ガス切断方法

申请号 JP2012511594 申请日 2011-03-24 公开(公告)号 JP5859957B2 公开(公告)日 2016-02-16
申请人 大陽日酸株式会社; 日酸TANAKA株式会社; 发明人 佐藤 豊幸; 山本 康之; 加藤 隆; 長堀 正幸; 上木原 洋丘; 武田 隆志;
摘要
权利要求

素ガスと炭化水素系ガスとを混合して、前記炭化水素系ガスの含有量が0体積%超、4体積%以下となる燃料ガスを得、 前記燃料ガスと予熱用酸素ガスとを混合及び着火して形成される予熱炎を、切断火口の先端から噴射してワークを加熱し、 切断用酸素ガスを前記加熱されたワークに噴射してワークを切断するとともに、 前記切断火口として、 当該切断火口の軸方向中央を貫通する切断用酸素ガス流路と、燃料ガス流路と予熱用酸素ガス流路が合流して形成される流路であって、前記切断用酸素ガス流路の外側に設けられた予熱ガス流路と、前記切断用酸素ガス流路の先端に設けられた切断酸素孔と、前記予熱ガス流路の先端に設けられた予熱孔と、を有し、 前記予熱ガス流路の先端側が、前記切断用酸素ガス流路の延長線に向けて傾斜されており、前記余熱ガス流路の先端側の延長線と前記切断用酸素ガス流路の延長線との交差点から切断火口先端までの距離が10〜20mmの切断火口を用い、 前記交差点が前記ワーク表面となるように当該切断火口の位置を設定することを特徴とするガス切断方法。前記炭化水素系ガスがプロパンであり、 前記燃料ガスにおけるプロパンの含有量が0.4体積%以上、4体積%以下であることを特徴とする請求項1記載のガス切断方法。前記炭化水素系ガスがメタンであり、 前記燃料ガスにおけるメタンの含有量が3体積%以上、4体積%以下であることを特徴とする請求項1記載のガス切断方法。前記炭化水素系ガスがブタンであり、 前記燃料ガスにおけるブタンの含有量が0.2体積%以上、4体積%以下であることを特徴とする請求項1記載のガス切断方法。前記燃料ガスと前記予熱用酸素ガスとの混合を、 切断吹管の内部、切断火口の内部又は切断火口の先端で行なうことを特徴とする請求項1に記載のガス切断方法。前記予熱炎を前記切断火口の先端からワークに噴射する際に、 前記切断火口の軸方向中心に向けて前記予熱炎を傾斜させることを特徴とする請求項1に記載のガス切断方法。前記水素ガス及び前記予熱用酸素ガスは、水分解装置から供給され、 前記水分解装置から供給される水素ガス中の酸素成分及び前記水分解装置から供給される予熱用酸素ガス中の水素成分が爆発下限界未満であることを特徴とする請求項1に記載のガス切断方法。

说明书全文

本発明は、ガス切断方法及びガス切断装置、ならびに切断火口の改良に関する。 本願は、2010年4月20日に、日本に出願された特願2010−097258号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

鋼板などのワークを切断する場合に、ワークの切断開始点を予熱炎によって酸化反応が可能な温度まで加熱し、加熱された部分に高純度の酸素ガスを噴射して燃焼、溶融させることによりワークを切断するガス切断方法が広く用いられている。

このガス切断方法における予熱炎の形成のために予熱孔に燃料ガスとして炭化素系ガス(LPG、LNG、都市ガス、アセチレン、プロパン、メタン、エチレン、プロピレン、ブタンなど、またはこれらの混合ガス)及びこの燃料ガスを効率的に燃焼させるための予熱酸素ガスが用いられることが一般的であった。

近年、予熱炎の形成には、炭化水素系ガスに代えて水素ガスを主成分とする燃料ガスを用いられることが行われている。水素ガスを主成分とする燃料ガスを用いるガス切断方法としては、特許文献1や特許文献2が知られている。

