Denture attachment and a method of manufacturing the same

申请号 JP2005043249 申请日 2005-02-18 公开(公告)号 JP4288505B2 公开(公告)日 2009-07-01
申请人 日立金属株式会社; 发明人 亮 菊地;
摘要
权利要求
  • 永久磁石と、前記永久磁石を収納する とともに開口端付近に拡径部が設けられた凹部を有する耐食性軟磁性材料からなるカップ状ヨークと、前記カップ状ヨークの 前記拡径部に嵌入されたシール板とを有し、前記シール板は、耐食性軟磁性材料からなる板状ヨークと、前記板状ヨークの外周に配設された耐食性非磁性材料からなるシールリングとからなり、少なくとも前記カップ状ヨーク の前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部を固定する複数箇所のスポット溶接部と、前記カップ状ヨーク の前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を覆うように形成された少なくとも1つの全周溶接部により、前記シール板が前記カップ状ヨークに接合され、もって 前記拡径部と前記永久磁石との間に磁気ギャップを設けた状態で前記永久磁石が封止されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 請求項1に記載の義歯アタッチメントにおいて、前記カップ状ヨークの開口端付近の領域は実質的に幅が変わることなく縮径していることを特徴とする義歯アタッチメント
  • 請求項 1又は 2に記載の義歯アタッチメントにおいて、前記拡径部と前記凹部の段差が20〜200μmであることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 請求項 1〜3のいずれかに記載の義歯アタッチメントにおいて、前記スポット溶接部は、前記カップ状ヨーク の前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部に形成されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 請求項1〜4のいずれかに記載の義歯アタッチメントにおいて、前記全周溶接部は、前記カップ状ヨーク の前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部を全周に亘って覆うように形成された第一の溶接部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を全周に亘って覆うように形成された第二の溶接部とからなることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 請求項1〜4のいずれかに記載の義歯アタッチメントにおいて、前記全周溶接部は、前記カップ状ヨーク の前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部とを全周に亘って一体的に覆うように形成されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 請求項1〜6のいずれかに記載の義歯アタッチメントにおいて、前記シール板及び前記カップ状ヨークの表面は接合後に平面加工されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 永久磁石と、前記永久磁石を収納する凹部を有する耐食性軟磁性材料からなるカップ状ヨークと、前記カップ状ヨークの凹部の開口部に嵌入されたシール板とを有し、前記シール板は、耐食性軟磁性材料からなる板状ヨークと、前記板状ヨークの外周に配設された耐食性非磁性材料からなるシールリングとからなり、少なくとも前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を覆うように形成された少なくとも1つの全周溶接部により、前記シール板が前記カップ状ヨークに接合され、もって前記永久磁石が封止されているとともに、前記カップ状ヨークの開口端付近の領域は実質的に幅が変わることなく縮径していることを特徴とする義歯アタッチメント。
  • 耐食性軟磁性材からなるカップ状のヨークの凹部に、永久磁石を収納し、耐食性軟磁性材の板状ヨークとその外周に配設した耐食性非磁性材のシールリングとからなるシール板を前記カップ状ヨークの開口部に嵌入し、 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を一度に固定するように複数箇所でスポット溶接し、前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を覆うように前記カップ状ヨークと前記シール板を全周溶接することを特徴とする義歯アタッチメントの製造方法。
  • 請求項 に記載の義歯アタッチメントの製造方法において、前記全周溶接として、前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部を全周に亘って覆うように第一の溶接部を形成するとともに、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を全周に亘って覆うように第二の溶接部を形成することを特徴とする義歯アタッチメントの製造方法。
  • 請求項 に記載の義歯アタッチメントの製造方法において、前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部とを全周に亘って一体的に覆うように前記全周溶接を行うことを特徴とする義歯アタッチメントの製造方法。
  • 請求項 9〜11のいずれかに記載の義歯アタッチメントの製造方法において、全周溶接後に前記シール板及び前記カップ状ヨークを平面加工することを特徴とする義歯アタッチメントの製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は永久磁石による磁気吸引を利用して義歯を保持する義歯アタッチメント、及びその製造方法に関する。

    特許文献1には、図24及び25に示すように、内部に永久磁石402を有するとともに義歯床420に埋め込まれた義歯アタッチメント400と、歯槽421に埋設された根面板422に設置された軟磁性キーパ423とを有し、永久磁石402とキーパ423との磁気吸引力により根面板422に保持される義歯430が開示されている。 義歯アタッチメント400は、軟磁性ステンレス鋼製のカップ状ヨーク401の開口部に軟磁性ステンレス鋼製のシール円板414と非磁性ステンレス鋼製のシールリング415とが同心状に配置され、シール円板414とシールリング415の間及びシールリング415とカップ状ヨーク401の間が全周溶接されて永久磁石402が密封された構造を有する。 義歯アタッチメント400は、人体に対し無害であること、長期間化学的に安定であること、吸着力が大きいこと等の要求を満足することができる。

    図25に示す磁気アタッチメント400には、このような構造のため、溶接前には、カップ状ヨーク401とシールリング415との間には加工寸法のバラツキにより若干の隙間がある。 カップ状ヨーク401とシールリング415の溶接では、両者の溶融した金属が混合されて隙間が埋められる。 しかし磁気アタッチメント400では、この隙間を一方向に順に溶融金属で埋めるように周回溶接を行うので、シールリング415は溶融金属が冷却する際に引っ張られ、溶接部が収縮するとともに未溶接部の隙間が拡大し、もってシール円板414が大きく傾くという問題があることが分った。 周回溶接中にシール円板414が傾くと、シール円板414とカップ状ヨーク401の隙間が拡大されるだけでなく、未溶接部が浮き上がり、両者間に段差が生じる。 その結果、溶融の範囲及び深さ等が一定しない溶接部が形成される。 これにより接合強度が弱くなったり、密封性が不十分となったりし、製造歩留まりが低下する。

