Device for closing the anatomy

申请号 JP2001521249 申请日 2000-09-11 公开(公告)号 JP3848572B2 公开(公告)日 2006-11-22
申请人 プロリズム,インコーポレイテッド; 发明人 アッカー,デイヴィッド,イー.; エッビーニ,エマッド,エス.; カヴォッシ,ルイス,アール.; パント,ブハラット,ビー.; ロパス,パトリック,デイヴィッド;
摘要
权利要求
  • 哺乳類の被検体の体内の 輸精管を閉塞するための装置であって、
    (a) 軸線(376)を有する射出面(374)を備える 1以上の超音波振動子を有するプローブであって、超音波エネルギを、該超音波エネルギが 前記軸線の周囲の焦点領域に集束されるように放射するようになされた前記プローブと、
    (b) 前記プローブに結合された一対の対向したガイド部材であって、(1)被検体の輸精管が内部に位置する陰嚢の領域を挟持し且つ(2)(i)前記射出面の軸線(376)が前記陰嚢の挟持された領域内に位置し、(ii)前記1以上の超音波振動子の焦点領域が輸精管を取り囲み、(iii)輸精管が前記射出面の軸線にほぼ平行に延びるように、前記挟持された領域を保持するようになされた一対のガイド部材と、
    (c)前記1以上の超音波振動子を起動させて超音波エネルギを 射出させ、それによって、 当該超音波エネルギが被検体の体の外側から 前記挟持された領域内へ及び輸精管を構成している組織上へと 通過して輸精管の長手方向に沿った場所で前記組織のうちの少なくとも幾らかを殺し、その結果、瘢痕組織を形成して 輸精管を閉塞する手段と、を含む装置。
  • 請求項1に記載の装置であって、
    前記射出面と前記挟持された領域の皮膚との間に延びている音波伝達要素を更に含んでいる装置。
  • 請求項2に記載の装置であって、
    前記射出面(374)が、円筒状の面からなる扇形の形態を成している装置。
  • 請求項3に記載の装置であって、
    前記1以上の振動子が約0.5以下のf−数(焦点距離を開口寸法で割った値)を有している装置。
  • 請求項1に記載の装置であって、
    供給されたエネルギの1つまたは複数の効果をモニタリングするとともに、前記モニタリングに基づいて組織に供給されるエネルギ量を制御し、これによって、供給量のフィードバック制御を提供する手段を更に備える装置。
  • 請求項5に記載の装置であって、
    前記モニタリングする手段が、輸輸精管周囲組織のエコー発生率を測定するような構造とされている装置。
  • 請求項2に記載の装置であって、
    前記ガイド部材の一方もしくは両方が前記プローブに対して移動でき、これによって、前記ガイド部材が、互いに接近移動および離間移動して、前記ガイド部材間の隙間内で輸輸精管の前記部分を挟持することができるようになされた装置。
  • 請求項7に記載の装置であって、
    前記一対のガイド部材のうちの第1のガイド部材が、前記射出面の軸線の方向において互いに隔置され且つそれらの間に第1の空間(322)を形成している第1及び第2の要素(308,310)を有している装置。
  • 請求項8に記載の装置であって、
    前記一対のガイド部材のうちの第2のガイド部材(356)が、前記射出面の軸線の方向において互いに隔置され且つそれらの間に第2の空間(366)を形成している第1および第2の要素(358,360)を有している装置。
  • 請求項9に記載の装置であって、
    前記射出面と前記ガイド部材間の空間との間に延びている音波伝達要素(402)を更に備え、柔軟な音波伝達要素が前記隙間内に保持された陰嚢の挟持された部分の皮膚と係合し、前記音波伝達要素が前記ガイド部材によって形成される前記第1および第2の空間内へと延びているようになされた装置。
  • 说明书全文

    【0001】
    (背景技術)
    多数の医療処置および獣医処置においては、哺乳類の被検体の呼吸器、消化器、生殖器、尿路においては、血管や管状組織といった管状の解剖学的組織を閉塞することが望ましい。 これらの処置は、外科的な介入によって、例えば体に人為的な開口を形成して管状組織を露出させるとともに、組織の周囲に縫合糸を縛って縫合糸をきつく引張って組織を締め付け閉塞することで管状組織を結紮することにより行なわれてきた。 あるいは、組織が切離されても良く、また、開端部が所定の場所に残されても良い。 開端部は互いに再結合されず、したがって、組織が閉塞される。 他の処置においては、体内に熱もしくは他のエネルギ形態を与えることにより、管状組織が焼灼されてきた。 例えば、米国特許第5,891,141号は、体に外科的に形成された開口を通じて挿入可能な一組の電極を有し且つ電極間で管状組織を把持して管状組織の壁を形成する組織に対して高周波(RF)電気エネルギを直接に与えることができる器具を開示している。 器具に支持された切刃によって管状組織が切断されると直ぐに、組織の凝固によって管状組織が閉塞される。 たとえ侵襲が最小の外科処置を行なったとしても、体の外科的な侵襲は、少なくとも幾つかの危険をもたらす。 解剖学的組織を閉塞するための他の処置は、例えばカテーテルや他の侵襲装置を組織内に挿通して、カテーテルの先端から生体適合性の閉塞材料の塊を投与することにより、解剖学的組織内へ人工的な閉塞体を挿入する。 これらの技術は、閉塞材料の注意深い選択および調剤技術に対する細心の注意を要求するとともに、体内への器具の挿入を必要とする。
    【0002】
    管状の解剖学的組織の閉塞を含む処置の一例は、一般的な雄の不妊処置である精管切除術である。 精管切除術は、睾丸から尿路までの精子の通路として役立つことができないように輸精管を閉塞もしくは切断する処置である。 精管切除術は、陰嚢を外科的に切開して輸精管を切断することによって行なわれてきた。 これは大したことのない処置であるが、それにもかかわらず、それに関連する幾つかの危険が存在する。 また、被検体が後に精管切除術を無効にすることを望む場合には、切断された両端部を互いに再結合するように配置することが難しい。 一般に、輸精管の両端部は、経時的に、互いに離れるように縮んでしまう。
    【0003】
    被検体の体の外側から被検体内にエネルギを方向付けることによって、生きている被検体内の組織を温熱治療する技術が開発されてきた。 例えば、高強度集束超音波(HIFU)技術において、超音波エネルギは、被検体の体の外側に配置されたエネルギ源から与えられるとともに、体内の所定の焦点で集束するような形態で被検体の体へと方向付けられる。 集束された超音波エネルギは、焦点で、組織を加熱する。 そのような技術は、例えば、腫瘍等の不要な組織を除去するために、あるいは、体内の特定の場所で薬の作用を可能にするために適用されてきた。 この開示内容で使用されているように、用語「被検体の外側」は、皮膚の外側、あるいは、消化管、呼吸器管、外部環境に対して自然と開く体の他の組織内のいずれかを示している。 したがって、口や直腸の内側部位は、体の外側と見なされる。 超音波エネルギを体の外側から与えることができるため、超音波温熱治療処置は、基本的に非侵襲となり得る。 この一般的なタイプの技術は、PCT国際公開公報WO98/52465に開示されており、その開示内容は、これを参照することによって本願に組み込まれる。 その他、温熱治療を行なう技術は、超音波エネルギの代わりに、高周波(RF)エネルギを使用する。
    【0004】
    (発明の開示)
    本発明の一態様は、哺乳類の被検体の体内の管状の解剖学的組織を閉塞する方法を提供する。 本発明のこの態様に係る方法は、被検体の体の外側から体内および管状の解剖学的組織を構成する組織へと超音波エネルギを方向付け、これによって、解剖学的組織の長手方向に沿う場所でそのような組織の少なくとも幾らかを殺し、その結果、瘢痕組織を形成して解剖学的組織を閉塞する工程を備えていることが望ましい。 これは、管状の解剖学的組織の壁を形成する組織以外の組織を実質的に破壊することなく行なわれることが望ましい。 超音波エネルギを体内に方向付ける工程は、プローブに結合され且つプローブに対して既知の場所にある焦点領域に超音波エネルギが収束するように超音波エネルギを放射するようになっている1つまたは複数の超音波振動子を有するプローブを使用して行なわれることが最も望ましい。 プローブは、位置決めされるとともに、管状の解剖学的組織を組み込んだ被検体の体の一部に対して所定の位置に維持され、これによって、焦点領域が解剖学的組織を取り囲むようにする。
    【0005】
    本発明のこの態様に係る特定の方法において、プローブは、体内の内部組織の画像を使用することなく被検体の体に対して位置決めされる。 例えば、管状の解剖学的組織を含む被検体の体の一部に対して所定の位置にプローブを維持する工程は、プローブに接続された1つまたは複数のガイド部材を被検体の体の前記一部と係合させることによって行なわれても良い。 ガイド部材は、プローブから突出する一対の対向するガイド部材を有していることが望ましい。 この場合、管状の解剖学的組織を含む皮膚のひだ等の被検体の体の一部は、対向するガイド部材間で挟持される。 したがって、管状の解剖学的組織は、ガイド部材によって、振動子および超音波エネルギの焦点に対して一定の位置に保持される。
    【0006】
