加熱型気化装置

申请号 JP2015249102 申请日 2015-12-21 公开(公告)号 JP2016119478A 公开(公告)日 2016-06-30
申请人 株式会社堀場エステック; 发明人 田口 明広; 矢田 秀貴;
摘要 【課題】コンパクト性を維持しながら、材料ガスの安定的かつ大流量供給する連続型の気化装置を提供する。 【解決手段】気化室11aを有し、気化室11aに導入された液体材料が気化して生成される材料ガスを導出する気化用タンク11と、気化用タンク11を加熱して気化室11a内にある液体材料の気化を促進するヒータと、気化室11aの下方空間を、最初に液体材料が導入される第1下方空間11eと第1下方空間11eから溢れた液体材料が導入される第2下方空間11fとに仕切る仕切り壁6とを具備するようにする。 【選択図】図2
权利要求

ヒータによって加熱される気化室を有し、該気化室に導入された液体材料が加熱されて気化した材料ガスを導出する気化用タンクであって、 前記気化室の下方空間を、最初に液体材料が導入される第1下方空間と該第1下方空間から溢れた液体材料が導入される第2下方空間とに仕切る仕切り壁を具備していることを特徴とする気化用タンク。前記第2下方空間に液体材料が溢れ始める液面高さが、気化室内の液体材料の目標液面高さ範囲内またはそれより上方に設定されていることを特徴とする請求項1記載の気化用タンク。前記気化室の内壁面から突出する複数の熱伝導体を具備していることを特徴とする請求項1記載の気化用タンク。所定面に開口する有底穴が形成されたブロック状をなす本体と、前記有底穴の開口を閉止することによって前記気化室を形成する蓋体とを具備したものであって、 前記有底穴が、前記本体の一面の複数個所を穿孔することによって形成されたものであり、 穿孔と穿孔との間に形成した残壁部分が、前記熱伝導体として機能するように構成してあることを特徴とする請求項3記載の気化用タンク。前記気化室を形成する壁体が、液体材料を加熱するためのヒータを埋設できるように構成したものである請求項1記載の気化用タンク。気化室を有し、該気化室に導入された液体材料が気化して生成される材料ガスを導出する気化用タンクと、 前記気化用タンクを加熱して、前記気化室内にある液体材料の気化を促進するヒータと、 前記気化室の下方空間を、最初に液体材料が導入される第1下方空間と該第1下方空間から溢れた液体材料が導入される第2下方空間とに仕切る仕切り壁とを具備していることを特徴とする気化器。請求項5記載の気化器と、 前記気化室に貯留されている液体材料の液面高さを検出する液面センサと、 前記気化室に連通する液体材料導入流路上に設けられた流量調整弁と、 前記液面センサで検出された液面高さを所定目標液面高さ範囲内にすべく前記流量調整弁を制御する制御機構とを具備し、 液体材料が前記第2下方空間に溢れる液面高さが、前記所定目標液面高さ範囲内またはそれより上方に設定されていることを特徴とする気化装置。

说明书全文

本発明は、液体半導体材料をガス化する加熱型の気化装置等に関するものである。

半導体材料には、フロンを含有しないものなど常温で液体のものがある。半導体製造システムにおいては、そういった液体半導体材料を用いる場合は、これを加熱してガス化する加熱型気化装置を利用することがある。

この用途における代表的な気化装置としては、所定のプロセスで必要とされる十分な量の材料を気化用タンクに貯留し、これを気化させて材料ガスを出する貯留型のものや、気化用タンクに液体材料を連続的又は断続的に導入しながらこれを気化し、材料ガスとして出力する連続導入型のものを挙げることができる。 貯留型のものは、十分な量の液体材料を気化用タンクに貯留すればよいだけであるから、当該液体材料を導入するための複雑な流路構造やバルブ制御は不要であるし、気化用タンクの加熱温度制御にしても、それほどの速応性は要求されない。したがって、貯留型の気化装置は、材料ガスの安定的かつ大流量出力が容易というメリットを有する。他方、気化用タンクが大型になりがちで、コンパクト化が難しいというデメリットがある。