ここで、特許文献1には、酸素と水素との混合ガス(酸水素ガス)に、爆発下限界未満の濃度となるように炭化水素系ガスを混合するガス切断方法が記載されている。具体的には、酸水素ガスの爆発下限界未満とするためには、燃料ガス中の炭化水素系ガスの比率を30%以上とする必要があることが開示されている。

また、特許文献2には、酸素と水素との混合ガス(酸水素ガス)にLPガスを、酸水素ガス対LPガスの流量比25:1〜35:1の範囲にて加えた熱源を用いるガス切断方法が記載されている。

具体的には、図9に示すガス切断装置101では、酸水素ガス発生器103で発生する酸水素ガスを供給経路L101に供給し、LPガスボンベ104からLPガスを供給経路L103に供給し、供給経路L101と供給経路L103との合流点Aにおいて上記範囲となるように混合した後に、切断吹管102へと供給する。そして、切断吹管102の先端に設けられた切断火口106から予熱炎を発生させるものである。

特開2007−000902号公報

特許第3563660号公報

しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されたガス切断方法では、水素ガスに混合する炭化水素系ガス濃度が高くなるほど切断速度などの切断性能が低下することが確認されており、水素ガスの切断性能を十分引き出すためには、混合する炭化水素系ガスあるいはLPガスの比率を低くする必要があった。 一方、炭化水素系ガスあるいはLPガスを全く混ぜない燃料ガスとして水素100%とすると、火口先端の白心が見えなくなるため予熱炎の調整が出来なくなる問題があった。

また、爆発性ガスである酸素と水素との混合ガスを用いることは、炭化水素系ガスの圧低下や機器の関連で混合トラブルが発生した際などに酸水素ガスの供給経路全体(例えば、図9に示す供給経路L101の全体)の爆発の危険性があるという問題があった。

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、安全であり、切断性能に優れ、予熱炎の調整も容易にできるガス切断方法及びこれに用いるガス切断装置ならびに切断火口を提供することを目的とする。

かかる課題を解決するため、本発明は、以下である。 (1)水素ガスと炭化水素系ガスとを混合して、前記炭化水素系ガスの含有量が0体積%超、4体積%以下となる燃料ガスを得、 前記燃料ガスと予熱用酸素ガスとを混合及び着火して形成される予熱炎を、切断火口の先端から噴射してワークを加熱し、 切断用酸素ガスを前記加熱されたワークに噴射してワークを切断するとともに、 前記切断火口として、 当該切断火口の軸方向中央を貫通する切断用酸素ガス流路と、燃料ガス流路と予熱用酸素ガス流路が合流して形成される流路であって、前記切断用酸素ガス流路の外側に設けられた予熱ガス流路と、前記切断用酸素ガス流路の先端に設けられた切断酸素孔と、前記予熱ガス流路の先端に設けられた予熱孔と、を有し、 前記予熱ガス流路の先端側が、前記切断用酸素ガス流路の延長線に向けて傾斜されており、前記余熱ガス流路の先端側の延長線と前記切断用酸素ガス流路の延長線との交差点から切断火口先端までの距離が10〜20mmの切断火口を用い、前記交差点が前記ワーク表面となるように当該切断火口の位置を設定することを特徴とするガス切断方法。

(2)前記炭化水素系ガスがプロパンであり、 前記燃料ガスにおけるプロパンの含有量が0.4体積%以上、4体積%以下であることを特徴とする(1)記載のガス切断方法。 (3)前記炭化水素系ガスがメタンであり、 前記燃料ガスにおけるメタンの含有量が3体積%以上、4体積%以下であることを特徴とする(1)〜(2)のいずれか一項に記載のガス切断方法。 (4)前記炭化水素系ガスがブタンであり、 前記燃料ガスにおけるブタンの含有量が0.2体積%以上、4体積%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のガス切断方法。 (5)前記燃料ガスと前記予熱用酸素ガスとの混合を、 切断吹管の内部、切断火口の内部又は切断火口の先端で行なうことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載のガス切断方法。