    本発明の更なる態様は、人間または人間でない哺乳類といった哺乳類の雄の被検体を不妊させる技術を提供する。 輸精管を含むそのような被検体の精管は、陰嚢の皮膚の近傍に位置している。 したがって、輸精管または他の精管を含む陰嚢組織のひだ等の陰嚢の部分は、前述したプローブのガイド部材と係合することができ、超音波エネルギは、このひだを覆う陰嚢の皮膚を通じて、精管に方向付けられて、精管の壁を構成する組織を加熱することができ、好ましくは、この組織の少なくとも幾らかを殺すことができる。 この処置の結果として形成される瘢痕組織は、効果的に精管を閉塞して、被検体を不妊させる。 処置は、迅速に、一般には数分以下で行なうことができるとともに、完全に非侵襲で行なうことができる。 また、精管の両端部が互いに分離されていないため、後日、これらを非常に簡単に再結合することができる。
    【0007】
    本発明の更なる態様は、管状の解剖学的組織を閉塞するための装置を提供する。 本発明のこの態様に係る装置は、作用領域を有するハウジングと、前記ハウジングに作動的に結合されて駆動する1つまたは複数の超音波振動子とを有するプローブを備えていることが好ましい。 1つまたは複数の振動子は、ハウジングの作用領域に対して既知の位置を有する焦点領域に超音波エネルギを供給するようになっている。 本発明のこの態様に係る装置は、1つまたは複数のガイド部材であって、前記ハウジングから突出して、閉塞される解剖学的組織を含む被検体の体の一部と係合し、その体の一部をハウジングの作用領域に対する位置に保持することにより、ガイド部材と係合する体の前記一部に対して焦点領域が既知の位置にあるようにするガイド部材を備えていることが好ましい。 このような配置は、管状の解剖学的組織の長手方向に沿う1つまたは複数の場所で焦点領域が管状の解剖学的組織を取り囲むように選択されることが最も望ましい。
    【0008】
    1つまたは複数のガイド部材は、被検体の体の係合部分を覆う被検体の体の皮膚と係合するようになっていることが好ましい。 ガイド部材は、それらの間で体の一部を受け且つ被検体の体の前記一部をプローブのハウジングに対して所定の位置すなわち振動子に対して所定の位置に維持するようになっている第1および第2の対向するガイド部材を有していることが最も好ましい。 ガイド部材の一方もしくは両方は、ハウジングに対して移動でき、これによって、ガイド部材が互いに接近移動および離間移動して、管状の解剖学的組織を取り囲む組織のひだ等の被検体の体の一部を、ガイド部材間の隙間内で挟持することが最も好ましい。
    【0009】
    特に好ましい構成において、ガイド部材は、ガイド部材およびプローブに対して、この開示内容ではZ方向と称されるほぼ第1の方向に挟持部が突出するように、それらの間の隙間内で体の前記一部を挟持するようになっている。 1つまたは複数の振動子は、ガイド部材間の隙間からZ方向にオフセットする放射面を形成し、放射面がガイド部材間で挟持された体の部分から離間するようになっていることが最も好ましい。 しかしながら、1つまたは複数の振動子は、超音波エネルギがガイド部材間の隙間内で延びる焦点領域すなわち最大強度領域を有するように、ガイド部材に対して配置されていることが望ましい。 また、装置は、放射面とガイド部材間の隙間との間で延びる流体で満たされたバッグ等の柔軟な音波伝達要素を更に備え、柔軟な音波伝達要素が隙間内に保持された体の挟持部の皮膚と係合することが望ましい。
    【0010】
    特に好ましい構成において、放射面は、軸方向すなわちZ方向と直交するY方向に延びる軸を有する円筒状の面からなる扇形の形態をほぼ成している。 ガイド部材は、Y方向およびZ方向と直交するほぼX方向で互いに接近および離間するように移動することができることが望ましい。 振動子は、円筒扇形の軸を有し且つ扇の中央を貫いて延びる中央面または中間面を形成する。 振動子の中間面は、ガイド部材の移動方向と直交するように実質的にY方向およびZ方向に延びるとともに、ガイド部材間の隙間内で延びていることが望ましい。 組織のひだがガイド部材間で挟持されると、振動子の中間面は、ひだの中間面とほぼ位置合わせされる。 更に後述するように、円筒扇状の振動子は、中間面に沿って方向付けられたほぼスラブ状の焦点領域を与える。 焦点領域は、組織のひだ内で加熱が最大となり且つ皮膚表面で加熱が最小になるように、組織のひだ内で効果的に位置合わせされる。
    【0011】
    特に好ましい構成において、少なくとも1つのガイド部材は、互いに離間してそれらの間に空間を形成する第1および第2の要素を有している。 好ましくは、各ガイド部材がそのような離間要素を有している。 流体バッグまたは他の前記音波伝達要素がこれらの空間内へと延び、伝達要素が組織のひだの周囲を取り囲むことが最も好ましい。 このような配置は、振動子からひだの両側へと向かう音波経路を形成する。
    【0012】
    本発明の更なる態様は、哺乳類の被検体の体内で温熱治療を施す方法を提供する。 本発明のこの態様に係る方法は、外因性の超音波造影媒体を被検体の体内に供給する工程を備えていること、すなわち、被検体の体の外側から媒体が導入されることが望ましい。 造影媒体は、媒体の周囲組織の音波伝達特性と異なる音波伝達特性を有している。 超音波造影媒体は、流体と、この流体の音響インピーダンスと異なる音響インピーダンスを有する複数の微粒子、例えばガスで満たされた微小球とを含む音を音波として分散させる媒体であることが最も望ましい。 本発明のこの態様に係る方法は、超音波エネルギを体内に方向付けて、超音波造影媒体の少なくとも一部を取り囲む焦点領域内に超音波エネルギを集束させる工程を更に備えていることが最も好ましい。 超音波エネルギは、媒体中または媒体と媒体の周囲組織との間の界面で優先的に分散されて熱に変換され、媒体の周囲組織を加熱する。 本発明のこの態様に係る方法において、熱効果は、媒体を直ちに取り囲む組織を少なくとも約5℃だけ加熱するようになっていることが望ましく、組織を少なくとも約10℃だけ加熱するようになっていることが最も望ましい。 例えば、超音波エネルギは、例えば組織を約45℃を超える温度まで、更に好ましくは約60℃を超える温度まで加熱することによって、そのような組織の少なくとも幾らかを殺すことができる十分な度合いまで、媒体の周囲組織を加熱しても良い。 超音波造影媒体は、管状の解剖学的組織内に配置されても良く、また、前記超音波エネルギは、そのような管状組織に沿う1つまたは複数の場所で、管状組織の壁を構成する組織を加熱することによって、瘢痕組織を形成して、そのような管状組織を閉塞しても良い。
    【0013】
    本発明のこれらの特徴・利点および他の特徴・利点は、以下に述べられた好ましい実施形態の詳細な説明および添付図面から、更に容易に明らかとなる。
    【0014】
    (発明の実施の形態)
    本発明の一実施形態に係る方法において、体の組織内に配置される管状の解剖学的組織、例えば、孔13の周囲に内面11を有する管状組織は、被検者の組織の外側から被検者の体組織内にエネルギを導くことにより、また、被検者の外側から管状組織の部位12にエネルギを導くことにより、閉塞される。 例えば、前述した国際公開公報に開示されたタイプのHIFUアレー14によってエネルギが与えられても良い。 この公報に詳細に説明されているように、そのようなアレーは、支持体18に装着された1つまたは複数の振動子16を有している。 図示のアレーは、そのような国際公開公報の特定の実施形態で説明されているものと同様のアレーである。 この場合、図1の断面に示されるように、振動子は、ドーム状の球面領域に沿って配置されている。 振動子は制御駆動ユニット20に接続されている。 制御駆動ユニット20は、部位12と一致する焦点位置で波が互いに強まるような適当な位相関係の超音波を各振動子が発生するように、各振動子を励磁するようになっている。 一般に、そのような振動子アレーは、放射する振動子16から組織へとエネルギを有効に伝達するために、で満たされたバッグ22あるいは他のエネルギ伝達媒体とともに使用される。 前述した国際公開公報にも詳細に説明されているように、HIFUアレーは、振動子同士の位相関係を変えることによって、すなわち、アレーの目標点を変えることによって、超音波エネルギビームを所定の方向に向けるように制御されても良い。 また、目標点は、アレーまたは各振動子を物理的に回転させることによって移動することができる。 一般に、振動子アレーの目標点を調整するために、入/出力装置24が制御装置に接続される。
    【0015】
    閉塞される解剖学的組織が、予測できる場所の表面近傍に配置されている場合であって、他の繊細な組織によって取り囲まれていない場合、超音波エネルギの目標点と解剖学的組織との間の相関関係は、手によって、例えば、組織を物理的に触診して、その場所で皮膚にマーキングを施した後、皮膚のマークの位置に適当な関係で振動子アレーを配置することによって、定めることができる。 しかしながら、管状組織が体の深部に配置されている場合には、内部の体組織の画像を使用することによって超音波エネルギを方向付けることが望ましい。 前述した国際公開公報で説明されているように、そのような画像は、磁気共鳴イメージングによって取得されても良く、また、超音波アレーの基準フレームに対して既知の関係を有する基準作動フレームに置き換えられた先に取得されたイメージングデータを含んでいても良い。 これに代え、あるいは、これに加え、超音波イメージング技術を使用して目標点が選択されても良い。 超音波が高い強度で集束される用途で使用されるものと同じ振動子アレーを、組織の画像化におけるイメージング振動子アレーとして使用しても良い。 これに代え、あるいは、これに加え、更なる振動子26をエネルギ供給振動子16とともに設けても良い。 これらの更なる振動子は、従来の超音波イメージング手順を実行して画像データを取得するために使用されても良い。 画像データは、従来の超音波画像復元装置28によって処理されるとともに、ビジュアルディスプレイ30上に通常の形態で表示される。 超音波アレーの目標点では、そのような超音波画像を使用して組織に記録することができる。