これに対し、連続導入型のものは、気化用タンクを小型化できるというメリットはあるものの、材料ガスの安定的かつ大流量出力が難しいというデメリットがある。なぜならば、気化用タンク内で気化し出力された分だけ、次々と新たな液体材料を確実に導入しなければならず、液体材料導入量の制御応答性が必要とされるからである。例えば、該制御が間に合わないと、気化用タンクへの液体材料の入れ過ぎによって、気化していない液体材料が溢れて、材料ガスの導出ポートから出力され、不測の故障等を引き起こす恐れがある。 かといって、入れ過ぎによる液体材料の溢れを防止するような緊急出力停止機構を追加すると、頻繁に出力停止状態が発生し、半導体プロセスそのものに悪影響を及ぼすので、これも抜本的な解決にはなり得ない。 そして、かかる問題は、貯留型のものにおいても、少なからず生じ得る。

特開2004−157719号公報

本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、半導体製造装置などに用いられる気化装置等において、コンパクト性を維持しながら、材料ガスの安定的かつ大流量出力を可能にすべく図ったものである。

すなわち本発明に係る気化用タンクは、ヒータによって加熱される気化室を有し、該気化室に導入された液体材料が加熱されて気化した材料ガスを導出するものであって、前記気化室の下方空間を、最初に液体材料が導入される第1下方空間と該第1下方空間から溢れた液体材料が導入される第2下方空間とに仕切る仕切り壁を具備していることを特徴とする。

このようなものであれば、第1下方空間に最初に流入した液体材料が、仕切り壁から第2下方空間に溢れ出してしばらくの時間は、液面高さがほぼ一定に保たれるので、この時間を利用して、液面高さ制御を行うことができる。したがって、液面高さ制御のための機構を高価で応答性のよいものにすることなく、気化室内の液体材料量(液面高さ)を適切な範囲に保ち、本発明の課題であるコンパクト性と大流量化を同時に達成することができるようになる。

前記第2下方空間に液体材料が溢れ始める液面高さを、気化室内の液体材料の目標液面高さ範囲内またはそれより上方に設定しておけば、液面高さ制御が容易になり前記効果が顕著となる。

コンパクトな気化室での大流量材料ガスの安定供給のためには、材料ガスとして導出される量に見合った液体材料を気化室に的確に導入するための前記液面高さ制御のみならず、気化室内の液体材料を確実に気化させる気化促進温度に維持することが望ましい。

そのためには前記気化室の内壁面から突出する複数の熱伝導体を具備しているものがより好適である。なぜならば、複数の熱伝導体によってヒータからの熱が効率よく液体材料に伝わるので、コンパクトな気化室に液体材料を次々導入し、液体材料の入れ替わりスピードを速くして大流量化を図っても、それによる温度低下を打ち消すように素早く液体材料を加熱して気化促進温度に維持することができるからである。

製造の容易化を図るには、所定面に開口する有底穴が形成されたブロック状をなす本体と、前記有底穴の開口を閉止することによって前記気化室を形成する蓋体とを具備したものであって、前記有底穴が、前記本体の一面の複数個所を穿孔することによって形成されたものであり、穿孔と穿孔との間に形成した残壁部分が、前記熱伝導体として機能するように構成してあるものが望ましい。

ヒータからの熱をさらに効率よく液体材料に伝えるためには、前記気化室を形成する壁体が、液体材料を加熱するためのヒータを埋設できるように構成したものが望ましい。

また、本発明に係る気化器は、気化室を有し、該気化室に導入された液体材料が気化して生成される材料ガスを導出する気化用タンクと、前記気化用タンクを加熱して、前記気化室内にある液体材料の気化を促進するヒータと、前記気化室の下方空間を、最初に液体材料が導入される第1下方空間と該第1下方空間から溢れた液体材料が導入される第2下方空間とに仕切る仕切り壁とを具備していることを特徴とする。

また、本発明に係る気化装置は、前記気化器と、前記気化室に貯留されている液体材料の液面高さを検出する液面センサと、前記気化室に連通する液体材料導入流路上に設けられた流量調整弁と、前記液面センサで検出された液面高さを所定目標液面高さ範囲内にすべく前記流量調整弁を制御する制御機構とを具備し、液体材料が前記第2下方空間に溢れる液面高さが、前記所定目標液面高さ範囲内またはそれより上方に設定されていることを特徴とする。