(6)前記予熱炎を前記切断火口の先端からワークに噴射する際に、 前記切断火口の軸方向中心に向けて前記予熱炎を傾斜させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載のガス切断方法。

(7)前記水素ガス及び前記予熱用酸素ガスの少なくともいずれか一方を、水素と酸素とを別々に取り出すとともに、 水素中の酸素成分あるいは酸素中の水素成分を爆発下限界未満とすることができる水分解装置から供給することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載のガス切断方法。 なお、水素と酸素とを別々に取り出すことができることの定義は、前記水素ガス中の酸素ガス濃度及び酸素ガス中の水素ガス濃度が、それぞれ爆発下限界未満であることである。

本発明のガス切断方法及びガス切断装置によれば、燃料ガスの主成分である水素ガスと酸素ガスとを切断吹管又は切断火口まで混合しないため、燃料ガス供給経路での爆発の危険性を大幅に低減して安全性を高めることができる。

また、燃料ガスの主成分である水素ガスに混合する炭化水素系ガスの比率を0体積%越(白心が見える最低比率)、4体積%以下(切断速度維持可能な最高比率)という低い比率で設定するため、水素ガス本来の優れた切断性能を確保しつつ、白心が視認可能となり、予熱炎の調整を容易にすることができる。

更に、予熱ガス経路の先端側を火口の中心方向に傾斜させた切断火口を組み合わせることによって、より集中した予熱が可能となる。この効果によって主にピアシング(穴あけ)加工の際に度々発生する溶融金属の吹き上がりで火口の予熱ガス流路が塞がれるために発生する逆火を抑制でき、爆発の危険性を低減できると共にピアシング予熱時間の低減が可能となる。

本発明の一実施形態であるガス切断装置を示す系統図である。

本発明の一実施形態であるガス切断装置に用いる切断火口を示す拡大断面図である。

燃料ガスにおける酸素中水素の爆発範囲及び酸素中プロパンの爆発範囲を示す三図である。

本発明のガス切断装置に用いる切断火口の他の例を示す断面模式図である。

本発明の検証試験1における燃料ガス中のプロパン濃度と最高切断速度との関係を示す図である。

(a)本発明の検証試験2において、燃料ガスとして100%水素ガスを用いた場合の、燃料ガスと切断火口の先端に発生する白心の状態との関係を示す図である。(b)本発明の検証試験2において、燃料ガスとして水素ガスと1%プロパンガスとの混合ガスを用いた場合の、燃料ガスと切断火口の先端に発生する白心の状態との関係を示す図である。(c)本発明の検証試験2において、燃料がストして水素ガスと3%メタンガスとの混合ガスを用いた場合の、燃料ガスと切断火口の先端に発生する白心の状態との関係を示す図である。

(a)本発明の検証試験3において、傾斜を設けた場合の、切断火口内の流路と予熱ガスの状況との関係を示す図である。(b)本発明の検証試験3において、傾斜を設けない場合の、切断火口内の流路と予熱ガスの状況との関係を示す図である。

本発明の検証試験3におけるピアシング予熱時間の測定結果を示す図である。

従来のガス切断装置の構成を示す系統図である。

以下、本発明を適用した一実施形態であるガス切断方法について、これに用いるガス切断装置及び切断火口とともに図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。

図1は、本発明の一実施形態であるガス切断方法に用いるガス切断装置を示す系統図である。図1に示すように、本実施形態のガス切断装置1は、予熱孔7と切断酸素孔8とが設けられた切断火口6を有する切断吹管2と、水素ガスを供給する水素ガス供給源3と、炭化水素系ガスを供給する炭化水素系ガス供給源4と、予熱用酸素ガスを供給する酸素ガス供給源5と、水素ガスと炭化水素系ガスとからなる燃料ガスを切断火口6に供給する燃料ガス供給経路L1と、予熱用酸素ガスを切断火口6に供給する予熱用酸素ガス供給経路L2と、を備えて概略構成されている。