    【0016】
    超音波エネルギアプリケータの目標点が解剖学的組織10上の所望部位12に設定されると、HIFU制御・ドライバユニット20は、振動子アレー16を作動させて、部位12の組織を加熱するように超音波エネルギを供給するとともに、管状の解剖学的組織の孔13を取り囲むライニング11内の幾つかの組織もしくは全ての組織を殺す。 これによって、解剖学的組織の孔13を閉塞する瘢痕組織が発達する。 閉塞作用を促進するために、加熱工程中もしくは加熱工程後に皮膚を通じて或は胃腸管の内面を通じて圧力を加え、部位12で解剖学的組織の壁を互いの上で押し潰すことにより、解剖学的組織の周囲の組織を圧縮状態に維持しても良い。
    【0017】
    この処理は、複数の重要な利点を提供する。 管状の組織10はカットされていないため、処理が行なわれる部位12で組織は無傷のままである。 したがって、加熱処理中に周囲組織で損なわれるカット端部が無い。 一般に、部位12における瘢痕組織の閉塞を含む組織の部分を切開した後、切開部分で管状組織を直ちに再接続することによって、処置を無効にすることができる。 また、閉塞処理は、実質的に非侵襲あるいは完全に非侵襲であっても良い。
    【0018】
    前述した原理は、精管切除術に適用することができる。 図2に示されるように、本発明の一実施形態にしたがって精管切除術を行なう装置は、先端部114を形成するハウジング112を有するプローブ110を備えている。 振動子116のアレーは、先端部近傍のハウジング112内に配置されている。 これらの振動子は、電源およびドライバ(図示せず)に接続されたハウジング112内の電気ケーブル118(図3)に接続されている。 振動子は、体表面から深さdに位置する所定の部位120に焦点を有するアレーを成して配置されている。 深さdは、それが陰嚢皮膚の表面下の輸精管の深さとほぼ等しくなるように選択される。 後述するように、振動子のアレーは、同様の焦点を有する1つの湾曲した振動子に取って代えることができる。 プローブの先端部は、振動子116からの超音波放射を被検者の使用組織に導く水126等の伝達媒体が封入された薄膜124を有していても良く、あるいは、この薄膜124で覆われていても良い。 図2に最も良く示されるように、一対のガイド部材130が本体112の先端部114から振動子アレー116の両側に突出している。 これらのガイド部材は、それらの間に略V字形状の開口を形成している。
    【0019】
    本発明の一実施形態に係る精管切除術において、医者は、触診法によって手で輸精管の位置を確認するとともに、輸精管の部分を取り囲む陰嚢組織Sの挟持領域Pを形成する。 医者は、陰嚢の挟持領域をガイド部材間130に係合させて、挟持領域をハウジング112の先端部114上に位置させる。 この位置で、輸精管Vは、先端部114の表面から深さすなわち間隔dの位置に配置される。 この時、医者は、振動子アレーを作動させて、予め選択された量の超音波エネルギを供給する。 系の幾何学的構造によって超音波エネルギが深さdで集束されるため、超音波エネルギは、輸精管の地点に自動的に集束される。 言い換えると、超音波画像、X線画像、MRI画像といった被検者の体内の内部組織の画像を使用することなく、振動子アレーまたは1つの振動子が所定の方向に向けられる。 超音波エネルギは、輸精管に沿った部位で輸精管を覆う組織を殺すとともに、瘢痕組織の形成を引き起こす。
    【0020】
    処理は、従来の外科的精管切除術よりも優れた複数の重要な利点を提供する。 それは非侵襲である。 また、輸精管は無傷のままである。 処置を無効にするために、輸精管を周囲組織から外科的に分離することができる。 超音波アブレーションによって影響を受ける領域を切開することができ、また、その結果生じた端面同士を再結合することができる。 最初の手続きで輸精管はカットされないため、端部が損傷するという問題は生じない。
    【0021】
    前述した特徴に関しては、様々な変形例を使用することができる。 例えば、図5に示されるように、装置は、器具ハウジング112'の先端部114'の近傍で終端する複数の導波管140を組み込んでいても良い。 これらの導波管は、先端部から離れたハウジング内に配置された各振動子116'または別個のユニットにおけるハウジングユニットの外側に配置された各振動子116'に接続されていても良い。 振動子116によって供給される超音波エネルギは、導波管を通じて伝達されるとともに、導波管から伝達媒体126'中に放射される。 例えば、導波管は、先端に保持された伝達媒体126'と連続する水または他の液体伝達媒体で満たされた個々のチューブであっても良い。 この場合、超音波エネルギは、それが導波管から伝達媒体126'へと通過する時に、界面を通過しない。
    【0022】
    本発明の更なる実施形態に係る精管切除装置(図6および図7)は、本体200を有している。 細長い円筒ロッドの形態を成す一対のクランプ部材202がキャリア203に装着されている。 キャリア203は、ハウジング200にスライド可能に装着されており、互いに接近するように且つ互いに離間するように移動することができる。 クランプ部材202は、互いに略平行に延びている。 ネジ形式のクランプ機構204がキャリア203に接続されており、これにより、クランプ機構のノブ206を調整することにより、キャリアおよびクランプ部材202は、クランプ部材202の軸と直交する内側方向Iおよび外側方向Oで、互いに接近するように且つ互いに離間するように移動することができる。 一対のガイド部材208は、ピン210および溝212によって、ハウジング200またはキャリア203に装着されており、内側方向および外側方向に対して斜めの傾斜通路に沿って移動できる。
    【0023】
    また、装置は、1つの皿形状の振動子を組み込んだHIFU部材214を有している。 例えば、HIFUユニットは、強固な皿形状の基材と、基材の内側に配置されたセラミックもしくは高分子の圧電材料とを有していても良い。 HIFU部材214は、この部材から所定の距離に、固定された焦点位置213を有している。 HIFU部材は、本体上に装着されたトリガ215(図6)によって制御されるドライバ(図示せず)に接続されている。 HIFU部材は、送り体216に装着されており、クランプ部材の内側方向Iおよび外側方向Oと直交する内側送り方向CIおよび外側送り方向COに移動することができる。 送り体216の移動は、ネジ調整機構218によって制御される。 送り体216の下端部はガイド部材208を支持しており、これにより、送り体が内側送り方向CI(図7の下方向)に移動すると、ガイド部材は、内側下方に移動して互いに接近する。
    【0024】
    手術時、医者は、陰嚢Sの一部をクランプ部材202間に位置させるとともに、図7に示される位置にクランプ部材を調整し、これによって、輸精管Vを含む陰嚢の挟持領域Pを捕らえる。 その後、医者は、図7に破線208'で示されるようにガイド部材208が陰嚢の挟持領域と係合するまで、内側送り方向で送り体216を調整する。 送り体216、HIFU部材214、ガイド部材208の幾何学的構成は、ガイド部材が陰嚢の表面と挟持領域Pで係合した時に、HIFU部材の焦点が図7に213'で示される輸精管の中心に位置するように選択される。 システムは、輸精管の径の大小、輸精管を覆う皮膚層の厚い薄いといった解剖学的な差異を自動的に補償する。 例えば、皮膚層が厚い場合、輸精管の中心は、クランプ部材202に対して更に若干上側に位置する。 しかしながら、厚い皮膚層は、ガイド部材208を幅広い間隔で捕らえ、送り体216が本体200およびクランプ部材202に対して更に高く上昇するため、結局、焦点は、輸精管の中心に位置することになる。 一般に、装置は、水もしくは他の音響透過媒体で満たされ且つHIFU部材と陰嚢との間に配置されるバルーン(図示せず)とともに使用される。
    【0025】
    精管切除術を行なうための現在好ましい構成に係る装置が図8から図12に示されている。 この装置は、主部302と補部304とを有するハウジング300を備えている。 主部は、一対の要素308、310を有する第1のガイド部材306を備えている。 図11に最も良く示されるように、要素310は、内部に凹314を有する作用縁部312を備えた略板状の構造体である。 作用縁部312は、簡単に参照できるように図8から図12にZ方向として示されるほぼ第1の方向に延びている。 図10、11、12の図面の上部へと向かうZ方向を“+Z”方向または後方向と称し、一方、それと反対の方向を前方向または“−Z”方向と称する。 凹部314は、図8、10、11、12に“+X”方向として示されるZ方向と直交する方向で、作用縁部内へと延びている。 単なる一例において、要素の作用縁部312は、約10mmの長さであっても良く、一方、凹部314は、半径が約2.5mmの略半円であっても良い。
    【0026】