    特許文献2には、図26に示す構造の義歯アタッチメントが開示されている。 図26の義歯アタッチメント500は、磁石体502と、磁石体502を収納する凹所を有する軟磁性カップ状ヨーク501と、磁石体502を封入するようにカップ状ヨーク501の開口部に嵌合されたシール板503とからなり、シール板503は軟磁性板状ヨーク504と、その外周にクラッド接合された非磁性シールリング505とからなり、板状ヨーク504と非磁性シールリング505とカップ状ヨーク501との間は少なくもその表面側が一体的に溶接されている。

    図26に示す磁気アタッチメント500では、シール板503がカップ状ヨーク501の開口部に圧入されており、周回溶接中にシール板503が傾くおそれはないが、数mm程度の直径の義歯アタッチメント500の組立の際にカップ状ヨーク501の開口部に板状ヨーク504を完全に平に圧入するのは困難であり、通常は圧入された板状ヨーク504が僅かに傾斜したままカップ状ヨーク501に溶接されることになる。 その結果、やはり溶融の範囲及び深さ等が一定しない溶接部が形成されるという問題が生じる。 その上、小さなカップ状ヨーク501内にやはり小さな板状ヨーク504を圧入する作業は精密な制御が必要であり、自動化が困難であるだけでなく、面倒なために生産性が低い。

    特開平4-227253号公報

    特開平11-137576号公報

    従って本発明の目的は、カップ状ヨークの凹部が優れた溶接品質で密封され、磁気吸着力が高く、耐食性が良好な義歯アタッチメントを提供することである。

    本発明のもう一つの目的は、かかる義歯アタッチメントを高い生産歩留まりで製造する方法を提供することである。

    本発明の一実施形態による義歯アタッチメントは、永久磁石と、前記永久磁石を収納するとともに開口端付近に拡径部が設けられた凹部を有する耐食性軟磁性材料からなるカップ状ヨークと、前記カップ状ヨークの前記拡径部に嵌入されたシール板とを有し、前記シール板は、耐食性軟磁性材料からなる板状ヨークと、前記板状ヨークの外周に配設された耐食性非磁性材料からなるシールリングとからなり、少なくとも前記カップ状ヨークの前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部を固定する複数箇所のスポット溶接部と、前記カップ状ヨークの前記拡径部と前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を覆うように形成された少なくとも1つの全周溶接部により、前記シール板が前記カップ状ヨークに接合され、もって前記拡径部と前記永久磁石との間に磁気ギャップを設けた状態で前記永久磁石が封止されていることを特徴とする。

    前記カップ状ヨークの開口端付近の領域は実質的に幅が変わることなく縮径しているのが好ましい 。 実用上前記拡径部と前記凹部の段差は20〜200μmであるのが好ましい。

    本発明の別の実施形態による義歯アタッチメントは、永久磁石と、前記永久磁石を収納する凹部を有する耐食性軟磁性材料からなるカップ状ヨークと、前記カップ状ヨークの凹部の開口部に嵌入されたシール板とを有し、前記シール板は、耐食性軟磁性材料からなる板状ヨークと、前記板状ヨークの外周に配設された耐食性非磁性材料からなるシールリングとからなり、少なくとも前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を覆うように形成された少なくとも1つの全周溶接部により、前記シール板が前記カップ状ヨークに接合され、もって前記永久磁石が封止されているとともに、前記カップ状ヨークの前記開口端付近の領域は実質的に幅が変わることなく縮径していることを特徴とする。

    前記スポット溶接部は、(a) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部のみか、(b) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部との両方に形成されているのが好ましい。 前記スポット溶接部はほぼ等間隔であるのが好ましい。

    前記全周溶接部は、(a) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部を全周に亘って覆うように形成された第一の溶接部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を全周に亘って覆うように形成された第二の溶接部とからなるか、(b) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部とを全周に亘って覆う一体的溶接部であるのが好ましい。

    前記シール板及び前記カップ状ヨークの表面は全周溶接後に平面加工されているのが好ましい。

    本発明の義歯アタッチメントの製造方法は、耐食性軟磁性材からなるカップ状のヨークの凹部に、永久磁石を収納し、耐食性軟磁性材の板状ヨークとその外周に配設した耐食性非磁性材のシールリングとからなるシール板を前記カップ状ヨークの開口部に嵌入し、 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を一度に固定するように複数箇所でスポット溶接し、前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部及び前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を覆うように前記カップ状ヨークと前記シール板を全周溶接することを特徴とする。

    (a) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部のみを固定するか、(b) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部とを一度に固定するように、前記スポット溶接を複数箇所で行なうのが好ましい。

    (a) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部を全周に亘って覆う第一の溶接部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部を全周に亘って覆う第二の溶接部とを形成するか、(b) 前記カップ状ヨークと前記シールリングの突き合わせ部と、前記シールリングと前記板状ヨークの突き合わせ部とを全周に亘って一体的に覆うように、前記全周溶接を行うのが好ましい。

    全周溶接後に、前記シール板及び前記カップ状ヨークを平面加工するのが好ましい。

    本発明によれば、シール板をカップ状ヨークの凹部の開口部にゆるく嵌入し、スポット溶接によりシール板とカップ状ヨークを仮止め後に全周溶接を行っているので、シール板は表面が傾くことなくカップ状ヨーク表面とほぼ平行に溶接され、カップ状ヨークとシール板の溶接部は、溶融部形状、溶融量、融け込み深さが全周に亘ってほぼ均一な安定した品質になる。 従って、溶接面を平面加工した後に溶接部が局部的に浅くなったり、貫通孔が生じたりして密封性が低下することはない。 そのため、本発明の義歯アタッチメントは、カップ状ヨークの開口端付近の領域が縮径した外観を呈し、磁気吸着力が高く、耐食性が良好で耐久性に富み、安価に小型化かつ薄型化することができる。

    本発明の義歯アタッチメントを添付図面を参照して以下詳細に説明するが、一桁目の数字が同じ参照番号を有する部位は基本的に各実施形態に共通するものであるので、最初の実施形態の説明だけに止め、以降の実施形態では詳細な説明を省略する。