切断吹管2は、特に限定されるものではなく、一般的な切断吹管を適用することができる。

切断火口6は、切断吹管2の先端に設けられている。この切断火口6の先端には、燃料ガスと予熱用酸素ガスとにより予熱炎を形成するための予熱孔7と、切断用酸素ガスを噴射してワークを切断するための切断酸素孔8とが設けられている。また、切断火口6の基端には、燃料ガス流路9及び予熱用酸素ガス流路10、並びに切断用酸素ガス流路11が設けられている。そして、燃料ガス流路9と予熱用酸素ガス流路10とが当該切断火口6の内部で合流している。

燃料ガス供給経路L1は、一端が水素ガス供給源3と接続されており、他端が切断火口6の燃料ガス流路9と接続されている。また、燃料ガス供給経路L1には、混合装置12が設けられており、この混合装置12には炭化水素系ガス供給経路L3を介して炭化水素系ガス供給源4が接続されている。これにより、水素ガス供給源3から水素ガスが、炭化水素系ガス供給源4から炭化水素系ガスがそれぞれ混合装置12に供給され、水素ガスに0体積%超4体積%以下の炭化水素系ガスが混合された混合ガスが生成される。そして、混合装置12より下流の燃料ガス供給経路L1には、この混合ガスが燃料ガスとして供給される。

ここで、本実施形態の燃料ガスは、以下に示す検証試験で説明するように、水素ガスに0体積%超4体積%以下の炭化水素系ガスを混合した混合ガスである。白心は、燃料ガス中の炭素成分が燃焼により白く輝くことで視認できるものであり、水素100%の燃料ガスでは全く見えないものである。 燃料ガスに混合する炭化水素系ガス濃度は、できる限り低く設定するが、白心の視認性の観点から、0.2〜4体積%であることが好ましい。 また、炭素成分の比較的多いプロパンなどを用いる場合は、0.4体積%以上であることが好ましく、1体積%以上であることがより好ましい。炭素成分の少ないメタンなどを用いる場合、3体積%以上であることがこのましく、ブタンなどを用いる場合は、0.2体積%以上であることが好ましい。 炭化水素系ガスとしてプロパンを主成分とするLPGを用いる場合は、混合ガスにおけるプロパンの濃度が0.4体積%以上であることが好ましく、1体積%以上であることが寄り好ましい。 メタンを主成分とするLNGを用いる場合は、混合ガスにおけるメタン濃度が3体積%以上であることが好ましく、ブタンを主成分とする都市ガスを用いる場合は、混合ガスにおけるブタン濃度が0.2体積%以上であることが好ましい。

一方、水素ガス中の炭化水素系ガスが4体積%を超えると、切断可能速度の点において、水素ガス100%を燃料ガスとして用いた場合の切断可能速度に対して急速に切断可能速度が低下してしまい、燃料ガスに水素ガスを用いるメリットが極めて小さくなってしまうため好ましくない。これに対して、水素ガス中の炭化水素系ガスの混合比率が4体積%以下であれば、切断可能速度に影響を受けないために好ましい。

また、燃料ガス供給経路L1には、安全対策として、逆火防止器13及び開閉弁(逆止弁を用いることが好ましい。以下同様)15が設けられている。さらに、燃料ガス供給経路L1及び炭化水素系ガス供給経路L3には、それぞれ圧力計14が設けられている。

予熱用酸素ガス供給経路L2は、一端が酸素ガス供給源5と接続されており、他端が切断火口6の予熱用酸素ガス流路10と接続されている。また、予熱用酸素ガス供給経路L2には、圧力計14と開閉弁15とが設けられている。

切断用酸素ガス供給経路L4は、一端が酸素ガス供給源5と接続されており、他端が切断火口6の切断用酸素ガス流路11と接続されている。また、切断用酸素ガス供給経路L4には、圧力計14と開閉弁15とが設けられている。