    要素308は、要素310と略同一であり、内部に凹部320(図8)を有する同様の作用縁部318を備えている。 第1のガイド部材306を形成する要素308、310は、前述したX方向およびZ方向と直交するY方向で互いに離間しており、これにより、第1のガイド部材306の要素308、310は、その間に第1の空間322を形成している。 例えば、Y方向での要素308、310間の距離は約12から13mmであっても良い。 しかしながら、要素308、310の作用縁部および凹部は、X方向およびZ方向で互いに位置合わせされている。
    【0027】
    ハウジングの主部302は、ガイド部材306の後方に、チャンバ330(図10)を形成する壁構造体を有している。 チャンバは、ガイド部材に向かって前方に向く一対のアーチ形の振動子支持突起334によって範囲が規定される開口332(図8)を有している。 また、ハウジングの主部302は、チャンバ330の内部に連通する一対の振動子流体冷却ポート336、338および1つのケーブルポート340(図9)とを形成している。 また、ハウジングの主部302は、一対の音響透過流体ポート335、337(図9)と、主部を通じて振動子装着突起334の近傍まで延びるチャンネルとを形成している。
    【0028】
    更に、ハウジングの主部302は、チャンバ330の後方でハウジングを通じてX方向に延びる孔342(図8)と、孔342と一直線を成して主部の残りの部分から−X方向に突出する中空のグリップ部材344とを形成している。 また、ハウジングの主部は、ハウジングの後端部に軸348を有するピボットボス346(図10)を形成している。 言い換えると、軸348は、第1のガイド部材306から+Z方向すなわち後方にオフセットされており、ほぼY方向に延びている。
    【0029】
    ハウジングの補部304は、主部に装着されており、軸348を中心に回動することができる。 補部は、その後端部にピボット孔(図示せず)を有するアーム350を備えている。 この場合、主部のピボットボス346がアーム350のピボット孔内に受けられる。 アーム350は、主部の中空のグリップ部材344を貫通して前方に延びている。 また、補部304は、アームと直交するように突出し且つ主部の孔342を貫通して+X方向に延びるグリップ部材352を有しており、これにより、グリップ部材の端部は、主部302を超えて突出している。
    【0030】
    ハウジングの補部304は、その前端部に、第2のガイド部材356を有している。 第2のガイド部材356は、第1の要素358(図8)と第2の要素360とを有している。 第2のガイド部材356の第1および第2の要素358、360は、平板状の構造体であり、第1のガイド部材306の第1および第2の要素308、310と実質的に鏡像を成している。 例えば、第2のガイド部材の第2の要素360は、ほぼZ方向に延びる作用縁部362と、作用縁部に設けられ且つ要素内へと−X方向に延びる凹部364とを形成している。 第1および第2の要素358、360は、互いにY方向にオフセットされているとともに、それらの間に第2の空間366(図8)を形成している。 図8を参照すれば最も良く分かるように、第2のガイド部材356のガイド要素358、360は、X方向およびZ方向で互いに位置合わせされている。 また、第1の要素358は、その作用縁部に凹部359を形成している。 第2のガイド部材356の第1の要素358は、第1のガイド部材306の第1の要素308とY方向およびZ方向で位置合わせされている。 第2のガイド部材356の第2の要素360は、第1のガイド部材306の第2の要素310とY方向およびZ方向で位置合わせされている。 したがって、第1および第2のガイド部材の要素の凹部は、互いに位置合わせされる。 図8にも示されるように、第1および第2のガイド部材306、356の要素は、振動子装着突起334の前側で、それぞれ−X方向および+X方向に突出している。
    【0031】
    概略的に示されたバネ370(図10)は、ハウジングの主部302と補部304との間に接続されている。 バネは、ピボット軸308を中心とする反時計回りで、補部304を主部302に対して付勢しており、したがって、ハウジングを図8から図10に示される閉位置に向けて付勢している。 しかしながら、術者は、グリップ352、344を係合させてこれらのグリップを互いの方へ握り込むことによって、補部304を主部302に対して移動させて、補部を図10に破線304'で示される開位置に位置させることができる。 ハウジングの部分同士が互いに開位置へと移動すると、第2のガイド部材356が第1のガイド部材306から離れるようにほぼ−X方向に移動する。 グリップ部材が解放されると、補部304が実線で示される閉位置へと戻るように移動し、これにより、第2のガイド部材356が第1のガイド部材306の方に向かってほぼ+X方向に移動する。 閉位置で、ガイド部材を構成する要素の作用縁部は、互いに向かい合って、対向するガイド部材間でY方向およびZ方向に延びる中央面377(図10および図12)を有する隙間Gを形成する。 ガイド部材によって形成される空間322、366はこの隙間Gと連通する。
    【0032】
    また、装置は超音波振動子372を有している。 振動子は、Y方向に延びる軸376を有する円筒扇形の形態をほぼ成す放射面374を有している。 振動子の放射面は、軸376を中心とする内抱θを(図11および図12)を規定している。 精管切除術を行なうようになっている装置の使用において、放射面の半径(放射面と軸376との間の距離)は例えば約20mmであっても良く、また、内抱角θは例えば約2ラジアン(約114°)であっても良い。 振動子の軸方向すなわちY方向の寸法は例えば約10から12mmであっても良い。 振動子は、積層構造で且つ積層体の後面を形成する実質的に強固なバッキングプレート378を有していることが好ましい。 バッキングプレートは、後側導電層として機能するように、厚さが約0.004インチ(0.1mm)のステンレススチール等の導電金属によって形成されても良い。 望ましくはフッ化ビニリデン樹脂もしくはフッ化ビニリデン樹脂−トリフルオロエチレン共重合体によって形成される第1の圧電膜380がバッキンングプレート380の前面と当接する。 この圧電膜の厚さは、所望の共振周波数を与えるように選択される。 例えば、約4MHzの共振周波数を与えるように意図された振動子は、厚さが約28μmの膜380を有していても良い。 適当な圧電高分子膜は、例えば、ペンシルべニア州のノリスタウンにあるメジャメント・スペシャリティ社から市販されている。 薄い中央導電層382が圧電層380の前面を覆っている。 一方、層380と同一の第2の圧電層384が導電層382の前面を覆っている。 導電層382は、プリント回路業界に共通の技術を使用して、圧電層380、384の一方に銅、銀、あるいは他の金属をコーティングして堆積させることによって形成されても良い。 厚さが約0.001インチ(0.25mm)のステンレススチール箔等の前側導線層386が第2の圧電層384の前面を覆っている。
    【0033】
    振動子を構成する様々な層は、まず、平坦層として設けられ、かつ、振動子を所望の半径に変形させるように適当な半径を有する一対の対向する成形品間に一緒に積層されても良い。 積層処理中に、エポキシや他の適当な非導電積層接着剤からなる薄いコーティングが層間に設けられても良い。
    【0034】
    振動子は、積層処理中もしくは積層処理後に、補助的なプリント回路389に取り付けられる。 振動子の前面および後面にある導電層378、386は、プリント回路のローカル・グランド・ノード390に接続されている。 一方、中央導電層382は、ホット・ノードまたはシグナル・ノード394に接続されている。 抵抗器396およびダイオード398は、互いに並列で且つシグナル・ノード394とグランド・ノード390との間でヒューズ392と直列に接続されている。 プリント回路またはプリント回路に接続されたケーブルには、別個の接点を有する外部コネクタ400が設けられている。 前記接点の一方はグランド・ノード390に接続され、他方の接点はシグナル・ノード394に接続されている。
    【0035】
    振動子372は、振動子が開口332を閉じるように且つバッキングプレート378(図12)がチャンバ330内に露出するように、ハウジングの主部302の装着突起334上に装着されている。 プリント回路389は、チャンバ330(図10)の内側に物理的に装着されても良く、また、コネクタ400を外部回路に接近させて接続させることができるように接続ポート340(図9)を貫通して延びていても良い。 振動子372、したがって振動子の軸376は、第1のガイド部材306に対して固定された位置に保持される。 振動子は、各ガイド部材によって形成される空間322、366(図8)とY方向で位置合わせされる。 振動子の軸376は、Y方向に延びるとともに、第1のガイド部材306の要素の凹部314、320および第2のガイド部材356の要素の凹部359、364とZ方向で位置合わせされる。 また、軸は、第1のガイド部材の作用縁部312、318(図11)に隣接して配置され、これにより、軸376は、ガイド部材間の隙間G内に配置される。 振動子は、軸376を有し且つアーチ形の振動子の中心を貫通する軸から径方向に延びて振動子の内抱角θを二等分する中央面もしくは中間面を形成している。 振動子の中間面は、ガイド部材間の隙間の中間面377とほぼ一致している。 すなわち、中間面377はZ方向およびY方向に延びている。 また、振動子は、振動子の軸376と振動子の周縁との間で径方向に延びる端面を形成している。