このように構成した本発明によれば、第1下方空間に最初に流入した液体材料が、仕切り壁から第2下方空間に溢れ出してしばらくの時間は、液面高さがほぼ一定に保たれるので、この時間を利用して、確実に液面高さ制御を行うことができる。したがって、前記連続導入型の気化装置等において、コンパクト性を維持しながら、材料ガスの安定的かつ大流量出力が可能となる。

本発明の一実施形態における気化装置の全体構成を示す模式図。

同実施形態における気化タンクを示す斜視図。

同実施形態における気化タンクの本体を示す平面図。

同実施形態における気化タンクの本体を示す右側面図。

図3におけるA−A線断面図。

図3におけるB−B線断面図。

同実施形態における予熱タンクを示す斜視図。

同実施形態の気化装置における気化器、予熱器、流量制御弁等の配置構成を示す正面図。

以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。

(1)本実施形態に係る気化装置100の概要 本実施形態の気化装置100は、例えば半導体製造システムに組み込まれてそのプロセスチャンバに所定流量の材料ガスを供給するためのものである。

そして、図1に示すように、導入された液体材料を気化して前記材料ガスを出力する気化器1と、液体材料を予め予熱して前記気化器1に導入する予熱器2と、該予熱器2から前記気化器1に導入される液体材料の流量を制御する導入量制御機構3と、該気化器1の出力ポートに接続されて前記材料ガスの質量流量を制御するマスフローコントローラ7とを具備している。 次に、この気化装置100の各部を説明する。

(2)気化器1の構成 前記気化器1は、図1に示すように、内部に気化室11aを有した気化用タンク11と、該気化室11a内の液体材料温度を、気化が促進される所定の気化促進温度に保つべく制御する気化室温度制御機構12とを具備するものである。

前記気化用タンク11は、図2〜図5に示すように、長尺ブロック状(より具体的には直方体状)をなす金属体の内部に前記気化室11aを設けるとともに、その長手方向と直交する一方の端面に、前記気化室11aに液体材料を導入するための導入ポート11bと、材料ガスを前記気化室11aから導出するための導出ポート11cとを開口させたものである。この気化用タンク11は、長手方向を平方向とするとともに、前記導出ポート11cが導入ポート11bの上方に位置する姿勢で配置されていて、該気化室11aの下方空間に前記導入ポート11bから導入された液体材料が貯留され、上方空間には液体材料が気化した材料ガスが充満して前記導出ポート11cから出力されるように構成してある。

前記気化室温度制御機構12は、図1に示すように、気化用タンク11に取り付けられたヒータ121と、気化室液体材料の温度を直接又は間接的に測定する温度センサ123と、該温度センサ123による測定温度を前記気化促進温度とすべく、前記ヒータ121を制御するヒータ制御回路122と具備したものである。前記ヒータ121は、棒状のものであり、図2等に示すように、前記気化用タンク11の他方の端面に開口して前記長手方向に延伸するヒータ用穴11dに挿入してある。

(3)予熱器2の構成 前記予熱器2は、図1及び図7に示すように、内部に予熱室21aを有した予熱タンク21と、該予熱室21a内の液体材料温度を前記気化促進温度よりも低い所定の予熱温度に保つべく制御する予熱室温度制御機構22とを具備してなり、前述したように、予熱された液体材料を前記気化器1に導出するものである。

予熱タンク21は、前記気化用タンク11同様、長尺ブロック状(より具体的には直方体状)をなす金属体の内部に前記予熱室21aを設けるとともに、その長手方向と直交する一方の端面に前記予熱室21aに液体材料を導入するための導入ポート21bと、予熱された液体材料を前記予熱室21aから導出するための導出ポート21cとを開口させたものである。