なお、本実施形態のガス切断装置1では、予熱用酸素ガス供給経路L2と切断用酸素ガス供給経路L4とに、同一の酸素ガス供給源5を接続する構成を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、予熱用酸素ガス供給経路L2と切断用酸素ガス供給経路L4とに、それぞれ別の酸素供給源を接続する構成としても良い。

水素ガス供給源3は、予熱用酸素ガスと合流するよりも前に酸素と混合することなく、燃料ガス供給経路L1ないし燃料ガス流路9に水素ガス単体を供給することが可能であれば、特に限定されるものではない。 水素ガス供給源3として、一般に広く用いられている水素ガスが充填されたボンベを用いても良いし、水を電気分解して水素と酸素とを発生させる水分解装置から発生するガスを利用しても良い。ただし、水分解装置のガスを用いる場合は、水素と酸素とが混合して爆発する危険が無いように、それぞれが分離して取り出せるタイプの機器を選定する必要がある。

炭化水素系ガス供給源4は、特に限定されるものではなく、炭化水素系ガスが充填されたボンベを用いることができる。 本実施形態の炭化水素系ガスとしては、特に限定されるものではなく、LPG、LNG、都市ガス、エチレン、アセチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の一般的な炭化水素系ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。

酸素ガス供給源5は、燃料ガスと合流するよりも前に水素と混合することなく、予熱用酸素ガス供給経路L2と切断用酸素ガス供給経路L4とに酸素ガス単体を供給することが可能であれば、特に限定されるものではない。 酸素ガス供給源5として、一般に広く用いられている酸素ガスが充填されたボンベを用いても良いし、水を電気分解して水素と酸素とを発生させる水分解装置から発生するガスを利用しても良い。ただし、水分解装置のガスを用いる場合は、水素と酸素とが混合して爆発する危険が無いように、それぞれが分離して取り出せるタイプの機器を選定する必要がある。水分解装置から発生する水素と酸素について、分離して取り出すタイプであっても水素中への酸素の混入、または酸素中への水素の混入の可能性がある。混入量は、できる限り少量であることが望ましいが、それぞれ爆発下限界未満の濃度であれば問題ない。 なお、酸素ガス供給源5は、予熱用酸素ガス供給経路L2と切断用酸素ガス供給経路L4とにそれぞれ別個に設けても良い。

切断火口6は、燃料ガスと予熱用酸素ガスとにより予熱炎を形成し、切断用酸素ガスを噴射するものであり、切断吹管2の先端に設けられている。また、切断火口6は、軸方向中央を貫通する切断用酸素ガス流路11と、燃料ガスと予熱用酸素ガスとの混合ガスの流路であって、切断用酸素ガス流路11の外側に設けられた予熱ガス流路16と、切断用酸素ガス流路11の先端に設けられた切断酸素孔8と、予熱ガス流路16の先端に設けられた予熱孔7と、を備えて概略構成されている。

ここで、本実施形態の切断火口6は、図1に示すように、燃料ガス流路9と予熱用酸素ガス流路10とが当該切断火口6の内部で合流して、予熱ガス流路16を構成するチップミキシングタイプである。また、燃料ガス流路9には燃料ガス供給経路L1が、予熱用酸素ガス流路10には予熱用酸素ガス供給経路L2がそれぞれ接続されている。したがって、本実施形態のガス切断装置1では、燃料ガス供給経路L1と、予熱用酸素ガス供給経路L2とが切断火口6内で合流する構成となっている。

また、本実施形態の切断火口6は、図2に示すように、当該切断火口6内の予熱ガス流路16に折曲部16aが設けられている。そして、この折曲部16aよりも基端側の予熱ガス流路16の部分が軸方向中心に沿って設けられた切断用酸素ガス流路11と並行となるように設けられており、上記折曲部16aよりも先端側の部分16Aが上記切断用酸素ガス流路11に向けて傾斜するように設けられていることを特徴としている。これにより、予熱孔8から噴射される予熱ガスを、切断火口6の軸方向の中心部へ集中させることが可能な構成となっている。