    【0036】
    また、装置は、振動子372の前面すなわち放射面374を覆う例えば従来のラテックス或は他の膨張性バッグ402のような柔軟なバッグを有している。 図9、10、12に最も良く示されるように、バッグ402は、膨張した状態において、振動子から前方に延びるとともに、第1のガイド部材の要素308、310間に形成された第1の空間322内へと延びている。 同様に、バッグは、膨張した状態において、第2のガイド部材356の要素358、360間に形成された空間366内へと前方に延びている。
    【0037】
    また、装置は、実質的にガスが無い液体源404、例えば脱気水で満たされたバッグを有していることが望ましい。 この液体源は、皮膚の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有していることが望ましい。 この流体源は、柔軟なチューブ406、407により、音響流体ポート335、337(図9)を介してバッグ402の内部に接続されており、これにより、流体は、流体源404とバッグ402の内部との間で連続的に置き換え可能となる。 装置の前述した要素の全ては、予め組み立てられた使い捨て可能な装置として設けられることが望ましい。
    【0038】
    本発明の一形態に係る方法において、前述した使い捨て可能な装置は、使用時、再使用可能なユニットと結合される。 振動子冷却ポート336、338は、例えばこれらのポートに接続された柔軟なチューブによって、再使用可能なユニット内の冷却流体源(図示せず)に接続される。 流体源は、これらのポートおよびチャンバ330を通じて、冷却水等の冷却流体を連続的に循環させ、これにより、冷却流体が振動子372を冷却する。 また、再使用可能なユニットは、チューブ406に結合される蠕動ポンプ(図示せず)または脱気流体を流体源404からバッグ402内に圧送する他の装置を有していることが望ましい。 又、再使用可能なユニットは、バッグ402から流体源404への流体の戻りを規制してバッグ402内の所望の圧力レベルを維持する絞りクランプ(図示せず)をライン407上に有していても良い。 また、再使用可能なユニットは、流体源404内で流体を冷却し或は流体がバッグ402内外で循環する時に流体を冷却する適当な冷却装置(図示せず)を有していても良い。
    【0039】
    プリント回路389の電気コネクタ400は、制御駆動ユニット310に取り付けられた嵌め合いコネクタに接続される。 制御駆動ユニットは、振動子374の共振周波数に対応する周波数の超音波励磁信号を与える従来の超音波ドライバ414を有している。 超音波ドライバ414は、約1MHzから約10MHzの周波数の超音波励磁信号を与えることが望ましく、約4MHzの周波数の超音波励磁信号を与えることが最も望ましい。 また、ユニット410は、コネクタの端子400に現れる駆動周波数の電気信号を検出し且つその信号の振幅を測定するようになっている検出器416を有している。 ドライバ414および検出器416は、従来の電子制御コンピュータ418に接続されており、これにより、制御コンピュータは、所望時間において所望の振幅の駆動信号を加えるようにドライバ418に命令を出すことができるとともに、所望時間に端子400に現れる電気信号を測定してその信号の振幅を報告するように検出気416に命令を出すことができる。 また、再使用可能な電子ユニット410は、DC電流源・抵抗測定ユニット420を有している。 ユニット420は、所定の極性を有する電圧を端子400間に印加し且つ端子を流れる電流をモニタするようになっている。 ユニット420は、制御コンピュータ418によって作動でき且つコンピュータに電流値を伝えることができるように、制御コンピュータ418に接続されている。
    【0040】
    術者がグリップ352、344を係合させてハウジングの補部304を開位置304'(図10)へと移動させると、第2のガイド部材356が第1のガイド部材306から離れるように移動する。 術者は、超音波結合ジェルを、バッグ402に、陰嚢の皮膚に、あるいは、これらの両者に塗布することが望ましい。 超音波結合ジェルは、超音波イメージング技術で一般的に使用される。 そのようなジェルは、皮膚の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有している。 術者は、輸精管を含む患者の陰嚢の皮膚のひだを寄せる。 通常、輸精管は、手による皮膚の触診によって感知することができる。 術者は、第1および第2のガイド部材の作用縁部間の隙間G内にひだFを位置させるとともに、ガイド部材の作用縁部がひだに係合するまで、バネ370の作用下で徐々にガイド部材同士が互いに接近することを許容する。 このプロセスにおいて、術者は、輸精管Vが装置のほぼY方向に延び且つガイド部材を構成する要素の作用縁部の凹部314、322、359、364間に収容されるように、ひだを位置させる。 したがって、ひだFがガイド部材間に挟まれ、輸精管は、ほぼY方向に延びるとともに、振動子の軸376とほぼ一致する。 この状態で、ひだFは、振動子372に向かってほぼ+Z方向に突出する。 また、ひだの中央面が、振動子の中間面377にほぼ位置合わせされる。 ガイド部材は、ひだを把持するとともに、ハウジングすなわち振動子372を皮膚のひだ及び輸精管Vを含む皮膚内の組織に対して略一定の位置に維持する。
    【0041】
    流体源404および関連する再使用可能なユニットの部材は、バッグ402を膨張させるとともに、バッグを通じた冷却脱気流体の流れを一定に維持する。 前述したように、バッグは、ガイド部材によって形成される空間322、366内へと前方に膨張する。 図12を参照すれば最も良く分かるように、バッグ402は、ひだFの周囲で前方(−Z方向)に膨張し、ひだをほぼ取り囲む。 これにより、バッグは、振動子の中間面377の両側でひだに沿って前方に延びる。 また、バッグは、振動子372によって形成される端面379、381の前方すなわち−Z方向に延びている。
    【0042】
    電子ユニット410の制御コンピュータ418は、まず最初に、端子400間にDC電圧を印加するようにDCユニット420に命令を出す。 これにより、ダイオード398に逆バイアスがかかり、ダイオードによって電流の流れが実質的に遮断される。 この状態で、端子を通じた電流の流れは、ほぼ完全に、抵抗器396の電気抵抗の関数となる。 伝えられた電流値または抵抗値は、制御コンピュータにより、所定の許容値のセットと比較される。 抵抗器396の値は、特に使い捨てユニット内の振動子372の1つまたは複数の特性を示している。 好ましくは、抵抗器の値は、振動子の音響変換効率、すなわち、振動子に加えられる電気信号パワーと振動子による音響パワー出力との間の関係を示していることが好ましい。 制御コンピュータは、プロセスの後の工程で振動子に印加される音響駆動信号の値を選択するために、この情報を使用することができる。 したがって、比較的効率が良い振動子に関して、制御コンピュータは、低パワー駆動信号を加えるように音響ドライバに命令を出し、また、比較的効率が悪い振動子に関して、制御コンピュータは、高パワー駆動信号を加えるように音響ドライバに命令を出す。 これにより、異なる使い捨てユニットの様々な振動子間の変異にもかかわらず、振動子によって形成される音響パワーは、実質的に所望の値を有する。 このようにして抵抗器396の抵抗を決定した後、制御コンピュータ418は、端子400間に反対の極性の電圧を印加するようにDCユニット420に命令を出す。 これにより、ダイオード398に順方向のバイアスがかけられ、十分な量の電流がヒューズ392を通じて流れ、ヒューズ392が開かれる。 すなわち、ヒューズが切れる。 これは、ダーオードおよび抵抗器を使用不能にする。
    【0043】
    その後、制御コンピュータは、短い低いパワーの初期モニタリング超音波周波数信号パルスを加えるように音響ドライバ414を作動させる。 このパルスは、振動子372に加えられ、振動子によって対応する初期モニタリング超音波エネルギパルスに変換される。 超音波パルスは、バッグ402内の流体を通じて、ひだFを構成する組織中に伝えられる。 ひだ内の組織からのエコーは、バッグ内の流体を通じて戻り、振動子に衝突する。 振動子に衝突した信号は、端子400に現れる電気信号に再び変換される。 したがって、信号が軸376を往復する伝播時間もしくは滞空時間であって一般的に数十から数百マイクロセカンドに等しい初期モニタリングパルスの終了後の時間t eAで端子400に現れる信号は、軸372の周囲組織からの超音波エコーすなわち輸精管の周囲組織からの超音波エコーを示す。 初期モニタリングパルスの終了後の僅かに短い時間t eSにおけるエコーは、バッグ402とひだFを覆う皮膚との間の海面からの超音波エコーを示している。
    【0044】