この予熱タンク21は、図7に示すように、長手方向を水平方向とするとともに、前記導出ポート21cが導入ポート21bの上方に位置するように配置されている。また、前記予熱室21aは、長手方向に沿って延びる複数本(ここでは4本)の延伸流路21d〜21gと、これら延伸流路21d〜21gが直列に接続されるようにその端部同士を接続する接続流路21h〜21jとから構成されている。そして、最上流に位置する延伸流路21dの始端が前記導入ポート21bとなり、最下流に位置する延伸流路21gの終端が前記導出ポート21cとなるようにしてある。これら延伸流路21d〜21gは、上流側のものの方が下流側のものよりも上方に位置するようにしてある。これは、仮に液体材料がこの予熱室21a内で気化して材料ガスになったとしても、その材料ガスが自然に導出ポート21c側に向かい予熱室21a内に残存することがないようにするためである。

前記予熱室温度制御機構22は、図1に示すように、前記予熱室21aに取り付けられた第2ヒータ221と、予熱室液体材料の温度を直接又は間接的に測定する温度センサ223と、該温度センサ223による測定温度を前記予熱温度とすべく、この第2ヒータ221を制御する第2ヒータ制御回路222とを具備するものである。前記第2ヒータ221は、棒状のものであり、図7に示すように、前記予熱タンク21の他方の端面の中央に開口して前記長手方向に延伸する第2ヒータ用穴21kに挿入してある。なお、前記延伸流路21d〜21gは、前記端面から視て第2ヒータ用穴21kを取り囲むように配置してある。これは、第2ヒータ221で発生した熱を極めて効率よく予熱室21a内の液体材料に伝えるようにするためである。さらにこの実施形態では、最下流の延伸流路21gと最上流の延伸流路21dとが、第2ヒータ用穴21kを挟んで対向するように配置してある。これは、最も高い温度となる最下流の延伸流路21g内の液体材料が、最も低い温度となる最上流の延伸流路21d内の液体材料の影響を受けて温度が低下することを可及的に防止するためである。

(4)導入量制御機構3の構成 前記導入量制御機構3は、図1に示すように、予熱タンク21と気化用タンク11との接続流路上に設けられた流量調整弁31と、前記気化室11a内に貯留されている液体材料の量を検出する液体材料検出手段たる液面センサ32と、前記液面センサ32で検出した液体材料量を所定目標範囲内にすべく前記流量調整弁31を駆動して気化用タンク11に導入される液体材料の流量を制御する弁制御回路33とを具備したものである。

前記流量調整弁31は、ここでは例えば図示しない積層ピエゾ素子と、この積層ピエゾ素子によって駆動される弁本体とを具備した円柱状をなすものであり、全開/全閉の2値のみをとるON/OFF開閉弁タイプのものである。なお、この実施形態では、図8に示すように、この流量調整弁31、前記気化用タンク11及び前記予熱タンク21を長手方向が水平となる姿勢にしたうえで、起立する板状ブロック体4の一側面に上下に並べて取り付けてある。この板状ブロック体4は、内部流路、すなわち、予熱タンク21の導入ポート21bに液体材料を供給するための第1流路4a、予熱タンク21の導出ポート21cと流量調整弁31とを連通させる第2流路4b、流量調整弁31と気化用タンク11の導入ポート11bとを連通させる第3流路4c及び気化用タンク11の導出ポート11cから気化した材料ガスを出力する第4流路4dを形成したマニホールドブロックともいうべきものである。このように、内部流路4a〜4dを形成した板状ブロック体4を起立させ、該板状ブロック体4に、それぞれ水平姿勢にした予熱タンク21、流量調整弁31及び気化用タンク11を下からこの順に取り付けた構成としてコンパクト化を図っている。

前記液面センサ32は、第1下方空間11eに貯留されている液体材料の液面高さを検出する例えばフロートタイプものであり、ここでは図5に示すように、そのプローブが前記気化用タンク11の上壁面から下方に向かって差し込まれて取り付けられている。

前記弁制御回路33は、より具体的には、前記液面センサ32からの出力を受け付け、その液面センサ32によって検出された液面高さが所定の目標液面高さ範囲を超えた場合には、前記流量調整弁31を閉じ、前記目標液面高さ範囲を下回った場合には、当該流量調整弁31を開くものである。なお、目標液面高さ範囲は幅があってもよいし一点であってもよい。