    図1及び2は、本発明の第一の実施形態による義歯アタッチメントを示す。 この義歯アタッチメントは、基本構造が図25のものと同じであり、円形断面の凹部が形成された軟磁性材料からなるカップ状ヨーク1と、それに収納される永久磁石2と、凹部1'の開口部に嵌入されたシール板3とからなる。 シール板3は、永久磁石2を凹部1'内に封止するとともに、磁気回路を形成する部材であり、軟磁性材料からなる円形の板状ヨーク4と、その外周に装着された同一幅の非磁性材料からなるシールリング5で構成されている。 なおカップ状ヨーク1及びシール板3の外形は円形に限らず、楕円形でも四形等の多角形でも良い。

    本発明では、カップ状ヨーク及び板状ヨークには耐食性軟磁性ステンレス鋼(例えばSUS447J1、SUSXM27、SUS444等)を用いるのが好ましい。 またシールリングには耐食性非磁性ステンレス鋼(例えばSUS316L)を用いるのが好ましい。

    義歯アタッチメントの組立効率を上げるために、シール板3は、板状ヨーク4となるべき軟磁性材料の丸棒にシールリング5となるべき非磁性材料の円筒材を嵌め、引抜き加工したものを所定厚さにスライスすることにより形成するのが好ましい。 スライスにより得たシール板に還元性雰囲気中で600〜880℃で0.5〜10時間、好ましくは700〜850℃で1〜8時間熱処理を行い、室温まで冷却する。 熱処理条件が600℃×0.5時間未満では板状ヨーク4とシールリング5との間に全く接合が起こらず、また880℃×0.5時間超の熱処理では板状ヨーク4とシールリング5との界面が融合し、後述の比較例3に示すように得られる義歯アタッチメントの磁気吸引力が低い。 前記熱処理により、板状ヨーク4となるべき円板体とシールリング5となるべき円筒材が弱く(軽く)接合される。 用語「弱い(軽い)接合」は、円板体と円筒材の接合界面における溶融部の面積率が10%以下、特に5%以下であることを意味する。 なお、前記条件の熱処理をスライス前にしても良い。

    シール板3とカップ状ヨーク1とは別個に製造するので、必然的に嵌め合い寸法にバラツキがでる。 そこで従来の義歯アタッチメントのようにシール板3をカップ状ヨーク1に圧入する代わりに、シール板3の外径をカップ状ヨーク1の内径より僅かに小さく設定すると、シール板3をカップ状ヨーク1の開口部に容易に嵌入できるので好ましい。 溶接による密封を確実にするために、シール板3とカップ状ヨーク1との隙間xは10 〜 60μmにするのが好ましい。 図1(b) に示すように、隙間xは(カップ状ヨーク1の内径)−(シール板3の外径)である。

    図1(b) に示すように、シール板3は、カップ状ヨーク1の凹部1'に収納された永久磁石2の上面に密着するように凹部1'に嵌入される。 そのとき、シール板3の上面はカップ状ヨーク1の上面とほぼ一致する。 シール板3とカップ状ヨーク1はレーザ又は電子ビームで溶接され、内部の永久磁石2はヨーク内に密封され外部と封止されている。 溶接部は、シール板3とカップ状ヨーク1の突き合わせ部を覆うように複数箇所設けられたスポット溶接部6と、カップ状ヨーク1とシールリング5の突き合わせ部及びシールリング5と板状ヨーク4の突き合わせ部を覆うように形成された全周溶接部7とからなる。

    スポット溶接部6は、レーザ光をスポット的に照射することにより溶融凝固させた(溶接した)部分である。 この際レーザ光は僅かであれば移動させても良い。 第一の実施形態では、レーザスポット径はシールリング5を挟むカップ状ヨーク1及び板状ヨーク4の一部をカバーしている。 そのため、スポット溶接部6により、板状ヨーク4はカップ状ヨーク1に一体的に固定される。 しかしこれは必須要件ではなく、シールリング5と板状ヨーク4とが引き抜き加工で強固に固定されている場合、少なくともカップ状ヨーク1とシールリング5の突き合わせ部がスポット溶接部6により固定されていれば良い。 スポット溶接部6はシール板3の中心軸に対してほぼ等間隔に(点対称に)複数箇所(例えば2〜8箇所)設けられているのが好ましい。 図示の例では、スポット溶接部6は4個のスポット溶接部6a〜6dからなる。

    本実施形態では、図1(c)に示すように、全周溶接部7は、カップ状ヨーク1とシールリング5の突き合わせ部と、シールリング5と板状ヨーク4の突き合わせ部とを全周に亘って一体的に覆うように形成されている。 一体的な全周溶接部7は、シールリング5の幅が例えばスポット径の1/2以下のように狭い場合に好適である。 この一体的な全周溶接部7は、シールリング5を挟んでカップ状ヨーク1と板状ヨーク4に同時にレーザ光を照射することにより形成される。

    カップ状ヨーク1は凹部1'の底面付近から開口端付近まで同じ幅wを有する。 図1(c)に示す全周溶接後の義歯アタッチメントでは、カップ状ヨーク1の凹部1'の底面付近の外径Dobに対して凹部1'の開口端付近の外径Dou'が縮小している(Dob>Dou')。 なお図1(d) に示すように、平面加工後は、外径Dou'はDouになる。

    開口端付近の外径が縮小する現象は以下の理由により生じると考えられる。 スポット溶接による仮止めでカップ状ヨーク1とシールリング5を固定した時点ではカップ状ヨーク1の凹部開口端近傍の外径は縮小していない。 これは、スポット溶接部6a〜6dが溶融後凝固する時点で溶接部に縮もうとする力が発生するが、スポット溶接部6a〜6dの体積が小さいので、カップ状ヨーク1を引き寄せるには至らないからである。 全周溶接を開始すると、溶融された突き合わせ部(溶接部)は凝固して縮もうとするので、カップ状ヨーク1とシールリング5を溶接部に引っ張る力が働く。 このとき、シールリング5は、カップ状ヨーク1の溶融されていない側にスポット溶接部を介して固定されているので、溶接部に引っ張られても変形することはない。 他方、カップ状ヨーク1は外周を固定されていないので溶接部に引っ張られ、少しずつ変形していく。 レーザ照射の位置を周方向にずらしながら全周溶接を行っていくと、カップ状ヨーク1の開口端近傍は溶接部側に少しずつ引き寄せられていき、全周を溶接した段階でほぼ均一に縮小することになる。 なお、スポット溶接による仮止めを行わないで全周溶接を行うと、固定されていないシールリングは溶接部に強く引き寄せられ、シール板が大きく浮き上がる。