    制御コンピュータは、初期モニタリングパルスの終了後に現れる電気信号をモニタするように検出器416を作動させる。 これらの電気信号の振幅は、エコーの振幅を示している。 特に皮膚の界面から戻された信号に対応する時間t eSにおけるそのような戻り信号の指示振幅は、予め選択された閾値を上回る。 これは、バッグ内の流体の超音波インピーダンスおよび組織の超音波インピーダンスとは異なる超音波インピーダンスを有する気泡もしくは他の要素が存在していることを示している。 一般に、これは、バッグと組織との間の界面の気泡を示している。 エコーの振幅がこの閾値を上回ると、制御コンピュータは、動作を終了して、術者に警告信号を発する。 警告信号は、ベル等の人間が知覚できる信号を形成する任意の従来の装置または他の可聴警告装置により、従来のコンピュータスクリーン上に警告光もしくは警告表示を表示することができる。
    【0045】
    エコーの振幅がこの第1の閾値を上回らない場合、制御コンピュータは、輸精管すなわち振動子の軸の周囲組織からのエコーに対応する時間t eAにおける電気信号の振幅を、基準値として記録する。
    【0046】
    その後、制御コンピュータは、検出器の動作を停止させ、第1の加熱もしくは治療超音波エネルギパルスを加えるように音響ドライバ414を作動させる。 ここで、再び、音響ドライバによって形成される電気エネルギは、振動子372によって超音波エネルギに変換され、バッグ内の流体を通じてひだF内へと伝播される。 超音波エネルギは、ほぼY軸に沿って延びる焦点領域Rへと集束する。 焦点領域は、振動子の異なる領域によって放射される超音波エネルギ同士の構造的な干渉によって形成される。 焦点領域は、超音波の強度が所定の量よりも少ない量だけ最大超音波強度と異なる領域として規定される。 好ましくは、焦点領域は、超音波強度が約−6dBのピーク強度内にある領域として規定される。 図11を参照すれば最も良く分かるように、焦点領域は、一般に、振動子の中間面に沿ってY−Z平面内にほぼ位置する平面もしくは矩形の厚板の形態を成している。 すなわち、焦点領域の最も薄い寸法は、X方向である。 焦点領域のY寸法は、振動子それ自身のY寸法に近い。 焦点領域のZ寸法は、一般に、X寸法よりも大きい。 4MHzで駆動する半径が約20mmおよび内抱角θが約2ラジアンの振動子において、焦点領域のZ寸法は1mmのオーダーであり、焦点領域のX寸法は0.3mmから0.4mmのオーダーである。 焦点領域は、振動子の中間面377にほぼ沿って延びるとともに、軸376を取り囲んでいる。 したがって、焦点領域は、振動子の軸376を取り囲み、したがって、輸精管を挟み込む。 加えられた音響エネルギは、輸精管の壁を構成し且つ輸精管の内孔を取り囲む組織を加熱する。
    【0047】
    ひだが略Z方向に突出してY−Z平面内に横たわるスラブの形態を成しているため、また、ひだの中間面または中央面が振動子の中間面377に接近しているため、焦点領域は、ひだの内側に良好に適合する。 言い換えると、焦点領域の境界は、皮膚の表面から離れている。 また、超音波エネルギは、焦点領域内に良好に集束し、これにより、焦点領域の外側で且つ焦点領域の近傍における超音波パワー強度は、焦点領域内のパワーよりも実質的に低くなる。 言い換えると、パワー強度が焦点領域の外側で急激に降下することが望ましい。 集束度の1つの指標は、ここでは「近焦点」領域PFと称する図11および図12に概略的に示される領域の寸法である。 この近焦点領域PFは、焦点領域内のパワー強度よりも低い所定の値よりも大きい或は等しいパワー強度を有する全ての部位を含んでいる。 例えば、この所定の値は、ピークパワー強度よりも低い−10dBであっても良い。 この場合、近焦点領域の外側で、パワー強度は、ピーク強度よりも低い−10dBを超え、したがって、焦点領域Rの境界でのパワー強度を下回る−4dB以上となる。 パワー強度が焦点領域の外側で急激に下降すると、近焦点領域は、ほんの僅かだけ焦点領域よりも大きくなる。 図11および図12に示されるように、近焦点領域PFは組織のひだ内に適合し、これにより、近焦点領域の境界は皮膚の内側に位置する。
    【0048】
    焦点領域および近焦点領域のこのような配置は、皮膚における超音波エネルギの吸収を最小限に抑えるためには非常に望ましいことである。 皮膚は、熱に対して非常に敏感である。 すなわち、皮膚を過度に加熱すると、激しい不快感を引き起こすだけでなく、やけどを引き起こす可能性さえある。 皮膚にとっての許容加熱内で組織を殺すことができる十分な温度まで輸精管または他の目標領域を加熱する能力は、皮膚での超音波パワー損失と目標部位での超音波パワー損失との比に直接に関連付けられる。 任意の場所での超音波パワー損失は、超音波パワー強度とそのような場所での超音波吸収率との積である。 皮膚、および、皮膚とバッグまたは他の音響伝達媒体との間の界面は、一般に、内部組織よりも高い超音波吸収率を有している。 例えば、輸精管の超音波減衰は、1dB/cmのオーダー(1MHzで測定した)であり、一方、人間の陰嚢皮膚(肢体からとった)における比較できる超音波減衰は、2.4dB/cmのオーダーである。 犬の陰嚢皮膚は、約5.5dB/cmの超音波減衰を有している。 また、輸精管または他の精管の特定のケースでは、目標領域が皮膚表面の極近傍に位置している。 この場合、一般に、輸精管は皮膚の内面から約2mmから約6mmの場所に位置しており、皮膚は約1.5mmの厚さである。 したがって、輸精管または他の精管を処置する際には、小さな近焦点領域を設けることが特に望ましい。 近焦点領域は、焦点領域の中心から任意の方向に約2mm以下、望ましくは約1.5mm以下で延びていることが最も望ましい。
    【0049】
    焦点領域および近焦点領域の寸法および形状は、振動子372のf−数および振動子によって放射される超音波の波長に関連付けられる。 f−数は、焦点距離を開口寸法で割ったものである。 円筒状のセグメントの形態を成す振動子の場合、適切なf−数は、振動子の半径をセグメントの弦長で割ったものである。 内抱角θとともに、弦長が増大し、f−数が減少する。 したがって、内抱角が約2ラジアンである円筒状のセグメントの振動子は、f−数が約0.5である。 小さい焦点領域および近焦点領域が望ましい場合、f−数は、実質的に1よりも小さいことが好ましく、約0.75以下であることが更に好ましく、約0.5以下であることが最も好ましい。 数MHz以下の周波数において、焦点領域および近焦点領域の寸法は、波長に比例して変化するとともに、周波数に反比例して変化する。 したがって、小さな焦点領域および近焦点領域を設けるためには、超音波周波数は、約3から5MHzであることが好ましく、4MHzであることが最も好ましい。
    【0050】
    図13は、4MHzで駆動された内抱角が2ラジアンの振動子に関する焦点領域および近焦点領域のコンピュータシミュレーションから得られたプロットである。 等高線は、強度が一定のラインに対応している。 近焦点領域PFは、+Z方向すなわち後方向に、焦点領域の中心から約1.5mmの最大寸法を有している。 また、近焦点領域は、X方向での寸法よりもZ方向での寸法の方が大きい。 すなわち、近焦点領域は、ひだの形状および方向とうまく一致している。 これに対し、内抱角が1ラジアンでf−数が1である別の比較できる振動子は、焦点領域の中心から1cmを超える最大寸法をZ方向に有する近焦点領域を形成する。 そのような振動子は、近焦点領域内の皮膚に配置され、皮膚を加熱することなく輸精管を加熱することが更に困難となる。
    【0051】
    好ましい振動子を用いた場合であっても、皮膚はある程度加熱される。 このような効果は、バッグ402内の流体の冷却効果によって相殺される。
    【0052】
    第1の加熱パルスを加えた後、制御コンピュータ418は、初期モニタリングパルスに関して前述したとほぼ同様の方法で、第1のインプロセスモニタリングパルスを加えるように音響ドライバを駆動させる。 ここで、再び、モニタリングパルスは、皮膚とバッグ402との間の界面、および、軸376に隣接するひだ内の組織によって反射される。 この反射の結果としてのエコーは、振動子372に再び衝突するとともに、前述したとほぼ同じ方法で検出器416によって検知される電気信号に再び変換される。 制御コンピュータは、インプロセスモニタリングパルスに関する時間t eAでのこれら電気信号の値を、対応するエコー時間t eAでの初期モニタリングパルスに関して記録された対応する基準値と比較する。
    【0053】
    インプロセスモニタリングパルスから生じた電気信号に関する値と基準値との差は、温度変化によって生じた焦点領域での組織のエコー発生率を示している。 この差は、焦点領域における加熱効果の尺度として使用することができる。 1つの制御方法においては、1つの設定値と等しい差が所望の加熱量と等しい加熱を示すように、前記設定値が選択される。 この方法において、コンピュータは、差が設定値と等しくなった時に、動作を終了する。 一般に、第1の加熱パルス後に、差が設定値を下回り、したがって、コンピュータは、サイクルを繰り返すようにドライバ414に命令を出す。 これにより、他の加熱パルスが加えられ、その後、更なるインプロセスモニタリングパルスが加えられる。 このような動作のサイクルは、軸376の周囲組織が所望の程度に加熱されるまで続けられる。 一般に、数ワットの超音波パワーを加熱時間全体すなわち数十秒に等しい全加熱パルスの総持続時間にわたって加えると、約60から80℃まで組織を十分に加熱することができ、したがって、輸精管の組織を殺すことができる。
    【0054】