なお、本実施形態では、予熱ガス流路16に折曲部16を設ける構成を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、予熱ガス流路16を、軸方向と並行に設けられた基端側の流路部分と、切断用酸素ガス流路11に向けて傾斜するように設けられた先端側の流路部分とを緩やかな曲線状の流路で接続される構成としてもよい。

ここで、予熱ガス流路16の先端側部分16Aの傾斜角度(すなわち、予熱ガス流路16の折曲部16aと予熱孔8とを結ぶ直線Mと、切断火口6の軸方向中心線O上に設けられた切断用酸素ガス流路11とがなす角度)αは、予熱ガスの集中性を最も高めることができる角度とすることが好ましい。具体的には、傾斜角度αは、図2に示すように、上記直線Mと上記直線Oとが交差する点(焦点)Pが、切断材料(ワーク)表面Sとなるように設定することが望ましい。なお、切断材料(ワーク)表面Sからの切断火口先端までの距離Lは、通常10〜20mmの範囲となるように設定されている。

次に、上述したガス切断装置1を用いた、本発明の一実施形態であるガス切断方法について説明する。

具体的には、図1に示すように、本実施形態のガス切断を行う上での各種ガスの供給形態について説明する。 先ず、水素ガス供給源3から燃料ガス供給経路L1に水素ガスを供給する。水素ガスは、圧力調整器14によって調圧された後、混合装置12に供給される。 同様に、炭化水素系ガス供給源4から炭化水素系ガス供給経路L3に炭化水素系ガスを供給する。炭化水素系ガスは、圧力調整器14によって調圧された後、混合装置12に供給される。

次に、混合装置12により、水素ガスと炭化水素系ガスとを設定した混合比率(すなわち、水素ガス96体積%以上、炭化水素系ガス4体積%以下)となるように混合した後、この混合装置12から燃料ガスとして燃料ガス供給経路L1に供給する。そして、燃料ガスは、水素ガス用の逆火防止器13、開閉弁15を介して切断火口6の燃料ガス用流路9に供給される。

酸素ガス供給源5から酸素ガスを予熱用酸素ガス供給経路L2と切断用酸素ガス供給経路L4とに供給する。予熱用酸素ガス供給経路L2に供給された酸素ガスは、予熱用酸素ガスとして圧力調整器14、開閉弁15を介して、切断火口6の予熱用酸素ガス流路10に供給される。燃料ガスと予熱用酸素ガスとは、切断火口6の内部で混合され、予熱孔7より噴出して着火され、予熱炎を形成する。

もう一方の切断用酸素ガス供給経路L4に供給された酸素ガスは、切断用酸素として、圧力調整器14、開閉弁15を介して切断火口6の切断酸素流路11に供給され、切断酸素孔8から噴射され、予熱炎によって加熱された鉄鋼と反応して切断を行う。

ところで、従来のガス切断方法において、燃料ガスとして100%水素ガスを用いた場合には、燃料ガスとして100%炭化水素系ガスを用いた場合よりも切断可能速度を向上させることができる。しかしながら、切断火口先端に発生する白心を全く視認することができないため、予熱炎の火炎の調整が困難であるという問題があった。

また、従来のガス切断方法において、燃料ガスとして酸素ガスと水素ガスとの混合ガス(酸水素ガス)に爆発下限値となるように炭化水素系ガスを混合した場合には、安全性を確保することはできるが切断速度が低下してしまうという問題があった。 ここで、図3に、酸素中水素の爆発範囲及び酸素中プロパンの爆発範囲を示す。図3中に示す領域(A)が燃焼範囲であり、領域(B)が非燃焼範囲である。なお、三角図中に示す直線(C)は、電気分解で発生した酸素、水素にプロパンを混合したときの組成を示している。図3に示すように、酸素中の爆発下限界未満の水素濃度は4%以下で、水素中の爆発下限界未満の酸素濃度6%以下である。