    図1(d)に示すように、シール板3とカップ状ヨーク1の溶接面は研磨等により平面加工されている。 平面加工により溶接部の局部的な凹凸は除去され、平滑な面9が形成される。 義歯アタッチメントの平滑面9は歯槽に埋設した根面板と良く密接するので、磁束の乱れがない。 その結果、本発明の義歯アタッチメントを装着した義歯は歯槽に強固に保持される。

    図2は図1(a)の義歯アタッチメントの製造工程を示す。 まず軟磁性カップ状ヨーク1の円形断面の凹部1'に永久磁石2を収納し、凹部1'の開口部にシール板3を嵌入する。 傾斜した押え部材3aの先端部をシール板3のほぼ中央に当て、シール板3を固定する[工程(a)]。 この状態で、カップ状ヨーク1とシールリング5の突き合わせ部1aと、シールリング5と板状ヨーク4の突き合わせ部4aとを覆うように、複数箇所のスポット溶接を6a→6b→6c→6dの順に行う[工程(b)]。 レーザ照射装置3bを用いて、このように対角線上の点6a→6b→6c→6dの順序でスポット溶接することにより、溶融金属が冷却凝固する時にシール板3が受ける収縮力を小さく、かつバランスさせることができ、もって従来技術のようなシール板3の浮き上がりを防止することができる。 得られたスポット溶接部6a〜6dにより、シール板3はカップ状ヨーク1に強固に固定される。

    シール板3として、引抜き加工で板状ヨーク4とシールリング5を一体化した後、熱処理等により接合部を融着させてなるものを使用する場合、スポット溶接は、シールリング5とカップ状ヨーク1との突き合わせ部1aにだけ行っても良い。

    押え部材3aを取り除いた後[工程(c)]、カップ状ヨーク1とシールリング5の突き合わせ部1aと、シールリング5と板状ヨーク4の突き合わせ部4aとを覆うスポット径のレーザ光を連続的又は断続的に照射し、全周溶接部7を形成する[工程(d)]。 シール板3はカップ状ヨーク1にほぼ等間隔で固定されているので、全周溶接の際シール板3がずれることなく、安定した溶接条件で均一な全周溶接部7を得ることができる。 溶融部形状、溶融量、融け込み深さが全周に亘ってほぼ均一な溶接ビードにより、カップ状ヨーク1の開口部は完全に密封され、永久磁石2は外部から気密に遮断される。 全周溶接用レーザ光をスポット溶接用レーザ光と同じスポット径とするのが好ましい。 図3(a) は全周溶接後のカップ状ヨーク1及びシール板3の表面状態を示し、図3(b) はその断面を示す。 この例ではスポット溶接部6a〜6dは全周溶接部7に隠されるが、符号7'のスポットは全周溶接部の末端である。

    溶接が完了したカップ状ヨーク1を平面研磨機にセットし、カップ状ヨーク1及びシール板3の溶接面を所定の深さδに平面加工(研磨)する[工程(e)]。 切り込み深さδは、カップ状ヨーク1とシール板3が同一高さになるとともに、全周溶接部7の凹凸が残らないように、10μm〜100μm程度、好ましくは40μm〜60μmとするのがよい。 δが10μm未満では表面に凹凸が残る。 、一方δが100μm超では、溶接部の体積が過小になり溶接強度が低下してしまう。 シール板3は傾くことなくカップ状ヨーク1にほぼ平行に溶接されるので、平面加工後も溶融部形状、溶融量及び融け込み深さは全周に亘ってほぼ均一であり、溶融部が局部的に浅くなったり貫通孔が生じたりして密封性が低下することはない。

    溶接部の非磁性相(オーステナイト相)を安定化するとともに、磁気アタッチメントに組み込んだ永久磁石の機械的な歪等により劣化した磁力を回復させる目的で、平面加工後に熱処理を行うのが好ましい。 この熱処理は、不活性ガス雰囲気中で、600〜1100℃×0.5〜10時間、好ましくは700〜900℃×1〜5時間加熱後、室温まで冷却する条件が好ましい。 熱処理条件が600℃×0.5時間未満では熱処理の効果が不十分であり、また1100℃×10時間超では永久磁石の結晶粒の粗大化や再焼結により磁力が大きく低下し、またカップ状ヨーク及びシール板の熱変形が無視できなくなる。 最後に着磁して本発明の義歯アタッチメントが得られる。

    図1(c) に示すように、カップ状ヨーク1とシール板3との隙間xのために、全周溶接した後、カップ状ヨーク1は内側に僅かに変形する。 スポット溶接によりシール板3をカップ状ヨーク1に固定し、さらに全周溶接を行っているので変形は周方向でほぼ均一に生じる。 この変形量z'は隙間xのほぼ半分である。 これは、カップ状ヨーク1の内側への変形量は直径方向両端でz'ずつあるので、全体では2z'となるからである。 例えば平面加工によりシール板3が約20%薄くなる場合、平面加工後の変形量zはz'の約80%となる。 一般に変形量zは10〜40μm程度である。

