しを抑制する点で、また、第1電極層51や第2電極層52の形成時におけるAgペーストのはみ出しを抑制する点で、外側平面部47Aおよび47Bや、内側平面部48Aおよび48Bを有することが好ましい。

    また、図6(b)に示す実施形態のように、第1電極層51Aの表面51Aおよび第2電極層52の表面52Bが、突部46Aや突部46Bの表面に沿った形状となっていてもよい。 ただし、電極板62や電極板63との接触面積を比較的大きくしておく点で、第1電極層51Aの表面51Aは第1仮想平面P1に平行であることが好ましく、第2電極層52の表面52Bは第2仮想平面P2に平行であることが好ましい。

    また、図 (c)に示すように、圧電基体41は、例えば第1主面41Aのみに突部46Aを設け、第2主面41Bの側は平坦面としてもよい。 この場合も、第1主面 1Aの側において、圧力印加方向がずれることにより、圧力が集中する部分の位置がばらつくことが抑制されるが、ばらつきをより確実に抑えるには、第1主面41Aに加えて、第2主面4 Bにも突部46Bを設けることが好ましい。

    なお、以上の実施形態では、燃焼室12と反対の側を第1主面41Aとし、燃焼室12の側を第2主面41Bとしているが、第1主面41Aと第2主面41Bとの燃焼室12に対する位置関係は特に区別されない。 例えば燃焼室12の側を第1主面41Aとし、この燃焼室12の側の第1主面41Aのみに突部41Aを設けても構わない。

    本発明の圧力センサー用圧電素子は、上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行なってもよいのはもちろんである。

    1 圧電素子2 ハウジング3 伝達部材6 圧力センサー部(圧力センサー)
    8 シール部材10 グロープラグ26 発熱体27 電線41 圧電基体41A 第1主面41α、41β 部分領域42 第1周縁41B 第2主面43 第2周縁44 貫通孔44a 開口46A、46B 突部47A、48A 外側平面部47B、48B 内側平面部51 第1電極層52 第2電極層P1 第1仮想平面P2 第2仮想平面S 中心軸

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