これに対して、本実施形態のガス切断方法では、燃料ガスとして水素ガスに0体積%超4体積%以下の炭化水素系ガスを混合した混合ガスを用いているため、燃料ガスとして水素ガスを用いた場合の切断可能速度と同等の速度と、炭化水素系ガスの燃焼によって切断火口先端に発生する白心の視認性とを両立することができる。

さらに、図9に示すような従来のガス切断装置101によれば、酸素ガスと水素ガスとを混合した酸水素ガスと、爆発下限となる濃度の炭化水素系ガスとの混合ガスを燃料ガスとして供給経路L101に供給する構成となっている。このため、何らかの理由によって燃料ガスの供給に問題が生じて爆発が発生した際、酸水素ガスが供給されている供給ラインL101の上流側全てが破損するおそれがあった。

これに対して、本実施形態のガス切断装置1によれば、燃料ガスの主成分である水素ガスを、水素ガス単体として供給する水素ガス供給源3を用いており、炭化水素系ガスと混合した燃料ガスと予熱用酸素ガスとを切断火口6の内部で合流する構成としている。このため、万が一燃料ガスと予熱用酸素ガスとの間で爆発が発生した際に、切断火口6よりも上流側(一次側)の経路が破損するおそれがない。これにより、図2に示すような爆発下限値以下の炭化水素系ガスを混合した燃料ガスを用いることが可能となる。

以上説明したように、本実施形態のガス切断方法及びガス切断装置1によれば、燃料ガスの主成分である水素ガスと酸素ガスとを切断吹管2又は切断火口6まで混合しないため、燃料ガス供給経路L1での爆発の危険性を大幅に低減して安全性を高めることができる。

また、燃料ガスの主成分である水素ガスに混合する炭化水素系ガスの比率を0体積%越(白心が見える最低比率)、4体積%以下(切断速度維持可能な最高比率)という低い比率で設定するため、水素ガス本来の優れた切断性能を確保しつつ、白心が視認可能となり、予熱炎の調整を容易にすることができる。

更に、予熱ガス経路16の先端側16Aを火口の中心方向に傾斜させた切断火口6を組み合わせることによって、より集中した予熱が可能となる。この効果によって主にピアシング(穴あけ)加工の際に度々発生する溶融金属の吹き上がりで火口の予熱ガス流路16が塞がれるために発生する逆火を抑制でき、爆発の危険性を低減できると共にピアシング予熱時間の低減が可能となる。

なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態のガス切断装置1では、燃料ガスと予熱用酸素ガスとが内部で合流する切断火口6を用いた構成を示しているが、これに限定されるものではない。

例えば、図4に示すように、燃料ガス流路9と予熱用酸素ガス流路10とが当該切断火口の内部で独立し、それぞれの予熱孔27a,27bより噴出した後で切断火口の外部(切断火口の先端)で混合されるポストミキシングタイプの切断火口26を用いてもよい。 このような形態の切断火口26によっても、上記実施形態と同様の効果が得られるとともに、逆火による爆発に対する安全性をさらに高めることが可能となる。

また、図示はしないが、内部に混合室(ミキサーともいう)が設けられた切断吹管を用いるガス切断装置の構成とし、燃料ガスと予熱用酸素ガスとを切断吹管内の混合室で混合した後、切断火口に供給する構成としても良い。

以下に、具体例を示す。 (検証試験1) 燃料ガスを構成する炭化水素系ガスとしてプロパンを用いた場合を例として、水素燃料ガス中にプロパンを各種濃度で混合した場合の切断速度への影響を調査した。切断速度への影響を評価する方法としては、同一条件において切断速度を徐々に速くしていくとルーズカットと呼ばれる切断が中断してしまう現象が発生する。このルーズカットが発生しない最高速度を記録した。切断条件を表1に示す。また、図5には、燃料ガス中のプロパン濃度と最高切断速度との関係を示す。

表1に示すように、燃料ガスに混合する予熱酸素の混合比は、一般に、反応する化学式の割合で混合する理論混合及び空気中の酸素も考慮した中性混合と呼ばれるものがあるが、本検証では予熱炎の安定する中性混合とした。