    図4(a) 及び4(b) は本発明の第二の実施形態による義歯アタッチメントを示し、図5はその製造工程を示す。 この実施形態では、カップ状ヨーク21とシールリング25の第一の突き合わせ部21aを覆うスポット溶接部26e,26g,26i,26kと、シールリング25と板状ヨーク24の第二の突き合わせ部24aとを覆うスポット溶接部26f,26h,26j,26lを形成するとともに、第一の突き合わせ部21a及び第二の突き合わせ部24aに個別に第一の全周溶接部27a及び第二の全周溶接部27bを形成する。 隣接するスポット溶接部26e及び26f,26g及び26h,26i及び26j,及び26k及び26lは重ならず、また第一の全周溶接部27a及び第二の全周溶接部27bも重ならない。 第一の全周溶接部27aと第二の全周溶接部27bとの間に非磁性シールリング25が露出しているので、カップ状ヨーク21と板状ヨーク24との間の磁束の短絡を効果的に防止することができる。

    第二の実施形態の義歯アタッチメントの製造方法は、スポット溶接部26e〜26l及び全周溶接部27a及び27bを個別に形成する以外、第一の実施形態と同様にする。

    図6(a) 及び6(b) は本発明の第三の実施形態による義歯アタッチメントを示し、図7はその製造工程を示す。 この実施形態の義歯アタッチメントは、カップ状ヨーク31とシールリング35の第一の突き合わせ部31aを覆うスポット溶接部36e,36g,36i,36kと、シールリング35と板状ヨーク34の第二の突き合わせ部34aとを覆うスポット溶接部36f,36h,36j,36lを有するとともに、第一の突き合わせ部31a及び第二の突き合わせ部34aに個別に第一の全周溶接部37a及び第二の全周溶接部37bを有する点では第二の実施形態のものと同じであるが、隣接するスポット溶接部36e及び36f,36g及び36h,36i及び36j,及び36k及び36lが重なり、また第一の全周溶接部37a及び第二の全周溶接部37bも重なる点で、第二の実施形態のものと異なる。 例えば、符号36mはスポット溶接部36k及び36lが重なる部分であり、符号37cは第一の全周溶接部37a及び第二の全周溶接部37bが重なる部分である。 図6(a) に点線で示すように、第一の全周溶接部37aと第二の全周溶接部37bとの重なり部はシールリング35のほぼ中央部にあるが、カップ状ヨーク31や板状ヨーク34の軟磁性材料がほとんど混入しないので、磁気回路上特に問題にならない。 また上記重なり部は平面加工によりほとんど除去される。

    図8(a) 及び8(b) は本発明の第四の実施形態による義歯アタッチメントを示す。 この実施形態の義歯アタッチメントは、カップ状ヨーク41とシールリング45の第一の突き合わせ部と、シールリング45と板状ヨーク44の第二の突き合わせ部とを覆うスポット溶接部46a〜46dを有するとともに、第一の突き合わせ部及び第二の突き合わせ部に個別に第一の全周溶接部47a及び第二の全周溶接部47bを有する。 スポット溶接部46a〜46dは第一の実施形態と同様に形成し、第一の全周溶接部47a及び第二の全周溶接部47bは第三の実施形態と同様に形成する。

    図9(a) 及び9(b) は本発明の第五の実施形態による義歯アタッチメントを示す。 この実施形態の義歯アタッチメントは、シール板53の板状ヨーク54とシールリング55の間にNiメッキ層54bが設けられている以外、第一の実施形態のものと同じである。 Niメッキ層54bを例えば15μmの厚さとすると、シール板53はその分だけ半径寸法を小さくする。 Niメッキ層54bがシール板53の軟磁性材料と溶融混合すると、非磁性合金に変わるので、板状ヨーク54とカップ状ヨーク51との間の磁束の漏洩を効果的に防止することができる。

    図10は本発明の第六の実施形態による義歯アタッチメントを示す。 この実施形態の義歯アタッチメントは、拡径部61cを有するカップ状ヨーク61を有することを特徴とする。 これ以外の点は第二の実施形態の義歯アタッチメントと同様にする。 板状ヨーク64とカップ状ヨーク61との間の磁束の漏洩を効果的に防止する磁気ギャップとして作用ために、拡径部61cの半径方向深さ(w−w 1 )は20〜200μm程度であるのが好ましい。 また拡径部61cの高さh(カップ状ヨーク61の上端面と段差61dの下端部との距離)は200〜400μm程度であるのが好ましい。 段差61dの傾斜角(水平線との角度)は0〜60°であるのが好ましい。 図10の磁気アタッチメントでは、カップ状ヨーク61の凹部拡径部61cの開口端付近の領域は実質的に幅が変わることなく縮径している(凹部の底部付近の領域より外径が小さくなっている)のが外観上の特徴である。

    この実施形態の場合、磁束の漏洩の効果的な防止のために、シールリング65の内端部は永久磁石62の側面より内側に位置しているのが好ましい。 従って、シールリング65の厚さは40〜400μm程度であるのが好ましい。

    本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。 なお各実施例及び各比較例において、カップ状ヨーク及び円板状ヨークを耐食性軟磁性ステンレス鋼SUS447J1(飽和磁化Bs:1.28 T)により形成し、シールリングを耐食性非磁性ステンレス鋼SUS316Lにより形成し、円板状永久磁石をNd-Fe-B系異方性焼結磁石(株式会社NEOMAX製NMX-48CH、残留磁束密度Br:1.35 T、最大エネルギー積(BH)max:366 kJ/m 3 )により形成した。 また永久磁石の寸法は外径2.55 mm×高さ0.4 mmであった。

    実施例1
    表1に示すサイズのカップ状ヨーク及びシール板を使用した。 このシール板は円板状ヨーク用の丸棒にシールリングとなるべき円筒材を嵌め、引抜き加工したものを厚さ0.2 mmにスライスした後、還元性雰囲気中で800℃で熱処理し、室温まで冷却したものである。 得られたシール板は円板状ヨークの外周にシールドリングが弱く接合したものであった。 図1(b) に示すように組み立て、表2に示すように直径2.4 mmの円周(図1(a)の点Oを中心とする)に沿って90°の等角度間隔で0.5 mmのスポット径のレーザ光によりスポット溶接による仮止めを行い、次いで同じ直径2.4 mmの円周に沿って0.5 mmのスポット径のレーザ光により全周溶接を行った[図1(c)]。 図1(c)に示すように、溶接直後のカップ状ヨーク1はz'だけ開口部が縮径していた。 これは、カップ状ヨーク1とシール板3との隙間xを埋める方向にカップ状ヨーク1の開口端付近の領域が変形したためである。 最後に0.05 mmの深さδまでラップ研磨して、溶接面を最大面粗さRmaxが1μm以下となるように仕上げ、図1(a) 及び(d) に示す義歯アタッチメントを作製した。 平面加工後の溶接部の深さは0.1 mmと均一であった。 平面研磨後800℃のアルゴン雰囲気中で1時間熱処理した。 カップ状ヨーク1の開口部外径の縮小量は平面研磨後はz(表3中の値)に減少した[図1(d)]。 図1(d)に示すように、平面研磨後に磁気アタッチメントを着磁した。