ところで、この弁制御回路33は、図1に示すように、前記ヒータ制御回路122及び第2ヒータ制御回路222とともに、物理的には一体の電気回路として設けてある。該電気回路は、例えば、CPU、メモリ、通信ポートなどからなるデジタル電子回路と、ADC、DAC、増幅器、バッファなどからなるアナログ電子回路とを有したもので、前記メモリに記憶させた所定のプログラムにしたがって周辺回路が動作することにより、前述した弁制御回路33、ヒータ制御回路122、第2ヒータ制御回路222等としての機能を発揮するように構成してある。

(5)マスフローコントローラ7の構成 前記マスフローコントローラ7は、詳細は図示しないが、気化器1の導出ポート11cに接続された例えば差圧式のものであり、図示しない流体抵抗素子の前後の差圧が目標値となる、すなわち目標質量流量となるように、内部に設けた流量調整弁を制御することによって、前記気化器1から出力される材料ガスの質量流量を制御するものである。

(6)本気化装置100の特徴構成 しかしてこの実施形態では、前記気化用タンク11を以下のような特徴的な構造としている。

すなわち、図2、図3、図5に示すように、気化室11aの下方空間を、導入ポート11bが開口する一方の端面側の空間である第1下方空間11eと他方の端面側の空間である第1下方空間11fとに仕切る仕切り壁6を設けた点である。第1下方空間11eの容量は、第1下方空間11fの容量の8〜10倍以上に設定してある。なお、この気化室11aの上方空間は仕切られることなく連続している。また、前記液面センサ32は、この第1下方空間11eの直上に設けられて当該第1下方空間11eの液面高さを検知できるようにしてある。 次に、これらの特徴点について詳述する。

この実施形態での気化用タンク11は、長手方向に沿った所定面(ここでは上面)に開口する有底穴11hが形成されたブロック状をなす本体111と、前記有底穴11hの開口を閉止することによって前記気化室11aを形成する板状をなす蓋体112とからなるものとしている。

前記有底穴11hの第1下方空間11e及びその上方空間は、例えば金属ブロック材の上面をドリルなどで切削(掘削)加工し、縦横マトリクス状に複数穿孔することによって形成してある。ここでの穿孔11gは全て同一径であり、穿孔ピッチは、前記穿孔径よりもやや大きくしてある。その結果、ドリル穿孔すると各穿孔11g間に未切削部分が残るが、この実施形態では、前記未切削部分の一部を切削することにより、上面視、短手方向に延びるとともに長手方向に沿って等間隔に並ぶ複数の残壁部分5が形成されるようにしてある。

これら残壁部分5が前述した熱伝導体5としての機能を担う。この残壁部分たる熱伝導体5の上端高さは、有底穴11hの開口面よりも低くなるようにして、気化室11aの上方空間にまで該熱伝導体5が及ばないように構成してある。このことによって上方空間のガス流通性を担保している。また各熱伝導体5を、有底穴11hの内側面から離間するように構成して、第1下方空間11e全体に液体材料が滞りなく貯留されるようにしてある。

なお、この実施形態では、短手方向に並ぶ穿孔11gの数は3つであり、中央の穿孔11gの深さを両端の穿孔11gの深さよりも浅くしてある。これは、この中央の穿孔11gの下方領域に、前述したヒータ121が挿入されるヒータ用穴11dが形成されるためである。

一方、前記仕切り壁6は、短手方向に延び、上面視その各端が有底穴11hの内側面に連続するように構成したものであって、その上端高さは前記導入量制御機構3による目標液面高さ範囲の上限近傍かそれよりも上方となるように設定してある。

なお、前記残壁部分5の上端高さは、この仕切り壁6の上端高さと同じかやや低くなるように設定してある。また、前記導入ポート11bは、この仕切り壁6の上端高さよりも低い位置に設定してあり、前記導出ポート11cは、この仕切り壁6の上端高さよりも高く、かつ前記目標液面高さ範囲の上限よりも高い位置に設定してある。

(7)気化装置100の動作説明 次に、このように構成した気化装置100の動作について説明する。 予熱タンク21に導入されて予熱された後、気化用タンク11に導入されて貯留された液体材料は、ここで加熱され気化して材料ガスとなる。この材料ガスは、気化用タンク11の導出ポート11cから、その下流にあるマスフローコントローラによって流量制御されながら連続して出力されていく。