図5に示すように、燃料ガス中のプロパン濃度が100%における最高切断速度が750(mm/min.)であるのに対して、水素ガスに1〜4体積%のプロパンを混合した燃料ガスでは最高切断速度が950(mm/min.)となり、約27%の速度アップが可能であることが確認された。

また、水素ガス中のプロパンの混合比率が4体積%以下であれば、切断速度は影響を受けないが、4体積%を超えると急速に切断可能速度が低下し、プロパン濃度が20体積%程度になるとプロパン濃度が100%の切断可能速度と大きな差がなくなり、燃料ガスとして水素ガスを使用するメリットが極めて小さくなることが確認された。

(検証試験2) 各種燃料ガスにおける切断火口先端に発生する白心の視認性について評価した。図6(a)、(b)及び(c)に各種燃料ガスにおける切断火口の先端に発生する白心の写真を示す。なお、白心は、燃料ガス中の炭素成分が燃焼により白く輝くことで視認できるものである。このため、図6(a)に示すように、水素100%の燃料ガスでは白心が全く見えないことが確認された。

これに対して、図6(b)に示すように、水素ガスに1体積%のプロパンを混合した燃料ガスでは、白心(図中に示す領域H)が十分視認可能であった。またプロパンの濃度を減らし0.4体積%まで視認可能であった。 また、図6(c)に示すように、炭素成分の最も少ないメタンを混合した場合でも3体積%の混合比率で白心(図中に示す領域H)が視認可能であることを確認した。 さらにブタンを混合した場合でも0.2体積%の混合比率で白心が視認可能であることを確認した。

上記検証結果から、いずれの炭化水素系ガスを選定した場合であっても、水素ガスに対して3体積%以下の混合比率とした燃料ガスとすることにより、切断火口の先端に発生する白心の視認が可能となることが確認された。

(検証試験3) 切断火口内の予熱ガス流路を火口中心方向へ傾斜させた切断火口と、切断火口内の予熱ガス流路を切断酸素流路と平行に設けた切断火口とを用いた場合について、予熱ガスの火口中心方向への集中性及びピアシング予熱時間に及ぼす影響を評価した。 図7(a)及び(b)は、ガスの流れを可視化できるシュリーレン装置によって撮影した予熱ガスの流れている状況を示す写真である。なお、シュリーレン装置による撮影条件を表2に示す。

予熱ガス流路に傾斜を設けた図7(a)では、傾斜を設けない図7(b)と比べて、予熱ガスが火口先端から噴出した後に、火口中心方向に絞られていることが確認できた。

また、上記集中性の異なる切断火口によるピアシング予熱時間を測定した測定条件を表3に、測定結果を図8にそれぞれ示す。

図8に示すように、予熱ガス流路に傾斜を設けた切断火口の方が、傾斜を設けない切断火口に比べて、より小さな燃焼熱量で短時間に予熱が完了することが確認された。

本発明のガス切断方法は、燃料ガスと予熱用酸素ガスとにより予熱炎を形成する予熱孔と、切断用酸素ガスを噴射してワークを切断する切断酸素孔とを備えた切断火口によりワークを切断する際に適用することが可能である。

1・・・ガス切断装置 2・・・切断吹管 3・・・水素ガス供給源 4・・・炭化水素系ガス供給源 5・・・酸素ガス供給源 6・・・切断火口 7・・・予熱孔 8・・・切断酸素孔 9・・・燃料ガス流路 10・・・予熱用酸素ガス流路 11・・・切断用酸素ガス流路 12・・・混合装置 13・・・逆火防止器 14・・・圧力計 15・・・開閉弁(逆止弁) 16・・・予熱ガス流路 16a・・・折曲部 16A・・・先端側部分(先端側) α・・・傾斜角度 L1・・・燃料ガス供給経路 L2・・・予熱用酸素ガス供給経路 L3・・・炭化水素系ガス供給経路 L4・・・切断用酸素ガス供給経路

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