    得られた義歯アタッチメントについて、カップ状ヨーク1とシールリング5との間のバリの有無、カップ状ヨーク1の外径のばらつき及び減少量z、シール板3の浮き上がり量t、及び磁気吸引力を測定した。 測定結果を表3に示す。

    磁気吸引力の測定には、図23に示す装置を用いた。 この測定装置は、義歯アタッチメント90を固定するチャック93と、チャック93にアダプタ94を介して接続するデジタルフォースゲージ95と、デジタルフォースゲージ95を動かす微動装置96と、微動装置96を支持するスタンド97と、キーパ91を支持するようにスタンド97に固定された支持部材92とを具備する。 チャック93に固定した義歯アタッチメント90と支持部材92に固定したキーパ91とを吸着させた状態で、微動装置96を徐々に上昇させ、義歯アタッチメント90がキーパ91から離れたときのデジタルフォースゲージ95の値を読み取った。 なお10個の義歯アタッチメント90について磁気吸引力の測定を行い、得られた値の平均値を磁気吸引力とした。

    実施例2〜6
    表1に示すサイズのカップ状ヨーク及びシール板(シール板はいずれも実施例1と同様に円板状ヨークの外周にシールドリングが弱く接合されたものであった。)を使用し、図5に示すように組み立て、表2に示すようにカップ状ヨーク21とシールリング25の突き合わせ部を覆うように直径2.6 mmの円周(図5(a)の点Oを中心とする)に沿って90°の等角度間隔で0.2 mmのスポット径のレーザ光により第一のスポット溶接をするとともに、シールリング25と板状ヨーク24の突き合わせ部を覆うように直径2.2 mmの円周(図5(a)の点Oを中心とする)に沿って90°の等角度間隔で0.2 mmのスポット径のレーザ光により第二のスポット溶接を行い、シール板23のカップ状ヨーク21への仮止めをした。 次いで第一のスポット溶接の円周と同じ直径2.6 mmの円周に沿って0.2 mmのスポット径のレーザ光により第一の全周溶接を行うとともに、第二のスポット溶接の円周と同じ直径2.2 mmの円周に沿って0.2 mmのスポット径のレーザ光により第二の全周溶接を行った[図5(d)]。 最後に0.05 mmの深さδ 2まで研磨して溶接面を平坦化し、図4(a) 及び(b) に示す義歯アタッチメントを作製した。 得られた義歯アタッチメントについて、実施例1と同様にして、カップ状ヨーク21とシールリング25との間のバリの有無、カップ状ヨーク21の外径のばらつき及び減少量z、シール板23の浮き上がり量t、及び磁気吸引力を測定した。 測定結果を表3に示す。

    実施例7
    表2に示すようにスポット溶接及び全周溶接用のレーザ光のスポット径をそれぞれ0.3 mmとした以外実施例2と同様にして、図6に示す義歯アタッチメントを作製し、特性を測定した。 測定結果を表3に示す。

    実施例8
    表2に示すように実施例7と同様に全周溶接をした以外実施例1と同様にして、図8に示す義歯アタッチメントを作製し、特性を測定した。 測定結果を表3に示す。

    実施例9
    板状ヨークとシールリングの間に厚さ15μmのNiメッキ層を設けた以外実施例1と同様にして、図9に示す義歯アタッチメントを作製し、特性を測定した。 測定結果を表3に示す。

    実施例10〜14
    表1に示すように凹部61'に段差61dを有するカップ状ヨークを使用した以外実施例2〜6と同様にして、図10に示す義歯アタッチメントを作製した。 溶接部の断面の顕微鏡写真を図11(a) 及び(b)に示す。 図11(a) 及び(b) の顕微鏡写真に対応する図12(a) 及び(b)から明らかなように、カップ状ヨーク71の凹部開口端近傍の外側面は垂線UU(垂線UUは永久磁石72の左端側輪郭線又は右端側輪郭線VVに平行である。)に対して僅かに内側に傾斜している(直線TT)。 すなわち、凹部開口端付近の領域は実質的に幅が変わることなく縮径している(凹部の底部付近の領域71cより外径が小さくなっている)。 義歯アタッチメントの表面を通る直線SS上での垂線UUと直線TTの距離zはカップ状ヨーク71の外径の減少量を表す。 各義歯アタッチメントの特性の測定結果を表3に示す。

    図12(c)より、カップ状ヨーク71の凹部の拡径部の底付近(位置P)における外径Dobに対して前記凹部の開口端(位置Q)の外径Douが縮小している(Dob>Dou)。 なお、拡径部の底部付近(位置P)から凹部開口端(位置Q)に至るまで、カップ状ヨーク71の幅w 1は変わらなかった。

    実施例15
    表2に示すようにスポット溶接及び全周溶接用のレーザ光のスポット径をそれぞれ0.3 mmとした以外実施例10と同様にして、義歯アタッチメントを作製した。 溶接部の断面の顕微鏡写真を図13(a)及び(b)に示す。 また図14(a)及び(b)は図13(a)及び(b)の顕微鏡写真に対応する線図であり、図14(c)は義歯アタッチメント全体の断面形状を示す。 この義歯アタッチメントの特性の測定結果を表3に示す。