一方、材料ガスの出力によって気化室11a内の液体材料は徐々に減少し、その液面高さは低下していくが、その液面高さが前記目標液面高さ範囲を下回ると、これを導入量制御機構3が検知し、流量調整弁31を開ける。すると液体材料が気化室11aに流入して液面高さが上昇するが、その液面高さが所定目標範囲を上回ると、これを導入量制御機構3が検知し、流量調整弁31を閉じる。

このように、気化室11a内に液体材料が断続的に導入されながら、材料ガスは、気化室11aから連続的に出力されていることになる。また、この間、気化室温度制御機構12によって気化室11a内の液体材料温度が、気化の促進される所定の気化促進温度に保つべく制御される。

(8)気化装置100による効果 通常、気化室のコンパクト化を図りながら大流量の材料ガスを安定的に出力しようとすると、必然的に気化室内に大流量の液体材料を導入しなければならず、その流量制御に速応性が必要となる。すなわち、気化室内での液体材料の液面高さ変動速度が大きくなるので、単純には、液面センサ、制御回路、流量調整弁等から構成される導入量制御機構の応答速度を上げない以上、導入量制御機構が前記液面高さの変動速度に追いつけず、気化していない液体材料が導出ポートから溢れるといった不具合が生じ得る。特に液面の上昇速度がかなり速くなるので、これに対する制御速応性は重要となる。

これに対し、本気化装置100によれば、気化室11aの第1下方空間11eに最初に流入した液体材料が、仕切り壁6から溢れて第2下方空間11fに流入するようにし、溢れてしばらくの時間は液面高さが一定に保たれるようにしていることに加え、この液面高さを目標液面高さ範囲の上限よりもやや高い位置に設定しているので、前記導入量制御機構3の応答性を無理に上げることなく、液面高さが略一定に保たれる前記時間を利用して、気化室11a内の液体材料量(液面高さ)を適切な値に十分制御できる。

したがって、液面センサ32に応答速度やセンシング性能の良い高価なものを用いる必要はないし、流量調整弁31に安価なオン/オフ開閉弁を用いることができるなど、コストを抑えつつ、コンパクト大流量化という所期の性能を発揮できる。

また、液体材料を充填する都度、第2下方空間11fに液体材料が溢れるところ、この溢れた液体材料がそのまま残留して蓄積されていくと、当該第2下方空間11fが最終的には液体材料で満たされることとなる。そして、仮に、この状態が一旦現出されてしまうと、その後は、第1下方空間11eから仕切り壁6を乗り越えて第2下方空間11fに液体材料が流入するという作用を期待できなくなり、第2下方空間11fへの溢れ出しによる液面高さの一定保持によって流量調整弁31の制御時間を稼ぐという前記機能が発揮できなくなることが考えられる。

しかしながら、この液体材料は気化するため、該液体材料が再充填されて、仕切り壁6の上端にまで達し、第2下方空間11fに再度溢れるまでには、その前のサイクルで第2下方空間11fに溢れ出た液体材料は、気化しほぼ無くなっているので、上記問題が生じることはない。逆にいえば、該液体材料が再充填されて、仕切り壁6を乗り越え、第2下方空間11fに再度溢れるまでにその前のサイクルで第2下方空間11fに溢れ出た液体材料が気化し無くなるように、液体材料の導入量や第2下方空間11fの液面積等を設定しておく必要がある。

一方、本実施形態に係る気化装置100では、前述したように、気化室11a内にその内壁から一体に突出する熱伝導体5を複数設けてヒータ121からの熱が効率よく液体材料に伝わるようにもしているので、コンパクトな気化室11aに大流量の液体材料を次々導入し、液体材料の入れ替わりスピードを速くしても、それによる温度低下を打ち消すように素早く液体材料を加熱して気化促進温度に維持することができ、大流量での安定した材料ガスの出力が可能となる。特に本実施形態では、前記熱伝導体5が、穿孔による残壁部分を利用したものであり、その断面形状が凹凸のある異形状となっているので表面積が大変大きく、極めて効率のよい熱伝導を可能ならしめている。