    この制御方法の変形例においては、インプロセスモニタリングパルスに関する時間t eAでの電気信号の値と基準値との差が設定値と等しくなる時に加熱効果が所望の閉塞を形成するために必要な加熱効果を僅かに下回るように、設定値が選択される。 コンピュータは、所定の時間にわたって超音波加熱パルスを連続的に加えるように或は差が設定値に達した後に所定の数の加熱パルスを加えるように命令を出し、その後、加熱プロセスを終了するようになっている。 更に精巧な制御方法においては、加熱パルスを加える前に、1つまたは複数の初期モニタリングパルスを使用して、焦点領域内あるいはその近傍の複数の場所に対応する複数の基準値が、エコー時間の間に取得されるとともに、次のインプロセスモニタリングパルスからの信号に基づいて、同じ方法で、これらの各場所に関して差が決定される。 皮膚からのエコーに対応するエコー時間t eSの間、1つまたは複数の初期モニタリングパルスを使用して、同様の基準値を取得することができる。 インプロセスモニタリングパルスから生じた時間t eSにおける電気信号の値と時間t eSにおける基準値との間の差は、皮膚でのエコー発生率の変化を示している。 所定の最大値を超える差は、皮膚が許容できない程度まで加熱されたことを示している。 制御コンピュータは、この状態が起きると、動作を停止したり、警告信号を発生したり、あるいは、これらの両方を実行するように設定可能である。 あるいは、コンピュータは、次の加熱パルスの印加を遅らせたり、あるいは、次の加熱パルスの強度を低下させても良い。
    【0055】
    プロセスを制御するために、磁気共鳴体温測定法や非侵襲の温度測定法等の他のフィードバク制御形式を使用することができる。 皮膚の温度は、例えばバッグ402等の装置に装着された熱電対によってモニタすることができる。 この場合、熱電対が超音波の伝播を実質的に妨げないことが必要である。 あるいは、フィードバック制御を行なうことなく、オープンループ形態でプロセスを実行することができる。 制御コンピュータは、音響ドライバを駆動させて、加熱パルスとして励磁信号を供給したり、あるいは、所定の1つの時間または複数の時間にわたって励磁信号を連続的に流すようにプログラムすることができる。 このような構成において、制御コンピュータを、単純なタイマーによって、あるいは、ドライバのマニュアル制御によって置き換えることができる。
    【0056】
    組織が所望の程度まで加熱されて、制御コンピュータが音響ドライバおよび検出器の動作を停止したら、コンピュータは、処理が完了した旨の信号を術者に発する。 術者は、グリップ352、344(図10)を握り込んでハウジングの補部304を主部302から離間させ、これによって、ガイド部材306、356を互いに離間させるように移動させて、ひだFを解放することにより、患者から使い捨て可能なユニットを取り外す。 その後、使い捨て可能なユニットは処分される。 前述したように、装置の使用中に、ヒューズ392が自動的に開かれるため、即ち、ヒューザが自動的に切れるため、使い捨て可能なユニットを再使用することはできない。 使い捨て可能なユニットを再使用しょうとすれば、結果として、DCユニット420は、プロセスの開始時に、ほぼ無限の電気抵抗の読み値を制御コンピュータに伝えるようになる。
    【0057】
    前述した特徴の様々な変形および組み合わせを使用することができる。 例えば、図8から図13に関して前述した単一要素重合体振動子を、多重要素振動子に取って代えることができ、あるいは、1つのセラミック振動子または振動子アレーに取って代えることもできる。 また、物理的に湾曲した振動子を、集束レンズを有する等価な平坦振動子によって取って代えることができ、あるいは、所望の集束効果を生じるように位相付けられた信号によって励磁される平坦な振動子アレーによって取って代えることもできる。 また、図6および図7の振動子214および図8から図11の振動子372を、ハウジングの他の領域に配置された複数の振動子または図5に関して前述したようにハウジングから離れて装着された複数の振動子に接続される導波管の出口端部および入口端部を組み込んで成るユニットに取って代えることができる。 振動子がハジングに物理的に装着されているか或は導波管を介してハウジングに接続されているか否かにかかわらず、振動子によって形成される超音波がハウジングの作用領域に供給されるという意味では、振動子はハウジングに作用的に結合されている。
    【0058】
    先に示された特定の機械的構成を変えることが可能である。 例えば、図14に示されるように、本発明の他の実施形態に係る装置は、互いに係合するボス503および溝504によって互いに装着されてピボット軸548を中心に回動可能な第1の部分502(図14に断面で示されている)と第2の部分504とを有するハウジングを備えている。 ハウジング部504は、その前端部に、ガイド部材556を有している。 ガイド部材556は、軸548と平行な方向に互いに離間して空間566を形成する要素558、560を有している。 ハウジング部502は、ピボット軸548と平行な方向に互いに離間してそれらの間に空間522を形成する2つの要素を有する同様なガイド部材506を備えている。 そのような要素の一方508だけが図14の断面に示されている。 ガイド部材556、508は、図8から図12に関して前述したガイド部材306、308と同様である。 ハウジング部材502は、ピボット軸548の後方に突出するハンドル511を有している。 一方、ハウジング部504も同様のハンドル513を有している。 ハンドル部間にはバネ570が配置されている。 術者は、ハンドルによってハウジングを操作できるとともに、2つのハンドルを握り込むことによってガイド部材508、556同士を互いに離間させることができる。 その他の点については、装置は、図8から図12の装置とほぼ同一であり、同様にして使用される。 ここで、再び、円筒扇状の振動子(図示せず)は、振動子の軸576がガイド部材間の隙間G内に延びるように、ハウジングに装着されている。 この実施形態においても同様に、各ガイド部材によって形成された空間内へと音波伝達要素が延びており、これによって、音波伝達要素は、ガイド部材と係合する組織のひだを取り囲む。
    【0059】
    ハウジングおよびガイド部材を動作させるために使用される機械的な構成は、図示の構成の域を越えて更に変化させることができる。 被検体を傷付けることなく且つ超音波を妨げることなく、被検体の体の一部に係合するようにガイド部材同士を互いに対して移動させることができる任意の機械的構成、電気機械的な構成、液圧的な構成、空気力学的な構成を使用することができる。 更なる他の変形例においては、たった1つのガイド部材が設けられるとともに、被検体の体の挟持部が、ガイド部材と係合するように、医者により手で保持される。
    【0060】
    バッグ402等の柔軟なバッグ音波伝達要素の全体もしくは一部を、ゲル状体もしくは適当な音響伝達特性を有する他の変形可能な材料に取って代えることができる。 組織のひだとバッグとの係合を容易にするために、バッグまたは他の音波伝達要素の前方に向く面に、切り欠きを予め形成して設けることができる。 また、バッグが組織のひだを押し出して組織のひだとガイド部材との係合が解除されるような任意の傾向を最小限に抑えるために、バッグを例えばガイド部材の一方もしくは両方といったハウジングの要素に取り付けて、ハウジングまたはガイド部材によってバッグを前方向すなわち−Z方向に移動させないようにすることができる。 図15に示されるように、音波伝達要素は、ポリイミド等の高分子または実質的に非膨張性の他の高分子によって形成される中空のシェル602を有していても良く、また、前方に向く面内に切り欠き603を形成しても良い。 切り欠きを形成するシェルの面は、音響伝達を実質的に妨げないように十分に薄い。 シェルの残りの部分は、肉厚でも良く、あるいは、ガイド部材の一方もしくは両方に対して固定されていても良く、あるいは、ハウジングの他の部分に固定されていても良く、ガイド部材の一方もしくは両方とハウジングの他の部分とに固定されていても良い。 シェルの壁は、ガイド部材の一方または両方と一体であっても良い。 この構成において、シェルの壁は、切り欠き内に向かって潰れることはなく、また、切り欠き内で受けられる組織のひだFを圧迫することもない。 シェルの内側の空間は、水または他の液体もしくは適当な音響インピーダンスを有するゲル媒体で満たされている。 この実施形態における音響伝達媒体は、切り欠き内に配置されてひだFを取り囲む厚いゲル層605を有している。 ゲル605およびシェル内の媒体は、協働して、音響電圧媒体を貫通して振動子672からひだFへと延びてひだを取り囲む連続する超音波経路を形成する。
    【0061】
    更なる変形例(図示せず)において、処置される組織を含む被検体の領域と、振動子およびガイド部材を含む装置の少なくとも一部は、液体もしくはゲルの槽内に浸漬されて、振動子と被検体との間で延びる音響伝達媒体を形成しても良い。 例えば、精管切除術を行なう場合、陰嚢および装置が水中に浸漬されても良い。 皮膚もしくは他の組織表面からの熱伝達を高めるために、槽が冷却されたり攪拌されたりしても良い。 そのような攪拌は、連続的もしくは断続的に成されても良く、また、槽内に気泡を導入しないことが望ましい。 槽は、ひだを取り囲む音響伝達媒体を形成するように、ガイド部材によって形成される空間内に延びていることが望ましい。
    【0062】