    比較例1
    表1及び2に示すように、実施例1と同じカップ状ヨーク及びシール板(両者の隙間は30μm)を使用し、スポット溶接を行わずに実施例1と同じ全周溶接を行ったところ、図15に示すように、シール板103は完全にカップ状ヨーク101より上に浮き上がり、全周溶接を完了することができなかった(表3参照)。

    比較例2
    表1及び2に示すように、実施例7と同じカップ状ヨーク及びシール板(両者の隙間は30μm)を使用し、スポット溶接を行わずに実施例7と同じ全周溶接を行ったところ、シール板は完全にカップ状ヨークより上に浮き上がり、全周溶接を完了することができなかった。

    比較例3
    表1及び2に示すように、シール板の外径とカップ状ヨークの凹部の内径とを同じにして、シール板をカップ状ヨークの凹部に圧入した以外実施例1と同様にして、義歯アタッチメントを作製した。 シール板の圧入は面倒な作業であった。 得られた義歯アタッチメントは、図16に示すように、カップ状ヨーク201とシールリング205との間にバリ201bを有し、またカップ状ヨーク201は外側に僅かに変形していた。 その変形方向は本発明の義歯アタッチメントの場合と逆であるので、変形量z(外周201Rの半径−外周201rの半径)をマイナスで表示する。 201Rは全周溶接後の外周を示し、201rは圧入後で溶接前の外周を示す。 義歯アタッチメントの特性の測定結果を表3に示す。

    図16に示すように、全周溶接によりカップ状ヨーク201の端面の外周が201rから201Rに拡張され、カップ状ヨーク201の端面の面積はS R [=S r ×α(αは定数、α>1)]に増大する。 永久磁石202から発生する磁束は変化しないので、カップ状ヨーク201の端面の面積とそこから出る磁束との関係は、B×S r =B'×S R (B及びS rは面積拡張前の磁束密度及び端面の面積であり、B'及びS Rは面積拡張後の磁束密度及び端面の面積である。)により表される。 従って、B'=B/αである。 磁気吸引力は、磁束が通過する面積と磁束密度の二乗の積に比例するので、拡張後の磁気吸引力F'と拡張前の磁気吸引力Fとの比は、(S R ×B' 2 )/(S r ×B 2 )=B'/B=1/αとなる。 このように、圧入によりカップ状ヨーク201の外周が拡張されると、磁気吸引力は低下する。

    これに対し、各実施例の磁気アタッチメントではいずれも、カップ状ヨークの端面の面積S(=Sm×Bm/Bs)は最適になるように(<S r <S R )設計される。 Bsはカップ状ヨークの飽和磁化、Bmは永久磁石の残留磁束密度、Smは永久磁石の断面積である。 なお、前記ヨーク端面の面積がSより小さくなると磁束の通りが悪くなるので(局所的な磁気飽和が起こるので)、磁束漏れが顕著になり、磁気吸引力が大きく低下してしまう。 本発明ではカップ状ヨークの外周が収縮した場合に最適のSが得られるように設計しているので、磁気吸引力は増加する。 表3に示す比較例5の磁気吸引力の測定結果は実施例1のものより明らかに低かった。

    図17は、シール板をカップ状ヨーク201に圧入したときに、カップ状ヨーク201とシールリング205との突き合わせ部の一方の側に隙間が生じる様子を示す。 カップ状ヨーク201の内径とシール板の外径とは等しいので、シール板の外周の一端をカップ状ヨーク201の開口部に入れると、必然的にシール板の外周の他端はカップ状ヨーク201の開口縁部に引っ掛かる。 この状態でシール板をカップ状ヨーク201の開口部内に圧入すると、突き合わせ部でカップ状ヨーク201及びシール板の少なくとも一方が削れてバリができるとともに、突き合わせ部中のバリを有する部分には隙間が生じる。 図17に示すサンプルでは、板状ヨーク204とシールリング205とは強固に固着されているので、その突き合わせ部には隙間は生じなかった。

    図18は、板状ヨーク304とシールリング305とが強固に固着されていないシール板をカップ状ヨーク301に圧入したときに、カップ状ヨーク301とシールリング305との突き合わせ部、及び板状ヨーク304とシールリング305の突き合わせ部にそれぞれ一方の側に偏った隙間が生じる様子を示す。 図19は図18の部分Aの拡大図であり、図20はその部分の顕微鏡写真である。 図19及び20から明らかなように、カップ状ヨーク301とシールリング305との突き合わせ部にはバリ305bが残留していた。

    図21は図20のサンプルの突き合わせ部付近を示す顕微鏡写真であり、図22はそれに対応する概略図である。 圧入する前のシールリング305は断面長方形状であるので、シールリング305の外端部が削れていることが分かる。 シールリング305の角部とカップ状ヨーク301の間にバリ301b、305bが認められた。

    比較例4
    表1及び2に示すようにシール板の外径とカップ状ヨークの凹部の内径とを同じにして、シール板をカップ状ヨークの凹部に圧入した以外実施例7と同様にして、義歯アタッチメントを作製した。 シール板の圧入は面倒な作業であった。 得られた義歯アタッチメントの特性の測定結果を表3に示す。 表3に示す比較例4の磁気吸引力の測定結果は実施例1のものより明らかに低かった。

    比較例5
    表1及び2に示すように板状ヨークとシールリングの間に厚さ15μmのNiメッキ層を設けた以外比較例5と同様にして義歯アタッチメントを作製し、特性を測定した。 結果を表3に示す。 表3に示す比較例5の磁気吸引力の測定結果は実施例1のものより明らかに低かった。 またシール板の圧入は面倒な作業であった。

    比較例6
    表1〜3に示すようにカップ状ヨークとシール板の隙間xを70μmとした以外実施例1と同様にして義歯アタッチメントを作製し、特性を測定した。 表3に示す比較例6の磁気吸引力の測定結果は実施例1のものより明らかに低かった。 結果を表3に示す。 またシール板の圧入は面倒な作業であった。 また表面研磨の後に溶接による凹みが残留して平滑な面が得られず、実用に供することができなかった。