また、ヒータ121が、気化用タンク11を形成する金属壁の内部に埋設されている(ヒータ用穴11dに挿入されている)ことも、ヒータ121からの熱を効率よく伝えられるという点で前記効果を助長することとなる。加えて、気化器1の前段に予熱器2を設けている点も、材料ガスの大流量での安定した出力化に寄与し得る。なぜならば、気化室11a内に液体材料が流入した際の温度変動が小さくなり、該気化室11a内での液体材料の温度維持が容易となるからである。

(9)変形例 なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。 例えば、仕切り壁の上端から、さらに上方に延出する延長部分を設けてもよい。その場合、この延長部分には孔を開けるなどして、前記実施形態同様の高さで液体材料が第1下方空間から第2下方空間に溢れるようにしておけばよい。

また、液面センサとして、前記実施形態ではフロートタイプのものを用いていたが、熱容量式(例えば一定電流を流した抵抗体がセンサ本体となり、該抵抗体を周囲環境より例えば高い温度で発熱させ、該抵抗体がガス中にあるときと液体に浸されたときとで、両者の比熱の違いにより該抵抗体の温度に変化が生じ、その結果生じる抵抗値の変化から、液面高さをセンシングするもの)や、その他、超音波式、静電容量式、圧力式、振動式など、種々のものを用いることが可能である。 前記熱容量式液面センサとしては、白金測温抵抗体(Ptセンサ)からなるものが考えられる。 また、熱容量式液面センサとしては、熱電対式温度センサと、当該熱電対式温度センサの測温接点を基準接点の温度よりも高温にする加熱体とを備えたものが考えられる。前記加熱体は、測温接点の周囲又は近傍に設けられた例えばPtセンサであり、測温接点の温度を基準接点の温度よりも予め高温にするものである。なお、基準接点は、前記加熱体から加熱されない位置に設けておく。これにより、測温接点に液体材料が接触した場合の出力(測温接点の温度−基準接点の温度)を大きくすることができ、液体材料の液面高さを良く検出することができる。一方、測温接点を加熱体により加熱しない場合には、測温接点に液体材料が接触した場合の出力(測温接点の温度−基準接点の温度)が小さく、液体材料の液面高さを良く検出することが難しい。なぜならば、気化室内の液相(液体材料)の温度と、気化室内の気相(気化した材料)との温度は略同一温度であり、測温接点に液体材料が接触しても、基準接点に対する温度差が生じ難いためである。 上記2つの熱容量式液面センサにおいて、センサ小型化の観点及び応答性の観点からすると、白金測温抵抗体(Ptセンサ)からなるものが望ましい。一方、周囲温度の変動による測定誤差低減の観点からすると、温度センサ及び記加熱体とを備えたものが望ましい。

さらに、第2液面センサを設け、気化室内の液面が、前記目標液面範囲及び仕切り壁の上端高さを超えて、導出ポート近傍にまで近づいたことを検出するようにして、該第2液面センサによる検出液面が導出ポート近傍にまで近づいた場合には、気化室に液体材料を導入する流量調整弁を閉じ、緊急停止した旨を報知する緊急停止機構を設けても構わない。このように構成することによって、不測の事態(例えば液面センサの故障)に対しても、気化しない液体材料の溢出を確実に防止することができる。

熱伝導体は気化室内壁の任意の部分から突出させて構わない。前記実施形態同様、製造の容易化を考慮すれば、例えば、蓋体の裏面から一体に熱伝導体を突出させてよい。 前記実施形態では穿孔11gによる残壁部分を熱伝導体5としていたが、熱伝導体の形状はこれに限られず、また、金型によって、気化用タンク及び熱伝導体を一体に形成してもよい。また、前記実施形態では穿孔径を同一にしていたが、穿孔径を異ならせても構わない。 ヒータを気化用タンクに埋設せず、周囲を覆うようなタイプのものにしても構わない。 流量調整弁はON・OFF開閉弁のみならず、開口度が連続的に変化するタイプのものでも構わない。 その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。

100・・・気化装置 1・・・気化器 11・・・気化用タンク 111・・・本体 112・・・蓋体 121・・・ヒータ 11a・・・気化室 11e・・・第1下方空間 11g・・・穿孔 11f・・・第2下方空間 11h・・・有底穴 3・・・制御機構(導入量制御機構) 31・・・流量調整弁 32・・・液面センサ 5・・・熱伝導体

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