    更なる変形例においては、管状の解剖学的組織の長手方向に沿う複数の点で処置を行なうことができる。 例えば、精管切除術の場合、輸精管の壁の2以上の領域を処置するために、図8から図13に関して前述したような振動子が輸精管の軸に沿って移動することができる。 これらの領域は、互いに離間されていても良く、あるいは、互いに重なり合っていても良い。 ハウジングは、解剖学的組織の軸と平行な方向に振動子をガイド部材に対して移動させることができるように設けられていても良い。 図8から図13の振動子のような円筒扇状の振動子の場合、ハウジングは、振動子の軸と平行な方向、すなわち、図8から図12に示されるようなY方向に振動子をガイド部材に対して移動させることができるように設けられていても良い。
    【0063】
    精管切除術を行なうことに関して前述した特徴は、他の精管の処置、例えば副睾丸に適用することもできる。 この特徴は、他の管閉塞処置、例えば皮膚の表面近傍にある血管の閉塞に適用することもできる。 一方、管閉塞処置に関して前述した特徴は、一般に、精管切除術の動作にも適用できる。 更に、前述した特徴は、皮膚の表面近傍にある管状組織以外の体組織の処置に適用できる。 単なる一例としては、精管切除術を行なうために使用される技術と同じ技術によって、皮膚の表面近傍にある病変部を切除することができる。 また、これらの特徴は、皮膚以外の体表面、例えば、胃腸部位、呼吸器部位、性尿器部位、外部環境へと自然に開口する他の空間の内面を通る他の解剖学的組織の処置に適用できる。 この場合、そのような空間内に器具が挿入されるが、この器具は、それ自身、体の外側に残されたままであり、したがって、処置は略非侵襲である。 また、装置は、同様に、外科的に形成された体の開口内に器具が挿入されるような侵襲的な処置で使用することができる。 例えば、外科的に臓器を露出させて、臓器の外面を形成する組織を通じて病変部を加熱することにより、内臓内の病変部または組織を処置することができる。 前述した技術は、皮膚の加熱を最小限に抑えるのとほぼ同じように、臓器の表面への損傷を最小限に抑える。
    【0064】
    管状の解剖学的組織を構成する組織の加熱を高めるために、超音波造影媒体を管状の解剖学的組織中に注入することができる。 造影媒体は、造影媒体中での音速が解剖学的組織中での音速と異なり、好ましくは、そのような組織中での音速よりも低くなるように、選択されても良い。 造影媒体の音響インピーダンスまたは造影媒体の一部の音響インピーダンスは、周辺組織の音響インピーダンスと異なることが望ましい。 媒体の音響インピーダンスは、媒体中の音速と密度との積である。 界面での媒体間の音響インピーダンスの差が大きいと、実質的な反射面が形成される。 これにより、界面に衝突する超音波を含む音波が反射される。 これは、媒体と周辺組織との間の境界で吸収を促進する。 そのような反射造影媒体が管状の解剖学的組織内の孔内に存在する場合には、これは、組織の壁部を構成する組織と媒体との間の界面で吸収を促進する。 例えば、反射性超音波造影媒体として、空気または他のガスを使用することができる。 また、造影媒体は、液体、あるいは、中実プローブもしくはワイヤ等の固体であっても良い。 造影媒体は、分散媒体、すなわち、超音波の分散を引き起こす媒体であることが更に好ましい。 好ましい分散媒体は、基質中もしくは周囲物質中、最も一般的には液体等の流体中で分散する粒子を含んでいる。 粒子は、周辺の基質の音響インピーダンスと異なる音響インピーダンスを有している。 例えば、粒子は、蛋白質の中空な微小球等のガスで満たされた微小球もしくは他の生体適合性材料であっても良い。 この種の微粒子、具体的には、人間の血清アルブミンのシェルによって取り囲まれるガスで満たされた微小球は、商標ALBUNEXとして、カリフォルニア州のサンディエゴにあるモルキュラー・バイオシステムズ社から市販されている。 そのような微粒子は、生理食塩水や他の水溶性の液体といった適当な生体適合性液体の体検査液中に導入される。 あるいは、そのような微粒子は、被検体の体内で自然に生じる体液中に分散されても良い。 更なる変形例において、分散造影媒体は、気泡または他のガスを自然に生じる体液中に導入することにより、あるいは、分散気泡を液中に導入することにより、すなわち、外部源から体内に泡を導入することにより形成することができる。 分散造影媒体は、周囲組織よりも高い超音波吸収率を有しており、これにより、造影媒体を含む体領域へと方向付けられる超音波エネルギは優先的に媒体によって吸収され、媒体は、周辺組織よりも急速に加熱される。 媒体から組織への熱伝達は、組織の加熱に寄与する。
    【0065】
    造影媒体によって与えられる高い吸収性によって、組織の加熱が容易となり、また、媒体の直ぐ近傍の組織は、媒体から離れた組織よりも大きな度合いで加熱されるため、加熱プロセスの選択性を高めることができる。 例えば、造影媒体が管状の解剖学的組織中に設けられる場合、解剖学的組織に衝突する超音波エネルギが解剖学的組織の周囲の他の組織に衝突する超音波エネルギと同じ強度であっても、解剖学的組織の壁は選択的に加熱される。 このように向上された選択性は、例えば、繊細な組織もしくは神経などの敏感な器官の近傍にある組織に温熱治療を施す場合に使用することができる。
    【0066】
    造影媒体は外因性である。 すなわち、造影媒体の少なくとも一部は、体の外側から体内に導入される。 造影媒体は、加熱プロセスの完了直後に、体から回収することができる。 しかしながら、造影媒体が生体適合性のものである場合、造影媒体をその場所に残したままにして体内に吸収させるようにしても良い。 また、管状の解剖学的組織を含まない温熱治療処置に造影媒体を使用しても良い。 例えば、切除される中実の腫瘍または他の中実組織中に造影媒体のボーラスを注入して、ボーラスの周囲組織の除去性能を向上させても良い。 更なる変形例において、造影媒体は、薬剤もしくは他の生物活性物質を含んでいても良く、また、薬剤の作用を可能にするために、温熱治療が使用されても良い。
    【0067】
    また、造影媒体は、超音波イメージング処理を向上させる。 また、造影媒体は、他のイメージング形態において、コントラストを向上させても良い。
    【0068】
    例えば、空気または他のガスは、一般に、低いMRI応答を与える。 したがって、ガスで満たされた粒子または気泡を含む媒体は、低いMRI応答を与えることができる。 これは、周辺組織の性質に応じて、向上されたコントラストを与える場合がある。 ガドリニウムを含む液体等の他の材料は、MRI画像において、明るく且つ明確に識別できるラインを与えることができる。 造影媒体は、キャビテーションの閾値を変更(一般には、低下)する場合がある。 すなわち、被検体内で気泡の形成またはキャビテーションが生じる前に、所定量の音響エネルギが吸収され得る。 一般的な温熱治療処置において、これは不利益であると考えられる。 しかしながら、本発明のこの形態に係る管閉塞処置において、キャビテーションに起因する機械的な損傷は、管状組織を閉塞する瘢痕組織の形成の促進に寄与し得る。 他の例として、造影媒体がキャビテーション閾値を上昇させる場合には、大きな加熱与えて傷を促進するまで、音響エネルギ供給処置を延長することができる。 プロセスのフィードバック制御を与えるため、例えばキャビテーションによって形成される音を検出することにより、キャビテーションを感知することができる。 キャビテーションの発生時に、あるいは、キャビテーション発生後所定時間経過後に、あるいは、キャビテーション発現後に所定量のエネルギが供給された時点で、エネルギ供給を停止するように、プロセス制御を設定することができる。 その他、磁気共鳴体温測定法などの更なる従来のフィードバック形態を使用することができる。
    【0069】
    これらの変形例および他の変形例、前述した特徴の組み合わせを使用することができるため、好ましい実施形態についての先の説明は、本発明を限定するものではなく、本発明の一例として理解するべきである。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】 本発明の一実施形態に係るプロセスで使用される装置を示す概略図である。
    【図2】 本発明の更なる実施形態に係る装置を示す概略斜視図である。
    【図3】 図2の3−3線に沿う断片的な概略断面図である。
    【図4】 被検体の一部に関連付けられた図2および図3に示される装置の断片的な概略図である。
    【図5】 本発明の更なる実施形態に係る装置を示す図3と同様の図である。
    【図6】 本発明の更なる他の実施形態に係る装置を示す斜視図である。
    【図7】 図6に示される装置の正面図である。
    【図8】 本発明の更なる実施形態に係る装置の特定の部材を示す斜視図である。
    【図9】 図8に示される部材の正面図である。
    【図10】 図8および図9に示される部材の更なる正面図である。
    【図11】 被検体の一部に関連付けられた図8から図10に示される装置の一部を示す概略斜視図である。
    【図12】 被検体の一部に関連付けられた図8から図11の装置の別の部分を示す概略部分断面図である。
    【図13】 図8から図12の実施形態における音波焦点領域を示すグラフである。
    【図14】 本発明の更なる実施形態に係る装置の部材を示す概略的な断面斜視図である。
    【図15】 本発明の更なる実施形態に係る装置の一部を示す断片的な断面図である。

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