    注:(1) 外径×高さ。


    (2) 内径×深さ。


    (3) Niメッキ層。


    (4) 外径×内径×高さ。


    (5) 厚さ15μmのNiメッキ層を円板状のヨークの外周に設けた(Niメッキ層を含む板状ヨークの外径は2.17

    mmである)。


    (6) 板状ヨークの外周に厚さ15μmのNiメッキ層のみ形成した(Niメッキ層を含む板状ヨークの外径は2.20

    mmである)。


    (7) 図10と同様に、開口端から深さ0.30 mmまで拡径部(内径:2.75 mm)があり、深さ0.30 mm〜0.38 mmまで斜めの段差を有し、それより深い部分では内径が2.60 mmであった。


    実施例1及び8、並びに比較例1及び3の義歯アタッチメント耐食性を測定するために、各サンプルを37℃の5%食塩水中に3日間浸漬後、溶接部の錆発生状況を目視観察するとともに、磁石が腐食されているか否かを確認するために食塩水を分析した。 結果を表4に示す。

    上記結果より、全周溶接を行なう前にスポット溶接を行なった実施例1及び8の義歯アタッチメントでは、食塩水がカップ状ヨークの凹部に浸入していなかったのに対し、スポット溶接を行なわずに全周溶接をした比較例1及び3の義歯アタッチメントでは、食塩水がカップ状ヨークの凹部に浸入したことが分かる。

    本発明の第一の実施形態による義歯アタッチメントを示す平面図である。

    図1(a)の義歯アタッチメントの全周溶接前の状態を示す断面図である。

    図1(a)の義歯アタッチメントの全周溶接後の状態を示す断面図である。

    図1(a)のAOA断面図(実施例1の義歯アタッチメントの平面加工後の状態を示す)である。

    図1(a)の義歯アタッチメントを製造する工程を示す概略図(右側の各図は左側の図のAOA断面を示す)である。

    図1(a)の義歯アタッチメントの溶接面で、平面加工前の状態を示す平面図である。

    図3(a)におけるAOA断面図である。

    本発明の第二の実施形態による義歯アタッチメントを示す平面図である。

    図4(a)のBOB断面図である。

    図4(a)の義歯アタッチメントを製造する工程を示す概略図(右側の各図は左側の図のBOB断面を示す)である。

    本発明の第三の実施形態による義歯アタッチメントを示す平面図である。

    図6(a)のCOC断面図である。

    図6(a)の義歯アタッチメントを製造する工程を示す概略図(右側の各図は左側の図のCOC断面を示す)である。

    本発明の第四の実施形態による義歯アタッチメントを示す平面図である。

    図8(a)のDOD断面図である。

    本発明の第五の実施形態による義歯アタッチメントを示す平面図である。

    図9(a)のEOE断面図である。

    本発明の第六の実施形態による義歯アタッチメントを示す断面図である。

    本発明の第七の実施形態による義歯アタッチメントの左側溶接部付近の平面加工後の断面を部分的に示す写真である。

    図11(a)の義歯アタッチメントの右側溶接部付近の平面加工後の断面を部分的に示す写真である。

    図11(a)に対応する線図である。

    図11(b)に対応する線図である。

    図11(a)の義歯アタッチメントの平面加工後の全体構造を示す断面図である。

    実施例3の義歯アタッチメントの左側溶接部付近の溶接したままの断面を部分的に示す写真である。

    実施例3の義歯アタッチメントの右側溶接部付近の溶接したままの断面を部分的に示す写真である。

    図13(a)に対応する線図である。

    図13(b)に対応する線図である。

    図13(a)の義歯アタッチメントの溶接したままの状態の全体構造を示す断面図である。

    スポット溶接部なしにカップ状ヨークとシール板を全周溶接したときのシール板の傾斜を示す概略断面図である。

    カップ状ヨークの開口部にシール板を圧入した後カップ状ヨークとシール板を全周溶接してなる義歯アタッチメントを示す部分断面斜視図である。

    比較例3の義歯アタッチメントの一サンプルを示す平面図である。

    比較例3の義歯アタッチメントの他のサンプルを示す平面図である。

    図18の領域Aの拡大図である。

    図19に対応する顕微鏡写真である。

    比較例5の義歯アタッチメントのシール板の嵌入部を示す顕微鏡写真である。

    図21の顕微鏡写真に対応する概略図である。

    義歯アタッチメントの磁気吸引力を測定する装置を示す概略図である。

    義歯アタッチメントを有する義歯を歯槽に埋設された根面板に設置されたキーパに装着した状態を示す概略断面図である。

    従来の義歯アタッチメントを示す概略断面図である。

    従来の義歯アタッチメントを示す概略断面図である。

    符号の説明

    1,21,31,41,51,61,71,81:カップ状ヨーク
    1',21',31',41',51',61':凹部
    61c,71d:拡径部
    61d:段差
    71u:凹部の底部付近の領域
    2,22,32,42,52,62,72,82:永久磁石
    3,23,33,43,53,63,73,83:シール板
    4,24,34,44,54,64,74,84:板状ヨーク
    54b:Niメッキ層
    5,25,35,45,55,65,75,85:シールリング
    3a,23a,33a:押え部材
    3b,23b,33b:レーザ照射装置
    1a,21a,31a:カップ状ヨークとシールリングの突き合わせ部
    4a,24a,34a:シールリングと板状ヨークの突き合わせ部
    6a〜6d,26e〜26l,36e〜36l,46a〜46d,56a〜56d:スポット溶接部
    36m:スポット溶接部36k及び36lの重なり部
    37c:第一の全周溶接部37a及び第二の全周溶接部37bの重なり部
    7,57:全周溶接部
    27a,37a,47a,67a,77a,87a:第一の全周溶接部
    27b,37b,47b,67b,77b,87b:第二の全周溶接部、
    8,28,38,98:カップ状ヨークとシール板からなる平面加工前の表面
    9,29,39,49,59,69,79:平滑面
    90:義歯アタッチメント
    91:キーパ
    92:支持部材
    93:チャック
    94:アダプタ
    95:デジタルフォースゲージ
    96:微動装置
    97:スタンド

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